JP2006004962A - 堆積膜形成装置およびそのクリーニング方法 - Google Patents

堆積膜形成装置およびそのクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 堆積膜形成装置のノンプラズマクリーニング工程において、局部的な昇温の防止や、未反応のクリーニングガスが真空ポンプへ流入するのを防止して、排気配管やバルブ、真空ポンプなどにダメージを与えることなく、短時間で排気配管等のクリーニングを完了できるようにする。
【解決手段】 供給するクリーニングガス流量を一定に保ったまま希釈ガスの流量の増減、チャンバー101または排気配管103の圧力上昇もしくは下降の少なくとも一つの手段によりクリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板に機能性堆積膜の形成、プラズマ処理等、所望の処理を施す堆積膜形成装置に関し、特にそのクリーニング方法およびクリーニング機構に関する。
従来、太陽電池、電子写真用光受容部材等の機能性堆積膜としてアモルファスシリコン、マイクロクリスタルシリコン等が提案され実用化されている。こうした材料を作る方法は目的に応じて種々提案されているが、中でも高周波を用いたプラズマによる原料ガスの分解による堆積膜作成が一般的である。こうした方法では所望の堆積膜の形成と同時に装置中にポリシラン等の副生成物が発生することが知られている。
これら副生成物のポリシランは堆積膜を長時間に渡り作成する場合、粉状のポリシランが堆積膜中に塊として入り、欠陥となる。また、装置や排気配管内に徐々に堆積することで排気能力が変化してしまい、成膜条件が均一にならず長時間に渡り同じ特性のものを作り続けることが難しい原因になっていた。更に、このポリシランは、温度の高い状態で酸素と反応して燃えるなど、室温においても摩擦等の静電気により燃えることがわかっており取り扱いが難しい為、ポリシランの取り除き作業での改善が求められている。
特に電力用太陽電池の作成等、大量に堆積膜を形成する量産装置において、堆積膜の形成条件によっては副生成物であるポリシランも大量に発生する。このためポリシランの除去作業には多くの時間と労力が必要になり、コストを押し上げる要因の1つになっている。
また、ポリシランの塊が原因となる欠陥や、配管のつまりによる堆積膜成膜条件の不安定性など、品質上の面でも改善が求められていた。
こうした状況の中、ノンプラズマでクリーニング効果のある三フッ化塩素等のクリーニングガスを、チャンバーもしくは排気配管内に導入して副生成物であるポリシランを除去するクリーニングする方法がある。
クリーニング反応は発熱を伴う為、チャンバーや排気配管を温度測定することによりクリーニング反応が何処で起こっているかを簡易的に知ることが可能である。これを利用して、成膜チャンバーの複数点の温度を測定することで副生成物のクリーニングの進行具合や終点を検知する方法の詳細が特許文献1に説明されている。
また、クリーニングの進行具合を検知する別の手段として、観察窓からクリーニング反応で発生する火炎の大きさを目視で観察したり赤外線センサーで検出する方法や、観察窓から目視やレーザー測位、X線透過等で副生成物の堆積量を確認し、さらに時間あたりの減少具合を考慮することにより、クリーニングの反応速度を正確に知ることも可能である。
排気配管などは断面積が小さく(細く)経路が長いため、クリーニング反応はガス流れ方向の上流側から進行する特徴がある。このような特徴を持った排気配管におけるクリーニング方法の説明として、特許文献2には、副生成物の堆積しやすい箇所の説明、クリーニングの終点を検知する方法、配管内に流れるクリーニングガス流量すなわちクリーニングガスの分子の数を増やすことでクリーニング速度を向上できると説明されている。特にクリーニング初期にクリーニングガスの流量を少なくすることで希釈ガスにより残留水素などを十分に除去し、その後にクリーニングガスの流量を増加する。すなわちクリーニングの進行に伴いクリーニングガスの流量を増やすことで、残留水素等を比較的緩やかな条件で三フッ化塩素と反応させ分解除去することで、副生成物であるオイリーシランやポリシランのクリーニングを行なうことが記載されている。
さらに、クリーニング速度を向上させるには、希釈混合された混合ガス中のクリーニングガスの流量および濃度、即ちクリーニングガスの分子の数をより多く供給することが有効である。しかし、三フッ化塩素などのクリーニングガスは非常に反応性が高くクリーニングを短時間で終了させられるメリットがあるが、その反面、未反応の三フッ化塩素等のクリーニングガスが成膜チャンバーや真空ポンプや排気配管にダメージがあることや、過度の反応熱により装置や排気配管にダメージがあることが知られている。
成膜チャンバー内におけるプラズマクリーニング方法において、プラズマによるオーバーエッチングのダメージ防止を目的として、クリーニング経過とともにチャンバー内の圧力を減少させながらクリーニングガスの分圧をあげることで、プラズマクリーニング反応の速度が最大となるピークの位置だけを上流方向から下流方向に移動させることで、プラズマによるオーバーエッチングのダメージを低減できる方法が特許文献3に記載されている。また、成膜チャンバー内において表面処理を平均化する方法として、特許文献4にはチャンバー内のガス流速を時間的に変化させ、プラズマなどに晒される時間を制御することで膜堆積を含めた表面処理条件を平均化させる方法が記載されている。
また、装置に対するダメージは成膜チャンバー内や排気配管内のみならず、クリーニング後期には未反応のクリーニングガスが大量に真空ポンプに流入する。この未反応のクリーニングガスは油回転ポンプなどの潤滑を阻害したり、ポンプ故障等のダメージを与える。この真空ポンプの保護を目的として、特許文献5にはクリーニング工程の後期にはクリーニングガスの濃度、すなわち三フッ化塩素などのクリーニングガスの流量を低下させることで真空ポンプなどのダメージを低減する方法が記載されている。
このように従来の技術では、基本的にクリーニング速度を向上させるにはクリーニングガスの流量を増やし、ダメージ防止にはクリーニングガス流量を減らすというものであった。
また、反応のピークの位置を移動する方法はあったが、排気配管など、プラズマ生起が困難な場合や、ガス流れ方向の上流から下流に向かって自然とクリーニング位置が移動する場合や、被クリーニング物であるポリシラン等が不均一に堆積している場合までは考慮されていない。さらに、クリーニング反応の面積を積極的に制御することは考えられていなかった。
