JP3886899B2 - インターロイキン−22ポリペプチド、それをコードする核酸並びに膵臓疾患の治療方法 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、一般的にインターロイキン-22(IL-22)の同定及び単離、そして膵臓疾患の治療の方法に関する。
【0002】
(本発明の背景)
膵臓は、胃の後及び十二指腸の近くに位置する大きな腺である。それは、管を通して小腸に入る消化酵素を分泌する。これらの酵素は、タンパク質、脂肪及び炭水化物の消化を促進する。消化酵素に加えて、膵臓は、また、糖代謝において重要な役割を担うインシュリン及びグルカゴンを遊離する。
膵炎は、膵臓が炎症をおこす疾患である。膵臓への損傷は、消化酵素が活性化して腺を攻撃し始めると生じる。重傷の場合には、腺への出血、組織損傷、感染及び嚢胞形成があり得る。2つの形態の膵炎がある。突然に起こる急性型は、生命を脅かし得る。膵炎の慢性型は、患者が、膵臓の機能低下及びひどい痛みと体重減少を引き起こすアルコール飲酒を持続した場合に起こり得る。アメリカ合衆国では、毎年、およそ50,000から80,000ケースの急性膵炎が起こっている。それは、女性よりも男性によく見られる。
【0003】
現在、膵炎の診断は難しい。通常、医者が十分な膵臓酵素が生成されているかを確かめることに膵臓機能試験が役立っている。CATスキャンによって、例えば胆石のような、頻繁に疾病と関わっている腺そのものの異常があるかを確かめることができる。慢性膵炎は膵臓癌への主要な危険因子であるので、診断がなされた直ぐにそれは処置されるべきである。
膵臓は、約80%の腺房細胞、1-2%の島細胞及び10-15%の立方骨管細胞で構成されている。腺房細胞癌は膵癌の1-2%を占め、膵癌のさらに10-15%は腺房細胞及び他の細胞型で構成されている[Nomuraら., Ultra. Path. (1992) 16: 317-329]。急性膵炎のすべてのケースは、消化酵素の活性化及び滞留を引き起こす形で腺房細胞に作用し、それによって腺房細胞を傷つけ、サイトカインの遊離を引き起こす。サイトカインは、炎症細胞、特に好中球を誘引し、これがさらなるサイトカインの分泌につながる。遊離した炎症分子が膵臓水腫、及び局所的壊死を誘導することが示されている。ある研究によって、特定の臨床的状況では、サイトカインが膵炎の経過を改善し得ることが示唆されている。
【0004】
インターロイキン-22(IL-22)は、新しく同定された活性化T細胞によって産生されるサイトカイインであり、インターロイキン-10(IL-10)に関連する。IL−22は、IL−10Rβとしても知られているCRF2−4と、クラス II サイトカインレセプターファミリーの新規メンバーであるインターロイキン - 22レセプター(IL - 22R)であるインターロイキン−22レセプター(IL−22R)から構成されるレセプター複合体を介してシグナル伝達する[Xieら., J. Biol. Chem.(2000)275, 31355-31339]。このレセプター複合体の中で、IL - 22Rβは発現は幾つかの組織で発現しているが、IL−22Rの発現は極めて限定的であり、膵臓で高い発現を示す。このことは、IL−22Rは、IL−22の作用部位をコントロールしていることを示唆している。例えば、マウスIL-22は、急性膵炎にて過剰発現する遺伝子である膵炎関連タンパク質(PAP1)を含む膵臓腺房細胞の幾つかの遺伝子の遺伝子発現の変化を誘導する[Iovannaら., J. Biol. Chem. (1991) 266, 24664-24669]。膵臓で高発現するレセプター複合体を介するIL-22シグナル伝達は、IL-22は膵臓における免疫/炎症応答を調節し、膵炎を含む膵臓の疾患に関わっている可能性があることを示唆している。
【0005】
(本発明の要約)
一実施態様では、本発明は、インターロイキン-22(IL-22)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
一側面では、単離された核酸分子は、(a)図2(配列番号:2)の約1又は約33から約179を含むアミノ酸残基の配列を有するインターロイキン-22(IL-22)ポリペプチドをコードするDNA分子、(b)Xが図2(配列番号:2)の29から38の任意のアミノ酸である、約アミノ酸1からXのシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、又はここで開示する完全長アミノ酸配列のその他の特に確定済みの断片、又は(c)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0006】
他の側面では、単離された核酸分子は、(a)図1(配列番号:1)に開示したcDNAのヌクレオチド約58又は約157から約594を含むの配列を含んでなるDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含む。
【0007】
さらなる側面では、本発明は、(a)1999年12月7日にATCC寄託番号PTA-1031(DNA1251-2806)としてATCCへ寄託したヒトタンパク質cDNAによってコードされている同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子に関する。
【0008】
その他の実施態様は、IL-22ポリペプチドコード化配列の断片、又はその補体に関し、それらには、例えば、場合によっては抗-IL-22抗体に対する結合部位を含むポリペプチドをコードするIL-22ポリペプチドのコード化断片のハイブリダイゼーションプローブとして、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブとしての用途が見いだされ得る。このような核酸断片は、通常は少なくとも約10ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約15ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約20ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約30ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約40ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約50ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約60ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約70ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約80ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約90ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約100ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約110ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約120ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約130ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約140ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約150ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約160ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約170ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約180ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約190ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約200ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約250ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約300ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約350ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約400ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約450ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約500ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約600ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約700ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約800ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約900ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約1000ヌクレオチド長であり、ここで「約」という語の内容は参照する長さのプラス又はマイナス10%のヌクレオチド配列長を指すことを意味する。IL-22ポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の新規な断片は、多くの良く知られた配列アラインメントプログラムの任意のものを用いてIL-22ポリペプチドコード化ヌクレオチド配列と他の公知のヌクレオチド配列とを整列させ、いずれのIL-22ポリペプチドコード化ヌクレオチド配列断片が新規であるかを決定することにより、日常的な手法で同定してもよい。このようなIL-22ポリペプチドコード化ヌクレオチド配列のすべては、ここで考慮される。また、これらのヌクレオチド分子断片、好ましくは抗-IL-22抗体に対する結合部位を含むIL-22ポリペプチド断片によってコードされるIL-22ポリペプチド断片も考慮される。
【0009】
その他の実施態様では、本発明は、上記で特定された単離された核酸配列のいずれかによってコードされている単離されたIL-22ポリペプチドを提供する。
或る側面では、本発明は、(a)図2(配列番号:2)に開示された完全長アミノ酸配列を有するIL-22ポリペプチド、(b)Xが図2(配列番号:2)の29から38の任意のアミノ酸である、約1からXのシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、又はここで開示する完全長アミノ酸配列のその他の特に確定済みの断片に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、あるいは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたIL-22ポリペプチドに関する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、1999年12月7日にATCC寄託番号PTA-1031(DNA1251-2806)としてATCCへ寄託したヒトタンパク質cDNAによってコードされているアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、あるいは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたIL-22ポリペプチドに関する。
【0011】
特別な側面では、本発明は、N-末端シグナル配列及び/又は開始メチオニンを持たず、上記したようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によってコードされる単離されたIL-22ポリペプチドを提供する。これらを製造する方法もここに記載され、これらの方法は、適当なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞をIL-22ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、培養培地からIL-22ポリペプチドを回収することを含む。
さらに他の実施態様では、本発明は、ここで同定される天然IL-22ポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストに関する。特別な実施態様では、アゴニスト又はアンタゴニストは抗-IL-22抗体又は小分子である。
【0012】
さらなる実施態様では、本発明は、IL-22ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法に関し、それは、IL-22ポリペプチドを候補分子と接触させ、前記IL-22ポリペプチドによって媒介される生物学的活性をモニターすることを含む。好ましくは、IL-22ポリペプチドは天然IL-22ポリペプチドである。
またさらなる実施態様では、本発明は、IL-22ポリペプチド、又はここに記載するIL-22ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗-IL-22抗体を担体と組み合わせを含む組成物に関する。場合によっては、担体は製薬的に許容される担体である。
本発明のその他の実施態様は、IL-22ポリペプチド、又は上記したようなそのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗-IL-22抗体の、IL-22ポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニスト又は抗-IL-22抗体に応答性のある症状の治療に有用な医薬の調製のための使用に関する。
【0013】
本発明のさらなる実施態様では、本発明は、ここに記載の任意のポリペプチドをコードするDNAを含むベクターを提供する。任意のそのようなベクターを含む宿主細胞も提供される。例としては、その宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母であってもよい。ここに記載の任意のポリペプチドの製造方法がさらに提供されており、それは、宿主細胞を所望のポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から所望のポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合した、ここに記載の任意のポリペプチドを含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したここに記載の任意のポリペプチドを含む。
【0014】
その他の実施態様では、本発明は、上記又は下記のポリペプチドの任意のものに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。
さらに他の実施態様では、本発明は、ゲノム及びcDNAヌクレオチド配列の単離、関連する遺伝子の発現を測定及び検出することにとって、又はアンチセンスプローブとして有用であり得るオリゴヌクレオチドプローブを提供し、それらのプローブは上記又は下記のヌクレオチド配列の任意のものから誘導され得る。
他の実施態様では、本発明は、膵臓疾患の疑いがある生物学的試料を接触させることによって膵臓疾患を検出、診断及び治療する方法を提供する。生物学的試料中の膵臓疾患を検出及び治療することには、IL-22発現のレベルを確かめること、PAP1に対するIL-22発現の効果、又はIL-22で生物学的試料を探索することを含めてもよい。治療には、生物学的試料をIL-22に対するアンタゴニストと接触させること、IL-22発現の低下、又はレセプターへのIL-22結合の阻害を含めてもよい。
【0015】
(好適な実施態様の詳細な説明)
I.定義
ここで使用される際の「IL-22ポリペプチド」及び「IL-22」という用語は、ここで記載されている特定のポリペプチド配列を指す。ここで記載されているIL-22ポリペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してもよく、組換え又は合成方法によって調製してもよい。例えば、調製の、精製の、誘導の、抗体の形成、投与の、含有する組成物、疾患の治療、などの記述は、本発明の各ポリペプチドに個別に関係する。また、「IL-22ポリペプチド」という用語には、ここに開示されているIL-22ポリペプチドの変異体が含まれる。
【0016】
「天然配列IL-22ポリペプチド」は、天然由来の対応するIL-22ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列IL-22ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により産生することもできる。「天然配列IL-22ポリペプチド」という用語には、特に、特定のIL-22ポリペプチドの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びそのポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の一実施態様では、図2(配列番号:2)のアミノ酸1から179を含む天然配列IL-22ポリペプチドは、完全長アミノ酸配列を含む成熟又は完全長天然配列ポリペプチドである。開始及び終止コドンは、太い書体及び下線で図1(配列番号:1)に示さている。しかし、図2(配列番号:2)に開示されているIL-22ポリペプチドがメチオニン残基で開始することが図2(配列番号:2)のアミノ酸位置1において示されているが、図2(配列番号:2)のアミノ酸位置1より上流又は下流のいずれかに位置する他のメチオニン残基が、IL-22ポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いられ得ることが考えられるし可能であり得る。
【0017】
ここに開示する種々のIL-22ポリペプチドの「シグナルペプチド」の適切な位置は、本明細書及び/又は添付の図面に示される。しかし、注記するように、シグナルペプチドのC-末端境界は変化し得るが、それはここで最初に定義したようにシグナルペプチドC-末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸未満である可能性が最も高く、シグナルペプチドのC-末端境界は、そのような型のアミノ酸配列エレメントを同定するのに日常的に使用される基準に従って同定し得る(例えば、Nielsenら, Prot. Eng. 10: 1-6 (1997)及びvon Heinjeら, Nucl. Acids. Res. 14: 4683-4690 (1986))。さらに、幾つかの場合には、分泌ポリペプチドからのシグナルペプチドの切断は完全に均一ではなく、1つ以上の分泌種をもたらすことも認められる。シグナルペプチドがここに定義されるシグナルペプチドのC-末端境界の何れかの側の約5アミノ酸未満内で切断されるこれらの成熟ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドは、本発明で考慮される。
【0018】
「IL-22ポリペプチド変異体」とは、上記又は下記に定義されるように、ここに開示される完全長天然配列IL-22ポリペプチド、ここに開示されたシグナルペプチドを欠く完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列、ここに開示された完全長IL-22の他の断片と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する活性IL-22ポリペプチドを意味する。このようなIL-22ポリペプチド変異体には、例えば、完全長天然アミノ酸配列のN-又はC-末端において1つ又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失したIL-22ポリペプチドが含まれる。通常、IL-22ポリペプチド変異体は、(a)図2(配列番号:2)に開示しているIL-22ポリペプチド配列のアミノ酸約1又は約33から約179、(b)Xが図2(配列番号:2)の29から38の任意のアミノ酸である、図2(配列番号:2)に示すIL-22ポリペプチド配列のXから179、(c)図2(配列番号:2)に示す完全長IL-22ポリペプチド配列の他の特に確定済みの断片と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、あるいは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有している。通常は、IL-22変異体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、あるいは少なくとも約20アミノ酸長、あるいは少なくとも約30アミノ酸長、あるいは少なくとも約40アミノ酸長、あるいは少なくとも約50アミノ酸長、あるいは少なくとも約60アミノ酸長、あるいは少なくとも約70アミノ酸長、あるいは少なくとも約80アミノ酸長、あるいは少なくとも約90アミノ酸長、あるいは少なくとも約100アミノ酸長、あるいは少なくとも約150アミノ酸長、あるいは少なくとも約200アミノ酸長、あるいは少なくとも約300アミノ酸長、又はそれ以上である。
【0019】
ここに定義されるIL-22ポリペプチドに関してここで同定されている「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、最大のパーセント配列同一性を得るために、必要ならば配列を整列させ間隙を導入した後に、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えない、特定のIL-22ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下記の表1に提供されている配列比較プログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権事務所, ワシントンD.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2はジェネンテック社、サウス サン フランシスコ, カリフォルニアから公的に入手可能であり、下記の表1に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0020】
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。この方法を用いた%アミノ酸配列同一性の計算の例として、「IL-22」が対象となる仮説的IL-22ポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパク質」が対象となる「比較」タンパク質が比較されているアミノ酸配列を表し、そして「X」、「Y」及び「Z」の各々が異なった仮説的アミノ酸残基を表し、表2及び3は、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「IL-22」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を示す。
【0021】
特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は上記のようにALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%アミノ酸配列同一性値は、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altschulら, Methods in Enzymology 266: 460-480(1996))を用いて決定してもよい。さらに、殆どのWU-BLAST-2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU-BLAST2が用いられた場合には、、%アミノ酸配列同一性値は、(a)天然IL-22ポリペプチドから誘導された配列を有する対象とするIL-22ポリペプチドのアミノ酸配列と、対象とする比較アミノ酸配列(即ち、対象とするIL-22ポリペプチドが比較されるIL-22ポリペプチド変異体であってもよい配列)との間の、WU-BLAST-2によって決定した一致する同一アミノ酸残基の数を、(b)対象とするIL-22ポリペプチドの残基の総数で除した商によって決定される。例えば、「アミノ酸配列Bに対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を持つ又は持っているアミノ酸配列Aを含んでなるポリペプチド」という表現では、アミノ酸配列Aが対象である比較アミノ酸配列であり、アミノ酸配列Bが対象であるIL-22ポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0022】
また、%アミノ酸配列同一性は、配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschulら, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードでき、又は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることができる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
【0023】
アミノ酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のA及びBのプログラムのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
【0024】
「IL-22変異体ポリヌクレオチド」又は「IL-22変異体核酸配列」とは、下記に定義されるように活性IL-22ポリペプチドをコードし、ここで開示する完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列をコードする核酸配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠いた完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列、又はここに開示する完全長IL-22ポリペプチド配列の任意の他の断片と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子を意味する。通常、IL-22変異体ポリペプチドは、ここで開示する完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列をコードする核酸配列、ここで開示するシグナルペプチドを欠く完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列、ここで開示するシグナルペプチドを有するか又は有しないIL-22ポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここに開示する完全長天然配列IL-22ポリペプチド配列のその他の断片と、少なくとも約80%の核酸配列同一性、好ましくはあるいは少なくとも約81%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして、あるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有している。
【0025】
