JP2005518212A - 新規な1型サイトカインレセプターglm−r - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、単球及びマクロファージの発達と機能に関与する新規遺伝子である、ヒトGLM−R遺伝子を含むGLM−R遺伝子に関する。本発明の範囲には、本明細書においてGLM−Rポリペプチドと呼ぶ新規ポリペプチドをコードする新規DNAの同定と単離、及び該新規ポリペプチドの組換え生産、並びに単球又はマクロファージの過多又は不足いによって特徴付けられる疾患の診断及び治療においてかかるポリペプチドを利用する方法、組成物及びアッセイが含まれる。本発明は、GLM−R核酸のヌクレオチド配列、宿主細胞発現系、及びトランスジェニック動物を含めこれら発現系により形質転換された宿主を包含する。更には、GLM−Rタンパク質、GLM−Rアミノ酸配列を含むポリペプチド及びペプチド、GLM−Rタンパク質の融合タンパク質、ポリペプチド及びペプチド、並びにそれに特異的に結合する抗体も含む。
螺旋状サイトカインは宿主防御から発達及び身体ホメオスタシスに亘る複数の生物学的プロセスを制御する。リガンドのこのファミリーは、インターロイキン(IL−x)2,3,4,5,6,7,9,11,12,13,15,21,23、胸腺間質性リンパ球ポエチン(TSLP)、顆粒球因子(GM−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、プロラクチン(PRL)、成長ホルモン(GN)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、カルディオトロフィン−1(CT−1)、カルディオトロフィン様サイトカイン(CLC)、繊毛状神経栄養因子(CNTF)、及びレプチン(OB)から構成され、特異性の高い生物学的効果及び重要な治療可能性を持つ分子の豊かな供給源を有する。
螺旋状サイトカインファミリーとは、特徴的な「上−上−下−下」トポロジーを持つアンチパラレルな4本へリックスバンドルからなる共通の3次元構造により定義される。Bazan, J.F., Immunol. Today 11(10):350-4(1990), Rozwarski, D.A.等, Structure (2)3:159-73 (1994)を参照。残念なことに、有意な配列相同性がないため、相同性スクリーニング、また最近ではデータマイニングによっては、このファミリーの新規なメンバーの同定はできなかった。しかしながら、同族レセプターは、いわゆる1型サイトカインレセプターのファミリーを形成し、細胞外ドメインに2対の保存されたシステイン残基とWSXWS配列モチーフを有するサイトカインレセプター相同性(CRH)ドメイン[Bazan, J.F., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(18):6934-8 (1990)]、単一の膜貫通ドメイン、及び内因性酵素活性を持たない細胞内ドメインを含め、幾つかの構造的モチーフを共有している。これらの特徴は、相同性に基づく新規レセプターの同定を可能とし、その結果、様々な異なったスクリーニング技術によりそれらのリガンドを同定するためのツールとして用いることができる。De Sauvage等, Nature 369(6481):533-8 (1994); Parrish-Novak J.等, Nature 408(6808): 57-63 (2000); Lok, S.等, Nature 369 (6481):565-8 (1994)。
本発明は、単球及びマクロファージの発達と機能、及びそれに関連する生理学的状態に関与する新規なGLM−Rポリペプチドをコードする核酸の同定に関する。核酸分子は、ヒトGLM−Rポリヌクレオチドを含む哺乳動物GLM−Rポリヌクレオチドに対応するヌクレオチド配列を表す。本発明の核酸分子の特定の例を本明細書ではDNA173920−2924と呼ぶ。
一実施形態において、本発明は、GLM−Rポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子を提供する。例示的GLM−RポリペプチドはPRO21073である。
別の態様では、単離された核酸分子は、(a)図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列を有するGLM−Rポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又は(b)(a)のDNA分子の相補体を有する。
また別の態様では、単離された核酸分子は、(a)図1(配列番号1)の約63又は約120から約2258のヌクレオチドの配列を有するDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体に対し、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。
更に別の態様では、単離された核酸分子は、(a)図1(配列番号1)の約63又は約120から約2258のヌクレオチド配列、又は(b)(a)のDNA分子の相補体を有する。
また別の態様では、単離された核酸分子は、(a)ATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)で2000年5月16日にATCCに寄託されたDNAの完全長ポリペプチドコード化配列、又は(b)(a)のヌクレオチド配列の相補体に対し、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する。特定の態様では、単離された核酸分子は、(a)ATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)で2000年5月16日にATCCに寄託された完全長ポリペプチドコード化配列、又は(b)(a)のヌクレオチド配列の相補体を含む。
また別の態様では、単離された核酸分子は、(a)図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基をコードする核酸配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する下記の活性GLM−Rポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。好ましくは、ハイブリダイゼーションはストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件の下で起こる。
更に別の態様では、(a)図1(配列番号1)の約63又は約120から約2258の核酸配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する下記の活性GLM−Rポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。好ましくは、ハイブリダイゼーションはストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件の下で起こる。
更に他の態様では、単離された核酸分子は、N末端シグナル配列及び/又は開始メチオニンを持たないGLM−RポリペプチドをコードするDNAを有するか、又はそのようなコード化核酸分子に相補的である。シグナルペプチドは、図2(配列番号2)の配列中、暫定的にアミノ酸位置約1からアミノ酸位置約19に亘っていると同定された。しかしながら、シグナルペプチドのC末端の境界は、ここで最初に同定されたシグナルペプチドC末端境界の何れかの側にあるおそらく約5以下のアミノ酸によってではあるが、変わりうることを注記する。この場合において、シグナルペプチドのC末端境界は、そのタイプのアミノ酸配列要素を同定するために当該分野で常套的に使用される基準に従って同定されうる(例えば、Nielsen等, Prot. Eng. 10:1-6(1997) 及びvon Heinje等, Nucl. Acids. Res. 14:4683-4690 (1986))。更に、時には、分泌ポリペプチドからのシグナル配列の切断が完全に均一ではないことから、1よりも多い分泌種を生じることが認識されている。これらのポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドが、本発明によって検討される。このように、本出願の目的において、図2(配列番号2)に示されるGLM−Rポリペプチドのシグナルペプチドが図2(配列番号2)のアミノ酸1からXにわたり、Xが図2(配列番号2)の15から24の任意のアミノ酸である。従って、本発明で検討されるGLM−Rポリペプチドの成熟形態は、図2(配列番号2)のアミノ酸残基Xから732(Xは図2(配列番号2)の15から24の任意のアミノ酸)を有するものと、後述するようなその変異体を含む。これらのポリペプチドをコードする単離された核酸分子もまた考慮される。
別の実施形態において、本発明は、(a)図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(Xは図2(配列番号2)の510から519の何れかのアミノ酸)をコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補体に対し、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子を提供する。特定の態様では、単離された核酸分子は、(a)図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(Xは図2(配列番号2)の510から519の任意のアミノ酸)をコードするか、又は(b)(a)のDNA分子の相補体であるヌクレオチド配列を有する。
また別の実施態様では、本発明は、GLM−R又はその変異体をコードするヌクレオチド配列を有するベクター(例えば発現ベクター)を提供する。本ベクターは、上記の単離された核酸分子のうち任意のものを含んでよい。そのようなベクターを含んでなる宿主細胞もまた提供される。例えば、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞、又は酵母とすることができる。一態様では、本発明は、例えばトランスジェニック動物を含む、GLM−Rコード化ヌクレオチド配列で形質転換された宿主生物体を含む。
また別の実施形態では、本発明は上記の単離された核酸配列の何れかによりコードされた単離されたGLM−Rポリペプチドを提供する。一態様では、本発明は単離された天然配列GLM−Rポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは特定の実施形態では、図2(配列番号2)の約1又は約20から約732の残基を有するアミノ酸配列を含む。
また別の態様では、本発明は、ATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)で、2000年5月16日にATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAによりコードされるアミノ酸配列に対し、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ配列同一性を有する単離されたGLM−Rポリペプチドを提供する。特定の実施態様では、単離されたGLM−RポリペプチドはATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)で、2000年5月16日にATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAによりコードされるアミノ酸配列を含む。
また別の態様では、本発明は、膜貫通ドメインが削除又は不活性化されている単離されたGLM−Rポリペプチドを提供する。本明細書ではこれを生産する方法も開示され、該方法は、適切なコード化核酸分子を有するベクターを含む宿主細胞をGLM−Rポリペプチドの発現に適した条件下で培養する工程と、細胞培養物からGLM−Rポリペプチドを回収する工程を含む。
また別の態様では、単離されたGLM−Rポリペプチドは、図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列か、或いは生物学的に活性であるか、又は抗GLM−R抗体の結合部位を提供するのに十分なその断片を有するポリペプチドであり、ここで、生物学的活性を有する、又は抗GLM−R抗体の結合部位を提供するGLM−Rポリペプチド断片の同定は、当該技術分野で周知の技術を使用して常套的に行うことができる。好ましくは、GLM−R断片は、単球又はマクロファージの発達又は機能への影響を含め、天然GLM−Rポリペプチドの定性的な生物学的活性を保持している。
また別の実施形態では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したGLM−Rポリペプチドを有するキメラ分子を提供し、このときGLM−Rポリペプチドは、本明細書に開示する任意のGLM−Rポリペプチド、変異体又はその断片を有しうる。このようなキメラ分子の一例は、イムノグロブリンのエピトープタグ配列又はFc領域に融合したGLM−Rポリペプチドを含む。
また別の実施形態では、本発明は、GLM−Rポリペプチドに対するアゴニスト又はアンタゴニストの識別方法を提供し、該方法は、GLM−Rポリペプチドを候補分子に接触させる工程と、前記GLM−Rポリペプチドが媒介する生物学的活性をモニターする工程を含む。特定の態様では、GLM−Rポリペプチドは天然配列GLM−Rポリペプチドである。
また別の実施形態では、本発明は、GLM−Rポリペプチド、又はここに記載したGLM−Rポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗GLM−R抗体を、担体と組み合わせて含有する物質の組成物を提供する。場合によっては、担体は製薬的に許容可能な担体である。
また別の実施形態では、本発明は、GLM−Rへの結合能を有する生理活性剤のスクリーニング方法を提供する。一態様では、本方法は、GLM−Rの試料に候補生理活性剤を加え、前記候補剤の前記GLM−Rへの結合を測定することを含み、ここで結合がGLM−Rへの結合能を有する生理活性剤の指標となる。
また別の実施形態では、本発明は、GLM−Rの活性の調節能を有する生理活性剤のスクリーニング方法を提供する。一態様では、本方法は、GLM−Rの試料に候補生理活性剤を添加し、GLM−Rの生物学的活性の変化を測定することを含み、ここで変化がGLM−Rの活性調節能を有する生理活性剤の指標となる。特定の態様では、GLM−R活性は末梢血単核球細胞(PBMC)上のSTAT−3又はSTAT−5の活性化である。
また別の実施形態では、細胞内のSTAT−3又はSTAT−5活性化方法が提供される。一態様では、本方法は、少なくともSTAT−3又はSTAT−5の活性化を誘導するのに効果的な量のGLM−Rを細胞に投与することを含む。
また別の実施形態では、単球又はマクロファージの発達及び機能の調節方法が提供される。一態様では、本方法は、少なくとも単球又はマクロファージの発達及び分化に作用するのに効果的な量のGLM−Rを細胞に投与することを含む。
また別の実施形態では、本発明は、哺乳動物GLM−Rポリヌクレオチドの発現、及び/又はその生物学的活性のレベルを調節する化合物を同定する方法を提供する。一態様では、本方法は:
(a)GLM−Rポリヌクレオチドを発現する細胞に化合物を接触させ;
(b)細胞におけるGLM−R DNAの発現のレベルを測定し;
(c)(b)において取得したレベルを、化合物不在下で取得されるGLM−R発現レベルと比較すること、
を含み、(b)で取得されたレベルと化合物不在下で取得されたレベルとの間に差異がある場合、GLM−R活性調節化合物と同定する。
(a)GLM−Rポリヌクレオチドを含む細胞に化合物を接触させ;
(b)細胞におけるGLM−Rポリペプチドのレベル又は活性を測定し;
(c)(b)において取得したレベルを、化合物不在下で取得されるGLM−Rレベル又は活性と比較すること、
を含み、(b)で取得されたレベルと化合物不在下で取得されたレベルとの間に差異がある場合、GLM−R活性調節化合物と同定する、GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を調節する化合物の同定方法を提供する。
また別の実施形態では、本発明は、
(a)宿主(例えば、GLM−R導入遺伝子を発現するトランスジェニック動物)に化合物を投与し;
(b)GLM−R活性のGLM−R遺伝子転写、GLM−R発現又はGLM−R活性の活性のレベルを測定し;
(c)(b)において取得したレベルを、化合物不在の場合のレベルと比較すること、
を含み、(b)のレベルと化合物不在下で取得されたレベルとの間に差異がある場合、GLM−R活性調節化合物と同定する、GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を調節する化合物の同定方法を提供する。
ここで使用される際の「GLM−Rポリペプチド」、「GLM−Rタンパク質」及び「GLM−R」という用語は、天然配列GLM−R及びGLM−Rポリペプチド変異体(ここで更に定義する)を含む。GLM−Rポリペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してよく、あるいは組換え及び/又は合成法によって調製してもよい。「GLM−Rポリヌクレオチド」という用語は、本段落に記載のポリペプチドをコードする核酸を含む。
「天然配列GLM−R」は、天然由来のGLM−Rと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列GLM−Rは、自然から単離することもできるし、組換え及び/又は合成手段により生産することもできる。「天然配列GLM−R」という用語には、特に、GLM−Rの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異体形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及び自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施形態において、天然配列GLM−Rは、図2(配列番号2)のアミノ酸1又は約20から約732を有する成熟又は完全長天然配列GLM−Rである。また、図2(配列番号2)に開示するGLM−Rポリペプチドはここでアミノ酸位1とするメチオニン残基で始まることが示されているが、図2のアミノ酸位1の上流又は下流に位置する他のメチオニン残基をGLM−Rポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いることも考えられるし可能でもある。
ここに開示する種々のGLM−Rポリペプチドの「シグナルペプチド」のおおよその位置を、本明細書及び/又は添付図面に示す。例えば、DNA173920−2924(配列番号1)でコードされるタンパク質については、それぞれシグナル配列を図1に示す。しかし、シグナルペプチドのC-末端境界は変化しうるが、その変化は多くの場合ここで最初に定義したシグナルペプチドC末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸以下であり、シグナルペプチドのC末端境界は、そのような型のアミノ酸配列成分を同定するのに日常的に使用される基準に従って同定しうる(例えば、Nielsen等, Prot. Eng.10:1-6(1997)及びvon Heinje等, Nucl. Acids. Res.14:4683-4690(1986))。更に、場合によっては、分泌ポリペプチドからのシグナル配列の切断は完全に均一ではなく、一を越える分泌種をもたらすことも認められる。ここで同定したシグナルペプチドのC末端境界のいずれかの側のアミノ酸約5以下内で切断されるこれら成熟ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドを本発明において検討する。
ここに同定されるGLM−Rポリペプチドに対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、GLM−R配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のために、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて後述のように計算され、ここでALIGN−2プログラムのための完全なソースコードを以下の表1に示す。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって著作され、表1に示したソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN−2はジェネンテク社、South San Francisco, Californiaから公的に入手可能であり、また表1に与えられたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2のA及びBのプログラムアラインメントによって合致していることが認められたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることが理解されよう。%アミノ酸配列同一性の計算の例として、表2及び3は、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「PRO」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を実証している。
NCBI−BLAST2がアミノ酸配列比較に使用されるとき、所定のアミノ酸配列Aの、任意のアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、任意のアミノ酸配列Bと、又はそれに対し、ある%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む所定のアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI−BLAST2のA及びBのプログラムアラインメントによって合致していることが認められたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることが理解されよう。
ここで同定されるGLM−Rポリペプチドコード化核酸配列に対する「パーセント(%)核酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した当該GLM−Rポリペプチドコード化核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージと定義される。パーセント核酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、当業者の技量内の種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較する配列の全長対し最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、ここでの目的のために、%核酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用することによって得られる。ALIGN−2プログラム用の完全なソースコードを下記の表1に示す。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって著作され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権庁,ワシントン D.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテック社(South San Francisco, California)から公的に入手可能であり、表1に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN−2のC及びDのプログラムアラインメントによって同一であると認められたヌクレオチドの数であり、ZはDのヌクレオチド総数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されよう。%核酸配列同一性の計算の例として、「PRO−DNA」と命名された核酸配列に対する「比較DNA」と呼ぶ核酸配列の%核酸配列同一性の計算方法を表4及び5に示す。特に断らない限りは、ここで使用する全ての%核酸配列同一性値は、上述のようにALIGN−2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。
NCBI−BLAST2がアミノ酸配列比較に使用されるとき、核酸配列Cの、任意の核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、任意の核酸配列Dと、又はそれに対し、ある%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む所定の核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムNCBI−BLAST2のC及びDのプログラムアラインメントによって同一であると認められたヌクレオチドの数であり、ZはDのヌクレオチド総数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されよう。
