図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44が感光体22に対し対向配置され、その対向位置において現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
さらに、符号200はトナー消費量を求めるためのトナーカウンタである。このトナーカウンタ200は、画像形成動作の実行に伴って消費されるトナーの量を各トナー色毎に計算し記憶する。トナー消費量の計算方法は任意であり種々の公知技術を適用することができる。例えば、外部装置から入力された画像信号を解析して各トナー色ごとのトナードットの形成個数をカウントし、そのカウント値からトナー消費量を計算することができる。
そして、CPU101は、トナーカウンタ200により求められた各色ごとのトナー消費量を各現像器4Y等に貯留されたトナー量の初期値から減算することにより、各時点における現像器内のトナー残量を把握する。そして、必要に応じて、各色ごとのトナー残量やトナー切れの発生などをユーザに知らせるためのメッセージを表示部12に表示させる。
具体的には、いずれかの現像器におけるトナー残量が所定の基準値以下となった場合には、当該トナー色について現像器を交換すべき時期が近づいていることを示すメッセージを表示(以下、「ニアエンド表示」という)する。この場合の基準値は、トナー残量がこの基準値にまで低下した状態で画像形成を行っても所定の画像品質が維持されるような値に設定される。ニアエンド表示を行うことにより、トナー切れによる著しい画質劣化が生じる前に新たな現像器を用意するための時間的余裕がユーザに与えられる。
トナー残量がさらに低下し画像品質の劣化が大きいと想定されるレベルに達すると、CPU101は、当該現像器の交換を促すメッセージを表示し(以下、「エンド表示」という)、以後の画像形成動作を禁止する。こうすることで、画像品質の著しく劣る画像が形成されるのを防止する。ただし、トナーをできるだけ使い切りたいユーザや、画質の劣化を許容して画像を形成したいユーザの要求に応えるため、ユーザの操作によってこの禁止を解除することができるようにしてもよい。
ニアエンド表示がなされてからエンド表示がなされるまでの間は、トナー残量の低下に伴い画像の品質劣化を生じる可能性が次第に高くなる。このような画質劣化がどの程度まで許容されるかは、ユーザの要望によって、また形成する画像の種類によって異なる。したがって、どのタイミングで現像器を交換すべきかについてトナー残量から一義的に求めることは困難である。そこで、この実施形態では、ニアエンド表示がなされて以降、ユーザまたはホストコンピュータなどの外部装置から要求があった場合には、所定のテストパターンを含む画像をシートS上に形成したステータスシートを出力し、ユーザに画質の確認を行わせる。
図3はテストパターンの一例を示す図である。このテストパターンTPは、少なくともイエロートナー色についてニアエンド表示がなされているときに作成されるパターンである。なお、ここでは、少なくともシアン色についてはトナー残量が十分にある、つまりニアエンド表示に至っていないものとして説明する。このテストパターンTPは、以下の5つの部分:イエロー単色ベタ画像Iy;イエローおよびシアン色を適宜の比率で混色した混色画像Iyc;シアン単色ベタ画像Ic;マゼンタ単色ベタ画像Imおよびブラック単色ベタ画像Ikにより構成されている。
このように構成されたテストパターンTPを用いることによって、ユーザは各トナー色の画質確認を行うことができる。4つのトナー色のうち、シアン、マゼンタおよびブラックの各色は、それぞれ単色で目に付きやすい色である。したがって、単色ベタ画像に現れるかすれや濃度ムラの程度によって画質の良否を判断することができる。
これに対して、イエロートナー色は、単色では目に付きにくい色であり、特に白紙上に形成されたイエロートナー像については一般ユーザにとってその画質の評価は容易ではない。本願発明者の知見によれば、種々の色毎のトナーの分光反射特性と、当該トナー色の視認しやすさ(視認性)との間に一定の相関性がある。すなわち、可視帯域内の比較的広い範囲で光の反射率が高いトナーでは、その反射特性が白紙の特性に近いため視認しにくくなる傾向がある。これに対して、反射率の高い範囲が比較的狭い、または反射率が低いトナーではより視認性が高い。本実施形態において使用する4色のトナーの中では、イエローが可視帯域内において最も反射率が高く、かつ広範囲にわたって反射率が高い。したがって、4色の中ではイエローが最も視認しにくい。次いでマゼンタ、シアン、ブラックの順に反射率は低くなり、その一方で視認性は順に高くなっている。
このことから、この実施形態では、イエロー単色画像に加えて、イエロー色とシアン色との混色画像Iycを形成している。この混色画像Iycは、所定階調レベル(例えば80%)の一様なイエロー色ハーフトーン像と、所定階調レベル(例えば20%)の一様なシアン色ハーフトーン像とを中間転写ベルト71上において互いに重ね合わせてなる画像である。このように、一様なハーフトーン像どうしを重ね合わせているため、混色画像Iycは黄緑色のほぼ一様な画像となるはずである。この黄緑色の画像は、イエロー単色画像に比べるとより視認されやすい色を有している。
