JP2006002084A - 無機シンチレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 エネルギーの時間分解能が十分に高い無機シンチレータを提供する。
【解決手段】 上記課題を解決する本発明の無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、かつ下記式(1)及び(2)で表される条件を同時に満足するものである。
{ALu/(ALu+AGd+ACe)}<0.50 …(1)
{ACe/(ALu+AGd+ACe)}≧0.002 …(2)
ここで、式(1)及び(2)中、ALuは結晶中のLuの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示し、ACeは結晶中のCeの数を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機シンチレータに関するものである。
陽電子放出核種断層撮像装置(Positron Emission computed Tomography、以下、「PET」という。)では、これに搭載されるシンチレータの光学特性(波長変換特性等)が装置全体の撮像性能に与える影響が極めて大きいため、シンチレータの光学特性を向上させることが装置全体の撮像性能を向上させる上で最も重要なポイントの一つとなっている。そのため、優れた光学特性を有するシンチレータを構成可能なシンチレータ材料の探索や、そのシンチレータを実用化するための結晶育成技術等の製造技術の開発が精力的に進められている。
また、高エネルギー物理の分野では、宇宙から地球に飛来する微量な高エネルギー粒子を検出し、分析するため等の実験に使用するために、微量な高エネルギー粒子を効率よく検出できるシンチレータの実用化が求められている。
PETに搭載されるシンチレータとしては、蛍光出力が高いもの、蛍光減衰時間が短いもの、エネルギー分解能が高いもの等が求められている。特に、PETを用いた検査の対象となる被検体の負担を軽減する観点から、被検体当たりの検査時間を短くする必要があり、そのためには蛍光減衰時間の短いシンチレータが求められている。
ここで、シンチレータに放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスの強度の経時変化を説明する。図1は、その蛍光パルスの強度の典型的な経時変化を模式的に示すグラフである。蛍光パルスは、その強度の極大値Imaxまで比較的急峻に立ち上がり、その後、減衰していく。本明細書において、蛍光寿命とは、出力される蛍光の強度がその極大値(Imax)の10%(0.1Imax)に達した時点(0)から蛍光が認められなくなるまでに要する時間をいう。また、蛍光パルス強度の時間積分値とは、蛍光強度がImaxを示す時点(tmax)から蛍光が認められなくなる時点までの蛍光パルス強度の時間積分値(図1中、斜線で示した部分)をいう。
蛍光減衰時間の短縮化を図ったシンチレータとしては、例えば、ランタノイドを含む複合金属酸化物からなる母体材料中に発光中心としてCe(セリウム)を含む構成を有する無機シンチレータが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この無機シンチレータとしては、例えば、一般式:CeαLn2−αSiO、又は、一般式:CeβLn2−βAlOで表される化学組成を有するシンチレータ等が知られている。ここで、0<α<0.1であり、0<β<0.1であり、Ln(ランタノイド)はSc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Gd(ガドリニウム)又はLu(ルテチウム)を示す。
特に、一般式:CeαLn2−αSiOで表される化学組成を有するシンチレータは、蛍光出力が高いため、広くPETに採用されている。そのような無機シンチレータの具体例としては、CeαGd2−αSiOを用いたPhilips Medical Systems社製の商品名ALLEGRO、CeαLu2−αSiOを用いたSiemens社製の商品名ECAT ACCEL等が挙げられる。
また、特許文献2においては、一般式:Ceα(LuγGd2−γ2−αSiOで表せられる単結晶シンチレータが開示されている。更に特許文献3では、Ceα(LuγGd2−γ2−αSiOで表せられる単結晶シンチレータに、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Ca(カルシウム)、F(フッ素)を含有させることにより、Luの含有割合の低下を試みている。
特公昭62−8472号公報 特公平7−78215号公報 特表2001−524163号公報 Journal of Crystal Growth 174(1997)p331−336
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1〜3に記載のものを始めとする従来の無機シンチレータについて詳細に検討を行ったところ、特許文献1に記載の無機シンチレータのうち、CeαGd2−αSiOからなるシンチレータは、放射線を吸収した際に該シンチレータから出力される蛍光(蛍光強度)の立ち上がりが遅いため、エネルギー(蛍光強度)の時間分解能が十分に高くないことを見出した。また、CeαLu2−αSiOからなるシンチレータは、被検体からの荷電粒子等を入射した際に出力される蛍光について、ノイズが多量に発生することが明らかになった。かかるノイズは被検体からの荷電粒子等の検出精度を低減させ、エネルギー(蛍光強度)の時間分解能が十分ではない。