通常は、IL-22変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約30ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約60ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約90ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約120ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約150ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約180ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約210ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約240ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約270ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約300ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約450ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約600ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約900ヌクレオチド長、又はそれ以上である。
【0026】
ここで同定されるIL-22コード化核酸配列に対する「パーセント(%)核酸配列同一性」とは、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば配列を整列させ間隙を導入した後に、対象であるIL-22核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下記の表1に提供されている配列比較プログラALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権事務所,ワシントン D.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2はジェネンテック社、サウス サン フランシスコ, カリフォルニアから公的に入手可能であり、下記の表1に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0027】
核酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN-2のC及びDのプログラムのアラインメントによって同一であるとして一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全核酸残基数である。核酸配列Cの長さがアミノ酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。この方法を用いた%核酸配列同一性の計算の例として、「IL-22−DNA」が対象となる仮説的IL-22コード化核酸配列を表し、「比較DNA」が対象となる「IL-22−DNA」核酸分子が比較されている核酸配列を表し、そして「N」、「L」及び「V」の各々が異なった仮説的アミノ酸残基を表し、表4及び5が「比較DNA」と称される核酸配列の「IL-22−DNA」と称される核酸配列に対する%核酸配列同一性の計算方法を示す。
【0028】
特に断らない限りは、ここでの全ての%核酸配列同一性値は、直上のパラグラフに示したようにALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかし、%核酸配列同一性値は、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altschulら, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて決定してもよい。さらに、殆どのWU-BLAST-2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU-BLAST-2が用いられた場合、%核酸配列同一性値は、(a)天然配列IL-22ポリペプチドコード化核酸から誘導された配列を有している対象とするIL-22ポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列と、対象とする比較核酸配列(即ち、対象とするIL-22ポリペプチドコード化核酸分子が比較されるIL-22ポリペプチド変異体であってもよい配列)との間の、WU-BLAST-2によって決定した一致する同一核酸残基の数を、(b)対象とするIL-22ポリペプチドコード化核酸分子のヌクレオチドの総数で除した商によって決定される。例えば、「核酸配列Bに対して少なくとも80%の核酸配列同一性を持つ又は持っている核酸配列Aを含んでなるポリペプチド」という表現では、核酸配列Aが対象とする比較核酸配列であり、核酸配列Bが対象とするIL-22ポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列である。
【0029】
また、%核酸配列同一性は、配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschulら, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードでき、又は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることができる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
【0030】
核酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のC及びDのプログラムのアラインメントによって同一であると一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全核酸残基数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
【0031】
他の実施態様では、IL-22変異体ポリペプチドヌクレオチドは、活性IL-22ポリペプチドをコードし、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件下で、ここに開示する完全長IL-22ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする核酸分子である。IL-22変異体ポリペプチドは、IL-22変異体ポリヌクレオチドにコードされるものであってもよい。
「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の夾雑成分とは、そのポリペプチドの診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離されたポリペプチドには、IL-22ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのタンパク質が含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0032】
「単離された」IL-22ポリペプチドコード化核酸又は他のポリペプチド核酸とは、同定され、ポリペプチドコード化核酸の天然源に通常は付随している少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離した核酸分子である。単離されたIL-22ポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在する特定のポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたポリペプチドコード化核酸分子は、ポリペプチドを通常は発現する細胞に含まれるポリペプチドコード化核酸分子を含み、例えば、その核酸分子は天然細胞のものとは異なった染色体位置にある。
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。原核生物に適したコントロール配列は、例えば、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0033】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、例えば、単一の抗-IL-22ポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を持つ抗-IL-22抗体組成物、一本鎖抗-IL-22抗体、及び抗-IL-22抗体の断片を包含している(下記参照)。ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である集団から得られる抗体を称する。
【0034】
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブが短くなると温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、一般的に、相補鎖がその融点に近いがそれより低い環境に存在する場合における変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション可能な配列との間の所望のホモロジーの程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにするが、低い温度はストリンジェンシーを低下させる。さらに、ストリンジェンシーは塩濃度に逆比例する。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細及び説明は、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
【0035】
ここで定義される「ストリンジェントな条件」又は「高いストリンジェントな条件」とは、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃で0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いる;(2)ハイブリダイゼーションの間にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃で750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含むpH6.5の0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウムバッファーによる50%(v/v)ホルムアミドを用いる;(3)0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)による42℃での、及び50%ホルムアミドによる55℃での洗浄に50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸を用い、その後に55℃でのEDTAを含む0.1xSSCから成る高いストリンジェンシーによる洗浄が続くことによって同定され得る。
【0036】
「中程度のストリンジェントな条件」は、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているように同定され、上記のストリンジェンシーより低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェントな条件とは、37℃で、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハード液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液での終夜にわたるインキュベーション、それに続く37-50℃で1xSSCでのフィルターの洗浄である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識する。
【0037】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したIL-22ポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープ、又は幾つかの他の試薬によって同定できるエピトープを提供するに十分な数の残基を有しているが、その長さは対象とするIL-22ポリペプチドの活性を阻害しないよう十分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20の残基)を有する。
【0038】
ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインとを結合した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
【0039】
ここで意図している「活性な」及び「活性」とは、天然又は天然発生IL-22ポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するIL-22の形態を意味し、「生物学的」活性とは、天然又は天然発生IL-22によって生ずる(阻害性又は刺激性の)生物学的機能であって、天然又は天然発生IL-22が有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能力を除くものを意味し、「免疫学的」活性とは、天然又は天然発生IL-22が有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能力を意味する。好ましい生物学的活性とは、PAP1発現の誘導である。PAP1は、栄養因子のREGファミリーに関連する分泌タンパク質であり、膵炎で高発現しているタンパク質として最初に特徴付けられた(Iovannaら., (1991)J Biol Chem., 266, 24664-24669)。IL-22のインビボでの注入によって、膵臓でのPAP1発現の急速な誘導が起こる。
【0040】
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然IL-22ポリペプチドの生物学的活性を阻止、阻害、又は中和する任意の分子を指す。同様に「アゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然IL-22ポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を指す。好適なアゴニスト又はアンタゴニスト分子は特に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然IL-22ポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、有機小分子、などを含む。IL-22ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの同定方法は、IL-22ポリペプチドを候補アンタゴニスト又はアゴニストと接触させ、IL-22ポリペプチドに通常は関連している1つ又は複数の生物学的活性の変化を測定することを含み得る。
【0041】
ここで使用される「治療」とは、治癒的処置、予防的療法及び防止的療法の両方を意味し、目的は標的とする病理学的状態又は疾患を防止又は低下(減少)させることである。治療が必要なものとは、疾患に罹りやすいもの又は疾患が予防されるものだけでなく、既に疾患に罹っているものを含む。
「慢性」投与とは、急性様式とは異なり連続的な様式での薬剤を投与し、初期の治療効果(活性)を長時間に渡って維持することを意味する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。
治療の対象のための「哺乳動物」は、ヒト、家庭及び農業用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギなどを含む哺乳類に分類される任意の動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
1つ又は複数の治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
【0042】
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又は祖ルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商品名)を含む。
【0043】
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(Zapataら, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab’)2断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
【0044】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。この配置において各ドメインの3つのCDRが相互作用してVH-VLに量体の表面に抗原結合部位を決定する。正しくは、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
【0045】
また、Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによってFab’断片と相違する。ここで、Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFab’を表す。F(ab’)2抗体断片は、最初はFab’断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
【0046】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明らかに異なる型の一方に分類される。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは異なるクラスに分類できる。免疫グロブリンの五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらの幾つかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分類される。
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片を含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合とって望ましい構造の形成を可能にする、VH及びVLドメイン間のポリペプチドリンカーを更に含む。sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
【0047】
用語「ダイアボディ(diabodies)」は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開93/11161;及びHollingerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)で十分に記載されている。
【0048】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離及び/又は回収されたものである。その自然環境の夾雑成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー法で測定した場合95%を越える抗体、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに十分なほど、又は(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元又は還元条件下でのSDS−PAGEによって均一となるまで精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0049】
「特異的に結合する」又は「に対して特異的」抗体、又は特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープへ特異的な抗体とは、他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープとは実質的に結合せずに、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープへ結合するものである。
「標識」なる語は、ここで用いられる場合、「標識」抗体が生成されるように、抗体に直接又は間接的に抱合している検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は、それ自身検出可能でもよく(例えば、放射性標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可能な基質化合物又は組成物の化学変換を触媒してもよい。
【0050】
「固相」とは、本発明の抗体がそれに付着することのできる非水性マトリクスを意味する。ここに意図する固相の例は、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、孔制御ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンから形成されたものを含む。或る種の実施態様では、内容に応じて、固相はアッセイプレートのウェルを構成することができ;その他では精製カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)とすることもできる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載のような、別々の粒子の不連続な固相も含む。
【0051】
「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小型の小胞であり、哺乳動物への薬物(IL-22ポリペプチド又はその抗体など)の輸送に有用である。リポソームの成分は、通常は生体膜の脂質配列に類似する二層形式に配列させる。
「小分子」とは、ここで、約500ダルトン未満の分子量を持つと定義される。
ここで開示されたポリペプチドの「有効量」、或いはそのアゴニスト又はアンタゴニストとは、特別に言及された目的を実行するために十分な量のことである。「有効量」とは、言及された目的に関連して、経験的及び常套的方法によって決定することができる。
ここで定義される「活性化した膵臓」とは、膵臓の消化酵素が活性化して膵臓組織を攻撃し始める場合をである。
「生物活性分子」とは、ここで毒素、放射標識又は抗体として定義される。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
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【0063】
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【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
II. 本発明の組成物と方法
A.完全長IL-22ポリペプチド
本発明は、本出願でIL-22ポリペプチドと呼ばれるポリペプチドをコードする新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に、下記の実施例でさらに詳細に説明するように、種々のIL-22ポリペプチドをコードするcDNAが同定され単離された。別々の発現ラウンドで生成されたタンパク質には異なるIL-22番号が与えられるが、UNQ番号は全ての与えられたDNA及びコード化タンパク質に独特であり、変わることはないことを記しておく。しかし、単純化のために、本明細書において、ここに開示した完全長天然核酸分子にコードされるタンパク質並びに上記のIL-22の定義に含まれるさらなる天然相同体及び変異体は、それらの起源又は調製形式に関わらず「IL-22」で呼称する。
【0074】
下記の実施例に開示するように、種々のcDNAクローンがATCCに寄託されている。これらのクローンの正確なヌクレオチド配列は、この分野で日常的な方法を用いて寄託されたクローンを配列決定することにより容易に決定することができる。予測されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から常套的技量を用いて決定できる。ここに記載したIL-22ポリペプチド及びコード化核酸について、本出願人は、現時点で入手可能な配列情報と最も良く一致するリーディングフレームであると考えられるものを同定した。
【0075】
B.IL-22ポリペプチド変異体
ここに記載した完全長天然配列IL-22ポリペプチドに加えて、IL-22変異体も調製できると考えられる。IL-22変異体は、IL-22DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、及び/又は所望のIL-22ポリペプチドを合成することにより調製できる。当業者は、グリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などのアミノ酸変化がIL-22ポリペプチドの翻訳後プロセスを変えうることを理解するであろう。
【0076】
ここに記載した天然完全長配列IL-22又はIL-22ポリペプチドの種々のドメインにおける変異は、例えば、米国特許第5,364,934号に記載されている保存的及び非保存的変異に関する任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、結果として天然配列IL-22と比較してIL-22ポリペプチドのアミノ酸配列が変化するIL-22ポリペプチドをコードする1つ又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってもよい。場合によっては、変異はIL-22ポリペプチドの1つ又は複数のドメインの任意の他のアミノ酸による少なくとも1つのアミノ酸の置換である。いずれのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失されるかの指針は、IL-22ポリペプチドの配列をホモロジーの知られたタンパク質分子の配列と比較し、ホモロジーの高い領域内でなされるアミノ酸配列変化を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸の類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸での置換、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果とすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内とすることができる。許容される変異は、配列においてアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、得られた変異体を完全長又は成熟天然配列によって示される活性に関して試験するこよによって決定し得る。
【0077】
IL-22ポリペプチド断片がここに提供される。このような断片は、例えば、完全長天然タンパク質と比較した際に、N-末端又はC-末端で切断されてもよく、又は内部残基を欠いていてもよい。或る種の断片は、IL-22ポリペプチドの所望の生物学的活性に必須ではないアミノ酸残基を欠いている。
IL-22断片は、任意の多数の従来技術によって調製してもよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法は、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基によって決定される部位のタンパク質を切断することが知られた酵素でタンパク質を処理することにより、あるいは適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによるIL-22断片の生成を含む。さらに他の好適な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、所望のポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することを含む。DNA断片の所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、IL-22ポリペプチド断片は、ここに開示した天然IL-22ポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
