JP2005528393A - 不整脈の治療法 - Google Patents

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Abstract

特発性心室頻拍、心室細動およびトルサード・ド・ポアント(TdP)などの頻拍を含む不整脈を、望ましくない副作用を最小限に抑えるような手法で処置する方法を提供する。

Description

発明の詳細な説明
本願は、米国仮特許出願第60/370,150号(出願日2002年4月4日)、米国仮特許出願第60/408,292号(出願日2002年9月5日)および米国仮特許出願第60/422,589号(出願日2002年10月30日)に基づく優先権を主張する。これら仮特許出願の明細書は全て参照により本明細書に組み込まれるものとする。
(発明の分野)
本発明は、心不整脈を処置する方法であって、望ましくない副作用を最小限に抑えながら特定の心臓イオンチャネルを変調させる化合物を投与することを含む方法に関する。
(背景技術)
心臓は、本質的に、血液を体中に循環させる役割を担うポンプである。正常に機能している心臓では、そのような循環が、例えば循環系の要求に応えて心拍数および/または収縮力を増減する電気パルスの発生によって引き起こされる。
心臓の電気インパルスは電気的に検知して表示することができ(心電図,EKG)、EKGの電気的波形は、一般に認められている慣例上、「PQRST」群として特徴づけられる。PQRST群には、心房脱分極波に相当するP波、心室脱分極波に相当するQRS群、そして心臓細胞の再分極を表すT波が含まれる。したがってP波は上部心腔での活動に関係し、QRS群およびT波はどちらも下部心腔での活動を反映している。
電気信号になんらかの乱れが生じると、心臓の効率的なポンピング機能が劣化し、さらには完全に停止してしまう場合もある。規則正しい律動的心拍の乱れは心疾患に見られる最も一般的な障害の一つである。不規則な調律(不整脈)はわずかな不快感に過ぎない場合もあるが、不整脈が深刻な問題を示すこともある。例えば、不整脈は心筋、心臓弁または心臓動脈の異常が基礎にあることを示す場合があり、不整脈には心拍が遅すぎる状態(徐拍)や心拍が速すぎる状態(頻拍)が含まれる。
頻拍は上室性頻拍と心室頻拍の2つに大別される。
上室性頻拍には、発作性上室性頻拍(PSVT)、心房細動、心房粗動、AV結節リエントリーおよびウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW)が含まれる。上室性頻拍(SVT)は、下部心腔より上のどこかで心臓に問題があるために、心臓を伝わる電気インパルスが異常になっている状態である。SVTでは心拍数が毎分140〜250拍になる場合がある(正常値は毎分70〜80拍である)。
心室頻拍には、心室頻拍そのものと、心室細動およびトルサード・ド・ポアント(TdP)が含まれる。心室頻拍(VT)は心室内で発生する速い心調律である。VTは心室筋の規則正しい収縮を乱しがちなので、心室の血液排出能力がしばしば著しく低下する。これは、過剰な心拍数と相まって、VT時に心臓が実際に送り出す血液量を危険なレベルにまで低下させる場合がある。その結果、VT患者は体調が比較的よい場合もあるものの、多くの場合、普遍的な動悸に加えて、極度のめまい、意識喪失、さらには突然死を起こす。通例、VTは、基礎心臓疾患を持たない患者では起こらない。基礎心臓疾患を持つ人々の場合は、一般に、左心室機能が悪いほど、生命にかかわる心室頻拍を発症するリスクが高いと言える。
心室頻拍は、不安定狭心症、慢性狭心症、異型狭心症、心筋梗塞、急性冠症候群などの心筋虚血状態時に発生しうると共に、急性および慢性心不全時にも発生しうる。
再分極の異常延長またはQT延長症候群(LQTS)と呼ばれる状態がある。これは、EKGで測定すると、Q波とT波との間隔が平均より長くなるという形で現れる。QT間隔の延長を示す患者は、トルサード・ド・ポアントと呼ばれる極めて速い異常な心調律(「不整脈」)を起こしやすい。不整脈が起こると、血液が心臓から送り出されなくなり、脳が急速に血液欠乏状態に陥って、突然意識喪失(失神)を起こし、突然死につながる可能性も生じる。
LQTSは心臓のイオンチャネルの機能不全または薬物によって起こる。これらのチャネルはカリウムイオン、ナトリウムイオンおよびカルシウムイオンの流れを制御しており、心臓の電気的活動は細胞を出入りするこれらのイオンの流れによって生み出されている。通常、LQTS患者には基礎をなす構造的心疾患が認められない。LQTSは、一定の状況下で、例えば運動時や、特定医薬剤の投与時や、さらには睡眠時などに、特定の種類の心室頻拍を発症する傾向を示す遺伝性症候群でありうる。また患者は、例えば一定の処方薬へのばく露などによって、LQTSを獲得する場合もある。
後天性のLQTSは医薬剤によって引き起こされる場合がある。例えば、キニジンによる処置を受けた患者におけるトルサード・ド・ポアント(TdP)の発生率は2.0〜8.8%の範囲であると見積もられている。dl-ソタロールには1.8〜4.8%の発生率が関係づけられている。同様の発生率は、より新しいクラスIII抗不整脈剤、例えばドフェチリドやイブチリドなどでも記載されている。実際、TdPを憎悪させかつ/または誘起することが示された非心血管剤も、増加の一途をたどっている。販売されている薬物でTdPを引き起こすと報告されているものは50を超える。この問題は新しい薬物ほど頻繁に起こるらしく、近年、多くの薬物が市場から撤収されている(例えばプレニラミン、テロジリン、また一部の国では、テルフェナジン、アステミゾールおよびシサプリド)。薬物誘発性TdPは、主に、心室心筋に内在する電気的不均一性の増強に付随して再分極相のばらつきが増加する結果として発生することが示されている。
再分極の延長および後天性LQTSを引き起こす能力を持つ医薬剤の大部分は、以下に示す4種類の機序のうちの1つを主たる作用機序とするものとして、グループ分けすることができる。(1)K電流IKsおよびIKrの一方または両方の遅延。キニジン、N-アセチルプロカインアミド、セシウム、ソタロール、ブレチリウム、クロフィリウム、および他の新しいクラスIII抗不整脈剤などがその例である(この作用は、Kチャネルを活性化する薬物、例えばピナシジルやクロマカリンなどによって、特異的に拮抗することができるかもしれない)。(2)Itoの抑制。例えば、顕著なItoを持つと報告されているイヌ心外膜下M細胞で優先的に再分極を延長しEADを誘発することが示された4-アミノピリジンの場合。(3)ICaの増加。例えばBay K8644の場合(この作用はCaチャネル遮断薬で打ち消すことができるだろう)。(4)INa不活化の遅延。例えば、アコニチン、ベラトリジン、バトラコトキシン、DPI、およびイソギンチャク毒(ATX)アントプルーリンA(anthopleurin-A:AP-A)およびATX-IIの場合(この作用は、INaを遮断し、かつ/またはNa電流をゆっくり不活化する薬物、例えばリドカインやメキシレチンなどによって拮抗することができるだろう)。これらの薬物(例えばリドカインおよびメキシレチン)は再分極の延長を短くすることができるので、初めに挙げた2つの機序によって誘発されるEADを抑制することもできる。
LQTSおよびTdPを引き起こす薬物のリストは増え続けている。実際、QTを延長することができる医薬剤はいずれもLQTSを誘発しうる。TdPの発生率と、この不整脈を誘起することが知られている薬物の血漿濃度との相関関係は証明されていない。しかし、これらの薬物の一部の過剰投与または代謝低下に起因する高い血漿濃度により、TdPが誘起されるリスクは増大しうる。そのような代謝低下は、シトクロムP450酵素を妨害する他の薬物の併用によって起こりうる。TdPに関係するいくつかの薬物の代謝を妨害すると報告されている医薬品には、全身作用性ケトコナゾールおよび構造類似薬(フルコナゾール、イトラコナゾール、メトロニダゾール)、セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン)および他の抗うつ薬(ネファゾドン)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤(インジナビル、リトナビル、サキナビル)、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(フェロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン)およびエリスロマイシン、ならびに他のマクロライド系抗生物質などがある。グレープフルーツおよびグレープフルーツ果汁も、シトクロムP450酵素を妨害することにより、一部の薬物と相互作用しうる。一部の薬物は、それらがQT間隔を延長するからというよりもむしろ、それらが主にP4503A4の阻害剤であり、それゆえに他のQT延長剤の血漿濃度を増加させるという理由で、TdPと関連づけられている。最もよい例は、この酵素の強力な阻害剤であり、したがってテルフェナジン、アステミゾールまたはシサプリド療法中に起こるTdPの理由となる、ケトコナゾールおよびイトラコナゾールである。一方、薬物関連TdPの発生率は、ジフェンヒドラミン、フルコナゾール、キニン、リチウム、インダパミド、バソプレシンなど、一部の薬物では極めて低かった。肝機能不全または先天性LQTSなどの病状を持つ患者や、電解質障害(特に低カルシウム血症および低マグネシウム血症)を持つ患者では、QT延長を引き起こす薬剤の使用によってTdPが起こりうることにも注意すべきである。
しかし、QT間隔は延長するがTdPを誘発しないことが知られている抗不整脈薬もある。そのような薬物に共通する性質は、INaチャネルおよび/またはICaチャネルなどの他のイオンチャネルを同時に阻害する能力であることが見いだされている。
遺伝型のLQTSは、電気的再分極を制御するイオンチャネルの一つを産生するまたは「コードする」いくつかの遺伝子の一つに突然変異が発生した場合に起こる。遺伝性LQTSには少なくとも5種類の形態が存在し、それらはLQT1、LQT2、LQT3、LQT4およびLQT5と呼ばれている。これらは元々はEKGトレースの形状の相違によって特徴づけられたもので、後に、特異的な遺伝子突然変異と関連づけられた。KCNQ1(KVLQT1)またはKCNE1(MinK)遺伝子突然変異に起因するLQT1型は最もよく見られ、遺伝子型判定を行った患者の約55〜60%を占める。HERGまたはKCNE2(MiRP1)突然変異に起因するLQT2が約35〜40%でこれに続き、SCN5A突然変異に起因するLQT3は約3〜5%を占める。2つの突然変異を持つ患者は全患者の1%未満であると思われるが、これは、より多くの患者がより新しい遺伝子技術で研究されるにつれて、変わるかもしれない。
突然変異型遺伝子は異常チャネルを形成させる。これらのチャネルは適正に機能しないので、心臓の電気的回復に要する時間が長くなり、それがQT間隔の延長として現れる。例えば、SCN5Aがコードする心臓Na+チャネルのアミノ酸残基1505〜1507(KPQ)の遺伝的欠失は、致死的心室性不整脈を伴う重度の常染色体優性LQT3症候群を引き起こす。致死的不整脈は、LQT3患者の39%で、睡眠中または休息中に起こる。これはおそらく、過剰な遅延Na+電流(late Na+ current)が再分極を(特に低い心拍数では)異常に延長し、早期後脱分極(EAD)および異所性収縮の発生に有利になるからだろう。心筋中央部(mid-myocardium)で再分極が優先的に遅れると、貫壁性再分極相のばらつきがさらに増強され、一方向性ブロックおよびリエントリー性不整脈が起こるかもしれない。LQT3患者のうち別の32%では、致死的心イベントが運動または感情によって誘発される。
心臓ナトリウムチャネル遺伝子SCN5Aのある変異体はアフリカ系アメリカ人における不整脈に関係することが最近報告された。一本鎖高次構造多型解析(SCCP)およびDNA配列解析により、SCN5Aのコドン1102に、チロシン(Y1102)によるセリン(S1102)の置換を引き起こすC→Aの異型接合トランスバージョンが明らかになった。S1102は、このチャネルのドメインIIとドメインIIIをつなぐ細胞内配列中に位置する保存された残基である。この研究者らは、このY1102対立遺伝子が不整脈罹病率を増加させることを見いだした。QTc(補正QT)はアミオダロンによって著しく延長され、トルサード・ド・ポアント心室頻拍をもたらすことが見いだされた。
不整脈およびTdPのリスクを減らすような手法で遺伝性または後天性LQTSを処置または予防するための薬剤が必要とされている。ラノラジン(ranolazine)は、狭心症の処置に有効な薬剤であって、心拍数や血圧には影響しないかごくわずかな影響しか引き起こさないことが、先に実証されている。本発明者らは、驚くべきことに、ラノラジンおよび関連化合物が、遺伝性または後天性不整脈の予防および/または処置に有効な薬剤であることを、ここに発見した。
驚くべきことに、本発明者らは、IKr、IKsおよび遅延INa(late INa)イオンチャネルを阻害する化合物が、この好ましい活性スペクトルを示すことを発見した。そのような化合物は心室活動電位持続時間を延長し、心室有効不応期を増加し、TDRを減少させ、APDを増加し、EADを生じない。例えば、狭心症およびうっ血性心不全の処置に有用であることが知られているラノラジンは、カルシウムチャネルを遮断しない用量レベルでIKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルを阻害する能力を持つために、心室頻拍の処置に有用であることがわかった。これは、参照により本明細書にそのまま組み込まれる米国特許第4,567,264号に、ラノラジンがカルシウムイオンチャネルを阻害する心選択性薬物であることが開示されており、そのカルシウムチャネル遮断作用ゆえに、不整脈を含む多くの疾患状態の処置に有用であるかもしれないことが示唆されているので、特に驚くべきことである。しかし、本発明者らは、ラノラジンがカルシウムイオンチャネルには殆どまたは全く影響を持たないレベルで、有効な抗不整脈剤として作用することを発見した。治療用量レベルでカルシウムチャネル活性に対する影響を持たないか、ごくわずかな影響しかないことは、患者の不整脈を処置する際には望ましくないカルシウムチャネル阻害剤の周知の効果(例えば血圧の変化)が回避されるので有益である。本発明者らは、ラノラジンが、キニジンおよびソタロールなどの薬物を投与した時の副作用であるEADおよび撃発活動を抑制するのに有効であることも発見した。
したがって、望ましくない副作用、例えば平均動脈圧、血圧、心拍数の変化、または他の有害作用を事実上伴わずに洞調律を回復する、VTの新規かつ有効な処置方法が提供される。
(発明の概要)
哺乳動物の不整脈を処置する有効な方法を提供することが、本発明の目的である。したがって、第1の側面として、本発明は哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、治療有効量の式I:
Figure 2005528393
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
Wは酸素または硫黄である]
の化合物もしくはその異性体、または式Iの化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む方法に関する。
好ましい化合物は、ラセミ混合物であるラノラジン、またはその異性体、または医薬的に許容できるその塩である。ラノラジンは、N-(2,6-ジメチルフェニル)-4-[2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジンアセトアミドと命名され、1-[3-(2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル]-4-[(2,6-ジメチルフェニル)-アミノカルボニルメチル]ピペラジンとも呼ばれる。これは、好ましくは、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルを阻害するが、カルシウムチャネルまたは他のイオンチャネルは阻害しないような用量レベルで投与される。ラセミ混合物または異性体であるラノラジンは、遊離塩基としてまたは医薬的に許容できる塩として製剤化することができる。医薬的に許容できる塩として製剤化する場合は、二塩酸塩が好ましい。
第2の側面として、本発明は、不整脈を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第3の側面として、本発明は、哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、ラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を、遅延INaイオンチャネルを阻害する用量レベルで投与することを含む方法に関する。IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルを阻害する治療量が好ましい。IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルを阻害するがカルシウムチャネルを阻害しない治療量は、さらに好ましい。
好ましい一態様では、式Iの化合物の血漿レベルが、少なくとも12時間は、少なくとも350±30ng/mLになるような手法で、本発明の化合物を投与する。
第2の好ましい態様では、式Iの化合物の血漿濃度が、少なくとも12時間は、最大値4000ng/mL未満、好ましくは約350〜約4000ng塩基/mLに維持されるような徐放性製剤として、本発明の化合物を投与する。
第3の好ましい態様では、約10mg〜700mgの式Iの化合物を含有する製剤として、本発明の化合物を投与する。好ましい式Iの化合物はラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩である。
第4の好ましい態様では、製剤1リットルにつき約1〜約30マイクロモルの用量レベルになる製剤として、本発明の化合物を投与する。製剤1リットルにつき約1〜約10マイクロモルの用量レベルになる製剤の投与が好ましい。
