JP2005511755A - 複数種類のタンパク質を高スループットで産生および精製するための、融通性の高い方法および装置 - Google Patents

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Abstract

さまざまな発現系のいずれかを用いて、複数種類の目的タンパク質または目的ペプチド類、あるいは遺伝学的に発現された他の材料をスクリーニングし、引き続き産生する。その複数種類のタンパク質は、複数種類の別個の処理済み緑液汁から抽出され、各種緑液汁が目的タンパク質の1種類を含有している。多チャネル式装置が、その1チャネルにつき1種類の緑液汁を処理することにより、複数種類の緑液汁を処理する。この装置はコンピュータ制御されており、これにより、各チャネル内のさまざまなバルブおよびポンプが、各目的タンパク質を抽出してこれを専用の貯蔵容器内に送出するように、自動制御されている。

Description

本発明は、比較的大量の所定組換えタンパク質を発現、抽出および精製するための、融通性に富みスループットの高い方法および装置に関する。本発明はさらに、同時に別々に並行して動作する装置で複数種類の所定のタンパク質を精製するための方法および装置に関する。本発明はさらに、複数種類の所定のタンパク質を同時に産生するための産生系を追跡、計画および管理するための方法および装置に関する。本発明はさらに、個人向け薬剤に使用する複数種類のタンパク質の産生および精製に関する。本発明はさらに、マイクロアレイに使用する複数種類のタンパク質の産生および精製に関する。本発明はさらに、タンパク質関連の研究に使用する複数種類のタンパク質の産生および精製に関する。
物理学者および研究者の双方が、ヒトなどの有機体内の生理機能および代謝機能においてタンパク質が果たす役割の重要性を認識するにつれて、タンパク質の研究および利用が、科学界においても医学界においても、ここ数十年ほど重視されてきている。現在、タンパク質のさまざまな側面が研究されており、その例として、タンパク質−タンパク質相互作用、グリコシル化、タンパク質疾患関連標識の同定、および他の特徴が挙げられる。タンパク質は、研究にも臨床用途にもマイクロアレイで使用され、抗体の産生および特徴付けには大量のタンパク質が必要である。このため、タンパク質の産生が、この分野におけるさらなる開発に極めて重要となってきている。
タンパク質の産生技術は多数あり、それぞれに固有の利点と限界とがある。全長または部分長タンパク質を産生する方法として、細菌発現系、酵母発現系、菌発現系、昆虫発現系、哺乳動物発現系および、カリフォルニア州VacavilleのLarge Scale Biology Corporationが開発したGENEWARE(登録商標)などの植物発現系が挙げられる。
異種タンパク質を発現させるタンパク質発現系すべてにおいて、目的のcDNAまたはDNA配列がまず適したベクター内でクローニングされる。このベクターを宿主種内に転写または誘導すると、その宿主がそのベクターDNAで形質転換される。例えば、細菌発現系では、異種タンパク質の発現に、プラスミド、ファージまたはウィルス由来のベクターを使用する。目的の核酸配列を含むベクターDNA(インサートDNA)を、リン酸カルシウム法およびエレクトロポーレーション法による形質転換技術を始めとする標準形質転換技術を通じて、細菌内に挿入するのである。こうした技術の他にも、単離および精製されたインサートDNAを被選択ベクターシステム内に挿入するために、数多くのキットが現在利用可能である。このため、細菌発現系は、異種タンパク質の日常的な発現および精製用に最も広範に使用されている。このように、細菌発現系は比較的大量の異種タンパク質発現によく使用されているが、適切なフォールディングおよび翻訳後処理の欠如という課題を残しているため、機能的に不活性な分子が生成される可能性がある。したがって、これまでの細菌発現系は、少量の狭い範囲のタンパク質にのみ適している。
昆虫発現系では、また昆虫発現系ほどではないが酵母発現系では、天然の異種タンパク質に見られる場合と同様のフォールディング、翻訳後修飾およびオリゴマー化が得られる場合もあるが、その複雑さでは天然タンパク質に遠くおよばない。タンパク質産生用の昆虫発現系の1例は、昆虫細胞内にバキュロウィルスを使用することである。プラスミド系ショウジョウバエ細胞による発現系も利用可能である。この発現系では、バキュロウィルスの操作および管理が不要である。バキュロウィルス発現系の場合もプラスミド系ショウジョウバエ発現系の場合も、宿主細胞内に異種タンパク質を挿入して連続的に発現させるために、細菌発現系と同様のベクターを用いる。酵母発現系の場合も、市販されているpESC、pYES、pNMT、pYD、pPICopGAPなどのDNAベクターを用いる。
プラスミドやファージ系ベクターでトランスフェクトした、またはウィルスベクターを感染させた哺乳動物細胞培養(例えば、NIH3T3、HeLa、K562、293および他の細胞培養)などの哺乳動物発現系では、実質的な翻訳後修飾の実施が可能である。哺乳動物発現系に使用する市販のベクターの例として、アデノ関連ウィルス、pFBレトロウイルスベクターおよびアデノウィルスなどのウィルス類、pACT、pBIND、pCAT、pCI、phRG−CMV、phRG−TK、phRL−TK、pSIおよびpERVなどのプラスミド、pBK、pBK−CMVおよびpBK−RSVなどのファージ系ベクターが挙げられる。しかし、哺乳動物細胞の場合、異種タンパク質の発現に培養集約的作業が必要なため、大量生産へと拡大させるにはより多くの課題が生じかねない。また、所望量のタンパク質を含む十分な細胞を産生させるには、技術上の熟練者が必要な場合がある。というのも、例えば、特に哺乳動物細胞の場合、トランジエントなトランスフェクションの効率が悪いため、ベクターDNAの安定した形質転換および染色体組込みが必要となり得るからである。
植物発現系で発現するタンパク質にも、異種タンパク質発現用のベクターが必要である。例えば、Donsonらに付与された米国特許第5,316,931号および同第5,589,367号には、植物における異種遺伝物質の体系的発現に適した植物ウィルスベクターが例示されている。これらの特許内容全体を本明細書内に引用したものとする。Donsonらは、異種遺伝子の体系的発現用に異種サブゲノムプロモーターを有する植物ウィルスベクターについて説明している。このような組換え植物ウィルスベクターが利用可能であるため、目的のタンパク質およびペプチド類を、組換えにより植物宿主内に産生させることができる。
細菌、酵母、昆虫(バキュロウィルス)および哺乳動物培養内に産生されたタンパク質を単離することも周知である。例えば、カリフォルニア州ValenciaのQiagenから、6×Hisタグタンパク質の精製に使用される96ウェルプレートフォーマットに使用可能な金属アフィニティ樹脂および磁気ビードが販売されている。こうした精製技術は、「A Handbook For High Level Expression And Purification Of 6×His−tagged Proteins」(Qiagen March 2001)に記載されているほか、米国特許第4,877,830号、同第5,047,513号、同第5,284,933号および同第5,310,663号に開示されている。その内容全体を本明細書内に引用したものとする。しかし、上述した特許に開示されている方法の多くおよびQiagenから販売されている材料は、μg以下の単位で測定されるタンパク質量の単離に最適化されたものである上(mg単位ではない)、植物内で産生されたタンパク質の精製用に特に設計されているものでもない。
植物からタンパク質、ペプチド類およびウィルス類を単離するための処理も、これまでにその数種類が文献に記載されている(Johalに付与された米国特許第4,400,471号、Johalに付与された米国特許第4,334,024号、Wildmanらに付与された米国特許第4,268,632号、Wildmanらに付与された米国特許第4,289,147号、Wildmanらに付与された米国特許第4,347,324号、Holloらに付与された米国特許第3,637,396号、Kochに付与された米国特許第4,233,210号、Kochに付与された米国特許第4,250,197号。これらの開示内容全体を本明細書内に引用したものとする)。
植物内で産生する生理活性種のコストパフォーマンスの良い大量精製に対する方法体系がこれまでに開発されてきている。こうした生理活性種として、タンパク質またはペプチド類が当てはまり、特に、組換えタンパク質またはペプチド類、あるいはウィルス粒子、特に遺伝子組換えが行われたウィルス類が当てはまる。具体的に言えば、Gargerらに付与された米国特許第6,037,456号には、例えば組換タバコモザイクウィルスを感染させたタバコ植物から抽出した大量のタンパク質を単離および精製する方法が開示されている。米国特許第6,037,456号に開示されている方法は主に、単離されるタンパク質量が数百グラムからキログラムとなり得る、大量のタバコ植物または他の許容範囲内植物材料から得たタンパク質の単離および精製を目的としている。また、2001年10月3日に出願された、係属中であり譲受人を同じとする米国特許出願第09/970,150号「Flexible Processing Apparatus for Isolating and Purifying Viruses, Soluble Proteins and Peptides from Plant Sources」には、植物内で生成された大量のタンパク質を精製する自動装置が開示されている。ただしこの場合も、単離されるタンパク質量は数百グラムからキログラムを単位としている。上記特許および係属中の特許出願に記載されている方法には数多くの利点があるが、その方法は材料の大量生成を目的としているため、各種タンパク質の量をマイクログラムからミリグラムの単位とする、それより少ない少量の複数種タンパク質の単離に適用することは容易ではない。米国特許第6,037,456号および2001年10月3日に出願された、係属中であり譲受人を同じとする米国特許出願第09/970,150号「Flexible Processing Apparatus for Isolating and Purifying Viruses, Soluble Proteins and Peptides from Plant Sources」の双方の内容全体を本明細書内に引用したものとする。
発明が解決しようとする課題及びその解決手段
したがって、タンパク質をさまざまな培養のいずれかで産生することができ、そのタンパク質を信頼性の高い方法で精製して所望量の各タンパク質を提供できる、複数種類のタンパク質の産生および精製を目的とした、融通性の高い発現系が必要である。また、開始生物量が10g〜10kg未満である植物材料から得られる100μg台〜数mgの組換えタンパク質の産生および単離を効率よく行う方法および装置も必要である。さらに、細菌、昆虫、哺乳動物および/または酵母培養で産生された同様量の組換えタンパク質の産しおよび単離を効率よく行う方法および装置も必要である。また、規定された細胞、組織または宿主有機体内におけるプロテオームの構造および関係を決定するための、目的タンパク質を付随したタンパク質のタンパク質の産生および単離を効率よく実施できる方法および装置も必要である。
また現在は、ヒトゲノム研究が進んだため、医療形態を確実に変化させる医療を実施するための新たなパラダイムへの道が開かれている。個別用薬剤、標識を補助とする診断の利用、および個人の分子プロファイルに由来する標的治療法を実施できれば、これらが、医薬品の開発方法および医療実施方法に影響を与える可能性がある。そうなれば、医薬品の発見および開発に対する従来の線形工程が、じきに統合型発見的アプローチに取って代わられる可能性がある。製薬業者は現在のところ、目的の製薬品が、目的とする患者集団の他の人々には望ましくない不都合な反応があるため、患者集団の一部のみを治療できることを立証する統計的根拠を基にその単一調合薬を大量に製造している。薬剤が特定の個人または患者集団に合うように製造される、小規模な製薬品の製造方法が必要である。
