図1〜図2は本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置を示すものであり、図1はその全体の構成を示す概要図、図2はその要部説明図である。
[画像形成装置全体の構成について]
このカラー画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像を専用に形成する4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kを備えており、この各作像ユニット10(Y,M,C,K)において形成する上記4色のトナー像を中間転写ベルト20の表面に重ね合わせるように一次転写させた後、その中間転写ベルト20から記録媒体としての記録用紙P側に二次転写させることにより、いわゆるフルカラー画像を形成することが可能なものである。
この他にも、このカラー画像形成装置1は、4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)のうちブラック用の作像ユニット10Kのみを稼動することにより白黒画像を形成したり、作像ユニット10(Y,M,C)のすべてを稼動することにより三重黒色(プロセスブラック)の画像を形成したり、作像ユニット10(Y,M,C)の1または2を稼動することにより単色のカラー画像を形成することも可能なものである。
作像ユニット10(Y,M,C,K)は、いずれも、電子写真プロセスにより前記4色の各トナー像をそれぞれ形成するものであり、装置本体のほぼ中央部で中間転写ベルト20の下方側となる位置に水平状態に間隔をあけた状態で配設されている。また、これらの作像装置10は、中間転写ベルト20の回転方向上流側からイエロー用作像ユニット10Y、マゼンタ用作像ユニット10M、シアン用作像ユニット10C、ブラック用作像ユニット10Kの順で配置されている。
また、各作像ユニット10はいずれも、基本的に、所定の速度で矢印方向に回転駆動されるドラム基体の外周面に有機感光層等が形成された感光ドラム11と、この感光ドラム11の表面を一様に帯電する帯電装置12と、帯電後の感光ドラム11の表面に画像情報に応じた光を露光して静電潜像を形成する潜像形成装置13と、その静電潜像を所定の色の現像剤で現像する現像装置14と、その現像により形成されるトナー像を中間転写ベルト20に静電的に転写させる一次転写装置15と、感光ドラム11の表面を清掃するブレード方式のドラム用クリーニング装置16とを同様に備えている。
このうち帯電装置12としては、帯電ロールを用いた接触帯電式の帯電装置が使用されている。潜像形成装置13としては、レーザ光走査型の書き込み装置が使用されている。この潜像形成装置13は、原稿読取装置や外部接続機器から入力される画像情報を処理する画像処理部17から出力される画像信号に基づいて駆動してレーザビーム光LBを感光ドラム11にむけて走査露光する。現像装置14としては、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を利用する二成分現像装置が使用されている。
また、一次転写装置15としては、中間転写ベルト20を挟んで感光ドラム11に接触して回転し得るように配置される転写ロール15aと、この転写ロール15aに対してトナーの帯電極性(本例ではマイナス極性)と逆極性の直流電圧からなる一次転写バイアスを印加する一次転写用電源装置18とで構成される接触方式の装置が使用されている。一次転写用電源装置18は、定電流制御方式により所定の出力値からなる一次転写バイアスを印加するように構成されている。
このような各作像ユニット10においては、矢印方向に回転する感光ドラム11の表面が、帯電装置12によって一様に帯電処理された後、その帯電表面に潜像形成装置13から色分解された画像信号に応じたレーザビームが走査露光されることによって静電潜像が書きこまれる。続いて、その潜像が現像装置14から供給される二成分現像剤のトナーにより現像されて所定の色のトナー像として形成された後、そのトナー像が感光ドラム11と一次転写装置の転写ロール15aの間を通過する中間転写ベルト20の表面に順次静電的に一次転写される。一次転写後の感光ドラム11の表面は、ドラム用クリーニング装置16のブレードによって残留トナー等が除去されて清掃される。
次に、上記中間転写ベルト20は、導電材等を含有させて体積抵抗率を調整したポリイミドフィルム等のベルト基材上に、シリコーンゴム等の表面層を積層形成した2層構造の無端状のベルトである。また、中間転写ベルト20は、駆動ロール21、二次転写部のバックアップロール22、複数の従動ロール23、24a、24b…に張架されるとともにその従動ロール24a、24bの間で前記各作像ユニット10(Y,M,C,K)の感光ドラム11とそれぞれ接するような状態で配設され、駆動ロール21の回転動力により矢印B方向に回転走行するようになっている。従動ロール23は、中間転写ベルト20に一定の張力を付与するテンションロールである。
この中間転写ベルト20の周囲には、中間転写ベルト20をバックアップロール22に押し当てて二次転写部の圧接域を形成する二次転写ロール25が配設されている。また、バックアップロール22に対して中間転写ベルト20上のトナー像の帯電極性と同極性の直流電圧からなる二次転写バイアスを供給するための二次転写用電源装置26が設置されている。この電源装置26からは、その二次転写バイアスがバックアップロール22の導電性軸に接触する給電部材を介して供給されるようになっている。二次転写ロール25には、そのロール周面を清掃するクリーニング装置27が設置されている。
また、中間転写ベルト20の駆動ロール21と対向する位置には、そのベルト20の表面を清掃するブレード方式のベルト用クリーニング装置28が配設されている。さらに、中間転写ベルト20の内周面側には、そのベルト内周面に付されたホームポジションマークを検知するマーク検知センサ29aや、そのベルト側端部を検知するエッジ検知センサ29bが配設されている。
このような中間転写ベルト20に(多重)転写されたトナー像は、そのベルト20の回転に伴ってバックアップロール22と対向して配置される二次転写ロール25と対向する二次転写部まで搬送される。そして、二次転写部において中間転写ベルト20上のトナー像は、そのトナー像の作像および二次転写タイミングに合わせて潜像形成装置13の下方側に配設されている用紙収容トレイ30から用紙送出機構31により送り出され、レジストロール32等が配された給紙搬送路R1を通して二次転写部まで搬送される所定サイズの記録用紙Pに対し、静電的に二次転写される。
二次転写後の中間転写ベルト20の表面は、ベルト用クリーニング装置26のブレードによって残留トナー等が除去されて清掃される。図中の符号33、34は二次転写部に対する導入側および排出側の各用紙搬送ガイド、35は除電針板であり、矢付き一点鎖線は記録用紙Pの搬送経路を示す。二次転写ロール25と排出側用紙搬送ガイド34は接地されている。
また、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙Pは、二次転写部を通過する際に中間転写ベルト20から自然に剥離された後、排出側の各用紙搬送ガイド35に誘導されて、その定着装置40における加熱ロール41と加圧部材(加圧パッドや加圧ロールなど)42の圧接域を通過するように送り込まれる。そして、記録用紙Pは、この定着装置40の圧接域の通過により加熱加圧されて定着処理がなされた後、排出ロール43によって装置本体の外(用紙排出収容部1a)に排出される。以上のプロセスを経ることにより、記録用紙Pに所望のフルカラー画像、白黒画像、単色カラー画像などが形成される。