【0078】
特別の実施態様では、対象とする保存的置換を、好ましい置換を先頭にして表6に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表6に例示的置換と名前を付けた又は以下にアミノ酸分類でさらに記載するように、より置換的な変化が導入され生成物がスクリーニングされる。
【0079】
【0080】
IL-22ポリペプチドの機能及び免疫学的同一性の置換的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又はら旋構造、(b)標的部位の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において実質的に異なる置換基を選択することにより達成される。天然発生残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
【0081】
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、好ましくは残された(非保存)部位に導入され得る。
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異誘発[Carterら, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zollerら, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wellsら, Gene, 34: 315 (1985)]、制限的選択突然変異誘発[Wellsら, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]等のこの分野で知られた方法を用いてなすことができ、又は他の知られた技術をクローニングしたDNAに実施してIL-22変異体DNAを作成することもできる。
【0082】
また、隣接配列に沿って1つ又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である[Cunningham及びWells, Science, 244: 1081-1085 (1989)]。最もありふれたアミノ酸であるために、アラニンも典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた位置及び露出した位置の両方に見出されることが多い[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150:1(1976)]。アラニン置換によって十分な量の変異体を生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
【0083】
C.IL-22の修飾
IL-22ポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の1つの型は、IL-22ポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、IL-22ポリペプチドの選択した側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることである。例えば、抗-IL-22抗体精製方法に使用、あるいはその逆の用途を目的としてIL-22を水不溶性支持体マトリクス又は表面と架橋させるために、二官能性試薬による誘導体化が有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸とのエステル、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
【0084】
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれるIL-22ポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。「天然グリコシル化パターンの変更」とは、ここで意図されるのは、天然配列IL-22に見られる1又は複数の炭水化物部分の欠失(存在するグリコシル化部位の除去又は化学的及び/又は酵素的手段によるグリコシル化の削除のいずれかによる)、及び/又は天然配列IL-22に存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。さらに、この文節は、存在する種々の炭水化物部分の性質及び特性の変化を含む、天然タンパク質のグリコシル化における定性的変化を含む。
【0085】
IL-22ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はアミノ酸配列の変更を伴ってもよい。この変更は、例えば、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列IL-22(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。IL-22アミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、IL-22ポリペプチドをコードするDNAを予め選択した塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。
IL-22ポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に発行された国際公開87/05330、及びAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0086】
IL-22ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddinら, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdgeら, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
本発明のIL-22の共有結合的修飾の他の型は、IL-22ポリぺプチドの、種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへの、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載された方法での結合を含む。
また、本発明のIL-22ポリペプチドを、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したIL-22ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。
【0087】
一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとIL-22ポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはIL-22ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなIL-22ポリペプチドのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってIL-22ポリペプチドを容易に精製できるようにする。種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体はこの分野で良く知られている。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ-his)又はポリ−ヒスチジン−グリシン(poly-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Fieldら, Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evanら, Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616(1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborskyら, Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hoppら, BioTechnology, 6:1204-1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martinら, Science, 255:192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinnerら, J. Biol. Chem., 266:15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuthら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397(1990)]を含む。
【0088】
それに換わる実施態様では、キメラ分子はIL-22の免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域に換えてIL-22ポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号を参照のこと。
【0089】
D.IL-22の調製
以下の説明は、主として、IL-22核酸を含むベクターで形質転換又はトランスフェクションした細胞を培養することによりIL-22を産生する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてIL-22を調製することができると考えられる。例えば、IL-22配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって産生してもよい[例えば、Stewartら, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., サン フランシスコ, カリフォルニア(1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動化によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(フォスター シティー, カリフォルニア)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。IL-22の種々の部分は、別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて完全長IL-22を産生してもよい。
【0090】
1.IL-22をコードするDNAの単離
IL-22をコードするDNAは、IL-22mRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。従って、ヒトIL-22DNAは、実施例に記載されるように、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。またIL-22-コード化遺伝子は、ゲノムライブラリから又は公知の合成方法(例えば、自動化核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(IL-22に対する抗体又は少なくとも約20-80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択したプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。IL-22をコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrookら,上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0091】
下記の実施例には、cDNAライブラリのスクリーニング技術を記載している。プローブとして選択したオリゴヌクレオチド配列は、十分な長さで、疑陽性が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイブリダイゼーション時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は当該分野において良く知られており、32P標識されたATPのような放射線標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度のストリンジェンシー及び高度のストリンジェンシーを含むハイブリダイゼーション条件は、上掲のSambrookらに示されている。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、Genbankらの公共データベース又は個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可能とされている周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内又は全長に渡っての(アミノ酸又は核酸レベルのいずれかでの)配列同一性は、当該分野で知られた、及びここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されていないmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrookらに記述されているような従来のプライマー伸展法を使用して選択したcDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることによって得られる。
【0092】
2.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載したIL-22産生のための発現又はクローニングベクターでトランスフェクション又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrookら, 上掲に見出すことができる。
【0093】
真核生物細胞トランスフェクション及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrookらに記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawら, Gene, 23:315(1983)及び1989年6月29日公開の国際公開89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的には、Van Solingenら, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiaoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keownら, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansourら, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
【0094】
ここに記載のベクターのDNAをクローニング又は発現するために適した宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。適した原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公衆に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635)である。他の好ましい原核動物宿主細胞は、大腸菌、例えば、E. coli、エンテロバクター、エルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えば、ネズミチフス菌、セラチア、例えば、セラチア・マルセサンス(Serratia marcescans) 、及び赤痢菌などの腸内細菌科、並びに桿菌、例えばバチルス・スブチルス(B. subtilis)及びバチルス・リチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12日発行のDD266,710に記載されたバチルス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌及びストレプトマイセスを含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生産物発酵のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、細胞に外来のタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異をするように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF-lac)169 degP ompT kanrを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110株40B4;及び1990年8月7日発行の米国特許第4,946,783号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が好ましい。
【0095】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母のような真核微生物は、IL-22コード化ベクターのために適したクローニング又は発現宿主である。サッカロマイセス・セレビジエは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他に、シ ゾ サ ッ カロマイセ ス・ポンベ(Schizosaccharomyces prombe)(Beach及びNurse, Nature, 290: 140 [1981]; 1985年5月2日発行の欧州特許第139,383号);クリュイベロミセス宿主(Kluyveromyces hosts)(米国特許第4,943,529号; Fleerら, Bio/Technology, 9: 968-975 (1991))、例えばクリュイベロミセス・ラクティス(K. lactis)(MW98-8C, CBS683, CBS4574; Louvencourtら, J. Bacteriol.154(2): 737-742 [1983])、クリュイベロミセス・フラギリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、クリュイベロミセス・ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、クリュイベロミセス・ウィケラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、クリュイベロミセス・ワルチイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、クリュイベロミセス・ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906; Van den Bergら, Bio/Technology, 8: 135 (1990))、クリュイベロミセス・テモトレランス(K. thermotolerans)及びクリュイベロミセス・マルキシアナス(K. marxianus);ヤロウィア(yarrowia)(欧州特許第402,226号);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(欧州特許第183,070号; Sreekrishnaら, J. Basic Microbiol, 28: 265-278 [1988]);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244,234号);アカパンカビ(Caseら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 5259-5263 [1979]);シュワニオマイセス(Schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)(1990年10月31日発行の欧州特許第394,538号);及び糸状真菌、例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)(1991年1月10日発行の国際公開91/00357);及びアスペルギルス宿主、例えばアスペルギルスニダランス(Ballanceら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 112: 284-289 [1983]; Tilburnら, Gene, 26: 205-221 [1983]; Yeltonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470-1474 [1984])及びアスペルギルス・ニガー(Kelly及びHynes, EMBO J., 4: 475-479 [1985])が含まれる。ここで好ましいメチロトロピック(C1化合物資化性、Methylotropic)酵母は、これらに限られないが、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ、クロエケラ(Kloeckera)、ピキア(Pichia)、サッカロマイセス、トルロプシス(Torulopsis)、及びロドトルラ(Rhodotorula)からなる属から選択し、メタノールで成長可能な酵母を含む。この酵母の分類の例示である特定の種のリストは、C. Anthony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)に記載されている。
【0096】
グリコシル化IL-22の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞だけでなくショウジョウバエ(Drosophila)S2及びスポドペトラ(Spodoptera )Sf9等の昆虫細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より詳細な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7,ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Grahamら, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138,ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2,HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562,ATCC CCL51)を含む。適した宿主細胞の選択は、この分野の技術常識内にある。
【0097】
3.複製可能なベクターの選択及び使用
IL-22をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、1つ又は複数のシグナル配列、複製開始点、1つ又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の1つ又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
【0098】
IL-22は直接的に組換え手法によって産生されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても産生される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるIL-22-コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択した原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(サッカロマイセス(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行の欧州特許第362179号)、又は1990年11月15日に公開された国際公開90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0099】
発現及びクローニングベクターは共に1つ又は複数の選択した宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選択可能なマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードしており、例えばバシリのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。
【0100】
哺乳動物細胞に適した選択可能なマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのようにIL-22-コード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaubらにより Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcombら, Nature, 282:39(1979);Kingsmanら, Gene, 7:141(1979);Tschemperら, Gene, 10:157(1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファンで成長する能力を欠く酵母の突然変異株のための選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85:12 (1977)]。
発現及びクローニングベクターは、通常、IL-22-コード化核酸配列に作用可能に結合し、mRNA合成を制御するプロモーターを含む。種々の可能な宿主細胞により認識される好適なプロモーターが知られている。原核生物宿主で使用するのに適したプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Changら, Nature, 275:615 (1978); Goeddelら, Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); 欧州特許第36,776号]、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター[deBoerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたIL-22をコードするDNAと作用可能に結合したシャイン-ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
【0101】
酵母宿主で使用するのに適したプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman ら, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess ら, J. Adv. Enzyme Reg., 7:149 (1968);Holland, Biochemistry, 17:4900(1987)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母での発現に好適に用いられるベクターとプロモータは欧州特許第73,657号に更に記載されている。
【0102】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのIL-22転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK2,211,504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り制御される。
より高等の真核生物による所望のIL-22をコードするDNAの転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、IL-22コード化配列の5’又は3’位でベクターにスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
【0103】