特開平8−306628号公報 特開2001−284264号公報 特開平9−36047号公報 特開平4−10962号公報 特開平6−2143号公報
上記のような従来技術においての副生成物のクリーニングは比較的小型の装置が対象であり、ポリシランなどの副生成物の堆積量も少ない場合について考えられたものである。
排気配管の部位によってポリシランの堆積量が大幅に異なる場合や、配管径の半分程度まで大量にポリシランが堆積している場合などは従来の技術では適応できない。特に、大量の原料ガスを長時間に渡って使用する大規模な堆積膜形成装置など、低コストで大量生産を目的とした大型の生産装置等の場合には次のような著しい問題があった。
第一に、大量の堆積した副生成物であるポリシランとクリーニングガスの反応熱の問題である。
即ち、従来のような比較的小型の装置で堆積物が少量の場合、クリーニング工程時に発生する発熱量も少なかったが、堆積物が大量に存在する場合、反応熱が過大となり装置もしくは排気配管の壁面が高温になり熱的ダメージを受ける。さらに、温度上昇することにより三フッ化塩素などのクリーニングガスによる化学的なダメージも増長されてしまう。
特にオーリングはシール性を保つための重要な部品であるが、三フッ化塩素雰囲気中における耐熱性が低くダメージを受けやすい。100%三フッ化塩素雰囲気中における耐久性は、オーリングの材料で一般によく使用されるバイトンなどで150℃程度であり、また排気配管で良く使用されるステンレスは150℃程度であると一般に言われている。
オーリング以外にも重要な部品があり、ダメージを受けないように注意をする必要がある。フレキシブルチューブ部などは配管の肉厚が0.1〜0.2mm程度と非常に薄く、腐蝕がほんの少しでも進行すると破孔しリークの原因となってしまう為、特に注意が必要であった。また、圧力調整バルブや排気弁、バルブ周辺は、機械的稼動部であるとともにオーリングや弁座などのシール部があり、稼動部やシール部にダメージを受けると動作不良やリークなどの原因となるので注意が必要である。
第二に、ポリシランの堆積個所と量の問題である。
大量生産を目的とした堆積膜装置は装置規模が大型であり、その設置レイアウトの都合上その排気配管の経路長も非常に長くなる為、このような排気配管内にはポリシランが一様に溜まらず、部位によりにその堆積量が大幅に異なる。例えば、屈曲部やフレキシブルチューブ部などには著しく多く溜まる。これら大量に堆積する場所はクリーニングの際にクリーニング反応熱が集中し、局所的な高温になってしまう。
特に圧力調整バルブや、バルブ部はポリシランが特に大量に溜まりやすいことに加え、これら部分は上記のようにダメージに非常に弱い。この大量にポリシランが溜まり且つダメージに弱い箇所をダメージ無くクリーニングする必要がある。
第三に、クリーニングのタクトの問題である。
大量生産を目的とした堆積膜装置であるため、各工程にかかるタクトを短縮し、より大量に堆積膜を生産しなければならない。特に堆積膜形成工程以外の工程であるメンテナンス工程、クリーニング工程などは、生産量に寄与しないため短縮する必要がある。
また一方、上記のような熱によるダメージの問題もある。これら温度ダメージを防止するには、クリーニングの反応熱を抑制する方法が有効である。希釈されたクリーニングガス流量や濃度を低下させる、即ち排気配管内に存在するクリーニングガスの分子の数を低下させる方法である。
しかし、これらクリーニングガスの分子の数を減少させる方法は、クリーニングガスの分子の数が減った分だけポリシランとのクリーニング反応数が減少し、クリーニング速度が著しく低下する。このため、クリーニング工程のタクトが著しく長くなってしまい、大量生産を目的とした装置には適応ができない。
第四に、装置コストの問題である。
低コストで大量生産を目的とした堆積膜装置であるため、原材料費やガス代に加え、装置コスト自体を安価にする必要がある。
また一方、上記のような反応熱によるダメージを防止するには、反応熱を冷却する方法が考えられる。即ち冷却機構を追加するために装置コストが高価になってしまう。特に、大型の堆積膜装置はその排気配管の経路長も非常に長くなる為、その排気配管を冷却するには大型の冷却機構が必要となり、装置コストが高価になってしまう。さらに、外部冷却を行なっても、チャンバーや配管等は肉厚があるため、反応している内壁の反応点まで十分に冷却されないという問題がある。
クリーニングを短時間で行なうには、クリーニングガスを所定の時間内に大量に流す必要がある。しかし、クリーニング工程中にクリーニングガス流量が増減した場合、クリーニングガスをたとえ短時間でも大量に流すには、そのピーク時の流量に合わせ供給設備や除害装置を大型化しなくてはならない。さらに三フッ化塩素等のクリーニングガスは、液化ガスのため大量に供給するには、ボンベへの熱供給方法、流量計や減圧弁における再液化などの問題があり、それらの対処のため装置コストが更に高額になってしまう。
コストダウンのため、必要最低限のクリーニングガス流量に対応した供給および除害設備とする必要がある。その為には、十分なクリーニング速度が得られる範囲のなかで少ないクリーニングガス流量を時間的に増減することなく一定して流すクリーニング工程が必要となる。
上記のように大量生産を目的とした大型で排気配管の経路長も長い堆積膜形成装置の場合は、大量のポリシランの反応熱による装置ダメージの防止、不均一に堆積したポリシランの除去、クリーニングタクトの短縮、低コストな装置の四つの課題を同時に満たす必要がある。これら条件を満たすことは従来の技術では考慮されておらず、上記課題を従来の技術で解決することは困難であった。
本発明は上記問題を解決すべく鋭意検討を行なった結果完成に至ったものであり、以下の構成を有するものである。
即ち、第1の本発明は、クリーニングガスと希釈ガスを用いて堆積膜形成装置のチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングする方法において、少なくとも第1の部位をクリーニングする工程と、第2の部位をクリーニングする工程とを有し、前記第1の部位をクリーニングする工程では、該第1の部位が所定の温度以上となった際に反応面積を伸張し、前記第2の部位をクリーニングする工程では、反応面積の大きさを前記第1の部位が所定の温度以上となった際の反応面積と比べて収縮させることを特徴とする。
また、前記クリーニングガスが三フッ化塩素であることを特徴とする。
