JP4307335B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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本発明はドラム式洗濯機に関し、更に詳しくは、遠心脱水の際に発生する振動を抑制又は低減する技術に関する。
ドラム式洗濯機では、周囲に多数の脱水穴を有する周面略円筒形状のドラムを水平又は傾斜した軸を中心に高速で回転させ、それによってそのドラム内に収容されている洗浄後の濡れた洗濯物に含まれる水を絞り出して飛散させることで脱水を行う。こうした遠心脱水の際に、洗濯物がドラムの周面内側で周方向に片寄って配置され、それによって軸周りに質量のアンバランス(つまり偏心荷重)があると、ドラムの回転速度を上げたときにドラムが大きく振動し、それに伴ってドラムを内装する外槽が振動して外箱内面に接触したり、外箱自体が振動して異常騒音の原因となったりする。
こうした遠心脱水時の振動や騒音を軽減することは、ドラム式洗濯機における大きな課題であり、従来より、様々な対策が講じられ、また提案されている。例えば特許文献1、2に記載のドラム式洗濯機では、ドラム内での洗濯物の片寄りなどに起因する偏心荷重の大きさを検知し、異常振動の発生のおそれが高い場合に運転を停止したり洗濯物の分散を再試行したりするようにしている。
このようなドラム内での洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重は、従来、ドラム内周面の周方向についてのみ考慮されることが多く、ドラム軸方向の洗濯物の分布状況については殆ど考慮されていなかった。軸方向のサイズが比較的小さいようなドラム形状である場合や回転軸が傾斜している場合には、ドラム軸方向の洗濯物の分布を考慮しなくても実際上問題になることは殆どなかった。ところが、軸方向に比較的大きなサイズを有するドラム形状である場合で、しかも回転軸が水平である構造においては、軸方向における洗濯物の分布状況が振動に与える影響を無視することができない。
例えば特許文献3に記載のドラム式洗濯機では、片持支持のドラム構造を有する洗濯機において、同一の偏心荷重が存在している場合であっても軸の取付位置からの距離(つまり軸方向の洗濯物の分布状況)を考慮して、脱水立ち上げを行うための偏心荷重の許容値を決めるようにしている。より詳しく言うと、洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重がある場合に、その偏心荷重がドラム軸方向上のいずれかの位置に存在する、という前提の下に偏心荷重の位置を推定するようにしている。
しかしながら、実際には、上記のような前提が成立しない、より複雑なケースがかなり高い頻度で起こり得る。例えば、殆ど同じ重量である2つの洗濯物のかたまりがドラム軸方向に離れて且つ軸を挟んでほぼ対向する位置に存在している場合、ドラム周方向でみたときには2つの洗濯物のかたまりの重量がほぼ釣り合って偏心荷重は殆どゼロになる。しかしながら、それら2つの洗濯物のかたまりは軸方向に離れた位置にあるため、ドラムが回転するとドラム軸を傾けるような力がドラムに掛かり、外槽が大きく振動するおそれがある。従来のドラム式洗濯機では、このような洗濯物の配置による偏心荷重は殆ど想定されておらず、こうした偏心荷重による異常振動や異常騒音を抑制することは困難であった。
特許第3188143号公報 特許第3311668号公報 特開2001−276468号公報
本発明は上記のような課題を解決するために成されたもので、その目的とすることろは、典型的にはドラム軸方向に離れた位置で且つドラム軸を挟んでほぼ対向する位置に洗濯物のかたまりが配置されていることによって、ドラム周方向にみたときに偏心荷重が小さいとみなされるような特殊な偏心荷重(以下、こうした偏心を対向偏心と呼ぶ)が発生していることを的確に検知することによって、脱水行程時のドラム、外槽、外箱などの異常振動やそれに伴う異常騒音をより効果的に防止することができるドラム式洗濯機を提供することである。
さらには、本願出願人は上記課題を解決するべく特願2003−162695号により、対向偏心を検知する技術について提案したが、本発明はその技術をさらに改良することで対向偏心の検知の確実性を一層高めることを目的としている。
上記課題を解決するために成された本発明は、洗濯物を収容したドラムを水平軸又は傾斜軸を中心に高速回転させることで該洗濯物の脱水を行うドラム式洗濯機において、
ドラム内に収容された洗濯物に作用する遠心力が重力とほぼ均衡する回転速度よりも高い速度範囲で、ドラムの回転速度を一定の目標加速度で以て上昇させるべく制御する回転速度制御手段と、
前記ドラムの加速時に、所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいて脱水回転速度までの速度上昇を許可するか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴としている。
一定の目標加速度で以て回転速度が上昇されている場合、理想的には単位時間当たりの速度変動量(つまり加速度)は一定であって加速度の変動量はゼロとなるが、例えば上述したような対向偏心がドラムに存在する場合、ドラムが回転する際に回転軸の両端部をそれぞれ反対方向に(逆位相で)回転運動させるような力が作用し、それによって加速度に変動が生じる。対向偏心でない通常の偏心(ドラム周方向の偏心)の場合にも加速度は変動するが、その変動は多くの場合にドラム1回転で1周期の変動振幅となる単純な変動であるのに対し、対向偏心の場合には、1周期の変動振幅は必ずしも大きいとは限らないもののドラム1回転で多周期の変動振幅となる。
