JP2006000387A - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Abstract
【課題】高吸水性の1枚の洗濯物がドラム内に収容されている等、極端な偏心荷重が存在する場合でも、できる限り偏心量を減少させて脱水を立ち上げる。
【解決手段】ドラムを80rpmで回転させたときの偏心量が極端に大きい状態が10回繰り返されたならば極少量負荷であると判断し、通常のバランス調整実行時の回転速度(100rpm)よりも低い80rpmでバランス調整を実行して偏心量を或る程度減らす。その後、共振点に相当する速度よりも低い150rpmまで回転速度を上げて(S42,S44)30秒維持することで予備的な脱水を行う(S50)。この速度では脱水性能は高くないが、洗濯物から或る程度水を抜くことで重量を減少させ、次の脱水立ち上げの再試行時に偏心量が所定以下になる確率を高めることができる。また、洗濯物の撥水性が良好で予備脱水により偏心量が閾値以下に収まったならば(S56でYes)、予備脱水からそのまま高速脱水回転に立ち上げる(S58)。
【選択図】 図7
【解決手段】ドラムを80rpmで回転させたときの偏心量が極端に大きい状態が10回繰り返されたならば極少量負荷であると判断し、通常のバランス調整実行時の回転速度(100rpm)よりも低い80rpmでバランス調整を実行して偏心量を或る程度減らす。その後、共振点に相当する速度よりも低い150rpmまで回転速度を上げて(S42,S44)30秒維持することで予備的な脱水を行う(S50)。この速度では脱水性能は高くないが、洗濯物から或る程度水を抜くことで重量を減少させ、次の脱水立ち上げの再試行時に偏心量が所定以下になる確率を高めることができる。また、洗濯物の撥水性が良好で予備脱水により偏心量が閾値以下に収まったならば(S56でYes)、予備脱水からそのまま高速脱水回転に立ち上げる(S58)。
【選択図】 図7
Description
本発明はドラム式洗濯機に関し、更に詳しくは、遠心脱水の際に発生する振動を抑制又は低減する技術に関する。
ドラム式洗濯機では、周囲に多数の脱水穴を有する周面略円筒形状のドラムを水平又は傾斜した軸を中心に高速で回転させ、それによってそのドラム内に収容されている洗浄後の濡れた洗濯物に含まれる水を絞り出して飛散させることで脱水を行う。こうした遠心脱水の際に、洗濯物がドラムの周面内側で周方向に片寄って配置され、それによって軸周りに質量のアンバランス(つまり偏心荷重)があると、ドラムの回転速度を上げたときにドラムが大きく振動し、それに伴ってドラムを内装する外槽が振動して外箱内面に接触したり、外箱自体が振動して異常騒音の原因となったりする。
こうした遠心脱水時の振動や騒音を軽減することは、ドラム式洗濯機における大きな課題であり、従来より、様々な対策が講じられ、また提案されている。例えば特許文献1、2に記載のドラム式洗濯機では、ドラム内での洗濯物の片寄りなどに起因する偏心荷重の大きさを検知し、異常振動の発生のおそれが高い場合に運転を停止したり洗濯物の分散を再試行したりするようにしている。
また、遠心脱水時の振動抑制技術の一つとして、特許文献3、4に記載のものが知られている。これら文献に記載のドラム式洗濯機では、ドラムの両端面に円環状で中空であるバランス室を含むバランサを設けている。バランス室にあっては、その外周壁面から内方に放射状に隔壁が形成され、その隔壁によってバランス室内は、内周側が開放した多数の区画室に区画されている。バランス室内には所定量の液体が封入されており、各区画室の内周側の開放面を通して液体は区画室に出入りする。各区画室にほぼ等量の液体が貯留された状態で該液体に作用する遠心力が重力に勝るような回転速度でドラムを回転させると、各区画室内の液体はその区画室内に保持され、バランサ自体の偏心荷重はほぼゼロになる。この状態からドラムの回転速度を落として一部の区画室に貯留されている液体を落下させて他の区画室に移動させると、各区画室内の液量が不均一になり、それによってバランサ自体に偏心荷重が生じる。洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重がある場合でも、それを相殺し得るような位置にバランス室内の液体を移動させることで、ドラム全体の偏心荷重を小さくすることができ、それによって遠心脱水時の振動や騒音を抑制することができる。
しかしながら、上記のような技術によっても液体の移動や減少で調整可能な偏心量には限界があるから、この限界を超えるような偏心荷重が存在する場合にはバランス調整を最適に行ったとしても脱水立ち上げ時の振動を抑えることは困難である。特に問題になるものとして、吸水性が良好である比較的大形の洗濯物、例えばバスタオルやデニム地の衣類(典型的にはジーパンなど)、フリース地の衣類などが1枚だけドラム内に収容された場合には、洗濯物の分散による偏心荷重の低減は不可能であるため、吸水した洗濯物の重量が殆どそのまま偏心量となり得る。そのため、上記のようなバランス調整方法でも十分には偏心荷重を小さくすることができないばかりか、バランス調整を行うための比較的低い回転速度(例えば100rpm程度)でドラムを回転させたときにも外槽が外箱内面に接触してしまうほど大きな振動が発生する場合もある。
本発明はこうした課題を解決するために成されたもので、その目的とするところは、上記のようなバランス調整機能を備えた従来のドラム式洗濯機でも振動を十分に抑制することができる程度に偏心荷重を小さくして脱水を立ち上げることが難しかった洗濯物に対して、振動を抑制しつつ脱水を立ち上げて十分な脱水を完遂することができるドラム式洗濯機を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、洗濯物を収容したドラムを水平軸又は傾斜軸を中心に高速回転させることで該洗濯物の脱水を行うドラム式洗濯機において、