また、第2の本発明は、クリーニングガスと希釈ガスを用いて堆積膜形成装置のチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングする方法において、供給するクリーニングガス流量を一定に保ったまま希釈ガスの流量の増減、チャンバーまたは排気配管の圧力上昇もしくは下降の少なくとも一つの手段によりクリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする。
また、予め定めた時間に基づいて、クリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする。
また、排気配管のクリーニング量を検出し、検出したクリーニング量に基づいてクリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする。
また、前記排気配管のクリーニング量の検出は、温度を検出して行われ、検出した温度に基づきクリーニング反応面積の大きさを制御することを特徴とする。
また、前記検出した温度が70〜200℃になるようにクリーニング反応面積の大きさを制御することを特徴とする。
さらに、前記クリーニングガスが三フッ化塩素であることを特徴とする。
また、第3の本発明は、クリーニングガスと希釈ガスを用いてチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングするクリーニング機構を有する堆積膜形成装置であって、前記クリーニング機構は、排気配管の複数位置のクリーニング量を検出する手段と、検出したクリーニング量に基づいてクリーニング反応面積の大きさを制御する手段を具備することを特徴とする。
また、前記クリーニング量の検出手段が温度検出手段であることを特徴とする。
さらに、副生成物の堆積量が多い部位を含む排気配管の複数の部位に前記クリーニング量の検出手段を設置することを特徴とする。
本発明によれば、堆積膜形成装置のノンプラズマクリーニング工程において、局部的な昇温の防止や、未反応のクリーニングガスが真空ポンプへ流入するのを防止できる。これにより排気配管やバルブ、真空ポンプなどにダメージを与えることなく、短時間で排気配管等のクリーニングを完了することができる。
また、クリーニングガスの利用効率が高く、クリーニングガスの流量を増減することなく一定の条件で導入することより、クリーニングガスの供給設備および除害設備を最小の規模で構成する事が可能となり、大幅な装置コストの低減が可能となる。
このように、低コストな設備において排気配管等にダメージを与えることなく短時間で排気配管等に堆積したポリシランのクリーニングが可能となったことにより、低コストで稼働率が高い堆積膜形成装置、とりわけ太陽電池などの大量生産量産を目的とした大型の堆積膜形成装置が実現される。
本発明は、堆積膜形成装置のチャンバーもしくは排気配管に堆積したポリシランをクリーニングガスと希釈ガスを用いてノンプラズマクリーニングするに際し、ポリシランの堆積量が異なる部位を、その堆積量に応じて部位毎にクリーニング条件を随時最適化するものである。
本発明の好適な一実施形態においては、真空気密の可能なチャンバーに原料ガスを導入し、前記チャンバーに接続された排気配管によって排気しながら堆積膜を形成する堆積膜形成装置のクリーニング工程において、プラズマレスでクリーニング効果のあるクリーニングガスを不活性な希釈ガスで希釈しながら導入する。そして排気配管あるいはチャンバーに設置された検知手段(例えば温度検知手段)によってクリーニング反応の位置と反応量を検知し、クリーニング反応量が多い第一の部位において例えば所定の温度以上となった際には、導入するクリーニングガスの流量すなわち時間あたりのクリーニング反応に寄与する分子の数を減らすことなく一定に保った状態で、クリーニング反応面積を伸張させる。これにより、局部的な昇温を防止しつつ、トータルのクリーニング反応量を維持している。また一方、クリーニングの反応量が少ない第二の部位においては、クリーニングガスの流量すなわち時間当たりのクリーニング反応に寄与する分子の数を増やすことなく一定に保った状態で、クリーニング反応面積を前記第1の部位が所定の温度以上となった際の反応面積(即ち、前記伸張後のクリーニング反応面積)と比べて収縮させる。これによりクリーニングに適した温度とできることからクリーニング速度を向上している。
ここで本発明における『クリーニング反応面積』とは、堆積したポリシランの表面においてクリーニング反応を示す部分の表面積の合計のことをいう。例えば配管内の場合、クリーニング反応を示す上流端から下流端までの長さと、ポリシランが堆積する幅の積で示される。特に、配管内では配管径によりポリシランが堆積する幅が制限される為、クリーニング反応を示す上流端から下流端までの長さで大まかに示すことができる。
クリーニング反応面積を伸張させる場合には、クリーニングガスの流量を減らすことなく、希釈ガスの流量を増加させる、もしくは、排気配管の圧力を低下させるなどの方法を用いることができる。
また、クリーニング反応面積を収縮させる場合には、クリーニングガスの流量を増やすことなく、希釈ガスの流量を減少させる、もしくは、排気配管の圧力を上昇させるなどの方法を用いることができる。
例えば、排気配管など断面積が小さい為にガス流れ方向の上流から下流すなわち排気配管のチャンバー側から真空ポンプ側へクリーニング反応が進行する系のクリーニングにおいて、副生成物であるポリシランが堆積しやすい、排気配管の上流部すなわちチャンバー側、圧力調整バルブの下流すなわち真空ポンプ側、排気配管の屈曲部分、におけるクリーニングの反応熱による局所的な高温化を検知して、該部位の周辺におけるクリーニング反応面積を伸張させることで単位面積あたりのクリーニング速度を低下させ、クリーニングの反応熱による局所的な高温化を抑制することができる。また、クリーニング反応面積を伸張させることにより単位面積あたりのクリーニング速度は低下するが、クリーニングガスの流量は減少させないのでクリーニング反応面積全体におけるクリーニング速度、即ち単位時間当たりのクリーニング量を維持することができる。また、以上のようにしてポリシランが多く堆積している部位のクリーニングが進み、該部位の温度が低下し、該部位のクリーニング反応が収束した時点で、クリーニング反応面積を収縮させることによって、狭い面積のクリーニングを集中的に行ない、クリーニング工程のタクトを短縮させることができる。
また、当初からポリシランの堆積が少ない部位をクリーニングする場合にも、クリーニング反応面積を収縮させることによって、クリーニング工程のタクトを短縮させることができる。
