JP2005524749A - 改善された靭性を有するガラス繊維強化ポリカーボネート組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は以下の成分:
a)40〜69.5質量%の、ISO 1628/4に従ってポリカーボネートのジクロロメタン溶液について測定した極限粘度が43〜52ml/gの芳香族ポリカーボネート、
b)30〜50質量%のサイズ処理されたガラス繊維、
c)0.5〜5質量%の、モノアルケニル芳香族からなる少なくとも2個の末端重合体ブロックA及び共役ジエンからなる少なくとも1個の中間重合体ブロックBを含む少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体、及び
d)任意的な0〜25質量%のその他の添加剤、
ここでa)〜d)の合計が100%である
を含有してなるガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物に関する。本組成物は改善された靭性、例えば増加された引張破断伸び、増加された環境応力亀裂抵抗、高強度及び高剛性を合わせ有する。本発明は本発明に従うポリカーボネート組成物の製法、当該組成物を含有する成形部品及び当該成形部品を含有する物品にも関する。

Description

本発明はガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物に関する。本発明はまた、本発明に従うポリカーボネート組成物の製造方法、この組成物を含む成形部品及び当該成形部品を含む物品に関する。
このようなポリカーボネート組成物は、例えばドイツ国特許出願公開公報第3926904号により知られている。この公報は、30から93質量%のポリカーボネート、5から50質量%のガラス繊維及び2から20質量%の少なくとも1種のエラストマーを含有するポリカーボネート組成物を開示している。この組成物は、エラストマーとして6から15質量%のABS、即ち、少なくともブタジエンからなるゴム状重合体に少なくともスチレンとアクリロニトリルがグラフトした共重合体及び所望により少なくともスチレンとアクリロニトリルからなる共重合体を混合して好ましくは含有する。
比較的多量の、例えば30から50質量%のガラス繊維を含むガラス繊維強化ポリカーボネート組成物は高い剛性、強度及び寸法安定性を示し、金属部品を代替できる部品をつくるのに適用されうる。そのような組成物はしばしば良好な靭性も要求され、特にそのような組成物から得られる物は、例えばネジがねじ込まれるときの変形に、割れ及び/又は亀裂を生じることなく耐えられるのに十分な引張破断伸びが必要である。ポリカーボネートは高靭性材料として知られているが、10質量%を超えるガラス繊維を含むガラス繊維強化ポリカーボネート組成物はむしろ脆い性質を示す傾向がある。重合体組成物の靭性は多くの場合、ある量の靭性改良用又は衝撃改質用のエラストマーを加えることにより増強できる。
ドイツ国特許出願公開公報第3926904号により知られたポリカーボネート組成物の欠点は、殊に比較的多量の、即ち、30から50質量%のガラス繊維を含む場合に、望ましい靭性を示さないことである。
従って本発明の目的は、そのような欠点を示さないかあるいは少なくともその欠点を減らした、ガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物を提供することである。
この目的は、本発明に従い、以下の成分を含むポリカーボネート組成物によって達成される。
a)40〜69.5質量%の、ISO 1628/4に従ってポリカーボネートのジクロロメタン溶液について測定した極限粘度が43〜52ml/gの芳香族ポリカーボネート、
b)30〜50質量%のサイズ処理されたガラス繊維、
c)0.5〜5質量%の、モノアルケニル芳香族からなる少なくとも2個の末端重合体ブロックA及び共役ジエンからなる少なくとも1個の中間重合体ブロックBを含む少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体、及び
d)任意的な0〜25質量%のその他の添加剤。
ここでa)〜d)の合計は100%である。