このカラー画像形成装置1では、両面画像形成を行なことも可能である。その両面画像形成時には、記録用紙Pの片面(第1面)へのトナー像の定着工程が終了すると、その記録用紙Pをスイッチバック式により搬送して両面用再送路R2が設けられた両面用搬送ユニット45に送り込んでから前記給紙搬送路R1に合流させるように再送し、表裏面が反転した状態でレジストロール32のところまで送る。その後、記録用紙Pはその他面(第2面)へのトナー像の二次転写タイミングにあわせてレジストロール32によって二次転写部に送り込まれる。
[制御系の構成について]
そして、このカラー画像形成装置1においては、図2に示すように、装置内の各部位の動作などを総括管理して制御するマイクロコンピュータ等からなるシステム制御装置50により、一次転写用電源装置18、二次転写用電源装置26、潜像形成装置13等に関係する動作について以下のような制御が行われるようになっている。
すなわち、一次転写用電源装置18については、その一次転写バイアスの値や印加タイミングなどが制御される。また、特に中間転写ベルト20の回転方向最下流側に位置するブラック用作ユニット10Kの一次転写用電源装置18Kから出力すべき一次転写バイアス(電流)の値について、後述するように必要に応じた所定の制御が行われる。
また、二次転写用電源装置26については、その二次転写バイアス(電圧)の値や印加タイミングなどが制御される。特にその二次転写電圧値については、フルカラー画像、白黒画像などの画像種や記録用紙Pの種類(普通紙、厚紙、OHPシートなど)およびその画像形成面(プリント面:その第1面(Side1)および第2面(Side2))に応じて選定されるとともに、二次転写部の合成抵抗の測定結果などに応じて選定されることに加え、図9に示すように、その選定される二次転写電圧値に対して本装置1で形成すべき画像の最大ドット面積率などの条件に応じた所定の補正係数をさらに乗じることで調整されるようになっている。
さらに、潜像形成装置13については、中間転写ベルト20上に形成される基準パッチ像(トナー像の1種)の表面電位を検知する表面電位計60からの検知情報に基づいて、フルカラー画像等の多重色トナー像を構成する所定の色のトナー(主にK色トナー)のトナー量を調整するため、そのトナーに係る感光ドラム11に書き込まれる静電潜像の電位が制御される。
ここで、上記画像種と記録用紙の種類およびプリント面に関する情報については、画像形成装置1が複写機であればその操作パネル(不図示)からの入力情報や用紙サイズ検知センサ(不図示)からの検知情報が、また画像形成装置1がプリンタであれば外部から入力されるプリント指示情報が、それぞれ制御装置50に送信されることによって把握される。
また、上記二次転写部の合成抵抗(Rsys)の情報については、二次転写用電源装置26からバックアップロール22に合成抵抗測定用の一定の電圧を印加したときに流れる電流値をその電源装置26内の電流計で実測し、その印加電圧と電流値の情報から(合成)抵抗値を制御装置50等において演算処理により算出することで得られる。この合成抵抗の測定および算出は、画像形成動作の前後の期間を含む非画像形成時の時期において行われる。
また、上記画像の最大ドット面積率等の検知情報については、画像処理部17における処理対象の画像(信号)の各情報から、その画像(記録用紙Pの片面に形成される画像)を構成する画素のうちで最大ドット面積率(MaxCin)の情報を判別する最大ドット面積率判別回路71を画像処理部17に組み込み(または接続し)、その判別回路71の検出情報を制御装置50に送信することで得られる。
また、表面電位計60は、図2に示すように、中間転写ベルト20の回転方向最下流側に配置の作像ユニット10Kと二次転写部の間となるベルト外周面に対向した状態で配置する測定プローブ(たとえばTDK製:EFS21D44)が使用される。この測定プローブは、中間転写ベルト20の従動ロール24の1つを対向電極として利用して中間転写ベルト20上に形成される所定のトナー像の表面電位を測定することができる。このような表面電位計60は、その検知情報を送信するため制御装置50に接続されている。
また、表面電位計60による表面電位の測定は、プロセスコントロール時の基準パッチ像が形成されて通過するタイミング等の表面電位測定時期に行なわれる。その測定対象となるトナー像は、濃度制御用として使用される制御用パッチや表面電位測定用の基準パッチ(一定の条件からなるトナー像)が所定の作像ユニット10で形成された後に中間転写ベルト20に一次転写される。このときの一次転写電流は、一定の基準電流が適用される。
システム制御装置50は、記憶部に格納される一次転写電流、二次転写電圧、潜像形成(露光)条件の制御に関する制御プログラムにそって所要の制御動作を実行するようになっている、また、同じく記憶部に格納されている最大ドット面積率等に対する補正係数の対象表データに基づいて二次転写電圧に乗じる適切な補正形成を選定したり、表面電位に対する所定の色のトナー量の算出プログラムに基づいて適切な当該トナー量を得るための適切な潜像条件(電位条件)を選定する。
[二次転写電圧調整のための基本的な制御動作]
次に、この制御装置50による二次転写電圧の調整に関する制御動作について図3を参照しながら説明する。
まず、制御装置50においては、プリント(画像形成)指令が出されると(ステップS10)、そのプリント指令に係るプリント条件の情報を入手する(ステップS11)。その情報としては、前記したとおりフルカラー画像、白黒画像などの画像種に関する情報や、普通紙、厚紙、OHPシートなどの記録用紙Pの種類に関する情報や、そのプリントがされる記録用紙Pの面が第1面または第2面のいずれかに関する情報である。
たとえば、この例では、普通紙の片面に「青空の写真」のカラー画像を形成する場合を想定すると、そのプリント情報としては「普通紙(富士ゼロックス製:P紙)、カラー画像、片面」との情報が得られることになる。
続いて、画像形成装置1の機内における温度および湿度が温度センサおよび湿度センサ(不図示)にて測定されるとともに、二次転写部における合成抵抗(Rsys)が測定される(ステップS12)。合成抵抗の測定は、前述したように、二次転写部のバックアップロール22に二次転写用電源装置26から一定の測定用電圧を印加したときに流れる電流値を計測した後に、その電圧値および電流値の情報から抵抗値を算出することで行われる。
次いで、この温度湿度の測定情報と合成抵抗(Rsys)の情報から、図5に示す選定ルールにしたがって二次転写電圧(V2)の選定が行われる(ステップS13)。
この選定は、図5の左欄に示す合成抵抗(Rsys)の各条件に応じて同図の右欄に示す二次転写電圧(V2)の算出式により算出することで行われる。図5中における符号A〜Gは、図6に示す二次転写電圧を算出するために使用する係数を示す。また、この算出用係数A〜Gは、図6で示す環境Noによって決定されるものであるが、このときの環境Noは図7に示すように前記(相対)温度および湿度の測定情報を用いて絶対湿度(AH)から決定される。
たとえば、この例は、22℃、55%RHの常温常湿環境で行っていることから、図7に示す絶対湿度の算出式より絶対湿度(AH)=9となり、この結果、環境Noは「6」となる。これにより、算出用係数A〜Gは図6の環境No6の欄の数値となる。そして、この際、合成抵抗(Rsys)が「30MΩ」であると仮定した場合には、二次転写電圧の算出式であるV2=−((A/10))×Rsys+B)より、二次転写電圧(V2)はV2=−(28×30+1150)=−1990(V)となる。