単離されるウィルスまたはタンパク質が、製薬品として製造されることを目的としたものである場合、一貫性があり、立証可能な方法体系が必要である。したがって、自動装置が、単離工程で使用される方法体系をモニタして、その追跡および立証を提供する、タンパク質を単離するための自動化された方法体系および装置が必要である。
本発明は、複数種類のタンパク質を同時に並行して精製するための多チャネル式装置に関する。
本発明はまた、複数種類のタンパク質を同時に産生および精製するため方法および装置に関する。
定義
本明細書内にて以下の用語に含まれる範囲を始めとする本願の明細書および請求の範囲を明確かつ矛盾なく理解できるように、用語を以下のように定義する。
GENEWARE(登録商標)は、新規な遺伝子およびその遺伝子がコードするタンパク質の機能を試験し、そのタンパク質を大量に製造するための、カリフォルニア州VacavilleのLarge Scale Biology Corporationにより開発された技術である。GENEWARE(登録商標)には、試験有機体内にいずれかの遺伝子または多数の遺伝子を配置するようにウィルスから改変されたベクターを使用することが含まれる。その有機体に、その遺伝子のタンパク質産生物を製造させて、その産生物を研究、収集および精製するものである。
好ましくは、GENEWARE(登録商標)には、移植遺伝子のタバコモザイクウィルスを感染させたタバコ植物またはこれに関連するタバコ属種を使用する。タバコ植物が早く成長するために、植物遺伝子を研究するための極めて有用なモデル有機体が得られる、また、動物タンパク質または植物タンパク質のいずれであっても大量に製造する高収益向上が得られるという理由から、GENEWARE(登録商標)技術の例として通常、タバコ植物の使用が挙げられる。GENEWARE(登録商標)技術のさまざまな側面が、Large Scale Biology Corporationに譲渡された米国特許(Donsonらに付与された米国特許第5,316,931号、Donsonらに付与された同第5,589,367号、Carringtonらに付与された同第5,766,885号、Turpenらに付与された同第5,811,653号、Donsonらに付与された同第5,866,785号、Donsonらに付与された同第5,889,190号、Turpenらに付与された同第5,889,191号、Kumagaiらに付与された同第5,922,602号、Turpenらに付与された同第5,965,794号およびDonsonらに付与された同第6,054,566号)に開示されている。これらの内容全体を本明細書内に引用したものとする。ただし、GENEWARE(登録商標)技術は、トウモロコシ、イネなどのタバコ以外の植物を使用する場合にも適用可能であることを理解されたい。
以下の説明において使用する用語「生物量」「バイオ物質」および「植物源」はすべて、採取される植物、種子、または、ウィルス、タンパク質および/またはそのペプチド類などの目的材料を抽出または単離するために処理可能な植物部分すべてをいう。例えば、バイオ物質処理には、数多くの種類の植物や、植物材料の種子、花、柄、茎、根、塊茎、ならびに葉部分などの植物部分を含めることができる。通常、タバコ植物の多肉多液葉が、GENEWARE(登録商標)技術を用いた所定タンパク質の大量生成に理想的であるが、以下の説明から、タバコ以外の植物もGENEWARE(登録商標)技術を用いたタンパク質産生に使用可能であることを理解されたい。
別法として、トウモロコシ、イネ、穀物植物類または他の望ましい植物を、目的のタンパク質およびペプチド類の産生に使用することができる。
以下の説明では、用語「生物量」および「バイオ物質」も、細菌発現系、昆虫発現系、哺乳動物発現系および酵母発現系で生成され、以下に記載する方法体系にしたがって産生されるタンパク質の精製用に採取された生物学的材料を指す場合がある。
用語「緑液汁」は、処理したバイオ物質から抽出される液体をいう。ただし、この緑液汁は、抽出した液体の色にかかわらず、植物材料またはバイオ物質から抽出した液体にいずれをも指す可能性があることを理解されたい。例えば、1種類または複数種類のタンパク質をLarge Scale Biology CorporationのGENEWARE(登録商標)技術を用いて産生した場合、緑液汁は、採取したタバコなどのバイオ物質から得られるため、文字通り緑色となる可能性がある。しかし、目的タンパク質が細菌発現系、昆虫発現系、哺乳動物発現系、菌発現系および酵母発現系で発現された場合、そこから抽出される液体は緑色以外となり得るが、以下ではこれも緑液汁とする場合がある。
本明細書内でいう「ウィルス」を、1種類または複数種類のウィルス構造タンパク質を組み合わせた感染性核酸配列を含むビリオンと、1種類または複数種類のウィルス構造タンパク質を組み合わせた非感染性核酸を含む非感染性ビリオンと、ウィルス構造タンパク質の凝集体であって、核酸配列を含まず、その凝集体とも核酸配列が組み合わされておらず、ウィルス様中空粒子(VLP)を含む場合もある凝集体とからなる群を含むものと定義する。このウィルス類は、天然のものであっても組換え核酸技術に由来するものでもよく、植物全体、植物組織または植物細胞内における複製用に設計または選択により適合可能なあらゆるウィルス由来核酸を含むものである。
本明細書内でいう「ウィルス集団」を、上記にて定義したと1種類または複数種類のウィルス類して定義する。このウィルス集団は、そのウィルス類のあらゆる組み合わせおよび比率を含む異種選択からなるものである。
本明細書内でいう「ウィルス様中空粒子(VLP)」を、自己集合構造タンパク質として定義する。この構造タンパク質は、1種類または複数種類の核酸配列によりコードされるものであり、その核酸配列(1つまたは複数)が、宿主ウィルスベクターのゲノム内に挿入される。
「タンパク質およびペプチド類」を、天然のタンパク質およびペプチド類、あるいは、トランスフェクションまたは遺伝子導入形質転換により産生された組換えタンパク質およびペプチド類のいずれかとして定義する。
用語「目的タンパク質」「目的材料」および「複数種類の目的材料」とは、本発明による精製方法および/または装置を用いて単離すべきあらゆる材料、化合物、有機構造体または材料の組み合わせをいう。目的タンパク質あるいは1種類または複数種類の目的材料の例として、これに限定するものではないが、ビリオン、ウィルス様中空粒子、ウィルス類、タンパク質および/またはペプチド類、受容体、受容体拮抗剤、抗体、一本鎖抗体、酵素、ニューロポリペプチド類、インスリン、抗原、ワクチン、ペプチドホルモン、カルシトニン、及びヒト成長ホルモンが挙げられる。また、目的タンパク質あるいは1種類または複数種類の目的材料を、プロテグリン、マゲイニン、セクロピン、メリトチン、インドリシジン、デフェンシン、β−デフェンシン、クリプトジン、クラバイニン、植物デフェンシン、ニシン及びバクテネシンからなる抗菌性ペプチドまたはタンパク質とすることもできる。
本明細書でいう「細菌」を、細胞分割により増殖し、その細胞が通常細胞壁内含まれ、球状、棒状、らせん状または湾曲状で発生し、事実上あらゆる環境で見出すことのできる微細な単細胞微生物からなる群を含むものとして定義する。
本明細書でいう「細菌培養」を、in vitroにおける細菌集団の維持および繁殖として定義する。この細菌集団は通常、クローンに由来する、すなわち、単一細菌細胞に由来している。したがって、所与細菌培養内の細菌すべてが同じ遺伝子の補体を含有するため、それがタンパク質発現系であれば、同じ異種タンパク質配列を発現させるはずである。しかし、特定の環境において、この細菌培養が1種類以上の細菌細胞を起源として、異なる遺伝子補体を含む、複数種類の細菌細胞を含有する可能性もある。
本明細書でいう「哺乳動物細胞」を、哺乳動物から由来した細胞からなる群を含むものとして定義する。起点となる哺乳動物細胞として、これに限定するものではないが、ヒトまたの哺乳動物からの組織、流体、血液、器官またの生物学的供給源が挙げられる。
本明細書でいう「哺乳動物細胞培養」を、細胞培地内にてex−vivoで生存可能な、哺乳動物から由来した細胞群を含むものとして定義する。この哺乳動物細胞を、哺乳動物細胞から直接由来する一次細胞とすることができる。より典型的には、哺乳動物細胞培養内の哺乳動物細胞を不滅化することができる、すなわち、不定数の継代および分裂を通じて増殖および分裂させることができる。
本明細書でいう「酵母細胞」を、出芽または直接的な分裂(核分裂)を通じて、あるいは単なる不整形花糸(菌糸)として成長することにより、成長および増殖できる微小な単細胞有機体からなる群を含むものとして定義する。酵母細胞は、異種ベクター内部に挿入された核酸配列を発現させるために、その異種ベクターで形質転換またはトランスフェクトされ得るものである。酵母細胞の例として、異種タンパク質のトランスフェクションおよび発現用に一般に使用されるサッカロミケス・セレヴィシエが挙げられる。
本明細書でいう「昆虫細胞」を、昆虫宿主からex−vivoで生存可能な、昆虫から由来した細胞群を含むものとして定義する。この昆虫細胞は、異種ベクター内部に挿入されたタンパク質配列を発現させるために、その異種ベクターで形質転換、トランスフェクト、または感染され得るものである。昆虫細胞の例として、High Five(商標)細胞、セスジヤブカ細胞、キイロショウジョウバエ細胞およびヨトウガ細胞が挙げられる。
「アフィニティタグ」は、目的タンパク質(ポリペプチド)に付着した分子、リガンドまたはポリペプチドである。アフィニティタグの例として、これに限定するものではないが、ヘキサ−ヒスチジン、他の金属タグ、ストレプタビジン、ビオチン、抗体精製用特異エピトープ標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、□−ガラクトシダーゼ、□−アミラーゼ、ならびに、発現したタンパク質の単離および精製を補助できる他のタンパク質または小型分子タグが挙げられる。
「アフィニティマトリクス」は、基質またはリガンドに結合した固体材料をいう。この材料が、目的タンパク質に付着しているアフィニティタグに選択的に結合する。アフィニティタグとアフィニティマトリクスとが結合すると、目的タンパク質は、カラムまたは他の精製装置内に留まる。このため、目的タンパク質を、緑液汁内に不純物が含まれていればそれから分離することができる。アフィニティマトリクスを洗浄した後、アフィニティタグを付着した目的タンパク質を、実質的に精製された形態としてカラムまたは他の装置から溶出させることができる。アフィニティマトリクスの例として、アガロース、セルロース、セファロース、セファデックスおよび他のクロマトグラフィ媒体、ポリスチレンビード、磁気ビード、フィルタ、隔膜、および、選択したアフィニティタグに結合する基質またはリガンドに結合した他の固体材料が挙げられる。
「ヒスチジン−標識タンパク質」は、ヒスチジンアフィニティタグがカルボキシ末端、アミノ末端、または目的タンパク質の内部のいずれかに付着している目的タンパク質である。通常、ヒスチジンタグは、6個のヒスチジン部分からなるが、その組み合わせや数量はいずれでもよい。ヒスチジン−標識タンパク質は、ヒスチジン−標識タンパク質をNi−NTAAgarose(QIAGEN,Inc.製)などの金属アフィニティマトリクスに結合させ、結合したアフィニティマトリクスから不純物を洗浄することにより、精製することができる。精製後、酸pH緩衝条件を用いてイミダゾールで競合溶出させることにより、またはEDTA(エチレンジアミンテトラアセテート)でアフィニティマトリクスから金属を剥離することにより、ヒスチジン−標識タンパク質をカラムから溶出させることができる。
概要(図1)
本発明によれば、1種類または複数種類の目的タンパク質は、図1に示すように、さまざまな方法のいずれかにより産生される。
1.本発明の一態様によれば、必要な材料および時間を最小限に抑え、目的タンパク質の産生量を最大限にするため、特定量の1種類または複数種類の目的タンパク質が自動的に産生および精製される。