本発明に従うポリカーボネート組成物は、引張試験において例えば高引張破弾伸びを示すことから明らかなように、高い靭性を持つ。もう一つの長所は本組成物が良好な色と色安定性も示すことである。本発明によるポリカーボネート組成物のさらなる長所は、エラストマー含有量が比較的少量であり、その結果本組成物が高い強度と剛性を示すことである。本発明のさらなる特長は、本組成物が薄肉の物も支障なく製造できるような比較的低い溶融粘度を示すことである。またさらなる特長は、本発明によるポリカーボネート組成物がある化学薬品により誘起される亀裂形成への改善された抵抗(改善されたE S C R、即ち環境応力亀裂抵抗)を示すことである。
ある量の当該部分水素化ブロックコポリマーをポリカーボネートに添加すると多くの物性を改善できることが英国特許出願公開公報第2004284号、ドイツ国特許出願公開公報第2839356号及び米国特許第4537930号明細書により知られているが、これらの公報は非強化の組成物かあるいは5質量%以下のガラス繊維を含有する組成物に焦点を合わせている。当該公報は、本手段が30〜50質量%のガラス繊維を含む組成物の靭性を増加するのにも効果的であること及び本組成物が非強化ポリカーボネートとは異なる破壊機構を持つことが知られていることを開示していない。欧州特許出願公開公報第0053825号は、強化ポリカーボネート組成物の靭性を改善するにはサイズ処理されていない強化性繊維と、また所望により10質量%までの当該ブロック共重合体を採用すべきことを教示している。さらに当該ブロック共重合体はサイズ処理された強化繊維を含む組成物に適用すると、どんな場合でも、弾性に悪影響を及ぼし、衝撃強度の改善は僅かにしかならないことが述べられている。
本発明に従うポリカーボネート組成物は、とりわけ40〜69.5質量%の特定粘度の芳香族ポリカーボネートを含有する。適当な芳香族ポリカーボネートは、少なくとも2価フェノール及びカーボネート前駆体から例えば界面重合法を用いて合成されるポリカーボネートである。採用できる好適な2価フェノールは、芳香族環の一部を構成する炭素原子に直接結合した2個の水酸基を含む芳香族環を1個以上有する化合物である。そのような化合物の例として、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、
2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、
2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、
1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、
2,2−(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジ ヒドロキジフェニル)プロパン、
2,2−(3,5,3’,5’−テトラブロモ−4,4’−ジ ヒドロキジフェニル)プロパン、
(3,3’−ジクロロ−4,4’− ジ ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフォン、ビス−4−ヒドロキシフェニルスルホン、
ビス−4−ヒドロキシフェニルスルフィド、
を挙げることができる。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハロゲン化物、ハロギ酸エステル又は炭酸エステルが挙げられる。カルボニルハロゲン化物の例は塩化カルボニル及び臭化カルボニルである。好適なハロギ酸エステルの例は、例えばヒドロキノン又はエチレングリコールなどのグリコール類のような2価フェノールのビスハロホルメートである。好適な炭酸エステルの例は、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(クロロフェニル)、炭酸ジ(ブロモフェニル)、炭酸ジ(アルキルフェニル)、炭酸フェニルトリル等及びこれらの混合物である。他のカーボネート前駆体も使用できるが、カルボニルハロゲン化物、なかでもホスゲンとして知られている塩化カルボニルを使用するのが好ましい。
本発明に従う組成物中の芳香族ポリカーボネートは、触媒、酸受容体及び分子量調節用化合物を用いて調製できる。
触媒の例は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びN,N−ジメチルアミンのような第3級アミン、テトラエチルアンモニウム臭化物のような第4級アンモニウム化合物、メチルトリフェニルホスホニウム臭化物のような第4級ホスホニウム化合物である。
