JP2005536193A - 少量のポリヌクレオチドを濃縮する方法 - Google Patents

少量のポリヌクレオチドを濃縮する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、サンプル中の少量のポリヌクレオチドを選択的に富化する方法に関する。これらの方法は、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを用いて、選択的に多量な種に対するポリメラーゼ活性を選択的にブロックし、それによって、サンプル中にさほど多量には存在しない種の富化を生じる。結果として得られる富化されたポリヌクレオチドのプールは、種々の使用(遺伝子発現の分析、およびcDNAライブラリーの作製)において、有用性を見出す。

Description

本発明の分野
本発明は、試料における少量のポリヌクレオチドを選択的に濃縮するための組成物および方法に関連する。これらの方法は、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを使用して、多量種に対するポリメラーゼ活性を選択的に阻害し、それによって試料におけるより少量の種の濃縮を引き起こす。生じた濃縮ポリペプチドのプールは、遺伝子発現の分析およびcDNAライブラリーの作製を含む、様々な使用法を見出す。
序文
遺伝子発現の全体的な分析は、いくつかの理由のために手強い挑戦である。遺伝子発現を分析する1つの障害は、単一の細胞または組織における異なる遺伝子間の、広い範囲の発現レベルである。単一の細胞型または組織において、2つの遺伝子は発現レベルにおいて4次を超える大きさで異なり得ることが公知である。対照的に、ほとんどのマイクロアレイに基づく遺伝子発現アッセイは、多くても2次または3次の大きさの動的な範囲しか有さない。
細胞に存在するmRNAのプールにおいて、不釣合いに少数の遺伝子が、発現された細胞mRNAの大部分を占める。高度に発現された遺伝子由来のこれらの転写物(すなわち、高いコピー数を有する遺伝子)は、典型的には全ての細胞型に存在する「ハウスキーピング」遺伝子である。代謝経路遺伝子を大部分の他の遺伝子の大部分は、典型的には中程度から低レベルで発現される(すなわち、低コピー数を有する)。
対照的に、まだ他の遺伝子は、非常に低いレベルで発現される傾向がある(すなわち、非常に低いコピー数を有する)。このカテゴリーの遺伝子は、例えばキナーゼを含むシグナル伝達構成成分、転写因子、および細胞周期調節タンパク質をコードする遺伝子を含む。これらの非常に低いコピー数の転写物は、多くの場合検出および/または単離するのが困難である。皮肉なことに、細胞生理学およびヒト疾患の分子的基礎の研究において最も多くの場合関心のあるのは、これらの非常に低いコピー数の転写物である。これらの低コピー数遺伝子のいくつかは、疾患を治療する治療薬の開発において有望であることが示されている。
従って、低コピー数遺伝子(すなわち、低コピー数の遺伝子転写物またはcDNA分子)を同定、分析および/または単離するための組成物および方法を開発する必要性が存在する。
本発明の概要
本発明は、試料における少量のポリヌクレオチドを選択的に濃縮するための組成物および方法に関連する。これらの方法は、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを使用して、多量種に対するポリメラーゼ活性を選択的に阻害し、それによって試料におけるより少量の種の濃縮を引き起こす。少量種の濃縮のためのこれらの方法は、増幅工程を必要としない;しかし、いくつかの実施形態において、増幅工程を任意で使用し得る。生じる濃縮ポリヌクレオチドのプールは、遺伝子発現の分析およびcDNAライブラリーの作製を含む、様々な使用法を見出す。
その最も広い局面において、本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮する方法を提供し、ここでその方法は、一般的に試料を、多量のポリヌクレオチド中の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに、塩基対形成が起こるような条件下に曝露する工程、次いで試料をポリメラーゼ伸長のための条件に供する工程を含む。
広く様々な酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーが、本発明の方法で有用であり、そして本発明は使用されるオリゴマーの型に制限されることを意図しない。1つの局面において、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、リボースを含むオリゴマー構造を有さない。そのような構造の例は、ペプチド核酸(PNA)オリゴマーである。
他の実施形態において、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーとしは、改変ヌクレオチドオリゴマーまたは改変ヌクレオチド間アナログオリゴマーである。そのような構造の例は、2’改変ヌクレオチドオリゴマーおよび3’改変ヌクレオチドオリゴマーが挙げられる。より具体的には、これらの構造としては、2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマーおよび3’−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマーが挙げられ得る。さらにより具体的には、2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマーは、2’−O−メチルヌクレオチドオリゴマーであり得る。
他の実施形態において、改変ヌクレオチドオリゴマーまたは改変ヌクレオチド間アナログオリゴマーは、ロックされた(locked)核酸(LNA)、N3’−P5’ホスホロアミダイト(NP)オリゴマー、副溝結合物連結オリゴヌクレオチド(MGB−連結オリゴヌクレオチド)、ホスホロチオエート(PS)オリゴマー、C−Cアルキルホスホネートオリゴマー、ホスホロアミダイト、β−ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、およびα−ホスホジエステルオリゴヌクレオチドであり得る。より具体的には、C−Cアルキルホスホネートオリゴマーは、メチルホスホネート(MP)オリゴマーであり得る。
さらに他の実施形態において、本発明の方法において使用される酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、キメラである。
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび1種より多く多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮する方法を提供する。
本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮する方法を提供し、ここでそのポリヌクレオチドはRNAまたはDNAのいずれかである。ポリヌクレオチドがRNAであるいくつかの実施形態において、ポリメラーゼ伸長は、逆転写により、そして第1鎖cDNAを産生する。他の実施形態において、これらの方法はさらに第2鎖cDNAの合成を伴う。いくつかの実施形態において、第1鎖cDNA合成の間に、試料を少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露する。あるいは、第2鎖cDNA合成の間に、試料を少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露する。これらの方法のさらに他の実施形態において、第1鎖cDNA合成および第2鎖cDNA合成両方の間に、試料を少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露する。
他の実施形態において、二本鎖cDNAを産生する本発明の方法はさらに、任意で増幅工程を含み得る。いくつかの実施形態において、その増幅工程は、ポリメラーゼ連鎖反応による。他の実施形態において、その増幅工程はインビトロ転写による。
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮するための方法を提供し、ここでそのポリヌクレオチドはRNAであり、そしてそのRNAは、mRNAであっても、cRNAであっても、または全細胞RNAであってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮するための方法を提供し、そのポリヌクレオチドはDNAを含み、そしてポリメラーゼ伸長はポリメラーゼ連鎖反応におけるDNA依存性DNAポリメラーゼによる。
別の実施形態において、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの試料において、少量のポリヌクレオチドを濃縮するための本発明の方法はさらに、当該増幅ポリヌクレオチドの標識工程を含む。いくつかの実施形態において、その標識化は増幅と同時に生ずる。いくつかの実施形態において、その標識化は増幅に続く。
他の局面において、本発明は、少量のポリヌクレオチドが濃縮されたポリヌクレオチドのプールを提供する。1つの実施形態において、本発明は、複数のポリヌクレオチドを提供し、ここで少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの相対的な量が、非標的ポリヌクレオチドと比較して減少されており、そしてここで少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドは、図14に列挙した遺伝子のリストから選択される。関連する実施形態において、本発明は、複数のポリヌクレオチドを提供し、ここで少なくとも1つの非標的ポリヌクレオチドの相対的な量が、標的ポリヌクレオチドと比較して増加されている。1つの実施形態において、複数のポリヌクレオチドは、DNA分子またはRNA分子のいずれかである。より具体的には、DNA分子はcDNA分子であり得、そしてRNA分子はcRNA分子であり得る。他の実施形態において、複数のポリヌクレオチドが標識される。さらに他の実施形態において、本発明によって提供される複数のポリヌクレオチドは、ベクターにクローニングされる。
他の実施形態において、本発明は、本発明によって提供される方法の使用を促進するキットを提供する。1つの実施形態において、本発明は、ポリヌクレオチドの試料において少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドを濃縮するためのキットを提供し、ここでその試料は、少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドおよび少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドを含み、ここでそのキットは、少なくとも1つの多量の標的ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオベース配列を有する、少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを含む。これらキットのいくつかの実施形態において、伸長不可能なオリゴマーは、図14において列挙された遺伝子または複数の遺伝子を標的とする。
他の実施形態において、そのキットにおいて提供される伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、ペプチド核酸(PNA)オリゴマー、2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマー、3’−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマー、ロックされた(locked)核酸(LNA)、N3’−P5’ホスホロアミダイト(NP)オリゴマー、副溝結合剤連結オリゴヌクレオチド(MGB−連結オリゴヌクレオチド)、ホスホロチオエート(PS)オリゴマー、C−Cアルキルホスホネートオリゴマー、ホスホロアミダイト、β−ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、およびα−ホスホジエステルオリゴヌクレオチドから選択される。
さらに他の実施形態において、そのキットは任意で、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、DNA依存性RNAポリメラーゼ、DNA依存性DNAポリメラーゼ、オリゴ−dTポリメラーゼプライマー、さらにRNAポリメラーゼ開始のためのヌクレオチド配列を含むオリゴ−dTポリメラーゼプライマー、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、リボヌクレオチド三リン酸、cDNA第2鎖合成に適当なDNAポリメラーゼプライマー、およびポリヌクレオチド標識手段のような、様々な構成成分を含み得る。
他の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを有する試料において、遺伝子発現を分析する方法を提供し、ここでその方法は一般的に、(a)試料を、多量のポリヌクレオチド中の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに、塩基対形成が起こる条件下で曝露する工程、(b)試料をポリメラーゼ伸長の条件において濃縮ポリヌクレオチド試料を産生する工程、(c)濃縮ポリヌクレオチド試料中のポリヌクレオチドを標識する工程、(d)ハイブリダイゼーションの手段を用いて標識化ポリヌクレオチド試料をプローブと接触させ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する工程、および(e)ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含み、ここでそのハイブリダイゼーション複合体の検出は、遺伝子発現を示す。
他の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドが濃縮されたcDNAライブラリーを合成する方法を提供し、それは一般的に(a)mRNAの試料を提供する工程であって、ここでそのmRNAは少なくとも1つの多量の転写物および少なくとも1つの少量の転写物を有する、工程、(b)試料を、多量のmRNA中の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに、塩基対形成が起こる条件下で曝露する工程、(c)試料を、逆転写および第1鎖cDNA合成のための条件に供する工程、(d)試料を、第2鎖cDNA合成のための条件に供して、二本鎖cDNA分子を形成する工程、および(e)二本鎖cDNA分子をベクターにクローニングして、濃縮cDNAライブラリーを産生する工程を含む。
本発明の詳細な説明
定義
他に定義されなければ、本明細書中で使用される技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。当業者は、本明細書中で記載されたものと同様または等価な多くの方法および材料を認識し、それらを本発明の実施において使用し得る。実際、本発明は、記載された方法および材料に決して制限されない。本発明の目的のために、以下の用語を下記で定義する。
「ヌクレオベース」は、相補的なヌクレオベースまたはヌクレオベースアナログ(すなわちヌクレオベースの誘導体)と対を形成してワトソン−クリック水素結合を形成し得る、あらゆる窒素含有複素環式部分を意味する。「複素環式」は、1つまたはそれ以上の環原子がヘテロ原子(例えば窒素、酸素、または硫黄である(すなわち炭素でない))環系を有する分子を指す。多数のヌクレオベース、ヌクレオベースアナログ、およびヌクレオベース誘導体が公知である。ヌクレオベースの例としては、プリンおよびピリミジン、および改変形式(例えば7−デアザプリン)が挙げられる。典型的なヌクレオベースは、天然に存在するヌクレオベース、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、および天然に存在するヌクレオベースのアナログ(Seela、米国特許第5,446,139号)(例えば7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール(Bergstrom、J.Amer.Chem.Soc.、117:1201−1209[1995])、ニトロインドール、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、プソイドウリジン、プソイドシトシン、プソイドイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン(Seela、米国特許第6,147,199号)、7−デアザグアニン(Seela、米国特許第5,990,303号)、2−アザプリン(Seela、WO01/16149)、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン、「PPG」(Meyer、米国特許第6,143,877号および同第6,127,121号;Gall、WO01/38584)、およびエテノアデニン(Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology、385−394頁、CRC Press、Boca Raton、FlにおけるFasman(1989)))である。
本明細書中で使用される「ヌクレオベースオリゴマー」または「オリゴマー」という用語は、ヌクレオベースの多量体構成を指す。オリゴマーは、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよく、そして遺伝子配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖に相補的であり得る。ヌクレオベースオリゴマーは、標的ポリヌクレオチドの相補的部分とハイブリダイズして二本鎖を形成し得、それはホモ二本鎖であってもまたはヘテロ二本鎖であってもよい。ヌクレオベースオリゴマーは短く、典型的には100ヌクレオベースより少ない長さであるが、必ずしもそうではない。ヌクレオベース間の結合は、ヌクレオチド間型ホスホジエステル結合、またはあらゆる他の型の結合であり得る。ヌクレオベースオリゴマーは、酵素的に伸長可能であっても、または酵素的に伸長不可能であってもよい。
「ヌクレオシド」は、天然のβアノマー配置またはαアノマー配置において、リボース、アラビノース、キシロース、およびピラノースのような糖のC−1’炭素に結合したヌクレオベースからなる化合物を指す。その糖は、置換であっても未置換であってもよい。置換リボース糖としては、炭素原子のうちの1つまたはそれ以上(例えば2’炭素原子)が、1つまたはそれ以上の同じまたは異なるCl、F、−R、−OR、−NRまたはハロゲン基で置換されたリボースが挙げられるがこれらに限定されず、ここで各Rは独立にH、C−CアルキルまたはC−C14アリールである。リボースの例としては、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、2’−ハロリボース、2’−フルオロリボース、2’−クロロリボース、および2’−アルキルリボース、例えば2’−O−メチル,4’−α−アノマーヌクレオチド、1’−α−アノマーヌクレオチド(Asselineら、Nucl.Acids Res.19:4067−74[1991])、2’−4’結合および3’−4’結合および他の「ロックされた(locked)」または「LNA」、二環式糖改変形(WO98/22489;WO98/39352;WO99/14226)が挙げられる。ポリヌクレオチド中の例示的なLNA糖アナログとしては、以下の構造が挙げられる:
ここでBはあらゆるヌクレオベースである。
糖は、2’−または3’−位置において、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモのような改変を含む。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、天然のD配置アイソマー(D型)、およびL配置アイソマー(L型)を含む(Beigelman、米国特許第6,251,666号;Chu、米国特許第5,753,789号;Shudo、EP0540742;Garbesiら、Nucl.Acids Res.21:4159−4165(1993);Fujimori、J.Amer.Chem.Soc.112:7435(1990);Urata(1993)Nucleic Acids Symposium Ser.No.29:69−70)。ヌクレオベースがプリン、例えばAまたはGである場合、リボース糖は、ヌクレオベースのN−位置に結合する。ヌクレオベースがピリミジン、例えばC、TまたはUである場合、五炭糖はヌクレオベースのN−位置に結合する(KornbergおよびBaker(1992)DNA Replication、第2版、Freeman、San Francisco、CA)。
「ヌクレオチド」は、モノマー単位として、またはポリヌクレオチド中で、ヌクレオシドのリン酸エステルを指す。「ヌクレオチド5’−三リン酸」は、5’位置に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、そしてリボース糖の構造的特徴を特に指摘するために、「NTP」または「dNTP」および「ddNTP」と呼ばれることもある。三リン酸エステル基は、様々な酸素の硫黄置換、例えばα−チオ−ヌクレオチド5’−三リン酸を含み得る。ポリヌクレオチドおよび核酸化学の概説のために、Shabarova,Z.およびBogdanov,A. Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids、VCH、New York、1994を参照のこと。
本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、そしてヌクレオチド間ホスホジエステル結合、例えば3’−5’逆方向結合および2’−5’逆方向結合、例えば3’−3’分岐構造および5’−5’分岐構造またはヌクレオチド間アナログによって結合した、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)を含むヌクレオチドモノマーの一本鎖ポリマーおよび二本鎖ポリマーを意味する。「ポリヌクレオチド配列」は、ポリマーに沿ったヌクレオチドモノマーの配列を指す。
「RNA」という用語は広く使用され、そして例えばおよび制限なしに、RNA、cRNA、rRNA、mRNAおよびtRNAを含む。
3’−5’ホスホジエステル結合によって形成されたポリヌクレオチドは、5’末端および3’末端を有すると言われる。なぜなら、ポリヌクレオチドを作るように反応するモノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチド五炭糖環の5’リン酸が、その隣りの3’酸素(すなわち水酸基)に1つの方向においてホスホジエステル結合によって結合する方式で結合しているからである。従って、ポリヌクレオチド分子の5’末端は、ヌクレオチドの五炭糖環の5’位に遊離のリン酸基または水酸基を有し、一方ポリヌクレオチド分子の3’末端は、五炭糖環の3’位に遊離のリン酸または水酸基を有する。ポリヌクレオチド分子中で、別の位置または配列に対して5’の方向にある位置または配列は、「上流」に位置すると言われ、一方別の位置に対して3’側にある位置は、「下流」であると言われる。この用語は、ポリメラーゼが、鋳型鎖にそって5’から3’への様式で進行してポリヌクレオチド鎖を伸長するという事実を反映する。
