JP2005523299A - シクロフルクタン、担体および薬物を含む局所用組成物 - Google Patents

シクロフルクタン、担体および薬物を含む局所用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、特に、シクロフルクタン、薬物およびポリマー性担体を含んでなる薬物送達システムに関する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、とりわけ、シクロフルクタン、薬物および少なくとも1つの担体を含んでなる、ドラッグデリバリーシステムに関する。
薬物の局所投与に伴う問題は、組織を通過する薬物透過性および局所許容性である。典型的には、眼および粘膜について、透過性および許容性は、活性および不活性成分の両方に関して重要な役割を果たす。
この問題は、今回、驚くべきことに、シクロフルクタン(CFR)、薬物、ならびに生物崩壊性(bioerodible)ポリマーおよび生物接着性(bioadhesive)ポリマーから選択される少なくとも1つの担体を含んでなるドラッグデリバリーシステムを提供することにより解決された。本明細書において後記した組成物中のCFRは、組織、特に眼および粘膜を通過する薬物透過性の上昇を提供する。
薬物は、しばしば目および粘膜組織から洗い流されるので、この追加的な問題も本発明において取り扱われる。これは、今回、持続的および延長された薬物送達を可能にするドラッグデリバリーシステム(このドラッグデリバリーシステムは、生物崩壊性ポリマーおよび/または生物接着性ポリマーから選択されるポリマー性担体を含有する。)を提供することにより解決された。
したがって、本発明は、シクロフルクタン(CFR)、薬物ならびに生物崩壊性ポリマーおよび生物接着性ポリマーから選択される少なくとも1つの担体を含んでなる組成物に関する。本明細書において使用されるように、かかる組成物は、ドラッグデリバリーシステムを表す。
シクロフルクタン(CFR)は、医薬品と連係的に知られている。JP 5310805(Mitsubishi)は、クラスレート機能を提供する医薬調製物におけるCFRの使用を記載している。同様に、JP 6298807(Mitsubishi)は、薬学的に有効な薬物の溶解性を増大させるためのCFRの使用を記載している。
第1の態様において、本発明は、組織を通過する薬物透過を促進するためのCFRの使用、および組織への薬物透過を促進するためのCFRの使用に関し、ここで前記組織は、好ましくは眼組織および粘膜組織から選択され、そして前記薬物は、典型的には、前記組織に局所的に投与される。当該使用は、好ましくは、さらに、好ましくは局所的処置により処置可能な疾患のためのテーラーメードである当該CFRを含有するドラッグデリバリーシステムの製造の文脈の範囲内である。
シクロフルクタンは、ベータ−(1→2)結合により結合したフルクトース単位を含有し、そして、たとえば式I:
Figure 2005523299
〔式中、nは5〜11であり、
Rは、互いに独立して、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキレン−カルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルバモイル、R'Siであるか、またはRは、ヒドロキシ基から水素原子を除いたサッカライドであり、
R'は、互いに独立してアルキルおよびフェニル、好ましくはメチルおよびフェニル、さらに好ましくはメチルを示す。〕
で表され得る。
上記CFRにおいて、少なくとも1つのRはHを示す。
シクロフルクタン(CFR)は、典型的には、6〜12個のフルクトース単位、好ましくは6〜10単位、また好ましくは6〜8単位、6、7および8単位の混合物、最も好ましくは6および7単位からなる。本明細書において使用されるように、CFRにおけるフルクトース単位の数は、CFRの3文字の直後の数字により定義され、たとえばシクロフルクタンにおける6フルクトース単位はCFR6と、7単位はCFR7などと表される。
式IのCFRにおける置換度は、典型的には、置換のパーセンテージとして記載され、そしてHと異なるパーセンテージを意味する。Hと異なるRは、典型的にはランダムに分布している。置換度は、一般に5〜99.5%、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜50%、また好ましくは12〜45%、および特に15〜30%である。Hと異なるRでの完全な置換(100%)を得ることは非常に困難であり得る。
好適な態様において、Rはメチルであり、そして置換度は5〜99.5%であり、そしてまた好ましくは完全にメチル化されたCFRを意味する。
非常に好適な態様において、すべてのRはHである(置換度は、0%である。)。