本発明に係るドラム式洗濯機において、判定手段は、所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値を計算しているので、例えばドラム1回転期間に多周期の変動振幅が存在する場合には、その各周期の変動振幅に現れる変動量が積算されて大きな値となり得る。一方、対向偏心でない偏心の場合には、ドラム1回転期間に存在する変動振幅の数は基本的に1個であるため積算値はそれほど大きくならない。すなわち、加速度の変動量を積算することによって、対向偏心による揺れとそうでない偏心による揺れとを区別することができ、対向偏心による揺れに基づいて、さらなる回転速度の上昇時に異常振動が起こり得るか否かを正確に判断することができる。そして、判定手段は異常振動の発生の可能性がない又は低いと判断したならば脱水回転速度までの速度上昇を許可し、異常振動の発生の可能性が高いと判断した場合には速度上昇を不許可として、例えば回転速度を下げて洗濯物のほぐしを実行させる。
実際上、加速度の変動には加速度が増加する方向の変動と減少する方向の変動とがあり得るから、本発明の一実施態様として、前記判定手段は、加速度の変動を増加時と減少時とに区別してそれぞれ積算し、その増加積算値と減少積算値とが共に所定値内に収まっている場合に脱水回転速度までの速度上昇を許可する構成とするとよい。
この構成によれば、対向偏心に起因する加速度の変動状況を確実に把握して、異常振動が発生する可能性が高い場合にドラム回転を落として、異常振動や騒音を未然に防止することができる。
なお、ここで言う「積算」とは、最も単純な例としては、ドラム自体又はドラムを回転駆動するモータの回転に伴って時々刻々と得られる速度データに基づいて算出される加速度の変動量を加算してゆくことであるが、単純な加算のみでなく、順次得られる加速度変動量に適宜の重み付けを行って積算したり二乗して積算したりする等の、適宜の付加的な演算処理を加えてもよい。
また、本発明に係るドラム式洗濯機の一実施態様として、前記判定手段は、第1所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいて速度上昇の許可又は不許可を決めるとともに、連続した複数の第1所定期間を含む第2所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいても速度上昇の許可又は不許可を決める構成とすることができる。
この構成において、第1所定期間は例えばドラムが1乃至2回転する程度の比較的短い期間とし、第2所定期間はこれの10倍又はそれ以上の長い期間とすることができる。このように長さの異なる複数の期間においてそれぞれ加速度の変動量の積算値に基づいて速度上昇の許可又は不許可を決めることにより、許可範囲を超えるような対向偏心の検知漏れを小さく抑えることができる。
なお、ドラムの回転速度が高いほど慣性モーメントが大きくなるため、仮に対向偏心の状態が同じであったとしても、ドラムの回転速度が低い場合よりも加速度の変動が発現しにくくなる。そこで、ドラムの回転速度が高い場合にも加速度の変動によって対向偏心の状態を的確に把握できるようにするためには、目標加速度自体を下げるとよい。すなわち、本発明に係るドラム式洗濯機において、前記判定手段による速度上昇の許可又は不許可の判定を繰り返す際に、前記回転速度制御手段は、回転速度が高いときには回転速度が低いときよりも加速度が低くなるように、途中で目標加速度を変更する構成とするとよい。
また、本発明に係るドラム式洗濯機では、前記判定手段により脱水回転速度までの速度上昇が許可されて最低の脱水回転速度でドラムが一定速度制御されているときに、所定期間内における実際の速度の変動量の積算値に基づいてその後の脱水回転速度を決める脱水速度決定手段をさらに備える構成とすることができる。
この構成によれば、一定速度制御の下での速度変動量の積算値に基づいて、脱水運転中に振動の起こる程度をより高い精度で推測することができる。そして、その結果に基づいて、高速回転であっても振動が小さいと判断できる場合には高い回転速度までドラム回転を上昇させ、高い脱水性能を達成することができる。それによって、例えば次の行程がすすぎである場合にはすすぎに要する水量を減らすことができ、例えば次の行程が乾燥である場合には乾燥時間を短縮することができる。一方、振動が相対的に大きいと判断できる場合には、脱水性能が多少減じることを許容し、脱水回転速度を低く抑えて異常振動の発生を確実に回避しつつ脱水を行うことができる。
また、上述したように一定速度制御の下での速度変動量の積算値に基づいて振動の程度を判断する方法ではドラムを回転駆動するモータに近い側に偏心が存在するほどモータへの影響が抑制されて値が小さく出る傾向にある。そこで、本発明に係るドラム式洗濯機において、脱水速度決定手段は、一定速度制御時の速度変動量積算値に加えて、前記判定手段により求められた加速度の変動量積算値も併用してその後の脱水回転速度を決める構成とするとよい。
この構成によれば、対向偏心による振動の程度も判断条件に加えられるので、上述したようなドラム軸方向の偏心位置による誤差の影響を除去して又は軽減して、より高い精度で適切な脱水回転速度を決めることができる。それによって、高速脱水回転時の振動を一層確実に抑制することができる。
本発明に係るドラム式洗濯機によれば、対向偏心、つまりドラム軸方向に互いに離れた2つの位置で且つ軸を挟んで対向する位置にそれぞれ洗濯物のかたまりが存在するような片寄りがあるために、ドラム周方向でみたときの偏心荷重が小さくなっているような場合にでも、こうした洗濯物の分布状況を確実に検知して異常な振動や騒音が発生するのを未然に防止することができる。また、許容し得る程度のドラム周方向での偏心がある場合に、これを許容し得ない対向偏心であると誤って判断してしまう可能性が非常に低くなる。したがって、脱水運転時に実際には振動がそれほど大きくならない筈であるのに拘わらず、誤って異常振動の発生の可能性が高いと判定してしまうことがなくなり、それによって脱水立ち上げの不要な再試行を防止し、脱水運転の所要時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の一実施例であるドラム式洗濯機について図面を参照して説明する。