以下、図1について簡単に説明する。図1に示すステップの詳細については、その後適宜説明する。
図1のS1に示す第1のステップにおいて、1種類または複数種類の目的タンパク質を選択し、これに対応する適したベクターおよびインサートを同定する。このタンパク質、ベクターおよびインサート選択工程については、以下の図2に関する部分でさらに説明する。
以下、少なくとも1種類のタンパク質の産生および精製について詳述する。以下の大部分に含む内容は、説明を簡潔にし、冗長部分を省き、説明を理解しやくするために、タンパク質1種類のみの産生および精製についての説明であるが、本発明により複数種類のタンパク質が同時に産生および精製できることを、以下の説明から理解されたい。
タンパク質、ベクターおよびインサートを選択した後、図1のS2において、その目的タンパク質の産生試験に適した有機体または発現系を選択する。具体的に言えば、例えば、細菌発現系、昆虫発現系、哺乳動物発現系、植物発現系、菌発現系および酵母発現系からなる発現系のいずれの1種類または複数種類を用いることができる。
図1のS3において、図1のS2における試験の結果産生されたタンパク質をスクリーニングして、産生試験に用いた有機体または発現系により目的タンパク質が適切に発現したかどうかを判別する。また、産生されたバイオ物質量と発現したタンパク質量との関係も判別する。この段階で発現するタンパク質量は比較的少ないが、これをさまざまな機能試験および構造試験を用いてスクリーニングする。したがって、S3に示すスクリーニング工程は、複数のサブステップからなっており、これについては以下で詳述する。
図1のS4では、どの発現系(細菌、昆虫、哺乳動物、植物、菌または酵母)が目的タンパク質の発現に最適であるかを判別する。例えば、GENEWARE(登録商標)技術を通常、まずS2の試験で用いる。目的タンパク質が適切に発現していなかった場合、細菌発現系などの別の有機体を試験し、S3で示したようにスクリーニングする。目的タンパク質の産生に適切な発現系が構築されたら、所望量の精製タンパク質を産生するために必要なバイオ物質量を算出する。これについては以下で詳述する。別法として、種々のタンパク質発現系を並行に試験して、すなわち、細菌発現系、植物発現系および昆虫発現系を同時に試験して、より大量の発現および精製を目的とする適切な発現系を決定してもよい。
図1のS5に示すように、目的タンパク質を、判別した最適発現系または有機体で発現させる。この最適発現系により産生された生物量を、図1のS6に示すように採取し、S7に示すように精製前に処理または前処理する。このタンパク質発現、採取および前処理ステップについては、以下の図3に関する部分でさらに詳しく説明する。S7に示す精製ステップについては、以下の図4に関する部分でさらに詳しく説明する。
図1のS8に示すように、精製した目的タンパク質を試験して、その特徴および一貫性を確認する。
タンパク質およびインサートの選択(図2)
産生および精製用に1種類または複数種類の目的タンパク質を選択できる工程は、その機能または目的に応じて数多くある。例えば、その1種類または複数種類の目的タンパク質を、2000年3月10日に出願された、係属中の米国特許出願第09/522,900号に記載されているように、ワクチンなどの患者に特異な薬剤にすることができる。この場合、患者自身のDNAから、特異タンパク質を発現させるための配列が得られる。あるいは、目的タンパク質を、マイクロアレイまたは所謂タンパク質チップに用いるための標的タンパク質にすることもでき、この場合には、収集した試料(血液、結成、尿、痰、髄液またの生体サンプル)からの生理学的パラメータ、器官機能または機能障害の評価、ならびに種々の病理学的感染状態の特定ができるように、タンパク質標的を選択することができる。
特異タンパク質または周知のタンパク質(例えば、患者から特に採られた配列ではない配列)を発現させるために配列が必要な場合、その配列を、図2に概略的に示した例などのコンピュータシステムを用いて、共有私有を含むさまざまなデータベースから取り出すことができる。図2の場合、データベースそれぞれは、企業内顧客A、B〜Nがそれぞれのデータベースにアクセスすることでサーチできるようになっている。公的に利用可能なデータベースの例として、National Center for Biotechnology Information(GenBankおよびBLAST)ヌクレオチドおよびタンパク質データベース、European Molecular Biological Laboratory(SWISS-PROT)ヌクレオチドおよびタンパク質データベース、および他のヌクレオチドおよびタンパク質データベース、ならびに医学文献が挙げられる。私有データベースの例として、Human Protein Index(HPI)、MEDS(Molecular Effects Of Drugs)、MAP(Molecular Anatomy and Pathology)および数多くの研究室によるデータベースが挙げられる。こうしたソースには、タンパク質または有機体構成成分を詳述する情報が含まれており、疾患のある被験者と疾患のない被験者とにおけるタンパク質発現、または正常被験者と異常被験者とにおけるタンパク質発現を比較した情報が含まれている場合もある。
遺伝子情報収集、すなわち目的核酸の単離は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、コロニースクリーニングおよび核酸合成を始めとするさまざまな方法で行うことができる。上述したデータベースおよび文献は、研究者や臨床医がこれを利用して所与状態に対して発現させるタンパク質を選択できるだけでなく、ヌクレオチドおよびタンパク質配列の情報を含んでいることから、適した標的プローブを、標的cDNAおよび目的タンパク質を単離するように設計することができる。
単離を目的としてプローブの設計および反応条件を考察することは、目的タンパク質が周知の種であれ未知の種であれ、その特異な目的タンパク質を単離するために重要である。目的cDNAを単離するためのプローブを、上述したデータベースおよび文献から得られるタンパク質またはDNA配列情報に基づいて設計することができる。別法として、2Dゲルまたは他のタンパク質を分画および単離する方法で単離された、それまでは未知のタンパク質から得たトリプシンペプチド情報を用いて、プローブを設計してもよい。このプローブを、標準ジデオキシヌクレオチド化合物(dATP、dGTP、dCTP、dGTP)を組み入れつつ、標準ホスホルアミダイト化学、またの核酸合成化学を利用して合成することができる。あるいは、2種類以上のジデオキシヌクレオチド(dITPまたは他の修飾ヌクレオチド)とハイブリダイズし得る修飾ヌクレオチドを用いてもよい。核酸プローブ用テンプレートとしてタンパク質配列を用いる場合、プローブセットを、核酸配列の1順列をコードする少なくとも1対のプライマーで構成することができる。別法として、アミノ酸コードが縮重するため、対応する核酸配列の別の順列をコードする1対以上のプライマーを用いてもよい。例えば、リジンは、2種類のコドン配列、AAAおよびAAGでコードされる。したがって、アミノ酸リジンを組み入れた配列は、リジン位置にてプローブ内に両方の変化を含むことになる。プロの合成に加えて、より大きな核酸配列から切り出された核酸断片(例えば、クローニングベクター断片および他の核酸断片)を、標的核酸単離のプローブとして用いることができる。
プローブを、周知のタンパク質配列と同じではないが同様に設計することもできる。こうしたプローブは、関連タンパク質を単離することができる。関連タンパク質は、個人間でそのアミノ酸配列組成が異なる可能性があるため、標準プローブ設計技術では単離しにくい場合もあるタンパク質である。別法として、低ストリンジェンシー条件を用いて核酸プローブでDNAをスクリーニングすることができる。これにより、同じではないが関連するDNA配列を単離および精製することできる。この核酸プローブを、RT−PCR単離、およびmRNAや全RNAサンプルからのクローニングに使用することができる。この核酸プローブをまた、PCR増幅またの単離方法体系を用いて全ゲノムDNAからのゲノムDNAクローニングに用いてもよい。この全RNAまたはゲノムDNAは、動物、植物、あるいは細菌/微生物細胞または組織から、標準RNAまたはDNA精製技術で単離したものでよい。その技術例として、アルカリ溶解、イソチオシアン酸グアニジウム、CsCl密度勾配、フェノール/SDS、フェノール/クロロホルム、ガラス系またはシリカ系クロマトグラフィ、あるいは、さまざまな製造業者から市販されているキットを含む他の方法が挙げられる。全RNAをさらにオリゴdTカラムまたは樹脂上で分画して、ポリA RNAを含むmRNAを得ることができる。さらに、mRNAを、オリゴdTカラムクロマトグラフィと組み合わせた標準溶解プロトコル(アルカリ溶解、界面活性剤溶解、機械的分裂および他の溶解方法体系)を用いて、細胞培養や組織溶解物から直接単離することも可能である。
RNAの逆転写で得られたcDNA鎖を、DNAポリメラーゼまたは他の利用可能なポリメラーゼを用いて複製し、二本鎖DNAを得ることができる。DNAポリメラーゼを用いるさまざまな標準分子生物技術により、その二本鎖DNAを増幅させ、増幅したcDNAを適した発現ベクター内に挿入およびライゲーションして、さらなる解析を行うことができる。別法として、ゲノムDNAを、DNAポリメラーゼまたは他の利用可能なポリメラーゼを用いて直接PCRで増幅させることも可能である。増幅したcDNAの場合と同様に、増幅したゲノムDNAを適した発現ベクター内に挿入およびライゲーションして、さらなる解析を行うことができる。
目的のDNA配列を単離するためのもう1つのプロトコルは、標準DNA合成プロトコルを通じて行う、インサート配列およびその相補的結合鎖の合成である。例えば、相補的DNA鎖を、標準ホスホルアミダイト化学を用いて合成することができる。クローニングを目的として、非対称制限酵素配列を合成鎖内に組み入れて、複製および/または発現ベクター内に直接クローニングしてもよい。別法として、DNA鎖にアニール処理を施した後、標準分子生物ライゲーションプロトコルを用いて、制限酵素リンカーの平滑末端ライゲーションを行うことができる。DNA合成方法体系を用いて、配列の長さに応じて大抵変化する、ピコグラム、ナノグラム、ミクログラム、またはミリグラム量を合成および精製することができる。これにより、DNAポリメラーゼ酵素と共に導入されかねない増幅アーチファクトを避けることができる。DNA合成をPCR増幅と組み合わせて、適したベクター内へのDNA挿入およびそれに引き続くDNAの複製に向けて十分な量を増幅させることもできる。
もう1つの方法は、複数種類のベクター挿入を含む細菌宿主のコロニースクリーニングを用いることである。通常、ベクター挿入は、特異な宿主組織、器官または条件から単離された複数種類の核酸配列を含む。例えば、ネズミの肝臓または特定疾患に対して表現型であるネズミから得た複数種類のベクターインサートに対応する、市販の細菌「ライブラリ」が入手可能である。上記による単離されたプローブを用いて、ニトロセルロースやナイロンによるフィルタまたは膜などの固形培地上に移入された大量の細菌クローンをスクリーニングすることができる。固形培地上の細菌クローンが溶解すると、各クローンに含まれているDNAが変性されてその培地に結合する。これにより、コロニーのパターンが、結合したDNAの同じパターンで置換される。次にこの培地を、目的DNA配列を含むクローンを同定する標識プローブにハイブリダイズする。このクローンが単離され、大量の培養により増幅される結果、そのDNAが他の目的ベクター内への操作を目的として単離され、切り出される。
ベクターの選択