ここで開示する種々のポリペプチドを記載するために使用される「単離」とは、自然環境の成分から同定及び分離及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。好ましくは、単離されたポリペプチドはそれが自然に伴う全ての成分を伴っていない。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分に、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が達せられるまで、精製される。単離されたポリペプチドには、GLM−Rの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物体において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合」している。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されているならば、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合しているDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定され、一般に、プローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングに必要な温度が高くなり、プローブが短くなるとそれに必要な温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、通常、相補鎖がその融点より低い環境に存在する場合に、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション配列の間で所望される相同性の程度が高くなればなるほど、用いることができる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにすることになり、低い温度はストリンジェンシーを低下させることになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細及び説明については、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
ここで定義される「ストリンジェントな条件」又は「高度にストリンジェントな条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファーと750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホルムアミド、ついで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を用いるもの、によって定義される。
「中程度のストリンジェント条件」は、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Press, 1989)に記載されているように定義され、上記よりストリンジェンシーが低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェント条件は、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハード液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での終夜インキュベーション、ついで1xSSC中37−50℃でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識している。
ここで用いられている「イムノアドヘシン」という用語は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を組み合わせる抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を持つアミノ酸配列(即ち「異種」)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物である。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む近接アミノ酸配列を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
「アンタゴニスト」なる用語は最も広義に用いられ、ここに開示した天然GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全にブロックし、阻害し、又は中和する任意の分子を含む。同じように、「アゴニスト」という用語は最も広義に用いられ、ここに開示した天然GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。適切なアゴニスト又はアンタゴニスト分子には、特にアゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然GLM−Rポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、小有機分子等が含まれる。GLM−Rポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法は、GLM−Rポリペプチドと候補アゴニスト又はアンタゴニスト分子を接触させ、通常はGLM−Rポリペプチドに関連している一つ又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含みうる。
GLM−Rの活性の一部はGLM−Rによって直接誘発されるものと、間接的に誘発されるものがあるが、いずれもGLM−Rが存在する結果誘発されるものであり、GLM−Rが不在の場合は誘発されないことを理解されたい。
「有効量」という用語は、体重障害のインビトロの細胞に基づくモデルにおいて検出可能な改善を引き起こすか、誘発するか、又は結果として生じさせるGLM−Rの最小濃度である。例として、脂肪細胞へのグルコース摂取の減少、脂肪細胞からのレプチン放出の増加が挙げられる。更に、「治療的有効量」という用語は、体重障害に関連する病的症状を減少させるか又は改善するのに有効な、哺乳動物に対して投与されるGLM−Rの最小濃度(量)である。例えば、体重減少、体重に占める脂肪の割合の減少、体重に占める除脂肪筋量の割合の増加、代謝率上昇、血清トリグリセリド又は脂肪酸等が挙げられる。
治療のための「哺乳動物」とは、哺乳動物に分類される任意の動物を意味し、ヒト、家畜用及び農場用動物、及び動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、フェレットなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「個体」とは、任意の対象となる患者/患畜であり、好ましくは哺乳動物、更に好ましくはヒトである。
「アンタゴニスト」なる用語は最も広義に用いられ、ここに開示した天然GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全にブロックし、阻害し、又は中和する任意の分子を含む。同じように、「アゴニスト」という用語は最も広義に用いられ、ここに開示した天然GLM−Rポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。適切なアゴニスト又はアンタゴニスト分子には、特にアゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然GLM−Rポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、小有機分子等が含まれる。GLM−Rポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法は、GLM−Rポリペプチドと候補アゴニスト又はアンタゴニスト分子を接触させ、通常はGLM−Rポリペプチドに関連している一つ又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含みうる。
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる服用量及び濃度でそれらに曝露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)を含む。
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して命名された残留「Fc」断片を産生する。抗体のペプシン処理により、単一のF(ab')2断片が生じ、これは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合させることができるものである。
またFab断片は軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されている点でFab'断片と相違する。Fab'-SHは、ここでは定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離のチオール基を持つFab'を表す。F(ab')2抗体断片は、通常は間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生成される。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに分類される。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMという5つの主要なクラスがあり、これらの一部は更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分けられる。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原-結合部位を有する小さな抗体断片を意味し、この断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)中に軽鎖可変ドメイン(VL)と連結した重鎖可変ドメイン(VH)を有する。同一鎖状の2つのドメイン間における対形成が可能となるのに十分に短いリンカーを使用することにより、ドメインは強制的に別の鎖の相補的なドメインと対形成され、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開93/11161号;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993) に更に詳細に記載されている。
特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに「特異的に結合する」又は「特異的な」抗体は、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに対し、それ以外のポリペプチド又はポリペプチドエピトープには実質的に結合することなく、結合するものを意味する。
「固相」とは、本発明の抗体が接着できる非水性マトリクスを意味する。ここに包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、径調整ガラス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む。ある実施態様では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェル;その他では精製用カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)を含むことができる。また、この用語は、米国特許第4275149号に記載されたような別々の粒子の不連続な固相も含む。
「小分子」は約500ダルトン未満の分子量を持つとしてここで定義される。
GLM−R XXXXXXXXXXXXXXX (長さ=15アミノ酸)
比較タンパク質 XXXXXYYYYYYY (長さ=12アミノ酸)
%アミノ酸配列同一性 =
(ALIGN-2によって決定された通りに、2つのポリペプチド配列の間で同一であったアミノ酸残基の数) ÷ (GLM−Rポリペプチドの全アミノ酸残基数)
= 5÷15 = 33.3%
GLM−R XXXXXXXXXX (長さ=10アミノ酸)
比較タンパク質 XXXXXYYYYYYZZYZ (長さ=15アミノ酸)
%アミノ酸配列同一性 =
(ALIGN-2によって決定された通りに、2つのポリペプチド配列の間で同一であったアミノ酸残基の数) ÷ (GLM−Rポリペプチドの全アミノ酸残基数)
= 5÷10=50%
GLM−R−DNA NNNNNNNNNNNNNN (長さ=14ヌクレオチド)
比較DNA NNNNNNLLLLLLLLLL (長さ=16ヌクレオチド)
%核酸配列同一性 =
(ALIGN-2によって決定された通りに、2つの核酸配列の間で同一であったヌクレオチドの数) ÷ (GLM−R−DNA核酸配列のヌクレオチドの数)
= 6÷14=42.9%
GLM−R−DNA NNNNNNNNNNNN (長さ=12ヌクレオチド)
比較DNA NNNNLLLVV (長さ=9ヌクレオチド)
%核酸配列同一性 =
(ALIGN-2によって決定された通りに、2つの核酸配列の間で同一であったヌクレオチドの数) ÷ (GLM−R−DNA核酸配列のヌクレオチドの数)
= 4÷12=33.3%
本発明は、I型レセプターに典型的なアーキテクチャー及びその構造的特徴を示す新規な分子を開示するものである。該新規分子はこのレセプターファミリーに既知のメンバー、特にgp130及びGCSF−Rと、有意な相同性を共有しており、ヒト染色体5及びマウス染色体13のgp130に物理的に非常に近いところに見いだされる。
GLM−Rは活性化された単球上に優勢に発現することが分かった。この発見を支持する事実として、GLM−Rは2つの単球細胞系、TMP−1とU937に発現するが、リンパ系及び骨髄由来の多くのその他細胞系には発現しない。更に、LPS及びIFN−γによる刺激によってGLM−Rの強い誘発が単球及び2つの細胞系(示さない)に見られた。総合すると、これら発現データは、単球と場合によってはマクロファージがこのレセプターの生理学的活性の部位であると思われることを示し、それら細胞内におけるその機能のさらなる分析を促すものである。単球中での発現は、胸腺と骨髄で検出されるGLM−Rレベルの上昇を説明する。一方、精巣及び前立腺中でのGLM−Rの存在は、それが免疫系外の付加的な機能であることを示す。
GLM−RはSTAT−3を優先的に活性化する一方、STAT−5の活性化は小さいが検出可能であった。これら2つのタンパク質は、骨髄細胞において大きく異なる機能を有していることが示された。構成的に活性なSTAT−5a又はSTAT−5bの強制的発現により、BaF3細胞の因子非依存性及び骨髄分化[Nosaka等, Embo J. 18(17):4754-65 (1999)]、並びにM1細胞のマクロファージ分化[Kawashima等, J. Immunol. 167(7):3652-60 (2001)]が得られる一方、STAT−5aが欠損したマクロファージは、GM−CSFにより誘発される増殖及び遺伝子発現の欠陥を示した。Feldman等, Blood 90(5):1768-76 (1997)。更に、単球を含む、全ての血液細胞系統の再増殖は、野生型細胞の代わりにSTAT−5a−/−5b−/−骨髄細胞を移植片として使用して致命的に照射を受けた動物を救おうとしたとき、大きく損なわれた。Bunting等, Blood 99(2):479-487 (2002)。総合すると、これらのデータにより、STAT−5が単球/マクロファージの発達及び増殖において重要な役割を果たすことが示唆される。一方、STAT−3は、主にIL−10により担われる機能であるマクロファージ活性化のネガティブ制御に関わっていると思われる。Riley等, J. Biol. Chem. 274(23), 16513-16521 (1999), O’Farrel等, Embo. J. 17(4):1006-18 (1998)。マクロファージ及び好中球においてSTAT−3が組織特異的に削除されているマウスモデルでは、マクロファージは恒常的に活性化されており、それは、IL−10欠損マウスに類似の表現型であるインビボTh1細胞(Takeda等, Immunity 10(1):39-49 (1999))の活性化により慢性的全腸炎を引き起こした。Kuhn等, Cell 75(2):263-74 (1993)。
総合すると、我々のデータは、GLM−Rが恐らく単球に及び場合によってはマクロファージにも作用するまだ知られていない螺旋状サイトカインのレセプターであることを示すものである。レセプターをツールとして使用することにより、うまく行けば、GLM−Rの生物学的機能を更に理解するのに重要なこのリガンドを同定することが可能である。
本発明は、本出願でGLM−R(或いはPRO21073又はUNQ6368)と呼ばれるポリペプチドをコードする新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に下記の実施例で更に詳細に説明するように、種々のGLM−RポリペプチドをコードするcDNAが同定され単離された。別々の発現ラウンドで生成されたタンパク質には異なるPRO番号が与えられるが、UNQ番号は全ての与えられたDNA及びコード化タンパク質に独特であり、変わることはないことを記しておく。しかしながら、単純化のために、本明細書において、DNA173920−2924にコードされるタンパク質並びに上記のGLM−R(時にPRO21073と称される)の定義に含まれるさらなる天然相同体及び変異体は、それらの起源又は調製形式に関わらず、「GLM−R」で呼称する。
下記の実施例に開示するように、本明細書でDNA173920−2924と命名するcDNAクローンをATCCに寄託している。これらのクローンの正確なヌクレオチド配列は、この分野で日常的な方法を用いて寄託されたクローンを配列決定することにより容易に決定することができる。予測されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から常套的技量を用いて決定できる。ここに記載したGLM−Rポリペプチド及びコード化核酸について、本出願人は、現時点で入手可能な配列情報と最も良く一致するリーディングフレームであると考えられるものを同定した。
ここに記載した全長天然配列GLM−Rポリペプチドに加えて、GLM−R変異体も調製できると考えられる。GLM−R変異体は、GLM−R DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいは所望のGLM−Rポリペプチドを合成することにより調製できる。当業者は、グリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などのアミノ酸変化がGLM−Rの翻訳後プロセスを変えうることを理解するであろう。
天然完全長配列GLM−R又はここに記載したGLM−Rの種々のドメインにおける変異は、例えば、米国特許第5364934号に記載されている保存的及び非保存的変異についての任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、結果として天然配列GLM−Rと比較してGLM−Rのアミノ酸配列が変化するGLM−Rをコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は少なくとも1つのアミノ酸のGLM−Rの一又は複数のドメインの任意の他のアミノ酸による置換である。いずれのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失されるかの指針は、GLM−Rの配列を相同性の知られたタンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内でなされるアミノ酸配列変化を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸の類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸での置換、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果とすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内とすることができる。許容される変異は、配列においてアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、得られた変異体を下記の実施例に記載するインビトロアッセイの任意のもので活性について試験することにより決定される。
GLM−R断片は、多くの従来技術の任意のものによって調製してよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法は、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基によって決定される部位のタンパク質を切断することが知られた酵素でタンパク質を処理することにより、あるいは適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによるGLM−R断片の生成を含む。更に他の好適な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、所望のポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することを含む。DNA断片の所望の末端を決定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、GLM−Rポリペプチド断片は、図2(配列番号2)に示した天然GLM−Rポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
表6
元の残基 例示的置換 好ましい置換
Ala(A) val; Leu; ile val
Arg(R) lys; gln; asn lys
Asn(N) gln; his; lys; arg gln
Asp(D) glu glu
Cys(C) ser ser
Gln(Q) asn asn
Glu(E) asp asp
Gly(G) pro; ala ala
His(H) asn; gln; lys; arg arg
Ile(I) leu; val; met; ala; phe;
ノルロイシン leu
Leu(L) ノルロイシン; ile; val;
met; ala; phe ile
Lys(K) arg; gln; asn arg
Met(M) leu; phe; ile leu
Phe(F) leu; val; ile; ala; tyr leu
Pro(P) ala ala
Ser(S) thr thr
Thr(T) ser ser
Trp(W) tyr; phe tyr
Tyr(Y) trp; phe; thr; ser phe
Val(V) ile; leu; met; phe;
ala; ノルロイシン leu
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、又はより好ましくは残された(非保存)部位に導入されうる。
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である[Cuningham及びWells, Science, 244: 1081-1085 (1989)]。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。更に、それは埋もれた及び露出した位置の両方に見られることが多い[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)]。アラニン置換が十分な量の変異体を生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
GLM−Rの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の一型は、GLM−Rポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、GLM−Rの選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることである。二官能性試薬での誘導体化が、例えばGLM−Rを水不溶性支持体マトリクスあるいは抗GLM−R抗体の精製方法又はその逆で用いるための表面に架橋させるのに有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチルへの脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
GLM−Rポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はアミノ酸配列の変更を伴ってもよい。この変更は、例えば、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列GLM−R(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。GLM−Rアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、GLM−RポリペプチドをコードするDNAを予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。
GLM−Rポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的となるアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
GLM−Rの共有結合的修飾の他の型は、米国特許第4640835号;第4496689号;第4301144号;第4670417号;第4791192号又は第4179337号に記載された方法で、種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへGLM−Rポリペプチドを結合させるものである。
