JP2021500077A - Dna増幅の標的化抑制による混合dna試料中のdna集団の選択的富化 - Google Patents

Dna増幅の標的化抑制による混合dna試料中のdna集団の選択的富化 Download PDF

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Abstract

本開示は、複数のDNA集団を含む混合試料中の1つのDNA集団を選択的に富化するための方法及び生成物を提供する。いくつかの実施形態では、混合試料は、特に、感染した個体からの臨床試料中の哺乳類宿主DNAと混合された病原微生物DNAを含む、微生物DNA及び哺乳類宿主DNAの1つまたはそれを超える集団を含む。本発明は、少なくとも第1の核酸集団及び第2の核酸集団を含む混合試料の増幅によって生成されたDNAの増幅試料における微生物核酸の富化のための改善された方法の開発に部分的に依存している。

Description

哺乳類組織における病原微生物による感染は、主要な医療上の問題である。菌血症として知られている血液の細菌感染は、一般に抗生物質で処置できるが、全身が炎症を起こして、多臓器の虚脱を引き起こし、処置せずに放置すると最終的には死に至ることもある生命を脅かす病気である、敗血症をもたらす場合がある。抗菌剤耐性の高まりとともに、細菌感染の処置はさらに困難になってきている。合衆国だけでも、年間約200万人の患者が抗菌剤耐性菌による細菌感染にかかっており、感染の結果としておよそ10万人の患者が死亡することになる。病院で診断された感染のほぼ半分は現在、少なくとも1つの一般的な抗菌剤に耐性があり、薬剤耐性感染の場合、死亡リスクは2倍になる可能性がある。感染に関与する病原体(複数の場合もある)とその抗菌剤感受性パターンを迅速かつ正確に同定することは、永久損傷や死を回避するために重要であり得る。
病原体とその抗菌剤感受性パターンを迅速かつ包括的に同定するための主な課題は、病原体が通常、生物試料のごく一部にすぎないことである。例えば、臨床的に関連のある血液試料では、血液1ミリリットルあたり10個未満の病原性細胞が存在する可能性がある。同時に、数十億のヒト細胞が存在することもあり、それぞれがその約1,000倍のゲノム材料を保持しているため、診断、特に核酸に基づく診断に対し手ごわい課題が提起されている。この課題を克服するための従来の方法は、増殖許容環境(例、細菌や真菌のための栄養豊富なブロス、又はウイルスのための許容細胞株)で標本を培養することにより、より大きな病原体集団を生成させることであった。病原体を培養すると、病原体:ヒトDNAの比率を少なくとも100万倍に増加させことができるが、時間がかかり、多くの場合、好結果が得られないことになり得る。
例えば、血液からの細菌培養は、純粋なコロニーを生成するのに少なくとも36時間かかることがあり得、重度の敗血症の症例のほぼ半分で病原微生物を培養することができない(Martinら(2003)、New Eng.J.Med.、348:1546−1554)。さらに、抗生物質の存在下で細菌を培養することは、依然として包括的な抗生物質感受性試験(AST)についての至適基準であるが、Mycobacterium tuberculosisなど、培養が困難な病原体の場合、このプロセスは、3週間以上を要することがないにしても、少なくとも数日間を要する。この遅延は、重篤な血流感染での死亡リスクが1時間あたり8%増加する可能性がある患者にとっては致命的であり得る。医師は待つのではなく、感染に対し「絨毯爆撃」のごとき戦略で臨むように設計された強力で広域スペクトルの抗生物質を使用する経験的治療を使用して処置する。このアプローチは費用がかかり、患者を重大な薬物毒性に曝し、抗生物質耐性の蔓延を助長する。最も重要な経験的治療は、多剤耐性病原微生物のリスクにより、ますます効果が薄れてきている。
診断までの時間を短縮するために、核酸に基づく診断が採用されることが多い。現在のアッセイは、主にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の形での標的化核酸増幅を利用することにより、病原体ゲノムの短い(<1キロベース)、事前に選択された領域をバックグラウンドのヒトDNAレベルを超える検出可能なレベルまで選択的に増幅させる。PCRに基づく診断は迅速かもしれないが、標的化プローブに依存するものであるため、PCRに基づく診断は有限の数のターゲットに制限されることから、数千存在する既知の病原体種、及び少なくとも1,600である既知の抗菌剤耐性遺伝子を包括的に同定することが妨げられ、またPCRに基づく診断は、複雑な多型に基づく耐性の決定において常に正確であるとは限らない。さらに、標的化増幅は、抗菌剤耐性(AMR)遺伝子の遺伝的背景に影響されず、これは、多微生物性細菌感染などの症例、汚染物質(例、mecAを保持するStaphylococcal epidermidis)の存在、及び遺伝子の位置が重要である場合に不可欠なことである。
病原体の包括的な同定を可能にし、周知であり特徴が十分に確認された耐性遺伝子だけでなく、耐性のより複雑なメカニズムも同定するために、全ゲノム配列決定(WGS)は、過去数年のうちに病原体同定と抗菌剤感受性の両方にとっての有望な新しい診断法として浮上している。全ゲノム増幅(WGA)後に病原微生物の全ゲノムを配列決定することにより、従来の培養に関連するいくつかの問題を解決することができる。例えば、細胞培養におけるインビボ複製の代わりにインビトロ酵素活性を使用してDNA配列を増幅すると、使用可能な量の微生物遺伝物質を生成するために要する時間を数日間から数時間に劇的に短縮できる。さらに、細胞培養を回避することで、最新の培養方法でも培養することができない、病原性微生物種を含む微生物からのDNAの増幅も可能になる(例、Kvistら(2007)、Appl.Microbiol.Biotechnol.74(4):926−935;Huangら(2015)、Ann.Rev.Genomics Hum.Genet.、16:79−102)。しかしながら、当技術分野では、宿主DNA又は汚染DNAが目的のDNAよりも8〜9logも豊富であり得る場合に全ゲノム配列の効率的な生成を成功させるための改善された方法が依然として必要である。不偏の方法で微生物と哺乳類の核酸の混合物を含む生物試料において病原性微生物DNAを含む、核酸のサブセットを選択的又は優先的に増幅及び富化することで、WGAを使用した高感度診断が可能になり得る。
Martinら(2003)、New Eng.J.Med.、348:1546−1554 Kvistら(2007)、Appl.Microbiol.Biotechnol.74(4):926−935 Huangら(2015)、Ann.Rev.Genomics Hum.Genet.、16:79−102
本発明は、少なくとも第1の核酸集団及び第2の核酸集団を含む混合試料の増幅によって生成されたDNAの増幅試料における微生物核酸の富化のための改善された方法の開発に部分的に依存している。さらに、本発明は、非標的化増幅反応(untargeted amplification reaction)(例、等温増幅中のランダムヘキサマーの使用)を行うときに、望ましくない配列の増幅を低減し、その結果、試料を所望の核酸について富化できる改善されたブロッキングオリゴヌクレオチドを提供する。
一態様において、本発明は、少なくとも第1の核酸集団及び第2の核酸集団を含む混合試料の増幅によって生成されたDNAの増幅試料における、核酸(例、微生物又は非宿主の核酸)の集団を富化するための改善された方法を提供するもので、この改善は、増幅段階中における少なくとも第1の核酸集団及び第2の核酸集団の混合試料中の第1の核酸集団におけるある特定の配列(例、哺乳類又は宿主の配列)の増幅を抑制することを含む。本発明によれば、第1の集団のある特定の配列(例、哺乳類又は宿主のDNA)の増幅は、混合試料中の第1の核酸集団における少なくとも1つのDNA配列に特異的に結合し、その結合したDNA配列の増幅を抑制する少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドを混合試料に加えることにより抑制される。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットに実質的に相補的である第1の核酸集団に存在する1セットのDNA配列の増幅を抑制するブロッキングオリゴヌクレオチドのセットが使用される。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主ゲノム)より、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主ゲノム)の方でより頻繁に現れる配列に相補的な6〜23のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記配列は、第2の核酸集団と比べて第1の核酸集団ではその2倍〜50倍の頻度で現れる。
いくつかの実施形態において、微生物ゲノムは、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、又は菌血症に関連する任意の他の細菌種である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜配列番号16から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号17〜配列番号32から選択される配列に結合する。
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、第1のDNA集団(例、哺乳類の核又はミトコンドリアゲノム)全体に分布する相補的配列に結合する。いくつかの実施形態において、N個のブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、第1のDNA集団全体に分布する相補的配列に結合する。好ましくは、相補的配列は集団全体に均一に分布しているが、これは統計的にはありそうもない。したがって、いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの第1の集団に相補的なゲノム配列間の最大距離は、2G/N、3G/N、4G/N又は5G/Nであり、ここでGは、第1の集団に対応するゲノムDNAのサイズであって、Nは、前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドにおける異なるブロッキングオリゴヌクレオチドの数である。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、2〜10の異なるオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、2〜10のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、10〜10のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、10〜10のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、10〜10のオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドを第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)の相補配列に架橋する鎖間架橋剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は光活性化可能である。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。いくつかの実施形態では、架橋剤は、シスプラチン、ホルムアルデヒド、ナイトロジェンマスタード、又はマイトマイシンCである。
いくつかの実施形態では、第2の核酸集団は微生物の核酸である。いくつかの実施形態では、微生物の核酸は、細菌、ウイルス、真菌、又は原生動物のDNAである。
いくつかの実施形態において、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主DNA)及び第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)の混合試料は、ヒト及び/又は他の真核生物起源の、血液、痰、尿、粘液、唾液、組織膿瘍、創部ドレナージ、便、リンパ、洗浄液(lavage)、脳脊髄液、又は流体吸引物若しくは組織抽出物から得られるか、又はそれらに由来する。いくつかの実施形態では、混合試料は、ヒト対象から得られるか又はそれに由来する。
いくつかの実施形態では、増幅は、鎖置換型ポリメラーゼを使用して行われる。いくつかの実施形態では、増幅は、phi29ポリメラーゼ;Bst DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);Bsu DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);Deep Vent DNAポリメラーゼ(登録商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);Deep Vent(exo)DNAポリメラーゼ(登録商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);クレノウフラグメント;DNAポリメラーゼI、ラージフラグメント;M−MuLV逆転写酵素;TherminatorDNAポリメラーゼ(商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);Vent DNAポリメラーゼ(登録商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);Vent(exo)DNAポリメラーゼ(登録商標)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ);及びSDポリメラーゼを含む群から選択される鎖置換型ポリメラーゼによるものである。いくつかの実施形態において、増幅は、phi29ポリメラーゼによるものである。
いくつかの実施形態において、混合試料は、1ミリリットルあたり10未満の微生物ゲノムからのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料は、1ミリリットルあたり10未満の微生物ゲノムからのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。
いくつかの実施形態において、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)の増幅は、改善された方法で処理されていない試料と比較して10倍〜100倍といった増加を示す。
いくつかの実施形態において、混合試料が本明細書で提供される改善された方法で処理される場合、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主DNA)の増幅が少なくとも50%減少している。いくつかの実施形態において、混合試料が本明細書で提供される改善された方法で処理される場合、第1の核酸集団では少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の減少がある。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’末端にスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、6〜50のヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、本発明は、(a)第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)との比較において1キロベースあたりの第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主DNA)内でより頻繁に観察される配列に相補的である少なくとも15の連続したヌクレオチド及び(b)相補的な配列に架橋する少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むブロッキングオリゴヌクレオチドを提供する。
いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は哺乳類DNAである。いくつかの実施形態において、哺乳類DNAは哺乳類ミトコンドリアDNAである。いくつかの実施形態では、第2の核酸集団は微生物DNAである。いくつかの実施形態では、微生物DNAは細菌DNAである。いくつかの実施形態において、細菌DNAは、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、又は菌血症に関連する任意の他の細菌種に由来する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、光活性化ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドはソラレンである。いくつかの実施形態において、修飾オリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’末端にある。
いくつかの態様において、本発明は、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)における一本鎖DNA分子に特異的に結合する少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド及び前記ブロッキングオリゴヌクレオチドに共有結合した鎖間架橋剤を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’末端に結合したスペーサーをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のDNA集団は哺乳類DNAである。いくつかの実施形態において、哺乳類DNAは、哺乳類ミトコンドリアDNAであり、必要に応じてヒトミトコンドリアDNAである。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。いくつかの実施形態では、スペーサーはC3スペーサーである。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、6〜50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、2〜10のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、本発明は、組成物及び鎖置換ポリメラーゼを含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、鎖置換型ポリメラーゼはphi29ポリメラーゼである。