アルキルは、20個までの炭素原子を有し、そして直鎖または分枝鎖であり得る。適当な例としては、ドデシル、オクチル、ヘキシル、ペンチル、ブチル、プロピル、エチル、メチル、2−プロピル、2−ブチルおよび3−ペンチルが挙げられる。好適な定義において、アルキルは、12個までのC原子、さらに好ましくは6個までのC原子を有する。
好適な例は、ブチル、プロピル、エチル、およびメチル、さらに好ましくはエチル、およびメチル、最も好ましくはメチルである。
アルコキシは、20個までの炭素原子を有し、そして直鎖または分枝鎖であり得る。アルコキシは、好ましくは12個までの炭素原子、特に6個までの炭素原子を有し、そして、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシまたはヘキシルオキシである。
好適な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、さらに好ましくはメトキシ、エトキシ、特にメトキシである。
アミノアルキルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する。アミノアルキルの例は、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、アミノオクチルまたはアミノデシルである。
好適な例は、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、およびアミノヘキシルである。
アミノ基は、追加的に、1または2個のアルキル基により置換され得、たとえばアミノエチルに関して、対応する置換は、N−メチルアミノエチル、またはN,N−ジメチルアミノエチルであり得る。
ヒドロキシアルキルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する。ヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシオクチルまたはヒドロキシデシルである。
好適な例は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、およびヒドロキシヘキシルである。
アルキレンは、20個までの炭素原子を有し、そして直鎖または分枝鎖であり得る。適当な例としては、デシレン、オクチレン、ヘキシレン、ペンチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、メチレン、2−プロピレン、2−ブチレンおよび3−ペンチレンである。好適な定義において、アルキレンは12個までのC原子、さらに好ましくは6個までのC原子を有する。
カルボキシアルキルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に6個までの炭素原子を有する。適当な例は、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、特にカルボキシメチルである。
アルコキシアルキレン−カルボニルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に6個までの炭素原子を有する。好適な例は、メトキシメチレンカルボニル、メトキシエチレンカルボニル、メトキシプロピレンカルボニル、エトキシメチレンカルボニル、エトキシエチレンカルボニル、特にメトキシメチレンカルボニルおよびメトキシエチレンカルボニルである。
アルキルカルボニルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に6個までの炭素原子を有する。好適な例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、およびプロピルカルボニル、特にエチルカルボニルおよびメチルカルボニルである。
アルキルカルバモイルは、直鎖または分枝鎖であり得、そして20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に6個までの炭素原子を有する。好適な例は、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、およびプロピルカルバモイル、さらに好ましくはエチルカルバモイルである。
本明細書において使用されるように、サッカライドとは、モノサッカライド、ジサッカライドまたはトリサッカライドを意味する。
モノサッカライドは、アルドペントース、アルドヘキソース、アルドテトロース、ケトペントースまたはケトヘキソースであると理解される。