有機酸受容体の例はピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン等である。無機酸受容体の例はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及びリン酸塩である。
分子量調節用化合物の例はフェノール、p−アルキルフェノール、パラ−ブロモフェノールのような1価フェノール及び第2級アミンである。
かゝるポリカーボネートとその調製法や物性は例えばEncycl.Polym.Sci.Eng.,11,p.648−718(Wiley,New York,1988)及びKunststoff Handbuch,3/1,p.117−297(Hanser Verlag,Muenchen,1992)に詳細に記載されている。
本発明に従う組成物はジクロロメタン中で測定した極限粘度(LVN)が43〜52ml/gのポリカーボネートを含有する。これよりも低い粘度のポリカーボネートでは組成物の靭性が低くなり過ぎ、これよりも高い粘度はガラス繊維の分散性と組成物の溶融流動性に悪影響がある。それ故に組成物に用いるポリカーボネートの極限粘度は好ましくは44〜50、より好ましくは45〜48ml/gである。
本発明に従う組成物は、好ましくはビスフェノールA及びホスゲン、さらに所望に応じて例えば溶融粘度調整用の共単量体として、1個、2個又はそれ以上の反応基を有する少量のその他の化合物とから誘導されるポリカーボネートを含有する。
本発明に従うポリカーボネート組成物はなかんずく、サイズ処理されたガラス繊維を30〜50質量%含有する。好適なガラス繊維は直径が通常5から25ミクロン、好ましくは7から15ミクロンである。サイズ処理されたガラス繊維とは、ポリカーボネートの加工性及びそれとの接着性の双方が改善されるように設計されたコーティングが施されている、即ちサイズを備えられたガラス繊維を意味すると解釈される。ポリカーボネート用に最適化されたサイズを有するかかるガラス繊維は商業的に入手できる。ガラス繊維は本発明による組成物に数ミリメートルの長さに切断された繊維(チョップトストランドとしても知られている)の形状で加えることができる。とはいえ組成物は押出機に連続繊維(ロービング)の形状で供給されたガラス繊維を含むものであってもよい。当該ポリカーボネート組成物は好適にはチョップトストランドを含有するものである。本発明に従う組成物中のガラス繊維の平均長は広い範囲で変えられうるが、好ましくはおよそ0.1から0.5mmである。平均長が大きいと組成物の強度が高くなり、平均長が小さいと組成物の加工性が増加する利点がある。さらに有利な点はこのようなガラス繊維から作られる物品がより等方的な性質を示すことである。
本発明によるポリカーボネート組成物はさらに、0.5〜5質量%の、モノアルケニル芳香族からなる少なくとも2個の末端重合体ブロックA及び共役ジエンからなる少なくとも1個の中間重合体ブロックBを含む少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体を含む。好適な部分水素化ブロック共重合体は、平均分子量が5,000〜125,000のモノアルケニル芳香族からなる少なくとも2個の末端重合体ブロックA及び平均分子量が10000〜300000g/molの共役ジエンからなる少なくとも1個の中間重合体ブロックBを含み、かつ、その末端重合体ブロックAがブロック共重合体の8〜55質量%を占め、さらに重合体ブロックAの芳香族二重結合量の25%以下及び重合体ブロックBの脂肪族二重結合量の80%以上が水素化反応により還元されたものである。ブロック共重合体中のモノアルケニル芳香族がスチレンであれば、当該ブロック共重合体はスチレン/エテン−コ−ブテン/スチレンブロック共重合体、あるいは略してSEBSとも呼ばれる。さらに当該SEBSブロック共重合体は極性の増加又は他の重合体との反応性付与のための官能基を含有してもよい。本ポリカーボネート組成物はまた異なったタイプのブロック共重合体の混合物、例えば異なった分子量のブロック共重合体の混合物や官能基を持つブロック共重合体と官能基を持たないブロック共重合体の混合物を含有してもよい。本発明による組成物に有用なブロック共重合体はオランダ特許出願公開公報第183467号明細書に記載され、Kraton(商標)G1650,G1651,G1652,G1657,G1726及びG1855(ベルギー国、Kraton Polymers社)等の商品名で商業的に入手できる。
