JP2005528640A - 累進屈折力レンズ - Google Patents

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Abstract

累進レンズを設計するためのシステムおよび方法が開示されている。平均度数は、レンズの表面全体にわたり分布されているポイントにおいて指定され、レンズ高さは、レンズの縁部近傍において指定される。指定された平均度数およびレンズの縁部の高さに合致する上述の複数のポイントにおけるレンズの高さは、部分的には、上述のレンズの縁部の高さを境界条件とする楕円型の偏微分方程式の一意の解を求めることにより決定される。偏微分方程式の解に向かって収束する逐次過緩和法を用いてもよく、また、上記の式を最も効率的に緩和させる過緩和係数を決定してもよい。

Description

本発明は、一般的に累進屈折力眼鏡レンズに関するものであり、さらに詳細にはこのようなレンズの設計を行うための改良されたシステムおよび方法に関するものである。
長年にわたり、高齢になるに従い眼の調節機能を喪失して焦点調節が困難となる病状を示す老視を患っている人により眼鏡用として二重焦点レンズが用いられてきた。この二重焦点レンズでは、二つの異なる光学的度数を有する領域にレンズを水平方向に分割することにより、解決策が提供された。レンズの上方領域は、遠視用に適切な光学的度数を備えるように設計されており、レンズの下方領域は、近視用(たとえば、読書用)に設計されていた。このように設計することで、着用者は、視線の位置を変えるだけで異なる距離に対して焦点を合わすことができるようになったが、これらの、レンズの異なる領域間で急速な変化がおきるために不快感を感じることが多かった。このような理由で、レンズの領域間における光学的度数の変化をなだらかにした累進屈折力レンズが開発された。
従来、累進屈折力レンズは、三つの領域、すなわち遠視用の上方領域と、近視用の下方領域と、これらの二つの領域を結ぶ中央累進領域とを有しているものとして述べられることが多い。図1は、立面図(作業図)で示された典型的な累進屈折力レンズの線図である。このレンズは、相対的に低い平均度数を有する遠用部領域2と、相対的に高い平均度数を有する読書用領域4とを備えている。平均度数が変化し通常高くなって行く中間累進部領域6は、遠用部領域と読書用領域とを結合している。また、側方領域8も示されており、この側方領域8は上記の累進部領域とレンズ境界10(すなわち、レンズの縁部)とに隣接している。
累進屈折力レンズ設計の目標は、上方領域2および下方領域4において実質的にはっきりとした視覚を提供するとともに累進部領域6においてなだらかな光学的度数変化を提供し、それと同時に、非点収差および他の光学的収差の分布を制御することにある。
初期の設計技術では、遠用部領域および読書用領域の全体にわたりレンズが球面形状であることが必要とされており、累進部領域および側方領域におけるレンズの形状の決定には、さまざまな内挿法が用いられた。これらの技術にはいくつかの問題点があった。遠用部領域、読書用領域、および累進部領域における光学的特性は通常満足できるものであったが、累進部領域とレンズ縁部とに隣接する領域にでは非点収差が顕著になる傾向があった。累進部領域の近傍領域に非点収差を押し込むように設計された内挿法では、平均度数、非点収差、およびプリズムの傾斜が相対的に急なものとなった。この結果、快適性、ピント合わせ、およびレンズの有効利用可能領域の最大化にとり望ましいと思われる、なめらかなかつ連続性を有した視野を得ることはできなかった。
図2は、典型的な累進屈折力レンズ表面の設計に従った平均度数分布を示す三次元図である。平均度数Mは垂直方向に表されており、レンズの円板はx座標およびy座標に対して示されている。レンズの円板は、レンズ平面に対して上方90度よりも小さな角度で観察されている。レンズの配置は、図1における配置と反対であり、低い平均度数を有する遠用部領域12が図2の前方に示されており、高い平均度数を有す読書領域が図2の後方に示されている。平均度数が、とくに側方領域16において、急に傾斜していることが明らかである。
ほとんどの累進屈折力レンズの設計システムでは、設計者は、レンズのいくつかの特定の部位、湾曲部、または領域においてのみ光学的特性を設定することができ、そのレンズの他の領域の形状および物性を決定するにはさまざまな内挿法を用いることができる。
たとえば、メトナーズ(Maitenaz)に対して発行された米国特許第3,687,528号には、設計者がレンズの上部から下部に延びる基本曲線の形状および光学的特性を指定する技法が開示されている。この基本曲線または「子午線」とは、レンズを二つの対称な半片に分割する面においてレンズ表面と主垂直子午線とが交差する部分である。設計者は、非点収差が子午線において消滅するという必要条件に制約される(すなわち、子午線は「中央(umbilical)」でなければならない)。メトナーズは、中央子午線から水平方向にレンズの形状を外挿するためのいくつかの陽公式を開示している。
ギリーノ(Guilino)に対して発行された米国特許第4,315,673号には、平均度数が中央子午線に沿って指定される方法が開示されており、レンズの他の部分の形状を外挿するための陽公式が提供されている。
「TRUVISION(登録商標)累進屈折力レンズ」という表題の1982年7月20日付けの小論において、ジェー・ティー・ウィンスロップ(J.T. Winthrop)は、遠用部領域および読書用領域が球面形状である累進レンズの設計方法を記載している。この記載された設計方法は、遠用部領域および読書用領域の周囲の平均度数を指定することを含んでおり、この周囲を唯一の境界域として取り扱っている。
また、ウィンスロップに対して発行された米国特許第4,514,061号にも、遠用部領域および読書用領域が球面形状である設計システムが記載されている。設計者は、遠用部領域および読書用領域のみならずこれらの二つの領域を結合する中央子午線の平均度数を指定する。レンズの他の部分の形状は、レンズの遠用部領域および読書用領域の境界条件の束縛を受けるがレンズの縁部の境界条件の束縛を受けないラプラス方程式の解である一組の水準面に沿った外挿により決定される。レンズ設計者は、レンズの縁部において直接にレンズの高さを指定することができない。
また、ウィンスロップに対して発行された米国特許第4,861,153号にも、設計者が中央子午線に沿って平均度数を指定するシステムが記載されている。この場合もやはり、レンズの他の部分の形状は、中央子午線と交差する、ラプラス方程式の解である一組の水準面に沿った外挿により決定される。レンズ設計者には、レンズの縁部におけるレンズの高さを直接に指定する手段が与えられていない。
フルター(Furter)に対して発行された米国特許第4,606,622号と、表題が「ツァイス・グレイダル・HS:最高の着用感を有する累進屈折力レンズ(Zeiss Gradal HS:The progressive addition lens with maximum wearing comfort)」である、1986年発行のゼイス情報誌、97号、55〜59ページ、におけるジー・フルター(G.Furter)の論文とには、レンズ設計者が、累進部領域の複数の特定部位におけるレンズ平均度数を指定する方法が記載されている。他の表面形状は、スプライン関数を用いて外挿される。設計者は、生成された表面の全体的なプロパティを向上させるために特定部位において平均度数を調整する。