第4の側面として、本発明は、哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第5の側面として、本発明は、哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第6の側面として、本発明は、後天性不整脈(処方薬または他の化学物質によって引き起こされる不整脈)を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、治療有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。キニジンに対する感受性によって獲得された不整脈を持つ動物に製剤を投与することが好ましい。
第7の側面として、本発明は、後天性不整脈(処方薬または他の化学物質に対する感受性によって引き起こされる不整脈)を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、治療有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第8の側面として、本発明は、遺伝性不整脈(遺伝子突然変異によって引き起こされる不整脈)を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第9の側面として、本発明は、遺伝性不整脈(遺伝子突然変異によって引き起こされる不整脈)を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第10の側面として、本発明は、遺伝的に決定された先天性LQTSを持つ哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第11の側面として、本発明は、遺伝的に決定された先天性LQTSを持つ哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第12の側面として、本発明は、トルサード・ド・ポアントを予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第13の側面として、本発明は、LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第14の側面として、本発明は、LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第15の側面として、本発明は、LQT1、LQT2およびLQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第16の側面として、本発明は、LQT1、LQT2、LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第17の側面として、本発明は、LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を軽減する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第18の側面として、本発明は、LQT1、LQT2およびLQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を軽減する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法に関する。
第19の側面として、本発明は、不整脈を予防する方法であって、適切な集団をSCN5A遺伝子突然変異に関してスクリーニングし、この遺伝子突然変異に苦しむ患者に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または医薬的に許容できるその塩を投与することを含む方法に関する。SCN5A遺伝子突然変異に関して適切な集団の好ましい例は、当該集団のうち、当該ナトリウムチャネルの機能が正常でない部分である。
第20の側面として、本発明は、望ましくない副作用を最小限に抑えながら哺乳動物の心室頻拍を処置する方法に関する。
第21の側面として、本発明は、薬物処置の結果として生じる哺乳動物の心室頻拍を処置する方法であって、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルを阻害する治療有効量の化合物を、投与の副作用としてTdPを引き起こす薬物の投与前に、もしくはその投与後に、またはそのような薬物と同時に投与することを含む方法に関する。キニジンまたはソタロールに対する感受性によって獲得された不整脈を持つ哺乳動物に製剤を投与することが好ましい。
第22の側面として、本発明は、心疾患を持つ哺乳動物の心室頻拍を処置する方法であって、治療有効量の式Iの化合物を、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルは阻害するが、カルシウムチャネルは阻害しない用量レベルで投与することを含む方法に関する。
第23の側面として、本発明は、式Iの化合物の血漿レベルが、少なくとも12時間は、少なくとも350±30ng/mLになるような手法で、式Iの化合物をボーラスとして投与することにより、不整脈または心室頻拍を処置する方法に関する。
第24の側面として、本発明は、式Iの化合物の血漿レベルが、少なくとも12時間は、最大値4000ng/mL未満、好ましくは約350〜約4000ng塩基/mLに維持されるような手法で、徐放性製剤として式Iの化合物を投与することにより、不整脈または心室頻拍を処置する方法に関する。
第25の側面として、本発明は、式Iの化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルが、ボーラスまたは徐放性組成物によって投与される、不整脈の処置方法に関する。
第26の側面として、本発明は、式Iの化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルが、静脈内投与される、不整脈の処置方法に関する。
第27の側面として、本発明は、哺乳動物の不整脈を処置するための、式Iの化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルの使用に関する。
第28の側面として、本発明は、不安定狭心症、慢性狭心症、異型狭心症、心筋梗塞、急性冠症候群などの心筋虚血状態時ならびに急性および慢性心不全時に発生する心室頻拍を処置する方法に関する。
略号
APD(action potential duration):活動電位持続時間
BCL(basic cycle length):基本周期
EAD(early after depolarizations):早期後脱分極
ECGおよびEKG(Electrocardiogram):心電図
IKr(rapid potassium channel rectifying current):速いカリウムチャネル整流電流
IKs(slow potassium channel rectifying current):遅いカリウムチャネル整流電流
INa,L(late sodium channel current):遅延ナトリウムチャネル電流
epi細胞(epicardial cells):心外膜細胞
endo細胞(endocardial cells):心内膜細胞
LQTS(long term QT syndrome):QT延長症候群
M細胞(M cells):心臓の心筋中央部に由来する細胞
RMP(resting membrane potential):静止膜電位
TdP(Torsade de Pointes):トルサード・ド・ポアント
TDR(transmural dispersion of repolarization):貫壁性再分極相のばらつき
VT(ventricular tachycardia):心室頻拍
(発明の詳細な説明)
本発明は、不整脈を処置し、不整脈の発生を減少させ、または不整脈の発生を予防する手段を提供する。
正常な心調律(洞調律)は、複数の心臓細胞上にあるイオンチャネルの高度に統合された電気生理学的挙動によって生成する活動電位(AP)によってもたらされる。ナトリウム、カルシウムおよびカリウムチャネルは、心臓活動電位の形状と持続時間を決定する上で、最も重要なチャネルである。簡単に述べると、ナトリウムチャネルおよびカルシウムチャネルの活性化は、個々の心臓細胞内への正に帯電したイオンの内向き流束をもたらし、それが膜の脱分極を引き起こす。逆に、カリウムチャネルの開口は、細胞の外に向かう正に帯電したイオンの流れを許し、主に、細胞の活動電位を終結させ、細胞を再分極させる(図1)。
APは、歩調取りの起始点から、洞房結節を通って、心房筋を経由し、次に房室結節(AV)を経由し、プルキンエ伝導系を経由して、最終的に心室まで伝播する。
不整脈、すなわち心臓におけるインパルスの開始と伝播の正常な順序の乱れは、一次的な心血管疾患、肺障害、自律神経障害、全身性障害、薬物関連副作用、遺伝的効果(遺伝子の突然変異)または電解質平衡異常の結果として起こりうる。
正常な洞調律と不整脈は心電図(ECG)に視覚化される。ECGは、心筋の興奮によって生じて体表面で検出される電位の変動のグラフ的記録である。心電図からは、心拍数、PR間隔持続時間、AV結節伝導時間の反照、QRS持続時間、心室での伝導時間の反照、および心室活動電位持続時間の尺度であるQT間隔を測定することができる。洞調律時に生成するECGの代表例を図2に示す。
心室頻拍は自動能の強化、後脱分極および撃発自動能、ならびにリエントリーによって起こる。自動能の強化は、自発的な拡張期脱分極を常態で示している細胞で起こる。β-アドレナリン作動性刺激、低カルシウム血症、および心筋細胞の機械的伸展は、第4相の傾きを増加させてペースメーカーレートを加速する。一方、アセチルコリンは、第4相の傾きを減少させると共に、過分極によって、ペースメーカーレートを低下させる。強化された正常または異常自動能を持つ領域からインパルスが伝播して心臓の残りの部分を興奮させると、不整脈が起こる。
後脱分極および撃発自動能は、正常な心臓活動電位が妨害されるかまたはその後に異常な脱分極が続く一部の病理生理学的状態で起こる。この異常な脱分極が閾値に達すると、その結果として二次的な立ち上がりが生じ、次にそれが伝播して、異常な調律をもたらしうる。これらの異常な二次的立ち上がりは、最初の正常な立ち上がり(すなわち「引き金となる(triggering)」立ち上がり)の後にしか起こらないので、撃発調律と呼ばれる。撃発調律には以下の2つの主要な形態が知られている。(1)細胞内カルシウム過負荷の状態(心筋虚血、アドレナリンストレスなど)で起こりうる遅延後脱分極(DAD)。この後脱分極が閾値に達すると、1回または複数回の二次的な撃発拍動が起こりうる。(2)早期後脱分極(EAD)は、心臓活動電位の著しい延長がある場合にしばしば起こる。これが起こると、第3相での再分極がEADによって妨害されうる。生体外および臨床不整脈でのEADによるトリガリングは、基礎心拍が遅く、細胞外K+が低く、活動電位持続時間を延長する一定の薬物が存在する場合に、もっともよく見られる。EADは活動電位の再分極相において正味の内向き電流が増加することによって起こる。
TdPは多種多様な薬物による処置に共通する重篤な副作用であり、TdPは、EADおよびその結果として生じるトリガリングによって引き起こされうる。しかし、TdPのリスクを示す状態は、他にもある。例えば、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症、高グレードAVブロック、先天性障害および重度の徐拍などである。
QT延長症候群(LQTS)は、イオンチャネルと呼ばれる心臓細胞中のタンパク質構造の機能不全によって起こる。これらのチャネルは、カリウム、ナトリウムおよびカルシウム分子のようなイオンの流れを制御する。細胞を出入りするこれらのイオンの流れが、心臓の電気的活動を生み出す。これらのチャネルの異常は後天性である場合も、遺伝性である場合もある。後天性の異常は、通常、処方薬によって引き起こされる。
遺伝型の異常は、電気的再分極を制御するイオンチャネルの1つを産生するまたは「コードする」いくつかの遺伝子の一つに突然変異が発生した場合に起こる。突然変異型遺伝子は異常チャネルの形成をもたらす。これらの異常チャネルは正常なチャネルほど効率がよくないので、心臓の電気的回復に要する時間が長くなる。これはQT間隔の延長という形で心電図(ECG、EKG)に現れる。QT延長により、心臓は、多形性VTを起こしやすくなる。そのような多形性VTの一つが「トルサード・ド・ポアント」と呼ばれる速い異常心調律である。
先天性LQTSは6つの遺伝子の少なくとも1つに突然変異が生じることによって引き起こされる。
Figure 2005528393
上記の表に記載したLQT疾患とイオンチャネルは、後天性LQTSでも、遺伝性LQTSの場合と同じである。
遺伝性または後天性LQTSが哺乳動物に存在し、VTの症状が現れている場合には、式Iの化合物、特にラノラジンの投与によって、VTの発生および/または頻度が減少することに注目すべきである。遺伝性または後天性のLQTSは存在するが、VTの症状がない場合には、式Iの化合物、特にラノラジンの投与によって、VTの発生が予防される。
ナトリウムペントバルビタールはQT間隔を延長することが知られているが、貫壁性再分極相のばらつきを減少させる効果も持っている。これはIKr、IKsおよびINaを最も顕著に阻害することによって行われる。貫壁性ばらつきの減少は、M細胞におけるAPDの延長よりもepi細胞およびendo細胞におけるAPDの延長の方が大きいことによって示される。ナトリウムペントバルビタールはM細胞におけるd-ソタロール誘発性EAD活動も抑制する。したがって、ペントバルビタールは、そのQT延長作用にもかかわらず、TdPを誘発しない。
アミオダロンは、QTを延長することと、稀にTdPを誘発することが知られている。アミオダロンは、epi細胞およびendo細胞でM細胞よりも大きいAPDの延長を示すことにより、貫壁性再分極相のばらつきを減少させることがわかった。アミオダロンは心臓のナトリウム、カリウムおよびカルシウムチャネルを遮断する。長期間投与した場合(30〜40mg/kg/日、経口、30〜45日間)、アミオダロンは、再分極相の著しいばらつきまたはEAD活動を誘発するというIKr遮断薬d-ソタロールの能力も抑制する。
イヌ左心室由来の動脈灌流ウェッジ調製物で、ラノラジンは心外膜(epi)細胞のAPD90を優先的に延長することがわかった。ラノラジンはepi細胞のAPD90を延長すると同時に、M細胞のAPD90を短縮する効果も持っているので、貫壁性ばらつきの減少は、濃度が高いほど顕著であることがわかった。
ラノラジンがEADを誘発するかどうか、また遅延ナトリウム電流(late sodium current)およびカルシウム電流に対するラノラジンの作用がプルキンエ線維におけるd-ソタロール誘発性EADを拮抗できるかどうかを決定するために、イヌ左心室由来の単離された筋細胞でも試験を行った。ラノラジンの存在下ではEADは観察されなかった。ラノラジンは、d-ソタロールが誘発するEADを、わずか5マイクロモル/Lの濃度で抑制することがわかった。
また、ラノラジンはカルシウムチャネルを遮断することもわかったが、そのような遮断は、この薬物の治療有効濃度(約2〜8μM)よりもはるかに高い濃度(296マイクロモル/L)で起こる。
したがって、たとえラノラジンがQT間隔の延長を示すとしても、ラノラジンがEADまたはTdPを誘発することはない。
ラノラジンはQT間隔の延長を引き起こしうるので、ラノラジンは心室筋細胞のAPDの持続時間を増加させうる。体表面EKGのQT間隔は心室再分極の持続時間を反映する。
ラノラジンはモルモット筋細胞のAPDを減少させることがわかった(ウォッシュアウトで可逆)。ラノラジンは、キニジン存在下でのAPDを減少させることもわかった。キニジンはEADおよびTdPを撃発することが知られている。ラノラジンはキニジンによって誘発されるEADおよび他の撃発活動を抑制することがわかった。
ATXII(イソギンチャク毒)は、ナトリウムチャネルの開口状態の不活化を遅くし、EADを撃発し、QT間隔を延長すると共に、M細胞におけるAPDをより長く延長することにより、貫壁性再分極相のばらつきの急上昇を引き起こす。データから、ラノラジンは、ATXII存在下でのAPDを減少させることがわかる。したがってラノラジンはATXIIが誘発するEADを抑制する。ATXIIは、(TdPをもたらす)LTQ3症候群を模倣するナトリウムイオン活性化剤である。したがって、ラノラジンはTdPをもたらさず、むしろATXが引き起こすTdPを抑制する。
定義
本明細書で使用する以下の用語および表現は、個別に別段の表示がない限り、一般に、以下に説明する意味を持つものとする。
「アミノカルボニルメチル」は、式:
Figure 2005528393
[式中、Aは結合点を表す]
の構造を持つ基を指す。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
「低級アシル」は、式:
Figure 2005528393
[式中、Rは本明細書に定義する低級アルキルであり、Aは結合点を表す]
の構造を持つ基を指し、アセチル、プロパノイル、n-ブタノイルなどの基を包含する。
「低級アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピルおよびn-ブチルなど、炭素数1〜4の非分岐飽和炭化水素鎖を指す。
「低級アルコキシ」は、基:-OR[式中、Rは本明細書に定義する低級アルキルである]を指す。
「低級アルキルチオ」は、基:-SR[式中、Rは本明細書に定義する低級アルキルである]を指す。
「低級アルキルスルフィニル」は、式:
Figure 2005528393
[式中、Rは本明細書に定義する低級アルキルであり、Aは結合点を表す]
の基を指す。
「低級アルキルスルホニル」は、式:
Figure 2005528393
[式中、Rは本明細書に定義する低級アルキルであり、Aは結合点を表す]