いくつかの実施形態において、第2の核酸集団は、少なくとも1つの微生物ゲノムに由来する。いくつかの実施形態において、微生物ゲノムは、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、又は菌血症に関連する任意の他の細菌種である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜配列番号16から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号17〜配列番号32から選択される配列に結合する。
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、または宿主)全体にほぼ等しく分布している。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、2〜10のオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドを第1のDNA集団(例えば、哺乳類、ミトコンドリア、または宿主DNA)中の相補配列に架橋させる鎖間架橋剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は光活性化可能である。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。いくつかの実施形態では、ソラレンはオリゴヌクレオチドの3’末端にある。
いくつかの実施形態において、混合試料は、1ミリリットルあたり10未満の微生物DNA分子からのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料は、1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。
いくつかの実施形態において、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、または非宿主)の増幅は、改善された方法で処理されていない試料と比較して、10倍〜100倍といった増加を示す。
いくつかの実施形態において、混合試料が本明細書で提供される改善された方法で処理される場合、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主DNA)の増幅が少なくとも50%減少している。いくつかの実施形態において、混合試料が本明細書で提供される改善された方法で処理される場合、第1の核酸集団では少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の減少がある。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’末端にスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、6〜50のヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、本発明は、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、または宿主DNA)における一本鎖DNA分子に特異的に結合する少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド及び前記ブロッキングオリゴヌクレオチドに共有結合した鎖間架橋剤を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’末端に結合したスペーサーをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は哺乳類DNAである。いくつかの実施形態では、哺乳類DNAはヒトDNAである。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。いくつかの実施形態では、スペーサーはC3スペーサーである。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、6〜50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、2〜10のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、本発明は、組成物及び鎖置換ポリメラーゼを含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、鎖置換型ポリメラーゼはphi29ポリメラーゼである。
図1は、増幅反応へのアサシンブロッカー(Assassin Blocker)DNAオリゴヌクレオチドの適用を示す。宿主(例、核及びヒトのミトコンドリアの)と非宿主(例、微生物の)のDNAの混合物を含む試料を、サイズが1〜100 kbの範囲のフラグメントに断片化する。宿主DNAフラグメント及び非宿主DNAフラグメントを、宿主DNAフラグメントのサブセットに選択的に結合する1又はそれを超えるアサシンブロッカーDNAオリゴヌクレオチドとインキュベートする。次いで、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを、UV活性化によって宿主DNAフラグメントのサブセットに架橋させる。次いで、宿主DNA及び非宿主DNAの非特異的PCR増幅を、鎖置換型ポリメラーゼを使用して実施する。アサシンブロッカーDNAオリゴヌクレオチドは、鎖置換型ポリメラーゼの活性をブロックし、それによりアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドが結合した宿主DNAのサブセットの増幅をブロックする。非特異的PCRの結果は、非宿主DNAが富化された混合物である。
図2は、宿主(例、ヒトミトコンドリアの)DNA(下鎖)に結合したアサシンブロッカーDNAオリゴヌクレオチド(上鎖)の図である。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、3’末端がスペーサーに続いてソラレン基により修飾されている。ソラレン基は、UV照射の存在下で宿主DNAへの鎖間架橋を形成する。この鎖間架橋は、phi29などの鎖置換型ポリメラーゼの進行をブロックする。
図3は、60ヌクレオチド(60マー)ターゲットオリゴヌクレオチドに相補的であった25ヌクレオチド(25マー)オリゴヌクレオチドを使用して、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドをターゲットオリゴヌクレオチドに架橋する場合の効果を示す。アサシンブロッカーの非特異的結合を評価するための陰性対照として、レーン3及びレーン5で90マーのオフターゲットオリゴヌクレオチドを使用した。レーン1は、25マーのアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドと、UV光に曝露された60マーのターゲットオリゴヌクレオチドを含む試料であり、レーン2は、25マーのアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドと、UV光に曝露されなかった60マーのターゲットオリゴヌクレオチドを含む試料であり、レーン3は、25マーのアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドと、UV光に曝露された90マーのオフターゲットオリゴヌクレオチドを含む試料であり、レーン4は、UV光に曝露された60マーのターゲットオリゴヌクレオチドを含む試料であり、レーン5は、UV光に曝露された90マーのオフターゲットオリゴヌクレオチドである。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドとターゲットオリゴヌクレオチドの安定した相互作用には、架橋を形成するためにUV光が必要である(レーン1対レーン2)。架橋アサシンブロッカーオリゴヌクレオチド:ターゲットオリゴヌクレオチド複合体の移動については、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチド又はターゲットオリゴヌクレオチド単独(レーン1対レーン4及びレーン6)のいずれの場合よりもゲルを通過するのが緩慢である。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、ターゲットオリゴヌクレオチドに特異的に結合し、オフターゲットオリゴヌクレオチドには結合しない(レーン3対レーン5)。
図4は、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを使用する場合の宿主(例、ヒトミトコンドリアの)DNAの減少を示す。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを使用しない場合の減少パーセントを宿主DNAに対して正規化する。
図5は、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドで処理された試料(黒色)またはアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドで処理されていない試料(灰色)からの哺乳類ミトコンドリアDNA配列の16,569塩基対にわたるリード数(リードの深度)を示す。
図6は、ウイング付き宿主DNAブロッキング(winged host DNA blocking)の製造プロセスである。ステージ1:ゲノム全体に分布する2つの異なるパリンドローム制限部位、部位X及び部位Yの位置を伴う二本鎖宿主DNA。ステージ2:二重制限酵素消化を使用して、宿主ゲノムDNAがフラグメントに分解される。両端にX部位を有するフラグメントもあれば、両端にY部位を有するフラグメントもあり、いずれの場合でも本明細書では「ホモフラグメント」と称す。対照的に、いくつかのフラグメントは、一方の端にX部位、他方の端にY部位を有しており、これらを本明細書では「ヘテロフラグメント」と称す。ステージ3:「hアダプター」を、宿主DNAフラグメントにライゲーションする。2つのhアダプターがある。アダプター1は、3’オーバーハングと、X制限部位にマッチする粘着末端を有する。アダプター2は、5’オーバーハングと、Y制限部位にマッチする粘着末端を有する。ステージ4:hアダプターがライゲーションされたフラグメントを、hアダプターにマッチするプライマーを使用してPCR反応で増幅する。プライマーの一方は5’リン酸基を有し得、他方のプライマーは5’ビオチンまたは異なる捕捉基(例、Hisタグ)を有し得る。この配置において、増幅される唯一のフラグメントは、一端にX制限部位及び他端にY制限部位を有するもの、すなわち、ヘテロフラグメントである。ステージ5:ラムダ一本鎖エキソヌクレアーゼを使用してリン酸化鎖を消化(解重合)し、「ブロッキングプローブ」または「ブロッキングプライマー」と呼ばれる一本鎖DNAフラグメントを残す。ストレプトアビジンを使用してビオチン化鎖を選択的にプルダウンするなど、一本鎖DNAを取得する別の方法を使用してもよい。
図7は、増幅反応への宿主ウイング付きDNAブロッカーの適用を示す。ステージ1:出発試料には、宿主DNAと非宿主DNAの混合物が含まれる。ステージ2:DNAを1〜15 kbのサイズのフラグメントに断片化する。ステージ3:フラグメントを、宿主DNAフラグメントに選択的に結合するブロッキングプローブとインキュベートする。ステージ4:非鎖置換型ポリメラーゼを使用して、非特異的PCRまたは他の増幅を行う。ポリメラーゼがブロッキングフラグメントに到達すると、それ以上処理できないため、宿主DNAの増幅を進めることができない。ブロッキングプローブ自体がプライマーとして機能しないことが重要である。「ウイング」、すなわち3’hアダプターに対応する配列は、宿主DNAにハイブリダイズしないため、ブロッキングプローブの伸長を妨げる。宿主DNAの増幅がブロックされるため、結果は非宿主DNAが富化された混合物となる。
図8は、M13ファージブロッカーを使用した、E.coliDNAの存在下におけるM13ファージアンプリコン増幅の抑制を示す。概念実証実験では、M13ファージに対して製造されたブロッカーを使用して、E.coliDNAの存在下でM13ファージDNAゲノムのセグメントの増幅をブロックする。すべての実験条件には、E.coliとM13ファージDNAの両方が含まれていた。
図9は、M13ブロッカーを使用したM13ファージアンプリコン抑制の定量を示す。図7に示されるバンドからの蛍光強度プロファイルを、ImageJソフトウェアを使用して定量する。
図10は、M13ブロッカーを使用したM13ファージアンプリコン抑制の分析を示す。ゲルバンド全体の平均生蛍光強度(average raw fluorescent intensity)を、図8で決定されたプロファイルに基づいて定量した。次いで、正味のバンド蛍光強度を、平均生蛍光強度から平均バックグラウンド蛍光を差し引くことにより計算した。ブロッカーの効果を、ブロッカー添加前後の正味のバンド蛍光強度を比較することによって計算した。
(発明の詳細な説明)
定義。
本明細書で使用されるすべての科学的及び技術的用語は、以下に別段の定義がない限り、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本明細書を優先する。本明細書で使用されている技法と言えば、当技術分野で一般に理解されている技法を指すものとし、当業者にとって明らかなものとなるそれらの技法の変形又は均等内容の技法若しくは後に開発される技法の代替法を含む。本発明である主題をより明確かつ簡潔に説明するために、明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるある特定の用語について以下の定義を提供する。
本明細書で使用する場合、「微生物(microbe)」という用語は、視覚化するのに顕微鏡を必要とする微生物(microorganism)を意味する。微生物の非限定的な例には、細菌、古細菌、真菌、原生生物、ウイルス、及び微小の動物(microscopic animal)が含まれる。病原微生物は宿主生物において疾患を引き起こす可能性がある。
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド塩基を含むポリマーである。ヌクレオチド塩基は、DNAヌクレオチド(例えば、A、C、G、T)、RNAヌクレオチド(例えば、A、C、G、U)、又はDNAヌクレオチドとRNAヌクレオチドの混合物から構成され得る。ヌクレオチド塩基は修飾されていてもよい(例、2’−O−メチルヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、モルホリノ、2’−フルオロ−デオキシリボヌクレオチド、又は架橋ヌクレオチド、例えばロックされた核酸(LNA)、又は拘束エチルヌクレオチド(cEt))。
本明細書で使用する場合、「細菌」という用語は、原核生物界の単細胞微生物を意味する。
本明細書で使用される場合、「哺乳類」という用語は、髪または柔皮を有し、子供に栄養を与えるための雌性による乳汁の分泌、及び子供を生むことによって区別される温血脊椎動物真核生物を意味する。
本明細書で使用される場合、「富化」は、少なくとも2つのDNA集団を含む混合試料中において、1つのDNA集団(例えば、微生物DNA)が第2の集団(例えば、哺乳類DNA)と比較して増加していることを指す。
本明細書で使用される場合、「増幅」は、核酸の集団を増加させるプロセスを指す。核酸の集団は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、又は転写媒介性増幅(TMA)を含む、いくつかの方法のうちの1つで拡大される。いくつかの実施形態において、核酸増幅は、等温鎖置換増幅、PCR、qPCR、RT−PCR、縮重オリゴヌクレオチドPCR、又はプライマー伸長前増幅である。
本明細書中で使用される場合、「混合試料」は、少なくとも2つの供給源からのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料は、核酸の第1の集団及び第2の集団を含む。いくつかの実施形態において、核酸の第1の集団は哺乳類DNAであり、核酸の第2の集団は微生物DNAである。いくつかの実施形態において、核酸の第1の集団は哺乳類のミトコンドリアDNAであり、核酸の第2の集団は細菌DNAである。いくつかの実施形態では、核酸の第1の集団は宿主DNAであり、核酸の第2の集団は非宿主DNAである。いくつかの実施形態では、核酸の第1の集団及び第2の集団は、両方とも微生物DNAである。いくつかの実施形態では、核酸の第1の集団及び第2の集団は、両方とも細菌DNAである。
本明細書で使用する場合、「相対出現率」という用語は、第2のDNA集団に対する、第1のDNA集団におけるヌクレオチド配列の相対出現率を指す。相対出現率は、(a)第1の集団におけるヌクレオチド配列の出現率を(b)第2の集団におけるヌクレオチド配列の出現率で割ることにより計算され得る。各集団におけるヌクレオチド配列の出現率は、(a)ヌクレオチド配列に対応する集団におけるDNAの量(例えば、bp(塩基対)の数)(重複コピーを含む)を、(b)集団内のDNAの総量(例えば、bpの数)で割ることにより推定され得る。相対出現率は、ゲノム配列全体またはその一部の情報に基づいて、または実験的に概算され得る。例えば、G bpのゲノムにおいてYコピーで出現するX bpのヌクレオチド配列は、XY/Gの出現率を有することになる。
本明細書で使用される場合、「菌血症」は、血液中における細菌の存在を指す。いくつかの実施形態において、血液中に存在する細菌は、宿主に疾患を引き起こす感染性細菌である。
本明細書で使用される場合、「相補的」は、あるポリヌクレオチド配列の、別のポリヌクレオチド配列に選択的に結合またはアニーリングする能力を指す。本発明のブロッキングオリゴヌクレオチド(例えば、アサシンブロッカーまたはウイング付きブロッカー(Winged Blocker)オリゴヌクレオチド)は、混合試料中の1つのDNA集団における配列に相補的である。
本明細書で使用される場合、「ブロッキングオリゴヌクレオチド」は、相補的ヌクレオチド配列に結合してその増幅を阻害するヌクレオチド塩基のポリマーを指す。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、アサシンブロッカーと相補的ヌクレオチド配列との間の鎖間架橋の形成により、相補的ヌクレオチド配列に結合し、その増幅を阻害するアサシンブロッカーである。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ウイング付きブロッカーの5’末端及び3’末端での結合が欠如しているために相補的ヌクレオチド配列に結合し、その増幅を阻害するウイング付きブロッカーである。