ちなみに、図5に示した二次転写電圧の算出式は、二次転写回帰式のテーブルであるが、これは複数の環境下において画像形成時のトナー総量上限である最大ドット面積率MaxCin240%(Y,M,CのCin3色の80%トナー像を組み合わせたもの)のプロセスブラック(PK)像の二次転写効率が最大となるときの二次転写電圧を実験的に求め、その測定結果(たとえば図8)に基づいて数式化したものである。
続いて、このプリント指令の画像を構成する画素の最大ドット面積率の検出が行われる(ステップS14)。このときの最大ドット面積率(MaxCin)は、前述したように画像処理部17における面積率判別回路71から得られる。この例では、最大ドット面積率(MaxCin)が「180%」であると想定する。
次いで、この最大ドット面積率(MaxCin)の情報に基づいて二次転写電圧に関する補正係数(E)の決定がなされる(ステップS15)。
このときの補正係数の決定は、図4に示すように、最大ドット面積率に対する二次転写電圧調整用の補正係数に関する対照表データ:ルックアップテーブル(図9)が読み出され(ステップS20)、しかる後、そのときの最大ドット面積率の値に対応する係数E1を、目的とする補正係数E(=E1)として確定する(ステップS21)。
たとえば、この例では、最大ドット面積率(MaxCin)が前記のとおり180%であり、また、記録用紙Pの片面(Side1)に青空の写真画像を165mm/secの速度(定常速)でプリントする場合であると想定すれば、図9の対照表より、補正係数Eは「(E1=)71(%)」となる。
この補正係数(E)に関する対照表(図9)は、複数の環境(この図9については常温常湿環境で)下においてドット面積率を種々変更しながら、前記したようにトナー総量上限である最大ドット面積率MaxCin240%のプロセスブラック(PK)色トナー像の二次転写効率が最大となるときの二次転写電圧を実験的に求め、そのときの電圧値と従前の二次転写電圧(PK色トナー像用に適用していた電圧)を対比してその比から補正係数を割り出した結果をまとめたものである。たとえば、常温常湿環境で普通紙の両面について2種のプロセス速度で実験を行った場合において、そのドット面積率が100〜240%の範囲にあるときの各補正係数(E)の関係をグラフで示すと、図10に示すようになる。
このようにして決定された補正係数(E)を用いて、先に算定した二次転写電圧(V2)の調整が行われる(ステップS16)。すなわち、この制御では、ステップS13において算定された二次転写電圧(V2)に対して補正係数(E)を乗じ、それにより得られた値(V2×E)が最終的に適用される二次転写電圧(V)となる。
前掲した例にしたがって具体的に説明すると、青空の写真の画像をプリントする場合、従前においてはその二次転写電圧としてはカラー画像用の値、すなわちトナー総量上限のトナー像が確実に二次転写されるように前述したような合成抵抗から算定された二次転写電圧(V2)である「−1990V」が印加されていた。しかし、実際の画像の最大ドット面積率MaxCinが「180%」であることから、そのときの補正係数(E)の「71%」を前記算定された二次転写電圧(V2)に乗じることとなり、結果的に、このときの二次転写電圧は「−1413(V)」となる。このことから従前の画像形成装置では、その画像の二次転写時に過多の二次転写電圧を印加していたことがわかる。
以上のように二次転写電圧が調整されると、先の指令に基づくプリント動作が開始されるようになり(ステップS17)、その同じ(原稿)画像のプリントジョブで指定されたプリント枚数分のプリント動作がすべて終了するまで同じ二次転写電圧の条件下でプリント動作が繰り返される(ステップS18)。このため、プリントする対象の原稿画像が異なれば、その新たな画像の最大ドット面積率MaxCinが検出された後、その面積率MaxCinに応じた適切な二次転写電圧に調整されたうえで、その新たな画像のためのプリント動作が実行されることになる。
このような二次転写電圧に関する制御をしたときの二次転写率を測定したところ、図11に示すような結果が得られた。
つまり、先の最大ドット面積率像をプリントした時に、従前の画像形成装置では「−1990V」の二次転写電圧を印加しており、そのときの二次転写率は「95%」(比較例)であったのに対し、本例(実施例)のようにその二次転写電圧を補正係数(E)の乗算により「−1413V」と調整した場合には、二次転写率が「99%」に向上した結果が得られた。また、画像としてMaxCinが100%の画像を用いて同じ試験を行ったところ、図11に示すように、そのときの二次転写率については、従前の場合(比較例)には「91%」であったのに対し、今回の制御を行った場合(実施例)には「99%」に向上した結果が得られた。
特に、プリント対象の画像が淡いカラー画像である場合には、従前のカラー画像用の高めの二次転写電圧を適用した場合には、その電圧が過多となり放電状の白抜けという画質劣化の現象が発生していたが、今回の制御を行った後の二次転写電圧を適用した場合には、そのような白抜け等の画質劣化が発生することなく良好な二次転写ができることが確認できた。
[二次転写電圧調整のための制御動作の変形例]
図12は、前記カラー画像形成装置1において、二次転写電圧の調整用の補正係数(E)を決定する際に、最大ドット面積率MaxCinの検出情報に加えて画像の最大線幅の検出情報を加味して補正係数を最終的に決定するようにした構成例(実際にはその制御動作)を示すものである。
この場合、画像の最大線幅(Wm)の検知情報については、図2に示すように、画像処理部17における処理対象の画像(信号)の各情報から画像の線幅の情報を取り出して、その最大の線幅を示す情報を判別する最大線幅判別回路72を画像処理部17に組み込み(または接続し)、その判別回路72の検出情報を制御装置50に送信するように構成される。そして、この最大線幅の検知情報を使用した場合の制御プログラムが制御装置50の記憶部に格納されており、その制御プログラムにもとづく動作(図12)が実行されることで補正係数(E)の決定が行われる。
次に、この構成例の場合における補正係数の決定動作について図12を参照しながら説明する。
初めに、前述したように最大ドット面積率MaxCinに対する二次転写電圧調整用の補正係数に関する対照表データが読み出され(ステップS20)、その対照表データからそのときの最大ドット面積率の値に対応する補正係数E1を暫定的な補正係数E(=E1)として確定する(ステップS21)。
続いて、プリント指令の対象である画像を構成する画素の最大線幅の検出が行われる(ステップS22)。このときの最大線幅(Wm)は、前述したように画像処理部17における最大線幅判別回路72から得られる。
この最大線幅(Wm)が閾値X以下であるか否かが判断され(ステップS23)、その閾値X以下でない、すなわちXよりも大きい線幅であると判断された場合には、プリント対象の画像には線画および文字画像以外の画像(たとえばパッチ状の画像)も含まれているとみなして、それ以降の制御動作を行わず先の暫定的な補正係数E1を最終的な補正係数E(=E1)としてそのまま確定する(ステップS24)。
一方、ステップS23において最大線幅(Wm)が閾値X以下であると判断されると、プリント対象の画像が線画または文字画像のみで構成されているとみなして、次の制御動作に移行する。ここで、上記閾値Xは、プリント対象の画像が線画または文字のみで構成されているか否かを判別できるレベルの値に設定すればよく、たとえば1mmとする。
そして、最大線幅(Wm)が閾値X以下であると判断された場合には、ステップS14で検出された最大ドット面積率MaxCinが100%以下であるか否かが判断され(ステップS25)、100%以下であると判断された場合には、そのプリント対象の線画または文字画像のみで構成されている画像に対して既に十分に低い出力となる補正がなされているため、それ以降の制御動作を行わず先の暫定的な補正係数E1を最終的な補正係数E(=E1)としてそのまま確定する(ステップS24)。
