JP2005528659A - 電子制御回路及び車両用の音響信号出力装置 - Google Patents

電子制御回路及び車両用の音響信号出力装置 Download PDF

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Abstract

少なくとも、警報サイレンの特性を有する第1音響信号を出す車両用スピーカー(LDSK)の電子制御回路(50)は、サンプル用音響警告装置で生成できる参照音響信号の少なくとも一部に相当する複数のデジタルサンプルが格納される記憶手段(Flash)と、参照音響信号に関連する高調波成分の少なくとも一部を伝える変調電気信号(S1,S2)を複数のデジタルサンプルに基づいて生成する処理手段(μP)と、変調電気信号(S1,S2)が入力される駆動回路(DRV−CR)であって、参照音響信号の少なくとも一部を実質的に再生している第2音響信号を出すために、対応する駆動信号をスピーカー(LDSK)に入力する駆動回路(DRV−CR)と、を備えることを特徴とする。

Description

本発明は、車両において音響信号を出すのに使用する装置、及び対応する電子制御回路に関する。
周知のように、現在使用されている車両は、音響警告装置、すなわち警音器(クラクション)を有する。この音響警告装置は、利用者が操作でき、通常は、固定コイル式モータと、金属ダイアフラムと、このダイアフラムの振動で発生した音響放射に適した放出口と、を含む。
通常、車両に関連した窃盗が試みられたことを示す音を出す警報サイレンを備えた車両も公知である。詳しくは、これらの装置のいくつかは、可動コイル(ムービングコイル)式音響−電気変換器を含むスピーカー(ラウドスピーカー)で構成される。
従来の警報サイレンはまた、スピーカー駆動用の電気信号を生成する適当な電子式スピーカー制御回路を有する。例えば、駆動信号が矩形波である警報サイレンが知られている。この矩形波は、基準周波数を分割することで生成され、基準周波数は、電子制御回路を同期させている水晶結晶板(水晶振動子)により生成される。
現在使用されている車両、例えば自動車などでは、音響警告装置は警報サイレンから切り離された、独立した装置である。
1つの装置の中で警報サイレンと音響警告の機能を組み合わせることが車両メーカー及び最終利用者にとって魅力ある解決策のようであることが指摘されている。なぜならば、これにより、コストと全体が占有する空間とが1つの装置のコストと空間とに限られるからである。
この点に関しては、音響警告装置が出す音、そしてそれゆえにその音の高調波成分が、警報サイレンが出す音と著しく異なることから、このような組合せを達成することが実際には簡単でないことに留意すべきである。この違いは、2つの装置が出す音の特性を定める国際規制及び国内規制の結果であり、メーカーの選択の対象ではない。また、2つの装置の典型的な音のこの違いは、音響警告装置が生成する音波が普通数百ヘルツオーダーの周波数を有し、これに対して、警報サイレンが生成する音波がより高い周波数、例えば2000ヘルツであることを確信すれば、明らかであろう。
さらに、この2つの装置の音響信号特性は、熟練した者にもあまり熟練していない者にもよく知られている特定の音質を有しており、したがって、熟練した者もあまり熟練していない者も容易に認識できるので、これらの音を作り直すという不満足な試みを歓迎しないであろう。
さらに、都合よくは、2つの機能を組み合わせることで、使用している個々のスピーカーの電子制御回路があまりに複雑になってはならない。
本発明の目的は、警報サイレンとしても音響警告装置としても十分な性能で作動するようにスピーカーを駆動することができるスピーカー用の電子制御装置を提案することである。
本発明の目的は、添付の請求項1に定義したスピーカー制御回路によって達成される。
本発明のさらに別の主題は、添付の請求項20に定義した車両用の音響信号出力装置である。
本発明のさらに他の特徴及び利点は、非限定的な例として示した、添付図面に関する本発明の好ましい実施形態についての以下の記載から明らかになるであろう。
図1は、本発明による音響信号出力装置100の好ましい実施形態を概略的に示す。装置100は、例えば自動車などの車両で使用することが意図されており、ある動作状態で警報サイレンの特徴を有する音響信号を出し、別の動作状態で音響警告装置の特徴を有する音響信号を出すように用意されている。
「警報サイレンの音特性」という表現は、限定するものではないが、特に車両の盗難防止システムに接続された警報サイレンが放つ音を定義することを意図している。
出力装置100は、電子制御回路50と、この制御回路に接続されたスピーカーLDSKと、を備える。
制御回路50は、制御用電気信号が入力される入力段INP−STGと、プログラム可能なマイクロコントローラのような処理手段μPと、マイクロコントローラμPをプログラムする信号用の入力ラインIN−1及びIN−2と、スピーカーLDSKを接続できる駆動回路(ドライバ回路)DRV−CRと、を含む。スピーカーLDSKは、それ自身の電気端子V01及びV02を有する。
入力段INP−STGは、警笛起動電気信号H−Sが入力される第1ラインL1と、サイレン起動電気信号SR−Sが入力される第2ラインL2と、を有する。代わりに、両方の種類の起動信号が入力されるラインを一本だけ設けることもできる。警笛起動信号H−S及びサイレン起動信号SR−Sは、それぞれ、車両の音響警告装置及び警報サイレンの典型的な周波数の音波のスピーカーLDSKによる出力を、始動したり、停止したりする。
詳しくは、警笛起動信号H−Sは、車両の運転手が、スイッチとして作用する(不図示の)警笛ボタンを押すことで生成できる信号である。
サイレン起動信号SR−Sは、例えば盗難防止システムの電子処理装置のような、車両に取り付けられた(不図示の)電子処理装置で生成できるデジタル信号である。好ましくは、サイレン起動信号SR−Sは、改竄防止に必要な安全基準を満たすように、適当に符号化又は暗号化されている。
第2の入力ラインL2は、装置100に接続するバスであり、第2の入力ラインL2で上述した始動/停止機能と共に他の機能を有する信号を装置100に送信できると都合がよい。例えば、バスL2は、装置100の診断を行うための信号、又は、車両の中央電子制御ユニットから来て、車両の状態を示す音響信号(ブザー型の信号)の出力を制御する信号を入力するのにも適している。これらの状態指示信号には、例えば、ギアがバックに入っていること、開いているドアがあること、車両のライトが不必要に入っていることを知らせるという機能がある。