本発明によれば、上述したように、また本願と同一の譲受人に譲渡された上記特許に記載されているように、単離した目的DNA配列をベクター内に挿入して、目的の組換えタンパク質を、細菌発現系、昆虫発現系、哺乳動物発現系および酵母発現系を含むさまざまな方法のいずれかにより、またはGENEWARE(登録商標)技術の特徴を用いることにより、産生させることができる。具体的に言えば、GENEWARE(登録商標)発現系の場合、ベクター、タグおよびウィルスがコードするタンパク質に対して特異的に選択された、目的の遺伝子配列またはインサートを含むように、ウィルスが遺伝学的に操作される。するとこのウィルスが、タバコ植物の葉などの広葉植物組織に適用されて、その有機体に感染する。この植物とウィルスとが協働して特異なタンパク質を発現させ、このタンパク質がその植物組織から抽出され、精製されるのである。こうした本発明による方法体系の基本的ワークフローを、本発明による方法体系を有効にするために使用する装置の詳しい説明と併せて、以下に詳述する。さらに、以下により明確に説明する方法でこのワークフローを追跡し、その工程における種々の態様の判別を補助するコンピュータシステムについても説明する。
本発明によれば、GENEWARE(登録商標)技術を用いる場合、特異なベクターおよびインサートが、タバコモザイクウィルスまたは他の適したウィルス内への挿入用に選択される。図1のS1に示すように、1種類のインサートが、そのインサートの遺伝子配列によりコードされる特異タンパク質用に選択される。以下の説明からより明確にわかるように、複数種類のタンパク質を同時に発現させることができるように、ウィルス毎に1インサートを含むものとして、複数種類のウィルスを使用することができる。さらに、ウィルス内に挿入するための各インサート用に、1種類または複数種類のベクターがさまざまなベクター類から選択される。例えば、すべてのベクターが各インサートと機能するわけではないため、複数種類のベクターを実験して、所望のタンパク質の発現について試験してもよい。
上述したように、タンパク質の発現および精製に使用するために、さまざまなクローニングベクターおよび発現ベクターを、使用する宿主発現系に応じて用いることができる。通常、クローニングベクターおよび発現ベクターは、1種類の特異な宿主発現系(例えば、植物または細菌のみ)をトランスフェクトする、形質転換する、または感染させることしかできない。しかし、その中に含まれる核酸配列の性質により、複数種類の宿主発現系をトランスフェクト、形質転換、または感染させることのできるクローニングベクターおよび発現ベクターが存在する。当業者であれば、さまざまな宿主発現系をトランスフェクトする、形質転換する、または感染させるようにベクターを設計できることがわかるであろう。このように宿主発現系をトランスフェクトする、形質転換する、または感染させた後、そのベクターインサートの核酸配列をその宿主内に発現させることのできるベクターすべてが、本発明の範囲内であると考えられる。
上述したように、使用するベクターは、精製工程で予定されている宿主発現系に応じて選択される。例えば、植物発現系の場合には、異種タンパク質の配列を導入し発現させるために、RNAウィルスまたはDNAウィルス由来のウィルスベクターを使用することができる。RNAウィルスベクターは、発現レベルが高く宿主範囲も広いため、好適である。米国特許第5,316,931号に、植物宿主を全身的に感染させ、その植物宿主内に外来遺伝子配列を安定して転写または発現させることのできる異種サブゲノムプロモーターを有する植物ウィルスベクターが記載されている。この特許内容全体を本明細書内に引用したものとする。同様に、米国特許第5,811,653号には、タバコ植物内に遺伝子を過剰発現させることのできる、タバコウィルス群から得るRNAウィルスベクターが記載されている。この特許内容全体を本明細書内に引用したものとする。米国特許第5,977,438号には、外来遺伝子をRNAウィルスタンパク質(例えば、コートタンパク質)に融合させて、比較的大量の外来タンパク質を融合タンパク質として産生するRNAウィルスベクターが記載されている。この特許内容全体を本明細書内に引用したものとする。
好適な一実施形態を、タバコウィルス群から得るRNAウィルスベクターとすることができる。この1例は、タバコモザイクウィルス由来のGENEWAREベクターに見られる。このGENEWAREベクターにおいて、TMVレプリカーゼコード配列は、TMV移行タンパク質用コード配列の上流に位置する。TMV移行タンパク質のライゲーションされた3′末端であるcDNAのORF(読みとり枠)は、ヘキサ−ヒスチジンによるアフィニティタグのポリペプチドコード配列または他のアフィニティタグコード配列に、その3′末端または5′末端にてインフレームで結合される。このようにアフィニティタグコード配列をクローニングベクターおよび発現ベクター内に追加すると、目的のアフィニティタグタンパク質をアフィニティマトリクスに結合させた後にこれを洗浄してすべての不純物を除去することにより、複合混合物からタンパク質を精製することができる。精製後、このタンパク質およびアフィニティタグを実質的に純粋な形態として、アフィニティマトリクスから溶出させることができる。このベクターを、プロトプラストおよび接種した葉内でより高いレベルで発現するように最適化すると、このベクターは、複数の制限酵素部位を用いてcDNA挿入部位のポリリンカー領域5′内でクローン化し、発現したタンパク質を適切に停止させるための停止配列を含むことができる。例えば、タバコモザイクウィルス由来ベクターは、TMVレプリカーゼコード配列を含むことができる。この配列により、プロトプラストおよび接種した葉内における発現を実質的に増加させることができる。また、EcoRI、BamHI、SmaI、SacI、NotI、XbaI、SpeI、XhoI、SapIその他を含む制限酵素部位を、所望する核酸配列の挿入部位をフランキングする多重クローニング部位ポリリンカー配列内に含めることができる。タバコウィルスベクターだけでなく他のRNAウィルスベクターも使用可能であり、その例として、これに限定するものではないが、イネ萎縮病ウィルス、創傷腫瘍ウィルス、カブイエロー(turnip yellow)モザイクウィルス(ティモウィルス属)、イネえそウィルス、キュウリモザイクウィルス(ククモウイルス属)、オオムギ黄萎病ウィルス(ルテロウィルス属)、タバコ輪点ウィルス(ネポウィルス属)、ジャガイモXウィルス(ポテクスウィルス属)、ジャガイモYウィルス(ポティウィルス属)、タバコえそウィルス、タバコ茎えそウィルス(トブラウイルス属)、トマトブッシースタントウィルス(トンブスウイルス属)、カボチャモザイクウィルス、ブロムモザイクウィルス (ブロモウィルス)および他のRNAウィルス類が挙げられる。一本鎖RNAウィルス類内のRNAは、プラス(+)鎖またはマイナス(−)鎖のどちらでもよい。
DNAウィルスベクターを、宿主植物内における次の接種およびタンパク質発現に用いることができる。DNAウィルスベクターの例として、これに限定するものではないが、カリフラワーモザイクウィルスなどのカリモウィルス類、キャッサバ潜在ウィルス、ビーンゴールデンモザイクウィルス、シバ条線(Chloris striate)モザイクウィルス、トウモロコシすじ(maize streak)ウィルス類および他のDNAウィルス類が挙げられる。別法として、根頭癌腫病菌のプラスミドによるベクターをTi媒介による植物形質転換に用いることができる。
上述したように、ベクターは、目的タンパク質のクローン化および精製を補助するために、アフィニティタグ配列(ヘキサ−ヒスチジン、他の金属アフィニティタグ、ストレプタビジン、抗体精製用の特異なエピトープ標識、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、□−ガラクトシダーゼ、および、発現したタンパク質の単離および精製を補助することのできる他のタグ)と多重クローニング部位リンカー配列とを含むことができる。DNAまたはRNAウィルスベクターも、外来タンパク質の発現を間質液またはその培地内へと命令するために、シグナルペプチドをコードする核酸配列を含むことができる。これにより、植物宿主により間質液部分内に分泌される内因性タンパク質の量が制限されるため、精製を簡略化し、その効率を高めることができる。この1例として、キメラタンパク質の分泌を、感染した葉や他のトランスフェクトされた植物部分の間質空間内へと命令する、イネα−アミラーゼのシグナルペプチドをコード化するための配列を組み入れる、またはライゲーションすることが挙げられる。
植物の形質転換およびそれに引き続く発現および精製を目的とする植物ウィルスベクターに加えて、哺乳動物や原核生物の発現ベクターを、哺乳動物宿主や原核生物宿主への次のトランスフェクションや形質転換用に用いることができる。好適な一実施形態を、細菌宿主内でも哺乳動物宿主内でも転写およびその後の発現が可能な二重哺乳動物/大腸菌発現ベクターとすることができる。この1例が、発現ベクターMEV(哺乳動物発現ベクター)である。これは、従来の制限酵素クローニング部位(BamHI、EcoRI、SmaI、NotIなど)ならびにSapI/EarIクローニング部位を有するポリリンカー部位を含んでいる。哺乳動物CMV即時初期エンハンサープロモーターユニットが、細菌プロモーターユニットより上流に、イントロンで分離されている。シャイン−ダルガルノ/コダック配列が、発現の効率を高めるために含まれている。ヒスチジン−タグコード配列も、発現したタンパク質の単離および精製効率を高めるために含まれている。これは、SupE/F部位の存在によってのみ大腸菌内で発現する。
種々の発現系において試験することを目的に核酸インサートを同時に複数のベクター内に挿入できるように、ベクターを構築することができる。例えば、哺乳動物発現系、細菌発現系および植物発現系内で発現できるベクターに、ベクターDNAのリンカー領域内の同じ制限酵素部位を含めることができる。したがって、cDNAインサートは、MEVおよびGENEWAREベクターを始めとする複数のベクターの対応制限酵素部位内にクローン化されることになる。と同時に、所与cDNAインサートに対する全ベクターの同じフレーム配置が確実となる。
植物ウィルスベクターと同様に、他のベクターDNAへの挿入および精製を目的として、アフィニティタグ配列(ヘキサ−ヒスチジン、他の金属アフィニティタグ、ストレプタビジン、タンパク質A、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、キチン結合ドメイン(CBD)、抗体精製用の特異なエピトープ標識、および、発現したタンパク質の単離および精製を補助することのできる他のタグ)と多重クローニング部位リンカー配列とを組み入れることが望ましい場合がある。パッケージとそれに続く分泌用に発現したタンパク質を細胞外流体マトリクス内に分泌するように命令するシグナルペプチ配列を用いて、発現したタンパク質の精製を簡素化し、その効率を高めてもよい。さらに、ベクターのパッケージ機能を高める他の遺伝子配列をベクター配列内に組み入れることも可能である。この1例が、遺伝子配列をコードする顆粒球/マクロファージ-コロニー刺激因子(GM−CSF)を、抗体や他の免疫応答(例えば、ワクチン)の生成に使用可能なタンパク質用哺乳動物発現ベクターに組み入れることである。GM−CSFが抗原提示細胞(APC;樹状細胞およびマクロファージ)を補充すると同時に、幹細胞成長因子の生成を促進する。これにより、免疫修飾物質系が刺激され、哺乳動物宿主が、特異性および親和性のより高い抗体を多く生成できるようになる可能性がある。
アフィニティタグを用いて、標識目的タンパク質に結合したタンパク質複合体を単離することもできる。例えば、これまでに酵母で立証されたタンデムアフィニティ精製(TAP)タグシステム(Rigaut他著、「1999 Nature Biotechnology 17」、1030〜1032頁;Gavin他著、「2002 Nature 415」、141〜147頁)を用いてプロテオームを単離すると、目的タンパク質がそのTAPタグを含む。TAPシステムでは、目的タンパク質が、特異なTEVプロテアーゼ切断配列により分離された2種類のアフィニティタグ(例えば、タンパク質AおよびCBP)に付着する。目的タンパク質をこの酵母発現系内にて天然レベルで発現させるには、TAPタグをコードするDNAカセットを、目的タンパク質とインフレームで単相酵母細胞のゲノム内に相同組換えすることにより、インテグレートさせる。