また真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの通常は5’、時には3’の非翻訳領域から取得できる。これらの領域は、IL-22をコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組換え脊椎動物細胞培養でのIL-22の合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら, Nature, 293:620-625 (1981); Manteiら, Nature, 281:40-46 (1979);欧州特許第117,060号;及び欧州特許第117,058号に記載されている。
【0104】
4.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリダイゼーション法によって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0105】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体を、天然配列IL-22ポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はIL-22 DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製してもよい。
【0106】
5.ポリペプチドの精製
IL-22の形態は、培養培地又は宿主細胞可溶化液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。IL-22の発現に用いられた細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
【0107】
IL-22を、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい。次の方法は、適切な精製手法の典型である:イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような夾雑物を除くプロテインAセファロースカラム;及びIL-22のエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher, Methods in Enzymology, 182(1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に産生される特定のIL-22の性質に依存する。
【0108】
E.IL-22の用途
IL-22をコードする核酸配列(又はそれらの補体)は、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用を含む分子生物学の分野において、染色体及び遺伝子マッピングにおいて、及びアンチセンスRNA及びDNAの生成において種々の用途を有している。また、IL-22核酸も、ここに記載される組換え技術によるIL-22ポリペプチドの調製に有用である。
【0109】
完全長天然配列IL-22遺伝子又はその一部は、全長IL-22cDNAの単離又はここに開示した天然IL-22配列に対して所望の配列同一性を持つ更に他のcDNA(例えば、他の種からのIL-22の天然発生変異体又はIL-22をコードするもの)の単離のためのcDNAライブラリ用のハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。場合によっては、プローブの長さは約20〜約50塩基である。ハイブリダイゼーションプローブは、少なくとも部分的に完全長天然ヌクレオチド配列の新規な領域から誘導してもよく、それらの領域は、過度の実験をすることなく、天然配列IL-22のプロモーター、エンハンサー成分及びイントロンを含むゲノム配列から誘導され得る。例えば、スクリーニング法は、周知のDNA配列を用いてIL-22遺伝子のコード化領域を単離し、約40塩基の選抜プローブを合成することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32P又は35S等の放射性ヌクレオチド、又はアビディン/ビオチン結合系を介してプローブに結合したアルカリホスファターゼ等の酵素標識を含む種々の標識で標識してもよい。本発明のIL-22遺伝子に相補的な配列を有する標識されたプローブは、ヒトcDNA、ゲノムDNA又はmRNAのライブラリーをスクリーニングし、そのライブラリーの何れのメンバーがプローブにハイブッド形成するかを決定するのに使用できる。ハイブリダイゼーション技術は、以下の実施例において更に詳細に記載する。
【0110】
本出願で開示する任意のESTはプローブと同様に、ここに記載した方法で用いることができる。
IL-22核酸の他の有用な断片は、標的IL-22 mRNA(センス)又はIL-22 DNA(アンチセンス)配列に結合できる一本鎖核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含むアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを含む。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、本発明によると、IL-22 DNAのコード化領域の断片を含む。このような断片は、一般的には少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14から30ヌクレオチドを含む。与えられたタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを得る能力は、例えば、Stein及びCohen(Cancer Res. 48: 2659: 1988)及び van der Krolら,(BioTechniques 6: 958, 1988)に記載されている。
【0111】
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は二重鎖の形成をもたらし、それは、二重鎖の分解の促進、転写又は翻訳の期外停止を含む幾つかの方法の一つ、又は他の方法により、標的配列の転写又は翻訳を阻止する。よって、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、IL-22タンパク質の発現を阻止するのに用いられる。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、修飾糖−ホスホジエステル骨格(又は他の糖結合、国際公開91/06629に記載のもの等)を有するオリゴヌクレオチドをさらに含み、そのような糖結合は内因性ヌクレアーゼ耐性である。そのような耐性糖結合を持つオリゴヌクレオチドは、インビボで安定であるが(即ち、酵素分解に耐えうるが)、標的ヌクレオチド配列に結合できる配列特異性は保持している。
センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例は、国際公開90/10048に記載されているもののような、有機部分、及びオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への親和性を向上させる他の部分、例えばポリ-(L-リジン)に共有結合したオリゴヌクレオチドを含む。さらにまた、エリプチシン等の挿入剤、アルキル化剤又は金属錯体をセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させ、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列への結合特異性を改変してもよい。
【0112】
アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO4-媒介DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む任意の遺伝子転換方法により、又はエプスタイン-バーウイルスなどの遺伝子転換ベクターを用いることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入される。好ましい方法では、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、適切なレトロウイルスベクターに挿入される。標的核酸配列を含む細胞は、インビボ又はエキソビボで組換えレトロウイルスベクターに接触させる。好適なレトロウイルスベクターは、これらに限られないが、マウスレトロウイルスM-MuLVから誘導されるもの、N2(M-MuLVから誘導されたレトロウイルス)、又はDCT5A、DCT5B及びDCT5Cと命名されたダブルコピーベクター(国際公開90/13641参照)を含む。
また、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開91/04753に記載されているように、リガンド結合分子との複合体の形成により標的配列を含む細胞に導入してもよい。適切なリガンド結合分子は、これらに限られないが、細胞表面レセプター、成長因子、他のサイトカイン、又は細胞表面レセプターに結合する他のリガンドを含む。好ましくは、リガンド結合分子の複合体形成は、リガンド結合分子がその対応する分子又はレセプターに結合する、あるいはセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその複合体の細胞への侵入を阻止する能力を実質的に阻害しない。
【0113】
あるいは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開90/10448に記載されたように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により標的核酸配列を含む細胞に導入してもよい。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは内因性リパーゼにより細胞内で分解される。
アンチセンス又はセンスRNA又はDNA分子は一般に少なくとも約5塩基長、約10塩基長、約15塩基長、約20塩基長、約25塩基長、約30塩基長、約35塩基長、約40塩基長、約45塩基長、約50塩基長、約55塩基長、約60塩基長、約65塩基長、約70塩基長、約75塩基長、約80塩基長、約85塩基長、約90塩基長、約95塩基長、約100塩基長、あるいはそれ以上である。
【0114】
密接に関連したIL-22コード化配列の同定のための配列のプールを作成するために、このプローブもPCR技術に用いてもよい。
IL-22をコードする遺伝子のマッピングのため、及び遺伝子疾患を持つ個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブの作成のために、IL-22をコードするヌクレオチド配列も使用することができる。インサイツハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連鎖分析、及びライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニング等の周知の技術を用いて、ここに提供されるヌクレオチド配列はを染色体及び染色体の特定領域にマッピングし得る。
【0115】
IL-22のコード化配列が他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、IL-22がレセプターである場合)、IL-22を結合相互作用に関与している他のタンパク質又は分子を同定するためのアッセイに用いることができる。このような方法により、レセプター/リガンド結合性相互作用の阻害剤を同定することができる。このような結合性相互作用に含まれるタンパク質も、ペプチド又は小分子阻害剤又は結合性相互作用のアゴニストのスクリーニングに用いることができる。また、レセプターIL-22は関連するリガンドの単離にも使用できる。天然IL-22又はIL-22のレセプターの生物学的活性を模倣するリード化合物を見出すために、スクリーニングアッセイを設計することができる。そのようなスクリーニングアッセイは、化学的ライブラリーの高スループットスクリーニングに従うアッセイを含み、そのアッセイを小分子候補薬剤の同定に特に適したものにする。予想される小分子は、合成有機又は無機化合物を含む。このアッセイは、この分野で良く知られ特徴付けられているタンパク質−タンパク質結合アッセイ、生物学的スクリーニングアッセイ、免疫検定及び細胞ベースのアッセイを含む種々の型式で実施される。
【0116】
また、IL-22又はその任意の修飾型をコードする核酸は、トランスジェニック動物又は「ノックアウト」動物のいずれかを産生することに使用でき、これらは治療的に有用な試薬の開発やスクリーニングとって有用である。トランスジェニック動物(例えばマウス又はラット)とは、出生前、例えば胚段階で、その動物又はその動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を有する動物である。導入遺伝子とは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。一実施形態では、IL-22をコードするcDNAは、IL-22をコードするDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作製するために使用するゲノム配列及び確立された技術に基づいて、IL-22をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用することができる。トランスジェニック動物、特にマウス又はラット等の特定の動物を産生する方法は、当該分野において常套的になっており、例えば米国特許第4,736,866号や第4,870,009号に記述されている。典型的には、特定の細胞が組織特異的エンハンサーを伴うIL-22導入遺伝子の導入の標的であろう。胚段階で動物の生殖系列に導入されたIL-22コード化導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物は、IL-22をコードするDNAの増大した発現の影響を調べるために使用できる。このような動物は、例えばその過剰発現を伴う病理学的状態に対して保護をもたらすと思われる試薬のテスター動物として使用できる。本発明のこの態様においては、動物を試薬で治療し、導入遺伝子を有する未治療の動物に比べ病理学的状態の発症率が低ければ、病理学的状態に対する治療上の処置の可能性が示される。
【0117】
あるいは、動物の胚幹細胞に導入されたIL-22をコードする改変ゲノムDNAと、IL-22をコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによってIL-22をコードする欠陥又は変更遺伝子を有するIL-22「ノックアウト」動物を作成するために、IL-22の非ヒト相同体を使用できる。例えば、確立された技術に従ってIL-22をコードするゲノムDNAのクローニングするために、IL-22をコードするcDNAを使用できる。IL-22をコードするゲノムDNAの一部を欠失させたり、又は組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。典型的には、ベクターは無変化のフランキングDNA(5’と3’末端の両方)を数キロベース含む[例えば、相同的組換えベクターについてはThomas及びCapecchi, Cell, 51:503(1987)を参照のこと]。ベクターは胚幹細胞に(例えばエレクトロポレーションによって)導入され、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞が選択された[例えば、Liら, Cell, 69:915(1992)参照]。選択した細胞が次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入されて集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照のこと]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性乳母に移植し、期間をおいて「ノックアウト」動物を作り出す。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は標準的な技術により同定され、それらを利用して動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させることができる。ノックアウト動物を、IL-22ポリペプチドの欠乏によるある種の病理的状態及びその病理的状態の進行に対する防御能力によって特徴付ることができる。
【0118】
IL-22ポリペプチドをコードする核酸も遺伝子治療に使用してもよい。遺伝子治療用途においては、例えば欠陥遺伝子を置換するため、治療的有効量の遺伝子産物のインビボ合成を達成するために遺伝子が細胞へ導入される。「遺伝子治療」とは、1回の処理により継続的効果が達成される従来の遺伝子治療と、治療的に有効なDNA又はmRNAの1回又は繰り返し投与を含む遺伝子治療薬の投与の両方を含む。アンチセンスRNA及びDNAは、ある種の遺伝子のインビボ発現を阻止する治療薬として用いることができる。細胞膜による制限された取り込みに起因する低い細胞内濃度にもかかわらず、短いアンチセンスオリゴヌクレオチドをそれが阻害剤として作用する細胞に移入できることは既に示されている(Zamecnikら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 4143-4146 [1986])。オリゴヌクレオチドの取り込みを促進するために、例えば、その負に荷電したリン酸ジエステル基を非荷電基で置換することによって、オリゴヌクレオチドを修飾することができる。
【0119】
生存可能な細胞に核酸を導入するための種々の技術が存在する。これらの技術は、意図する宿主の細胞において、核酸が培養細胞にインビトロで、あるいはインビボで移入されるかに応じて変わる。核酸を哺乳動物細胞にインビトロで移入するのに適した方法は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などを含む。現在好ましいインビボ遺伝子移入技術は、ウイルス(典型的にはレトロウイルス)ベクターでのトランスフェクション及びウイルス被覆タンパク質-リポソーム媒介トランスフェクションである(Dzauら, Trends in Biotechnology 11, 205-210(1993))。ある状況では、核酸供給源を、細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異的な抗体等の標的細胞を標的とする薬剤、標的細胞上のレセプターに対するリガンド等とともに提供するのが望ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスを伴って細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質、例えば、特定の細胞型向性のキャプシドタンパク質又はその断片、サイクルにおいてインターナリゼーションを受けるタンパク質に対する抗体、細胞内局在化を標的とし細胞内半減期を向上させるタンパク質が、標的化及び/又は取り込みの促進のために用いられる。レセプター媒介エンドサイトーシスは、例えば、Wuら, J. Biol. Chem. 262, 4429-4432 (1987); 及びWagnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410-3414 (1990)によって記述されている。遺伝子作成及び遺伝子治療のプロトコールの概説については、Andersonら, Science 256, 808-813 (1992)を参照のこと。
【0120】
ここに記載したIL-22ポリペプチドをタンパク質電気泳動目的の分子量マーカーとして用いてもよく、単離された核酸配列を、これらのマーカーを組み換え発現に用いてもよい。
ここに記載したIL-22ポリペプチド又はその断片をコードする核酸分子は、染色体の同定に有用である。この点において、実際の配列に基づく染色体マーキング試薬は殆ど利用可能ではないため、新規な染色体マーカーの同定が必要である。本発明の各IL-22核酸分子は染色体マーカーとして使用できる。
また、本発明のIL-22ポリペプチド及び核酸分子は組織タイピングに使用でき、本発明のIL-22ポリペプチドは、好ましくは同じ型の正常組織に比較して疾患性組織において、一方の組織で他方に比較して異なる発現をする。IL-22核酸分子には、PCR、ノーザン分析、サザン分析及びウェスタン分析のプローブ生成のための用途が見出されるであろう。
【0121】
ここに記載したIL-22ポリペプチドは治療薬として用いてもよい。本発明のIL-22ポリペプチドは、製薬的に有用な組成物を調製するのに知られた方法に従って製剤され、これにより、このIL-22生成物は製薬的に許容される担体媒体と混合される。治療用製剤は、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で、任意的な製薬上許容可能なキャリア、賦形剤又は安定剤と、所望の純度を有する活性成分とを混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th版, Osol, A. 編., [1980])、保管ために調製される。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、用いる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(残基数10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類又は他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、マンニトール又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又はTWEEN(商品名)、PLURONICS(商品名)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0122】
インビボ投与に使用される製剤は滅菌されていなくてはならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後に、滅菌フィルター膜を通す濾過により容易に達成される。
ここで、本発明の製薬組成物は一般に、無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを持つ静脈内バッグ又はバイアル内に配される。
投与経路は周知の方法、例えば、静脈内、腹膜内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内又は病巣内経路での注射又は注入、局所投与、又は徐放系による。
【0123】
本発明の製薬組成物の用量及び望ましい薬物濃度は、意図する特定の用途に応じて変化する。適切な用量又は投与経路の決定は、通常の内科医の技量の範囲内である。動物実験は、ヒト治療のための有効量の決定についての信頼できるガイダンスを提供する。有効量の種間スケーリングは、Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobiら, 編, Pergamon Press, New York 1989, pp. 42-96のMordenti, J. 及びChappell, W. 「The use of interspecies scaling in toxicokinetics」に記載された原理に従って実施できる。
【0124】
IL-22ポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴニストのインビボ投与が用いられる場合、正常な投与量は、投与経路に応じて、哺乳動物の体重当たり1日に約10ng/kgから100mg/kgまで、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日である。特定の用量及び送達方法の指針は文献に提供されている;例えば、米国特許第4,657,760号、第5,206,344号、又は第5,225,212号参照。異なる製剤が異なる治療用化合物及び異なる疾患に有効であること、例えば一つの器官又は組織を標的とする投与には、他の器官又は組織とは異なる方式で送達することを必要とし得るとが予想される。
【0125】
IL-22ポリペプチドの投与を必要とする任意の疾患又は疾病の治療に適した放出特性を持つ製剤でIL-22ポリペプチドの持続放出が望まれる場合、IL-22ポリペプチドのマイクロカプセル化が考えられる。持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN-)、インターロイキン-2、及びMN rgp120で成功裏に実施されている。Johnsonら, Nat. Med., 2: 795-799 (1996); Yasuda, Biomed. Ther., 27: 1221-1223 (1993); Horaら, Bio/Technology, 8: 755-758 (1990); Cleland,「Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems」Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell 及び Newman編, (Plenum Press: New York, 1995), p.439-462; 国際公開97/03692,国際公開96/40072,国際公開96/07399;及び米国特許第5,654,010号。
【0126】
これらのタンパク質の持続放出製剤は、ポリ-乳酸-コグリコール酸(PLGA)ポリマーを用い、その生体適合性及び広範囲の生分解特性に基づいて開発された。PLGAの分解生成物である乳酸及びグリコール酸は、ヒト身体内で即座にクリアされる。さらに、このポリマーの分解性は、分子量及び組成に依存して数ヶ月から数年まで調節できる。Lewis, 「Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer」: M. Chasin及び R. Langer (編), Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990), pp. 1-41。
本発明は、IL-22ポリペプチドを模倣する(アゴニスト)又はIL-22ポリペプチドの効果を阻害する(アンタゴニスト)ものを同定するための化合物のスクリーニング方法も包含する。アンタゴニスト候補薬のスクリーニングアッセイは、ここで同定した遺伝子にコードされているIL-22ポリペプチドと結合又は複合体形成する化合物、又はそうでなければコードされたポリペプチドと他の細胞性タンパク質との相互作用を妨害する化合物を同定するために設計される。このようなスクリーニングアッセイは、化学的ライブラリの高スループットスクリーニングに従うアッセイを含み、それらアッセイを特に小分子候補薬の同定に適したものにする。
【0127】
このアッセイは、この分野で良く特徴付けられた、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、及び細胞ベースのアッセイを含む種々の方式で実施される。
アンタゴニストについての全てのアッセイは、それらが候補薬をここで同定された核酸にコードされるIL-22ポリペプチドと、これら2つの成分が相互作用するのに十分な条件下及び時間で接触させることを必要とすることにおいて共通する。
【0128】
結合アッセイでは、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離されるか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここで同定された遺伝子によってコードされるIL-22ポリペプチド又は候補薬は、共有又は非共有結合により固相、例えばミクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、一般的に固体表面をIL-22ポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成される。あるいは、固定化されるIL-22ポリペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノクローナル抗体を、それを固体表面に固着させるために用いることができる。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識抗体によって検出できる。