これに対して、ステップS25において最大ドット面積率MaxCinが100%を超えていると判断された場合は、線画または文字画像のみで構成されている画像に対して十分な補正がなされていない(出力が高すぎる)ため、さらに出力を減少させるために、第2の補正係数(E2)が選定される(ステップS26)。
このときの第2補正係数(E2)は、その実際に100%を超える最大ドット面積率MaxCinにおける二次転写電圧値(図9の各最大ドット面積率に対応する値)がMaxCin=100%時の二次転写電圧に相応する値に補正できるような数値とする。
たとえば、このときのプリント対象の画像(最大線幅は閾値X以下のもの)が最大ドット面積率160%のものである場合を例にして具体的に説明する。まず、この場合における暫定的な二次転写電圧(V2)は、前記ステップS13の説明部分で例示したとおりV2=−1990V(=28×30+1150)であり、その最大ドット面積率160%に対する補正係数(E1)は図9の対照表より「64%」であることから、その調整後の二次転写電圧(V)は=−1273.6(=−1990×0.64)となる。一方、最大ドット面積率が100%のときの補正係数(E1)は図9の対照表より「50%」であることから、その調整後の二次転写電圧(V)は=−995(=−1990×0.5)となる。したがって、このときの二次転写電圧をMaxCin=100%時の二次転写電圧に相応する値に補正するためには、その第2補正係数(E2)としてE2=78[=(995/1273.6)×100](%)という値を採用することなる。
このように第2補正係数(E2)については、図9に示す対照表データを利用して上記のルールで算出することで選定される。
この第2補正係数(E2)が選定された場合には、最終的な補正係数Eについては、先の暫定的な補正係数E1に第2補正係数E2を乗じた値(=E1・E2)として確定される(ステップS27)。そして、このときの二次転写電圧は、この確定した補正係数Eを用いてV=V2×(E1・E2)と調整されることになる(図3のステップS16)。
このような画像の最大線幅をも加味した第2補正係数を採用して二次転写電圧を調整した場合には、特にプリント対象の画像の一部に赤色(Red)や青色(Blue)からなるとともに最大ドット面積率が200%である線画や文字のカラー(たとえば二次色など)像が存在するものであったときに、その二次転写電圧として、従前の画像形成装置のようにカラー画像であると判断してカラー画像用の高めの転写電圧を適用することがなく、第2補正係数E2による調整により低めの転写電圧を適用することとなる。この結果、その黒線や黒文字の像について、放電状の白抜けや濃度低下という画質劣化の現象が発生することなく、より一層良好な二次転写ができるようになる。
図13は、前記カラー画像形成装置1において、二次転写電圧の調整用の補正係数(E)を決定する際に、最大ドット面積率MaxCinの検出情報に加えて画像の形成に使用されるトナーの色の検出情報を加味して補正係数を最終的に決定するようにした構成例(実際にはその制御動作)を示すものである。
この場合、画像の形成に使用されるトナーの色の検知情報については、図2に示すように、画像処理部17における処理対象の画像(信号)の各情報から画像を構成するトナーの色に関する情報を取り出し、その色の種類を判別するトナー色判別回路73を画像処理部17に組み込み(または接続し)、その判別回路73の検出情報を制御装置50に送信するように構成される。そして、この最大線幅の検知情報を使用した場合の制御プログラムが制御装置50の記憶部に格納されており、その制御プログラムにもとづく動作(図13)が実行されることで補正係数(E)の決定が行われる。
次に、この構成例の場合における補正係数の決定動作について図13を参照しながら説明する。
初めに、前述した構成例の場合と同様に、最大ドット面積率MaxCinに対する二次転写電圧調整用の補正係数に関する対照表データが読み出され、その対照表データからそのときの最大ドット面積率の値に対応する補正係数E1が暫定的な補正係数E(=E1)として確定される(ステップS20、S21)。
続いて、ステップS14で検出された最大ドット面積率MaxCinが100%以下であるか否かが判断される(ステップS30)。このとき100%以上であると判断された場合には、プリント対象の画像が多めの量のトナーを使用して構成される画像であり、その使用トナーの色の違いを考慮する必要がないとみなして、それ以降の制御動作を行わず先の暫定的な補正係数E1を最終的な補正係数E(=E1)としてそのまま確定する(ステップS31)。
一方、ステップS30において最大ドット面積率MaxCinが100%以下であると判断されると、プリント対象の画像が少ない量のトナーを使用して構成される画像であり、その使用トナーの色の違いを考慮した調整をする必要があるとみなして、次のように画像形成に使用される特定色のトナーの使用割合のすべてが基準値J以下であるか否かの判断が行われる(ステップS32)。ここで、上記使用割合とは、プリント対象の画像の形成に使用される全トナーに対して占める割合を百分率で示すものである。また、上記特定の色とは、トナー自身の帯電量が低いという観点から、主にブラックK色とマゼンタM色である。また、上記基準値Jとしては、トナーの使用割合が少なく使用トナーの色の違いによる調整を行う必要がないとみなせる下限値である。この例では、基準値Jを「40%」に設定する。
この際、その特定色のトナーの使用割合がいずれも基準値J以下である場合には、トナーの使用割合が少なく使用トナーの色の違いによる調整を行う必要がないとみなして、それ以降の制御動作を行わず先の暫定的な補正係数E1を最終的な補正係数E(=E1)としてそのまま確定する(ステップS31)。
一方、その特定色のトナーの使用割合の少なくとも1色以上が基準値Jを超える場合には、その基準値Jを超えた色がK色であるかを判断する(ステップS33)。
基準値Jを超えた色がK色であるときには、K色の補正係数Ekを選定する(ステップS34)。このK色の補正係数Ekは、K色の転写率が最良となるような観点から選定される。この例では、たとえばEk=70%とする。
また、その基準値J%を超えた色がK色でないときは、次の判断工程(ステップS35)に移行する。ステップS35においては基準値J%を超えた色がM色であるか否かが判断される。
この際、そのM色の使用割合が基準値J%よりも小さいときは先の暫定的な補正係数E1を最終的な補正係数E(=E1)としてそのまま確定する(ステップS31)が、その利用割合が基準値J%以上であるときにはM色の補正係数Emを選定する(ステップS36)。このM色の補正係数Emは、M色の転写率が最良となるような観点から選定される。この例では、たとえばEm=90%とする。
このようにして特定色の補正係数Ek,Emのどちらか一方が選定された場合には、最終的な補正係数Eについては、先の暫定的な補正係数E1にその選定された特定色用補正係数Ek,Emを乗じた値(=E1・Ek、E1・Emのいずれか1つ)として確定される(ステップS37)。そして、このときの二次転写電圧は、この確定した補正係数Eを用いてV=V2×E1・EkまたはV=V2×E1・Emのいずれかに調整されることになる(図3のステップS16)。
