JP2021080965A - 自動変速機 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、このように構成された本発明によれば、複数の前進用かつ低速用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素と、後進用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素とが共通の摩擦締結要素として設定されておらず、そのような複数の前進用かつ低速用の変速段および後進用の変速段におけるゼロクリアランス状態からのスリップ制御を、独立した付加的摩擦締結要素により、単独制御することができるので、1速段および後進段での発進に加え、1速段以外の低速ギヤ段での発進、低速走行時の再加速時および車速調整などを行う際に、応答性を高めたスリップ制御が可能となる。また、付加的摩擦締結要素は独立して1つ設けられるので、スリップ制御専用として自動変速機内の1カ所に集約することができ、これにより、自動変速機の構成を簡素化して、摩擦締結要素の占有スペースやコストを抑制することができる。また、付加的摩擦締結要素は、全ての変速段において各変速段形成時は常時締結であるので、特定の変速段で解放されることによるドラグトルクの増加の懸念も無いものである。
このように構成された本発明によれば、より効果的かつより確実に、応答性を高めた摩擦締結要素のスリップ制御を行うことができる。
また、本発明において、好ましくは、駆動源はエンジンおよびモータであり、自動変速機の入力軸にモータを介してエンジンが接続されている。
このように構成された本発明によれば、エンジンおよび/またはモータによるハイブリッド走行時、および、モータのみを駆動源とする走行時においても、ゼロクリアランス状態からの応答性の高い摩擦締結要素のスリップ制御を行うことができる。
このように構成された本発明によれば、モータのみを駆動源とする走行時においても、オイルポンプを作動させて、作動油を自動変速機に供給することができる。
図1は、本発明の第1実施形態による自動変速機のスケルトン図であり、図2は、本発明の第1実施形態による自動変速機の摩擦締結要素の締結表であり、図3は、本発明の第1実施形態による自動変速機の付加的摩擦締結要素のブレーキを示す断面図であり、図4は、図3と同様に示す、ブレーキの複数の摩擦板のゼロクリアランス状態を説明するためのブレーキの断面図である。この第1実施形態では、8速段の自動変速機の例を説明する。
図1に示すように、この自動変速機1は、駆動源であるエンジン2にトルクコンバータなどの流体伝動装置を介することなく連結されている。自動変速機1は、後述する変速機ケース20(図3参照)内に、エンジン2に連結される入力軸4と、図示しない出力軸(被駆動軸)に連結される出力ギヤ6と、を有している。自動変速機1の入力軸4には、エンジン2のトルク変動を吸収するダンパ8が設けられている。
さらに、本実施形態による自動変速機1は、後述する付加的摩擦締結要素であるブレーキB1を備えている。
第2ギヤセットPG2のキャリヤC2は、クラッチHighを介して入力軸4に断接可能に連結されると共に、ブレーキL/Rを介して自動変速機1の変速機ケース20に断接可能に連結される。
第2ギヤセットPG2のリングギヤR2は、出力ギヤ6に常時連結されている。
なお、本実施形態では、図2に示す締結表に基づいて切り換えられる自動変速機1の動力伝達経路の違いによって、ブレーキB1により、1〜5速段(1st〜5th)、7速段(7th)および後進段(Rev1)において、ゼロクリアランス状態からのスリップ制御が可能となっている。なお、変形例として、第1実施形態の構成に対し、自動変速機1のギヤセット、摩擦締結要素および締結テーブル(締結データ)の構成を変更して、全ての変速段において、スリップ制御を可能にしても良い。
解放用油圧室32は、ピストン28の油圧室形成部42および第1油圧室形成部材38によって区画された空間部によって形成されている。
ピストン28の油圧室形成部42は、スプリング34の付勢力を受けるようになっている。
ハブ部材22は、変速機ケース20の径方向に延びる縦壁部22aと、縦壁部22aの径方向内側の端部から軸方向に延びる円筒部22bとを有する。
一方、これらの複数の固定側摩擦板44に対向して、後述する回転側摩擦板45が設けられている
第1油圧室形成部材38は、ハブ部材22の円筒部22bの径方向内側に設けられ、変速機ケース20の径方向に延びる縦壁部38aと、縦壁部38aの径方向外側端縁部から軸方向に延びる第1円筒部38bと、縦壁部38aの径方向内側端縁部から軸方向に延びる第2円筒部38cとを有している。
後述するように、ブレーキB1の締結時および解放時においてスリップ制御を行う際には、この潤滑用供給油路L1を通じて複数の摩擦板44、45に潤滑用作動油が供給される。