TAPシステムは、非特異結合を削減するための2ステップ精製システムからなる。このアフィニティ精製システムは、特異なTEVプロテアーゼ切断配列の存在と組み合わせられることにより、穏やかな溶出条件を作り出して、プロテオームやタンパク質複合体を単離する可能性を高めることができる。通常、TAP精製はまず、特異なTEVプロテアーゼ切断配列により分離された2種類のアフィニティ標識用コード配列を含むTAP遺伝子カセットを、インフレームで目的遺伝子配列の端部に付着させるステップからなる。TAP遺伝子カセットを、PCRのクローニングまたは増幅、あるいは目的タンパク質を含む適したベクター内への挿入およびライゲーションにより、タンパク質コード配列の端部に付着させることができる。次に、目的のTAP標識タンパク質コード配列を宿主細胞内に挿入して発現させ、目的タンパク質に関連するタンパク質を単離し、同定する。別法として、TAP遺伝子カセットを、宿主有機体の染色体内におけるインフレームでの相同組換えにより、in vitroで目的タンパク質に付着させることもできる。次にTAP標識タンパク質コード配列をin vitroで発現させ、関連タンパク質を単離する。
関連タンパク質の単離は、2ステップによる精製工程により行われる。まず、TAP標識タンパク質に関連するタンパク質すべてを単離するために、第1のアフィニティ精製を行う。TEVプロテアーゼで切断することによりアフィニティマトリクスからの穏やかな溶出が行われて、プロテオームまたはタンパク質複合体が第1のアフィニティ精製マトリクスから溶出される。非特異タンパク質、汚染物およびTEVプロテアーゼをすべて除去するために、第2のアフィニティ精製マトリクスを使用して第2のアフィニティ精製を行う。次に、EGTA溶出により、結合された目的タンパク質から、関連タンパク質を放出させる。単離したタンパク質を、変性ゲル電気泳動を用いてさらに単離する。各タンパク質バンドは、トリプシンで消化され、マトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF MS)で解析される。このタンパク質を、NCBI SWISS−PROTまたは他の当業者には周知であるデータベースなどのデータベースでのProfound(商標)およびProtein Prospector(商標)などの周知のデータベース探索アルゴリズムにより同定し、プロテオーム内のタンパク質含有量ならびに、単離されたさまざまなプロテオーム構造間のタンパク質含有量について解析することができる。
他の哺乳動物、原核生物、昆虫、菌または酵母ベクターも、本明細書内に開示した方法および組成と組み合わせて使用することができる。その例として、これに限定するものではないが、pBluescript、pCDNA3.1、pHAT、pIRES、pGBKT7、pVPack、pCMV−tag、pDual−GC、pBk−CMV、pIB−E、pMelBac、plueBac4、5/V5−His、pYDl、pPIC9K、pYES2、pIB/V5−His、pIZT/V5−His、pIZ/V5−His、pNMTl、pPICZ、pNMTsl、pMET、pPIC3JK、pGAPZ,pA0815、ならびに、原核生物、哺乳動物、酵母、菌または昆虫細胞発現系、あるいは異種発現系による遺伝子成分の組み合わせ内における発現に必要な遺伝子成分や、上記発現系の少なくとも1つで発現するように、異なる発現系からの遺伝子成分の組み合わせを組み入れた他のベクターが挙げられる。
組換えベクターのスクリーニング
転写解析
目的タンパク質の発現をスケールアップする前に、目的配列を含むベクターを、標的に対する正確な転写について評価することができる。cDNAのクローニングベクター内への正確な挿入を、アレイ形態におけるin vitro発現系、原核生物発現系、真核生物発現系または植物転写発現系を用いて評価し、精製された転写物のサイズ解析を行うことができる。好適な一実施形態が図13に示されている。この場合、in vitro転写解析により、発現および精製に使用する可能性のあるベクター構築物をプレスクリーニングする。適したベクター内へのインサートのクローニングから予め選択したベクター構築物を、ステップS100に示す、この例では3×6アレイであるアレイフォーマット内に配置して、同時に解析することができる。このベクター構築物は、さまざまな発現系から選択することができ、その発現系の例として、昆虫発現系、植物発現系(Geneware Vector(登録商標))(GWV)および細菌発現系(大腸菌)が挙げられる。インサートDNAを1つのクローニング内にうまく挿入できなかった場合には、A1〜A6として示すクローニング試料から複数のクローンをスクリーニングすると有用となり得る。ベクター構築物に、cDNAインサートの上流に位置するT7プロモーターまたはin vitro転写が可能な他のプロモーターを含めることができる。ステップS105として示すT7in vitro転写を、細菌T7TNAポリメラーゼの添加により開始し、ステップS110にて、RNAアガロース、ポリアクリルアミドまたは他種のRNAサイズ分離ゲル電気泳動またはRNA解析システムで転写物長さを解析することができる。転写物の予想サイズにしたがって、成功した反応S115および不成功だった反応S120を記録し、許容範囲内の転写物数が50〜75%などの所定閾値を下回っていれば、各(またはプレート全体)転写反応を繰り返すことができる。許容範囲内の転写物数が上述した所定閾値を下回っている場合、そのクローンを適した宿主ベクター内に再度形質転換して、引き続きT7ベクターを増幅および再精製し、次にT7RNAポリメラーゼを用いて転写することができる。
他の転写システムも、各クローン化されたcDNAベクトル内の成功した転写生成物の評価に使用可能である。そのシステム例として、SP6転写、T3RNAポリメラーゼ、または他のあらゆる転写システムが挙げられる。いずれのシステムの場合も、RNAポリメラーゼによる認識のために、適したプロモーター(それぞれのシステムに対してSP6およびT3プロモーター)が必要である。RNAポリメラーゼの添加および転写後、その転写物について、ポリアクリルアミド、アガロースまたのゲルによる電気泳動で、適切なサイズの転写物が含まれているかどうかを解析できる。
発現解析
目的配列をベクター内に正確に挿入したことを確認したら、タンパク質発現について評価して、タンパク質発現に対する最適なベクターおよび条件を判別することができる。別法として、ベクター構築物をタンパク質発現について直接試験して、転写やRNA解析すべてを省略することも可能である。いずれの形態においても、小規模でのタンパク質発現評価をスクリーニング方法体系として用いて、上述したタンパク質精製方法体系と併用するための最適なタンパク質発現系を決定できる。
タンパク質発現の評価を、植物、細菌、酵母、菌、昆虫および哺乳動物発現系などのさまざまな発現系内で行うことができる。好適な発現系は、目的タンパク質の発現に植物発現系を使用することである。しかし、上述したように、タンパク質によっては植物発現系内でうまく発現しない、または全く発現しない種類もある。他の発現系も、その宿主発現系の培養および増幅に利用可能な設備の種類に応じて、発現用に好都合な系となり得る。ベクターおよびインサートの試験を目的とする別の実施形態として、細菌、菌、酵菌、昆虫および哺乳動物発現系が挙げられる。
植物内のタンパク質発現はさまざまな方法で評価可能である。本発明による好適な一実施形態は、図14に示すように、ステップS130に示すプロトプラスト培養内およびステップS125に示す無傷な植物内双方におけるタンパク質発現を評価することである。ステップS125に示す無傷な植物に、目的のタンパク質配列(例えば、GWV=Geneware Vector(登録商標))を発現させた、適したウィルスベクターを感染させることができる。好ましくは、若い葉や茎に、目的配列を含んでタンパク質の外殻で包囲されたウィルスベクターを感染させる。ステップS135に示すように、ウィルスベクターを、エレクトロポーレーション、ボンバードメント(例えば、組換えウィルスベクターをコーティングした極微なチタンまたは金の顆粒を高速で細胞内に打ち込む)、または、目的のタンパク質配列を発現させる異種核酸を無傷な植物細胞内に導入する他の方法で、植物宿主内に挿入することができる。植物ベクターは、17〜28日齢(好ましくは21日齢)の1〜3本という少数の有機体内に挿入すればよい。図1のS2に示すように、ウィルスに感染した植物を、10〜16日(ただしより好ましくは12日)などの所定時間成長させる。成長した植物を採取して、感染した葉や茎を、磨り潰すと同時にホモジェネートを抽出するようにツインローラ式ドラムなどで磨り潰して、または、その植物材料を細かく磨り潰す他のいずれかの方法により処理する。こうして得られる抽出物が緑液汁であり、これをさらに処理して、発現したタンパク質を精製する。例えば、この緑液汁を、25mMのトリスpH8.0、500mMのNaCl、2mMのPMSF、および4%(w/v)PEGに調節された7mMの8−メルカプトエタノール緩衝液と1:2の比率で組み合わせ、1時間半4℃で放置した後、遠心処理を行うと、不純物を除いた緑液汁を得ることができる。この緑液汁を、Ni−NTAビードのスラリ20μlを入れた96ウェルMBPP(メルトブローンポリプロピレン)フィルタプレートに添加する。この緑液汁およびNi−NTAビードを1時間室温にてインキュベートした後、1000×Gにて5分間スピンして緑液汁をウェルから取り出す。Ni−NTAビードを洗浄して、非特異的に結合している緑液汁タンパク質を除去する。目的のアフィニティ標識タンパク質を、イミダゾールまたはEDTAインキュベーションによりビードから溶出させる。溶出したタンパク質を第2の96ウェルプレート内でスピンし、SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動)で、タンパク質の存在について検査する。当業者であればわかるように、緑液汁タンパク質の精製はさまざまな工程で行うことができ、その例として、譲受人と同じとするGargerらに付与された米国特許第6,037,456号に記載の工程;カリフォルニア州ValenciaのQiagenにより2001年3月に発行されたThe QIAexpressionist(登録商標) A Handbook for High−Level Expression and Purification of 6×His−tagged Proteins」に記載の工程が挙げられる。この初期試験ではわずかな量の発現タンパク質を産生することができ、その量を、μgまたはこれより小さな単位で測定可能とすることができる。
S130(図14)に示すタンパク質の発現には、無傷な植物に感染させるのではなく、植物細胞培養すなわちプロトプラストを植物ベクターでトランスフェクトするほうが望ましい場合がある。植物細胞培養アッセイ用に、標準分子生物プロトコルにしたがってプロトプラストを準備する。プロトプラストは、広範なソースに由来したものでよく、その例として、葉、葯、シュート、根尖、または他の利用可能な植物組織が挙げられる。好適な実施形態は、ニコチアナ・タバカムから得る葉材料の消化物である。他の植物も適したものであれば使用可能であり、それは、核酸の増殖やタンパク質の発現用に選択されたベクターの種類に応じて異なる。その例として、ジャガイモ、シロイヌナズナ、他の被子植物または維管束植物、ならびに苔類やゼニゴケ類を含む多種植物が挙げられる。単一細胞プロトプラストによる懸濁は、まず葉などの外植体組織を収集し、次亜塩素酸ナトリウムに暴露するなどの標準技術を用いてその組織表面を消毒する。次に、その外植体を酵素の適切なカクテルで消化して、単一細胞懸濁を得る。好適な実施形態では、ペクチナーゼ(Macerozyme R10、Pectolyase Y23、Rhozyme HP150および他のペクチナーゼ)およびセルラーゼ(Cellulase、Cellulysin、Driselaseおよび他のセルラーゼ)を使用することができる。ただし、各植物細胞を包囲している間質組織を消化する他の酵素カクテルも使用可能である。