このような画像の形成に使用されるトナー色の情報をも加味した特定色の補正係数(Ek,Em)を採用して二次転写電圧を調整した場合には、特にプリント対象の画像のほとんどの部分が特定色(たとえばM色)のトナーで構成されたものであったときに、その二次転写電圧として、従前の画像形成装置のようにカラー画像であると判断してカラー画像用の高めの転写電圧を適用することがなく、特定色の補正係数(Ek,Em)による調整により低めの転写電圧を適用することとなる。この結果、そのトナー像について、放電状の白抜けという画質劣化の現象が発生することなく、より一層良好な二次転写ができるようになる。
なお、このカラー画像形成装置1においては、必要であれば、二次転写電圧の調整用の補正係数(E)を決定する際に、最大ドット面積率MaxCinの検出情報に加えて画像の最大線幅の検出情報と画像の形成に使用されるトナーの色の検出情報の双方を加味して補正係数を最終的に決定するように構成することもできる。
この場合は、たとえば、前記した最大線幅の検出情報に応じた第2補正係数E2を選定するまでの制御動作を実行し(図12のステップS20〜27)、その後に、前記した画像の形成に使用されるトナーの色の検出情報に応じた特定色の補正係数(Ek,Em)を選定するまでの制御動作を実行すればよい(図13のステップS30〜37)。
このように画像の最大線幅の検出情報と画像形成のための使用トナー色の検出情報の双方を加味して補正係数を選定して二次転写電圧を調整するようにすれば、画像が文字等の画像であって、しかもM色等の特定色で形成されている場合であっても、白抜け等の画質劣化のない、良好な二次転写が可能になり、画質良好な画像が得られる。
ちなみに、図14は、3種類の画像(K色の文字画像、R:レッド色の文字画像、PK:プロセスブラック色のベタ画像)のプリントを二次転写電圧について変更しつつ行い、このときのK色文字およびR色文字の場合の中抜けの発生グレードと、PK色ベタの場合の二次転写効率とを調べた結果を示す。
図14の結果に示されるように、PK色ベタ画像の場合には、そのトナー量も多いことから、たとえば目視レベルでの色味変化がなくなるとされる「95%以上」の高い二次転写効率を得るようにする観点からは、その二次転写電圧として−1.4〜−2.2kVという高めの電圧が必要となる。図中の符号H1は、ベタ画像に対する適切な二次転写電圧の領域を示す。
これに対して、K色およびR色の文字画像のようにテキスト画像の場合には、その二次転写電圧がPK色ベタ画像の場合に比べて低い電圧にすると中抜け(白抜け)のない画像形成ができることがわかる。ただし、その中抜け現象は、二次転写電圧が高すぎる場合に発生することに限られず、二次転写電圧が低すぎる場合にも発生する。二次転写電圧が高すぎる場合には、トナーが中間転写ベルト側に再付着する現象(リトランスファー)によって発生し、また、二次転写電圧が低すぎる場合にも、二次転写不良によって発生している。また、K色およびR色の文字画像の画像する場合には、図中の符号H2は、文字画像に対する適切な二次転写電圧の領域を示す。
このように画像が文字のみの場合、さらには文字色がK色の場合には、二次転写電圧として低めの電圧を印加すれば中抜けがほとんどまたはまったくなくなり(許容グレード「1以下」)、二次転写電圧を画像の内容に応じて調整することが有効であることからわかる。
[トナー量調整のための基本的な制御動作]
次に、この制御装置50による多重色トナー像を構成する所定色のトナー(主にK色トナー)の量の調整に関する制御動作について図15を参照しながら説明する。
まず、プリント指令が出されると(ステップS40)、作像ユニット10(Y,M,C,K)のすべてを動作させて測定対象の基準パッチ像を形成して中間転写ベルト20(のプリント対象のトナー像が転写される担持領域よりも前のベルト領域)に一次転写させる(ステップS41)。
このときの基準パッチ像としては、たとえば、Y,M,C,Kの各色のトナーからなる単色のパッチトナー像、MおよびC色のトナーからなる二次色のBlueであるパッチトナー像、Y,MおよびC色のトナーからなる三次色のPK色であるパッチトナー像が形成される。また、この各基準パッチ像は、Y,M,C,K色のトナー像については100%のドット面積率で形成され、B色およびPK色のトナー像については各最大ドット面積率で形成される。さらに、この基準パッチ像の一次転写時には、一次転写用電源装置18から一次転写バイアスとして一定の基準電流が印加される。
中間転写ベルト20上の基準パッチ像(Y,M,C,K,B,PK)は、表面電位計60を通過する際に、その各トナー像の表面電位がそれぞれ測定される(ステップS42)。この測定された各表面電位のうちK色の表面電位VkとPK色の表面電位Vpkとについて、Vpk/Vkの値が演算処理される(ステップS43)。
そして、この演算されたVpk/Vkの値が3.8以下であるか否かが判断され(ステップS44)、その値が3.8以下でないときには、トナー量調整用の対照データ(図16)が読み出され(ステップS45)、そのVpk/Vkの値が3.8以下となるように所定色のトナーの量が調整される(ステップS46)。このときのトナー量の調整は、そのトナー量の調整により特に二次転写前のトナー像の帯電量を適正な値に調整するために、行われるものである。また、上記Vpk/Vkの値の閾値を「3.8以下」とした点については後述する。
図16に示すトナー量調整用の対照データは、前記各色(Y,M,C,K,B,PK)の基準パッチ像の中間転写ベルト20上における各トナー量と、その各基準パッチ像の二次転写直前に表面電位計60により測定したときの表面電位との関係を示したものである。この結果から、中間転写ベルト20上のトナー量とその二次転写前における表面電位とはほぼ正比例の関係にあることがわかる。ちなみに、図16中の点線は「y=29.821x−99.044」という二次関数式で示される。式中のyは縦軸の表面電位を、xは横軸のトナー量を示す。
したがって、この対照データから、Vpk/Vkの値が3.8以下となるように、K色トナー像のトナー量やPK色トナー像の量が調整される。具体的には、K色の表面電位Vkが54V、PK色の表面電位Vpkが387Vであると想定したとき、たとえば各色のトナー量をK色を増量し、Y,M,C色を減量するように現像電位を調整する。この結果、K色の表面電位が81V、PK色の表面電位が298Vとなった(図17)。
そして、このトナー量の調整は、各作像ユニット10における潜像形成装置13で形成する静電潜像の潜像電位を調整することで行われる。つまり、トナー量の調整に関する制御情報が画像処理部17を通して潜像形成装置13に送信され、その露光量を変更することで感光ドラム11上の潜像電位を調整することになる。これにより、その調整後の潜像部分には、感光ドラム11にはその潜像電位に応じた量のトナーが付着することになる。
図17は、このトナー量の調整を行わない従前の画像形成装置の場合(比較例)とそのトナー量の調整を行うようにした本例の場合(実施例)との測定結果を示す。
比較例のようにトナー量の調整を行わない場合は、図17の上段側に示すような各トナー量である(たとえばK色のトナー量が5.4g、PK色のトナー量が16gである)。また、このときの表面電位はVk=54V、Vpk=387Vであったため、そのときのVpk/Vkの値は「約7.16(=387/54)」となり、その閾値の3.8を大幅に上回った値であった。
これに対して実施例のようにトナー量の調整を行った場合、すなわち同図の下段側に示すようにK色のトナー量を5.4gから「6.1g」に増量させる一方で、PK色のトナー量は総量規制により16gから「13.3g」に減量させるように調整した。これにより、その各表面電位Vk、VpkがVk=81Vと上昇したもののVpk=298Vとなり、比較例に比べて低下した結果となった。しかも、このときのVpk/Vkの値についても「約3.679(=298/81)」となり、これはその閾値の3.8以下という条件を満たす値である。