本明細書で使用される場合、「鎖間架橋」は、DNA二重らせんの反対の鎖上のDNA塩基間の共有結合を指す。これらの架橋は非常に安定しており、DNA増幅をブロックするもので、増幅を続行させるには、架橋ヌクレオチドの切除が必要となる。本発明のいくつかの実施形態では、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを、哺乳類ミトコンドリアDNAに架橋させ、それにより増幅をブロックする。いくつかの実施形態において、鎖間架橋は、ソラレン化学基を含む修飾ヌクレオチド塩基と哺乳類ミトコンドリアDNA中の相補的ヌクレオチド塩基との間に形成される。
本明細書で使用される場合、「ソラレン」とは、5’−AT配列でDNAに挿入することによりDNA鎖間架橋を形成する天然化合物を指し、ソラレンはUVA照射の存在下でチミジンヌクレオチドと結合してチミジン付加物を形成する。
本明細書で使用される場合、用語「スペーサー」とは、オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドのデオキシリボース3’位に共有結合することができ、その結果、別のヌクレオチドの5’リン酸と反応してヌクレオチド間に5’→3’ホスホジエステル結合を形成させるのにその3’位が利用できなくなるようにする化学部分を意味する。したがって、スペーサーは、テンプレート依存のDNA合成によってDNAポリメラーゼがオリゴヌクレオチドを伸長するのを妨げ、オリゴヌクレオチドがDNA合成または増幅のプライマーとして機能するのを妨げる。適切なスペーサーは、通常、オリゴヌクレオチドの3’OHと反応できる低分子量の脂肪族部分であり、様々な形で市販されており(例:3’Amino Modifier(商標)、C3 Spacer(商標)、Spacer 9(商標)、Spacer 18(商標)、dSpacer(商標)、イリノイ州スコーキー、Integrated DNA Technologies製)、最も単純なのは−(CH)n−R(ここで、nは2〜10であり、Rは、−H、−OH、−SH、−NH2であり得る)の形態のものである。スペーサーは、3’デオキシリボースなどの環状脂肪族部分であることもできる。
発明の原理。
本発明は、核酸の少なくとも2つの集団を含む混合臨床試料において、核酸(例、病原性微生物DNAを含む微生物核酸)の集団を選択的または優先的に増幅することで、混合試料中に存在する病原微生物を含む微生物の迅速かつ効率的な同定を支援する改善された方法の開発にある程度依存する。いくつかの実施形態において、本方法では、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主の核酸)のある特定の配列に架橋されたブロッキングオリゴヌクレオチドを使用して、その第1の核酸集団の増幅を抑制し、それによって第2の核酸集団(例、微生物、細菌又は非宿主核酸)の富化を増強する。他の実施形態において、本方法では、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主のDNA)のある特定の配列に結合してその増幅を抑制するウイング付きヘリックス(Winged Helix)ドメインを含むブロッキングオリゴヌクレオチドを使用して、その第1の核酸集団の増幅を抑制し、それによって第2の核酸集団の富化を増強する。
一態様において、本発明は、所望の第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主の核酸)の富化を増強するために、増幅から有利にブロックされ得る第1のDNA集団(例、哺乳類DNA)からDNA配列を選択する方法を提供する。アサシンブロッカー配列の適切な候補(「候補ブロッキング配列」)は、アサシンブロッカーが、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主のDNA)より第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主のDNA)を優先的に増幅するように選択される。候補ブロッキング配列は、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主のDNA)に比べて、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主のDNA)でより頻繁に出現するべきである。例えば、候補ブロッキング配列の最初の6ヌクレオチドは、第2の核酸集団と比較して、第1の核酸集団では頻度が2倍〜50倍と高くなるべきである。さらに、候補ブロッキングオリゴヌクレオチド配列の最初の23ヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主のDNA)に存在するべきであり、第1の核酸集団に対し、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主のDNA)では存在しないか又は非常に希少である。候補ブロッキング配列はまた、ハイブリダイゼーションに適した温度(例、25〜50℃)で相補配列にアニーリングできるものでなくてはならない。候補ブロッキング配列はまた、架橋剤による架橋を促進するためにある特定のモチーフ(例えば、ソラレンの特定の末端にあるAとT)を含むことが必要な場合もある。候補ブロッカー配列のセットは、核酸の集団全体がその増幅に関して抑制される場合、核酸の集団の大きな領域をブロックするように、全体として第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、または宿主のゲノム)にわたって間隔を空けて配置されなければならない。核酸の1つの集団に適したブロッキング配列が核酸の別の集団に及ばない場合があるため、混合試料でブロックされるべき核酸の各集団を個別に検査しなければならない。前記適用に所望されるのがごく少数のアサシンブロッカーであり、第1の核酸集団が大きい場合、候補ブロッキング配列が第1の核酸集団でブロックする領域の数も、アルゴリズムによって定量され、より多くの領域をブロックする配列が好ましい。
したがって、本発明で使用されるブロッキングオリゴヌクレオチドは、混合試料中において増幅されないか、又は核酸配列の他の集団よりも増幅される程度が少ない核酸(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)DNA配列の第1の集団のブロックされたセットを明らかにする。その結果、病原微生物感染の診断に役立つ病原微生物DNAを含む可能性のある、第2のDNA集団(例、微生物、細菌、又は非宿主のDNA)が富化されているDNAの増幅試料が得られる。
いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は、哺乳類のミトコンドリアDNA配列を含む。哺乳類細胞には多くのミトコンドリアが含まれており、ミトコンドリアは通常、ミトコンドリアゲノムの複数のコピーを含んでいるため、1哺乳類細胞あたりのミトコンドリアゲノムのコピー数は非常に高くなる可能性がある。例えば、mtDNAのコピー数は、1細胞あたり数百から数千のコピーの範囲であると推定されている(Hosgoodら(2010)、”Mitochondrial DNA copy number and lung cancer risk in a prospective cohort study,” Carcinogenesis、31(5):847−849)。しかしながら、いくつかのミトコンドリアの配列は、病原微生物の配列と実質的に類似している。したがって、そのような病原微生物配列もブロックされることになるため、ミトコンドリア配列がすべてブロックされた配列の第1の集団に含まれるべきというわけではない。
同様に、いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は、哺乳類のDNA配列を含む。しかしながら、いくつかの哺乳類配列は病原微生物の配列と実質的に類似している。したがって、そのような病原微生物配列もブロックされることになるため、哺乳類配列がすべて第1の核酸集団に含まれるべきというわけではない。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%又は50%は、哺乳類ミトコンドリアDNA配列をブロックすることになる。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%未満が哺乳類ミトコンドリアDNA配列をブロックすることになる。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%又は50%が哺乳類DNA配列をブロックすることになる。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%未満が哺乳類DNA配列をブロックすることになる。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%又は50%が、哺乳類ミトコンドリアDNA配列及び/又は哺乳類DNA配列をブロックすることになる。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%未満が、哺乳類ミトコンドリアDNA配列及び/又は哺乳類DNA配列をブロックすることになる。
病原微生物。
いくつかの態様において、本発明は、核酸の少なくとも2つの集団を含む混合試料の増幅によって生成されたDNAの増幅試料における核酸(例、微生物、細菌、又は非宿主)DNAの第2の集団の富化のための改善された方法を提供する。
本発明のいくつかの実施形態では、微生物は細菌である。細菌は通常、健康な哺乳類に存在するが、細菌と哺乳類宿主との間の正常なバランスの乱れ、又は宿主内の異常な細菌又は病原細菌の存在が感染につながる可能性がある。
Staphylococcus aureus(S.aureus)は、通常人体に存在する細菌であり、鼻、気道、及び皮膚で頻繁に見出される。S.aureusは常に病原性があるわけではないが、膿瘍を含む皮膚感染症、呼吸器感染症、及び食中毒の一般的な原因である。S.aureus感染症の一般的な処置方法は抗生物質の使用であるが、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)やバンコマイシン耐性S.aureus(VRSA)などのS.aureusの抗生物質耐性株の出現は、世界的な健康上の臨床的課題となっている。
Staphylococcus epidermidis(S.epidermidis)は、通常人体に存在する細菌であり、皮膚で頻繁に見出される。S.epidermidisは一般的に病原性ではないが、免疫系が損なわれた対象にはS.epidermidis感染症を発症するリスクがあり、S.epidermidisはプラスチック製の表面で増殖して人体に広がる可能性があるため、外科的移植片(surgical implant)を有する対象に対し特定の脅威をもたらす。S.epidermidis株は、リファマイシン、フルオロキノロン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、及びスルホンアミドなどの抗生物質に耐性を示すことが多い。
Streptococcus agalactiae(S.agalactiae)は、一般的に病原性ではない細菌であり、消化管及び泌尿生殖器管で見出される率はヒトの場合その30%にも達し得る。S.agalactiaeによる病原性感染症は、新生児及び免疫無防備状態の個体にとっては懸念事項である。成人のS.agalactiae感染症は生命を脅かす可能性があり、菌血症、軟部組織感染症、骨髄炎、心内膜炎、及び髄膜炎が含まれる。S.agalactiaeは、クリンダマイシンとエリスロマイシンに対する耐性が高まっている。
Enterococcus faecalis(E.faecalis)は、ヒトや他の哺乳類の消化管に生息する細菌である。しかしながら、E.faecalisは心内膜炎、敗血症、尿路感染症、及び髄膜炎を引き起こす可能性がある。E.faecalis感染症は、特にE.faecalisがゲンタマイシンとバンコマイシンによる処置に耐性がある場合、生命を脅かす可能性がある。
Enterococcus faecium(E.faecium)は、ヒトや他の哺乳類の消化管に生息する細菌であるが、病原性でもあり、髄膜炎や心内膜炎などの疾患を引き起こす可能性がある。E.faecium感染症は、特にE.faeciumがバンコマイシンによる処置に耐性がある場合、生命を脅かす可能性がある。
Escherichia coli(E.coli)は、ヒトや他の哺乳類の消化管に生息する細菌であるが、病原性である可能性もあり、胃腸炎、尿路感染症、新生児髄膜炎、出血性大腸炎、及び菌血症などの状態をもたらす可能性がある。E.coliは、フルオロキノロン、セファロスポリン、及びカルバペネムなどの複数の抗生物質に対する耐性が高まっている。
Klebsiella pneumoniae(K.pneumoniae)は、ヒトや他の哺乳類の口、皮膚、及び腸に通常見られる細菌である。しかしながら、吸入すると、ヒトや哺乳類の肺、特に肺胞に破壊的な変化を引き起こす可能性がある。K.pneumoniae感染症は一般に、糖尿病、アルコール依存症、がん、肝疾患、慢性閉塞性肺疾患、糖質コルチコイド療法、及び腎不全の対象を含む、免疫系が損なわれた対象に見られる。K.pneumoniaeは、フルオロキノロン、セファロスポリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カルバペネム、及びトリメトプリム/スルファメトキサゾールなどの複数の抗生物質に対する耐性が高まっている。
いくつかの実施形態では、微生物は病原微生物である。いくつかの実施形態では、微生物は細菌である。いくつかの実施形態では、細菌は菌血症と関連している。いくつかの実施形態において、細菌は、S.aureus、S.epidermidis、S.agalactiae,E.faecalis,E.faecium,E.coli、K.pneumoniae、又は臨床感染に関連する他の細菌種である。
哺乳類のDNA。
細菌と哺乳類のDNAの物理的組成は異なるが、両方とも同じ基本的な遺伝コードを利用している。例えば、細菌のDNAは、核やミトコンドリア内ではなく、細胞の細胞質に自由に浮遊した状態で見出され、ヒストンタンパク質に拘束されておらず、反復配列がほとんどなく、形状が直線的ではなく円形である。これら及びその他の違いを利用して、細菌DNAを哺乳類DNAから分離することができる。
哺乳類細胞は、「哺乳類ミトコンドリアDNA」として知られる核DNAとは別の追加のゲノムを含む。ミトコンドリアDNAは、ミトコンドリア内の小さな環状の二本鎖DNA分子で、多数のミトコンドリアタンパク質をコードする遺伝子が含まれている。ミトコンドリアDNAは哺乳類の核及び細菌のDNAとは異なり、細菌よりも反復配列が多いが、哺乳類の核DNAよりは少ない。各哺乳類細胞には、染色体のわずか2〜4個の完全なセットと比較して、約100個のミトコンドリアDNA分子が含まれている。
いくつかの実施形態において、本明細書の改善された方法で処理された混合試料では、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)で少なくとも50%の減少がある。いくつかの実施形態において、本発明の改良された方法で処理された混合試料中の第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)では、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.99%の減少がある。いくつかの実施形態において、本発明の改善された方法で処理された試料中のミトコンドリアDNAでは90%〜99.99%の減少がある。いくつかの実施形態では、ミトコンドリアDNAの少なくとも90%の減少がある。いくつかの実施形態では、本発明の改善された方法で処理された試料における第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)において、90%の減少、90.5%の減少、91%の減少、91.5%の減少、92%の減少、92.5%の減少、93%の減少、93.5%の減少、94%の減少、94.5%の減少、95%の減少、95.5%の減少、96%の減少、96.5%の減少、97%の減少、97.5%の減少、98%の減少、98.5%の減少、99%の減少、又は99.5%の減少がある。
混合試料。
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも2つの核酸集団の混合試料中の第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)を富化するための改善された方法を提供する。本明細書で使用される場合、「富化」は、少なくとも2つのDNA集団を含む混合試料中における第2の集団(例、哺乳類DNA)に対する1つのDNA集団(例、微生物DNA)の増加を指す。本明細書で使用される場合、「混合試料」は、少なくとも2つの異なる供給源からのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料は、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)及び第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)を含む。本明細書で使用される場合、「宿主DNA」は哺乳類に由来するDNAを指し、「非宿主DNA」は微生物に由来するDNAを指す。いくつかの実施形態において、混合試料は、哺乳類及び非哺乳類のDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料は、哺乳類ミトコンドリアDNA及び微生物DNAを含む。
少なくとも1つの微生物DNA集団と少なくとも1つの哺乳類DNA集団を含む混合試料は、感染した対象から入手される。混合試料に存在する微生物種の迅速な同定は、適切な抗菌剤で感染を処置するために重要である。近年出現している抗生物質耐性菌株の数を考えると、これは細菌感染では特に重要である。存在する微生物種を同定し、適切な抗菌剤で処置することにより、感染の期間と重症度を軽減し、恐らくは死を防ぐことができる。
いくつかの実施形態において、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)及び第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)の混合試料は、ヒト及び/又は他の真核生物起源の、血液、痰、尿、粘液、唾液、組織膿瘍、創部ドレナージ、便、リンパ、洗浄液、脳脊髄液、又は流体吸引物若しくは組織抽出物から得られるか、又はそれらに由来する。いくつかの実施形態では、混合試料は微生物及び哺乳類のDNAを含む。いくつかの実施形態では、微生物及び哺乳類のDNAの混合試料は血液である。