酵素消化を行った後、プロトプラスト懸濁をマイクロタイタプレート(この例では2×3マイクロタイタプレートアレイであるが、他のマイクロタイタプレートも使用可能)内に当分し、洗浄してから適切な媒体で培養する。好ましくは、これを2枚で行う。好適な実施形態に、市販されている基本のMurashige and Skoog培地を使用することができるが、プロトプラストのin vitroにおける維持に必要なマクロおよびミクロ成分、可溶性炭素源、窒素ビタミン類および他の成長因子の平衡混合物を提供する他の媒体調製物も使用可能である。数多くの異なる組み合わせおよび範囲の媒体成分をプロトプラストの拡大にうまく使用できることは当業者には周知のことである。
プロトプラストの懸濁および適した媒体内におけるインキュベーションを行った後、プロトプラスト細胞に、さまざまな方法でDNAまたはRNAをトランスフェクトすることができる。好ましくは、目的遺伝子をGENEWARE(登録商標)ベクター内に組み入れ、パッケージまたはタンパク質の外殻で包囲し、その包囲したウィルスをプロトプラストに感染させる。これにより、プロトプラストは適したベクターによりトランジエントにトランスフェクトされ、in vitroにて誘導されて、所望のタンパク質を発現する。外来遺伝子の植物細胞内への導入および発現には、直接的なDNAマイクロインジェクション、エレクトロポーレーション、リポゾーム担体、微粒子ボンバード(バイオリスティクス)、炭化ケイ素繊維、または他の方法も使用可能である。
別法として、アグロバクテリウム・ツメファシエンスが媒介するTi移入を、クローン化DNAの外来遺伝子の植物細胞内への導入および発現に使用することができる。例えば、クローン化DNAを、アグロバクテリウムが取り上げた適したベクター内に挿入することができる。挿入後、プロトプラストまたは無傷な植物を、DNAを含むアグロバクテリウムの存在下でインキュベートする。アグロバクテリウムは、Ti遺伝子の存在を通じて、形質転換および組込みをインサートDNAの植物細胞宿主内へ仲介する。引き続き、目的DNAを同時にトランスフェクトされた誘導性プロモーターの制御下にてタンパク質発現を誘導することができる。または、植物宿主下での発現を引き続き規制する天然プロモーターを、トランスフェクトすることができる。こうした天然プロモーターには、高レベルにて外来遺伝子を発現させるように改変することのできる、構成的に活性なプロモーターを含めることができる。
プロトプラストを、細胞内または分泌経路がタンパク質発現に使用されているかどうかを判別するための初期スクリーニングツールとして使用することも可能である。マイクロウェル培養プレートをまず遠心処理してプロトプラスト細胞を細胞培地から分離する。その培地を、プロトプラスト細胞溶解物と共に並行に精製するため、吸引して収集する。プロトプラスト細胞溶解物も培地も、ならびに無傷な植物によるホモジェネート懸濁も、Ni−NTAビードやNiキレートディスク(Pierce製Swell−Gel)などの金属結合マトリクスを含む96ウェルフィルタプレートの別々のウェルに添加する。分画間の流動物を廃棄し、金属結合マトリクス(Niアガロースなど)を40mM イミダゾール/0.5MNaCl/リン酸緩衝液(pH7.9)で洗浄する。次に、結合されているタンパク質を、1Mイミダゾール/0.5MNaCl/リン酸緩衝液(pH7.9)で溶出し、1Dまたは2Dポリアクリルアミドゲル上で解析する(図14のステップS140)。適したサイズの標的タンパク質が産生されていれば、その標的バンドを解析して、その発現レベルを定量する。プロトプラストサンプルに対する標的タンパク質はまた、どのサンプル単離体がHis標識タンパク質を含んでいるかに応じて、分泌された経路または細胞内タンパク質経路について注目される。
標的バンドを、1Dゲルでの同定によるだけでなく、1Dポリアクリルアミドゲルから切り出して、トリプシンMALDI−TOF(マトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析装置)で解析することができる。この装置は、cDNAのベクター(正確な読みとり枠)内への正確な挿入を確実にし、正確なタンパク質発現を確認できるものである。まずタンパク質をポリアクリルアミドゲルから溶出し、そのタンパク質をトリプシンで消化し、その断片を精製した後、凍結乾燥し、適した溶剤内で可溶化することにより、トリプシンMALDIを実施することができる。その後そのサンプルを、MALDI−TOF質量分析装置または他のイオン脱離方法を用いて解析し、順次ペプチド切断および質量測定を行う。別の実施形態として、標的バンドを1Dポリアクリルアミドゲルから切り出す、またはニトロセルロースやPVDFの膜に移入させてその膜から溶出することができる。次に、単離したタンパク質を、標準タンパク質配列技術(例えば、エドマン分解法、または他のタンパク質配列方法)を用いて配列させることができる。さらに、単離したタンパク質にトリプシン消化を行った後、標準タンパク質配列技術を適用することができる(例えば、エドマン分解法、または他のタンパク質配列方法)。
1DポリアクリルアミドゲルおよびMALDI−TOF MS上の解析を行った後、発現したタンパク質が正しいタンパク質である確率を、標準データベース解析を用いて算出することができる。
図13について上述したのと同様に、図14に示すように、ステップS140における解析を、ステップS145では、発現したタンパク質に関する合格の判定に、ステップS150ではその不合格の判定に用いる。
ベクターおよびそのインサートを、細菌、菌、酵母、昆虫および哺乳動物発現系を用いて評価することもできる。例えば、トランスフェクトしたプロトプラスト培養や感染植物からタンパク質が発現しなかった場合、対応するMEVcDNAを大腸菌内の発現について解析して、植物やプロトプラスト内へのDNAトランスフェクションエラーがタンパク質の発現しなかった原因ではないことを確認することができる。別法として、細菌発現系、菌発現系、酵母発現系、昆虫発現系を植物発現系と並行して試験して、タンパク質の発現および精製に最適な発現系を決定してもよい。
cDNAベクターから外来タンパク質を原核生物宿主内に発現させるための、当業者には周知の方法が数多くある。好適な実施形態として、cDNAまたはゲノムDNAインサートを含むMEVベクターを用いる、NovaBlue DE3などの大腸菌の適した宿主株の96ウェルフォーマット内での形質転換が挙げられる。この転換体を、使用するベクターに応じて選択した抗体を含む固体培地上に配置し、96ディープウェルブロック内にて37℃にて一晩増殖させることができる。増殖させた大腸菌培養を、イソチオプロピル・ガラクトシド(IPTG)を含む新鮮培地内に希釈し、そのベクター内の□−ガラクトシダーゼプロモーターを通じてタンパク質の発現を誘導する。別法として、大腸菌の他の株または適した原核生物宿主株を、ベクターDNAおよびそのインサート、ならびに、温度依存発現または他の誘導性発現系などの代替誘導性プロモーター系を含む他のベクターの増殖に使用することができる。
規定時間による対数増殖の後、2マイクロリットルの培養を8×12グリッドのニトロセルロース膜上にスポットし、標的タンパク質またはタグに対する抗体を用いて、ウェスタンブロットを行うことができる。別法として、発現したタンパク質とそこに付着したヘキサ−ヒスチジンタグとを、上述した96ウェルフィルタプレートのSwell−Gel Niキレートディスクマトリクス上に単離して精製することもできる。溶出したタンパク質を、1Dポリアクリルアミドゲル上で解析して、適したサイズの発現であったかどうかを判別することができる。また、トリプシンMALDI−TOFを、切り出したタンパク質バンドに実施して、さらに同定することができる。
タンパク質発現のスケールアップ
タンパク質の評価およびスクリーニングを行った後、タンパク質の発現および精製をスケールアップすることができる。図1のS3に示すように、タンパク質の評価には、所望のタンパク質が発現したことの確認、植物当たりに得られた植物量、および標的タンパク質の発現レベルが含まれる。次に、図1のS4に示すように、得られた植物量および標的タンパク質発現レベルを用いて、所望量の標的タンパク質の産生に必要な有機体(すなわちタバコ植物)の数を算出する。図1のS4に示すように、所望量の標的タンパク質の産生に必要な数の有機体(すなわちタバコ植物)が植えられ、この有機体に、その中で発現させたいトランスジェニックウィルスおよびタンパク質を感染させる。ステップS1〜ステップ4に類似した一連のステップを、哺乳動物系、酵母系、昆虫系または細菌系タンパク質産生系の使用に適用できることを理解されたい。
図1においてS6およびS7として示すステップについて、図3および図4を参照しながら詳しく説明する。図3のS10に示すように、複数種類のタンパク質が、GENEWAREX(登録商標)発現系などの被選択発現系内に発現できるようになっている。
タバコ植物を採取し、ワーリングブレンダーや市販のジューサーなどの内部にて分解することにより、図3のS11として示すように、所望の1種類または複数種類のタンパク質をその葉の細胞から緑液汁として放出させる。通常、抽出緩衝液に対する生物量の比は1:2であり、その緩衝液を、抽出前に植物材料内に真空浸潤させることができる。一般的抽出組成物は、25mMのトリスpH8.0、500mMのNaCl、2mMのPMSF、および7mMの8−メルカプトエタノールであり、これに1%(w/v)以下のTween−20と5%(w/v)以下のアスコルビン酸ナトリウムとを含有させてもよい。次に、図3のS12として示すように、緑液汁を、NaCl内に通常通常4%(w/v)で含まれるポリエチレングリコール(PEG)(濃度は300mM〜2M)などの洗浄剤で処理する。しかし、ポリビニルピロリドン(PVPP)などの洗浄剤を単独でまたはPEGと組み合わせて使用してもよいことを理解されたい。PEGは、本願発明者らにより、より多くのかなりのクロロフィル含有タンパク質および膜複合体を除去して、クロマトグラフィカラムへの装填を可能にするほど緑液汁を十分に透明としつつ、より小さなサイズのタンパク質(および目的タンパク質)を緑液汁内に懸濁させておく洗浄剤であることがわかっている。具体的に言えば、PEGを水溶液である緑液汁に添加すると、より多くのタンパク質が相互作用するため、その凝集体が遠心処理または濾過により溶液から排出されやすくなる。
洗浄剤で処理した緑液汁を、少なくとも2通りある方法の一方で処理することができる。第1の方法は、図3のS13に示すように、PEGで処理した緑液汁に濾過処理を施すことである。この処理には、緑液汁にパーライト(火山岩)などの濾過補助剤を混合して、その最終濃度を1%(w/v)〜10%(w/v)、好ましくは、4%(w/v)とする。次に、緑液汁を、平均孔サイズが1.2ミクロンであり、パーライトでコーティングしたガラス繊維フィルタ内に通過させる。緑液汁は浄化されて通過するが、パーライトおよびより大きなタンパク質凝集体はフィルタ内に留まる。次に、浄化された緑液汁に、図3のS15として示すステップを施すことができる。ただし、図3のS15として示すステップは任意であり、必須ではないことを理解されたい。
もう1つの方法は、ステップS12の後、PEGで処理した緑液汁に、3700Gの力でおよそ20分間遠心処理を施して、図3のS14として示すように、より大きなタンパク質凝集体を、浄化した緑液汁から分離する。ミラクロスを通過する濾過により、うまく細かくならない破壊片が引き続き除去される。このように、クロマトグラフィに適した緑液汁を生成するだけでなく、どちらの浄化方法によっても、感染性ウィルス力価が同様に低下することがわかる。
必要に応じて、浄化した緑液汁に、図3のS15として示す冷凍解凍処理を施す。具体的に言えば浄化した緑液汁を、ステップS13またはステップS14で冷凍および解凍した後、図3のステップS16に示すように、再遠心処理を施す。冷凍解凍処理により、澱粉状材料および別の汚染性植物タンパク質を沈殿させ、さらに遠心処理または濾過処理を施すことにより、これを浄化した緑液汁から分離する。このステップS15は、濾過または遠心処理後の緑液汁の透明度に応じて任意に行われるものであり、下流の精製ステップを補助するものではあるが、本発明に必須のステップではない。
