JP2005535724A - ギ酸ギ酸塩を製造するための方法及び装置及びその使用 - Google Patents
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Abstract
(a) ギ酸メチルエステルを部分的に水で加水分解し、
(b) 方法工程(a)で得られた反応混合物からギ酸メチルエステルとメタノールとを蒸留により分離してギ酸及び水を含有するフローを形成させ、
(c) 方法工程(b)からのギ酸メチルエステルと場合によりメタノールとを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して、≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と、水の存在で反応させ、かつ
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換し、かつ
(d) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを合流させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させる、
ギ酸ギ酸塩の製造方法、その製造のための装置及びその使用。
(b) 方法工程(a)で得られた反応混合物からギ酸メチルエステルとメタノールとを蒸留により分離してギ酸及び水を含有するフローを形成させ、
(c) 方法工程(b)からのギ酸メチルエステルと場合によりメタノールとを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して、≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と、水の存在で反応させ、かつ
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換し、かつ
(d) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを合流させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させる、
ギ酸ギ酸塩の製造方法、その製造のための装置及びその使用。
Description
本発明は、ギ酸メチルエステル、水及び塩基性化合物から出発して、ギ酸ギ酸塩を製造する方法及び装置に関する。
更に、本発明は、植物性及び/又は動物性材料の保存及び/又は酸性化のための、バイオ廃棄物の処理のための並びに動物飼料中の添加物として及び/又は動物用の成長促進剤としてのギ酸ギ酸塩の使用に関する。
ギ酸ギ酸塩は抗微生物性の作用を有し、例えば植物性及び/又は動物性の材料、例えば牧草、農業製品又は肉の保存並びに酸性化のため、バイオ廃棄物の処理のため、又は動物飼料の添加物として使用される。
ギ酸ギ酸塩及びその製造方法は、以前から公知である。Gmelins Handbuch der anorganischen Chemie,第8版、第21番、第816〜819頁、Verlag Chemie GmbH, Berlin 1928並びに第22番、第919〜921頁、Verlag Chemie GmbH, Berlin 1937には、ギ酸ナトリウム並びにギ酸カリウムをギ酸中に溶かすことによる二ギ酸ナトリウム並びに二ギ酸カリウムの製造方法が記載されている。温度低下もしくは過剰のギ酸の蒸発により結晶化した二ギ酸塩が得られる。
DE 424 017は、ギ酸ナトリウムを相応するモル比で水性ギ酸中に導入することにより多様な酸含有率を有するギ酸ギ酸ナトリウムを製造することを教示している。この溶液を冷却することにより相応する結晶を得ることができる。
J. Kendall et al.著、Journal of the American Chemical Society, Vol. 43, 1921, p. 1470 - 1481によると、90%のギ酸中に炭酸カリウムを溶解することにより二酸化炭素の形成下にギ酸ギ酸カリウムが得られる。この相応する固体は結晶化により得ることができる。
US 4,261,755は、過剰のギ酸と、相応するカチオンの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩との反応によるギ酸ギ酸塩の製造を記載している。
WO 96/35657は、ギ酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸セシウム、ギ酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素セシウム又はアンモニアを、場合により水性のギ酸と一緒に混合し、引き続きこの反応混合物を冷却し、得られた懸濁液を濾過し、得られた濾過ケークを乾燥し並びに濾液を返送することによる、ギ酸の二塩を含む生成物の製造を教示している。
前記の方法の欠点は、形成されるギ酸塩1Molあたり、塩基性化合物との反応によりそれぞれギ酸1Molが消費されることである。つまり、濃縮された、つまり十分に水不含のギ酸の製造は、装置的に費用がかかり、高コストでかつエネルギー消費の高いプロセスであることは公知である。従って、上記の方法は、全体の有用物質製造プロセスに関して、装置的に極めて費用がかかり、高コストでかつエネルギー消費が高い。
ドイツ国特許出願第10210730.0号は、ギ酸メチルエステルと水及び塩基性化合物(この塩基性化合物は≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する)との反応及び引き続く生成したメタノールの分離並びにギ酸の添加による所望の酸含有量の調節によるギ酸ギ酸塩の製造を教示している。
ドイツ国特許出願第10154757.9号は、水及び触媒の存在での相応する金属水酸化物のカルボニル化により金属ギ酸塩を得て、水及び触媒の蒸留により分離し及び所望の金属ギ酸塩−ギ酸−混合物を得るためのギ酸を添加することによる金属ギ酸塩−ギ酸−混合物の製造を教示している。
従って、本発明の課題は、上記の欠点をもはや有していない、工業的規模で、高い収率かつ高い空時収率で、同時に組成に関して柔軟性が高く、かつ容易に入手可能な原料を使用することができ、かつ低い投資コストでかつ低いエネルギー必要量の簡単な方法様式の、ギ酸ギ酸塩を製造することができる方法を提供することである。
従って、
(a) ギ酸メチルエステルを部分的に水で加水分解し、
(b) 方法工程(a)で得られた反応混合物からギ酸メチルエステルとメタノールとを蒸留により分離してギ酸及び水を含有するフローを形成させ、