さらには、特許文献2に記載のCeα(LuγGd2−γ2−αSiOからなるシンチレータは、Luの含有割合が比較的高くなった場合に、Luの含有割合が比較的低い場合に比べて、シンチレータとしての機能の発揮が顕著に抑制される傾向にあることを、本発明者らは見出した。具体的には、Luの含有割合が比較的高くなると、エネルギー(蛍光強度)の時間分解能が低下する。
さらに特許文献3に記載のシンチレータは、Ta、W、Ca、Fを含有させてもノイズの影響を十分に抑制することが困難であり、やはりエネルギー(蛍光強度)の時間分解能が十分ではないことが明らかになった。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、エネルギーの時間分解能が十分に高い無機シンチレータを提供することを目的とする。
従来、無機シンチレータの構成材料の種類によって、放射線を入射した際の蛍光出力が、蛍光寿命の異なる複数の蛍光成分を含む場合がある、ということが知られている。例えば、特許文献1〜3に記載されたCeαLn2−αSiOは、蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を含む場合がある。
本発明者らは上記目的を達成すべく、CeαLn2−αSiOを含有する無機シンチレータについて、上述のような蛍光成分の観点から鋭意研究を重ねたところ、特許文献1に記載のようなCeαGd2−αSiOからなるシンチレータは、蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を出力し、それらの蛍光寿命の比が、Ceの含有割合に関わらずほぼ一定であることを見出した。
例えば、Ce0.005Gd1.995SiOからなる無機シンチレータについて、蛍光寿命の短い蛍光成分はその寿命が約56ナノ秒であり、蛍光寿命の長い蛍光成分はその寿命が約600ナノ秒であり、それらの蛍光寿命の比が約10倍であることを、本発明者らは確認した。なお、この無機シンチレータにおいて、蛍光寿命の短い成分の蛍光パルス強度の時間積分値は、蛍光寿命の長い成分の蛍光パルス強度の時間積分値との合計値に対して、約80%であることを確認した。
一方、Ce0.001Gd1.999SiOからなる無機シンチレータについて、蛍光寿命の短い蛍光成分はその寿命が約40ナノ秒であり、蛍光寿命の長い蛍光成分はその寿命が約418ナノ秒であり、それらの蛍光寿命の比が、Ce0.005Gd1.995SiOからなる無機シンチレータと同様に約10倍であることを、本発明者らは見出した。なお、この無機シンチレータにおいて、蛍光寿命の短い成分の蛍光パルス強度の時間積分値は、蛍光寿命の長い成分の蛍光パルス強度の時間積分値との合計値に対して、約85%であることを確認した。
また、本発明者らは、公知のCeαLu2−αSiOからなる無機シンチレータについて検討を行ったところ、このシンチレータより出力される蛍光パルスは1種類の蛍光成分(蛍光寿命:約40ナノ秒)からなることを確認した。
さらに本発明者らが詳細に検討を進めた結果、Lu、Gd、Ce及びSi(ケイ素)を含む金属酸化物からなる無機シンチレータは、CeαLu2−αSiOからなるものとは異なり、放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスが、蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を有することを見出した。また、その蛍光パルスのパルス形状は、該無機シンチレータ中のCeの含有割合に依存することが判明した。そして、本発明者らはなおも検討を行ったところ、Lu、Gd、Ce及びSiを含む金属酸化物からなる無機シンチレータは、CeαGd2−αSiOからなるシンチレータとは異なり、Ceの含有割合を増加させると、蛍光寿命の短い蛍光成分はその寿命が若干長くなるのに対し、蛍光寿命の長い蛍光成分は、Ceの含有割合にほぼ反比例してその寿命が短くなることを見出した。
また、本発明者らは、上記目的を達成すべく、結晶構造の観点から鋭意研究を重ねた結果、Lu、Gd、Ce及びSiを含む金属酸化物からなる無機シンチレータ中のLuを所定の割合まで低減させ、さらに、その無機シンチレータの単結晶を、所定の空間群に属する結晶構造を有するように形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。
より詳しくは、本発明者らは、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなる結晶である無機シンチレータの結晶構造が空間群C2/cに属すると、空間群P2/cに属する場合と比較して、放射線を吸収した際の蛍光の立ち上がり時間が格段に短くなることを見出した。ここで、「蛍光の立ち上がり時間」とは、シンチレータが放射線パルスを吸収した際に、出力される蛍光の強度がその極大値(Imax)の10%(0.1Imax)から90%(0.9Imax)まで立ち上がるのに要する時間(t)をいう(図1参照)。
さらに本発明者らは、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなる結晶である無機シンチレータ中のLuの含有割合が高いと、Luは放射性同位元素である176Luを自然存在比で約2.6%含むため、そのベータ崩壊による自然放射線がシンチレータに入射した場合に、該シンチレータから出力される蛍光のノイズの原因となることを見出した。そして、本発明者らはこれらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成ずるに至った。