の基を指す。
「N-置換されていてもよいアルキルアミド」は、式:
Figure 2005528393
[式中、Rは独立して水素または低級アルキルであり、R'は本明細書に定義する低級アルキルであり、Aは結合点を表す]
の構造を持つ基を指す。
「薬物」という用語は、処方薬ならびに大衆薬およびすべての薬理学的薬剤を指す。
「異性体」は、同じ原子質量および原子番号を持つが1つ以上の物理的または化学的性質が異なっている化合物を指す。式Iの化合物の異性体はすべて、本発明の範囲に包含される。
「随意の〜(optional)」または「〜してもよい(optionally)」とは、「〜」部分に記載する事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その記載には、当該事象または状況が起こる場合と、それが起こらない場合とが包含される。
「治療有効量」という用語は、以下に定義する処置を必要とする哺乳動物に投与した場合に、そのような処置を達成するのに十分な、式Iの化合物の量を指す。治療有効量は、処置される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与様式などに依存して変動し、当業者ならば容易に決定することができる。
「処置」または「処置する」という用語は、哺乳動物における疾患の任意の処置を意味し、
(i)疾患を予防すること、すなわち疾患の臨床症状が発生しないようにすること、
(ii)疾患を阻害すること、すなわち臨床症状の発生を停止させること、および/または
(iii)疾患を軽減すること、すなわち臨床症状を後退させること、
を含む。
不整脈とは任意の異常心拍数を指す。徐拍とは異常に遅い心拍数を指し、頻拍とは異常に速い心拍数を指す。本明細書にいう不整脈の処置とは、上室性頻拍の処置、例えば心房細動、心房粗動、AV結節リエントリー性頻拍、心房頻拍、ならびに特発性心室頻拍、心室細動、早期興奮症候群およびトルサード・ド・ポアント(TdP)を含む心室頻拍(VT)の処置を包含するものとする。
洞調律とは正常な心拍数を指す。
「心疾患を持つ哺乳動物」という用語は、心臓病理学的疾患状態、例えば狭心症、うっ血性心不全、虚血などを持つ哺乳動物を意味する。
多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはそれらに似た基を持つので、酸および/または塩基塩を形成することができる。「医薬的に許容できる塩」という用語は、式Iの化合物の生物学的な有効性と性質を保っていて、生物学的にもその他の面でも不都合ではない塩を指す。医薬的に許容できる塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から製造することができる。無機塩基から誘導される塩には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などがある。有機塩基から誘導される塩には、1級アミン、2級アミンおよび3級アミンの塩、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ジ置換シクロアルキルアミン、トリ置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、ジ置換シクロアルケニルアミン、トリ置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、ジ複素環式アミン(diheterocyclic amines)、トリ複素環式アミン(triheterocyclic amines)などの塩や、アミン上の置換基のうち少なくとも2つが異なっていて、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環基などからなる群より選択される、混合ジアミンおよびトリアミンの塩などがある。2つまたは3つの置換基が、アミノ窒素と共に全体として、複素環基またはヘテロアリール基を形成しているアミンも含まれる。
適切なアミンの具体例には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン, ジエチルアミン、トリ(イソ-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N-アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどがあるが、これらに限るわけではない。
医薬的に許容できる酸付加塩は、無機酸および有機酸から製造することができる。無機酸から誘導される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。有機酸から誘導される塩は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などを含む。
本明細書にいう「医薬的に許容できる担体」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張化および吸収遅延剤などが包含される。医薬活性物質へのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野ではよく知られている。通常の媒質または薬剤は、それが活性成分と適合しない場合を除き、治療組成物に使用することが考えられる。組成物には補助活性成分を組み込むこともできる。
医薬組成物および投与
本発明の化合物は、通常は、医薬組成物の形で投与される。したがって本発明は、活性成分として、1つ以上の本発明化合物または医薬的に許容できるその塩もしくはエステルを含むと共に、1つ以上の医薬的に許容できる賦形剤、担体(不活性な固体希釈剤および充填剤を含む)、希釈剤(滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含む)、透過促進剤、可溶化剤、およびアジュバントを含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物は、単独で投与しても、他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そのような組成物は、製薬分野でよく知られている方法で製造される(例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」Mace Publishing Co.,ペンシルバニア州フィラデルフィア,第17版(1985)や「Modern Pharmaceutics」Marcel Dekker,Inc.,第3版(G.S.BankerおよびC.T.Rhodes編)を参照されたい)。
本発明の化合物は、同様の用途を持つ薬剤について一般に容認されている任意の投与様式によって、例えば参照により本明細書に組み込まれる特許および特許出願に記載の投与様式で、例えば直腸、口腔粘膜、鼻腔内および経皮経路によって、動脈内注射、静脈内投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、局所投与によって、または吸入剤として、または含浸装置もしくは被覆装置、例えばステント、あるいは動脈に挿入される円柱状ポリマーなどを使って、単回で、または複数回に分けて投与することができる。
好ましい投与様式の一つは非経口投与、特に注射による投与である。注射による投与のために、本発明の新規組成物を組み込むことができる剤形には、水性または油性の懸濁液または乳液(ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油またはラッカセイ油を使ったもの)ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および類似の医薬ビヒクルが含まれる。食塩水を使った水溶液は注射には従来から使用されているが、本発明ではそれほど好ましくない。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(およびそれらの適当な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も使用できる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散剤の場合は要求される粒径を維持すること、および界面活性剤を使用することなどによって維持することができる。微生物の作用は、種々の抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって予防することができる。
滅菌注射用溶液は、必要な量の本発明化合物を、適宜、上に列挙した様々な他の成分と共に、適当な溶媒に組み込んだ後、ろ過滅菌することによって製造される。一般に、分散剤は、基礎分散媒と上に列挙したものから選択される他の必要な成分とを含む滅菌ビヒクルに、種々の滅菌活性成分を組み込むことによって製造される。滅菌注射用溶液剤を製造するための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、活性成分の粉末との所望の追加成分との粉末を、先に滅菌ろ過しておいたその溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥法である。
経口投与は式Iの化合物のもう一つの投与経路である。投与はカプセル剤や、腸溶性錠剤などによって行うことができる。少なくとも1つの式Iの化合物を含む医薬組成物を製造する際は、活性成分を賦形剤で希釈し、そして/またはカプセル、サシェ(sachet)、紙もしくは他の容器の形をとることができる担体に封入する。賦形剤が希釈剤の役割を果たす場合、それは、活性成分のビヒクル、担体または媒質として働く固体、半固体、または液体材料(上記のもの)であることができる。したがって、本組成物は錠剤、丸剤、粉末剤、口中剤、サシェ、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾル剤(固体状または液体媒質中のもの)、例えば10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル剤、滅菌注射用溶液剤、ならびに滅菌包装散剤の形態をとりうる。
適切な賦形剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギナート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ剤、およびメチルセルロースなどが挙げられる。本製剤はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化および懸濁剤、メチルベンゾエートおよびプロピルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤、甘味剤、および着香剤などを含むことができる。
本発明の組成物は、当技術分野で知られている手法を使って、患者への投与後に、活性成分の即時放出、持続放出、遅延放出またはこれら放出手段の任意の組合せがもたらされるように製剤化することができる。経口投与のための制御放出薬物送達系には、ポリマー被覆レザバーまたは薬物-ポリマーマトリックス製剤などの浸透圧ポンプ系および拡散/溶解系が含まれる。制御放出系の例は、米国特許第3,845,770号、同第4,326,525号、同第4,902,514号および同第5,616,345号ならびにWO0013687に記載されており、これらの文献はいずれも参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。本発明の方法で用いられるもう一つの製剤では、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。そのような経皮パッチは、本発明化合物を制御された量で連続的または断続的に注入するために使用することができる。医薬剤送達用経皮パッチの構築および使用は当技術分野ではよく知られている。例えば、いずれも参照によりそのまま本明細書に組み込まれる米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号および同第5,001,139号などを参照されたい。そのようなパッチは、医薬剤が連続的に、拍動的に、または要求時に送達されるように、構築することができる。
本組成物は、好ましくは単位剤形に製剤化される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物への単位投薬量として適している物理的に不連続な単位を指し、各単位は、所望の治療効果が得られるように計算された所定の量の活性物質を、適切な医薬賦形剤と共に含有している(例えば錠剤、カプセル剤、アンプル剤)。式Iの化合物は、広い投薬量範囲にわたって有効であり、一般に医薬有効量で投与される。経口投与の場合、各投薬単位は、好ましくは10mg〜2g、より好ましくは10〜700mgの式Iの化合物を含有し、非経口投与の場合は、好ましくは10〜700mg、より好ましくは約50〜約200mgの式Iの化合物を含有する。ただし、実際に投与される式Iの化合物の量が、関連する状況、例えば処置すべき状態、選択した投与経路、実際に投与する化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度などを考慮して、医師によって決定されることは理解されるだろう。
錠剤などの固形組成物を製造するには、主活性成分を医薬賦形剤と混合して、本発明化合物の均一な混合物を含有する固体予備処方組成物を形成させる。これらの予備処方組成物に関して均一という場合、それは、その組成物を錠剤、丸剤およびカプセル剤などの等価な有効性を持つ単位剤形に容易に細分することができるように、活性成分が組成物全体に均等に分散していることを意味する。
本発明の錠剤または丸剤は、被覆するか、他の方法で配合することによって、作用が持続するという利点を持つ剤形を得るか、胃の酸性条件から保護することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投薬成分と外側の投薬成分とを含み、後者が前者を覆う外皮の形をとることができる。これら2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、内側成分が十二指腸に無傷で移行できるようにするか、または放出が遅れるようにする働きを持つ腸溶性層で分離することができる。そのような腸溶性層または腸溶性コーティングには、例えば数多くのポリ酸や、ポリ酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物など、様々な材料を使用することができる。
一態様として、好ましい本発明の組成物は、患者への投与後に活性成分が迅速に、徐々に、または遅延して放出されるように、特に徐放性製剤が得られるように、製剤化される。最も好ましい本発明の化合物は、(±)-N-(2,6-ジメチル-フェニル)-4-[2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジンアセトアミドと命名されるラノラジンである。別段の表示がない限り、本明細書および実施例で使用するラノラジン血漿濃度はラノラジン遊離塩基を指す。
吸入用または吹送用組成物には、医薬的に許容できる水性溶媒もしくは有機溶媒またはその混合液中の溶液剤および懸濁剤、ならびに散剤が含まれる。この液体または固体組成物は、上述の適切な医薬的に許容できる賦形剤を含みうる。本組成物は、好ましくは、局所作用または全身作用を得るために、経口または経鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは医薬的に許容できる溶媒中の組成物を、不活性ガスを使って霧状にすることもできる。霧状になった溶液を噴霧装置から直接吸入するか、または噴霧装置を顔面マスク、テント、または間欠的陽圧呼吸装置に取り付けることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、適当な方法で製剤を送達する装置から、好ましくは経口的または経鼻的に投与することができる。
ラノラジンの静脈内製剤は無菌充填法によって以下のように製造される。適当な容器で、最終バッチ重量の約78%の注射用水(WFI)に所要量のデキストロース一水和物を溶解する。撹拌を続けながら、そのデキストロース溶液に所要量のラノラジン遊離塩基を加える。ラノラジンの溶解を促進するために、溶液のpHを0.1Nまたは1N塩酸溶液で3.88〜3.92の目標値に調節する。また、0.1N HClまたは1.0N NaOHを使って、3.88〜3.92の目標pHになるように溶液の最終調節を行ってもよい。ラノラジンが溶解してから、バッチをWFIで最終重量に調節する。製造段階の仕様が満たされていることを確認したら、ラノラジンバルク溶液を、2枚の0.2μm滅菌フィルターを通した滅菌ろ過によって滅菌する。次に、その滅菌ラノラジンバルク溶液を滅菌ガラスバイアルに無菌充填し、滅菌した栓で無菌的に栓をする。次に、栓をしたバイアルを清浄なフリップトップアルミニウムシールで密封する。
本発明の化合物は、本明細書を考慮して、当業者に知られている手法を使って、例えば拡散によってステントに含浸するか、またはステント上に例えばゲル状にコーティングすることができる。
ラノラジンの静脈内製剤は、無菌充填法によって以下のように製造される。適当な容器で、最終バッチ重量の約78%の注射用水(WFI)に所要量のデキストロース一水和物を溶解する。撹拌を続けながら、そのデキストロース溶液に所要量のラノラジン遊離塩基を加える。ラノラジンの溶解を促進するために、溶液のpHを0.1Nまたは1N塩酸溶液で3.88〜3.92の目標値に調節する。また、0.1N HClまたは1.0N NaOHを使って、3.88〜3.92の目標pHになるように溶液の最終調節を行ってもよい。ラノラジンが溶解してから、バッチをWFIで最終重量に調節する。製造段階の仕様が満たされていることを確認したら、ラノラジンバルク溶液を、2枚の0.2μm滅菌フィルターを通した滅菌ろ過によって滅菌する。次に、その滅菌ラノラジンバルク溶液を滅菌ガラスバイアルに無菌充填し、滅菌した栓で無菌的に栓をする。次に、栓をしたバイアルを清浄なフリップトップアルミニウムシールで密封する。