(c) 方法工程(b)からのギ酸メチルエステルと場合によりメタノールとを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して、≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と、水の存在で反応させ、かつ
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換し、
(d) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを混合させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させることを特徴とする、
ギ酸ギ酸塩の製造方法が見出された。
(a) ギ酸メチルエステルを部分的に水で加水分解し、
(b) 方法工程(a)で得られた反応混合物からギ酸メチルエステルとメタノールとを蒸留により分離してギ酸及び水を含有するフローを形成させ、
(c) 方法工程(b)からのギ酸メチルエステルと場合によりメタノールとを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して、≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と、水の存在で反応させ、かつ
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換し、
(d) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを混合させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させることを特徴とする、
ギ酸ギ酸塩の製造方法が見出された。
ギ酸ギ酸塩とは、ギ酸アニオン(HCOO−)、カチオン(Mx+)及びギ酸(HCOOH)を含有する化合物及び混合物であると解釈される。これは、一緒に固体又は液体の形で存在することができ、かつ場合により付加的な成分、例えば塩、添加剤又は溶剤、例えば水を含有していてもよい。一般に、このギ酸ギ酸塩は次の式により表すことができる:
HCOO−Mx+ 1/x ・ y HCOOH (I)
[式中、Mは1価又は多価の、無機又は有機カチオンを表し、xは正の整数であり、かつカチオンの電荷を示し、かつyはギ酸アニオンに対するギ酸のモル割合を表す]ギ酸アニオンに対するギ酸のモル割合yは、一般に0.01〜100、有利に0.05〜20、特に有利に0.5〜5、殊に0.9〜3.1である。
HCOO−Mx+ 1/x ・ y HCOOH (I)
[式中、Mは1価又は多価の、無機又は有機カチオンを表し、xは正の整数であり、かつカチオンの電荷を示し、かつyはギ酸アニオンに対するギ酸のモル割合を表す]ギ酸アニオンに対するギ酸のモル割合yは、一般に0.01〜100、有利に0.05〜20、特に有利に0.5〜5、殊に0.9〜3.1である。
無機又は有機のカチオンMx+の性質は、このカチオンがギ酸ギ酸塩を処理すべき条件下で安定である限り、原則として重大ではない。これは、例えば還元作用するギ酸アニオンに対して安定であると解釈することもできる。可能な無機カチオンとして、周期表の第1族〜第14族の金属の1価及び/又は多価の金属カチオン、例えばリチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、セシウム(Cs+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+)及びバリウム(Ba2+)、有利にナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、セシウム(Cs+)及びカルシウム(Ca2+)が挙げられる。可能な有機カチオンとして、非置換のアンモニウム(NH4+)及び1つ又は複数の炭素を含有する基(この基は場合により相互に結合していてもよい)により置換されたアンモニウム、例えばメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピロリジニウム、N−メチルピロリジニウム、ピペリジニウム、N−メチルピペリジニウム又はピリジニウムが挙げられる。
炭素を含有する有機基とは、1〜30個の炭素原子を有する、非置換の又は置換された、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族基であると解釈される。この基は、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄又はリン、例えば−O−、−S−、−NR−、−CO−、−N=、−PR−及び/又は−PR2を有していてもよく、かつ/又は例えば酸素、窒素、硫黄及び/又はハロゲンを有する1つ又は複数の基、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード及び/又はシアノ基(その際、基Rは同様に炭素原子を有する有機基である)により置換されていてもよい。炭素を有する有機基は、1価又は多価の、例えば2価又は3価の基であることができる。
次に、個々の方法工程を詳説する:
方法工程(a)
方法工程(a)において、ギ酸メチルエステルを水で部分的に加水分解して、ギ酸及びメタノールにする。部分的にとは、供給されたギ酸メチルエステルの一部だけが加水分解されると解釈される。
方法工程(a)
方法工程(a)において、ギ酸メチルエステルを水で部分的に加水分解して、ギ酸及びメタノールにする。部分的にとは、供給されたギ酸メチルエステルの一部だけが加水分解されると解釈される。
本発明による方法の場合に、方法工程(a)において、ギ酸メチルエステルの加水分解のための自体公知の方法を使用することができる。加水分解のための公知の及び工業的に重要な方法の一般的な概要は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th edition, 2000 electronic release, Chapter“FORMIC ACID, Production”に記載されている。他の適当な加水分解法は、例えばEP-A 0 005 998及びEP-A 0 017 866に記載されている。
この加水分解は、一般に80〜150℃の温度でかつ0.5〜2.0MPa absの圧力で実施される。反応装置として、原則として、液相中での反応に適している全ての反応装置を使用することができる。例として、撹拌槽及びジェットループ型反応器が挙げられる。カスケード式反応器の使用も有利である。