ドラム内での洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重を打ち消すような荷重をドラムに発生させるためのバランス調整手段と、
ドラムを後記予備的な脱水時の回転速度よりも低い範囲内の回転速度で回転させている状態で、前記バランス調整手段によりドラム全体の偏心量を所定の閾値以下にまで減少させるバランス調整制御手段と、
ドラム全体の偏心量が所定の閾値以下にまで減少した状態で、共振点に相当する回転速度よりも低く且つ或る程度の脱水作用を発揮し得る回転速度で以てドラムを回転させることで予備的な脱水を実行する予備脱水実行制御手段と、
を備えることを特徴としている。
ドラム内での洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重を打ち消すような荷重をドラムに発生させるためのバランス調整手段と、
ドラムを後記予備的な脱水時の回転速度よりも低い範囲内の回転速度で回転させている状態で、前記バランス調整手段によりドラム全体の偏心量を所定の閾値以下にまで減少させるバランス調整制御手段と、
ドラム全体の偏心量が所定の閾値以下にまで減少した状態で、共振点に相当する回転速度よりも低く且つ或る程度の脱水作用を発揮し得る回転速度で以てドラムを回転させることで予備的な脱水を実行する予備脱水実行制御手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係るドラム式洗濯機では、ドラム内での洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重が大きい場合に、バランス調整制御手段はバランス調整手段によりその偏心量を所定の閾値以下にまで減少させることを試みる。偏心量がこの所定の閾値以内に収まっている場合、ドラムの回転速度を共振点に相当する回転速度まで上げてしまうとドラムや該ドラムを内装する外槽の振動が許容範囲を超えてしまう可能性が高いものの、その回転速度よりは低い予備的脱水の回転速度にまでドラムの回転速度を上昇させただけであれば、ドラムや外槽の振動が高い確率で許容範囲に収まる。そこで、こうして偏心量を所定の閾値以下にまで減少させた状態で、予備脱水実行制御手段はドラムの回転速度を共振点に相当する回転速度よりも低く且つ或る程度の脱水作用を発揮し得る回転速度まで上昇させて、その速度で以て予備的脱水を実行する。
予備的脱水時の回転速度は通常の脱水運転の回転速度よりも遙かに低いため、脱水性能は低いものの、少なくとも洗濯物に含まれる水のうちの幾分かは洗濯物から吐き出され、洗濯物の重量の減少が期待できる。また、洗濯物が撥水性が良好である繊維(例えばフリース地など)から成るものである場合には、予備的脱水によってもかなりの割合の水抜けが生じる。したがって、予備的脱水によって洗濯物からの多量の水抜けが生じた結果、偏心量が大幅に減少して十分に小さくなった場合には、予備的脱水に引き続いてドラムの回転速度を上昇させ、本格的な脱水運転へと移行することができる。他方、予備的脱水から本格的な脱水運転へと移行可能であるほどには偏心量が減少しなかった場合でも、予備的脱水前の状態と比較すれば洗濯物の重量は減少しているから、例えば予備的脱水を行わない通常の脱水立ち上げ処理を実行した際に、バランス調整を行わずに脱水立ち上げが可能である程度に偏心量が小さくなるか、或いはバランス調整を行うことによって脱水立ち上げが可能である程度に偏心量が小さくなる可能性が高くなる。
例えば吸水性が非常に良好であるために多量の水を含んで重くなった洗濯物が1枚だけドラム内に収容されているような場合、洗濯物の釣り合いによる偏心量の低減は不可能であるため、洗濯物の撹拌とドラムの回転速度の上昇とを何度繰り返したとしても偏心量が小さくなる可能性は殆どない。また、こうした大きな重量の洗濯物の片寄りによって大きな偏心量が生じたときには、バランス調整手段を用いてバランス調整を行っても偏心量を所定の許容値(ドラムの回転速度を共振点に相当する回転速度以上に上げたときにドラムや外槽の振動が許容範囲内に収まるような閾値)以下に収めることができない可能性が高い。こうした状況下において、上述したように予備的脱水によって洗濯物の重量自体を減少させるようにすれば、その後に脱水立ち上げを成功させて脱水運転に進むことができる確率が高まる。それによって、脱水所要時間を短縮化することができるとともに、脱水を完遂できずに次行程に進んだり運転を停止したりするケースを減らすことができる。
なお、本発明に係るドラム式洗濯機において、予備脱水実行制御手段は、所定時間の予備的脱水を行う毎に洗濯物からの水抜け状況を確認し、洗濯物からの水抜けが有った場合に予備的脱水を継続する構成とするとよい。洗濯物からの水抜け状況を確認する具体的な方法としては、例えば、予備的脱水前後の偏心量を比較して偏心量が所定量以上減少している場合に水抜けが有ったと判断することができる。
この構成によれば、予備的脱水によって洗濯物から水抜けが有る間は予備的脱水を継続し、その水抜け作用が無くなったら、つまり水抜けが飽和したならば、速やかに予備的脱水を終了することができる。それによって、予備的脱水によって洗濯物の重量を最大限減少させることができるとともに、脱水効果が無いにも拘わらず無駄に予備的脱水を継続して時間を浪費してしまうことを防止することができる。
本発明に係るドラム式洗濯機の一態様として、ドラム内の洗濯物に作用する遠心力と重力とが均衡するような均衡回転速度以上であって、前記バランス調整を実行する際の回転速度と同じ又はそれよりも低い回転速度で以てドラムを回転させたときに検知した偏心量に基づいて、前記バランス調整手段によるバランス調整を実行してもドラムの回転速度を共振点に相当する回転速度以上に上昇させた場合に許容範囲を超える振動が発生する可能性が高い異常偏心状態であると判断する判断手段をさらに備え、前記バランス調整制御手段は、該判断手段により異常偏心状態であると判断されたときに前記バランス調整手段によりドラム全体の偏心量を所定の閾値以下にまで減少させ、前記予備脱水実行制御手段は予備的脱水を実行する構成とすることができる。