ポリヌクレオチドは、H、NH 、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na等のような、会合対イオンを有する。ポリヌクレオチドは、全体がデオキシリボヌクレオチドから構成されても、全体がリボヌクレオチドから構成されても、またはそのキメラ混合物から構成されてもよい。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド間、ヌクレオベース、および糖アナログから構成され得る。他に示されなければ、ポリヌクレオチド配列が表示される場合はいつでも、他に示されなければ、ヌクレオチドは左から右へ5’から3’の方向であり、そして「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、そして「T」はチミジンを示すことが理解される。
「ポリヌクレオチド」という用語はあらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形式を含むので、「ポリヌクレオチド」は、いかなる特定の長さのヌクレオチド配列にも制限されない。大きさが約5モノマー単位〜約40モノマー単位の範囲であるポリヌクレオチドは、典型的には当該分野においてオリゴヌクレオチドと呼ばれる。長さが数千モノマーヌクレオチド単位以上であるポリヌクレオチドは、典型的には核酸と呼ばれる。ポリヌクレオチドは、直鎖状分子、分岐型直鎖状分子、または環状分子であり得る。
本明細書中で使用される場合、「相補的」または「相補性」という用語は、ワトソン/クリック型塩基対形成の法則およびフーグスティーン型塩基対形成の法則によって関連しているヌクレオベースの逆平行の鎖(すなわちヌクレオベースの配列)を指して使用される。例えば、配列5’−AGTTC−3’は、配列5’−GAACT−3’に対して相補的である。
本明細書中で使用される場合、「アンチセンス」という用語は、別のヌクレオベースオリゴマーに対して逆平行でありかつ相補的な、あらゆるポリヌクレオチドまたは他のヌクレオベースオリゴマーを指す。「相補的」という用語は、「アンチセンス」と交換可能に使用されることもある。本発明は、あらゆる方法によって産生されるアンチセンスDNA、アンチセンスRNAまたはあらゆる他のアンチセンスヌクレオベースオリゴマーを含む。
本明細書中で使用される場合、「T」という用語は、「融解温度」を指して使用される。融解温度は、ホモ二本鎖またはヘテロ二本鎖の、二本鎖ポリヌクレオチド分子またはヌクレオベースオリゴマーの集団が、半分解離して一本鎖になる温度である。2つの分子間のTを計算する方程式は、塩基配列および構造的特徴および配列特徴およびオリゴマー結合の性質を含む他の因子を考慮に入れる。Tを決定する方法は、当該分野で公知である。
「ヌクレオチド間アナログ」は、ポリヌクレオチドのリン酸エステルアナログまたは非リン酸アナログを意味する。リン酸エステルアナログは:(i)C−Cアルキルホスホネート、例えばメチルホスホネート;(ii)ホスホロアミデート(phosphoramidate);(iii)C−Cアルキル−ホスホトリエステル;(iv)ホスホロチオエート;および(v)ホスホロジチオエートを含む。
非リン酸ヌクレオチド間アナログは、通常PNAと呼ばれる、ペプチド核酸のファミリーを含み、ここでDNAまたはRNAの糖/リン酸バックボーンは、非環式、アキラル、および中性ポリアミド結合によって置換されている(米国特許第5,539,082号;WO92/20702;Nielsenら、Science 254:1497−1500[1991];Egholmら、Nature 365:566−568[1993])。ヌクレオベースがアミド結合によって結合に連結した2−アミノエチルグリシンポリアミド結合は、PNAの1つの実施態様としてよく研究され、そして例外的なハイブリダイゼーション特異性および親和性を有することが示された。この分子の部分的な構造を、カルボキシル末端アミドと共に下記に示し、そしてここでBはあらゆるヌクレオベースである:
その名前にもかかわらず、PNAは真のペプチド、核酸、または酸性ではない。PNAは、天然に存在しない分子であり、そしてあらゆるポリメラーゼ酵素、ペプチダーゼ、またはヌクレアーゼの基質であることは知られていない。PNAはポリアミドであるので、それはC−末端(カルボキシル末端)およびN−末端(アミノ末端)を有する。標的配列に対する逆平行結合(すなわちハイブリダイゼーション)に適当なPNAオリゴマーを設計する目的のために、PNAオリゴマーのヌクレオベース配列のN−末端は、等価なDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシル末端と等価である。本明細書中で使用される場合、「PNA」という用語はまた、当該分野で公知の関連する構造、特に他のペプチドに基づく核酸模倣物を含むことが意図される(例えばWO96/04000を参照のこと)。
PNAの合成方法は、当該分野で公知である(例えば、HyrupおよびNielsen、Bioorg.Med.Chem.4(1):5−23(1996);WO92/20702;WO92/20703および米国特許第5,539,082号を参照のこと)。PNAオリゴマーの化学的組み立ては、固相ペプチド合成と同様であり、ここで組み立ての各サイクルにおいて、オリゴマーは成長するオリゴマーに加わる次のモノマー単位と縮合する反応性アルキルアミノ末端を有する。標準的なペプチド化学を利用するので、天然および非天然アミノ酸をPNAオリゴマーに組み込み得、そしてtBocまたはFmoc固相合成を用いて合成し得る。PNAオリゴマーの支持体結合自動化化学合成の化学的試薬および装置は、市販で入手可能であり、そして注文のヌクレオベース配列を有するPNAオリゴマーが、商業主(例えばApplied Biosystems、Foster City、CA)から容易に注文される。
本明細書中で使用される「置換された」は、1つまたはそれ以上の水素原子が、1つまたはそれ以上の非水素原子、官能基または部分で置換された分子を指す。例えば、未置換窒素は−NHであり、一方置換窒素は−NHCHである。典型的な置換基は、ハロ、例えばフッ素および塩素、C−Cアルキル、硫酸、スルホン酸、スルホン、アミノ、アンモニウム、アミド、ニトリル、ニトロ、アルコキシ(−OR、ここでRはC−C12アルキルである)、フェノキシ、芳香族、フェニル、多環式芳香族、ヘテロ環、水溶性基、および結合部分を含むがこれに限らない。
「アルキル」は、親アルカン、アルケン、またはアルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られた、飽和または不飽和、直鎖、分岐、環状または置換炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、シアノエチル、イソプロピル、ブチル等を含むがこれに限らない、1−12の飽和および/または不飽和炭素からなる。
「アルキルジイル」は、親アルカン、アルケン、またはアルキンの同じまたは2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られた、1−12炭素原子および2つの一価のラジカル中心を有する、飽和または不飽和、分岐、直鎖、環状、または置換炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアルキルジイルラジカルは、1,2−エチルジイル(−CHCH−)、1,3−プロピルジイル(−CHCHCH−)、1,4−ブチルジイル(−CHCHCHCH−)等を含むがこれに限らない。「アルコキシジイル」は、酸素から水素を除去することによって、および炭素原子から水素原子を除去することによって得られた2番目のラジカルによって得られた、2つの一価のラジカル中心を有するアルコキシル基を意味する。典型的なアルコキシジイルラジカルは、メトキシジイル(−OCH−)および1,2−エトキシジイルまたはエチレンオキシ(−OCHCH−)を含むがこれに限らない。「アルキルアミノジイル」は、窒素から水素原子を除去することによって、そして炭素原子から水素原子を除去することによって得られた2番目のラジカルによって得られた、2つの一価のラジカル中心を有するアルキルアミノ基を意味する。典型的なアルキルアミノジイルラジカルは、−NHCH−、−NHCHCH−および−NHCHCHCH−を含むがこれに限らない。「アルキルアミドジイル」は、窒素から水素原子を除去することによって、そして炭素原子から水素原子を除去することによって得られた2番目のラジカルによって得られた、2つの一価のラジカル中心を有するアルキルアミド基を意味する。典型的なアルキルアミドジイルラジカルは、−NHC(O)CH−、−NHC(O)CHCH−、および−NHC(O)CHCHCH−を含むがこれに限らない。
「アリール」は、親芳香族環系の単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られる、5−14炭素原子の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアリール基は、置換アリール基を含んで、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等から得られたラジカルを含むがこれに限らない。
「アリールジイル」は、置換アリールジイル基を含んで、親アリール化合物の2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる、結合した共鳴電子系および少なくとも2つの一価のラジカル中心を有する、5−14炭素原子の不飽和環状または多環式炭化水素ラジカルを意味する。
「置換アルキル」、「置換アルキルジイル」、「置換アリール」および「置換アリールジイル」はそれぞれ、1つまたはそれ以上の水素原子が、それぞれ独立に別の置換基で置換されたアルキル、アルキルジイル、アリールおよびアリールジイルを意味する。典型的な置換基は、F、Cl、Br、I、R、OH、−OR、−SR、SH、NH、NHR、NR、−NR、−N=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−NCO、−NCS、−NO、−NO、−N 、−N、−NHC(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)R、−OS(O)OR、−S(O)NR、−S(O)R、−OP(O)(OR)、−P(O)(OR)、−P(O)(O、−P(O)(OH)、−C(O)R、−C(O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−CO 、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NR、−C(S)NR、−C(NR)NRを含むがこれに限らず、ここで各Rは独立にーH、C−Cアルキル、C−C14アリール、ヘテロ環、または結合基である。置換基はまた、二価、ジアゾ(−N=N−)のような架橋官能基、エステル、エーテル、ケトン、リン酸、アルキルジイル、およびアリールジイル基を含む。
本明細書中で使用される場合、ヌクレオベースオリゴマーに適用される「酵素的に伸長可能」は、ポリメラーゼ酵素による、ポリヌクレオチド鋳型に相補的なヌクレオチドの組み込み(すなわち伸長)の酵素基質として作用し得るヌクレオベースオリゴマーを指す。酵素的に伸長可能なヌクレオベースオリゴマーは、ポリメラーゼ「プライマー」として作用し、そしてプライマーの伸長を支持し得る。酵素的に伸長可能なヌクレオベースオリゴマーの例は、2−デオキシリボースポリヌクレオチド(DNA)およびリボースポリヌクレオチド(RNA)を含むオリゴマーを含み、ここでそのオリゴマーは、フリーのリボース糖3’水酸基を有する。
本明細書中で使用される場合、ヌクレオベースオリゴマーに適用される「酵素的に伸長不可能」は、ポリメラーゼ酵素による、ポリヌクレオチド鋳型に相補的なヌクレオチドの組み込み(すなわち伸長)の酵素基質として作用できないヌクレオベースオリゴマーを指す。酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、ポリメラーゼ「プライマー」として作用できず、そしてプライマーの伸長を開始できない。酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマー構造の多くの例が、当該分野で公知である。これらの構造は、例えば:(i)3’末端ヌクレオチドにおけるリボース糖の3’位置に水酸基を欠く、(ii)3’末端ヌクレオチドまたはその付近において糖、ヌクレオベース、またはヌクレオチド間結合にポリメラーゼ活性を阻害する修飾、例えば2’−O−メチルを有するあらゆるポリヌクレオチド、または(iii)そのオリゴマー構造においてリボース糖ホスホジエステルバックボーンを利用しないヌクレオベースオリゴマーを含む。後者の例は、PNAと呼ばれるペプチド核酸を含むがこれに限らない。本明細書中で使用される場合、「伸長不可能なオリゴマ−」および「ブロッキングオリゴマー」という用語は、交換可能に使用される。
伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを、「ターミネーターヌクレオチド」を用いることによって形成し得る。ターミネーターヌクレオチドは、ポリメラーゼ酵素の作用によってポリヌクレオチドの3’末端に酵素的に組み込まれ得るが、それ以上伸長できないヌクレオチドである。従って、ターミネーターヌクレオチドは、酵素的に組み込み可能であるが、酵素的に伸長可能ではない。ターミネーターヌクレオチドの例は、2,3−ジデオキシリボヌクレオチド(ddNTP)、2’−デオキシ,3’−フルオロヌクレオチド5’−3リン酸およびその標識化形式を含む。
本明細書中で使用される場合、「標的」、「標的ポリヌクレオチド」および「標的配列」等は、相補的なポリヌクレオチド、例えばブロッキングオリゴマー、またはcDNA第1鎖合成プライマーとハイブリダイズする対象である特定のポリヌクレオチド配列を指す。標的配列は、DNA、RNA、そのアナログ、またはその組み合せから成り得る。その標的は、一本鎖または二本鎖であり得る。プライマー伸長過程において、プライマーとハイブリダイゼーション二本鎖を形成する標的ポリヌクレオチドは、「鋳型」とも呼ばれ得る。鋳型は、相補的ポリヌクレオチドを合成するための型として作用する(Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology(1996)CPL Scientific Publishing Services、CRC Press、Newbury、UK)。本発明で使用するための標的配列を、原核生物、真核生物、植物、動物、およびウイルスを含むあらゆる生きた、またはかつて生きていた生物、および合成および/または組換え標的配列から得ることができるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、「プローブ」という用語は、標的ポリヌクレオチドの配列と相補的塩基対形成によって二本鎖構造を形成し得るポリヌクレオチドを指す。続いて、そのように形成された二本鎖を検出、視覚化、測定、および/または定量する。いくつかの実施態様において、プローブは、チップアレイ形式におけるように、固体支持体に固定される。
本明細書中で使用される場合、「プライマー」という用語は、標的配列の相補的なプライマー特異的部分とハイブリダイズするよう設計され、そしてプライマー伸長を受ける、規定された配列のオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、ヌクレオチドの酵素的ポリマー化の開始点として機能し得、それをプライマー伸長と呼び得る(Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology(1996)CPL Scientific Publishing Services、CRC Press、Newbury、UK)。
「二本鎖」という用語は、ワトソン−クリック、フーグスティーン、またはヌクレオベースの他の配列特異的相互作用によって塩基対形成する、1つまたはそれ以上のヌクレオベースオリゴマーの分子間または分子内二本鎖部分を意味する。1つの実施態様において、二本鎖はプライマーおよび鋳型鎖から成り得る。別の実施態様において、二本鎖は伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーおよび標的鎖から成り得る。「ハイブリッド」は、塩基特異的相互作用、すなわちワトソン−クリックまたはフーグスティーン型相互作用によって相互作用する、ヌクレオベースオリゴマーの二本鎖、三本鎖、または他の塩基対形成複合体を意味する。
「プライマー伸長」という用語は、鋳型依存性ポリメラーゼを用いた、5’から3’の方向における、標的にアニーリングした伸長可能なプライマーの伸長過程を意味する。伸長反応は、適当な緩衝液、塩、pH、温度、およびそのアナログおよび誘導体を含むヌクレオチド3リン酸、および鋳型依存性ポリメラーゼを使用する。プライマー伸長反応のために適当な条件は、当該分野で周知である。鋳型依存性ポリメラーゼは、鋳型鎖に相補的なヌクレオチドを、アニーリングしたプライマーの3’末端から始めて組み込み、相補鎖を産生する。
本明細書中で使用される場合、ポリヌクレオチドに関する「標識」という用語は、ポリヌクレオチドに結合し得、そして:(i)検出可能なシグナルを提供する;(ii)2番目の標識と相互作用して、2番目の標識によって提供される検出可能なシグナルを修飾する、例えばFRET;(iii)ハイブリダイゼーション、すなわち二本鎖形成を安定化する;(iv)捕捉機能を与える、すなわち疎水性アフィニティー、抗体/抗原、イオン性複合体形成、または(v)電気泳動移動度、疎水性、親水性、可溶性、またはクロマトグラフィー挙動のような物理的性質を変化させる、あらゆる部分を指す。標識化を、公知の標識、結合、結合グループ、試薬、反応条件、および分析および精製方法を採用する、多くの公知の技術のいずれか1つを用いて達成し得る。標識は、検出可能な蛍光、化学発光、または生物発光シグナルを産生または消光する、発光または吸光化合物を含む(Nonisotopic DNA Probe Techniques(1992)、Academic Press、San Diego、3−28頁におけるKricka,L.)。生物分子を標識するのに有用な蛍光リポーター色素は、フルオレセイン(米国特許第5,188,934;6,008,379;6,020,481号)、ローダミン(米国特許第5,366,860;5,847,162;5,936,087;6,051,719;6,191,278号)、ベンゾフェノキサジン(米国特許第6,140,500号)、ドナーおよびアクセプターのエネルギー転移色素対(米国特許第5,863,727;5,800,996;5,945,526号)、およびシアニン(Kubista、WO97/45539)、および検出可能なシグナルを産生し得るあらゆる他の蛍光標識を含む。フルオレセイン色素の例は、6−カルボキシフルオレセイン;2’、4’,1,4−テトラクロロフルオレセイン;および2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(Menchen、米国特許第5,118,934号)を含む。
別の種類の標識は、二本鎖のハイブリダイゼーションを増強、安定化、または影響をあたえるように作用する、ハイブリダイゼーション安定化部分、例えばインターカレーター、副溝結合剤、および架橋官能基である(Nucleic Acids in Chemistry and Biology、第2版(1996)Oxford University Press、15−81頁におけるBlackburn,G.およびGait,M.編、「DNAおよびRNA構造」)。さらに別の種類の標識は、特異的または非特異的捕捉、例えばビオチン、ジゴキシゲニン、および他のハプテンによって分子の分離または固定化を引き起こす(PCR 2:A Practical Approach、Oxford University Press、Oxford、39−54頁におけるAndrus,A.「PCRプローブおよびプライマーの5’非アイソトープ標識の化学的方法」(1995))。非放射活性標識方法、技術、および試薬は、Non−Radioactive Labelling, A Practical Introduction、Garman,A.J.(1997)Academic Press、San Diegoにおいて概説される。
「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」という用語は、交換可能に使用され、そして二本鎖または他の高次構造の形成を引き起こす、1つのポリヌクレオチドの別のポリヌクレオチドとの塩基対形成相互作用を意味する。主な相互作用は、ワトソン/クリックおよびフーグスティーン型水素結合によって、塩基特異的、すなわちA/TおよびG/Cである。
「固体支持体」という用語は、オリゴヌクレオチドが合成、結合、または固定化される、あらゆる固相物質を指す。固体支持体は、「樹脂」、「固相」および「支持体」のような用語を含む。固体支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドのような有機ポリマー、およびそのコポリマーおよびグラフト(grafts)から成り得る。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、多孔性ガラス(controlled−pore−glass)(CPG)、または逆相シリカのような無機であり得る。固体支持体の形態は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、または表面の形式であり得る。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または無孔性であり得、そして膨張または非膨張性特長を有し得る。固体支持体は、ウェル、くぼみ、または他の容器、管、造り、または位置の形式に配置し得る。複数の固体支持体を、試薬のロボットによる伝達、またはレーザー照明および共焦点または偏向集光によるスキャニングを含む検出手段によってアドレス可能な、様々な位置におけるアレイに配置し得る。
本明細書中で使用される場合、「アレイ」または「マイクロアレイ」は、固体支持体および/または容器の配置に存在するハイブリダイズ可能なエレメント(例えばポリヌクレオチド)の、前もって決定した空間的配置を意味する。あるアレイ形式は、「チップ」または「バイオチップ」と呼ばれる(M.Schena編、Microarray Biochip Technology、BioTechnique Books、Eaton Publishing、Natick、MA[2000])。アレイは、低密度の数のアドレス可能な位置、例えば2から約12、中程度の密度、例えば約100またはそれ以上の位置、または高密度の数、例えば1000またはそれ以上を含み得る。典型的には、アレイ形式は幾何学的に規則的な形であり、それは組み立て、取り扱い、配置、積み重ね、試薬の導入、検出および保存の促進を可能にする。アレイを、各位置の間に規則的な間隔を有する、横列および縦列の形式に配置し得る。あるいは、均等な処理またはサンプリングのために、位置をまとめる、混合する、または均一に混合し得る。アレイは、各位置がハイスループットの取り扱い、ロボットによる試薬の伝達、マスキング、またはサンプリングのために空間的にアドレス可能であるように配置された、複数のアドレス可能な位置を含み得る。アレイをまた、レーザー照明、共焦点または偏向集光、および化学的発光によるスキャニングを含むがこれに限らない、あらゆる特定の手段による検出または定量を促進するために配置し得る。その最も広い意味において、本明細書中で列挙される「アレイ」形式は、アレイ(すなわち、多数のチップのアレイ)、マイクロチップ、マイクロアレイ、単一のチップに集めたマイクロアレイ、またはあらゆる他の同様の形式を含むがこれに限らない。