一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとGLM−Rとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはGLM−Rのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなGLM−Rのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってGLM−Rを容易に精製できるようにする。種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体はこの分野で良く知られている。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ-His)又はポリ−ヒスチジン−グリシン(poly-his-gly)タグ;fluHAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等, Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988)];c−mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等, Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等, Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等, BioTechnology, 6:1204-1210 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等, Science, 255:192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等, J. Biol. Chem., 266:15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397 (1990)]を含む。
他の実施態様では、キメラ分子はGLM−Rの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域に換えてGLM−Rポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5428130号を参照のこと。
以下の説明は、主として、GLM−R核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することによりGLM−Rを生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてGLM−Rを調製することも考えられる。例えば、GLM−R配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。GLM−Rの種々の部分は、別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて完全長GLM−Rを生産してもよい。
GLM−RをコードするDNAは、GLM−RmRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリーから得ることができる。従って、ヒトGLM−R DNAは、実施例に記載されるように、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることができる。またGLM−R-コード化遺伝子は、ゲノムライブラリーから又は公知の合成方法(例えば、自動化核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリーは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(GLM−Rに対する抗体又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。GLM−Rをコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrook等,上掲;Dieffenbach等, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、GenBank等の公共データベース又は個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可能とされている既知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内又は全長に渡っての(アミノ酸又は核酸レベルのいずれかでの)配列同一性は、この分野で知られ、ここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されなかったmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrook等に記述されているような従来のプライマー伸展法を使用し、選択されたcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得られる。
宿主細胞を、ここに記載したGLM−R生産のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及び 上掲のSambrook等に見出すことができる。
原核生物細胞形質移入及び真核生物細胞形質移入の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開のWO89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4399216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
グリコシル化GLM−Rの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より詳細な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATTC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は、この分野の技術常識内にある。
GLM−Rをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
GLM−Rは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるGLM−Rコード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5010182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP362179)、又は1990年11月15日に公開されたWO90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
発現及びクローニングベクターは、通常、GLM−R-コード化核酸配列に作用可能に結合し、mRNA合成を制御するプロモーターを含む。種々の可能な宿主細胞により認識される好適なプロモーターが知られている。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Cahng等, Nature, 275:615 (1978); Goeddel等, Nature, 281:544 (1979)]、アルカリフォスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); EP 36,776]、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター[deBoer 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたGLM−RをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を含む。
成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸フォスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域である。酵母菌での発現に好適に用いられるベクターとプロモータは更にEP73657に記載されている。
より高等の真核生物によるGLM−RをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、GLM−Rコード化配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
組換え脊椎動物細胞培養でのGLM−Rの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293:620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281:40-46 (1979); EP 117,060; 及びEP 117,058に記載されている。
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリダイゼーション法によって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA−RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列GLM−Rポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はGLM−R DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
GLM−Rの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X(登録商標)100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。GLM−Rの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
GLM−Rを、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及びGLM−Rのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher, Methodes in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製工程は、例えば、用いられる生産方法及び生産される特定のGLM−Rの性質に依存する。
本発明のGLM−Rをコードする核酸配列(又はそれらの相補鎖)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用を含む分子生物学の分野において、染色体及び遺伝子マッピングにおいて、及びアンチセンスRNA及びDNAの生成において種々の用途を有している。また、GLM−R核酸も、ここに記載される組換え技術によるGLM−Rポリペプチドの調製に有用であろう。
完全長天然配列GLM−R DNA(配列番号1)、又はその一部は、完全長GLM−R cDNAの単離、又は図1(配列番号1)に開示されたGLM−R配列と所望の配列同一性を有するその他cDNA(例えば、GLM−Rの天然に生じる変異体又は他の種からのものをコードするもの)の単離のためのcDNAライブラリー用のハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリダイゼーションプローブは、配列番号1のヌクレオチド配列の新規領域から少なくとも部分的に得ることができ、そのような領域は、過度の実験を行うことなく、又は天然配列GLM−Rのプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から決定できる。例えば、スクリーニング法は、GLM−R遺伝子のコード化領域を周知のDNA配列を用いて単離して約40塩基の選択されたプローブを合成することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32P又は35S等の放射性ヌクレオチド、又はアビディン/ビオチン結合系を介してプローブに結合したアルカリホスファターゼ等の酵素標識を含む種々の標識で標識されうる。本発明のGLM−R遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、ヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのライブラリーの何れのメンバーがプローブにハイブッド形成するかを決定するのに使用できる。ハイブリダイゼーション技術は、以下の実施例において更に詳細に記載する。
GLM−R核酸のその他有用な断片には、標的GLM−R mRNA(センス)又はGLM−R DNA(アンチセンス)配列に結合可能な一本鎖核酸配列(RNAかDNAの何れか)を含んでなるアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。本発明に係るアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、GLM−R DNAのコード領域の断片を含んでなる。そのような断片は一般に少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14から30ヌクレオチドを含む。所定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを引き出す能力は例えばSteinとCohen, Cancer Res. 48:2659(1988)及びvan der Krol等, Bio Techniques 6:958 (1988)に記載されている。
核酸配列を標的とするアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの結合により、二重鎖の分解の増強、転写又は翻訳の早期停止を含む幾つかの手段の一つ、あるいは他の手段を含む複数の方法の1つにより標的配列の転写又は翻訳を阻止する二重鎖が形成される。しかしてアンチセンスオリゴヌクレオチドがGLM−Rタンパク質の発現を阻止するために使用されうる。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは更に変更された糖−ホスホジエステル骨格(あるいはWO91/06629に記載されているもののような他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを含み、ここで、そのような糖結合は内因性ヌクレアーゼに対して耐性である。耐性糖結合を持つそのようなオリゴヌクレオチドはインビボで安定である(すなわち、酵素分解に抗しうる)が、標的ヌクレオチド配列に結合可能な配列特異性を保持している。
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、例えばCaPO4媒介DNA形質移入、エレクトロポレーションを含む任意の遺伝子導入法により、又はエプスタイン・バーウイルスのような遺伝子導入ベクターを使用して、標的核酸配列を含む細胞中に導入することができる。好適な手順では、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは適切なレトロウィルスベクター中に挿入される。標的核酸配列を含む細胞がインビボかエキソビボで組み換えレトロウィルスベクターと接触させられる。限定されるものではないが、好適なレトロウィルスベクターには、マウスレトロウルスM-MuLV由来のもの、N2(M-MulV由来のレトロウィルス)、又はDCT5A、DCT5B及びDCT5Cと命名された二重コピーベクターが含まれる(WO90/13641を参照)。
あるいは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO90/10448に記載されたように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により標的核酸配列を含む細胞内に導入されうる。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド-脂質複合体は好ましくは内因性リパーゼにより細胞内で分離される。
また、プローブをPCR技術で用いて、密接に関連したGLM−R配列の同定のための配列のプールを産生することができる。
GLM−Rをコードする核酸配列は、また、そのGLM−Rをコードする遺伝子のマッピングのため、及び遺伝子障害を持つ個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブを作成するために用いることができる。ここに提供されるヌクレオチド配列は、インサイツハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する結合分析、及びライブラリーでのハイブリダイゼーションスクリーニング等の周知の技術を用いて、染色体及び染色体の特定領域にマッピングすることができる。
生細胞に核酸を導入するために利用できる様々な技術がある。その技術は、核酸がインビトロで培養細胞中に移されるか、又は意図した宿主の細胞中にインビボで移されるかに依存して変わる。哺乳動物細胞へのインビトロでの核酸の移送に好適な技術には、リポソームの使用、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法等々が含まれる。現在好適なインビボでの遺伝子移送技術には、ウィルス(典型的にはレトロウィルス)ベクターでの形質移入とウィルスコートタンパク質−リポソーム媒介形質移入(Dzau等, Trends in Biotechnology 11:205-210[1993])が含まれる。ある状況では、核酸源に標的細胞をターゲッティングする薬剤、例えば細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に対して特異的な抗体、標的細胞上のレセプターに対するリガンドを提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質は、例えば特定の細胞型向けのキャプシドタンパク質又はその断片、サイクリングにおいて内部移行を受けるタンパク質の抗体、細胞内局在化を標的にし、細胞内半減期を亢進するタンパク質を標的とする、及び/又は取り込みを容易にするために使用しうる。レセプター媒介エンドサイトーシスの技術は、例えばWu等, J. Biol. Chem. 262:4429-4432 (1987);及びWagner等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3410-3414(1990)に記載されている。遺伝子作成及び遺伝子療法プロトコールについてはAnderson等, Science 256:808-813 (1992)を参照されたい。
ここに記載したGLM−Rポリペプチド又はその断片をコードする核酸分子は染色体の同定のために有用である。この点において、実際の配列データに基づく染色体標識試薬はごくわずかしか現在は利用できないので、新しい染色体マーカーを同定する必要性が以前より存在する。本発明のGLM−R核酸分子は染色体マーカーとして使用することができる。
本発明のGLM−Rポリペプチドと核酸分子はまた組織分類に対して使用することもでき、ここで本発明のGLM−Rポリペプチドは他のものと比較してある組織に差次的に発現されうる。GLM−R核酸分子はPCR法、ノーザン分析法、サザン分析法及びウェスタン分析法に用途が見出される。
ここで、本発明の製薬組成物は一般に、無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを持つ静脈内バッグ又はバイアル内に配される。
投与経路は周知の方法、例えば、静脈内、腹膜内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内又は病巣内経路での注射又は注入、局所投与、又は徐放系による。
本発明の製薬組成物の用量及び望ましい薬物濃度は、意図する特定の用途に応じて変化する。適切な用量又は投与経路の決定は、通常の内科医の技量の範囲内である。動物実験は、ヒト治療のための有効量の決定についての信頼できるガイダンスを提供する。有効量の種間スケーリングは、Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi等, 編, Pergamon Press, New York 1989, pp. 42-96のMordenti, J. 及びChappell, W. 「The use of interspecies scaling in toxicokinetics」に記載された原理に従って実施できる。
GLM−Rポリペプチド又はモジュレーターの投与を必要とする任意の疾患又は疾病の治療に適した放出特性を持つ製剤でGLM−Rポリペプチド又はモジュレーターの持続放出が望まれる場合、マイクロカプセル化が考えられる。持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン(rhIFN-)、インターロイキン-2、及びMNrgp120で成功裏に実施されている。Johnson等, Nat. Med., 2: 795-799 (1996); Yasuda, Biomed. Ther., 27: 1221-1223 (1993); Hora等, Bio/Technology, 8: 755-758 (1990); Cleland, 「Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polyactide Polyglycolide Microsphere Systems」Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell 及び Newman編, (Plenum Press: New York, 1995), p. 439-462; WO97/03692、WO96/40072、WO96/07399;及び米国特許第5654010号。
GLM−R及びGLM−Rを有する組成物は好ましくはインビボで使用される。しかし、上述のように、GLM−Rのモジュレーターのスクリーニングについて後述する方法の場合のように、インビトロで投与することもできる。動物モデル及び患者からの試料を使用することによりGLM−Rのモジュレーターも同定可能であることを理解されたい。
このアッセイは、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、及び細胞ベースのアッセイで、この分野で知られたものを含む種々の方式で実施される。
アンタゴニストについての全てのアッセイは、それらが候補薬をここで同定された核酸にコードされるGLM−Rポリペプチドと、これら2つの成分が相互作用するのに十分な条件下及び時間で接触させることを必要とすることにおいて共通する。
結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離されるか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここに同定された遺伝子にコードされるGLM−Rポリペプチド又は候補薬が、共有又は非共有結合により固相、例えばマイクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、一般的に固体表面をGLM−Rポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成される。あるいは、固定化されるGLM−Rポリペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノクローナル抗体を、それを固体表面に固着させるために用いることができる。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識抗体によって検出できる。
アンタゴニストを検定するために、GLM−Rポリペプチドを特定の活性についてスクリーニングする化合物とともに添加してよく、GLM−Rポリペプチド存在下での対象とする活性を阻害する化合物の能力が化合物がGLM−Rポリペプチドのアンタゴニストであることを示す。あるいは、アンタゴニストは、GLM−Rポリペプチド及び膜結合GLM−Rポリペプチドレセプター又は組換えレセプターを持つ潜在的アンタゴニストを、競合的阻害アッセイに適した条件下で結合させることにより検出してもよい。GLM−Rポリペプチドは、放射性等で標識でき、レセプターに結合したGLM−Rポリペプチドの数を潜在的アンタゴニストの有効性を決定するのに使用できる。レセプターをコードする遺伝子は、当業者に知られた多くの方法、例えばリガンドパンニング及びFACSソートにより同定できる。Coligan等, Current Protocols in Immun., 1(2): Chapter 5 (1991)。好ましくは、発現クローニングが用いられ、ポリアデニル化RNAがGLM−Rポリペプチドに反応性の細胞から調製され、このRNAから生成されたcDNAライブラリーがプールに分配され、COS細胞又はGLM−Rポリペプチド反応性でない他の細胞の形質移入に使用される。スライドガラスで成長させた形質移入細胞を標識したGLM−Rポリペプチドに暴露する。GLM−Rポリペプチドは、部位特異的タンパク質キナーゼの認識部位の包含又はヨウ素化を含む種々の手段で標識できる。固定及びインキュベーションの後、スライドにオートラジオグラフィ分析を施す。ポジティブプールを同定し、相互作用サブプール化及び再スクリーニング工程を用いてサブプールを調製して再形質移入し、結果的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生成する。
レセプター同定の代替的方法として、標識化GLM−Rポリペプチドをレセプター分子を発現する細胞膜又は抽出調製物に光親和性結合させることができる。架橋材料はPAGEに溶解させ、X線フィルムに暴露する。レセプターを含む標識複合体を励起し、ペプチド断片に分離し、タンパク質マイクロ配列決定を施すことができる。マイクロ配列決定から得たアミノ酸配列は、推定レセプターをコードする遺伝子を同定するためのcDNAライブラリーをスクリーニングする分解性オリゴヌクレオチドプローブの組の設計に用いられる。
潜在的なアンタゴニストのより特定的な例は、免疫グロブリンとGLM−Rポリペプチドとの融合体に結合するオリゴヌクレオチド、特に、限られないが、ポリクローナル及びモノクローナル抗体及び抗体断片、一本鎖抗体、抗-イディオタイプ抗体、及びこれらの抗体又は断片のキメラ又はヒト化形態、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。あるいは、潜在的アンタゴニストは、密接に関連したタンパク質、例えば、レセプターを認識するが効果を与えず、従ってGLM−Rポリペプチドの作用を競合的に阻害するGLM−Rポリペプチドの変異形態であってもよい。