次に、異なるタンパク質を含む複数種類のサンプルを同時に精製できるように、浄化した緑液汁の量を正規化する。正規化にあたり、尿素またはグリセロールを添加して、サンプルを所定の濃度および/またはpH調節値にすることができる。例えば、尿素の濃度を50mM〜4Mにし、グリセロールの濃度を5%(w/v)〜50%(w/v)にして、NaOH(水酸化ナトリウム)またはリン酸ナトリウムあるいはトリス緩衝液を用いて、pHを7.2〜7.3から7.5〜8.0へと上昇させることができる。正規化する間はpHの調節のみ実施できることを理解されたい。さまざまな量の尿素およびグリコールは、所望する目的タンパク質の特徴および性能に応じて、含有させてもさせなくてもよい。
浄化され正規化された緑液汁を、図4のステップS17に示すように、図5〜図11を参照しながら以下に説明する装置などの精製装置内に投入する。
ここで、図4に示した本発明の方法に関する説明を、図5〜図11に示す装置の説明と突き合わせる。
図5に示すように、本発明の精製装置は、本発明の精製装置は、図4の工程系統図のステップS17に示すように、浄化した緑液汁および緩衝液をまず充填する給送リザーバ5を含む。精製工程中、この給送リザーバ5は、水と氷の混合物などの冷却材で充填されたこれより大きな容器10内に浸漬されている。これにより給送リザーバ5および浄化した緑液汁を10℃未満、好ましくは約4℃、より好ましくは0℃近く、ただし緑液汁の凍結点よりは高い温度に維持する。酸化およびプロテアーゼ活性を最小限に抑えるため、浄化した緑液汁をほぼ低温に維持することが望ましい。浄化した緑液汁の温度を凍結点より高く、ただし10℃未満に維持するため、水および氷などのあらゆる冷却剤を容器10内で使用可能であることを理解されたい。別法として、冷蔵機構を用いて、容器5の周囲を低温に維持することも可能である。図示していないが、給送リザーバ5、これより大きな容器10、および流動貫通収集リザーバ70(以下で説明)をロボット式流体ハンドラ内に配置して、流体類をより自動化された方法で操作してもよい。こうした流体ハンドラとして、さまざまなロボット式流体取り扱い装置のいずれも使用可能であるが、例として、ロボット式サンプルプロセッサであるGenesis RSP、モジュラ自動ワークステーションであるGenesis Freedom、または自動ワークステーションであるGenesis Workstationなどのモデルを含むスイス、ZurichのTECANにより製造販売されている装置が挙げられる。
給送リザーバ5はチューブ15に接続され、このチューブ15は第1のバルブ20に接続される。第1のバルブ20はチューブ25に接続され、このチューブ15はさらに、ポンプ30に接続される。ポンプ30はさまざまなポンプのいずれでもよいが、好ましくは、浄化した緑液汁を本発明の精製装置内をほぼ低速で貫通させる低速ポンプとする。例えば、ポンプ30を、流動速度範囲を0.01〜44.4mL/分とするISMATEC(登録商標)製速度可変ポンプ蠕動ポンプとすることができる。このポンプはまた、それぞれを専用精製装置内に入れる、図7を参照しながら以下で説明する方法で、複数種類のタンパク質を同時に精製できる多チャネル式ポンプである。
このポンプ30を第2のバルブ40に接続する。第2のバルブはチューブ45に接続され、このチューブはカラム50に接続される。カラム50は、第3のバルブ60に接続される配管55に接続される。第3のバルブ60は、チューブ65に接続され、このチューブは流動貫通収集リザーバ70に接続される。以下の説明から、給送リザーバ5に充填された緑液汁が、ポンプ30の注入動作を介して、給送リザーバ5からそれぞれのチューブ15、25、35、45、55および65を通過し、カラム50およびバルブ20、40および60を通過して収集リザーバ70内に収容されることを理解されたい。
カラム50には、材料を中に保持しつつ流体流を貫通させることにより、流動する流体と保持している材料とを接触させて、これらの間に相互作用を起こすことのできる多孔質フリットが具備されている。本発明の精製装置において、カラム50内のこの材料は、例えば、Qiagen(商標)として市販されている例などのアフィニティ樹脂、またはこれと同様の、所望の目的タンパク質を一時的に保持するための材料である。浄化した緑液汁をカラム50内に流動させると、目的タンパク質がこのアフィニティ樹脂に付着して保持される。
バルブ20、40および60はそれぞれ、チューブ75、80および85に接続され、さまざまな目的で精製装置内に具備される。精製モードにおいて、バルブ20は、流体をチューブ15からチューブ25まで連通(流体流動)させるように設定される。バルブ20を、洗浄、精製した目的タンパク質の除去(これについては以下で説明する)、またはポンプ30およびシステムの平衡化の準備などを目的として、流体をチューブ75からチューブ25まで流動させるように設定することも可能である。バルブ20を、流体をチューブ15からチューブ75まで流動させるように設定することも可能である。
精製モードにおいて、バルブ40は、流体をチューブ35からチューブ45まで連通させるように設定される。ただし、バルブ40を、ポンプ30の洗浄または準備を目的として、流体をチューブ35からチューブ80まで流動させるように設定することも可能である。あるいは、バルブ40を、カラム50の洗浄または精製した目的タンパク質の除去を目的として、流体をチューブ80からチューブ45まで流動させるように設定することも可能である。
精製モードにおいて、バルブ60は通常、流体をチューブ55からチューブ65まで連通させるように設定される。バルブ60を、カラム50の洗浄またはカラム50内で精製した目的タンパク質の除去を目的として、流体をチューブ55からチューブ85まで流動させるように設定することも可能である。バルブ60を、流体をチューブ85からチューブ65まで流動させるように設定して、チューブ65のフラッシュおよび洗浄を可能にすることもできる。
バルブ40は任意の構成要素であり、別法として、装置の用途に応じて、図5に示す装置から省くこともできることを理解されたい。
このシステムを配置する環境によって、システムの始動準備が必要となり得る。具体的に言えば、バルブ20および85を操作することにより、流体を容器100からライン15、ライン25、ポンプ30、ライン35、ライン45およびライン55に導入することができる。通常、このシステムの準備は、カラム50を取り出した状態で、ライン45および55を直接相互接続することにより行われる。この準備が終了したら、図5に示すように、着脱式カラム50をライン45とライン55との間に再び挿入する。この準備工程において、チューブ15を準備流体で充填する。準備の段階ではリザーバ5に緑液汁は入っておらず、準備が完了したら自動流体ハンドラを介してリザーバ5内に緑液汁を注入できることを理解されたい。ライン45および55に特殊連結部(図示せず)を具備してもよい。これにより、準備工程時のカラム50の着脱が容易となる。
この精製システムの操作にあたり、浄化した緑液汁を液汁容器5内に投入する。投入後、ポンプ30を作動して、浄化した緑液汁を液汁容器5から引き出し、チューブ15、バルブ20、当然ながらポンプ30、チューブ35、チューブ45、およびバルブ40を通過させ、カラム50内へと流入させる。カラム50では、浄化した緑液汁がカラム50内に配置されている材料と相互作用し、理想的には、すべての目的タンパク質がカラム50内に保持され、残りの緑液汁部分がカラム50から基本的に廃棄物として流出する。この廃棄液汁はチューブ55、チューブ65およびバルブ85を通過して、収集リザーバ70内 に流入する。
図4に戻ると、図4のS18に「カラムの平衡化」として示すように、精製前に、精製モード開始前のアフィニティ樹脂およびカラム50の条件を整えなければならない。カラム50を平衡化するために、図8に示すように、容器5内の緑液汁および緩衝液の性質を刺激する平衡化溶液を容器100内に投入する。例えば、平衡化溶液のpHを通常、浄化した緑液汁および緩衝液と等しくし、尿素、PEGおよび/またはグリセロールを、緑液汁および緩衝液に含有されていれば同じ濃度で平衡化溶液に含有させる。この平衡化溶液を、図8に示すように、容器100からカラム50を通過させ、配管85を介して廃棄する。
その後、バルブ20および60を精製モードに設定して、図9および図4のS19に示すように、浄化した緑液汁および緩衝液混合物を容器5からカラム50を介して収集リザーバ70へ注入する。上述したように、アフィニティ樹脂が、タンパク質内のタグとの相互作用により、目的タンパク質を捕捉する。ポンプ30により、カラム5つまりアフィニティ樹脂内の滞留時間が30秒〜5分となるように、浄化した緑液汁および緩衝液混合物を所定速度でカラム50内を通過させる。ただし好ましくは、緑液汁のカラム内滞留時間がおよそ1分となる一定速度で、緑液汁および緩衝液混合物をポンプ30で注入する。
混合物全体がカラム50を通過した後、図4のステップS20に示すように、汚染物を洗い流し、特定の緩衝液成分、例えばPEGおよび尿素を除去しなければならない。図10に示すように、汚染物は、プロポーショニングバルブ115を介した、容器105および容器110内に保管されている2種類の溶液の少なくとも一方で、カラム50から洗い出される。例えば、多種タンパク質に対して、低濃度の拮抗阻害剤イミダゾール(10〜90mM)を含む容器110内の緩衝液を用いて、汚染されたタンパク質とアフィニティ樹脂との相互作用を削減することができる。別法として、容器110内の溶液に当初、浄化した緑液汁と同様の濃度で尿素、グリセロールおよび/またはPEGを含有させる。これをカラム50内に通過させ、その流動量を、容器105からの流動量を直線的に増加させるにつれて、漸次直線的に低下させる。リザーバ105内の緩衝液は、異なる濃度、尿素、グリセロールおよび/またはPEGを含有しており、その濃度は通常ゼロである。したがって、不要な成分の濃度はこの工程中に漸次低下する。カラム50内の状態が急激に変化すると保持されている標識タンパク質に悪影響を及ぼすことがあるが、これにより、カラム50内の状態を急速に変化させずにすむ。図10に示すように、洗い出された成分は、配管85を介して排出される。
次に、図4のステップS21に示すように、カラム50を溶出して、目的タンパク質を取り出し、図11に示すようにリザーバ内へ給送する。通常、100〜200mMのイミダゾールやEDTAを含む燐酸緩衝生理食塩水などの所定の溶出液が、図5および図11に示すリザーバ127内に供給される。図11に示すように、リザーバ127内の溶液を、バルブ90および20を介してカラム50から給送して、捕捉されている目的タンパク質をカラム50内のアフィニティ材料から放出させ、これをリザーバ118内に捕捉する。
別法として、カラム50からの溶出前に、洗浄した後に復元緩衝液(例えば、燐酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、または復元に用いられる他の緩衝液)をリニアグラジエントで導入することにより、目的タンパク質をカラムマトリクス上でin situにリフォールドしてもよい。例えば、数多くのヒスチジン標識タンパク質が変性条件下で精製されると、そのヒスチジンタグがカルボキシ末端かアミノ末端にて露出されるため、金属アフィニティマトリクス上に含まれる結合基とのこのタグの結合量が増加する。ヒスチジン標識タンパク質は引き続き、カラム内を通過する緩衝液のpHを低下させることにより、または高濃度のイミダゾールまたはEDTAを導入することにより、変性された状態で金属アフィニティマトリクスから溶出される。溶出されたタンパク質は、濃度がより高い場合に特に、溶液から落下する、または沈降する場合がある。これは、溶出されたタンパク質の変性状態を原因として暴露された疎水基間における分子間相互作用によるものと考えられる。タンパク質が再溶解できない場合、タンパク質の収穫量全体は少なくなる。しかし、洗浄後に復元緩衝液をリニアグラジエントで導入することにより、タンパク質は、アフィニティマトリクスに結合しながらリフォールドできる可能性がある。リフォールドしている間、先に露出されていた疎水基は遮蔽されるため、分子間の疎水性相互作用およびタンパク質の沈降を避けることができる。