ここで、例えばイエロートナーの残量不足に起因してイエロー色ハーフトーン像にかすれや濃度ムラなどの画像欠陥が生じている場合を考えてみる。この場合、画像欠陥を生じている位置においてイエロートナーの量が他の場所とは異なっているため、イエローとシアンとの混合比率が画像Iyc内の場所によって異なることとなる。トナーの混合比率の違いは画像の色味の違いとなる。つまり、イエロー画像に濃度ムラがあった場合、混色画像Iycには色ムラとなって現れる。例えば、イエロー画像の一部にかすれが生じている場合、本来黄緑色であるべき画像のうちイエローがかすれた部分は、その周囲に比べてよりマゼンタ色に近い緑または青みがかった色として視認されることとなる。
このように、単色では視認しにくいトナー色については、他のトナー色との混色画像を形成することによってより視認しやすい色に置き換えることができる。また、こうすることによって、濃度ムラがより視認しやすい色ムラとして現れるため、容易に画像品質の良否を判断することが可能となる。なお、混色画像Iycの色味自体によっても画質の評価は可能であるが、この場合、予め評価者が画像Iycの本来の色味を知っているか、色見本が用意されていることが必要となる。一方、本実施形態においては、画像Iyc内における色味の変化の程度によって画像品質の評価を行うので、専門的な知識を持たない一般ユーザでも簡単に画像品質の良否を判断することができる。この意味において、混色画像Iycは、イエロー、シアンそれぞれの色によって形成された実質的に一様な画像パターンを有する画像どうしを重ね合わせたものであることが望ましい。
ところで、この混色画像Iycは、イエロー色の画像品質の評価をより容易にするために形成されるものである。したがって、イエロー色と混合させるシアン色については濃度ムラを生じないようにしなければならない。というのは、シアン色に濃度ムラがあったのでは、混色画像Iycの色ムラの原因がイエロー、シアンの何れのトナーにあるかが判別できなくなるからである。
上記の説明では、シアン色トナーの残量が十分にあり、シアン色については濃度ムラを生じるおそれがないと仮定しているが、実際の装置においては、シアン色トナーの残量不足や特性劣化によりシアン色画像にも濃度ムラを生じる可能性がある。この実施形態では、混色画像Iycとともに、しかもこれを挟むような配置で、イエロー単色画像Iyおよびシアン単色画像Icを形成しているので、これらの単色画像と混色画像Iycとを見比べて評価することも可能である。例えば、混色画像Iycに色ムラがあり、シアン単色画像Icに濃度ムラがなければ、混色画像Iycの色ムラの原因はイエロートナーにあることが明らかである。一方、シアン単色画像Icにも濃度ムラがある場合には、混色画像Iycの色ムラの原因がシアントナーのみにあるのか、イエロートナーにもあるのか判断が難しい。この場合、イエロー単色画像Iyを精査することによって判断が可能となる場合がある。このように、混色画像Iycだけでなく、元のトナー色による単色画像Iy、Icのうち少なくとも一方を併せて形成しておくことによって、画質の評価をより適切に行うことが可能となる。
もちろん、本来はイエロー色と重ね合わせるトナー色(混色用トナー色)について濃度ムラが生じないようにするのが望ましい。したがって、混色用トナー色を予め限定せず、その時点で最も適したトナー色を使用するようにしてもよい。混色用トナー色として適しているのは、評価の対象であるイエロー色と混合したときに混色画像の視認性(視認しやすさ)を向上させる色である。この点において、ブラック色は画像の明度を変化させるものの視認性の向上には寄与しないのであまり適さない。これに対して、シアンおよびマゼンタ色はいずれも視認性を向上させる効果を有している。したがって、これらのトナー色のいずれも混色用トナー色として使用可能であるが、濃度ムラを生じにくい条件が満たされている方を使用するのが望ましい。この実施形態では、以下のようにして混色用トナー色を決定する。
図4は混色用トナー色の決定方法を例示する図である。図4において、「ニアエンド以前」とは、ニアエンド表示に至らない状態、すなわちトナー残量が基準値以上である状態を指している。また、「ニアエンド以降」とは、トナー残量が基準値以下となりニアエンド表示またはエンド表示がなされた状態を指している。混色用トナー色に濃度ムラが生じないようにするため、この実施形態では、シアン、マゼンタの両トナーのうち、トナー残量が十分にあるものを使用する。すなわち、シアン色がニアエンド以前である場合には、濃度ムラ発生のおそれがないためシアン色を混色用トナー色とする。また、シアン色がニアエンド以降であり、マゼンタ色がニアエンド以前であれば、濃度ムラ発生のおそれがないマゼンタ色を混色用トナー色とする。そして、いずれもニアエンド以降である場合には、両色のうちトナー残量が多い方を混色用トナー色とする。こうすることによって、混色用トナー色に濃度ムラが生じる可能性は低くなるので、イエロートナー色の画像品質の評価を容易に行うことができる。
