この課題は、主請求項の特徴を有する多段変速機によって解決される。有利な諸構成と諸展開は従属請求項から明らかとなる。
前文に係るテンベルゲ刊行物の先行技術から出発して、この多段変速機は切換可能な前置遊星歯車組と多部材で構成される切換可能な主遊星歯車組とを有し、主遊星歯車組は例えば2キャリヤ4軸遊星歯車列として構成されている。主遊星歯車組は少なくとも3つの相互に独立した入力要素を含む。主遊星歯車組の1入力要素は変速要素を介して変速機入力軸と結合可能である。主遊星歯車組の残り2つの入力要素は各1つの他の変速要素を介して前置遊星歯車組の出力要素と結合可能である。
つまりUS3941013Aの先行技術とは異なり、主遊星歯車組の変速機入力軸と結合可能な入力要素は前置遊星歯車組の出力要素とは決して結合できない。
テンベルゲの提案する前文に係るスケルトン図とは異なり、本発明によれば前置遊星歯車組はキャリヤを互いに結合された二重遊星を有する正固定変速比の切換可能なプラス歯車列として構成されている。前置遊星歯車組の1要素はブレーキを介して変速機ケースに、または変速機ケースと強固に結合された軸もしくはハブに、固定可能である。このブレーキは主に前置遊星歯車組の主遊星歯車組から離れた方の側に配置されている。
合計6つの変速要素の適宜な作動図表によって少なくとも6つの前進変速段が群シフトなしに切換可能である。つまり或る変速段から次に高い変速段または次に低い変速段に切り換えるとき、操作中の変速要素によってその都度1つの変速要素のみが解放され、他の1変速要素が締結される。
前置遊星歯車組の1要素を固定可能なブレーキは変速機の発進変速要素として設けておくことができ、これにより付加的発進要素、例えば流体トルクコンバータはもはや必要でなくなる。ブレーキを大きな直径に配置すると有利なことに、軸線方向構造空間需要が僅かであるにもかかわらず高いトルク伝達能力が可能となる。しかし本発明に係る多段変速機は任意実施の別の個別の発進要素と組合せることも当然可能である。
前置遊星歯車組を切換可能なプラス歯車列として構成すると有利なことに、前文に係る先行技術に比べて拡大された総変速比が、変わることなく好ましい変速範囲において可能となる。
前置遊星歯車組の1要素を固定可能なブレーキを前置遊星歯車組の主遊星歯車組から離れた方の側に空間的に配置すると、設計上単純で構造空間を節約する部材の相互配置が可能となる。例えばこのブレーキの回転する多板支持体は既存の変速機ケース壁の突起で、もしくは既存の変速機ケース壁と結合されたハブで、直接支承しておくことができる。ブレーキの圧媒供給部は単純にはこの突起もしくはこのハブに、または直接に変速機ケース壁にも、一体化することができる。
他の主要な経済的利点は、本発明に係る継続改良の基礎にある基本変速機の既存製造施設の多くが引き続き使用できる可能性である。というのも本発明に係る諸変更は変速機の駆動側部品にのみ関係しているからである。
本発明の好ましい1構成において、切換可能な前置遊星歯車組をその連結キャリヤを介して変速機入力回転数で駆動し、前置遊星歯車組のリングギヤを前置遊星歯車組の出力要素として、前置遊星歯車組の出力回転数を主遊星歯車組に伝達することのできる両方のクラッチの入力要素と結合することが提案される。この構成では前置遊星歯車組の太陽歯車が固定可能である。
本発明の別の1構成において、切換可能な前置遊星歯車組をその太陽歯車を介して変速機入力回転数で駆動し、そのリングギヤを前置遊星歯車組の出力要素として、前置遊星歯車組の出力回転数を主遊星歯車組に伝達することのできる両方のクラッチの入力要素と結合することが提案される。この構成では前置遊星歯車組の連結キャリヤが固定可能である。
主遊星歯車組は例えば、周知の如くに2キャリヤ4軸歯車列のごくコンパクトな構造態様であるラビニヨ歯車組として構成しておくことができる。プラス歯車列として構成される切換可能な前置遊星歯車組は当然に、少なくとも3つの互いに連結されていない入力要素を有する設計上別の遊星歯車組組合せとも組合せることができる。
以下、図1〜図34の図面を基に本発明が詳しく説明される。
すべての図において匹敵する部品の符号は同じように付けられてもいる。図1〜図33が扱う本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様では前置遊星歯車組がその連結キャリヤを介して駆動され、そのリングギヤが主遊星歯車組と結合可能、またその太陽歯車が固定可能である。図34、図35が扱う本発明に係る第2前置遊星歯車組変更態様では前置遊星歯車組がその太陽歯車を介して駆動され、そのリングギヤが主遊星歯車組と結合可能、またその連結キャリヤが固定可能である。
ところで図1は本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様の例示的スケルトン図を示す。符号1は例えば内燃エンジンのエンジン軸であり、これを介して多段変速機が駆動される。振動技術的絶縁のためにエンジン軸1と変速機入力回転数n−einで回転する変速機駆動軸3との間に通常のトーショナルダンパ2が設けられており、これは例えば2質量フライホイールとして構成しておくことができる。変速機被動回転数n−abで回転する変速機被動軸は符号4とされている。この変速機は、本発明によれば正固定変速比を有するプラス歯車列として構成される切換可能な前置遊星歯車組10と、例えばラビニヨ形式の2キャリヤ4軸歯車列として構成される切換可能な主遊星歯車組20とを有する。合計6つの変速要素A〜Fが設けられている。
RS1とも称される前置遊星歯車組10は太陽歯車11と内側および外側遊星歯車12、13とリングギヤ14とを含む。内側遊星歯車12のキャリヤ15と外側遊星歯車13のキャリヤ16は互いに強固に結合されている。駆動軸3は、空間的に見てエンジン軸1、従って駆動モータから離れた方の前置遊星歯車組10の側で、これらの連結キャリヤ15、16と結合されている。リングギヤ14は前置遊星歯車組10の出力要素を形成する。太陽歯車11はブレーキとして構成される第6変速要素Fを介して変速機ケース30に固定可能である。
主遊星歯車組20は2つの歯車組RS2、RS3を含む。歯車組RS2に太陽小歯車21と第1遊星歯車23が付設されている。歯車組RS3には太陽大歯車22と第2遊星歯車24が付設されている。符号27は共通するリングギヤである。第1遊星歯車23のキャリヤ25と第2遊星歯車24のキャリヤ26は互いに強固に結合されている。リングギヤ27は被動軸4と結合されている。連結キャリヤ25、26は一方で第3軸5と結合され、この第3軸5とクラッチとして構成される第5変速要素Eとを介して駆動軸3と結合可能であり、他方でブレーキとして構成される第4変速要素Dを介して変速機ケース30に固定可能である。主遊星歯車組20の太陽小歯車21は第1太陽軸6と結合されており、またこの第1太陽軸6とクラッチとして構成される第1変速要素Aとを介して前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合可能である。主遊星歯車組20の太陽大歯車22は一方で第2太陽軸7と結合され、またこの第2太陽軸7とクラッチとして構成される第2変速要素Bとを介して前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合可能であり、他方でブレーキとして構成される第3変速要素Cを介して変速機ケース30に固定可能である。
図1に示すラビニヨ歯車組としての主遊星歯車組20の構成は例示と見做すことができる。主遊星歯車組は個々の遊星歯車組の別の組合せで形成しておくこともできる。その際重要なのは、前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsが2つの変速要素(ここではクラッチA、B)を介して主遊星歯車組の互いに強固に結合されてはいない2種類の入力要素に伝達可能であり、また変速機入力回転数n−einが他の変速要素(ここではクラッチE)を介して主遊星歯車組の第3自由入力要素に伝達可能であることだけである。駆動部、前置遊星歯車組および主遊星歯車組の同軸配置はやはり例示と見做すことができる。本発明に係る多段変速機は当然に主遊星歯車組の出力要素と被動軸4との間に平ピニオンも有することができ、および/または前置遊星歯車組と主遊星歯車組との間に有角結合または軸線平行な結合も設けておくことができる。
同様に、図1と後続の図に示すような多板ブレーキとしてのブレーキC、Dの構成は例示と見做すことができる。当然にブレーキCおよび/またはブレーキDは、半径方向構造空間需要がごく僅かという周知の利点を有してバンドブレーキとしても実施しておくことができる。
図1で提案された実施例において第6変速要素Fは図示しないエンジンと前置遊星歯車組10との間に、エンジン側でトーショナルダンパ2に隣接して、変速機側では前置遊星歯車組10に直接隣接して、空間的に配置されている。変速要素A〜Eは前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に空間的に配置されている。クラッチEは前置遊星歯車組10に直接隣接している。前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16はクラッチEの外側多板支持体70と結合されている。実施例においてクラッチEの多板71は一方で前置遊星歯車組10のリングギヤ14等の類似の大きな直径に配置され、他方で主遊星歯車組20の方向でクラッチEに隣接するクラッチAの多板41よりも小さな直径に配置されている。前置遊星歯車組10の被動部は半径方向に見てクラッチEの上方でクラッチAの外側多板支持体40へと案内される。クラッチAの外側多板支持体40はやはりクラッチBの外側多板支持体60と結合され、それらの多板61は主遊星歯車組20の方向に見てクラッチAの多板41に直接続いている。
クラッチEをクラッチA、Bの半径方向下方に配置すると、エンジン軸1を介して導入される駆動トルクの伝達能力を確保して極力少ない多板数でクラッチEを構造長節約的に実施することも、また大抵の運転状態において前置遊星歯車組10を介して強化された駆動トルクの伝達能力を確保して極力少ない多板数でクラッチA、Bを構造長節約的に実施することも可能となる。両方のクラッチA、Bり入力要素を外側多板支持体40、60として構成すると、共通する部品としての設計上単純な実施が可能となる。軸線方向でクラッチBに続くブレーキC、Dの配置は、クラッチA、B、Eの前記配置と合わせて、ごくコンパクトな構造長節約的変速機構造をもたらす。
クラッチE、A、Bの内側多板支持体72、42、62はそれぞれ中心で内方に案内されており、クラッチEの内側多板支持体72は中心で変速機中心に延設される第3軸5と結合され、クラッチAの内側多板支持体42は第3軸5の半径方向上方に延設される第1太陽軸6と結合され、クラッチBの内側多板支持体62は第1太陽軸6の半径方向上方に延設される第3太陽軸7と結合されている。つまり第3軸5と両方の太陽軸6、7は同軸で直接上下に、実施例では駆動軸3と同軸かつ被動軸4と同軸に配置されている。第3軸5は、主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側で、ラビニヨ歯車組として実施される主遊星歯車組20の、その第3入力要素としての連結キャリヤ25、26と結合されている。このため第3軸5は主遊星歯車組20に中心で挿通されている。主遊星歯車組20の太陽大歯車22は主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10に向き合う側に配置され、‐主遊星歯車組20の第2入力要素として‐第2太陽軸7と結合されている。第1太陽軸6は同軸で第3軸5の上方を、主遊星歯車組20の内部を中心でその太陽小歯車21に至るまで通され、‐主遊星歯車組20の第1入力要素としての‐この太陽小歯車と結合されている。
前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側にブレーキFを空間的に配置すると有利なことに、5つの変速要素のみを有する基本変速機に比べて追加的な第6変速要素部品の設計上簡単な構造空間節約的相互配置が可能となる。図示実施例においてブレーキFの外側多板支持体80は変速機ケース壁31の軸線方向に延びる突起33に一体化されているが、しかし個別の部品として実施しておくこともでき、その場合この部品は変速機ケース壁31もしくは変速機ケース30と強固に結合されている。ブレーキFの内側多板支持体82は半径方向で駆動軸3の方向に前置遊星歯車組10の太陽軸85に至るまで延びており、この太陽軸は駆動軸3で支承され、またこの太陽軸を介して内側多板支持体82は前置遊星歯車組10の太陽歯車11と結合されている。しかし、回転する内側多板支持体82の支承部の別構成において、変速機ケース壁31の突起33上もしくは変速機ケース壁31と結合されたハブで内側多板支持体を直接支承することも予定することができる。図示実施例においてブレーキFを操作するためのサーボ機構83は内側多板支持体82と前置遊星歯車組10の太陽歯車11もしくは内側遊星歯車12との間に空間的に配置されている。ブレーキFのサーボ機構83への圧媒供給部は簡単にはこの突起33もしくはこのハブに一体化し、または変速機ケース壁31に直接一体化することもできる。
比較的小さな直径へのブレーキFのこの配置はトルク伝達のために確かに比較的多くの多板数、従ってブレーキFの比較的長い構造長を必要とするのではあるが、しかし有利なことにケース壁31の円筒形突起33の上方、つまりブレーキFの上方にトーショナルダンパ2を配置することができ、従ってトーショナルダンパ2の半径方向下方で構造空間を十分に利用することができる。
駆動軸3の入力回転数n−einは変速要素A〜Fを選択的に締結することによって、少なくとも6つの前進変速段が群シフトなしに切換可能であるように、つまり或る変速段から次に高い変速段または次に低い変速段に切り換えるとき操作中の変速要素によってその都度1つの変速要素のみ解放され、他の変速要素が締結されるように、被動回転数n−abで回転する被動軸4に伝達される。合計7つの前進変速段を有する図1による多段変速機の第1作動図表とこれに付属する変速比、ステップおよび変速範囲が図2Aに示してある。同様に、個々の歯車組RS1、RS2、RS3の固定変速比が示してある。テンベルゲの提案する7速変速機に比べて特に変速範囲が有利なことに著しく拡大している。達成される変速段区分は調和している。第1変速段から第2変速段へのステップはテンベルゲの提案する7速変速機に比べてそう大きくなく、従って一層好ましい。第5変速段は効率を最適化して直結変速段として設計されている。
直結変速段を単純に省くことによって、図1による多段変速機は好ましく区分された6速変速機としても運転することができる。図2Bには相当する第2作動図表とこれに付属する変速比、ステップおよび‐図2Aの第1作動図表に比べて変化のない‐変速範囲が示してある。
図2Aもしくは図2Bの作動図表から明らかとなるように、ブレーキFは、両方の走行方向で発進上重要な変速段に‐1速〜4速前進段と後退段に‐係合しているので、多段変速機の発進要素として設けておくことができる。これにより付加的発進要素、例えばトルクコンバータは省くことができる。
図3は同軸な駆動部、被動部を有する図1による多段変速機の第1部材配置変更態様を示している。図1で提案された部材配置に比べて特に変速要素F、A、Bの配置と変速要素A、Bの入力要素、出力要素の実施が変更されており、この入力要素、出力要素を介して前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsは主遊星歯車組20の第1、第2入力要素‐実施例では引き続き太陽小歯車21、太陽大歯車22‐に伝達可能である。多段変速機の駆動部、被動部の実施は図1のものと同じである。
図3から明らかとなるように、ブレーキFは前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側に、変速機ケース壁31に隣接して、しかしいまや極力大きな直径で変速機ケース30の外径に直接、少なくとも部分的に変速機ケース壁31の軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に延びる円筒形突起33の半径方向上方に、引き続き配置されている。簡単にはブレーキFの外側多板支持体80は変速機ケース30に一体化しておくことができ、ブレーキFを操作するためのサーボ機構83は変速機ケース壁31と内側多板支持体82との間の軸線方向室内に設けられている。変速機ケース壁31は当然に変速機ケース30の一部として、または変速機ケース30と強固に結合された個別の中間板として構成しておくことができる。ブレーキFの内側多板支持体82が円板状区域84を有し、この区域は中心で内方に案内され、前置遊星歯車組10の太陽軸85と結合されている。この太陽軸85は太陽歯車11と結合され、変速機ケース壁31の軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に延びる円筒形突起33で支承されている。変速機ケース壁31とブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84との間の軸線方向室内にブレーキFのサーボ機構83の個々の部品、例えばブレーキFのピストン戻しばねを単純に配置しておくことができる。ブレーキFを操作するための圧媒供給は有利な単純さでは相応に構成される通路を介して行うことができ、これらの通路は変速機ケース壁31の内部および/または変速機ケース壁31の円筒形突起33の内部に延設されている。多段変速機の駆動軸3は変速機ケース壁31の円筒形突起33内で支承しておくことができる。
第1変速要素Aの入力要素は外側多板支持体40として構成され、図1による配置とは異なりいまやクラッチBの内側多板支持体62と結合されており、この内側多板支持体は第2変速要素Bの入力要素を形成する。クラッチAが軸線方向でブレーキFに隣接しており、クラッチAの多板41は少なくとも部分的に前置遊星歯車組10の上方に配置され、ブレーキFの多板81よりも僅かに小さいだけの直径を有する。クラッチBの多板61は軸線方向でクラッチAの多板41と主遊星歯車組20との間に配置され、クラッチAの多板41と少なくとも近似的に同じ直径を有する。