アルドペントースの例は、D−リボース、D−アラビノース、D−キシロースおよびD−リキソースであり;アルドヘキソースの例は、D−アロース、D−アルトロース、D−グルコース、D−マンノース、D−グロース、D−イドース、D−ガラクトース、D−タロース、L−フコースおよびL−ラムノースであり;ケトペントースの例は、D−リブロースおよびD−キシルロースであり;テトロースの例は、D−エリトロースおよびトレオースであり;そしてケトヘキソースの例は、D−プシコース、D−フルクトース、D−ソルボースおよびD−タガトースである。
好適なモノサッカライド残基は、たとえばフルクトシル、グルコシル、マンノシルまたはそれらの混合物である。
ジサッカライドの例は、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、サッカロース、ラクトース、キトビオース、N,N−ジアセチルキトビオース、パラチノースおよびスクロースである。マルトースが好適なジサッカライドである。
ラフィノース、パノースおよびマルトトリオースを、トリサッカライドの例として言及し得る。パノシルが好適なトリサッカライド残基である。
本明細書において使用されるように、式(I)の化合物における好適な置換基Rは、H、アルキルおよびヒドロキシルアルキル置換基であり、さらに好ましくはH、6個までの炭素原子を有するアルキルおよび6個までの炭素原子を有するヒドロキシアルキルであり、いっそうさらに好ましくはH、メチルおよびヒドロキシプロピルであり、非常に好ましくはHおよびメチルであり、いっそうさらに好ましくはHである。
別の好適なR置換基Rは、Hおよびモノサッカライド、さらに特にH、フルクトシル、およびグルコシルから選択される。
好適なシクロフルクタン環のサイズは、CFR6、CFR7、CFR8、およびCFR6、7、8の混合物である。混合シクロフルクタンの例において、CFR6、7、8は、シクロフルクタンの総重量パーセントの75%のCFR6、20%のCFR7および5%のCFR8を含有する。上記の好適なCFRは、さらに好ましくは、RがHを示す(置換度は0%である。)CFR6、CFR7、CFR8、およびCFR6、7、8の混合物である。
本明細書において使用されるように、薬物は、特に
− 抗血管形成薬、たとえばVEGF−インヒビター、PKC−インヒビターなど、たとえばN−ベンゾイルスタウロスポリン、1−(3−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン、
− 抗炎症薬、たとえばステロイド、たとえばデキサメタゾン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン;またはいわゆる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、たとえばCOX−インヒビター、たとえばジクロフェナク、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、ケトロラック、またはインドメタシン;
− 抗アレルギー薬、たとえばFK506、33−エピ−クロロ−33−デスオキシ−アスコマイシン、クロモリン、エマジン(emadine)、ケトチフェン、レボカルバスチン、ロドキサミド、ノルケトチフェン、オロパタジン、およびリザベンから選択されるもの;
− 緑内障処置薬(特に眼内圧処置)、たとえばラタノプロスト、15−ケト−ラタノプロスト、イソプロピルウノプロストン、ベタキソロール、クロニジン、レボブノロールおよびチモロールから選択されるもの;
− 抗感染症薬、たとえばシプロフロキサシン、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、ゲンタマイシン、ロメフロキサシン、ネオマイシン、オフロキサシン、ポリミキシンBおよびトブラマイシンから選択されるもの;
− 抗真菌薬、たとえばアムホテリシンB、フルコナゾールおよびナタマイシンから選択されるもの;
− 抗ウイルス薬、たとえばアシクロビル、ホミビルセン、ガンシクロビル、およびトリフルリジン;
− 麻酔薬、たとえば塩酸コカイン、リドカイン、オキシブルポカインおよび塩酸テトラカインから選択されるもの;
− 近視予防/阻害薬、たとえばピレンゼピン、アトロピンなど;
− 縮瞳薬、たとえばカルバコール、ピロカルピンおよびフィゾスチグミンから選択されるもの;
− 炭酸脱水酵素インヒビター、たとえばアセタゾラミドおよびドルゾラミドから選択されるもの;
− アルファブロック剤、たとえばアプラクロニジンおよびブリモニジンから選択されるもの;ならびに
− 抗酸化剤および/またはビタミン、たとえばアスコルビン酸、α−トコフェロール、α−トコフェロールアセテート、レチノール、レチノールアセテート、およびレチノールパルミテート
からなる群から選択される。
好適な薬物は、
抗血管形成薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬、緑内障処置薬、および近視予防/阻害薬から選択される。