なお、ステータスシートには、これ以外に任意の画像を含めて出力するようにしてもよい。例えば、製品ロゴマークのほか、装置各部の寿命に関する情報や動作条件の設定値、画像形成枚数などの各種情報を、テストパターンTPとともに出力することによって、ユーザまたはサービスマンによるメンテナンス作業の効率化を図ることができる。また、その時点における各現像器のトナー残量を出力するようにすれば、ユーザは現像器の交換時期をより的確に把握することができるようになる。
図5はステータスシートの作成手順を示すフローチャートである。また、図6は各トナー色の画像パターンを示す図である。ステータスシートは、図6に示す画像パターンを有する各トナー色の画像を中間転写ベルト71上において互いに重ね合わせて形成されたテストパターンTPがシートSに転写されることによって形成される。なお、以下では混色用トナー色をシアン色とした場合について説明する。まず、イエロー現像器4Yを用いてイエロー画像パターンを形成する(ステップS1)。このイエロー画像パターンは、図6に示すように、イエロー色によるベタ画像部、つまり階調レベル100%の画像I1と、同色による階調レベル80%のハーフトーン画像部I2とを隣接配置したものである。
次に、シアン現像器4Cを用いてシアン画像パターンを形成する(ステップS2)。このシアン画像パターンは、図6に示すように、シアン色による階調レベル20%のハーフトーン画像部I3と、シアン色ベタ画像部I4とを隣接配置したものである。このうちハーフトーン画像部I3は、イエロー画像パターンのハーフトーン画像部I2と互いに重なり合う位置に形成される。続いて、マゼンタ現像器4Mおよびブラック現像器4Kをそれぞれ用いて、マゼンタ色のベタ画像部I5からなるマゼンタ画像パターンおよびブラック色のベタ画像部I6からなるブラック画像パターンを順次形成する(ステップS3およびS4)。
こうすることにより、中間転写ベルト71上には、各色の画像パターンを重ね合わせてなるテストパターンTPが形成される。このテストパターンTPをシートSに転写することにより、ステータスシートが形成される(ステップS5)。上記において形成されたイエロー画像パターンのうちのベタ画像部I1が、ステータスシート上のテストパターンTPのうちのイエロー単色ベタ画像Iyに対応する。同様に、シアン画像パターンのうちのシアンベタ画像部I4、マゼンタ画像パターンI5およびブラック画像パターンI6が、テストパターンTPのうちのシアン単色ベタ画像Ic、マゼンタ単色ベタ画像Imおよびブラック単色ベタ画像Ikにそれぞれ対応する。一方、イエローハーフトーン画像部I2とシアンハーフトーン画像部I3とは互いに重ね合わされ、テストパターンTPにおける混色画像Iycとなる。
なお、各画像パターンやその配列順序は上記に限定されるものではない。例えば、シアン色に代えてマゼンタ色を混色用トナー色とした場合には、図6に示す画像パターンをシアン色とマゼンタ色との間で互いに入れ替えればよい。この場合において、各トナー色の画像形成順序は装置構成上入れ替えることが難しい。したがって、イエロー画像パターンを形成した後、先にシアン色画像パターンを図6に示すマゼンタ画像パターンに相当する位置に形成し、これに続いてマゼンタ色画像パターンを図6に示すシアン画像パターンに相当する位置に形成すればよい。
以上のように、この実施形態の画像形成装置では、イエロー色のトナー残量が基準値以下となったときには、必要に応じて、各トナー色の単色画像を含むテストパターンTPを形成したステータスシートを出力する。このとき、イエロートナー色については単色で視認しづらいことに鑑み、単色画像に加えて他のトナー色との混色画像を形成する。これにより、イエロートナー像はより視認しやすい色に置き換えられる。しかも、イエロートナー像の濃度ムラは混色画像における色ムラとして現れることとなる。その結果、ユーザは、混色画像に現れる色ムラの程度を評価することによってイエロートナー像の画像品質の良否を判断することができる。このように、この実施形態では、専門的な知識を持たない一般ユーザであっても簡単に画像品質の評価を行うことができる。
また、混色用画像を、ほぼ一様なパターンを有するイエロー画像パターンと、同様にほぼ一様なパターンを有するシアン画像パターンとを互いに重ね合わせた画像としている。このため、混色用画像は、イエロートナー像に画像欠陥がなければその内部でほぼ一様な色となる一方、イエロートナー像に画像欠陥があれば相対的に周囲と色味が異なる部分を生じることとなる。したがって、ユーザは、テストパターンTPの本来の色味を知らなくても、また色見本と比較するまでもなく、テストパターンTPを視認した結果から画像品質の良否を簡単に判断することができる。特に、イエロー色と混色する混色用トナー色を、トナー残量が基準値以上ありニアエンド表示状態に至っていないトナー色とすることによって、混色用トナー色における濃度ムラの発生を未然に防止し、イエロー色についての画質評価をより的確に行うことが可能となる。さらに、混色画像のみでなく、その混色した元のトナー色それぞれの単色画像を併せて形成することにより、画質の評価をより適切に行うことが可能となる。