第5変速要素Eは、軸線方向で前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間で前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16に隣接している。クラッチEの入力要素は外側多板支持体70として構成されている。クラッチEの内側多板支持体72は中心で変速機中心へと案内され、第3軸5と結合されている。第3軸5はやはり‐図1による配置におけると同様に‐主遊星歯車組20に中心で挿通され、主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側でその連結キャリヤ25、26と結合されている。主遊星歯車組20に対する3つのクラッチA、B、Eのパワーフロー的結合に応じてクラッチEはクラッチA、Bの空間的下方に配置されている。それにもかかわらずクラッチEの多板71の極力大きな直径を可能とするために、一方でクラッチAの内側多板支持体42として構成される出力要素の円筒形区域46は少なくとも部分的に軸線方向でクラッチEの半径方向上方に延設され、クラッチEの外側多板支持体70、多板71および内側多板支持体72に重なる。他方でクラッチAの出力要素の円筒形区域46は少なくとも部分的に軸線方向でクラッチBの半径方向下方、特に軸線方向でクラッチBの内側多板支持体62として構成される入力要素の円筒形区域64の半径方向下方に延設され、引き続き円板状区域47を介して中心で変速機中心に向かって第1太陽軸6まで案内される。この太陽軸はクラッチAの出力要素と主遊星歯車組20の第1入力要素との間に結合を実現し、同軸で第3軸5の上方に延設されている。それとともに第1変速要素Aの被動要素は第2変速要素Bの多板61の半径方向下方でクラッチ室に少なくとも部分的に挿通される。
クラッチAを操作するためのサーボ機構43は好ましくは前置遊星歯車組10と変速機ケース壁31との間に、特に前置遊星歯車組10とクラッチFの内側多板支持体82の円板状区域84との間に配置されている。その際、クラッチAの図示実施例において外側多板支持体40として構成される入力要素が円板状区域45を有し、この区域はブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接して中心で変速機中心に向かって支承区域に至るまで延設されている。この支承区域は前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承されている。内側多板支持体82の円板状区域84はリングギヤ11の円板状被動要素17を介して前置遊星歯車組10の出力部と結合されている。クラッチAのサーボ機構43は主に少なくとも部分的にクラッチAの入力要素のこの円板状区域45とリングギヤ14のこの円板状被動要素17との間に空間的に配置されている。クラッチAの動的圧力補償部も有することのできるサーボ機構43のこの配置は有利なことに、サーボ機構43が常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転するので、その非係合状態のときクラッチAのピストン室の空転(Leerlauf)を、もしくは圧力補償室の空転も、防止する。これにより、クラッチAの再係合時、特に非係合状態での長い滞留時間後、変速快適性が向上する。
クラッチBの出力要素は外側多板支持体60として構成されている。クラッチBのこの出力要素の円筒形区域66は主遊星歯車組20の方向に延びている。クラッチBの出力要素の、この円筒形区域66に続く少なくとも部分的に円板状の区域67は、ブレーキCの内側多板支持体と結合され、半径方向で変速機中心の方向に、第1太陽軸6で支承された第2太陽軸7に至るまで延び、この第2太陽軸7を介して主遊星歯車組20の太陽大歯車22と結合されている。付加的に第2太陽軸7は、ブレーキC、Dの間に空間的に配置される支承板35を介して変速機ケース30で支承されている。図示実施例において支承板35は変速機ケース30と結合された個別の部材として実施されている。支承板35と変速機ケース30との一体構成も当然に設けておくことができる。
クラッチBを操作するためのサーボ機構63は例えば軸線方向でクラッチBの多板61と主遊星歯車組20との間に、主にクラッチAのここで例示的に内側多板支持体42として構成される出力要素の円板状区域47に直接隣接して、配置されている。
クラッチEを操作するためのサーボ機構73は例えば軸線方向で前置遊星歯車組10とクラッチEの多板71との間に、特に前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20に向き合う側でその連結キャリヤ15、16に直接隣接して、配置されている。有利なことにサーボ機構73のピストン室と、クラッチEの設けられていることのある圧力補償室は常に変速機入力回転数n−einで回転し、これにより非係合状態におけるクラッチEのピストン室の意図せざる空転は、もしくは圧力補償室の意図せざる空転も、防止され、変速快適性が向上する。しかし別の構成において、クラッチEの多板71の主遊星歯車組20に向き合う側に、軸線方向でクラッチEの内側多板支持体72とクラッチAの出力要素の円板状区域47との間に、クラッチEのサーボ機構を配置することも予定しておくことができる。
図3に示した変速要素F、A、B、Eのこの配置によって有利なことに4つの変速要素F、A、B、Eのごく僅かな構造長‐特に極力少ない多板数‐が達成される。クラッチAの入力要素を外側多板支持体40として構成し、クラッチBの入力要素を内側多板支持体62として構成すると、例えば内側多板支持体62の適宜に構成される要素を外側多板支持体40の多板連行歯に掛けて外側多板支持体56内で軸線方向で固定することによって、両方の入力要素の間のトルク案内的結合部の設計上単純な実施が可能となる。
次に変速機断面の1区画を例示的細部構造として示す図4を基に、図3による第6変速要素Fの部材配置が詳しく説明される。変速機ケース30の‐図示しない‐駆動モータに向き合う領域に、変速機ケース30とねじ締結された中間板32が変速機ケースの外壁として配置されている。中間板32の中心領域で続く円筒形ハブ34は軸線方向で変速機ケース30の内室内に延び、中間板32とねじ締結されている。図示しない駆動モータと作用結合された多段変速機の駆動軸3は中間板32およびハブ34に中心で通され、それらのなかで支承されている。変速機側で駆動軸3は前置遊星歯車組10の入力要素としての連結キャリヤ15、16と結合され、また示唆されたそのサーボ要素73に至るまでこれ以上図示されてはいないクラッチEの入力要素としての外側多板支持体70と結合されている。駆動軸3に対する前置遊星歯車組10のトルク案内的結合は前置遊星歯車組10の中間板32から離れた方の側、つまり図示しない主遊星歯車組に向き合うその側で行われる。つまり駆動軸3は前置遊星歯車組10内に中心で延設され、前置遊星歯車組10の遊星歯車12、13の連結キャリヤ15、16と結合されている。連結キャリヤ15、16の中間板32に向き合う側で前置遊星歯車組10の太陽歯車11は駆動軸3で支承され、前置遊星歯車組10の‐駆動軸3と同軸な‐太陽軸85と結合されている。この太陽軸85自体はハブ34の相応に構成された円筒形区域において半径方向で回動可能に支承され、軸線方向で支えられている。太陽歯車11と太陽軸85は当然に一体に実施しておくこともできる。
ブレーキとして構成される第6変速要素Fは中間板32に隣接して配置されている。その際、ブレーキFの外側多板支持体80は個別部材として構成され、変速機ケース30の最大可能な内径で中間板32に直接隣接して配置され、変速機ケースとねじ締結されている。別の構成において、ブレーキFの外側多板支持体80を変速機ケース30に一体化し、つまりブレーキFの外側多板用連行歯を例えば変速機ケース30に流し込み成形することも当然予定することができる。ブレーキFのサーボ要素はピストン87と戻しばね88とを含む。ブレーキFのピストン87は中間板32に直接隣接している。本実施例においてピストン87は外側多板支持体80の円筒形区域と中間板32の円筒形区域との間の環状室内に軸線方向で移動可能に配置され、これら両方の円筒形区域に対して密封されている。つまり外側多板支持体80のこの円筒形区域、中間板32のこの円筒形区域、ピストン87、そして中間板32のピストン87に対して後方で垂直な区域が、ブレーキFのピストン室90を形成する。ブレーキFを操作するためにピストン室90は圧媒通路86を介して圧力を印加可能である。本実施例においてこの圧媒通路86は中間板32の内部に延設されている。
ブレーキFのピストン87の配置に関する別の構成において例えば、中間板32がピストン87を受容するための環状凹部を有することも予定しておくことができる。また中間板32は円板状の平らな第1板と円板状第2通路板とを有する2部分で実施しておくことができ、第2通路板の外径は同時にブレーキFのピストン室90の内径を形成する。同様に、中間板32に隣接するハブ34の円筒形区域はブレーキFのピストン室90の内径を形成することができる。ピストン室90の構成に応じて、つまり中間板32の領域でのその空間的配置に応じておよびその寸法に応じて、ピストン室90に至る圧媒通路86はハブ34の内部に延設することもできる。
本実施例においてピストン87の戻しばね88は皿ばねとして構成され、ハブ34の支持カラー89で支えられる。別の構成において戻しばね88用支持機構として例えば分割式円板を設けておくこともでき、この円板はハブ34の相応に構成される溝に嵌め込まれている。ピストン戻しばねの別の構造態様、例えば渦巻ばね束を設けておくことも当然可能である。
ブレーキFの多板81の半径方向下方に配置されるブレーキFの内側多板支持体82は少なくとも十分に円板状の区域84を有し、この区域は軸線方向で中間板32もしくは戻しばね88に隣接し、中心で駆動軸3の方向に前置遊星歯車組10の太陽軸85まで案内され、この太陽軸と結合されている。こうしてブレーキFの内側多板支持体82がハブ34で支承されている。
クラッチとして構成される第1変速要素Aの多板41は前置遊星歯車組10のリングギヤ14の少なくともかなり上方に配置されている。外側多板支持体40はクラッチAの入力要素を形成し、内側多板支持体42はその出力要素を形成する。多板41の中間板32から離れた方の側でクラッチAの外側多板支持体40は図示しないクラッチBの入力要素と結合されている。図4にはクラッチBのこの入力要素の円筒形区域64が図示されているだけである。
クラッチAのサーボ機構はブレーキFと前置遊星歯車組10との間に空間的に配置され、ピストン48とピストン48用戻しばね49と回転するクラッチAの動的圧力補償部用堰円板50とを含む。ピストン48は外側多板支持体40のピストン室51の内部に圧密に軸線方向で移動可能に配置されている。構造長節約的構造として堰円板50は前置遊星歯車組10のリングギヤ14と直接溶接され、クラッチAのピストン48に対して密封され、それとともに前置遊星歯車組10から離れる方のその側でピストン48とで圧力補償室52を形成する。例示的に皿ばねとして構成される戻しばね49はピストン48の相応に構成される軸線方向当接面と堰円板50との間で支えられる。クラッチAのピストン室51とクラッチAの動的圧力補償部用圧力補償室52とに対する圧媒供給は、駆動軸3、ハブ34および前置遊星歯車組10の太陽軸85内に延設される圧媒通路を介して行われる。クラッチAのピストン室51も圧力補償室52もブレーキF、特にそのピストン室80と前置遊星歯車組10との間に空間的に配置されている。圧力補償室52の別の構成において堰円板50は従来の如くに個別の円板として構成しておくこともでき、この円板は好適には、前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承される外側多板支持体40のハブ状区域において半径方向および軸線方向で固定されている。また、クラッチAのピストン戻しばねの別の構造態様、例えば渦巻ばね束を設けておくことができる。
クラッチAの外側多板支持体40として構成される入力要素は前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合され、少なくとも部分的に円板状の区域45を有し、この区域は‐ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接して‐中心で駆動軸3の方向に円筒形支承区域に至るまで延びており、この支承区域は軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に延び、前置遊星歯車組10の太陽軸85で回動可能に支承されている。この円筒形支承区域は同時にクラッチAのピストン室51の内径を形成する。クラッチAの外側多板支持体40はこの円筒形支承区域を介して円板状被動要素17と結合されており、この被動要素は前置遊星歯車組10の中間板32に向き合う側で前置遊星歯車組10の直接横に配置され、前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合されている。ピストン室51に対する圧媒供給と、圧力補償室52に対する潤滑油供給は駆動軸3、ケース側固定ハブ34、前置遊星歯車組10の太陽軸85、および外側多板支持体40の円筒形支承区域の相応に構成される穴を介して行われる。
つまりこれは、図4から明らかとなるように、第6変速要素Fと第1変速要素Aと前置遊星歯車組10とからなる構造群のごくコンパクトな構造空間節約的配置である。
ブレーキFのサーボ機構の変更された空間的配置を有する図4による細部構造の実施変更態様は図5を基に説明される。ブレーキFは引き続き大径にハブ34の半径方向上方に配置されており、このハブは軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に、変速機ケース30とねじ締結された中間板32に中心で隣接し、この中間板とねじ締結されている。また、ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84は引き続き空間的にブレーキFの多板81の下方で軸線方向で直接に隣接し、中間板32に対して十分に平行に駆動軸3の方向に中心で前置遊星歯車組10の太陽軸85に至るまで延びている。この太陽軸は‐駆動軸3と同軸に‐ハブ34で支承され、内側多板支持体82の円板状区域84と前置遊星歯車組10の太陽歯車11との間のトルク案内的結合部である。同様に、ブレーキFのサーボ機構は引き続きピストン87とピストン87の例示的に皿ばねとして実施された戻しばね88とを含む。
図4による例示的細部構造とは異なり、ブレーキFのサーボ機構83はいまやブレーキFの多板81の中間板32から離れた方の側に配置されており、この中間板は変速機ケース30の図示しない駆動モータに向き合う外壁を形成する。つまりブレーキFのサーボ機構はいまや一方で軸線方向でブレーキFの多板81と前置遊星歯車組10との間に、他方で軸線方向でブレーキFの多板81とクラッチAとの間にも、特にピストン48とピストン室51とによって代表されるクラッチAのサーボ機構に特に直接隣接して、配置されている。ブレーキFのピストン87はブレーキFの外側多板支持体80の環状凹部の内部に配置されている。つまりブレーキFのピストン室90はブレーキFの外側多板支持体80に一体化されている。ピストン室90内への圧媒供給用の圧媒通路86は同様に外側多板支持体80の内部に延設されている。
図6は、駆動部と被動部をやはり同軸に配置した図1による多段変速機の第2部材配置変更態様を示す。図3に示した部材配置とは異なり、図6では第1、第2変速要素A、Bの空間的配置が軸線方向で入れ替わっているだけである。
クラッチBはいまや軸線方向で、ブレーキとして構成される第6変速要素Fに隣接しており、クラッチBのサーボ機構63は少なくとも主に軸線方向でブレーキFと前置遊星歯車組10との間、特に軸線方向でブレーキFのサーボ機構83もしくはブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84と前置遊星歯車組10のリングギヤ14の円板状被動要素17との間に配置されている。クラッチBの多板61は少なくとも部分的に前置遊星歯車組10のリングギヤ14の上方に配置されている。
クラッチBの入力要素は外側多板支持体60として構成されている。クラッチBのこの入力要素の少なくとも十分に円板状の区域65は軸線方向でブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接しており、半径方向で変速機中心の方向に円筒形支承区域に至るまで延びており、この支承区域自体は前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承されている。この円筒形支承区域を介して外側多板支持体60は、前置遊星歯車組10の出力要素を形成するリングギヤ14の円板状被動要素17と結合されている。それとともにクラッチBのサーボ機構63は少なくとも部分的にクラッチBの入力要素の円板状区域65とリングギヤ14の円板状被動要素17との間に直接配置されている。クラッチBのサーボ機構63は当然に、多板62を操作するための機構の他に、クラッチB用動的圧力補償部も有することができる。
クラッチBのサーボ機構63をこのように実施して配置すると有利なことに、サーボ機構63が常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転するので、非係合状態のときクラッチBのクラッチ室もしくは圧力補償室の空転が防止される。これにより、クラッチBの再係合時、特に非係合状態での長い滞留時間後、変速快適性が向上する。
クラッチBの出力要素は内側多板支持体62として構成され、軸線方向で主遊星歯車組20の方向に延びてクラッチA、特にクラッチAの多板41に重なる円筒形区域66と、円筒形区域66に続きかつブレーキCの内側多板支持体102と第2太陽軸7とに結合される少なくとも部分的に円板状の区域67とを有する。
クラッチAは前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に配置され、クラッチAの多板41は軸線方向で前置遊星歯車組10とクラッチBの多板61とに隣接している。やはり前置遊星歯車組10に隣接して前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に配置されるクラッチEに対して相対的に、クラッチAの多板41は少なくとも部分的にクラッチEの多板71の半径方向上方に配置されている。
クラッチAの入力要素は内側多板支持体42として構成され、前置遊星歯車組10の出力要素としてのリングギヤ14と直接結合されている。クラッチAの出力要素は外側多板支持体40として構成され、円板状区域47を有し、この区域は中心で変速機中心に向かって第1太陽軸6に至るまで延設されており、この太陽軸を介して出力要素は主遊星歯車組20の太陽小歯車21と結合されている。つまりクラッチAの内側多板支持体42と多板41と外側多板支持体40がクラッチEに重なる。