競合的結合アッセイを実施する本明細書の一実施形態では、GLM−Rレセプター又はGLM−Rに対する抗体をコンペティターとして使用できる。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、ついでヌクレオチド鎖切断的切断により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、Rossi, Current Biology 4: 469-471 (1994)及びPCT公報WO97/33551(1997年9月18日公開)を参照。
転写阻害に用いられるトリプルヘリックス形成における核酸分子は一本鎖でデオキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、フーグスチン塩基対則によるトリプルヘリックス形成を促進するように設計され、それは一般に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのサイズ変更可能な伸展を必要とする。さらなる詳細は、例えば、上掲のPCT公報WO97/33551を参照。
これらの小分子は、上記で議論したスクリーニングアッセイの一又は複数の任意のものにより及び/又は当業者に良く知られた他の任意のスクリーニング技術により同定できる。
候補薬剤は、主として有機分子であるが、多くの化学物質を包含し、好ましくは100を越え、約2500ダルトン(d)より小さい分子量を有する小有機化合物である。小分子は、ここで更に、50dと2000dの間の分子量を有すると定義される。別の実施形態では、小分子は1500より小さい、又は1200より小さい、又は1000より小さい、又は750より小さい、又は500dより小さい分子量を有する。一実施形態では、ここで用いられる小分子は、約100から200dの分子量を有する。候補薬剤は、タンパク質との構造的な相互作用に必要な官能基を含み、特には水素結合、通常は、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシ又はカルボキシ基、好ましくは少なくとも2つの官能基を含む。候補薬剤は、1つ又は複数の上記の官能基で置換された環状炭素又はヘテロ環状構造及び/又は芳香族又は多芳香族構造を頻繁に含む。また、候補薬剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はその組み合わせの中に見出される。特に好まれるのはペプチドである。
好ましい実施態様では、候補生物活性薬剤はタンパク質である。ここで「タンパク質」によってとは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド及びペプチドを含む、少なくとも2つの共有結合的に結合しているアミノ酸を意味する。このタンパク質は、天然発生アミノ酸及びペプチド結合、又は合成ペプチド模倣構造で構成されうる。従って、ここで用いられる「アミノ酸」、又は「ペプチド残基」とは、天然発生及び合成アミノ酸の双方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン及びノルロイシンは、本発明の目的のアミノ酸であると考えられている。また、「アミノ酸」は、プロリン及びヒドロキシプロリンのようなアミノ酸残基を含む。その側鎖は、(R)又は(S)配置の何れかである。好ましい実施形態では、このアミノ酸は(S)又はL−配置である。非天然発生側鎖が用いられる場合には、非アミノ酸置換基が、例えばインビボでの分解を防いだり、遅くしたりすることに用いられてもよい。
好ましい実施形態では、候補生物活性剤は、約5から約30アミノ酸のペプチドで、約5から約20アミノ酸が好まれ、そして約7から約15が特に好まれる。このペプチドは、上記で概説したように、ランダムペプチド、又は「偏向(biased)」ランダムペプチドで、天然発生タンパク質の消化物でありうる。「ランダム化」又は文法的に同等な表現は、各核酸及びペプチドが、基本的に、各々ランダムヌクレオチド及びアミノ酸で構成されていることを意味する。一般的に、これらランダムペプチド(又は核酸、下記にて記載)は化学的に合成されることから、それらは、任意のヌクレオチド又はアミノ酸を任意の位置へ取り入れうる。この合成工程は、ランダム化タンパク質又は核酸を生成し、配列の長さにわたってすべて又は殆どの可能性ある組み合わせの形成を許容するために設計することができ、故にランダム化候補生物活性タンパク質性剤のライブラリーを形成する。
好ましい実施形態では、候補生物活性剤は核酸である。「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は文法的に同等の表現は、少なくとも2つのヌクレオチドが共有結合的に結合していることを意味する。本発明の核酸は、概してリン酸ジエステル結合を含んでいるが、下記に概説するように、場合によっては、代替バックボーンを有しうる核酸類似体が含まれ、この代替バックボーンは、例えば、ホスホルアミド(Beaucageら, Tetrahedron 49(10): 1925(1993)及びその参考文献;Letsinger, J. Org. Chem. 35:3800(1970);Sprinzlら, Eur. J. Biochem. 81:579(1977);Letsingerら, Nucl. Acids Res. 14:3487(1986);Sawaiら, Chem. Lett. 805(1984), Letsingerら, J. Am. Chem. Soc. 110:4470(1988);及びPauwelsら, Chemica Scripta 26:141 (1986))、ホスホロチオエート(Magら, Nucleic Acids Res. 19:1437(1991);及び米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオアート(Briuら, J. Am. Chem. Soc. 111: 2321(1989))、O−メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Press参照)、及びペプチド核酸バックボーン及び結合(Egholm, J. Am. Chem. Soc. 114:1895(1992);Meierら, Chem. Int. Ed. Engl. 31:1008(1992);Nielsen, Nature, 365:566(1993);Carlssonら, Nature 380:207(1996)、すべて参考文献として取り入れる)を含んでなる。他の類似核酸は、ポジティブ(陽性)バックボーン(Denpcyら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6097(1995);非イオンバックボーン(米国特許第5386023号、第5637684号、第5602240号、第5216141号及び第4469863号;Kiedrowshiら, Angew. Chem. Intl.( Ed. English) 30:423(1991);Letsingerら, J. Am. Chem. Soc. 110:4470(1988);Letsingerら, Nucleoside & Nucleotide 13: 1597(1994);第2章及び3章、ASC Symposium Series 580,「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」, Ed. Y.S. Sanghui 及びP. Dan Cook;Mesmaekerら, Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4:395(1994);Jeffsら, J. Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett. 37:743(1996))並びに非リボゾームバックボーンを含み、それらは米国特許第5235033号及び第5034506号、及び第6及び7章、ASC Symposium Series 580, 「Carbohydrate Modification in Antisense Research」, Ed. Y.S. Sanghui及びP. Dan Cookに記載のものを含む。1つ又は複数の炭素環糖を含む核酸もまた、核酸の定義に含まれる(Jenkinsら, Chem. Soc. Rev.(1995)pp169-176)。幾つかの核酸類似体は、Rawls, C & E News June 2, 1997 35ページに記載されている。これら参考文献のすべては、ここで参照することにより本明細書に明確に取り入れる。リボース−リン酸バックボーンの修飾は、標識のような付加的物質の付加を容易にするためか、又は生理的環境下におけるそのような分子の安定性と半減期を増すために施される。更には、天然発生核酸と類似体の混合物を作製することができる。あるいは、異なる核酸類似体の混合物、及び天然発生核酸と類似体の混合物を作製してもよい。この核酸は、仕様としては、一本鎖又は二本鎖でもよく、或いは二本鎖又は一本鎖配列の双方の部分を含んでもよい。この核酸が任意のデオキシリボ-及びリボ-ヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどを含む任意の塩基の組み合わせを含む場合には、この核酸は、DNA、ゲノム及びcDNAの双方、RNA又はハイブリッドでよい。
好ましい実施形態では、候補生物活性剤は、有機化学的物質であり、その幅広い多くのものを文献から得ることが可能である。
上記にて概説した好ましい実施形態では、個々の遺伝子と遺伝子の産物(タンパク質)についてスクリーニングを行ってもよい。好ましい実施態様では、遺伝子又はタンパク質は、特定の組織、つまりこれら組織に関連している状態と関連して別々に発現した遺伝子であり、下記の実施例に記載されているように同定された。従って、一実施形態では、スクリーニングは、GLM−Rに結合できる候補薬剤を最初に見出すように設計され、ついで、候補薬剤のGLM−R活性を調節する能力を評価するアッセイに、これら薬剤を用いることができる。従って、当該分野において認識されているように、実行し得る多数の方法がある。
従って、この実施形態では、これらの方法は、試料と候補生物活性剤を組み合わせること、並びにGLM−R活性への効果を評価することを含む。「GLM−Rタンパク質活性」又は本明細書における文法的に同等の用語は、上述した、GLM−Rタンパク質の生物学的活性の少なくとも1つを表す。
本発明の一態様では、GLM−Rに対する薬剤候補物質の効果を評価することで、GLM−R配列を含む細胞は薬剤スクリーニングアッセイで用いられる。細胞型は、正常細胞、腫瘍細胞、及び脂肪細胞を含む。
グルコース取り込み、レプチン放出、新陳代謝、トリグリセリド及び遊離脂肪酸レベル、体重及び体脂肪の変化などのGLM−R活性を評価する方法は、当該分野で知られており、下記の実施例において例示されている。
一態様では、このアッセイは、例えばホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、成長因子、活動電位、化学療法剤を含む薬理学的薬剤、放射線、発癌物質、又は他の細胞(すなわち、細胞間接触)などの生理学的シグナルの存在下又は非存在下での、又は先だっての又は後での曝露で評価される。別の実施例では、測定は、細胞周期プロセスの異なった段階で行われる。
また、ここで提供されるGLM−R配列は、診断方法で用いることができる。GLM−Rの過剰発現は異常に高い代謝速度を示し、発現不足は肥満症及びそれに関連する障害の傾向を示す。更には、変異又は機能失調のGLM−Rに関して、患者からの試料を分析してもよい。一般的には、そのような方法は、患者からの試料を比較すること、及びGLM−Rの発現を対照群の発現と比較することを含む。
本発明は抗GLM−R抗体を更に提供する。抗体の例には、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、及び異種抱合抗体が含まれる。
抗GLM−R抗体はポリクローナル抗体を含んでよい。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免疫化剤は、GLM−Rポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
あるいは、抗GLM−R抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
免疫化剤は、典型的には断片を含むGLM−Rポリペプチド、又はその融合タンパク質を含む。一般にヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用されるか、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。ついで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化細胞系と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化細胞系は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞系が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
ついでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、GLM−Rに対するモノクローナル抗体の存在について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定することができる。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製される。
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られている。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意のポイントで切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成できる。
本発明の抗GLM−R抗体は、更にヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmannら, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合において、結合特異性の一方はGLM−Rポリペプチドに対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日公開のWO93/08829、及びTrauneckerら, EMBO J.,10:3655-3659 (1991)に開示されている。
WO96/27011に記載された他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセントを最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置換される。大きな側鎖と同じ又はより小さいサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(アラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモ二量体のような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
大腸菌からFab'フラグメントを直接回収でき、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら, J. Exp. Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子の製造を記述している。各Fab'フラグメントは大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒトT細胞及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら,J. Immunol. 147:60(1991)。例示的二重特異性抗体は、任意のGLM−Rタンパク質上の2つの異なるエピトープに結合しうる。あるいは、抗GLM−Rポリペプチドアームは、T細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28又はB7)等の白血球上のトリガー分子、又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgGのFcレセプター(FcγR)に結合するアームに結合し、細胞防御メカニズムを特定のGLM−Rポリペプチド発現細胞に集中するようにしてもよい。二重特異性抗体は、特定のGLM−Rポリペプチドを発現する細胞に対する局所的細胞毒性薬として使用してもよい。これらの抗体は、GLM−R結合アーム及び細胞毒性薬又はキレート化剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTA、又はTETAに結合するアームを有する。他の対象とする二重特異性抗体は、GLM−Rポリペプチドに結合し、更に組織因子(TF)に結合する。
ヘテロ抱合抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロ抱合抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染の治療のために[WO91/00360;WO92/200373;EP03089]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第46767980号に開示されているものが含まれる。
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えばガンの治療における抗体の効能を増強することが望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に導入して、この領域における鎖間ジスルイド結合を形成させる。このようにして産生されたホモダイマー抗体は改善されたインターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を有しうる。Caronら, J. Exp. Med. 176:1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照されたい。抗腫瘍活性が高められたホモダイマー抗体は、Wolffら, Cancer Research 53:2560-2565(1993)に記載されているようなヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製することもできる。あるいは二重Fc領域を有し、よって増強された補体溶解及びADCC能を有しうる抗体を設計することができる。Stevensonら, Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照。
本発明はまた、化学治療薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞毒性薬、あるいは放射性同位体(即ち、放射性抱合)に抱合された抗体を含む免疫複合体にも関する。
このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬は上記した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria oficinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)を含む。様々な放射性ヌクレオチドが放射性抱合抗体の生成に利用可能である。例として212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
他の実施態様では、腫瘍の予備標的化で使用するために、抗体は「レセプター」(ストレプトアビジン等)に抱合されてもよく、抗体-レセプター複合体は患者に投与され、ついで清澄化剤を用いて未結合複合体を循環から除去し、次に細胞毒性薬(例えば、放射性ヌクレオチド等)に抱合された「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
また、ここに開示する抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epsteinら, Proc. Natl. acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwangら, Proc. natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4485045号及び第4544545号に記載されたような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成される。リポソームは、所定サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’断片は、Martinら, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。化学治療薬(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizonら, J. National Cancer Inst. 81(19) 1484 (1989)を参照のこと。
ここで同定されるGLM−Rポリペプチドに特異的に結合する抗体、並びに上記に開示したスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、種々の疾患の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。
GLM−Rポリペプチドが細胞内であり、全抗体が阻害剤として用いられる場合、内在化抗体が好ましい。しかし、リポフェクション又はリポソームも抗体、又は抗体断片を細胞に導入するのに使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が通常は好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、又は組換えDNA技術によって生成できる(例えば、Marascoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 [1993])。ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的仮性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、細胞毒性薬、サイトカイン、化学療法剤又は成長阻害剤等、その機能を亢進する薬剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されていてもよい。これらの技術は、上掲のRemington's Pharmaceutical Scienceに開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの例は、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメート、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドの注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-(D)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、含まれる機構に依存する安定化について工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
本発明の抗GLM−R抗体は様々な有用性を有している。例えば、抗GLM−R抗体は、GLM−Rの診断アッセイ、例えばその特定細胞、組織、又は血清での発現の検出に用いられる。競合的結合アッセイ、直接又は間接サンドウィッチアッセイ及び不均一又は均一相で行われる免疫沈降アッセイ[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, CRC Press, Inc. (1987) pp. 147-158]等のこの分野で知られた種々の診断アッセイ技術が使用される。診断アッセイで用いられる抗体は、検出可能な部位で標識される。検出可能な部位は、直接又は間接に、検出可能なシグナルを生成しなければならない。例えば、検出可能な部位は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光又は化学発光化合物、あるいはアルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってよい。抗体に検出可能な部位を抱合させるためにこの分野で知られた任意の方法が用いられ、それにはHunter等 Nature, 144:945 (1962);David等, Biochemistry, 13: 1014 (1974);Pain等, J. Immunol. Meth., 40:219 (1981) ;及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)に記載された方法が含まれる。
また、抗GLM−R抗体は組換え細胞培養又は天然供給源からのGLM−Rのアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、GLM−Rに対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定化する。次に、固定化された抗体を、精製するGLM−Rを含む試料と接触させた後、固定化された抗体に結合したGLM−R以外の試料中の物質を実質的に全て除去するのに適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、GLM−Rを抗体から脱離させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