一般に、酸性触媒の存在で加水分解を実施するのが有利である、それというのもこの触媒は加水分解速度を著しく高めるためである。酸性触媒として、生成されたギ酸又は付加的な触媒を使用することができる。付加的な触媒は均一性又は不均一性の性質を有することができる。不均一系触媒の例として、酸性のイオン交換体、例えばポリスルホン酸又はポリ(ペルフルオロアルキレン)スルホン酸(例えばDu Pont社のNafion(R))が挙げられ、均一系触媒の例として、無機又は有機の強酸、例えば硫酸、塩化水素酸又はアルキルスルホン酸及びトリルスルホン酸が挙げられる。均一系触媒を使用する場合には、一般に次の工程で分離しなければならない。製造すべきギ酸ギ酸塩の所望の純度に応じて、場合により均一系触媒を系中に放置することも可能である。この場合、酸性触媒は通常ではその塩の形でギ酸ギ酸塩中に見られる。酸性触媒としてギ酸の存在で部分的な加水分解を実施するのが特に有利であり、それにより、付加的触媒の添加及び引き続く分離もしくは場合によるギ酸ギ酸塩の汚染は行われない。一般に、このため、反応の入口で、存在する液状の、水及びギ酸メチルエステルを含有する混合物に対して約0.1〜2質量%のギ酸濃度が、ギ酸もしくはギ酸含有フローの適切な添加により調節される。
本発明による方法の場合に、加水分解の際に使用されるべきギ酸メチルエステル対水のモル比は、一般に0.1〜10である。これは平衡反応であるために、例えば、EP-A 0 017 866の教示からも明らかなように、有利に過剰量の水が使用される。方法工程(a)においてギ酸メチルエステル及び水を0.1〜1のモル比で、特に有利に0.15〜0.3のモル比で供給するのが有利である。
部分的な加水分解により得られたこの反応混合物は、従って未反応のギ酸メチルエステル、ギ酸、メタノール並びに、水過剰量の有利な使用に基づき水を含有する。有利にこの水性反応混合物はギ酸5〜15Mol%、特に有利に8〜12Mol%、ギ酸メチルエステル3〜30Mol%、特に有利に6〜12Mol%及びメタノール6〜15Mol%、特に有利に8〜12Mol%を含有する。
方法工程(b)
反応工程(b)において、方法工程(a)中で得られた反応混合物から、ギ酸メチルエステル及びメタノールを蒸留により分離し、ギ酸と水とを含有するフローを形成させる。ギ酸メチルエステル及びメタノールは、この場合原則として一つのフローの形で一緒に分離されるか又はギ酸メチルエステルを含有するフローの形とメタノールを含有するフローの形とに別個に分離されることができる。一般に、ギ酸メチルエステルとメタノールとは、塔の上方部分で別個に又は一緒に取り出される。このギ酸と水とを含有するフローは一般に塔底から取り出される。方法工程(b)では、ギ酸メチルエステルとメタノールとを含有するフローを一緒に分離するのが有利である。
反応工程(b)において、方法工程(a)中で得られた反応混合物から、ギ酸メチルエステル及びメタノールを蒸留により分離し、ギ酸と水とを含有するフローを形成させる。ギ酸メチルエステル及びメタノールは、この場合原則として一つのフローの形で一緒に分離されるか又はギ酸メチルエステルを含有するフローの形とメタノールを含有するフローの形とに別個に分離されることができる。一般に、ギ酸メチルエステルとメタノールとは、塔の上方部分で別個に又は一緒に取り出される。このギ酸と水とを含有するフローは一般に塔底から取り出される。方法工程(b)では、ギ酸メチルエステルとメタノールとを含有するフローを一緒に分離するのが有利である。
蒸留塔の設計及び運転は、まず最初に、供給されるフローの組成並びに2つの生成物フローの所望の純度に依存し、かつこれは当業者に公知の方法で決定することができる。
方法工程(c)
方法工程(c)において、方法工程(b)からのギ酸メチルエステル及び場合によりメタノールを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と水の存在で反応させ、及び
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより、
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換する。
方法工程(c)において、方法工程(b)からのギ酸メチルエステル及び場合によりメタノールを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と水の存在で反応させ、及び
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより、
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換する。
使用すべき塩基性化合物は、水溶液中で25℃で測定して有利に≧3.5、特に有利に≧9、更に特に有利に≧10の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する。この塩基性化合物は無機又は有機の性質を有することができる。塩基性化合物は、塩又は共有結合の化合物であることができる。相応する解離度の共役酸とは、プロトン(H+)の形式的な付加により形成される酸であると解釈される。
塩基性化合物が塩である場合については、これは一般に次の式
Mx+ aAa− x (II)
[式中、M及びxは(I)で記載された意味を有し、Aは、電荷a−を有する無機又は有機のアニオンを表す]により表される。相応する解離度の共役酸は、従って、HA(a−1)−に相当する。対応しかつ引用されるpKa値に対して決定的な解離式を次に示す
Mx+ aAa− x (II)
[式中、M及びxは(I)で記載された意味を有し、Aは、電荷a−を有する無機又は有機のアニオンを表す]により表される。相応する解離度の共役酸は、従って、HA(a−1)−に相当する。対応しかつ引用されるpKa値に対して決定的な解離式を次に示す
塩基性化合物が共有結合の化合物Bである場合については、引用されるpKa値に対して決定的な解離式を次に示す
適当な塩基性化合物の例として、塩Mx+ aAa− x (II)[前記式中、Mx+は、前記したような金属の一価又は多価の金属カチオンを表し、Aa−は表1aに記載されたようなアニオンを表す]並びに表1bに記載されているような共有結合の化合物Bが挙げられる。
表1a: 適当な塩基性の化合物の可能なアニオンAa−及び相応する解離度の共役酸のpKa値(水溶液中で25℃で測定)
表1b: 適当な塩基性の化合物としての可能な共有結合の塩基B及び相応する解離度の共役酸のpKa値(水溶液中で25℃で測定)