「遺伝子」という用語は、部分からなるポリヌクレオチド配列を指し、それは天然または組換え方式で操作可能に組み合わさった場合、ある産物または機能を提供する。「遺伝子」という用語は、遺伝子のmRNA、cDNA、cRNAおよびゲノム形式を含む。全てではないがいくつかの実施態様において、遺伝子は、ポリペプチドの産生に必要なコード配列を含む。ポリヌクレオチドのコード領域に加えて、「遺伝子」という用語はまた、コード領域の5’および3’末端に隣接する全長mRNAの転写ヌクレオチド配列を含み、それは様々な大きさであり、そして典型的にはコード領域の5’および3’末端両方に伸びる。コード領域の5’および3’に位置し、そしてmRNAに含まれる配列は、5’および3’非翻訳配列(それぞれ5’UTおよび3’UT)と呼ばれる。
本明細書中で使用される場合、「調節エレメント」という用語は、ポリヌクレオチド配列発現のある局面を調節する遺伝的エレメントを指す。例えば、プロモーターは、操作可能に連結したコード領域の転写開始を可能にする調節エレメントである。他の調節エレメントは、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、停止シグナル等である。いくつかの実施態様において、プロモーター配列は「内因性」であり、ここでそのプロモーターはゲノムにおいて所与の遺伝子に天然に連結しているものである。他の実施態様において、プロモーターは「外来性」または「異種由来」であり、ここで遺伝子の転写が連結したプロモーターによって調節されるように、非天然プロモーターが遺伝的操作(すなわち、クローニングおよび組換えのような分子生物学的技術)によって遺伝子と近位に置かれる。
核酸に関して本明細書中で使用される「操作可能な組み合せ」、「操作可能な順序」、「操作可能に連結した」、「操作可能に結合した」という用語および同様の語句は、お互いに機能的な関係におかれたポリヌクレオチドを指す。例えば、その組み合せが遺伝子の正確な転写を引き起こし、RNA分子を産生する場合、プロモーターポリヌクレオチド配列および遺伝子オープンリーディングフレームは操作可能に連結されている。
本明細書中で使用される場合、「遺伝子発現」という用語は、染色体におけるゲノムヌクレオチド配列にコードされた遺伝情報を、遺伝子の「転写」によって(すなわちRNAポリメラーゼの酵素的作用によって)RNA(例えばmRNA、rRNA、tRNA、またはsnRNA)に変換する過程を指す。
本明細書中で使用される場合、「ベクター」という用語は、DNA部分を1つの細胞から別の細胞へ伝達し、そして適当な細胞型内で複製し得るポリヌクレオチド分子を指して使用される。「ビヒクル」という用語が、「ベクター」と交換可能に使用されることもある。ベクターは、その維持を媒介する、およびその意図された使用を可能にする部分を含む(例えば、複製に必要な配列、薬剤または抗生物質耐性を与える遺伝子、複数のクローニング部位、およびクローニングされた遺伝子の発現を可能にする、操作可能に連結されたプロモーター/エンハンサーエレメント)。ベクターは多くの場合プラスミド、バクテリオファージ、または植物または動物ウイルスから得られる。「クローニングベクター」または「シャトルベクター」または「サブクローニングベクター」は、サブクローニング工程を促進する、操作可能に連結された部分を含む(例えば、複数の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む複数のクローニング部位)。
本明細書中で使用される「発現ベクター」という用語は、特定の宿主生物において操作可能に連結されたコード配列の発現に必要な、操作可能に連結されたポリヌクレオチド配列を含むベクターを指す(例えば、細菌発現ベクター、酵母発現ベクター、または哺乳類発現ベクター)。原核生物において発現に必要なポリヌクレオチド配列は、多くの場合他の配列と共に、典型的にはプロモーター、オペレーター(任意)、およびリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサー、および停止およびポリアデニル化シグナル、および一般的に原核生物によって使用されるものとは異なる他の配列を利用する。
本明細書中で使用される「試料(サンプル)」という用語は、その最も広い意味で使用される。本明細書中で使用される「試料」という用語は、典型的には生物学的由来のものであり、ここで「試料」は動物または植物から得られたあらゆる型の物質(例えばあらゆる液体または組織)、培養細胞または組織、微生物の培養(原核生物または真核生物)、および生きた(またはかつて生きていた)培養または細胞から産生されるあらゆる画分または産物を指す。試料は、未精製または精製し得る。精製試料は、主に1つの成分、例えば全細胞RNA、全細胞mRNA、cDNAまたはcRNAを含み得る。
本明細書中で使用される場合、「インビトロ」という用語は、人工的な環境および人工的な環境内で起こる過程または反応を指す。「インビボ」という用語は、天然の環境(例えば動物内において、または細胞内において)および天然の環境内で起こる過程または反応を指す。インビトロ転写(IVT)反応は、主に精製された成分、例えば精製DNA鋳型および精製DNA依存性RNAポリメラーゼを使用して、細胞を含まない環境で起こる転写反応である。
本明細書中で使用される場合、「DNA依存性DNAポリメラーゼ」という用語は、相補的および逆平行DNA鎖を合成するために、デオキシリボ核酸(DNA)を鋳型として使用するDNAポリメラーゼを指す。
本明細書中で使用される場合、「DNA依存性RNAポリメラーゼ」という用語は、RNA鎖合成のために、デオキシリボ核酸(DNA)を鋳型として使用するRNAポリメラーゼを指す。DNA依存性RNAポリメラーゼによって媒介される過程は、通常「転写」と呼ばれる。二本鎖DNA分子のいずれかの鎖をRNA合成の鋳型として使用し得、そしてDNA分子に操作可能に連結したRNAポリメラーゼプロモーターの配列および方向に依存する。
本明細書中で使用される場合、「RNA依存性DNAポリメラーゼ」という用語は、相補的および逆平行DNA鎖を合成するために、リボ核酸(RNA)を鋳型として使用するDNAポリメラーゼを指す。RNA分子のDNAコピーを産生する過程は、通常「逆転写」と呼ばれ、そしてそれを達成する酵素は「逆転写酵素」である。いくつかの場合において、逆転写酵素活性を示す酵素はまた、ヌクレアーゼ活性(例えばRNアーゼHリボヌクレアーゼ活性)およびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性のような、しかしそれに限らないさらなる活性を示す。
本明細書中で使用される場合、「増幅」という用語は、一般的に分子の量の増加を引き起こすあらゆる過程を指す。ポリヌクレオチド分子に適用される場合、増幅は、ポリヌクレオチド分子、またはポリヌクレオチド分子の部分の、1つまたは少数のコピーまたは少量の開始材料からの、複数コピーの産生を意味する。ポリヌクレオチドの増幅は、様々な化学的および酵素的過程を含む。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中の、1つまたは少数のコピーの鋳型DNA分子からの、複数のDNAコピーの産生は、増幅の1つの形式である。他の増幅過程は、鎖置換増幅(SDA;Beckton,Dickenson and Company、およびNanogen,Inc.、San Diego、CA)、転写による増幅(TMA;Gen−Probe(登録商標),Inc.、San Diego、CA)、および核酸配列に基づく増幅(NASBA;Organon−Teknika)を含む。増幅は、開始分子の厳格な複製に限らない。例えば、転写過程(例えば、インビトロ転写)の間の、単一のDNA分子からの複数のRNA分子の産生は、増幅の1つの形式である。
いくつかの実施態様において、増幅は、増幅反応の後にいかなる続く工程も必要としない。他の実施態様において、増幅の後にさらなる工程、例えば標識化、シークエンシング、精製、単離、ハイブリダイゼーション、発現、検出および/またはクローニングが続くがこれに限らない。
本明細書中で使用される場合、「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)という用語は、試料における標的ポリヌクレオチドの部分の濃度を増加させる、当該分野で周知の増幅方法を指し、ここで試料は単一のポリヌクレオチド種、または複数のポリヌクレオチドであり得る。一般的に、PCR過程は、モル過剰の2つまたはそれ以上の伸長可能なオリゴヌクレオチドプライマーを、望ましい標的配列を含む反応混合物に導入することから成り、ここでそのプライマーは二本鎖標的配列の反対の鎖に相補的である。反応混合物をDNAポリメラーゼの存在下で正確な温度サイクルのプログラムにかけ、DNAプライマーに隣接する望ましい標的配列の増幅を引き起こす。逆転写酵素PCR(RT−PCR)は、RNA鋳型および逆転写酵素を使用して、DNA依存性DANポリメラーゼプライマー伸長の複数サイクルの前に、一本鎖DNA分子を最初に産生するPCR反応である。マルチプレックスPCRは、典型的には単一の反応に2つより多いプライマーを含むことによって、単一の反応において1つより多い増幅産物を産生するPCR反応を指す。広く様々なPCR適用の方法が、当該分野で広く公知であり、そして多くの情報源、例えばAusubelら(編)Current Protocols in Molecular Biology、第15節、John Wiley & Sons,Inc.、New York(1994)において記載されている。
本明細書中で使用される場合、「富化」という用語は、複数の種のプールにおいて、少なくとも1つの種の相対的割合(すなわちパーセンテージ)における変化を指し、ここで1つまたはそれ以上の種の割合が、別の種と比較して増加する。本明細書中で使用される場合、増幅は、富化を達成するために必要ではない。さらに、富化が増幅を引き起こすことも必要ではない。本発明のいくつかの実施態様において、富化の後に任意で増幅工程が続く。
本明細書中で使用される場合、「ポリメラーゼ伸長」という用語は、あらゆるポリメラーゼ酵素による、ポリヌクレオチドのあらゆる鋳型依存性ポリマー化を指す。そのポリメラーゼは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち逆転写酵素、例えばモロニーマウス白血病ウイルス[MMLV]逆転写酵素)、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えばT7 RNAポリメラーゼ)、またはDNA依存性DNAポリメラーゼ(例えばTaq DNAポリメラーゼまたはBst DNAポリメラーゼ)であり得る。ポリメラーゼ伸長は、ポリマー化を開始するためにプライマーを必要とするポリメラーゼ活性に限らない。例えば、T7 RNAポリメラーゼは、ポリメラーゼの開始および伸長にプライマーの存在を必要としない。
(詳細な説明)
遺伝子発現の定量的および定性的研究、およびある遺伝子の単離に関する困難の1つは、単一の細胞または組織における異なる遺伝子間の広範囲な発現レベルである。すなわち、当該トランスクリプトームで発現する遺伝子は、同等でない分配を示し、ここでいくつかの遺伝子は他の遺伝子より有意に高レベルで発現する。この遺伝子発現レベルの範囲を、表1に示す仮定的例において説明する。
表1は、低、中程度、または高レベルの転写物と考え得るものの1つの例を提供する。表1において見られるように、細胞あたりの遺伝子転写物の数(すなわち、転写物のコピー数)は、4オーダー以上の程度で異なり得る。
さらに、非常に高レベルで発現する比較的少数の遺伝子と比較して、低および中程度クラスの遺伝子発現によって示される不釣合いに多数の遺伝子が存在する。この不均衡が、mRNA集団の約10−20%の原因となる比較的少数の高コピー数遺伝子転写物を生ずる。対照的に、より多数の中程度の量の遺伝子が、mRNA集団の40−45%のみの原意であり、一方、遺伝子の最も大きなパーセンテージである、少量の遺伝子は、mRNA集団の40−45%を占める。
本明細書中で使用される場合、「低」または「高」という用語は、いかなる局面においても厳格に規定されることを意図しない。1つの局面において、「高度に転写される」または「多量の」(すなわち、細胞において高コピー数を有する)と考えられる遺伝子またはポリヌクレオチドは、試料中のポリヌクレオチドの少なくとも0.1%の量を有する。例えば、そして制限無しに、多量の遺伝子は、300,000mRNA転写物ごとに500mRNA転写物を有し得(ここで300,000転写物は、ある所定の時間における、ある所定の細胞におけるmRNA分子の数の近似値である)、そして従って、所定の細胞、細胞集団、または組織におけるポリA mRNAの少なくとも0.167%の原因である。特定の実施態様において、「多量の」ポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの少なくとも約0.2%を占める。別の実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの少なくとも約0.5%を占める。さらなる実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの少なくとも約1%を占める。またさらなる実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの少なくとも約5%を占める。
別の局面において、もしそれが試料におけるポリヌクレオチドの約0.1%より少ない量ならば、その遺伝子またはポリヌクレオチドは、「少量」であると考えられる。従って、中程度のレベルで発現する遺伝子は、「少量」であると考えられ得る。1つの実施態様において、「少量の」ポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの約0.05%より少ない量を占める。別の実施態様において、それらは試料におけるポリヌクレオチドの約0.01%より少ない量を占める。さらなる実施態様において、それらは試料におけるポリヌクレオチドの約0.005%より少ない量を占める。またさらなる実施態様において、少量のポリヌクレオチドは、試料におけるポリヌクレオチドの約0.001%より少ない量を占める。例えば、そして制限無しに、低レベルの転写を有する(すなわち、細胞において低コピー数を有する)遺伝子は、各300,000mRNA転写物ごとに15転写物より多くない量を有し得、そして従って、所定の細胞、細胞集団、または組織におけるmRNAの0.005%より多くない量の原因である。
試料における少量のヌクレオチドに対する多量のポリヌクレオチドの関係を、比として与え得る。1つの実施態様において、多量のポリヌクレオチド(または遺伝子)は、少量のポリヌクレオチドの発現レベルの、少なくとも約2倍のレベルで発現するものである。従って、少量のポリヌクレオチドに対する多量のポリヌクレオチドの比は、少なくとも約2:1である。別の実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、少量のポリヌクレオチドの発現レベルの、少なくとも約5倍の発現レベルを有する(10:1)。さらなる実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、少量のポリヌクレオチドの発現レベルの、少なくとも約10倍の発現レベルを有する(100:1)。またさらなる実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、少量のポリヌクレオチドの発現レベルの、少なくとも約50倍の発現レベルを有する(500:1)。またさらなる実施態様において、多量のポリヌクレオチドは、少量のポリヌクレオチドの発現レベルの、少なくとも約100倍の発現レベルを有する(1,000:1)。他の実施態様において、少量のポリヌクレオチドに対する多量のポリヌクレオチドの比は、少なくとも約5,000:1、10,000:1またはそれ以上であり得る。
表1における情報は、様々な技術を用いて実験的に示され、そして当該分野においてよく記録されている。例えば、トランスクリプトームにおける相対的転写物量の不均一な分布は、リアルタイム定量的PCR分析を用いて示された。リアルタイムPCR分析は、蓄積するPCR産物の定期的なモニタリングを指す(蛍光発生的5’ヌクレアーゼアッセイ、すなわちTaqMan(登録商標)分析としても知られる;Hollandら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276−7280[1991];およびHeidら、Genome Research 6:986−994[1996]を参照のこと)。
生きた細胞における転写物分布の不均一な分布はまた、遺伝子発現の連続分析(serial analysis of gene expression)(SAGE)分析を用いて示された。公共で入手可能なSAGE分析の結果を、図1に示す。SAGEは、ハイスループットシークエンシング技術を利用して、分析する各転写物に対する個々のハイブリダイゼーションプローブを提供する必要無しに、細胞遺伝子発現の定量的分析を提供する方法である。
本質的に、SAGE技術は、遺伝子の発現レベルを測定するのではなく、遺伝子の転写産物を示す「タグ」を定量する。SAGEの目的のためのタグは、典型的には約9−14塩基対の長さの、特定の制限酵素の最も3’の制限部位の直接3’にある、規定された長さのヌクレオチド配列である。酵素NlaIIIが、依然として最も広く使用される制限酵素であるが、他の制限酵素も使用し得る。多くの転写物がお互いに連結して長い連続的な分子を形成し、それを迅速にシークエンシングし得、このことは、同時に複数のタグのアイデンティティーを明らかにする。このアプローチをSAGEタグカウントセットで使用し、ここで、全部で約250,000のタグをシークエンシングした。
転写物のあらゆる集団(すなわちトランスクリプトーム)の発現パターンを、(i)所定のトランスクリプトームにおける個々のタグの量を決定する、および(ii)各タグに対応する遺伝子を同定することによって、定量的に評価し得る。SAGE技術のデータ産物は、対応するカウント値を有するタグのリストであり、そして従って細胞遺伝子発現のデジタル表示である。SAGE分析の方法論および使用法は、当該分野で公知であり、そして様々な情報源において記載されている。例えば、Velculescuら、Science 270:484−487(1995);Velculescuら、Cell 88:243−251(1997);およびZhangら、Scinece 276:1268−1272(1997)を参照のこと。
図1の分析に示すように、X軸はSAGEタグID(10マーのオリゴヌクレオチド)をプロットし、そしてY軸は特定のタグの出現頻度をプロットする。このグラフに示したデータセットは、National Center for Biotechnology Information at the National Institutes for Healthによって維持される、公共で利用可能なデータベースから抽出される。この分析は、cDNAライブラリーから62,486配列タグをサンプリングした。
図1で見られるように、非常に少数のSAGEタグが、トランスクリプトームにおいて、不均一に高レベルで占める。大多数のSAGEタグは、ライブラリーにおいて中程度または低い表示を示す。実際、サンプリングした62,486個のタグのうち、それらの多くは単一のヒットとしてのみ出現した(すなわち、試料において1回のみ表示された)。逆に、比較的少数の、頻繁に出現するタグが、試料におけるタグヒットの大部分の原因である。
現在の技術の限界を説明する、mRNA定量および濃度の仮定的計算を、図2に示す。図2において、標準的な250μLのハイブリダイゼーション反応(典型的な「チップ」形式)における7つの異なる遺伝子のmRNA濃度を、8つの異なる量の未増幅標識mRNA投入量(0.1−500μg)に関して決定する。図2に示す遺伝子は、発現レベルにおいて100,000倍の範囲を示す。ハイブリダイゼーション反応における各遺伝子転写物の予測される濃度を、pMで提供する。アレイ形式におけるmRNA検出の下限は、約1pMである。従って、1pMより低い濃度を有する、図3の表におけるあらゆる転写物は、検出不可能である。例えば、もしハイブリダイゼーション反応において5μgのmRNAを使用したら、10またはそれより多いコピー数を有する転写物のみが検出可能である。
遺伝子発現分析における限界を示す同様の例を、図3で示す。図3は、異なる量のmRNA開始材料が与えられた場合の、mRNA定量の仮定的計算を示す。10から10HeLa細胞からの仮定的RNA収量を、μg、pmol、および転写物の数において計算する。この分析は、平均転写物の長さを1.9キロベース(kb)と仮定し、そして少量、中程度、および多量の種類のmRNA転写物に関してこれらの計算を行なう。この分析はまた、250μLのハイブリダイゼーション反応における、予測されるmRNAモル濃度も決定する。所定のmRNAに関する約1pMの検出下限を考慮して(百万個の細胞において細胞あたり約1転写物の遺伝子発現の検出下限に相当する)、この検出限界より上の遺伝子転写物を、囲んで示す。従って、10(百万)個の細胞から始めると、中程度および多量のmRNA転写物のみを検出し得る。
図4はまた、少量の転写物を分析する困難さを示す。図2および3と同様に、図4はハイブリダイゼーション反応におけるポリヌクレオチド(cDNAまたはcRNA)濃度の仮定的計算を提供し、ここで発現レベルにおいて10,000倍の違いを有する6つの異なる遺伝子(遺伝子A〜F)を、3つの異なる量の開始材料を用いて分析する。再び、これらの計算は、最も少量の転写物は、少量の開始材料のみを分析し得る現在公知の方法を用いて検出不可能であることを示す。
ハイブリダイゼーション分析において、ポリヌクレオチド開始材料(未増幅mRNAまたは全RNA、増幅cRNA、cDNA、あるいはセンスまたはアンチセンスIVT産物のいずれか)の量を増加させることは、低レベルの遺伝子発現の問題を補正し得る。しかし、ハイブリダイゼーション反応において使用し得るポリヌクレオチドの量に実際上の限界が存在する。標準的な実験室の条件を用いて、インビトロ転写(IVT)標識反応によって産生し得る増幅RNAの量に、実際上の上限が存在する(約100μg)。それに加えて。高度に発現される遺伝子または転写物が、大部分のIVT試薬を消費し、そして従って、発現量の低い、標的遺伝子の収量を減少する。mRNAは、全細胞RNAの1−5%のみの原因であるので、分析のために産生および標識し得るmRNA(すなわちポリA RNA)の量にも実際上の限界が存在する。別の懸念は、非常に高濃度の最も多量の転写物によって引き起こされるプローブ交差ハイブリダイゼーションの可能性である。
図2−4における計算から、現在の技術は、マイクロアレイハイブリダイゼーション形式を用いた少量のポリヌクレオチド(例えば、一次mRNA転写物、cDNA分子またはcRNA)の低い検出および分析によって妨げられていることが明らかである。従って、少量のポリヌクレオチドの改善された検出および分析のための組成物および方法に関する必要性が、当該分野に存在する。さらに、ポリヌクレオチドまたは遺伝子発現の分析に関して当該分野で現在公知のあらゆる種類の技術を用いて、低コピー数の転写物を検出および/または分析し得るように、少量の転写物を特異的に富化または選択的に増幅する組成物および方法に関する必要性が、当該分野に存在する。