抗血管形成薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬、緑内障処置薬、抗感染症薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、麻酔薬、近視予防/阻害薬、縮瞳薬、炭酸脱水酵素インヒビター、アルファブロック剤、抗酸化剤および/またはビタミンがさらに好適である。
別の態様において、そしてポリマー性担体に依存して、本発明のドラッグデリバリーシステムは、室温(約22〜25℃)にて固体状態であり得、そして特に錠剤、フィルム、桿状体(rod)、棒状体(bar)、カプセル、角膜シールド(corneal shield)、角膜リング(corneal ring)、インプラント(implant)、インサート(insert)、眼内レンズ(intra−ocular lens)、治療コンタクトレンズ(therapeutic contact lens)、ミニタブレット(mini tablet)、ミニディスク(mini−disc)およびペレット(pellet)から選択される。好ましくは、当該ドラッグデリバリーシステムは、桿状体、棒状体、カプセル、角膜シールド、角膜リング、インプラント、インサート、眼内レンズ、治療コンタクトレンズ、およびミニディスクから、そしてさらに好ましくは、角膜シールド、角膜リング、インプラント、インサート、眼内レンズ治療コンタクトレンズ、およびミニディスクから選択される。
本明細書において使用されるように、ドラッグデリバリーシステムに適したポリマー性担体は、たとえば
− ポリヒドロキシ酸、たとえばポリ乳酸およびポリグリコール酸;ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、天然ゴム、たとえばアカシアゴムおよびアラビアゴム;セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース;メタクリレート(コ)ポリマー、たとえばオイドラギット(Eudragit)、たとえばオイドラギットRL PO、オイドラギットRS POからなる群から選択される生物崩壊性ポリマーのマトリックス;および/または
− マルトデキストリン、セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース;キトサン;ヒアルロン酸;ポリアクリレート、たとえばカーボポール(carbopol);ポリカーボフィル、たとえばNoveon AA−1;ポリビニルアルコール、たとえばMowiol 26−88;ポリビニルピロリドン、たとえばポビドンK30からなる群から選択される生物接着性ポリマー
から選択される。
本発明の組成物またはドラッグデリバリーシステムにおいて使用されるポリマー性担体の量は、0.01〜約99重量%の範囲、好ましくは1〜95重量%の範囲、さらに好ましくは10〜90重量%の範囲、いっそうさらに好ましくは15〜85重量%の範囲、および20〜80重量%の範囲である。
ポリマー性担体およびシクロフルクタンとの連係的な薬物の使用は、典型的には、持続的な薬物送達の相乗効果に改善された医薬透過性を提供する。
したがって、さらなる態様は、
ポリヒドロキシ酸、たとえばポリ乳酸およびポリグリコール酸;ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、天然ゴム、たとえばアカシアゴムおよびアラビアゴム;セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース;メタクリレート(コ)ポリマー、たとえばオイドラギット、たとえばオイドラギットRL PO、オイドラギットRS POから選択される生物崩壊性ポリマー;および/または
マルトデキストリン、セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース;シクロデキストリン、キトサン;ヒアルロン酸;ポリアクリレート、たとえばカーボポール;ポリカーボフィル、たとえばNoveon AA−1;ポリビニルアルコール、たとえばMowiol 26−88;ポリビニルピロリドン、たとえばポビドンK30からなる群から選択される生物接着性ポリマーから選択されるポリマー性担体:
シクロフルクタン、ならびに
薬学的に有効な薬物
を含んでなるドラッグデリバリーシステムである。