好ましい本発明の徐放性製剤は、化合物と、胃内(典型的には約2)および腸内(典型的には約5.5)のpH範囲で水性媒質への溶解速度を制御する部分的に中和されたpH依存性結合剤との均等な混合物を含む圧縮錠剤の形をとることが好ましい。
化合物を徐放させるには、製剤が胃腸管を通過するにつれて製剤が薬物をゆっくりと連続的に放出するように、当該化合物の溶解プロファイルを制御する1つ以上のpH依存性結合剤を選択することができる。1日2回の投与に十分な量の化合物を含有する徐放性製剤は、化合物の放出が速すぎる場合(「過剰放出(dose-dumping)」)には、不都合な副作用を引き起こす可能性があるので、pH依存性結合剤の溶解制御能力は、徐放性製剤では特に重要である。
したがって、本発明での使用に適したpH依存性結合剤は、胃内(pHは約4.5未満)に滞留中は薬物が錠剤から素早く放出されるのを阻害し、下部胃腸管(pHは一般に約4.5より高い)では治療量の化合物が剤形から放出されるのを促進するような結合剤である。製薬技術分野で「腸溶性」結合剤およびコーティング剤として知られている多くの材料は、望ましいpH溶解性を持っている。それらには、フタル酸誘導体、例えばビニルポリマーおよびビニルコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、酢酸アルキルセルロースのフタル酸誘導体、およびその部分エステル、ならびに低級アルキルアクリル酸および低級アルキルアクリレートのポリマーおよびコポリマー、およびその部分エステルなどがある。
徐放性製剤を製造するために本化合物と一緒に使用することができる好ましいpH依存性結合剤材料はメタクリル酸コポリマーである。メタクリル酸コポリマーは、メタクリル酸と中性アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(例えばアクリル酸エチルまたはメタクリル酸メチル)とのコポリマーである。最も好ましいコポリマーはメタクリル酸コポリマー、タイプC、USP(これはメタクリル酸単位が46.0%〜50.6%であるメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーである)である。そのようなコポリマーはRoehm PharmaからEudragit(登録商標)L-100-55(粉末状)またはL30D-55(30%水分散液)として市販されている。徐放性製剤剤形に単独でまたは組み合わせて使用することができる他のpH依存性結合剤材料には、フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ポリ酢酸ビニル、フタル酸ポリビニルピロリドンなどがある。本発明の剤形には、約1〜約20重量%、より好ましくは約5〜約12重量%の範囲の量(最も好ましくは約10重量%)の1つ以上のpH依存性結合剤が含まれる。
経口剤形の徐放性製剤には、1つ以上のpH非依存性結合剤を使用することができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、中性ポリ(メタ)アクリレートエステルなどのpH依存性結合剤および増粘剤は、それ自体は、上記pH依存性結合剤がもたらす所要の溶解制御をもたらさないことに注意すべきである。pH非依存性結合剤は、約1〜約10重量%の量、好ましくは約1〜約3重量%の量、最も好ましくは約2.0重量%の量で、本発明の製剤中に含まれる。
表1に示すように、好ましい本発明の化合物であるラノラジンは、約6.5より高いpHを持つ水溶液では比較的不溶性であるが、pH約6未満では溶解度が劇的に増加し始める。下記の実施例では、6より高いpHを持つ水または溶液中のラノラジン溶液は、ラノラジン二塩酸塩によって調製されている。下記実施例の考察部分で、実験結果として記載するラノラジン濃度は、ラノラジン遊離塩基に換算した値である。
Figure 2005528393
製剤中のpH依存性結合剤含量が増加すると、胃に見られる典型的なpHである4.5未満のpHでは、製剤からの徐放型化合物の放出速度が低下する。この結合剤によって形成される腸溶性コーティングは溶解度が低く、化合物の溶解度が低下する4.5より高いpHでは相対的放出速度が増加する。pH依存性結合剤を適切に選択することにより、低いpHでの放出速度に著しい影響を与えつつ、4.5より高いpHでの製剤からの化合物の放出速度を高めることができる。結合剤の部分中和により、個々の顆粒の周囲に形成されるラテックス様薄膜への結合剤の変換が促進される。したがって、製剤からの化合物の溶解速度が厳密に制御されるように、pH依存性結合剤のタイプと量および部分中和組成物の量を選択する。
本発明の剤形は、低いpH(約4.5未満)では溶解速度が著しく遅くなるように化合物の放出速度が制御される徐放性製剤を製造するのに足りるpH依存性結合剤を含むべきである。メタクリル酸コポリマー、タイプC、USP(Eudragit(登録商標)L100-55)の場合、適切なpH依存性結合剤量は5%〜15%である。pH依存性結合剤は、典型的には、約1〜約20%の結合剤メタクリル酸カルボキシル基が中和されているだろう。ただし中和度は約3〜6%の範囲であることが好ましい。徐放性製剤は、本化合物およびpH依存性結合剤とよく混合された医薬賦形剤も含みうる。医薬的に許容できる賦形剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル(例えばRoehm PharmaからEudragit(登録商標)NEという商標で販売されているメタクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー)、デンプン、ゼラチン、糖類、カルボキシメチルセルロースなどのpH非依存性結合剤または薄膜形成剤などを挙げることができる。他の有用な医薬賦形剤には、ラクトース、マンニトール、乾燥デンプン、微結晶セルロースなどの希釈剤、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ソルビタンエステルなどの界面活性剤、ならびに着色剤および着香剤などがある。また、潤滑剤(タルクおよびステアリン酸マグネシウムなど)や他の製錠助剤を含めてもよい。
本発明の徐放性製剤は、好ましくは、約50重量%〜約95重量%、より好ましくは約70重量%〜約90重量%以上、最も好ましくは約70重量%〜約80重量%の化合物含量と、5%〜40%、好ましくは5%〜25%、より好ましくは5%〜15%のpH依存性結合剤含量を持ち、剤形の残りはpH非依存性結合剤、充填剤および他の随意の賦形剤を含む。好ましい本発明の徐放性製剤の一部を下記の表2に示す。
Figure 2005528393
本発明の徐放性製剤は以下のように製造される。化合物およびpH依存性結合剤および随意の賦形剤をよく混合(乾式混合)する。次に、その乾式混合混合物を、強塩基の水溶液を混合粉末に噴霧して、造粒する。得られた顆粒を乾燥し、ふるいにかけ、随意の潤滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウム)と混合し、錠剤に圧縮する。好ましい強塩基水溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属(好ましくは水酸化ナトリウム)の水溶液(低級アルコールなどの水混和性溶媒を25%まで含有してもよい)である。
得られた錠剤は、随意の薄膜形成剤で、識別のために、味マスキングのために、そして嚥下しやすいように、コーティングすることができる。薄膜形成剤は、典型的には、錠剤重量の2%〜4%の量で含まれるだろう。適切な薄膜形成剤は当技術分野ではよく知られており、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性メタクリレートコポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリレート/メチル-ブチルメタクリレートコポリマー−Eudragit(登録商標)E-Roehm Pharma)などがある。これらの薄膜形成剤は、着色剤、可塑剤、および他の補助成分を含んでもよい。
圧縮錠剤は、好ましくは、8Kp圧縮に耐えうる硬度を持つ。錠剤サイズは主として錠剤中の化合物量に依存するだろう。錠剤は300〜1100mgの化合物遊離塩基を含むだろう。好ましくは、錠剤は、400〜600mg、650〜850mg、および900〜1100mgの量の化合物遊離塩基を含むだろう。
溶解速度に影響を与えるために、化合物含有粉末を湿式混合しておく時間を制御する。好ましくは、総粉末混合時間、すなわち粉末を水酸化ナトリウム溶液にばく露しておく時間は、1〜10分の範囲、好ましくは2〜5分の範囲である。造粒に続いて、造粒機から粒子を取り出し、流動層乾燥器に入れて、約60℃で乾燥する。
薬学的にはより一般的な二塩酸塩または他の塩もしくはエステルではなく、遊離塩基として化合物を使用すると、これらの方法により、ピーク血漿レベルが低く、しかも化合物の有効血漿濃度が投与後12時間以上持続する徐放性製剤が得られることがわかった。遊離塩基の使用によって得られる利点が少なくとも1つはある。すなわち、遊離塩基の分子量は二塩酸塩の85%しかないので、錠剤中の化合物の割合を増加させることができる。このようにして、投薬単位の物理的サイズを制限しつつ、有効量の化合物の送達が達成される。
有用性および試験
本方法は、IKr、IKsおよび遅延INaチャネルの同時阻害に応答する状態の処置に有効である。そのような状態には、例えば特発性心室頻拍、心室細動、早期興奮症候群およびトルサード・ド・ポアントなどのVTがある。
活性試験は下記実施例で述べるように、当業者には明白な方法によって行う。
下記の実施例は本発明を例示するものである。これらの実施例は決して本発明の範囲を限定しようとするものではなく、本発明化合物の製造法および使用法を示すために記載するものである。実施例に記載の温度はすべて摂氏温度である。
以下の実施例では、式Iの化合物を含有する代表的な医薬製剤の製造を例示する。
実施例1
以下の成分を含有する硬ゼラチンカプセルを製造する。
Figure 2005528393
上記の成分を混合し、硬ゼラチンカプセルに充填する。
実施例2
以下の成分を使って錠剤を製造する。
Figure 2005528393
上記の成分を混合し、圧縮して錠剤を形成させる。
実施例3
以下の成分を含有する乾燥粉末吸入器製剤を製造する。
Figure 2005528393
活性成分をラクトースと混合し、その混合物を乾燥粉末吸入器具に入れる。
実施例4
活性成分を30mgずつ含有する錠剤を以下のように製造する。
Figure 2005528393
活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.20メッシュU.S.ふるいに通して、十分に混合する。得られた粉末をポリビニルピロリドンの溶液と混合し、それを16メッシュU.S.ふるいに通す。こうして製造した顆粒を50℃〜60℃で乾燥し、16メッシュU.S.ふるいに通す。次に、予めNo.30メッシュU.S.ふるいに通しておいたカルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に加え、混合した後、打錠機で圧縮して、重量がそれぞれ120mgである錠剤を得る。
実施例5
活性成分を25mgずつ含有する坐剤を以下のように製造する。
Figure 2005528393
活性成分をNo.60メッシュU.S.ふるいに通し、必要最少量の熱量で予め融解しておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次に、その混合物を名目容量2.0gの坐剤成型器に注ぎ込んで、冷ます。
実施例6
用量5.0mLにつき50mgの活性成分を含有する懸濁剤を以下のように製造する。
Figure 2005528393
活性成分、スクロースおよびキサンタンゴムを混合し、No.10メッシュU.S.ふるいに通した後、予め調製しておいた微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、着香剤および着色剤を水の一部で希釈し、撹拌しながら加える。次に、充分量の水を加えて、所要の体積にする。
実施例7
皮下製剤は以下のように製造することができる。
Figure 2005528393
実施例8
以下の組成を持つ注射用調製物を製造する。
Figure 2005528393
実施例9
以下の組成を持つ局所調製物を製造する。
Figure 2005528393
水を除く上記の全成分を混合し、撹拌しながら60℃に加熱する。次に、激しく撹拌しながら充分量の60℃の水を加えて成分を乳化させ、次に全体を100gにする量の水を加える。
以下の実施例では、本発明化合物の有用性を実証する。
実施例10
I.イヌ左心室由来の単離筋細胞、組織および動脈灌流ウェッジ調製物におけるラノラジンの電気生理学的効果
A.材料と方法
体重20〜25kgのイヌをヘパリン(180IU/kg)で抗凝固処置し、ペントバルビタール(30〜35mg/kg,i.v.)で麻酔した。左開胸術によって開胸し、心臓を切除して、冷心臓保護液([K+]o=8mmol/L,4℃)に入れた。プロトコールはすべて、施設内動物実験委員会によって制定された指針に従った。
1.単離イヌ心室筋細胞での電圧固定研究
左冠動脈回旋枝によって血液供給されている左心室自由壁のくさび状切片から、酵素解離によって筋細胞を単離した。この研究では、左心室の心外膜および心筋中央領域から得た細胞を使用した。
解離に使用したタイロード溶液は、135 NaCl、5.4 KCl、1 MgCl2、0または0.5 CaCl2、10 グルコース、0.33 NaH2PO4、10 N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)(単位:mM)を含み、pHはNaOHで7.4に調節した。
内向き整流カリウム電流(IK1)、遅い遅延整流カリウム電流(IKs)および速い遅延整流カリウム電流(IKr)を、通常の全細胞電圧固定構成を使って、37℃で記録した。特定のイオン電流を単離するために使用した外液およびピペット内液の組成を表3に要約する。
Figure 2005528393
IK1は、ナトリウム-カリウムポンプおよびL型カルシウム電流(ICa,L)をそれぞれ遮断するために3μMウアバインおよび5μMニフェジピンを含む外液を使って測定した。IKsは、IKrとICaを遮断するために5μM E-4031および5μMニフェジピンの存在下で測定した。IKrを記録する場合には、外液に5μMニフェジピンを含めた。
倒立顕微鏡のステージに載せた温度制御0.5mlチャンバ(Medical Systems,ニューヨーク州グリーンベール)に、単離した筋細胞を入れ、2ml/分の流量で表面灌流した。細胞から100μmの位置に設置した石英製8バレル微小多岐管(ALA Scientific Instruments Inc.,ニューヨーク州ウェストベリー)を使って、濃度0.1、0.5、1.0、5.0、10および100.0(単位μM)のラノラジンを適用した。Axopatch 1D増幅器(Axon Instruments,カリフォルニア州フォスターシティ)を電圧固定モードで作動させて電流を記録した。3極低域ベッセルフィルタを使って全細胞電流を5kHzで濾波し、2〜5kHzをデジタル化し(Digidata 1200A,Axon Instruments)、コンピュータに保存した。Clampex 7収集解析ソフトウェア(Axon Instruments)を使って、イオン電流を記録し解析した。ピペットチップ抵抗は1.0〜2.0MΩであり、シール抵抗は5GΩを超えていた。シリーズ抵抗の電子補償は平均76%だった。本文に記載する電圧はパッチ電極チップ電位について補正した。細胞膜とパッチピペットの間のシールは、まず、1mM CaCl2を含む外液中で形成させた。実験溶液に切り替えた時に接地電位が発生するのを避けるために、Ag/AgCl接地電極と外液との間に3M KCl-寒天橋を使用した。
IKsは、-50mVの保持電位から40mVへの3秒間の脱分極とそれに続く0mVへの再分極ステップ(4.5秒)によって誘発した。この再分極によって誘発される時間依存的末尾電流をIKsと名付けた。このプロトコールを20秒ごとに5回繰り返した。Itoは遮断しなかったが、その不活化は迅速かつ完全であるので、我々が行ったIKsの測定にはほとんど影響がなかった。全ての測定値はパッチ破裂の5〜12分後に取得した。この期間はIKsの有意な減退が観察されないからである。
IKrは、30mVへの短い250ms脱分極パルス後に-40mVの電位で誘発される時間依存的末尾電流として測定した。データを平均±S.E.Mの形で表す。IK1は、-40mVの保持電位から-100mV〜0mVの範囲の試験電位への900msec電圧ステップ中に記録し、試験パルスの最後の5msec間の定常状態電流の平均値とみなした。
2.単離されたイヌ左心室心外膜およびM領域組織における活動電位研究
心外膜細胞調製物および心筋中央部(M)細胞調製物(約1×0.5×0.15cmの条片)を左心室から単離した。その組織切片を組織槽(体積5mlで流量12ml/分)に入れ、含酸素タイロード溶液(pH=7.35,t0=37±0.5℃)で表面潅流しながら少なくとも4時間は平衡化し、電場刺激により、2Hzの基本周期(BCL)でペーシングした。タイロード溶液の組成は以下のとおりとした(単位:mM):NaCl 129、KCl 4、NaH2PO4 0.9、NaHCO3 20、CaCl2 1.8、MgSO4 0.5、およびD-グルコース 5.5。
活動電位記録:膜電位は、2.7M KClが充填された標準ガラス微小電極(10〜20MΩ DC抵抗)を高入力インピーダンス増幅系(World Precision Instruments,米国フロリダ州サラソタ)に接続して記録した。増幅された信号は、Tektronix(米国オレゴン州ビーバートン)オシロスコープに表示し、増幅し(モデル1903-4プログラマブル増幅器[Cambridge Electronic Designs(C.E.D.),英国ケンブリッジ])、デジタル化し(モデル1401 AD/DAシステム[C.E.D.])、解析し(スパイク(Spike)2収集解析モジュール[C.E.D.])、磁気媒体に保存した。