本発明の無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、かつ下記式(1)及び(2)で表される条件を同時に満足することを特徴とする。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
{ACe/(ALu+AGd)}≧0.002 …(2)
式(1)及び(2)中、ALuは結晶中のLuの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示し、ACeは結晶中のCeの数を示す。
本発明の無機シンチレータは、本発明の効果をより確実に得る観点から、下記式(3)で表される条件を満足すると好ましい。
0.005≦{ACe/(ALu+AGd)}≦0.02 …(3)
本発明の無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、無機シンチレータに放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスが、蛍光寿命τ1を示す第1蛍光成分と、蛍光寿命τ1よりも長い蛍光寿命τ2を示す第2蛍光成分とを含有し、かつ下記式(1)及び(4)で表される条件を同時に満足することを特徴とする。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
(τ2/τ1)≦8 …(4)
式(1)中、ALuは前記結晶中のLuの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示し、ACeは前記結晶中のCeの数を示す。
ここで、出力される蛍光パルスが上述のような蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を含む場合において、それぞれの蛍光成分を分離する方法を説明する。
出力される蛍光パルスが上述のような蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を含む場合、蛍光強度Iは、下記式(A)で表される。
Figure 2006002084
式(A)中、Iは蛍光強度、aは変数、tmaxは蛍光強度がImaxになる時点、tはtmaxから経過した時間をそれぞれ示す。なお、Imax、τ1及びτ2は上述と同様のものを示す。
この式(A)中、下記式(B)で示される項は第1蛍光成分の蛍光強度Iであり、下記式(C)で表される項は第2蛍光成分の蛍光強度Iである。
Figure 2006002084
Figure 2006002084
図2は、蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分を含む蛍光パルスの強度の典型的な経時変化を模式的に示すグラフである。実線(a)で表される曲線は蛍光強度Iの経時変化を示し、一点鎖線(b)で表される曲線は蛍光強度Iの経時変化を示しており、二点鎖線(c)で表される曲線は蛍光強度Iの経時変化を示している。
得られた蛍光パルスの波形(図2の実線(a))を上記式(A)を用いてフィッティングすることにより、それぞれの蛍光成分に分離できる。この際、フィッティングは最小二乗法により、a、τ1及びτ2を最適化することにより行われる。
本発明の無機シンチレータは、本発明の効果をより確実に得る観点から、下記式(5)で表される条件を満足すると好ましい。
(τ2/τ1)≦4 …(5)
同様の観点から、本発明の無機シンチレータは、蛍光パルス全体の強度の時間積分値をSとし、第1蛍光成分の強度の時間積分値をS1とし、第2蛍光成分の強度の時間積分値をS2とすると、下記式(6)で表される条件を満足することが好ましく、下記式(7)で表される条件を満足することがより好ましい。
{(S1+S2)/S}≧0.90 …(6)
0.10≦{S1/(S1+S2)}≦0.90 …(7)
また、本発明の無機シンチレータは、その結晶状態が単結晶であると、優れたシンチレーション特性をより確実に得ることが可能となるので好ましい。
本発明によれば、エネルギーの時間分解能が十分に高い無機シンチレータを提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明の好適な実施形態に係る無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する単結晶であり、かつ下記式(1)及び(2)で表される条件を同時に満足するものである。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
{ACe/(ALu+AGd)}≧0.002 …(2)
ここで、式(1)及び(2)中、ALuは結晶中のLuの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示し、ACeは結晶中のCeの数を示す。
Luは放射性同位元素176Luを自然存在比で約2.6%含み、そのベータ崩壊による自然放射線がシンチレータとして使用する際のノイズになる。したがって、かかる観点からは、そのLuの無機シンチレータにおける含有割合は低いほど望ましい。
本発明者らは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、かつ下記式(1)で表される条件を満足する無機シンチレータ(以下、「少Lu含有無機シンチレータ」という。)について詳細に検討した。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