さらに、真空ポンプ付近に設置された検出手段により、クリーニング反応が真空ポンプ付近まで進行したのを検知し、該部位の周辺におけるクリーニング反応面積を収縮させることにより、未反応のクリーニングガスが真空ポンプへ流入するのを防止することで、クリーニングガスの利用効率の向上および真空ポンプのダメージを低減することができる。
なお、クリーニング反応面積を収縮させた際の反応面積の大きさは、反応熱により排気配管等にダメージが無い温度となる大きさとしている。
次に、本発明の一実施形態について図1に示す堆積膜形成装置に基づいて説明する。図1において、101は堆積膜を形成するためのチャンバーであり、チャンバー101内に所望の堆積膜を形成させるための基板102が置かれている。原料ガスボンベ105から原料ガス供給弁108を介してチャンバー101内に原料ガスが供給される。106はクリーニングガス供給ボンベ、107は希釈ガス供給ボンベであり、クリーニングガス供給弁109、110の少なくとも一方を介して、チャンバー101もしくは排気配管103もしくはその両方にこれらのガスを供給する。また、104は真空ポンプであり、これによりチャンバー101を排気配管103を介して真空に排気する。115はチャンバー101に設けられた圧力計であり、116は排気配管103に設けられた圧力計である。111はチャンバー101を任意の圧力に調整するための圧力調整バルブである。112は遮断弁であり、この遮断弁112を挟んでバイパスライン114が形成されている。113はバイパス弁である。117a〜eはクリーニング反応量の検知手段であり排気配管103の複数箇所に設置されている。
上記堆積膜形成装置の作用を説明すると、まず、真空ポンプ104を始動し、つづいて、遮断弁11)を開ける。つづいて圧力調整バルブ111を徐々に開けてチャンバー101を真空に引く。十分に真空状態になってから、チャンバー101内を不図示のヒーターで加熱し所望の温度になった後、原料ガス供給弁108を開け、原料ガス105をチャンバー101に流す。圧力調整バルブ111を圧力計115に連動させて、チャンバー101内を所望の圧力になるように制御する。チャンバー101内の圧力が一定になった後に不図示のRF電源によりプラズマを生起し、原料ガスを分解し、チャンバー101内で所望の堆積膜を基板102上に作成する。その際、排気配管103内に溜まる副生成物によりチャンバー101内の圧力が変動しないように圧力調整バルブ111を圧力計115に連動させてバルブの開度を自動制御しておく。
堆積膜作成が終了した後に、チャンバー101及び排気配管103内を不活性ガスで十分置換した後、チャンバー101内を大気にもどし、チャンバー101内から堆積膜が形成された基板102を取り出す。再び同様の手順でチャンバー101および排気配管103内を十分に真空状態にする。この工程を繰り返し、複数の基板に堆積膜を形成する。
この工程をある回数繰り返し基板102を取り出した後、圧力調整バルブ111を全開にして、遮断弁112を閉じる。排気配管103内の圧力は圧力計116によりモニターして、所定の圧力よりも排気配管103内の圧力が上昇したら、バイパス弁113がある所定の時間だけ開くように制御されている。これらバイパス弁113が開状態となる圧力および時間を調整することで排気配管103の圧力を任意に調整できるようになっている。バイパスライン114は排気コンダクタンスが小さいため堆積膜形成時の圧力に比較して十分に高圧なクリーニング工程の圧力制御が可能となっている。希釈ガスボンベ107およびクリーニングガスバルブ109もしくは110を開けてチャンバー101もしくは排気配管103に窒素を流す。その後、クリーニングガスボンベ106を開けクリーニングガスを流す。
排気配管103はガス流れ方向の上流側からクリーニング反応が進行する。排気配管の上流部でポリシランが多く堆積している場所に設置された検知手段117aにより該部位におけるクリーニング反応量を検知し、クリーニングガスの流量を一定に保ったまま、希釈ガスの流量を増加させる、もしくはバイパス弁113を調整することにより排気配管103の圧力を低下させる。これによりクリーニング反応面積が下流方向へ伸張し、単位面積あたりの反応熱の発生が減少することで局部的な加熱による排気配管やバルブなどへのダメージが低減される。
その後、ポリシランがクリーニングされるに伴い、クリーニング反応される部位が下流側に移動する。検知手段117aによりポリシランが該部位のクリーニング反応が適度に収束したことを検知したことより、クリーニング反応がポリシランの堆積が少ない下流側の部位に移動したと判断される。その後、クリーニングガスの流量を一定に保ったまま、希釈ガスの流量を減少させる、もしくはバイパス弁113を調整することにより排気配管103の圧力を上昇させる。これによりクリーニング反応面積が収縮し、クリーニングガスとポリシランの衝突がよくなること、および適度な温度となることでクリーニング速度が維持される。
このようにクリーニングを継続して行なうと、クリーニング部位が排気配管の上流から徐々に下流側に移動していく。そして再び、中流部もしくは下流部でポリシランが多く堆積している部位にクリーニング反応が到達し、該部位における過度のクリーニング反応を検知したら、先と同様にクリーニングガスの流量を一定に保ったまま、希釈ガスの流量を増加させる、もしくはバイパス弁113を調整することにより排気配管103の圧力を低下させる。これによりクリーニング反応面積が下流方向へ伸張し、単位面積あたりの反応熱の発生が減少し局部的な加熱による排気配管103や圧力調整バルブ111やフレキシブルチューブなどへのダメージを低減される。
また、真空ポンプ104の上流部の検知手段117e、もしくは真空ポンプ104に設置された検知手段(不図示)によりクリーニングの進行が真空ポンプ104の上流部付近の部位まで進行したことを検知したら、クリーニングガスの流量を一定に保ったまま、希釈ガスの流量を減少させる、もしくはバイパス弁113を調整することにより排気配管103の圧力を上昇させる。これにより、クリーニング反応面積が上流方向へ収縮し、未反応のクリーニングガスが真空ポンプ104へ流入するのを防止することで、クリーニングガスの利用効率の向上および真空ポンプ104などのダメージを低減することができる。
その後、クリーニングガスバルブ110を閉じ、少しおいてから希釈ガスボンベ107を閉じる。こうして堆積膜形成とクリーニング工程を繰り返すことが可能である。
本発明で用いるクリーニングガスは、排気配管内などにも導入するためプラズマ等のエネルギー付加が難しいことから、特別なエネルギー付加がなくてもクリーニングの反応が起こる三フッ化塩素やフッ素等が有効である。しかし、フッ素は高価であるのに加え、その取り扱いが難しいので、本発明に用いるクリーニングガスとしては三フッ化塩素が最適である。