試料において、標的ポリヌクレオチドを選択的に除去する、現在使用されている方法は、技術的限界を有する。これらの方法のいくつかは、サブトラクティブハイブリダイゼーション(すなわち、ハイブリダイゼーションに基づく引き抜き)を使用して、標的配列を捕捉および除去する。他の方法は、特異的な酵素的分解(例えば、RNアーゼH消化)を用いて、規定されたオリゴヌクレオチドと二本鎖を形成した転写物を除去する。これらの方法は、低い収量、大量の開始材料の必要性、および望ましい少量のポリヌクレオチドの非特異的な損失/分解のために、次善のものである。これらのアプローチは多くの場合、ポリヌクレオチドの試料において少量の種を同定できない。
(A.少量のポリヌクレオチドの富化)
少量のポリヌクレオチド(すなわちmRNA転写物)を分析するために使用する開始材料の全量を増加させる必要性を回避する1つの方法は、少量の種に関してポリヌクレオチド試料を富化することである。このアプローチは、ハイブリダイゼーション反応に使用される分析材料の量を単に増加させることに対して利点を提供する。まず、このアプローチは、偽陽性の結果を引き起こす、ハイブリダイゼーションプローブに対する、多量のメッセージの非特異的交差ハイブリダイゼーションの可能性を除去する。2番目に、それは中程度および少量のメッセージの相対的量の増加を引き起こす。これは、ハイブリダイゼーション反応または他の適用において使用される材料の所定の量に関して、残る配列のそれぞれが、より多量に存在し、そして従ってより容易に検出、定量および/または単離されることを意味する。
試料における少量の種の富化を、試料において最も多量の種の選択的抑制によって達成し得る。この原理を、図4および5において提供する単純な仮定的シナリオにおいて示し、6つの異なる遺伝子(遺伝子A−F)の増幅時に、相対的な転写物濃度に何が起こるか説明する。図4は、遺伝子発現の仮定的分析を示し、ここで発現レベルにおいて10,000倍の範囲を有する6つの異なる遺伝子(遺伝子A−F)を、増幅(cDNAまたはcRNA分子のいずれかとして)およびハイブリダイゼーション法において分析する。3つのシナリオが提供され、ここで1、10または100μgの標識材料(すなわちcDNAまたはcRNA)をハイブリダイゼーション反応において使用する。ハイブリダイゼーション反応において各遺伝子転写物の予測される濃度を、pMで提供する。これらの計算において見られるように、1μgの開始材料を使用する場合、少量の転写物(すなわち遺伝子EおよびF)は、1pMより低い濃度を有するので、検出不可能である。この場合、最も低く発現される転写物(すなわち遺伝子F)を検出するために、10μgの標識材料をハイブリダイズしなければならない。ヒトmRNAのより複雑な場合において、さらにより低い発現レベルを有する転写物を検出するために必要な材料の量は、より多いことが予測される。
図5においてなされた計算は、最も多量の転写物(すなわち遺伝子A)のレベルが99%抑制された以外は、図4でなされたものと類似している。図5において見られ得るように、遺伝子Aのレベルが減少した場合、他の転写物の分数量が、検出可能なレベルまで増加する。従って、ある種の増幅を選択的にブロッキングすることによって、他の種の相対的富化が観察され、そしてこのアプローチは、図4において示されるような、非選択的増幅単独による限界を克服し得る。
(B.少量のポリヌクレオチドを富化するための新規組成物および方法)
本発明は、試料における少量のポリヌクレオチドを富化するための組成物および方法を提供する。これらの方法は、試料におけるポリヌクレオチドを酵素的ポリマー化の条件にさらし、そして同時に試料における少なくとも1つの多量の種のポリマー化を抑制することによって、試料を少量の種に関して富化する。少なくとも1つの多量のポリヌクレオチド種のポリマー化の阻害は、試料における他のより少量の種の相対的富化を引き起こす(図4および5の仮定的な例で示したように)。
これらの新規方法は、単一の反応において、望ましい種(すなわち少量または中程度の量の種)のポリマー化、および望ましくない種(すなわち少なくとも1つの多量の種)のポリマー化の抑制を組み合せて、そして従って富化過程を単純にする。これらの2つの工程を単一の工程に組み合せることによって、試料、特に試料中の少量のまたは希少な種の損失および/または分解は、最小限となる。本発明の方法は、大量の開始材料(例えば、特にmRNA)を必要とせず、そして従って、開始材料の量が限られる場合の試料の分析において特に有用である。本発明の組成物および方法は、下記で詳述するように、様々な適用において有用である。
さらに、富化後に、ポリヌクレオチド試料を任意で、当該分野で公知の様々な増幅工程のいずれかにおいて使用し得る。これらの増幅メカニズムは、PCR、インビトロ転写、またはプラスミド/ファージミド増殖によるサブクローニングを含む。
本発明の方法は、開始ポリヌクレオチドプールと比較して、少量のポリヌクレオチド種が富化されたポリヌクレオチドプールを産生し、そして従って少量種(例えばmRNAまたはcRNA転写物、またはcDNA分子)の検出および/または単離を促進する。これらの新規方法は、分子のプールにおいて、多量の標的分子のポリマー化を優先的に阻害する、配列特異的伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを利用し、そして従って少量の転写物の相対的割合を増加させる。これらのブロッキングオリゴマーを、ポリメラーゼ増幅反応を開始する前に試料に加える。ブロッキングオリゴマーは、その標的配列にアニーリングし、そしてポリメラーゼ酵素の進行または開始、すなわちプライマー伸長を阻害することによって、ポリヌクレオチドのプールにおいて標的ポリヌクレオチドの増幅を選択的に抑制する二本鎖を形成する。従って、本発明の方法は、いかなる特殊な装置または他の器具類も必要としない。
1つまたは複数の少量のポリヌクレオチドを、ポリマー化過程で増幅し得る。増幅される少量のポリヌクレオチドそれぞれの配列に特異的なプライマーを使用することによって、それらを個々に増幅し得る。あるいは、阻害されるポリヌクレオチド以外の、試料中の全てのポリヌクレオチドを、ランダムプライマーの使用によるような、当該分野で周知の方法によって増幅し得る(例えばFeinberg,A.P.およびVogelstein,B.1983.Analyt.Biochem.132:6−13;Feinberg,A.P.およびVogelstein,B.1984.Analyt.Biochem.137:266−267を参照のこと)。ランダムプライマーは、所定のnマーの、全ての可能性のある置換の混合物を含み、ここでnは、例えば6、7、8、9または10である。典型的には、ランダムヘキサマー(n=6)またはオクタマー(n=8)を採用する。しかし、所定のnマーの、全ての可能性のある置換のサブセットを用いて、阻害される多量のポリヌクレオチド以外の、試料中の全てのポリヌクレオチドを増幅することが可能であり得る。従って、1つの実施態様において、ランダムプライマーは、100個の別々のnマー(すなわち、それぞれ別々の配列を有する100個のヘキサマー)を含む。別の実施態様において、ランダムプライマーは、200個の別々のnマーを含む。またさらなる実施態様において、ランダムプライマーは、400、800、1000または5000個の異なるnマーを含み得る。ランダムプライマーを市販で購入し得るか、またはオリゴヌクレオチド合成機(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて調製し得る。
本発明の方法を、少量のポリヌクレオチドがポリヌクレオチドの試料中にあり、より多量のポリヌクレオチドが少量種の検出または単離を防止するまたは妨げるあらゆる状況に適用し得る。この多量種の配列特異的抑制および結果として生ずる少量種の富化が、富化前には検出または単離されるために濃度が低すぎた少量のポリヌクレオチドの検出、単離および/または分析を可能にする。いくつかの実施態様において、本発明は、少量の転写物が富化されたポリヌクレオチドのプールを標識化する方法を提供し、ここでポリヌクレオチドの標識化プールは、例えば遺伝子発現の分析または遺伝子クローニングの方法において有用である。他の実施態様において、本発明は、本方法を促進するキットを提供し、ここでそのキットは本方法で使用する様々な試薬を提供する。
本発明の方法は、酵素的に伸長不可能なブロッキングヌクレオベースオリゴマーを利用する。オリゴマーが配列特異的な方式で相補的な標的にハイブリダイズする能力を保持する場所を除いて、伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーの化学的構造を特に制限することを意図しない。様々な伸長不可能なヌクレオベース構造が、当該分野で公知であり、それらは全て本発明で有用である。そのオリゴマーを、試料中の多量の(すなわち高度に転写される)標的配列に相補的であるように設計し、そして標的にハイブリダイズさせる。
いくつかの実施態様において、ポリメラーゼ反応において1つより多いブロッキングオリゴマーを使用し、そして従って、1つより多い多量のポリヌクレオチドのポリマー化を同時に阻害する。
ブロッキングオリゴマーおよび標的分子間の二本鎖形成部位を特に制限することを意図しない。いくつかの実施態様において、ポリメラーゼ開始部位により近い二本鎖形成部位が、ポリメラーゼ開始部位からより遠い二本鎖形成部位より好ましい。別の実施態様において、二本鎖形成部位は、ポリメラーゼ開始部位と重なる、または含む。
(C.少量のmRNA分子の富化方法)
いくつかの実施態様において、本発明は、試料における少なくとも1つの多量のmRNAのDNAポリマー化を抑制する新規方法を提供し、ここでそのmRNAを、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性(すなわち逆転写酵素;RT)によって相補的なDNA(cDNA)分子の第1鎖に変換する。RT反応に新規ブロッキングオリゴマーを含むことによってこれを達成し、ここでそのオリゴマーは試料における1つまたはそれ以上の多量のmRNA転写物に相補的である。これらのブロッキングオリゴマーは二本鎖を形成し、それはオリゴdTプライマーからの第1鎖cDNA産物の開始または伸長を阻害し、そして従って逆転写酵素が第1鎖cDNA合成を開始できなくする、すなわち、全長のcDNA第1鎖の産生を阻害する。
他の実施態様において、ブロッキングオリゴマーは、cDNA第2鎖合成反応中に存在し、ここでそのブロッキングオリゴマーは、第1鎖合成中の阻害を免れ得た、新規に合成されたDNAの第1鎖に相補的である。この実施態様において使用されるブロッキングオリゴマーは、第1鎖合成反応において標的化された反対の鎖にハイブリダイズする。第2鎖に特異的なこれらのブロッキングオリゴマーは、cDNA第1鎖の産生を阻害するために使用したヌクレオベースオリゴマー配列とは別のヌクレオベース配列を有する。第1鎖cDNAにおいてブロッキングオリゴマーとの二本鎖形成のために標的化された領域は、第2鎖cDNAにおいてブロッキングオリゴマーとの二本鎖形成のために標的化された領域とは、異なっても、異ならなくてもよい。
ブロッキングオリゴマーを、cDNA第1鎖合成の間、cDNA第2鎖合成の間、または第1鎖および第2鎖合成反応の両方のいずれかにおいて使用し得ることが企図される。ブロッキングオリゴマーを第1鎖および第2鎖cDNA合成の両方において使用する場合(介在する精製工程無しで)、2つの酵素的工程において使用されるブロッキングオリゴマーは、非生産的なオリゴマー/オリゴマー二本鎖の形成を防ぐために、標的遺伝子の異なる領域にハイブリダイズするよう設計される。
本発明のいくつかの実施態様において、cDNA第2鎖をDNA依存性DNAポリメラーゼ活性によって合成し、そしてランダムDNAオリゴマーによって開始する。しかし、第2鎖cDNA合成の代替プロトコールが当業者に公知であり、そしてそれは本発明で有用であるので、本発明を第2鎖合成のこの1つの方法に制限することを意図しない。
この修飾RT反応は、ブロッキングオリゴマーを使用せずに産生したRT反応産物のプールと比較して、少量の転写物から得られたcDNAが富化された、二本鎖相補的DNA(cDNA)のプールを産生する。本発明の新規方法によって産生された、この偏ったcDNAプールは、マイクロチップアレイハイブリダイゼーション(すなわち遺伝子発現分析)、cRNA産物を産生するためのインビトロ転写(IVT)反応における使用、cDNAライブラリー合成およびスクリーニング、SAGE分析、および他の適用を含むがこれに限らない、様々な使用法を有する。
(D.PCRを用いたポリヌクレオチド配列の富化)
他の実施態様において、ブロッキングヌクレオベースオリゴマーを、PCR反応に直接組み込み得る。この場合、ブロッキングオリゴマーは二本鎖DNA鋳型分子(例えば二本鎖cDNA)の1つまたは両方の鎖いずれかを標的化し得る。この方法の1つの実施態様において、ブロッキングオリゴマーのTは、好ましくはPCR反応において使用するプライマーのTより高い。
二本鎖DNA鋳型の両方の鎖に特異的なブロッキングオリゴマーを同時に使用する場合、その2つのブロッキングオリゴマーは、お互いに別々のヌクレオベース配列を有し、そしてさらに、その使用されるブロッキングオリゴマーは、相補的な塩基対形成による、非生産的なオリゴマー/オリゴマー二本鎖の形成を防ぐために、二本鎖標的の異なる領域にハイブリダイズするように設計される。
PCR反応にブロッキングオリゴマーを含むことは、標的配列を含むPCRアンプリコンを産生できなくするか、またはその能力の抑制を引き起こす。例えば、この適用は、cDNAライブラリーが、ライブラリー全体のPCR増幅のためのユニバーサルプライマーを使用することを可能にするベクターにクローニングされた場合のように、cDNAライブラリーの増幅の間に公知の多量の配列のPCR増幅を阻害することにおいて有用である。
(E.インビトロ転写による少量種が富化されたRNAを産生する方法)
上記で記載したように、本発明は、少なくとも1つの多量種のポリマー化を抑制する結果として、少量種が富化されたcDNA分子の集団を産生する新規方法を提供する。いくつかの実施態様において、そのように形成されたcDNA分子を、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えばT7 RNAポリメラーゼ)を用いた、転写、すなわちインビトロ転写(IVT)の開始に適当なヌクレオチド配列と操作可能に連結し得る。従って、そのcDNAプールをIVT反応における鋳型材料として使用して、少量種が富化されたRNAのプールを産生し得る。
IVT反応は、最小限の開始量のDNA鋳型から大量のRNAを産生するので、一般的には、増幅反応である。IVT反応において、DNA鋳型を、1000倍まで増幅し得る。IVT反応は、操作可能に連結したプロモーター開始配列を有するDNA鋳型(例えばcDNA分子またはcDNA分子のプール)、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えばT7、SP6、またはT3 RNAポリメラーゼ)および遊離のリボヌクレオチド3リン酸(rNTP)を利用して、開始DNA鋳型の1つの鎖に相補的なRNA分子を酵素的に産生する。
二本鎖cDNA IVT鋳型は、一般的には直線状分子である。cDNA分子は、主に転写プロモーターと操作可能に連結したcDNA配列から成り得る、またはあるいは、そのcDNAを適当なベクター(例えばバクテリオファージλに基づくベクター、例えばλ−gt11またはλ−gt12、または環状発現ベクター)にサブクローニングし得る。いくつかの実施態様において、cDNAを含む環状ベクターを、IVT反応の前に直線状にする。
これらの方法において、DNA依存性RNAポリメラーゼを使用して、アンチセンス転写物(すなわち、相補的、またはcRNA)または「センス」RNA転写物のいずれかを産生し得る。センスRNA転写物は、対応する内因性転写物と同じ方向で産生される転写物である。すなわち、センス転写物は、主なmRNA転写物と同じ方向、および、同じか、または実質的に同じヌクレオチド配列を有する。対照的に、cRNAは、対応するmRNA産物と相補的な配列を有する。センスまたはアンチセンス産物のどちらが形成されるかは、転写の方向に依存する。
IVTを行なうための、広く様々な試薬および反応条件が、当該分野で公知であり、そしてそれは本発明で有用である。これらの条件は性質においてただ例示的なものであるので、本発明を、特に本明細書中で列挙されたIVT反応条件および試薬に制限することを意図しない。IVTの方法および試薬は、当該分野で広く知られており、そして様々な製造会社から入手可能であり、そして多くの情報源、例えばAusubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、第1−4巻、John Wiley & Sons,Inc.、New York(1994)およびSambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、第1−3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY(1989)において記載されている。
IVT反応によって産生されたRNA産物は、遺伝子発現分析におけるマイクロチップアレイハイブリダイゼーション、および他の適用を含むがこれに限らない、様々な適用において有用である。1つの実施態様において、IVT RNA産物を、ハイブリダイゼーション分析において使用するために、その合成の間に標識する(実施例3を参照のこと)。
(F.本発明の様々な実施態様の実証)
本発明の様々な性質および利点を、図11−13に示す一連の実験において示した。これらの実験において、伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを、mRNA標的配列に結合して二本鎖を形成し、それが、逆転写酵素が標的配列を転写し、そして相補的DNA配列の第1鎖を産生する(すなわちcDNA第1鎖合成)のを阻害するよう設計した。この1つの場合において、伸長不可能なペプチド核酸(PNA)オリゴマーを、ブロッキングオリゴマーとして使用した。PNAオリゴマーの合成およびPNAオリゴマーのハイブリダイゼーション性質は、当該分野で公知である(Buchardtら、WO92/20702;Nielsenら、Science 254:1497−1500[1991];Egholmら、Nature 365:566−568[1993])。
本明細書中で使用されるPNAオリゴマーは、本発明の様々な性質を説明する目的のための例示であると意図される。本発明を、本明細書中で使用されたヌクレオベース配列に制限することも、PNA構造を有する分子の使用に制限することも意図しない。他で議論されるように、様々なさらなるブロッキングオリゴマー配列および構造が、本発明で有用であり、そして本発明の最も広い局面は、そのような代替試薬を含むことが意図される。さらに、当業者は、等価の条件も本発明で有用であることを認識するので、本発明を、本明細書中で特に列挙された逆転写酵素試薬および反応条件に制限することを意図しない。
PNAオリゴマーを、2つの異なる遺伝子転写物(H輸送ミトコンドリアATPシンターゼ、サブユニットB、アイソフォーム1遺伝子のサブユニットBのヒト移入前駆体(ATP5F1;GenBankアクセッション番号NM_001688)、およびコレステロールエステル輸送タンパク質遺伝子(CETP;GenBankアクセッション番号NM_000078)に相補的に設計した。ATP5F1およびCEPT遺伝子配列を、本明細書において、本発明の種々の特徴を説明するための、例示的様式において、使用した。本発明を、これらの標的遺伝子に対して特異的なブロッキングオリゴマーの使用に限定することを意図しない。本明細書の別の部分において考察されるように、種々のさらなる標的遺伝子に対して特異的なヌクレオベース配列もまた、本発明における使用が見出され、そして本発明の広範な局面に包含される。さらなる高レベルに発現する遺伝子のリストは、図14に示されるブロッキング標的としての使用を見出す。
ATP5F1およびCETP遺伝子の短縮型形態の合成転写物を、これらのポリメラーゼ反応において使用した。PNAオリゴマー(重複する、ポリAの最初の3つのA、ポリAテイルから3塩基上流、および遺伝子内の他の部位を含む)を、各転写物のいくつかの異なる領域に結合するように、設計して、合成した。ATP5F1およびCETP遺伝子に特異的なオリゴマーのPNAヌクレオベース配列を、図8および9に、それぞれ提供し、配列番号3−20、および21−39において、それぞれ提供する。図8および9において使用される場合、PNA配列中の文字「O」は、リンカー/スペーサー部分を示し、GEN063032(Applied Biosystems,Foster City,CA)と呼ばれ、当該分野で当業者に公知のように(WO99/37670;およびGildea etら、Tetrahedron Letters 39:7255−7258[1998]を参照のこと)、PNAオリゴマーの溶解度を改善するために、取り込まれる。このリンカー/スペーサーの構造を、図10A−10Cに示す。図10Aは、リンカーが、オリゴマーの内部位置にある場合の、この構造を示す。図10Bは、リンカーがアミノ末端位置にある場合の、リンカーの構造を示す。図10Cは、リンカーが、カルボキシル末端位置にある場合のリンカーの構造を示す。
長さおよび二本鎖融点(T)において多様なオリゴマーを、ポリメラーゼ活性をブロックするのに最適なPNAオリゴマーを同定し得るか決定するために試験した。図8および9において示すように、PNAオリゴマーおよび類似のDNAオリゴマーの計算したTを、比較のために示す。PNAオリゴマーのTmは、一様に、対応するDNAオリゴマーよりも高い。このことは、PNA含有ヘテロ二本鎖は、類似のDNA二本鎖よりも安定であり、そしてエネルギー的に有利であることを示す。
組換えMMLV逆転写酵素(GibcoBRL(登録商標) SUPERSCRIPTIITM 逆転写酵素)、人工ATP5F1転写物、オリゴ−dT21RTプライマー、およびいくつかの異なるPNAオリゴマーを用いる逆転写反応を用いて、PNAオリゴマーが、標的特異的様式において、逆転写反応を阻害することを実証した。
この分析の結果を、図11に示す。RT反応の一本鎖cDNA産物を、アガロースゲルにおいて分解し、エチジウムブロミド染色を用いて検出した。レーン12は、60ngのサイズ比較のための626リボヌクレオチドを示す、レーン10は、PNAオリゴマーを全く含まない逆転写した一本鎖573デオキシリボヌクレオチド産物を示す。このことは、鋳型とほぼ同一のサイズの一本鎖の優勢な産物を明らかにする。レーン11は、オリゴ−dTプライマーを除いたコントロール反応である。種々のPNAオリゴマーの阻害効果が、明確に観察され得る。PNA番号859および864は、同一長であり、そして同一の推定Tを有するが、ポリAテイルの最初の3塩基に結合する864は、より強力なブロッキング効果を有する。235および345ヌクレオチドにそれぞれ結合するPNA番号869および873を用いるポリAテイルからの反応は、ほぼこれらのサイズの少量のcDNAを産生するようである。レーン8および9は、2つのPNA配列または3つのPNA配列を使用することが一致して一つのRT反応において、さらに、RTブロッキング効率を改善すること(これらの反応において、cDNA産物が検出可能ではなかった)を、実証する。
図11において提供される結果は、試験したATP5F1転写物に特異的なすべてのPNAオリゴマー(番号859、864、869、および873−875)が、逆転写およびcDNA産物の産生を抑制するいくつかの能力を示し、そのため、本発明での使用を全て見出すことを示す。
この阻害効果がPNAオリゴマーによるRTブロッキングに起因することを実証するために、ATP5F1転写鋳型を用いる種々のコントロール実験を行った。これらの実験の結果を、図12に示す。図12において、レーン10は、リボヌクレオチド鋳型を示し、レーン7は、PNAオリゴマー非存在下における一本鎖DNA産物の逆転写を示し、そして、レーン9は、オリゴ−dTプライマーを除いたコントロール反応である。レーン1および11は、DNAサイズマーカーを示す。PNA(1% N−メチルピロリドン[NMP])自体を可溶化するために使用した溶媒が、RT反応を阻害し得るか否かを試験した。図12のレーン8において見られ得るように、RT反応における0.05%NMPは、RT活性、および一本鎖cDNA産生に対して影響を有さなかった。