入力段INP−STGは、出力ラインL3及びL4で、それぞれ、起動信号H−S及びSR−Sが、又は、入力ラインL1又はL2上にある他の信号が、マイクロコントローラμPの処理に適切に適応させた状態(例えばフィルターをかけ、過電圧から保護した状態)で得られるように用意されている。
さらに、制御回路50は、好ましくは、安定化エネルギー源REDを含み、車両のバッテリーが生成する第1電圧Vbatt(通常12Vである)に基づいて第2電圧Vccを供給するようにしている。第2電圧Vccは、電子制御回路50のいくつかの部品にエネルギーを供給するのに利用できる。また、第2電圧Vccは、第1バッテリー電圧Vbattに対して適当に下げた値、例えば5V、を有する。
マイクロコントローラμPは従来型のものでよく、CPU(中央処理装置)と、記憶手段、例えばROMメモリ、好ましくはフラッシュメモリ、又は、RAMメモリ(ランダム・アクセス・メモリ)などと、それぞれの接続バスとのインターフェイスとなる部分と、を備えていてもよい。
例えば、クロックCKで時間が合わせられているマイクロコントローラμPは、PICマイクロチック・ファミリーのデバイス、又はSTマイクロエレクトロニックスのデバイスST5/6/7であってもよい。
マイクロコントローラμPは、入力段INP−STGからの警笛起動信号H−S及び/又はサイレン起動信号SR−Sを出力ラインL3及びL4を介して入力され、少なくとも1つの駆動信号を生成する。この駆動信号は、少なくとも第1駆動ラインDR−1を介して駆動回路DRV−CRに送られる。
マイクロコントローラμPの記憶手段(例えばフラッシュメモリー)は、複数のデジタルサンプルを格納している。これらのデジタルサンプルは、参照音響信号の少なくとも一部に相当している。この参照音響信号は、サンプル用音響警告装置、例えば従来の警音器によって生成することができる。
これらのデジタルサンプルは、装置100の外部で生成し、その後で、マイクロコントローラμPの記憶手段に格納すると都合がよい。これらのデジタルサンプルを装置100の外部で生成することにより、所望の性能を得るのに適したアナログ及び/又はデジタル器械類を、装置の構造、とりわけ、制御回路50の構造を複雑にすることなく、使用することができる。
本発明の一実施形態によれば、デジタルサンプルは、参照音響信号を表す適当な電気信号のアナログ/デジタル変換(量子化段階及び符号化標本化段階を含む)の結果生成される。
より詳細には、この電気信号は、公知のタイプのサンプル用音響警告装置で、好ましくは最適性能を有するものが出力した参照音響信号を(例えば、マイクロホンを使って)音響/電気変換することにより生成される。
例えば、固定コイル式モータと、金属製ダイアフラムと、ラッパ(ラッパ形の物、拡声器)で構成された出口部と、を備えた従来の音響警告装置を参照音響信号の生成に使用できる。
本発明の別の実施形態によれば、格納されているデジタルサンプルは、音響電気変換器を作動させた結果として生成するのではなく、参照音響信号の特性を適切に分析し、適切な数学モデルを用いて参照音響信号を合成することで生成してもよい。
好ましくは、参照音響信号を表すデジタルサンプルをマイクロコントローラμPに格納する前に、少なくともスピーカーLDSKの周波数特性を考慮した等化を行うために参照音響信号を適当に処理する。特に、マイクロコントローラμPの後の段階及びスピーカーLDSKによって不利となる(劣化する)成分のプリエンファシスが行われる。
特に、フラッシュメモリに格納されている複数のサンプルは、複数の副サンプルを含む。この複数の副サンプルは、参照音響信号の音が維持されている段階、すなわち、音が安定していて、実質的に一定の音量を有する段階を表す電気信号部分に対応している。
この維持段階は、音響警告装置の初期段階、すなわちスイッチオン段階と、音響警告装置の最終段階、すなわちスイッチオフ段階との間の中間段階である。
本発明の好ましい実施形態によれば、記憶手段に格納されている複数のサンプルはまた、さらに別の複数の副サンプルを含み、この複数の副サンプルは、音響警告のスイッチオン、すなわち初期段階に対応している。また、記憶手段に格納されている複数のサンプルは、別の複数の副サンプルを含み、この複数の副サンプルが、音響警告のスイッチオフ、すなわち最終段階に対応していると都合がよい。
音響警告の初期段階は、実行する信号出力機能に対して顕著な影響を有し、また、他の2つの段階とは明らかに異なる高調波成分を有することが指摘されている。スイッチオフ段階では、出した音響信号の音量低下が支配的になる。
例えば、初期段階及びスイッチオフ段階は、それぞれ持続時間が約20msであるのに対して、維持段階に関連したサンプルは、約30msの持続時間に対応している。以下の説明からより明確になるように、維持段階に関連したサンプルは、繰り返し使用される。
出力装置100の音響警告動作状態に関しては、マイクロコントローラμPは、格納されている複数のデジタルサンプルを処理し、その複数のデジタルサンプルから、第1の駆動ラインDR−1に送信すべき、変調された電気信号S1を生成するように用意されている。この変調信号S1は、サンプルに対応した、そしてそれゆえに参照音響信号に対応した高調波成分を伝えるものである。
詳しくは、変調信号S1のスペクトルは、出力すべき音響信号の周波数と相関のある周波数成分を含むことになる。
上述の実施形態によれば、マイクロコントローラμPは、第2の駆動ラインDR−2で、別の変調された電気信号S2が得られるようにもする。この電気信号S2は、第1の駆動ラインDR−1の変調信号S1の位相を反転させた複製である。
好ましくは、マイクロコントローラμPが、格納されたサンプルに基づいてPWM変調を行う。すなわち、変調信号S1は、PWM(パルス幅変調式)パルス信号である。
このPWM変調信号S1は、パルス列で構成された2つの状態を有する信号である。パルスの幅(つまり、持続時間)は、参照音響信号の曲線に従って変化する。例えば、パルスの持続時間は、サンプルの値と関連付けられている。