カガらに対して発行された米国特許第5,886,766号には、レンズ設計者が、「レンズのコンセプト」のみを提供する方法が記載されている。この設計コンセプトには、遠用部領域における平均度数、累進屈折力、およびレンズ表面全体の大まかな形状の如き仕様が含まれている。そのあと、レンズの他の表面における平均度数の分布が、設計者により直接指定されるのではなく、計算により求められる。
バーカンら(Barkan et al.)に対して発行された米国特許第4,838,675号には、基本表面関数によりすでにおおまかに規定された形状を有している累進レンズを改良する方法が記載されている。改良により得られる累進レンズは、レンズの副領域を定義する関数を選択することにより計算される。ここで、選択された関数は基本表面関数に加えられる。選択される関数は、一または複数のパラメータにより相互に関連する一群の関数から選択される。最良の選択は、事前に設定された価値評価基準の値を最大にすることにより達成される。
ジェー・ルース(J.Loos)、ジ・グレイナ(G.Greiner)、およびエイチ・ピー・サイデル(H.P.Seidel)、論文表題:「累進レンズ設計のための変分法(A variational approach to progressive lens design)」、コンピュータ支援設計誌(Computer Aided Design)、第30号、595〜602ページ、1998年、ならびに、エム・タゼロールチ(M.Tazeroualti)、論文表題:「累進レンズの設計(Designing a progressive lens)」、ピー・ジェー・ローレントら(P.J. Laurent)による編集本、編集本表題:幾何学的設計における曲線および表面(Curves and Surfaces in Geometric Design)、エイ・ケイ・ピータース(AK Peters)、1994年、467〜474ページ、により記載されたシステムでは、レンズ表面は、スプライン関数の一次結合により定義される。これらのスプライン関数の係数は、費用関数を最少に抑えるようにして算出される。この設計システムでは、表面に対して境界条件を課さないので、この方法では、レンズ縁部において特定の高度分布を必要とするレンズを設計することはできない。
カッツマンらに対して発行された米国特許第6,302,540号には、設計者が曲率依存費用関数を指定することを要求されるレンズの設計システムが開示されている。このカッツマンのシステムでは、レンズの円板を三角部分に区分化することが好ましい。また、システムは、区分化された三角部分の数の少なくとも7倍の数の独立した「形状多項式」の一次結合からなるレンズ表面形状を生成すべくなしてある(8頁17−40行)。生成される表面形状は、上記の形状多項式の係数に対して非線形に依存する費用関数をほぼ最小化したものである(10頁21−50行)。これらの係数の計算には、係数の数に等しい大きさの行列の逆行列を繰り返し計算することが必要となる。すべての形状多項式が、すべての三角部分上の表面形状に寄与しているので、通常どの行列要素もゼロにならない。したがって、これらの行列の逆行列を計算して係数を求めるには、形状多項式の数の少なくとも二乗に比例する時間が必要となる。
形状多項式固有の不正確さのため(10頁10−14行)、レンズの円板は、平均度数がより急激に変化する領域においてさらに細かく区分化されなければならない。このような理由で、計算すべき形状多項式の係数の数に対して、ひいては当該システムがレンズ表面形状の計算に必要とする時間に対して下限値が設けられる。カッツマンのシステムでは、レンズ表面の計算には、三角部分の数の少なくとも二次式で表される時間が必要となるので、このシステムは、本来、設計者が当該システムと対話形式で作業を十分に行えるような速さで設計者にレンズ表面の計算結果を供給するには、速度が遅すぎる。このように処理が遅いため、設計者は、レンズ設計を行い、その設計に対する調整を、リアルタイムでその調整の効果を観察しながら行うことができない。
以上に記載した設計システムのいずれも、レンズ設計者が、レンズの表面全体にわたり所望の光学的特性を指定し、その光学的特性に従って設計を行うことができるような簡単な方法を提供していない。このため、上記の従来システムを用いると、レンズの側方領域において光学的不具合が発生したり、平均度数の傾斜が不必要なほど急になったりする。さらに、従来システムの一部では、計算の複雑さに起因して、レンズ設計者がレンズを対話形式で設計することができないほど設計処理が長くなる場合がある。また、従来のシステムのほとんどは、レンズの周囲のレンズ高さを定義しておらず、このため、レンズの有効領域を最大限に発揮させていない。
本発明は、レンズ設計者に対して、レンズ表面全体にわたる平均度数とレンズの境界域におけるレンズ高さとをパラメータとして指定させることに加えて、設計者が対話形式で利用可能なほど短い時間内に、これらのパラメータに一致するレンズ表面形状を取得させる手段を提供することを希求するものである。レンズの着用快適感、適応容易性、および有効利用領域の最大化に望まれるなめらかなかつ連続性を有する光学的特性を備えるレンズ設計を行うことが可能となる。
従来の設計プロセスは、通常、レンズ表面形状をまずモデル化することから開始され、光学的特性を計算し、次いで、この光学的特性を最適化するように前記の表面形状を改良するが、本発明はこのような従来の設計プロセスとは異なる。所望の光学的特性を達成すべく表面形状を変更する従来のプロセスでは数値が安定しない。このため、設計者が対話形式で利用できるほどレンズ設計を十分に迅速に行えるか否かという点では、従来の設計プロセスは信頼性を十分に有していない。本発明では、従来の設計プロセスとは異なり、主要な光学的特性である、レンズ表面全体にわたる平均度数とレンズの縁部におけるレンズ高さとを規定することから開始され、次いで、レンズ表面形状が算出される。
本発明によれば、平均度数は、レンズの表面全体にわたり分布される複数のポイントにおいて指定され、レンズの高さは、レンズの縁部において指定される。指定された平均度数およびレンズの縁部のレンズ高さに合致する上述の複数のポイントにおけるレンズの高さは、部分的には、上述のレンズの縁部のレンズ高さを境界条件とする楕円の偏微分方程式の一意の解を求めることにより決定される。
好ましくは、本発明は、レンズ設計において非点収差を再分布させる方法を含んでいる。かかる方法は、レンズの表面全体にわたりより一様に非点収差を分布し、重要領域における非点収差のピーク値を減少させる。また、好ましくは、本発明は、左右の眼に対して特別なレンズ設計を行うと同時に、水平方向に対する対称性およびプリズムバランスを維持する方法を含んでいる。
好ましくは、本発明の方法は、着用者の快適性、適応性の容易さ、およびレンズ領域の最大有効利用に望ましい、なめらかなかつ連続性を有した光学的特性を備えるレンズ表面形状を、対話形式で規定するためのシステムを実現すべく、コンピュータにより実行されるソフトウェアを用いて実施される。