研究プロトコール:心外膜細胞調製物およびM細胞調製物の活動電位を記録した。4〜6時間の平衡化期間後に対照の記録を行った。ラノラジンの効果は1、5、10、50および100μMの濃度で決定し、各濃度の薬物を添加してから30分後に記録を開始した。300、500、800、1000、2000、5000msecの基本ペーシング周期(BCL)で膜活動電位を記録することにより、ラノラジンの作用のレート依存性を決定した。500msecおよび2000msecのBCLで記録したデータを記載する。
以下の活動電位パラメータを測定した:
1)50%および90%再分極時点の活動電位持続時間
2)振幅
3)オーバーシュート
4)静止膜電位
5)活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)。
対照条件下ならびに10および100μMのラノラジンの存在下でVmaxを記録した。Vmaxは500msecのBCLで測定した。低い細胞外K+は薬物が誘発するAPDの延長および早期後脱分極を促進することが知られているので、独立した2組の実験を行い、一方は正常な[K+]o(4mM)、他方は低い[K+]o(2mM)にした。
3.動脈灌流左心室ウェッジ調製物における活動電位研究
約12mm×35mm×12mmの寸法を持つ貫壁性左心室ウェッジを左心室壁の中〜基底前部(mid-to-basal anterio region)から切り離し、灌流液(タイロード溶液)を送達するために左前下行冠動脈の対角枝にカニューレを挿入した。タイロード溶液の組成は以下のとおりとした(単位:mM):NaCl 129、KCl 4、NaH2PO4 0.9、NaHCO3 20、CaCl2 1.8、MgSO4 0.5、およびD-グルコース 5.5(pH=7.4)。これとは別に、2mM KClを含有するタイロード溶液を使って、一組の実験を行った。
浮遊微小電極を使って心外膜領域および心内膜下(M)領域の膜活動電位を記録した。貫膜的記録と同じ軸に沿って調製物の心外膜表面(+)および心内膜表面(-)から約1cmの位置に設置した2本のK-寒天電極(内径1.1mm)を使って貫壁性疑似心電図(ECG)を記録した。
心内膜表面と接触している銀双極電極を使って2000msecの基本周期でペーシングしながら、心室ウェッジをチャンバ内で2時間平衡化した。虚血前に、定流量を、灌流圧が40〜50mmHgに達するように設定した。灌流液と、組織チャンバを取り囲む隣接水槽とを、同じヒーター/循環槽で加熱することにより、温度を37±0.5℃に維持した。各実験では、熱損失をさらに防ぐために、組織チャンバの上部開放部分を、その面積の約75%まで、プラスチックシートで覆い、残りの25%は、ECG電極および浮遊微小電極を設置し操作するために、覆いがない状態にしておいた。調製物は実験の間じゅう細胞外溶液に完全に浸漬した。
QT間隔は、QRS群の最初のふれから、T波の末端部の最も急勾配な部分に引いた接線が等電位線を横切った点までの時間間隔と定義した。
B.研究プロトコール
実験系列1:再分極時間(50%および90%再分極時点の活動電位持続時間[それぞれAPD50およびAPD90]ならびにQT間隔[ECG])の変化、ならびに濃度範囲1〜100μMのラノラジンで調製物を灌流した後の、不整脈発生に対する組織の脆弱性を決定することが目的。[K+]o=4mM。
ガラス浮遊微小電極を使って、心外膜(Epi)領域、心内膜下領域(M)領域の膜活動電位を記録した。貫壁性ECGを同時に記録した。
a.定常状態刺激:1、5、10、50および100μMのラノラジン濃度における再分極時間(APDおよびECG)のレート依存的変化を調べるために、基本周期(BCL)を300msecから2000msecまで変化させた。
b.プログラム電気刺激(PES):不整脈を誘発する試みとして、各濃度の薬物の添加前および添加後に、心外膜表面に早期刺激を加えた。2000msecの基本周期で5回または10回の基本拍動(S1)が終わる度に、単一パルス(S2)を1回送達した。S1-S2連結間隔を、不応状態が生じるまで徐々に減らした(S2刺激は持続時間が2〜3msecで、拡張期閾値の3〜5倍に相当する強さとした)。
実験系列2:再分極時間(50%および90%再分極時点の活動電位持続時間[それぞれAPD50およびAPD90]ならびにQT間隔[ECG])の変化、ならびに濃度範囲1〜100μMのラノラジンで調製物を灌流した後の、不整脈発生に対する調製物の脆弱性を決定することが目的。[K+]o=2mM。
a.定常状態刺激:500および2000の基本周期(BCL)で行った。
b.プログラム電気刺激(PES):上記参照。
薬物:ラノラジン二塩酸塩を100%蒸留水に希釈して50mMの原液とした。薬物は実験ごとに新しく調製した。
統計:統計解析は、一元配置反復測定分散分析(ANOVA)と、それに続くボンフェローニの検定によって行った。
実施例11
I Kr 、I Ks およびI K1 に対するラノラジンの効果
ラノラジンはIKrおよびIKsを濃度依存的に阻害したが、IK1は変化させなかった。IKrは、30mVへの250msecの活性化パルス後の時間依存的末尾電流として、−40mVで測定した。図3Aに、対照溶液中で記録した電流と、50μMラノラジン添加後に記録した電流を示す。IKrは、この濃度のラノラジンにより、ほとんど完全に遮断された。図3Bは、IKr末尾電流の阻害に関する濃度応答関係を表し、IC50は11.5μMである。
IKsは、+40mVへの3秒間ステップによって誘発し、0mVに戻すステップ後に、時間依存的末尾電流として測定した。対照条件下、100μMラノラジン添加後、および薬物のウォッシュアウト後に記録された電流を、図4Aに示す。ラノラジン(100μM)は0mVで記録される末尾電流をほとんど排除し、その効果はウォッシュアウトにより完全に打ち消された。IKsの阻害に関する濃度応答関係を図4Bに示す。この図はIC50が13.4μMであることを示している。
内向き整流IK1は、穿孔パッチ電圧固定法を使って記録した。図5Aに、対照条件下(左側)および100μMラノラジンの存在下で、増加幅を10mVにして、-100mV〜0mVの間の電圧で記録したIK1を示す。この実験と5つの類似実験では、ラノラジンは内向き整流電流に変化をもたらさなかった。B図は、各試験パルスの終わりに測定した平均電流から作成した電流-電圧関係を表す複合データのプロットである。
実施例12
単離したイヌ心室組織における活動電位研究
[K+]o=4mMおよびBCL=2000msecでは、M細胞調製物において、ラノラジンにより、APD50とAPD90がどちらも濃度依存的に短縮された(図6)。一部の調製物では、ラノラジンが二相性の効果を生じ、低濃度ではAPDを延長し、高濃度ではAPDを短縮した(図4A)。心外膜再分極の方がこの薬物による影響は小さく、APD延長を起こす傾向を示した。貫壁性再分極相のばらつきは、中ぐらいのラノラジン濃度で減少し、高濃度では事実上除去された。
500msecのBLCでは、ラノラジンが、心外膜組織ではAPDの濃度依存的延長を引き起こし、M細胞調製物では短縮を引き起こした。100μMの濃度では、心外膜APDがM細胞の値を超えた。結果として、貫壁性再分極相のばらつきは減少するか排除された。最高濃度のラノラジン(100μM)では、貫壁性再分極の勾配が逆転した。心外膜調製物ではラノラジンがAPD90の頻度依存的延長を誘発したこと、すなわち延長はレートが速いほど大きくなったことは、注目に値する(図6および7)。
INaに対するラノラジンの作用を評価するために、活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)を測定した。ラノラジンはVmaxの低下を引き起こした。この効果は10μMラノラジンではあまり大きくないが(n.s.)、100μMラノラジンではかなり大きくなった(図8)。
M細胞調製物の場合、50μMまでの濃度では、ラノラジンは振幅、オーバーシュート、および静止膜電位にほとんど乃至まったく影響しなかった(表4)。
Figure 2005528393
試験した最高用量(100μM)では、ラノラジンは、第0相振幅の減少を引き起こした。活動電位のオーバーシュートおよび静止膜電位は低下したが、これらは統計的に有意な低下ではなかった。
心外膜調製物では、ラノラジンは、静止膜電位、オーバーシュートおよび第0相振幅にほとんど乃至まったく変化をもたらさなかった(表5)。
Figure 2005528393
[K+]oが低く、レートが遅い(BCL=2000msec)場合、ラノラジンはM細胞のAPD90に有意な変化をもたらさなかったが、濃度依存的なAPD50の短縮が起こった(図9)。対照的に、心外膜の場合は、この薬物によって、APD50にはほとんど変化が生じなかったが、APD90には濃度依存的な延長が起こった。貫壁性再分極相のばらつきは著しく減少した。
500msecのBCLでは、ラノラジンは、M細胞の再分極をほとんど変化させなかったが、心外膜ではAPD90の顕著な濃度依存的延長が起こった(図10)。
実施例13
動脈灌流イヌ左心室ウェッジ調製物における活動電位研究
図11の各図に、2000msecの基本周期、ラノラジンの不在下および存在下(1〜100μM)で、動脈灌流イヌ左心室ウェッジ調製物の心筋中央部(M領域)および心外膜(Epi)から記録されたECGおよび膜活動電位を示す。4mM(左図)または2mM(右図)のKClを含む冠動脈灌流液を使って、この薬物の効果を調べた。
4mM KClの存在下では、ラノラジンは、APD90を有意に変化させなかったが、高い薬物濃度(50および100μM)ではAPD50を有意に減少させた。対照的に、2mM KClの存在下では、ラノラジンは、5〜100μMの濃度でAPD90を有意に延長したが、APD50はどの濃度でも有意に変化させなかった(表6)。
4mMの[K+]oでは、ラノラジンはM細胞よりも心外膜のAPD90を大きく延長した。その結果、貫壁性再分極相のばらつきは減少したが、これに有意性はなかった。2mMの[K+]oでは、ラノラジンは心外膜よりもM細胞のAPD90を大きく延長し、結果として貫壁性再分極相のばらつきを増大させたが、これにも有意性はなかった(表7)。
APD90およびQT間隔(上図)ならびにAPD50(下図)に対する濃度依存的効果の複合データを、図12に示す。[K+]oが4mMの場合、QTおよびAPD90はどの薬物濃度でもほとんど影響を受けず、APD50は濃度50μMおよび100μMで有意に短縮された。[K+]oが2mMの場合は、M細胞のQTおよびAPD90が5μMを超えるラノラジン濃度でわずかに延長したのに対して、APD50は殆ど影響を受けなかった。
Figure 2005528393
Figure 2005528393
表8は、イヌ左心室ウェッジ調製物を使用するどのプロトコールでも、トルサード・ド・ポアント不整脈の自発的発生は観察されず、プログラム電気刺激でも誘発しえなかったという事実を強調している。対照条件下では不整脈は観察されず、どの濃度のラノラジンの投与後も、不整脈は観察されなかった。
Figure 2005528393
どの濃度のラノラジンで前処理した組織またはウェッジ調製物でも、早期後脱分極と遅延後脱分極は共に観察されなかった。それどころか、図13に示すように、ラノラジンは、M細胞調製物をd-ソタロールなどの他のIKr遮断薬にばく露することによって誘発されるEADの抑制に有効であることが判明した。d-ソタロールは、M細胞調製物において、再分極の著しい延長をもたらし、EADを誘発した。ラノラジンは、濃度依存的に活動電位を短縮し、EADを消失させた。EAD活動を抑制しAPDを短縮するというラノラジン(5〜20μM)の同様の効果が、4つ中4つのM細胞調製物で観察された。
実施例14
II.単離イヌ左心室筋細胞における遅延INa、ICa、ItoおよびINa-Caに対するラノラジンの電気生理学的効果
A.材料と方法
1.単離イヌ心室筋細胞での電圧固定研究
雄雑種成犬に180IU/kgのヘパリン(ナトリウム塩)を投与し、35mg/kgペントバルビタールナトリウムの静注によって麻酔し、心臓を素早く摘出して、タイロード溶液に入れた。左冠動脈回旋枝によって血液供給されている左心室自由壁のくさび状切片から、酵素解離によって単一筋細胞を得た。左心室の心外膜領域および心筋中央領域から得た細胞を使用した。手順はすべて、施設内動物実験委員会によって制定された指針に従った。
解離に使用したタイロード溶液は、135 NaCl、5.4 KCl、1 MgCl2、0または0.5 CaCl2、10 グルコース、0.33 NaH2PO4、10 N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)(単位:mM)を含み、pHはNaOHで7.4に調節した。
L型カルシウム電流(ICa)、一過性外向き電流(Ito)およびナトリウム-カルシウム交換電流(INa-Ca)は標準的パッチ電極を使って37℃で記録した。外液およびピペット内液の組成をそれぞれ表9および表10に示す。穿孔パッチ法を使って遅延INaを記録した。
Figure 2005528393
Figure 2005528393
倒立顕微鏡のステージに載せた温度制御0.5mlチャンバ(Medical Systems,ニューヨーク州グリーンベール)に、解離した筋細胞を入れ、2ml/分の流量で表面灌流した。細胞から100μmの位置に設置した石英製10バレル微小多岐管(ALA Scientific Instruments Inc.,ニューヨーク州ウェストベリー)を使って、ラノラジン、テトロドトキシン(TTX)またはカドミウムを適用した。Axopatch 200A増幅器(Axon Instruments,カリフォルニア州フォスターシティ)を電圧固定モードで作動させて、37℃で電流を記録した。4極低域ベッセルフィルタを使って全細胞電流を5kHzで濾波し、2〜5kHzをデジタル化し(Digidata 1200A,Axon Instruments)、コンピュータに保存した。pClamp 8.2ソフトウェア(Axon Instruments)を使って、イオン電流を記録し解析した。ピペットチップ抵抗は1.0〜1.5MΩであり、シール抵抗は5GΩを超えていた。シリーズ抵抗の電子補償は平均76%だった。ここに記載する電圧はパッチ電極チップ電位について補正した。細胞膜とパッチピペットの間のシールは、まず、1mM CaCl2を含むタイロード溶液中で形成させた。実験溶液に切り替えた時に接地電位が発生するのを避けるために、Ag/AgCl接地電極と外液との間に3M KCl-寒天橋を使用した。
テトロドトキシン(TTX)は水で調製し、最終濃度が10μMになるように外液に1:100希釈した。ラノラジンは水で濃度50mMに調製し、最終濃度が1〜800μMになるように外液で希釈した。
ICaは、ピーク内向き電流から試験パルスの終了時点での電流を差し引いたものと定義した。遅延INaの定常状態成分を遮断するために、外液には10μMのTTXを含めた。細胞を-90mVで20秒間休ませてから、-60mVへの800msランプおよび-50mVへの15msステップを誘起してナトリウムチャネルを不活化し電圧制御を維持した後、直ちに0mVへの500msステップを行って、対照溶液中でのICaを記録した。このプロトコールを各薬物濃度について0.5Hzのレートで5回繰り返した。ラノラジンの定常状態効果を、この系列の5回目のパルスにおけるICaの変化率として測定した。ICaの変化を片対数目盛で薬物濃度に対してプロットし、ロジスティック方程式に当てはめた。
遅延INaは、-30mVへの試験パルスの最後の5msに測定される平均TTX感受性電流と定義した。500msパルスの最初に起こる電圧制御の一過性の喪失は、このパルスの終わりに測定される電流に影響を及ぼさなかった3。1Hzのレートで繰り返される一連の500msパルスを使って、定常状態ブロックを決定した。10回目のパルス中の遅延INaの減少を薬物濃度の関数として片対数目盛りにプロットし、ロジスティック方程式に当てはめた。
Itoは、ICaを遮断するために300μM CdCl2の存在下で記録し、ピーク外向き電流から試験パルスの終了時点の定常状態電流を差し引いたものと定義した。保持電位を-80mVとし、-50mVへの5msパルスを加えてから、-10、0および10mVへの100msパルスを誘起し、それを0.1Hzのレートで繰り返した。ラノラジンの効果を、各薬物濃度を添加した4分後に評価した。ラノラジンはItoに対してごくわずかな効果しか持たなかったので、結果をロジスティック関数としてプロットしなかった。その代わりに、すべての結果を平均±標準誤差の形で表す。両側スチューデントt検定を使って平均間の差を決定した。
正常な初期カルシウム濃度変化によってINa-Caを撃発するために、-50mVへの3msパルスに続いて0mVへの5msステップを加えることにより、ICaおよび初期カルシウム濃度変化を活性化した。この2段階プロトコールの後、直ちに-80mVへのパルスを加えて、INa-Caを記録した。INa-Caを、輸送された総電荷量(pA×ms)として定量化した。電圧固定プロトコールに先立って、20mVへの一連のパルス10回を0.5Hzのレートで加えた後、6秒間静止して、SRのカルシウム負荷を維持した。INa-Caの減少を薬物濃度の関数として片対数目盛りにプロットし、ロジスティック方程式に当てはめた。
実施例15
図14Aに、対照溶液中のTTX感受性電流と、外液に20μMラノラジンを添加した4分後のTTX感受性電流を示す。図14Bに、ラノラジン(5〜50μM)を外液に加えた同様の実験の結果を要約する。遅延INaの50%阻害は21μMの薬物濃度で起こった。
Itoに対するラノラジンの効果を、-10、0および10mVの試験電位で決定した。Itoはラノラジンによる阻害に対して極めて強い耐性を示した。図15に、対照溶液中で記録した電流(左図)と、50μMのラノラジンを添加した4分後に記録した電流を示す。この薬物によるピークItoの減少は10未満だった。