【0129】
候補化合物が相互作用するが、ここに同定した遺伝子にコードされている特定のIL-22ポリペプチドと結合しない場合、候補化合物のそのポリペプチドとの相互作用は、タンパク質-タンパク質相互作用を検出するために良く知られている方法によってアッセイすることができる。そのようなアッセイは、架橋、同時免疫沈降、及び勾配又はクロマトグラフィーカラムを通す同時精製などの伝統的な手法を含む。さらに、タンパク質-タンパク質相互作用は、Chevray及びNathans[Proc.Natl. Acad. Sci. USA 89, 5789-5793 (1991)]に開示されているように、Fields及び共同研究者ら[Fields及びSong, Nature(London) 340, 245-246 (1989); Chienら, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88, 9578-9582 (1991)]に記載された酵母ベースの遺伝子系を用いることによってモニターすることができる。酵母GAL4などの多くの転写アクチベーターは、2つの物理的に別個のモジュラードメインからなり、一方はDNA結合ドメインとして作用し、他方は転写活性化ドメインとして機能する。前出の文献に記載の酵母発現系(一般に「2-ハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性の長所を利用し、並びに2つのハイブリッドタンパク質を用い、一方では標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインに融合し、他方では候補となる活性化タンパク質が活性化ドメインに融合している。GAL4活性化プロモーターの制御下でのGAL1-lacZリポーター遺伝子の発現は、タンパク質-タンパク質相互作用を介したGAL4活性の再構成に依存する。相互作用するポリペプチドを含むコロニーは、β-ガラクトシダーゼのための色素産生基質で検出される。2-ハイブリッド技術を用いた2つの特定なタンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用を同定するための完成キット(MATCHMAKER(商品名))は、Clontechから商業的に入手可能である。また、この系は、特定のタンパク質相互作用に関わるタンパク質ドメインのマッピング、並びにこれら相互作用にとって重要なアミノ酸残基の特定へ拡大適用することができる。
【0130】
ここで同定されたIL-22ポリペプチドをコードする遺伝子と細胞内又は細胞外成分との相互作用を阻害する化合物は、次のように試験できる:通常、反応混合物は、遺伝子産物と細胞外又は細胞内成分を、これら2つの生成物の相互作用及び結合が可能な条件下と時間に渡って含むように調製される。候補化合物が結合を阻害する能力を試験するために、反応は試験化合物の非存在及び存在下で実施される。さらに、プラシーボを第3の反応混合物に添加してポジティブコントロールを提供してもよい。混合物中に存在する試験化合物と細胞内又は細胞外成分との結合(複合体形成)は上記のようにモニターされる。試験化合物を含有する反応混合物ではなく、コントロール反応における複合体の形成は、試験化合物が試験化合物とその結合パートナーとの相互作用を阻害することを示す。
【0131】
アンタゴニストをアッセイするためには、特定の活性についてスクリーニングされる化合物とともにIL-22ポリペプチドを細胞へ添加してもよく、IL-22ポリペプチド存在下における対象活性を阻害する化合物の能力は、化合物がIL-22ポリペプチドのアンタゴニストであることを示す。あるいは、IL-22ポリペプチドと膜結合IL-22ポリペプチドレセプター又は組換えレセプターを有する潜在的アンタゴニストを競合的阻害アッセイに適した条件下で結合させることによって、アンタゴニストを検出してもよい。放射活性などでIL-22ポリペプチドを標識することが可能であり、潜在的アンタゴニストの有効性を判断するためにレセプターに結合したIL-22ポリペプチドの数を利用することができる。レセプターをコードする遺伝子は、当業者に知られた多くの方法、例えばリガンドパンニング及びFACSソートによって同定できる。Coliganら, Current Protocols in Immun., 1(2): 第5章(1991)。好ましくは、発現クローニングが用いられ、ポリアデニル化RNAがIL-22ポリペプチドに反応性の細胞から調製され、このRNAから生成されたcDNAライブラリがプールに分配され、COS細胞又はIL-22ポリペプチドに対して反応性ではない他の細胞のトランスフェクションに使用される。スライドガラスで成長させたトランスフェクション細胞を、標識したIL-22ポリペプチドで曝露する。このIL-22ポリペプチドは、ヨウ素化又は部位特異的タンパク質キナーゼの認識部位の封入を含む種々の手段で標識できる。固定及びインキュベーションの後、スライドにオートラジオグラフィ分析を施す。ポジティブプールを同定し、相互作用サブプール化及び再スクリーニング工程を用いてサブプールを調製して再トランスフェクションし、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを生成する。
【0132】
レセプター同定の代替的方法として、標識IL-22ポリペプチドをレセプター分子を発現する細胞膜又は抽出調製物に光親和性結合させることができる。架橋材料をPAGEで分離し、X線フィルムへ暴露する。レセプターを含む標識複合体を励起し、ペプチド断片に分解し、タンパク質マイクロ配列決定を施すことができる。マイクロ配列決定から得たアミノ酸配列は、推定レセプターをコードする遺伝子を同定するcDNAライブラリをスクリーニングするための一組のデジェネレートオリゴヌクレオチドプローブの設計に用いられる。
アンタゴニストの他のアッセイでは、レセプターを発現する哺乳動物細胞又は膜調製物を、候補化合物の存在下で標識IL-22ポリペプチドとともにインキュベートする。次いで、この相互作用を促進又は阻止する化合物の能力を測定する。
【0133】
潜在的なアンタゴニストのより特別な例は、免疫グロブリンとIL-22ポリペプチドとの融合体に結合するオリゴヌクレオチド、特に、限られないが、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、一本鎖抗体、抗-イディオタイプ抗体、及びこれらの抗体又は断片のキメラ又はヒト化形態、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。あるいは、潜在的アンタゴニストは、密接に関連したタンパク質、例えば、レセプターを認識するが効果を与えず、従ってIL-22ポリペプチドの作用を競合的に阻害するIL-22ポリペプチドの変異形態であってもよい。
【0134】
他の潜在的なIL-22ポリペプチドアンタゴニストは、アンチセンス技術を用いて調製されたアンチセンスRNA又はDNA作成物であり、例えば、アンチセンスRNA又はDNA分子は、標的mRNAにハイブリッド形成してタンパク質翻訳を妨害することによりmRNAの翻訳を直接阻止するように作用する。アンチセンス技術は、トリプルへリックス形成又はアンチセンスDNA又はRNAを通して遺伝子発現を制御するのに使用でき、それらの方法はともに、ポリヌクレオチドのDNA又はRNAへの結合に基づく。例えば、ここでの成熟IL-22ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5’コード化部分は、約10から40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドの設計に使用される。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に含まれる遺伝子の領域に相補的であるように設計され(トリプルへリックス−Leeら, Nucl, Acid Res., 6: 3073 (1979); Cooneyら, Science, 241: 456 (1988); Dervanら, Science, 251: 1360 (1991)参照)、それによりIL-22ポリペプチドの転写及び生成を防止する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリッド形成してmRNA分子のIL-22ポリペプチドへの翻訳を阻止する(アンチセンス−Okano, Neurochem., 56: 560 (1991); Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression (CRC Press: ボカラトーン, フロリダ, 1988))。アンチセンスRNA又はDNAがインビボで発現してIL-22ポリペプチドの産生を阻害し得るよう、上記のオリゴヌクレオチドは細胞に輸送される。アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位から誘導されるオリゴデオキシヌクレオチド、例えば標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10から+10位置の間が好ましい。
【0135】
潜在的アンタゴニストは、IL-22ポリペプチドの活性部位、レセプター結合部位、又は成長因子又は他の関連結合部位に結合し、それによりIL-22ポリペプチドの正常な生物学的活性を阻止する小分子を含む。小分子の例は、これらに限られないが、小型ペプチド又はペプチド様分子、好ましくは可溶性ペプチド、及び合成非ペプチジル有機又は無機化合物を含む。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリッド形成、次いで内ヌクレオチド結合分解性切断により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、上掲のRossi, Current Biology 4:469-471 (1994)及びPCT公報番号国際公開97/33551(1997年9月18日公開)を参照。
【0136】
転写阻害に用いられるトリプルヘリックス形成における核酸分子は一本鎖であり、デオキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、一般的に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのかなり大きな伸長を必要とするフーグスティン塩基対則を介するトリプルヘリックス形成を促進するように設計されている。さらなる詳細は、例えば、PCT公報番号、国際公開97/33551、上掲を参照。
これらの小分子は、上記で検討した任意のスクリーニングアッセイの1つ又は複数のものにより及び/又は当業者に良く知られた他の任意のスクリーニング技術により同定できる。
ここで開示されている分子の診断的及び治療的利用も、下記に開示及び記載のポジティブ機能アッセイヒットに基づいている。
【0137】
F.抗-IL-22抗体
本発明は、さらに抗-IL-22抗体を提供する。典型的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロコンジュゲート抗体を含む。
【0138】
1.ポリクローナル抗体
抗-IL-22抗体はポリクローナル抗体を含み得る。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物において、ポリクローナル抗体は、例えば免疫剤、及び所望するのであればアジュバントを、1つ又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免疫剤は、IL-22ポリペプチド又はその融合タンパク質を含み得る。免疫剤を、免疫性が与えられた哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質にコンジュゲートさせることは有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターを含む。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択され得る。
【0139】
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗-IL-22抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫剤により免疫化することで、免疫剤に特異的に結合する抗体を生成するか或いは生成可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
【0140】
免疫剤は、典型的には対象とするIL-22ポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般的に、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBLs」)が使用され、又は非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫株化細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養してもよい。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、これら物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
【0141】
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択した抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支え、HAT培地のような培地に対して感受性である。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのソーク研究所 セル ディストリビューション センターやヴァージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も開示されている[Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984)、Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、IL-22に対するモノクローナル抗体の存在について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード解析法によって測定することができる。
【0142】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法で成長させてもよい[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物の腹水のように、インビボで成長させてもよい。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製してもよい。
【0143】
モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法によっても作成し得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されると、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をするために、後に宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は別な方法では免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞にトランスフェクションされる発現ベクター内に、このDNAを配してもよい。また、このDNAは、例えば、相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[米国特許第4,816,567号;Morrisonら, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾してもよい。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインを置換し、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを置換し、キメラ性二価抗体を生成することができる。
【0144】
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は、一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断されている。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか、又は欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製には、インビトロ法も適している。抗体の断片、特にFab断片の生成のための抗体の消化は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成できる。
【0145】
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗-IL-22抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般的に、ヒト化抗体は、全て又は実質的には全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全て又は実質的には全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的には全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmannら, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0146】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には、非ヒトである源由来の1つ又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、大体は「移入」可変ドメインに由来する「移入」残基としばしば称される。ヒト化は、基本的には齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによって、ウィンター(Winter)及び共同研究者[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmannら, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体はキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)あり、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種に由来する対応する配列で置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかのCDR残基とおそらくは幾つかのFR残基が齧歯類抗体にある類似部位の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0147】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381(1991);Marksら, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。Coleら及びBoernerらの方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985)及びBoernerら, J. Immunol., 147(1):86-95(1991) ]。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているマウスにヒト免疫グロブリン座位を導入することによって産生することができる。厳密に調べると、ヒト抗体の産生が観察され、それは遺伝子再構成、アセンブリ、及び抗体レパートリーを含むあらゆる点においてヒトに見られるものに極めて類似している。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、及び次の科学文献に記載されている:Marksら, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonbergら, Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwildら, Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)。
【0148】
また、抗体は、上記に記載のような既知の選択及び/又は突然変異誘発法を利用して親和的に成熟し得る。好ましい親和性成熟抗体は、5倍、より好ましくは10倍、さらにより好ましくは20又は30倍も成熟抗体の調製の元である出発抗体(一般的には、マウス、ヒト化又はヒト)より高い親和性を有する。
【0149】
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合では、結合特異性の一方はIL-22に対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の無作為な組み合わせのため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は、その内の一種のみが正しい二重特異性構造を有する10種の異なる抗体分子の入った潜在的混合物を生成する。正しい分子の精製は、通常はアフィニティークロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順が1993年5月13日公開の国際公開93/08829、及びTrauneckerら, EMBO J.,10:3655-3659 (1991)に開示されている。
【0150】
所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合することができる。この融合は、好ましくは、少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとでおこる。少なくとも一つの融合に軽鎖結合に必要な部位を含む第一重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合、そして所望するならば免疫グロブリン軽鎖ををコードするDNAを、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時トランスフェクションする。二重特異性抗体の作成に関する更なる詳細については、例えばSureshら, Methods in Enzymology, 121:210(1986)を参照されたい。
【0151】
国際公開96/27011に記載の他の方法によると、一対の抗体分子間の境界面を操作して、組換え細胞培養から回収する異種二量体の割合を最大にすることができる。好ましい境界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、1番目の抗体分子の境界面の1つ又は複数の小さなアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えられる。大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることによって、大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的な「キャビティ」を、二番目の抗体分子の境界面上に作り出す。これは、ホモダイマーのような不要な他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムを提供する。
【0152】
二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製できる。抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術は文献に記載されている。例えば、化学結合を利用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennanら, Science, 229:81 (1985)には無傷の抗体をタンパク分解的に切断してF(ab’)2断片を産生する手順が記載されている。近接するジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止するために、これらの断片をジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元する。次いで、産生されたFab’断片をチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換する。次いで、メルカプトエチルアミンでの還元によってFab’-TNB誘導体の一つをFab’-チオールに再転換し、他のFab’-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成させる。この生成した二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
【0153】
Fab’断片を大腸菌から直接回収し、これを化学的に結合して二重特異性抗体を形成してもよい。Shalabyら, J. Exp. Med., 175:217-225 (1992)には、完全にヒト化した二重特異性抗体F(ab’)2分子の製造が記載されている。各Fab’断片は大腸菌から別々に分泌され、インビトロで定方向化学共役を施されて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の細胞溶解活性を誘因すると同時に、正常なヒトT細胞及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能である。
【0154】
組換え細胞培養から直接に二重特異性抗体断片を作成して分離する様々な方法も記述されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelnyら, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質のロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって二つの異なる抗体のFab’部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法は、抗体ホモダイマーの産生にも使用することができる。Hollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)に記載されている「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作成するもう一つの仕組みを提供した。断片は、短すぎて同一鎖上の2つのドメイン間の対形成をできない短いリンカーによって結合している軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは、他の断片の相補的VL及びVHドメインとの対形成せざるおえず、そのために2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを利用して二重特異性抗体断片を製造する他の方策も報告されている。Gruberら, J.Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体が考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら J.Immunol. 147:60(1991)。
【0155】