本発明に従う組成物は好ましくは35から45質量%のサイズ処理されたガラス繊維を含む。ガラス繊維含有量がそのように高ければ本発明の利点は特に顕著になり、強度、剛性及び靭性の望ましい組み合わせが達成される。本発明の特定の実施態様として本組成物は38〜42、即ちおよそ40質量%のガラス繊維を含有する。
本発明による組成物はさらに好ましい実施態様として1から3質量%の間の、一層好ましくは0.75〜4又は1.5〜2.5質量%のブロック共重合体を含有する。そのような組成物は強度と剛性、良好な流動性及び改良されたESCRを保持したまま良好な靭性を示す。本発明による組成物は最も好ましくは、その組成物が最適な物性の組み合わせを示すことからおよそ2質量%のブロック共重合体を含有するものである。
本発明によるポリカーボネート組成物はさらに0から25質量%の1種以上の他の添加剤を含んでもよい。該添加剤としては通常の添加剤例えば耐熱劣化・耐熱酸化劣化安定剤、耐加水分解安定剤、耐光劣化殊に耐紫外線及び/又は耐光酸化劣化安定剤、離型剤や潤滑剤のような加工助剤、ピグメントや染料のような着色剤、ワラストナイトやケイ酸アルミニウムのような鉱物を含む充填剤、又は難燃剤を挙げることができる。好適な添加剤とその通常の添加量の実例は前述のKunststoff Handbuch,3/1に記載されている。
ビスフェノールAポリカーボネートなどのポリカーボネート樹脂はそれ自体かなり良好な難燃化特性を持つが、好ましくはポリカーボネート組成物は1種以上の難燃化化合物を添加して難燃性とされる。好適な難燃化化合物の例は、ある種のアルカリ又はアルカリ土類スルホン酸塩、スルホンアミド塩、パーフルオロホウ酸塩、ハロゲン化化合物特に臭素化芳香族化合物及びリン含有有機化合物特にリン酸トリフェニルなどのリン酸エステルである。適当なリン含有化合物は例えばドイツ国特許出願公開公報第19828535号(成分E)、欧州特許出願公開公報第0640655号(成分D)及び欧州特許出願公開公報第0363608号(成分C)に記述されている。難燃化化合物として望ましくはレゾルシノールジフェニルリン酸エステル(RDP)やビスフェノールAジフェニルリン酸エステル(BDP)又はこれらの混合物などの少なくとも1種のオリゴマー状リン酸エステルが使用される。このような組成物は機械物性、難燃性及び加工性の卓越した組み合わせを示す。追加して該組成物はしばしば燃焼試験における滴下特性を高めるためにポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロ重合体を含有する。
本発明はまた本発明に従うガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物の製法に関する。
ドイツ国特許出願公開公報第3926904号は30から93質量%のポリカーボネート、5から50質量%のガラス繊維及び2から20質量%の少なくとも1種のエラストマーを含有するポリカーボネート組成物の製法を記載している。この組成物ではエラストマーとして6から15質量%のABSを用いることが好ましいとされている。ドイツ国特許出願公開公報第3926904号は、最初に少なくともポリカーボネートとガラス繊維を溶融混合し、次いでエラストマーを添加する工程によりこの組成物を製造する方法を開示している。この製法は、溶融混合時の温度上昇を抑え、かくしてエラストマーの劣化を抑えることにより、改善された靭性を持つガラス繊維強化されたポリカーボネート組成物を製造することを目的としている。
ドイツ国特許出願公開公報第3926904号により知られた製法の欠点は、ポリカーボネート及び例えば30から50質量%と比較的大量のガラス繊維の溶融混合時の温度上昇が依然として、望ましい靭性を持つ組成物を得ることができない程度のものであることである。当該製法のさらなる欠点は、成分の特定の意図された添加及び混合が実施する上で面倒であり、加えて、殊に比較的大量のガラス繊維を用いる場合にガラス繊維がより破損し、その結果組成物の強度が減少することである。
本発明の目的は従って、これらの欠点を持たないか又はその程度を低減させたガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物の製法を提供することである。
この目的は、本発明に従い、請求項1に規定された成分を溶融混合する製法により達成される。