図1は本実施例のドラム式洗濯機の外観斜視図、図2は本ドラム式洗濯機の要部の右側面縦断面図、図3は本ドラム式洗濯機の要部の正面縦断面図である。
外形を成す外箱1は上面から前面に掛けて前下がり湾曲形状に形成されており、この部分に大きな洗濯物投入口2が形成されている。この洗濯物投入口2を開閉するための上蓋3は短冊状のスラットが複数連結された構成を有しており、前後方向にスライド移動自在であって、上蓋3が閉鎖した状態で右側方に設けられた蓋開ボタン9を使用者が押すと、上蓋3は図1中に矢印で示すように後方に自動的にスライドして洗濯物投入口2が開放する。開放した状態の上蓋3を閉める際には、使用者は上蓋3の上面手前側に設けられた把手4に指を掛けて手前に引く。上蓋3が洗濯物投入口2を完全に閉鎖する位置まで達すると、図示しないラッチ機構により上蓋3はラッチされて閉鎖状態を保つ。
上蓋3の右側には、前後方向に延伸して複数の操作キーや表示器が設けられた操作パネル5が配置されている。なお、比較的使用頻度の低い操作キーの一部は後方側に起立自在の蓋体で覆われている。また、上蓋3を挟んで操作パネル5と反対側の左方後方には、横開き式の蓋体で覆われた洗剤容器6が設けられている。さらに、洗剤容器6の後方に外部の給水栓等にホースを介して接続される水道水給水口7が設けられ、操作パネル5の後方には別のホースを介して風呂の浴槽内等に接続される風呂水給水口8が設けられている。
次に、本ドラム式洗濯機の内部構成について図2、図3により概略的に説明する。
台座部10の上には、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞された外槽11が、外箱1の左右側面にそれぞれ端面が対向する状態で、左右両側上方から吊下げ支持する図示しない二本のスプリングと、前後方向に外槽11の下部を支え受ける二本のダンパ13とにより適度に揺動自在に保持されている。外槽11の内部には、多数の通水穴14aが穿孔された、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞されたドラム14が、左右方向に延伸する水平軸線Cを中心に回転自在に設けられている。このドラム14の内周面には、周方向に約120°間隔で3個のバッフル14bが取り付けられている。
ドラム14の左端面中央に固着された主軸15は、外槽11の左端面に固定された第1軸受ケース17に保持される軸受18により支承される。他方、ドラム14の右端面中央に固着された補助軸16は、外槽11の右端面に固定された第2軸受ケース19に保持される軸受20により支承される。この主軸15及び補助軸16により、ドラム14の回転軸である水平軸線Cが形成される。
外槽11の左端面から左方へと突出した主軸15の先端には、アウタロータ型の直流モータであるドラムモータ21の円盤状のロータ21bが固定され、一方、モータ台を兼ねる第1軸受ケース17にはドラムモータ21のステータ21aが固定され、ステータ21aとロータ21bの磁石とは対面している。図示しない制御回路からステータ21aに駆動電流が供給されるとそれに応じてロータ21bが回転し、主軸15を介してロータ21bと同一の回転速度で以てドラム14が回転駆動される。
外槽11の周面の上部から斜め前方にかけて、外箱1の洗濯物投入口2と一致する位置に外槽開口11aが形成され、外槽開口11aを開閉するために、左右方向に水平に延在する内蓋軸22を中心に後方に起立自在の内蓋23が設けられている。また、ドラム14の周面にもドラム開口14cが形成され、このドラム開口14cを開閉するために、前後に観音開き構造を有する二枚の蓋体25a、25bから成るドラム蓋25が設けられている。ドラム14は回転可能であるから、ドラム蓋25の開閉動作時にはドラム開口14cと外槽開口11aとが径方向に一致した位置でドラム14を停止させ、その状態を維持する必要がある。そこで、ドラム14の位置を固定するために、外槽11左端面にあってステータ21aの下方にはドラムロック装置26が設けられている。このドラムロック装置26は、内蔵されたトルクモータ26aの動作によって係合ピン26bが上下方向に進退する構成となっており、進出した係合ピン26bがロータ21bの所定回転位置に形成されている凹部21cに噛み合うことによって、ドラム14は回転しないようにロックされる。
さらにまた、ドラム14の両端面の外周側には、脱水時にドラム14を高速で回転させた際に洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重によるドラム14の振動を抑制するべく、円環状で中空体であるバランス室27が取り付けられている。このバランス室27を用いた振動抑制動作については後述する。なお、ここでは詳しく述べないが、外槽11の右側面外側には、ファンモータ、乾燥用ヒータ、水冷除湿器等を含む加熱・送風装置が配設されており、補助軸16の周囲からドラム14内に高温の乾燥風を送り込み、ドラム14内で湿った洗濯物との熱交換によって発生した湿気を含む空気を外槽11から取り出して除湿・乾燥させて循環的に利用するようにしている。
図4は本実施例のドラム式洗濯機の要部の電気系構成図である。後述する回転センサ21dとともに本発明における回転速度制御手段、判定手段、及び脱水速度決定手段として機能する制御部30は、CPU、ROM、RAM、タイマなどを含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに格納されている制御プログラムに基づいて、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥の各行程の運転動作を行うための各種の制御を実行する。
制御部30には、使用者が各種設定や指示を与えるために操作パネル5に設けられた操作部5aからキー入力信号が与えられるとともに、外槽11内に貯留された水の水位を検知する水位センサ33、外槽11内に貯留された水の温度を検知したり乾燥運転時に乾燥風の温度を検知したりするための温度センサ34、上記ドラムロック装置26に内蔵され、ドラムロック状態か解除状態かを検知するためのドラムロック検知部26cなどから、それぞれ検出信号が入力される。