更に検討の結果、この三フッ化塩素と希釈ガスの混合したものが、より最適であった。本発明で用いられる三フッ化塩素ガスと同時に導入される希釈ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガスが好ましいが、大量生産を目的とした量産装置であり大量の希釈ガスを使用するため、入手が簡単で低コストな窒素が特に好ましい。
また、三フッ化塩素の濃度が高いと配管内で液化したり、副生成物が変色して排気配管内に残ったり、オーリング等が劣化しやすく故障の原因になる。逆に三フッ化塩素の濃度が低いと十分なクリーニング反応が得られずガスの利用効率が悪いばかりか、クリーニング速度が遅い為、クリーニングの工程時間が長くなってしまう。そのため、三フッ化塩素と希釈ガスを混ぜる割合は適切な範囲があり、その量は検討の結果、三フッ化塩素/(三フッ化塩素+希釈ガス)は5〜50%が好ましい。
また、本発明の排気配管をクリーニングする時の圧力としては、低すぎるとクリーニングガスの利用効率が悪いことおよび、必要以上にクリーニング反応面積が広がりすぎて十分なクリーニング速度が得られないことから適切な範囲がある。検討の結果、5kPa以上が好ましく、また圧力が高すぎるとクリーニング反応面積が著しく縮小してしまい局部的に高温化してダメージが発生することより上限があり、95kPa以下が好ましい。
クリーニング反応量の検知手段の設置位置はポリシランの堆積しやすい場所が好ましく、排気配管のチャンバー接続部付近や上流部、圧力調整バルブや遮断弁などバルブ類の下流側、排気配管の屈曲部分、フレキシブルチューブ等、トラップ部などは特に好ましい。
クリーニング反応熱による各部温度は、ダメージを防止するために200℃以下とすることが好ましく、さらには十分なクリーニング速度を得る為にも、各部の温度が70〜200℃の範囲となるようにクリーニングの反応面積を伸張もしくは収縮することが特に好ましい。ただし、クリーニングによりポリシラン量が減少し、反応熱の発生量が低下して70℃以下になっても構わない。
クリーニング反応量の検出手段は、観察窓越しにレーザー測位などの光学的センサーやX線透過、超音波反響などの手段によりポリシランの堆積量を測定し、時間あたりのポリシランの減少率より反応量を検知することが、ポリシランの堆積量を直接的に検知できるので好ましい。更に、ポリシランのクリーニング反応の反応熱量からクリーニング量を検知すると同時に、各部のダメージを検知するために観察窓越しにクリーニング反応で発生する反応熱量の大きさを検知する赤外線センサーなどの熱的センサーも好ましい。
また、低コストで大量生産を目的とした生産装置では熱電対や測温抵抗体などの温度モニターを使用すると、温度測定と同時に間接的方法ではあるがクリーニング反応熱からクリーニング反応量とポリシランの残量を推測することが可能であり、装置コストを低減できるので特に好ましい。
上記排気配管内の圧力を適切に維持するため、図1に示すようにメインの排気配管103とは別にポンプ直上の遮断弁112の前後に細いバイパスライン114及びバイパス弁113を設け、クリーニング工程中のみバイパスライン114を通してガスを流す構造にすることが構造的に単純で構成部品も少ないため装置の低コスト化が図れるので効果的である。
本発明において堆積膜形成に使用される原料ガスとしては、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、四フッ化珪素(SiF4)、六フッ化二珪素(Si26)等をアモルファスシリコン形成原料ガスとして用い、それにバンドギャップ幅を変化させるものとして窒素(N2)、アンモニア(NH3)等の窒素原子を含む元素、酸素(O2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、ゲルマニウム(GeH4)等を添加したり、ドーピングを目的としてジボラン(B26)、フッ化ホウ素(BF3)、ホスフィン(PH3)等のドーパントガスを同時にチャンバー内に導入しても良い。
本発明で使用する排気ポンプはドライポンプが好ましいが、ロータリーポンプでも耐腐食性に優れたオイルを用いることで実用可能でありコスト的に優れている。
配管の材質としては耐腐食性に優れ比較的高温にも耐えうるステンレスが好ましい。
また、温度が下がるとエッチングガスが液化する危険性があるため常時5℃以上にしておくことも必要である。
さらに、ポンプや配管の腐食を防ぐためにも、ポンプの前段と後段でさらに窒素等の反応しないガスを入れ、ポンプ内に存在するエッチングガスの濃度をさらに下げる工夫をすることも重要である。
以下に、本発明についての実施例および比較例を説明する。
[実施例1]
実施例1においては、図1に示す堆積膜形成装置(アモルファスシリコン太陽電池作成装置)を用いて説明する。
図1の堆積膜形成装置において、クリーニング反応量の検知手段117a〜117eとして、熱電対を用いている。また、ポリシランが多く堆積する箇所は圧力調整バルブ111の下流側および配管屈曲部であり、それぞれ熱電対117b、117cを取付けている。また、真空ポンプ104の保護を目的として、真空ポンプ104の直前に熱電対117eを取付けている。
また、本実施例を詳細に説明する為に、上記の熱電対に加え別途用意した多数の温度測定器117で排気配管各部の温度分布を密に測定した。
配管内では配管径によりポリシランが堆積する幅が制限されるため、クリーニング反応面積は、おおよそ上記設置された温度測定器の温度が上昇している範囲に等しくなると言える。
アモルファスシリコン太陽電池を実施態様例に示した手順にて作製した。まず、表1に示すn層の成膜条件にて、不図示のヒーターにて基板を加熱する。温度が安定した後に、原料ガスを流し圧力を調整する。圧力が安定した後に、高周波を印加する。所定の時間経過後、高周波と原料ガスを停止する。同様の手順で、表1に示す成膜条件にて順次i層とp層を形成し、n層で5分、i層で20分、p層で5分間、合計30分間堆積膜形成を行なった。
堆積膜作成後、チャンバー101内に窒素を入れ、大気圧状態にしてから、チャンバー101の蓋を開け、膜形成済みの基板と新品の基板を交換し、同様の手順で200バッチにわたり堆積膜の形成を行なった。
200バッチ終了後に、基板102を取り出し、チャンバー101内に窒素を入れ、チャンバー内の圧力が十分に高くなってから遮断弁118を閉じクリーニングガスとして三フッ化塩素は1L/min、希釈ガスとして窒素9L/minの混合ガスをクリーニングガス供給弁110を開け排気配管103内に流す。排気配管の圧力は50kPaに制御した。