さらなる担体は、たとえば特定の需要に当該システムを適合させることにより、ドラッグデリバリーシステムの製造において使用され得、そして、たとえば水、水と水混和性溶媒[たとえば0.5〜5重量%ヒドロキシエチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニル−ピロリドンおよび眼科に用いるための他の非毒性水溶性ポリマー、たとえば、アクリレートまたはメタクリレート、たとえばポリアクリル酸の塩またはエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、天然物、たとえばゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンゴム、カラゲーニン(carrageenin)、寒天およびアカシア、スターチ誘導体、たとえばスターチアセテートおよびヒドロキシプロピルスターチ、およびまた他の合成品、たとえばポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシドまたはそれらのポリマーの混合物を含むC〜C−アルカノール、植物油または鉱物油]との混合物である。
上記の担体の濃度は、たとえば活性成分の1〜100000倍の濃度である。
本発明のドラッグデリバリーシステムは、さらに、張度上昇剤を含み得る。
張度上昇剤は、たとえば、イオン性化合物、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属ハライド、たとえば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaI、NaBrまたはNaCl、またはボロン酸である。非イオン性張度上昇剤は、たとえばウレア、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコールまたはデキストロースである。たとえば、十分な張度上昇剤を添加して、約50〜1000mOsmolの浸透圧を得る。
好ましくは生理的pHへの、pHの調節のために、バッファーがとりわけ有用であり得る。バッファー物質の例は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、重炭酸/炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩およびTRIS(トロメタミン)バッファーである。トロメタミンおよびホウ酸塩バッファーが好適なバッファーである。添加されるバッファー物質の量は、典型的には、生理学的に許容されるpH範囲を保証かつ維持するのに必要な量である。そのpH範囲は、一般に、4〜9、好ましくは4.5〜8.5およびさらに好ましくは5.0〜8.2の範囲である。
本発明のドラッグデリバリーシステムは、さらに、たとえば保存時に、または微生物の増殖を阻害するために保存剤を含んでもよい。
保存剤は、典型的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウムなどのような第4級アンモニウムから選択され得る。塩化ベンザルコニウムは、N−ベンジル−N−(C−C18アルキル)−N,N−ジメチル塩化アンモニアとしてより正確に記載される。第4級アンモニウム塩とは異なる保存剤の例は、チオサリチル酸のアルキル水銀塩、たとえば、チオメルサール(thiomersal)、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀、パラベン、たとえば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、アルコール、たとえば、クロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノール、グアニジン誘導体、たとえば、クロルヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニド、過ホウ酸ナトリウム、Germal(登録商標)IIまたはソルビン酸である。好適な保存剤は、第4級アンモニウム化合物、特に塩化ベンザルコニウム、アルキル水銀塩およびパラベンである。適当な場合には、細菌および真菌により引き起こされる使用中の二次汚染に対する保護を確実にするため、十分な量の保存剤が添加される。
本発明のドラッグデリバリーシステムは、追加的に、特に活性または不活性成分または活性および意図された不活性成分が懸濁液またはエマルジョンを形成する傾向がある場合、可溶化剤の存在を必要とし得る。
本発明の組成物に適した可溶化剤は、たとえばチロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン(たとえばα−、β−またはγ−シクロデキストリン、たとえばアルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化またはアルキルオキシカルボニル−アルキル化誘導体、あるいはモノ−またはジグリコシル−α−、β−またはγ−シクロデキストリン、モノ−またはジマルトシル−α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはパノシル−シクロデキストリン)、ポリソルベート20、ポリソルベート80またはこれらの化合物の混合物から選択される。