典型的な二重特異性抗体は、ここで示されたIL-22ポリペプチドの2つの異なるエピトープに結合し得る。あるいは、特定のIL-22ポリペプチド発現細胞に細胞防御機構を集中させるように、抗-IL-22ポリペプチドのアームは、T細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28、又はB7)等の白血球上のトリガー分子又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対するFcレセプターに結合するアームと結合し得る。特定のIL-22ポリペプチドを発現する細胞に細胞毒性薬を局在化させるために、二重特異性抗体も使用してもよい。これらの抗体は、IL-22結合アーム及び細胞毒性薬又はEOTUBE、DPTA、DOTA、又はTETA等の放射性キレート化剤と結合するアームを有する。対象である他の二重特異性抗体はIL-22ポリペプチドに結合し、そしてさらに組織因子(TF)に結合する。
【0156】
5.ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4,676,980号]、そしてHIV感染の治療のために[国際公開91/00360;国際公開92/200373;欧州特許第03089号]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を作成することができる。この目的に適した試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4,676,980号に開示されたものが含まれる。
【0157】
6.エフェクター機能の加工
例えば癌治療における抗体の有効性を向上させるために、本発明の抗体をエフェクター機能について改変することは望ましであろう。例えば、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成された同種二量体抗体は、向上したインターナリゼーションの能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体−依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有する可能性がある。Caronら, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)を参照せよ。向上した抗腫瘍活性を持つ同種二量体抗体は、Wolffら, Cancer Research 53: 2560-2565 (1993)に記載されている異種二官能性架橋を用いても調製してもよい。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工することができ、それにより向上した補体溶解及びADCC能力を有し得る。Stevensonら, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)参照。
【0158】
7.免疫コンジュゲート
また、本発明は、化学治療薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞毒性薬、あるいは放射性同位体(即ち、放射性コンジュゲート)とコンジュゲートしている抗体を含む免疫コンジュゲートに関する。
このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬は、上に記載されている。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。抗体及び細胞毒性薬のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら, Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのためのキレート剤の典型例である。国際公開94/11026を参照せよ。
【0159】
他の実施態様では、、抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、次いで清澄化剤を用いて未結合コンジュゲートを循環から除去し、次に細胞毒性薬(例えば、放射性ヌクレオチド等)にコンジュゲートされた「リガンド」(アビジン等)を投与する腫瘍の予備標的化で用いるために、抗体を「レセプター」(ストレプトアビジン等)にコンジュゲートしてもよい。
【0160】
8.免疫リポソーム
また、ここに開示する抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwangら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載のような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発法によって生成できる。所望の径を有するリポソームを生成するために、リポソームは、所定サイズのフィルターを通して押し出される。本発明の抗体のFab’断片は、Martinら, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載のように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームとコンジュゲートさせてよい。化学治療薬(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に含有される。Gabizonら, J. National Cancer Inst. 81(19) 1484 (1989)を参照せよ。
【0161】
9.抗体の製薬組成物
上記に開示したスクリーニングアッセイによって同定された他の分子だけでなく、ここで同定されるIL-22ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、種々の疾患の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。
IL-22ポリペプチドが細胞内にあり、全抗体が阻害剤として用いられる場合、インターナリゼーションされる抗体が好ましい。しかし、リポフェクション又はリポソームも、抗体、又は抗体断片を細胞に導入するために使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。例えば、Marascoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 (1993)参照。
【0162】
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に複数の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含んでもよい。あるいは、又はその上に、組成物はその機能を高める薬剤、例えば細胞毒性薬、サイトカイン又は成長阻害剤を含んでもよい。これらの分子は、意図する目的に有効な量の組み合わせによって適切に存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Science, 上掲に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなけらばならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
【0163】
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの例は、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリルアクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメート、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUIL-22 DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドで構成される注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分へ曝されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こり得る免疫原性の変化が生じる。合理的な方法は、関与する機構に基づいた安定化のために、合理的な戦略を考案することが可能である。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を介する分子間S-S結合形成であると見出された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成され得る。
【0164】
G.抗-IL-22抗体の用途
本発明の抗-IL-22抗体は様々な有用性を有している。例えば、抗-IL-22抗体は、IL-22の診断アッセイ、例えばその特定細胞、組織、又は血清での発現(及びある場合には、特異的発現)の検出に用いてもよい。競合的結合アッセイ、直接又は間接サンドウィッチアッセイ及び不均一又は均一相で行われる免疫沈降アッセイ[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, CRC Press, Inc. (1987) pp. 147-158]等のこの分野で知られた種々の診断アッセイ技術が使用されてもよい。診断アッセイで用いられる抗体を、検出可能な部位で標識できる。検出可能な部位は、直接又は間接的に、検出可能なシグナルを発生することができなければならない。例えば、検出可能な部位は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光又は化学発光化合物、又はアルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってもよい。抗体に検出可能な部位をコンジュゲートさせるためにこの分野で知られた任意の方法を用いてもよく、その方法にはHunterら, Nature 144:945 (1962);Davidら, Biochemistry, 13: 1014 (1974);Painら, J. Immunol. Meth., 40:219 (1981);及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30:407 (1982)に記載の方法が含まれる。
【0165】
また、抗-IL-22抗体は、組換え細胞培養又は天然供給源からIL-22のアフィニティー精製にとっても有用である。この工程では、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適切な支持体にIL-22に対する抗体を固定化する。次に、固定化抗体を精製すべきIL-22を含む試料と接触させ、その後で、試料中の固定化抗体と結合したIL-22を除く全ての物質をしっかりと除去するのに適した溶媒で支持体を洗浄する。最後に、抗体からIL-22を脱離させるのに適した他の溶媒でこの支持体を洗浄する。IL-22との結合にも用途が見出され、従ってPAP1発現を阻害する抗-IL-22抗体は、膵臓疾患の重症度を軽減することができる。
【0166】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【0167】
(実施例)
実施例で言及されている全ての市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体を通して特定されている細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニアである。
【0168】
実施例1: IL-22のクローニング
公的(例えば、GenBank)及び/又は私有の(LIFESEQ(登録商標), インサイト・ファーマスーティカルス, インコーポレーデッド,パロアルト, カリフォルニア)データベースからクラスターし、アセンブルしたEST断片だけでなく、ESTsにもジェネンテック・インコーポレーテッド(サウス サンフランシスコ,カリフォルニア)が独自に開発した配列発見アルゴリズムを適用することで、インターロイキン-22(DNA125185-2806)を同定した。このシグナル配列アルゴリズムは、検討中の配列又は配列断片の5’末端にある第1、場合によっては第2のメチオニンコドン(ATG)の周囲のDNAヌクレオチドの文字に基づいて分泌シグナル開始点を計算する。第1のATGに続くヌクレオチドには、停止コドンを持たない少なくとも35のはっきりとしたアミノ酸がコードされていなければならない。第1のATGが必須のアミノ酸を有する場合、第2のものは検討しない。何れも要件を満たさない場合、候補配列に刻み線を付けない。EST配列が真正のシグナル配列を含むか否かを決定するために、分泌シグナルに関連することが知られている7つのセンサー(評価パラメータ)の一組を用いて、ATGコドンの周囲のDNA及び対応するアミノ酸配列に刻み線を付ける。
【0169】
上記のシグナル配列アルゴリズムの使用によって、Incyteデータベースからのここで5086173H1と命名されたESTクラスター配列の同定が可能となった。このESTクラスター配列を、次に、公的ESTデータベース(例えばGenBank)及び私有のEST DNAデータベースLIFESEQ(登録商標), インサイト・ファーマスーティカルス, インコーポレーデッド,パロアルト, カリフォルニア)を含む種々の発現配列タグ(EST)データベースと比較し、存在するホモロジーを同定した。このホモロジー検索は、コンピュータープログラムBLAST又はBLAST2(Altschulら, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いておこなった。既知のタンパク質をコードしない70(又はある場合は90)又はそれより大きいBLASTスコアをもたらしたこれらの比較を、プログラム「pharp」(Phil Green, ワシントン大学,シアルトル,ワシントン)でコンセンサスDNAへクラスター化及びアセンブルした。それから得られたコンセンサス配列は、DNA110880とここで命名されている。
【0170】
DNA110880配列とインサイト データベースのクローン第5088384号に含まれるEST配列との間で観察される配列ホモロジーを考慮して、クローン第5088384号を購入し、cDNA挿入部分を得て配列を決定した。ここで、そのcDNA挿入部分が完全長タンパク質をコードすることが見出された。このcDNA挿入部分の配列は図1に示され、ここでIL-22(DNA1251-2806)と命名されている。
【0171】
クローンDNA125185-2806は、はっきりとした翻訳開始部位をヌクレオチド位置58-60に有し、そしてヌクレオチド位置595-597の終止コドンで終止する単一のオープンリーディングフレームを含む(図1,配列番号:1)。予想されるポリペプチド前駆体は179アミノ酸長である(図2,配列番号:2)。図2に示す完全長IL-22タンパク質は、約20,011ダルトンの推定分子量と約8.10のpIを有する。図2(配列番号:2)に示す完全長IL-22配列の分析によって、図2に示す種々の重要なポリペプチドドメインの存在が明らかにされ、これら重要なポリペプチドドメインの位置は上記に示すようにおおよそのものである。IL-22(DNA1251-2806)は、1999年12月7日にATCCへ寄託され、ATCC寄託番号PTA-1031が割り当てられている。
【0172】
実施例2: レセプター/リガンド相互作用の同定
本アッセイでは、レセプター/リガンド相互作用を同定する目的で、潜在的なレセプター又はリガンド分子の一団と結合する能力に関して、種々のIL-22ポリペプチドを試験した。既知のレセプターに対するリガンド、既知のリガンドに対するレセプター、或いは新規のレセプター/リガンド対の同定は、例えばレセプター又はリガンドを発現することが知られている細胞へ生物活性分子(リガンド又はレセプター)を標的化すること、組成物がリガンド又はレセプターを発現すると思われる細胞を含んでなるであろう場合に、リガンド又はレセプターを含むと思われる組成物中からリガンド又はレセプターの存在を検出するためにリガンド又はレセプターを試薬として利用すること、レセプター又はリガンドを発現或いはそれらへ応答することが知られている細胞の成長、又はその他の生物学的又は免疫活性を調節すること、細胞の免疫応答、或いはレセプター又はリガンドを発現する細胞に対する免疫応答を調節すること、レセプター又はリガンドを発現している細胞の成長又は生物学的又は免疫活性を調節するレセプター又はリガンドに対する アゴニスト、アンタゴニスト及び/又は抗体の調製を可能にすること、並びに当業者にとって直ぐにに明らかである種々の他の徴候を含む種々の徴候にとって有用である。
【0173】
このアッセイは、次のようにして行われた。レセプターに対するリガンドであると思われる本発明のIL-22ポリペプチドは、ヒトIgGのFcドメイン(イムノアドへシン)を含有する融合タンパク質として発現する。レセプター-リガンド結合は、候補IL-22ポリペプチドレセプターを発現する細胞(例えばCos細胞)とイムノアドへシンポリペプチドの相互作用、Fc融合ドメインに対する蛍光試薬による結合イムノアドへシンの視覚化、そして顕微鏡による検査を可能にすることによって検出される。候補レセプターを発現する細胞は、同時に、レセプター分子として機能し得るIL-22ポリペプチドをコードするcDNA発現ベクターライブラリの明かなサブセットの一過性トランスフェクションによって産生される。次いで、起こり得るレセプター結合に関して試験したIL-22ポリペプチドイムノアドへシンの存在下で、細胞を1時間に渡ってインキュベートする。そして、この細胞を洗浄し、パラホルムアルデヒドで固定化する。次いで、この細胞を、IL-22ポリペプチドイムノアドへシンのFc部分に対する蛍光コンジュゲート抗体(FITCコンジュゲート抗体(ヤギ抗-ヒト-Fc抗体)とインキュベートする。そして、この細胞を再び洗浄し、顕微鏡で検査した。ポジティブな相互作用は、特定のIL-22ポリペプチドレセプター又はレセプターのプールをコードするcDNAでトランスフェクションした細胞では蛍光標識化が認められること、及び同じように蛍光標識された他のcDNA又はcDNAのプールでトランスフェクションした同じように調製された細胞では同じような蛍光標識化が認められないことによって判定される。IL-22ポリペプチドイムノアドへシンとの相互作用に関して、cDNA発現ベクターの確定されたプールがポジティブと判定されたならば、IL-22ポリペプチドイムノアドへシンと相互作用することが可能なレセプターをコードする特定のcDNAを確定するために、プールを構成する個々のcDNA種が別々に試験される(プールは「分解」される)。
【0174】
本アッセイのその他の実施態様では、エピトープタグした潜在的なIL-22ポリペプチド(例えば、8ヒスチジン「His」タグ)は、ヒトIgGのFcドメイン(イムノアドへシン)との融合体して発現した潜在的なレセプターIL-22ポリペプチド分子の一団と相互作用することが可能である。1時間に渡るエピトープタグIL-22ポリペプチドとの同時インキュベーションに続いて、候補レセプターをそれぞれプロテインAビーズによって免疫沈降させ、そのビーズを洗浄した。潜在的なリガンド相互作用は、エピトープタグに対する抗体による免疫沈降複合体のウェスタンブロット分析によって確かめられる。候補化合物によるウェスタンブロト分析においてエピトープタグタンパク質の期待される分子量のバンドが観察されるが、潜在的レセプターの一団の他のメンバーによっては起こらないことが観察されるならば、相互作用は起こるものと判断される。
これらのアッセイを利用し、以下のレセプター/リガンド相互作用が同定されている:
1.IL-22がIL-10Rβと結合。図10(配列番号:3)
2.IL-22がIL-22Rと結合。図11(配列番号:4)
(また、[Xieら., J.Biol.Chem (2000)275, 31335-31339]を参照せよ)
【0175】
実施例3: 複数のヒト組織でのIL-22レセプターの発現
複数の組織のノーザンブロットを、Clontech(パロアルト, カリフォルニア)から得た。32P-γATP及びT4ポリヌクレアーゼキナーゼを使用した50-mer IL-22レセプター特異的オリゴヌクレオチドの末端を標識することによって、これらのブロットをプローブとハイブリダイゼーションさせた。次いで、42℃で2XSSC/0.2%SDSにより3X、そして0.2XSSC/0.1%SDSにより1X、ブロットを洗浄した。次いで、このブロットを16時間にわたって増感紙でX-OMATフィルムに曝した。その結果は図3に示されている。その図は、IL-22レセプターが膵臓で高発現し、小腸、肝臓、腎臓及び結腸では低いレベルのIL-22レセプターが観察されたことを示す。
【0176】
実施例4: Taqman(商標名)分析
組織を溶解バッファーでホモジナイズし、その溶解物を塩化セシウム(5.7M CsCl/50mM EDTA)の上に層状にし、そして16時間にわたって35,000Xgで遠心分離することによって全RNAを得た。次いで、この細胞ペレットをRNAフリーの水に懸濁させた。次に、50ナノグラムのRNAをTaqman(商標名)分析に用いた。発現の評価は、ハウスキーピング遺伝子のGAPDHと関連して設定した。
【0177】
TaqMan(商標名)反応とは、TaqDNAポリメラーゼ酵素の5’ヌクレアーゼ活性を利用して増幅をリアルタイムでモニターする蛍光PCR-ベース技術である。2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR反応に特有なアンプリコンを生成する。三番目のオリゴヌクレオチド、又はプローブを設計して、2つのPCRプライマーの間に位置するヌクレオチドを検出する。このプローブは、TaqDNAポリメラーゼ酵素によって伸長可能ではなく、レポーター蛍光色素及びクエンチャー蛍光色素で標識される。この2つの色素がプローブ上にあってそれらが近接して位置する場合には、このレポーター色素からの何れのレーザー誘導発光もクエンチャー色素で消光する。増幅反応の間、Taq DNAポリメラーゼ酵素は、テンプレートに依存した様式でプローブを切断する。この結果で生じたプローブ断片は、溶液中で解離し、遊離したレポーター色素からのシグナルは、二番目のフルオロフォアの消光効果の作用を受けない。各新規分子が合成されるとレポーター色素の1分子が遊離し、非消光レポーター色素の検出によってデータの定量的解釈の基礎が示される。
【0178】
TaqMan(商品名)の結果は、デルタ(Δ)Ct単位によって報告する。TaqMan(商品名)分析データは、最初はCt、又は閾値サイクルで表された。これは、レポーター信号が蛍光のバックグラウンドレベルを超えて蓄積するサイクルとして定義される。ΔCt値は、癌の結果を正常なヒトの結果と比較する場合に、核酸試料中の特定の標的配列の開始コピーの相対数の定量的測度として用いられる。1単位は、1PCRサイクル、又は標準に対しておよそ2倍の相対増幅に一致し、2単位は4倍相対増加に一致し、3単位は8倍相対増加に一致する等々である。定量化はプライマー及びIL-22レセプター(IL-22R)コード化遺伝子から誘導したTaqMan(商品名)蛍光プローブを用いて得た。最も独特な核酸配列を含むと思われ、スプライシングされたイントロンを最も有しないと思われるIL-22Rの領域は、プライマー及びプローブ誘導、例えば3-非翻訳領域にとって好ましい。IL-22遺伝子の増幅分析に使用されるプライマー及びプローブ(正、逆及びプローブ)の配列は次の通り:
165608.tm.f1(正方向プライマー)
5' TGCAACCTGACGGTGGAGA 3' (配列番号:5)
165608.tm.r1(逆方向プライマー)
5' AGAGAGCTGAACCTGTCAGTCATCTT 3' (配列番号:6)
165608.tm.p1(プローブ)
5' CAGTGCGGGAGGCCGGTCA 3' (配列番号:7)
【0179】
TaqMan(商品名)手法は、ABI Prism 7700TM のようなリアルタイム定量PCR装置でおこなわれる。このシステムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)カメラ、及びコンピュータからなる。このシステムは、サーモサイクラーの96ウェルフォーマットで試料を増幅する。増幅の間、レーザー励起した蛍光シグナルが、96ウェル全ての光ファイバーケーブルを通してリアルタイムで収集され、CCDで検出される。このシステムは、装置を作動し、データを分析するソフトウェアを装備している。
【0180】
次いで、蛍光定量的に測定されたmRNAの濃度を用いて、各試料をddH2Oで10ng/μlに希釈した。これは、幾つかのアッセイをおこなうのに十分な材料で、単一TaqMan(商品名)プレートアッセイのための全てのテンプレート試料上で同時におこなわれた。この試料は、TaqMan(商品名)プライマー、及び正常ヒトmRNA、逆転写酵素を添加せず、テンプレートコントロールが無い単一プレート上のB-アクチン及びGAPDHの双方のプローブで3通りで試験された。使用された逆転写酵素は、Super Script II(ライフ テクノロジー・インコーポレーテッド, グランドアイランド, ニューヨーク)であった。Taqポリメラーゼ、バッファー、及びdNTPについては、パーキンエルマー(パーキンエルマー, Applied Biosystems Division, フォスター シティー, カリフォルニア)からの供給を受けた。サーモサイクラーの条件は次の通りである。
結果:
この結果は、図4に示す。 インターロイキン-22レセプターは膵臓で最も高く発現し、胎児肝臓、成人肝臓、腎臓、腸及び結腸で発現が検出された。
【0181】
実施例5: 膵臓腺房細胞でのSTAT活性化
266-6はマウス膵臓腺房細胞から誘導した細胞株で、ATCC(ATCC寄託番号CRL-2151)から得た。これらの細胞を10%FBSペニシリン/ストレプトマイシン及び2mML-グルタミン(ライフ テクノロジーズ ゲーサーズバーグ,メリーランド)を補充したDMEMで培養し、5%CO2加湿チャンバーで維持した。266-6細胞を、37℃で10分間、バキュロウイルス上清(10% vol/vol)を含むhis-タグマウスIL-22のコントロールで刺激した。STATスーパーシフト実験のに使用される抗体は、サンタ クルーズ バイオテクノロジー(サンタ クルーズ,カリフォルニア)から購入した。マウスIL-22によって誘導されたSTAT結合タンパク質は、図5に示すように、抗体でSTAT3へスーパーシフトすることができる。これは、Janus Kinase (JAK-STAT)経路の活性化によって、そして特にSTAT3を介して、膵臓腺房細胞細胞株266-6がマウスIL-22へ応答することを示している。膵臓ベーター細胞株(NIT-1)は、JAK-STAT経路を利用しない(データは示さず)。
【0182】
実施例6: IL-22は、膵炎関連タンパク質(PAP1)の発現を増す。
膵炎関連タンパク質(PAP1)は分泌タンパク質であり、急性膵炎で過剰発現し、正常膵臓では発現レベルが殆ど完全にない[Iovannaら., J Biol. Chem. (1991), 266, 24664-24669]。PAP1の正確な機能は知られていないが、それはc-型レクチンの炭水化物認識ドメインと構造的に関連し、REGファミリーの分子のメンバーである。報告は、REGファミリーのメンバーの栄養活性を示唆している[Nishimuneら., (2000) Nat Cell Biol 2(12), 906-14]。他のサイトカインによるPAP1の誘導、例えばIL-1又はIL-6のいずれか単独又は組み合わせでは、PAP1をアップレギュレーションできない[Dusettiら., (1995)J. Biol Chem 270., 22417-22421]。PAP1が増加した血清レベルは、小腸疾患であるセリアック病[Carroccioら., (1997) Digestion 58, 98-103]の患者、そして嚢胞性線維症[Iovannaら., (1994) C.R. Acad. Sci 317, 561-564]の患者に見られる。
【0183】