まず、第1の部位である排気配管の上流部に取付けられた熱電対117aの温度が上昇し、排気配管の上流部よりクリーニングが進行している。このときの配管温度分布すなわち、熱電対117a〜117eに加え、本実施例を詳細に説明する為に別途多数設置された温度測定器117から求めた温度分布を図4に示す。第1の部位である排気配管上流部はポリシランの堆積が比較的少ない為、クリーニング反応が過度に集中しておらず、ピーク時の温度でも150℃程度であった。
このまま順次クリーニングが下流に向かって進行し、第2の部位であるポリシランが多く堆積している圧力調整バルブ111の5cm下流の配管に取付けられた熱電対117bの温度が上昇した。熱電対117bが200℃になったので窒素ガスの流量を19L/minに変更したところ、第2の部位の温度は100℃になった。このときの流量変更前後における、圧力調整バルブ111近傍の配管温度を図5に示す。
図5に示されるように流量変更前は温度分布の幅が狭くピークが高いことより、クリーニング反応が過度に集中している様子がわかる。流量変更後は温度分布の幅が下流側に拡大しクリーニング反応面積が伸張していることがわかる。また、温度分布のピーク温度も下がっており、反応熱が過度に集中していないこともわかる。
その後、クリーニング反応の主たる部分が第2の部位の下流側である第3の部位に移動し温度検出器117bの温度が70℃となった時点で、窒素ガス流量を再び9L/minに戻したところ、第2の部位の温度は120℃になった。このときの流量変更前後における、圧力調整バルブ111近傍の配管温度を別途詳細に測定した結果を図6に示す。
図6に示されるように流量変更後は、温度分布の幅が狭まっておりクリーニング反応面積が収縮していることがわかる。また、ポリシランの堆積が少ない部位にクリーニング反応が達しているため、反応熱が過度に集中していないことがわかる。
このまま順次クリーニングが下流に向かって進行し、第4の部位であるポリシランが多く堆積している排気配管屈曲部の5cm下流の配管に取付けられた熱電対117cの温度が上昇した。熱電対117cが200℃になったので窒素ガス流量を19L/minに変更したところ、第4の部位の温度は100℃になった。このときの流量変更前後における、配管屈曲部近傍の配管温度を図7に示す。
図7に示されるように流量変更前は温度分布の幅が狭くピークが高いことより、クリーニング反応が過度に集中している様子がわかる。流量変更後は温度分布の幅が下流側に拡大しクリーニング反応面積が伸張していることがわかる。また、温度分布のピーク温度も下がっており、反応熱が過度に集中していないこともわかる。
その後、クリーニング反応の主たる部分が第4の部位の下流側である第5の部位に移動し温度検出器117cの温度が70℃となった時点で、窒素ガス流量を再び9L/minに戻したところ、第4の部位の温度は120℃になった。このときの流量変更前後における、配管屈曲部近傍の配管温度を図8に示す。
図8に示されるように流量変更後は、温度分布の幅が狭まっておりクリーニング反応面積が収縮していることがわかる。また、ポリシランの堆積が少ない部位にクリーニング反応が達しているため、反応熱が過度に集中していないことがわかる。
順次クリーニングが下流に向かって進行し、排気配管の下流部でポリシランの堆積が少ない第6の部位に取付けられた熱電対117dの温度が上昇した。このときの配管温度を図9に示す。第6の部位はポリシランの堆積が少ない為、クリーニング反応が過度に集中しておらず、ピーク時の温度でも150℃程度であった。
再び順次クリーニングが下流に向かって進行し、第7の部位である真空ポンプ104から30cm上流の配管に取付けられた熱電対117eの温度が70℃となりそれ以上の温度上昇の様子もなかった。このため、排気配管103の圧力を70kPaに変更するとともに希釈ガスの窒素流量を4L/minに減少させたところ、第7の部位の温度は130℃になった。このときの圧力および窒素流量変更前後における、真空ポンプ104から30cm上流近傍の配管温度を図10に示す。
図10に示されるように、条件変更前は温度分布の幅が広がっており、排気配管103の終端部まで温度が上昇している。このことから、真空ポンプ104の内部までクリーニングガスが少し到達し、若干クリーニングされていると推測される。また、条件変更後は温度分布の幅が狭まっており、クリーニング反応面積が収縮していることがわかる。また、排気配管103の後端で温度上昇していないことより、真空ポンプ104まで未反応のクリーニングガスが流入していないことがわかる。
真空ポンプ104から30cm上流の配管に取り付けられた熱電対117eの温度が50℃に低下した時点から3分後の該部位付近の配管温度を図11に示す。
図11に示されるように、排気配管103の終端部まで温度が上昇していることから、真空ポンプ104の内部までクリーニングガスが少し到達し、若干クリーニングされていると推測される。しかし、未反応のクリーニングガスが真空ポンプ104に長時間流入することはなかったと推測される。
また、熱電対117eの温度が50℃に低下した時点でクリーニングガスを停止し、窒素にて排気配管103内を十分にパージを行なった。
確認の為、排気配管103内部および真空ポンプ104付近を目視にて確認したところ、ポリシランは完全になくなっていた。また、真空ポンプ104は異音の発生も無くダメージを受けていなかった。また、排気配管103や圧力調整バルブ111のオーリングなどにもダメージはなかった。更に、フレキシブルチューブなどの内表面にも腐蝕などのダメージは見られなかった。
クリーニング工程終了後、同様の手順で更に10バッチにわたり堆積膜の形成を行なった。取り出された基板の半導体膜上に透明導電膜を形成し、太陽電池としての特性評価を行ったところ、平均してまったく同じ変換効率が得られた。
また、クリーニング工程にかかるタクトは250分であった。
Figure 2006004962
[比較例]
図2に示す堆積膜形成装置を用いて原料ガス205として、シラン(SiH4)300ml/min、水素(H2)3000ml/minを流した。チャンバー201内の圧力を146Paに維持しRFパワー400Wを印加し、10時間堆積膜作成を行なった。堆積膜作成後、チャンバー201内に窒素を入れ、大気圧状態にしてから、チャンバー201の蓋を開け、膜形成済みの基板と新品の基板を交換し、同様の手順で10バッチにわたり堆積膜の形成を行なった。