コイルスプリング34のコイル部の内方には、ピストン油圧室形成部42から延びるストッパ部54が設けられ、シム部材52は、このストッパ部54に当接するようになっている。シム部材52は、ピストン28のストッパ部54がシム部材52に当接するときに、ピストン28を所定の解放位置に規制するようになっている。
また、このようなシム部材52により、たとえば、スプリング、摩擦板、ピストン等のブレーキB1を構成する部材に付勢力や厚さのばらつきが生じた場合において、シム部材52の厚さを適切に選択することで、摩擦板44、45の後述するスリップ制御の応答性の低下を抑制することができる。
ドラム部材24は、軸方向に延びる円筒部24aと、この円筒部24aから変速機ケース20の径方向に延びる縦壁部24bとを有する。円筒部24aは、ハブ部材22の円筒部22bの外周側に対向するように配置されている。
ピストン28は、ハブ部材22の円筒部22bとドラム部材24の円筒部24aとの間に配置されている。ピストン28は、第1油圧室形成部材38の第2円筒部38cの外周面38eに摺動自在に係合されている。ピストン28は、第2油圧室形成部材40によって抜け止めされる。
ピストン28の押圧部56は摩擦板26の側方に配置され、ピストン28の油圧室形成部42は、ハブ部材22の径方向内側に配置され、ピストン28の連結部58は、押圧部56と油圧室形成部42とを連結するように径方向内側に延びている。
連結部58には、ピストン28が摩擦板26の方向に移動するとき、ハブ部材22の円筒部22bと干渉しないようにするための孔58aが形成されている。
スプリング34は、リテーナ60およびシム部材52を介して、ピストン28の油圧室形成部42により支持されている。スプリング34の付勢力は、スプリング34が自由長さとなったときに、ピストン28により押圧された摩擦板26(44、45)が、図4に示すようなゼロクリアランス位置になるよう設定されている。
ブレーキB1は、上述したようにスリップ制御される。ブレーキB1の締結時には、まず、上述したゼロクリアランス位置において、締結用油圧室30に、所定の調整可能な油圧の締結用油圧が供給されて複数の摩擦板44、45が0〜100%の間の締結力を自在に発生するようスリップ制御され、その後、締結用油圧室30に所定の高い締結用油圧が供給されて複数の摩擦板44、45が完全に締結される。
このような場合のスリップ制御は、主に、前進および後進での発進の際に実行される。
このような場合のスリップ制御は、主に、低速走行時の増速および減速や再加速の際に実行され、また、車速調整の際に実行される。
図5は、本発明の第2実施形態による自動変速機のスケルトン図であり、図6は、本発明の第2実施形態による自動変速機の摩擦締結要素の締結表である。
上述した第1実施形態に対し、この第2実施形態による自動変速機1は6速段の自動変速機であり、かつ、駆動源として、エンジンだけでなく駆動用モータが設けられる点が異なる。以下では、主に、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
図5に示すように、本実施形態による自動変速機1は、駆動源であるエンジン2にトルクコンバータなどの流体伝動装置を介することなく連結されている。また、エンジンの出力軸には、エンジン2のトルク変動を吸収するダンパ8が設けられている。
このような構成により、本実施形態では、クラッチ12が接続された状態では、エンジン2および/またはモータ10によるハイブリッド走行が可能であり、また、クラッチ12によりエンジン2の動力伝達が遮断されると、モータ10のみでの走行が可能となっている。
第2ギヤセットPG2のキャリヤC2は、クラッチHighを介して、入力軸4に断接可能に連結されると共に、ブレーキL/Rを介して、自動変速機1の変速機ケース20に断接可能に連結される。
第2ギヤセットPG2のリングギヤR2は、出力ギヤ6に常時連結されている。
まず、本発明の第1および第2の実施形態による自動変速機1は、所定数の変速段(8速段/6速段)を形成するための複数の遊星歯車機構PG1、PG2と、これらの遊星歯車機構による動力伝達経路を切り換えて上記所定数の変速段を形成するために選択的に締結される複数の摩擦締結要素46C、Low、R37、High、28B、L/R(Low、R36、High、26B、L/R)と、を備え、流体伝動装置を介することなく駆動源に連結され、複数の前進用かつ低速用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素Lowと、後進用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素L/Rとが共通の摩擦締結要素として設定されず、複数の遊星歯車機構のうちの遊星歯車機構PG1の回転要素S1を自動変速機1の変速機ケース20に締結して所定数の変速段を形成する動力伝達経路(PG1のサンギヤS1と変速機ケース20との間の動力伝達部材)上に、選択的に締結される複数の摩擦締結要素46C、Low、R37、High、28B、L/R(Low、R36、High、26B、L/R)とは独立した(他の摩擦締結要素とは別の摩擦締結要素であり、かつ、他の摩擦締結要素と連結されていない)1つの付加的摩擦締結要素B1を設け、この付加的摩擦締結要素B1は、複数の摩擦板44、45と、これらの摩擦板を押圧するピストン28と、このピストンを複数の摩擦板44、45がゼロクリアランス状態となるように締結方向に付勢する付勢部材34と、を備え、複数の前進用かつ低速用の変速段および後進用の変速段において、複数の摩擦板44、45をゼロクリアランス状態(図4参照)からスリップ制御可能に構成されている。