その結果、かかる少Lu含有無機シンチレータに放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスが、蛍光寿命τ1を示す第1蛍光成分と、蛍光寿命τ1よりも長い蛍光寿命τ2を示す第2蛍光成分とを含有することを見出した。
また、本発明者らの研究によると、上記蛍光寿命τ1及びτ2の長さが、少Lu含有無機シンチレータ中のCeの含有割合に依存することが判明した。より詳しくは、Ceの含有割合を増加させると、蛍光寿命τ1が若干長くなるのに対し、蛍光寿命τ2がCeの含有割合にほぼ反比例して短くなることが明らかになった。
例えば、該無機シンチレータを特にPET装置の検出器等に使用する際、そのシンチレータから出力される蛍光の蛍光寿命は短い方が、エネルギーの時間分解能を向上できるので望ましい。特に、エネルギーの時間分解能を十分に高くし、その検出器の電子回路の設計を容易にする観点から、蛍光寿命τ1と蛍光寿命τ2との関係が下記式(4)で表される条件を満足する必要がある。
(τ2/τ1)≦8 …(4)
同様の観点から、蛍光寿命τ1と蛍光寿命τ2との関係が下記式(5)で表される条件を満足すると好ましい。
(τ2/τ1)≦4 …(5)
シンチレータの蛍光減衰時間が長いと、そのシンチレータに放射線が入射して出力される蛍光が消滅しないうちに、次の放射線が入射してそれに対応する蛍光が出力される。こうなると、それら2つの放射線を分離して検出できなくなる。すなわち、時間分解能が低下する。このような現象を「パイルアップ」という。このパイルアップを防ぐためには、PET装置の検出器に搭載される電子回路で、そのシンチレータから出力される遅い蛍光成分(第2蛍光成分)をカットすることもできる。しかしながら、電子回路による蛍光成分のカットは、検出効率を低下させる原因となる。
本実施形態においては、シンチレータからの蛍光減衰時間を十分に短くすることができるので、パイルアップを防止することも可能となり、更に時間分解能を向上させることができる。
本発明者が詳細に検討した結果、上述の少Lu含有無機シンチレータにおいて、蛍光寿命τ1と蛍光寿命τ2との関係が上記式(4)で表される条件を満足するためには、Ceの含有割合について、上記式(2)で表される条件を満足する必要があることが明白となった。同様の観点から、Ceの含有割合が下記式(8)で表される条件を満足すると好ましい。
0.005≦{ACe/(ALu+AGd)} …(8)
また、該無機シンチレータの着色を防止する観点から、下記式(9)で表される条件を満足することが好ましい。
{ACe/(ALu+AGd)}≦0.02 …(9)
以上のことを総合考慮すると、本実施形態の無機シンチレータは、下記式(3)で表される条件を満足すると、一層好ましい。
0.005≦{ACe/(ALu+AGd)}≦0.02 …(3)
なお、本明細書において、「放射線」とは、原子、分子をイオン化させるのに十分なエネルギーをもった粒子線(α線、β線、γ線、X線等)を示す。
次に、本発明の無機シンチレータの製造方法の好適な実施形態(金属酸化物の単結晶として希土類珪酸塩単結晶を得る場合の製造方法の一例)について説明する。
本実施形態の無機シンチレータの製造方法は、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する希土類珪酸塩単結晶である無機シンチレータの製造方法であり、溶融法に基づき無機シンチレータの原料を溶融状態とした溶融液を得る溶融工程と、その溶融液に種結晶の少なくとも一部を浸漬し、種結晶を浸漬した溶融液を冷却固化させることにより、種結晶の所定の結晶面に沿って結晶を育成して単結晶インゴットを得る冷却固化工程と、単結晶インゴットを所望の形状及び大きさに切り出す切断工程とを有するものである。
本実施形態の無機シンチレータをより確実に得る観点から、上記溶融工程における溶融法はチョクラルスキー法であることが好ましい。更に、この場合、図3に示す構成を有する引き上げ装置10を用いて溶融工程及び冷却固化工程における作業を行なうことが好ましい。
図3は本実施形態の無機シンチレータを製造するための製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。
図3に示す引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)14を有している。この高周波誘導加熱炉14は先に述べた溶融工程及び冷却固化工程における作業を連続的に行うためのものである。
この高周波誘導加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキー法に基づく単結晶製造に使用されるものと同様である。この高周波誘導加熱炉14の底部の外側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、高周波誘導加熱炉14の内部の底面上には、るつぼ17(例えば、Ir(イリジウム)製のるつぼ)が配置されている。このるつぼ17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、るつぼ17中に、無機シンチレータの原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、るつぼ17が加熱され、無機シンチレータの構成材料からなる溶融液18(融液)が得られる。
また、高周波誘導加熱炉14の溶融液18に接触しない上部内壁面には、ヒータ13(抵抗加熱ヒータ)が更に配置されている。このヒータはその加熱出力を高周波誘導コイル15に対して独立に制御することが可能となっている。