その後、チャンバー201内から排気配管203内までを観察した。その結果、チャンバー201内の壁にはシリコンの膜が堆積していた。また、圧力調整バルブ211の直下の排気配管には膜の破片と粉の付着が観察された。更に排気配管203の下流にいくと茶色の粉が一面に付着しており、遮断弁212の中にはかなり多量の茶色い粉が積もっていた。
次に、排気配管203内を真空に引き、クリーニングガス供給弁210を開け、クリーニングガス206として三フッ化塩素を1L/min、希釈ガス207として窒素9L/minを流した。真空ポンプ204の上の遮断弁212を閉じ、バイパス弁21)を開け、排気配管203内の圧力が約50kPaとなるように、バイパス弁213にて制御した。
クリーニングガス導入の60分後、圧力調整バルブ211の下流側5cmに設置された熱電対217の温度が、225℃を示したので、配管保護の為、クリーニングガスの流量を500ml/minにした。これにより熱電対217の指示値が150℃に低下した。
このままの条件で、クリーニングを実施した。10時間後、真空ポンプ204より異音が発生した為、クリーニング工程を停止し、排気配管203および真空ポンプ204内を目視により検査した。
その結果、排気配管203の内部に付着していた粉はきれいになくなっていたが、真空ポンプの弁座部に軽い損傷が見られた。これは、クリーニング末期に未反応のクリーニングガスが大量に真空ポンプ204内に流入したことにより、弁座部を腐蝕させたものと考えられる。
また、排気配管203のオーリングの一部が膨潤したり硬度が落ちていた。真空シールを破りリークに至るほどのダメージではないが、オーリングを交換した。さらにフレキシブルチューブなどの内表面を観察すると、極微小な腐蝕が認められた。これらのダメージはクリーニング反応熱が局部的に集中していた為と思われる。
また、クリーニング工程かかるタクトは600分と非常に長いものであった。
[実施例2]
実施例2においては、図3に示すロール・ツー・ロールによる堆積膜形成装置(太陽電池作成装置)を用いてアモルファスシリコン太陽電池を作成した。まず、長さ800mの基板をロール基板送り出し用チャンバー301にセットし、チャンバー302、303、304を通し、ロール基板巻き取り用チャンバー305までロール基板300を渡してセットした。ついでチャンバーの蓋を閉め全チャンバー内を真空状態にした。10Pa以下になったところでヘリウムを流し数分後に圧力調整バルブ308を制御して各チャンバーを100Paに維持した。そして、不図示のヒーターにより表2に示している温度に制御する。ヒーターの制御をはじめて温度が一定になってから約2時間後に表2に従って原料ガスを流した。そして、ロール基板300を搬送し、表2に示すパワーの高周波電力を印加した。なお、各チャンバー間を接続するガスゲートから流すH2の流量は1つあたり1L/minに設定した。
この条件で太陽電池作成を10時間行なった。ロール基板300の搬送を止めて、チャンバー301〜305のパージを十分に行なった後に窒素を入れる。各チャンバー内の圧力が十分に高くなってから遮断弁306を閉じクリーニングガスとして三フッ化塩素1L/min、希釈ガスとして窒素9L/minの混合ガスをクリーニングガス導入口314から排気配管307内に流す。排気配管の圧力は50kPaに制御した。
ポリシランが堆積しやすい圧力調整バルブ308の5cm下流の配管に取り付けられた温度検出器313aの温度が200℃になったので、排気配管307の圧力を30kPaに変更したところ、該部位の温度は100℃になった。
その後、クリーニング反応が下流側の部位に移動し温度検出器313aの温度が70℃となった時点で、排気配管307の圧力を再び50kPaに戻したところ、該部位の温度は120℃になった。
このまま順次クリーニングが下流に向かって進行し、ポリシランが堆積しやすい排気配管屈曲部の5cm下流の配管に取り付けられた温度検出器313bの温度が200℃になったので、再び排気配管307の圧力を30kPaに変更したところ、該部位の温度は100℃になった。その後、該部位の温度が70℃となった時点で、排気配管307の圧力を再び50kPaに戻したところ、該部位の温度は120℃になった。
再び順次クリーニングが下流に向かって進行し、真空ポンプ312から30cm上流の配管に取り付けられた温度検出器313cの温度が70℃となりそれ以上の温度上昇の様子も無いので、排気配管307の圧力を70kPaに変更するとともに希釈ガスの窒素流量を4L/minに減少させたところ、該部位の温度は130℃になった。
真空ポンプ312から30cm上流の配管に取り付けられた温度検出器313cの温度が50℃に低下した時点で、クリーニングガスの供給を停止し、窒素にて排気配管307内を十分にパージを行なった。
確認の為、排気配管307内部および真空ポンプ312付近を目視にて確認したところ、ポリシランは完全になくなっていた。また、真空ポンプ312は異音の発生も無くダメージを受けていなかった。また、排気配管307や圧力調整バルブ308のオーリングなどにもダメージはなかった。更に、フレキシブルチューブなどの内表面にも腐蝕などのダメージは見られなかった。
クリーニング工程終了後、成膜済みのロール基板と新品のロール基板を交換し、同様の手順で10ロールにわたり堆積膜の形成を行なった。取り出されたロール基板の半導体膜上に透明導電膜を形成し、太陽電池としての特性評価をおこなったところ、ロールの初めから終わりまで平均してまったく同じ変換効率が得られた。その変換効率も良好なものであった。
また、クリーニング工程にかかるタクトは250分であった。
Figure 2006004962
[実施例3]
実施例3においては、予め定められたタイミングでクリーニング反応面積を変化させた実施例ついて説明する。
実施例2と同様の手順でロール・ツー・ロールによる太陽電池作成装置を用いてアモルファスシリコン太陽電池の作成、およびクリーニングガスの導入を行なった。クリーニングガスとして三フッ化塩素1L/min、希釈ガスとして窒素9L/minを導入し、排気配管の圧力は50kPaに制御した。
実施例2において、クリーニングガス導入から圧力変更までの時間を計測して得られた圧力変更タイミングのデータをもとに、クリーニングガス導入後、60分後に排気配管の圧力を30kPaに変更した。その結果、ポリシランが堆積しやすい圧力調整バルブ308の5cm下流の配管に取り付けられた温度検出器313aの温度が200℃から100℃に低下した。さらに、クリーニングガス導入後120分後に排気配管の圧力を再び50kPaに戻したところ、該部位の温度は70℃から120℃に上昇した。