後述の実施例は例示のみを目的として開示しており、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
新規ヒトGLM−R又はそれに類似した他種、例えばマウスのGLM−Rをコードする核酸は、トランスジェニック動物又は「ノックアウト」動物のいずれかを産生することに使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えばマウス)とは、出生前、例えば胚段階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。一実施形態では、コード化マウスcDNA又はその適当な配列を使用して、確立された技術及びGLM−RをコードするDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作成するために使用されるゲノム配列に基づき、コード化ゲノムDNAをクローニングすることができる。トランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を産生する方法は、当該分野において常套的になっており、例えば米国特許第4736866号や第4870009号に記述されている。典型的には、特定の細胞を組織特異的エンハンサーでの導入遺伝子の導入の標的とし、その結果GLM−Rの産生が可能である。胚段階で動物の生殖系列に導入されたものをコードする導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、DNAコード化の発現の増大の影響を調べるために使用できる。このような動物は、例えば肥満症、悪液質、又は摂食障害など、体重関連障害に対する保護をもたらすと思われる試薬のテスター動物として使用できる。本発明のこの態様においては、動物を試薬で治療し、導入遺伝子を有する未治療の動物に比べ疾病の発症率が低ければ、疾病に対する治療上の処置の可能性が示される。
宿主動物のゲノムへの挿入のための内在遺伝子座の遺伝子ターゲティングと組み合わせてYACを使用することができる。YACを使用することの利点は、数百キロベースのDNAを宿主細胞に挿入できることである。したがって、YACクローニング媒体の使用により、かなり多くの導入遺伝子領域を含めることが可能になる。さらなる利点は、酵母において高頻度相同性組換えを利用することで、YAC上の配列を削除したり、YAC上に配列を挿入したりすることができることである。これにより、YAC導入遺伝子の設計が容易になる。
ヒト核酸を哺乳類細胞へ導入するための更に別の方法は、「微小核細胞融合」と称されている。微小核細胞融合では、欧州特許出願公開第0843961号に記載のように、ヒト染色体の一部又は全部をマウスに導入することができる。この方法により導入遺伝子が相当量の遺伝子材料を含むことになるので、特定の座位に多数の遺伝子が含まれる場合、特定の遺伝子それぞれの発現プロファイルに対して可能な制御は一般に大きくない。微小核細胞融合の別の問題点は、導入染色体の有糸分裂及び減数分裂ともに不安定なことである。例えば、導入遺伝子が免疫グロブリン遺伝子座であったとき、ヒトIgH、IgK又はその両方をコード化する導入染色体は80%に近い頻度で失われた。
本発明は、また、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患のためのGLM−R DNA、それからコード化されたポリペプチド(そのペプチド断片及びそれに対する抗体を含む)、並びにペプチド断片も目的としている。
そのような使用とは、例えば、(1)単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の予防的及び診断的評価及びそのような異常が進行する危険を有する個体の識別;(2)単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の治療方法;(3)GLM−R DNAの発現を調節する化合物の同定、(4)又はGLM−Rポリペプチドの活性を調節する化合物の同定である。更に具体的には、個体に対するそのような使用には、GLM−R突然変異の存在の検知、あるいは、野生型発現レベル、病的状態と相関する遺伝子プロフィールを有する非病的生物、又は単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の罹患率と比較したGLM−Rポリペプチドの発現過剰又は発現不足の検知を含む。
GLM−R突然変異の検出において、問題の個体由来の有核細胞をゲノム核酸の供給源として使用することができる。GLM−R発現の検出において、GLM−R DNAが発現される任意の細胞型又は組織、例えば、GLM−R DNAを発現することが本明細書で示されている組織又は細胞を使用することができる。核酸に基づく検出技術及びタンパク質に基づく検出技術の両方について後述する。
GLM−R DNA内部における突然変異又は多型は、多数の技術により検出可能である。そのようなアッセイ技術の開始点として、任意の有核細胞由来の核酸を使用し、当該技術分野で周知の標準的な核酸調製手順に従って単離することができる。
生物学的試料のハイブリダイゼーション又は増殖アッセイにゲノムDNAを使用して、点突然変異、挿入、欠失及び染色体再配列を含め、GLM−R遺伝子構造に伴う異常性を検出することができる。このようなアッセイは、サザン分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、及びPCR分析を含み、またそれらに限定されない。
培養後、アニーリングされていない核酸を核酸から取り除く:GLM−R分子ハイブリッド。ついでハイブリダイズした核酸の存在を(そのような核酸が存在する場合は)検出する。このような検出方式を使用することにより、対象とする細胞型又は組織由来の核酸を、例えば、膜、あるいはマイクロタイタプレート又はポリスチレンビーズ上の可塑性表面などの固体の担体に固定化することができる。この場合、培養後、アニーリングされていない標識核酸試薬は容易に除去される。アニーリングされ、標識された残存するGLM−R核酸試薬の検出は、当該技術分野において周知の標準的な技術を使用して行う。核酸試薬をアニーリングしたGLM−R DNA配列を正常GLM−R DNA配列に予想されるアニーリングパターンと比較することにより、GLM−R DNA突然変異が存在するかどうかを決定することができる。
患者の試料又はその他適切な細胞供給源におけるGLM−R遺伝子に特異的な核酸分子の検出のための別の診断方法は、例えばPCR(米国特許第4,683,202号に開示された実験形態)によりそれらを増幅し、それに続いて、たとえば上記に列挙した当該技術分野で周知の技術を使用して増幅分子を分析することを含む。その結果得られる増幅配列を、増幅された核酸がGLM−R遺伝子の正常なコピーのみを含む場合に予想されるものと比較することにより、GLM−R遺伝子突然変異が存在するかどうかを決定することができる。
GLM−Rエクソンを増幅するためのプライマーは、図1に示すGLM−Rのコード化及び非翻訳配列を使用することにより、当該技術分野の従来技術の1つにより常套的に設計することができる。このような増幅に関連する分析に好ましい付加的なGLM−R核酸配列は、GLM−R多型性の存在を検出する配列である。このような多型性には、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患に結びつく突然変異を示すものを含む。
この方法に使用できる多型性は、一塩基多型性、及び単純配列長多型(SSLP)制限酵素標的配列、に配列変化を伴う制限断片長多型(RFLP)を含む。例えば、米国特許第5075217号には、(dC−dA)n−(dG−dT)n短縦列反復のブロックの長さ多型性に基づくDNAマーカーが開示されている。(dC−dA)n−(dG−dT)nブロックの平均分離は、30,000−60,000bpと推定されている。接近して配置されたマーカーは高頻度の共通遺伝を示し、GLM−R遺伝子の突然変異などの遺伝子突然変異の同定、及びGLM−R遺伝子の突然変異に関連する疾病及び障害の診断に極度に有益である。
加えて、GLM−Rプローブを使用して直接RFLPを同定することができる。更に、GLM−R配列から獲得したGLM−Rプローブ又はプライマーを使用して、YAC、BAC、PAC,コスミド、ファージ、又はプラスミドなどの遺伝子クローンを単離することができる。
標準的ハイブリダイゼ―ション又は配列決定法を使用して、これらのクローンに含まれるDNAを一塩基多型性についてスクリーニングすることができる。GLM−R遺伝子発現のレベルもアッセイすることができる。例えば、GLM−R遺伝子を発現していることが分かっているか、疑われている細胞型又は組織、例えば筋肉、脳、腎臓、精巣、心臓、肝臓、肺、皮膚、視床下部、脾臓、及び脂肪性組織由来のRNAを単離し、上述のハイブリダイゼーション、又はPCR技術を使用して試験してもよい。単離される細胞は細胞培地又は患者から得てもよい。培地から取得した細胞の分析は、細胞ベース遺伝子治療技術の一部として使用されるか、あるいは、GLM−R遺伝子の発現に対する化合物の効果を試験するための、細胞の評価において必要な過程でありうる。このような分析により、GLM−R遺伝子発現の活性又は非活性を含め、GLM−R遺伝子の発現パターンの量的及び質的な面の両方を明らかにすることができる。
このような核酸試薬に好ましい長さは、少なくとも9−30ヌクレオチドである。増幅産物の検出のために、放射性的に又は非放射性的に標識したヌクレオチドを使用して核酸増幅を実行してもよい。あるいは、標準的な臭化エチジウム染色によるか、又はその他任意の適切な核酸染色法を使用することにより産物を可視化するのに十分な増幅産物を作成してもよい。
適切な細胞の十分量を取得できるのであれば、増幅技術の代替法として、標準的なノーザン分析法を実行することにより、GLM−R遺伝子のmRNA発現レベルを決定することができる。
加えて、そのようなGLM−R遺伝子発現アッセイを「インサイツ」で、つまり、細胞診又は切除術によって取得した患者組織の組織分画(固定及び/又は凍結)で直接的に実行することが可能であり、よって核酸の精製が不要である。ここに開示するような核酸試薬を、そのようなインサイツ処理においてプローブ及び/又はプライマーとして使用してもよい(例えば、Nuovo, G.J., 1992年、"PCR In Situ Hybridization: Protocols and Applications", Raven Press, NY参照)。
天然配列、変異体、及びそのポリペプチド断片を含むGLM−R遺伝子産物の検出に、そのようなGLM−R遺伝子産物に対する抗体を使用してもよい。このような抗GLM−R抗体は、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の診断及び予後に使用してもよい。GLM−R遺伝子発現、又はGLM−R遺伝子産物合成のレベルにおける異常、又はGLM−R遺伝子産物の構造、一時的発現、及び/又は物理的位置の異常を発見するために、このような方法を使用できる。ここに開示する抗体及びイムノアッセイ方法は、例えば、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の治療の効果を評価する際に重要なインビトロでの用途を有する。抗体、又は抗体の断片(例えば以下に記すもの)を使用して、インビトロで潜在的治療化合物をスクリーニングし、GLM−R遺伝子発現及びGLM−R遺伝子産物生成に対するその効果を決定することができる。単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の有利な効果を有する化合物を同定し、治療的有効量を決定することができる。
また、インビトロのイムノアッセイを使用して、例えば、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患に対する細胞ベース遺伝子療法の効果を評価してもよい。GLM−R遺伝子産物に対する抗体をインビトロで使用して、例えば、GLM−R遺伝子産物を生成するように遺伝子設計されている細胞におけるGLM−R遺伝子発現レベルを決定してもよい。細胞内GLM−R遺伝子産物の場合、そのような評価は、好ましくは細胞ライセートを又は抽出物を使用して行う。この分析により、インビボでの治療効果、並びに遺伝子置換プロトコルの最適化を達成するのに必要な形質転換した細胞の数を決定することができる。
GLM−R遺伝子産物、保存変異体、又はそのペプチド断片の好ましい診断法には、例えば、GLM−R遺伝子産物又は保存的な変異体又はペプチド断片を、抗GLM−R遺伝子産物に特異的な抗体とそれらとの相互作用により検出する、イムノアッセイを使用できる。
加えて、GLM−R遺伝子産物、保存的な変異体又はそれらのペプチド断片をインサイツで検出するために、本発明において有用な抗体(又はその断片)を、免疫蛍光法又は免疫電子顕微鏡法において組織学的に使用してもよい。インサイツでの検出は、患者から組織学的標本を取り出し、それに対してGLM−Rポリペプチドに結合する標識した抗体を加えることより達成できる。抗体(又は断片)の添加は、生物学的試料に標識した抗体(又は断片)をオーバーレイすることにより行うのが好ましい。本方法の使用により、GLM−R遺伝子産物、保存的な変異体又はペプチド断片の存在だけでなく、試験された組織内におけるその分布も決定することが可能である。本発明の使用により、多種多様な組織学的方法(例えば染色法)を修正してGLM−R遺伝子産物のインサイツでの検出を達成することが可能であることが、当業者には容易に理解できるであろう。
細胞、細胞片又は可溶性蛋白質を固定化することができるニトロセルロースなどの固相支持体又は担体に、生物学的試料を接触させて固定する。ついで支持体を適切な緩衝液で洗浄し、その後検出可能に標識したGLM−R遺伝子産物に特異的な抗体で処理する。
「固体相支持体又は担体」とは、抗原又は抗体に結合可能な任意の支持体を意味する。周知の支持体又は担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び加工セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩、及び磁鉄鉱が含まれる。本発明の目的のために、担体の性質は、ある程度可溶性でもよく、又は非可溶でもよい。支持体の材料は、結合分子が抗原又は抗体に結合できる限り、可能な構造的構成のいずれを有するものでもよい。したがって、支持体の構造は、ビーズのような球状、又は試験管の内部表面やロッドの外部表面のような円柱状でよい。あるいは、表面はシート、試験用ストリップなどのように平坦でもよい。好ましい支持体にはポリスチレンのビーズが含まれる。抗体又は抗原の結合に使用できるその他多数の適切な担体が当業者に既知であり、当業者は常套的実験の使用によりそのような担体を確認することができる。
様々な他のイムノアッセイのいずれかを使用して検出を行うこともできる。例えば、抗体又は抗体断片を放射標識することにより、ラジオイムノアッセイ(RIA)を使用してGLM−R遺伝子産物を検出することが可能である(例えば、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, 1986年3月)。そのような手段をガンマカウンター又はシンチレーションカウンターとして使用するか、又はオートラジオグラフィーにより、放射活性同位元素を検出することができる。
152Euなどのフルオレセイン放出金属、又はランタニド系のその他金属を使用して、抗体を検出可能に標識することができる。これら金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート群を使用して、抗体に添付することができる。
同様に、生物発光化合物を使用して本発明の抗体を標識してもよい。生物発光とは、触媒タンパク質により化学発光反応の効率が上昇する、生物学系に見られる化学蛍光の一つの型である。生物発光タンパク質の存在は、ルミネセンスの存在を検出することで決定することができる。標識のために重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリンである。
以下のアッセイは、GLM−R遺伝子産物、GLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質、又はタンパク質の一部に結合する化合物、GLM−R遺伝子産物とタンパク質との相互作用を阻害する化合物、及びGLM−R遺伝子の活性を調節する(すなわち、GLM−R遺伝子の発現レベルを調節する、及び/又はGLM−R遺伝子産物の活性を調節する)化合物を同定するように設計されている。本アッセイはまた、GLM−R遺伝子制御配列(例えば、プロモーター配列;例えば、Platt, J. Biol. Chem. 269: 28558-28562, 1994年参照。参照により本文献全体を本発明に包含する)に結合し、GLM−R遺伝子発現のレベルを調節できる化合物を同定するために使用できる。このような化合物は、血液脳関門を通過でき、適切な細胞内へ達し及び/又は進入し、GLM−R遺伝子又は体重制御経路に関わるその他複数の遺伝子の発現、又は細胞内タンパク質に影響できるような小有機分子を含むことができ、またそれに限定されない。
このようなタンパク質の同定方法について以下に説明する。本タンパク質は単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患に関与できる。更に、これら化合物の中には、GLM−R遺伝子発現レベル及び/又はGLM−R遺伝子の生産活動に影響を与え、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の治療に使用できる化合物がある。
ここに開示するようなアッセイにより同定された化合物は、例えば、GLM−R遺伝子産物の生物学的機能を確定するのに、また単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患を改善するのに有用である。
本発明のGLM−R遺伝子産物に結合可能な化合物を同定するためのインビトロ系を設計することができる。同定される化合物は、例えば、無傷の、及び/又は突然変異のGLM−R遺伝子産物の活性を調節する際、GLM−R遺伝子産物の生物学的機能を確定する際、正常なGLM−R遺伝子産物の相互作用を妨害する化合物を同定するスクリーニングにおいて、有用であるか、あるいはそれ自体がそのような相互作用を妨害することができる。
GLM−R遺伝子産物に結合する化合物を同定するために使用されるアッセイの原理は、GLM−R遺伝子産物と試験化合物の反応混合物を、それら2成分が相互作用して結合するのに十分な時間と条件の下で調製し、それにより、反応混合物中で除去及び/又は検出できる複合体を形成させることを含む。これらのアッセイは、様々な方法で実施することができる。例えば、このようなアッセイを行う一つの方法は、GLM−R遺伝子産物又は試験物質を固体の支持体上に係留し、反応の終わりに、固体の支持体上に形成されるGLM−R遺伝子産物/試験化合物複合体を検出することを含む。このような方法の一実施形態では、GLM−R遺伝子産物を固体の支持体上に係留することができ、係留されていない試験化合物を直接的に又は間接的に標識することができる。
アッセイを実施するために、係留された成分を含む被覆表面に非固定化成分を加える。反応完了後、形成された複合体が固体表面に固定化されて残るようにして、反応しなかった成分を(例えば洗浄により)除去する。固体表面上に係留された複合体の検出は、多くの方法で行うことができる。予め固定化されていない成分に事前に標識している場合、表面上に固定化された標識が検出されるということは、複合体が形成されたことを示す。予め固定化されていない成分を事前に標識しない場合、表面上に係留した複合体を検出するためには間接的標識を使用することができる;例えば、予め固定化されていない成分に特異的な標識抗体を使用する(一方、抗体は、標識抗Ig抗体で直接的に標識するか又は間接的に標識できる)。
あるいは、液相で反応を行い、未反応成分から反応産物を分離し、複合体を検出する;例えば、GLM−R遺伝子産物又は試験化合物に特異的な固定化抗体を使用することにより溶液中に形成された複合体、及び可能な複合体のその他の成分に特異的な標識抗体を係留し、係留された複合体を検出する。
タンパク質−タンパク質相互作用の検出に適した任意の方法を使用して、GLM−R遺伝子産物−タンパク質相互作用を同定することができる。使用可能な伝統的な方法としては、勾配又はクロマトグラフカラムによる同時精製、架橋及び共免疫沈降を挙げることができる。このような方法を利用することで、GLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質を同定することができる。これに限定されないが、このようなタンパク質はGLM−R遺伝子産物を含みうる。単離後、そのようなタンパク質を同定し、標準的技術と共に使用することにより、それが相互作用するタンパク質を同定することができる。例えば、GLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部は、エドマン分解法といった当該技術分野で周知の技術を使用して確認することができる(例えば、Creighton, "Proteins: Structures and Molecular Principles", W.H. Freeman & Co., N.Y., pp.34-49 (1983)を参照)。このようなタンパク質をコード化する遺伝子配列のスクリーニングに使用できるオリゴヌクレオチドの混合物の生成のためのガイドとして、取得したアミノ酸配列を使用することができる。スクリーニングは、例えば、標準的なハイブリダイゼーション又はPCR技術により行うことができる。オリゴヌクレオチド混合物の生成及びスクリーニングの方法は周知である(例えば、上掲のAusubel, 及び1990, "PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications", Innis等編 Academic Press, Inc., New Yorkを参照)。
加えて、GLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質をコード化する遺伝子の同時同定を行う方法を採用することも可能である。これらの方法には、例えば、Xgt11ライブラリーの抗体探索の周知技術と同様にしてGLM−R遺伝子産物を使用し、標識されたGLM−R遺伝子産物での発現ライブラリーを探索することが含まれる。インビボでのタンパク質の相互作用を検出する一方法であるハイブリッド系は、限定的にでなく、例示のみを目的で詳細に説明する。この系の一バーションは公開されており(Chien等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9578-9582 (1991))、クローンテック社(カリフォルニア州パロアルト)から市販されている。
2−ハイブリッド系又は関連する方法を使用して、「ベイト」遺伝子産物と相互作用するタンパク質について活性化ドメインライブラリーをスクリーニングすることができる。限定的にではなく例示的に、GLM−R遺伝子産物をベイト遺伝子産物として使用することができる。全ゲノム又はcDNA配列を活性化ドメインをコード化するDNAに融合する。
ベイトGLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質が検出される細胞系のcDNAライブラリーは、当該技術分野で常套的に実施されている方法を使用して作成することができる。ここに開示する特定の系に従って、例えばcDNA断片をベクターに挿入し、GAL4の転写活性化ドメインに翻訳して融合させることができる。GAL4活性化配列を含むプロモーターにより、このようなライブラリーを、lacZ遺伝子を含む酵母種に、ベイトGLM−R遺伝子−GAL4融合プラスミドと共に同時形質変換することができる。
ついで、これらの種からcDNAを精製し、当該技術分野の常套的技術を使用してベイトGLM−R遺伝子産物と相互作用するタンパク質を作成し単離する。
GLM−R遺伝子産物は、タンパク質などの巨大分子の1つ又は複数とインビボで相互作用しうる。例えば、GLM−R遺伝子−産物は、GLM−R遺伝子産物とインビボで相互作用しうる。GLM−R遺伝子産物と相互作用する他の巨大分子は、核酸分子及びここに開示するような方法により同定されるタンパク質を含み、またそれらに限定されない。ここでの検討の目的に対して、巨大分子をここで「結合パートナー」と称する。結合パートナーに結合するGLM−R遺伝子産物を阻害する化合物は、GLM−R遺伝子産物、特に突然変異GLM−R遺伝子産物の活性を調節するのに有用な場合がある。このような化合物は、ペペウチドなどの分子を含むが、これに限定されない。
GLM−R遺伝子産物と結合パートナー又はパートナー群との相互作用を妨害する化合物の同定に使用されるアッセイ系の基本原理は、GLM−R遺伝子産物と結合パートナーを含む反応混合物を、それら2つが相互作用して結合するのに十分な時間と条件の下で調製し、それにより複合体を形成することを含む。化合物の抑制的活性を試験するために、反応混合物を試験化合物が存在する状態及び存在しない状態で調製する。試験化合物は反応混合物に最初から含んでもよく、又はGLM−R遺伝子産物とその結合パートナー添加後のある時点で加えてもよい。試験化合物が無い状態と、複合体の形成をブロックすることが知られている化合物の存在下で、対照反応混合物をインキュベートする。その後、GLM−R遺伝子産物と結合パートナーとの間に形成されたいかなる複合体も検出する。対照の反応物に複合体が形成されたのに試験化合物を含む反応混合物に複合体が形成されていないことは、化合物がGLM−R遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を妨害したことを示す。また、試験化合物と正常なGLM−R遺伝子産物を含む反応混合物中における複合体の形成を、試験化合物と突然変異GLM−R遺伝子産物を含む反応混合物中の複合物形成と比較する。この比較は、突然変異GLM−R遺伝子産物の相互作用を阻害するが正常なGLM−R遺伝子産物の相互作用は阻害しない化合物を同定することが望まれる場合に重要でありうる。