クラッチAのサーボ機構43は単純には軸線方向でクラッチAの多板41の主遊星歯車組20に向き合う側に、クラッチAの多板41もしくはクラッチEの円板状内側多板支持体72とクラッチAの外側多板支持体40の円板状区域47との間で、主にこの部品に直接隣接して配置されている。
しかし別の構成において、クラッチAのサーボ機構43を軸線方向でクラッチAの出力要素の円板状区域47とクラッチBの出力要素の円板状区域67との間に、主にこの部品に直接隣接して配置することも予定することができ、その際クラッチAのピストンは軸線方向で前置遊星歯車組10の方向にクラッチAの外側多板支持体40に半径方向で被さり、かつクラッチAの多板41を前置遊星歯車組10に向き合うその側から操作する。
図6による例示的部材配置から導き出して図7はクラッチA、Bのサーボ要素43、63の配置の他の構成を示す。前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20とに対して相対的な、また別の変速要素C〜Fに対して相対的な、両方のクラッチA、Bの多板41、61の空間的配置に変化はない。同様に内側多板支持体42と外側多板支持体60はクラッチA、Bの各入力要素を、また外側多板支持体40と内側多板支持体62はクラッチA、Bの各出力要素を引き続き形成する。
図6とは異なりいまやクラッチAのサーボ機構43は前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側に、軸線方向でクラッチBのサーボ機構63とリングギヤ14の円板状出力要素17との間に主にサーボ機構63および円板状出力要素17に直接隣接して配置されている。つまりクラッチAの多板41は主遊星歯車組20から離れた方の側から操作される。サーボ機構43の操作要素は前置遊星歯車組10のリングギヤ14に被さり、‐クラッチAの内側多板支持体42として構成される入力要素のリングギヤ14と結合される円筒形区域44の半径方向上方、そしてクラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素の円筒形区域66の半径方向下方で‐軸線方向でクラッチAの多板41に至るまで延びている。クラッチA、Bのサーボ機構43、63のこの配置において有利なのはクラッチBの外側多板支持体60の内部でのそれらの相互配置であり、これにより構造群として簡単な予備組付けが可能である。
図6、図7の別の部品の配置は図3に示した配置に一致するので、ここではさらに詳しい説明は省くことができる。
遊星歯車組と変速要素との図6もしくは図7に示すこの配置によって、有利なことに‐図3で提案された配置におけると同様に‐同軸な駆動部、被動部を有する多段変速機のごく僅かな構造長が達成される。
図8は、先に図6で述べた第2部材配置変更態様を基にした、本発明に係る第1前置歯車組変更態様を有する多段変速機の例示的第3部材配置変更態様を示す。図6に比べて実質的にブレーキCの配置が相違しているにすぎず、このブレーキはいまや軸線方向でブレーキFとクラッチBとの間に、つまりクラッチBの主遊星歯車組20から離れた方の側に配置されている。ブレーキCは主にブレーキFに隣接して配置されている。ブレーキCの多板101は例えばブレーキFの多板80と同じ直径を有し、半径方向に見て少なくとも部分的に前置遊星歯車組10の上方に配置されている。図示実施例において両方のブレーキC、Fの外側多板支持体100、80は一体な部品として構成されて変速機ケース30と強固に結合されている。別の構成において両方のブレーキC、Fの外側多板支持体100、80は当然に変速機ケース30に一体化しておくこともできる。
図示実施例においてブレーキC、Fのサーボ機構105、83はそれらに共通する外側多板支持体に一体化されている。つまりブレーキCのサーボ機構105はブレーキCの多板101を主遊星歯車組20の方向に操作し、ブレーキFのサーボ機構83はブレーキFの多板81を逆方向に、つまり多板81が直接隣接している変速機ケース壁31の方向に操作する。別の構成においてブレーキCのサーボ機構105は当然に、多板101の主遊星歯車組20に向き合う側にも配置しておくことができる。同様に、別の構成においてブレーキFのサーボ機構83も‐図6と同様に‐変速機ケース壁31とブレーキFの多板81との間に配置しておくことができる。
両方のブレーキC、Fの外側多板支持体に一体化されたサーボ機構を有する両方のブレーキC、F用の一体な外側多板支持体の図8に示す実施は、全体としてきわめてコンパクトで簡単に予備組付け可能な構造群を生じる。
ブレーキCの内側多板支持体102が十分に円筒形の区域103を有し、この区域は軸線方向でクラッチBの例示的に外側多板支持体60として構成される入力要素の円筒形区域65の半径方向上方を延び、かつクラッチBの多板61の領域でクラッチBの出力要素の円筒形区域66と結合されており、この出力要素は例えば内側多板支持体62として構成され、かつ軸線方向で主遊星歯車組20の方向にクラッチAに半径方向で重なる。つまりブレーキCの内側多板支持体102はクラッチBの多板61を完全に越え出ている。クラッチAの多板41は有利には少なくともクラッチBの多板61とほぼ同じ直径を有する。製造技術上好ましくは両方のクラッチA、B内に例えば同じ多板を嵌挿しておくこともできる。
駆動部と被動部が同軸ではない本発明に係る多段変速機の他の各種部材配置変更態様が図9〜図33に示してある。まず図9は、先に図6で同軸な駆動部、被動部について述べた部材配置を基にした、本発明に係る第1前置歯車組変更態様を有する多段変速機の例示的第4部材配置変更態様を示す。
図9から明らかとなるように、前置遊星歯車組10と変速要素F、B、A、E、Cとからなる構造群と変速機ケース30内でのそれらの配置は、そして主遊星歯車組20に対するそれらのパワーフロー的結合も、図6に比べて変更がない。すなわち、エンジン軸1と支承板35もしくは支承板35内で支承される3つの軸5、6、7との間の変速機区域全体は同一である。例示的に提案された主遊星歯車組20としてのラビニヨ歯車組と3つの軸5、6、7に対するその結合は、やはり図6と同一である。主遊星歯車組20のリングギヤ27はその出力要素を形成し、いまや、主遊星歯車組20と同軸に配置される平歯車9を介して被動軸4と結合されている。主遊星歯車組20の被動部はエンジン軸1もしくは駆動軸3と同軸でなく、主にエンジン軸1もしくは駆動軸3に直角である。すなわち、被動軸4はエンジン軸1もしくは駆動軸3と平行である。それとともに本提案多段変速機は車両縦方向を横切って組付けられた駆動モータを有する自動車用に特に適している。好ましくは平歯車9は相応に構成された支承ユニットを介して軸線方向および半径方向で、ブレーキCの主遊星歯車組20に向き合う側に配置される既存の支承板35で支承されている。つまり平歯車は支承板35と主遊星歯車組20との間に直接配置されている。
主遊星歯車組20の連結キャリヤ25、26を固定可能なブレーキDはいまや主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側に、変速機ケース30の外壁に隣接して配置されている。ブレーキDの極力僅かな多板数、従って多段変速機用に好ましい組付条件を達成するために、ブレーキDの多板は極力大きな外径で主遊星歯車組20の半径方向上方に配置されている。ブレーキDのサーボ機構は主に平歯車9もしくは被動軸4とブレーキDの多板との間に配置しておくことができる。例えばブレーキDのサーボ機構は変速機ケース30の外壁に一体化しておくこともでき、この外壁は主遊星歯車組20のエンジンから離れた方の側で主遊星歯車組20に隣接しており、この外壁は蓋として構成しておくこともできる。
図9に示す例示的多段変速機においてトーショナルダンパ2、従って図示しない駆動モータは多段変速機の第6変速要素が配置されている側に配置されている。つまりトーショナルダンパ2と駆動モータは主遊星歯車組20よりも前置遊星歯車組10に近接させて配置されている。
次に図10は、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第5部材配置変更態様を示す。予定されている変速機構造のこの基本設計ではブレーキFと前置遊星歯車組10とクラッチA、BとブレーキCが変速機ケース30の第1部分内に一緒に配置され、この第1部分が変速機ケース壁31と支承板35との間を延びている。同様に被動軸4を有する平歯車9と主遊星歯車組20とブレーキDとクラッチEは変速機ケース30の第2部分内に一緒に配置されており、この第2部分は支承板35から蓋36に至るまで延びており、この蓋は変速機ケース壁31に対峙する変速機ケース30の側に配置されている。蓋36と変速機ケース30は当然に一体に実施しておくこともできる。
つまり本発明に係る多段変速機の前記すべての実施形態とは異なり、主遊星歯車組20の第3入力要素に変速機入力回転数n−einを印加可能な第3変速要素Eはいまや主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側に配置されている。図示実施例において主遊星歯車組20とクラッチEは前置遊星歯車組10のエンジン軸1から離れた方の側に配置されている。クラッチEは変速機ケース30のケース壁に直接隣接しており、このケース壁は変速機ケース30のエンジン軸1とは逆の側に配置されている。つまり多段変速機の駆動軸3は変速機に中心で蓋36に至るまで完全に挿通されている。変速機の組立てを簡素化するために駆動軸3は当然に多部材で実施しておくこともできる。
ブレーキFの配置は図3で述べた配置に十分一致している。図10から明らかとなるようにブレーキFは引き続き前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側に、変速機ケース30の変速機ケース壁31に隣接して、極力大きな直径で変速機ケース30の外径に直接配置されている。ブレーキFの外側多板支持体80は単純には変速機ケース30に一体化しておくことができる。ブレーキFを操作するためのサーボ機構83は変速機ケース壁31と内側多板支持体82との間の軸線方向室内に設けられている。変速機ケース壁31は当然に、変速機ケース30と強固に結合された個別の中間板として構成しておくこともできる。ブレーキFの内側多板支持体82が円板状区域84を有し、この区域は中心で内方に延び、前置遊星歯車組10の‐この例では短い‐太陽軸85と結合されている。この太陽軸85は前置遊星歯車組10の太陽歯車11と結合され、軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に延びる変速機ケース壁31の円筒形突起33で支承されている。つまりブレーキFのサーボ機構83は特に変速機ケース壁31とブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84とに隣接している。ブレーキFを操作するための圧媒通路は変速機ケース壁31および/または円筒形突起33の内部に延設することができる。
前置遊星歯車組10は軸線方向でブレーキFに直接、特に内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接しており、ブレーキFの多板81は少なくとも部分的に構造空間節約的にも前置遊星歯車組10のリングギヤ14の上方に配置しておくことができる。多段変速機の駆動軸3は例えば変速機ケース壁31の円筒形突起33内で支承され、前置遊星歯車組10のブレーキFから離れた側でその連結キャリヤ15、16と結合されている。
クラッチA、Bは前置遊星歯車組10のブレーキFから離れた方の側で前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に空間的に配置されている。クラッチA、Bの多板41、61は空間的に少なくとも十分に上下に配置されており、クラッチBの多板61はクラッチAの多板41よりも大きな直径を有する。両方のクラッチA、Bの入力要素は外側多板支持体40、60として構成され、両方のクラッチの出力要素は内側多板支持体42、62として構成されている。
クラッチBの入力要素は外側多板支持体60として、円板状区域65を有して主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成されており、このシリンダは前置遊星歯車組10に直接、特に前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16に隣接し、前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合されている。この円板状区域65は半径方向で変速機中心軸線に向かって延び、軸線方向で主遊星歯車組20の方向に延びる支承区域を介して駆動軸3で支承されている。クラッチAの入力要素としての外側多板支持体40は同様に主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成されている。クラッチAのこの入力要素の円板状区域45は半径方向で変速機中心軸線に向かって駆動軸3上のクラッチBの外側多板支持体60の支承区域に至るまで延びている。外側多板支持体60のこの支承区域の領域においてクラッチA、Bの両方の外側多板支持体40、60が互いに結合されている。
クラッチAの内側多板支持体42は主として円板状に構成され、中心で変速機中心軸線に向かって第1太陽軸6に至るまで案内されており、本実施例においてこの太陽軸は駆動軸3で直接支承され、クラッチAの出力要素を主遊星歯車組20の太陽小歯車21と結合する。クラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素は軸線方向で主遊星歯車組の方向に延びる短い円筒形区域66と円筒形区域66に続く円板状区域67とを含み、この円板状区域はブレーキCの内側多板支持体102と結合され、かつ中心で変速機中心軸線の方向に第2太陽軸7に至るまで延びており、この第2太陽軸は同軸で第1太陽軸6の上方に延設され、第1太陽軸で支承され、かつクラッチBの出力要素を主遊星歯車組20の太陽大歯車22と結合する。
クラッチBのサーボ機構63は軸線方向でクラッチBの外側多板支持体60として構成される入力要素の円板状区域65とクラッチAの外側多板支持体42として構成される入力要素の円板状区域45との間に、主にこれら両方の円板状区域65、45に直接隣接して配置されている。クラッチAのサーボ機構43は軸線方向でクラッチAの入力要素の円板状区域45とクラッチAの主として円板状の内側多板支持体42との間に、主に円板状区域45に直接隣接して配置されている。
つまりクラッチAはクラッチBのクラッチ室の完全に内側にあり、このクラッチ室はクラッチBの円筒形外側多板支持体60と内側多板支持体62の円筒形区域66とによって形成される。
有利なことにクラッチA、Bの両方のサーボ機構43、63は常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。これにより、非係合状態のとき両方のクラッチA、Bのピストン室は‐そしてそれが設けられている限りで圧力補償室も‐空転が防止され、それとともに再係合時の変速快適性が向上する。
支承板35はブレーキCとクラッチBの出力要素の円板状区域67とに軸線方向で主遊星歯車組20の方向で続いている。図示実施例において支承板35は個別の部材として構成されて変速機ケース30と結合されており、第2太陽軸7の付加的支承も平歯車9の支承も引き受ける。この平歯車は支承板35の主遊星歯車組20に向き合う側で支承板35に直接隣接している。
図10についての説明の冒頭で既に触れたように、主遊星歯車組20とブレーキDとクラッチEはやはり支承板35の前置遊星歯車組10から離れた方の側に配置されている。主遊星歯車組20は平歯車9と平歯車9と作用結合された被動軸4とに直接隣接している。つまり主遊星歯車組20は平歯車9の支承板35から離れた方の側に配置されている。リングギヤ27は引き続き主遊星歯車組20の出力要素を形成し、平歯車9と結合されている。例示的ラビニヨ歯車組の連結キャリヤ25、26を固定可能なブレーキDは多板節約的、従って構造長節約的に主遊星歯車組20のリングギヤ27の半径方向上方に配置されている。クラッチEが変速機ケース30のケース外壁に直接隣接しており、このケース外壁は変速機ケース30の変速機ケース壁31に対峙する側にある。多段変速機の駆動軸3は主遊星歯車組20に中心で挿通され、主遊星歯車組20の平歯車から離れた方の側でクラッチEの外側多板支持体70と結合されている。クラッチEの外側多板支持体70は主に、主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成されている。クラッチEの多板71は主に大きな直径に配置されており、その結果、多板数が少ない。内側多板支持体72はクラッチEの出力要素を形成し、主遊星歯車組20の連結キャリヤ25、26と結合されている。クラッチEのサーボ機構73は例えば円筒状外側多板支持体70の内部に配置され、軸線方向でクラッチEの内側多板支持体72に隣接している。つまりクラッチEのサーボ機構73は有利なことに常に変速機入力回転数n−einで回転し、これによりクラッチEのピストン室の空転は、‐そしてそれが設けられている限りでクラッチEの動的圧力補償部の圧力補償室の空転も‐防止される。
図10の部材配置の1構成において、主遊星歯車組20とクラッチEが配置されている多段変速機の側に、つまり主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側、クラッチEの主遊星歯車組20から離れた方の側に、エンジン軸1、従って図示しない駆動モータを配置することも予定しておくことができる。この構成では蓋36が相応に変速機ケース壁31に配置され、この変速機ケース壁に第6変速要素Fが隣接している。蓋36と変速機ケース壁31は当然に一体に実施しておくこともできる。主遊星歯車組20のエンジン近接配置は多部材からなる主遊星歯車組20の領域で騒音放出面が低減するので音響学上の諸利点を有し、主遊星歯車組20がラビニヨ歯車組として構成されている場合特に好ましい。ラビニヨ歯車組は2キャリヤ4軸歯車列のごくコンパクトな構造空間節約的実施ではあるが、しかし知られているように多段遊星の作製のゆえに音響学上懸念がある。
図10で述べた例示的部材配置から導き出して、図11と図12はクラッチA、Bのサーボ要素43、63の空間的配置に関する2種類の構成を示す。前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20に対して、平歯車9および別の変速要素C〜Fに対して相対的な両方のクラッチA、Bの多板41、61の空間的配置は図10の配置に比べて変化がない。同様に引き続き外側多板支持体40、60がクラッチA、Bの各入力要素を形成し、内側多板支持体42、62が各出力要素を形成する。