制御部30にはインバータ駆動部32が接続されており、ドラムモータ21の回転に同期したパルス信号を発生する回転センサ21dからの信号を受けつつ、インバータ駆動部32を介してドラムモータ21の回転を制御する。回転センサ21dはホール素子を利用した位置センサであり、ここではドラムモータ21の1回転当たり(つまりドラム14の1回転当たり)72個のパルス信号を等回転角度間隔で発生する。したがって、ドラムモータ21が正確に一定速度で回転している場合にはパルス信号は等時間間隔で発生し、制御部30は隣接するパルス信号の時間間隔によってドラムモータ21の回転速度を検出することができる。
また制御部30には負荷駆動部31が接続されており、この負荷駆動部31を介して加熱・送風装置に含まれるファンモータ35及び乾燥用ヒータ37、外槽11内への給水を制御する給水バルブ38、外槽11内からの排水を制御する排水バルブ39、ドラムロック装置26に内蔵されたトルクモータ26aなどの動作をそれぞれ制御する。さらにまた、制御部30は操作部5aの操作に応じた表示や運転進行状況を知らせるための表示を行うべく表示部5bに表示信号を送る。
次に、バランス室27の具体的な構成及びその振動抑制動作について、図5を参照して説明する。まず、構成について説明すると、バランス室27は内部に所定量の液体(塩化カルシウム溶液など)が封入された円環状中空体であって、その内部には外周壁面271からL字形状に延出する隔壁272が所定角度間隔で放射状に設けられている。この隔壁272によって、内部に封入された液体の自由な移動が妨げられる。したがって、バランス室27内に封入されている液体に作用する遠心力が重量に勝るような回転速度でドラム14を回転させると、液体は各区画室274内で外周側に片寄り、各区画室274内に保持される。つまり、区画室274間での液体の移動は起こらないので、各区画室274はその内部に保持している液体の重量の分だけ、それぞれの位置に重錘を付加したものとみなすことができる。
この状態では、全ての区画室274に同量の液体が保持されている場合、バランス室27による偏心荷重は殆どゼロであるとみなすことができる。一方、液体が特定の1乃至複数の区画室274内に片寄って保持されている場合には、バランス室27によって回転軸周りにアンバランスが生じ偏心荷重が存在することになる。ドラム14の内周面に張り付いた状態で回転している洗濯物の片寄りによって偏心荷重が生じている場合、その洗濯物に起因する偏心荷重と釣り合うような位置にバランス室27の偏心荷重を意図的に生じさせれば、ドラム14全体の偏心荷重は減少する。バランス室27で生じる偏心荷重の位置と偏心量とを適切に制御すれば、ドラム14全体の偏心量を振動の観点から問題のない程度にまで小さくすることができる。
バランス室27を用いたバランス調整の実行手順は次の通りである。まず、バランス調整動作の開始時には、バランス室27内の液体に作用する遠心力が重力とほぼ均衡する程度の回転速度(本ドラム式洗濯機の場合には65〜75rpm程度)でドラム14を回転させる。このとき、バランス室27の各区画室274において外周側に存在する液体は遠心力によって張り付き、各区画室274の内周側に存在する液体は重力によって落下して他の区画室274へと移動する。このため、ドラム14を上記回転速度で暫時回転させると、全ての区画室274内に存在する液体の量をほぼ同程度にすることができる。このように液量が平均化された状態では、バランス室27による偏心荷重はほぼゼロとなり、洗濯物の片寄りによる偏心荷重Wのみがドラム14全体の偏心荷重となる(図5(a))。
次いでドラム14の回転速度を少し上昇させる(通常100rpm程度)ことにより、各区画室274に保持されている液体に加わる遠心力を増加させ、液体の保持状態を安定させる。そして、一定速度制御の状態で、ドラム14(又はロータ21b)の回転速度の変動に基づいてドラム14全体の偏心荷重を検知し、検知した偏心荷重の位置に応じた所定のタイミングで以てドラム14の回転速度を短時間だけ減速させる。すると、液体に作用する遠心力が減少するから、図5(b)に示すように、ドラム14の上方に持ち上げられつつある区画室274a、274b、274cから液体がこぼれ落ちて下方を通過している他の区画室に入る。
なお、上記減速直前には、図5(a)に示すように、回転上方に位置している区画室からは液体が比較的こぼれ落ち易い状態になっているのに対し、回転上方を通り過ぎて回転下方に進みつつある区画室では、隔壁272の突片部273が液体のこぼれを堰き止める役割を果たすので、液体はこぼれにくい状態である。そのため、上記のように一時的に減速したときに、回転上方に持ち上げられつつある区画室及び既に上方に位置している区画室からは液体がこぼれ落ちるものの、回転下方に向かって進んでいる区画室内の液体はこぼれ落ちずに保持される。すなわち、所望の区画室内に収容されている液体のみが高い確度で落下するから、減速のタイミングを適切に決めることによって洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重Wが存在する位置近傍の区画室内の液量を減少させて、それに対向する位置近傍の区画室内の液量を増加させることができる。
上記のような減速動作を1乃至複数回繰り返すことにより、最終的には図5(c)に示すように、偏心荷重Wが存在する位置近傍の区画室274a、274b、274c内の液体は殆どなくなり、それに対向している区画室近傍では液量が増加する。これにより、バランス室27による偏心荷重と洗濯物の片寄りに起因する偏心荷重とがうまくバランスし、ドラム14全体の偏心荷重は小さくなる。本実施例のドラム式洗濯機では、上記のようにバランス室27を利用した積極的なバランス調整によって、洗濯物の偏在による偏心荷重を相殺して小さくすることができる。