また、本発明は、開示された設計方法に従って設計される累進レンズを備えている。レンズの好ましい実施形態には、遠用部領域と読書用領域とを備えた累進レンズが含まれる。このレンズの表面の平均度数は、当該レンズの表面に平均度数の等高線を形成する一組の曲線に従って変化する。上記の遠用部領域において平均度数が一定な領域を定義する等高線は、短軸に対する長軸の比が約1.1から3.0の範囲である楕円形状を有している。レンズの他の実施形態は、第一の平均度数を有する遠用部領域と、第一の平均度数よりも大きな第二の平均度数を有する読書用領域と、遠用部領域と読書用量域との間に存在するとともに平均度数が遠用部領域から読書領域の方向になめらかにかつほぼ単調に大きくなっていく、少なくとも約10ミリメータの幅を有する中央領域とを備えている。
また、本発明は、レンズの表面を網羅する座標系において平均度数の変化を規定するとともにレンズの縁部のレンズ高さを規定する入力を受信することに加え、当該レンズの縁部のレンズ高さを境界条件として楕円の偏微分方程式を解くことによりレンズ表面の複数のポイントにおけるレンズ高さを計算するプロセッサと、計算されたレンズ高さの値を格納するためのメモリとを備えている。好ましくは、本発明のシステムを用いて設計されるレンズは、当該技術分野における公知技術を用いたCNC制御の研削盤またはフライス盤を用いて製造される。
以下において、本発明のさらなる実施形態を記載する。
例示のみを意図した本発明の特定の実施形態を以下の図面を参照して記載する。
レンズの表面は、式z=f(x、y)により表しうる。この式中、x、y、およびzは直交座標である。
簡単のために、∂x≡∂/∂x、∂y≡∂/∂y、∂x 2≡∂2/∂y2、および∂xy 2≡∂2/∂x∂yであるとする。レンズ表面の主曲率半径R1,R2は、以下の二次式の根である:
[rt−s2]R2+h[2pqs−(1+p2)t−(1+q2)r]R+h4=0 (1)
この式中、p≡∂xz、q≡∂yz、r≡∂x 2z、s≡∂xy 2z、t≡∂y 2z、およびh≡√(1+p2+q2)である。
たとえば、アイ・エヌ・ブロンシュタイン(I.N.Bronshtein)およびケイ・エイ・セメンジャーエフ(K.A.Semendyayev)、「数学案内書(A Guide Book to Mathematics)」、Verlag Harri Deutsch、1971年、を参照されたし。上記の曲率の主値は、それぞれ1/R1および1/R2により求められる。上記の曲率の主値の差〈δ〉≡|1/R1−1/R2|は、D=1000(n−1)〈δ〉により、非点収差という光学的特性(シリンダパワーとも呼ばれる)に関連付けされる。この式中、Dはジオプトリ単位で測定され、nは屈折率であり、距離はミリメータ単位で測定される。
同様に、平均曲率〈μ〉≡1/2(1/R1+1/R2)は、ジオプトリ単位で測定される平均度数という光学的特性M=1000(n−1)〈μ〉に関連付けされる。本明細書で用いられる場合には、〈μ〉は、二つの主曲率の平均であり、〈δ〉は二つの主曲率の絶対差である。
本発明の一つの実施形態では、好ましくは、設計者は、レンズ領域全体にわたりM(x、y)と〈μ〉(x、y)とを規定する。累進レンズ設計の場合、平均度数は、好ましい座標系を用いてレンズ表面全体にわたり規定される。この好ましい座標系は、連続した一組の相互に交差することのない等高線からなっており、これらの等高線は、集合的に、レンズおよび結合パスの領域全体を満たしており、各等高線は、結合パスを一度は交差している。この結合パスは、遠用部領域内のポイントを読書用領域内のポイントと結び付ける曲線である。この好ましい座標系において平均度数を指定するために、設計者は、平均度数が結合パスに沿ってどのように変化するのか、平均度数が各等高線と結合パスとの交差ポイントからその等高線に沿ってどのように変化するのかを指定する。好ましくは、結合パスに沿った平均度数の変化は、遠用部領域における小さな値から読書用領域における大きな値までの範囲においてなめらかな適切な関数により表されるべきである。
また、好ましくは、境界域におけるレンズ高さは、図6に示した遠用部領域および読書用領域の近傍においてほとんど変化せず中間領域の近傍において次第に変化する関数により指定される。このような関数を構築する一つの方法は、多項式関数、三角関数、またはガウス関数の如きさまざまな種類の基本関数のうちのいずれかを用いて、区分的になめらかな合成式を形成することである。
次いで、レンズの表面形状が、平均度数分布と境界域におけるレンズ高さとに基づいて決定される。このための好ましい方法は、境界値問題を解くことである。
次いで、以下で詳細に記載するように、重要領域における不必要な非点収差が低減され、左側レンズ設計および右側レンズ設計が個別に行われる。
(A.レンズ表面上の平均度数の規定)
本発明の累進レンズの場合、レンズ領域全体にわたって平均度数Mを関数として規定する好ましい方法は四つのステップを有している。第一のステップでは、設計者は遠用部領域におけるポイントPDと、読書用領域におけるポイントPRと、これらのポイントを結ぶパスとを選択する。一つの実施形態では、これらのポイントおよび結合パスはレンズの左右対称軸に沿って存在している。したがって、この実施形態では、結合パスは度数分布子午線と呼ばれる。図3は、結合パス(または、度数分布子午線)24の各端部の終点20、22として示される選択されたポイントPD、PRを示す累進レンズの立面図(作業図)である。
第二のステップでは、各等高線が一回は度数分布子午線を交差しかつ二つの等高線が相互に交わらないという条件に従って、連続した一組の等高線が選択される。図3のレンズ境界域10内の曲線は、このような連続した一組の等高線の一例を表している。一つの好ましい実施形態では、この一組の等高線は、集合的に、レンズの円板全体を満たす。第二の好ましい実施形態では、設計者は、一定の平均度数を有する遠用部領域32および読書用領域34を規定しうる。上記の一組の等高線は、集合的に、その他のレンズ領域を網羅する。図3に示されている一例では、曲線28、30は、一定平均度数の領域の境界域を形成する等高線である。この例では、連続する一組の等高線は二つの群の双曲線からなっている:
y≦0の場合、 x2/ξR 2−(y−PR2/ζR 2=1 (2A)
y≧0の場合、 x2/ξD 2−(y−PD2/ζD 2=1 (2B)
この式中、x座標およびy座標は図5に示されている座標系に従って定義される。パラメータζR、ζDが変化するので、上記の一組の等高線は、等高線28、30の間の領域全体を網羅する。yが0である場合、二つの群の双曲線は重なり合い、ζR、ζDが変更される場合、各群はレンズの円板の赤道を構成メンバーとして含む。
図3に示されている一組の等高線は、上記の条件を充足することが可能な唯一の等高線ではない。等高線は、円錐曲線以外の曲線の群から選択されてもよく、また双曲線以外の円錐の群から選択されてもよい。上記の第二の好ましい実施形態において、一組の等高線が、二つの群の楕円曲線からなっていてもよい。この実施形態の一例では、好ましくは、遠用部領域の境界域を形成する等高線は、短軸に対する長軸の比が約1.1から3.0の範囲にある楕円曲線である。また、等高線は、円錐曲線以外の曲線の群から選択されてもよい。