PWM変調を達成するための技術は公知であり、詳細に説明する必要はない。いずれにしても、信号S1はPWM変調器で生成することができ、このPWM変調器は、例えば、適当な電圧コンパレータを含む。この電圧コンパレータは、マイクロコントローラμPの適当なメモリに格納されている前述したデジタルサンプルに対応したPCM(パルス符号変調)信号をのこぎり歯状の波形と比較して、バイナリーPWM信号を生成する。本発明に使用できるPWM変調器の例は、エリック・ブレッシュ、ウェイニー・T・パジェット著の「TMS320C67によるデジタル・オーディオ電力増幅器(パワー・アンプ)の設計、概論、新規なフィードバック方法」という記事に記載されている。この記事は、マスワーク・インターネット・サイトの下記のアドレスで入手可能である、http://www.mathworks.com/products/dsp_comm/pdfs/hbreschpadgett.pdf。もっとも、適当な従来の他の種類の変調器も使用することができる。
警報サイレンとして動作するという出力装置100の性能に関しては、マイクロコントローラμPは、第1の駆動ラインDR−1で、駆動回路DRV−CRに供給すべき適切な駆動信号SQ−1が得られるように用意されている。詳細には、この駆動信号は矩形波であり、この矩形波の繰り返し周波数は、所望の音響信号の周波数に関連付けられており、特に同一となっている。
前述したように、マイクロコントローラμPは、第2の駆動ラインDR−2で別の信号SQ−2が得られるようにすることができ、この信号SQ−2は、第1の駆動ラインDRV−1の矩形波SQ−1の位相を反転した複製である。警報サイレン動作状態の場合、マイクロコントローラμPが出力した信号SQ−1及びSQ−2もまた周波数変調されていることが好ましい。この周波数変調は、例えば正弦波型である。正弦波型の周波数変調は、警報サイレンに典型的な「掃引」の再生に必要なものである。
本発明のある特定の実施形態によれば、警報サイレンの特性を有する音響信号を出力させる矩形波SQ−1は、サンプリング処理で生成されるのではなく、マイクロコントローラμPのタイミング信号の周波数分割で生成される。
なお、上述した電子制御回路50のいろいろな機能は、マイクロコントローラμPが、入力IN−1及びIN−2を用いてロードしたプログラムを実行することにより行うことができること、又は、いくつかの機能を独立した専用の電子回路で行うことができることを指摘しておく。
さらに、音響信号出力装置100は、警報サイレン又は音響警告とは別の音響信号、例えば音楽又は音声信号を伝えることもできる。この目的のために、電子制御回路50はまた、音声増幅器(可聴周波増幅器、オーディオアンプ)AUD−AMPLを有していると都合よい。この音声増幅器AUD−AMPLは、可聴周波数領域のアナログ電気信号(音楽又は音声)を入力端子IN−ANから入力され、これを適当に増幅し、そしてマイクロコントローラμPに供給する。例えば、音声増幅器AUD−AMPLは、公知の種類のものであり、2つの増幅段を含んでいる。この2つの増幅段は、縦続(直列)に接続されたオペアンプ(不図示)で構成されており、望ましい利得と、入出力インピーダンス値を保証している。このさらに別の機能を可能にするために、マイクロコントローラμPは、サンプリング手段を備えており、このサンプリング手段は、リアルタイムで入力された音声信号をサンプリングすること、及びスピーカーLDSKを駆動するための対応する信号を生成することに適している。スピーカーLDSKの駆動信号は、駆動ラインDR−1及びDR−2で利用可能となっている。
音声増幅器の入力端子IN−ANに入力できるアナログ信号は、車両に設けられたラジオ受信機、立体音響システム、又はマイクロホンからの信号であることが好ましい。
さらに、電子回路50には、オプションとして、電力増幅段POW−AMPLが設けられている。この電力増幅段POW−AMPLは、マイクロコントローラμPで制御ラインL−Cを用いて制御できる。電力増幅段POW−AMPLにより、バッテリーで供給された直流バッテリー電圧Vbattを値HV(例えば約30V)にあげ、スピーカーLDSKを駆動するのに適切なレベルで駆動回路DRV−CRに供給することができる。例えば、電力増幅段POW−AMPLは、インダクタンスを使用する従来のスイッチング型DC/DC(直流/直流)コンバーターと、スイッチ素子としてのMOSFETトランジスターと、を備えていてもよい。
本発明のある特定の実施形態によれば、制御回路50は、(マイクロコントローラμPで制御可能な)スイッチング回路SWを備えている。スイッチング回路SWでは、バッファーバッテリーBT−BKをスイッチング回路SW自体の端子Vpに接続することができる。端子Vpでは、第3電圧Vpを得て、安定化エネルギー源REGに供給し、自動車のバッテリーを使用できない場合に、制御回路50に第2電圧Vccを供給するようにすることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、マイクロコントローラμPにより、PWM変調信号S1及びS2のパラメータを変えて、スピーカーLDSKから出す音響警告信号の音量を変えることができる。変調信号のパラメータの変更は、例えば、車両の電子制御装置から来て、入力バスL2に入力された音量制御信号に基づいて行うことができる。この種の信号は、例えば、音響警告信号の音量を夜間に許容される標準的な限度内に下げることができる。
マイクロコントローラμPが第1駆動ラインDR−1及び第2駆動ラインDR−2に出力した信号に基づいてスピーカーLDSKを駆動できるようにする駆動回路DRV−CRの好ましい実施形態について図2を参照しながら説明する。
駆動回路DRV−CRは、クラスDで動作するように用意されていると好都合である。クラスDの増幅手法は公知であると考えられるので、その詳細な説明は必要ない。エリック・ブレッシュ及びウェイニー・T・パジェットによる前述の記事には、クラスDの音声増幅技法の例があり、これらの例は、本発明にも使用できる。詳しく言うと、この記事(図0.1及び0.2)には、PWM復調器を使用することが説明されている。PWM復調器は、スピーカーに入力するアナログ信号の再構築用のローパスフィルターLCという形を取っている。アナログ信号の再構築は、音声増幅器のPWM信号出力に基づいて行われる。