濃度50μMのラノラジンは、10mVでは、Itoを10±2%減少させた(6細胞、p<0.001)。-10mVおよび0mVでのラノラジンの効果は有意でなかった。濃度100μMのラノラジンは、Itoを、0mVおよび10mVの試験電位で、それぞれ16±3%および17±4%減少させた(7細胞、p<0.001)。ラノラジンは、10μM(9細胞)および20μM(9細胞)の濃度では、どの試験電圧でも効果を持たなかった。図16に記載する結果を各対照電流に対して規格化し、図17に要約した。
図18の上図は、対照溶液中と、100μMラノラジンを添加した4分後と、および対照溶液に戻した後のINa-Caのトレースを重ね合わせたものである。図18の下図は、3〜14細胞から得た濃度応答曲線を表す。ラノラジンによるINa-Ca阻害に関するIC50は91μMである。
図19は、IKr、IKs、ICa、遅延INaおよびINa-Caに関する濃度応答曲線を1つのグラフに表したものである。試験した最高濃度(100μM)でもItoの阻害は不十分で完全な曲線にはならなかった。IKr、IKsおよび遅延INaはラノラジンに対して同等な感受性を示した。
実施例16
III.単離イヌプルキンエ線維におけるラノラジンの電気生理学的効果
A.材料と方法
体重20〜25kgのイヌをヘパリンで抗凝固処置し、ペントバルビタール(30〜35mg/kg,i.v.)で麻酔した。左開胸術によって開胸し、心臓を切除して、冷心臓保護液([K+]o=8mmol/L,4℃)に入れた。自動性(free-running)プルキンエ線維を左心室および右心室から単離した。調製物を組織槽(体積5mlで流量12ml/分)に入れ、含酸素タイロード溶液(pH=7.35,t0=37±0.5℃)で表面潅流しながら少なくとも30分間は平衡化し、点刺激により、1Hzの基本周期(BCL)でペーシングした。タイロード溶液の組成は以下のとおりとした(単位:mM):NaCl 129、KCl 4、NaH2PO4 0.9、NaHCO3 20、CaCl2 1.8、MgSO4 0.5、およびD-グルコース 5.5。
活動電位記録:膜電位は、2.7M KClが充填された標準ガラス微小電極(10〜20MΩ DC抵抗)を、高入力インピーダンス増幅系(World Precision Instruments,米国フロリダ州サラソタ)に接続して記録した。増幅された信号は、Tektronix(米国オレゴン州ビーバートン)オシロスコープに表示し、増幅し(モデル1903-4プログラマブル増幅器[Cambridge Electronic Designs(C.E.D.),英国ケンブリッジ])、デジタル化し(モデル1401 AD/DAシステム[C.E.D.])、解析し(スパイク(Spike)2収集解析モジュール[C.E.D.])、磁気媒体(パーソナルコンピュータ)に保存した。
B.研究プロトコール
30分の平衡化期間後に対照の記録を行った。ラノラジンの濃度を段階的に増やして評価し(1、5、10、50および100μM)、各濃度の薬物を添加した20分後に記録を開始した。300、500、800、1000、2000および5000msecの基本周期(BCL)で活動電位を記録することにより、ラノラジンの作用のレート依存性を評価した。ここでは、比較的速いペーシングレートと比較的遅いペーシングレートの代表例として、500msecおよび2000msecのBCLだけを示す。
以下の活動電位パラメータを測定した:
a)50%(APD50)および90%(APD90)再分極時点の活動電位持続時間
b)振幅
c)オーバーシュート
d)静止膜電位
e)活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)。
低い細胞外K+は薬物が誘発するAPDの延長および早期後脱分極を促進することが知られているので、正常な[K+]o(4mM)と低い[K+]o(3mM)の存在下でラノラジンの効果を決定した。最後に、かなり特異的なIKr遮断薬であるd-ソタロール(100μM)が誘発するEADに対するラノラジンの効果を評価する。
ラノラジン二塩酸塩を蒸留水に希釈して、50mMの原液を調製した。薬物は各実験ごとに新しく調製した。
統計:統計解析は、一元配置反復測定分散分析(ANOVA)と、それに続くボンフェローニの検定によって行った。
実施例17
正常な細胞外K + 濃度(4mM)
ラノラジン(1〜100μM)は、プルキンエ線維における再分極に対して濃度依存的かつレート依存的効果をもたらした(図20)。低濃度のラノラジン(1〜10μM)は何も効果がないか、またはAPDの比較的小さい短縮をもたらした。高濃度のラノラジン(50および100μM)では、速いレートでも遅いレートでも、APD50が有意に短縮された。対照的に、APD90は、遅いペーシングレートでは著しく短縮されたが、速いペーシングレートでは短縮されなかった(図20)。EADの徴候はどの薬物濃度でも観察されなかった。
INaに対するラノラジンの効果を評価するために、活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)を測定した。ラノラジンは50μMおよび100μMの濃度でVmaxの有意な低下を引き起こし(図21)、この薬物によってINaが阻害されることを示した。
ラノラジンは、1〜50μMの濃度では、振幅にも、オーバーシュートにも、静止膜電位にも、ほとんど乃至まったく効果がなかった(表11)。
Figure 2005528393
試験した最高用量(100μM)では、ラノラジンは、第0相振幅およびオーバーシュートの統計的に有意な減少を引き起こし、VmaxおよびINaを減少させるという薬物の効果と合致した。
低い細胞外K + 濃度(3mM)
細胞外K+を下げてもラノラジンの効果に実質的な変化はなかった。最も明白な相違として、中ぐらいの濃度でAPD90を延長する傾向を薬物が示すことと、2000msecのBCLで最高濃度の薬物によって誘導されるAPDの短縮が小さいことが挙げられる(図22、表12)。
Figure 2005528393
5〜10μMより高い濃度では、APD50が有意に短縮された。[K+]oレベルが高い場合と同様に、活動電位の第0相振幅およびオーバーシュートは、高濃度のラノラジン(50μMおよび100μM)によって有意に減少した。EADは一度も観察されなかった。
d-ソタロール誘発性EADのラノラジンによる抑制
特異的IKr遮断薬であるd-ソタロール(100μM)は、6つ中4つのプルキンエ線維で、EAD活動を誘発した。4つ中4つのプルキンエ線維調製物で、ラノラジンは、わずか5μMの濃度で、d-ソタロール誘発性EADを直ちに消失させた(図23)。さらに高レベルのラノラジン(10μM)は、活動電位の大きな短縮をもたらした。
実施例18
IV.麻酔したイヌにおけるQT延長および不整脈誘発に対するラノラジンの効果:ソタロールとの比較
A.材料と方法
イヌをアトラベット(Atravet)(0.07mg/kg sc)で前処置し、15分後に、ケタミン(5.3mg/kg iv)およびバリアム(valium)(0.25mg/kg iv)と、それに続くイソフルラン(1〜2%)とで麻酔し、挿管して機械的人工呼吸を施した。次に、高周波アブレーションによるAVブロックを施した。胸骨正中切開を行って、血圧(BP)記録用として大腿動脈に、また試験薬物の注入用として両大腿静脈に、カテーテルを挿入した。不応期のプログラム刺激決定(期外刺激法)を行うため、ならびにQT間隔およびQRS持続時間を様々な制御基本周期(BCL)で評価するために、双極電極を両心室に挿入した。10、20、30、40および50μg/kgのボーラス静脈内用量として与えるフェニレフリンのチャレンジによってTdPを誘発した。各用量の投与後に、不整脈を検出するために、ECGを連続的にモニターした。フェニレフリン投与後は常にBPが上昇したので、BPが正常化するように十分な時間(少なくとも10分)を置いてから、次のフェニレフリンを投与した。試験薬物の効果を以下のプロトコールに従って評価した。
データを平均±S.E.M.の形で表す。統計比較はスチューデントのt検定で行った。0.05未満の両側確率は、統計的有意性を示すと解釈した。データ表において、*はP<0.05を表し、**はP<0.01を表す。
B.研究計画(プロトコール)
試験薬物を以下のように注入した。第1群(5頭):ソタロールを8mg/kgの初回負荷量および、4mg/kg/hの維持量でiv投与した。第2群(6頭):5頭のイヌに、0.5mg/kgのiv初回負荷の後、それぞれ1.0、3.0および15mg/kg/hの第1回、第2回および第3回持続iv注入として、ラノラジンを投与した。1頭のイヌには、1.5mg/kgのiv初回負荷の後、15および30mg/kg/hの注入として、ラノラジンを投与した。維持注入の開始から20分後(ソタロールの場合)または各iv注入速度の開始から30分後(ラノラジンの場合)に、電気生理学的測定(右心室および左心室ERP、QTおよびQRS)を、300、400、600および1000msのBCLで行った。次に、フェニレフリンチャレンジを行い、全ての用量を各薬物注入速度で与え、不整脈をモニターした。
実施例19
表13に、このモデルにおけるソタロールの催不整脈効果(二段脈、三段脈、トルサード・ド・ポアント、および心室細動に移行するトルサード・ド・ポアント)を要約する。
Figure 2005528393
5頭のイヌのうち2頭はフェニレフリンチャレンジを行わなくても催不整脈性を持ち、5頭全てがフェニレフリンチャレンジにより催不整脈性を持った。全てのイヌが、ソタロール注入とフェニレフリンボーラスとの組合せによって誘発された心室細動に移行するトルサード・ド・ポアントにより、最終的には死亡した。ソタロールは、右心室(RV)および左心室(LV)の有効不応期を、逆頻度依存的に増加させた(表14ならびに図24Aおよび図24B)。ソタロールはQT間隔を著しく逆頻度依存的に増加させたが、QRS持続時間には影響しなかった(表15ならびに図25Aおよび図25B)。
Figure 2005528393
Figure 2005528393
標準ラノラジン注入プロトコールを実行した5頭のイヌに関する結果を利用することができる。高用量のイヌは30mk/kg/hr注入中に心力不全で死亡したので、このイヌでは心室不整脈および電気生理学的研究を行うことができなかった。表16に、ソタロールに関して上述したものと同じプロトコールで、ラノラジンのみの場合と、ラノラジンをフェニレフリンボーラス(10〜50μg/kg)と組み合わせた場合の、不整脈の発生を要約する。ラノラジン注入中は、フェニレフリンボーラスの有無にかかわらず、トルサード・ド・ポアントおよび/または心室細動を誘発することはできなかった。
Figure 2005528393
ラノラジンはERPをわずか増加させ(平均増加率は約10%を超えない)、逆頻度依存性はなかった(表17Aおよび表17Bならびに図26および図27)。QT間隔は若干増加したが(増加は最大で約10%)有意ではなく、効果は1時間あたり3mg/kgで最大になり、それより高い用量では減少した(表18Aおよび表18Bならびに図28および図29)。
Figure 2005528393
Figure 2005528393
Figure 2005528393
Figure 2005528393
実施例20
活動電位電圧固定中の遅延INaに対するラノラジンの効果
雄雑種成犬に180IU/kgのヘパリン(ナトリウム塩)を投与し、35mg/kgペントバルビタールナトリウムの静注によって麻酔し、心臓を素早く摘出して、タイロード溶液に入れた。左冠動脈回旋枝によって血液供給されている左心室自由壁のくさび状切片から、酵素解離によって単一筋細胞を得た。左心室の心筋中央領域から得た細胞を使用した。手順はすべて、施設内動物実験委員会によって制定された指針に従った。
解離に使用したタイロード溶液は、135 NaCl、5.4 KCl、1 MgCl2、0または0.5 CaCl2、10 グルコース、0.33 NaH2PO4、10 N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)(単位:mM)を含み、pHはNaOHで7.4に調節した。使用した外液および内液の組成を表19に要約する。
Figure 2005528393
標準的パッチ電極を使って37℃で遅延INaを記録した。倒立顕微鏡のステージに載せた温度制御0.5mlチャンバ(Medical Systems,ニューヨーク州グリーンベール)に、解離した細胞を入れ、2ml/分の流量で表面灌流した。細胞から100μmの位置に設置した石英製4バレル微小多岐管(ALA Scientific Instruments Inc.,ニューヨーク州ウェストベリー)を使って、ラノラジンおよびテトロドトキシン(TTX)を適用した。インラインヒーター(Harvard/Warner,マサチューセッツ州ホリストン)を使って、石英製マニホールド内の液温を維持した。Axopatch 700A増幅器(Axon Instruments,カリフォルニア州フォスターシティ)を電圧固定モードで作動させて、37℃で電流を記録した。4極低域ベッセルフィルタを使って全細胞電流を5kHzで濾波し、2〜5kHzをデジタル化し(Digidata 1200A,Axon Instruments)、コンピュータに保存した。pClamp 8.2ソフトウェア(Axon Instruments)を使って、イオン電流を記録し解析した。ピペットチップ抵抗は1.0〜1.5MΩであり、シール抵抗は5GΩを超えていた。シリーズ抵抗の電子補償は平均76%だった。ここに記載する電圧はパッチ電極チップ電位について補正した。細胞膜とパッチピペットの間のシールは、まず、1mM CaCl2を含むタイロード溶液中で形成させた。実験溶液に切り替えた時に接地電位が発生するのを避けるために、Ag/AgCl接地電極と外液との間に3M KCl-寒天橋を使用した。
テトロドトキシン(TTX)は水で調製し、最終濃度が10μMになるように外液に1:100希釈した。ラノラジン二塩酸塩は水で濃度5mMに調製し、最終濃度が1〜50μMになるように外液で希釈した。
INa,lateは、300msおよび2000msの反復レートで、一系列30パルスの間、記録した。各系列の最後の5パルス中の電流を平均して雑音を軽減し、遅延INaをTTX感受性電流と定義した。薬物非含有溶液と、ラノラジンを添加した2〜4分後と、INa,lateを完全に遮断するために10μM TTXを加えた直後に、プロトコールを繰り返した。
INa,lateの電圧固定には方形波よりも活動電位を使用した。BCLが300msの場合は、電圧13mVのプラトー相の中ほどと、電圧-28mVの第3相再分極中に、測定を行った。BCLが2000msの場合は、20mVと-28mVの同様の位置で測定を行った。遅延INaの減少を薬物濃度の関数として片対数目盛りにプロットし、ロジスティック方程式に当てはめた。
図30に、対照溶液中のTTX感受性電流と、20μMラノラジンを外液に加えた3分後のTTX感受性電流を示す。細胞には2000msごとに30パルスを与えた。この図は、活動電位固定中の後期に記録されるナトリウム電流よりもプラトー電流の方が、ラノラジンに対して感受性が高かったことを示している。阻害は20mVで最大だったが、-28mVでは一部のTTX感受性電流がラノラジンの存在下で残留していた。
図31は、ラノラジン(1〜50μM)を外液に加えた同様の実験の結果を要約したものである。遅延INaの50%阻害はそれぞれ5.9μMおよび20.8μMの薬物濃度で起こった。図32は、300msごとに細胞にパルスを与えた場合でも、阻害はプラトー相の方が強かったことを示している。
図33は、ラノラジンを外液に添加した同様の実験の複合データを表している。2000msおよび300msの基本周期でパルスを与えた場合、INa,lateの50%阻害は、それぞれ20.8μMおよび11.5μMの薬物濃度で起こった。
実施例21
モルモット心室筋細胞の活動電位の持続時間に対するラノラジンの効果
心室筋細胞の単離
単一心室筋細胞を成体雄モルモット(Harlan)の心臓から単離した。簡単に述べると、心臓を、以下の順に、温かい含酸素溶液(35℃)で灌流した:1)次の成分(単位:mmol/L)を含むタイロード溶液:140 NaCl、4.6 KCl、1.8 CaCl2、1.1 MgSO4、10 グルコースおよび5 HEPES(pH7.4)、5分間;2)次の成分(単位:mmol/L)を含むCa2+非含有溶液:100 NaCl、30 KCl、2 MgSO4、10 グルコース、5 HEPES、20 タウリンおよび5 ピルビン酸(pH7.4)、5分間;および3)コラゲナーゼ(120単位/ml)およびアルブミン(2mg/ml)を含むCa2+非含有溶液、20分間。灌流が終わったら、心室を取り出し、切り刻み、第3溶液中で10分間穏やかに振とうした。単離された細胞を細胞懸濁液から収集した。
活動電位持続時間の測定
筋細胞を記録チャンバに入れ、35℃のタイロード溶液で表面灌流した。薬物は表面灌流液を介して適用した。活動電位は、以下の成分(単位:mmol/L)を含む溶液が充填されたガラス微小電極を使って測定した:120 K-アスパラギン酸、20 KCl、1 MgCl2、4 Na2ATP、0.1 Na3GTP、10 グルコース、1 EGTAおよび10 HEPES(pH7.2)。微小電極抵抗は1〜3MΩだった。Apopatch-200増幅器、DigiData-1200AインターフェースおよびpCLAMP6ソフトウェアを使って、電気生理学的測定を行った。5ms脱分極パルスを、表示した様々な頻度で適用することによって、活動電位を誘発した。活動電位の持続時間を50%(APD50)および90%(APD90)再分極時点で測定した。薬物が安定最大値に到達した時に測定を行った。
実験プロトコール
1)心室筋細胞を0.5、1および2Hzの頻度で電気的に刺激した。各筋細胞を3、10および30μmol/Lのラノラジンで処理した。各ペーシング頻度における活動電位持続時間に対するラノラジンの効果を、4つの筋細胞から決定した。
2)活動電位を0.25Hzの頻度で誘起し、活動電位持続時間に対するラノラジン(10μmol/L)の効果を、5μmol/Lキニジンの存在下で調べた。実験は4つの筋細胞で行った。