この構成では、まず判断手段は、異常偏心状態である場合でも振動が問題とならないような低い回転速度で以てドラムを回転させたときに検知した偏心量に基づいて、異常偏心状態であるか否かを判定する。異常偏心状態でなければ、そもそもバランス調整手段によるバランス調整を行った上での予備的脱水は不要であるので、例えば予備的脱水を行うことのない通常の脱水立ち上げ処理を実行する。一方、異常偏心状態であると判断されたときには、上述したようにバランス調整を行って偏心量を所定の閾値以下に収めた上でドラムの回転速度を上げて予備的脱水を行う。このようにして、予備的脱水が不要である場合には通常の脱水立ち上げ処理に移行することで脱水立ち上げに要する時間を短縮化することができる。また、予備的脱水を行わずに回転速度を上げることが困難であるほど偏心量が大きい場合には、脱水立ち上げを試みる間に異常な振動を発生させることなく、洗濯物の重量を減少させて脱水立ち上げが成功する確率を高めることができる。
また具体的には、前記判断手段は、前記均衡回転速度以上での回転速度における偏心量の検知と該均衡回転速度以下での洗濯物の撹拌運転又は回転停止とを交互に繰り返し実行し、所定回数続けて前記偏心量が所定値を超えていたときに異常偏心状態であると判断する構成とするとよい。
多数の洗濯物がドラム内に収容されていて本来であれば適切に洗濯物を分散させて偏心量を十分に小さくできるような場合であっても、ドラムの回転速度を均衡回転速度以上に上昇させたときに、たまたま洗濯物が片寄ってしまって偏心量が大きくなってしまうこともあり得る。上記構成によれば、1回の偏心量の判断によって異常偏心状態であるか否かを決めるのではなく、所定回数続けて偏心量が所定値を超えていたときに異常偏心状態であると判断しているので、上述の如く、例えば吸水性の良好な洗濯物が1枚だけドラム内に収容されているような極少量負荷であって洗濯物の分散配置では偏心量を小さくすることができないような状況を、正確に把握することができる。
また、具体的な一態様として、バランス調整手段は、ドラムと同心且つ一体に回転可能に形成され、内部が中空である密閉環状体と、該環状体の内部に封入された液体と、を含み、前記密閉環状体の内部には外周面側から複数の隔壁が放射状に内方に突設され、隣接する隔壁の間に、内周面側で互いに連通し、遠心力によって外周面側に前記液体を保持可能な複数の区画室を前記貯液槽として有するものであり、
バランス調整制御手段は、上記バランス調整手段の区画室内に保持された液体に作用する遠心力が重力に勝る回転速度でドラム及びバランス調整手段を回転させている状態から、一時的にその回転速度を低下させることで、各区画室に保持されている液体を他の区画室に移動させるものである構成とすることができる。
バランス調整制御手段は、上記バランス調整手段の区画室内に保持された液体に作用する遠心力が重力に勝る回転速度でドラム及びバランス調整手段を回転させている状態から、一時的にその回転速度を低下させることで、各区画室に保持されている液体を他の区画室に移動させるものである構成とすることができる。
バランス調整手段が上記構成である場合、バランス調整時に、遠心力によって各区画室内に安定的に液体が保持されている状態から一時的にその遠心力を重力よりも下回るようにすることが望ましく、そのためには減速前のドラムの回転速度は上記均衡回転速度から或る程度離れていることが望ましい。しかしながら、上述したような異常偏心状態である場合には、均衡回転速度からそれほど回転速度を上げていないにも拘わらず振動が発生すしてしまう場合もあり、バランス調整の最適性を多少犠牲にしてもできるだけ低い回転速度で以てバランス調整を実行することが好ましい。そこで本発明に係るドラム式洗濯機において、好ましくは、バランス調整制御手段は、前記判断手段により異常偏心状態であると検知されたときには、異常偏心状態でない場合に実行されるバランス調整時の回転速度よりも低い回転速度で以てドラムを回転させている状態でバランス調整を実行する構成とするとよい。
この構成によれば、異常偏心状態であるときにバランス調整前及びバランス調整中に発生する振動をできるだけ小さく抑制することができ、静粛性を高めるのに有効である。また、異常偏心状態ではないときに偏心量を抑制するべくバランス調整を実行する際には、より確実性の高いバランス調整が行え、ドラム全体の偏心量をできるでけ小さくして脱水を立ち上げることができる。
また、本発明に係るドラム式洗濯機の一態様として、前記予備脱水実行制御手段による予備的脱水の後に偏心量を検知し、該偏心量が所定の許容値以下に収まっているか否かによって共振点に相当する回転速度以上への回転速度の上昇の可否を判定する脱水立ち上げ判定手段をさらに備える構成とするとよい。
この構成によれば、洗濯物の撥水性が良好であって予備的脱水によって洗濯物の重量が大きく減少した結果、偏心量が大幅に減少して十分に小さくなった場合、つまり偏心量が所定の許容値以下に収まった場合に、そのまま予備的脱水に引き続いてドラムの回転速度を上昇させ、本格的な脱水運転へと移行することができる。それにより、脱水立ち上げに要する時間を平均的に短縮することができる。
以下、本発明の一実施例であるドラム式洗濯機について図面を参照して説明する。
図1は本実施例のドラム式洗濯機の外観斜視図、図2は本ドラム式洗濯機の要部の右側面縦断面図、図3は本ドラム式洗濯機の要部の正面縦断面図である。
外形を成す外箱1は上面から前面に掛けて前下がり湾曲形状に形成されており、この部分に大きな洗濯物投入口2が形成されている。この洗濯物投入口2を開閉するための上蓋3は短冊状のスラットが複数連結された構成を有しており、前後方向にスライド移動自在であって、上蓋3が閉鎖した状態で右側方に設けられた蓋開ボタン9を使用者が押すと、上蓋3は図1中に矢印で示すように後方に自動的にスライドして洗濯物投入口2が開放する。開放した状態の上蓋3を閉める際には、使用者は上蓋3の上面手前側に設けられた把手4に指を掛けて手前に引く。上蓋3が洗濯物投入口2を完全に閉鎖する位置まで達すると、図示しないラッチ機構により上蓋3はラッチされて閉鎖状態を保つ。