いくつかの実施形態において、混合試料は、1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAを含む。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。いくつかの実施形態において、混合試料中には1ミリリットルあたり10〜10の微生物ゲノムからのDNAが存在する。
いくつかの実施形態では、混合試料は、ヒト対象から得られるか又はそれに由来する。
核酸増幅。
本発明は、核酸集団を増幅する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「増幅」は、核酸の集団を増加させるプロセスを指す。核酸集団の増幅は一般に、核酸の供給源(例、哺乳類DNA、微生物DNA)の同定の前に行われる。当技術分野で既知の核酸増幅技術の非限定的な例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、縮重オリゴヌクレオチドPCR、プライマー伸長前増幅、鎖置換増幅(SDA)、又は転写媒介性増幅(TMA)が含まれる。
前述の方法のいずれかによる1つの核酸集団の増幅には、プライマーとポリメラーゼが必要である。本明細書中で使用される場合、「プライマー」は、増幅されるべき核酸の集団における配列に相補的であるオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、「相補的」は、ヌクレオチド配列が別のヌクレオチド配列と塩基対合できることを指す。塩基対合は、ワトソン・クリック塩基対合、フーグスティーン塩基対合、または当技術分野で既知の塩基対合の他の任意の方法によるものであり得る。本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」は、プライマーを伸長することにより、DNA及びRNAを含む核酸の長い伸長部を合成する酵素である。ポリメラーゼは、核酸合成のテンプレートとして既存の核酸鎖を利用し、典型的には、ワトソン・クリック塩基対合を使用して、成長する核酸鎖に付加する正しいヌクレオチドを選択するもので、アデニン(A)はチミン(T)と対合し、Aはウラシル(U)と対合し、及びシトシン(C)はグアノシン(G)と対合する。ポリメラーゼの非限定的な例には、ポリメラーゼアルファ、ポリメラーゼデルタ、及びポリメラーゼイプシロンなどの真核生物のポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)、Deep Vent、及びTherminatorなどの細菌のポリメラーゼ、RNAポリメラーゼI及びRNAポリメラーゼIIなどのRNAポリメラーゼ、並びに;鎖置換型ポリメラーゼが含まれる。
本明細書中で使用される場合、「鎖置換型ポリメラーゼ」は、プライマーテンプレートを伸長するときに、DNA二重らせんの鎖を分離する酵素をいう。いくつかの実施形態において、鎖置換ポリメラーゼは、phi29ポリメラーゼ;Bst DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標);Bsu DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標);Deep Vent DNAポリメラーゼ(登録商標);Deep Vent(exo)DNAポリメラーゼ(登録商標);クレノウフラグメント;DNAポリメラーゼI、ラージフラグメント;M−MuLV逆転写酵素;Therminator DNAポリメラーゼ(登録商標);Vent DNAポリメラーゼ(登録商標);Vent(exo)DNAポリメラーゼ(登録商標);及びSDポリメラーゼからなる群から選択される。本明細書中で使用される場合、「phi29」は、Bacillus subtilisファージphi29からの複製ポリメラーゼを指す。phi29ポリメラーゼは、並外れた鎖置換とプロセッシブな合成特性、及び固有の3’→5’エキソヌクレアーゼ校正能を備えている。
いくつかの態様において、本発明は、混合試料中の核酸の1つの集団の選択的増幅のための方法を提供する。「選択的増幅」とは、別の核酸集団と比べて、ある核酸集団の方を増幅することを指す。混合試料における選択的核酸増幅の非限定的な方法には、ヌクレアーゼによるDNA試料の消化、及び核酸の1つの集団の増幅の阻害が含まれる。
いくつかの実施形態において、混合試料における核酸の1つの集団の選択的増幅は、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)と比べて第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主DNA)でより頻繁に見出される配列を利用する。いくつかの実施形態では、第1の核酸集団は、哺乳類のDNA配列を含む。これらの哺乳類のDNA配列は、核及び/又はミトコンドリアのDNA配列であり得る。いくつかの実施形態では、哺乳類DNA配列は、哺乳類ミトコンドリアDNAで見出される。いくつかの実施形態では、哺乳類DNA配列は、哺乳類核DNAで見出される。
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも2つの核酸集団を含む混合試料中において第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)を増幅する改善された方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1の核酸集団は哺乳類DNAであり、第2の核酸集団は微生物DNAである。いくつかの実施形態では、微生物DNAの増幅は、本発明の改善された方法で処理されていない試料と比較して、10倍〜100倍に増加している。いくつかの実施形態では、微生物DNAの増幅は、本発明の改善された方法で処理されていない試料と比較して、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、又は100倍といった増加である。いくつかの実施形態では、微生物DNAの増幅は、本発明の改善された方法で処理されていない試料と比較して、少なくとも10倍といった増加である。いくつかの実施形態では、微生物DNAの増幅は、本発明の改善された方法で処理されていない試料と比較して100倍未満の増加である。
いくつかの実施形態において、増幅は、phi29ポリメラーゼ;Bst DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標);Bsu DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント(商標);Deep Vent DNAポリメラーゼ(登録商標);Deep Vent(Exo)DNAポリメラーゼ(登録商標);クレノウフラグメント;DNAポリメラーゼI、ラージフラグメント;M−MuLV逆転写酵素;Therminator DNAポリメラーゼ(登録商標);Vent DNAポリメラーゼ(登録商標);Vent(exo)DNAポリメラーゼ(登録商標);及びSDポリメラーゼを含む群から選択される鎖置換型ポリメラーゼを用いて行われる。いくつかの実施形態において、増幅は、phi29ポリメラーゼによるものである。
いくつかの実施形態では、核酸増幅は全ゲノム増幅(WGA)である。1992年に始まって以来、縮重オリゴヌクレオチドプライムポリメラーゼ連鎖反応(DOP−PCR)、多重置換増幅(MDA)、及び複数アニーリングとループベース増幅サイクル(MALBAC)[3]を含む、WGAへの異なる斬新なアプローチが開発されてきた。phi29 DNAポリメラーゼによるMDAは、phi29鎖がDNA合成中に遭遇する二本鎖DNAを置換する等温増幅を利用するため、推奨される方法となっている。
phi29によるWGAの重要な態様は、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチドを使用して、すべての可能なゲノム配列を増幅することである。これは不偏DNA増幅アプローチにとって重要であるが、ランダムヘキサマーの使用は、望ましくないヒト核酸汚染のためにヒト生物試料から単離された病原微生物DNAの試料を扱う際の負担となる。ヒトゲノムは平均的な微生物ゲノムの約1,000倍であり、ヒト細胞よりもはるかに数が少ない病原微生物の配列決定を行う際に手ごわい課題を提示する。物理的及び化学的アプローチはヒト染色体DNAを枯渇させるのに部分的には効果的であるが、ヒトミトコンドリアDNA(mtDNA)の汚染は除去するのがより困難であることが証明されている[4]。環状の性質と1細胞あたりのmtDNAのコピー数が多いため、ミトコンドリアDNAの汚染は、配列決定されたすべてのリードの30%にも相当し得る。MDA中の生物試料からのmtDNA増幅の防止により、臨床的に重要な病原微生物の配列決定の効率が改善される。
ブロッキングオリゴヌクレオチド。
いくつかの実施形態において、本発明は、第2の核酸集団と比較して第1の核酸集団でより頻繁に出現する配列を含む6〜50のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、第2の核酸集団に対する第1の核酸集団における前記配列の相対出現率は少なくとも50である。本明細書で使用される場合、「相対出現率」とは、別の核酸集団と比べた場合の、ある配列が1つの核酸集団において出現する頻度を指す。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはブロッキングオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、「ブロッキングオリゴヌクレオチド」は、相補的ヌクレオチド配列に特異的に結合してその増幅を阻害するヌクレオチド塩基のポリマーを指す。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、アサシンブロッカーと相補的ヌクレオチド配列との間の鎖間架橋の形成により、相補的ヌクレオチド配列に結合し、その増幅を阻害するアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドである。
いくつかの実施形態において、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチド配列は、第1の核酸集団に相補的である。いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は、哺乳類DNA配列に由来する。いくつかの実施形態において、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、哺乳類核DNA配列に相補的である。いくつかの実施形態において、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、哺乳類ミトコンドリアDNA配列に相補的である。
本明細書で使用される場合、「鎖間架橋」は、DNA二重らせんの反対の鎖上のDNA塩基間の共有結合を指す。これらの架橋は安定しており、DNA鎖の分離をブロックし、それにより、架橋されたヌクレオチドが切除されるまで増幅をブロックする。架橋剤の非限定的な例には、ソラレン、シスプラチン、マイトマイシンC、アルデヒド、亜硝酸、及び活性酸素種が含まれる。本発明のいくつかの実施形態において、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、ターゲットとされるDNAの集団に架橋され、それにより増幅をブロックする。いくつかの実施形態において、鎖間架橋は、ソラレン化学基を含む修飾されたヌクレオチド塩基と、ターゲットとされるDNAの集団中の相補的ヌクレオチド塩基との間に形成される。
本明細書で使用される場合、「ソラレン」とは、5’−AT配列でDNAに挿入することによりDNA鎖間架橋を形成する天然化合物を指し、ソラレンはUVA照射の存在下でチミジンヌクレオチドと結合してチミジン付加物を形成する。DNA鎖間架橋剤として、ソラレンプラスUVA(PUVA)療法は、乾癬やある特定のタイプの皮膚がんを含む過剰増殖性皮膚障害の処置に利用される。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、相補的ヌクレオチド配列に結合してその増幅を阻害するウイング付きブロッカーである。本明細書で使用される場合、「ウイング付きブロッカー」は、ウイング付きブロッカーの5’末端及び3’末端での結合が欠如しているために相補的DNAに結合し、その増幅をブロックするオリゴヌクレオチドである。この5’末端及び3’末端における結合の欠如により、ポリメラーゼは2つの核酸鎖を結合及び分離することができなくなり、その結果増幅がブロックされる。
いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドはスペーサーを含む。スペーサーは、ポリメラーゼの結合を妨げるため、相補的核酸鎖の増幅をブロックする。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、又はC12スペーサーを含む。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドのスペーサーは、ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’末端からのDNA合成を妨げる。
いくつかの態様において、本発明は、(a)第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)との比較において1キロベースあたりの第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)内でより頻繁に観察される配列に相補的である少なくとも15の連続したヌクレオチド及び(b)相補的な配列に架橋する少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むブロッキングオリゴヌクレオチドを提供する。
いくつかの実施形態では、哺乳類ゲノムはミトコンドリアゲノムである。いくつかの実施形態では、細菌ゲノムは、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、及びKlebsiella pneumoniaeである。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、5’修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドはソラレンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは5’修飾ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)と比べて、1キロベースあたりの第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)内でより頻繁に観察される配列に相補的である少なくとも15の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)と比べて、1キロベースあたりの第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)内でより頻繁に観察される配列に相補的である少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、または少なくとも35の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸集団は哺乳類DNAであり、第2の核酸集団は微生物DNAである。
いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、少なくとも15ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、少なくとも16ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも18ヌクレオチド、少なくとも19ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも21ヌクレオチド、少なくとも22ヌクレオチド、少なくとも23ヌクレオチド、少なくとも24ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも26ヌクレオチド、少なくとも27ヌクレオチド、少なくとも28ヌクレオチド、少なくとも29ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも31ヌクレオチド、少なくとも32ヌクレオチド、少なくとも33ヌクレオチド、少なくとも34ヌクレオチド、少なくとも35ヌクレオチド、少なくとも36ヌクレオチド、少なくとも37ヌクレオチド、少なくとも38ヌクレオチド、少なくとも39ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも41ヌクレオチド、少なくとも42ヌクレオチド、少なくとも43ヌクレオチド、少なくとも44ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも46ヌクレオチド、少なくとも47ヌクレオチド、少なくとも48ヌクレオチド、少なくとも49ヌクレオチド、又は少なくとも50ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、15〜50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、50ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、20〜50のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、15〜35のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、15〜25のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも50%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも55%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも60%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも65%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも70%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも75%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも80%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも85%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも90%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも95%相補的である。いくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主核酸)でより頻繁に観察される配列に少なくとも99%相補的である。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜配列番号16に示される配列を含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、配列番号17〜配列番号32に示される配列に相補的である。