レンズの平均度数を規定するための好ましい方法の第三のステップでは、設計者は、度数分布子午線に沿った平均度数変化を指定する関数を定義する。好ましくは、定義された関数は、レンズの着用者快適感および使用目的に関する判断基準を考慮に入れる。この判断基準を充足する関数は、たとえば基本関数の一次結合でありうる。このような関数の一例として、M(y)=MD+[(MR−MD)/2][1−cos(π(yD−y)/(yD−yR))]が挙げられ、この式中、MDは、遠用部領域におけるポイントPD=(0、yD)において指定される平均度数であり、MRは、読書用領域におけるポイントPR=(0、yR)において指定される平均度数である。
図4は、平均度数を、レンズのy軸に対してかつ度数分布子午線の全長に沿って記したグラフである。グラフの端部は、度数分布子午線の終点20、22と対応する。平均度数Mを度数分布子午線に沿って指定する関数36が、平均度数が適切に変化している一例として示されている。示されている例では、平均度数は遠用部領域32および読書用領域34において一定である。
最後に、レンズの平均度数を規定する好ましい方法の第四のステップでは、設計者は、等高線の各々に沿った平均度数Mの変化を指定する関数を規定する。等高線が度数分布子午線と交差するポイントにおける平均度数は、当該度数分布子午線上のそのポイントに指定された平均度数と一致する。したがって、等高線の各々に沿って平均度数Mの変化を規定することにより、レンズの表面全体の平均度数の規定が完了する。この要件と合致した一つの都合のよい選択は、簡単にいえば、平均度数が各等高線に沿って一定のままであることである。なお、開示された実施形態は限定することを意図するものではなく、他の選択であってもかまわない。
(B.レンズ境界域におけるレンズ高さの規定)
好ましい実施形態では、設計者はまた、レンズ縁部におけるレンズ高さを規定する。(本明細書で用いられる場合、用語「レンズ縁部」および「レンズ境界域」は同意語である。)設計者は、レンズ境界域高さ関数z(θ)を指定する。この式中、zはレンズ高さを表し、θはレンズ境界域の角度座標軸を表す。図5は、好ましい約束事として、レンズ縁部48の角度θを、レンズ縁部とx軸との交差点から始まり、時計の回転方向とは反対の方向に向かう角度として定義することが示されている。
好ましくは、設計者のz(θ)の仕様には、レンズの着用者の快適感および使用目的の判断基準が考慮されている。z(θ)が不連続であったりまたは急激に変化したりすると、通常、像とび現象が起こり、着用者にとって不快なものとなる。眼鏡フレームによって支持されるためには、レンズは、その縁部が肉厚過ぎてもよくないし肉薄過ぎてもよくない。
累進レンズの場合、好ましくは、さらなる設計基準がz(θ)に対して適応される。図6は、累進レンズ表面の立面図(作業図)であるが、図1に示されている典型的な累進レンズの隣接領域にほぼ対応するレンズ境界域区分を例示している。境界域区分50は遠用部領域40にほぼ隣接しており、境界域区分52は読書用領域42にほぼ隣接しており、境界域区分54、56は側方領域44、46にほぼ隣接している。遠用部領域および読書用領域における光学的特性が比較的一様な設計を実現しやすくするため、z(θ)が、区分50、52の各々内においてほとんど変化しないことが好ましい。レンズの外周において不快な像ゆがみが発生しない設計を実現しやすくするため、区分54、56において、z(θ)が、区分50、52間における転移をほぼなめらかなものにするように徐々に変化することが好ましい。これらの設計基準を満たすために、設計者は、たとえば、多項式関数または三角関数の如きさまざまな種類の公知の基本関数のうちのいずれかを区分的になめらかに合成することによりz(θ)を構築してもよい。
図7では、レンズ境界域高さ関数60の好ましい定性的な特性が示されており、鉛直軸方向のレンズ境界域高さzが、水平軸方向の角度座標に対して記されており、θが、レンズ境界域区分50、52、54、56にわたって0度から360度まで変化することが示されている。
これらの基準には、累進レンズに関するz(θ)の仕様に対するある種の柔軟性が残されている。設計者は、本実施例に従って表面形状が決定されたレンズの光学的特性を検査したあと、z(θ)を変更することによりこの柔軟性を利用しうる。標準的な累進レンズは、本明細書記載の方法を用いて1時間足らずで設計、最適化されること、またレンズ表面上のレンズ高さ分布の連続する計算は、それぞれ一分程度で実行されうることが分かっている。フィードバックがこのように迅速であるおかげで、設計者は、レンズの重要領域において、非点収差の低減の如き光学的特性の向上をもたらすようにz(θ)を変更しうる。
(C.レンズ表面形状の決定)
平均曲率関数〈μ〉が指定されると、高さ関数が以下の式を充足する:
[∂x 2+∂y 2]z=F (3)
この式中、F=2〈μ〉[1+(∂xz)2+(∂yz)23/2−[∂yz]2x 2z+2[(∂xz)(∂yz)]∂xy 2z−[∂xz]∂y 2z。
本発明では、レンズ縁部高さz(θ)が指定される境界条件に従って式(3)の解を求めることで、レンズ表面形状が決定される。式(3)が楕円のタイプの偏微分方程式であるので、レンズ表面形状の一意のかつ安定した解zが存在しなければならない。その解を決定するため、本実施形態では、式(3)の数値解を求めるため反復プロセスが用いられる。
初期解を設定するため、|∂xz|≪1でありかつ|∂yz|≪1である低い度数のレンズ構成を仮定する。初期解の場合、∂xzおよび∂yzが式(3)から削除されてもよく、その結果、ポアソン方程式が得られる:
[∂x 2+∂y 2]z=2〈μ〉 (4)
レンズの全領域は四角形状のメッシュで覆われる。平均曲率〈μ〉の値は、メッシュポイントにおけるMから求められる。この値は、二つの離散変数からなる関数であるF(0)に比例する。全体にわたり、かっこに囲まれた上付文字を有する関数は、二つの離散変数の関数であり、対応する連続関数のメッシュポイントにおける値を表す。レンズの円板の境界域上のメッシュポイントにおけるz(0)は、それらのメッシュポイントにおけるz(θ)の値を表す。レンズの円板の境界域近傍のメッシュポイントの場合は、z(0)の値はz(θ)近傍の値を適切に平均したものである。メッシュ上の他の領域では、z(0)を規定する必要がない。
かっこに囲まれた上付文字は反復段階を表している。第一の反復では、z(1)を求めるために、式(4)の離散型類似式である以下の式5の解が求められる:
(∂x 2z)(1)+(∂y 2z)(1)=F(0) (5)
この式中、F(0)=2〈μ〉である。
メッシュポイントにおけるz(1)は、逐次過緩和(SOR)法を用いて求められる。楕円方程式の解を求めるSOR法については、ダブリュ・エイチ・プレスら(W.H.Press et al.)、「科学計算技術:Cを用いた計算手法(Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing)」、ケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press)、1992年、19.2章、19.5章、により説明されている。この文献は、ここで参照することにより援用されるものとする。
後続する反復段階では、z(n+1)を求めるために、式3の離散型類似式である以下の式6の解が求められる:
(∂x 2z)(n+1)+(∂y 2z)(n+1)=F(n) (6)
n≧1である場合、F(n)は、式3に示されたすべての項を含む。F(n)の値は、前の反復段階でメッシュポイントに対し決定されたz(n)の値を用いて、メッシュポイントに対して計算される。式3において示されたFに現れているzの偏微分は、円形状の境界域近傍のメッシュポイントに対して集中的に、中央差分スキーム用いて計算される。前回と同様に、メッシュポイントにおけるz(n+1)を求めるには、SOR法が用いられる。
SOR法では、メッシュ上で一連の反復掃引を行うことにより解に向かって収束していく。この収束の速度は、過緩和係数(ORF)の値に依存し、このORFの好ましい値は、実験により決定される。いったん決定されると、同様な式の解を求める場合には、たとえば式6の解を連続反復により求める場合には、この同一のORF値が用いることが好ましい。(プレスらの文献の19.5章を参照)
SOR法の重要な利点は、メッシュポイントの数の平方根に比例する時間で収束に達するということである。このことは、メッシュポイントにおいて、式3の一意解に相当する式6の解をSOR法を用いて収束により求めるための十分なメッシュ密度を、わずかな計算時間を犠牲にするだけで、導入することが可能となることを意味している。
通常、式6の5回の反復により式3の満足な数値解が得られることが分かっている。
(D.重要領域における不必要な非点収差の減少)
上述のステップCの結果として得られるレンズ表面形状を用いて、すべてのメッシュポイントにおける主曲率差〈δ〉を計算することができる。〈δ〉に表れる偏微分は、中央差分スキーム用いて、円形状の境界域近傍のメッシュポイントに対して集中的に計算される。
中央領域および読書用領域の如き重要領域において過度の非点収差が見出される場合がある。累進レンズ設計では、非点収差を完全に回避することはできないが、非点収差をより一様に再分布させ、重要領域から離すことはできる。
たとえば、中央領域の非点収差を減少させ、その領域の光学的特性を向上せしめることができる。中央領域において許容可能な最大レベルの非点収差基準、たとえばD≦0.15×(MR−MD)を課しうる。この式中、MDは、遠用部領域のポイントPDにおいて指定される平均度数であり、MRは、読書用領域のポイントPRにおいて指定される平均度数である。
前提条件として、レンズ形状が中央線に対して左右対称であること、また、その結果、z=f(x、y)であり、f(−x、y)=f(x、y)であることを想定する。したがって、中央線に沿って、p=0であり、s=0である。平均曲率〈μ〉および主曲率差〈δ〉は、それぞれ対応して式7により求められる:
〈μ〉=(t+h2r)/2h3、〈δ〉=(t−h2r)/h3 (7)
中央線に正確に沿って非点収差Dを消滅させるためには、tをh2rと等しくし、平均曲率〈μ〉をr/hと等しくすることが必要である。したがって、〈μ〉関数を、式8に従って変更しなければならない:
〈μ〉(0、y)→〈μ〉(0、y)+Δ〈μ〉(0、y) (8)
この式中、
Δ〈μ〉(0、y)≡r/h|(0y)−〈μ〉(0、y)=
x 2z/√(1+(∂yz)2)|(0h)−〈μ〉(0、y) (9)
中央線に正確に沿って非点収差Dを消滅させると同時に、レンズ全体に平均度数Mの変化量を分布させるために拡散関数σ(x)を用いることができる:
〈μ〉(x、y)→〈μ〉(x、y)+σ(x)Δ〈μ〉(0、y) (10)
σ(x)は、x=1において1の値をとるなめらかに変化する関数であればいかなる関数であってもよい。このような関数の一例としては以下の式が挙げられる:
σ(x)={exp(−k2(x−xL2)|x<xL、exp(−k2(x−xR2)|x>xR、1|xL≦x≦xR} (11)
この式中、xRと−xLとは、処理前には同一の値をとり、拡散関数σ(x)の定常領域を規定する。パラメータkは、定常領域の左側および右側へのσ(xの)崩壊定数を制御する。式8,式9,式10の結果から得られる平均曲率関数〈μ〉(x、y)は、メッシュポイントについて計算され、ステップCにおいて記載された方法で表面高さ関数zを完全に再計算するために用いられる。
選択されたσ(x)を用いてzの完全な再計算を行うと、もちろん、式9に含まれる微分は、通常新しい値をとり、したがって、平均曲率関数〈μ〉(x、y)もまた新しい値をとる。変数z、〈μ〉、〈δ〉は繰り返し再計算され、この繰り返しは、設計者の判断によって中断される。必要な場合には、このプロセスの間、xL、xR、およびkの値自体が変更されてもよい。
非点収差は、いずれの重要領域においてであっても、まずその領域においてDを消滅させるのに必要なMの局所変化量を求め、次いで、そのMの変化量をレンズ全体にわたり分布させることにより、同様に減少させることができる。結果として、メッシュポイントにおけるMの変更値のセットが得られる。これらMの変更値は、ステップCの式5に戻され、メッシュポイントにおけるレンズ表面関数zが変更される。ついで、この変更されたzは、メッシュポイントにおける非点収差Dを再計算するために用いられる。このプロセス全体は、非点収差の分布が許容範囲に入るまで繰り返されうる。
(E.度数分布子午線周囲における平均度数分布の最適化)
不必要な非点収差を減少させるために平均度数を変更した結果、特定の重要領域における平均度数がもはや設計者が所望する度数でなくなっている場合がある。図9は、非点収差を減少させたあとの平均度数分布の一例(線72)を示している。通常の設計の場合、フィットポイント(線74)における平均度数を特定の値未満に維持することが望ましい。また、追加測定ポイント(線76)において、平均度数が正しい追加度数、この例ではたとえば2.00ジオプトリに到達することが好ましい。非点収差レベルを著しく上昇させることなく所望の平均度数分布を達成するために、平均度数を局所的に変更することができる。このことは、図9の線70により示されており、ある制限された幅、たとえば12mmから16mmまでにわたってx軸方向に変更が加えられている。この変更された平均度数は、単純な線形式を用いて、レンズ全体に分布されうる。新しいM分布は、ステップCの式5に戻され、メッシュポイントにおけるレンズ表面関数zが変更される。次いで、この変更されたzは、メッシュポイントにおける非点収差Dを再計算するために用いられ、そうすることにより、許容限度内に納まっているかが検査される。このプロセス全体は、非点収差の分布が許容範囲に入るまで繰り返されうる。
(F.左右のレンズの設計)
いったん許容範囲に納まるレンズ形状が得られると、両眼の不均衡を最少に抑えるように右側(ライトハンド)レンズおよび左側(レフトハンド)レンズが設計される。ハンド問題に対する従来のアプローチとは異なり、ハンドメカニクスを直接調整する機能が、平均曲率および縁部高さの規定に備わっている。この備わった機能を働かせるために、ハンド調整レンズは、角度依存方式で、平均曲率〈μ〉(x、y)および境界域高さz(θ)を回転させることにより設計される。具体的には:
〈μ〉(ρ、θ)→〈μ〉(ρ、H(θ)) (12)
z(θ)→z(H(θ)) (13)
この式中、(ρ、θ)は、(x、y)に対応する極座標である。ハンド関数Hは以下の形を有している:
H(θ)=h0{exp(−K2(θ−3π/2+ω)2)|θ<3π/2−ω、
exp(−K2(θ−3π/2−ω)2)|θ>3π/2+ω、
1|3π/2−ω≦θ≦3π/2+ω} (14)
この式中、h0はハンド角度であり、ωはハンド調整される読書用領域のうちの歪みのない部分を調整し、Kは、純回転の前方および後方の領域の性質を決定する。これらのパラメータの典型的な値は、h0=9度、ω=30度、K=1.5である。平均曲率値および縁部高さ値は、ステップCの式5に戻され、メッシュポイントにおけるレンズ表面関数z(x、y)が再計算される。
図8は、本発明にかかる実施形態のレンズ表面上の理論平均曲率分布を表す3次元図である。平均曲率Mはその鉛直方向にプロットされる。Mは、二つの水平方向に示されているxとyとの関数としてプロットされる。レンズの円板は、レンズ平面に対して上方90度よりも小さい角度から見たものである。遠用部領域が図8の前方に示されており、読書用領域が後方に示されているので、yは、後方から前方に向かって大きくなる。図に示すように、遠用部領域に平均曲率の小さい領域があり、読書用領域に平均曲率の大きい領域がある。平均度数は、なめらかに変化しており、遠用部領域と読書用領域との間の光学的に重要な領域および側方領域66、68の全体にわたり、yが大きくなるにつれてほぼ単調に大きくなっている。
(G.レンズ設計の一例)
以下は、本発明を構成する方法を用いて作成されるレンズ設計の一例である。平均度数分布は、レンズの表面全体に対してまず規定される。図10に、一群の等平均度数楕円を用いて適切な分布が示されており、0.25ジオプトリから2.00ジオプトリの間の平均度数値を有する等高線が、0.25ジオプトリ間隔で示されている。表面全体を完全に規定するためには、レンズ縁部のレンズ高さを指定することがさらに必要である。図11には、適切なレンズ縁部高さ関数の一例が示されている。この図では、遠用部領域の縁部を基準としたミリメータで表されるレンズ表面高さが示されている。これらのパラメータは、ステップCに関連して上述した式10に対する入力として用いられ、この式は、表面全体の表面高さを求めるために解が求められる。この解は、当該技術分野において公知の高速デジタルコンピュータ、ソフトウェア、およびプログラミング技術を用いて、数値解として導かれる。適切なコンピュータは、たとえば、コンパック EVD D300(Compaq EVD D300)の如きペンティアムIII(Pentium III)またはそれより新しいプロセッサを備えたパーソナルコンピュータである。境界値問題の解を求めるために必要な計算時間は、高さを計算するポイントの数の平方根にほぼ比例する。
計算の結果得られた高さの値zから、上記の設計に対する非点収差およびスフェア(sphere)度数の分布を計算することができる。スフェア度数分布は、原理的には、規定された平均度数分布および計算された非点収差分布から直接に計算することができるが、計算の結果得られた高さの値zからスフェア度数分布を計算することにより、これらの高さの値zと規定された平均度数分布との間で整合性がとれるか否かを確認する上で有益である。図12は、図10および図11の平均度数分布およびレンズ縁部高さ関数から得られた非点収差分布を示している。
次のステップは、中央の領域の非点収差を許容レベルまで減少させることである。この減少は、以下に記載されるように、式8,式9,および式10に従って平均度数分布を変更することにより達成される。図13に、結果として得られた変更後の平均度数分布が示されている。必要ならば、患者の快適感の基準を考慮するために、レンズ縁部高さ関数も変更してもよい。図14に、変更されたレンズ縁部高さ関数の一例が示されている。次いで、変更された平均度数およびレンズ縁部高さ関数は、前回と同様に式5の解を求めることにより表面全体の表面高さzの分布を再計算するために用いられる。図15に、再計算された表面高さ分布から導かれる非点収差分布が示されている。このステップは、設計者により非点収差分布が許容範囲に納まったと認められるまで繰り返されうる。
図17は、中央領域における非点収差を減少させるべく中央線に沿った平均度数分布に対して加えられる変更の一例を示している。中央領域の非点収差が許容レベルまで減少したとしても、設計者は、中央線に沿った平均度数分布が当初所望していたものと一致していないことに気付く場合がある。たとえば、図17に示されているように、追加領域において、追加測定ポイント(−13mm)における平均度数が、所望な2.00ジオプトリを下回っている。したがって、上述のステップEに従って、平均度数分布を最適化しなければならない。入力値としてレンズの12mm幅の中央線上の最適化平均度数分布を用いて、前回と同様に、式5の解を求めることにより表面高さzの分布が再計算される。図16では、図17に示されている変更を取り入れた平均度数分布が示されている。次いで、変更された平均度数と前回の縁部高さ分布関数とを用いて、前回と同様に式5の解を求めることにより、表面全体の表面高さzの分布が再計算される。図18に、再計算後の表面高さz分布から導かれた非点収差分布が示されている。
最後に、上記の設計は、眼鏡フレームの左目用または右目用に用いるためのハンド調整がなされなければならない。このハンド調整は、ステップFにおいて記載したように、平均度数分布とレンズ縁部高さ関数とを回転させ、前回と同様に、上述の式5の解を求めて表面高さzの分布を再計算することにより達成される。図19に、回転された平均度数分布が示されており、図20に、回転された縁部高さ関数の一例が示されている。表面高さzを再計算したあと、前回と同様に、非点収差分布が導かれる。図21では、この非点収差分布が示されている。
図19にから分かるように、完成されたレンズ設計は、比較的低平均度数である遠用部領域をレンズの上部に有し、比較的高平均度数である読書用領域をレンズの下部に有している。遠用部領域と読書用領域との間にまたがる中央領域全体にわたり、平均度数は、遠用部領域から読書用領域に向かう方向に、なめらかにかつほぼ単調に大きくなる。好ましい実施例では、この中央領域は、その幅が少なくとも30ミリメータであり、レンズ設計に応じてその幅が変更される。設計によっては、中央部分の最少幅が約20ミリメータである場合もあれば、または約10ミリメータの場合もある。
次いで、得られた表面高さzの分布は、以下の方法のうちのいずれかの方法において用いられうる:
1.プラスティックレンズ上またはガラスレンズ上に累進表面を直接に機械加工により形成する;
2.鋳造または成形により累進プラスティックレンズを製作すべく用いられるガラスモールドまたはメタルモールドを直接に機械加工により形成する;
3.スランピング加工を利用してガラス累進レンズを製作すべく用いられうる凸形状のセラミック模型か、またはスランピング加工を利用してガラスモールドを製作し当該ガラスモールドからプラスティック累進レンズを鋳造しうる凹形状のセラミック模型を機械加工により形成する。
以上のように、好ましくは、表面高さzの計算はコンピュータにより実行される。また、好ましくは、結果として得られた表面高さ分布を表すデータは、コンピュータメモリに記憶され、ハードディスクドライブ、CD−ROM、磁気テープ、または他の適切な記録媒体に保存されてもよい。