このまま順次クリーニングが進行し、クリーニングガス導入後150分後に、再び排気配管の圧力を30kPaに変更した。その結果、排気配管屈曲部の5cm下流の配管に取り付けられた温度検出器313bの温度が200℃から100℃になった。さらに、クリーニングガス導入後210分後に、排気配管の圧力を再び50kPaに戻したところ、該部位の温度は70℃から120℃になった。
再び順次クリーニングが進行し、クリーニングガス導入後240分後に排気配管の圧力を70kPaに変更するとともに希釈窒素流量を5L/minに減少させた。その結果、真空ポンプから30cm上流の配管に取り付けられた温度検出器313cの温度が70℃から130℃となった。そして、クリーニングガス導入後250分後にクリーニングガスの供給を停止した。この時、真空ポンプから30cm上流の配管に取り付けられた温度検出器313cの温度は50℃であった。最後に、窒素にて排気配管内を十分にパージを行なった。
実施例2と同様の手順で確認したところ、ダメージの発生もなく、変換効率も良好であった。
本発明の実施の形態の堆積膜形成装置の構成例を示す図である。 堆積膜形成装置の一般的な構成例を示す図である。 本発明の実施例2の堆積膜形成装置の構成例を示す図である。 実施例1の第1の部位における配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第2の部位におけるクリーニング反応面積を伸張した際の配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第3の部位におけるクリーニング反応面積を収縮した際の配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第4の部位におけるクリーニング反応面積を伸張した際の配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第5の部位におけるクリーニング反応面積を収縮した際の配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第6の部位における配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第7の部位におけるクリーニング反応面積を収縮した際の配管の位置と温度との関係を示すグラフである。 実施例1の第8の部位における配管の位置と温度との関係を示すグラフである。
符号の説明
101、201 チャンバー
102、202 基板
103、203 排気配管
104、204 真空ポンプ
105、205 原料ガスボンベ
106、206 クリーニングガスボンベ
107、207 希釈ガスボンベ
108、208 原料ガス供給弁
109、110、209、210 クリーニングガス供給弁
111、211 圧力調整バルブ
112、212 遮断弁
113、213 バイパス弁
114、214 バイパスライン
115、116、215、216 圧力計
117 クリーニング反応量検出器
117a〜117e クリーニング反応量検出器
217 熱電対
118 遮断弁
300 ロール基板
301 送り出しチャンバー
302 n層成膜チャンバー
303 i層成膜チャンバー
304 p層成膜チャンバー
305 巻取りチャンバー
306 遮断弁
307 排気配管
308 圧力調整バルブ
309 遮断弁
310 バイパスバルブ
311 バイパスライン
312 真空ポンプ
313a、313b、313c 熱電対
314 クリーニングガス導入口

Claims (10)

  1. クリーニングガスと希釈ガスを用いて堆積膜形成装置のチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングする方法において、
    少なくとも第1の部位をクリーニングする工程と、第2の部位をクリーニングする工程とを有し、
    前記第1の部位をクリーニングする工程では、該第1の部位が所定の温度以上となった際に反応面積を伸張し、
    前記第2の部位をクリーニングする工程では、反応面積の大きさを前記第1の部位が所定の温度以上となった際の反応面積と比べて収縮させることを特徴とするクリーニング方法。
  2. クリーニングガスと希釈ガスを用いて堆積膜形成装置のチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングする方法において、供給するクリーニングガス流量を一定に保ったまま希釈ガスの流量の増減、チャンバーまたは排気配管の圧力上昇もしくは下降の少なくとも一つの手段によりクリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とするクリーニング方法。
  3. 予め定めた時間に基づいて、クリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング方法。
  4. 排気配管のクリーニング量を検出し、検出したクリーニング量に基づいてクリーニング反応面積の大きさを変化させることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング方法。
  5. 前記排気配管のクリーニング量の検出は、温度を検出して行われ、検出した温度に基づきクリーニング反応面積の大きさを制御することを特徴とする請求項4に記載のクリーニング方法。
  6. 前記検出した温度が70〜200℃になるようにクリーニング反応面積の大きさを制御することを特徴とする請求項5に記載のクリーニング方法。
  7. 前記クリーニングガスが三フッ化塩素であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
  8. クリーニングガスと希釈ガスを用いてチャンバーもしくは排気配管をノンプラズマクリーニングするクリーニング機構を有する堆積膜形成装置であって、
    前記クリーニング機構は、排気配管の複数位置のクリーニング量を検出する手段と、検出したクリーニング量に基づいてクリーニング反応面積の大きさを制御する手段を具備する、ことを特徴とする堆積膜形成装置。
  9. 前記クリーニング量の検出手段が温度検出手段であることを特徴とする請求項8に記載の堆積膜形成装置。
  10. 副生成物の堆積量が多い部位を含む排気配管の複数の部位に前記クリーニング量の検出手段を設置することを特徴とする請求項8又は9に記載の堆積膜形成装置。
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