以上のように所定色のトナー量が調整されると、先の指令に基づくプリント動作が開始されるようになり(図15:ステップS47)、その同じ(原稿)画像のプリントジョブで指定されたプリント枚数分のプリント動作がすべて終了するまで同じ二次転写電圧の条件下でプリント動作が繰り返される(ステップS48)。このため、この制御動作においても、プリントする対象の原稿画像が異なれば、その新たな画像の形成前に基準パッチ像の表面電位(Vk、Vpk)が測定された後、その表面電位のVpk/Vkの値が3.8以下になるように所定色(K色、PK色)のトナーの量が調整されたうえで、その新たな画像のためのプリント動作が実行されることになる。
以下、このようなトナー量に関する制御を行なうことの有効性について説明する。
図18は、二次転写電圧を変更して4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)により形成する各色(Y,M,C,K,B,PB)トナー像の中間転写ベルト20の2地点での表面電位を測定した結果を示す図表である。
このときの各色のトナー像は、いずれも最大ドット面積率で形成した。また、中間転写ベルト20上の2地点とは、図2に示すように、前記表面電位計60を配置した二次転写前の地点(転写前)と、二次転写部を通過した後の地点(転写後)である。二次転写後の地点での表面電位については、中間転写ベルト20の(接地した)駆動ロール21と対向する位置にベルト外周面に接近した状態で配置した第2表面電位計61により測定した。また、中間転写ベルト20は、自己除電能力があるベルト(表面抵抗率が12・logΩ以下に設定されている)である。これにより、その中間転写ベルト20の外周面にトナーが存在しないときに表面電位計の測定結果が「0V」となるようにゼロ点調整をしており、トナーの表面電位を正確に計測できるようにした。さらに、M色、K色、B色およびPK色については二次転写効率についても併せて測定した。
図18の結果に示されるように、転写前の表面電位はいずれも二次転写電圧を振っても変化しないのに対し、転写後の表面電位は二次転写電圧の変更に伴って変動する。転写後の表面電位は、二次転写されずに中間転写ベルト20に残ったトナー(残像)の電位(残像電位)である。この電位がゼロのときは、その残像がない状態であって二次転写効率が100%であることを示すことになる。また、この転写後の表面電位がゼロを境にマイナス極性からプラス極性に転じているのは、二次転写電界の影響によりマイナス帯電極性のトナーが逆極性に帯電して中間転写ベルト側にリトランスファーを起こしている証拠である。
また、図18の結果から、転写後の表面電位(残像電位)がゼロになるとき、つまり二時転写率が最高になるときの二次転写電圧は、トナー色ごとに異なることがわかる。たとえば、そのゼロになるときの二次転写電圧はK色では1200Vで最高転写率に達するが、三次色のPK色では1800〜2100Vの間で最高の転写率を迎えている。
このようなことから、従前の中間転写方式を採用した画像形成装置においては、通常、その二次転写電圧を多重色のトナー像が最高の二次転写効率になるよう設計されていた。このため、形成すべき画像中にPK色のような多重色の画像部分があれば、二次転写電圧として2100Vを印加するように制御されていた。しかし、その同じ画像のなかに単色画像が混在している場合であっても、二次転写電圧として2100Vが印加されてしまうため、たとえば、その単色画像がK色のトナー像であったと仮定すると、その残像電位が+20Vになりリトランスファーの量が多く、二次転写効率が低かった。
図18における転写前の各色トナー像の表面電位と、PK色の表面電位を基準の「1」としたときの各色トナー像の表面電位の比率(Vpk/V)との関係を示すと、図19のようになる。この図19から明らかなように、一重色のY,M,C,K色の単色画像と三重色のPK色の多重画像とは、その中間転写ベルト上におけるトナー量が違うため表面電位にも差が出ているが、その表面電位についても三重色のときが一重色のときの約3倍になるかというとそうではない。この点は、図18をみれば明らかであるが、K色はPK色との差が7倍以上ある。
このような表面電位の差が、最適な二次転写電圧の差の原因となって現れたり、そのときの二次転写効率の差とつながっていると推測される。また、この表面電位の差は、K色トナーのようにもともとそれ自体がもっている電荷量が低いことや、中間転写ベルトに対して最終に一次転写される色(主にK色)のトナー像はその一次転写後で二次転写前に他の作像ユニットの一次転写部を通過して剥離放電を受けることがないため帯電量も増加することなく比較的低い状態に保たれる環境にあることが原因で生じていると推測される。一方、PK色のトナー像は、3色のトナーが重なって形成され、しかも、他の作像ユニットの一次転写部を通過して剥離放電をうけて帯電量が増加する傾向にあるため、比較的高い帯電状態に置かれる。このことも表面電位の差を生む原因になっている。
以上のことから、中間転写ベルト上におけるトナー像の表面電位を、その表面電位が最も高いPK色の表面電位:Vpkとの差が小さくなるようにすれば、PK色以外の色のトナー像も良好に二次転写されるようになると考えられる。
そこで、図18の結果について、各色トナー像の表面電位のVpkとの比と、そのときの二次転写率との関係を調べるため、図20に示すようなグラフにした。この結果、従来のカラー画像形成装置においては、その単色画像の表面電位が表面電位Vpkに対して4.5以上の値であることが判明した。特にK色にいたっては、その比が7以上であることがわかった。
そして、図20の結果からすると、PK色以外の色のトナー像の表面電位を表面電位Vpkに対する比(Vpk/V)が「1」に近づくような状態にできれば、最高の二次転写率(98%)に近づけることができそうであると予測される。反対に、その比が大きくなると、PK色以外の色のトナー像の二次転写率は二次曲線的に低下してくることも明らかである。また、図20における二次曲線を示す近似式は「y=−(x−1)2+98」になる。ここで、式中のyは二次転写率を、xは各色のVpkに対する比を示す。
したがって、二次転写率(y)について目標値を設定すれば、上記近似式から各色のVpkに対する比(x)として必要となる値が明らかになる。そこで、その近似式を変形してx=(98−y)2+1とすると、その比を示すxができる限り小さな値とすべき好ましい範囲を求めることを意図してさらに「x≦(98−y)2+1」のような不等式に変形したうえで、xの値を求めればよい。
また、一般的に、一次転写率および二次転写率はともに90%以上であれば総合的にみても良好な転写(計80%)であると評価できる。さらに、残トナーの量を減らすためには、その二次転写効率については95%以上であることが理想的である。
そして、以上のことから、二次転写率の目標値を「90%」に設定すると、上記不等式から、x≦(98−90)2+1=3.83となる。よって、表面電位の比(Vpk/V)は「Vpk/V≦3.83」に設定できれば、90%を超える二次転写率が得られることが期待できる。
また、このように表面電位の比(Vpk/V)を「Vpk/V≦3.83」にするための方策としては、一次転写の剥離放電を利用して単色のトナー像の表面電位を高める方法(方法1)か、または多重色のトナー像の量を調整して表面電位を下げる方法(方法2)が挙げられる。
ここで、上記方法1について検討する。