上蓋3の右側には、前後方向に延伸して複数の操作キーや表示器が設けられた操作パネル5が配置されている。なお、比較的使用頻度の低い操作キーの一部は後方側に起立自在の蓋体で覆われている。また、上蓋3を挟んで操作パネル5と反対側の左方後方には、横開き式の蓋体で覆われた洗剤容器6が設けられている。さらに、洗剤容器6の後方に外部の給水栓等にホースを介して接続される水道水給水口7が設けられ、操作パネル5の後方には別のホースを介して風呂の浴槽内等に接続される風呂水給水口8が設けられている。
次に、本ドラム式洗濯機の内部構成について図2、図3により概略的に説明する。
台座部10の上には、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞された外槽11が、外箱1の左右側面にそれぞれ端面が対向する状態で、左右両側上方から吊下げ支持する図示しない二本のスプリングと、前後方向に外槽11の下部を支え受ける二本のダンパ13とにより適度に揺動自在に保持されている。外槽11の内部には、多数の通水穴14aが穿孔された、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞されたドラム14が、左右方向に延伸する水平軸線Cを中心に回転自在に設けられている。このドラム14の内周面には、周方向に約120°間隔で3個のバッフル14bが取り付けられている。
台座部10の上には、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞された外槽11が、外箱1の左右側面にそれぞれ端面が対向する状態で、左右両側上方から吊下げ支持する図示しない二本のスプリングと、前後方向に外槽11の下部を支え受ける二本のダンパ13とにより適度に揺動自在に保持されている。外槽11の内部には、多数の通水穴14aが穿孔された、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞されたドラム14が、左右方向に延伸する水平軸線Cを中心に回転自在に設けられている。このドラム14の内周面には、周方向に約120°間隔で3個のバッフル14bが取り付けられている。
ドラム14の左端面中央に固着された主軸15は、外槽11の左端面に固定された第1軸受ケース17に保持される軸受18により支承される。他方、ドラム14の右端面中央に固着された補助軸16は、外槽11の右端面に固定された第2軸受ケース19に保持される軸受20により支承される。この主軸15及び補助軸16により、ドラム14の回転軸である水平軸線Cが形成される。
外槽11の左端面から左方へと突出した主軸15の先端には、アウタロータ型の直流モータであるドラムモータ21の円盤状のロータ21bが固定され、一方、モータ台を兼ねる第1軸受ケース17にはドラムモータ21のステータ21aが固定され、ステータ21aとロータ21bの磁石とは対面している。図示しない制御回路からステータ21aに駆動電流が供給されるとそれに応じてロータ21bが回転し、主軸15を介してロータ21bと同一の回転速度で以てドラム14が回転駆動される。
外槽11の周面の上部から斜め前方にかけて、外箱1の洗濯物投入口2と一致する位置に外槽開口11aが形成され、外槽開口11aを開閉するために、左右方向に水平に延在する内蓋軸22を中心に後方に起立自在の内蓋23が設けられている。また、ドラム14の周面にもドラム開口14cが形成され、このドラム開口14cを開閉するために、前後に観音開き構造を有する二枚の蓋体25a、25bから成るドラム蓋25が設けられている。ドラム14は回転可能であるから、ドラム蓋25の開閉動作時にはドラム開口14cと外槽開口11aとが径方向に一致した位置でドラム14を停止させ、その状態を維持する必要がある。そこで、ドラム14の位置を固定するために、外槽11左端面にあってステータ21aの下方にはドラムロック装置26が設けられている。このドラムロック装置26は、内蔵されたトルクモータ26aの動作によって係合ピン26bが上下方向に進退する構成となっており、進出した係合ピン26bがロータ21bの所定回転位置に形成されている凹部21cに噛み合うことによって、ドラム14は回転しないようにロックされる。
さらにまた、ドラム14の両端面の外周側には、脱水時にドラム14を高速で回転させた際に洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重によるドラム14の振動を抑制するべく、本発明におけるバランス調整手段としての、円環状で中空体であるバランス室27を含むバランサが取り付けられている。このバランサを用いた振動抑制動作については後述する。なお、ここでは詳しく述べないが、外槽11の右側面外側には、ファンモータ、乾燥用ヒータ、水冷除湿器等を含む加熱・送風装置が配設されており、補助軸16の周囲からドラム14内に高温の乾燥風を送り込み、ドラム14内で湿った洗濯物との熱交換によって発生した湿気を含む空気を外槽11から取り出して除湿・乾燥させて循環的に利用するようにしている。
図4は本実施例のドラム式洗濯機の要部の電気系構成図である。後述する回転センサ21dなどとともに本発明におけるバランス調整制御手段、予備脱水実行制御手段、判断手段及び脱水立ち上げ判定手段として機能する制御部30は、CPU、ROM、RAM、タイマなどを含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに格納されている制御プログラムに基づいて、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥の各行程の運転動作を行うための各種の制御を実行する。