観察されたRT阻害がPNAオリゴマーの用量に依存するか否かをまた、決定した。図12のレーン2−7は、RT反応産物における、PNA濃度の範囲の効果を示す。PNAオリゴヌクレオチド番号864を、2倍希釈において使用した。これらの反応において、ATP5F1転写鋳型のモル濃度は、0.4μMであった。PNA濃度が、約0.4μMを超える場合、阻害が観察され、このことは、PNAの標的に対するPNAの結合が1対1の化学量論であることを示唆する。
ブロッキング活性の配列特異性を実証するために、同一のATP5F1 PNAオリゴマーの一連の希釈を、非相同の鋳型(CETP遺伝子)を用いる一連のRT反応において使用した。この実験の結果を、図13に示す。これらの反応において、CETP転写物鋳型の最終濃度は、0.3μMであった。ATP5F1特異的PNAオリゴマーの最も高い濃度(2.5μM)であっても、CETP RT反応の阻害はなく、このことは、ブロッキングは、高度に配列特異的であり、非特異的な干渉に起因しないことを示す。
ヒト肝臓組織から単離されたRNAを用いた別の実験において、伸長不可能なオリゴマーが、ヒト細胞から単離された総細胞RNAおよびmRNAのサンプル中の標的化された転写物の逆転写をブロックする能力を、実証した。これらの実験において、インビトロ転写反応から産生された標識されていないcRNA産物(実施例3に記載されるように)を、TaqMan(登録商標)RT−PCRプロトコール(実施例4に記載されるように)を用いて、当該分野で一般に使用されるように、定量した。ブロッキングオリゴマーが逆転写工程においてRNAサンプル中の種々の転写物に対応するcDNA分子の生成をブロックする効果を、評価した。この分析の結果を、図15−16に示す。
リアルタイム定量PCR分析(発蛍光性5’ヌクレアーゼアッセイ、すなわち、TaqMan(登録商標)分析として公知;Hollandら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276−7280[1991];およびHeidら、Genome Research 6:986−994[1996]を参照のこと)とは、定期的に蓄積したPCR産物をモニターすることをいう。
TaqMan PCRプロトコールにおいて、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCR反応に典型的なアンプリコンを生成する。第3のオリゴヌクレオチド(TaqMan(登録商標)プローブ)を、2つのPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するために設計する。プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素によって伸長不可能な構造を有し、そしてレポーター蛍光色素およびクエンチャー蛍光色素で標識される。レポーター色素からのレーザーによって誘導される発光は、2つの色素がプローブ上にある場合、ともに密接に位置する場合に、クエンチング色素によってクエンチされる。
TaqMan(登録商標)PCR反応は、5’−3’ヌクレアーゼ活性を保持する、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)を使用する。PCR増幅反応の間、Taq DNAポリメラーゼは、アンプリコンに鋳型依存性の様式においてハイブリダイズする標識されたプローブを切断する。結果として生じるプローブフラグメントは、溶液中に解離し、そして放出されたレポーター色素が第2の発蛍光団からのクエンチング効果を受けない。レポーター色素の1分子は、新たに合成された各分子から遊離し、そして、クエンチングされていないレポーター色素の検出によって、データの定量的解釈の基礎が提供され、その結果、放出された蛍光レポーター色素の量が、直接、開始アンプリコン鋳型の量に比例する。
TaqMan(登録商標)RT−PCRを、市販の装置(例えば、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems,Foster City,CA)、またはLightcycler(Roche Molecular Biochemicals,Mamlheim,Germany))を用いて実施することができる。好ましい実施形態において、5’ヌクレアーゼ手順は、リアルタイム定量PCR装置(例えば、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System)における実行である。このシステムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合デバイス(CCD)、カメラ、およびコンピュータからなる。このシステムは、96ウェル形式においてサーモサイクラー上のサンプルを増幅する。増幅の間、レーザーによって誘導された蛍光シグナルが、リアルタイムにおいて、96ウェルの全てについて、光学繊維ケーブルを通して、収集され、CCDにて検出される。このシステムは、データの解析のための装置を実行するためのソフトウェアを備える。
TaqMan(登録商標)アッセイデータは、閾値サイクル(C)として表される。上記にて考察したとおり、蛍光値は、各PCRサイクルの間に記録され、そして、増幅反応におけるその時点までに増幅された産物の量を示す。蛍光シグナルが統計的に有意であるとして最初に記録される時のPCRサイクルが、閾値サイクル(C)である。
誤差、および、サンプル間の変動を最小限にするために、RT−PCRは、通常、内部標準を用いて、実施される。理想的な内部標準は、異なる組織において一定レベルで発現され、そして実験の処理によって影響を受けない。最も頻繁に遺伝子発現パターンの標準化に使用されるRNAは、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−ホスフェート−デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびβ−アクチンについてのmRNAである。
より最近のRT−PCR技術の変法は、リアルタイム定量PCRであり、この方法は、PCR産物の蓄積を二重に標識した発蛍光性プローブ(すなわち、TaqMan(登録商標)プローブ)を通して測定する。リアルタイムPCRは、定量性競合性PCR(各標的配列に対する内部競合物を標準化のために使用する)および定量性比較PCR(サンプル中に含まれる標準化遺伝子またはRT−PCRのためのハウスキーピング遺伝子を使用する)の両方に適合する。さらなる詳細については、例えば、Heidら、Genome Research 6:986−994(1996)を参照のこと。
本件の場合では、RT後のIVT増幅によって生成されたcRNA(実施例3を参照のこと)を、TaqMan(登録商標)プロトコールを用いるリアルタイムPCR定量アッセイにおいて使用した。2つの標的遺伝子(ATP5F1およびCETP(実施例2に記載されるように))からのcRNA産物を定量した。さらに4つの非標的化遺伝子からのcRNA産物もまた、アッセイした。これらの非標的化遺伝子は、ATP5B(Homo sapiens ATPシンターゼ、H輸送、ミトコンドリアF1複合体、βポリペプチド;GenBankアクセッション番号NM_001686)、COX6B(Homo sapiensミトコンドリアシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIb;GenBankアクセッション番号NM_001863)、RPS4X(Homo sapiens X染色体連鎖リボソームタンパク質S4;GenBankアクセッション番号NM_001007)、およびPEX7(Homo sapiens ペルオキシソーム生合成因子7; GenBankアクセッション番号NM_000288)であった。定量は、cRNAを鋳型として用い、TaqMan(登録商標)分析と共役したRT−PCRによって行った(実施例4を参照のこと)。
このTaqMan分析の結果を、図15に示す。結果を、Cすなわち閾値サイクル(TaqMan(登録商標)プローブによる検出可能なシグナルが統計的に有意であるとして最初に記録されたPCRサイクルの数として定義される)で表す。C値は、標準化曲線(データ示さず)に対する較正によって、実際の濃度に変換する。この分析は、PNAオリゴマーが特定の標的遺伝子(ATP5F1およびCETP)の転写を、mRNAまたは総細胞RNA開始物質を鋳型として用いるRTの間に、それぞれ99.1%および99.6%まで、効果的にブロックし得ることを明らかにした。さらに、これらのデータはまた、ATP5F1およびCETPの逆転写反応を阻害するために使用したこれらの同一のブロッキングPNAオリゴマーが、非標的化遺伝子(すなわち、ATP5B、COX6B、RPS4XおよびPEX7)の逆転写を阻害しないことを実証する。このデータを、図15に示し、そしてグラフとして図16に示す。
(G.高コピー数遺伝子転写物)
任意の所定の細胞のトランスクリプトームは、全ての発現された遺伝子について、等しく分割されているのではないことが、広範に認識されている。その反対に、比較的少数の遺伝子が、任意の所定の細胞において見出されるmRNA転写物の主要なほとんどの原因であることが、認識されている。そのような遺伝子は、これらの遺伝子の転写物が細胞性のmRNAプールの中において不均衡に大量であるため、「高コピー数」遺伝子として、公知である。
そのような高コピー数遺伝子転写物を、本発明の方法においてブロッキングオリゴマーによって標的化して、その重合化および増幅をブロックし得ることが予想される。例えば、豊富な遺伝子転写物に相補的な伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを、第1鎖cDNA合成の間に使用して(すなわち、逆転写反応)、mRNAサンプルからの豊富な転写物のcDNAへのDNA重合を抑制し得る。いくつかの実施形態において、1つの多量のポリヌクレオチドを、ブロッキングオリゴマーを用いて標的化する。別の実施形態において、1つより多い高度に豊富な種を、ブロッキングオリゴマーを用いて同時に標的化する。さらに、異なる細胞型が、異なる発現遺伝子のパターンを提示する場合、異なるブロッキングオリゴマーまたはオリゴマーの組み合わせを、種々のサンプルから少量のポリヌクレオチドの富化において、必要に応じて使用することが、意図される。
本発明のブロッキングオリゴマーは、ATP5F1遺伝子またはCETP遺伝子の標的化オリゴマーに限定されないことが意図される。それとは反対に、大多数の多量(すなわち、高コピー数)遺伝子が公知である。多量の遺伝子の例が、図14の網羅的ではないリストにおいて、遺伝子cDNA配列についての対応するGenBankアクセッション番号とともに、提供される。この図において列挙される遺伝子は、例示のみであり、さらなる多量の遺伝子(すなわち、mRNA)が、当該分野で広範に公知である。さらに、豊富なリボソームRNA(例えば、18Sおよび28S rRNA種)もまた、本発明の方法において使用する場合、ブロッキングオリゴマーの標的として適切である。
さらに、1つより多い多量のポリヌクレオチドの増幅を、例えば、適切な数の特異的ブロッキングオリゴマーの使用によって、同時にブロックし得る。1つの実施形態において、少なくとも2つの多量のポリヌクレオチドが、ブロックされる。別の実施形態において、少なくとも5つの多量のポリヌクレオチドがブロックされる。さらなる実施形態において、少なくとも10つの多量のポリヌクレオチドがブロックされる。なおさらなる実施形態において、少なくとも50から少なくとも100の多量のポリヌクレオチドが、ブロックされる。他の実施形態において、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い多量のポリヌクレオチドがブロックされる。
同様に、1つより少量のポリヌクレオチドが、同時に増幅され得る。例えば、1つの実施形態において、増幅プロセスによって、ブロックされないポリペプチドの全てが増幅される。別の実施形態において、少なくとも2つの小量のポリヌクレオチドが、増幅される。なお別の実施形態において、少なくとも5つの小量のポリヌクレオチドが増幅される。さらに別の実施形態において、少なくとも10つの小量のポリヌクレオチドが増幅される。他の実施形態において、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い小量のポリヌクレオチドが増幅される。
別の局面において、1つ以上の多量のポリヌクレオチドがブロックされ、その間に、1つ以上の少量のポリヌクレオチドが増幅される。1つの実施形態において、少なくとも2つの多量のポリヌクレオチドがブロックされ、その間に、少なくとも2つの少量のポリヌクレオチドが増幅される。別の実施形態において、少なくとも5つの多量のポリヌクレオチドが増幅され、その間に、少なくとも10の少量のポリヌクレオチドが増幅される。別の実施形態において、少なくとも20の多量のポリヌクレオチドがブロックされ、その間に、少なくとも20の少量のポリヌクレオチドが増幅される。さらなる実施形態において、少なくとも20つの小量のポリヌクレオチドがブロックされ、その間に、少なくとも40の少量のポリヌクレオチドが増幅される。他の実施形態において、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い小量のポリヌクレオチドが増幅され、その間に、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い多量のポリヌクレオチドがブロックされる。
(H.逆転写反応における使用のためのRNAの供給源および単離)
cDNA産物を産生するために逆転写反応において使用されるRNA鋳型の供給源は、任意の特定の供給源に限定することを、意図しない。RNA供給源の非限定的な例としては、組織(全血または培養細胞)が挙げられ、そして、さらに任意の器官から得られ得る。いくつかの実施形態において、RNAは、ヒト組織、ヒト血液、または培養ヒト細胞由来である。RNAは、本発明において、総細胞RNA、または、ポリA RNA(すなわち、RNAサンプルが、主に、3’−ポリアデニル化を有するmRNAである)のプールとして使用され得る。市販のRNAもまた、本発明において使用される。
本発明において使用されるRNAの単離方法は、任意の特定の方法に限定されない。総RNAおよびポリA RNA単離の方法は、当該分野で一般的であり、種々の供給源において記載される(例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,Section 4,Part I,John Wiley & Sons,Inc.,New York[1994];およびSambrookら(編),Molecular Cloning:A Laboratofy Manual,Second Edition,Chapter 7,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,[1989]を参照のこと)。本発明において使用されるRNA単離法の非限定的な例としては、塩化セシウム勾配沈殿および示差沈殿を用いるグアニジンイソチオシアネート溶解が挙げられる。さらに、市販の手順を用いるRNA単離法は、当該分野で一般的であり、例えば、QIAGEN(登録商標)RNeasy(登録商標)RNA単離キット、およびQIAGEN(登録商標)Oligotex(登録商標)ポリA RNA単離キットが挙げられる。
(I.逆転写反応)
本発明は、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)酵素の存在下において、RNAが逆転写されてcDNA分子の第1鎖を形成する(逆転写)方法を提供する。広範な逆転写酵素反応条件および試薬が、当該分野で周知であり、本発明は、本出願において引用される特定のRT反応条件または試薬に限定することを意図しない。種々の等価なRT反応条件が、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,Vol 1〜4,John Wiley & Sons,Inc.,New York[1994];およびSambrookら(編),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Vol 1〜3,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,[1989]のような供給源において見出され得る。
本発明において使用される逆転写酵素は、RNaseH活性を有する必要はない。従って、RNaseH活性を有する逆転写酵素も、有さない逆転写酵素も、本発明において使用され得る。任意の生物またはウイルス由来の逆転写酵素(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLVまたはMoMuLV)逆転写酵素およびトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素の組換え形態が挙げられるが、これらに限定されない)が、本発明において使用され得る。逆転写酵素は、市販の供給源(例えば、Stratagene(登録商標)、Promega(登録商標)、InvitrogenTM、GibcoBRL(登録商標),QIAGEN(登録商標), RocheTMBiochemicalsおよびSigma(登録商標)/Aldrich(登録商標)が挙げられる)から容易に入手可能である。
本発明が第1鎖cDNA合成に使用される任意の特定の逆転写プライマーに限定されることは、意図されない。本明細書において記載されるように、第1鎖cDNA合成のプライマーは、オリゴ−dTベースのプライマーであり得る。RTプライマーの他のタイプ(例えば、鋳型特異的プライマーまたはランダムヘキサマープライマー)もまた、本発明において使用され得る。
本発明のcDNAの第2鎖合成方法は、任意の特定の方法に限定することは、意図されない。本明細書において記載されるように、cDNA第2鎖合成は、ランダムプライマーを用いて開始され得る。しかし、当該分野に精通する者は、他の等価の方法を知っており、そのような方法が、本発明に包含される。例えば、cDNA第2鎖合成は、(i)逆転写酵素の内在性DNA依存性DNAポリメラーゼ活性によって、または(ii)RNaseHを添加して、RNA鋳型にニックを入れて、適切なDNAポリメラーゼによるDNA合成の開始に適切な5’−RNA末端の生成、によって達成され得る。
さらに、ポリメラーゼのプライマーは、さらなる有利なヌクレオチド配列を含むように操作され得る。例えば、上記のように、プライマー配列は、バクテリオファージT7 DNA依存性RNAポリメラーゼのためのプロモーター認識配列を含み得る。この最小のT7プロモーター認識配列は、5’−AATACGACTCACTATAG−3’(配列番号40)である。同様に、バクテリオファージSP6およびT3プロモーター配列もまた、本発明において使用され得る。なぜなら、これらのプロモーター配列はそれぞれ、SP6およびT3 DNA依存性RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写を同様に促進し得るからである。これらの配列は、当該分野で公知である。
また、RTプライマーは、PCRプライマーのための標的配列としての使用に適切な、その後のPCR増幅を促進する、なお別の配列(すなわち、ユニバーサルPCRプライマー配列)を含み得る。所望される場合、制限酵素認識配列もまた、逆転写プライマー中に操作され、その結果、有用な制限部位(cDNAのサブクローニングを促進する)が二本鎖cDNA産物中に出現し得る。
DNA制限酵素、サブクローニング技術、および他の分子遺伝学技術は、当該分野で一般的であり、そして、多数の供給源において記載される。同様に、そのようなプロトコールにおける使用のための試薬は、多数の市販業者から、容易に入手可能である。
(J.伸長不可能なブロッキングヌクレオベースオリゴマー)
種々の改変ヌクレオチド塩基、ヌクレオチドアナログまたは改変鎖骨格を含む特定のヌクレオベースオリゴマーは、DNA依存性またはRNA依存性のポリメラーゼによる酵素的なDNA合成またはRNA合成の開始において、プライマーとして機能し得ない(すなわち、酵素的に伸長不可能である)。大多数のこれらの構造が、当該分野で公知であり、種々の供給源において記載される(例えば、WO95/08556およびWO99/34014を参照のこと)。本明細書において使用する場合、本発明の伸長不可能なオリゴマーとは、RNAまたはDNAのいずれかに結合するか、またはより典型的には、RNAおよびDNAの両方に結合し得るオリゴマーをいう。すなわち、本発明の伸長不可能なオリゴマーは、RNA依存性ポリメラーゼおよびDNA依存性ポリメラーゼの両方についてブロッキング活性を有する。ヌクレオベースオリゴマー配列は、配列特異的様式において相補的ポリヌクレオチド分子に結合し得るが、ヌクレオベースオリゴマーの伸長不可能な化学的構造に起因して、酵素的なDNA合成もRNA合成(すなわち、開始も伸長も)も生じない。例えば、いくつかのオリゴマーは、ヌクレオチドの付加に必要とされる3’ヒドロキシル基をリボース糖に有さないため、酵素的な伸長をなし得ない。
大多数の伸長不可能な改変ヌクレオチドおよび他のヌクレオベース構造が、本発明において使用され得、そして本発明の方法は、任意の特定の伸長不可能なヌクレオベース構造の使用に限定することは意図されない。しかし、ヌクレオベースオリゴマーの種々の特性は、いくつかの種を、他の種よりも好ましくする。これらの好ましい特徴は、1)規定された塩基配列のオリゴマーは、容易に合成され得、そして水溶液中での多少の溶解度を有する、2)オリゴマーは、配列特異的様式において相補的なポリヌクレオチド配列に結合し得、そして安定なヘテロ二本鎖を形成する、3)ヘテロ二本鎖を、ヌクレアーゼ消化に供さず、そして4)ブロッキングオリゴマーは、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼにとって、伸長不可能なプライマー基質である(すなわち、ヌクレオチド鎖の伸長を開始し得ない)。他の実施形態において、ブロッキングオリゴマーのTは、同一の鋳型からの核酸合成の開始のために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーのTよりも高いことが好ましい。
当該分野で公知であり、本発明において使用され得る、伸長不可能なヌクレオベースオリゴマー構造の非限定的な例が以下に考察される。
ペプチド(または、ポリアミド)核酸(PNAとしてもまた、公知)は、ブロッキングオリゴマーとして、本発明において使用され得る。PNAは、ポリヌクレオチドのホスホジエステルリボース骨格がアキラルな非環式の荷電されていないシュードペプチド骨格で置換され、繰り返しのポリアミド構造単位から構成される、ヌクレオベースオリゴマー分子である。PNA骨格は、共有結合したヌクレオベースの足場を形成して、規定された塩基配列を有するオリゴマー構造を形成する。PNA骨格は、反復するN(2−アミノエチル)グリシン単位から構成され、そして本発明において使用される;しかし、本発明のPNA構造が、この構造に限定されることを意図しない。代替的なPNA構造およびPNAオリゴマーの合成方法は、当該分野で公知である(HyrupおよびNielsen、Bioorg.Med.Chem.、4(1):5−23(1996);WO92/20702ならびにWO 92/20703)。PNAオリゴマーを、tBocまたはFmoc固相合成を用いて、合成し得、そしてあつらえのオリゴマー配列を、市販業者から容易に注文し得る(例えば、Applied Biosystems,Foster City,CA)。