本発明による方法の場合に、塩基性化合物として、水酸化リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び/又はアンモニア、特に有利に、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム及び/又はアンモニア、特に有利に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は炭酸カリウム、殊に水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムが特に有利に使用される。
使用すべき塩基性化合物の添加の種類は、本発明による方法の場合に一般に重要ではない。この塩基性化合物は、固体、液体又は気体の形で、純物質として、物質混合物として又は溶液として添加することができる。例として、水溶液の形での添加(例えばアルカリ金属塩の水溶液又はアンモニア水)及び固体の化合物の形での添加(例えばアルカリ金属塩の粉末)、ガス状の状態(例えばガス状アンモニア)が挙げられる。水溶液の形の添加が有利である。
出発物質の添加順序も、本発明による方法の場合に一般に重要ではない。例えば、この塩基性化合物を固体又は液体の形で(例えば水溶液として)準備し、引き続きギ酸メチルエステルを含有するフローを液状又はガス状で導入することができる。更に、ギ酸メチルエステルを含有するフローを液体の形で準備し、引き続き塩基性化合物を供給することもできる。更に、ギ酸メチルエステルを含有するフロー及び塩基性化合物を連続的に合流させることももちろん可能であり、特に連続的に運転される方法を実施する場合に有利である。
ギ酸メチルエステル対塩基性化合物のモル比は、本発明による方法の場合に有利に化学量論的に調節することができ、つまり反応化学量論に従って添加されたギ酸メチルエステルが添加された塩基性化合物と反応して相応するギ酸塩と水とになるように調節することができる。このために重要なパラメータは、いわゆる塩基性化合物のモル当量であり、この場合に、水溶液中で25℃で測定して≧3のpKa値を有する、プロトンの付加により共役酸を生じる全ての解離度を考慮することができる。塩基性化合物としての水酸化カリウムを使用する場合に、有利に1.0のギ酸メチルエステル/水酸化カリウム−モル比を選択することができる、それというのもこれはギ酸カリウムの形成に相当するためである:
塩基性化合物として炭酸カリウムを使用する場合には、対応する炭酸が二塩基であるため、有利に2.0のギ酸メチルエステル/炭酸カリウム−モル比を選択することができる。
しかしながら前記の化学量論的な添加から上下方向に変化することも本発明による方法の場合には可能である。塩基性化合物が過少量である場合には、ギ酸メチルエステルの不完全な反応の危険が生じ、ひいては蒸留により分離すべきメタノールが未反応のギ酸メチルエステルで汚染される危険が生じる。塩基性化合物が過剰量である場合には、生じたフローは相応するギ酸塩及び水の他になお残留する塩基性化合物を含有する。
本発明による方法の場合に方法工程(c)で使用される水の量は広範囲にわたり可変である。一般に、この反応の場合に、ギ酸メチルエステルの供給量に対して、水20〜90質量%、有利に40〜50質量%が使用される。一般に、水の添加は塩基性化合物の水溶液を介して行われるが、水だけを添加することも可能である。
ギ酸メチルエステルを含有するフローを方法工程(c)中で水の存在で前記の塩基性化合物と反応させることは、一般に、0〜150℃、有利に30〜120℃、特に有利に50〜80℃で実施される。この実施の場合に、圧力は、一般に、0.05〜1MPa abs、有利に0.08〜0.5MPa abs、特に有利に0.09〜0.15MPa absである。
ギ酸メチルエステルを含有するフローを方法工程(c)中で水の存在で前記の塩基性化合物と反応させることは、原則としてメタノールの蒸留による分離とは無関係である。従って、このメタノールの蒸留による分離は、本発明による方法の場合に、一般に、前記の反応の前、それと一緒に又はその後で行うことができる。前記の反応と一緒に又はその後でメタノールを蒸留により分離するのが有利である。
前記の反応の前又は後でメタノールを蒸留により分離する場合には、この反応のために原則として、液相中での反応に適している全ての反応装置を使用することができる。例として、撹拌槽及びジェットループ型反応器が挙げられる。メタノールの蒸留による分離は、この場合に、別個の工程で行われ、通常では蒸留塔中で行われる。
本発明による方法の場合には、メタノールの蒸留による分離を、ギ酸メチルエステルと水及び塩基性化合物とを反応させてギ酸塩と水とを含有するフローに変換させることと一緒に、一つの塔中で実施することが特に有利である。水と比較してギ酸メチルエステルは沸点が低いために、この場合に、方法工程(b)からのギ酸メチルエステルとメタノールを含有するフローは、有利に水及び塩基性化合物の供給箇所よりも下側で供給される。ギ酸メチルエステル及びメタノールは塔内で上昇し、水並びに塩基性化合物は流下するため、塔は、前記の反応のために適した領域を有する。メタノールは上方へ上昇し、塔頂から単離することができる。ギ酸メチルエステルの製造は一般にメタノールのカルボニル化により行われるため、塔頂から単離されるメタノールをギ酸メチルエステル製造のための使用物質として返送するのが特に有利であり、その際に、この返送すべきメタノールは、この実施態様の場合には十分に残留量のギ酸メチルエステルを含有することができる。従って、全体のバランスは、少量のメタノール損失を新しいメタノールにより置き換えることが必要なだけである。
この水性のギ酸塩を含有するフローは、塔中で下方へ流下し、塔底流として取り出される。その際に、場合により側流として水の一部が塔の下端部で取り出され、加水分解に返送されるのが有利である。この措置により、相応するギ酸塩の比較的高い濃度の水溶液を既に得ることができる。
塔のけん化部分中での必要な滞留時間は、例えば適当な内部構造、例えばトルーマントレー(Thormann-Boeden)によって、又は場合により外部の反応装置によって提供することができる。この外部の反応装置を提供する場合には、けん化すべきフローが塔から適当な箇所で側流取り出し口により取り出され、この外部反応装置に供給され、かつ適当な箇所で塔に再び供給される。本発明の範囲内で、この両方のバリエーションはまず第1に同等であると見なされる。
これらの塔の設計は、当業者にとって通常でかつ公知の方法で行われる。
方法工程(d)
方法工程(d)において、方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを合流させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成する。
方法工程(d)において、方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを合流させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成する。