好ましくは、上記の機械加工は、表面高さデータをコンピュータ数値制御(CNC)フライス盤またはコンピュータ数値制御(CNC)研削盤に電子的に伝送することにより実行される。適切なCNCマシンの例としては、プラスティックレンズまたはガラスレンズに直接累進表面を機械加工により形成するシュナイダHSC100CNC(Schneider HSC、100、CNC)、グラスモールドまたはメタルモールドを機械加工により形成するミクロンVCP600(Mikron VCP600)、およびセラミック模型を機械加工により形成するミクロンWF32C(Mikron WF32C)またはシュナイダHSG100CNC(Schneider HSG、100、CNC)が挙げられるが、当業者にとって公知である適切なマシンは他にもある。
上記のケースの各々では、表面高さzの分布は、使用される研削盤/フライス盤の特定のCNCコントローラに適合させるために後処理を行わなければならない。また、設計された表面が確実に製作されるようにするために、使用される研削工具/切削工具のサイズまたはタイプに応じて表面幾何形状に対する補正をもりこまなければならない。スラミングプロセスに用いられるセラミック模型を機械加工により作成する場合、不必要な幾何形状の変化を処理するためにさらなる補正を表面高さzの分布にもりこまなければならない。これらの補正は、ガラスをセラミック模型の形状に成形するために当該ガラスがガラス軟化温度まで加熱される際に発生するガラスのたわみおよび流動に起因するものである。
本発明に従って製作されるレンズは、必ずしも円形状の外形を有したものに限定されない。上記の製造手順のうちのいずれかの一部として、レンズは、さまざまな眼鏡フレームに対するさまざまな外形に適合されてもよい。さらに、レンズ表面高さzの計算に用いられるレンズ縁部高さは、レンズブランクの物理的な縁部である必要がない。たとえば、典型的な70ミリメータの円形状のレンズブランクは、最終的に必要となるレンズサイズに従って10ミリメータと規定された縁部高さを、レンズブランクの実際の縁部よりも内側の部分に有していてもよい。この例では、設計者の平均度数仕様およびレンズ表面高さzは、レンズブランクの表面全体に対してというよりも、レンズ縁部高さが定義される境界域内のレンズ領域に対して適応されている。
図22は、上記のプロセスを示すフローチャートである。このフローチャートは、上記の累進レンズの設計および製造に必要な主なステップを各々示している。なお、図22は、設計および製造の一例を示しているのであって、フローチャートに示されたステップのすべてが、所与のレンズ設計において必要となるわけではない。
以上、累進屈折眼鏡レンズの設計方法の改良が記載された。いうまでもなく、この方法は、複数の実施形態を用いて説明されているが、さまざまな変更および追加を加えうる。したがって、特定の実施形態が記載されているが、これらは例示のみを意図するものであって本発明の範疇を制限するものではない。
従来の累進レンズを垂直方向に示す線図である。 典型的な従来の累進レンズの表面上の平均度数分布を示す3次元図である。 結合パスと、この結合パスと交差する等高線セットのうちの代表的なサブセットとを立面図で表す本発明にかかるレンズの一つの実施形態の線図である。 結合パスに沿って平均度数を指定する関数の一例を示すグラフである。 x軸と、y軸と、角度θとを有する好ましい座標系を示すレンズ表面の立面図である。 本発明の一つの実施形態にかかるレンズの表面のレンズ境界領域を示す立面図である。 レンズ境界域においてθ=0度からθ=360度までの範囲でレンズ境界高さ関数の一例を示すグラフである。 本発明の一つの実施形態にかかるレンズの表面上の理論平均度数分布を示す三次元図である。 結合パスに沿って平均度数分布を最適化する一例を示すグラフである。 一群の等平均度数楕円の平均度数分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 レンズの外周における縁部高さ分布の一例を示すグラフである。 図10の度数分布および図11の縁部高さ分布から得られる非点収差分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 中央線に沿って非点収差を減少させるために変更された平均度数分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 変更された縁部高さ分布の一例を示すグラフである。 図13の変更された平均度数分布および図14の変更された縁部高さ分布から得られる非点収差再分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 図17に示されるように結合パスに沿って平均度数分布の変更を取り入れた平均度数分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 中央領域における平均度数を最適化するための結合パスに沿った平均度数分布の変更の一例を示すレンズの表面の立面図である。 再計算された表面高さ分布から導かれる非点収差分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 回転された平均度数分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 回転された縁部高さ分布の一例を示すグラフである。 図19の回転された平均度数分布および図20の回転された縁部高さ分布から得られる非点収差分布の一例を示すレンズの表面の立面図である。 本発明の設計方法の一つの実施形態の主要ステップを示すフローチャートである。

Claims (25)

  1. 累進レンズを設計する方法であって、
    前記レンズの表面全体にわたる分散された複数のポイントにおいて平均度数を指定することと、
    前記レンズの縁部のレンズ高さを指定することと、
    指定された前記平均度数および前記レンズの縁部のレンズ高さと整合するレンズ高さを前記複数のポイントにおいて決定し、前記レンズの縁部におけるレンズ高さを境界条件として、楕円型偏微分方程式の一意解を求めることと
    を含む、方法。
  2. 前記楕円型偏微分方程式の一意解を求めることが、
    前記解に収束するために逐次過緩和法を用いることと、
    前記方程式を最も効率良く緩和するための過緩和係数を決定することと
    を含んでいる、前記請求項1記載の方法。
  3. 前記複数のポイントにおけるレンズ高さを決定するステップが、
    前記レンズの表面全体にわたる複数のポイントを含むメッシュを定義することと、
    前記レンズの表面全体にわたり指定された前記平均度数の分布により定義されるように前記メッシュ上の各ポイントにおいて平均度数を決定することと、
    前記メッシュの各ポイントにおけるレンズ高さを決定するために、前記レンズの縁部におけるレンズ高さを境界条件として、前記メッシュに対して前記楕円型偏微分方程式の数値解を求めることと
    を含んでいる、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記レンズが遠用部領域および読書用領域を有しており、
    前記平均度数を指定するステップが、