とりわけ好適な可溶化剤の特異的な例は、ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物、たとえばCremophor EL(登録商標)またはCremophor RH 40(登録商標)なる商品である。ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物は、目に対する許容性が非常に高い、特に優れた可溶化剤であるように思われる。別の好適な可溶化剤は、チロキサポールから、およびシクロデキストリンから選択される。使用される濃度は、とりわけ活性成分の濃度に依存する。使用される量は、典型的には、活性成分を可溶化するのに十分な量である。たとえば、可溶化剤の量は、典型的には、活性成分の0.1〜5000倍である。
本発明のドラッグデリバリーシステムにおいて、さらなる賦形剤が含まれてもよく、これらは、特に複合型安定/可溶化剤として機能し得る。かかる追加的な複合型安定/可溶化剤は、たとえばシクロデキストリンである。好適なシクロデキストリンは、特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリンおよびジメチル−γ−シクロデキストリンの群から選択される。その量は、一般に、約0.01〜約90重量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜20重量%の範囲である。
本発明のドラッグデリバリーシステムは、さらに、非毒性賦形剤、たとえば、乳化剤、湿潤剤または増量剤、たとえば200、300、400および600の平均分子量を有するポリエチレングリコール、またはカーボワックス(Carbowax)1000、1500、4000、6000および10000で表されるカーボワックス(Carbowax)とも呼ばれるさらに高分子量のポリエチレングリコールを含み得る。所望により使用されてもよい他の賦形剤を以下に列挙するが、これらは、いかなる意味においても可能性のある賦形剤の範囲を制限することを意図していない。それらは、とりわけ錯化剤、たとえばEDTA二ナトリウムまたはEDTA、抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル−ヒドロキシアニソール、ブチル−ヒドロキシトルエンまたはアルファ−トコフェロールアセテート;安定剤、たとえばチオウレア、チオソルビトール、ナトリウムジオクチルスルホスクシネートまたはモノチオグリセロール;あるいは他の賦形剤、たとえば、ラウリン酸ソルビトールエステル、トリエタノールアミンオレエートまたはパルミチン酸エステルである。好適な賦形剤は、錯化剤、たとえばEDTA二ナトリウムである。添加される賦形剤の量および種類は、特定の要求にしたがうものであり、そして一般に、約0.0001〜約90重量%の範囲である。
本発明のドラッグデリバリーシステム中に存在するCFRの量は、一般に、使用されている薬物に依存し、そして典型的に、対応する医薬組成物の総重量の0.1〜35%、好ましくは0.5〜25%、さらに好ましくは5〜10%、および15〜20%、また好ましくは0.1〜5%、0.5〜5%および1〜5%の範囲である。
実施例において記載されたCFRの量および種類も好適である。
本発明は、さらに、粘膜組織を通過する、そして/または眼組織における薬物透過性の改善方法であって、
有効量のCFR、有効量の薬物、および少なくともポリマー性担体を常法により混合する工程;
所望により、バッファー、張度上昇剤、保存剤、可溶化剤、安定/可溶化剤、および錯化剤の群から選択される1種またはそれ以上のさらなる成分を混合する工程;
所望により、鋳型(mold)中で上記のように混合された成分を形成させる工程;および
薬物による処置を必要とする当該組織に、当該CFRおよび当該薬物を含んでなる当該混合物を投与する工程
を含んでなる方法に関する。
当該組織は、好ましくは粘膜組織および/または眼組織、たとえば角膜上皮細胞、および結膜細胞である。粘膜組織は、限定されるわけではないが、たとえば鼻孔組織、口腔組織、舌組織、耳組織、聴覚組織、結膜組織、肛門組織、膣組織などである。
たとえば目における薬物の浸透の改善は、典型的には、許容性の改善および/または効力の改善という利点を、典型的には相乗的様式で提供する。なぜなら、CFRは、対応する薬物のバイオアベイラビリティーを改善すると思われるからである。したがって、典型的には、より少ない薬物で、CFRを含まない組成物により得られるのと同程度の薬理効果が得られる。また、典型的には、たとえば局所眼投与後の、CFRを製剤化した組成物の作用発現も、改善されているように見える。
本発明は、また、局所的処置により処置可能な疾患(当該疾患は、好ましくは眼疾患から選択される。)の処置用固体医薬の製造におけるシクロフルクタンの使用に関する。当該固体医薬は、CFR、固体医薬に適したポリマー性担体および薬学的に有効な薬物を含んでなる。