制御部30には、使用者が各種設定や指示を与えるために操作パネル5に設けられた操作部5aからキー入力信号が与えられるとともに、外槽11内に貯留された水の水位を検知する水位センサ33、外槽11内に貯留された水の温度を検知したり乾燥運転時に乾燥風の温度を検知したりするための温度センサ34、上記ドラムロック装置26に内蔵され、ドラムロック状態か解除状態かを検知するためのドラムロック検知部26cなどから、それぞれ検出信号が入力される。
制御部30にはインバータ駆動部32が接続されており、ドラムモータ21の回転に同期したパルス信号を発生する回転センサ21dからの信号を受けつつ、インバータ駆動部32を介してドラムモータ21の回転を制御する。回転センサ21dはホール素子を利用した位置センサであり、ここではドラムモータ21の一回転当たり(つまりドラム14の一回転当たり)72個のパルス信号を等回転角度間隔で発生する。したがって、ドラムモータ21が正確に一定速度で回転している場合にはパルス信号は等時間間隔で発生し、制御部30は隣接するパルス信号の時間間隔によってドラムモータ21の回転速度を検出することができる。
また制御部30には負荷駆動部31が接続されており、この負荷駆動部31を介して加熱・送風装置に含まれるファンモータ35及び乾燥用ヒータ37、外槽11内への給水を制御する給水バルブ38、外槽11内からの排水を制御する排水バルブ39、ドラムロック装置26に内蔵されたトルクモータ26aなどの動作をそれぞれ制御する。さらにまた、制御部30は操作部5aの操作に応じた表示や運転進行状況を知らせるための表示を行うべく表示部5bに表示信号を送る。
次に、バランサの具体的な構成及びその振動抑制動作について、図5を参照して説明する。まず、構成について説明すると、バランス室27は内部に所定量の液体(塩化カルシウム溶液など)が封入された円環状中空体であって、その内部には外周壁面271からL字形状に延出する隔壁272が所定角度間隔で放射状に設けられている。この隔壁272によって、内部に封入された液体の自由な移動が妨げられる。したがって、バランス室27内に封入されている液体に作用する遠心力が重量に勝るような回転速度でドラム14を回転させると、液体は各区画室274内で外周側に片寄り、各区画室274内に保持される。つまり、区画室274間での液体の移動は起こらないので、各区画室274はその内部に保持している液体の重量の分だけ、それぞれの位置に重錘を付加したものとみなすことができる。
この状態では、全ての区画室274に同量の液体が保持されている場合、バランサによる偏心荷重は殆どゼロであるとみなすことができる。一方、液体が特定の1乃至複数の区画室274内に片寄って保持されている場合には、バランサによって回転軸周りにアンバランスが生じ偏心荷重が存在することになる。ドラム14の内周面に張り付いた状態で回転している洗濯物の片寄りによって偏心荷重が生じている場合、その洗濯物に起因する偏心荷重と釣り合うような位置にバランサの偏心荷重を意図的に生じさせれば、ドラム14全体の偏心荷重は減少する。バランサで生じる偏心荷重の位置と偏心量とを適切に制御すれば、ドラム14全体の偏心量を振動の観点から問題のない程度にまで小さくすることができる。
バランサを用いたバランス調整の実行手順は次の通りである。まず、バランス調整動作の開始時には、バランス室27内の液体に作用する遠心力が重力とほぼ均衡する程度の回転速度(本ドラム式洗濯機の場合には65〜75rpm程度)でドラム14を回転させる。このとき、バランス室27の各区画室274において外周側に存在する液体は遠心力によって張り付き、各区画室274の内周側に存在する液体は重力によって落下して他の区画室274へと移動する。このため、ドラム14を上記回転速度で暫時回転させると、全ての区画室274内に存在する液体の量をほぼ同程度にすることができる。このように液量が平均化された状態では、バランサによる偏心荷重はほぼゼロとなり、洗濯物の片寄りによる偏心荷重Wのみがドラム14全体の偏心荷重となる(図5(a))。
次いでドラム14の回転速度を少し上昇させる(通常100rpm程度)ことにより、各区画室274に保持されている液体に加わる遠心力を増加させ、液体の保持状態を安定させる。そして、一定速度制御の状態で、ドラム14(又はロータ21b)の回転速度の変動に基づいてドラム14全体の偏心荷重を検知し、検知した偏心荷重の位置に応じた所定のタイミングで以てドラム14の回転速度を短時間だけ減速させる。すると、液体に作用する遠心力が減少するから、図5(b)に示すように、ドラム14の上方に持ち上げられつつある区画室274a、274b、274cから液体がこぼれ落ちて下方を通過している他の区画室に入る。
なお、上記減速直前には、図5(a)に示すように、回転上方に位置している区画室からは液体が比較的こぼれ落ち易い状態になっているのに対し、回転上方を通り過ぎて回転下方に進みつつある区画室では、隔壁272の突片部273が液体のこぼれを堰き止める役割を果たすので、液体はこぼれにくい状態である。そのため、上記のように一時的に減速したときに、回転上方に持ち上げられつつある区画室及び既に上方に位置している区画室からは液体がこぼれ落ちるものの、回転下方に向かって進んでいる区画室内の液体はこぼれ落ちずに保持される。すなわち、所望の区画室内に収容されている液体のみが高い確度で落下するから、減速のタイミングを適切に決めることによって洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重Wが存在する位置近傍の区画室内の液量を減少させて、それに対向する位置近傍の区画室内の液量を増加させることができる。
上記のような減速動作を1乃至複数回繰り返すことにより、最終的には図5(c)に示すように、偏心荷重Wが存在する位置近傍の区画室274a、274b、274c内の液体は殆どなくなり、それに対向している区画室近傍では液量が増加する。これにより、バランサによる偏心荷重と洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重とがうまくバランスし、ドラム14全体の偏心荷重は小さくなる。本実施例のドラム式洗濯機では、上記のようにバランサを利用した積極的なバランス調整によって、洗濯物の偏在による偏心荷重を相殺して小さくすることができる。