均一アッセイ系では、GLM−R遺伝子産物又は相互作用的結合パートナーのいずれかを固体表面に係留する一方、係留しない種に直接的又は間接的に標識する。実際には、マイクロタイタプレートが簡便に使用される。係留した種は非共有接着又は共有結合により固定化しうる。非共有結合は、単に、固体表面をGLM−R遺伝子産物又は結合パートナーの溶液で被覆し、乾燥させることにより実施することができる。あるいは、係留しようとする種に特異的な固定化抗体を使用して固体表面に係留することができる。表面は事前に調製して保存してもよい。
あるいは、試験化合物の存在下、又は試験化合物が存在しない状態で、反応を液相中で実施し、反応産物を未反応成分から分離し、例えば、結合成分の一方に特異的な固定化抗体を使用することにより溶液中に形成されたいかなる複合体をも係留し、また他方のパートナーに特異的な標識抗体を使用することにより係留した複合体を検出することにより、複合物を検出することができる。ここでも、液相に反応物質を添加する順序によって、複合体の形成を抑制する試験化合物、又は予め形成されていた複合体を阻害する試験化合物を同定することができる。
限定的な意味ではなく、例示として挙げると、本セクションでは、GST−1融合タンパク質を作成し、それをグルタチオンアガロースのビーズに結合させることにより、上述のようにGLM−R遺伝子産物を固体材料に係留することができる。結合パートナーは35Sなどの放射性アイソトープで標識することができ、トリプシンなどのタンパク質分解性酵素で分解することができる。ついで、係留したGST−1融合タンパク質に分解産物を加え、結合させることができる。結合しないペプチドを洗浄後、結合パートナーの結合ドメインを表す標識した結合物質を溶出させ、精製し、周知の方法によりアミノ酸配列について解析することができる。このようにして同定されたペプチドは合成的に製造可能であるか、又は組換えDNA技術を使用して製造可能である。
先に述べたようなアッセイ技術により同定される結合化合物を含む、またそれに限定されない化合物を、体重異常の症状を治療する能力について試験することができる。ここに開示するアッセイは、GLM−R遺伝子発現に作用することにより、又はGLM−R遺伝子産物活性のレベルに作用することにより、GLM−R活性に影響する化合物を同定することができる。例えば、GLM−R遺伝子及び/又はGLM−R遺伝子産物が含まれる経路の別の段階、例えばGLM−R遺伝子が媒介する経路の段階の「上流」又は「下流」において、化合物を同定してもよい。このような化合物は、これと同じ経路に作用することにより、体重異常の進行に対するGLM−Rの効果を調節できる。このような化合物を障害の治療法の一部として使用することが可能である。
以下に記載するのは、体重異常症状を改善する能力を示す化合物を同定するための細胞ベースアッセイ及び動物アッセイである。まず、細胞ベースシステムを使用して体重異常の症状を改善する作用を有する化合物を同定することができる。このような細胞システムは、例えば、組換え又は非組換え細胞、例えばGLM−R遺伝子を発現する細胞系を含む。
これに加えて、哺乳類の体重異常の動物モデル、例えばヒトGLM−R遺伝子又はGLM−R遺伝子の改変型を含むトランスジェニックマウス、又は動物に基づく系を使用して、この異常の症状を改善できる能力を有する化合物を同定することができる。薬物、製薬、治療法、介入の同定のために、このような動物モデルを試験物質として使用できる。例えば、体重異常の症状を改善する能力を示すと思われる化合物に動物モデルを接触させる。その際、接そのような症状の改善が明らかになるのに十分な濃度及び十分な時間で接触させる。障害の症状の後退を評価することにより、接触に対する動物の反応をモニターしてもよい。
介入では、体重異常疾患様の症状のいずれかの面を後退させる任意の治療が、そのような疾患のヒトの治療的介入の候補として考慮されなければならない。
単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患を治療できる方法と化合物について以下に述べる。そのような方法には、例えば、哺乳類GLM−R遺伝子及び/又は哺乳類GLM−R遺伝子産物の合成又は活性の発現を調節する化合物を投与することにより単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の症状を改善することが含まれる。あるいは、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患がGLM−R遺伝子突然変異に起因している場合は、そのような方法は、哺乳類に無傷のGLM−R遺伝子産物をコード化する核酸分子を供給し、それにより無傷のGLM−R遺伝子産物を発現させ、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患を改善することを含むことができる。GLM−R遺伝子突然変異に起因する哺乳類の体重異常の治療法の別の実施形態では、当方法は、無傷のGLM−R遺伝子産物をコード化する核酸分子を含む細胞を哺乳類に供給することにより、細胞に無傷のGLM−R遺伝子産物を発現させ、異常症状を改善することを含むことができる。
あるいは、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の症状は、GLM−R遺伝子発現及び/又はGLM−R遺伝子産物の活性を増大させることにより改善することができる。
別の実施形態では、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の症状は、GLM−R遺伝子配列を周知のアンチセンス、「ノックアウト」遺伝子、リボザイム及び/又は三重らせん方法と組み合わせて使用し、GLM−R遺伝子発現のレベルを下げることにより、GLM−R遺伝子発現レベル及び/又はGLM−R遺伝子産物活性レベルを低下させて、改善することができる。哺乳類の体重異常の症状を改善する能力を含め、GLM−R遺伝子の活性、発現又は合成を調節する能力を示す化合物として、アンチセンス、リボザイム、及び三重らせん分子を挙げることができる。無傷の、又は適切であれば突然変異の標的遺伝子活性を、低下させる、又は抑制するように、そのような分子を設計してもよい。そのような分子の生成及び使用のための技術は当該技術分野において周知である。
アンチセンスRNA及びDNA分子は、標的のmRNAにハイブリダイゼーションすることにより、及びタンパク質の転換を防止することにより、mRNAの転写を直接的にブロックするように作用する。アンチセンス法には、標的遺伝子RNAに相補的なオリゴヌクレオチドの設計が含まれる。アンチセンスヌクレオチドは、相補的標的遺伝子mRNA転写に結合し、転換を防止する。絶対的相補性は好ましいが、必須ではない。
一実施形態では、GLM−R遺伝子の非コード化領域に相補的なオリゴヌクレオチドをアンチセンス法に使用して、内因性GLM−R mRNAの転換を抑制することができた。アンチセンス核酸は少なくとも6ヌクレオチド長でなければならず、好ましくは6から約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは少なくともヌクレオチドであり、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、又は少なくとも50ヌクレオチドである。
オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNA又はそのキメラ混合物又は誘導体又は修飾された種類、一本鎖又は二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格において、例えば、分子、ハイブリダイゼーションなどの安定性を改善するために修飾してもよい。オリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、インビボにおいて、宿主細胞のレセプターを標的化するための)、又は細胞膜(例えば、Letsinger等, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 86:6553-6556;Lemaitre等, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:648-652;1988年12月15日公開のPCT公報WO88/09810を参照のこと)又は血管−脳関門(例えば、1988年4月25日公開のPCT公報WO89/10134を参照)輸送を促進する薬剤、ハイブリダイゼーション−トリガー切断剤(例えば、Krol等, 1988, BioTechniques 6:958-976を参照のこと)又はインターカレーティング剤(Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549)などの付加的な他の集団を含んでもよい。このために、オリゴヌクレオチドは他の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション−トリガー架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション−トリガー切断剤、などと結合してもよい。
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定はしないが、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースを含む集団から選択される少なくとも一つの修飾された糖部分を含んでもよい。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミドチオエート、ホスホラミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル及びホルムアセタール又はその類似体から成る集団から選択される少なくとも一つの修飾されたリン酸骨格を含む。あるいはまた、アンチセンスオリゴヌクレオチドはα-アノメリックオリゴヌクレオチドである。α-アノメリックオリゴヌクレオチドは、相補的なRNAと特異的な二重鎖ハイブリッドを形成するが、通常の~-ユニットとは反対に、鎖は互いに平行に並ぶ(Gautier等, Nucl. Acids. Res. 15:6625-6641, 1987年)。オリゴヌクレオチドは2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoue等, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148, 1987年)、又はキメラRNA-DNA類似体である(Inoue等, FEBS Lett. 215:327-330, 1987年)。
標的遺伝子コーディング領域の配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドを使用することが可能であるが、転写された非翻訳領域に相補的であるものが最も好ましい。
しかしながら、アンチセンスの細胞内濃度を内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分にするのは困難な場合が多い。したがって、好ましい方法では、強力なPol III又はPol IIプロモーターの制御下でアンチセンスオリゴヌクレオチドが配置される組換えDNA構成を利用する。そのような構成を使用して標的細胞を患者に形質移入することにより、内因性の標的遺伝子の転写物と相補的な塩基対を形成し、よって標的遺伝子のmRNAの翻訳を防止する一本鎖RNAが、十分な量で転写される。例えば、細胞に摂取されてアンチセンスRNAの転写を誘導するようにベクターを導入することができる。そのようなベクターは、所望のアンチセンスRNAを精製するように転写できるものである限り、エピソームとして残るか、又は染色体性に統合することができる。このようなベクターは、当該技術分野において常套的な組換えDNA技術方法により構築可能である。ベクターは、哺乳類細胞における複製及び発現に使用される、プラスミド、ウイルス性、又はその他当該技術分野において既知のものでよい。アンチセンスRNAをコード化する配列は、当該技術分野で哺乳類、好ましくはヒトの細胞に作用するとして知られる任意のプロモーターによって発現させることができる。このようなプロモーターは、誘導性でも構成性でもよい。このようなプロモーターは、SV40早期プロモーター領域(Bernoist及びChambon, Nature 290: 304-310, 1981年)、ラウス肉腫ウイルスの3末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamoto,他, Cell 22: 787-797, 1980年)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner他、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78: 1441-1445, 1961年)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinster他、Nature 296: 39-42, 1982年)などを含み、またこれらに限定されない。いかなる種類のプラスミド、コスミド、YAC又はウイルスベクターも、組織サイトに直接導入可能な組換えDNA構成の調製に使用できる。あるいは、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを使用することができ、この場合別の経路による投与(例えば全身投与)を行う。標的遺伝子のmRNA転写物を触媒分割するように設計されたリボザイム分子も、標的遺伝子のmRNAの翻訳を防止し、よって標的遺伝子産物の発現を防止するために使用するこができる(例えば、1990年10月4日公開のPCT国際公開WO90/11364; Sarver他、Science 247: 1222-1225, 1990年参照)。
特異的な認識部位でmRNAを切断するリボザイムは標的遺伝子mRNAを破壊するために使用可能であるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって決定される位置でmRNAを切断する。唯一の条件は、標的mRNAは以下の2塩基配列:5'-UG-3'を持つことである。ハンマーヘッドリボザイムの構築及び生産は当該技術分野においてよく知られており、その全体を出典明示によりここに取り込むMyers, Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, New York(特に、833ページの図4を参照のこと(1995))、並びにHaseloff及びGerlach, Nature, 334:585-591 (1988)に、より詳細に記載されている。
また、本発明のリボザイムは、テトラヒメナ サーモフィラ(IVS、又はL-19 IVSRNAとして知られる)中で天然に産生され、Thomas Cech及び共同研究者(Zaug等, 1984, Science, 224:574-578;Zaug及びCech, 1986, Science, 231:470-475;Zaug等, 1986, Nature, 324:429-433;University Patents Inc.による、公開された国際特許出願番号WO88/04300;Been及びCech, 1986, Cell, 47:207-216)により広範に記述されてきたRNAエンドリボヌクレアーゼ(「Cech-タイプリボザイム」と後述される)も含む。Cech-タイプリボザイムは、標的RNA配列とハイブリダイズした後、標的RNAの切断が生じる8塩基対の活性部位を持つ。本発明は標的遺伝子中に存在する8塩基対の活性配列を標的とするこれらCech-タイプリボザイムを包含する。
内因性標的遺伝子の発現は、標的とする相同性組換えを使用して、標的遺伝子、又はそのプロモーターを非活性化、又は「ノックアウト」することによっても減少させることができる(例えば、Smithies他、Nature 317: 230-234, 1985年; Thomas及びCapecchi, Cell 51: 503-512, 1987年; Thompson他、Cell 5: 313-321, 1989年参照)。例えば、内因性標的遺伝子に相同性のDNAによってはさまれた非機能的標的遺伝子(標的遺伝子のコード化領域又は制御領域)である突然変異を、選択可能マーカー及び/又は非選択可能マーカーと共に、又はそれら無しで使用し、インビボで標的遺伝子を発現する細胞を形質移入することができる。標的とする相同性組換えによるDNA構成の挿入により、標的遺伝子は非活性化される。このようなアプローチは、ES(胚幹)細胞の修飾を使用することにより非活性標的遺伝子を持つ動物子孫を産むことが可能な農業の分野に特に適している(例えば、Thomas及びCapecchi, 1987年、及びThompson, 1989年、上掲を参照)。しかしながら、適切なウイルスベクターを使用して組換えDNA構成が所望のインビボサイトに直接投与されるか、又はそれが標的とされるのであれば、このアプローチをヒトに使用することも可能である。
転写防止のための三重らせん形成に使用される核酸分子は、一本鎖であり、且つデオキシヌクレオチドからなるものでなければならない。これらオリゴヌクレオチドの塩基組成は、Hoogsteen塩基対合則により三重らせん形成を促進するように設計される必要がある。この対合則は、一般に、二重鎖のうちの一本に存在するために、プリン又はピリミジンの大きな伸張を必要とする。ヌクレオチド配列は、結果として得られる三重らせんに関連する3つの鎖に亘りTAT及びCGC+を生じるピリミジン塩基でよい。高濃度のピリミジンを含む分子は、高プリン濃度を有する二重鎖のうちの一本鎖の領域に相補的な塩基を提供する。加えて、プリンの濃度が高い、例えばG残基の伸張を有する核酸分子を選択することができる。これら分子は、GC対の豊富なDNA二本鎖を有する三重らせんを形成する。このような三重らせんでは、プリン残基の多くは標的二本鎖の一本鎖に位置し、よって三重鎖の3つの鎖にGGCトリプレットが生じる。
突然変異遺伝子発現を抑制するために、アンチセンス、リボザイム、及び/又は三重らせん分子を利用する技術は、正常な標的遺伝子の対立遺伝子により生成されるmRNAの転写(三重らせん)及び/又は翻訳(アンチセンス、リボザイム)を非常に効率よく低減又は抑制できるので、存在する正常標的遺伝子産物の濃度を正常表現型に必要な量よりも低くできるという可能性が生じる。したがって、このような場合、遺伝子活性の正常レベルを確実に維持するために、以下に記載するような、使用されるアンチセンス、リボザイム、又は三重らせんの影響を受ける配列を含まない遺伝子療法により、正常な標的遺伝子の活性を示す標的遺伝子のポリペプチドをコード化及び発現する核酸分子を細胞に導入してもよい。
本発明のアンチセンスRNA及びDNA、リボザイム、及び三重らせん分子は、上述のように、当該技術分野で知られているいずれのDNA及びRNA分子の合成方法によっても調製できる。これらには、当事業分野において周知の、オリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成するための技術、例えば固体相ホスホラミダイト化学合成などを含む。あるいは、アンチセンスRNA分子をコード化するDNA配列のインビトロ及びインビボ転写によりRNA分子を生成してもよい。そのようなDNA配列は、T7又はSP6モリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを含む多種多様なベクターに包含される。あるいは、使用するプロモーターに応じて、アンチセンスRNAを構成的又は誘導的に合成するアンチセンスcDNA構成を細胞系に適切に導入することが可能である。
ここに開示するGLM−R遺伝子核酸を、単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の治療に利用することができる。そのような治療は遺伝子置換療法の形態を取ることができる。特に、正常なGLM−R遺伝子機能を示すGLM−R遺伝子産物の生成を促す正常GLM−R遺伝子又はGLM−R遺伝子の一部の1以上の複写を、それらに限定されないが、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルスベクター、並びに細胞内へDNAを導入するリポゾームなどのその他分子を含むベクターを使用して、患者の適切な細胞に挿入することができる。
GLM−R遺伝子は脳内に発現するので、このような遺伝子置換療法技術は、患者のこのような種類の細胞にGLM−R遺伝子配列を供給することができる。このように、一実施形態では、当該技術分野において周知の技術(例えば、1988年4月25日公開のPCT出願公開WO89/10134を参照)を使用して、GLM−R遺伝子配列が血液脳関門を通過し、配列を脳内細胞に供給することができる。血液脳関門を通過することができる供給に関しては、例えば上述のようなウイルスベクターが好ましい。
GLM−R遺伝子発現及び/又はGLM−R遺伝子産物活性の全体的レベルを上昇させるために使用できるその他の方法には、異質DNA制御エレメントを挿入し、挿入した制御エレメントが問題の内因性GLM−R遺伝子と作用的にリンクすることにより、細胞又は微生物内の内因性GLM−R遺伝子の発現の特徴を修正するため、標的相同性組換え方法を使用することを含む。このように、標的とする相同組換えは、「転写的に沈黙の」(つまり、通常は発現しない)内因性GLM−R遺伝子の転写を活性化するため、又は通常発現する内因性GLM−R遺伝子の発現を亢進するために使用される。
患者のGLM−R遺伝子発現の全体的なレベルを上昇させるために投与できる細胞には、GLM−R遺伝子を発現する正常細胞、好ましくは脳細胞がある。あるいは、細胞、好ましくは自己細胞をGLM−R遺伝子配列を発現するように加工し、それを単球又はマクロファージの過剰又は不足に関連する疾患の症状の改善に好ましい位置で患者に導入することができる。あるいは、無傷のGLM−R遺伝子を発現するMHC一致個体由来の細胞を利用することができ、それは例えば脳細胞を含む。GLM−R遺伝子配列の発現は、適切な遺伝子の制御配列によって管理することにより、必要な細胞型で発現させることができる。このような遺伝子制御配列は当業者に周知である。このような細胞ベース遺伝子療法技術は当該技術分野で周知である(例えば米国特許第5,399,349号参照)。非自己細胞に細胞を投与するとき、投与には、導入する細胞に対する宿主の免疫反応防ぐ周知の技術を使用することができる。例えば、細胞外環境との直接的な成分交換が可能である一方、導入細胞が宿主の免疫系に認識されることのない密封形式で細胞を導入することができる。
本明細書中で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
GLM−R cDNAの単離
Swiss−Prot公的データペースから得た約950の既知の分泌タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)配列(あれば分泌シグナル配列を含む)を、配列データベースの検索に使用した。データベースは、公的データベース(例えば、GenBank)を含んでいた。この場合、GenBankのゲノムDNA配列を、スタンフォード大学からライセンスを受けた遺伝子予測プログラムGENSCANを用いて分析した。GENSCANによる分析は、遺伝子コード化領域を予測し、ECDサーチに使用できる配列を生成する。検索は、コンピュータプログラムBLAST又はBLAST2[Altschul他、Methods in Enzymology, 266: 460-480 (1996)]を使用し、配列の6フレーム翻訳に対するECDタンパク質配列の比較として行った。それら比較のうちBLASTスコアが70(もしくは場合によっては90)以上であり、既知のタンパク質をコードしないものを、必要に応じて集め、「phrap」プログラム(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington)を用いてコンセンサスDNA配列に組み立てた。
コンセンサス配列から、1)PCRにより対象とする配列を含むcDNAライブラリーを同定するため、及び2)PRO21073の完全長コード化配列のクローンを単離するプローブとして用いるために、オリゴヌクレオチドを合成した。正方向及び逆方向PCRプライマーは一般に20から30ヌクレオチドの範囲であり、しばしば約100−1000bp長のPCR産物を産生するために設計される。プローブ配列は典型的には40−55bp長である。場合によっては、コンセンサス配列が約1−1.5kbpより大きいときに付加的なオリゴヌクレオチドが合成される。完全長クローンについて幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAを、上掲のAusubel等, Current Protocols in Molecular Biologyのように、PCRプライマー対を用いたPCR増幅によりスクリーニングした。ついで、ポジティブライブラリーを使用し、プローブオリゴヌクレオチド及びプライマー対の一方を用いて対象とする遺伝子をコードするクローンを単離した。
正方向PCRプライマー
5'-GTCAAGGAGTCAAAGTTCTGGAGTGACTGG-3'(配列番号3)
逆方向PCRプライマー
5'-CGCACATCGCAGAGCTATGACATATTC-3'(配列番号4)
更に、合成オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブを次のヌクレオチド配列を有するコンセンサスDNA172257配列から構築した:
ハイブリダイゼーションプローブ
5'-CGTACAACCTCACGGGGCTGCAGCCTTTTACAG-3'(配列番号5)
様々な組織由来の50の異なるヒトcDNAライブラリーのプールをクローニングに使用した。cDNAクローンの単離に用いたcDNAライブラリーは、Invitrogen, San Diego, CAからのもの等の市販試薬を用いて標準的な方法によって構築した。cDNAは、NotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナーゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動で適切にサイズ分類し、適切なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991)等参照)に、独特のXhoI及びNotI部位において、所定の方向でクローニングした。