図10とは異なり図11による構成では、クラッチAの多板41の前置遊星歯車組10から離れた方の側に、軸線方向でクラッチAの内側多板支持体42に直接隣接して、特にクラッチAの内側多板支持体42として構成される出力要素の円板状区域47に直接隣接して、クラッチAのサーボ機構43を配置することが提案される。つまりクラッチAの多板41はいまや前置遊星歯車組10から離れた方の側から操作される。
さらに図11による構成では、クラッチBのサーボ機構63が少なくとも部分的に軸線方向で主遊星歯車組20の方向でクラッチAのサーボ機構43に直接隣接し、クラッチBのサーボ機構63の操作要素がクラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素の円筒形区域66の半径方向下方、但しクラッチAのサーボ機構43および外側多板支持体40の半径方向上方を、軸線方向で前置遊星歯車組10の方向に延び、クラッチBの多板61をその内径の方から取り囲み、前置遊星歯車組10に向き合う側から多板61を操作することが提案される。クラッチBのサーボ機構63は主遊星歯車組20に向き合うその側でクラッチBの内側多板支持体62の円板状区域67に隣接している。
つまりクラッチA、Bの両方のサーボ機構43、63は有利なことにクラッチBの円筒形に構成される内側多板支持体62の内部に、両方のクラッチA、Bの内側多板支持体42、62と一緒に構造群として予め組付けることができる。
第5変速要素Eのサーボ機構73の図10に対する選択的配置がやはり図11に例示されている。サーボ機構73はいまや変速機ケース30の蓋36として構成される外壁に直接隣接し、この外壁は多段変速機の変速機ケース壁31に対峙する側にある。図示実施例において蓋36は個別部材として構成され、変速機ケース30と結合されている。しかし、蓋36と変速機ケース30を一体に実施することも予定しておくことができる。つまりクラッチEのサーボ機構73はもはやクラッチEの円筒形外側多板支持体70の内部に配置されてはいない。この構成ではサーボ機構73の操作要素は軸線方向で外側多板支持体70の半径方向上に被さり、クラッチEの多板71を平歯車9に向き合うその側から操作する。
クラッチEのサーボ機構73の図10に示す例示的配置は当然にサーボ機構73の図11に示す配置に取り替えることができる。後続の図12〜図16にそれぞれ示すサーボ機構73の例示的配置にも同じことがあてはまる。
まず図12はクラッチA、Bのサーボ要素43、63の空間的配置に関して図10に対する選択的な第2構成を示す。クラッチBのサーボ機構63の空間的配置は図10に示す配置に一致している。図10とは異なり、クラッチAのサーボ機構43はいまやクラッチBのサーボ機構63に直接隣接している。つまりクラッチBのサーボ機構63はクラッチAのサーボ機構43よりも前置遊星歯車組10に近接して配置されている。クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの外側多板支持体40および多板41の前置遊星歯車組10に向き合う側に、主に外側多板支持体40の円板状区域45に直接隣接して、空間的に配置されている。この配置ではクラッチAのサーボ機構43の操作要素は‐クラッチBの多板61の半径方向下方を‐軸線方向で主遊星歯車組20の方向にクラッチAの外側多板支持体40および多板41の半径方向上に被さり、多板41を前置遊星歯車組10から離れた方のその側から操作する。
つまりクラッチA、Bの両方のサーボ機構43、63は少なくとも主としてクラッチBの円筒形外側多板支持体60の内部に配置され、簡単にクラッチA、Bの両方の外側多板支持体40、60と一緒に構造群として予め組付けることができる。図10による配置におけると同様に、両方のサーボ機構43、63が常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転し、これにより非係合状態におけるクラッチA、Bのピストン室もしくは圧力補償室の空転は防止される。
次に図13は本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第6部材配置変更態様を示す。変速機構造のこの基本設計は、先に図10を基に詳しく説明した設計に実質的に一致している。ブレーキF、前置遊星歯車組10、クラッチA、クラッチBおよびブレーキCは一緒に変速機ケース30の第1部分内に配置されており、この第1部分は変速機ケース壁31と支承板35との間を延びている。同様に平歯車9、被動軸4、主遊星歯車組20、ブレーキDおよびクラッチEは一緒に変速機ケース30の第2部分内に配置されており、この第2部分は支承板35から蓋36に至るまで延びており、この蓋は変速機ケース30の変速機ケース壁31に対峙する側に配置されている。変速機ケース30の第2部分の内部での平歯車9、被動軸4、主遊星歯車組20、ブレーキDおよびクラッチEの部材配置は完全に図10から引き継がれている。駆動軸3、第1太陽軸6および第2太陽軸7に対する主遊星歯車組20およびクラッチEのパワーフロー的結合がやはり図10から引き継がれており、同軸で上下に延設される3つの軸3、6、7はすべて支承板35に中心で延設される。
変速機ケース30の第1部分の内部では、変速機ケース壁31に直接隣接するブレーキFの図13に示す配置は図10で説明した配置に一致している。ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84は変速機ケース壁31に沿って半径方向で駆動軸3の方向に前置遊星歯車組10の太陽軸85に至るまで延びており、この太陽軸は駆動軸3の上方で、変速機ケース壁31の前置遊星歯車組10に向かって延びる円筒状突起33で支承されている。太陽軸85は前置遊星歯車組10の太陽歯車11と結合されている。前置遊星歯車組10は‐図10におけると同様に‐軸線方向で支承板35もしくは主遊星歯車組20の方向でブレーキFの横に配置され、その入力要素は主遊星歯車組20に向き合うその側で駆動軸3と結合されているが、しかしもはやブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接しているのではない。
クラッチBの前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合される入力要素はいまや内側多板支持体62として構成されている。クラッチBの多板61は少なくとも部分的にリングギヤ14の半径方向上方に配置されている。クラッチBの出力要素は外側多板支持体60として、主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成され、円筒形区域66を有する。この区域は変速機ケース30の第1部分の他の領域内で軸線方向にブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84からブレーキCの多板101に至るまで延びている。ブレーキCは支承板35の前置遊星歯車組10に向き合う側に直接隣接している。円筒形区域66の一部はブレーキFの多板81の半径方向下方に延設されている。外側多板支持体60の変速機ケース壁31に向き合う側で円筒形区域66にクラッチBの出力要素の円板状区域67が続いており、この円板状区域は‐ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接して‐駆動軸3の方向に支承区域に至るまで中心を延びており、この支承区域は前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承されている。クラッチBの円筒形外側多板支持体60の開口側で円筒形区域66がブレーキCの内側多板支持体102と結合されており、このブレーキが円板状区域104を有し、この区域が中心で内方に第2太陽軸7に至るまで案内されており、この太陽軸を介して円板状区域は主遊星歯車組20の第2入力要素と結合されている。本実施例において第2太陽軸7は第1太陽軸6の上方で同軸で支承されているが、しかし付加的にまたは専ら支承板35内で支承しておくこともできる。
クラッチBのサーボ機構63は軸線方向でクラッチBの外側多板支持体60として構成される出力要素の円板状区域67と前置遊星歯車組10との間に、主にこれに直接隣接して配置されている。サーボ機構63の不可避な構造幅のゆえにクラッチBの外側多板支持体60の支承ベースは有利には比較的幅広でもある。
前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20に向き合う側にクラッチAは前置遊星歯車組10に隣接して配置されている。クラッチAの外側多板支持体40はその入力要素として前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合され、主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成されている。クラッチAの入力要素は円筒形区域44と円板状区域45とを含む。円板状区域45は前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16に隣接し、駆動軸3の方向で支承区域に至るまで中心を延びている。この支承区域は主に駆動軸3の外径の僅か上にあり、駆動軸3で支承しておくこともできる。クラッチAの出力要素は本実施例において少なくとも殆ど円板状に構成される内側多板支持体42として構成されており、この内側多板支持体は中心で駆動軸3の方向で、クラッチAの外側多板支持体60を支承する支承区域に至るまで、そして第1太陽軸6に至るまで延びている。この太陽軸は駆動軸3で支承され、クラッチAの内側多板支持体42を主遊星歯車組20の第1入力要素と結合する。
クラッチAのサーボ機構43は空間的に前置遊星歯車組10とクラッチAの多板41との間に、完全にクラッチAの円筒形外側多板支持体40の内部に、主にクラッチAの入力要素の円板状区域45に直接隣接して配置されている。つまりクラッチAのサーボ機構43は有利なことに常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。
図13に示した例示的部材配置を基に次に図14と図15はクラッチA、Bのサーボ機構43、63の配置について2つの構成を示す。図14に示すように第1構成では、‐クラッチBの多板61の位置をそのままにして少なくとも部分的に前置遊星歯車組10の半径方向上方で‐前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20に向き合う側に、軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチAに隣接して、クラッチBのサーボ機構63を配置することが提案される。クラッチBのサーボ機構63の一部は主にクラッチAのほぼ円板状に構成される内側多板支持体42に直接隣接している。サーボ機構63の操作要素は半径方向で、クラッチAの入力要素を形成する外側多板支持体40とクラッチBの外側多板支持体60として構成される出力要素の円筒形区域66との間を、軸線方向で前置遊星歯車組10の方向にクラッチBの多板61に至るまで延びている。つまりクラッチBの多板61は、図13とは異なり、いまや主遊星歯車組20に向き合うその側から操作される。
同様に、クラッチBの外側多板支持体60は前置遊星歯車組10もしくは変速機ケース壁31の方向に開口したシリンダとして構成されている。クラッチBの出力要素の円筒形区域66に、支承板35に隣接して、クラッチBの出力要素の少なくとも部分的に円板状の区域67が続き、その外径領域でブレーキCの内側多板支持体102と結合され、その内径領域では第2太陽軸7と結合されている。好ましい仕方で外側多板支持体60は比較的幅広の支承部を介して支承板35の円筒形突起で支承されており、この突起は前置遊星歯車組10の方向に延びている。
図14から明らかとなるように、ブレーキFのサーボ機構83はクラッチBのサーボ機構63の別の空間的配置のゆえに図13による基礎となる配置におけるよりもいまや前置遊星歯車組10に一層接近している。特にブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84はいまや軸線方向で前置遊星歯車組10に直接隣接している。
有利なことにこの配置は個々の部品の簡単な組付け可能性を可能とする。クラッチBの円筒形外側多板支持体60は、主に同時にブレーキCの内側多板支持体102を形成し、クラッチAのサーボ機構43、多板41および内側多板支持体42と共に、クラッチBの内側多板支持体62と一緒に第1構造群として予め組付けることができ、また円筒形外側多板支持体60はブレーキBのサーボ機構63および多板61と共に第2構造群として予め組付けることができる。引き続きこれら両方の構造群は単純に組み立て、構造群全体として変速機ケース30に組込むことができる。
図15には、図13と図14による前記部材配置から離れてクラッチA、Bのサーボ機構43、63の空間的配置の第2構成として、両方のクラッチA、Bの各多板41、61はいまや支承板35もしくは主遊星歯車組20に向き合うその側から操作することが提案される。遊星歯車組および別の変速要素に対して相対的な多板41、61の空間的位置は少なくとも十分に図13、図14と同一である。
クラッチBの外側多板支持体60の図15に示す構成と空間的配置、そして円筒形外側多板支持体60の内部でのクラッチBのサーボ機構63の空間的配置は、完全に図14から引き継がれたものである。図14とは異なり、図13とも異なり、図15では、クラッチAのサーボ機構43は多板41の前置遊星歯車組10から離れた方の側に、クラッチAの多板41とクラッチBのサーボ機構63との間、主に軸線方向でクラッチAの内側多板支持体42として構成される出力要素の円板状区域47に直接隣接して配置されるようになっている。従ってクラッチA、Bのサーボ機構43、63はいまや相並んでおり、クラッチAは完全にクラッチBのクラッチ室の内部に配置されており、このクラッチ室はクラッチBの円筒形外側多板支持体60によって形成される。
クラッチAおよびクラッチBの部品の図15で提案される相互配置は1構造群として両方のクラッチA、Bのごく簡単な予備組付けを可能とする。
次に図16は、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線並行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第7部材配置変更態様を示す。図16で提案される変更態様は先に図14で述べた部材配置から殆ど出発している。クラッチAの入力要素、出力要素の構成と、そこから生じるクラッチAのサーボ機構43の有意な配置が主として異なっている。クラッチAの入力要素はいまや内側多板支持体42として構成され、クラッチBの前置遊星歯車組10の上方に配置される内側多板支持体62に軸線方向で主遊星歯車組20の方向に続いている。クラッチAの外側多板支持体40はその出力要素を形成し、前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダとして実施されている。同様に、クラッチAの出力要素の円筒形区域46はクラッチBの円筒形外側多板支持体60の半径方向下方で、軸線方向で支承板35もしくは主遊星歯車組20の方向に、クラッチBの円筒形外側多板支持体60の内部に配置されるサーボ機構63に至るまで延びている。この円筒形区域46にクラッチAの出力要素の円板状区域47が続き、中心で内方に第1太陽軸6に至るまで延びている。この太陽軸を介してクラッチAの外側多板支持体40が主遊星歯車組20の第1入力要素と結合されている。クラッチAの外側多板支持体40は主にクラッチBの多板61の内径よりも小さな外径を有する。
クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの多板41とクラッチAの外側多板支持体40として構成される出力要素の円板状区域47との間に、主に円板状区域47に直接隣接して、空間的に配置されている。従ってクラッチAはクラッチBの円筒形外側多板支持体60によって形成されるクラッチ室の完全に内部に配置されている。
図16で提案される部材配置は特に両方のクラッチA、Bの所要空隙の簡単な調節を可能とする。第1クラッチAのサーボ機構43および多板41で予め補完された外側多板支持体40はクラッチBのサーボ機構63および多板61で予め補完された外側多板支持体60に簡単に組込むことができる。引き続くクラッチA、Bの内側多板支持体42、62の各多板束内での組立は、内側多板支持体42、62が一体に実施されていることによって、再度簡素化することができる。
ブレーキFのサーボ機構83の配置に関する変更態様として例えば、いまや内側多板支持体82と前置遊星歯車組10との間にこのサーボ機構を配置することが提案される。つまり図1、図5による実施例におけると同様に、ブレーキFの多板81は変速機外壁31の方向に操作される。多板81とは逆方向でサーボ機構を支えるために本実施例ではシリンダ39が変速機ケース30と結合して設けられており、このシリンダが有する垂直壁は軸線方向で多板81とは逆方向でサーボ機構83に直接隣接している。シリンダ39がブレーキFの外側多板支持体80を受容する。シリンダ39と外側多板支持体80は当然に、例えば図5で提案されたように一体に構成しておくこともできる。また、シリンダ39は変速機ケース30に一体化しておくことができる。
図17は、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線並行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第8部材配置変更態様を示す。図17で提案される変更態様は先に図13で述べた部材配置から殆ど出発している。クラッチAの入力要素、出力要素の構成と、そこから帰結するクラッチAのサーボ機構43の有意な配置が主として異なっている。クラッチAの入力要素はいまや内側多板支持体42として構成され、クラッチBの前置遊星歯車組10の上方に配置される内側多板支持体62に軸線方向で主遊星歯車組20の方向に続いている。クラッチAの外側多板支持体40はその出力要素を形成し、前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダとして実施されている。それに応じて、クラッチAの出力要素の円筒形区域46はクラッチBの円筒形外側多板支持体60の半径方向下方で、軸線方向で主遊星歯車組20の方向に、ブレーキCの第2太陽軸7と結合された円板状内側多板支持体102にほぼ至るまで延びている。クラッチAの外側多板支持体40として構成される出力要素のこの円筒形区域46に円板状区域47が続き、中心で内方に第1太陽軸6に至るまで延びている。この太陽軸を介してクラッチAの外側多板支持体40が主遊星歯車組20の第1入力要素と結合されている。同時に極力少ない多板数においてクラッチAの極力高いトルク伝達能力を達成するために、クラッチAの外側多板支持体40の外径は主にクラッチBの外側多板支持体60として構成される出力要素の円筒形区域66の内径よりも僅かに小さいだけである。
クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの多板41とクラッチAの外側多板支持体40として構成される出力要素の円板状区域47との間に、主に円板状区域47に直接隣接して、空間的に配置されている。つまりクラッチAの多板41の操作は前置遊星歯車組10から離れた方のその側から行われる。従ってクラッチBの出力要素がクラッチAを完全に取り囲む。
後続の図18〜図22には、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第9〜第13部材配置変更態様が示してあり、それぞれ第6変速要素Fは前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側で変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う側に、変速機ケース壁31に隣接して配置され、それぞれ第1、第2変速要素A、Bが前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に配置され、前置遊星歯車組10と両方の変速要素A、Bが一緒に配置され、第2変速要素Bが主遊星歯車組20の方向で前置遊星歯車組10に隣接し、第1変速要素Aが第2変速要素Bに隣接し、主遊星歯車組20の第2入力要素を固定可能な第3変速要素Cは常に主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側に、変速機ケース30の駆動モータもしくは変速機ケース壁31に対峙する外壁に隣接して配置されている。つまり第2変速要素Bは常に第1変速要素Aよりも前置遊星歯車組10に一層近接して配置されている。第5変速要素Eは駆動部の方向に見て常に主遊星歯車組20の前に配置されている。
先に図3〜図17で述べた配置変更態様におけると同様に図18〜図20においても、ブレーキとして構成される第6変速要素Fの内側多板支持体82と前置遊星歯車組10の太陽歯車11が前置遊星歯車組10の太陽軸85を介して結合され、この太陽軸が変速機ケース壁31の突起33で支承されている。前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16はブレーキFに対峙するその側で駆動軸3と結合されている。前置遊星歯車組10のリングギヤ14はクラッチとして構成される第2変速要素Bの外側多板支持体60と、クラッチとして構成される第1変速要素Aの内側多板支持体42とにそれぞれ結合されている。クラッチBの内側多板支持体62は、先行実施例とは異なりいまや中心で主遊星歯車組20に挿通される第2太陽軸7を介して、主遊星歯車組20の第2入力要素とそれぞれ結合されている。クラッチAの外側多板支持体40は、先行実施例とは異なりいまや第2太陽軸7の上方に同軸で延設されてこれで支承された第1太陽軸6を介して、主遊星歯車組20の第1入力要素とそれぞれ結合されている。クラッチEの入力要素は前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16を介して駆動軸と常に結合されている。クラッチEの出力要素は、先行実施例とは異なりいまや第2太陽軸7および/または支承板35で支承された第3軸5を介して、主遊星歯車組20の第1入力要素と常に結合されている。支承板35は平歯車9と主遊星歯車組20とからなる構造群の前置遊星歯車組10もしくはクラッチA、Bに向き合う側に配置されている。クラッチA、Bの多板41、61は少なくともほぼ同じ直径を有する。クラッチEの多板71の直径はクラッチA、Bの多板41、61の直径にほぼ同じ大きさかまたはそれよりも大きい。これにより、製造技術上好ましいことに例えば同じ多板をクラッチA、B用に使用することができる。
図18による第9部材配置変更態様において、クラッチEの多板71を軸線方向でクラッチAと主遊星歯車組20との間に、主に軸線方向でクラッチAの外側多板支持体40に隣接して配置し、クラッチEのサーボ機構73を少なくとも部分的に、但し前置遊星歯車組10のクラッチAから離れた方の側に配置することが提案される。つまりクラッチEの多板71は前置遊星歯車組10に向き合うその側から操作される。クラッチEの入力要素は外側多板支持体70として構成され、円筒形区域74を有する。この区域は軸線方向でクラッチA、Bの半径方向上方をクラッチEの多板71からブレーキFの多板81の領域内にまで延びている。ブレーキFの多板81の領域においてこの円筒形区域74にクラッチEの入力要素の円板状区域75が続き、‐ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に直接隣接して‐中心で駆動軸3の方向に支承区域に至るまで延びている。この支承区域は前置遊星歯車組10の太陽軸85と同軸で前置遊星歯車組10の方向に延び、この太陽軸85で支承されている。この支承区域の前置遊星歯車組10に向き合う側でクラッチEの外側多板支持体70が前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16と結合されている。連結キャリヤ15、16は前置遊星歯車組10に軸線方向で挿通されている。つまりクラッチEのサーボ機構73は円筒形外側多板支持体70の内部にあり、サーボ機構73の操作要素は軸線方向にクラッチA、Bを半径方向で越えて延びている。
ブレーキとして構成される第4変速要素Dを介して主遊星歯車組20の第3入力要素が固定可能であり、この変速要素は例えば軸線方向を主遊星歯車組20の方向で、支承板35の前でクラッチEの多板71に隣接している。支承板35の前置遊星歯車組10もしくはブレーキDから離れた方の側で例えば主遊星歯車組が直接隣接しており、平歯車9は主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10もしくは図示しない駆動モータから離れた方の側に配置されている。平歯車9の主遊星歯車組20から離れた方の側で第2支承板37が平歯車9に隣接し、この支承板を介して平歯車9は支承されている。ブレーキとして構成される第3変速要素Cを介して主遊星歯車組20の第2入力要素が固定可能であり、この変速要素は軸線方向でこの第2支承板37に続き、従って多段変速機の駆動モータとは逆の側に配置されている。
別の構成において、支承板35を軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチEの多板71に隣接させ、支承板35の前置遊星歯車組10から離れた方の側にブレーキDを配置することも予定しておくことができる。
クラッチBのサーボ機構63の配置に関して図18では、クラッチBの前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合された外側多板支持体60を主遊星歯車組20の方向に開口したシリンダとして構成することが提案される。クラッチBのこの入力要素が円筒形区域64と円板状区域65とを有し、円板状区域65は前置遊星歯車組10に直接隣接し、支承区域を介して駆動軸3で支承されている。さらに、クラッチBの内側多板支持体62をその出力要素として少なくともほぼ円板状に構成し、クラッチBのサーボ機構63を軸線方向でクラッチBの外側多板支持体60として構成される入力要素の円板状区域65とクラッチBの円板状内側多板支持体62との間に配置することが提案される。こうしてクラッチBのサーボ機構63は有利なことに常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。
クラッチBの別の構成において、クラッチBの内側多板支持体62の主遊星歯車組20に向き合う側にクラッチBのサーボ機構63を配置することも予定することができる。
クラッチAのサーボ機構43の配置に関して図18では、クラッチAの内側多板支持体42をクラッチBの外側多板支持体60と結合し、クラッチAの出力要素を外側多板支持体40として、前置遊星歯車組10の方向に開口して円筒形区域46とこれに続く円板状区域47とを有するシリンダの態様に構成し、クラッチAのサーボ機構43を軸線方向でクラッチB、Aの出力要素の円板状区域67、47の間に配置することが提案される。クラッチAの外側多板支持体40として構成される出力要素の円板状区域47は中心で第1太陽軸6と結合され、この太陽軸を介して例えば支承板35で支承されている。主に円板状区域47は前置遊星歯車組10から離れた方のその側でクラッチEの内側多板支持体72の円板状区域77に直接隣接している。
クラッチAの別の構成において、クラッチAの外側多板支持体40の主遊星歯車組20に向き合う側にクラッチAのサーボ機構43が配置され、サーボ機構43の操作要素がクラッチAの多板41に軸線方向を前置遊星歯車組10の方向で半径方向で被さり、前置遊星歯車組10に向き合うその側から多板41を操作することも予定しておくことができる。
クラッチEの多板71がクラッチB、Aの外側多板支持体60、40の外径よりも大きな内径を有する構成において、ブレーキF、クラッチEからその内側多板支持体72まで、前置遊星歯車組10、クラッチB全体、そしてクラッチA全体は順次簡単に変速機ケース30に組込むことができる。クラッチEの多板71の内径がクラッチB、Aの外側多板支持体60、40の外径よりも小さい構成において、クラッチEの多板71はその他は同じ組立手順において当然にクラッチAの組立後にはじめて組み立てることができるが、しかし‐変速機ケース30の外径が決まっている場合‐先に提案された構成に比べて全体として大きな多板直径がクラッチA、B用に可能である。後者は、大抵の係合状態のときクラッチEに比べて高いトルクを伝達しなければならないクラッチA、Bの寸法設計にとって好ましい。
従来の部材配置変更態様とは異なり図18には修正された主遊星歯車組20も例示されている。この構造態様は変わることなく個々の遊星歯車組RS2、RS3を有するラビニヨ歯車組であり、但しいわゆるその自由軸の結合が変更されている。遊星歯車組RS2は引き続き第1変速要素Aに結合され、遊星歯車組RS3は第2、第3変速要素B、Cに結合されている。主遊星歯車組20の第1入力要素はいまやその太陽大歯車22、第2入力要素はその太陽小歯車21、そして第3入力要素はそのリングギヤ27である。つまりいまや太陽大歯車22は遊星歯車組RS2に付設され、主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10に向き合う側に配置されている。同様に、太陽小歯車21はいまや遊星歯車組RS3に付設されている。連結キャリヤ25、26はいまや主遊星歯車組20の出力要素を形成し、被動軸4と作用結合されている。被動部が駆動部を横切って配置された多段変速機の図示実施例においてこの作用結合は平歯車9を有する平歯車駆動装置として実施されている。連結キャリヤ25、26を介した被動は、被動軸4の回転時‐例えば車両走行時‐遊星歯車のピンに常に相対運動が存在するので、潤滑技術上の諸利点を有する。図18の下部には、この例示的歯車組組合せの個々の歯車組RS1、RS2、RS3の図2Aもしくは図2Bとは異なる固定変速比が示してある。前置遊星歯車組10の単一の遊星歯車組はRS1、多部材からなる主遊星歯車組20の個々の遊星歯車組はRS2、RS3で表してある。
図19による第10部材配置変更態様において、図18による変更態様との主要な違いとして、前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側にクラッチEのサーボ機構73だけでなくクラッチEの多板71も配置することが提案される。図示実施例において多板71はブレーキFの多板81の半径方向下方に配置されている。図18に比べて変更なしにクラッチEの入力要素は外側多板支持体70として、前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダとして構成され、ブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に隣接して前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承されかつ前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16と結合された円板状区域75と、ブレーキFの多板81の半径方向下方を延びる円筒形区域74とを有する。つまりクラッチEのサーボ機構73はいまや完全にブレーキEの外側多板支持体70の内側に配置されている。
クラッチEの出力要素は相応に内側多板支持体72として構成され、円筒形区域76と円板状区域77とを有する。円筒形区域76は軸線方向で完全にクラッチA、Bを越えて延びている。主遊星歯車組20の方向で円筒形区域76に続く円板状区域77は中心で変速機中心軸線の方向に第3軸5に至るまで延びており、この第3軸は第2、第1太陽軸7、6の上方を同軸で支承板35を貫通し、内側多板支持体72を主遊星歯車組20の第3入力要素と結合する。クラッチEの出力要素の円板状区域77は軸線方向でクラッチAの外側多板支持体40として構成される出力要素の円板状区域47と支承板35との間に空間的に配置され、その外径の領域で、支承板35に隣接するブレーキDの内側多板支持体と結合されている。
図19に示す主遊星歯車組20は、先に図1、図3〜図17で述べた例示的ラビニヨ歯車組に再び一致している。平歯車9は主遊星歯車組20の支承板35もしくは前置遊星歯車組10に向き合う側に配置されている。平歯車9は支承板35に直接隣接し、この支承板を介して変速機ケース30で支えられる。これにより第2支承板は省くことができる。
図20による第11部材配置変更態様では、クラッチEの多板71だけでなくクラッチEのサーボ機構73もクラッチAと主遊星歯車組20との間に配置することが提案される。図示実施例において多板71はクラッチA、Bの多板41、61よりも僅かに大きな直径を有する。別の構成において3つのクラッチA、B、Eのすべて用に同じ多板を予定することもできる。図18、図19とは異なり、クラッチEの入力要素はいまや内側多板支持体72として構成され、軸線方向でクラッチA、Bおよび前置遊星歯車組10を越えて延びて前置遊星歯車組10のエンジン軸1に向き合う側でその連結キャリヤ15、16と結合された円筒形区域74を有する。
クラッチEの出力要素は相応に前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダの態様の外側多板支持体70として構成され、クラッチEの多板71の領域に短い円筒形区域76とほぼ円板状の区域77とを有し、この円板状区域は円筒形区域76に続き、‐支承板35に直接隣接して‐中心で変速機中心軸線の方向に支承板35の支承区域に至るまでもしくは第3軸5に至るまで延びており、この第3軸を介してクラッチEの外側多板支持体70は主遊星歯車組20の第3入力要素と結合されている。外側多板支持体70は第3軸5を介して支承板35で支承されている。外側多板支持体70は当然に支承板で直接支承しておくこともできる。クラッチEのサーボ機構73は完全にブレーキEの外側多板支持体70の内側に配置されている。これにより、変速機ケース30内でのクラッチEの一層簡単な組立手順が達成される。
支承板35および歯車組に対して相対的な平歯車9の配置は図19を基に述べた配置に一致している。図19とは異なり、図20による部品配置では主遊星歯車組20の第3入力要素を固定可能なブレーキDが平歯車9とブレーキCとの間に、構造長節約的に主遊星歯車組20の半径方向上方に配置されている。既に触れたように、ブレーキCは多段変速機のエンジン軸1に対峙した側に配置されている。
図18による部材配置変更態様について既に提案されたように、図19と図20による配置の別の諸構成において、クラッチAの外側多板支持体40の主遊星歯車組20に向き合う側にクラッチAのサーボ機構43が配置されるように両方のクラッチA、Bのサーボ機構43、63を空間的に配置することも予定しておくことができ、サーボ機構43の操作要素は軸線方向を前置遊星歯車組10の方向でクラッチAの多板41に半径方向で被さり、前置遊星歯車組10に向き合うその側から多板41を操作し、および/またはクラッチBのサーボ機構63はクラッチBの内側多板支持体62の主遊星歯車組20に向き合う側に配置されている。
次に図21は、図19を基に詳しく述べた第10部材配置変更態様に実質的に基づく、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第12部材配置変更態様を示す。図19との違いはクラッチAの入力要素、出力要素の構成、クラッチBの出力要素の幾何学的構成、そして両方のクラッチA、Bのサーボ機構43、63の空間的配置に関係しているにすぎない。図21では、主に両方のクラッチA、Bの多板41、61用に同じ部材を使用できるように、クラッチA、Bの両方の入力要素を並置式外側多板支持体40、60として構成することが提案される。クラッチA、Bの両方の出力要素は相応に内側多板支持体42、62として、主にほぼ円板状に構成されている。この出力要素の相応する円板状区域47、67は中心で駆動軸3の方向に延びている。本実施例においてクラッチBの内側多板支持体62はクラッチAよりも前置遊星歯車組10に近接して配置されており、円板状区域67に続く支承区域において駆動軸3で回動可能に支承されている。クラッチAの内側多板支持体42は中心でクラッチBの内側多板支持体62の支承区域で、従って間接的にやはり駆動軸3で回動可能に支承されている。
クラッチA、Bのサーボ機構43、63の配置に関して図21では、両方のサーボ機構43、63を並べ、軸線方向でクラッチA、Bの内側多板支持体42、62の間に配置することが提案される。クラッチBのサーボ機構63はクラッチAのサーボ機構43よりも前置遊星歯車組10に近接して、主に軸線方向でクラッチBの出力要素の円板状区域67に隣接して配置されており、クラッチBの多板61を前置遊星歯車組10の方向に操作する。クラッチAのサーボ機構43は主に軸線方向でクラッチAの出力要素の円板状区域47に隣接し、クラッチAの多板41を主遊星歯車組20の方向に操作する。