本発明に従う製法により剛性、強度及び靭性の望ましい組み合わせを持つポリカーボネート組成物が得られ、溶融加工時に生じる温度上昇が小さく、成分を添加する順序が重大な問題とならない方法が達成できる。その結果組成物は改善された色と色安定性をも有する。さらなる優位点は、二軸押出機などの混合押出機の助けを借りて、少なくともポリカーボネートとブロック共重合体を含む溶融混合物にチョップトガラス繊維を添加できることである。これにより、ガラス繊維は十分に分散される上に深刻な破損を受けることがなく、同時に溶融温度はあまり上昇しないという有利性が得られる。
本発明に従う製法は、成分を溶融混合することによって重合体組成物を製造するのに慣用されている混合装置を用いて実施できる。適当な混合装置は単軸又は二軸押出機であり、好ましくは、特にガラス繊維供給用の、溶融物への供給システムを持つ二軸押出機である。一般に配合成分は、随意に予備混合されて、固体状態で押出機に供給され、次いで溶融混合され、その後、得られた混合物はストランドへと押出され、顆粒状に裁断される。溶融温度は高粘度及び高せん断応力のために300℃をかなり超えて上昇することがある。しかし混合中の溶融温度は350℃より上、とりわけ340℃より上には上らないことが望ましい。
本発明はまた、本発明に従うポリカーボネート組成物を含有する成形部品に関する。本発明は特に、本発明に従う組成物を射出成形することにより製造された成形部品に関する。当該成形部品の特長は、良好な機械物性、殊に高い強度と剛性、及び良好な靭性、とりわけ有機溶媒などのある種の化学薬品により誘起される亀裂生成への改良された抵抗(言い換えれば、良好な環境応力亀裂抵抗、即ちE S C R)である。当該成形部品は例えば金属成形部品を代替でき、特に低重量と設計の大きな自由度が有利である。このことは、携帯電話(GSM)や携帯情報端末(PDA)などの小型で複雑な電子製品の構造要素である成形部品にとって殊に有利である。改善された靭性により成形部品間のねじ継手や「スナップフィット」継手をより高装填することが可能となる。
本発明はそれ故に、本発明に従う組成物から製造された成形部品を含む物品にも関する。
本発明は以下の実施例及び比較例を参照してこれから詳細に説明される。
材料
・ポリカーボネート:ポリカーボネートA、B及びCとして表示された、各々極限粘度が約48、45及び41ml/gのビスフェノールAポリカーボネートを利用した。
・ガラス繊維:直径14ミクロン、切断長4mmでポリカーボネートに適するサイズを処理された標準ガラス繊維
・ブロック共重合体:SEBS、Kraton(商標)G1650タイプ(ベルギー国、Kraton Polymers社)
・ABS:Ronfalin(商標)FZ311とRonfalin(商標)FZ330の10対6.5の割合による混合物(オランダ国、DSM社)
物性の測定
・LVN:極限粘度はISO 1628/4に従いポリカーボネートのジクロロメタン溶液について測定した。
・MFI:溶融流動指数はISO 1133に従い300℃、荷重1.2kgで測定した。
・引張強度と引張破断伸びはISO 527−1に従い、キャンパス(Campus)指針に沿って射出成形された標準試験棒を用いて測定した。
・衝撃強度:標準試験棒の衝撃強度は、アイゾット逆ノッチ付き法(ISO 180−4AR)に従って測定された。
・ESCR:環境応力亀裂抵抗は、治具(ASTM 638/M3)を用いて所定の予応力変形をかけた試験棒を1対3のトルエン/プロパノール混合液に30分浸漬した後の引張破断伸びを測定することにより決定した。
・ねじ込み試験:変形及び化学薬品の存在による割れ及び/又は亀裂生成への抵抗は、本組成物から射出成形され、かつ外径と内径が夫々4.1と2.0mmの中空円筒状の突起を有する試料について測定した。外径2.35mmの円柱ねじをトルクスクリュードライバーを用いて0.4Nmの力で中空円筒にねじ込んだ。次いでねじ込まれた試料を1対3のトルエン/プロパノール混合液に30秒浸漬した。割れ生成の有無は目視により観察した。
実施例1及び比較例A〜C
表1に示した成分及び0.05質量%の亜リン酸エステル化合物(Irgafos 168)及び0.2質量%のヒンダードフェノール化合物(Irganox 1076)からなる安定剤の組み合わせ、0.4質量%の離型剤(Loxiol EP861)、及び約1.5質量%のTiO2から実質的になる着色剤混合物を、ポリカーボネート、エラストマー及び添加剤をスロートに供給し、ガラス繊維をサイドフィーダーを用いて溶融物に加えることにより、速度350rpm、設定温度260〜280℃でW&P ZSK40二軸押出機で混合した。SEBSを含む組成物の場合には、より低い溶融温度が観察され、押出機処理量はより大きくトルクはより小さかった(特に、実施例1対比較例A)。