図2は、駆動回路DRV−CRの好ましい実施形態を極めて概略的に示している。この実施形態によれば、駆動回路DRV−CRは、ブリッジ構造(ブリッジ増幅器)を有し、このブリッジ構造は、第1増幅分枝部(a first amplification branch)BRA−1と、第2増幅分枝部(a second amplification branch)BRA−2と、を含む。第1増幅分枝部BRA−1及び第2増幅分枝部BRA−2は、互いに構造的に同様であり、第1出力端子OU−1及び第2出力端子OU−2を用いてスピーカーLDSKに差動式に入力をすることが意図されている。詳しくは、駆動回路DRV−CRは、2つの出力端子OU−1及びOU−2に電気信号を逆位相で供給するように用意されている。このように、スピーカーLDSKは浮いている。すなわち、スピーカーLDSKのどちらの端子V01及びV02も、恒久的に接地又は正電圧に接続された電圧を有していない。
第1(第2)増幅器分枝部BRA−1(BRA−2)は、第1(第2)ドライバー増幅器DRIV−1(DRIV−2)及び第1(第2)最終増幅器FIN−AMPL−1(FIN−AMPL−2)を含む。
第1(第2)ドライバーDRIV−1(DRIV−2)の入力は、第1(第2)駆動ラインDR−1(DR−2)及び停止/起動信号用の停止ラインINHに接続されている。
各ドライバーDRIV−1、DRIV−2は、上側出力ラインHD及び下側出力ラインLDに、ドライバーの入力における信号を適当に増幅した2つの複製を互いに逆位相で与えるように用意されている。
図2は、論理ブロックを用いて、第1ドライバーDRIV−1の好ましい構造上のレイアウトを示している。このレイアウトは、第2ドライバーDRIV−2でも使用できる。この実施形態によれば、第1ドライバーDRIV−1は、非反転増幅器A−1及び反転増幅器A−2を含む。非反転増幅器A−1及び反転増幅器A−2のそれぞれの入力は、第1駆動ラインDR−1に接続されており、それぞれの出力は、対応する各ANDゲートに接続されている。各ANDゲートの出力は、上側出力ラインHD又は下側出力ラインLDに接続されている。第1ドライバーDRIV−1の2つのANDゲートにより、停止信号INHが入った場合に(例えば、停止信号が低論理レベルを採用した場合に)第1最終増幅器FIN−AMPL−1の動作が停止するように、入力信号を停止信号INHと組み合わせることができる。同様に、停止信号INHの論理値を切り換えた場合には、最終増幅器FIN−AMPL−1、FIN−AMPL−2の動作が起動される。
図2はまた、第1最終増幅器FIN−AMPL−1の好ましい実施形態を概略的に示している(この実施形態は、第2最終増幅器FIN−AMPL−2にも適用できる)。この実施形態によれば、第1最終増幅器FIN−AMPL−1は、シングルエンド・プッシュプル増幅器であり、上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLを備えている。上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLは、いずれもMOSFET(酸化金属半導体電界効果トランジスター)で構成されていると好都合である。図2において、MOSFETトランジスターのバイアシング、減結合又は安定化に使用できる抵抗やコンデンサーは、当業者にとって明らかなものであるから、明確のために示していない。
詳細には、上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLは、nチャンネルトランジスターであり、それぞれ上側出力ラインHD及び下側出力ラインLDに接続されたゲート端子Gを有する。さらに、上側トランジスターTHのソース端子Sは、下側トランジスターTLのドレイン端子Dに、そしてそれ故に、第1出力端子OU−1に接続されている。
上側トランジスターTHのドレイン端子Dには、電力増幅段POW−AMPLで生成された電源電圧HVを入力することができる。また、下側トランジスターLDのソース端子SはアースGNDに接続されている。
第1最終増幅器FIN−AMPL−1が動作しているときは、第1ドライバーDRIV−1の上側出力ラインHDに加えられた電気信号の曲線が第1出力端子OU−1で(利得率を除いて)再生されるように、トランジスターTH及びTLが非導通状態と飽和状態との間で交互に切り替わる。
第1ドライバーDRIV−1は、上側出力ラインHD及び下側出力ラインLDの信号レベルが、確実に上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLを飽和させるように用意されていると好都合である。さらに、第1ドライバーDRIV−1は、好ましくは、第1最終増幅器FIN−AMPL−1を駆動させる一方で、上側及び下側トランジスターが同時に導通して電圧端子HVとアースGNDとの間で危険な短絡が起きることが決してないようにする。
このことは、上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLに加える信号の位相を適当にずらすことにより、及び/又は、トランジスターに適当にバイアスをかけることにより達成できる。同様のことは、第2ドライバーDRIV−2についても言える。
さらに、第1ドライバーDRIV−1の仕事は、本実施形態によれば、n型MOSFETで構成されている上側トランジスターTHを適切に駆動することであることを指摘しておく。図示の回路構成において通例であるp型トランジスターではなく、n型の上側トランジスターTHを使用することにより、マイクロコントローラμPが出力した信号により上側トランジスターを駆動することが、p型トランジスターを駆動する場合よりも有利になる。
2つのドライバーDRIV−1及びDRIV−2並びに2つの最終増幅器FIN−AMPL−1及びFIN−AMPL−2は、従来の市販の集積回路装置で構成されていてもよい。
駆動回路DRV−CRはまた、フィルター手段を有する。このフィルター手段は、第1最終増幅器FIN−AMPL−1及び第2最終増幅器FIN−AMPL−2の出力とスピーカーLDSKの入力端子との間に挿入されており、例えば、第1コイル(インダクター)W1と第2コイルW2とコンデンサーCとを含むローパスフィルターで構成される。コイルW1及びW2は、第1最終増幅器FIN−AMPL−1の出力端子及び第1出力端子OU−1の間と、第2最終増幅器FIN−AMPL−2の出力端子及び第2出力端子OU−2の間とにそれぞれ配置されている。コンデンサーCは、スピーカーLDSKと平行に配置されている。
フィルター手段は、最終増幅器FIN−AMPL−2及びFIN−AMPL−2が出力した信号から、スピーカーLDSKに入力するアナログ駆動信号を再構築するための復調器として機能してもよい。