これらのPNA分子は、ヌクレオチドオリゴマーといくつかの特性を共有するが、顕著な差異も有する。第1に、PNAオリゴマーは、RNAまたはDNAとハイブリダイズして、安定なヘテロ二本鎖を形成し得、そしてこれらのヘテロ二本鎖は、同一の塩基配列を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドの二本鎖よりも高いTを有する。第2に、PNAオリゴマーは、逆転写酵素または任意の他のDNAポリメラーゼ酵素またはRNAポリメラーゼ酵素のための酵素的な鎖伸長を開始するプライマーとして作用し得ない、さらに、PNAオリゴマーは、ポリヌクレオチド鋳型中の下流にハイブリダイズした場合、ヌクレオチド鎖伸長をブロックする能力を有する。第3に、PNA含有二本鎖は、RNaseH切断、または、ポリメラーゼ酵素によってコードされる他のヌクレアーゼ活性による切断についての基質ではない。また、図11に示されるように、PNAオリゴマーの長さまたはハイブリダイゼーションの位置は、ポリメラーゼブロッキング活性を示すために、特に限定的ではないようである。
いくつかの実施形態において、PNAオリゴマーは、さらに、そして、必要に応じて、当該分野で公知のように、PNAオリゴマーの溶解度を改善するために取り込まれるリンカー/スペーサー部分(GEN063032(Applied Biosystems,Foster City,CA)と称する)を含む(WO99/37670;およびGildea etら、Tetrahedron Letters39:7255−7258[1998]を参照のこと)。このリンカー/スペーサーは、内部に、アミノ末端に、または、カルボキシ末端の位置に取り込まれ得、そして1つ以上のリンカー/スペーサーが、オリゴマーに取り込まれ得る。これらの多様な位置での、このリンカー/スペーサーの構造が、図10A−10Cに示される。
他の実施形態において、本発明において使用されるPNA分子は、キラル分子、すなわち、エナンチオマー形態を有する。キラル構造を有するペプチド核酸は、当該分野で公知である(D’Costaら、Tetrahedron Letters 43:883−886[2002])。
代替的な実施形態において、他のオリゴマーヌクレオベース構造が、本発明において使用され得る。これら構造の合成および特性は、当該分野で記載されている。これらの構造
としては、ロックされた核酸(LNA;WO98/22489;WO98/39352; およびWO99/14226を参照のこと)、2’−O−アルキルオリゴヌクレオチド(例えば、2’−O−メチル改変オリゴヌクレオチドオリゴ;Majlessiら、Nucleic Acids Research,26(9):2224−2229[1998]を参照のこと)、3’改変オリゴデオキシリボヌクレオチド、N3’−P5’ホスホロアミデート(NP)オリゴマー、MGB−オリゴヌクレオチド(副溝結合物連結オリゴヌクレオチド)、ホスホロチオエート(PS)オリゴマー、C−Cアルキルホスホネートオリゴマー(例えば、メチルホスホネート(MP)オリゴマー)、ホスホロアミデート、β−ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、およびα−ホスホジエステルオリゴヌクレオチドが挙げられる。
本発明のブロッキングオリゴマーは構造においてキメラであり得、オリゴマーが化学構造の2つ以上の異なる部分を含むことがさらに意図される(例えば、米国特許第6,316,230号を参照のこと)。均一なオリゴマー構造を用いるので(例えば、PNAオリゴマー)、本発明のキメラオリゴマーは、酵素的に伸長不可能であり、それが特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドの転写の開始および伸長をブロックする。
(K.二本鎖cDNA産物のサブクローニングおよびcDNAライブラリー構築)
本発明の他の実施形態において、少量の種において富化されたcDNA産物がベクター中にサブクローニングされて、他の適用を可能にする。サブクローニングされた産物のプールは、cDNA「ライブラリー」を形成する。サブクローニングされたcDNAプールは、cDNAを生成する逆転写反応を再生する必要なしに、これらcDNA分子の増幅を可能にする。このことは、非常に限られた量のmRNA開始物質が利用可能である場合、および、cDNA産物が種々の適用において使用される場合において顕著である。
例えば、少量の転写物について富化されたcDNAライブラリーの作製は、特に、遺伝子mRNAの低コピー数および希少性に起因して、クローニングが扱いにくいいくつかの遺伝子を考慮すると、本発明の有用な実施形態である。また、cDNAプールを、正方向の転写または逆転写を許容するベクター中にサブクローニングし得、ここで、正方向の転写は、翻訳および発現スクリーニングに適切なセンス転写物を産生する。
組換えDNA分子の操作方法、クローニング技術および適切なベクター(プラスミドベクターおよびウイルス(例えば、ファージ)ベクターを含む)は、当該分野で一般的であり、多くの供給源において記載される(例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1〜4,John Wiley & Sons,Inc.,New York[1994];およびSambrookら(編),Molecular Cloning:A Laboratofy Manual,Second Edition,Vol.1〜3
,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,[1989])。
(L.適用)
本発明は、種々のプロトコールにおいて用いることができる。例えば、本発明の方法および組成物は、遺伝子発現の分析、cDNAライブラリー構築において使用することができる。しかし、本発明は、これらの適用のみにおいて使用されることを意図しない。実際に、当該分野に精通する者は、直ちに、サンプル中の少量のポリヌクレオチドについて富化する方法についての種々の使用を認識する。同様に、新規の方法を用いて作製された富化されたポリヌクレオチドのプールには、種々の用途がある。本発明において引用される用途は、例示として意図され、そのような例は、包括的ではない。
(1)遺伝子発現の分析)
本発明において提供されたcDNAおよびcRNA産物は、遺伝子発現の分析のハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。この実施形態において、少量のポリヌクレオチドについて富化されたポリヌクレオチドサンプルをハイブリダイゼーション反応において使用して、遺伝子発現、特に、低コピー数の遺伝子の検出をする。本発明において提供されるように、少量の種について富化し、そして増幅されたポリヌクレオチドのプールは、低コピー数の種の検出を可能にする(以前は、低コピー数の種は、当該分野で現在使用されている方法によっては、検出不可能である)。
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション反応は、当該分野で公知のように、高スループット形式において行われる。本発明は、任意の特定のハイブリダイゼーション形式またはプロトコールに限定されることを意図しない。なぜなら、当該分野に精通する者は、種々のハイブリダイゼーションプロトコールに精通しており、そして、多くの高スループットスクリーニング形式に適用する場合に、本発明の利点を十分に認識するからである。
一般に、高スループットハイブリダイゼーション形式は、固相支持体に固定化されたプローブを使用する。固相支持体は、任意の組成および構成であり、有機支持体および無機支持体を含み、そして、ビーズ、球体、粒子、顆粒、平坦な表面または平坦でない表面、および/あるいは、ウェル、ディッシュ、プレート、スライド、ウェハー、または任意の他の支持体の形式を含み得る。いくつかの実施形態において、固相支持体の構造および構成は、ロボット自動化技術を促進するように設計される。検出、測定、および/または定量の工程もまた、自動化技術を使用してなされ得る。
いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション形式は、当該分野で広く公知なように、「アレイ」、「マイクロアレイ」、「チップ」、「バイオチップ」である(例えば、Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology、Chapter 22、「Nucleic Acid Arrays」、John Wiley & Sons,Inc.、New York[1994];およびM.Schena,(編集)、Microarray Biochip Technology、BioTechnique Books、Eaton Publishing、Natick、MA[2000]を参照のこと)。一般に、アレイ形式は、大多数のサンプルの自動化分析を促進するか、および/または大多数のアドレス可能な位置を有し、その結果、大多数の遺伝子の遺伝子発現のパターンを、非常に迅速に研究し得る。大多数のアレイ形式を、本発明において使用することが意図され、そして本発明は特定のアレイ形式に限定されることを意図しない。
少量の種について富化されたポリヌクレオチドのプールの、ハイブリダイゼーションアッセイにおける使用は、典型的には、ハイブリダイゼーション前にポリヌクレオチドプールを標識することを必要とする。種々の標識技術が、当該分野で公知であり、そして本発明は、任意の特定のポリヌクレオチド標識法に限定されることを、意図しない。本明細書において使用する場合、「標識」とは、検出または可視化を可能とする任意の部分をいうが、それ自身は、検出可能であっても、なくてもよい(例えば、それぞれ、蛍光またはビオチン)。それ自身が検出可能でない標識は、それが第2の分子と相互作用することによって、検出可能となる(例えば、蛍光色素と共役したストレプトアビジン)。標識したポリヌクレオチドは、固相支持体(例えば、マイクロアレイにおいて)に固定したプローブとともに二本鎖である種の検出を可能にする。固定化したプローブとの二本鎖における標識したポリヌクレオチドは、種々の適切な方法(比色決定、蛍光、化学発光および生物発光)を用いて、検出され得る。
本発明の1つの実施形態において、ポリヌクレオチドプール(RNA分子またはDNA分子のいずれかを含む)の標識は、合成時に適切な標識を合成初期のポリヌクレオチド分子中に取り込むことによって達成される。例えば、本明細書において記載されるように、色素と結合したUTPを、合成初期のRNA鎖中に取り込むことができる(実施例3を参照のこと)。
代替的な実施形態において、ポリヌクレオチドプールの標識は、ポリヌクレオチドプールが合成された後に達成される。これらの実施形態において、RNAまたはDNA分子は、鎖合成の後にポリヌクレオチドに結合される適切な標識を使用して、標識される(すなわち、結合体化されるか、またはそうでなければ、共有結合する)。
なお別の実施形態において、本発明によって産生される、少量の種について富化されたポリヌクレオチドの標識されていないプールを、標識工程を必要としない方法を用いて、ハイブリダイゼーションまたは遺伝子発現分析において、直接使用し得る。例えば、固定されたプローブとの二本鎖形成を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて検出し得る。例えば、SpreetaTM SPR biosensor(Texas Instruments,Dallas,TX)、およびBIACORE(登録商標)2000(BIACORE(登録商標),Uppsala,Sweden)を参照のこと。共鳴光散乱法もまた、そうでなければ標識されていないプローブを用いるハイブリダイゼーション分析における二本鎖形成を検出するために使用し得る(Luら、Sensors 1:148−160[2001])。
本発明は、任意の特定の標識法に限定されることを意図しない。当業者は、広範な種々の代替的な標識プロトコールおよび試薬について精通しており、これらプロトコールおよび試薬の全てが、本発明において使用され得る。
(2)cDNAライブラリー合成およびスクリーニング)
本発明によって提供される方法を使用して、少量の転写物について富化されたcDNAのプールを生成し得る。1つの実施形態において、これらのcDNAプールを使用して、少量のメッセージについて富化したcDNAライブラリーを生成し得る(これらのライブラリーは、低コピー数のmRNA分子によって示される遺伝子の同定および単離において使用し得る)。別の実施形態において、少量の種について富化されたこれらcDNAのプールをまた使用して、まれな種の配列を、直接cDNAプールから配列決定し得る(cDNAライブラリーの構築前または後に)。
cDNA分子の生成後のcDNAライブラリーの作製方法は、当該分野で公知である。同様に、cDNAライブラリースクリーニング法もまた、広範に公知であり、例えば、ホモロジースクリーニングおよびDNA/タンパク質相互作用スクリーニング、および種々の発現スクリーニングの形態(例えば、抗体ベースの免疫スクリーニング)、タンパク質間相互作用スクリーニング、および機能的アッセイに基づくスクリーニングが挙げられる。ライブラリー構築およびスクリーニングのための方法および試薬は、種々の供給源において利用可能であり、Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1−4,John Wiley & Sons,Inc.、New York(1994)およびSambrookら、(編集),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY(1989)が挙げられるが、これらに限定されない。
(3)交差ハイブリダイゼーション(すなわち、非特異的ハイブリダイゼーション)試験)
本発明において提供される組成物および方法は、特定のプローブの配列特異性を決定するためのアッセイにおいて使用され得る。例えば、多くのポリヌクレオチド配列の混合サンプル(例えば、総細胞RNA中、または、mRNA中)中に含まれる特定のヌクレオチド配列についてのプローブの特異性を決定することが、頻繁に望まれる。すなわち、プローブが標的配列にのみハイブリダイズするか否か、またはプローブがサンプル中に含まれる意図された標的に加えて他の配列にもハイブリダイズするか(すなわち、プローブが非特異的交差ハイブリダイゼーションを示すか)否かを知ることが有利である。このことは、2つの異なるポリヌクレオチドサンプル(1つのサンプルは、全ての種を含む「野生型」サンプルであり、第2のサンプルは、標的配列を含まない「試験」サンプルである)を用いて達成されるハイブリダイゼーションシグナルを比較することによって、達成される。
以前に、このタイプの情報は、遺伝子欠損(例えば、ノックアウト)変異がある場合(例えば、実験的生物において調製され得る)にのみ利用可能であった。このタイプの実験は、ヒトの系においては、なされ得ないので、ヒトに適用する場合には、このタイプの情報は、以前には、利用可能ではなかった。しかし、本発明の組成物および方法は、ポリヌクレオチドの単一の種について特異的に枯渇したポリヌクレオチドのプールを提供する。従って、これらのプールを、ヒトサンプル中または任意の他の生物のサンプル中の特異的標的に対してハイブリダイズするプローブの特異性を決定するためのハイブリダイゼーションシグナル試験において使用し得る。
(M.製造のための製品)
本発明は、製造のための製品を提供する。より顕著なことには、本発明は、少量の種について富化されたポリヌクレオチドのプールを提供する。これらの富化されたポリヌクレオチドサンプルは、cDNA分子の形態、または、より典型的には、cDNAライブラリーの形態(cDNA分子が、プラスミド、ファージミド、またはいくつかの他の適切なベクター中にクローニングされている)であり得る。これらのcDNAライブラリーは、必要に応じて、発現ライブラリーの形態(cDNAが、クローニングされた配列の転写および翻訳を可能にする適切なベクター中にクローニングされている)であり得る。富化されたcDNAライブラリーを、任意の種、組織または細胞株から調製し得る。cDNAライブラリーを、輸送および/または保存の間に、冷蔵または冷凍し得る、適切な容器(例えば、チューブまたはアンプル)に包装し得る。
本発明は、本発明の方法(すなわち、ブロッキングヌクレオベースオリゴマーの使用によって、少量の種について富化されたポリヌクレオチドのプールの生成方法)を促進するためのキットをもまた、提供する。これらの方法を実施するための材料および試薬は、本発明の実施を促進するキットにおいて、提供される。
本発明において使用される場合、用語「キット」は、サンプルの処理、方法、アッセイ、分析、または操作を促進する製品の組み合わせを参照して、用いられる。キットは、本方法のために必要な化学試薬または酵素、ならびに他の成分を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明は、細胞性mRNAの逆転写のためのキットを提供する。これらのキットは、例えば、限定的ではないが、細胞または組織の採取および/または収集のための試薬、mRNAの収集および精製のための試薬、逆転写酵素、逆転写の開始および第1鎖cDNA合成に適切なプライマー、少なくとも1つの適切なブロッキングヌクレオベースオリゴマー、第2鎖cDNA合成に適切なプライマー、DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離のデオキシリボヌクレオチド三リン酸、および反応によって産生されたcDNA分子の単離/精製に適切な試薬を含む。
別の実施形態において、本発明は、cDNA分子のインビトロ転写およびcRNAの産生のためのキットを提供する。例えば、これらのキットは、限定されることはないが、DNA依存性RNAポリメラーゼ、少なくとも1つの適切なブロッキングヌクレオベースオリゴマー、遊離のリボヌクレオチド三リン酸、および反応によって産生されたcRNA分子の単離/精製ために適切な試薬を含む。
本発明のキットを提供する1つの実施形態において、単一の高コピー数の遺伝子に特異的なブロッキングヌクレオベースオリゴマーが、提供される。別の実施形態において、複数の標的遺伝子に対して特異的なブロッキングヌクレオベースオリゴマーが提供される。1つの実施形態において、少なくとも2つの多量のポリヌクレオチドのブロッキングオリゴマーが提供される。別の実施形態において、少なくとも5つの多量のポリヌクレオチドのブロッキングオリゴマーが提供される。さらに別の実施形態において、少なくとも10の多量のポリヌクレオチドのブロッキングオリゴマーが提供される。なおさらに別の実施形態において、少なくとも50〜100の多量のポリヌクレオチドのブロッキングオリゴマーが提供される。別の実施形態において、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い多量のポリヌクレオチドのブロッキングオリゴマーが提供される。
キットにおいて提供される複数のブロッキングオリゴマーは、単一のポリメラーゼ反応において同時に使用されても、されなくてもよい。さらに、本発明のキットにおいて提供されるブロッキングヌクレオベースオリゴマーを、種々の細胞型における使用のために最適化し得る(ブロッキングオリゴマーは、研究対象の特定の細胞型中で、高度に発現することが公知である配列に特異的である)。例えば、上皮細胞の遺伝子発現の研究において、豊富ではない転写物の検出および単離を容易にするために、高度に発現するケラチン遺伝子の増幅をブロックすることが有利である。
キットは、1つ以上の少量のポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーを含み得る。例えば、キットは、上記のように、全てのポリヌクレオチドの特異的増幅のために、1つ以上のランダムプライマーを含み得る。キットはまた、特定の少量のポリヌクレオチドの増幅のために特に設計された、1つ以上のプライマーを含み得る。例えば、1つの実施形態において、キットは、少なくとも2つの少量のポリヌクレオチドの少量の増幅のためのプライマーを含む。なお別の実施形態において、キットは、少なくとも5つの少量のポリヌクレオチドの特異的増幅のためのプライマーを含む。さらなる実施形態において、キットは、少なくとも10の少量のポリヌクレオチドの特異的増幅のためのプライマーを含む。別の実施形態において、キットは、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い、少量のポリヌクレオチドの増幅のためのプライマーを含む。
キットは、多量の遺伝子の増幅をブロックするための1つ以上のブロッキングオリゴマーならびに、少量のポリヌクレオチドの増幅のための1つ以上のプライマーを含有し得る。1つの実施形態において、ブロッキングオリゴマーは、少なくとも2つの多量のポリヌクレオチドをブロッキングするために提供され、そして、プライマーは、少なくとも2つの少量のポリヌクレオチドを増幅するために提供される。別の実施形態において、ブロッキングオリゴマーは、少なくとも5つの多量のポリヌクレオチドをブロッキングするために提供され、そして、プライマーは、少なくとも10の少量のポリヌクレオチドを増幅するために提供される。なお別の実施形態において、ブロッキングオリゴマーは、少なくとも20の多量のポリヌクレオチドをブロッキングするために提供され、そして、プライマーは、少なくとも20の少量のポリヌクレオチドを増幅するために提供される。さらなる実施形態において、ブロッキングオリゴマーは、少なくとも20の多量のポリヌクレオチドをブロッキングするために提供され、そして、プライマーは、少なくとも40の少量のポリヌクレオチドを増幅するために提供される。なおさらなる実施形態において、ブロッキングオリゴマーは、1〜50の多量のポリヌクレオチドをブロッキングするために提供され、そして、ランダムプライマーは、全ての少量のポリヌクレオチドを含む全ての他のポリヌクレオチドを増幅するために提供される。別の実施形態において、プライマーは、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い少量のポリヌクレオチドを増幅するために提供され、そして、ブロッキングオリゴマーは、少なくとも20、30、40、50、75、100、250、500、1000またはそれより多い多量のポリヌクレオチドをブロックするために提供される。
別の実施形態において、本発明は、少量の種について富化されたポリヌクレオチドサンプルを標識するためのキットを提供する。これらのキットは、上記に列挙される成分を提供し得、さらに、cRNAまたはcDNA分子を標識するための手段を提供する。
なお別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される方法によって、産生されたポリヌクレオチドのプールを用いる遺伝子発現分析のためのキットを提供する。これらのキットは、上記に列挙される成分を含み得、そしてさらに、標識手段および適切なアレイまたはチップに固定化された適切なハイブリダイゼーションプローブ、ならびにハイブリダイズした複合体の検出/可視化のために必要な試薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、交差ハイブリダイゼーションアッセイキットを提供し、このキットは、目的のポリヌクレオチド標的配列について特異的に枯渇したサンプル中に存在するプローブ交差ハイブリダイゼーションの量を決定することによる、プローブの特異性の分析のために有用である。この情報は、任意の供給源からのサンプル(ヒトサンプルを含む)から解明され得る。