別の構成において、クラッチA、Bの内側多板支持体42、62を直接並置することも予定しておくことができる。その際、クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの内側多板支持体42の前置遊星歯車組10から離れた方の側に配置されており、クラッチAの多板41をいまや前置遊星歯車組10の方向に操作する。同様に、クラッチBのサーボ機構63はクラッチBの内側多板支持体62の前置遊星歯車組10に向き合う側に配置されており、クラッチBの多板61をいまや主遊星歯車組20の方向に操作する。この配置ではクラッチA、Bの外側多板支持体40、60を有利には一体に実施しておくことができ、両方のクラッチA、Bの多板41、61は操作時に同じ止めで支えられる。
図22は、図18を基に詳しく述べた第9部材配置変更態様に実質的に基づく、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と駆動部に対して主に直角に配置された被動部とを有する多段変速機の例示的第13部材配置変更態様を示す。図18との違いはクラッチAの入力要素、出力要素の構成、そしてクラッチAのサーボ機構43の空間的配置に関係しているにすぎない。図22によればいまや主に、両方のクラッチA、Bの多板41、61用に同じ部材を使用できるように、クラッチA、Bの両方の入力要素を並置式外側多板支持体40、60として構成することが提案される。引き続きクラッチBの多板61はクラッチAの多板41よりも前置遊星歯車組10に近接して配置されている。クラッチA、Bの両方の出力要素は内側多板支持体42、62として、主にほぼ円板状に構成されている。クラッチBの外側および内側多板支持体60、62の駆動軸3上での支承は図18で述べた支承と同じである。図18とは異なり、いまやクラッチAの内側多板支持体42は第3軸5を介して支承されている。
図22によればさらに、クラッチAのサーボ機構43をクラッチEのサーボ機構73と前置遊星歯車組10との間に配置することが提案される。サーボ機構43の操作要素は軸線方向で前置遊星歯車組10、クラッチB、クラッチAの外側多板支持体40を半径方向で越え出、クラッチAの多板41を前置遊星歯車組10から離れた方のその側から操作する。つまりクラッチAのサーボ機構43は完全にクラッチEのクラッチ室の内側にあり、このクラッチ室はクラッチEの円筒形外側多板支持体70によって形成される。つまりクラッチEの外側多板支持体70とクラッチEのサーボ機構73とクラッチAのサーボ機構43は有利なことに一緒に構造群として予め組立てて組込むことができる。両方のクラッチE、Aを操作するための圧媒供給は、場合によっては一方または両方のクラッチE、Aの動的圧力補償用潤滑材供給も、変速機ケース壁31の突起33内部および前置遊星歯車組10の太陽軸85内部の相応する通路および穴を介して簡単に行うことができ、この太陽軸でクラッチEの外側多板支持体70が支承されている。有利にはクラッチE、Aの両方のサーボ機構73、43は常に変速機入力回転数n−einで回転し、これにより非係合状態のとき両方のクラッチE、Aのピストン室の空転が、場合によっては圧力補償室の空転も、防止される。
図23は、本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第14部材配置変更態様を示す。本発明に係る例示的多段変速機の図1、図2〜図22に示した部材配置とは異なり、ブレーキF‐特にブレーキFのサーボ機構83‐が隣接している変速機ケース壁31はいまや変速機ケース30のエンジン軸1に対峙する外壁を形成する。先行する部材配置変更態様におけると同様に、ブレーキFの多板81は変速機ケース30内で好ましくは極力大きな直径に配置されている。エンジン軸1の方向でブレーキFに続く構造群はクラッチA、Bと前置遊星歯車組10とからなる。本実施例においてクラッチAの多板41は前置遊星歯車組10の上方に配置されている。クラッチBの多板61はエンジン軸1の方向でクラッチAの多板41に隣接して、少なくとも近似的に同じ直径に配置されている。つまりクラッチBの多板61はクラッチAの多板41よりも主遊星歯車組20に近接して配置されており、つまりクラッチAの多板41はクラッチBの多板61よりもブレーキFに近接して配置されている。両方のクラッチA、Bの外側多板支持体40、60は前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合されている。
前置遊星歯車組10は変速機ケース壁31のエンジン軸1の方向に延びる円筒形突起33の上方に配置されている。前置遊星歯車組10の太陽歯車11は前置遊星歯車組10の太陽軸85を介してブレーキFの内側多板支持体82と結合されており、この太陽軸85は突起33で支承されている。クラッチA、Bのサーボ機構43、63の配置に関して図23ではクラッチAの外側多板支持体40をエンジン軸1の方向に開口したシリンダとして構成することが提案される。クラッチAのこの入力要素の円筒形区域44は軸線方向でブレーキFの方向に延び、この円筒形区域44に続く円板状区域45は中心で駆動軸3の方向に、前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承された支承区域に至るまで延びている。前置遊星歯車組10のブレーキFに向き合う側で同様に前置遊星歯車組10のリングギヤ14の円板状被動要素17は中心で駆動軸3の方向にクラッチAの外側多板支持体40の支承区域に至るまで延び、そこでこの支承区域と結合されている。クラッチAのサーボ機構43は軸線方向でリングギヤ14の円板状被動要素17とクラッチAの入力要素の円板状区域45との間に配置されており、クラッチAの多板41をエンジン軸1の方向に操作する。クラッチBのサーボ機構63は軸線方向でクラッチAの入力要素の円板状区域45とブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84との間に配置されており、サーボ機構63の操作要素は両方のクラッチA、Bの外側多板支持体40、60に軸線方向でエンジン軸1の方向に半径方向で被さり、クラッチBの多板61をブレーキFの方向に操作する。図23に示す配置によってブレーキFの内側多板支持体82、クラッチBのサーボ機構63、クラッチA、Bの両方の外側多板支持体40、60、クラッチAのサーボ機構43、そして両方のクラッチA、Bの多板41、61は簡単に構造群として予め組立てることができる。両方のクラッチAのサーボ機構43、63は有利なことに常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。
変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う側に、クラッチとして構成される第5変速要素Eが配置されている。クラッチEの外側多板支持体70はその入力要素として駆動軸3と結合されており、この駆動軸は中心で変速機内に完全に、変速機ケース壁31に至るまで挿通されており、この変速機ケース壁は変速機ケース30をエンジン軸1から離れた方のその側で外部に対して密閉する。外側多板支持体70は駆動部から離れた方のその側で開口したシリンダとして構成されている。内側多板支持体72はクラッチEの出力要素を形成し、第3軸5と結合されている。第3軸5は駆動軸3の直接上方を同軸で軸線方向で主遊星歯車組20の方向に延び、主遊星歯車組20の第3入力要素と‐図示実施例では連結キャリヤ25、26と‐結合されている。第3軸5は駆動軸3で支承しておくことができる。クラッチEのサーボ機構73は、クラッチEの内側多板支持体72のエンジン軸1に向き合う側で、円筒形外側多板支持体70の内側に配置されている。
駆動部、つまりエンジン軸1から離れた方のクラッチEの側に、被動軸4を有する平歯車9が主に軸線方向でクラッチEの内側多板支持体72に直接隣接して配置されている。平歯車9は主遊星歯車組20の出力軸28を介して主遊星歯車組20の出力要素と‐図示実施例ではそのリングギヤと‐結合されており、この出力軸28は第3軸5の直接的上方を同軸で軸線方向に延びている。つまり駆動軸3と第3軸5と出力軸28は同軸で上下に配置され、変速機ケース30と結合された支承板35を中心で貫通している。平歯車9はクラッチEから離れた方のその側で支承板35に隣接している。主遊星歯車組20の出力軸28は支承板35内で直接支承されている。図示実施例において第3軸5は出力軸28の内部で支承され、従って支承板35の中心で間接的にも支承されている。主遊星歯車組20は支承板35の平歯車9から離れた方の側に、主にこれに隣接して配置されている。
主遊星歯車組20の第3入力要素を固定可能なブレーキDは構造長節約的に少なくとも部分的に主遊星歯車組20の半径方向上方で、大きな直径で、変速機ケース30内に配置されている。図示実施例においてブレーキDの多板111は主遊星歯車組20の第2(外側)遊星歯車24の上方に配置されている。その際、第2遊星歯車24のキャリヤ26は主遊星歯車組20を完全に貫通し、エンジン軸1から離れた方のその側でブレーキDの内側多板支持体112と結合されている。内側多板支持体112は円筒形区域113と円板状区域114とを備えてエンジン軸1方向で開口したシリンダとして構成され、第2遊星歯車24の周りに案内されている。ブレーキDのエンジン軸1から離れた方の側で、主遊星歯車組20の第2入力要素‐図示実施例では太陽大歯車22‐を固定可能なブレーキCが軸線方向でブレーキDに続く。主にブレーキCの多板101は、公知の製造技術上の諸利点を有して、ブレーキDの多板111と同じ直径を有する。図示実施例においてブレーキCの多板101は少なくとも主としてブレーキDの内側多板支持体112の円筒形区域113の上方に配置されている。1構成において、ブレーキCの多板101を完全にまたは部分的に主遊星歯車組20の第2(外側)遊星歯車24の上方に配置することも予定しておくことができる。図23から明らかとなるように、ブレーキCの内側多板支持体102は同様に軸線方向で短い円筒形区域103と円板状区域104とを有してエンジン軸1方向で開口したシリンダとして構成され、中心を駆動軸3の方向で、軸線方向で短い第2太陽軸7に至るまで延びている。第2太陽軸7は主遊星歯車組20の太陽大歯車22をブレーキCの内側多板支持体102の円板状区域104とクラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素の円板状区域67とに結合する。第2太陽軸7が第1太陽軸6で支承され、第1太陽軸は主遊星歯車組20の第1入力要素としての太陽小歯車21をクラッチAの内側多板支持体42として構成される出力要素の円板状区域47と結合する。第1太陽軸6自体は、変速機を中心で貫通する駆動軸3で直接支承されている。つまりクラッチBの出力要素の円板状区域67はブレーキCの内側多板支持体102の円板状区域104の主遊星歯車組20から離れた方の側に軸線方向で隣接し、クラッチAの出力要素の円板状区域47はそれ自体、主遊星歯車組20から離れた方のその側で円板状区域67に軸線方向で隣接している。つまり、同軸で上下に並ぶ3つの軸(駆動軸3、第1太陽軸6、第2太陽軸7)を支承するのに軸線方向で主遊星歯車組20と前置遊星歯車組10との間に個別の支承板またはハウジング壁が必要ではない。
図24は、図23を基に詳細に述べた第14部材配置変更態様に実質基づく、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第15部材配置変更態様を示す。図23に比べて一方で平歯車9および主遊星歯車組20に対して相対的なクラッチEの空間的位置が変更され、他方でクラッチBの多板61と前置遊星歯車組10もしくはクラッチAとに対して相対的なクラッチBのサーボ機構63の空間的位置が変更されている。図24に示すように、本発明に係る多段変速機の第15部材配置変更態様では平歯車9と、平歯車9に作用結合された被動軸4を、変速機ケース30のエンジン軸1、従って図示しない駆動モータに向き合う側に直接配置することが提案される。支承板35は変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う外壁を形成し、平歯車9の支承部を受容する。平歯車9の支承板35から離れた方の側で軸線方向においてクラッチEが続く。つまりクラッチEはいまや平歯車9と主遊星歯車組20との間で空間的に配置されている。クラッチEの外側多板支持体70として構成される出力要素はエンジン軸1方向で開口したシリンダとして構成され、その円板状区域77は主遊星歯車組20の連結キャリヤ25、26に隣接し、これと結合され、駆動軸3で支承されている。クラッチEのサーボ機構73は主に構造空間節約的に軸線方向でクラッチEの内側多板支持体72と外側多板支持体70との間に、クラッチEの多板71の主遊星歯車組20に向き合う側で、つまりクラッチEの円筒形外側多板支持体70の内側に配置されている。つまり主遊星歯車組20のリングギヤ27の平歯車9と作用結合された出力要素は軸線方向においてクラッチEを半径方向で越え出ている。
別の1構成において、クラッチEのサーボ機構73がクラッチEの内側多板支持体72の平歯車9に向き合う側に配置され、クラッチEの多板71を主遊星歯車組20の方向に操作することも予定しておくことができる。その際、駆動軸3上でサーボ機構73の個別支承が不可欠であるが、しかしその場合これによりクラッチEのサーボ機構73は有利なことに常に変速機入力回転数n−einで回転する。
図24によればさらに、クラッチBのサーボ機構63を空間的に主遊星歯車組10と前置遊星歯車組20との間に、主に直接に軸線方向でクラッチB、Aの両方の内側多板支持体62、42の間に配置することが提案される。従ってクラッチBのサーボ機構63は前置遊星歯車組10に関してクラッチAのサーボ機構43に対峙しており、クラッチBの多板61を主遊星歯車組20の方向に操作する。
図25は、図24による第15部材配置変更態様に基づく、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第16部材配置変更態様を示す。この第15部材配置変更態様に比べていまやクラッチAと前置遊星歯車組10およびブレーキFとに対して相対的なクラッチBの空間的位置が変更されている。さらに、クラッチAの入力要素がいまや内側多板支持体42として、またクラッチAの出力要素が相応に外側多板支持体40として構成されている。
ブレーキFが変速機ケース30内で駆動モータに対峙する変速機ケース壁31に隣接して配置されていることは図24と比べて変更がなく、前置遊星歯車組10およびブレーキFに対して相対的なクラッチAの多板41の空間的位置も同様である。クラッチAのいまや内側多板支持体42として構成される入力要素は前置遊星歯車組10の直接上方に配置され、そのリングギヤ14と結合されている。クラッチAのいまや外側多板支持体40として構成される出力要素はブレーキFの方向で開口したシリンダの形状であり、クラッチAの多板41から出発して主遊星歯車組20の方向に延びる円筒形区域46と円板状区域47とを有し、この円板状区域は円筒形区域46に続き、中心で駆動軸3の方向に第1太陽軸6に至るまで延びてこれと結合されており、この太陽軸は駆動軸3で支承されている。クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの円筒形外側多板支持体40の内側に、軸線方向で円板状区域47と前置遊星歯車組10との間に配置され、クラッチAの多板41をブレーキFの方向で操作する。
特にクラッチBの多板61とサーボ機構63はいまや前置遊星歯車組10のブレーキFに向き合う側に、つまり前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側に配置されている。クラッチBの入力要素は‐図24におけると同様に‐外側多板支持体60として、前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダの態様に構成され、ブレーキFの多板81の下方で軸線方向をクラッチBの多板61から変速機ケース壁31の方向に延びる円筒形区域64と円板状区域65とを有し、この円板状区域は円筒形区域64に続き、中心で駆動軸3の方向に支承区域に至るまで、前置遊星歯車組10の太陽軸85の半径方向上方を延びており、この太陽軸自体は変速機ケース壁31の段板33で支承されている。クラッチBの入力要素の円板状区域65は直接に軸線方向でブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84に隣接し、この円板状区域はブレーキFの変速機ケース壁31に隣接するサーボ機構83の前置遊星歯車組10に向き合う側に配置されている。前置遊星歯車組10のブレーキFもしくは変速機ケース壁31に向き合う側、つまり前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20から離れた方の側で、前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合された少なくとも部分的に円板状に構成される被動要素17は中心で駆動軸3もしくは太陽軸85の方向でクラッチBの外側多板支持体60の支承区域に至るまで、前置遊星歯車組10の太陽軸85上を延び、そこで外側多板支持体60と結合されている。
クラッチBのサーボ機構63は軸線方向でリングギヤ14の円板状被動要素17とクラッチBの入力要素の円板状区域65との間に、クラッチBの円筒形外側多板支持体60の内側に配置され、クラッチBの多板61を前置遊星歯車組10もしくは主遊星歯車組20の方向もしくは駆動モータの方向に操作する。つまりクラッチBの多板61とサーボ機構63は変速機ケース壁31の円筒形突起33の半径方向上方に配置され、この突起でブレーキFの内側多板支持体82も支承されている。つまりクラッチBの外側多板支持体60とサーボ機構63は簡単に構造群として予め組付けることができ、ブレーキFの内側多板支持体82に嵌め込むことができる。
クラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素はブレーキFの方向に開口したシリンダの形状であり、軸線方向をクラッチBの多板61から主遊星歯車組20の方向(もしくはブレーキCの方向)に完全に半径方向でクラッチAを越えて延びる円筒形区域66と円板状区域67とを有し、この円板状区域は円筒形区域66に続き、ブレーキCの内側多板支持体102と結合され、中心で駆動軸3の方向に第2太陽軸7に至るまで延びており、この太陽軸は同軸で第1太陽軸6の上方に延設され、第1太陽軸6で支承され、クラッチBの内側多板支持体62を主遊星歯車組20の第2入力要素と結合する。つまりクラッチBの出力要素は前置遊星歯車組10およびクラッチAに完全に重なる。
製造技術上有利には、両方のクラッチA、Bの多板41、61用に同一部品の使用を予定しておくことができる。