図3は、本発明に使用できるスピーカーLDSKの好ましい実施形態の断面を分解斜視図で示している。図示の特定のスピーカーは、以下に簡単のため音響ドライバーと呼ぶ電気音響変換装置1を1つと、音響ドライバー1に音響的に接続できる放射制御構造部、すなわち拡散素子2と、を備えている。
音響ドライバー1は、これに加えられた電気駆動信号を音響放射に変換する機能を有し、可動コイル式ドライバーで構成されていると都合がよい。さらに、ドライバー1は、圧縮室を有する種類のものであると好都合である。
音響ドライバー1は、警報サイレンの特性を有する音響放射に加え、音響警告装置の特性を有する音響放射をも生成できるような大きさをしている。音響ドライバー1の大きさは、当業者が、本説明で提供する情報及び従来の設計技術に基づいて選択することができる。
警報サイレンとして作動するために音響ドライバー1が生成できる音響放射は、好ましくは、1500Hzと3000Hzの間の基本周波数を有し、より好ましくは、1800Hzと2700Hzの間の基本周波数を有する。音響警告装置として作動するために音響ドライバー1が生成できる音響放射は、好ましくは、200Hzと400Hzの間の基本周波数を有し、より好ましくは、250Hzと350Hzの間の基本周波数を有する。
圧縮室付きの可動コイル式音響ドライバーは、従来技術による音響警告装置を構成するのに使用されていないことを指摘しておく。この種のドライバーは、警報サイレン用のスピーカーを構成するのに使用されてきた。実際に、この種の音響ドライバーは、音響警告装置に関係のある範囲内の周波数での音響放射の出力に適当であるとは一般に考えられていない。それゆえに、この種の音響ドライバーを音響警告装置の特性を有する音を出すのに使用することは革新的であり、実験的に認められたその満足すべき性能は驚くべきものである。
より詳しくは、音響ドライバー1は、例えば金属から作られた円形の支持プレート3と、支持プレート3に載せるための永久磁石4と、磁石4の上に配置する金属製クロージャーディスク(metal closure disk)5と、を備えている。支持プレート3は、磁石4を収容するためのくぼみ7を画定するために、支持プレート3の縁の近傍につば部(カラー)6を有している。
音響ドライバー1はまた、振動素子を含む。振動素子は、好ましくは、単一のダイアフラム8から構成され、実質的に球形キャップ形状の振動領域9を備えている。この領域9は、環状リム10に接続されている。キャップ形状をした領域9は、実質的に剛体であり、キャップが環状リム10に対して相対的に振動できるようにこの環状リム10に接続された周囲領域を有する。詳しくは、これは、キャップ9と環状リム10の間に適当に波形の(襞の付いた)接続領域13を形成することで達成される。ダイアフラム8の振動は、振動軸A−A’に沿って生じる。この振動軸A−A’は、キャップ9の幾何学的な軸に一致している。キャップ9の凸側は拡散素子2を向いている。ダイアフラム8は、例えばベークライト(登録商標)で適当に処理された布から作られている。
ダイアフラム8は、円形支持壁12に巻き付けられたコイル11に機械的と連結されている。円形支持壁12は、振動キャップ9に堅固に固定されている。コイル11は、スピーカーLDSKの電気入力端子V01及びV02に接続されており、かつ、ダイアフラム9に固定されている。
音響ドライバー1はまた、実質的にドーム形状をした第1の要素14(要素14の凸側が拡散要素と対向している)を有する。この要素14は、環状リム10と重ならないようにキャップ9の真上に配置することが意図されている。
ドライバー1を組み立てた状態では、永久磁石4がくぼみ7に収められ、クロージャーディスク5で覆われている。コイル11を支持する円形壁12は、永久磁石4とつば部6との間の空間に配置されており、コイルと磁石とが互いに十分近くにあり、適切に電磁気的に連結するようにしている。上述したいろいろな構成要素は、従来の取付手段(不図示)によって適所に保持することができる。
なお、クロージャーディスク5及び第1ドーム形状要素14は、圧縮室を画定しており、ダイアフラム8がこの圧縮室の中で振動できることを指摘しておく。
ダイアフラム8の振動は、コイル11の運動によるものである。このコイル11の運動は、駆動回路DRV−CRが出力した駆動信号がコイルを流れたときに発生する変動磁場と、磁石4により生成された静磁場との相互作用により生じるものである。
ダイアフラム8、特にキャップ9が振動している間、圧縮室に入っている空気が圧縮され、音波とともに、第1ドーム形状要素14の側から出ることができ、拡散要素2へ適切に運ばれるまで適当なS字形状をした経路に沿う。拡散要素2は、音響ドライバー1が出した放射を装置100の外へ、特に車両の外へ適切に伝搬させるという機能を有する。
本発明のある都合のいい実施形態に寄れば、音響拡散要素2は拡声器(ラッパ形の物、ラッパ)であり、この拡声器は、音響放射のための案内部を画定している。実際に、拡声器を使用することで、音響警告装置における典型的な周波数を有する音波を十分な効率で放射することを、警報サイレンにおける典型的な周波数を有する音波に大きな不利益を与えることなく達成できることが実験的にわかっている。前述した種類の音響ドライバーと組み合わせた拡声器を使用することが革新的なものであり、達成され、実験的に立証された優れた性能が当初予測できるものでなかったことには留意すべきである。
拡声器2は、ストレートタイプのものでも良いが、軸周りに巻いた放射路を画定するようにツイスト型拡声器であることが好ましい。
拡声器2の螺旋構造は、出力装置100の全体寸法を小さくすることから特に有益であることに留意すべきである。
出口部2は、第2の、実質的にドーム形状をした要素15を備えており、この要素15は、その凹部側がダイアフラム8へ向いており、中央部分に開口部17を有している。この開口部17を通して音響ドライバー1が生成した音波を要素15に入れることができる。第2のドーム形状要素15は、音響結合機能を有し、ダイアフラム8の環状リム10をドーム形状要素15自体の外側リム16でクランプするように、第1ドーム形状要素14の上に配置することが意図されている。
出口部2は、案内部を備えており、この案内部は、曲線状の通路、例えば螺旋経路18を画定している。螺旋経路18は、開口部17とつながっている孔19を一端に、放射口20を他端に有している。案内部18はテーパー状になっている。つまり、孔19は放射口20よりも寸法が小さい。