本実施例のドラム式洗濯機は、上記のようなバランス室27を利用したバランス調整を含む、脱水行程における振動抑制のための制御に大きな特徴を有している。以下、その特徴的な制御について図6〜図10を参照して詳細に説明する。図6は本実施例のドラム式洗濯機で起こり得る偏心状態の一例を示す模式図、図7〜図9は脱水行程時の制御フローチャート、図10は脱水立ち上げ時のドラム回転速度の概略的な変化状況を示すグラフである。なお、この洗濯機では、洗い運転や最終すすぎを除くすすぎ運転の後に中間脱水を行い、最終すすぎの後には最終脱水を行うが、ここでいう脱水行程とは中間脱水と最終脱水の両方を含む。
まず、脱水行程時に発生する可能性のある振動の原因について図6により説明する。通常、ドラム14が高速で回転する際にその回転軸の周りで質量のアンバランスがある場合、ドラム14の周方向でいずれかの位置に或る重量の負荷があるものとみなすことができる。これが上述した偏心荷重Wである。しかしながら、本ドラム式洗濯機のようにドラム14が軸方向に或る程度長い寸法であり、しかもドラム14が水平置きである場合(傾斜置きであれば傾斜に沿って洗濯物が片寄る)には、ドラム14の周方向のみならず、ドラム14内で軸方向での洗濯物の配置状況も考慮する必要がある。
いま図6(a−1)、(b−1)のいずれの場合も、ドラム14の周方向に見れば2つの洗濯物のかたまりW1、W2が軸を挟んで対向する位置に存在しており、周方向でこの両者に作用する遠心力のみを考えれば両者の釣り合いによりドラム14全体の偏心荷重はほぼゼロである。ところが、ドラム14の軸方向での洗濯物の配置をみた場合、図6(a−2)では、2つの洗濯物のかたまりW1、W2が軸に略直交する面上に存在しているのに対し、図6(b−2)では、2つの洗濯物のかたまりW1、W2はそれぞれドラム14の軸方向に離れた位置に存在している。前者の場合、W1、W2に作用する遠心力はほぼ釣り合うが、後者の場合、W1、W2に作用する遠心力は同一面上でないために釣り合わず、それどころか、ドラム14を大きく揺動させるように作用する。この(b−1)、(b−2)の状態が既に述べた対向偏心荷重が存在する状態である。
本実施例のドラム式洗濯機では、脱水の立ち上げの過程で上記のような対向偏心荷重を確実に検知することによって、対向偏心荷重により外槽11が異常に大きく振動して外箱1内面に衝突したり外箱1自体が大きく振動して異常騒音を発生したりすることを防止している。
脱水行程が開始されると、制御部30はまずインバータ駆動部32を介してドラムモータ21を作動させ、ドラム14の回転速度を100rpmまで上昇させるべく制御する(ステップS10)。ドラム14が100rpmで回転されるとき、ドラム14内の洗濯物に作用する遠心力は重力よりも大きくなり、洗濯物は完全にドラム14の内周面に張り付いた状態でドラム14と一体に回転する。
回転センサ21dにより得られるパルス信号に基づいて回転速度が100rpmに到達したことが検知されると(ステップS11でYes)、制御部30は回転速度を100rpmに保つように速度制御を行い、その状態で予備的な偏心量検知処理を実行する(ステップS12)。ここで偏心量は、ドラム14の回転速度を100rpmに維持するように一定速度制御しているときの実際の回転速度の変動に基づいて求める。すなわち、ドラム14に偏心荷重が存在している場合、ドラム14の回転に伴って偏心荷重がドラム14上方から下方に向かうときにはその偏心荷重はドラム14を加速するように作用し、逆に偏心荷重がドラム14下方から上方に向かうときにはドラム14を減速させるように作用する。その加速作用及び減速作用によってドラム14が1回転する間に回転速度は変動するため、制御部30は回転センサ21dから得られるパルス信号の時間間隔を計測することによって速度変動を求め、この変動量に応じて偏心量を推算する。このときに検知された偏心量をP1とする。
次に、制御部30はこの偏心量P1が所定の閾値Ta以下であるか否かを判定する(ステップS13)。閾値Taは後述の負荷量検知を実行するか否かを決める判定値である。そして、偏心量P1が閾値Taを超えている場合にはドラム14の回転速度を減速させるか又は停止させてほぐし運転を実行し(ステップS14)ステップS10へと戻る。一方、偏心量P1が閾値Ta以下である場合には、制御部30は引き続いて100rpmの回転速度において慣性モーメント量Qを測定し、その慣性モーメント量Qからドラム14内の洗濯物の量、つまり負荷量Uを検知する(ステップS15)。具体的には、例えばドラム14を100rpmで回転させている状態からドラムモータ21への通電を一時的に遮断し、回転センサ21dからのパルス信号に基づいて、慣性力によって回転するドラム14の回転速度が所定値(例えば90rpm)まで落ちるのに要する時間を計測し、その計測時間に応じて慣性モーメント量を求める。負荷量が多いほど慣性モーメントは大きくなる。このときに求まる負荷量Uは脱水前の、各洗濯物が十分に水を含んだ状態における負荷量であり、例えば洗剤目安量を決めるために洗濯運転開始前に検知する負荷量とは異なるものとなる。
その後、偏心量を再度検知して(ステップS16)、検知された偏心量P2がバランス調整可能範囲である閾値Tb以下であるか否かを判定する(ステップS17)。ここで、ステップS16で偏心量を測定するのは、希ではあるが、ステップS15で慣性モーメント量を求める際に洗濯物が移動して偏心量が変化する可能性があるためである。この偏心量P2が閾値Tbを超えている場合にはバランス室27を用いたバランス調整を最大限行っても、ドラム高速回転時に外槽11の振動が許容し得る範囲に収まる程度にドラム14の偏心量を小さくすることができない。そこで、上記ステップS14へと進んでドラム14の回転を減速して洗濯物をほぐし、脱水立ち上げを始めから再試行する。