さらに、本発明のキットはまた、限定されることはないが、例えば、サンプルの収集および/または精製のための装置および試薬、産物の収集および/または精製のための装置および試薬、サンプルチューブ、ホルダー、トレイ、ラック、ディッシュ、プレート、キットのユーザのための指示書、溶液、緩衝液または他の化学試薬、標準化、規準化、および/またはコントロールサンプルのために使用される適切なサンプルもまた、含み得る。本発明のキットはまた、便利な貯蔵および輸送のために、例えば、蓋を有する箱の中にパッケージングされ得る。
本発明のいくつかの局面が、図17に示される。その図面に示されるように、ブロッキングオリゴマーを、種々のポリメラーゼ反応(逆転写反応(例えば、cDNA第1鎖合成)、第2鎖合成、PCR反応が挙げられるが、これらに限定されない)において、利用され得る。本発明の選択された適用がまた、図17に示される。これらとしては、限定されることはないが、ハイブリダイゼーション/遺伝子発現分析、RT−PCR、cDNAライブラリー構築、cDNAライブラリースクリーニング、およびインビトロ転写が挙げられる。図17に示されない、本発明の他の適用および使用は、そして本明細書の他の箇所において記載される。さらに、本発明に具体的に記載されていないが、本発明の記載を読んだ当業者が認識する本発明の使用もまた、本発明の範囲内であることが意図される。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態および局面をさらに説明するために提供される。これらの実施例が、いかなる局面においても、本発明の範囲を限定するべきではない。特定の反応条件および試薬が記載されるが、当業者が、代替的な条件または等価な条件を、本発明において使用し得ることを理解し、その代替的な条件または等価な条件も、本発明の範囲内であることは、明らかである。
(実施例1)
(ブロッキングPNAオリゴマー存在下における人工遺伝子転写物の逆転写および第1鎖cDNA合成)
本実施例において、伸長不可能なPNAオリゴマーの逆転写酵素の第1鎖合成をブロックする能力を、インビトロにおいて生成された、ATP5F1遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_001688;H輸送ミトコンドリアATPシンターゼ、サブユニットB、アイソフォーム1遺伝子のサブユニットBのヒト移入前駆体)に対応する人工転写物を用いて、試験した。種々の長さおよび配列のATP5F1遺伝子に対して特異的なブロッキングオリゴマーを、このアッセイにおいて試験した。
人工的に短縮したATP5F1遺伝子の転写物(636リボヌクレオチド長)を、インビトロ転写によって、T7 RNAポリメラーゼを用いて、鋳型としてのPCRアンプリコンから、生成した。ATP5F1 PCRアンプリコンの完全な配列を、図6および配列番号1に提供する、人工転写物として使用するATP5F1遺伝子配列は、ヌクレオチド33−658であり、図6に下線を引いて示される。種々のPNAオリゴマーを、人工ATP5F1転写物のいくつかの異なる領域に相補的であるように、設計して、合成した(重複するポリAテイルの最初の3つのA、ポリAテイルの3塩基上流、および遺伝子内部の他の部位を含む)。PNAオリゴマーを、市販の固相合成サービスを用いて、合成し(Applied Biosystems,Foster City,CA)、そして水中の1% 1−メチル2−ピロリドン(N−メチルピロリドン;NMP)中に50μM濃度(Abs260で測定)で溶解した。合成したATP5F1 PNAオリゴマーを図8および配列番号3−20に示す。
逆転写反応を、最初に、2.0μgのATP5F1転写物鋳型および50pmol PNAオリゴマーを、最終容量10.5μLで組み合わせて、行った。混合物を、95℃にまで5分間、加熱し、次に、4℃にまで冷却した。この混合物に対して、50pmolのオリゴdT21デオキシリボヌクレオチドRTプライマーまたは水を、最終容量11.5μLにまで、添加した。このプライマーは、配列:5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’(配列番号41)を有する。
混合物を70℃にまで5分間加熱し、次に4℃にまで冷却した。このアニーリングした混合物を用いて、RT反応を、0.4μMのATP5F1 RNA鋳型、2.5μMのPNAオリゴマー、2.5μMのオリゴdT21プライマー、1mMの各dATP、dCTP、dGTPおよびdCTP、10mMのDTT、1×Gibco BRL(登録商標)SUPERSCRIPTIITM緩衝液、ならびに5単位/μLのGibco BRL(登録商標)SUPERSCRIPTIITM逆転写酵素を含む20μLの反応容量において、行う。
反応を、42℃において1時間行い、その後、70℃で15分間、熱によって不活性化した。RNA鋳型を、2μLの2.5M NaOHの添加、および37℃ 15分間のインキュベーションによって加水分解した。反応混合物を、20μL 1M Tris,pH7.0の添加によって中和した。サンプル中の一本鎖cDNAを、QIAGEN(登録商標)QIAquickTM DNA精製スピンカラムを、製造業者の指示に従って、精製した。
RT反応からの精製したDNA産物の8分の1を、アガロースゲル電気泳動によって分離し、そして、図11に示すように、エチジウムブロミド染色を用いて検出した。レーン12は、一本鎖ATP5F1 RNA鋳型(ほぼ600リボヌクレオチド長)を示す。レーン10は、全くPNAオリゴヌクレオチドを含まない逆転写の一本鎖デオキシリボヌクレオチド産物を示し、これは、単一の優勢な約600ヌクレオチド長の産物を明らかにする。種々のPNAオリゴマーの阻害効果が、明らかに観察され得る。試験した全てのPNAオリゴマー(エチジウムゲルに示されない他のオリゴマーを含む)は、cDNA第1鎖合成をブロックする、いくらかの能力を示した。PNA859番および864番は、同一の長さを有し、そして同一の推定Tを有するが、864番は、ポリAテイルの最初の3塩基に結合し、わずかに強いブロッキング効果を有するようである。ポリAテイルから、それぞれ235ヌクレオチドおよび345ヌクレオチドに結合する、PNA869番および873番を用いる反応は、ほぼこれらのサイズの少量の短縮型一本鎖cDNAを産生するようである。1つより多いPNAブロッカーを用いて、RT産生の阻害の程度を増加し得る。レーン8および9は、2つまたは3つのPNA配列を共に、単一のRT反応において使用することが、さらにブロッキング効率を改善し、cDNA産物がこれらの反応において全く検出可能ではないことを実証する。レーン11は、1kbのラダーDNAサイズマーカー(InvitrogenTM/Life TechnologiesTM Catalog No.10787−018)を含む。
この阻害効果が、PNAオリゴマーによる逆転写のブロッキングに起因することを実証するために、ATP5F1転写物鋳型を用いるコントロール実験を行った。結果を図12に示す。第1に、PNAを溶解するために使用した1% NMP溶媒が、RT反応を阻害し得るか否かを試験した。図12のレーン8は、RT反応中の最終濃度0.05%のNMPが、RT活性およびcDNA産物の生成になんら影響しないことを示す。
観察されたRT阻害が、PNAオリゴマーの用量に依存するか否かについても、試験した。図12のレーン2−7は、RT反応産物におけるPNA濃度の範囲の影響を示す。PNAオリゴマー864番を、2倍の連続希釈において使用した。これらの反応の各々において、ATP5F1転写物鋳型のモル濃度は、0.4μMであった。PNAオリゴヌクレオチド濃度が0.5μMを超える場合、阻害が観察され、このことは、PNAの標的に対するPNAの結合の化学量論が1対1であることを示唆する。図12のレーン1は、1kbラダーDNAサイズマーカー(InvitrogenTM/Life TechnologiesTM Catalog No.10787−018)を含み、そしてレーン11は、RNAラダーマーカー(Life TechnologiesTM Catalog No.15620−016)を含む。
ブロッキング活性の配列特異性を実証するために、一連の同一のATP5F1 PNAオリゴヌクレオチド希釈を、CETP遺伝子から生成された異種RNA鋳型を用いるRT反応において、使用した。CETP遺伝子(959リボヌクレオチド長)の人工の短縮型転写物を、T7 RNAポリメラーゼを用いて、鋳型としてのPCRアンプリコンからインビトロ転写によって生成した。CEPTアンプリコンについての完全な配列が、図7および配列番号2において提供される。人工転写物として使用したCETPアンプリコンの部分は、ヌクレオチド33−991であった(図7に下線を引いて示す)。
異種転写物を使用するこの実験の結果を、図13に示す。これら反応の各々において、CETP転写物鋳型の最終濃度は、0.3μMであった。ATP5F1特異的PNAオリゴヌクレオチドの最も高い濃度(2.5μM)においてでさえも、CETP RT反応の阻害はない。このことは、ブロッキングは、配列特異的であり、非特異的干渉に起因しないことを示す。図13において、レーン1は、1kbラダーDNAサイズマーカー(InvitrogenTM/Life TechnologiesTM Catalog No.10787−018)を含み、そしてレーン11は、RNAラダーマーカー(Life TechnologiesTM Catalog No.15620−016)を含む。
(実施例2)
(ブロッキングPNAオリゴマーの存在下における、逆転写および二本鎖cDNA合成)
本実施例は、総RNAおよびポリA RNA(すなわち、mRNA)の開始サンプルからの二本鎖cDNAの生成を記載し、ここで、RNAサンプル中の2つの標的転写物の増幅を、ブロッキングPNAオリゴマーを用いて、同時にブロックした。
これらのRT反応において、ヒト肝臓組織から単離された、総量0.05〜1.0μgのmRNAまたは2〜10μgの総RNA(Ambion,Inc.,Austin,TX;ポリA RNAカタログ番号7961、総RNAカタログ番号7960)を、1×RT反応緩衝液(Applied Biosystems,High Capacity cDNA Archive Kit,製品番号4322171)中で、20μLの反応容量中で、使用した。RT反応の各々は、mRNA中のポリA配列にハイブリダイズし、そしてT7プロモーターコンセンサス配列を含む配列を含む、5μMのオリゴdTプライマーを含んだ。このプライマー(T7−dT24)は、配列:5’−CGAATTTAATACGACTCACTATAGGGAGATTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’(配列番号42)を有する。
さらに、反応の別のセットもまた、上記の条件と類似するが、4つの異なるPNAブロッキングオリゴマーを添加(これらの2つは、内在性のATP5F1転写物にハイブリダイズし、そして、これらの2つは、内在性のCETP転写物にハイブリダイズすることが予測される)して、行った。この実験において使用したATP5F1特異的PNAオリゴマーは、それぞれ859番および875番である(図8ならびに配列番号4および20を参照のこと)。この実験において使用したCETP特異的PNAオリゴマーは、それぞれ849番および854番(図9ならびに配列番号31および36を参照のこと)であった。PNAブロッカーの各々を、各最終濃度2.5μMにて、RT反応に添加した。
RT反応混合物を、70℃にて5分間で変性した。第1鎖cDNA合成を、100−200Uの逆転写酵素(組換えMoMuLV MultiScribeTM逆転写酵素、Applied Biosystems,Foster City,CA)、1mM dNTPsおよび30UのRNaseインヒビター(Applied Biosystems,カタログ番号N808−0119)の添加、および、42℃ 2時間のインキュベーションによって実行した。RT反応を、65℃で15分間加熱することによって、終結した。過剰なRTプライマーを、MICROCON(登録商標)−100フィルトレーションカラム(Millipore Corporation,Bedford,MA)を用いて、反応物中から、除去した。
第2鎖cDNAを、DNA依存性DNAポリメラーゼおよびランダムDNAプライマーを用いて、合成した。反応液は、1000μMの各dNTP、20μMの5’−リン酸化ランダム8−9マー、0.1−1U/μLのBst DNAポリメラーゼ、および16U/μLのT4 DNAリガーゼを、37℃で2時間含んだ。結果としての二本鎖cDNAを、10−20UのT4 DNAポリメラーゼによって、15分間37℃で平滑末端化した。平滑末端二本鎖cDNAを、フィルトレーションカラム(MICROCON(登録商標)−100、Millipore Corporation)またはアフィニティー捕捉カラム(QIAGEN(登録商標)QIAquickTM 精製キット)によって、精製した。
(実施例3)
(cDNAからのcRNAのインビトロ転写および生成)
本実施例において、実施例2において記載されるように生成された二本鎖cDNAを、インビトロ転写(IVT)反応において使用して、cRNA産物を生成する。2つの異なる反応を、本実施例に記載する。1つの反応において、IVT反応は、その後のリアルタイムPCR定量(すなわち、TaqMan(登録商標)分析;実施例4を参照のこと)に適切な、非標識cRNA産物を産生する。第2の反応において、標識されたcRNA産物は、蛍光標識されたリボヌクレオチドを、生成中のcRNA鎖に取り込むことによって、産生され、高スループットハイブリダイゼーションスクリーニングにおける使用に適切な標識産物を生成する(すなわち、プローブによって検出するアレイ形式;実施例5を参照のこと)。
IVT反応の両方を、鋳型としてのT7プロモーター含有二本鎖cDNA、およびcDNAの3’末端にあるT7プロモーター配列からの転写を開始するT7 RNAポリメラーゼを用いて、行った。反応を、20μLの容量において行い、そして10−40U/μLのT7 RNAポリメラーゼ、20mMのMgCl、40mMのTris−HCl(pH8.0)、10mMのDTT、および2mMのスペルミジンを含んだ。IVT反応は、7.5mMの各ATP、CTP、GTP、およびUTPを用いて、非標識のcRNAを生成した。別個のIVT反応のセットは、7.5mMの各ATP、CTPおよびGTP、ならびに減少した量のUTPを含み、そして、それに加えて、0.5−2.5mMの色素−リンカーUTPを含んだ。IVT反応を、37℃で6−9時間行った。増幅されたcRNAを、QIAGEN(登録商標)RNeasy(登録商標)総RNA精製カラムを用いて精製して、取り込まれなかったリボヌクレオチドを除去した。
(実施例4)
(cRNA産物のリアルタイム定量PCRモニタリング)
本実施例は、実施例3に記載のように生成された非標識cRNAプール中の特異的cRNA産物の定量を記載する。本実施例は、当該分野において一般的に使用されるように、TaqManTM RNA定量プロトコールを使用した。PNAオリゴマーが、逆転写工程において、配列特異的様式において、種々の標的転写物の増幅をブロックするPNAオリゴマーの効力を、評価した。この分析の結果を、図15−16に示す。
蛍光色素結合UTPを取り込まないRT−IVT増幅後に生成されたcRNA(実施例3を参照のこと)を、TaqMan(登録商標)プロトコールを用いるリアルタイムPCR定量アッセイにおいて使用した。合計4つの非標的化遺伝子(ATP5B、COX6B、RPS4X、PEX7)、および2つの標的化遺伝子(ATP5F1およびCETP)(実施例2に記載されるように)からのcRNA産物を定量した。定量は、cRNAを鋳型として用いる、TaqMan(登録商標)分析と共役した、RT−PCRによるものであった。
PCRプライマーおよび二重色素標識TaqMan(登録商標)プローブを、Primer ExpressTM(バージョン1.0、Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して、設計した。PCRプライマーのTは、58℃〜60℃の範囲であり、TaqMan(登録商標)プローブのTは、68℃〜70℃の範囲である。
PCR増幅反応物(50μL)は、実施例3に記載されるようにIVTによって生成された10,000×希釈したcRNAサンプル、2×マスターミックス(25μL)(PCR緩衝液、dNTPs、およびMgClを含む)、MuLV逆転写酵素、AmpliTaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)、遺伝子特異的正方向プライマーおよび逆方向プライマー(各々200〜900nM)、およびTaqMan(登録商標)プローブ(200〜250nM)を含んだ。これらの反応において使用したPCRプライマーおよびTaqMan(登録商標)プローブ配列を、表2に示す。
RT−PCR反応条件は、50℃にて45分間、次に95℃にて10分間を含んだ。RT−PCRサーマルサイクリングは、95℃にて15秒間および60℃にて1分間の40サイクルにて進んだ。全ての反応を、ABIPRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems, Foster City, CA)において、行った。データ収集および分析のためのソフトウェアは、Applied Biosystems社の製品である。
このTaqMan(登録商標)分析の結果を、図15に示す。結果を、C(すなわち、閾値サイクル)として表す。蛍光の値を、全てのサイクルの間に記録し、そして、増幅反応におけるその時点までに増幅された産物の量を表す、蛍光シグナルが統計的に有意であるとして最初に記録された時点が、閾値サイクル(C)である。分析および標準化した値(データを示さず)に対するC較正の後に、これらのデータが、鋳型としてのmRNAまたは総細胞性RNA開始物質のいずれかを用いるRTおよびIVT増幅の間に、特定の標的遺伝子(ATP5F1およびCETP)の転写を、それぞれ、99.1%および99.6%まで効果的にPNAオリゴマーがブロックし得ることを実証することが、決定された。さらに、これたのデータはまた、ATP5F1およびCETPの逆転写反応を阻害するために使用された、これら同一のブロッキングPNAオリゴマーが、非標的化されていない遺伝子(例えば、ATP5B、COX6B、RPS4XおよびPEX7)の逆転写を阻害しないこともまた、実証する。図15に示されるデータはまた、図16においてグラフとして示される。
(実施例5)
(2’−O−メチルリボヌクレオチドブロッキングオリゴマーを使用する、サンプル中の少量の転写物の富化)
本実施例は、ヒト肝臓ポリA RNA(すなわち、mRNA)の開始サンプルからの二本鎖cDNAの生成を記載する。ここで、結果としてのcDNAプールは、特異的な2’−O−メチルリボヌクレオチドブロッキングオリゴマーを使用する多量のアクチン転写物の増幅をブロックすることによって、少量の転写物を富化する。
本方法において、ヒト肝臓組織から単離された総量で1.0μgのポリA mRNA(Ambion,Inc.,Austin,TX;カタログ番号7961)を、20μLの逆転写反応において使用する。このRT反応は、1×RT反応緩衝液(Applied Biosystems,High Capacity cDNA Archive Kit,製品番号4322171)、および5μMのオリゴ−dTプライマー(T7−dT24(配列番号42)と称する)を使用する。
さらに、反応液はまた、β−アクチンmRNA転写物(GenBankアクセッション番号NM_001101)とハイブリダイズし得るヌクレオベース配列を含む少なくとも1つの2’−O−メチルリボヌクレオチドブロッキングオリゴマーを含む。2’−O−メチルリボヌクレオチドオリゴマーを、2’−O−メチルホスホロアミダイト(A、G、CおよびU)(種々の市販の供給源(例えば、Glen Research Corporation, Sterling, VA)から入手可能であり、標準的なポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して、精製される)を使用する標準的なホスホロアミダイト化学を使用して、合成される。
β−アクチン特異的2’−O−メチルリボヌクレオチドブロッキングオリゴマーの例としては、限定されることはないが、以下が包含される:
これらの任意のブロッキングオリゴマーを、RT反応において使用し得るか、または、代替的に、このオリゴマーの任意の組み合わせを使用し得る(同一反応中で、このオリゴマーの全てを同時に使用することを含む)。2’−O−メチルリボヌクレオチドブロッキングオリゴマーの各々を、最終濃度が、それぞれ2.5μMまで、RT反応液に添加する。
RT反応混合物を、70℃で5分間、変性する。第1鎖cDNA合成を、100〜200Uの逆転写酵素(例えば、組換えMoMuLV MultiScribeTM逆転写酵素、Applied Biosystems,Foster City,CA)、1mM dNTPsおよび30UのRNaseインヒビター(例えば、Applied Biosystems,カタログ番号N808−0119)の添加、および、42℃ 2時間のインキュベーションによって、行う。RT反応を、65℃で15分間加熱することによって、終結した。過剰なRTプライマーを、MICROCON(登録商標)−100フィルトレーションカラム(Millipore Corporation,Bedford,MA)を用いて、反応物中から、除去する。
第2鎖cDNAを、DNA依存性DNAポリメラーゼおよびランダムDNAプライマーを用いて、合成した。反応液は、1000μMの各dNTP、20μMの5’−リン酸化ランダム8−9マー、0.1−1U/μLのBst DNAポリメラーゼ、および16U/μLのT4 DNAリガーゼを、37℃で2時間含んだ。結果としての二本鎖cDNAを、10−20UのT4 DNAポリメラーゼによって、15分間37℃で平滑末端化した。平滑末端二本鎖cDNAを、フィルトレーションカラム(MICROCON(登録商標)−100、Millipore Corporation)またはアフィニティー捕捉カラム(QIAGEN(登録商標)QIAquickTM 精製キット)によって、精製した。
上記明細書中で言及された、全ての刊行物、GenBankアクセッション番号配列の提出、特許および公開された特許出願が、本明細書において、その全体を、参考として援用する。本発明の記載された組成物および方法の種々の改変および変更は、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は、種々の特定の実施形態を用いて記載してきたが、請求項に記載される本発明は、そのような特定の実施形態に、不当に制限されるべきではないことが、理解される。実際に、遺伝子発現分析および核酸の酵素学および生化学、または関連する分野の当業者にとって明らかである、本発明を実施するために記載された様式の種々の改変は、添付の請求の範囲内であることが、意図される。