高周波誘導加熱炉14の底部中央には、高周波誘導加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。そして、この開口部を通じて、高周波誘導加熱炉14の外部からるつぼ支持棒16が挿入されており、るつぼ支持棒16の先端はるつぼ17の底部に接続されている。このるつぼ支持棒16を回転させることにより、高周波誘導加熱炉14中において、るつぼ17を回転させることができる。開口部とるつぼ支持棒16との間には、パッキンなどによりシールされている。
次に、引き上げ装置10を用いたより具体的な製造方法について説明する。
まず、溶融工程では、るつぼ17中に、無機シンチレータの単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、無機シンチレータの構成材料からなる溶融液18(融液)を得る。単結晶の原料としては、例えば、単結晶を構成する希土類元素やSiの単独酸化物などを用いることができる。
次に、冷却固化工程において溶融液を冷却固化させることにより、円柱状の無機シンチレータの単結晶インゴット1を得る。より具体的には、後述する育成工程と、冷却工程の2つの工程に分けて作業が進行する。
まず、育成工程では、高周波誘導加熱炉14の上部から、種結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を溶融液18中に浸漬し、次いで、引き上げ棒12を引き上げながら、無機シンチレータの単結晶インゴット1を形成する。このとき、育成工程では、ヒータ13の加熱出力を調節し、溶融液18から引き上げられる無機シンチレータの単結晶インゴット1を、その断面が所定の直径となるまで育成する。
空間群C2/cに属する単結晶をより確実に得る観点から、単結晶インゴット1の核となる種結晶は、空間群C2/cに属する単結晶であると好ましい。具体的には、その単結晶が希土類珪酸塩単結晶であるとより好ましく、希土類元素としてLu、Gd及びYのいずれかを含有すると更に好ましい。したがって、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩、Yを含有する希土類珪酸塩、Luを含有しGdを本質的に含有しない(すなわち、不可避的不純物としてのGdを含有してもよい)希土類珪酸塩などを含むものを用いることができる。これらのなかでも、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩からなる単結晶を種結晶として用いると、上述の無機シンチレータを特に確実に作製可能となる。
種結晶として、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩の単結晶を用いる場合、極めて優れたシンチレーション特性を備えるシンチレータを得る観点から、その単結晶が下記式(3)で表される条件を満足すると好ましい。
{BLu/(BLu+BGd)}<0.50 …(10)
式(10)中、BLuは種結晶中のLuの数を示し、BGdは種結晶中のGdの数を示す。
次に、冷却工程ではヒータの加熱出力を調節し、育成工程後に得られる育成後の単結晶インゴット(図示せず)を冷却する。
ここで、単結晶のクラックの発生を十分に防止して、無機シンチレータの単結晶をより確実に製造する観点から、上記溶融工程及び冷却固化工程の作業中に、高周波誘導加熱炉14内の気相を、下記式(11)で表される条件を満たす不活性ガスを主成分とする混合ガスで満たしておくことが好ましい。
100×{G/(E+G)}≦2.0(%)・・・(11)
式(11)中、Eは混合ガス中の不活性ガスの分圧を示し、Gは混合ガス中の酸素ガスの分圧を示す。なお、本発明において、「不活性ガス」とは、希ガス及び窒素ガスを示す。
{G/(E+G)}の値が2.0%を超えると、結晶に着色が発生し、シンチレータ性能が低下する傾向が大きくなる。なお、{G/(E+G)}の値が4.0%を超えると、るつぼの構成材料にIrを使用した場合には、この構成材料の蒸発が激しく進行するようになり、結晶の育成が困難になる。
次に、切断工程において、無機シンチレータの単結晶インゴット1を、所望の形状及び大きさに切り出し、無機シンチレータの単結晶を得る。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の無機シンチレータは、固体状態が多結晶であってもよい。本発明の無機シンチレータが多結晶である場合、従来の多結晶シンチレータと同様に、ゾル−ゲル法などの製造方法により得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12)
図3に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)をそれぞれ所定量投入し、これらの混合物450〜470gを得た。なお、実施例毎に、上記所定量を変化させた。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:CeαLuGd2−x−αSiO)を得た(溶融工程)。表1に、投入した原料中に含有されるLuの数(以下、「CLu」と表記する。)及びGdの数(以下、「CGd」と表記する。)の合計に対するCLu、CGd及びCeの数(以下、「CCe」と表記する。)の割合(以下、それぞれCLu/(CLu+CGd)、CGd/(CLu+CGd)、CCe/(CLu+CGd)と表記する。)を示す。