ステップS17で偏心量P2が閾値Tb以下であると判定されたときには、次に同じ偏心量P2が閾値Tc以下であるか否かを判定する(ステップS18)。閾値Tcは、ドラム高速回転時に振動が許容し得る範囲(通常、外槽11が振動した際に外箱1内面等に接触することのない振動振幅を許容範囲として定める)に収まる最大値である。したがって、ステップS18で偏心量P2が閾値Tcを超えていると判定された場合には、そのまま、すなわちバランス調整を行わずにドラム14の回転速度を上げると異常振動が発生する可能性が高いため上述したようにバランス室27を利用したバランス調整動作を実行し(ステップS19)、その後にステップS16へと戻ってバランス調整実行後の偏心量を確認する。
ステップS18で偏心量P2が閾値Tc以下であると判定されたときには、制御部30はドラム14の回転速度を100rpmから上昇させるようにインバータ駆動部32を介してドラムモータ21を制御する(ステップS20)。そして回転速度が160rpmに達したならば(ステップS21でYes)、目標加速度を10rpm/sに設定して一定加速度で以てさらに回転速度を上昇させる(ステップS22)。目標加速度を10rpm/sに設定した後には特徴的な対向偏心荷重検知処理を開始する(ステップS23)。対向偏心荷重検知処理の内容については後述する。対向偏心荷重検知処理を行いつつ、回転速度は上昇してゆき、回転速度が260rpmに達したならば(ステップS25でYes)、目標加速度を5rpm/sに変更した上で一定加速度で以てさらに回転速度を上昇させる(ステップS26)。この目標加速度5rpm/sでの速度上昇時にも対向偏心荷重検知処理を継続する。そして回転速度が300rpmに達したならば(ステップS27でYes)、対向偏心荷重検知処理を終了する(ステップS28)。なお、目標加速度を10rpm/sから5rpm/sに落とす理由については後述する。
ここで対向偏心荷重検知処理について図9により説明する。この洗濯機におけるドラム14や外槽11を含む揺動機構部の共振点に相当する回転速度は、ドラム14内に収容されている洗濯物の量にも依存するものの平均的には250rpm程度である。そのため、回転速度が250rpmに近づくほど振動が大きくなる傾向にあるが、特にドラム14の回転速度が140〜160rpmを越えるくらいになると対向偏心の影響が顕著に出始めて、ドラム14の周方向にみたときの偏心荷重が小さい場合であっても対向偏心に起因する振動が大きくなり始める。既述の図6(b−2)でも明らかなように、対向偏心が存在するとドラム14の回転に伴って軸線Cが傾くような力が作用するから、軸受18、20には不均一な負荷が加わり、その摩擦などによってドラム14の回転は拘束を受ける。そのため、対向偏心が大きいほどドラムモータ21の回転速度はスムーズに上昇しにくくなり、1回転の間での加速度の変動が大きくなる。したがって、基本的にはこの加速度の変動を利用することで対向偏心の程度を推定することができる。
但し、対向偏心でない許容可能な通常の偏心荷重によって生じる上下方向等の単純な振動でも加速度の変動が生じ得るから、こうした偏心による加速度変動と対向偏心による加速度変動とを識別する必要がある。こうした状況を考慮して、本実施例のドラム式洗濯機では、瞬間的な加速度の変動を捉えるのではなくドラム14が所定回転角度だけ回転する期間中全体に亘る加速度の変動の大きさを確実に捉えることによって、対向偏心に起因する振動を高い確度で検知するようにしている。
すなわち、対向偏心荷重検知処理が開始されると、制御部30はまず関連する各変数を初期化する。具体的には、処理回数を示す変数nを1にセットするとともに、区間総和値ΣX1、ΣY1、ΣX2、ΣY2、…を0にリセットする(ステップS40)。それから、回転センサ21dからのパルス信号が入力される毎に得られる速度データを120個で区切り、その速度データから増加積算値Xn、Ynを各1個ずつ算出する(ステップS41)。このドラム式洗濯機の構成では、上述したように、ドラム14が1回転する間に回転センサ21dにより72個のパルス信号の発生するから、120個の速度データとはドラム14が約1.7回転する期間中の速度変化を反映した情報である。この120個の速度データから次のようにして増加積算値Xn、Ynを求める。
まず、120個の速度データをA1,A2,A3,…,A120としたとき、時間的に隣接する15個の速度データの移動平均を計算する。すなわち、A1〜A15の15個の速度データの平均値が1個目の値であり、A2〜A16の15個の速度データの平均値が2個目の値であり、A106〜A120の15個の速度データの平均値を最後の値として、順次それぞれの平均値を算出してゆく。これにより106個の移動平均値が得られるから、これをB1,B2,B3,…,B106とする。さらにその106個のデータB1,B2,B3,…,B106に対して、再び時間的に隣接する15個のデータの移動平均を計算する。これにより92個の2回目の移動平均値が得られるから、これをC1,C2,C3,…,C92とする。そして、この92個の移動平均データで時間的に隣接するものの差分C2−C1,C3−C2,…,C92−C91をそれぞれ計算し、この91個の差分データをD1,D2,D3,…,D91とする。
次に、この91個の差分データD1,D2,D3,…,D91に対し、連続する2個の差分データ、例えばD1とD2とを比較して、時間的に後のほうの差分データD2が時間的に前のほうの差分データD1よりも大きい場合、つまりD2>D1である場合には増加積算値Xnにその差D2−D1を積算する。逆にD1>D2である場合には減少積算値Ynにその差D2−D1を積算する。このような積算処理をD2−D1からD91−D90まで実行することにより、増加積算値Xn及び減少積算値Ynが1個ずつ求まる。