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、5’末端にウイング付きブロッカーを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’末端にウイング付きブロッカーを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、5’末端及び3’末端にウイング付きブロッカーを含む。いくつかの実施形態において、ウイング付きブロッカーは、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主ゲノム)に相補的ではない5〜15のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ウイング付きブロッカーは、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、又は15ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ウイング付きブロッカーは、8〜15のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ウイング付きブロッカーは、5〜10のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)に架橋させる鎖間架橋剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は光活性化される。いくつかの実施形態では、架橋剤はソラレンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸集団は哺乳類DNAである。いくつかの実施形態では、哺乳類DNAはミトコンドリアDNAである。
いくつかの実施形態において、本発明は、第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)と第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)の混合試料の増幅によって生成されたDNAの増幅試料における第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主DNA)の富化のための改善された方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1の核酸集団は哺乳類DNAであり、第2の核酸集団は微生物DNAである。いくつかの実施形態において、哺乳類DNAの増幅は、混合試料に、混合試料中の少なくとも1つの哺乳類DNAに特異的に結合し、その哺乳類DNAの増幅を抑制する少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチドを加えることによって抑制される。いくつかの実施形態において、前記改善された方法は、哺乳類ゲノム全体にほぼ等しく分布している少なくとも2つのブロッキングオリゴヌクレオチドのセットを混合試料に加えることを含む。いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドのセットは、2〜10のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、哺乳類DNAは哺乳類ミトコンドリアDNAである。
いくつかの態様において、本発明は、a)第2の核酸集団(例、微生物、細菌、又は非宿主)との比較において1キロベースあたりの第1の核酸集団(例、哺乳類、ミトコンドリア、又は宿主)内でより頻繁に観察される配列に相補的である少なくとも15の連続したヌクレオチド及び(b)相補的な配列に架橋する少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド及び鎖間架橋剤を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、2〜10のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、本発明は、組成物及び鎖置換型ポリメラーゼを含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、鎖置換型ポリメラーゼはphi29ポリメラーゼである。
医学的状態及び処置。
本発明の方法及びオリゴヌクレオチドは、病原微生物による感染を含む医学的状態の診断及び処置に使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の方法及びオリゴヌクレオチドは、対象において感染を引き起こす病原微生物(複数可)を同定するために使用される。病原微生物(複数可)は、細菌、ウイルス、真菌、原生生物、又は酵母であり得る。本発明の方法は、混合試料における哺乳類DNAの増幅の抑制を実現させる。いくつかの実施形態において、混合試料は、対象からの臨床試料であり、必要に応じて前記臨床試料は、ヒト及び/又は他の真核生物起源の、血液、痰、血液、痰、尿、粘液、唾液、組織膿瘍、創部ドレナージ、便、リンパ、洗浄液、脳脊髄液、又は流体吸引物若しくは組織抽出物である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法及びオリゴヌクレオチドは、以下から選択される病原微生物を同定するために使用される:Achromobacter spp.、Acinetobacter calcoaceticus/baumannii complex、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter junii、Acinetobacter radioresistens、Acinetobacter ursingii、Acinetobacter lwoffii、Actinomyces israelii、Actinomyces meyeri、Actinomyces naeslundii、Actinomyces neuii、Actinomyces odontolyticus、Actinomyces pyogenes、Actinomyces viscosus、Aerococcus urinae、Aerococcus viridans、Aeromonas spp.、Alcaligenes faecalis、Alcaligenes xylosoxidans、Alpha hemolytic streptococcus、Arcanobacterium haemolyticum、Aspergillus spp.、Bacillus spp.、Bacteriodes fragilis、Bartonella Quintana、Blastocystis hominis、Bordetella spp.、Borrelia spp.、Brevundimonas diminuta、Brevundimonas vesicularis Brucella spp.、Burkholderia spp.、Burkholderia cepacia、Burkholderia cepacia complex、Burkholderia gladioli、Burkholderia multivorans、Burkholderia pseudomallei、Burkholderia vietnamiensis、Campylobacter spp.、Cedecea davisae、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia psittaci、Chlamydia trachomatis、Chryseobacterium indologenes、Citrobacter spp.、Citrobacter amalonaticus、Citrobacter farmer、Citrobacter freundii complex、Citrobacter koseri、Citrobacter sedlakii、Clostridium botulinum、 Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Coagulase negative staphylococcus、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium pseudotuberculosis、Corynebacterium ulcerans、Coxiella spp.、Cronobacter sakazakii、Delftia acidovorans、Dermabacter hominis、Edwardsiella tarda、Ehrlichia spp.、Eikenella corrodens、Enterobacter spp.、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cancerogenus、Enterobacter cloacae complex、Enterobius vermicularis、Enterococcus spp.、Enterococcus avium、Enterococcus casseliflavus、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarum、Enterococcus hirae、Enterococcus raffinosus、Escherichia coli、Francisella spp.、Fusarium spp.、Gemella spp.、Granulicatella adiacens、Group A streptococcus、Group B salmonella、Group B streptococcus、Group C1 salmonella、Group C2 salmonella、Group C streptococcus、Group D salmonella、Group G salmonella、Group G streptococcus、Haemophilus influenza、Haemophilus parainfluenzae、Hafnia alvei、Helicobacter spp.、Kingella kingae、Klebsiella spp.、Klebsiella granulomatis、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Kluyvera spp.、Kocuria kristinae、Lactobacillus spp.、Leclercia adecarboxylata、Legionella pneumophila、Leishmania spp.、Leptospira spp.、Leuconostoc pseudomesenteroides、Listeria monocytogenes、Micrococcus luteus、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Mycobacterium abscessus、Mycobacterium chimaera、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma genitalium、Mycoplasma pneumoniae、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Nocardia spp.、Ochrobactrum anthropic、Orientia tsutsugamushi、Pandoraea spp.、Pantoea spp.、Pantoea agglomerans、Paracoccus yeei、Pasteurella canis、Pasteurella multocida、Pediococcus、Peptostreptococcus、Plesiomonas shigelloides、Prevotella spp.、Propionibacterium spp.、Propionibacterium acnes、Proteus spp.、Proteus mirabilis、Proteus penneri、Proteus vulgaris、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Pseudomonas spp.、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas putida、Pseudomonas stutzeri、Rahnella aquatilis、Ralstonia spp.、Raoultella spp.、Raoultella ornithinolytica、Raoultella planticola、Rickettsia prowazekii、Rickettsia typhi、Roseomonas gilardii、Rothia mucilaginosa、Salmonella spp.、Scedosporium spp.、Serratia spp.、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratia marcescens、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Sphingobacterium spp.、Staphylococcus aureus、Staphylococcus auricularis、Staphylococcus capitis、Staphylococcus caprae、Staphylococcus cohnii、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus pasteuri、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus simulans、Staphylococcus warneri、Stenotrophomonas maltophilia、Streptococcus spp.、Streptococcus agalactiae、Streptococcus anginosus、Streptococcus canis、Streptococcus constellatus、Streptococcus dysgalactiae、Streptococcus intermedius、Streptococcus parasanguinis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pseudopneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus salivarius、Streptococcus sanguinis、Streptococcus vestibularis、Treponema spp.、Trichophyton spp.、Trichosporon asahii、Trueperella bernardiae、Tsukamurella tyrosinosolvens、Ureaplasma spp.、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Weissella confuse、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yokenella regensburgei、Aspergillus fumigatus、Candida albicans、Candida auris、Candida dubliniensis、Candida glabrata、Candida krusei、Candida lusitaniae、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis、Penicillium、Fusarium、Microsporum spp.、Mucormycosis、Histoplasma、Blastomyces、Coccidioides、Trichophyton、Trichosporon spp.、Microsporum、Pneumocystis jiroveci、Epidermophyton、Curvularia、Saccharomyces、Sporothrix、Microsporidia、アデノウイルス、アルファウイルス、アルボウイルス、アストロウイルス、ボカウイルス、ブニヤウイルス、チクングニアウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス

、デング、エコーウイルス、エボラ、エンテロウイルス、エプスタイン−バールウイルス、フラビウイルス科、口蹄疫ウイルス、ハンタウイルス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒトヘルペスウイルス8、ヒト免疫不全ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス、インフルエンザ、ラッサウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、メタニューモウイルス、モルシポックスウイルス、モルビリウイルス、ムンプス、ニパウイルス、ノロウイルス、パラインフルエンザ、パレコウイルス、パルボウイルスB19、ポリオウイルス、ポリオーマウイルス、ポックスウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、ルビウイルス、サポウイルス、トガウイルス科、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ウスツウイルス(Usutu virus)、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス、及びジカウイルス。