こうして同定された完全長クローンは、ヌクレオチド位置63−65に見掛けの翻訳開始部位を有する一つのオープンリーディングフレームを、ヌクレオチド位置2259−2261に停止シグナルを含んでいた(図1、配列番号:1)。予想されるポリペプチド前駆体は、732アミノ酸長であり、およそ82954ダルトンの算定分子量及びおよそ7.15の推定pIを有する。図2(配列番号2)に示す完全長PRO21073配列の分析により、図2に示すように様々な重要なポリペプチドドメインの存在が明らかになり、それら重要なポリペプチド領域の位置は概ね上述の通りである。クローンDNA173920−2924は、2000年5月16日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号1874−PTAを割振られている。
ハイブリダーゼーションプローブとしてのGLM−Rポリヌクレオチドの使用
以下の方法は、SRTをコードするヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションプローブとしての使用について記述する。
完全長又は成熟SRTのコード化配列を含むDNAは、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリー中において相同なDNA(SRTの天然に生じる変異体をコードするものなど)をスクリーニングするためのプローブとして用いられる。
何れかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及び洗浄は、以下のような高度にストリンジェントな条件の下にて実施される。放射標識SRT由来プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアミド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード液及び10%硫酸デキストランの溶液中、42℃で20時間実施される。フィルターの洗浄は0.1xSSC及び0.1%SDSの水溶液中にて42℃で実施される。
完全長天然配列SRTをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、当該分野で既知の標準的な技術を用いて同定することができる。
大腸菌中でのGLM−Rの発現
この実施例は、大腸菌中での組換え発現によるGLM−Rの非グリコシル化型の調製を例証する。
GLM−RをコードするDNA配列は選択されたPCRプライマーを利用して最初に増幅される。このプライマーは、選択された発現ベクター上の制限酵素部位に対応する制限酵素部位を含まなければならない。様々な発現ベクターを使用することができる。適したベクターの例としては、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性に対する遺伝子を含むpBR322(大腸菌由来; Bolivarら, Gene, 2:95 (1977)を参照のこと)がある。ベクターは制限酵素によって消化され、脱リン酸化される。ついで、PCR増幅配列がベクターにライゲーションされる。ベクターは好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhis配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、GLM−Rコード化領域、ラムダ転写終結因子及びargU遺伝子をコードする配列を含む。
選択されたクローンは、抗生物質が補填されたLBブロスのような液体培地で一晩かけて増殖させることができる。この一晩かけての培養を、引き続きより大きなスケールでの培養を播種するために使用してもよい。ついで細胞を所望の光学密度になるまで増殖させると、その間に発現プロモーターが作用し始める。
以下の手法を用いて、ポリ−Hisタグ形態でGLM−Rを大腸菌で発現させてもよい。GLM−RをコードするDNAを選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅した。このプライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位、及び効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムでの迅速な精製、及びエンテロキナーゼでのタンパク質分解的除去をもたらす他の有用な配列を含む。ついで、PCR増幅されたポリ-Hisタグ配列を発現ベクターへ結合させ、これを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) clpP(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用した。形質転換体を、最初に50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中で、30℃で振盪しながら3−5のO.D.600に達するまで増殖させた。ついで培養液をCRAP培地(3.57gの(NH4)2SO4、0.71gのクエン酸ナトリウム・2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、500mL水中の5.36gのSheffield hycase SF、並びに110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSO4の混合で調製)中にて50−100倍希釈し、30℃で振盪によって約20−30時間増殖させた。SDS−PAGE分析により発現を確認するために試料を取り出し、細胞がペレットとなるようにバルク培養物を遠心分離した。精製及びリフォールディングまで、細胞ペレットを凍結させた。
試料を20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシステイン、20mMのグリシン及び1mMのEDTAからなる新たに調製した再生バッファー中で徐々に希釈することによって、タンパク質を再生させた。リフォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50から100マイクログラム/mlとなるように選択した。リフォールディング溶液を4℃で12−36時間ゆっくり撹拌した。リフォールディング反応はTFAを最終濃度0.4%(約3のpH)で添加することにより停止させた。タンパク質を更に精製する前に、溶液を0.22ミクロンフィルターを通して濾過し、アセトニトリルを最終濃度2−10%で添加した。再生したタンパク質を、Poros R1/H逆相カラムで、0.1%TFAの移動バッファーと10から80%のアセトニトリル勾配での溶離を行うことでクロマトグラフにかけた。A280吸収を持つ画分のアリコートをSDSポリアクリルアミドゲルで分析し、相同な再生タンパク質を含有する画分をプールした。一般的に、殆どの正しく再生したタンパク質形態は、これらの形態が最もコンパクトであり、その疎水性内面が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されているので、アセトニトリルの最低濃度で溶離される。凝集した種は通常、より高いアセトニトリル濃度で溶離される。誤って折り畳まれたタンパク質を所望の形態から除くのに加えて、逆相工程は試料からエンドトキシンも除去する。
哺乳動物細胞中でのGLM−Rの発現
この実施例は、哺乳動物細胞中での組換え発現による潜在的にグリコシル化した形態のGLM−Rの調製を例証する。
発現ベクターとしてベクターpRK5(1989年3月15日公開のEP307247参照)を用いた。場合によっては、GLM−R DNAを選択した制限酵素を持つpRK5に結合させ、上記のSambrook等に記載されたようなライゲーション法を用いてGLM−R DNAを挿入させる。得られたベクターは、pRK5−GLM−Rと呼ばれる。
形質移入の約24時間後、培地を除去し、培地(単独)又は200μCi/ml35S−システイン及び200μCi/ml35S−メチオニンを含む培地で置換した。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに添加した。処理したゲルを乾燥させ、GLM−Rポリペプチドの存在を現す選択された時間にわたってフィルムにさらした。形質転換した細胞を含む培地に、更なるインキュベーションを施し(無血清培地で)、培地を選択されたバイオアッセイで試験した。
他の実施態様では、GLM−RをCHO細胞で発現させることができる。pRK5−GLM−Rは、CaPO4又はDEAE−デキストランなどの公知の試薬を用いてCHO細胞に形質移入することができる。上記したように、細胞培地をインキュベートし、培地を培養培地(単独)又は35S−メチオニン等の放射性標識を含む培地に置換することができる。GLM−Rポリペプチドの存在を同定した後、培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、ついで条件培地を収集する。ついで、発現されたGLM−Rを含む培地を濃縮して、任意の選択した方法によって精製することができる。
またGLM−Rは、一過性発現法によりCHO及び/又はCOS細胞で、あるいは他の安定な発現方法によりCHO細胞で発現させてもよい。
PCR増幅に続いて、各DNAを、Ausubelら, Current Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載されたような標準的技術を用いてCHO発現ベクターにサブクローニングした。CHO発現ベクターは、対象とするDNAの5'及び3'に適合する制限部位を有し、cDNAの便利なシャトル化ができるように構築される。ベクターは、Lucasら, Nucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載されたようにCHO細胞での発現を用い、対象とするcDNA及びジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の発現の制御にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHFR発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持のための選択を可能にする。
プラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配して解凍し、ボルテックスにより混合した。内容物を10mLの媒質を含む遠心管にピペットして、1000rpmで5分間遠心分離した。上清を吸引して細胞を10mLの選択培地(0.2μm濾過PS20、5%の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清を添加)中に懸濁させた。ついで細胞を90mLの選択培地を含む100mLスピナーに分ける。1−2日後、細胞を150mLの選択培地を満たした250mLスピナーに移し、37℃でインキュベートする。更に2−3日後、250mL、500mL及び2000mLのスピナーを3x105細胞/mLで播種した。細胞培地を遠心分離により新鮮培地に交換し、生産培地に再懸濁させた。任意の適切なCHO培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に発行された米国特許第5,122,469号に記載された生産培地を使用した。3Lの生産スピナーを1.2x106細胞/mLで播種した。0日目に、細胞数とpHを測定した。1日目に、スピナーをサンプルし、濾過空気での散布を実施した。2日目に、スピナーをサンプルし、温度を33℃に変え、30mLの500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35%ポリジメチルシロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)をとった。生産を通して、pHは7.2近傍に調節し維持した。10日後、又は生存率が70%を下回るまで、細胞培地を遠心分離で回収して0.22μmフィルターを通して濾過した。濾過物は、4℃で貯蔵するか、即座に精製用カラムに充填した。
イムノアドヘシン(Fc含有)作成物を、以下の通りに条件培地から精製した。条件培地を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH6.8で平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)へポンプ注入した。充填後、カラムを平衡バッファーで強く洗浄した後、100mMのクエン酸, pH3.5で溶離した。溶離したタンパク質は、1mlの画分を275μLの1Mトリスバッファー,pH9を含む管に回収することにより即座に中性化した。高度に精製されたタンパク質は、続いてポリ−Hisタグタンパク質について上記した貯蔵バッファー中で脱塩した。均一性はSDSポリアクリルアミドゲルとエドマン(Edman)分解によるN末端アミノ酸配列決定により評価した。
酵母菌中でのGLM−Rの発現
以下の方法は、酵母菌中でのGLM−Rの組換え発現を記載する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのGLM−Rの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを作成する。GLM−RをコードするDNA及びプロモーターを選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入してGLM−Rの細胞内発現を指示する。分泌のために、GLM−RをコードするDNAを選択したプラスミドに、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然GLM−Rシグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母菌α因子又はインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)GLM−Rの発現のためのリンカー配列とともにクローニングすることができる。
酵母菌株AB110などの酵母菌株は、ついで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGEによる分離で分析し、ついでクマシーブルー染色でゲルの染色をすることができる。
続いて組換えGLM−Rは、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、ついで選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。GLM−Rを含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いて更に精製してもよい。
バキュロウイルス感染昆虫細胞中でのGLM−Rの発現
以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞中におけるGLM−Rの組換え発現を記載する。
GLM−Rをコードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させた。このようなエピトープタグは、ポリ−hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)を含む。pVL1393(Novagen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、GLM−R又はGLM−Rコード配列の所定部分、例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列又はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列などが、5’及び3’領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5’プライマーは、隣接する(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生産物は、ついで、選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローニングされる。
次に、発現されたポリ−hisタグGLM−Rは、例えばNi2+−キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製される。抽出物は、Rupertら, Nature, 362:175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組み換えSf9細胞から調製した。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mLのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mMのEDTA;10%グリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理した。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を充填バッファー(50mMリン酸塩、300mMのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターで濾過した。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの充填バッファーで平衡させた。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに充填した。カラムを、分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで充填バッファーで洗浄した。次に、カラムを、結合タンパク質を非特異的に溶離する二次洗浄バッファー(50mMリン酸塩;300mMのNaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄した。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から500mMイミダゾール勾配で展開した。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に複合したNi2+−NTAでのウェスタンブロットで分析した。溶離したHis10−タグGLM−Rを含む画分をプールして充填バッファーで透析した。
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)GLM−Rの精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む公知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
GLM−Rに結合する抗体の調製
この実施例は、GLM−Rに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術は、この分野で知られており、例えば、上記のGodingに記載されている。用いられ得る免疫原は、精製GLM−R、GLM−Rを含む融合タンパク質、細胞表面に組換えGLM−Rを発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
オクタヒスチジンタグに融合したヒトGLM−Rの細胞外ドメインをコードする構築物を組換えPCRによって導き、pVL1393バキュロウイルス発現ベクターの修飾バージョンにクローニングした(BD Pharmingen, San Diego, CA)。GLM−R−His8がHigh−five昆虫細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)に発現し、それをニッケル−ニトリロ−三酢酸及び親和性カラムにより精製した。GLM−R−His8に対するモノクローナル抗体を後述の方法と同様にしてbalb/cマウスで産生させた。
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「ポジティブ(陽性)」な動物に、GLM−R静脈内注射の最後の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を取り出した。ついで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ATCCから番号CRL1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択されたマウス骨髄腫株化細胞に融合させた。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、ついで、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートに蒔き、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害した。
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入し、抗GLM−Rモノクローナル抗体を含む腹水を生成させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで増殖させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィ−を用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの親和性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
特異的抗体を用いたGLM−Rポリペプチドの精製
天然又は組換えGLM−Rポリペプチドは、この分野の種々の標準的なタンパク質精製方法によって精製できる。例えば、pro−GLM−Rポリペプチド、成熟ポリペプチド、又はpre−GLM−Rポリペプチドは、対象とするGLM−Rポリペプチドに特異的な抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般に、免疫親和性カラムは抗GLM−Rポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー樹脂に共有結合させて作成される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムでの沈殿又は固定化プロテインA(Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, N.J.)での精製のいずれかにより免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水液から調製される。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr−活性化セファロース(商品名)(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィー樹脂に共有結合される。抗体が樹脂に結合され、樹脂がブロックされ、誘導体樹脂は製造者の指示に従って洗浄される。
可溶化GLM−Rポリペプチド含有調製物は、免疫親和性カラムを通され、カラムはGLM−Rポリペプチドの好ましい吸着を可能ならしめる条件下(例えば、洗浄剤存在下の高イオン強度バッファー)で洗浄される。ついで、カラムは、抗体/GLM−Rポリペプチド結合を分解する条件下(例えば、pH約2−3といった低pHバッファー、又は高濃度の尿素又はチオシアン酸イオン等のカオトロープ)で溶離され、GLM−Rポリペプチドが回収される。
薬物スクリーニング
本発明は、GLM−Rポリペプチド又はその結合断片を種々の薬物スクリーニング技術において使用することによる化合物のスクリーニングにとって特に有用である。そのような試験に用いられるGLM−Rポリペプチド又は断片は、溶液中に遊離した状態でも、固体支持体に固定されても、細胞表面に担持されていても、或いは細胞内に位置していてもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法では、GLM−Rポリペプチド又は断片を発現する組換え核酸で安定に形質移入される真核生物又は原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、そのような形質移入細胞に対して、競合的結合アッセイによってスクリーニングされる。生存可能又は固定化形態のいずれかによって、このような細胞は標準的な結合アッセイで使用できる。例えば、GLM−Rポリペプチド又は断片と試験される試薬の間での複合体の形成を測定してよい。あるいは、試験する試薬によって生ずるGLM−Rポリペプチドとその標的細胞又は標的レセプターとの間の複合体形成における減少を試験することもできる。
従って、本発明は、GLM−Rポリペプチド関連疾患又は障害に影響を与えうる薬剤又は任意の他の試薬のスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、当該分野で良く知られている手法により、その試薬をGLM−Rポリペプチド又は断片に接触させ、(I)試薬とGLM−Rポリペプチド又は断片との間の複合体の存在について、又は(ii)GLM−Rポリペプチド又は断片と細胞との間の複合体の存在について検定することを含む。これらの競合結合アッセイでは、GLM−Rポリペプチド又は断片が典型的には標識される。適切なインキュベーションの後、遊離なGLM−Rポリペプチド又は断片を結合形態のものから分離し、遊離又は未複合の標識の量が、特定の試薬がGLM−Rポリペプチドに結合する又はGLM−Rポリペプチド/細胞複合体を阻害する能力の尺度となる。
また、本発明は、GLM−Rポリペプチドに結合可能な中和抗体がGLM−Rポリペプチド又はその断片について試験化合物と特異的に競合する競合薬剤スクリーニングアッセイも考慮する。この方法において、抗体は、GLM−Rポリペプチドで、1つ又は複数の抗原決定基を持つ任意のペプチドの存在を検出するのに使用できる。