統計解析
データを平均±SEMの形で表す。対応のあるデータの統計解析には対応のあるスチューデントのt検定を使用し、多重比較には、一元配置反復測定ANOVAとそれに続くスチューデント-ニューマン-カールス検定を適用した。0.05未満のp値を統計的に有意とみなした。
様々なペーシング頻度におけるラノラジンの効果
薬物が存在しない場合、0.5(n=4)、1(n=4)および2(n=4)Hzの刺激頻度で測定されるAPD50およびAPD90は、それぞれ250±20、221±18および208±9ms、ならびに284±22、251±20および245±9msだった。このように、ペーシング頻度の増加により、活動電位持続時間のレート依存的な短縮が起こった。ペーシング頻度とは無関係に、ラノラジンは、APD50とAPD90の両方に、若干の濃度依存的な短縮を引き起こした。図34は、3、10および30μmol/Lのラノラジンが、0.5、1および2Hzで刺激した心筋の活動電位持続時間を減少させたことを示している。ラノラジンが引き起こす活動電位持続時間の短縮は、薬物のウォッシュアウトにより、部分的に可逆だった。
図35は、まずは2Hzで、次に0.5Hzでペーシングした単一筋細胞から得られた結果を示している。これら2つのペーシング頻度で、ラノラジン(30μmol/L)は、活動電位持続時間に、同じような短縮を引き起こした。ラノラジンの不在下ならびに3、10および30μmol/Lのラノラジンの存在下、0.5、1および2Hzのペーシング頻度で測定したAPD50およびAPD90の比較を図36に示す。さまざまなペーシング頻度でのラノラジンによるAPD50およびAPD90の短縮を、対照に対する百分率として規格化し、図37に示す。
キニジン存在下でのラノラジンの効果
図38Aは、0.25Hzでペーシングした筋細胞の活動電位持続時間を、キニジン(5μmol/L)が増加させたことを示している。ラノラジン(10μmol/L)はキニジンの効果を減弱したことがわかる。
キニジンは、活動電位持続時間を延長するだけでなく、早期後脱分極(EAD)、撃発活動およびトルサード・ド・ポアントを誘発することも知られている。図39および図40に示すように、キニジン(2.5μmol/L)はEADおよび撃発活動を誘発した。ラノラジン(10μmol/L)は、キニジンによって誘発されるEAD(図39)および撃発活動(図40)を抑制するのに有効であることがわかった。
実施例22
実施例21の手法およびプロトコールに従って、モルモット心室筋細胞を、ラノラジンのみの存在下で、またはATXII[開口状態からのNa+チャネルの不活化を遅らせて、心筋細胞のピークおよび遅延Na+電流(INa)を増加させることによって、LQT3症候群を模倣することが知られているイソギンチャク毒]の存在下で、電気的に刺激した。ATXIIは、早期後脱分極(EAD)および撃発活動および心室頻拍を誘発することが知られている。
ATXII(10〜40nmol/L)は、図41に示すように、50%再分極時点で測定される活動電位持続時間(APD50)を273±9msから1154±61msに著しく増加させることがわかった(n=20、p<0.001)。また、これは、すべての細胞でEADを誘発した。複数のEADとそれによる持続性脱分極がしばしば観察された。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADと撃発活動を効果的に消失させた。図42、43、44、45および46に示すように、ATXIIが引き起こすAPD50の延長は、濃度1、3、10および30μmol/Lのラノラジンにより、それぞれ60±4%(n=7)、80±2%(n=7)、86±2%(n=12)および99±1%(n=8)、有意に減少した(p<0.001)。これらの図は5つの異なる実験を表している。
実施例23
ATXIIが誘発するMAP(単相活動電位)持続時間延長、EADおよび心室頻拍性不整脈(VT)に対するラノラジンの効果を調べるために、K-H緩衝液灌流モルモット単離心臓モデルを使用した。
ATXII(10〜20nM)は、4つの心臓で、速い心室不整脈を伴わずに、MAPD90を6%延長させることがわかった。ATXIIは14個中10個のモルモット単離心臓でEADと多形性VTを顕著に誘発した。5、10および30μMのラノラジンは、ATXII存在下でのEADおよびVTを有意に抑制し、特に持続性VTを抑制した。ラノラジンの保護効果は、ラノラジンのウォッシュアウトにより、可逆的だった。これらの結果を図47〜50に示す。
図47は、対照、ATXII(20nM)、およびATXII(20nM)+ラノラジン(10μM)のMAPおよびECDを示す。この図は、ATXIIが誘発するEADおよびMAP延長を、ラノラジンが減少させたことを示している。
図48は、ATXII(20nM)誘発性VT(自発性VTまたはペーシング誘発性VT)に関するMAPおよびECGを示す。
図49は、ATXII誘発性VTをラノラジンが減少させたことを示している。この図は、ATXII(20nM)単独の場合と、ATXII(20nM)+ラノラジン(30μM)の場合の、MAPおよびECGを示している。
図50は、ラノラジン(10μM)がATXII誘発性のEADおよびΔMAPを打ち消したことを示している。
実施例24
ATX-IIが誘発する1)EADおよび撃発活動(AT)ならびに2)心室頻拍(VT)を、ラノラジンが抑制するかどうかを決定するために、モルモットの心室筋細胞および単離心臓をそれぞれ使用した。
活動電位は全細胞パッチ電極法を使って記録した。単離心臓の心室単相活動電位および電位図を記録した。ATX-II(10〜20nmol/L)は、50%再分極時点で測定されるAPD(APD50)を271±7msから1148±49msに増加させ(n=24、p<0.001)、全ての細胞でEADを誘発した。複数のEADとそれによる持続性脱分極がしばしば観察された。ラノラジンは1μmol/L以上の濃度で、ATX-IIが誘発するEADおよびTAを消失させた。ATX-IIが引き起こすAPD50の延長は、濃度0.1、0.3、1、3、10および30μmol/Lのラノラジンにより、それぞれ29±1%(n=5)、47±1%(n=5)、63±3%(n=11)、79±1%(n=10)、86±2%(n=12)および99±1%(n=8)、有意に減少した(p<0.001)。ラノラジン(10μmol/L)は2.5μmol/Lのキニジンが誘発するEADおよびTAも抑制した(n=2)。ATX-II(10〜20nmol/L)は、14個中10個の心臓で、EADおよびVTを引き起こした。5〜30μmol/Lのラノラジンによって、ATX-II誘発性EADは有意に減少し、VTは終結した。
実施例25
ATX-II(SCN5A突然変異)によるINa(L)の増加が、APDを延長しEADを誘導するというE-4031および293B(遅延整流(IK)の早い成分と遅い成分のカリウムチャネル遮断薬)の効果を促進するかどうか、そしてラノラジンがATX-IIおよび上記K+遮断薬の効果を打ち消すかどうかを決定するために、モルモット心室筋細胞および単離心臓を使用した。
モルモット単離筋細胞および心臓の心室APDを、それぞれ50%(APD50)および90%(MAPD90)再分極時点で測定した。低濃度(3nmol/L)のATX-IIは、APD50をわずかに6±2%増加させただけだった。しかし、E-4031または293Bと共に適用すると、ATX-IIは、APDを延長するというこれらK+遮断薬の効果を、著しく増強した。ATX-IIの不在下および存在下で、APD50は、それぞれ、E-4031(1μmol/L)によって11±2%および104±41%、また293B(30μmol/L)では40±7%および202±59%増加した。さらに、E-4031および293Bは、ATX-IIの存在下ではEADを誘発したが、ATX-IIの不在下ではEADを誘発しなかった。ラノラジン(10μmol/L)は、ATX-II+E-4031または293Bの存在下で、EADを完全に消失させ、APD50の延長を約70%、有意に打ち消した。ATX-II(7nmol/L)、E-4031(1μmol/L)および293B(1μmol/L)は、単独で、MAPD90をそれぞれ32±0.1%、30.1±0.1%および6.3±0.2%増加させた。ATX-IIと共に適用した場合、E-4031および293BはMAPD90をそれぞれ127.1±0.4%および31.6±0.1%増加させた。ラノラジン(10μmol/L)は、MAPS90を、ATX-II+E4031の存在下で24.5±0.1%、ATX-II+293Bの存在下で8.3±0.1%、有意に減少させた。
刺激伝導系の仮想的活動電位と、それを生じさせる電流の時間経過との関係。 正常なインパルス伝播。 イヌ左心室筋細胞での遅延整流電流の急速活性化成分(IKr)に対するラノラジンの効果。A:ラノラジン(50μM)の添加前および添加後に、−40mVの保持電位から30mVへの250msecパルスと-40mVに戻る再分極の間に記録される代表的な電流トレース。5μMニフェジピンを含むタイロード溶液に細胞を浸漬した。B:IKrに対するラノラジンの阻害効果に関する濃度応答曲線。IKrは、30mVへの250msec脱分極パルス後の-40mVへの再分極時の末尾電流として測定した(n=5〜8)。 ラノラジンは遅延整流電流の緩徐活性化成分(IKs)を阻害する。A:100μMラノラジンの存在下および不在下に、イヌ左心室心外膜筋細胞を使った典型的実験で得られる代表的なIKs電流トレース。電流は、-50mVの保持電位から30mVへの3秒間の脱分極ステップと、それに続く0mVへの再分極ステップ(4.5秒)によって誘発された。IKsは再分極ステップ後に記録される末尾電流として測定した。ラノラジン(100μM)はIKsをほとんど完全に遮断し、その阻害効果はウォッシュアウトにより完全に打ち消された。B:5μM E-4031および5μMニフェジピンが存在する状態で、IKs(30mVへの3秒間の脱分極ステップに続く0mVへの再分極によって誘発される末尾電流として測定)(n=5〜14)に対するラノラジンの阻害効果に関する濃度応答曲線。値は、規格化した末尾電流の平均±SEMを表す。ラノラジンは13.4μMのIC50でIKsを阻害した。 ラノラジンは、イヌ心室筋細胞におけるIK1には影響を及ぼさない。A:-40mVの保持電位から-100〜0mVの範囲の900msecの試験電位への電圧ステップ中に記録される、ラノラジン(100μM)へのばく露前およびばく露後の、代表的電流トレースである。B:900msecパルスの終わりに測定される電流レベルを試験電圧の関数としてプロットすることによって作成した定常状態I-V関係。濃度100μMまでのラノラジンはIK1を変化させなかった。データを平均±S.E.M.(n=6)の形で表す。 基本周期(BCL)2000msecでの心外膜細胞とM細胞の活動電位に対するラノラジンの効果([K+]o=4mM)。A:ベースライン条件下で記録した膜活動電位と、その後、添加するラノラジンの濃度(1〜100μM)を徐々に増やしながら記録した膜電位を重ね合わせた図。BおよびC:グラフは活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの濃度依存的効果を表している。記載のデータは平均±SDである。*−対照に対してp<0.05。 基本周期500msecでの心外膜細胞とM細胞の活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの効果([K+]o=4mM)。グラフは活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの濃度依存的効果を表している。記載のデータは平均±SDである。*−対照に対してp<0.05。 活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)に対するラノラジンの効果。活動電位(B)と、それに対応する立ち上がりの微分値(dV/dt,A)に関して、ベースライン条件下で記録したものと、10μMおよび100μMラノラジンの存在下で記録したものを重ね合わせた図である(BCL=500msec)。C:Vmaxを低下させるラノラジンの効果の濃度応答関係。 基本周期2000msecおよび[K+]o=2mMで記録される心外膜細胞とM細胞の活動電位に対するラノラジンの効果。A:ラノラジン(1〜100μM)の不在下および存在下で記録した膜活動電位を重ね合わせた図である。BおよびC:グラフは活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの濃度依存的効果を表している。記載のデータは平均±SDである。*−対照に対してp<0.05。 基本周期500msecでの心外膜細胞とM細胞の活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの効果([K+]o=2mM)。グラフは活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に対するラノラジンの濃度依存的効果を表している。記載のデータは平均±SDである。*−対照に対してp<0.05。 各図は、上から下に、基本周期(BCL)2000msecで動脈灌流イヌ左心室ウェッジ調製物の心筋中央部(M領域)および心外膜(Epi)から記録されるECGトレースおよび膜活動電位を表す。重ね合わせた信号は、ベースライン条件(対照)と、1〜100μMの濃度範囲におけるラノラジンの効果を表している。A:ウェッジの灌流に4mM KClを含むタイロード溶液を使って実施。B:2mM KClを含むタイロード溶液を使って実施。 APD90(EpiおよびMの値)とQT間隔値(A,C)ならびにラノラジン(1〜100μM)へのばく露前およびばく露後のAPD50値(B,D)をグラフ表示した複合データ。A,B:4mM KCl。C,D:2mM KCL。BCL=2000msec。 M細胞調製物におけるd-ソタロール誘発性早期後脱分極(EAD)を抑制するラノラジンの効果。AおよびB:2つのM細胞調製物の膜活動電位を、対照条件下で記録し、IKrブロック(100μM d-ソタロール)の存在下で記録し、次に、d-ソタロールが引き続いて存在している状態で、添加するラノラジン濃度(5、10および20μM)を段階的に増やした後にそれぞれ記録したものを重ね合わせた図。基本周期=2000msec。 穿孔パッチ電圧固定法を使って記録したラノラジンによる遅延INaの遮断。A:対照溶液中(黒いトレース)および20μMラノラジン後(赤いトレース)のTTX感受性電流を示す。B:2〜8個の細胞についての濃度応答曲線を要約した図。 Itoに対するラノラジンの効果。-10mV(小さい外向き電流)、0mVおよび10mVへの100msステップ中の電流を記録した。対照溶液中で記録したIto(左,黒いトレース)と、50μMラノラジンを添加した4分後に記録したIto(右,赤いトレース)。 3つの試験電位でのItoに対するラノラジンの効果を、10μM(9細胞)、20μM(9細胞)、50μM(6細胞)および100μM(7細胞)の濃度について、要約したデータ。 規格化したItoおよびラノラジンの効果。これらのデータは図4に記載のデータと同じである。 上側は、対照溶液中、100μMラノラジンを添加した4分後、および対照溶液に戻した後(赤いトレース)の、INa-Caのトレースを重ね合わせた図である。下側は、濃度応答曲線を示す図である。 IKr、IKs、ICa、INa,lateの濃度応答曲線を1つのグラフに示した図。IKr、IKsおよび遅延INaはラノラジンに対してよく似た感受性を示したが、INaCaおよびICaは感受性がかなり低かった。 プルキンエ線維の活動電位に対するラノラジンの効果。AおよびB:グラフは、500msec(A)および2000msec(B)のBCLでラノラジン(1〜100μM)が活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に及ぼす濃度依存的効果を表している。CおよびD:500msec(C)および2000msec(D)のBCLで、ベースライン条件で記録した膜活動電位と、ラノラジンの添加量を徐々に増やした後に記録される膜活動電位を重ね合わせた図。([K+]o=4mM)。データを平均±SDの形で表す。*−対照に対してp<0.05。 活動電位の立ち上がりの上昇速度(Vmax)に対するラノラジンの濃度依存的効果。活動電位(B)と、それに対応する立ち上がりの微分値(dV/dt,A)に関して、ラノラジン(1〜100μM)の存在下および不在下で記録したものを重ね合わせた図である(BCL=500msec)。C:Vmaxを低下させるラノラジンの効果の濃度応答関係。 低い[K+]oでのプルキンエ線維の活動電位に対するラノラジンの効果。AおよびB:グラフは、500msec(A)および2000msec(B)のBCLで、ラノラジン(1〜100μM)が活動電位持続時間(APD50およびAPD90)に及ぼす濃度依存的効果を表している([K+]o=3mM)。データを平均±SDの形で表す。*−対照に対してp<0.05。 プルキンエ調製物におけるd-ソタロール誘発性早期後脱分極(EAD)を抑制するラノラジンの効果。プルキンエ線維の膜活動電位を、IKrブロック(100μM d-ソタロール)の存在下で記録し、次に、d-ソタロールが引き続いて存在している状態で、添加するラノラジン濃度(5および10μM)を段階的に増やした後にそれぞれ記録したものを重ね合わせた図である。基本周期=8000msec。 AおよびB:ソタロールに関する総合的電気生理学データ。右心室および左心室ERP(単位:ms)に対するソタロールの効果を示す図である。 AおよびB:ソタロールに関する総合的電気生理学データ。QT間隔およびQRS間隔(単位:ms)に対するソタロールの効果を示す図である。 ラノラジンに関する総合的電気生理学データ。右心室および左心室ERP(単位:ms)に対するラノラジンの効果を示す図である。 ラノラジンに関する総合的電気生理学データ。平均ERP-LVに対するラノラジンの効果を示す図である。 ラノラジンに関する総合的電気生理学データ。QT間隔(単位:ms)に対するラノラジンの効果を示す図である。 