次に、種結晶を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。種結晶として、通常の結晶育成法で得られたLuとGdとCeとSiとを含む金属酸化物からなる単結晶を切り出したものを用いた。なお、この単結晶は結晶育成後、切り出し(切削)前に粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)により、結晶構造が空間群C2/cに属する単結晶であることが確認された。
次いで、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が25mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した(冷却固化工程)。得られた単結晶インゴットは、結晶質量約200〜300gであった。
Figure 2006002084
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。その結果、実施例1〜12に係るいずれの単結晶も空間群C2/cに属するものであることが確認された。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した(切断工程)。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定し、実施例1〜12の無機シンチレータとした。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光パルス出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。
測定の結果、実施例1〜12の無機シンチレータから出力された蛍光パルスは、その立ち上がり時間がいずれも1ナノ秒以下であった。また、実施例1〜12の無機シンチレータから出力された蛍光パルスはいずれも、蛍光寿命τ1を示す第1蛍光成分と、蛍光寿命τ1よりも長い蛍光寿命τ2を示す第2蛍光成分とを含有していた。これらの蛍光成分を上述の方法により分離した上、各成分の蛍光寿命及び強度の時間積分値の比を常法により算出した。結果を表1に示す。なお、表1において、第1蛍光成分の強度の時間積分値をS1とし、第2蛍光成分の強度の時間積分値をS2としている。
また、得られた結果を、横軸がCeの含有割合(CCe/(CLu+CGd))、縦軸が蛍光寿命であるグラフにプロットした。結果を図4に示す。なお、図4中、菱形プロットはLuの含有割合(CLu/(CLu+CGd))が0.15、四角プロットはCLu/(CLu+CGd)が0.20、三角プロットはCLu/(CLu+CGd)が0.25、丸プロットはCLu/(CLu+CGd)が0.30の無機シンチレータに係るものである。また、塗りつぶしプロットは第1蛍光成分、白抜きプロットは第2蛍光成分に係るものである。
図4から、実施例1〜12の無機シンチレータにおいては、第1蛍光成分及び第2蛍光成分とも、その蛍光寿命がLuの含有割合CLu/(CLu+CGd)にほとんど依存しないことが判明した。また、第2蛍光成分の蛍光寿命はCeの含有割合(CCe/(CLu+CGd))が高くなるにつれて、若干長くなるのに対し、第1蛍光成分の蛍光寿命はCeの含有割合にほぼ反比例して短くなることがわかった。
さらには、Ceの含有割合が0.002以上である無機シンチレータは、(τ2/τ1)が7.5以下となることが分かった。また、Ceの含有割合が0.005以上である無機シンチレータは、(τ2/τ1)が3.5以下となることが分かった。なお、CCe/(CLu+CGd)が0.02を超えると、結晶の着色が濃くなり、また、結晶育成が困難となる傾向にあった。
(比較例1〜5)
図3に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)をそれぞれ所定量投入し、これらの混合物450〜470gを得た。なお、比較例毎に、上記所定量を変化させた。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:CeαGd2−αSiO)を得た。表2に、投入した原料中に含有されるLuの数(以下、「CLu」と表記する。)及びGdの数(以下、「CGd」と表記する。)の合計に対するCLu、CGd及びCeの数(以下、「CCe」と表記する。)の割合(以下、それぞれCLu/(CLu+CGd)、CGd/(CLu+CGd)、CCe/(CLu+CGd)と表記する。)を示す。
次に、種結晶を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。種結晶として、通常の結晶育成法で得られたGdとCeとSiとを含む金属酸化物からなる単結晶を切り出したものを用いた。なお、この単結晶は結晶育成後、切り出し(切削)前に粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)により、結晶構造が空間群P2/cに属する単結晶であることが確認された。
次いで、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が25mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した。得られた単結晶インゴットは、結晶質量約200〜300gであった。
Figure 2006002084
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。その結果、比較例1〜5に係るいずれの単結晶も空間群P2/cに属するものであることが確認された。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定し、比較例1〜5の無機シンチレータとした。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光パルス出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。