制御回路50は、スピーカーLDSKの近くに配置できることが好ましい。スピーカーLDSKは、車両に従来の方法で取り付けることができ、例として前述したような可動コイル式音響ドライバーを用いて取り付けることができると都合がよい。特定の支持ブラケットを使用する必要はない。なぜならば、この種のドライバーでは、車両への取付は動作に取ってあまり重要でないからである。
次に、本発明による出力装置100の動作について説明する。
出力装置100が取り付けられている車両の利用者が押しボタンを押して警笛起動信号H−Sを生成したと仮定する。制御ラインL1に供給された信号H−Sは、マイクロコントローラμPに到達する。マイクロコントローラμPは、警笛起動信号H−Sを確認した後に、(逆位相で)変調信号S1及びS2を生成し、駆動ラインDR−1及びDR−2を介して駆動回路DRV−CRに送る。駆動回路DRV−CRは、禁止信号INHを適当な論理レベルにすることで動作させる。
より詳細には、マイクロコントローラμPは、記憶手段の内容を読み、格納されている音響警告の初期段階に関連した複数の副サンプルを処理し、(これらのサンプルに基づいて)パルス列をPWM変調し、このようにして得られた駆動信号S1及びS2を駆動回路DRV−CRに送る。
次に、サウンド維持段階に対応する変調信号S1及びS2が駆動回路DRV−CRに送られる。詳しくは、マイクロコントローラμPが、維持段階に対応するデジタルサンプルによるパルス列の変調を繰り返し、変調信号を駆動回路DRV−CRに警笛起動信号H−Sが停止されるまで送る。
警笛起動信号H−Sが停止したら、上述したのと同様な方法で動作しているマイクロコントローラμPは、音響警告のスイッチオフ段階に対応する駆動信号S1及びS2を生成して駆動回路DRV−CRに送る。
初期段階、維持段階、及びスイッチオフ段階のいずれでも、駆動回路DRV−CRの第1ドライバーDRIV−1及び第2ドライバーDRIV−2が、入力された変調信号S1及びS2を適切なレベルにし、適当な方法で駆動信号(ここでもPWM型である)を生成する。駆動信号は、上側駆動ラインHD及び下側駆動ラインLDで得られるようにする。
最後のプッシュプル増幅器FIN−AMPL−1及びFIN−AMPL−2は、非導通状態と飽和状態との間で動作し、入力信号を適当な方法で増幅して、それをスピーカーLDSKに入力する。
PWM駆動信号を利用することがとりわけ都合がよいことを指摘しておく。なぜならば、PWM駆動信号により、最終増幅器FIN−AMPL−1及びFIN−AMPL−2の上側トランジスターTH及び下側トランジスターTLが(交互に、かつ、各パルスが持続している間じゅう)飽和レベルで動作するからである。線形領域でのトランジスターの動作に比べると、このことはトランジスターでの熱という形態による電力の散逸を減らし、出力を増大させ、同時に装置100の熱放散の問題を小さくする。
ブリッジ型駆動回路DRV−CRは、増幅した駆動信号を逆位相でブリッジ型駆動回路DRV−CR自体の出力端子OU−1及びOU−2に送る。これらの信号は、次に、コイル11の端子V01及びV02に加えられる。コイル11は、磁石4の静磁界との相互作用によって、コイルの端子にかけられた電圧のカーブに関連した方法でダイアフラム8を振動させる。
ブリッジ構造の駆動回路DRV−CRを使用することに大きな利点があることを指摘しておく。これは、この駆動回路DRV−CRがコイル11の端子に印可する電圧の振幅を大きくするからであり(詳しくは、出力端子OU−1及びOU−2の一方だけの電圧の2倍の振幅が得られる)、そしてそれ故に、対応するダイアフラム8の移動範囲をより大きくするからである。特に、ブリッジ構造は、スピーカーLDSKで構成される負荷に与えられる電力を4倍にし、これにより、得られる音響パワーを増大させる。
PWM変調を利用することの利点は、負荷に高電力を伝達でき、これにより音響信号が高音響レベルで出力され、最終増幅段階(FIN−APL−1及びFIN−AMPL−2)でのエネルギー散逸が制限されることである。また、これらの利点は、ブリッジ構造の駆動回路DRV−CRを利用することによりさらに増す。
ダイアフラム8の振動により音波が出力される。音波は、圧縮チャンバーから出て、第2ドーム形状要素17によって集められる。第2ドーム形状要素17は、音波を拡声器2の音響案内部18へ送る。音響放射は、案内部18に沿って移動し、口19に達し、外部へ放射される。拡散要素2が放射した音響放射は、サンプルとなっている従来の音響警告装置がいろいろな動作段階で生成できる音響信号を実質的に再生する。
出力装置100を警報サイレンとして動作させるためには、サイレン起動信号SR−Sを入力段INP−STGに与える。入力段INP−STGは、サイレン起動信号SR−Sを増幅して、マイクロコントローラμPに送る。マイクロコントローラμPは、サイレン起動信号SR−Sに基づいて、逆位相の矩形波信号SQ−1及びSQ−2が第1駆動ラインDR−1及び第2駆動ラインDR−2で得られるようにする。
駆動回路DRV−CRは、スピーカーLDSKをオンオフ式制御で駆動するように、これらの矩形波信号を適当に増幅する。警報サイレンに典型的な周波数及び音質の音波はこのようにして出す。PWM変調信号S1及びS2の増幅に利用したのと同じ駆動回路DRV−CRを矩形波信号SQ−1及びSQ−2の増幅にも利用することが都合がよいことを指摘しておく。
音楽又は音声の音響信号を出す能力については、マイクロコントローラμPに音声増幅器AUD−AMPLから来た可聴周波数信号が入力された場合に、マイクロコントローラμPがその信号をサンプリングし、対応する駆動信号を生成する。好ましくは、駆動信号はPWM信号であり、スピーカーLDSKを制御する駆動回路DRV−CRに入力される。スピーカーLDSKは、音響警告信号の出力について説明したのと同様の方法で動作する。
状態を示す信号を出すのに装置100が提供できる能力に関しては、マイクロコントローラμPに(バスL2及び入力段INP−STGを用いて)それぞれの制御信号が入力されると、マイクロコントローラμPが、駆動回路DRV−CRに送るべき対応駆動信号を生成する。状態指示信号の出力に関する駆動信号は、警報サイレン信号と同じ方法でマイクロコントローラμPがその場で合成してもよく、あるいは、音響警告信号に関して説明したのと類似の方法で取得されたデジタルサンプルを利用して生成してもよい。さらに、マイクロコントローラμPが指示信号の出力のために出す駆動信号は、例えば矩形波型の信号であってもよく、あるいはPWM型の信号であってもよい。