ラノラジンに関する総合的電気生理学データ。QRS間隔に対するラノラジンの効果を示す図である。 活動電位電圧固定法を使って記録した、ラノラジンによる遅延INaの遮断。A:対照溶液での、および20μMラノラジン添加後の、TTX感受性電流を表す。測定は20mVおよび-28mVの電圧に相当する2本のカーソル位置で行った。阻害は20mVで最大だったが、-28mVでは一部のTTX感受性電流がラノラジンの存在下で残留している。TTX感受性電流は、ラノラジンの存在下で、活動電位の初期にも残っている。 ラノラジンによるINa,lateの遮断。BCL 2000ms。濃度応答曲線を要約した図。エラーバーは±s.e.m.、細胞数は3〜11細胞である。 ラノラジンによるINa,lateの遮断。BCL 300ms。濃度応答曲線を要約した図。エラーバーは±s.e.m.、細胞数は6〜10細胞である。 遅い刺激レートおよび速い刺激レートでのINa,lateに対するラノラジンの効果に関するデータを要約した図。エラーバーは±s.e.m.、細胞数は6〜12細胞である。 3、10および30μmol/Lのラノラジンが筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。 まず2Hzでペーシングし、次に0.5Hzでペーシングした筋細胞に、30μmol/Lのラノラジンが及ぼす効果。 ペーシングレートを0.5、1および2Hzにしてラノラジンの不在下ならびに3、10および30μmol/Lのラノラジンの存在下で測定したAPD50およびAPD90の比較。 様々なペーシングレートでAPD50およびAPD90を短縮するラノラジンの効果。対照に対する百分率として規格化したもの。 0.25Hzでペーシングした筋細胞の活動電位持続時間に5μmol/Lのキニジンが及ぼす効果。10μmol/Lのラノラジンはキニジンの効果を弱めた。 EADに対するキニジンおよび/またはラノラジンの効果。10μmol/Lのラノラジンは、キニジンが誘発するEADを抑制するのに有効であることがわかった。 撃発活動に対するキニジンおよび/またはラノラジンの効果。10μmol/Lのラノラジンは、キニジンが誘発する撃発活動を抑制するのに有効であることがわかった。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよび撃発活動を効果的に消失させた。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよび撃発活動を効果的に消失させた。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよび撃発活動を効果的に消失させた。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよび撃発活動を効果的に消失させた。 ATXIIおよび/または1、3、10および30μmol/Lのラノラジンがモルモット心室筋細胞の活動電位持続時間に及ぼす効果。ラノラジンは、わずか1μmol/Lの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよび撃発活動を効果的に消失させた。 K-H緩衝液を灌流したモルモット心室筋細胞において、誘発EADおよびMAP延長に、ATXIIおよび/または10μMのラノラジンが及ぼす効果。ラノラジンは、わずか10μMの濃度で、ATXIIが誘発するEADおよびMAP延長を減少させるか、または効果的に消失させた。 VTに対するATXIIの効果。ATXII(20nM)はVT(自発性VTとペーシング誘発性VTの両方)を誘発した。 誘発性VTに対するATXII(20nM)とラノラジンの効果。ラノラジンは30μMの濃度で、ATXIIが誘発するVTを減少させるか、または効果的に消失させた。 誘発EADおよびΔMAPに対するATXII(20nM)およびラノラジンの効果。

Claims (40)

  1. 哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、治療有効量の式I:
    Figure 2005528393
    [式中、
    R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
    R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
    R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
    R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
    R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
    R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
    Wは酸素または硫黄である]
    の化合物もしくはその異性体、または式Iの化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む方法。
  2. 式Iの化合物が、N-(2,6-ジメチルフェニル)-4-[2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジンアセトアミドと命名されるラノラジン、もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩である、請求項1の方法。
  3. 式Iの化合物が、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルは阻害するが、カルシウムチャネルは阻害しない用量レベルで投与される、請求項1の方法。
  4. ラノラジンが医薬的に許容される塩の形をとっている、請求項2の方法。
  5. 医薬的に許容できる塩が二塩酸塩である、請求項4の方法。
  6. ラノラジンが遊離塩基の形をとっている、請求項2の方法。
  7. 前記投与が、遅延INaイオンチャネルを阻害する用量レベルを含む、請求項1の方法。
  8. 前記投与が、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルは阻害する用量レベルを含む、請求項1の方法。
  9. 前記投与が、IKr、IKsおよび遅延INaイオンチャネルは阻害するが、カルシウムチャネルは阻害しない用量レベルを含む、請求項1の方法。
  10. 式Iの化合物の血漿レベルが、少なくとも12時間は、少なくとも350±30ng/mLになるような手法で、式Iの化合物が投与される、請求項1の方法。
  11. 哺乳動物の不整脈を処置する方法であって、式I:
    Figure 2005528393
    [式中、
    R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
    R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
    R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
    R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
    R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
    R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
    Wは酸素または硫黄である]
    の化合物もしくはその異性体、または式Iの化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルを、式Iの化合物の血漿濃度が、少なくとも12時間は、最大値4000ng/mL未満、好ましくは約350〜約4000ng塩基/mLに維持されるような徐放性製剤として投与することを含む方法。
  12. 式Iの化合物が、約10mg〜700mgの式Iの化合物を含む製剤として投与される、請求項1の方法。
  13. 式Iの化合物がラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩である、請求項12の方法。
  14. 前記化合物が製剤1リットルにつき約1〜約30マイクロモルの用量レベルになる製剤として投与される、請求項1の方法。
  15. 前記製剤が製剤1リットルにつき約1〜約10マイクロモルの用量レベルになる、請求項14の方法。
  16. 哺乳動物の不整脈を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  17. 後天性不整脈(処方薬または他の化学物質に対する感受性よって引き起こされる不整脈)を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、治療有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  18. 遺伝性不整脈(遺伝子突然変異によって引き起こされる不整脈)を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  19. 遺伝的に決定された先天性LQTSを持つ哺乳動物の不整脈を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  20. トルサード・ド・ポアントを予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  21. LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  22. LQT1、LQT2およびLQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を処置または予防する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  23. LQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を軽減する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  24. LQT1、LQT2およびLQT3に苦しむ哺乳動物の不整脈を軽減する方法であって、その必要がある哺乳動物に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  25. 不整脈を予防する方法であって、適切な集団をSCN5A遺伝子突然変異に関してスクリーニングし、この遺伝子突然変異に苦しむ患者に、有効量のラノラジンもしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
  26. 哺乳動物の心室頻拍を処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを同時に阻害する治療有効量の式I:
    Figure 2005528393
    [式中、
    R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
    R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
    R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
    R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
    R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
    R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
    Wは酸素または硫黄である]
    の化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む方法。
  27. 前記化合物が、心臓カルシウムイオンチャネルを阻害しない用量レベルで、心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを阻害する、請求項26の方法。
  28. 前記心室頻拍がトルサード・ド・ポアントである、請求項27の方法。
  29. 前記化合物が、N-(2,6-ジメチルフェニル)-4-[2-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジンアセトアミドと命名されるラノラジン、もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩である、請求項26の方法。
  30. 心臓カルシウムイオンチャネルを変調させることなく心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを効果的に変調させるのに必要な用量レベルが、1〜100μMの前記化合物の血漿レベルをもたらす、請求項27の方法。
  31. 心臓カルシウムイオンチャネルを変調させることなく心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを効果的に変調させるのに必要な用量レベルが、1〜50μMの前記化合物の血漿レベルをもたらす、請求項30の方法。
  32. 心臓カルシウムイオンチャネルを変調させることなく心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを効果的に変調させるのに必要な用量レベルが、1〜20μMの前記化合物の血漿レベルをもたらす、請求項31の方法。
  33. 心臓カルシウムイオンチャネルを変調させることなく心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを効果的に変調させるのに必要な用量レベルが、1〜10μMの前記化合物の血漿レベルをもたらす、請求項32の方法。
  34. 心疾患を持つ哺乳動物の心室頻拍を処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、心臓カルシウムイオンチャネルを変調させることなく心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを変調させる治療有効量の化合物を投与することを含む方法。
  35. 哺乳動物の薬物誘発性心室頻拍を処置または予防する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法。
  36. 哺乳動物の遺伝性心室頻拍を処置または予防する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、心臓IKr、IKsおよび遅延ナトリウムイオンチャネルを阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法。
  37. 前記化合物がボーラスまたは徐放性組成物によって投与される、請求項1の方法。
  38. 前記化合物が静脈内投与される、請求項1の方法。
  39. 哺乳動物の不整脈を処置するための、式I:
    Figure 2005528393
    [式中、
    R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
    R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
    R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
    R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
    R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
    R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
    Wは酸素または硫黄である]
    の化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルの使用。
  40. 不安定狭心症、慢性狭心症、異型狭心症、心筋梗塞、急性冠症候群などの心筋虚血時ならびに心不全(急性および/または慢性)時に発生する心室頻拍を処置する方法であって、治療有効量の式I:
    Figure 2005528393
    [式中、
    R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはN-置換されていてもよいアルキルアミドであるか(ただし、R1がメチルである場合、R4はメチルではないものとする)、または
    R2とR3が全体として-OCH2O-を形成し、
    R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、低級アシル、アミノカルボニルメチル、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、もしくはジ低級アルキルアミノであるか、または
    R6とR7が全体として-CH=CH-CH=CH-を形成するか、または、
    R7とR8が全体として-O-CH2O-を形成し、
    R11およびR12は、それぞれ独立して、水素または低級アルキルであり、かつ、
    Wは酸素または硫黄である]
    の化合物もしくはその異性体、または同化合物もしくはその異性体の医薬的に許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む方法。

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