いくつかの実施形態において、本発明の方法及びオリゴヌクレオチドは、病原微生物感染の適切な処置を選択するために使用される。いくつかの実施形態では、臨床試料は、病原微生物感染を有するか、または有する疑いのある対象から得られる。いくつかの実施形態では、感染は菌血症である。いくつかの実施形態では、適切な処置は抗生物質による処置である。抗生物質の非限定的な例としては、バンコマイシン、バクテリウム、メチシリン、セフトビプロール、セフタロリン、ダルバカンシン、ダプトマイシン、フシジン酸、リネゾリド、ムピロシン、オリタバンシン、テジゾリド(tedzolid)、テラバンシン、テトラサイクリン、アモキシシリン、ペニシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、及びレボフロキサシンが含まれる。いくつかの実施形態では、感染はウイルス感染である。いくつかの実施形態では、適切な処置は抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤の非限定的な例には、アバカビル、アシクロビル、バラビル、シドフォビル、ダルナビル、エンテカビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、オステラミビル、ペンシクロビル、及びザルシタビンが含まれる。いくつかの実施形態では、感染は真菌感染である。いくつかの実施形態では、適切な処置は抗真菌剤である。抗真菌剤の非限定的な例には、アンフォテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール(isoconzaole)、及びアニデュラファンギンが含まれる。
以下の実施例により、本発明のある特定の実施形態を実証する。しかしながら、これらの実施例は、例示目的のみのためであり、本発明の条件及び範囲に関して完全に決定的であることを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではないことを理解されたい。実施例は、他に詳細に記載されている場合を除いて、当業者に周知で常用的でもある標準的な技術を使用して実施された。
実施例1
アサシンブロッカーDNAオリゴヌクレオチド配列の設計。
哺乳類DNA配列を含むDNA分子の第1の集団の増幅を抑制するために、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドは、微生物DNA集団よりも哺乳類DNA集団でより頻繁に出現するDNA配列に相補的になるように設計された。選択された哺乳類配列は、第1の集団にユニークなものであり、増幅されるべき第2のDNA集団との重複は最小限であった。
ヒトのミトコンドリアゲノムは小さく(約16.6 kb)、ヒト核ゲノムと細菌ゲノムの両方からのユニークなプラス鎖とマイナス鎖に分布した配列を含む。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドの配列は、細菌、真菌、及びウイルスのゲノムと比較して、ミトコンドリアゲノムでは1キロベース(kb)あたりの頻度が高い配列に相補的になるように設計された。細菌、真菌、及びウイルスのゲノムの非限定的な例には、以下が含まれる:Achromobacter spp.、Acinetobacter calcoaceticus/baumannii complex、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter junii、Acinetobacter radioresistens、Acinetobacter ursingii、Acinetobacter lwoffii、Actinomyces israelii、Actinomyces meyeri、Actinomyces naeslundii、Actinomyces neuii、Actinomyces odontolyticus、Actinomyces pyogenes、Actinomyces viscosus、Aerococcus urinae、Aerococcus viridans、Aeromonas spp.、Alcaligenes faecalis、Alcaligenes xylosoxidans、Alpha hemolytic streptococcus、Arcanobacterium haemolyticum、Aspergillus spp.、Bacillus spp.、Bacteriodes fragilis、Bartonella Quintana、Blastocystis hominis、Bordetella spp.、Borrelia spp.、Brevundimonas diminuta、Brevundimonas vesicularis Brucella spp.、Burkholderia spp.、Burkholderia cepacia、Burkholderia cepacia complex、Burkholderia gladioli、Burkholderia multivorans、Burkholderia pseudomallei、Burkholderia vietnamiensis、Campylobacter spp.、Cedecea davisae、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia psittaci、Chlamydia trachomatis、Chryseobacterium indologenes、Citrobacter spp.、Citrobacter amalonaticus、Citrobacter farmer、Citrobacter freundii complex、Citrobacter koseri、Citrobacter sedlakii、Clostridium botulinum、 Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Coagulase negative staphylococcus、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium pseudotuberculosis、Corynebacterium ulcerans、Coxiella spp.、Cronobacter sakazakii、Delftia acidovorans、Dermabacter hominis、Edwardsiella tarda、Ehrlichia spp.、Eikenella corrodens、Enterobacter spp.、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cancerogenus、Enterobacter cloacae complex、Enterobius vermicularis、Enterococcus spp.、Enterococcus avium、Enterococcus casseliflavus、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarum、Enterococcus hirae、Enterococcus raffinosus、Escherichia coli、Francisella spp.、Fusarium spp.、Gemella spp.、Granulicatella adiacens、Group A streptococcus、Group B salmonella、Group B streptococcus、Group C1 salmonella、Group C2 salmonella、Group C streptococcus、Group D salmonella、Group G salmonella、Group G streptococcus、Haemophilus influenza、Haemophilus parainfluenzae、Hafnia alvei、Helicobacter spp.、Kingella kingae、Klebsiella spp.、Klebsiella granulomatis、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Kluyvera spp.、Kocuria kristinae、Lactobacillus spp.、Leclercia adecarboxylata、Legionella pneumophila、Leishmania spp.、Leptospira spp.、Leuconostoc pseudomesenteroides、Listeria monocytogenes、Micrococcus luteus、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Mycobacterium abscessus、Mycobacterium chimaera、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Mycoplasma genitalium、Mycoplasma pneumoniae、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Nocardia spp.、Ochrobactrum anthropic、Orientia tsutsugamushi、Pandoraea spp.、Pantoea spp.、Pantoea agglomerans、Paracoccus yeei、Pasteurella canis、Pasteurella multocida、Pediococcus、Peptostreptococcus、Plesiomonas shigelloides、Prevotella spp.、Propionibacterium spp.、Propionibacterium acnes、Proteus spp.、Proteus mirabilis、Proteus penneri、Proteus vulgaris、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Pseudomonas spp.、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas putida、Pseudomonas stutzeri、Rahnella aquatilis、Ralstonia spp.、Raoultella spp.、Raoultella ornithinolytica、Raoultella planticola、Rickettsia prowazekii、Rickettsia typhi、Roseomonas gilardii、Rothia mucilaginosa、Salmonella spp.、Scedosporium spp.、Serratia spp.、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratia marcescens、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Sphingobacterium spp.、Staphylococcus aureus、Staphylococcus auricularis、Staphylococcus capitis、Staphylococcus caprae、Staphylococcus cohnii、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus pasteuri、Staphylococcus saccharolyticus、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus schleiferi、Staphylococcus simulans、Staphylococcus warneri、Stenotrophomonas maltophilia、Streptococcus spp.、Streptococcus agalactiae、Streptococcus anginosus、Streptococcus canis、Streptococcus constellatus、Streptococcus dysgalactiae、Streptococcus intermedius、Streptococcus parasanguinis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pseudopneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus salivarius、Streptococcus sanguinis、Streptococcus vestibularis、Treponema spp.、Trichophyton spp.、Trichosporon asahii、Trueperella bernardiae、Tsukamurella tyrosinosolvens、Ureaplasma spp.、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Weissella confuse、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yokenella regensburgei、Aspergillus fumigatus、Candida albicans、Candida auris、Candida dubliniensis、Candida glabrata、Candida krusei、Candida lusitaniae、Candida parapsilosis、Candida tropicalis、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis、Penicillium、Fusarium、Microsporum spp.、Mucormycosis、Histoplasma、Blastomyces、Coccidioides、Trichophyton、Trichosporon spp.、Microsporum、Pneumocystis jiroveci、Epidermophyton、

Curvularia、Saccharomyces、Sporothrix、Microsporidia、アデノウイルス、アルファウイルス、アルボウイルス、アストロウイルス、ボカウイルス、ブニヤウイルス、チクングニアウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、デング、エコーウイルス、エボラ、エンテロウイルス、エプスタイン−バールウイルス、フラビウイルス科、口蹄疫ウイルス、ハンタウイルス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒトヘルペスウイルス8、ヒト免疫不全ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、ヒトポリオーマウイルス、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス、インフルエンザ、ラッサウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、メタニューモウイルス、モルシポックスウイルス、モルビリウイルス、ムンプス、ニパウイルス、ノロウイルス、パラインフルエンザ、パレコウイルス、パルボウイルスB19、ポリオウイルス、ポリオーマウイルス、ポックスウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、ルビウイルス、サポウイルス、トガウイルス科、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ウスツウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱病ウイルス、及びジカウイルス。配列は、ミトコンドリアゲノムのプラス鎖とマイナス鎖の両方から1〜2キロベースごとに選択された。複数のアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを利用して、ミトコンドリアゲノム全体にほぼ均等に分布している配列に相補的であるようにすると、ヒトミトコンドリアDNA増幅をブロックする効果を最大限にすることもできる。また、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチド配列は、架橋を容易にするために、3’末端のTATAまたはATATで終結していた(下記の実施例2を参照)。
ヒトミトコンドリア配列の相対出現率の計算
増幅に対しブロックされるべきヒトミトコンドリアDNA配列への結合に関する所定のオリゴヌクレオチドの優先度は、微生物ゲノム(第2の集団)と比較したミトコンドリアゲノム(第1の集団)内の相補配列の相対出現率によって定量され得る。この計算では、TATAまたはATATで終結する23ヌクレオチド塩基(23マー)を含むヒトミトコンドリアゲノム内のすべての可能なオリゴヌクレオチドが分析される。23マーの3’末端にある最後の8ヌクレオチド(8マー)が分析で使用される。23ヌクレオチド配列は、微生物DNAゲノムと比較した場合、哺乳類ミトコンドリアDNAゲノムにユニークなものである。哺乳類ミトコンドリアDNAゲノムと比較して、微生物DNAゲノムでは8ヌクレオチド配列の頻度は低くなっている。所定のブロッキングオリゴヌクレオチドについてのヒトミトコンドリア配列の優先度または相対出現率は、次の式を使用して計算される:
相対出現率=[(ヒトミトコンドリアゲノムに8マーが出現する回数)/(ヒトミトコンドリアゲノムの長さ)]/[(参照細菌ゲノムに8マーが出現する回数)/(参照細菌ゲノムの長さ)]
この実施例では、特定のゲノムはヒトミトコンドリアDNA(第1の集団)であった。相対出現率を最高値から最低値に並べ替え、ヒトミトコンドリアの相対出現率の値が2より大きいユニークなオリゴヌクレオチド配列を選択した。ヒトミトコンドリアゲノムにおいて2キロベースごとに分布する配列に相補的であったオリゴヌクレオチド配列のセットを、さらなる試験に利用した。代表的なアサシンブロッカーオリゴヌクレオチド配列を表1に列挙する。
実施例2
アサシンブロッカーの相補配列への架橋
第1のDNA集団の増幅は、実施例1で設計されたアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを、ヒトミトコンドリアDNAの第1の集団におけるその相補配列に架橋させることによってブロックすることができる。この架橋は、phi29などの鎖置換型ポリメラーゼによる配列の全ゲノム増幅をブロックする(図2)。