本実施例のドラム式洗濯機は、上記のようなバランサを利用したバランス調整を含む、脱水行程における振動抑制のための制御に大きな特徴を有している。以下、その特徴的な制御について図6、図7の制御フローチャートを参照して説明する。なお、この洗濯機では、洗い運転や最終すすぎを除くすすぎ運転の後に中間脱水を行い、最終すすぎの後には最終脱水を行うが、ここでいう脱水行程とは中間脱水と最終脱水の両方を含む。
脱水行程が開始されると、制御部30は初期設定として繰り返し回数変数であるCT及び予備脱水実行の有無を示すフラグF1を0にリセットする(ステップS10)。そして、インバータ駆動部32を介してドラムモータ21を作動させ、ドラム14の回転速度を80rpmまで上昇させるべく制御する(ステップS12)。この回転速度は、後述するように最も振動が発生し易い極少量負荷の場合であっても、その洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重によって振動する外槽11が外箱1内面に接触することないような速度である。換言すれば、極少量負荷の場合には、この回転速度を超えて共振点(250rpm前後で負荷量に依存する)よりも格段に低い例えば100rpm程度の回転速度でも外槽11が外箱1内面に接触するような振動が発生するおそれがある。
回転センサ21dにより得られるパルス信号に基づいて回転速度が80rpmに到達したことが検知されると(ステップS14でYes)、回転速度を80rpmに保つように速度制御を行い、その状態で偏心量検知処理を実行する(ステップS16)。偏心量の求め方は、ドラム14の回転速度を80rpmに維持するように制御しているときの実際の回転速度の変動に基づく。すなわち、ドラム14内に偏心荷重が存在している場合、ドラム14の回転に伴って偏心荷重がドラム14上方から下方に向かうときにはその偏心荷重はドラム14を加速するように作用し、逆に偏心荷重がドラム14下方から上方に向かうときにはドラム14を減速させるように作用する。その加速及び減速作用によってドラム14が1回転する間に回転速度は微妙に変動するため、ドラム14(又はロータ21b)の1回転期間の等回転角度毎に回転センサ21dから得られるパルス信号の時間間隔を計測することによって検知される速度変化に応じて、偏心荷重の量を推算する。このときに検知された偏心量をP1とする。
次に制御部30はフラグF1が1であるか否かを判定し(ステップS18)、1である場合には通常の脱水立ち上げ処理へ移行する(ステップS22)。後述するが、フラグF1は回転速度150rpmの定速回転での予備脱水を実行したときに洗濯物からの水抜けがなくなったと判断したときに1にセットされる。すなわち、フラグF1が1である場合には、洗濯物からの水抜けが無くなるまで後述の予備脱水が既に実行されたことを意味しているから、再びステップS20以降の処理を実行しても偏心量の抑制は期待できないので、再びその処理を繰り返すことのないように通常の脱水立ち上げ処理に移行する。なお、通常の脱水立ち上げ処理については後で述べる。
ステップS18でフラグF1が0である場合には、次に偏心量P1が閾値Wa以下であるか否かを判定する(ステップS20)。偏心量P1が閾値Wa以下である場合には、通常の脱水立ち上げ処理で十分にバランス調整が行えると判断し、上記ステップS22へと進む。ステップS20で偏心量P1が閾値Waを超えている場合には、偏心量P1が異常に大きく極少量負荷の可能性があると判断し、まず既に極少量負荷と判断された後であるか否かを判定し(ステップS24)、極少量負荷との判断後でない場合には、変数CTをインクリメントした後に(ステップS26)、その変数CTが10を超えているか否かを判定する(ステップS27)。ここで変数CTが10を超えていない場合には、洗濯物が撹拌されるような回転速度、例えば45〜65rpm程度の範囲内の回転速度までドラム14を減速させてほぐし運転を実行し(ステップS34)、ステップS12へと戻る。
ステップS12→S14→S16→S18→S20→S24→S26→S28→S34という処理を繰り返した場合に、その1回毎に変数CTは1ずつ増加され、変数CTが10を超えると、ステップS28からS30に進んで極少量負荷であると判断する。すなわち、上述したようにステップS20では極少量負荷の可能性があると判断しているが、10回連続して同じ処理が繰り返されたときに極少量負荷である(異常偏心状態である)と結論付けてステップS32へと進む。上記ステップS24で極少量負荷との判断後であると判定されたときには、当然のことながらステップS26、S28、S20の処理は不要であるので、ステップS34の処理へとジャンプする。
続いて、制御部30は偏心量P1が閾値Wb以下であるか否かを判定する(ステップS32)。前述したようにバランサを利用したバランス調整には調整限界があり、偏心量P1が大き過ぎる場合には、バランサを利用したバランス調整で最適に調整したとしても偏心量が次の閾値Wc以下とならない。そこで、ステップS32で偏心量P1が閾値Wbを超えていると判定されたときにはバランス調整動作が無駄であると判断して、上記ステップS34へと進む。一方、ステップS32で偏心量P1が閾値Wb以下であると判定されると、回転速度を80rpmに維持して上述したようなバランサを用いたバランス調整動作を実行する(ステップS36)。すなわち、偏心荷重の回転位置を検知し、偏心荷重が所定の回転位置に来たときに一時的に回転速度を落としてバランス室27内の液体を洗濯物の片寄りによる偏心荷重と対向する位置付近に移動させる。それによって、ドラム14全体の偏心荷重が小さくなるようにする。通常のバランス調整は回転速度100rpmで行うのに対し、偏心量が閾値Waを超えるような大きな偏心が存在する場合には100rpmでも振動が大きくなる可能性があるため、より低い回転速度で以てバランス調整を行う点のみが異なる。