測定の結果、比較例1〜5の無機シンチレータから出力された蛍光パルスは、その立ち上がり時間がいずれも5ナノ秒以上であった。また、比較例1〜5の無機シンチレータから出力された蛍光パルスはいずれも、蛍光寿命τ1を示す第1蛍光成分と、蛍光寿命τ1よりも長い蛍光寿命τ2を示す第2蛍光成分とを含有していた。これらの蛍光成分を上述の方法により分離した上、各成分の蛍光寿命及び強度の時間積分値の比を常法により算出した。結果を表2に示す。なお、表2において、第1蛍光成分の強度の時間積分値をS1とし、第2蛍光成分の強度の時間積分値をS2としている。
また、得られた結果を、横軸がCeの含有割合(CCe/(CLu+CGd))、縦軸が蛍光寿命であるグラフにプロットした。結果を図5に示す。なお、塗りつぶしプロットは第1蛍光成分、白抜きプロットは第2蛍光成分に係るものである。
図5から、第1蛍光成分及び第2蛍光成分の蛍光寿命はいずれも、Ceの含有割合(CCe/(CLu+CGd))が高くなるにつれて短くなることがわかった。また、Ceの含有割合に関わらず、(τ2/τ1)がほぼ10でほとんど変化しないことが判明した。
本発明の無機シンチレータは、PETに搭載されるシンチレータ、高エネルギー物理研究用シンチレータなどとして利用することができる。
無機シンチレータから出力される蛍光パルス強度の経時変化を模式的に示すグラフである。 蛍光寿命の異なる2種類の蛍光成分の分離を説明するための模式的なグラフである。 本発明の無機シンチレータを製造するための製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施例に係る無機シンチレータの、Ce含有割合と蛍光寿命との関係を示すグラフである。 比較例に係る無機シンチレータの、Ce含有割合と蛍光寿命との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…単結晶(無機シンチレータ)、2…種子結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、13…抵抗加熱ヒータ、14…高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)、15…高周波誘導コイル、16…るつぼ支持棒、17…るつぼ、18…溶融液(融液)。

Claims (7)

  1. 放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、
    Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、
    空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、かつ
    下記式(1)及び(2)で表される条件を同時に満足する、無機シンチレータ。
    {ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
    {ACe/(ALu+AGd)}≧0.002 …(2)
    (式(1)及び(2)中、ALuは前記結晶中のLuの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示し、ACeは前記結晶中のCeの数を示す。)
  2. 下記式(3)で表される条件を満足する、請求項1記載の無機シンチレータ。
    0.005≦{ACe/(ALu+AGd)}≦0.02 …(3)
  3. 放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、
    Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、
    前記無機シンチレータに放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスが、蛍光寿命τ1を示す第1蛍光成分と、前記蛍光寿命τ1よりも長い蛍光寿命τ2を示す第2蛍光成分と、を含有し、かつ
    下記式(1)及び(4)で表される条件を同時に満足する、無機シンチレータ。
    {ALu/(ALu+AGd)}<0.50 …(1)
    (τ2/τ1)≦8 …(4)
    (式(1)中、ALuは前記結晶中のLuの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示す。)
  4. 下記式(5)で表される条件を満足する、請求項3記載の無機シンチレータ。
    (τ2/τ1)≦4 …(5)
  5. 下記式(6)で表される条件を満足する、請求項3又は4記載の無機シンチレータ。
    {(S1+S2)/S}≧0.90 …(6)
    (式(6)中、Sは前記蛍光パルス全体の強度の時間積分値を示し、S1は前記第1蛍光成分の強度の時間積分値を示し、S2は前記第2蛍光成分の強度の時間積分値を示す。)
  6. 下記式(7)で表される条件を満足する、請求項5記載の無機シンチレータ。
    0.10≦{S1/(S1+S2)}≦0.90 …(7)
  7. 単結晶である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無機シンチレータ。
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