3’アミノ基が修飾された凍結乾燥アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドを、実施例1の要領で設計し、購入した(Integrated DNA Technologies、アイオワ州コーラルビル)。凍結乾燥オリゴヌクレオチドをリン酸緩衝食塩水(1X PBS)に再懸濁し、NHS−SPB(スクシンイミジル−[4−(ソラレン−8−イルオキシ)]−ブチレート、「ソラレン」)分子(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)とコンジュゲートした。コンジュゲーション反応をTris−HClでクエンチし、過剰のソラレンを脱塩カラム(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)で除去した。コンジュゲートしたソラレン基を、UVA処理によって活性化し、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドと相補的ヒトミトコンドリアDNA配列との間に鎖間架橋を作成する。
実施例3
ターゲットDNAへのアサシンブロッカーの配列特異的共有結合架橋形成の実証
ターゲットDNAへのアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドの配列特異的共有結合による架橋形成を実証するために、ソラレンが3’末端にコンジュゲートした様々なアサシンブロッカーオリゴヌクレオチド、ターゲットオリゴヌクレオチド、及びオフターゲットオリゴヌクレオチドの反応混合物を、0.5 μMでの40 mM Tris HCl(pH 7.9)、50 mM NaCl、及び10 mM MgClから成るアニーリング緩衝液に添加した。反応混合物を94℃に5分間加熱し、15分かけて16℃に冷却した。次に、反応混合物を350 nmの紫外(UV)光で20分間処理した。反応混合物の生成物を、1X TBE緩衝液中の10%Tris−ホウ酸−EDTA(TBE)−尿素ゲルで分離した。ゲルをSYBR−ゴールド(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)で染色し、E−gel Imager(ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)で可視化した。(図3)。
ヒトミトコンドリアDNAの減少を、E.coli由来の微生物DNAとともにヒト核及びミトコンドリアDNAを含む混合試料から実証した(図5)。混合試料中の細胞を、REPLI−g Single Cellキット(Qiagen、ヒルデン、ドイツ)により記載された要領で、アルカリ溶解緩衝液で溶解し、次いで65℃に加熱した。ヒトミトコンドリアDNAをターゲットとするアサシンブロッカーオリゴヌクレオチド1μLを、1μM濃度で添加したもの(アサシンブロッカー+)、又はTBE緩衝液(アサシンブロッカー−)を溶解した試料に添加し、350 nmのUV光で20分間処理した。REPLI−g Single Cellキット(Qiagen、ヒルデン、ドイツ)により記載された要領で試料を増幅し、MinIONシーケンシング(Oxford Nanopore Technologies、オックスフォード、イギリス)で配列決定した。アサシンブロッカー+試料とアサシンブロッカー−試料の両方からのリードを、ヒトミトコンドリアDNAにマッピングし、ヒトミトコンドリアのリードの深度をグラフで表示する。
図5に示すように、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドでの処理により、ヒト核、ヒトミトコンドリア、及びE.coliの核酸を含む混合試料からのヒトミトコンドリアゲノム全体にわたる配列決定リードの有意な減少がもたらされる。
実施例4
アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドはヒトミトコンドリアDNA増幅を減少させる
アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドの使用による、ヒト核酸集団及び細菌核酸集団を含む混合試料におけるヒトミトコンドリアDNA増幅の減少を調べた。ヒト対象からの臨床血液試料(n=4)に、100コロニー形成単位/ミリリットル(100 CFU/mL)または10 CFU/mLで細菌(例、Escherichia coli、Staphylococcus aureus、又はKlebsiella pneumoniae)をスパイクした。UV光で活性化された場合のアサシンブロッキング(Assassin Blocking)オリゴヌクレオチドの使用により、UV光で架橋形成されていない対照試料と比較して、全リードのパーセンテージとして配列決定されたヒトミトコンドリアDNAの90%を超える減少がもたらされた(図4)。アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドが相補的ヒトミトコンドリア配列に架橋されている場合のヒトミトコンドリアDNA増幅の減少率は、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチドが架橋されていない対照試料と比較すると90%を超えていた。
実施例5
ウイング付きブロッカーDNAオリゴヌクレオチドの製造方法
以下の工程を使用して、増幅が望ましくない種のゲノム全体をブロックするウイング付きブロッカーオリゴヌクレオチドを生成した。ここに例を示す(図6):
1.)4マーの切断活性が異なる2つの制限酵素(例、MspIとMseI)を使用して、富化された宿主(例、哺乳類ミトコンドリア)ゲノムDNA(gDNA)を消化する。
2.)100 bp未満の消化されたgDNAフラグメントを除去する。
3.)制限酵素によって作製された平滑オーバーハングを補完するように設計されたウイング付きブロッカーオリゴヌクレオチドを、リガーゼを使用して前記消化されたgDNAフラグメントにライゲーションする。
4.)フォワードプライマーの5’末端がリン酸化されており、リバースプライマーの5’末端がビオチン化されている(またはラムダエキソヌクレアーゼ消化を防ぐために別のバルク修飾が含まれている)特注設計プライマーを使用して、プライマーがライゲーションした宿主gDNAをPCR増幅する。
5.)プライマーに適合した宿主DNAを消化し、ラムダエキソヌクレアーゼを使用して5’リン酸化鎖を分解する。
これにより、5’末端と3’末端の両方に20〜50塩基対の「ウイング」(宿主gDNAと非相補的な領域)が隣接する宿主gDNAの一部を含む一本鎖ブロッカーのライブラリーができる。これらのブロッカーは宿主ゲノム全体に広がる。
宿主ゲノムは、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール沈殿を利用して宿主細胞から精製されたが、当技術分野で知られている任意の方法を利用することができる。理想的には、DNAは、高分子量の染色体フラグメントを保持し、5,000塩基対より小さいDNAフラグメントを生じる過剰な剪断を回避する方法で抽出される。次に、MspI(R0106S、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)及びMseI(R0525L、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)による二重制限酵素消化を使用して、DNAを消化する。例えば、0.5μgのゲノムDNAを、5μLの10×最適化緩衝液と38.5μLのDNA不含有及びヌクレアーゼ不含有の水と混合する。この混合物に、0.5μLのMspIと1μLのMseIといった制限酵素を加え、ピペッティングして混合する。37℃で5〜15分間インキュベートした後、サイズ排除スピンカラムを使用して、前記制限酵素と生じた20塩基対未満の長さのフラグメントを、消化されたゲノムDNAから除去する。フィルターベースのカラムについては、消化されたDNA産物を大幅に失うことになるため、使用するべきではない。
個別に、GC末端アダプターとAT末端アダプターは、等体積の短いプライマーと長いプライマーを100μMの濃度で混合し、室温で10分間インキュベートすることによって作製される。0.02 pmolでの1μLの消化されたDNAを、0.5 pmolでの1μLのGC末端アダプター、0.5 pmolでの1μLのAT末端アダプター、2μLの水、及び5μLの5の2xInstant Sticky−end Ligase Master Mix(M0370、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)と混合する。ピペッティングで10回混合した後、末端適合させた断片化ゲノムDNAを氷上に置き、サイズ排除スピンカラムで再度浄化する。ダブルウイング付きの生成物が所望される場合は、次いで浄化した生成物に対し、P1及びP2プライマーを使用して、66℃のアニーリング温度で30〜35サイクル、PCR増幅を行い、取り込まれていないプライマーをサイズ排除スピンカラムで除去する。シングルウイング付きの生成物が所望される場合、浄化した生成物に対し、P1プライマーと組み合わせて、酵素開裂されたフラグメント内にあると計算上で決定された特定の配列に結合する特別設計された、好ましくはPCR産物の長さを最大限にするように設計されたプライマーを使用して、PCR増幅を行う。
これらのアダプター配列には、それらのh形状以外に特別なものはないことに注意することは重要である。当業者であれば、本明細書に記載されるものと類似した、任意のh形状アダプター配列でも、本発明の方法によって使用され得ることを認識するはずである。
生成された二本鎖PCR産物は、次いで一本鎖産物に変換されなければならない。一本鎖産物は、大きな比率を占める相補的なDNA鎖に結合するブロッカーである。二本鎖DNAから一本鎖DNAへの変換は、所望の鎖を選択的に増幅する非対称PCR、不要な鎖のラムダエキソヌクレアーゼ消化、鎖のストレプトアビジンビーズ分離、及びインビトロ転写など、限定されるわけではないが、いくつかのプロセスを使用して達成され得る(Murghaら、PLoS One、2014)。ここでは、最初の3つの方法について説明する。
A)非対称PCRを使用する場合の増幅プライマー配列
非対称PCRでは、一本鎖の増幅を促進するために、等しくない濃度のプライマーを使用する。この実施例の工程4で説明したPCR反応では、図6の工程4に示すようにP1及びP2プライマーを使用してブロッカーが増幅されるが、この反応を、P1:P2プライマー投入の比率が1:10から1:50になるように変更する。非特異的な増幅を回避するために、PCRサイクルの数を15〜20サイクルに減らさなければならない。結果として得られる非対称PCR産物を、長さが20塩基対未満のフラグメントを排除する同じサイズ排除スピンカラムを使用して精製する。
B)ラムダエキソヌクレアーゼ消化を使用する場合の増幅プライマー配列
代替アプローチでは、ラムダエキソヌクレアーゼ酵素を使用して、不要なDNA鎖を優先的に分解する。ラムダエキソヌクレアーゼは、5’リン酸化二本鎖DNAの好ましい基質を有し、5’から3’の方向で作用する。その高い処理能力により、DNAフラグメント内で鎖全体が確実に分解される。ラムダエキソヌクレアーゼ消化に適した二本鎖DNAを調製するには、P1増幅プライマーを5’リン酸基で修飾しなければならず、これは、Integrated DNA Technologies、Inc.(アイオワ州コーラルビル)などの商業的製造業者から入手され得る。次いで、5’−リン酸化P1増幅プライマーを、非リン酸化P2増幅プライマーと組み合わせて記載されているPCR反応で使用する。30〜35サイクルの増幅とサイズベースのカラム精製の後、3μLの精製産物を、0.5μLのラムダエキソヌクレアーゼ(M0262、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)、1μLの10×エキソヌクレアーゼI緩衝液、及び5.5μLのDNA及びヌクレアーゼ不含有の水と37℃で60分間インキュベートする。前記生成物はサイズ排除カラム(例、CentriSpin 20、Princeton Separations、Inc.、ニュージャージー州ウフリーホールド)で浄化され、この直後にウイング付きブロッカープローブとして使用することができる。
C)ストレプトアビジンビーズ分離を使用する場合の増幅プライマー配列
次の工程では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ(例、Dynabeads(商標)MyOne(商標)Streptavidin C1、ThermoFisher、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、所望のブロッカーをその相補鎖から分離する。ストレプトアビジンビーズ分離に適した二本鎖DNAを調製するには、P1増幅プライマーを5’ビオチン基で修飾しなければならず、これは、Integrated DNA Technologies、Inc.(アイオワ州コーラルビル)などの商業的製造業者から入手され得る。次いで、5’−ビオチン化P1増幅プライマーを、図6、工程4に示し、実施例5、工程4に示すPCR反応で、非ビオチン化P2増幅プライマーと組み合わせて使用し、その後30〜35サイクルの増幅及びサイズベースのカラム精製を行う。磁気ビーズを、製造業者の指示に従って洗浄し、次いでPCR増幅産物を、洗浄されたビーズとともに、緩やかに攪拌しながら室温で15〜30分間インキュベートする。次いで、ビーズ−DNAの混合物を2〜3分間マグネット中に入れ、上清を捨て、ビーズを洗浄緩衝液で3〜4回洗浄する。次いで、50μLのビーズ−DNA混合物と40μLの0.125 M水酸化ナトリウムを室温で2分間、2回連続してインキュベートすることにより、所望のブロッカー鎖を、磁気ビーズに結合している相補鎖から変性させる(Murghaら、PLoS One、2014)。洗浄液の上清(合計約80μL)を合わせ、12μLの1 M HClと8μLの1 M Tris−HCl pH 8で中和する。生成物をサイズ排除カラム(例、CentriSpin 20、Princeton Separations、Inc.、ニュージャージー州フリーホールド)で浄化し、この直後にブロッカープローブとして使用し得る。
実施例6
Hアダプターを使用して一本鎖ウイング付きブロッカーを作成する方法
ここでは、ヒトゲノムDNAからのポリメラーゼによる伸長をブロックするためのウイングを有する一本鎖ブロッカーを作製する方法について記載する。まず、ヒトDNAの確定的フラグメントは、オーバーハングを伴う異なるパリンドローム部位を消化する2つの制限酵素で、ヒト細胞から抽出したDNAを消化することによって生成される。前記部位を、本明細書では「部位A」及び「部位B」と称す。次いで、「hアダプター」及びDNAリガーゼとインキュベートする。2つのhアダプターAとBがあり、それぞれ部位Aと部位Bにマッチしている。h−アダプターはそれぞれ、例えば6〜30ヌクレオチドを含む一対の相補的オリゴヌクレオチドを含む。前記対の一方の鎖は、他方の鎖より長い。A hアダプターはA制限部位にライゲーションし、B hアダプターはBアダプターにライゲーションする。次いで、長いAアダプター鎖に相補的な1つのPCRプライマー(プライマーA)と、Bアダプター鎖と同じ配向の1つのプライマー(プライマーB)を使用して、混合物を増幅する。各制限部位の1つを含むフラグメントのみが増幅され得る。増幅後、各二本鎖アンプリコンは、いずれの場合にも5’末端に、正確にプライマーAを含む1本の鎖とプライマーBを含む1本の鎖を有する。これらを使用して、いずれか一方の鎖を優先的にプルダウンまたは破壊し、一本鎖DNAを残すことができる。例えば、プライマーAに5’リン酸基を付加し、アンプリコンを、リン酸化DNAを破壊する酵素で消化し得る。このプロセスは、図6に概略的に示されている。別法として、制限消化を1つだけ実行すると、両端のみに基づいて2つの鎖を区別不可能にする対称性を持つフラグメントが生じることになる。同様に、二重消化を行うが、次いで完全二本鎖アダプターでライゲーションした場合、得られるフラグメントは区別できるが、PCRは3つすべての組み合わせの増幅を生じさせることになる(図6を参照)。
実施例7
ウイング付きブロッカーを使用して大きな比率を占める集団の核酸の増幅を防ぐ方法
以下の工程を使用して、ウイング付きブロッカーを適用し、大きな比率を占める集団のゲノム核酸の増幅を妨げたが、これは、DNAブロッカーの場合について例示されている(図7)。
1.占める比率の大きい集団及び占める比率の小さい集団からのゲノムDNAの混合物を、1,000〜15,000塩基対のフラグメントに断片化する。
2.断片化されたgDNAを、実施例5で製造された大きな比率を占める集団のDNAブロッカーと、室温から70℃までで5分間から一晩までインキュベートする。
3.断片化したgDNA、ランダムヘキサマープライマー、及び長いアンプリコン用に最適化された高忠実度ポリメラーゼ(例、LongAmp Taq、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)を用いてPCR増幅を実行する。
PCR反応は、非鎖置換型ポリメラーゼで実行され得る。例えば、25μLの反応体積でPhusion High Fidelityポリメラーゼ(M0530、New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)を使用する場合、マスター・ミックスには、5μLの5× Phusion High Fidelity Buffer(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)、10mMで0.5μLのdNTP、0.75μLのDMSO、及び0.25μLのPhusionポリメラーゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)が含まれる。6.5μLのMaster Mix(マスター・ミックス)(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)を、混合ゲノムDNA溶液及び一本鎖ブロッカーと組み合わせることができる。例えば、図8は、6.5μLのマスター・ミックス、1μLの1 ng/μLでのE.coliDNA(約200,000のE.coliゲノムコピーに相当)、1μLの0.05 ng/μLでのM13mp18 RF IバクテリオファージDNA(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプスウィッチ)(約650万ゲノムコピーに相当)を、細菌性16SリボソームRNA遺伝子配列に特異的なフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにM13バクテリオファージゲノムに特異的なフォワードプライマー及びリバースプライマーの存在下/非存在下で組み合わせることにより生成された。実施例5によって生成された一本鎖M13バクテリオファージブロッカーを用いて、反応体積を25μLまでひき上げた。わずかに変更されたPCR増幅手順を使用して、混合物に対しPCR増幅を行った。最初の改変として、M13バクテリオファージブロッカー濃度が目的の遺伝子領域の指数関数的増幅後でも適切なブロッキングをもたらすのに十分であることを確実にするために実行されたのはわずか20サイクルの増幅であった。2つ目の改変としては、伸長温度を68℃に下げて、ポリメラーゼの処理能力を損なうことなくブロッカーアンプリコンハイブリダイゼーションの熱力学的安定性を最適化することであった。PCRプログラムは、98℃で30秒間の初回変性、続いて98℃で10秒間の変性20サイクル、65℃で20秒間のアニーリング、68℃で30秒間の伸長、そして 72℃で10分間の最終伸長を使用した。次いで、生成物を1.2%アガロースゲルで泳動し、ImageJソフトウェアを使用して定量した。