    前記遠用部領域における第一のポイントから前記読書用領域における第二のポイントまで延びている結合パスに沿って平均度数を指定することと、
    前記結合パスに沿って指定された前記平均度数に整合するとともに前記レンズの全領域にわたって広く分布するように、座標系を用いて平均度数を指定することと
    をさらに含んでいる、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の方法。
  5. 前記レンズが遠用部領域および読書用領域を有しており、
    前記平均度数を指定するステップが、
    前記遠用部領域および前記読書用領域における平均度数を指定することと、
    前記遠用部領域における第一のポイントから前記読書用領域における第二のポイントまで延びている結合パスに沿って平均度数を指定することと、
    前記結合パスに沿って指定された前記平均度数に整合するとともに前記レンズのその他の領域全体にわたって広く分布するように、座標系を用いて平均度数を指定することと
    をさらに含んでいる、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記座標系が一組の等高線を含んでおり、各等高線が前記結合パスと交差しており、前記座標系を用いて平均度数を指定することが、関数として前記等高線に沿って平均度数の変化を規定することをさらに含み、等高線が前記結合パスと交差するすべてのポイントにおいて、等高線上の前記平均度数と前記結合パス上の前記平均度数とが等しい、請求項4または請求項5に記載の方法。
  7. 各等高線が前記結合パスと一度だけ交差し、各等高線がその他の等高線と交差しない、請求項6記載の方法。
  8. 前記平均度数が各等高線の全長に沿って一定である、請求項6または請求項7に記載の方法。
  9. 前記平均度数が各等高線の全長に沿って変化する、請求項6または請求項7に記載の方法。
  10. 前記レンズの縁部のレンズ高さを指定することが、境界域高さの分布関数を規定することを含み、
    該境界域高さの分布関数では、前記遠用部領域に隣接する第一の境界域区分および前記読書用領域に隣接する第二の境界域区域においてのみわずかに前記境界域高さが変化し、
    前記第一の境界域区分と前記第二の境界域区分との間では前記境界域高さがほぼなめらかに変化する、請求項4ないし請求項9のうちのいずれか一つに記載の方法。
  11. 前記結合パスから離れるように非点収差を再分布することをさらに含んでいる、請求項4ないし請求項10のうちのいずれか一つに記載の方法。
  12. 前記非点収差を再分布するステップが、
    前記結合パス上の非点収差の減少に必要な平均度数の変化量を決定することと、
    前記指定された平均度数値を修正すべく、前記平均度数の変化量を前記レンズ上に分布させることと、
    前記レンズの表面全体に分布された前記複数のポイントにおけるレンズ高さを、該ポイントにおける修正された前記平均度数値を利用して決定することと
    を含んでいる、請求項11記載の方法。
  13. 前記レンズの表面全体にわたり分布された前記複数のポイントに対して前記指定された平均度数値を制御された方法で回転させることと、前記レンズの縁部に対して前記指定されたレンズの縁部の高さを制御された方法で回転させることとをさらに含んでいる、請求項1ないし請求項12のうちのいずれか一つに記載の方法。
  14. 前記回転が、M(ρ,θ)→M(ρ,H(θ))およびz(θ)→z(H(θ))になるような角度依存ハンド関数H(θ)によって調整され、この式中、Mが平均度数であり、z(θ)が前記レンズの縁部高さであり、(ρ,θ)が前記レンズの領域上の極座標である、請求項13記載の方法。
  15. 請求項1ないし請求項14のうちのいずれか一つに従って設計される累進レンズ。
  16. 累進レンズであって、
    表面高さが変更可能であるとともに遠用部領域と読書用領域とを有する表面を備えており、
    前記レンズの表面の平均度数が、該レンズの表面上に等平均度数線を形成する一組の曲線に従って変化するようになしてあり、前記遠用部領域において平均度数が一定である領域を定義する等高線が、短軸に対する長軸の比が約1.1から3.0の範囲である楕円形状であるようになしてある、累進レンズ。
  17. 平均度数Mが、M(y)=MD+[(MR−MD)/2][1−cos(π(yD−y)/(yD−yR))]の形式の関数に従って、前記遠用部領域における第一のポイントから前記読書用領域における第二のポイントまで延びている結合パスに沿って変化すべくなしてあり、この式中、MDは、前記遠用部領域における第一のポイント(0、yD)において指定される平均度数であり、MRは、読書用領域における第二のポイント(0、yR)において指定される平均度数である、請求項16記載の累進レンズ。
  18. 前記結合パスに沿った非点収差が、0.15×(MR−MD)より小さくなるようになしてあり、この式中、MDは、前記遠用部領域における第一のポイントにおいて指定される平均度数であり、MRは、前記読書用領域における第二のポイントにおいて指定される平均度数である、請求項16または請求項17に記載の累進レンズ。
  19. 第一の平均度数を有する遠用部領域と、
    前記第一の平均度数より高い第二の平均度数を有する読書用領域と、
    前記遠用部領域と前記読書用領域との間に存在するとともに少なくとも約10ミリメートルの幅を有する中央部領域とを備えており、
    平均度数が、前記中央部領域全体にわたり、前記遠用部領域から前記読書領域の方向に向かってなめらかにかつほぼ単調に増加するように構成されている、累進レンズ。
  20. 前記中央領域の幅が少なくとも約20ミリメートルである、請求項19記載の累進レンズ。
  21. 前記中央領域の幅が少なくとも約30ミリメートルである、請求項19記載の累進レンズ。
  22. 累進レンズを設計するためのシステムであって、
    前記レンズの表面を網羅する座標系において平均度数の変化を定義するとともに前記レンズの縁部のレンズ高さを定義する入力を受信し、前記レンズの前記縁部のレンズ高さを境界条件として楕円型偏微分方程式を解くことにより前記レンズの表面上の複数のポイントにおけるレンズ高さを計算するためのプロセッサと、
    計算された前記レンズ高さの値を格納するためのメモリと
    を備えてなるシステム。
  23. 請求項1ないし請求項14のうちのいずれか一つに記載の方法に従って前記レンズの表面上の複数のポイントおけるレンズ高さを計算するためのプロセッサを備えてなる累進レンズ設計用のシステム。
  24. 計算された前記レンズ高さの値を受信し、前記レンズ、前記レンズを生産するためのモールド、または前記レンズを生産するための模型を機械加工により形成するために計算された前記レンズ高さの値を用いるための数値制御フライス盤をさらに備えてなる、請求項22または請求項23に記載の、システム。
  25. 前記数値制御フライス盤が、該フライス盤に装備された機械加工ツールのタイプに従って前記計算されたレンズ高さの値を調整するように構成されている、請求項24記載のシステム。
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