従って、このような独立したスリップ制御専用のブレーキB1を設けることにより、1速段および後進段での発進、1速段以外の低速ギヤ段(特に2〜5速段)での発進、低速走行時の再加速時および車速調整などにおいて、ゼロクリアランス状態からのスリップ制御により、応答性を高めた単独制御が可能となる。
また、流体伝動装置(いわゆる、トルクコンバータ)を用いずに、応答性の高いスムースな発進などを実現するスリップ制御を可能にする独立した専用のブレーキB1およびそのゼロクリアランス機構を、自動変速機内の1カ所に集約することができると共に自動変速機を簡素化することができ、これにより、自動変速機内での占有スペースやコストを抑制することができる。
また、ブレーキB1は、全ての変速段において各変速段形成時は常時締結であるので、特定の変速段でブレーキB1を解放することによるドラグトルクの増加の懸念が無い。
2 エンジン
4 自動変速機の入力軸
6 自動変速機の出力ギヤ
8 ダンパ
10 モータ
12 クラッチ
14 オイルポンプ
20 変速機ケース
22 ハブ部材
22c スプライン部
24 ドラム部材
24c スプライン部
26 複数の摩擦板
28 ピストン
30 締結用油圧室
32 解放用油圧室
34 スプリング(付勢部材)
44 固定側摩擦板
45 回転側摩擦板
56 ピストンの押圧部
56 ピストンの押圧部の押圧面
PG1、PG2 プラネタリギヤセット(遊星歯車機構)
S1、S2a、S2b サンギヤ
R1、R2 リングギヤ
P1a、P1b、P1 ピニオンギヤ
C1、C2 キャリヤ
46C、Low、R37、High、R35 クラッチ(摩擦締結要素)
28B、L/R、26B ブレーキ(摩擦締結要素)
B1 ブレーキ(付加的摩擦締結要素/ゼロクリアランス機構)
Claims (6)
- 所定数の変速段を形成するための複数の遊星歯車機構と、これらの遊星歯車機構による動力伝達経路を切り換えて上記所定数の変速段を形成するために選択的に締結される複数の摩擦締結要素とを備え、流体伝動装置を介することなく駆動源に連結された自動変速機であって、
上記複数の摩擦締結要素において、複数の前進用かつ低速用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素と、後進用の変速段を形成するために締結される摩擦締結要素とが共通の摩擦締結要素として設定されず、
上記複数の遊星歯車機構のうちの所定の遊星歯車機構の所定の回転要素を上記自動変速機の変速機ケースに締結して上記所定数の変速段を形成する動力伝達経路上に、上記複数の摩擦締結要素とは独立した1つの付加的摩擦締結要素を設け、
この付加的摩擦締結要素は、複数の摩擦板と、これらの摩擦板を押圧するピストンと、このピストンを上記複数の摩擦板がゼロクリアランス状態となるように締結方向に付勢する付勢部材と、を備え、
上記付加的摩擦締結要素は、上記複数の前進用かつ低速用の変速段および上記後進用の変速段において、上記複数の摩擦板を上記ゼロクリアランス状態からスリップ制御可能に構成されている、ことを特徴とする自動変速機。 - 上記付加的摩擦締結要素は、上記自動変速機の変速機ケースに固定されるブレーキであり、
上記付加的摩擦締結要素のブレーキは、上記ピストンを上記複数の摩擦板の締結方向に付勢する作動油が供給される締結用油圧室と、上記ピストンを上記複数の摩擦板の解放方向に付勢する作動油が供給される解放用油圧室と、を備え、
上記付加的摩擦締結要素によるスリップ制御は、上記締結用油圧室の作動油の油圧および上記解放用油圧室の作動油の油圧を制御することにより行われる、請求項1に記載の自動変速機。 - 上記駆動源はエンジンであり、上記自動変速機の入力軸に上記エンジンが接続されている、請求項1または請求項2に記載の自動変速機。
- 上記駆動源はエンジンおよびモータであり、上記自動変速機の入力軸に上記モータを介して上記エンジンが接続されている、請求項1または請求項2に記載の自動変速機。
- 上記モータと上記エンジンとの間に上記エンジンの上記自動変速機への動力伝達を切り離すクラッチが設けられている、請求項4に記載の自動変速機。
- 上記モータの下流側の動力伝達経路上に、上記自動変速機に作動油を供給するオイルポンプが設けられている、請求項4または請求項5に記載の自動変速機。
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