図26は、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に駆動部に直角に配置した被動部とを有する多段変速機の例示的第17部材配置変更態様を示す。先に図25を基に述べた第16部材配置変更態様に比べていまやクラッチEは主遊星歯車組20と前置遊星歯車組10との間に空間的に、前置遊星歯車組10に直接隣接して配置されている。クラッチE、特にその多板71とそのサーボ機構73はクラッチAの円筒形外側多板支持体40の完全に内側に配置されている。主にクラッチEの内側多板支持体72はその入力要素として前置遊星歯車組10に直接隣接している。同様に、クラッチEの前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダとして構成される外側多板支持体70はクラッチEの出力要素としてクラッチAのサーボ機構43に隣接し、中心で第3軸5と結合されている。第3軸5は同軸で駆動軸3の直接上方に延設され、駆動軸3で支承され、主遊星歯車組20を中心で貫通し、外側多板支持体70を主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10から離れた方の側でその第3入力要素と結合する。同様に、クラッチAの外側多板支持体40を主遊星歯車組20の第1入力要素と結合する第1太陽軸6はいまや同軸で第3軸5の上方に延設され、主にこの軸で支承されている。サーボ機構73はクラッチEの多板71を前置遊星歯車組10の方向に操作する。図26によるこの配置はクラッチAの外側多板支持体40の内側でクラッチE全体の簡単な予備組付けを可能とする。
図27は、図23を基に述べた第14部材配置変更態様に基づく、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第18部材配置変更態様を示す。
図23に比べて、図27に示す部材配置変更態様は実質的に両方のクラッチA、Bのサーボ機構43、63の配置変更と、前置遊星歯車組10に対して相対的なクラッチAの多板41の僅かに変更された空間的位置と、3つの変速要素A、B、Cの内側多板支持体42、62、102の部材幾何学の変更と、によって相違している。両方のクラッチA、Bの外側多板支持体40、60は引き続きそれらの多板41、61が直接並べて、主に同一多板直径で配置されている。前置遊星歯車組10に対して相対的にクラッチAの多板41はいまや軸線方向で前置遊星歯車組10の横に、主遊星歯車組20に向き合うその側で配置されている。クラッチBの外側多板支持体60と結合されたクラッチAの外側多板支持体40は、軸線方向で比較的短い円筒形区域44を介して、前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合されている。クラッチAのほぼ円板状に構成される内側多板支持体42は中心で駆動軸3の方向に、駆動軸3と同軸に延設されてこれで支承された第1太陽軸6に至るまで延び、この第1太陽軸6と結合されている。クラッチBのやはりほぼ円板状の内側多板支持体62は‐直接に軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチAの内側多板支持体42に隣接して‐中心で駆動軸3の方向に、第1太陽軸6の上方で同軸に延設されてこれで支承された第2太陽軸7に至るまで延び、この第2太陽軸7と結合されている。
クラッチAのサーボ機構43は軸線方向で前置遊星歯車組10とクラッチAの内側多板支持体42との間に配置され、クラッチAの多板41を主遊星歯車組20の方向に操作する。クラッチBのサーボ機構63は軸線方向でクラッチBの内側多板支持体62とブレーキCのやはりほぼ円板状の内側多板支持体102との間に、主に軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチBの内側多板支持体62に直接隣接して配置され、クラッチBの多板61を前置遊星歯車組10の方向に操作する。ブレーキCの内側多板支持体102は中心で駆動軸3の方向に第2太陽軸7に至るまで延びてこれと結合されている。
ブレーキFの多板81は引き続き変速機ケース30の内部で、極力大きな直径に、エンジンから離れた方の変速機ケース壁31の領域に、図示実施例では少なくともほぼ軸線方向で前置遊星歯車組10の横に配置されている。ブレーキFの内側多板支持体82はいまややはりほぼ円板状に構成され、前置遊星歯車組10の相応に軸線方向で短い太陽軸85を介してその太陽歯車11と結合されている。変速機ケース壁31の突起33も相応に短く、この突起でこの太陽軸85が支承されている。ブレーキFのサーボ機構83は円板状内側多板支持体82と変速機ケース壁31との間に配置されているが、しかし当然に変速機ケース壁31に一体化しておくこともできる。
図28は、本発明に係る第1前置遊星歯車組と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第19部材配置変更態様を示す。図27による部材配置を基に、図28では、クラッチEを変速機の‐図示しない‐駆動モータと平歯車9との間に配置するのでなく、クラッチEの配置を図24から引き継ぎ、つまりクラッチEを平歯車9と主遊星歯車組20との間に空間的に配置することが提案される。クラッチAの外側多板支持体40の支承改善のために、クラッチAと前置遊星歯車組10との間に付加的第3支承板38を設けて変速機ケース30と結合することが提案される。変速機ケース30と第3支承板38は当然に一体に実施しておくこともできる。図28から明らかとなるように、クラッチAの外側多板支持体40は主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして構成されている。クラッチAのこの入力要素の円板状区域45は中心で駆動軸3の方向に、軸線方向で短い中間軸8に至るまで延びている。この中間軸は駆動軸3の直接上方で同軸に延設され、軸線方向を前置遊星歯車組10の方向に延び、第3支承板38の内部で支承され、円板状被動要素17を介してクラッチAの外側多板支持体40を前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合する。円板状被動要素17は第3支承板38の前置遊星歯車組10に向き合う側でこの第3支承板38に隣接する。中間軸8は当然に駆動軸3で直接支承しておくこともできる。
図示実施例においてブレーキFの多板81は‐図27とは異なり‐いまや、既に前記域塚の部材配置変更態様におけるように、少なくともほぼ前置歯車組10のリングギヤ14の半径方向上方に配置されている。
本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する本発明に係る多段変速機の後続の図29〜図33による部材配置変更態様は、図18を基に既に説明した例示的主遊星歯車組20を有する。この構造態様は引き続きラビニヨ歯車組であるが、但し主遊星歯車組20の第1入力要素として太陽大歯車22、第2入力要素として太陽小歯車21、第3入力要素としてリングギヤ27、そして出力要素として連結キャリヤ25、26を有する。図29〜図31による部材配置変更態様では、図18とは異なり、主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10に向き合う側に太陽小歯車21が配置されている。図32、図33による部材配置変更態様では、図18と同様に、主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10に向き合う側に太陽大歯車22が配置されている。割り当てられた固定変速比は図18の表から読み取ることができる。
図29〜図31による部材配置変更態様では、クラッチとして構成される第5変速要素Eがそれぞれ駆動側に、つまり変速機ケース30の駆動軸1もしくは図示しない駆動モータに向き合う側に配置されている。エンジン軸1に作用結合された駆動軸3にクラッチEの入力要素も結合されており、この駆動軸は変速機を中心で軸線方向に完全に貫通している。ブレーキとして構成される第6変速要素Fは変速機の駆動モータに対峙する側で、変速機ケース30の内部空間内を延びる変速機ケース壁31の、変速機ケース30のエンジンから離れた方の外壁を同時に形成する突起33の半径方向上方で、軸線方向でこの変速機ケース壁31に隣接して配置されている。主遊星歯車組20は前置遊星歯車組10よりもクラッチEもしくは駆動モータに近接している。前置遊星歯車組10は主遊星歯車組20よりもブレーキFに近接している。平歯車9およびそれと作用結合された被動軸4は軸線方向でほぼ変速機中央に、空間的に主遊星歯車組20と前置遊星歯車組10との間に、前置遊星歯車組10に向き合うその側で主遊星歯車組20に直接隣接して配置されている。平歯車9は常に支承板35を介して変速機ケース30で支承されており、支承板35は軸線方向で平歯車9の主遊星歯車組20から離れた方の側でこれに隣接し、変速機ケース30と結合されている。変速機ケース30と支承板35は当然に一体に実施しておくこともできる。
図29に示す例示的第20部材配置変更態様では、多段変速機の駆動側に配置されるクラッチEを主遊星歯車組20に直接隣接させることが提案される。その際、クラッチEの少なくともほぼ円板状に構成される内側多板支持体72はその入力要素として駆動軸3と結合されている。クラッチEの多板71は、変速機ケース30の内部で極力大きな直径で変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う外壁に隣接している。この外壁は当然に、変速機ケース30と結合された個別の蓋として構成しておくこともできる。クラッチEの出力要素は外側多板支持体70として構成され、円筒形区域76を有し、この円筒形区域は軸線方向で主遊星歯車組20のリングギヤ27に至るまで延びてこれと結合されている。軸線方向を前置遊星歯車組10の方向で、リングギヤ27の半径方向上側において、ブレーキDの内側多板支持体112の円筒形区域114が円筒形区域76に続き、円筒形区域76ともリングギヤ27とも結合されており、この実施例においてこのリングギヤは主遊星歯車組20の第3入力要素を形成する。クラッチEのサーボ機構73はクラッチEの内側多板支持体72と主遊星歯車組20との間に空間的に配置され、クラッチEの多板71を主遊星歯車組20に向き合うその側から操作する。つまりクラッチEのサーボ機構73は有利なことに常に変速機入力回転数n−einで回転し、これによりクラッチEの非係合状態のときその回転するピストン室と‐サーボ機構73の実際的設計に設けられている限りで‐回転する圧力補償室の望ましくない空転は確実に防止される。
主遊星歯車組20の太陽大歯車22は主遊星歯車組20のエンジン軸1に向き合う側に配置され、第1太陽軸6と結合されている。第1太陽軸6は駆動軸3の直接上方を同軸で、軸線方向を前置遊星歯車組10の方向に延び、例えば駆動軸3で支承され、主遊星歯車組20、平歯車9、支承板35、およびクラッチBのこの場合内側多板支持体62として構成される出力要素を中心で貫通し、クラッチAのこの場合内側多板支持体42として構成される出力要素の円板状区域47と結合されている。主遊星歯車組20の太陽小歯車21は主遊星歯車組20の前置遊星歯車組10に向き合う側に配置され、第2太陽軸7と結合されている。第2太陽軸7は第1太陽軸6の直接上方を同軸で、軸線方向を前置遊星歯車組10の方向に延び、例えば第1太陽軸6で支承され、平歯車9と支承板35を中心で貫通し、クラッチBのこの場合内側多板支持体62として構成される出力要素の円板状区域67と結合されている。
軸線方向を変速機ケース壁31の方向で、つまり多段変速機のエンジンから離れた方の側の方向で、支承板35にブレーキC、クラッチB、クラッチA、前置遊星歯車組10およびブレーキFがこの順番で続いている。ブレーキF、前置遊星歯車組10、クラッチA、B、Cの多板41、61、101、クラッチA、Bの入力要素としての互いに結合された外側多板支持体40、60の互いに相対的な空間的配置は図27を基に先に述べた第18部材配置変更態様から図29にそのまま引き継がれたので、その詳細な説明はここでは省かれる。図27に比べて、両方のクラッチA、Bの内側多板支持体42、62の構成とクラッチBのサーボ機構63の配置が変更されている。クラッチA、Bの内側多板支持体42、62として構成される両方の出力要素はいまや前置遊星歯車組10の方向に開口したシリンダの形状であり、各1つの円筒形区域46、66と各1つの円板状区域47、67とを有する。クラッチBの出力要素の円筒形区域66が円板状区域67に移行する領域においてブレーキCの内側多板支持体102もクラッチBのこの出力要素と結合されている。クラッチAのサーボ機構43は前置遊星歯車組10とクラッチAの内側多板支持体42との間に、クラッチBのサーボ機構63はクラッチAの内側多板支持体42とクラッチBの内側多板支持体62との間に空間的に配置されている。両方のクラッチの多板41、61は主遊星歯車組20の方向に操作される。両方のクラッチA、Bのサーボ機構43、63と共に両方の内側多板支持体42、62の曲折構造様式と入れ子式配置がこの構造群のごくコンパクトな構造を可能とし、特に内側多板支持体42、62の各円筒形区域46、66の半径方向下方に各クラッチの動的圧力補償用の構造空間が得られる。
図30は、図29による前記部材配置変更態様から導き出した、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第21部材配置変更態様を示す。図29に比べてクラッチAの配置が実質的に変更されている。クラッチAをいまやクラッチEと主遊星歯車組20との間に、つまり主遊星歯車組20の平歯車9および前置遊星歯車組10から離れた方の側に、主に主遊星歯車組20およびクラッチEに直接隣接して空間的に配置することが提案される。
クラッチBのサーボ機構63は引き続き軸線方向を前置遊星歯車組10の方向でクラッチBの内側多板支持体62として構成される出力要素の円板状区域67に隣接している。クラッチBのサーボ機構63と前置遊星歯車組10との間にいまや円筒形被動要素18が設けられており、この被動要素は一方で前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合され、他方で中間軸8と結合されている。この中間軸8は駆動軸3の直接上方を同軸で軸線方向を前置遊星歯車組10からクラッチAの外側多板支持体40として構成される入力要素に至るまで延び、クラッチBの内側多板支持体62によって形成されるクラッチ室、第2太陽軸7、支承板35、平歯車9、主遊星歯車組20、そしてクラッチAの内側多板支持体42として構成される出力要素に中心で入り込む。図示実施例において中間軸8は駆動軸3で直接支承され、第3太陽軸7はやはり中間軸8で直接支承されている。例えば、第2太陽軸7を付加的に、または専ら、支承板35を介して支承することも予定しておくことができる。
クラッチBの引き続き外側多板支持体60として構成される入力要素の支承を改善するために、少なくともほぼ円筒形のその区域64は前置遊星歯車組10のリングギヤと結合され、軸線方向をブレーキFの方向で前置遊星歯車組10を越えて延びている。この円筒形区域64に続く円板状区域65は中心を駆動軸3の方向で前置遊星歯車組10の太陽軸85に至るまで延びており、この太陽軸が太陽歯車11をブレーキFの内側多板支持体82と結合する。つまり円板状区域65は前置遊星歯車組10とブレーキFの内側多板支持体82の円板状区域84との間を空間的に延びている。円板状区域65の相応する支承区域を介してクラッチBの外側多板支持体60は前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承されている。
既に触れたように、クラッチEは変速機ケース30の‐図示しない‐駆動モータに向き合う側に配置されており、クラッチEの内側多板支持体72は引き続き円板状に構成され、駆動軸3と結合されている。図29を基に述べたクラッチEのサーボ機構73の配置に対する変更態様として図30ではいまや、クラッチEのサーボ機構73を多板71の主遊星歯車組20から離れた方の側に配置することが提案される。それに応じてクラッチEの多板71は主遊星歯車組20の方向に操作される。サーボ機構73をクラッチEの外側多板支持体70の内側で受容しかつ外側多板支持体70を駆動軸3で支承するためにクラッチEの外側多板支持体70として構成される出力要素の円筒形区域76は軸線方向を駆動モータの方向で多板71およびサーボ機構73を越えて変速機ケース30の外壁近傍にまで延びている。この外壁に隣接する円板状区域77はクラッチEの出力要素のこの円筒形区域76に続き、中心を駆動軸3の方向に延び、相応に構成された支承区域を介してこの駆動軸で支承されている。
既に触れたように、クラッチAはいまやクラッチEと主遊星歯車組20との間に空間的に配置されている。クラッチAの入力要素は外側多板支持体40として、主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダの形状に構成され、クラッチAの多板41とクラッチEの多板71との間を延びる円筒形区域44と円板状区域45とを有し、この円板状区域は円筒形区域44に続き、中心を駆動軸3の方向に‐駆動軸3の上方に同軸で延設される‐中間軸8に至るまで延び、この中間軸8と結合されている。円板状区域45はクラッチEの円板状内側多板支持体72に直接隣接している。クラッチAのサーボ機構43はクラッチAの円筒形外側多板支持体40の内側に配置され、その多板41を主遊星歯車組20の方向に操作する。クラッチAの主に円板状に構成される内側多板支持体42は中心を駆動軸3の方向に中間軸8に至るまで延びてこの中間軸で支承されている。中間軸8の半径方向で直接上方の内側多板支持体42のこの支承区域は軸線方向で短い第1太陽軸6と解釈することができ、これを介してクラッチAの内側多板支持体42は主遊星歯車組20の第1入力要素と結合されている。
図30から明らかとなるように、クラッチEの出力要素はクラッチAに完全に重なる。クラッチEの外側多板支持体70の内側にクラッチAの外側多板支持体40を組付け可能とする理由からクラッチAの多板41はクラッチEの多板71よりも僅かに小さな直径を有する。図示実施例においてクラッチAの半径方向上方に配置されるブレーキDは当然に主遊星歯車組20のリングギヤ27の上方に配置しておくこともできる。