この方法1は、前記したように中間転写ベルトに一次転写されたトナー像が他の色の一次転写部を通過する際に剥離放電を受けてそのトナー像の帯電量が増加する現象を利用して、単色のトナー像の表面電位を高めようとするものである。つまり、単色のトナー像の表面電位を高めることにより、表面電位の比(Vpk/V)のうち分母の値(V)を調整してその比の条件を満たすことを実現させようとするものである。
たとえば、中間転写ベルト20に最後に一次転写される色のトナー像(本例ではK色トナー像)を形成するための作像ユニット10(K)における一次転写電流を増加させた場合の効果について検証する。
まず、K色の一次転写電流(電荷)密度と比(Vpk/V)との関係を調べた結果を図21に示す。この試験は、K色の一次転写電流を変更しつつ、ドット面積率が100%からなるK色と最大ドット面積率が240%からなるPK色のトナー像を中間転写ベルト20に一次転写した後にその各トナー像の二次転写前における表面電位を測定したものである。一次転写電荷密度(ρ)は、一次転写電流値をI、プロセス速度をS、一次転写部の一次転写ロール15の軸方向の長さをLとしたとき、ρ=I/(S×L)と現されるとともに算出できるものである。
図21の結果からは、一次転写電流密度と比(Vpk/V)との間には相関があることが確認できる。図中に示す点線は、一次転写電流密度をx、比(Vpk/V)をyとしたときの近似式「y=−0.1712x+13.809」で現されるものである。そして、今、比(Vpk/V)を前記した「3.89以下」の値にすることが求められていることから、上記近似式にy=3.89を代入して解くとx=58.5となり、これによりy≦3.89とするためには一次転写電流密度であるxを58.5(×10-5μC/mm2)以上の値にする必要がある。
そこで、この知見にもとづき、上記カラー画像形成装置1において104mm/sec、165mm/secのプロセス速度の場合に必要となるK色の一次転写電流値を求めてみる。前記した一次転写電荷密度(ρ)の式、ρ=I/(S×L)にρ=58.5、S=104、165、L=330(mm)をそれぞれ代入して一次転写電流値Iについて解くと、I(104)≒20(μm)、I(165)≒32(μm)という結果が得られた。このことから、従来におけるK色の一次転写電流の設定がI(104)=12(μm)、I(165)=20(μm)であったことからすれば、前記「(Vpk)/V≦3.83」との条件を満たすようにするためのK色の一次転写電流を従来の設定値に比べて約165%の割合で増加させればよいこととなる。
図22は、カラー画像形成装置1においてK色の一次転写電流を上記各値に変えた場合における所定の色トナー像の表面電位および二次転写効率を測定したときの結果を示すものである。図22の結果から明らかなように、上記知見にて求められた一次転写電流を印加した場合(実施例)のK色の二次転写効率については、従来の一次転写電流を印加した場合(比較例)のそれに比べて、その目標値とした90%を超える結果が得られることが確認できる。しかも、実施例のようにK色の一次転写電流を増加させても、他の色(M,B,PK)の二次転写効率にほとんど影響がない(従来に比べて大幅な変動をもたらすことがない)ことも確認できる。
以上のことから、一次転写電流Vを調整する(実際には増加させる)ことにより、表面電位の比(Vpk/V)を「(Vpk)/V≦3.83」にすることができることが明らかとなり、この結果、前記した方法1の方策が有効であることがわかった。このことからすれば、「(Vpk)/Vk≦3.83」という条件を満たすように最後に一次転写する色(K色が多い)の一次転写電流を調整すれば、転写するトナー像の種類に関係なく目標値の90%を超える二次転写効率からなる良好な二次転写を行なうことが可能であることもわかる。
次に、前記方法2について検討する。
この方法2は、前記したように中間転写ベルトに一次転写された多重色(PK色など)のトナー像を構成する所定色のトナー像のトナー量を調整することでそのトナー像の帯電量が変動する現象を利用して、多重色のトナー像における表面電位を低下させようとするものである。つまり、所定の単色のトナーの量を調整する(実際には減少させる)ことにより多重色PKのトナー像の表面電位を下げて、表面電位の比(Vpk/V)のうち分子の値(Vpk)を調整してその比の条件を満たすことを実現させようとするものである。
まず、図16の結果について前述したように、中間転写ベルト上の各色トナー像のトナー量とその各トナー像の表面電位との間には相関があることから、たとえば、中間転写ベルト上のトナーの量が異なると表面電位もそれにほぼ対応して変動することがわかる、その反対に、二次転写前の表面電位を調べることにより中間転写ベルト上にあるトナー像のトナー量を推測できることがわかる。
また、PK色の表面電位(Vpk)とそのときの好適な二次転写電圧との関係を調べると、図23に示すような結果が得られる。すなわち、PK色の表面電位(Vpk)が異なることに応じて二次転写電圧も調整する必要があることがわかる。表面電位が異なるのは、一般に温度湿度の条件が異なることによるものである。たとえば、そのトナー像の表面電位(Vpk)は、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下では100以下の値となり、低温低湿(10℃、15%RH)の環境下では400に近い値となる。
以上のことから、PK色トナー像のトナー量を調整することにより、その表面電位を所定の電位にすることができ、また、その表面電位を所定の電位に保てれば二次転写電圧を調整する必要がないことがわかる。一方、PK色トナー像のベルト上における表面電位を測定することにより、そのときの温度湿度の条件をある程度予測することができるが、そのときのトナー量を調整すればその表面電位を調整することができることがわかる。
そこで、各色のトナーの量を調整すると、図17で示したようにK色トナー像の表面電位(Vk)とPK色トナー像の表面電位(Vpk)を変えることができ、これにより、前記表面電位の比の条件「Vpk/Vk≦3.8」を満たすことになることを確認することができた。
以上のことから、前記した方法2の方策は、表面電位の比(Vpk/V)を「Vpk/V≦3.83」にするためには有効な方策であることがわかった。
[トナー量調整のための制御動作の変形例]
図24は、前記カラー画像形成装置1の制御装置50において、前記した「Vpk/Vk≦3.8」を満たすようにトナー量の調整を行なうことに加えて、K色トナー像の表面電位(Vk)と中間転写ベルト20に最後に転写されるK色トナー像のトナー量(Mk)とが「Vk/Mk>22」との関係を満たすように、そのK色トナー像のトナー量(ML)およびK色トナー像の表面電位(Vk)の一方または双方を調整するようにした構成例(実際にはその制御動作)を示すものである。
この場合、K色トナー像のトナー量(Mk)については、画像濃度に応じて予め実験的に求められ、現像電位との関係で予め設定される量が使用される。そして、このK色のトナー量の予め設定されている量の情報と前記したK色基準パッチ像の表面電位検知情報を使用した場合の制御プログラムが制御装置50の記憶部に格納されており、その制御プログラムにもとづく動作(図24)が実行されることでそのトナー量(ML)および表面電位(Vk)の一方または双方の調整が行われる。
次に、この構成例の場合におけるトナー量等の調整動作について図24を参照しながら説明する。
初めに、前述したように制御装置50においては、前述したトナー量の調整までの制御動作(図15のステップS40〜46)を実行した後にステップS50(図24)に移行し、K色トナーのトナー量(Mk)が検出される。このトナー量(Mk)の情報は前記判別回路75から送信されることで得られる。