そうしたバランス調整動作を実行した後に、上記ステップS16と同様の方法で偏心量を検知し(ステップS38)、そのときに検知された偏心量P2が閾値Wc以下であるか否かを判定する(ステップS40)。閾値Wcは閾値Wbよりもさらに小さな値であり、回転速度を150rpまで上昇させたときに、外槽11が振動してもその振動が外箱1内面に接触しない程度に収まることが保証されるような許容値である。
バランス調整後に偏心量P2が閾値Wcを超えている場合には(ステップS40でNo)、回転速度を80rpmから150rpmまで上昇させるだけで異常振動が発生してしまうおそれが高いから、ステップS36へ戻ってバランス調整をやり直す。バランサを用いたバランス調整はドラム14の減速によってバランス室27内の液体を移動させるものであるから、必ずしも1回で成功するとは限らないが複数回繰り返す間にはかなり高い確率で良好な(閾値Wc以下に収まるような)バランス調整が達成される。
ステップS40で偏心量P2が閾値Wc以下である場合には、制御部30はドラム14の回転速度を150rpmまで上昇させるようにインバータ駆動部32を制御する(ステップS42)。そして、回転センサ21dにより得られるパルス信号に基づいて回転速度が150rpmに到達したことが検知されると(ステップS44でYes)、回転速度を150rpmに保つように速度制御を行い、その状態で上記ステップS16と同様の方法で偏心量を検知する(ステップS46)。上述したようにステップS36、S38、S40の処理によって偏心量が抑えられているので、ドラム14が150rpmで回転しているときには少なくとも外槽11が外箱1内面に接触するような異常な振動は発生しない。
ステップS46で偏心量が検知されたならば、その偏心量P3が閾値Wd以下であるか否かを判定する(ステップS48)。上記ステップS38で偏心量P2が検知された時点から殆ど偏心量は変化していない筈であるので、閾値Wdを上記閾値Wcと同一又はほぼ同一としておけば、ステップS48でNoと判定されるケースは実質的には殆どないが、もし偏心量P3が閾値Wdを超えている場合にはそのまま150rpmでの予備脱水を実行すると異常振動が発生する可能性があるため、ステップS36へと戻ってバランス調整を再試行する。
一方、偏心量P3が閾値Wd以下であると判定されると、次に回転速度を150rpm一定に維持するように速度制御を行いつつ30秒間が経過するまで待つことにより、予備脱水を実行する(ステップS50)。このときの回転速度は通常の脱水時の回転速度(800〜1000rpm)に比べて遙かに低く脱水性能は高くないが、或る程度の吸水量の減少は見込めるし、洗濯物が例えばフリース地のようにきわめて撥水性の高い繊維から成る場合には、この程度の回転速度でもかなりの吸水量の減少が見込める。それによって洗濯物の重量が減る。極少量負荷の場合には、予備脱水による洗濯物の重量の減少は偏心量の減少となって現れるから、予備脱水後に上記ステップS46と同様に偏心量P4を検知し(ステップS52)、その後にステップS50の30秒の定速運転により洗濯物からの水抜けが有ったか否かを判定する(ステップS54)。
水抜けの有無の判定としては、例えば30秒の定速運転の前後の偏心量を比較し、偏心量の検知誤差などを考慮した所定量以上、偏心量が減少していたならば水抜けが有ったものと判断するようにするとよい。ステップS54で水抜け有りと判定されたときには、偏心量P4が閾値We以下であるか否かを判定し(ステップS56)、偏心量P4が閾値We以下であれば、そのまま高速脱水回転まで立ち上げても振動が許容範囲に収まる(例えば外槽11が振動しても外箱1内面には接触しない)ものと判断し、高速脱水立ち上げに移行する(ステップS58)。
一方、ステップS54で水抜けが無いと判定された場合には、洗濯物の撥水性が悪いために150rpm程度の回転速度では脱水が行われにくいか、或いは、この回転速度で可能な脱水がほぼ飽和してしまっているものと判断できる。そのため、これ以上、予備脱水を継続しても洗濯物の重量が減少することが期待できない。そこで、フラグF1を1にセットしてから(ステップS60)洗濯物が撹拌されるような回転速度までドラム14を減速させて(又は一旦停止させ)ほぐし運転を実行し(ステップS62)、ステップS12へと戻る。上述したようにこのようにしてステップS12へと戻る場合には、フラグF1が1になっているため、次にはステップS18から必ずS22へと進むこととなり、予備脱水を実行しない通常脱水立ち上げ処理に移行することになる。
ステップS56で偏心量P4が閾値Weを超えていると判定されたときにはそのまま脱水を立ち上げることはできないものの、予備脱水を続行することで偏心量がさらに減少することが期待できる。そこでステップS56からS50に戻って、再び150rpmのドラム回転速度で30秒間の予備脱水を実行する。洗濯物の撥水性が良好である場合には、こうして予備脱水を複数回繰り返して偏心量P4が閾値We以下になった時点で、ドラム14の回転速度をさらに上昇させて高速脱水回転まで立ち上げることができる。また、それ以外の場合でも、ステップS54で水抜けが無しと判定されるまで、つまり予備脱水により最大限洗濯物の重量を減少させた状態で、ドラム14の回転を落として通常の脱水立ち上げに移行することができる。
ステップS22の通常脱水立ち上げ処理では、具体的には、予備脱水を実行する手順が省略されているとともに、バランス調整を行う際のドラム14の回転速度がステップS36のバランス調整の回転速度よりも高い100rpmに設定されている。すなわち、例えばドラム14の回転速度を100rpmまで上昇させた状態で偏心量検知を実行し、そのときの偏心量によって、
(1)高速脱水回転までドラム14の回転速度を上昇させる
(2)100rpmの回転速度で以てバランサを利用したバランス調整を実行し、バランス調整の結果、偏心量が小さくなったならば高速脱水回転までドラム14の回転速度を上昇させる