実施例8
ウイング付きブロッカーの適用によるE.coliゲノムDNAの存在下におけるM13ファージDNAの抑制
概念実証実験では、M13ファージに対する本発明者らの製造したブロッカーを使用して、E.coliDNAの存在下でM13ファージDNAゲノムのセグメントの増幅をブロックした(図8)。この場合のブロッキングプローブは、例5に記載されているプロセスを使用して作製された(図6及び図7も参照)が、ただしこれらのブロッカーは、例5に記載されているダブルウイングではなく、3’末端にはシングルウイングしか有していない。この実験は、シングルウイングブロッカーが、過剰なE.coliゲノムDNAの存在下でM13アンプリコンの増幅を減少させることができることを示しており、これは、無傷のままである細菌性16S rRNA遺伝子バンドの場合と比べてM13バンドの輝度が減少していることにより実証された。E.coli及びM13ファージDNAはすべてのウェルに含まれていた。バンドの各領域の蛍光強度を、ImageJソフトウェアを使用して測定した。
M13バンド及び16Sバンドの蛍光強度プロファイルを図9に示す。M13バンドを、M13プライマープラス及びマイナスブロッカーで定量し、M13と16Sの両プライマープラス及びマイナスブロッカーが含まれる反応と比較した(ブロッカーは、ユニバーサル増幅プライマーP1とM13特異的リバースプライマー387Rを使用してシングルウイングで製造された)。ゲル全体の平均バックグラウンド蛍光強度を差し引いて、各バンドについての補正平均強度を計算した。M13ブロッカーの存在下におけるM13アンプリコン増幅の減少は42〜68%であり、E.coliアンプリコン増幅の存在下では、おそらくPCRリソースについての競合が原因で効率が低下していた。M13ブロッカーの存在下におけるE.coliアンプリコン増幅の減少は13%であり(図9)、これもまた、PCRリソースについての競合による可能性がある。
実施例9
混合微生物DNA試料中のChlamydia trachomatisを富化するためのLactobacillus crispatusに対するアサシンブロッカー又はウイング付きブロッカーの設計。
雌性の生殖管試料は、多くの場合主にLactobacillus種、最も頻繁にはLactobacillus crispatusで構成されており、Chlamydia trachomatis、Neisseria gonorrhoeae、Trichomonas vaginalis、HSV−2、又はHIVなどの生殖器病原体は、通常、自然な状態の膣細菌叢よりもはるかに少ない量で見出される。病原体の同定と特性付けの目的で、膣スワブなどの生殖器標本からの病原体のゲノムの配列決定に興味がある場合、アサシンブロッカーまたはウイング付きブロッカーの使用による乳酸菌、例えばLactobacillus crispatusの増幅を選択的に抑制することにより、病原体のゲノムの配列決定結果の感度を高めることができる。
表2は、ユニークな23マーであり、目的の潜在的な感染性生物であるChlamydia trachomatisと比較した場合、8マーとしてLactobacillus crispatusでより頻度も高いアサシンブロッカーを示す。表2には、L.crispatusゲノムの最初の20 kbについてのアサシンブロッカーオリゴヌクレオチドが列挙されているが、アサシンブロッカーオリゴヌクレオチド配列も、2,000,000塩基対ゲノムの残りについて同定されることになる。これらのアサシンブロッカーは、実施例2及び実施例3で詳述されているように、膣スワブなどの生殖器標本から抽出されたDNAに適用されて、主要な生物であるL.crispatusの増幅を抑制し、C.trachomatisゲノムのより深い配列決定を可能にする。L.crispatusに対してアサシンブロッカーを使用すると、C.trachomatisからL.crispatusへの配列決定リードの比率が1:1000から1:10、さらには1:1に増加し、その結果、標準的な次世代配列決定方法でのC.trachomatisゲノムの優れたカバレッジを可能にする(例、1試料あたり100万リード、及び150塩基対、ペアードエンドリード)。
ウイング付きブロッカーを、Lactobacillus crispatusに対して製造することもできる。Lactobacillus crispatusの精製培養物を溶解し、ゲノムDNAを単離して浄化し、このゲノムDNAを使用して、実施例5で詳述するプロセスを用いることによりL.crispatus ウイング付きブロッカーを製造する。次いで、L.crispatus ウイング付きブロッカーを、実施例7で詳述されているように、膣スワブなどの生殖器標本から抽出したDNAに適用して、主要な生物であるL.crispatusの増幅を抑制し、C.trachomatisゲノムのより深い配列決定を可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を例として記載したが、本発明の精神から逸脱せず、または特許請求の範囲を超えることなく、本発明に対し多くの修正、変形、及び調節を加え、並びに当業者の技能の範囲内にある多数の均等物または代替解決策を使用して本発明を実現できることは明らかである。
すべての出版物、特許、及び特許出願は、個々の出版物、特許、または特許出願のそれぞれが、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
参考文献

Claims (49)

  1. 第1の集団と第2の集団を含むDNAの混合試料の増幅によってDNAの集団を富化するための改善された方法であって、前記改善が、
    (a)前記DNAの混合試料を、DNAの前記第1の集団における複数のオリゴヌクレオチド配列に特異的に結合する複数のブロッキングオリゴヌクレオチドと接触させること;および
    (b)前記DNAの混合試料に対して増幅を行い、増幅されたDNAの混合試料を生成すること;
    を含み、
    前記ブロッキングオリゴヌクレオチドが、DNAの前記第1の集団の増幅を抑制し、それにより、前記増幅された混合試料中のDNAの前記第1の集団と比較して、DNAの前記第2の集団を富化する、方法。
  2. (a)前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、少なくとも50のDNAの前記第2の集団に対するDNAの前記第1の集団における相対出現率を有する6〜50のヌクレオチドの配列を含み、そして
    (b)前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、少なくとも2のDNAの前記第2の集団に対するDNAの前記第1の集団における相対出現率を有する少なくとも6〜25のヌクレオチドの3’配列を含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、少なくとも6、7、8、9又は10のヌクレオチドの配列を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、50、45、40、35、30又は25より少ないヌクレオチドの配列を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれの3’配列が、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれの3’配列が、25、20、15、14、13、12、11又は10より少ないオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、少なくとも75、100、150、200又は250のDNAの前記第2の集団に対するDNAの前記第1の集団における相対出現率を有する、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれの3’配列が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10のDNAの前記第2の集団に対するDNAの前記第1の集団における相対出現率を有する、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドが、少なくとも10、20、30、40、50、75又は100の異なるブロッキングオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドが、少なくとも10、10、10、10、10又は10の異なるブロッキングオリゴヌクレオチドを含む、請求項9に記載の方法。
  11. ブロッキングオリゴヌクレオチドの前記第1の集団に相補的なゲノム配列間の最大距離が、2G/N、3G/N、4G/N又は5G/Nであって、Gは前記第1の集団に対応するゲノムDNAのサイズであり、Nは、前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチド中の異なるブロッキングオリゴヌクレオチドの数である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドをDNAの前記第1の集団に架橋させる鎖間架橋剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記架橋剤が光活性化されている、請求項12に記載の方法。
  14. 前記架橋剤がソラレンである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、3’末端にスペーサーを含み、これにより、DNAポリメラーゼがテンプレート依存のDNA合成によって前記オリゴヌクレオチドを伸長するのを防ぐ、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 各スペーサーが、対応する前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’OHに結合した脂肪族分子を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、ウイング付きブロッカーである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記ウイング付きブロッカーが、DNAの前記第1の集団における配列に相補的である40〜60ヌクレオチドの相補的オリゴヌクレオチド配列を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ウイング付きブロッカーが、前記相補的ヌクレオチド配列の各末端に10〜100ヌクレオチドのウイングオリゴヌクレオチド配列を含み、前記ウイングオリゴヌクレオチド配列が、DNAの前記第1の集団における隣接配列に相補的ではない、請求項18に記載の方法。
  20. 前記増幅が鎖置換型ポリメラーゼを使用して行われる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記増幅がphi29ポリメラーゼを使用して行われる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記混合試料が、ヒト及び/又は他の真核生物起源の、血液、痰、尿、粘液、唾液、組織膿瘍、創部ドレナージ、便、リンパ、洗浄液、脳脊髄液、又は流体吸引物若しくは組織抽出物から得られるか、又はそれらに由来する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記混合試料が、ヒト対象から得られるか、またはヒト対象に由来する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記第1の集団が哺乳類のDNAを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記第1の集団がヒトDNAを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記第2の集団が微生物DNAを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記第1の集団が第1のタイプの微生物DNAを含み、前記第2の集団が第2のタイプの微生物DNAを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記微生物DNAが、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、又は菌血症に関連する任意の他の細菌種からのDNAを含む、請求項26〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記混合試料中の前記微生物DNAが10未満の微生物ゲノムに対応する、請求項26に記載の方法。
  30. 前記第1の集団が哺乳類DNAを含み、前記第2の集団が微生物DNAを含み、哺乳類DNA対微生物DNAの比が、少なくとも10、10、10、10、10、10又は10である、請求項26に記載の方法。
  31. 前記増幅された試料中の微生物DNAが、前記混合試料と比較して10倍〜100倍富化される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記混合試料中の前記哺乳類DNAが、によって低減される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  33. DNAの前記第1の集団が哺乳類のミトコンドリアDNAを含み、前記第2の集団が微生物DNAを含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号1〜配列番号16から選択される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、配列番号17〜配列番号32から選択される配列に結合する、請求項33に記載の方法。
  36. (a)各ブロッキングヌクレオチドが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10の細菌DNAの試料と比較した哺乳類DNAの試料内における相対出現率を有する配列に相補的である少なくとも6〜25の連続したヌクレオチドを含み、そして
    (b)それぞれが、相補的配列に架橋する少なくとも1つの修飾ヌクレオチドをブロックする、
    複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  37. 哺乳類DNAの前記試料が哺乳類核DNAである、請求項36に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  38. 哺乳類DNAの前記試料が哺乳類ミトコンドリアDNAである、請求項36記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  39. 細菌DNAの前記試料が、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus agalactiae、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、及びKlebsiella pneumonaieのゲノムDNAからなる群から選択されるゲノムDNAである、請求項36〜38のいずれか一項に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  40. 各ブロッキングオリゴヌクレオチドが、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドをDNAの前記第1の集団に架橋させる鎖間架橋剤をさらに含む、請求項36〜39のいずれか一項に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  41. 前記架橋剤が光活性化されている、請求項40に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  42. 前記架橋剤がソラレンである、請求項41に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  43. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、3’末端にスペーサーを含み、これにより、DNAポリメラーゼがテンプレート依存のDNA合成によって前記オリゴヌクレオチドを伸長するのを防ぐ、請求項36〜42のいずれか一項に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  44. 各スペーサーが、対応する前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’OHに結合した脂肪族分子を含む、請求項43に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  45. 前記複数のブロッキングオリゴヌクレオチドのそれぞれが、ウイング付きブロッカーである、請求項36〜39のいずれか一項に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  46. 前記ウイング付きブロッカーが、DNAの前記第1の集団における配列に相補的である40〜60のヌクレオチドの相補的オリゴヌクレオチド配列を含む、請求項45に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  47. 前記ウイング付きブロッカーが、前記相補的ヌクレオチド配列の各末端に10〜100のヌクレオチドのウイングオリゴヌクレオチド配列を含み、前記ウイングオリゴヌクレオチド配列は、DNAの前記第1の集団における隣接配列に相補的ではない、請求項45に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド。
  48. 請求項36〜47のいずれか一項に記載の複数のブロッキングオリゴヌクレオチド、及び
    鎖置換型ポリメラーゼ
    を含むキット。
  49. 前記鎖置換型ポリメラーゼがphi29ポリメラーゼである、請求項48に記載のキット。
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