仮に加速が一定であるとすると、D1,D2,D3,…,D91はほぼ等しくなり、増加積算値Xn及び減少積算値Ynはほぼゼロになる筈である。これに対し、ドラム14が約1.7回転する期間中にその全体に亘って加速度の変動が大きいと、その変動が加算されるため増加積算値Xn及び減少積算値Ynは大きな値となる。なお、対向偏心ではない通常のドラム周方向の洗濯物の片寄りによる偏心の場合、上述したようにドラム14が1回転する間に1回の加速作用と減速作用とが生じるため、加速度の変動振幅の数はドラム1回転で1個となることが殆どである。そのため、ドラム14が約1.7回転する期間における増加積算値Xn及び減少積算値Ynはそれほど大きな値とはならない。それによって、対向偏心とそうでない偏心とを識別することが可能である。
次には、変数nが36以下であるか否かを判定し(ステップS42)、変数nが36以下であればΣX1の値にXnを加算してΣX1を更新するとともにΣY1の値にYnを加算してΣY1を更新する(ステップS43)。初期設定ではΣX1、ΣY1は共に0であるから、n=1のときにはステップS41→S42→S43と進み、S43ではΣX1=X1、ΣY1=Y1となる。そして、Xn、Ynがそれぞれ100を超えているか否かを判定し(ステップS44)、100を超えていなければ次にΣX1、ΣY1がそれぞれ2000を超えているか否かを判定する(ステップS45)。ΣX1、ΣY1が共に2000を超えていなければ、変数nをインクリメントして(ステップS46)ステップS41へと戻る。
n=2となってステップS41に戻ると、先に積算値X1、Y1を算出した120個の速度データの次に発生した120個の速度データを区切って上述したような方法により積算値X2、Y2を算出する。そして上記と同様にステップS42→S43→S44と順次進む。こうして、ステップS44及びS45で共にNoと判定されたときには変数nを順次増加させつつ上記処理を繰り返す。この繰り返しの間に、増加積算値Xn又は減少積算値Ynのいずれかが100を超えると、対向偏心が許容程度を超えていると判断してステップS44からS52へと進み、ドラム14の回転速度を落として洗濯物のほぐし運転を実行する。また、区間総和値ΣX1又はΣY1のいずれかが2000を超えた場合にも同様に、対向偏心が許容程度を超えていると判断してステップS45からS52へと進む。
対向偏心が検知されることなく変数nが増加するに従い、回転速度自体は上昇してゆく。回転速度が高いほど慣性力が大きくなるため、回転速度の高い領域では低い領域に比べて対向偏心による加速度の変動が現れにくくなる。そこで、本実施例のドラム式洗濯機では、上述したように、回転速度が160〜260rpmの領域では目標加速度を10rpm/sとし、それよりも上の回転速度が260〜300rpmの領域では目標加速度を5rpm/sに下げている。このように目標加速度を下げることによって、回転速度の高い領域でも対向偏心に起因する加速度の変動が顕著に現れるようにしている。
回転速度が上昇して変数nも増加してゆき、変数nが36に達すると、ステップS42でYesと判定されてステップS47からS48以降へと進む。ステップS48では、ΣX2の値にXnを加算してΣX2を更新するとともにΣY2の値にYnを加算してΣY2を更新する。すなわち、変数が36未満のときに使用していたΣX1、ΣY1に代えてΣX2、ΣY2を新たに使用することで、各加速度変動検知期間(回転パルス信号120個の期間)毎のXn、Ynの総和の加算を新たに開始する。そして、Xn、Ynがそれぞれ120を超えているか否かを判定し(ステップS49)、120を超えていなければ次にΣX2、ΣY2がそれぞれ900を超えているか否かを判定する(ステップS50)。ΣX2、ΣY2が共に900を超えていなければ、変数nをインクリメントして(ステップS51)ステップS41へと戻る。すなわち、Xn、Ynの判定値とΣX、ΣYの判定値とを変更して上記ステップS44、45と同様に対向偏心の検知を行い、対向偏心が許容範囲を超えている場合にはドラム14の回転速度を落として洗濯物のほぐし運転を実行する。
上記ステップS48〜S51の処理は変数nが46に達するまで実行し、変数nが46に達したならばさらにまた各加速度変動検知期間毎のXn、Ynの総和の加算を新たに開始し、Xn、Ynの判定値とΣX、ΣYの判定値とを変更して上記ステップS44、45と同様に対向偏心の検知を行う。こうした対向偏心加重検知処理はドラム14の回転速度が300rpmになるまで繰り返し実行される。したがって、それまでに対向偏心が許容範囲を超えていると判定された場合には、ドラム14の回転速度は低下されて洗濯物のほぐし運転から脱水立ち上げが再試行されることになる。このようにしてドラム14の回転速度が300rpmを超える前に、異常振動の原因となるような対向偏心が確実に検知される。
図8のフローチャートに戻って説明を続けると、制御部30は回転速度が500rpmに到達したと判定すると(ステップS29でYes)、回転速度を500rpmに維持するようにインバータ駆動部32を制御する(ステップS30)。このときの回転速度は脱水時の最高回転速度である1000rpmよりは低いものの、洗濯物に含まれる水をかなりの程度、絞り出すことが可能であるような回転速度である。そのため、ドラム14内の洗濯物に対して軽い絞りを行った状態となり、これによって洗濯物の重量は変化している可能性がある。一方、バランス室27内での液体の偏在による偏心荷重は変化しないから、洗濯物を軽く絞ったことによって重量のバランスが崩れ、偏心荷重が増加している可能性すらある。
さらに十分な脱水を行うには回転速度を上げることが望ましいが、上記のように偏心荷重の状態が変化している状況のまま回転速度を上げてしまうと、異常振動を引き起こすおそれがある。そこで、本実施例のドラム式洗濯機では、ドラム14を500rpmで回転させている状態で上記のような対向偏心荷重検知と同様の処理、具体的にはステップS41の処理を繰り返し実行することで、増加積算値X1,X2,X3,…及び減少積算値Y1,Y2,Y3,…を所定個数だけ求め(ステップS29)、それらの平均値XYavを計算する(ステップS30)。平均値XYavが大きいほどドラム14の偏心荷重(対向偏心を含めて)が大きいと判断できるから、この平均値XYavに応じて脱水の高速回転速度を決める。