こうして得られた濃い灰色の顆粒は、次いで設定温度280〜290℃で試験棒に射出成形された。
実施例1はエラストマーを含まない組成物よりもはっきりと優れた靭性、高い引張破断伸び及び高い衝撃強度を示しているが、一方、ABSの存在は引張強度を低下させるが靭性は改善されない結果となる。加えてABSを含む射出成形品は幾分低い剛性(引張弾性率)を示す。
実施例2及び比較例D〜F
表2に示された組成物は、押出機速度が高いことを除いて実施例1及び比較例A〜Cと同様に調製された。該組成物は前述した添加剤も含んでいた。その結果として、比較例Aで観察された溶融温度は350℃へと増加したが、しかるに僅か2質量%のSEBSの添加は有意な温度低下をもたらし、そのことはABS存在下でも同様であった。
実施例2による射出成形品はここでも組成物D〜Fよりも高い靭性を示し、引張強度もEやFよりも高かった。ESCR試験もまた、より高い靭性と有機溶媒抵抗を明らかにした。
ねじ込み試験では実施例2のみが、ねじ込み変形と混合溶媒への浸漬後に何らの損傷も示さなかった。
実施例3〜4及び比較例G
表3に示された組成物は実施例1と同様に調製された。実施例3はガラス繊維含有量を僅かに増加しても靭性改善は得られることを示している。ポリカーボネートの粘度を幾分減少させると、物性バランスがいっそう良好になることがわかる(実施例4)。ポリカーボネートの粘度をさらに減少させると物性は低下する結果となる。明らかにガラス繊維の高含有量の本エラストマー変性組成物にはポリカーボネート粘度の最適領域が存在する。
Figure 2005524749
Figure 2005524749
Figure 2005524749

Claims (11)

  1. 以下の成分:
    a)40〜69.5質量%の、ISO 1628/4に従ってポリカーボネートのジクロロメタン溶液について測定した極限粘度が43〜52ml/gの芳香族ポリカーボネート、
    b)30〜50質量%のサイズ処理されたガラス繊維、
    c)0.5〜5質量%の、モノアルケニル芳香族からなる少なくとも2個の末端重合体ブロックA及び共役ジエンからなる少なくとも1個の中間重合体ブロックBを含む少なくとも1種の部分水素化ブロック共重合体、及び
    d)任意的な0〜25質量%のその他の添加剤、
    ここでa)〜d)の合計が100%である
    を含有してなるガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物。
  2. ポリカーボネートがビスフェノールA及びホスゲンから生成されたものである請求項1記載のポリカーボネート組成物。
  3. ガラス繊維の平均長が0.1から0.5mmである請求項1〜2のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物。
  4. ブロック共重合体がスチレン/エテン−コ−ブテン/スチレンブロック共重合体(SEBS)である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物。
  5. 35〜45質量%のガラス繊維を含有してなる請求項1〜4のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物。
  6. 1〜3質量%のブロック共重合体を含有してなる請求項1〜5のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物。
  7. 諸成分が溶融混合される請求項1〜6のいずれか1項記載のガラス繊維強化され及びエラストマー変性されたポリカーボネート組成物の製造方法。
  8. チョップトガラス繊維が少なくともポリカーボネート及びブロック共重合体を含有する溶融混合物に添加される請求項7記載の方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物を含有してなる成形部品。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリカーボネート組成物から射出成形法により製造される成形部品。
  11. 請求項9又は10のいずれか1項記載の成形部品の少なくとも1つを含有してなる物品。
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