方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローの添加と、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローの添加との順序は、本発明による方法の場合に一般に重要ではない。特に、方法工程(b)からのギ酸及び水を含有するフロー及び/又は方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローを、混合する前にギ酸もしくはギ酸塩の濃縮を行うことも可能であり、かつ場合により有利である。このために、蒸発により、有利に蒸留により、存在する水の一部を除去することが挙げられる。
温度及び圧力は、方法工程(d)での混合のためには、一般に重要ではない。一般に、この混合は0〜150℃の温度で、かつ0.01〜0.3MPa absの圧力で行われる。
装置として、原則として、液相中での反応のため、ならびに場合により揮発性成分を同時に分離しながらの液相中での反応のために適している全ての装置を使用することができる。例として、撹拌槽、ジェットループ型反応器及び塔が挙げられる。更に、例えば、両方のフローを一つの導管中で合流させることにより、有利に後続する混合区域を備えた導管中で合流させることにより統合することも可能である。更に、両方のフローを、固体のギ酸ギ酸塩の単離を行う装置中で合流させることも可能である。
方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを混合することにより得られる混合物は、場合により既に沈殿したギ酸ギ酸塩を固体として有する水溶液の形のギ酸ギ酸塩を含有する。必要に応じて、この形で沈殿され、貯蔵され、輸送され及び/又は相応する調製又は適用のために使用することができる。更に、このギ酸ギ酸塩は後続する方法工程において、更に濃縮もしくは固体として単離することができる。
方法工程(d)において、
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、工程(iv)から返送された母液と一緒に塔中で又は蒸発器中で蒸留により水を分離しながら濃縮し、
(ii) 工程(i)から濃縮により得られた、ギ酸、水及びギ酸塩を含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させ、
(iii) 工程(ii)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から結晶化により固体のギ酸ギ酸塩を析出させかつこれを単離し、かつ
(iv) 得られた母液を工程(i)に返送する、実施態様が有利である。
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、工程(iv)から返送された母液と一緒に塔中で又は蒸発器中で蒸留により水を分離しながら濃縮し、
(ii) 工程(i)から濃縮により得られた、ギ酸、水及びギ酸塩を含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させ、
(iii) 工程(ii)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から結晶化により固体のギ酸ギ酸塩を析出させかつこれを単離し、かつ
(iv) 得られた母液を工程(i)に返送する、実施態様が有利である。
工程(i)中の塔もしくは蒸発器は、一般に、供給された水の一部が例えば塔頂から留出できるように運転することができる。残留するギ酸、水及びギ酸塩を含有するフローは、一般に10〜40質量%の含水量を有し、かつ塔底生成物として取り出される。前記の運転方法は、ギ酸及びギ酸塩を含有するフローの所定の濃縮の利点を有する。塔又は蒸発器から取り出された水は、有利に方法工程(a)での加水分解工程に返送され、かつ過剰量はこの方法から取り出される。塔もしくは蒸発器の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
濃縮により得られた、ギ酸、水及びギ酸塩を含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと混合して、工程(ii)においてギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させることは、例えば塔と結晶化装置との間で、例えば2つの管の合流により、又は別個の混合装置中で、又は結晶化装置中自体で行うことができる。
結晶化の実施は当業者に一般に公知であり、この場合に正確な設計及び運転法は通常の方法で行うことができる。一般に、この結晶化は、−20℃〜+80℃、有利に0℃〜60℃の範囲内の温度で実施される。一般に、再結晶される生成物の量は温度低下と共に増加する。この結晶化は、このために原則として公知の全ての装置中で実施することができる。前記の実施態様は、特に有利に、所望の組成で再結晶可能なギ酸ギ酸塩の分離のために使用可能である。重要な例として、二ギ酸カリウム(HCOOK・HCOOH)、二ギ酸ナトリウム(HCOONa・HCOOH)、四ギ酸ナトリウム(HCOONa・3HCOOH)又はこれらの混合物が挙げられる。再結晶化されたギ酸塩又はギ酸ギ酸塩の分離は、一般に通常のかつ公知の方法、例えば濾過又は遠心分離により行われる。
固体のギ酸ギ酸塩の結晶化の際に生じる母液は、工程(iv)で工程(i)に返送される。この母液はなお著量の有用生成物を含有するために、従ってその単離も保証される。また、母液中に存在する有用生成物を他の方法で、例えば溶液としての直接的な利用により利用することも可能である。
同様に、方法工程(d)において、
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと、塔又は蒸発器中で、水を蒸留により分離しながら混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物にし、
(ii) 工程(i)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から固体のギ酸ギ酸塩を噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化により析出させ、かつこれを単離する
実施態様も有利である。
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと、塔又は蒸発器中で、水を蒸留により分離しながら混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物にし、