すなわち、平均値XYavが200を超えている場合には(ステップS31でYes)、偏心荷重が大きいために脱水運転を継続すると異常振動の発生するおそれが高いと判断し、ドラム14を一旦停止するか又はそれに近い速度まで減速して(ステップS32)ステップS10へと戻って脱水立ち上げをやり直す。ステップS31で平均値XYavが200以下である場合には、次に平均値XYavが170を超えているか否かを判定し(ステップS33)、平均値XYavが170を超えている場合には回転速度を800rpmまで上昇させて脱水運転を遂行する(ステップS34)。ステップS33で平均値XYavが170以下である場合には次に平均値XYavが140を超えているか否かを判定し(ステップS35)、平均値XYavが140を超えている場合には回転速度を900rpmまで上昇させて脱水運転を遂行する(ステップS36)。ステップS35で平均値XYavが140以下である場合には、次に平均値XYavが140を超えているか否かを判定し(ステップS35)、回転速度を最高回転速度まで上昇させても異常振動のおそれはないと判断し、回転速度を1000rpmまで上昇させて脱水運転を遂行する(ステップS37)。
このようにして500rpmでドラム14を回転しているときの偏心状態の推測に基づいて脱水回転速度を決めることによって、異常振動を確実に防止することができるとともに、異常振動のおそれのない場合に高い脱水性能を達成することができる。それにより、中間脱水時の脱水においては引き続くすすぎの負荷を軽減して、例えばすすぎに使用する水量を減らすことができる。また最終脱水時の脱水においては引き続く乾燥の負荷を軽減して、乾燥時間を短縮して電力消費量及び除湿水の使用量の節約になる。
なお、上記実施例では、ステップS30〜S37で脱水運転の回転速度を決めるために回転速度500rpmにおいて計測したドラム14の回転変動を利用しているが、対向偏心による異常振動を一層確実に防止するには、ステップS23〜S28の間に求めた対向偏心を反映したデータ(例えばΣX1、ΣY1、ΣX2、ΣY2、…)も併用して脱水回転速度を決めるとよい。
また、上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で、適宜に変更、修正又は追加を行えることは明らかである。
本発明の一実施例によるドラム式洗濯機の外観斜視図。 本実施例によるドラム式洗濯機の要部の右側面縦断面図。 本実施例によるドラム式洗濯機の要部の正面縦断面図。 本実施例によるドラム式洗濯機の要部の電気系構成図。 本実施例によるドラム式洗濯機におけるバランス室を用いた振動抑制の概略説明図。 本実施例のドラム式洗濯機で起こり得る偏心状態の一例を示す模式図。 本実施例によるドラム式洗濯機における脱水立ち上げ時の制御フローチャート。 本実施例によるドラム式洗濯機における脱水立ち上げ時の制御フローチャート。 本実施例によるドラム式洗濯機における脱水立ち上げ時の制御フローチャート。 本実施例によるドラム式洗濯機における脱水立ち上げ時のドラム回転速度の概略的な変化状況を示すグラフ。
符号の説明
1…外箱
11…外槽
14…ドラム
15…主軸
16…補助軸
17、19…軸受ケース
18、20…軸受
21…ドラムモータ
21a…ステータ
21b…ロータ
21d…回転センサ
27…バランス室
30…制御部
31…負荷駆動部
32…インバータ駆動部

Claims (6)

  1. 洗濯物を収容したドラムを水平軸又は傾斜軸を中心に高速回転させることで該洗濯物の脱水を行うドラム式洗濯機において、
    ドラム内に収容された洗濯物に作用する遠心力が重力とほぼ均衡する回転速度よりも高い速度範囲で、ドラムの回転速度を一定の目標加速度で以て上昇させるべく制御する回転速度制御手段と、
    前記ドラムの加速時に、所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいて脱水回転速度までの速度上昇を許可するか否かを判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 前記判定手段は、加速度の変動を増加時と減少時とに区別してそれぞれ積算し、その増加積算値と減少積算値とが共に所定値内に収まっている場合に脱水回転速度までの速度上昇を許可することを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
  3. 前記判定手段は、第1所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいて速度上昇の許可又は不許可を決めるとともに、連続した複数の第1所定期間を含む第2所定期間内における実際の加速度の変動量の積算値に基づいても速度上昇の許可又は不許可を決めることを特徴とする請求項1又は2に記載のドラム式洗濯機。
  4. 前記判定手段による速度上昇の許可又は不許可の判定を繰り返す際に、前記回転速度制御手段は、回転速度が高いときには回転速度が低いときよりも加速度が低くなるように、途中で目標加速度を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
  5. 前記判定手段により脱水回転速度までの速度上昇が許可されて最低の脱水回転速度でドラムが一定速度制御されているときに、所定期間内における実際の速度の変動量の積算値に基づいてその後の脱水回転速度を決める脱水速度決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
  6. 前記脱水速度決定手段は、一定速度制御時の速度変動量積算値に加えて、前記判定手段により求められた加速度の変動量積算値も併用してその後の脱水回転速度を決めることを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
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