(3)ドラム14を減速させてほぐし運転から脱水立ち上げを再試行する
のいずれかを決定する。バランス調整をより高い回転速度で行うことによって、区画室274に収容されている液体に作用する遠心力が重力よりも十分に大きくなり、回転途中で一部がこぼれて他の区画室に入ることがなくなり、より確実なバランス調整を達成することができる。
(1)高速脱水回転までドラム14の回転速度を上昇させる
(2)100rpmの回転速度で以てバランサを利用したバランス調整を実行し、バランス調整の結果、偏心量が小さくなったならば高速脱水回転までドラム14の回転速度を上昇させる
(3)ドラム14を減速させてほぐし運転から脱水立ち上げを再試行する
のいずれかを決定する。バランス調整をより高い回転速度で行うことによって、区画室274に収容されている液体に作用する遠心力が重力よりも十分に大きくなり、回転途中で一部がこぼれて他の区画室に入ることがなくなり、より確実なバランス調整を達成することができる。
以上説明したように本実施例のドラム式洗濯機では、通常脱水立ち上げ処理では脱水立ち上げが困難であるような極少量負荷である場合に、バランス調整によって偏心量を或る程度減らした後に異常振動のおそれがない程度の低い回転速度で以て予備脱水を行い、予備脱水によって洗濯物から水を或る程度吐き出させることで洗濯物の重量を減少させるようにしているので、その後に通常脱水立ち上げ処理を試行した際に偏心量を相対的に小さくして脱水運転に移行する確率を向上させることができる。また、極少量負荷の洗濯物がフリース地のように撥水性がきわめて良好であるものの場合には、予備脱水によって洗濯物の重量を大きく減じることで偏心量を小さくして、そのまま脱水立ち上げを行うことができる可能性もある。いずれにしても、従来のドラム洗濯機よりも脱水立ち上げに成功する確率が高まり、脱水立ち上げ不能でエラーとなってしまうケースや脱水を省略して次の行程に進むケースなどの発生を減少させることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で、適宜に変更、修正又は追加を行えることは明らかである。
1…外箱
11…外槽
14…ドラム
15…主軸
16…補助軸
21…ドラムモータ
21a…ステータ
21b…ロータ
21c…凹部
21d…回転センサ
27…バランス室
30…制御部
31…負荷駆動部
32…インバータ駆動部
11…外槽
14…ドラム
15…主軸
16…補助軸
21…ドラムモータ
21a…ステータ
21b…ロータ
21c…凹部
21d…回転センサ
27…バランス室
30…制御部
31…負荷駆動部
32…インバータ駆動部
Claims (6)
- 洗濯物を収容したドラムを水平軸又は傾斜軸を中心に高速回転させることで該洗濯物の脱水を行うドラム式洗濯機において、
ドラム内での洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重を打ち消すような荷重をドラムに発生させるためのバランス調整手段と、
ドラムを後記予備的な脱水時の回転速度よりも低い範囲内の回転速度で回転させている状態で、前記バランス調整手段によりドラム全体の偏心量を所定の閾値以下にまで減少させるバランス調整制御手段と、
ドラム全体の偏心量が所定の閾値以下にまで減少した状態で、共振点に相当する回転速度よりも低く且つ或る程度の脱水作用を発揮し得る回転速度で以てドラムを回転させることで予備的な脱水を実行する予備脱水実行制御手段と、
を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。 - 前記予備脱水実行制御手段は、所定時間の予備的脱水を行う毎に洗濯物からの水抜け状況を確認し、洗濯物からの水抜けが有った場合に予備的脱水を継続することを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
- ドラム内の洗濯物に作用する遠心力と重力とが均衡するような均衡回転速度以上であって、前記バランス調整を実行する際の回転速度と同じ又はそれよりも低い回転速度で以てドラムを回転させたときに検知した偏心量に基づいて、前記バランス調整手段によるバランス調整を実行してもドラムの回転速度を共振点に相当する回転速度以上に上昇させた場合に許容範囲を超える振動が発生する可能性が高い異常偏心状態であると判断する判断手段をさらに備え、前記バランス調整制御手段は、該判断手段により異常偏心状態であると判断されたときに前記バランス調整手段によりドラム全体の偏心量を所定の閾値以下にまで減少させ、前記予備脱水実行制御手段は予備的脱水を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のドラム式洗濯機。
- 前記判断手段は、前記均衡回転速度以上での回転速度における偏心量の検知と該均衡回転速度以下での洗濯物の撹拌運転又は回転停止とを交互に繰り返し実行し、所定回数続けて前記偏心量が所定値を超えていたときに異常偏心状態であると判断することを特徴とする請求項3に記載のドラム式洗濯機。
- 前記バランス調整制御手段は、前記判断手段により異常偏心状態であると検知されたときには、異常偏心状態でない場合に実行されるバランス調整時の回転速度よりも低い回転速度で以てドラムを回転させている状態でバランス調整を実行することを特徴とする請求項3又は4に記載のドラム式洗濯機。
- 前記予備脱水実行制御手段による予備的脱水の後に偏心量を検知し、該偏心量が所定の許容値以下に収まっているか否かによって共振点に相当する回転速度以上への回転速度の上昇の可否を判定する脱水立ち上げ判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2004-06-17 JP JP2004179864A patent/JP2006000387A/ja active Pending
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