本発明による制御回路50及び出力装置100は、多くの利点を有する。
音響警告機能に関しては、制御回路50が性能の点で特に好都合であることに留意すべきである。実際に、制御回路50の外部で処理することにより取得されたデジタルサンプルを利用すること、及びスピーカーLDSKを駆動するのに対応する変調信号S1(S2)を生成することにより、音響警告装置の特性を有する信号の高調波成分を、電子制御回路を複雑にすることなく非常に満足に再生できることが認められている。得られる利点が、格納されているデジタルサンプルが音響電気変換器の作用で得られている場合に特に顕著であること、また、これらのサンプルが装置100の外部で音響警告信号の特性を有する信号を適切に合成して得られている場合にも特に顕著であることを指摘しておく。
音響警告装置の特性を有する信号の高調波成分の(そしてそれ故に音の)複雑さ及び個々の特質を考えると、電気音響変換器と接続されているのと同じ回路によってその場で従来の合成技術を行ってそれを生成すると、結果は不満足なものになるとともに、電子回路が相当複雑になることが分かっている。
とりわけ、基準周波数から始めて、倍増操作、ミクシング操作、及び分割操作によって成し遂げられる音響警告信号のその場での合成は、従来の警笛が出す音と全く異なる音の信号を出すことになることが認められている。
可動コイル式音響ドライバーにラッパ型(ホルン型)出口をつなげた圧縮室を付けて利用することにより、装置100の種々の機能に関してとりわけ満足すべき性能が得られたことにも留意すべきである。
本発明による音響信号出力装置100には、警報サイレンの機能を音響警告装置の機能と合わせて1つの装置にし、2つの機能のための2つの別々の装置に比べて占有する空間と利用者にとっての費用を少なくするという利点がある。
装置100のさらにもう一つの利点は、装置100により、警報サイレン及び音響警告機能に利用されるのと同じ電子回路50及び同じスピーカーLDSKを利用して車両の状態を示す信号をも出力できることである。
さらに、図1の音声増幅器AUD−AMPLとの関連で説明したように、本発明による装置100にはさらに汎用性という性質がある。これは、装置100がオーディオシステム又はメガホンとしても作用することができ、車両の外部へ、車両に取り付けられたラジオ、オーディオシステム、又はマイクロホンで生成された電気信号に対応する音楽信号又は音声信号を伝搬することができるからである。
もちろん、不慮の又は特定の要求を満たすために、当業者は、本発明による制御回路及び信号出力装置をさらに改良することができるが、このような変形の全ては、添付の特許請求の範囲が定義する本発明の保護範囲に含まれている。
図1は、本発明による音響信号出力装置の特定の実施形態を概略的に示す。 図2は、音響信号出力装置で使用可能なドライバーの本発明による特定の実施形態を概略的に示す。 図3は、音響信号出力装置で使用可能なスピーカーの特定の実施形態を示す。

Claims (28)

  1. 少なくとも、警報サイレンの特性を有する第1音響信号を出す車両用スピーカー(LDSK)の電子制御回路(50)であって、
    サンプル用音響警告装置で生成できる種類の参照音響信号の少なくとも一部に相当する複数のデジタルサンプルを記憶する記憶手段(Flash)と、
    前記参照音響信号に関連する高調波成分の少なくとも一部を伝える変調電気信号(S1,S2)を前記複数のデジタルサンプルに基づいて生成する処理手段(μP)と、
    前記変調電気信号(S1,S2)を受け取り、前記参照音響信号の少なくとも一部を実質的に再生する第2音響信号を出すために、対応する駆動信号を前記スピーカー(LDSK)に入力する駆動回路(DRV−CR)と、
    を備えることを特徴とする電子制御回路。
  2. 前記変調信号(S1,S2)は、PWM(パルス幅変調式)パルス信号である、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  3. 前記駆動回路(DRV−CR)は、前記PWM変調電気信号を増幅するために少なくとも1つの増幅段(FIN−AMPL−1)を備えており、前記増幅段は、少なくとも第1トランジスター(TH)及び第2トランジスター(TL)を含んでおり、前記第1トランジスター及び第2トランジスターは、飽和状態で動作することが意図されている、請求項2に記載の電子制御回路(50)。
  4. 前記スピーカー(LDSK)は、第1入力端子(V01)及び第2入力端子(V02)を有し、前記駆動回路(DRV−CR)は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子にそれぞれの駆動信号を逆位相で、かつ、前記変調信号(S1,S2)と相関を有する状態で入力するために、ブリッジ構造を有する、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  5. 前記第1トランジスター(TH)及び前記第2トランジスター(TL)は、nチャンネルMOSFETである、請求項3に記載の電子制御回路(50)。
  6. 前記第2音響信号を出すための警笛起動信号(H−S)及び前記第1音響信号を出すためのサイレン起動信号(SR−S)を受け取るために、処理手段(μP)に接続された少なくとも1つの制御ライン(L1,L2)が設けられている、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  7. 格納されている前記複数のデジタルサンプルは、複数の副サンプルを含み、前記複数の副サンプルは、前記サンプル用音響警告装置の音の維持段階に対応する参照音響信号の一部に相当しており、前記処理手段(μP)は、前記警笛起動信号(H−S)が入っている時間の間、前記変調信号(S1,S2)を周期的に前記駆動回路(DRV−CR)に送るように用意されている、請求項6に記載の電子制御回路(50)。
  8. 前記複数のデジタルサンプルは、複数の第1副サンプルを含み、前記複数の第1副サンプルは、前記サンプル用音響警告装置のスイッチオン段階に対応する参照音響信号の第1部分に相当する、請求項7に記載の電子制御回路(50)。