いっそうさらなる態様は、粘膜組織における薬物透過性の改善方法であって、かかる処置を必要とする患者の粘膜への、CFRと適当に混合した有効量の薬物の局所投与を含む方法である。
好適な実施態様は、CFR、眼科的に許容されるポリマー性担体(当該ポリマー性担体は、たとえば、セルロース誘導体、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、中性カーボポール(Carbopol)、またはそれらの混合物から選択される。)ならびに眼用薬物を含んでなる眼用組成物に関する。
本発明は、また、組織を通過する薬物透過性を促進するための、そして組織内への薬物透過性を促進するためのCFRの使用に関し、ここで、当該組織は、好ましくは粘膜組織、特に眼組織であり、そして当該薬物は当該組織に局所的に投与される。
局所投与後に組織を通過する薬物透過の上昇という文脈におけるCFRの使用は、たとえば上に記載したような特定のポリマー性担体を条件とするわけではない。したがって、本明細書において使用されるように、局所投与に適合するならば、担体は任意の他の担体を表す。
したがって、本発明は、局所的処置により処置可能な疾患の処置用局所医薬(当該局所医薬は、CFR、担体、好ましくはポリマー性担体、および有効量の薬物を含んでなる。)の製造におけるCFRの使用に関する。
さらに好ましくは、本発明は、局所的処置により処置可能な疾患の処置用局所眼用医薬(当該医薬は、CFR、担体、好ましくはポリマー性担体および眼用薬物を含んでなる。)の製造におけるシクロフルクタンの使用に関する。
実施例:角膜透過性の増加
角膜透過システム:
使用されたシステムは、温度制御のための2つのウオータージャケットセル(water−jacketed cell)からなる修飾Valia−Chienシステムであった。個々のセルをGBRバッファーで満たし(下記参照)、磁気により撹拌し、そして継続的にOxycarbon(5%CO/95%O)を供給した。実験中、セルを角膜により分離して、一方のセルを、GBR中に溶解した試験物質を含有しそしてドナーとして作用する(涙液側)セルとし、他方のセルを、アクセプターであるセル(房水側)とした。
角膜:
豚の目を現地の屠殺場から入手した。それらを、Glutamax−I(Gibco)の入ったダルベッコ(Dulbecco)MEM(最小必須培地)中で氷上にて維持し、そして受け取り後数時間以内に使用した。
バッファー:
インビトロ角膜透過試験のためのバッファーを、グルタチオン−重炭酸塩−リンゲル(GBR)溶液から改作した。「GBR房水」をアクセプターセルにおいて使用し、そして「GBR涙液」を平衡化のためにドナー側で使用した。これらの組成物を表1に列挙する。
角膜透過のアッセイ:
屠殺場からの受け取り後、目を、角膜を上にして解剖台にのせた。角膜の完全性をチェックした後、強膜を、解剖用メスで角膜縁から約1〜2mm切開し、そして前部を摘出した。虹彩および水晶体を、角膜構造を傷つけることなくピンセットで注意深く除去した。次いで、角膜を、ピンチクランプを用いて透過システムの2つのセルの間にのせた。直ちに、3mlの予め温めそしてガス供給されたGBRバッファーを個々のセルに添加し、セル内にトラップされたすべての気泡を注意深く除去した。当該システムにガスを供給し、そして35℃にて約30分間撹拌した。平衡化後、ドナー側を空にし、そして同僚の予め温めた製剤の活性物質をt=0にて添加した。300μlの「GBR房水」のアリコートを、アクセプターセルからt=0にて採取し、そして喪失容積を同量の新たなバッファーで置換した。その後、この手順を、アクセプターセルにおいて予め決めた時点で繰り返し、そしてアリコートを活性に関してHPLCにより分析した。両方のコンパートメントを、小型のマグネットで一定の撹拌下に維持した。通常の実験時間は180分であり、これは、製剤と角膜との接触時間でもあった。
Figure 2005523299
ジクロフェナク製剤での角膜透過実験
Figure 2005523299
上記の実験[2)項および3)項]において、薬物透過の効力を、従来技術の状況(HP−ガンマ−CD)および本発明の実施態様、すなわちCFR6に関して直接的に比較することが可能である。

Claims (14)

  1. CFR、ポリマー性担体および薬学的に有効な薬物を含んでなる組成物。
  2. CFRが式I:
    Figure 2005523299
    〔式中、nは5〜11であり、
    Rは、互いに独立して、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキレン−カルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルバモイル、R'Siであるか、またはRは、ヒドロキシ基から水素原子を除いたサッカライドであり、