(ii) 工程(i)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から固体のギ酸ギ酸塩を噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化により析出させ、かつこれを単離する
実施態様も有利である。
両方のフローを工程(i)中で混合することは、塔もしくは蒸発器の前で、例えば2つの導管を合流させることにより又は別個の混合装置中で、又は塔もしくは蒸発器中で、例えば2つの別個の供給により行うことができる。
工程(i)中の塔もしくは蒸発器は、一般に、供給された水の一部が例えば塔頂から留出できるように運転することができる。残留するギ酸ギ酸塩を含有する混合物(これは一般に0.5〜30質量%の含水量を有する)は、塔底生成物として取り出される。特に、ギ酸ギ酸塩を溶融結晶化により単離する場合に、塔底生成物中に一般に≦1質量%のわずかな含水量が調節される。前記の運転方法は、ギ酸ギ酸塩を含有するフローの所定の濃縮の利点を有する。塔又は蒸発器から取り出された水は、有利に方法工程(a)での加水分解工程に返送され、かつ過剰量はこの方法から取り出される。塔もしくは蒸発器の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
噴霧造粒、噴霧乾燥及び溶融結晶化の実施は当業者に一般に公知であり、この場合に正確な設計及び運転法は通常の方法で行うことができる。上記の方法も、特に有利に、所望の組成で再結晶可能なギ酸ギ酸塩の分離のために使用可能である。重要な例として、二ギ酸カリウム(HCOOK・HCOOH)、二ギ酸ナトリウム(HCOONa・HCOOH)、四ギ酸ナトリウム(HCOONa・3HCOOH)又はこれらの混合物が挙げられる。
噴霧造粒、噴霧乾燥並びに溶融結晶化の際に、有利にわずかな含水量の水性のギ酸ギ酸塩を使用することができるため、一般に少量の凝縮物ならびに遊離ギ酸も含まれる。ギ酸ギ酸塩の生じる量及び存在する量に応じて、場合により有利にこのフローを返送させずに系から取り出すことも有利である。
この本発明による方法は、原則として不連続式、半連続式で、又は連続式で実施することができる。本発明による方法は連続式で実施するのが有利である。
本発明による方法の場合に、ギ酸ギ酸塩として、ギ酸金属ギ酸塩、特に有利にギ酸ギ酸カリウム、ギ酸ギ酸ナトリウム、ギ酸ギ酸カルシウム又はこれらの混合物、特に有利に二ギ酸カリウム(HCOOK・HCOOH)、二ギ酸ナトリウム(HCOONa・HCOOH)、四ギ酸ナトリウム(HCOONa・3HCOOH)又はこれらの混合物を製造するのが有利である。
このギ酸ギ酸塩は、一般に溶液の形で又は固体として結晶化して製造される。これは、場合により他の成分、例えば他のギ酸塩が添加されていてもよい。結晶化したギ酸ギ酸塩の場合には、原則として貯蔵、運搬及び使用のために、これを乾燥剤、例えばケイ酸塩又はデンプンと一緒に粒状の圧縮物又は多様な成形体、例えばタブレット又は球形に圧縮することが有利である。
特に有利な実施態様(この簡略化されたフローチャートが図1に示されている)の場合には、導管(1)を介してギ酸メチルエステル並びに方法から返送されたギ酸を含有する水を、カスケード式の加水分解反応器(A)に供給する。一般に、両方の出発材料は混合(フローチャートで示されたように)されるか又は別個に熱交換器中で所望の入口温度にもたらされる。加水分解工程(方法工程(a))からの反応混合物(これは未反応のギ酸メチルエステル、水、ギ酸及びメタノールを含有する)は、導管(2)を介して塔(B)に供給され、この塔中で反応混合物を蒸留によりギ酸メチルエステルとメタノールとを含有する塔頂フローと、水性のギ酸を含有する塔底フローとに分けられる(方法工程(b))。ギ酸メチルエステルとメタノールとを含有する塔頂フローは導管(3)を介して塔(C)に供給される。更に、塔(C)には、ギ酸メチルエステル及びメタノールを含有するフローの供給箇所の上方で、導管(5)を介して水性の塩基性化合物、特に有利に水酸化カリウム溶液が供給される。塔(C)の塔頂を介してメタノールが得られ、有利にカルボニル化による新たなギ酸メチルエステルの製造のために返送される。塔(C)の下端部では、水の一部を取り出し、導管(6)を介して加水分解工程に返送される。塔底生成物としてギ酸カリウム水溶液が得られる。方法工程(b)からの水性のギ酸を含有するフローを、導管(7)を介して塔(D)に供給する。場合により、導管(8)及び(8b)を介して、方法工程(c)からのギ酸塩水溶液を含有するフローの一部の供給も行われる。塔(D)は、有利に、塔底生成物として、一般に10〜40質量%の含水量の、ギ酸、ギ酸塩及び水を含有する濃縮された混合物が得られるように運転される。水の一部は塔(D)からギ酸を含有する水フローの形で塔頂生成物として取り出され、これは導管(13)を介して加水分解工程に返送される。少量のギ酸を含有する水フローの一部は、その際に場合により導管(12)を介して系から取り出すことができる。塔(D)の塔底生成物は、導管(9)を介して結晶化のために適した装置(E)、例えばいわゆる冷却ディスク型結晶化装置に供給される。導管(8a)を介して、方法工程(c)からのギ酸塩水溶液を含有するフローの供給が行われる。この供給は、この場合に2つの導管(図1に示されたように)の合流により行われるか又は結晶化装置中で直接行われる。この結晶化は、第1に温度低下により行う。得られた結晶は上澄み溶液と一緒に、分離のために装置(F)に供給される。有利に、この分離は遠心分離により行う。分離された結晶は導管(10)を介して取り出され、例えば場合による次の工程で乾燥及び/又は調製される。得られた母液は導管(11)を介して塔(D)に返送される。
他の特に有利な実施態様(この簡略化されたフローチャートが図2に示されている)の場合には、方法工程(a)、(b)及び(c)は、前記された、特に有利な実施態様と同様に実施される。方法工程(b)からの水性のギ酸を含有するフローは導管(7)を介して、及び方法工程(c)からのギ酸塩水溶液を含有するフローは導管(8)を介して、塔(D)に供給される。塔(D)は、有利に、塔底生成物として、一般に0.5〜30質量%の含水量の、ギ酸、ギ酸塩及び水を含有する濃縮された混合物が得られるように運転される。供給された水の一部は塔(D)からギ酸を含有する水フローの形で塔頂生成物として取り出され、これは導管(13)を介して加水分解工程に返送される。少量のギ酸を含有する水フローの一部は、その際に場合により導管(12)を介して系から取り出すことができる。塔(D)の塔底生成物は、導管(9)を介して噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化のために適した装置(E)に供給される。得られた固体のギ酸ギ酸塩は、導管(10)を介して取り出され、例えば場合による次の工程で更に乾燥及び/又は調製することができる。得られた凝縮物は、場合により導管(11)を介して塔(D)に返送されるか、又は系から取り出すことができる。