合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、対象とする生物活性ポリペプチド(例えば、GLM−Rポリペプチド)又はそれらが相互作用する小分子、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターの構造的類似物を製造することである。これらの例の任意のものが、GLM−Rポリペプチドのより活性で安定な形態又はインビボでGLM−Rポリペプチドに機能を促進又は阻害する薬物の創作に使用できる(参考、Hodgson, Bio/Technology, 9: 19-21 (1991))。
1つの方法において、GLM−Rポリペプチド、又はGLM−Rポリペプチド-インヒビター複合体の三次元構造が、x線結晶学により、コンピュータモデル化により、最も典型的には2つの方法の組み合わせにより決定される。分子の構造を解明し活性部位を決定するためには、GLM−Rポリペプチドの形状及び電荷の両方が確認されなければならない。数は少ないが、GLM−Rポリペプチドの構造に関する有用な情報が相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得られることもある。両方の場合において、関連する構造情報は、類似GLM−Rポリペプチド様分子の設計又は効果的なインヒビターの同定に使用される。合理的な薬剤設計の有用な例は、Braxton及びWells, Biochemistry, 31: 7796-7801 (1992)に示されているような向上した活性又は安定性を持つ分子、又はAthaudaら,J. Biochem., 113: 742-746 (1993)に示されているような天然ペプチドのインヒビター、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用する分子を含む。
本発明によって、X線結晶学などの分析実験を実施するために十分な量のGLM−Rポリペプチドが入手可能である。更に、ここに提供したGLM−Rポリペプチドアミノ酸配列の知識は、X線結晶学に代わる又はそれに加わるコンピュータモデル化技術で用いられるガイダンスを提供する。
GLM−R cDNAの単離及びhGH−R/GLM−Rキメラレセプターのクローニング
実施例1において報告したように、プールした組織cDNAライブラリーから完全長ヒトGLM−RをコードするcDNAを引き続いてクローニングした。異種ライブラリーのスクリーニングとマウス脾臓ライブラリーからのポリメラーゼ鎖反応(PCR)を組み合わせることにより、マウスGLM−Rを得た。
716アミノ酸残基のやや短い相同体であるマウスGLM−Rを脾臓ライブラリーからクローニングしたところ、ヒト分子に対して59.1%及び67.5%の同一性を示した(図3B)。システインの第2の対と2つの細胞質チロシン残基を除き、全ての顕著な特徴が2つの配列の間に保存されている。マウスゲノム配列の分析によりそれらの特徴を有する代替的exomの存在は明らかにならなかった(示さない)ことから、マウスタンパク質におけるシステインの欠損は、代替的mRNAスプライシングが原因とは思われない。
PCRのプライマーを、マウスゲノムデータベース(Celera)におけるデータマイニングにより得られた配列に基づいて決定した。独立したPCR反応から生じた2つのクローンを配列決定し、互いに、及びGenscanソフトウェアを使用してゲノムDNAから予測したmRNA配列と一致することを確認した。Burge, C.及びKarlin, S. J., Mol. Biol. 268 (1): 78-94 (1997)参照。ヒトGH−Rの細胞外ドメインとヒトGLM−Rの細胞内ドメインからなるキメラ分子をコードするcDNAを、部分的に相補的なプライマー5'-CTTTTCGAAACAGCAAAGGAAACCCAACAAATTGACTCA -3'(センス)(配列番号6)及び5'-GGGTTTCCTTTGCTGTTTCGAAAAGAGAAAAAC-3'(アンチセンス)(配列番号7)を使用して組換えPCRにより獲得した(Ho, S.N.等, Gene 77(1): 51-9 (1989))。この作成物を、CMVプロモーターの制御下において発現ベクターpRK5tkneoにクローニングした。
第一に、hGHを用いて刺激したとき、hGH−R/GLM−Rキメラが増殖のシグナル伝達を行うことができるかどうかを試験した(図5C)。hGH−R/GLM−Rを形質移入した細胞だけが、hGHに応じて投与量に依存して増殖することができた。一方、形質移入した細胞及び親細胞の両方がIL−3において同等に増殖した(図5)。
GLM−R発現の定量的PCR分析
ヒトの器官由来の完全なRNAをクロンテック社(カリフォルニア州パロアルト)から入手し、Rneasyキット及びDNAseI((Qiagen, カリフォルニア州バレンシア)を用いて細胞系又は分別された細胞から完全なRNAを単離した。配列検出器7700を用い、製造者の指示書に従ってTaqman(登録商標)定量的RT−PCRを実行した(Applied Biosystems, カリフォルニア州フォスターシティ)。各試料について、2つの試験反応と、逆転写を加えない対照反応を、GLM−R mRNA及びハウスキーパーmRNAであるrpl−19の発現について分析した。ゲノムDNAによる汚染が原因で対照反応にシグナルが観察された場合、該シグナルは試験反応から差し引いた。GLM−R発現をrpl−19発現で除すことにより、任意の発現単位を計算した。プライマー発現ソフトウェア(Applied Biosystems, カリフォルニア州フォスターシティ)を用いてプローブとプライマーを設計した。プライマートリプレットは、ヒトGLM−Rについては、5'-CCTGGAGTCCCTGAAACGAA-3'(センス)(配列番号8)、5'-GTTGGTTCCCCCAGCACTG-3'(アンチセンス)(配列番号9)、5'-CTCTTACATTGTTCAGGTCATGGCCAGCA-3'(プローブ)(配列番号10)であり、ヒトrpl−19については5'- GATGCCGGAAAAACACCTTG-3' (センス)(配列番号11)、5'-TGGCTGTACCCTTCCGCTT-3'(アンチセンス)(配列番号12)、5'-CCTATGCCCATGTGCCTGCCCTT-3'(プローブ)(配列番号13)であった。
血液細胞サブセットの単離、FACS分析及び単球の活性化
健常なヒトから事前承認を得てヘパリン処置した血液を採取した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1:2に希釈した血液35mlをフィコールーハイパック(Ficoll-Hypaque)(ICN Biomedicals, カリフォルニア州コスタメサ)15mlに重ね、500xgで30分間遠心分離にかけた。静止させてから末梢血単核細胞(PBMC)を回収し、PBSで一度洗浄した。RNA単離のため、様々なマーカー抗体に結合した常磁性ビーズを製造者(Milteny, カリフォルニア州オーバーン)の指示に従って使用し、白血球サブセットを分離した。FACS分析のために、完全なヒトIgG10μg/ml及びマウスIgG15μg/mlを含む緩衝液(Sigma, ミズーリ州セントルイス)中において、PBMCを氷上で30分間インキュベートすることにより、GLM−R抗体のFcレセプター媒介結合を防止した。ついで、細胞100万個につき1μgのビオチン化した抗GLM−R(IgG1)又はビオチン化したアイソタイプ対照抗体で細胞を15分間染色し、その後同じ緩衝液で2度洗浄した。2回目の染色では、ストレプトアビジン結合フィコエリトリン(strep−PE)及び蛍光細胞をフルオレシン−イソチオシアン酸塩又はCychrome(BD Pharmingen, カリフォルニア州サンディエゴ)に直接結合している様々なマーカー抗体と同時にインキュベートした。Epics−XL血液中血球測定システム(Beckman Coulter Inc., カリフォルニア州Fullerton)を使用して蛍光度を検出した。刺激実験のため、CD3、CD7、CD19、CD45RA、CD56、及びIgEに対する抗体に結合している常磁性ビーズ(Milteny, カリフォルニア州オーバーン)を用いるデプリーション戦略によりPBMCからの単球単離を実行した。この方法は、ポジティブ選択法で起こり得る、CD14抗原の連結反応により単球が活性化するという事態を避けるために選択された。これら単球を、10%ウシ血清、ペニシリン−ストレプトマイシン、及びL−グルタミンを補った2.5×106細胞/mlのRPMI(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)中において、LPS(Sigma, ミズーリ州セントルイス)1μg/ml及びIFNγ(R&D Systems, ミネソタ州ミネポリス)100ng/mlで4時間刺激した。
32D細胞の培養及び形質移入
32D細胞は10%ウシ血清、L−グルタミン、及びペニシリン−ストレプトマイシンを補ったRPMI(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)中に維持した。WEHI−3B細胞からの調整培地をIL−3の供給源として使用し、最終濃度5〜10%で培養物に加えた。エレクトロポレーション及び10日間に亘る0.4mg/mlのG418(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)中に選択したバルクにより細胞を形質移入した。ついで、G418耐性細胞をhGH−Rに対するモノクローナル抗体(Genentech、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)で染色し、FACSにより96ウェルプレートの各ウェルに1つのポジティブ細胞を分配した。1週間伸張させた後、FACSによりhGH−R表面の発現について、及び増殖アッセイにより因子依存性について、それぞれクローンを再試験した。さらなる実験のために、hGH−R発現が大きく、バックグラウンド増殖が小さい3つのクローンを選択した。
増殖アッセイ
成長因子を持たない完全培地中において、5×105細胞/mlの密度で細胞を20時間飢えさせた。続いて、ウェル当たり5×104個の細胞を、hGHの濃度が異なる96ウェルプレート、又は3つのWEHI−3B馴化培地に蒔いた。インキュベーション段階の最後の6時間の間にウェル当たり1μCiの3H−チミジンを加え、細胞を22時間増殖させた。製造者(Packard Instruments、コネチカット州Meriden)の指示に従ってTop Count液体シンチレーション計測器を使用してチミジン取り込みを測定した。
STAT活性化の分析
1条件当たり107個の細胞を洗浄してIL−3を除き、10%のウシ血清を補充したRPMI中で6時間飢えさせた。精製した組換えhGH(Genentech Inc., カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)又はマウスIL−3(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を、それぞれ最終濃度が100ng/ml及び10ng/mlになるように加えた。37℃で15分置いた後、細胞を氷水で急冷し、氷のように冷たいPBSで一度洗浄した。Levy 等, Genes Dev. 3(9): 1362-71 (1989)の記載に従ってEMSAを実施し、オリゴヌクレオチドプローブm67 5'-CATTTCCCGTAAATCAT-3'(配列番号14)(Wagner, B.J.等, Embo J. 9(13): 4477-84 (1990))、及びβCAS 5'-GATTTCTAGGAATTCAATCC-3'(配列番号15)(Schmitt-Ney, M.等, Mol. Cell Biol. 11(7): 3745-55 (1991))を用いてゲルシフトを検出した。スーパーシフトの実験のため、ポリクローナル抗STAT−1(sc−464X)、抗STAT−3(sc−482X)及び抗STAT−5(sc−835X)(すべてSanta Cruz Biotechnology、カリフォルニア州サンタクルーズ)を使用した。ウェスタンブロット分析のために、50mMのTris pH75、150mMのNacl、2mMのEDTA、2mMのEGTA、0.1%のSDS、1%のTriton X−100、2mMのNaVO4、及びcomplete(登録商標)プロテアーゼインヒビター(Roche Molecular Biochemicals、インティアナ州インディアナポリス)を含む緩衝液で細胞を溶解させた。氷上に20分間置いた後、溶解物を20000×g及び2℃で遠心分離し、上清を使用して免疫沈降を行った。4G10−アガロース(Upstate Biotechnology Inc.、ニューヨーク州レークプラシッド)とPY20−アガロース(BD transduction labs、ケンタッキー州レキシントン)の1:1の混合物を用いてチロシンリン酸化タンパク質の沈降を行った。溶解バッファーで3度洗浄した後、SDS−PAGEにより免疫沈降したタンパク質を分離し、ウェスタンブロット法によりニトロセルロースに移動させた。sc−482によりSTAT−3が検出され、sc−835(Santa Cruz Biotechnology、カリフォルニア州サンタクルーズ)及び増強した化学ルミネッセンス試薬(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州Piscataway)によりSTAT−5が検出された。
組織発現分布
図1に示すPRO21073ポリペプチドコード化ヌクレオチド配列からオリゴヌクレオチドプローブを構築し、定量的PCR増幅反応に使用した。標準PCR反応においてその関連するテンプレートの3’末端から約200〜600の塩基の増幅された断片が生じるようにオリゴヌクレオチドプローブを選択した。異なるヒト成人及び/又は胎性組織供給源から単離したcDNAライブラリーを用いる標準定量的PCR反応にオリゴヌクレオチドプローブを使用し、それをアガロースゲル電気泳動により分析することにより、試験した様々な組織におけるPRO21073ポリペプチドコード化核酸の発現レベルの定量的測定を行った。発現パターンの知識又は様々なヒト組織タイプにおけるPRO21073ポリペプチドコード化核酸の異なる発現により、他の組織特異性マーカーの有無に関わらず組織のタイプ別に有用な診断マーカーが得られ、転移性腫瘍の主要な組織発生源、疾病診断、等が決定できる。これらのアッセイの結果を以下に示す。
DNA分子 有意な発現があった組織
DNA173920-2924: 精巣、HUVEC、前立腺及び子宮に多く発現した。 軟骨組織、心臓、骨髄、及び脾臓にも発現した。
DNA分子 有意な発現がなかった組織
DNA173290-2924: 大腸癌、胎盤、副腎及び大動脈内皮細胞に発現しなかった。
材料 ATCC受託番号 寄託日
DNA173920-2924 1874-PTA 2000年5月16日
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存培養物が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、何れが最初に来ようとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。ここに開示した実施形態は本発明の側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、ここに開示された作成物により本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの材料の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に変形することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、本明細書の請求の範囲内に入るものである。
Claims (49)
- (a)図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列を含んでなるGLM−RポリペプチドをコードするDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体に対し、少なくとも約80%の配列同一性を有するDNAを含む、単離された核酸分子。
- 図1(配列番号1)の約63又は約120から約2258のヌクレオチド位の配列を含んでなる、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 図1(配列番号1)のヌクレオチド配列を含んでなる、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列をコードするヌクレオチド配列を含んでなる、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- (a)2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAによりコードされた成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体に対し、少なくとも約80%の配列同一性を有するDNAを含んでなる、単離された核酸分子。
- 2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAによりコードされる成熟ポリペプチドをコードするDNAを含んでなる、請求項5に記載の単離された核酸分子。
- (a)2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAの完全長ポリペプチドコード化配列、或いは(b)(a)のコード化配列の相補体に対し、少なくとも約80%の配列同一性を有するDNAを含んでなる、単離された核酸分子。
- 2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたヒトタンパク質cDNAの完全長ポリペプチドコード化配列を含んでなる、請求項7に記載の単離された核酸分子。
- 図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸をコードする核酸配列の相補体にハイブリダイズするDNAを含んでなるGLM−Rポリペプチドをコードする、単離された核酸分子。
- 図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸をコードする核酸が図1(配列番号1)の63又は約120から約2258のヌクレオチドを有する、請求項9に記載の単離された核酸分子。
- ハイブリダイゼーションがストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件の下で生じる、請求項9に記載の単離された核酸分子。
- 少なくとも約702のヌクレオチドを含み、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列を有するGLM−RポリペプチドをコードするDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体と、試験DNA分子をハイブリダイズし、試験DNA分子を単離することにより生成される、単離された核酸分子。
- (a)又は(b)に対して少なくとも約80%の配列同一性を有する請求項12に記載の単離された核酸分子。
- 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の核酸分子を含んでなるベクター。
- ベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に、前記核酸分子が作用可能に結合させられた、請求項14に記載のベクター。
- 受託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託された核酸分子。
- 請求項16に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
- 前記細胞がCHO細胞である、請求項17に記載の宿主細胞。
- 前記細胞が大腸菌である、請求項17に記載の宿主細胞。
- 前記細胞が酵母細胞である、請求項17に記載の宿主細胞。
- 請求項17に記載の宿主細胞を前記GLM−Rポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から前記GLM−Rポリペプチドを回収することを含んでなる、GLM−Rポリペプチドの生成方法。
- 図2(配列番号2)の約1又は約20から約732のアミノ酸残基の配列に対し、少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、単離されたGLM−Rポリペプチド。
- 図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸残基を含んでなる、請求項22に記載の、単離されたGLM−Rポリペプチド。
- 2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたベクターのcDNA挿入断片によりコードされるポリペプチドに対し、少なくとも約80%の配列同一性を有する、単離されたGLM−Rポリペプチド。
- 2000年5月16日にATCC寄託番号1874−PTA(DNA173920−2924)でATCCに寄託されたベクターのcDNA挿入断片によりコードされる、請求項24に記載の単離されたGLM−Rポリペプチド。
- 図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸残基配列、あるいは、抗GLM−R抗体に結合部位を提供するのに十分なその断片を含んでなる、単離されたGLM−Rポリペプチド。
- (i)ストリンジェントな条件下で、(a)図2(配列番号2)の1又は約20から約732のアミノ酸残基配列を含むGLM−Rポリペプチドをコード化するDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体と、試験DNA分子をハイブリダイズさせ、(ii)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で前記試験DNA分子を含む宿主細胞を培養し、(iii)細胞培養物から前記ポリペプチドを回収することにより生成される、単離されたポリペプチド。
- 前記試験DNAが、(a)又は(b)に対して少なくとも約80%の配列同一性を有する、請求項27に記載の単離されたポリペプチド。
- 異種アミノ酸配列に融合されたGLM−Rポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
- 前記異種アミノ酸配列はエピトープタグ配列である、請求項29に記載のキメラ分子。
- 前記異種アミノ酸配列は免疫グロブリンのFc領域である、請求項29に記載のキメラ分子。
- GLM−Rポリペプチドに特異的に結合する抗体。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項32に記載の抗体。
- 前記抗体がヒト化抗体である請求項32に記載の抗体。
- 前記抗体が抗体断片である請求項32に記載の抗体。
- GLM−Rポリペプチドのアゴニスト。
- GLM−Rポリペプチドのアンタゴニスト。
- 製薬的に許容される担体と混合されて、(a)GLM−Rポリペプチド、(b)GLM−Rポリペプチドのアゴニスト、(c)GLM−Rポリペプチドのアンタゴニスト、又は(d)抗GLM−R抗体を含有する組成物。
- (a)図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(ここで、Xは図2(配列番号2)の510ないし519のいずれかのアミノ酸である)をコードするDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補体に対して、少なくとも約80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸分子。
- (a)図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(ここで、Xは図2(配列番号2)の510ないし519のいずれかのアミノ酸である)をコードするヌクレオチド配列、或いは(b)(a)のヌクレオチド配列の相補体を含んでなる、請求項39に記載の単離された核酸分子。
- 図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(ここで、Xは図2(配列番号2)の510ないし519のいずれかのアミノ酸である)に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、単離された可溶性GLM−Rポリペプチド。
- 図2(配列番号2)のアミノ酸1からX(ここで、Xは図2(配列番号2)の510ないし519のいずれかのアミノ酸である)を含んでなる、請求項41に記載の単離された可溶性GLM−Rポリペプチド。
- a)GLM−Rの試料に候補生物活性剤を添加し、
b)前記GLM−Rに対する前記候補剤の結合性を決定することを含み、結合がGLM−Rに結合可能な生物活性剤を示す、GLM−Rに対する結合能を有する生物活性剤のスクリーニング方法。 - a)GLM−Rの試料に候補生物活性剤を添加する工程と、
b)GLM−Rの生物学的活性における変化を決定する工程を含み、変化がGLM−Rの活性を調節可能な生物活性剤を示す、GLM−Rの活性を調節する能力を有する生物活性剤のスクリーニング方法。 - GLM−Rのレセプターの同定方法において、細胞膜物質を含む組成物にGLM−Rを組み合わせ、前記GLM−Rを前記細胞膜物質上でレセプターと複合体化させ、前記レセプターをGLM−Rレセプターとして同定することを含んでなる方法。
- GLM−Rが前記レセプターに結合し、前記GLM−Rとレセプターを架橋させる工程を更に含む、請求項44に記載の方法。
- 前記組成物が細胞である、請求項44に記載の方法。
- 前記組成物が細胞膜抽出調製物である、請求項44に記載の方法。
- GLM−Rをコード化する導入遺伝子を含むゲノムを有する齧歯動物。
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