図1は、遺伝子発現の連続分析(SAGE)の結果を示すグラフである。X軸は、SAGEタグID(10マーのオリゴヌクレオチド)をプロットし、そしてY軸は特定のタグの出現頻度をプロットする。 図2は、遺伝子発現およびハイブリダイゼーションの仮定的分析を示し、ここで発現において100,000倍の範囲を有する7つの異なる遺伝子転写物を分析する。その計算は、250μLのハイブリダイゼーション反応において、0.1〜500μgの範囲の未増幅細胞mRNAを利用する。ハイブリダイゼーション反応における、各遺伝子転写物の予測される濃度を、pMで提供する。 図3は、250μLのアレイハイブリダイゼーションにおいて、10から10個のHeLa細胞の範囲の、異なる量の開始材料を考慮して、mRNAの定量および濃度の仮定的計算を提供する表を示す。平均転写物長を1.9キロベース(kb)と仮定して、その表は仮定的なRNA収量(μg、pmol、および分子数)、およびハイブリダイゼーション反応における推定mRNAモル濃度を提供する。これらの計算は、少量、中程度、および多量の種類のmRNA転写物に関して示される。表において、1pMの検出下限より多いmRNA種を囲んで示す。 図4は、遺伝子発現およびハイブリダイゼーションの仮定的分析を示し、ここで発現レベルにおいて10,000倍の範囲を有する6つの異なる遺伝子(遺伝子A−F)を、増幅し、ハイブリダイゼーション法において分析する。3つのシナリオが提供され、ここで標識されたcDNAまたはcRNAいずれかの1μg、10μgまたは100μgを、ハイブリダイゼーション反応で使用する。ハイブリダイゼーション反応において、各遺伝子転写物の推定濃度を、pMで提供する。 図5は、最も多量の転写物(遺伝子A)のレベルが99%減少された以外は、図4と同様の仮定的遺伝子発現分析を示す。 図6は、H輸送ミトコンドリアATPシンターゼ、サブユニットB、アイソフォーム1(ATP5F1)遺伝子のサブユニットBのヒト移入前駆体のPCRアンプリコンヌクレオチド配列を示す。合成RNA鋳型として使用されるPCRアンプリコンの領域を、下線で示す。 図7は、ヒトコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)遺伝子のPCRアンプリコンヌクレオチド配列を示す。合成RNA鋳型として使用されるPCRアンプリコンの領域を、下線で示す。 図8は、ヒトATP5F1遺伝子転写物に対して特異的および配列が相補的な18の異なる合成PNAオリゴマー(番号858〜875)を記載する表を示す。PNAオリゴマーの配列および位置が提供される。PNA:RNA二本鎖の推定T(℃)、およびPNAオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有する類似するオリゴデオキシリボヌクレオチドの推定Tも示される。配列中の「O」位置はリンカー/スペーサーを示し、その構造を図10で示す。 図9は、ヒトCETP遺伝子転写物に対して特異的でありかつ配列が相補的な19の異なる合成PNAオリゴマー(番号839〜857)を記載する表を示す。PNAオリゴマーの配列および位置が提供される。PNA:RNA二本鎖の推定T(℃)、およびPNAオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有する類似するオリゴデオキシリボヌクレオチドの推定Tも示される。配列中の「O」位置はリンカー/スペーサーを示し、その構造を図10で示す。 図10Aから10Cは、GEN063032リンカー/スペーサーの構造を示す。図10Aは、それがPNAオリゴマーにおいて内部位置にある場合の、この分子の構造を示す。図10Bは、それがPNAオリゴマー分子中でアミノ末端位置にある場合の、その分子の構造を示す。図10Cは、それがPNAオリゴマー分子中でカルボキシル末端位置にある場合の、その分子の構造を示す。 図11は、様々な逆転写反応(すなわち、RT第1鎖合成;レーン2−10)の一本鎖産物を含む、エチジウムブロミド染色アガロースゲルの画像を示す。これらのRT反応は、ATP5F1合成RNA鋳型、オリゴdT合成プライマー、および様々なATP5F1特異的PNA阻害オリゴマーを使用した。鋳型RNAのみを含むコントロール反応(レーン12)、プライマーなしのRT反応(レーン11)、および1KbのDNAラダー(レーン1)もゲル上にある。 図12は、様々な逆転写反応(すなわち、RT第1鎖合成;レーン2−7)の一本鎖産物を含む、エチジウムブロミド染色アガロースゲルの画像を示す。これらのRT反応は、ATP5F1合成RNA鋳型、オリゴdT合成プライマー、およびATP5F1特異的PNA阻害オリゴヌクレオチド番号864の濃度滴定を使用した。鋳型RNAのみを含むコントロール反応(レーン10)、プライマーなしのRT反応(レーン9)、NMP緩衝液コントロール(レーン8)、1KbのDNAラダー(レーン1)、およびRNAサイズラダー(レーン11)もゲル上にある。 図13は、様々な逆転写反応(すなわち、RT第1鎖合成;レーン2−7)の一本鎖産物を含む、エチジウムブロミド染色アガロースゲルの画像を示す。これらのRT反応は、CETP合成RNA鋳型、オリゴdT合成プライマー、およびATP5F1特異的PNA阻害オリゴヌクレオチド番号864の濃度滴定を使用した。鋳型RNAのみを含むコントロール反応(レーン10)、プライマーなしのRT反応(レーン9)、NMP緩衝液コントロール(レーン8)、1KbのDNAラダー(レーン1)、およびRNAサイズラダー(レーン11)もゲル上にある。 図14は、公知の高度に発現される遺伝子の表を、それらの遺伝子の発現cDNA配列のGenBank登録番号と共に提供する。 図15は、ヒト肝臓から単離された全細胞RNAまたはmRANいずれかから得られたcDNA分子のインビトロ転写によって産生された6つのcRNA産物の、TaqMan定量的RT−PCR分析の結果を示す。そのcDNAプールを産生した逆転写反応を、ATP5F1遺伝子およびCETP遺伝子に特異的な阻害PNAオリゴマーの存在下または非存在下のいずれかで行なった。表に示した値は、閾値サイクル(C)である。cRNAの定量を、標的化遺伝子および非標的化遺伝子の両方について決定した。 図16は、図15で示した閾値サイクル(C)TaqMan分析データのグラフ表示を示す。白いバーは、あらゆる阻害PNAオリゴマーの非存在下でmRNA由来cDNAから合成されたcRNAを用いて産生されたC値を示し、斑のバーは、阻害PNAオリゴマーの存在下でmRNA由来cDNAから合成されたcRNAを用いて産生されたC値を示し、斜線のバーは、あらゆる阻害PNAオリゴマーの非存在下で全RNA由来のcDNAから合成されたcRNAを用いて産生されたC値を示し、そして黒いバーは、阻害PNAオリゴマーの存在下で全RNA由来のcDNAから合成されたcRNAを用いて産生されたC値を示す。 図17は、本発明のcDNA合成および他の局面のフローチャートを示す。これらの様々な反応における阻害オリゴマーの使用を、大きな矢印で示す。
【配列表】

Claims (52)

  1. サンプル中の多量のポリヌクレオチドに対する少量のポリヌクレオチドを富化するための方法であって、ここで、多量のポリヌクレオチドと少量のポリヌクレオチドとの比が、少なくとも約10:1であり、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを、該多量のポリヌクレオチド内の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの第1の酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに対して、塩基対形成が生じる条件下で、曝露する工程;
    (b)該サンプルを、該少量のポリヌクレオチド内の配列に対して相補的なヌクレオベース配列を有するプライマーに対して、塩基対形成が生じる条件下で、暴露する工程;および
    (c)該サンプルを、ポリメラーゼ伸長のための条件に供して、その結果、該少量のポリヌクレオチドが、該プライマーの伸長によって増幅され、そして該多量のポリヌクレオチドが増幅されない、工程、
    を包含する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、ここで、該多量のポリヌクレオチドと該少量のポリヌクレオチドとの比が、少なくとも100:1である、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記サンプルは、第1および第2の多量のポリヌクレオチドを含有し、そして、工程(a)において、該サンプルを、少なくとも2つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに対して、曝露し、ここで、1つのヌクレオベースオリゴマーは、該第1の多量のポリヌクレオチド内の配列に対して相補的なヌクレオベース配列を含み、そして、該第2のヌクレオベースオリゴマーは、該第2の多量のポリヌクレオチド内の配列に対して相補的であるヌクレオベース配列を含有する、方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記少量のポリヌクレオチドおよび多量のポリヌクレオチドは、mRNA、rRNA、cRNAおよびtRNA分子からなる群から選択されるRNA分子である、方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記少量のポリヌクレオチドおよび多量のポリヌクレオチドは、cDNA分子である、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、リボース含有オリゴマー構造を有さない、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、ここで、前記酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、ペプチド核酸(PNA)オリゴマーである、方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、改変されたヌクレオチドオリゴマーまたはヌクレオチド間アナログオリゴマーである、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、ここで、前記改変されたヌクレオチドオリゴマーは、2’−改変ヌクレオチドオリゴマー、および3’−改変ヌクレオチドオリゴマーからなる群から選択される、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、ここで、前記2’−改変ヌクレオチドオリゴマー、および3’−改変ヌクレオチドオリゴマーが、2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマー、および3’−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマーからなる群から選択される、方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、ここで、前記2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマーが、2’−O−メチルヌクレオチドオリゴマーである、方法。
  12. 請求項8に記載の方法であって、ここで、前記改変ヌクレオチドオリゴマーまたはヌクレオチド間アナログオリゴマーが、ロックされた核酸(LNA)、N3’−P5’ホスホロアミデート(NP)オリゴマー、副溝結合物連結オリゴヌクレオチド(MGB−連結オリゴヌクレオチド)、ホスホロチオエート(PS)オリゴマー、C−Cアルキルホスホネートオリゴマー、ホスホロアミデート、β−ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、およびα−ホスホジエステルオリゴヌクレオチドから選択される、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、ここで、前記C−Cアルキルホスホネートオリゴマーが、メチルホスホネート(MP)オリゴマーである、方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記酵素的に伸長不可能な第1のヌクレオベースオリゴマーがキメラである、方法。
  15. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記サンプルが、1つより多い、多量のポリヌクレオチドを含む、方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記ポリヌクレオチドのサンプルが、RNAおよびDNAからなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、方法。
  17. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記ポリヌクレオチドのサンプルがRNAを含み、そして、ポリメラーゼの伸長が、逆転写により、第1鎖cDNAを生じる、方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、ここで、前記方法がさらに、第2鎖cDNA合成を包含する、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、ここで、前記サンプルが、第1鎖cDNA合成の間に、少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露される、方法。
  20. 請求項18に記載の方法であって、ここで、前記サンプルが、第2鎖cDNA合成の間に、少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露される、方法。
  21. 請求項18に記載の方法であって、ここで、前記サンプルが、第1鎖cDNA合成および第2鎖cDNA合成の両方の間に、少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに曝露される、方法。
  22. 請求項18に記載の方法であって、ここで、前記方法がさらに、増幅工程を包含する、方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、ここで、前記増幅工程が、ポリメラーゼ連鎖反応による、方法。
  24. 請求項22に記載の方法であって、ここで、前記増幅工程が、インビトロ転写による、方法。
  25. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記RNAがmRNAまたはcRNAまたは総細胞RNAである、方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記ポリヌクレオチドのサンプルが、DNAを含み、そして、ポリメラーゼ伸長が、ポリメラーゼ連鎖反応におけるDNA依存性DNAポリメラーゼによる、方法。
  27. さらに、前記増幅されたポリヌクレオチドを標識する工程を包含する、請求項22に記載の方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、ここで、前記標識が、増幅と同時である、方法。
  29. 請求項27に記載の方法であって、ここで、前記標識が、増幅後である、方法。
  30. 複数のポリヌクレオチドであって、ここで、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドの相対的な存在量が、非標的ポリヌクレオチドに対して減少され、そして、ここで、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチドが、図14に示される遺伝子のリストから選択される、ポリヌクレオチド。
  31. 請求項30に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記少なくとも1つの非標的ポリヌクレオチドの相対的な存在量が、標的ポリヌクレオチドに対して増加している、ポリヌクレオチド。
  32. 請求項30に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記複数のポリヌクレオチドがDNA分子またはRNA分子である、ポリヌクレオチド。
  33. 請求項32に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記DNA分子がcDNA分子である、ポリヌクレオチド。
  34. 請求項32に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記RNA分子がcRNA分子である、ポリヌクレオチド。
  35. 請求項30に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記ポリヌクレオチドが、標識されている、ポリヌクレオチド。
  36. 請求項33に記載の複数のポリヌクレオチドであって、ここで、前記cDNA分子がベクター中にクローニングされている、ポリヌクレオチド。
  37. ポリヌクレオチドのサンプル中の少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドを富化するためのキットであって、ここで、該サンプルが、少なくとも1つの多量のポリヌクレオチド、および少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドを含み、ここで、該キットは、該少なくとも1つの多量の標的ポリヌクレオチドに対して相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを含む、キット。
  38. 請求項37に記載のキットであって、ここで、前記サンプルは、少なくとも5つの多量のポリヌクレオチドを含み、そして、該キットは、少なくとも5つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーを含み、ここで、該酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーの各々は、該5つの多量の標的ポリヌクレオチドの1つに対して相補的なヌクレオベース配列を有する、キット。
  39. さらに、少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーを含む、請求項37に記載のキット。
  40. 請求項39に記載のキットであって、ここで、前記プライマーがランダムプライマーである、キット。
  41. 請求項37に記載のキットであって、ここで、前記多量の標的ポリヌクレオチドが図14に記載される遺伝子から選択される、キット。
  42. 請求項37に記載のキットであって、ここで、前記酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーが、ペプチド核酸(PNA)オリゴマー、2’−O−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマー、3’−アルキル改変ヌクレオチドオリゴマー、ロックされた核酸(LNA)、N3’−P5’ホスホロアミデート(NP)オリゴマー、副溝結合物連結オリゴヌクレオチド(MGB−連結オリゴヌクレオチド)、ホスホロチオエート(PS)オリゴマー、C−Cアルキルホスホネートオリゴマー、ホスホロアミデート、β−ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、およびα−ホスホジエステルオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、キット。
  43. 請求項37に記載のキットであって、ここで、該キットは、さらに、RNA−依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、DNA−依存性RNAポリメラーゼ、DNA−依存性DNAポリメラーゼ、オリゴdTポリメラーゼプライマー、さらにRNAポリメラーゼの開始のためのヌクレオチド配列を含むオリゴdTポリメラーゼプライマー、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、リボヌクレオチド三リン酸、cDNA第2鎖合成に適切なDNAポリメラーゼプライマー、およびポリヌクレオチド標識のための手段からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、キット。
  44. 少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドを有するサンプル中の遺伝子発現を分析するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを、該多量のポリヌクレオチド内の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに対して、塩基対形成が生じる条件下で、曝露する工程;
    (b)該サンプルを、ポリメラーゼ伸長が生じる条件に供して、富化されたポリヌクレオチドサンプルを生成する工程;
    (c)該富化されたポリヌクレオチドサンプル中の該ポリヌクレオチドを標識する工程;
    (d)該標識されたポリヌクレオチドサンプルを、ハイブリダイゼーション手段を用いてプローブと接触させて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する、工程;および
    (e)該ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程であって、ここで、該ハイブリダイゼーション複合体の検出は、遺伝子発現の指標である、工程、
    を包含する、方法。
  45. 少なくとも1つの少量のポリヌクレオチドについて富化されたcDNAライブラリーを合成するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)mRNAのサンプルを提供する工程であって、ここで、該mRNAは、少なくとも1つの多量の転写物、および少なくとも1つの少量の転写物を有する、工程;
    (b)該サンプルを、該多量のmRNA内の配列に相補的なヌクレオベース配列を有する少なくとも1つの酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーに対して、塩基対形成が生じる条件下で、曝露する工程;
    (c)該サンプルを、逆転写および第1鎖cDNA合成のための条件に供する、工程;
    (d)該サンプルを、第2鎖cDNA合成の条件に供して、二本鎖cDNA分子を形成する、工程;ならびに
    (e)該二本鎖cDNA分子を、ベクターにクローニングして、富化されたcDNAライブラリーを生成する、工程;
    を、包含する、方法。
  46. 1つ以上の少量のポリヌクレオチドについて、サンプルを富化する方法であって、該方法は、以下:
    少なくとも1つの多量のポリヌクレオチドの増幅をブロックしながら、ポリメラーゼ伸長を用いて、少量のポリヌクレオチドを増幅する工程、
    を、包含し、
    ここで、該多量のポリヌクレオチドの増幅のブロックは、増幅前に、該多量のポリヌクレオチドを、塩基対形成が生じる条件下において、酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーと接触させることを包含し、ここで、該酵素的に伸長不可能なヌクレオベースオリゴマーは、該多量のポリヌクレオチド内の配列に対して相補的な配列を含み、
    ここで、該多量のポリヌクレオチドと少量のポリヌクレオチドとの比は、少なくとも10:1である、方法。
  47. 請求項45に記載の方法であって、ここで、前記サンプルは、少なくとも10種の少量のポリヌクレオチドについて富化される、方法。
  48. 請求項45に記載の方法であって、ここで、前記サンプルは、少なくとも100種の少量のポリヌクレオチドについて富化される、方法。
  49. 請求項45に記載の方法であって、ここで、少なくとも2種の多量のポリペプチドの増幅がブロックされる、方法。
  50. 請求項45に記載の方法であって、ここで、少なくとも10種の多量のポリペプチドの増幅がブロックされる、方法。
  51. 請求項45に記載の方法であって、ここで、少なくとも50種の多量のポリペプチドの増幅がブロックされる、方法。
  52. 請求項45に記載の方法であって、ここで、前記サンプルは、少なくとも10種の少量のポリヌクレオチドについて富化され、そして、少なくとも2種の多量のポリペプチドの増幅がブロックされる、方法。
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