図31は、図30による前記配置に基づく、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の例示的第22部材配置変更態様を示す。図30による配置に比べた諸変更は実質的にクラッチEの入力要素、出力要素の構成、クラッチBの入力要素の幾何学構成、そしてクラッチBのサーボ機構63の空間的配置に関するものである。クラッチEの入力要素を外側多板支持体70として構成することが提案される。クラッチEのこの入力要素の少なくともほぼ円板状の区域75は駆動軸3と結合され、変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う外壁と平行に延び、図示実施例ではこの外壁で支承されている。クラッチEの入力要素の円筒形区域74は円板状区域75の最大直径に続き、軸線方向を主遊星歯車組20の方向にクラッチEの多板71に至るまで延びている。それに応じてクラッチEの出力要素は内側多板支持体72として構成され、少なくともほぼ円筒形の区域76を有する。この円筒形区域は軸線方向で主遊星歯車組20のリングギヤ27を越えるまで延びてこのリングギヤ27と結合されている。クラッチEの出力要素はクラッチAに完全に重なる。リングギヤ27の半径方向上方にブレーキDが配置されており、その内側多板支持体112はクラッチEの出力要素の円筒形区域76ともリングギヤ27とも結合されている。クラッチEのサーボ機構73は軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチEの入力要素の円板状区域75に隣接し、クラッチEの多板71を主遊星歯車組20の方向に操作する。従ってサーボ機構73はクラッチEの被動外側多板支持体70の完全に内側に配置されており、有利なことに常に変速機入力回転数n−einで回転する。クラッチE、A一式が構造群として、場合によっては付加的にブレーキDの内側多板支持体と一緒に、簡単に予め組付けることができることによって、他の諸利点が得られる。
クラッチBのサーボ機構63の配置に関して、いまや主に前置遊星歯車組10の主遊星歯車組20に対峙する側にこのサーボ機構を配置することが提案され、サーボ機構63の操作要素は前置遊星歯車組10のリングギヤ14に被さり、クラッチBの多板61を主遊星歯車組20の方向に操作する。図31に示すサーボ機構63の配置、このために割り当てられたクラッチBの円筒形外側多板支持体60の幾何学構成、リングギヤ14の円板状被動要素17を介した前置遊星歯車組10への外側多板支持体60の結合は、図6を基に第2部材配置変更態様で既に詳しく述べたものである。
図18〜図31で既に述べた例示的第9〜第22部材配置変更態様では駆動軸3が変速機全体を軸線方向で変速機ケース30の外壁に至るまで貫通しているので、第9〜第22部材配置変更態様のさまざまな別の諸構成において、エンジン軸1、従って多段変速機の駆動モータが変速機ケース30の各他方の外側に、つまり変速機内部空間側でブレーキFが隣接している変速機ケース壁31に隣接して配置されていることも予定することができる。
図32と図33を基に、本発明に係る第1前置歯車組変更態様と主に軸線平行な駆動部、被動部とを有する多段変速機の2つの他の例示的部材配置変更態様を次に説明するが、そこでは前置遊星歯車組10、クラッチEおよびブレーキFが、エンジン軸1、従って多段変速機の‐図示しない‐駆動モータに対峙した主遊星歯車組20の側に一緒に配置されている。ブレーキFは、変速機ケース30のエンジン軸1に対峙する外壁を形成する変速機ケース壁31に直接隣接して配置されている。ブレーキFの多板81は変速機ケース30の内部で構造長節約的に極力大きな直径に配置されている。ブレーキFの内側多板支持体82はエンジン軸1の方向で開口したシリンダとして構成され、変速機ケース壁31の突起33で支承され、前置遊星歯車組10の太陽軸85を介してその太陽歯車11と結合されている。ブレーキFのサーボ機構83は軸線方向で変速機ケース壁31と内側多板支持体82との間に配置され、ブレーキFの多板81をエンジン軸1の方向に操作する。
軸線方向をエンジン軸1の方向でクラッチEの外側多板支持体70として構成される入力要素がブレーキFの内側多板支持体82に隣接している。クラッチEの入力要素が円板状区域75を有し、この区域はブレーキFの内側多板支持体82に直接隣接し、前置遊星歯車組10の太陽軸85で支承され、前置遊星歯車組10のエンジン軸1に対峙する側でその連結キャリヤ15、16と結合されている。連結キャリヤ15、16自体は前置遊星歯車組10を貫通し、エンジン軸1に向き合う側で駆動軸1と結合されている。図示実施例において連結キャリヤ15、16は付加的に変速機ケース壁31の、軸線方向で前置遊星歯車組10の太陽歯車11を相応に越えて延びる突起33で支承されている。さらに、クラッチEの入力要素が円筒形区域74を有し、この区域は円板状区域75の外径に続き、軸線方向をエンジン軸1の方向で前置遊星歯車組10を越え、クラッチEの多板71に至るまで延びている。多板71は少なくとも部分的に軸線方向で前置遊星歯車組10のエンジン軸1に向き合う側でその横に配置されている。多板71の直径は主にブレーキFの多板81の直径よりも僅かに小さいだけであり、主に前置遊星歯車組10のリングギヤ14の外径よりもかなり大きい。クラッチEのサーボ機構73は外側多板支持体70の内側に、主に軸線方向で円板状区域75と前置遊星歯車組10との間に配置されている。サーボ機構73の操作要素はリングギヤ14上に被さり、多板71をエンジン軸1の方向に操作する。つまり前置遊星歯車組10はクラッチEの外側多板支持体70によって形成されるクラッチ室の完全に内側に配置されている。クラッチEの出力要素は相応に内側多板支持体72として構成され、円筒形区域76を有する。この円筒形区域は軸線方向を多板71からエンジン軸1の方向に主遊星歯車組20のリングギヤ27を越えるまで延びてこのリングギヤと結合されている。ブレーキDはこのリングギヤ27の上方に配置され、リングギヤ27とも円筒形区域76とも結合されている。クラッチEのサーボ機構73のこのように実施された配置は有利なことに、サーボ機構73が常に変速機入力回転数n−einで回転するので、クラッチEが係合していないとき、そのクラッチ室の空転を、もしくはその圧力補償室の空転も、防止する。これにより、クラッチEの再係合時、特に非係合状態での長い滞留時間後に、変速快適性が向上する。
図32による第23部材配置変更態様では付加的に、クラッチAを前置遊星歯車組10と主遊星歯車組20との間に、クラッチEの出力要素の円筒形区域76の半径方向下方に、空間的に配置することが提案される。クラッチAの入力要素は外側多板支持体40として、エンジン軸1の方向で開口したシリンダの形状に構成され、前置遊星歯車組10のリングギヤ14と結合されている。クラッチAのこの入力要素の円板状区域45はクラッチAの多板41の前置遊星歯車組10に向き合う側で中心を駆動軸3の方向に延び、この駆動軸で支承されている。外側多板支持体40のこの支承区域が中間軸8と結合されており、この中間軸は駆動軸3の直接上方で軸線方向をエンジン軸1の方向で変速機ケース30のエンジン側外壁に至るまで延設され、主遊星歯車組20を中心で貫通している。中間軸8は前置遊星歯車組10の出力要素とクラッチBの入力要素との間のトルク案内式作用結合部を形成する。クラッチAの円板状内側多板支持体42は中心を駆動軸3の方向で中間軸8に至るまで延び、中間軸8で支承され、主遊星歯車組20の第1入力要素‐つまりこの実施例では大リングギヤ22‐と結合されている。内側多板支持体42と太陽歯車22との間で駆動軸3の上方に同軸な、軸線方向で短い支承区域は、短い第1太陽軸6と解釈することができる。クラッチAのサーボ機構43は円筒形外側多板支持体40の内側、軸線方向で円板状区域45と内側多板支持体42との間に配置され、多板41をエンジン軸1の方向に操作する。
図32に示すように、クラッチBは変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う側に直接配置されている。その際、クラッチBの入力要素は外側多板支持体60として、主遊星歯車組20の方向で開口したシリンダとして、構成されている。クラッチBのこの入力要素の円板状区域65は中間軸8と結合され、変速機ケース30のエンジン近傍外壁と平行にクラッチBの多板61の領域内にまで延びている。図示実施例において外側多板支持体60は中間軸8に結合された領域で変速機ケース30のエンジン近傍外壁で支承されている。しかし、外側多板支持体60を単に、または付加的に中間軸8を介しても、駆動軸3で支承することも予定しておくことができる。クラッチBのサーボ機構63は円筒形外側多板支持体60の内側に配置され、軸線方向で円板状区域65のエンジン軸1に対峙する側もしくは主遊星歯車組20に向き合う側に直接隣接し、クラッチBの多板61を主遊星歯車組20の方向に操作する。つまり両方のクラッチA、Bのサーボ機構43、63は有利なことに常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。
ブレーキCの多板101は軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチBの多板61に続いている。クラッチBの出力要素は内側多板支持体62として構成され、少なくともほぼ円筒形の短い区域66と円板状区域67とを有する。円筒形区域66は軸線方向を主遊星歯車組20の方向で、ブレーキCの多板101の半径方向下方領域内にまで延び、そこでブレーキCの内側多板支持体102と結合されている。円板状区域67は円筒形区域66に続き、中心を駆動軸3の方向で、中間軸8の直接上方に同軸で延設された第2太陽軸7に至るまで延びている。この第2太陽軸7は一方でクラッチBの出力要素の円板状区域67と結合され、他方で主遊星歯車組20の第2入力要素‐つまりこの実施例では太陽小歯車21‐と結合されている。第2太陽軸7が支承板35と平歯車9を中心で貫通しており、この支承板と平歯車はこの順番で軸線方向を主遊星歯車組20の方向でクラッチBの出力要素の円板状区域67に続いている。平歯車9は支承板35で支承されている。主遊星歯車組20は平歯車9のエンジンから離れた方の側に直接隣接している。それとともに支承板35はクラッチBとブレーキCとからなる変速要素配置を平歯車9および隣接する主遊星歯車組20から空間的に分離する。
図33による第24部材配置変更態様では、図32を基に先に述べた第23部材配置変更態様に対して、クラッチAを軸線方向で主遊星歯車組20と前置遊星歯車組との間にではなく変速機ケース30のエンジン軸1に向き合う側に、つまりエンジン軸1の方向に見てクラッチBの前に直接配置することが提案される。つまり変速機ケース30のエンジン近傍外壁と支承板35との間にいまや2つの変速要素、つまりクラッチA、Bが配置されている。その結果、いまや4つの軸、つまり駆動軸3、中間軸8、第1太陽軸6および第2太陽軸7が支承板36を中心で貫通し、これらの軸はこの順番で上下に同軸で延設されている。つまりクラッチAはクラッチBの主遊星歯車組20から離れた方の側に配置されているので、クラッチAの出力要素を主遊星歯車組20の第1入力要素と結合する第1太陽軸6はいまや、前置遊星歯車組10の出力要素をクラッチA、Bの両方の入力要素と結合する中間軸8と、クラッチBの出力要素を主遊星歯車組20の第2入力要素と結合する第2太陽軸7との間に同軸で延設されている。
クラッチAの入力要素は外側多板支持体40として、いまやエンジンから離れる方向で開口したシリンダとして、構成されている。クラッチAのこの入力要素の円板状区域45は中間軸8と結合され、変速機ケース30のエンジン近傍外壁と平行に延びている。クラッチAの多板41の外径とほぼ同じ大きさの直径で、クラッチAのこの入力要素の円筒形区域44は円板状区域45に続き、軸線方向をクラッチAの多板41の領域内にまで延びている。クラッチAの横に配置されるクラッチBの外側多板支持体60はクラッチAの外側多板支持体40と結合されている。両方の外側多板支持体40、60を一体に実施しおよび/または両方のクラッチA、B用に同じ多板を使用することを予定することができる。クラッチAのサーボ機構43は円筒形外側多板支持体40の内側に配置され、多板41を主遊星歯車組20の方向に操作する。クラッチAの出力要素としての内側多板支持体42は例えばほぼ円板状に実施され、中心近傍で第1太陽軸6と結合されている。クラッチBのサーボ機構63はクラッチBの外側多板支持体60の半径方向下方に配置され、軸線方向でクラッチAの円板状内側多板支持体42に‐主遊星歯車組20に向き合うその側で‐隣接し、クラッチBの多板61を主遊星歯車組20の方向に操作する。
製造技術上有利なことに、図33で提案された配置は一方で、回転数およびトルクに関して同じ負荷を受けるクラッチA、B用に多くの同一部品の利用を可能とし、他方で予め組付けて変速機ケース30に組込むとき構造群としてごく簡単な組付けも可能とする。機能技術上有利なことにクラッチAのサーボ機構43は常に前置遊星歯車組10の出力回転数n−vsで回転する。
図33とは別の構成において、クラッチBの入力要素を‐そのままの配置において‐外側多板支持体としてではなく内側多板支持体として構成することを予定しておくことができ、その場合クラッチBのサーボ機構は、例えば図3と同様にクラッチBの多板をエンジン軸の方向に操作する。これにより、機能技術上有利なことに両方のクラッチA、Bのサーボ機構は常に前置遊星歯車組の出力回転数n−vsで回転する。
図10による第5部材配置変更態様の実施例で既に先に述べたように、駆動軸3が変速機を軸線方向で完全に貫通しているすべての部材配置変更態様において基本的に変速機の駆動モータは変速機ケースの正面側に単純に配置しておくことができる。図11〜図17および図23〜図31を基に提案された例示的部材配置変更態様でも、駆動軸3は変速機をそれぞれ軸線方向で完全に貫通している。つまり例えば、図11〜図17で提案された個々の部材配置変更態様のそれぞれ別の構成として、エンジン軸1を第6変速要素Fに隣接して配置するのでなく、主遊星歯車組20およびクラッチEが配置されている多段変速機側に、つまり主遊星歯車組20の前置遊星歯車組20から離れた方の側、クラッチEの主遊星歯車組20から離れた方の側に配置することを予定しておくことができる。このような配置の音響学的諸利点は既に先に述べたとおりである。駆動軸3は当然に常に複数の部材で実施しておくこともできる。
図18〜図22を基に先に述べた第9〜第13部材配置変更態様において多段変速機のそれぞれ最も内側の軸が中空軸として実施される場合、これらの配置においてエンジン軸1‐つまり変速機の駆動装置‐は変速機の図に対峙する側にそれぞれ配置しておくこともできる。
以上述べたすべての部材配置変更態様は、前置遊星歯車組の太陽歯車が係合可能となった本発明に係る第1前置遊星歯車組変更態様に関係している。
図34には、その連結キャリヤが係合可能である前置遊星歯車組を有する第2前置遊星歯車組変更態様の例示的スケルトン図が示してある。前置遊星歯車組10の部品の結合に至るまでこの実施例の部材配置は図3で先に述べた多段変速機に実質的に一致している。
本発明によれば、前置遊星歯車組10は係合可能なプラス歯車列として構成され、内側および外側遊星歯車12、13を有し、それらのキャリヤ15、16が互いに強固に結合され、前置遊星歯車組10の太陽歯車11がその入力要素として駆動軸3と結合され、前置遊星歯車組10のリングギヤ14がその出力要素として第1、第2変速要素A、Bの各入力要素と結合されており、前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16はブレーキとして構成される第6変速要素Fを介して変速機ケース30に固定可能である。つまり先行実施例におけると同様に、出力回転数n−vsはクラッチとして構成される両方の変速要素A、Bを介して主遊星歯車組20の互いに結合されてはいない2つの入力要素(図示実施例では太陽小歯車21と太陽大歯車22)に伝達可能である。これに関与している個々の部品の空間的配置は図3で既に解説した配置に一致している。
ブレーキFはエンジン側変速機ケース壁31と前置遊星歯車組10との間に空間的に配置されている。つまり変速機ケース壁31とブレーキFは多段変速機のエンジン軸1もしくはトーショナルダンパ2に向き合う側に配置されている。ブレーキFの内側多板支持体82は変速機ケース壁31の前置遊星歯車組10の方向に延びる突起33で、もしくは変速機ケース壁31と強固に結合されたハブで、支承されている。本発明によれば、ブレーキFの内側多板支持体82はいまや前置遊星歯車組10の連結キャリヤ15、16と結合されている。クラッチAの入力要素としての外側多板支持体40の支承部は‐図3におけると同様に‐ブレーキFの内側多板支持体82の支承部の半径方向上方で突起33もしくはハブに、軸線方向で変速機ケース壁31と前置遊星歯車組10との間に配置されている。図34による多段変速機のその他の部品の構成および配置の詳細な説明はここでは省くことができる。
個々の部品の互いに相対的なこのような配置から得られる諸利点は図3の説明に関連して既に解説されている。
第1前置遊星歯車組変更態様を有する多段変速機におけると同様に、図34による多段変速機でも、主遊星歯車組の実施と部材配置は例示と見做すことができる。前置遊星歯車組の出力回転数n−vsが2つの変速要素を介して主遊星歯車組の2つの自由入力要素に、また変速機入力回転数n−einが主遊星歯車組の第3自由入力要素に伝達可能となった別の遊星歯車組組合せは、当然、主遊星歯車組として図34による歯車組図式と組合せることもできる。同様に、変速要素の図3〜図33で提案されたすべての部材配置も図34による歯車組構想と組合せることができる。平歯車駆動装置の図9〜図33で提案された配置変更態様も当然に図34による本発明に係る第2歯車組構想と組合せることができる。駆動装置、前置遊星歯車組および主遊星歯車組の同軸配置の代わりに、副軸構造様式または前置遊星歯車組と主遊星歯車組との間の有角結合または軸線平行な結合も設けておくことができる。
第1前置遊星歯車組変更態様を有する多段変速機におけると同様に、図34による本発明に係る多段変速機でも、駆動軸3の入力回転数n−einは変速要素A〜Fの選択的係合によって、少なくとも6つの前進変速段が群シフトなしに切換可能であるように、被動回転数n−abで回転する被動軸4に伝達可能である。図35には合計7つの前進変速段を有する図34による多段変速機の相応する作動図表とこれに付属する変速比、ステップおよび変速範囲が示してある。同様に個々の歯車組RS1、RS2、RS3の固定変速比が示してあり、RS1は前置遊星歯車組10の単一の遊星歯車組、RS2とRS3は多部材からなる主遊星歯車組20の個々の遊星歯車組である。太陽歯車を介して切換可能なプラス前置遊星歯車組を有する図1〜図33で先に述べた多段変速機に比べて、切換可能な連結キャリヤを有する提案された第2前置遊星歯車組変更態様は、7つすべての前進変速段の変わることなく好ましいステップにおいて再度かなり拡大した変速範囲を可能とする。直結変速段を単純に省くことによって、本発明に係る第1前進遊星歯車組変更態様を有する多段変速機におけると同様に6速変速機も実現することができる。