    R'は、互いに独立してアルキルおよびフェニル、好ましくはメチルおよびフェニル、さらに好ましくはメチルを示す。〕
    で示される化合物である、請求項1に記載の組成物。
  3. RがHである、請求項2に記載の組成物。
  4. CFRがCFR6、CFR7、CFR8、およびCFR6、7、8の混合物である、請求項2〜3の組成物。
  5. 薬物が、抗血管形成薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬、緑内障処置薬、抗感染症薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、麻酔薬、近視予防/阻害薬、縮瞳薬、炭酸脱水酵素インヒビター、アルファブロック剤、抗酸化剤および/またはビタミンから選択される、請求項1に記載の組成物。
  6. ポリマー性担体が:
    ポリヒドロキシ酸、たとえばポリ乳酸およびポリグリコール酸;ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、天然ゴム、たとえばアカシアゴムおよびアラビアゴム;セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース;メタクリレート(コ)ポリマー、たとえばオイドラギット、たとえばオイドラギットRL PO、オイドラギットRS POからなる群から選択される生物崩壊性ポリマーのマトリックス;および/または
    マルトデキストリン、セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース;キトサン;ヒアルロン酸;ポリアクリレート、たとえばカーボポール;ポリカーボフィル、たとえばNoveon AA−1;ポリビニルアルコール、たとえばMowiol 26−88;ポリビニルピロリドン、たとえばポビドンK30からなる群から選択される生物接着性ポリマー
    から選択される、請求項1に記載の組成物。
  7. 室温(約22〜25℃)で固体状態である、請求項6に記載の組成物。
  8. ドラッグデリバリーシステムである、請求項1〜7に記載の組成物。
  9. 桿状体、棒状体、カプセル、角膜シールド、角膜リング、インプラント、インサート、眼内レンズ、治療コンタクトレンズ、およびミニディスクから、そして
    さらに好ましくは、角膜シールド、角膜リング、インプラント、インサート、眼内レンズ治療コンタクトレンズ、およびミニディスク
    からなる群から選択される、請求項8に記載のドラッグデリバリーシステム。
  10. バッファー、張度上昇剤、保存剤、可溶化剤、安定/可溶化剤、および錯化剤からなる群から選択される1種またはそれ以上の成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
  11. 局所的処置により処置可能な疾患の処置のための、薬物、CFRならびに
    ポリヒドロキシ酸、たとえばポリ乳酸およびポリグリコール酸;ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、天然ゴム、たとえばアカシアゴムおよびアラビアゴム;セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース;メタクリレート(コ)ポリマー、たとえばオイドラギット、たとえばオイドラギットRL PO、オイドラギットRS POからなる群から選択される生物崩壊性ポリマーのマトリックス;および/または
    マルトデキストリン、セルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース;シクロデキストリン、キトサン;ヒアルロン酸;ポリアクリレート、たとえばカーボポール;ポリカーボフィル、たとえばNoveon AA−1;ポリビニルアルコール、たとえばMowiol 26−88;ポリビニルピロリドン、たとえばポビドンK30からなる群から選択される生物接着性ポリマーから選択されるポリマー性担体を含有する、ドラッグデリバリーシステムの製造におけるシクロフルクタンの使用。
  12. 粘膜組織における薬物透過性の改善方法であって、改善されたそのような処置を必要とする患者の粘膜組織への、CFRと適当に混合した有効量の薬物の局所投与を含んでなる方法。
  13. CFR、担体、好ましくはポリマー性担体、および有効量の薬物を含む、局所的処置により処置可能な疾患の処置用局所医薬の製造におけるCFRの使用。
  14. CFR、担体、好ましくはポリマー性担体および眼用薬物を含む、局所的処置により処置可能な疾患の処置用局所眼用医薬の製造におけるCFRの使用。
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