266-6細胞を、6時間にわたって精製his-タグマウスIL-22で処理した。溶解バッファーで細胞をホモジナイズし、この塩化セシウム(5.7M CsCl/50mM EDTA)を含む細胞可溶化物を層状にすることによって、全RNAを抽出した。この細胞可溶化物を16時間にわたって35,000Xgで遠心分離した。細胞ペレットを、リボヌクレアーゼのない水に再懸濁した。RNAの20マイクログラムをホルムアルデヒド変性ゲルを用いて溶解し、ニトロセルロース膜上へ移した。ハイブリダイゼーションは、PAP1-特異的32P-γATP標識オリゴヌクレオチドプローブを使用しておこなった。42℃で、2XSSC/0.2%SDSによって3X、そして0.2xSSC/0.1%SDSによって1X、ブロットを洗浄した。ブロットを、16時間にわたって増感紙でX-OMATフィルムに曝した。このブロットを、次いで剥ぎ取り、そして32P-γATP標識GAPDH特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いて再プローブした。この結果を図6Aに示す。266-6細胞のマウスIL-22とのインキュベーションは、PAP1遺伝子発現の劇的な誘導を引き起こした。原発性膵臓腺房細胞がマウスIL-22に対しても応答することができるかどうかを確かめるために、コラゲナーゼ消化によって原発性腺房細胞をマウス膵臓から単離し、精製マウスIL-22とともに又はそれなしで、6時間にわたってインキュベーションした。RNAを上記のようにして調製し、PAP1発現を調べた。266-6細胞株のように、マウスIL-22は、単離した原発性膵臓腺房細胞におけるPAP1発現の実質的なアップレギュレーションを誘導した。
【0184】
実施例7: IL-22は、インビボでのPAP1遺伝子発現を誘導する。
マウスIL-22のインビボでの効果を調べるために、マウスの3つのグループへ25マイクログラムのマウスIL-22又はPBSを腹腔内に注射した。マウスを注射後の2,6又は24時間目に収集し、それらの膵臓を取り出して即冷凍した。この組織のRNAを調製し、PAP1遺伝子特異的プローブを用いて実施例5に記載のノーザンブロッティング分析をおこなった。図7に示すように、PAP1は、2時間のマウスIL-22注射の間にアップレギュレーションされ、約6時間で発現ピークに達し、そして24時間でもまだ誘導された。
【0185】
実施例8: IL-22膵臓応答
観察された膵臓の応答が、組み換えタンパク質の非特異的毒性よりもIL-22レセプター媒介シグナル伝達に起因していることを確かめるために、mIL-22をIL-10Rβ欠損マウスへ注射した。これらのマウスは、IL-22シグナル伝達に関わるIL-10Rβ/IL-22Rの1つの機能鎖を欠いてる。IL-10Rβ欠損マウスは、以前、IL-10に対する応答性を欠くことが報告されていた。IL-10Rβ欠損マウスから単離した脾臓の単球は、リポ多糖(LPS)の誘導によるIL-6分泌(図8)又はTNF-アルファ(示されず)のIL-10媒介阻害を示さない。以前に知られていたように、IL-22は、LPSへの単球の応答に作用するとは思われない(Xieら., (2000) J. Biol. Chem., 275, 31335-31339)。IL-22は、LPSへの単球の応答に作用するとは思われない。
【0186】
実施例9: IL-10Rβ欠損マウスでのIL-22の応答
IL-10Rβを欠いている又は「ノックアウト」しているマウスは、IL-22シグナル伝達にとって必要なIL-22R/IL-10Rβレセプター複合体の1つの機能鎖を欠き、そしてIL-10Rβ欠損マウスは、以前、IL-10応答性を欠くものと報告された。IL-10Rβ欠損マウス及び野生型マウスを、マウスIL-22で又はそれ無しで腹腔内に注射し、注射の16時間後に収集し、そして以前に記載のようにPAP1プローブを用いて膵臓RNAについてノーザンブロット分析をおこなった。IL-10Rβマウスが細胞内シグナルを伝達するのに必要な1つの鎖を欠くように、PAP1の誘導がないことが図9にはっきりと示されている。対照的に、野生型マウスは、同じく図9に示されているように、PAP1発現の強力な誘導を示した。
【0187】
実施例10: ハイブリダイゼーションプローブとしてのIL-22の用途
以下の方法は、IL-22をコードするヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションプローブとしての用途を示す。
ここに開示されている完全長又は成熟IL-22のコード化配列を含むDNAは、ヒト組織cDNAライブラリ又はヒト組織ゲノムライブラリでの同種DNA(IL-22の天然発生変異体をコードするもの等)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。
ハイブリダイゼーション及びいずれかのライブラリDNAを含むフィルターの洗浄は、次の高いストリンジェントな条件によって実施する。放射標識IL-22誘導プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションを、50%ホルムアミド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で42℃、20時間おこなう。フィルターの洗浄は、0.1xSSC及び0.1%SDS水溶液中で42℃で実施する。
次いで、完全長天然配列IL-22をコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、この分野で知られている標準的技術を用いて同定することができる。
【0188】
実施例11: 大腸菌におけるIL-22の発現
この実施例は、大腸菌における組み換え発現によるIL-22の非グリコシル化型の調製を例証する。
IL-22をコードするDNA配列を、選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅する。このプライマーは、選択した発現ベクター上の制限酵素部位に対応する制限酵素部位を含まなければならない。様々な発現ベクターを使用してもよい。適したベクターの例としては、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性に関する遺伝子を含むpBR322(大腸菌由来;Bolivarら, Gene, 2:95 (1997)を参照のこと)がある。ベクターを制限酵素によって消化し、脱リン酸化する。次いで、PCRで増幅した配列をベクターへライゲーションする。ベクターには、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhisリーダー、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、IL-22コード領域、ラムダ転写ターミネーター及びargU遺伝子をコードする配列が含まれる。
【0189】
次いで、Sambrookら, 上記に記載されている方法を用いて、このライゲーション混合物を利用して選択した大腸菌株を形質転換した。LB部レート上で成長する能力によって形質転換体を同定し、次いで抗生物質耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAは、単離して制限分析とDNAシーケンシングによって確認することができる。
選択したクローンは、例えば抗生物質を補充したLBブロス等の液体培地で一晩にわたって成長させることができる。より大きなスケールの培養を接種するために、引き続いてこの一晩にわたる培養液を使用してもよい。そして、細胞を所望の光学密度に達するまで成長させ、その間までに発現プロモーターが作動する。
さらに数時間、細胞を培養した後、遠心分離によって細胞を収集することができる。当該分野で公知の様々な薬剤を使用して、遠心分離で得られた細胞ペレットを可溶化することができ、次いで、タンパク質の堅固な結合を可能にする条件下で金属キレート化カラムを用いて、この可溶性IL-22タンパク質を精製すること可能である。
【0190】
以下の手法を用いて、ポリ-Hisタグ形態のIL-22を大腸菌で発現させてもよい。IL-22をコードするDNAを、選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅する。このプライマーには、選択した発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位、及び効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムでの迅速な精製、及びエンテロキナーゼでのタンパク質分解的除去のための他の有用な配列が含まれる。次いで、PCRで増幅したポリ-Hisタグ配列を発現ベクターへ結合させ、これを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) clpP(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用した。形質転換体を、最初に50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中で、30℃で振盪しながら3-5のO.D.600に達するまで成長させる。ついで培養液をCRAP培地(3.57gの(NH4)2SO4、0.71gのクエン酸ナトリウム・2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、500mL水中の5.36gのSheffield hycase SF、並びに110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSO4の混合して調製)で50-100倍希釈し、30℃で振盪によって約20-30時間成長させた。SDS-PAGEにより発現を確認するために試料を取り出し、バルク培地を遠心分離して細胞をペレットにする。精製及びリフォールディング(再折りたたみ)まで、細胞ペレットを凍結する。
【0191】
0.5から1Lの発酵(6-10gペレット)による大腸菌ペーストを、7Mのグアニジン、20mMのトリス、pH8バッファーで10容量(w/v)に再懸濁した。固体硫酸ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを添加して最終濃度を各々0.1M及び0.02Mとし、溶液を4℃で終夜撹拌する。この工程により、すべてのシステイン残基が亜硫酸でブロックされた変性タンパク質が生じる。この溶液をベックマン 超遠心機で40,000rpmで30分間濃縮する。その上清を金属キレートカラムバッファー(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)の3-5容量で希釈し、0.22ミクロンフィルターで濾過して透明にする。その透明抽出物を、金属キレートカラムバッファーで平衡化した5mlのQiagen Ni-NTA金属キレートカラムに負荷する。そのカラムを、50mMのイミダゾール(カルバイオケム, Utrol grade)を含む添加バッファー、pH7.4で洗浄する。タンパク質を250mMのイミダゾールを含有するバッファーで溶離する。所望のタンパク質を含有する分画をプールし、4℃で保存する。タンパク質濃度は、そのアミノ酸配列に基づいて計算した吸光係数を用いて、280nmにおけるその吸収から推定する。
【0192】
試料を20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシステイン、20mMのグリシン及び1mMのEDTAからなる新たに調製した再生バッファー中で徐々に希釈することによって、タンパク質を再生させる。リフォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50〜100マイクログラム/mlとなるように選択する。そのリフォールディング溶液を4℃で12-36時間ゆっくり撹拌する。リフォールディング反応は、TFAを最終濃度が0.4%(約3のpH)となるように添加することで停止させる。タンパク質のさらなる精製の前に、その溶液を0.22ミクロンフィルターで濾過し、アセトニトリルを最終濃度が2-10%となるように添加する。再生したタンパク質を、Poros R1/H逆相カラムで、10〜80%のアセトニトリル勾配での溶離による0.1%TFAの移動バッファーを用いるクロマトグラフにかける。A280に吸収を示す分画のアリコートをSDSポリアクリルアミドゲルで分析し、均一な再生タンパク質を含有する分画をプールする。一般的に、殆どの正しく再生したタンパク質種は、これらの種が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されている疎水性内部で最もコンパクトであるために、最低濃度のアセトニトリルで溶離される。凝集した種は、通常はより高いアセトニトリル濃度で溶離する。逆相工程は、誤って再生したタンパク質を所望の形態から除くことの他に、試料からエンドトキシンも除去する。
【0193】
所望の再生したIL-22ポリペプチドを含有する分画をプールし、この溶液に窒素の弱い気流を直接あてることでアセトニトリルを除去する。タンパク質は、透析又は調製バッファーで平衡化したG25 Superfine(ファルマシア)樹脂及び滅菌濾過を用いて、0.14Mの塩化ナトリウム及び4%のマンニトールを含む20mMのHepes、pH6.8に調製する。
ここで開示された多くのIL-22ポリペプチドは、上記の方法によって成功裏に発現した。
【0194】
実施例12: 哺乳動物細胞におけるIL-22の発現
この実施例は、哺乳動物細胞での組み換え発現によって潜在的にグリコシル化した形態のIL-22の調製を例証する。
発現ベクターとしてベクターpRK5(1989年3月15日公開の欧州特許第307,247号参照)を用いる。場合によっては、上記のSambrook等に記載のようなライゲーション方法を用いて、選択した制限酵素で、IL-22 DNAをpRK5にライゲーションしてIL-22DNAを挿入する。得られたベクターを、pRK5-IL-22と称する。
【0195】
一実施態様では、選択する宿主細胞を293細胞にしてもよい。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)を、ウシ胎児血清及び場合によっては栄養成分及び/又は抗生物質を補充したDMEMなどの培地の組織培養プレートでコンフルエントになるまでに成長させる。約10μgのpRK5-IL-22DNAを、約1μgのVA RNA遺伝子コード化DNA[Thimmappayaら, Cell, 31:543 (1982))]と混同させ、500μlの1mM トリス-HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl2に溶解させる。この混合物に、滴状の500μlの50mM HEPES(pH7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO4を添加し、25℃、10分間で析出物を形成させる。この析出物を懸濁し、293細胞に加えて37℃、約4時間で定着させる。培地を吸引し、2mlの20%グリセロールのPBSを30秒間添加する。293細胞を、次いで無血清培地で洗浄し、新鮮な培地を添加し、その細胞を約5日間インキュベートする。
【0196】
トランスフェクションの約24時間後、培地を除去し、培地(のみ)又は200μCi/ml35S-システイン及び200μCi/ml35S−メチオニンを含む培地で置換した。12時間のインキュベーションの後、馴化培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに添加する。その処理ゲルを乾燥させ、IL-22ポリペプチドの存在が明らかになるように選定時間の間フィルムに曝してもよい。トランスフェクト細胞を含む培地をさらにインキュベーションしてもよく(無血清培地で)、この培地を選択したバイオアッセイで試験する。
【0197】
これに換わる技術では、Somparyracら, Proc. Natl. Acad. Sci., 12:7575 (1981)に記載のデキストラン硫酸法を用いて、IL-22を293細胞へ一過的に導入してもよい。293細胞をスピナーフラスコで最大密度に達するまで生育させ、700μgのpRK5-IL-22DNAを添加する。細胞を、まずはスピナーフラスコから遠心分離によって濃縮し、PBSで洗浄する。DNA-デキストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートする。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培地で洗浄し、組織培地、5μg/mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再度導入する。約4日後に、この馴化培地を遠心分離及び濾過し、細胞及び細胞片を除去する。次いで発現したIL-22を含む試料を濃縮し、透析及び/又はカラムクロマトグラフィー等の任意の選択した方法によって精製することができる。
【0198】
他の実施態様では、IL-22をCHO細胞で発現させることができる。pRK5-IL-22は、CaPO4又はDEAE−デキストランなどの公知の試薬を用いてCHO細胞にトランスフェクションすることができる。上記したように、細胞培地をインキュベートし、培地を培養培地(のみ)又は35S-メチオニン等の放射性標識を含む培地で置換することができる。IL-22ポリペプチドの存在を確かめた後、培地を無血清培地で置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、次いで馴化培地を収集する。次いで、発現したIL-22を含む培地は、濃縮し、任意の選択した方法によって精製することができる。
【0199】
また、エピトープタグIL-22は、宿主CHO細胞で発現させてもよい。IL-22は、pRK5ベクターからサブクローニングしてもよい。サブクローン挿入物は、PCRを施して、バキュロウイルス発現ベクター中のポリ-hisタグ等の選択したエピトープタグを持つ枠に融合できる。このポリ-hisタグIL-22挿入物は、次いで、安定なクローンの選択用の選択マーカー、例えばDHFRを含むSV40誘導ベクターにサブクローニングできる。最後的に、SV40誘導ベクターでCHO細胞をトランスフェクション(上記のように)することができる。発現を確認するために、上記のように標識化を行ってもよい。発現されたポリ-hisタグIL-22を含む培地は、次いで濃縮し、Ni2+-キレートアフィニティクロマトグラフィー等の選択した方法により精製できる。
また、IL-22は、一過性発現法によりCHO及び/又はCOS細胞で、又は他の安定な発現方法によりCHO細胞で発現させてもよい。
CHO細胞での安定な発現は、以下の方法を用いて実施する。タンパク質は、それぞれのタンパク質の可溶化形態のコード配列(例えば、細胞外ドメイン)がIgG1のヒンジ、CH2及びCH2ドメインを含む定常領域配列に融合したIgG作成物(イムノアドヘシン)、又はポリ-Hisタグ形態として発現する。
【0200】
PCR増幅に続いて、対応するDNAを、Ausubelら, Current Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載のような標準的技術を用いてCHO発現ベクターにサブクローニングする。CHO発現ベクターは、対象とするDNAの5’及び3’に適合する制限部位を有し、cDNAの便利なシャトル化ができるように作成される。CHO細胞での発現を用いるベクターは、Lucasら, Nucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載の通りであり、対象とするcDNA及びジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の発現の制御にはSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHFR発現は、トランスフェクション後のプラスミドの安定な維持に関する選択を可能にする。
所望するプラスミドDNAの12マイクログラムを、市販のトランスフェクション試薬であるSuperfect(登録商標)(Qiagen), Dosper(登録商標)及びFugene(登録商標)(Boehringer Mannheim)を用いて、約1千万のCHO細胞へ導入する。細胞は、上記のLucas等に記載のように成長させる。約3x10- 7細胞を、下記のような更なる成長及び産生のためにアンプル中で凍結させる。
【0201】
プラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配して解凍し、ボルテックスにより混合する。内容物を10mLの培地を含む遠心管にピペットして、1000rpmで5分間遠心分離する。その上清を吸引して細胞を10mLの選択培地(5%の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清を含む0.2μm濾過PS20を添加)中に懸濁する。次いで、その細胞を90mLの選択培地を含む100mLスピナーに等分する。1-2日後、細胞を150mLの選択培地で満たした250mLスピナーに移し、37℃でインキュベートする。さらに2-3日後、250mL、500mL及び2000mLのスピナーを3x105細胞/mLで接種する。遠心分離及び産生培地での再懸濁により、細胞培地を新鮮培地と交換する。どんな適切なCHO培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に発行された米国特許第5,122,469号に記載の産生培地を使用する。3Lの生産スピナーを1.2x106細胞/mLで接種する。0日目に、細胞数とpHを測定する。1日目に、スピナーをサンプルし、濾過空気による散布を実施する。2日目に、スピナーをサンプルし、温度を33℃に変え、30mLの500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35% ポリジメチルシロキサン エマルジョン、ダウ・コーニング 365 医療用グレード エマルジョン)を用いる。この産生を通して、pHは7.2近傍に調節し維持する。10日後、又は生存率が70%を下回るまで、その細胞培地を遠心分離で回収し、0.22μmフィルターで濾過する。濾過物は、4℃で貯蔵するか、即座に精製用カラムに充填した。
【0202】
ポリ-Hisタグ作成物に関しては、そのタンパク質をNi-NTAカラム(Qiagen)を用いて精製する。精製の前に、イミダゾールを馴化培地へ5mMの濃度まで添加する。馴化培地を、0.3MのNaCl及び5mMイミダゾールを含む20mMのHepes,pH7.4バッファーで平衡化した6mlのNi-NTAカラムへ4-5ml/分の流速によって4℃でポンプ供給する。充填後、カラムをさらに平衡バッファーで洗浄し、タンパク質を0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーで溶離する。高度に精製されたタンパク質は、続いて10mMのHepes、0.14MのNaCl及び4%のマンニトール,を含むpH6.8の貯蔵バッファーにより25mlのG25 Superfine(ファルマシア)を用いて脱塩し、−80℃で貯蔵する。
【0203】
イムノアドヘシン(Fc含有)作成物を、以下の通りに馴化培地から精製する。馴化培地を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー,pH6.8で平衡化した5mlのプロテインAカラム(ファルマシア)へポンプ注入する。充填後、カラムを平衡バッファーで十分に洗浄した後、100mMのクエン酸,pH3.5で溶離する。溶離したタンパク質は、1mlの分画を275μLのpH9の1Mトリスバッファーを含む管で回収することにより即座に中性化する。高度に精製されたタンパク質を、続いてポリ-Hisタグタンパク質について上記した貯蔵バッファーで脱塩する。その均一性はSDSポリアクリルアミドゲルとエドマン(Edman)分解によるN-末端アミノ酸配列決定により評価する。
ここに開示したIL-22ポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現した。
【0204】
実施例13: 酵母でのIL-22の発現
以下の方法は、酵母でのIL-22の組換え発現を記載する。
最初に、酵母発現ベクターを、ADH2/GAPDHプロモーターによるIL-22の細胞内生産又は分泌のために作成する。IL-22をコードするDNA、及びプロモーターを、IL-22の細胞内発現を指示するように、選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入する。分泌のために、IL-22をコードするDNAを選択したプラスミドへ、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然IL-22シグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母α因子又はインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば)IL-22の発現のためのリンカー配列とともにクローニングすることができる。
【0205】
酵母菌株AB110等の酵母を、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択した発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGE、それに続くクマシーブルー染色によるゲルの染色による分離によって分析することができる。
続いて組換えIL-22は、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、次いで選択したカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。IL-22を含む濃縮物は、選択したカラムクロマトグラフィー樹脂を用いてさらに精製してもよい。
ここに開示したIL-22ポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現した。
【0206】
実施例14:バキュロウイルス感染昆虫細胞でのIL-22の発現
以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞中におけるIL-22の組換え発現を記載する。
IL-22コードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させる。このようなエピトープタグは、ポリ-hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)を含む。pVL1393(Novagen)などの、市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、IL-22又はIL-22コード配列の所定部分、例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列、又はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列などが、5’及び3’領域に相補的なプライマーによるPCRで増幅する。5’プライマーは、隣接する(選択した)制限酵素部位を包含していてもよい。この生産物を、次いで、選択した制限酵素で消化し、発現ベクターへサブクローニングする。
【0207】
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGold(商品名)ウイルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時トランスフェクションすることにより作成される。28℃で4-5日インキュベートした後、放出されたウイルスを回収し、更なる増幅に用いる。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Reilleyら, Baculovirus expression vectors: A Laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されているように実施する。
【0208】