  9. 前記複数のデジタルサンプルは、複数の第2副サンプルを含み、前記複数の第2副サンプルは、前記サンプル用音響警告装置のスイッチオフ段階に対応する参照音響信号の第2部分に相当する、請求項8に記載の電子制御回路(50)。
  10. 前記駆動回路(DRV−CR)は、スピーカーに入力する前記駆動信号にフィルターをかけるフィルター手段(W1,W2,C)をさらに備える、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  11. 前記処理手段(μP)は、少なくとも1つの第1駆動信号(SQ−1,SQ−2)を生成するように用意されており、前記第1駆動信号は、前記スピーカー(LDSK)から前記第1警告信号が出るように前記駆動回路(DRV−CR)に送られる、請求項6に記載の電子制御回路(50)。
  12. 前記少なくとも1つの第1駆動信号(SQ−1,SQ−2)は、矩形波型の信号であり、前記処理手段(μP)によりタイミング信号(CK)の周波数分割によって生成できるものである、請求項11に記載の電子制御回路(50)。
  13. 前記処理手段(μP)は、前記処理手段に入力された音量制御信号に基づいて前記スピーカー(LDSK)が出す前記第2音響信号の量を変更するように前記変調電気信号(S1,S2)のパラメータが変えられるようにする、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  14. 前記少なくとも1つの制御ライン(L1,L2)は、車両状態を示す少なくとも1つの信号の前記スピーカー(LDSK)による出力を制御するための信号を入力できるようになっており、前記処理手段(μP)により、前記駆動回路(DRV−CR)に送る第2駆動信号を前記制御信号から生成可能になっている、請求項6に記載の電子制御回路(50)。
  15. 少なくとも1つの音声電気信号を入力するための入力端子(IN−AN)をさらに備えており、前記処理手段(μP)が、前記音声電気信号をサンプリングし、前記駆動回路(DRV−CR)に送る第3PWM駆動信号を生成するように用意されている、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  16. 前記スピーカー(LDSK)は、警報サイレンの周波数特性を有する音響放射と、音響警告装置の周波数特性を有する音響放射と、を生成できる大きさを有する、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  17. 前記複数のデジタルサンプルは、前記電子制御回路(50)の外部で、前記参照音響信号を音響電気変換した結果得られた電気信号を処理することにより生成される、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  18. 前記複数のデジタルサンプルは、前記装置(100)の外部で前記参照音響信号を合成することで得られる、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  19. 前記スピーカー(LDSK)は、前記駆動回路(DRV−CR)が出力した信号を受け取り音響放射に変換する変換器(1)を備える、請求項1に記載の電子制御回路(50)。
  20. 警報サイレンの特性を有する第1音響信号を少なくとも出すスピーカー(LDSK)と、前記スピーカー(LDSK)に駆動信号を送る電子制御回路(50)と、を備えた車両用の音響信号出力装置(100)であって、前記電子制御回路(50)は、音響警告装置の特性を有する第2音響信号を前記スピーカー(LDSK)が出すことができるように、請求項1から19までの少なくとも1つに従って構成されていることを特徴とする音響信号出力装置(100)。
  21. 前記スピーカー(LDSK)が、変換装置(1)及び拡散素子(2)を備えており、
    前記変換装置(1)は、駆動信号を受け取り音響放射に変換するように前記駆動回路(DRV−CR)に電気的に接続され、前記変換装置(1)は、第1動作条件で警報サイレンの周波数特性を有する音響放射を生成でき、第2動作条件で音響警告装置の周波数を有する音響放射を生成できる寸法を有し、
    前記拡散素子(2)は、音響放射用であり、前記変換装置(1)が出した音響放射を前記音響信号出力装置(100)の外部に伝えるために前記変換装置と連結されている、請求項20に記載の音響信号出力装置(100)。
  22. 前記変換装置(1)は可動コイル式である、請求項21に記載の音響信号出力装置(100)。
  23. 前記変換装置(1)は圧縮室付きのタイプである、請求項22に記載の音響信号出力装置(100)。
  24. 前記拡散素子はラッパ(2)である、請求項20に記載の音響信号出力装置(100)。
  25. 前記変換装置(1)は、ダイアフラム(8)を備えており、前記ダイアフラム(8)は、前記駆動信号に従って圧縮室内で振動軸(A−A’)に沿って振動することが意図されており、前記ラッパ(2)は、前記音響放射用の案内部(18)を画定している、請求項23及び24に記載の音響信号出力装置(100)。
  26. 前記ラッパ(2)は、ツイスト型ラッパ(2)であり、前記変換装置(1)が生成した前記放射を受け取る第1開口部(19)と、前記第1開口部よりも大きな寸法の放射口(20)と、を有する、請求項25に記載の音響信号出力装置(100)。
  27. 前記変換装置(1)が、
    静磁場を生成する永久磁石(4)と、
    前記ダイアフラムに機械的に接続されたコイル(11)であって、前記駆動信号が前記コイルを流れ、電磁場を生成し、前記電磁場が前記静磁場と相互作用をしてダイヤフラム(8)を振動させることが意図されているコイル(11)と、
    前記ダイヤフラム(8)を含む圧縮室を画定する第1クロージャーエレメント(5)及び第2クロージャーエレメント(14)と、
    を備える、請求項25に記載の音響信号出力装置(100)。
  28. 前記スピーカー(LDSK)は、前記第1動作条件において基本周波数が1500Hzと3000Hzの間である音響信号を生成し、前記第2動作条件において基本周波数が200Hzと400Hzとの間である音響信号を生成するのに適している、請求項20に記載の音響信号出力装置(100)。
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