続いて、このK色トナーのトナー量(Mk)とK色の基準パッチ像の表面電位(Vk)から「Vk/Mk」の値が演算される(ステップS51)。表面電位(Vk)は、前記した表面電位の測定時(図15のステップS42)に得られた情報が用いられる。
そして、このときの演算結果が「Vk/Mk>22」となるか否かが判断され(ステップS52)、Vk/Mkの演算結果が「22よりも大きい」と判断された場合には、その二次転写時にK色トナーの飛散が発生しないとみなして、それ以降の制御動作を行わず先のステップS47(図15)に戻りプリント動作が開始される。
一方、ステップS52においてVk/Mkの演算結果が「22以下」と判断された場合には、その二次転写時にK色トナーの飛散が発生するおそれがあるとみなして、そのK色トナーのトナー量(Mk)およびK色トナー像の表面電位(Vk)の一方または双方を「Vk/Mk>22」の条件を満たすように調整される(ステップS53)。この調整がなされた後は、先のステップS47(図15)に戻りプリント動作が開始される。
ここで、「Vk/Mk>22」の条件が導き出された過程について説明する。
すなわち、最後に一次転写されるK色トナー像のトナーが二次転写部の排出側で飛散するのは、その二次転写前におけるそのトナーのもつ電荷量、つまりQ/M(Q:電荷量、M:質量)が他の色のトナーに比べて低いことに起因していると考えられる。ここで、その電荷量:Qはそのトナーのもつ表面電位Vkに比例することに着目すれば、Vk/Mと置き換えることが可能である。
そこで、前記カラー画像形成装置1において、中間転写ベルト20上のK色トナー像のトナー量とそのときのK色トナー像の表面電位とが種々の関係にあるとき、K色トナーの二次転写部排出側でのトナー飛散の発生状況について調べた。その結果を図25に示す。
図中の直線は、各プロットに対する近似線であり、表面電位をy、表面電位をxとしたとき、y=21.636xで現されるものである。K色トナー像の量とその表面電位とがその近似線より上側の領域に存在するときには二次転写部でK色トナーの飛散が発生しないことが認められたのに対し、その近似線を含むその下側の領域に存在するときにはそのK色のトナー飛散が発生することが認められた。また、図中の△は、従来におけるK色トナー像のトナー量とそのときのK色トナー像の表面電位との設定例を示す。
このことからK色のトナー飛散が発生しない領域は、近似線を利用して現すと「y>21.636x」という不等式で表現でき、これを変形して「y/x>21.636」との条件を満たせばよいことになる。このことからy=Vk、x=Mkと置き換えて「Vk/Mk>22」を条件とした。
図26は、このような条件に基づく制御の有効性を確認するために行なった試験結果を示すものである。すなわち、従来のカラー画像形成装置では、K色トナー量MkがMk=5.4(g/m2)、その表面電位VkがVk=54(V)であり、Vk/Mkの値が「10」であったところ(比較例)、Vk/Mk>22となるようにそのトナー量MkとそのK色の一次転写電流Vkを図26に示すように調整した。その結果、K色トナーの二次転写部での飛散が発生しなくなり、また、K色トナー像の二次転写効率もその目標値である90%を超える値を得ることができた。また、このときのVpk/Vkの値も「Vpk/Vk≦3.8」の条件を満足するものであった。
よって、このような制御を行なった場合には、目標値を超える良好な二次転写効率を得ることができることに加えて、K色トナーの二次転写部での飛散の発生を防止することができることが判明した。このような効果は、K色トナー量MkとK色の一次転写電流Vkをそれぞれ単独で調整した場合でも、ほぼ同様に得られる。
ちなみに、「Vk/Mk>22」との条件を満たすように調整する対象であるK色トナー像のトナー量(ML)とK色トナー像の表面電位(Vk)の一方または双方の判別(使い分け)は、たとえば、一次転写電流値を増加しただけでは条件を満たすことができない場合にトナー量の調整を行うことで補うという観点で行なえばよい。
なお、このカラー画像形成装置1では、中間転写ベルト20の画像形成領域外で前記基準パッチ像を形成し、そのパッチ像が二次転写部において二次転写ロール25に付着することを防止するため、そのバックアップロール22に対して二次転写用電源装置26から通常の転写時に印加する二次転写電圧とは逆極性の電圧を印加している。この場合でも、PK色トナー像の表面電位Vpkの検知情報から、その二次転写ロール25へのパッチ像の付着を確実に防止するため、その表面電位Vpkと同じ大きさの逆極性の電圧を二次転写用電源装置26から印加するように構成することができる。
[二次転写電圧調整のための制御動作とトナー量調整のための制御動作の併用]
このカラー画像形成装置1においては、前記した二次転写電圧調整のための制御動作(図3および図4のステップS10〜18、S20〜21:必要に応じてS12,S13に示す制御動作を含む)と、前記したトナー量調整のための制御動作(図15のステップS40〜48:必要に応じて図24に示す制御動作を含む)とを併用することが可能である。
この場合、その制御動作の実行する順番は、先に二次転写電圧調整のための制御動作を行い、その後でトナー量調整のための制御動作を行なうことになるが、必要によってはその逆の順番で行なってもよい。また、これらはプリント動作開始前に一連の制御動作として連続して行なうように構成するが、場合によっては、時期をずらして実行するように構成しても構わない。
このように前記2つの制御動作を併用する場合には、二次転写電圧調整のための制御動作によって、前述したように形成すべき画像の内容の違いにかかわらずその二次転写時に白抜け等の画質不良が発生することがなく良好な二次転写を安定して行なうことが可能になる。これに加えて、トナー量調整のための制御動作によって、前述したようにその二次転写時にブラックトナー等の二次転写効率の低下やその二次転写時にトナー飛散等が発生することがなく、良好な二次転写を安定して行なうことが可能になる。特に、二次転写バイアスの補正係数(E)を乗じた調整のみでは良好な二次転写を十分に行えないような状況にある場合には、所定のトナー量等を一定の関係を満たすようにさらに調整することによって良好な二次転写をより確実に行うことが可能になり、この点で有利である。
[他の実施の形態]
なお、前記実施の形態では、中間転写ベルト20に対して4色用の作像ユニット10(Y,M,C,K)を中間転写ベルトの回転方向にそって直列に配置した形式(タンデム型)のカラー画像形成装置1の場合について説明したが、中間転写方式を利用するものであればこれ以外の形式のカラー画像形成装置であっても同様に適用することができる。
たとえば、中間転写ベルトに対して1つの感光ドラム(感光体)を配置し、その1つの感光ドラムに対して4色(Y,M,C,K)の現像装置が1つずつ順番に対向する形式(4サイクル型)のカラー画像形成装置や、1つの感光ドラムに対して4色(Y,M,C,K)の現像装置が感光ドラムの回転方向の周面にそって順次配置した形式のカラー画像形成装置である。この形式の画像形成装置においても、感光ドラムへのブラック(K)色のトナー像の中間転写ベルトへの一次転写は最後に行うように構成されることが多い。
1…カラー画像形成装置、10Y,10M,10C,10K…作像ユニット(作像装置)、15…一次転写装置(転写ロール)、18…一次転写用電源装置(一次転写手段の一部)、20…中間転写ベルト(中間転写体)、22…バックアップロール(二次転写手段の一部)、25…二次転写ロール(二次転写手段の一部)、26…二次転写用電源装置(二次転写手段の一部)、50…システム制御装置(制御手段)、60…表面電位計(表面電位測定手段)、71…最大ドット面積率判別回路、72…最大線幅判別回路、73…使用トナーの色判別回路、P…記録用紙(記録媒体)。