本発明による方法は、工業的規模で、高い収率及び高い時空収率で、同時に組成に関して高い柔軟性で、かつ良好に入手可能な原料の使用下で簡単な方法様式でかつ低い投資コストでのギ酸ギ酸塩の製造を可能にする。この方法は、更に、濃縮されたギ酸を介した投資コストがかかりかつ装置的に煩雑な経路なしに、ギ酸メチルエステルから直接、ギ酸塩もギ酸も得ることができるという重要なり点を有する。本発明による方法は、従って方法技術的に簡単に実施可能であり、かつ先行技術による濃縮されたギ酸を直接使用する方法と比べて、投資コストは明らかに低くかつエネルギー必要量も明らかに低い。更に、部分的に高合金鋼を使用しなくてもよく、それというのもギ酸ギ酸塩は、濃縮されたギ酸よりもはるかに腐食性が低いためである。
更に、本発明の対象は、
(a) ギ酸メチルエステルの加水分解のために適した反応器(A)と、
(b) ギ酸メチルエステル、ギ酸、メタノール及び水を含有するフローを、ギ酸メチルエステル、メタノール及びギ酸及び水を含有するフローに蒸留により分離するために適した塔(B)(この塔は供給側で反応器(A)と接続している)と、
(c) ギ酸メチルエステルを塩基性化合物でけん化するため及びメタノールの蒸留による分離のために適した塔(C)(この塔は供給側で塔(B)の塔頂と接続していてかつ前記の供給の上方に塩基性化合物用の供給箇所を有する)と、
(d) ギ酸と水とを含有するフローから水を分離するために適した塔(D)(この塔は供給側で塔(B)の塔底と接続している)とを有する、本発明による方法によりギ酸ギ酸塩を製造する装置である。
(a) ギ酸メチルエステルの加水分解のために適した反応器(A)と、
(b) ギ酸メチルエステル、ギ酸、メタノール及び水を含有するフローを、ギ酸メチルエステル、メタノール及びギ酸及び水を含有するフローに蒸留により分離するために適した塔(B)(この塔は供給側で反応器(A)と接続している)と、
(c) ギ酸メチルエステルを塩基性化合物でけん化するため及びメタノールの蒸留による分離のために適した塔(C)(この塔は供給側で塔(B)の塔頂と接続していてかつ前記の供給の上方に塩基性化合物用の供給箇所を有する)と、
(d) ギ酸と水とを含有するフローから水を分離するために適した塔(D)(この塔は供給側で塔(B)の塔底と接続している)とを有する、本発明による方法によりギ酸ギ酸塩を製造する装置である。
適当な反応器(A)として、例えば撹拌槽又はジェットループ型反応器が挙げられる。カスケード式反応器が有利である。反応器(A)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
塔(B)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
塔(C)は、この方法のために必要な滞留時間をけん化部分において提供するために適した内部構造、例えばトルーマントレー(Thormann-Boeden)又は場合により塔に接続された外部の反応装置を有していてもよい。この場合により存在する外部の反応装置は、一般に適当な側流取り出し部により及び適当な側流供給部により塔と接続されている。塔(C)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
塔(D)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
装置として、上記の特徴(a)〜(d)に加えて、
(e) ギ酸ギ酸塩の結晶化のために適した装置(E)(この装置は供給側で塔(D)の塔底及び塔(C)の塔底と接続している)と、
(f) ギ酸ギ酸塩の結晶を分離するために適した装置(F)(この装置は供給側で装置(E)と接続している)と、
(g) 母液を返送するために適した、装置(F)と塔(D)との間の接続導管(11)とを有する装置が有利である。
(e) ギ酸ギ酸塩の結晶化のために適した装置(E)(この装置は供給側で塔(D)の塔底及び塔(C)の塔底と接続している)と、
(f) ギ酸ギ酸塩の結晶を分離するために適した装置(F)(この装置は供給側で装置(E)と接続している)と、
(g) 母液を返送するために適した、装置(F)と塔(D)との間の接続導管(11)とを有する装置が有利である。
装置(E)及び(F)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
更に、装置として、上記の特徴(a)〜(d)に加えて、
(e) 水性ギ酸塩の供給のために適した、塔(C)及び塔(D)の塔底間の接続導管(8)と、
(f) 噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化のために適した装置(E)(この装置は、供給側で塔(D)の塔底と接続している)とを有する装置が有利である。
(e) 水性ギ酸塩の供給のために適した、塔(C)及び塔(D)の塔底間の接続導管(8)と、
(f) 噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化のために適した装置(E)(この装置は、供給側で塔(D)の塔底と接続している)とを有する装置が有利である。
装置(E)の設計は、当業者に通常でかつ公知の方法により行われる。
更に、本発明の対象は、植物性及び動物性の物質の保存及び/又は酸性化のための、本発明により製造されたギ酸ギ酸塩の使用である。例として、牧草、農作植物、魚並びに魚製品及び肉製品の保存及び酸性化のためのギ酸ギ酸塩の使用が挙げられ、これは例えばWO 97/05783、WO 99/12435、WO 00/08929及びWO 01/19207に記載されている。
更に、本発明の対象は、バイオ廃棄物の処理のための本発明により製造されたギ酸ギ酸塩の使用である。このバイオ廃棄物の処理のためのギ酸ギ酸塩の使用は、例えばWO 98/20911に記載されている。
更に、本発明の対象は、動物飼料中の添加物として及び/又は動物用の、例えば育種用雌ブタ、肥育ブタ、家禽、子ウシ、雌ウシ及び魚用の成長促進剤としての、本発明により製造されたギ酸ギ酸塩の使用である。前記の使用は、例えばWO 96/35337に記載されている。本発明により製造されたギ酸ギ酸カリウム、特にギ酸カリウムの、動物飼料中の添加物として及び/又は動物、特に育種用雌ブタ及び肥育ブタ用の成長促進剤としての使用が特に有利である。