次に、発現したポリ-hisタグIL-22を、例えばNi2+-キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製することができる。抽出は、Rupertら, Nature, 362:175-179 (1993)に記載のように、ウイルス感染した組み換えSf9細胞から調製する。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mLのHepes,pH7.9;12.5mMのMgCl2;0.1mM EDTA;10%グリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理する。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50mMリン酸塩、300mMのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターで濾過する。Ni2+-NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡する。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに負荷する。カラムを、分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄する。次に、カラムを、結合タンパク質を非特異的に溶離する二次洗浄バッファー(50mMリン酸塩;300mMのNaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄する。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファーの0から500mMイミダゾール勾配で展開した。1mLの分画を回収し、SDS-PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)で複合したNi2+-NTAでのウェスタンブロットで分析する。溶離したHis10-タグIL-22を含む画分をプールして負荷バッファーで透析する。
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)IL-22の精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む公知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
ここに開示したIL-22ポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現した。
【0209】
実施例15: IL-22に結合する抗体の調製
この実施例は、IL-22に特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の産生のための技術は、この分野で知られていて、例えば、上記のGodingに記載されている。用いてもよい免疫原は、精製IL-22、IL-22を含む融合タンパク質、細胞表面に組換えIL-22を発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
Balb/c等のマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化して皮下又は腹腔内に1-100マイクログラムで注入したIL-22免疫原で免疫化する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Research, ハミルトン, モンタナ)に乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。免疫化したマウスは、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免疫源で追加免疫する。その後、数週間、マウスをさらなる免疫化注射で追加免疫する。抗IL-22抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するために、レトロオービタル出血からの血清試料をマウスから周期的に採取してもよい。
【0210】
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「ポジティブ(陽性)」な動物に、IL-22静脈内注射の最後の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を取り出す。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ATCCから番号CRL1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択したマウス骨髄腫株化細胞に融合させる。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、次いで、これを非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害するようにHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートにプレートすることができる。
ハイブリドーマ細胞は、IL-22に対する反応性に関するELISAによってスクリーニングされる。IL-22に対する所望のモノクローナル抗体を分泌する「ポジティブ(陽性)」ハイブリドーマ細胞の決定は、技術常識の範囲内である。
陽性ハイブリドーマ細胞を、抗IL-22モノクローナル抗体を含む腹水を生成するように、同系のBalb/cマウスに腹腔内注入することができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水で生成したモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィ−を用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの親和性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
【0211】
実施例16: 特異的抗体を用いたIL-22ポリペプチドの精製
天然又は組換えIL-22ポリペプチドは、この分野の種々の標準的なタンパク質精製方法によって精製できる。例えば、プロ-IL-22ポリペプチド、成熟ポリペプチド、又はプレ-IL-22ポリペプチドは、対象とするIL-22ポリペプチドに特異的な抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般的に、免疫親和性カラムは、抗IL-22ポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー樹脂へ共有結合することで作成する。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムによる沈殿又は固定化プロテインA(ファルマシア LKB バイオテクノロジー, ピスカタウェイ, ニュージャージー)による精製のいずれかにより免疫血清から調製する。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水液から調製する。部分精製した免疫グロブリンは、CnBr-活性化セファロース(商品名)(ファルマシア LKB バイオテクノロジー)等のクロマトグラフィー樹脂に共有結合する。抗体が樹脂に結合し、樹脂がブロックされ、そして誘導体樹脂を製造者の指示に従って洗浄する。
【0212】
このような免疫親和性カラムは、可溶化形態のIL-22ポリペプチドを含有する細胞から分画を調製をすることによるIL-22ポリペプチドの精製で利用される。この調製物は、洗浄剤の添加又はこの分野で公知の方法による微分遠心分離を介して得られる全細胞又は細胞成分分画の可溶化により誘導される。あるいは、シグナル配列を含む可溶化IL-22ポリペプチドは、細胞が成長する培地中に有用な量で分泌され得る。
可溶化IL-22ポリペプチド含有調製物を免疫親和性カラムへ流し、そのカラムをIL-22ポリペプチドの優先的吸着を可能にする条件下(例えば、洗浄剤存在下の高イオン強度バッファー)で洗浄する。次いで、このカラムを抗体/IL-22ポリペプチド結合を分解する条件下(例えば、約2-3といった低pH、高濃度の尿素又はチオシアン酸イオン等のカオトロープ)で溶離し、IL-22ポリペプチドを回収する。
【0213】
実施例17:薬物スクリーニング
本発明は、種々の薬物スクリーニング技術でIL-22ポリペプチド又はその結合断片を使用することによって化合物のスクリーニングすることにとって特に有用である。そのような試験に用いられるIL-22ポリペプチド又は断片は、溶液中での遊離状態でも、固体支持体に固定されても、細胞表面に担持されていても、或いは細胞内に位置していてもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法では、IL-22ポリペプチド又は断片を発現する組換え核酸で安定にトランスフェクションする真核生物又は原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、そのようなトランスフェクション細胞に対して、競合的結合アッセイによってスクリーニングされる。生存可能又は固定化形態のいずれかによって、このような細胞は標準的な結合アッセイで使用できる。例えば、IL-22ポリペプチド又は断片と試験される試薬の間の複合体の形成を測定してもよい。あるいは、試験する試薬によって生ずるIL-22ポリペプチドとその標的細胞又は標的レセプター間の複合体形成の減少を試験することができる。
【0214】
従って、本発明は、IL-22ポリペプチド関連疾患又は障害に作用することのできる薬剤又は任意の他の試薬のスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、当該分野で良く知られており、その試薬をIL-22ポリペプチド又は断片に接触させ、(i)試薬とIL-22ポリペプチド又は断片との間の複合体の存在について、又は(ii)IL-22ポリペプチド又は断片と細胞との間の複合体の存在について検定することを含む。これらの競合結合アッセイでは、IL-22ポリペプチド又は断片が典型的には標識される。適切なインキュベーションの後、遊離型IL-22ポリペプチド又は断片を結合形態のものから分離し、遊離型又は未複合の標識の量が、特定の試薬がIL-22ポリペプチドに結合する又はIL-22ポリペプチド/細胞複合体を阻害する能力の尺度となる。
【0215】
薬剤スクリーニングのための他の技術は、ポリペプチドに対して適当な結合親和性を持つ化合物についての高スループットスクリーニングを提供し、1984年9月13日に公開された国際公開84/03564に詳細に記載されている。簡単に述べれば、多数の異なる小型ペプチド試験化合物が、プラスチックピン等の固体支持体又は幾つかの他の表面上で合成される。IL-22ポリペプチドに適用すると、ペプチド試験化合物はIL-22ポリペプチドと反応して洗浄される。結合したIL-22ポリペプチドはこの分野で良く知られた方法により検出される。精製したIL-22ポリペプチドは、上記の薬剤スクリーニング技術に使用するためにプレート上に直接被覆することもできる。さらに、非中和抗体は、ペプチドを捕捉し、それを固体支持体上に固定化するのに使用できる。
また、本発明は、IL-22ポリペプチドに結合可能な中和抗体がIL-22ポリペプチド又はその断片について試験化合物と特異的に競合する競合薬剤スクリーニングアッセイも考慮する。この方法において、抗体は、IL-22ポリペプチドと1つ又は複数の抗原決定基を持つ任意のペプチドの存在を検出するのに使用できる。
【0216】
実施例18: 合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、対象とする生物学的活性ポリペプチド(例えば、IL-22ポリペプチド)又はそれらが相互作用する小分子、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターの構造類似物を製造することである。これらの例の任意のものが、IL-22ポリペプチドのより活性で安定な形態又はインビボでIL-22ポリペプチドの機能を促進又は阻害する薬物の創作に使用できる(参考、Hodgson, Bio/Technology, 9: 19-21 (1991))。
【0217】
1つの方法において、IL-22ポリペプチド、又はIL-22ポリペプチド-インヒビター複合体の三次元構造が、x線結晶学により、コンピュータモデル化により、最も典型的には2つの方法の組み合わせにより決定される。分子の構造を解明し活性部位を決定するためには、IL-22ポリペプチドの形状及び電荷の両方が確認されなければならない。数は少ないが、IL-22ポリペプチドの構造に関する有用な情報が相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得られることもある。両方の場合において、関連する構造情報は、類似IL-22ポリペプチド様分子の設計又は効果的なインヒビターの同定に使用される。合理的な薬剤設計の有用な例は、Braxton及びWells, Biochemistry, 31: 7796-7801 (1992)に示されているような向上した活性又は安定性を持つ分子、又はAthaudaら,J. Biochem., 113: 742-746 (1993)に示されているような天然ペプチドのインヒビター、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用する分子を含む。
【0218】
また、上記のような機能アッセイによって選択した標的特異的な抗体を単離し、その結晶構造を解明することもできる。この方法は、原理的には、それに続く薬剤設計が基礎をおくことのできるファーマコア(pharmacore)を生成する。機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体(抗-ids)を生成することにより、タンパク質結晶学をバイパスすることができる。鏡像の鏡像として、抗-idsの結合部位は最初のレセプターの類似物であると予測できる。抗-idは、次いで、化学的又は生物学的に製造したペプチドのバンクからペプチドを同定及び単離するのに使用できる。単離されたペプチドは、ファーマコアとして機能するであろう。
本発明によって、X線結晶学などの分析実験を実施するために十分な量のIL-22ポリペプチドが入手可能である。さらに、ここに提供したIL-22ポリペプチドアミノ酸配列の知識は、X線結晶学に代わる又はそれに加わるコンピュータモデル化技術で用いられるガイダンスを提供する。
【0219】
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 ユニバーシティー ブルバード, マナサッス, バージニア, 20110−2209 アメリカ合衆国(ATCC)に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
DNA125185-2806 PTA-1031 1999年12月7日
【0220】
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテック社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886 OG 638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
【0221】
本出願の譲受人は、寄託した材料が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託材料の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【0222】
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 配列番号:1がここで「DNA125185-2806」と命名したクローンである、天然配列IL-22cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:1)を示す。
【図2】 図1に示す配列番号:1のコード化配列から誘導したアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図3】 インターロイキン-22レセプタープローブでプローブしたノーザンブロットを示す。
【図4】 Taqman(商品名)分析によって分析した、種々のヒト組織のインターロイキン-22レセプターRNAの発現を示す。
【図5】 IL-22で刺激した膵臓腺房細胞株でのSTAT活性化を示す。
【図6A】 ノーザンブロットによって分析した、IL-22で刺激した膵臓腺房細胞株での膵炎関連タンパク質(PAP1)RNAのアップレギュレーションを示す。
【図6B】 ノーザンブロットによって分析した、IL-22で刺激した単離された初期膵臓腺房細胞でのPAP1及びオステオポンチンRNAのアップレギュレーションを示す。
【図7】 IL-22を注射したマウスを用い、そしてノーザンブロット分析によって追跡したインビボでの膵臓におけるPAP1のアップレギュレーションを示す。
【図8】 野生型及びIL-10レセプターベータ(IL-10Rβ)欠損マウスでのインターロイキン-6(IL-6)産生のレベルを示す。
【図9】 ノーザンブロットによって分析した、IL-22で治療したIL-10Rβ欠損マウスのインビボでの膵臓では、PAP1の発現がアップレギュレーションされていないことを示す。
【図10】 IL-10Rβポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図11】 IL-22Rポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
Claims (26)
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL-22)を含有すると思われる試料から該ポリペプチドを検出する方法であって、前記試料と配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)又は配列番号:4に示すポリペプチド(IL-22R)を接触させ、前記試料中における配列番号:2に示すポリペプチド(IL-22)と配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)とのコンジュゲート(IL-22/IL-10Rβコンジュゲート)又は配列番号:2に示すポリペプチド(IL-22)と配列番号:4に示すポリペプチド(IL-22R)とのコンジュゲート(IL-22/IL-22Rコンジュゲート)の形成を確かめることを含んでなる、前記コンジュゲートの形成が前記試料中での配列番号:2に示すポリペプチド(IL-22)の存在を示す、方法。
- 試料が配列番号:2に示すポリペプチド(IL-22)を発現すると思われる細胞を含む、請求項1に記載の方法。
- 配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)が検出可能な標識で標識されているか、又は固体支持体に付着している、請求項1に記載の方法。
- 配列番号:4に示すポリペプチド(IL-22R)が検出可能な標識で標識されているか、又は固体支持体に付着している、請求項1に記載の方法。
- 試料が哺乳動物由来である、請求項1に記載の方法。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を検出することによって膵炎の存在を確かめる、請求項5に記載の方法。
- 配列番号:3に示すポリペプチド(IL - 10Rβ)、配列番号:4に示すポリペプチド(IL - 22R)又は配列番号:2に示すポリペプチドに対する抗体(抗 - IL - 22ポリペプチド抗体)を含んでなる、配列番号:2に示すポリペプチド(IL - 22)を検出するためのキット。
- 生物活性分子を配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞と結合させる方法であって、前記細胞を前記生物活性分子と結合している配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)又は配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)と接触させて、配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)と配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)又は配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)、配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)とを結合させることを含んでなる、方法。
- 前記生物活性分子が毒素、放射標識又は抗体である、請求項8に記載の方法。
- 生物活性分子が配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞の死を引き起こす、請求項8に記載の方法。
- 生物活性分子と結合している配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)、配列番号:3に示すポリペプチド(IL - 10Rβ)又は配列番号:2に示すポリペプチドに対する抗体(抗 - IL - 22ポリペプチド抗体)を含んでなる、生物活性分子を、配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞と結合させるためのキット。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞の少なくとも1つの生物学的活性を調節する方法であって、前記細胞を(a)配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)、(b)配列番号:3に示すポリペプチド(IL-10Rβ)、又は(c)配列番号:2に示すポリペプチドに対する抗体(抗-IL-22ポリペプチド抗体)と接触させることにより、前記(a)、(b)、又は(c)が配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)と結合し、それによって、前記細胞の少なくとも1つの生物活性を調節することを含んでなる、方法。
- 配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)、配列番号:3に示すポリペプチド(IL - 10Rβ)又は配列番号:2に示すポリペプチドに対する抗体(抗-IL-22ポリペプチド抗体)を含んでなる請求項12の方法のための組成物。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞が死滅する、請求項13に記載の方法。
- 配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)、配列番号:3に示すポリペプチド(IL - 10Rβ)、又は配列番号:2に示すポリペプチドに対する抗体(抗 - IL - 22ポリペプチド抗体)を含んでなる、配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を発現する細胞の少なくとも1つの生物活性を調節するためのキット。
- 配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:3に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-10Rβのコンジュゲート)又は配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:4に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-22Rのコンジュゲート)の形成を阻害する化合物を同定する方法であって、(a)配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)と、(b)配列番号:3に示すポリペプチド(IL−10Rβ)及び(c)配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)とが相互作用するのに十分な条件と時間で、前記試験化合物を前記(a)、(b)及び(c)を含むと思われる試料と接触させ、配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:3に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-10Rβのコンジュゲート)又は配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:4に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-22Rのコンジュゲート)の形成が阻害されたか否かを測定することを含んでなる方法。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)と、配列番号:3に示すポリペプチド(IL−10Rβ)とのコンジュゲートの形成を阻害する化合物を同定するためのキット。
- 配列番号:2に示すポリペプチドの活性を制御する化合物を同定する方法であって、(a)配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)と、(b)配列番号:3に示すポリペプチド(IL−10Rβ)及び(c)配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)とが相互作用するのに十分な条件と時間において、試験化合物を前記(a)、(b)及び(c)を含む試料と接触させた場合における、配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:3に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-10Rβのコンジュゲート)又は配列番号:2に示すポリペプチドと配列番号:4に示すポリペプチドとのコンジュゲート(IL-22/IL-22Rのコンジュゲート)の形成が、試験化合物を前記(a)、(b)及び(c)を含む試料と接触させない場合における前記コンジュゲートの形成と比較して低下したか否かを測定することによって配列番号:2に示すポリペプチドの活性を制御する化合物を同定する方法。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)、配列番号:3に示すポリペプチド(IL−10Rβ)又は配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)を含んでなる、配列番号:2に示すポリペプチドの活性を制御する化合物を同定するためのキット。
- 哺乳動物の膵臓から得た試験試料に含まれる、膵炎の存在を示す指標となる配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)を体外で検出する方法。
- 哺乳動物の膵臓から得た試験試料から配列番号:2に示すポリペプチドを検出することによって、膵炎の存在を確かめるためのキット。
- 膵臓細胞においてIL - 22によるPAP1の発現誘導を阻害するための方法であって、前記細胞をIL - 22アンタゴニストと接触させることを含んでなり、前記アンタゴニストが抗 - IL - 22抗体である、IL - 22によるPAP1の発現誘導を阻害するための方法。
- 抗 - IL - 22抗体を含んでなる、膵臓細胞においてIL - 22によるPAP1の発現誘導を阻害するためのキット。
- 配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)のアンタゴニストを同定する方法であって、IL−22ポリペプチドを候補分子と接触させること、及び1以上の(a) - (c)の阻害を測定することを含んでなる、IL - 22アンタゴニストを同定する方法;
(a)IL−22ポリペプチドの、反応混合物中における配列番号:3に示すポリペプチ ド(IL−10Rβ)又は配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)への結合
(b)培養膵臓細胞におけるIL - 22によるPAP1発現の誘導、及び/又は
(c)培養膵臓細胞におけるIL - 22によるSTAT3ポリペプチド発現の誘導。 - IL−22ポリペプチドを候補分子と接触させること、及び1以上の(a) - (c)の阻害を測定することを含んでなる、配列番号:2に示すポリペプチド(IL−22)のアンタゴニストを同定するためのキット;
(a)IL−22ポリペプチドの、反応混合物中における配列番号:3に示すポリペプチド(IL−10Rβ)又は配列番号:4に示すポリペプチド(IL−22R)への結合
(b)培養膵臓細胞におけるIL - 22によるPAP1発現の誘導、及び/又は
(c)培養膵臓細胞におけるIL - 22によるSTAT3ポリペプチド発現の誘導。 - 膵炎治療のための薬剤の製造における、IL−22のアンタゴニストである抗IL−22抗体の使用。
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