以上説明したように、この実施形態においては、各現像器4Y,4C,4M,4Kがそれぞれ本発明の「トナー貯留手段」として機能している。また、エンジン部EGが本発明の「像形成手段」として機能している。また、この実施形態では、イエロー色が本発明の「対象トナー色」であり、シアン色が「混色用トナー色」である。そして、これらの混色画像Iycが本発明の「画質評価用画像」に相当している。また、イエロー色について、ニアエンド表示を行うか否かを判断するためのトナー残量の基準値が本発明の「第1基準値」に相当し、シアン色およびマゼンタ色についてニアエンド表示を行うか否かを判断するためのトナー残量の基準値が本発明の「第2基準値」に相当する。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、イエロートナー色についてニアエンド表示がなされているときに上記テストパターンTPを含むステータスシートを出力するようにしている。しかしながら、ステータスシートを出力するタイミングについてはこれに限定されるものではない。例えば、ニアエンド表示の有無に関わらず、ユーザや外部装置の要求に応じてステータスシートを出力するようにしてもよい。また、例えば、いずれかのトナー色についてニアエンド表示がなされるに至ったときに、外部からの要求によらずステータスシートを出力するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、全てのトナー色の画像パターンを含むテストパターンTPを形成しているが、これに限定されず、例えばニアエンド表示がなされたトナー色についてのみテストパターンを形成したり、要求のあったトナー色についてのみテストパターンを形成するようにしてもよい。これらの場合においては、テストパターンに含まれるべきトナー色にイエロー色が該当するときに、イエロー色と他のトナー色との混色画像を形成するようにすればよい。また、上記ではイエロー色を「対象トナー色」とした場合について説明したが、他のトナー色においても同様に考えることができる。
また、上記実施形態では、混色画像Iycにおけるイエロー(対象トナー色)とシアン(混色用トナー色)との混合比を80%対20%としたが、この比率は上記値に限定されるものではなく任意である。ただし、シアンの比率を低くしすぎると視認性向上の効果が低くなってしまう。また、混色用トナー色の比率を高くしすぎると、結果として形成される混色画像の色味に及ぼす対象トナー色の影響が小さくなり、対象トナー色についての画質評価が難しくなってしまう。したがって、画質確認のための混色画像では、混色用トナー色の比率を50%以下に抑えるのが好ましい。
また、上記実施形態では、イエロー(対象トナー色)およびシアン(混色用トナー色)それぞれのハーフトーン画像を互いに重ね合わせることで画質評価用画像としての混色画像Iycを形成しているが、これ以外に、例えばイエロー色ベタ画像とシアン色ハーフトーン画像とを互いに重ね合わせたものを画質評価用画像としてもよい。
また、上記実施形態では、ステータスシートに1組のテストパターンTPを形成しているが、これらを複数組形成するようにしてもよい。例えば、円筒形状を有する感光体22および現像ローラ44の偏心やたわみに起因してその軸方向に沿って画像の濃度ムラが生じやすいことに鑑みて、以下に例示するように、その軸方向の複数位置にそれぞれテストパターンを形成するようにしてもよい。
図7はステータスシートの他の例を示す図である。この例では、シートSの搬送方向に直交する方向、つまり感光体22および現像ローラ44の軸方向に沿って3組のテストパターンTPを形成する。このように、感光体22および現像ローラ44の軸方向に沿った中央部および端部のそれぞれに対応する位置にテストパターンTPを形成することによって、感光体22および現像ローラ44の偏心やたわみによって位置ごとに画像品質の不均一が生じたとしても、それを見落とすことなく的確に画像品質の評価を行うことができる。
また、上記実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく任意である。また、本発明のようなロータリー現像方式の装置のみでなく、各トナー色に対応した現像器がシート搬送方向に沿って一列に並ぶように配置された、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。さらに、本発明は、上記実施形態のような電子写真方式の装置に限らず、トナーを使用した画像形成装置全般に対して適用可能である。
4Y,4C,4M,4K…現像器(トナー貯留手段)、 22…感光体、 44…現像ローラ、 200…トナーカウンタ、 EG…エンジン部(像形成手段)、 Iyc…(イエローとシアンとの)混色画像(画質評価用画像)、 S…シート(記録材)、 TP…テストパターン