動物飼料中の添加物として及び/又は動物用の成長促進剤としての本発明による方法により製造されたギ酸ギ酸カリウムの有利な使用のための、特に有利な混合物として、次の2つの組成が挙げられる:
本発明により製造された二ギ酸カリウムの、動物飼料中の添加物として及び/又は動物用の成長促進剤としての、二ギ酸カリウム98±1質量%、ケイ酸塩1.5±1質量%及び水0.5±0.3質量%の組成の製品の形での使用が特に有利である。
Claims (14)
- (a) ギ酸メチルエステルを部分的に水で加水分解し、
(b) 方法工程(a)で得られた反応混合物からギ酸メチルエステルとメタノールとを蒸留により分離してギ酸及び水を含有するフローを形成させ、
(c) 方法工程(b)からのギ酸メチルエステルと場合によりメタノールとを含有するフローを、
(i) 水溶液中で25℃で測定して、≧3の相応する解離度の共役酸のpKa値を有する塩基性化合物と、水の存在で反応させ、かつ
(ii) メタノールを蒸留により分離することにより
ギ酸塩と水とを含有するフローに変換し、かつ
(d) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローと、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローとを合流させて、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させることを特徴とする、
ギ酸ギ酸塩の製造方法。 - 方法工程(a)において、ギ酸メチルエステルと水とを0.1〜1のモル比で供給することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 方法工程(c)において、メタノールの蒸留による分離と、ギ酸メチルエステルと水及び塩基性化合物との反応によるギ酸塩と水とを含有するフローへの変換とを一緒に一つの塔中で実施することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
- 方法工程(d)において、
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、工程(iv)から返送された母液と一緒に塔中で又は蒸発器中で蒸留により水を分離しながら濃縮し、
(ii) 工程(i)から濃縮により得られた、ギ酸、水及びギ酸塩を含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物を形成させ、
(iii) 工程(ii)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から結晶化により固体のギ酸ギ酸塩を析出させかつこれを単離し、かつ
(iv) 得られた母液を工程(i)に返送することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 - 方法工程(d)において、
(i) 方法工程(b)からのギ酸と水とを含有するフローを、方法工程(c)からのギ酸塩と水とを含有するフローと、塔又は蒸発器中で、水を蒸留により分離しながら混合して、ギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物にし、かつ
(ii) 工程(i)から得られたギ酸ギ酸塩と水とを含有する混合物から固体のギ酸ギ酸塩を噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化により析出させ、かつこれを単離することを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 - 方法工程(c)において、塩基性化合物として水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム及び/又はアンモニアを使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- ギ酸ギ酸塩として、ギ酸ギ酸カリウム、ギ酸ギ酸ナトリウム、ギ酸ギ酸カルシウム又はこれらの混合物を製造することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- ギ酸ギ酸塩として、二ギ酸カリウム、二ギ酸ナトリウム、四ギ酸ナトリウム又はこれらの混合物を製造することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- (a) ギ酸メチルエステルの加水分解のために適した反応器(A)と、
(b) ギ酸メチルエステル、ギ酸、メタノール及び水を含有するフローを、ギ酸メチルエステル、メタノール及びギ酸及び水を含有するフローに蒸留により分離するために適した、供給側で反応器(A)と接続している塔(B)と、
(c) ギ酸メチルエステルを塩基性化合物でけん化するため及びメタノールの蒸留による分離のために適した、供給側で塔(B)の塔頂と接続していてかつ前記の供給の上方に塩基性化合物用の供給箇所を有する塔(C)と、
(d) ギ酸と水とを含有するフローから水を分離するために適した、供給側で塔(B)の塔底と接続している塔(D)とを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のギ酸ギ酸塩を製造する装置。 - (e) ギ酸ギ酸塩の結晶化のために適した、供給側で塔(D)の塔底及び塔(C)の塔底と接続している装置(E)と、
(f) ギ酸ギ酸塩の結晶を分離するために適した、供給側で装置(E)と接続している装置(F)と、
(g) 母液を返送するために適した、装置(F)と塔(D)との間の接続導管(11)とを有する、
請求項9記載の装置。 - (e) 水性ギ酸塩の供給のために適した、塔(C)及び塔(D)の塔底間の接続導管(8)と、
(f) 噴霧造粒、噴霧乾燥又は溶融結晶化のために適した、供給側で塔(D)の塔底と接続している装置(E)とを有する、請求項9記載の装置。 - 植物性及び/又は動物性の材料の保存及び/又は酸性化のための、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造されたギ酸ギ酸塩の使用。
- バイオ廃棄物の処理のための、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造されたギ酸ギ酸塩の使用。
- 動物飼料中の添加物として及び/又は動物用の成長促進剤としての、請求項1から8までいずれか1項記載の方法により製造されたギ酸ギ酸塩の使用。
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