タンパク質のリフォールドを誘導するようにグラジエントを用いることが重要である。本願が請求する方法は、本願による機構の理解に応じてその実施に変化のあるものではないが、復元緩衝液を漸次導入することにより、タンパク質をアフィニティマトリクスに結合させつつタンパク質の適切なフォールディングを補助して、結合したタンパク質に、複雑な三次構造または四次構造に適切にリフォールドする時間を与えられると考えられる。目的タンパク質をカラム上でリフォールドさせた後、溶出緩衝液を導入して、そのタンパク質をカラムから溶出することができる。
目的タンパク質をin situでリフォールドさせつつ、アフィニティマトリクスに結合させたい場合、リニアグラジエントメーカーを使用することができる。リニアグラジエントメーカーを使用すると、復元緩衝液を一定量または一定時間にわたり漸次導入することができる。リニアグラジエントメーカーに少なくとも1つのポンプまたはプロポーショニングバルブを具備して、図5および図10に示すリザーバ105および110などの、開始用緩衝液および最終緩衝液を含む2つのリザーバからその液を抜き出すことができる。例えば、第1のリザーバに変性緩衝液を、第2のリザーバに復元緩衝液を含めることができる。第1のリザーバと第2のリザーバとの間に位置する調節バルブまたはプロポーショニングバルブ115が、この2種類の緩衝液の流入量を調節して、第2のリザーバから第1のリザーバへ流動するカラムランニング緩衝液の組成を変更する。カラムランニング緩衝液の組成は、ランニング当初は主に変性緩衝液からなる。この緩衝液組成は、第2のリザーバから第1のリザーバへの復元緩衝液の導入に伴って漸次変化し、最終的にカラムランニング緩衝液は復元緩衝液のみを含んで、タンパク質を徐々にリフォールドさせる。別法として、混合チャンバ(図示せず)を使用できる。この場合、第1のリザーバおよび第2のリザーバ内の溶液は、その混合チャンバ内に注入されてからカラムを通過する。上記と同様に、第1のリザーバと第2のリザーバとの相対比率は変化し、ランニング緩衝液の組成は、ランニング開始時は主に変性緩衝液からなり、ランニング終了時には主に復元緩衝液からなる。タンパク質のフォールディング時に、溶出緩衝液を通過させて、その標識タンパク質をアフィニティマトリクスから除去することができる。
リニアグラジエントではなく段階的に、復元緩衝液の漸次導入を行うことができる。例えば、塩または尿素濃度を下げた緩衝液を段階的にカラムに流動させることができる。当業者であれば、復元緩衝液を漸次導入して、変性された目的タンパク質のリフォールドをアフィニティマトリクスにてin situで実施するためにさまざまな方法があることは明白であろう。
タンパク質には、互いから分離しにくい種類がある。したがって、図6に示す代替実施形態では、別法として、図5に示した装置に犠牲カラム46を追加することができる。具体的に言えば、図6において、犠牲カラム46をチューブ45に接続して、チューブ45から流出する液汁すべてがカラム46内に流入するようにチューブ45と流体連通状態とする。カラム46をさらにチューブ47に接続して、この間を流体連通にする。チューブ47はバルブ48に、バルブ48はチューブ49に、チューブ49は上述したカラム50にそれぞれ接続される。これ以外の、図6に示すシステムの構成要素はすべて、図5に示した実施形態の構成要素と同じである。
バルブ48はチューブ90にも接続される。精製モードにおいて、バルブ48は、チューブ47からの液汁をチューブ49に方向付け、カラム50内に流動させる。ただし、バルブ48を、チューブ47とチューブ90との間を流体連通させるように設定することも可能である。さらに、バルブ48を、以下で説明するように洗浄、フラッシュまたは精製したタンパク質の除去を目的として、チューブ90とチューブ49との間を流体連通させるように設定することも可能である。
また、図9に示すように、緑液汁がカラム50を複数回通過できるように、この装置に循環バルブ200を設けてもよい。
図12に示すように、図5〜図11に示す本発明による装置の各実施形態を自動制御するために、コンピュータを設ける。具体的に言えば、このコンピュータを装置のポンプおよびさまざまなバルブに接続する。図5および図8〜図11に示したシステムの操作に関する上記説明が、図6の装置および図7の装置にも適用可能であることを理解されたい。
図7の装置は、複数の流動チャネルが別個に設けられて専用のカラム50を有したシステムを示している。カラム50はそれぞれ並行に動作して、複数種類のタンパク質を同時に精製する。具体的に言えば、ポンプ30のそれぞれに連結された単一蠕動ポンプモータMにより、複数の流動チャネルの注入動作が得られるため、緑液汁を複数のカラム内に同時に流動させることができる。また、給送リザーバ5それぞれが、単一アイスバス内に浸されている。蠕動ポンプモータの操作により所望のカラム滞留時間が得られる。これにより、上述したように、緑液汁がカラム50内を一定速度で流動することにより緑液汁から目的タンパク質を高い信頼性で捕捉できる。流動速度が遅いため、許容範囲の目的タンパク質の精製を得るにはかなりの時間がかかる可能性がある。図5に示した装置の流動チャネルのように流動チャネルが1つのみであれば、複数種類のタンパク質精製には膨大な時間がかかる。したがって、単一装置内に複数の流動チャネルを平行に設けることにより、複数種類のタンパク質を同時に抽出することができ、タンパク質精製工程に大きな利点となる。
図12に示すコンピュータは、ポンプ30のモータMに、または別法として単一ポンプ30、バルブ20、40、60、90および115に接続される。このコンピュータをさらに、温度センサTおよび圧力センサ(図示せず)に接続して、多チャンバシステムを制御させることができる。あるいは、圧力センサを、カラム50の下流および上流にて装置上に設けて、これらの間の流体流動を制御させることも可能である。さらに、図6および図9に示す代替実施形態では、バルブ44、48および200にコンピュータを接続して、これらの制御を行うこともできる。
図12に示すコンピュータは、図1のブロック線図に示すLIMS(実験室情報管理システム)の一部であり、LAN(ローカルエリアネットワーク)により図2に示すサーバに接続されている。図1に示すように、LIMSは、本発明による工程の統合部分であり、遺伝子配列、タンパク質の発現に使用するDNA配列、発現したタンパク質、各タンパク質の生成量、こうしたタンパク質の生成に使用する発現系、プレスクリーニング工程に関連する全データ、探索したデータベース情報の相関関係、および目的タンパク質を産生および精製するために実行されるさまざまなステップなどの生物学的材料すべてについて追跡するためのソフトウェアを含んでいる。LIMSは、図2に示すコンピュータシステムおよび図12に示すコンピュータを含み、図12に示したコンピュータはさらに、このコンピュータで、さまざまなバルブ20、40、60、90および115と任意のバルブ44、48および200を制御して、上述したように目的タンパク質を単離および溶出させられるようにするプログラミングを含んでいる。
本発明によれば、コストパフォーマンスおよび効率がともに良い方法で、ミリグラム単位のタンパク質を大量に精製することができる。他の方法および装置を用いれば、極めて大量(100g〜Kg単位)または極めて少量(μg単位)の精製が可能であることから、本発明による方法および装置は1つの要望を満たすものである。
実施例1:抗体生成を目的とする複数種類のタンパク質の発現および精製
発現が肺または脳に限定されている標識に重点をおいたタンパク質のサブセットを、並行して行われるGENEWARE(登録商標)系の発現およびそれに引き続く精製用に選択した。ヒトタンパク質指数(HPI)およびスイススポットなどのタンパク質データベースを、企業内および市販されている遺伝子コレクションからの全長クローンの利用可能性に基づいて選択される、可能性のあるタンパク質およびサブセットについて調べた。各全長クローンに1つの配列IDを割り振り、そのDNA配列および得られたタンパク質を、ベクター生成から確認まで(図1)、実験室情報管理システム(LIMS)内で追跡できるようにした。DNA配列に相補的なプライマーを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、各標的の読みとり枠を、増幅させてから精製して、適切なGENEWARE(登録商標)発現ベクター内にライゲーションした。このベクターを、ヒスチジンタグ配列を含むように改変し、これにより、発現したタンパク質がN末端にタグを持つようした。得られたベクターをスクリーニングして、挿入の完全性および配位を確認した。成功したクローン事象をタンパク質の発現について評価し、失敗した事象を、クローン化ワークフローに再導入した。
スクリーニングに関して、21日齢のタバコ植物3本を接種するため、各クローンについて十分なin−vitro転写を生成した。接種後12〜14日してから、接種した葉より上方に位置する植物材料を採取し、重量を測り、組織解離して、緑液汁を得た。ディープウェルブロック(96ウェル)で、1容量の緑液汁を2容量の抽出緩衝液(25mMのトリスpH8.0、500mMのNaCl、2nMのPMSF、7mMの6−メルカプトエタノール)と組み合わせて、4%(w/v)のPEG(最終容量は1500μl)に調節して、タンパク質産生時に得られた抽出物を刺激した。4℃にて1時間半保存した後、この緑液汁に20分間、3000×Gにて遠心処理を施して、標的タンパク質を含む、浄化した緑液汁を得た。標的タンパク質を捕捉するため、700μlの浄化した緑液汁を、96ウェルフィルタプレートで25μlのアフィニティ樹脂(QiagenNi−NTA)と組み合わせて、室温にて1時間インキュベートした。浄化した緑液汁を保持できるほどに十分に疎水性であるフィルタを使用して緑液汁をインキュベート後に取り出し、5分間1000×Gにて遠心処理を施した。捕捉したタンパク質と組み合わされたアフィニティ樹脂をフィルタで保持し、700μlの洗浄緩衝液(16mMのトリスpH8.0、330mMのNaCl、5mMのイミダゾール)で2回洗浄した。この洗浄と洗浄との間で、5分間1000×Gにて遠心処理を施した。アフィニティ樹脂からの標的タンパク質の回収は、60μlの溶出緩衝液(16mMのトリスpH8.0、150mMのNaCl、および200mMのイミダゾールまたは200nMのEDTA)内で5分間この樹脂をインキュベートし、遠心処理(1000×Gにて5分間)を施してその溶出物を回収することにより行った。この溶出ステップを繰り返して、120μlの最終産生物を得た。各標識タンパク質の発現レベルを評価するため、各精製から得た溶出物をSDS−PAGEで解析した。クーマシー染色を行った後に正確な分子量とほぼ同じタンパク質バンドが見られ(±20%)、陰性対照で共遊走するバンドが見られなければ、標的タンパク質がうまく発現したと予想された。このタンパク質レベルを、ウシ血清アルブミン標準を用いて濃度測定により定量した。この変数を、記録した植物量と共にLIMSシステムに入力し、標的タンパク質の産生に必要な植物数を決定した。
タンパク質の産生に関して、タバコ野生種植物を9組植えた。追跡および接種を容易にするため、各標的タンパク質に必要な植物数を、最も近い9の倍数に切り上げた。各タンパク質の発現レベルは大幅に変化して、その結果、所与タンパク質レベルの実現に必要な植物数も大幅に変化するものである。したがって、9本から96本の21日齢植物を典型的に用い、これにしたがってin−vitro転写反応をスケールアップした。接種後12〜14日してから、接種した葉より上方に位置する植物材料を採取し、重量を測り、冷却した2容量の抽出緩衝液と組み合わせた。この抽出緩衝液を、緩衝液/植物材料が均等に分配されるように植物材料内に真空浸潤させた。その後、市販の液汁抽出機を用いて、緑液汁を得た。PEGを4%(w/v)まで添加し、緑液汁を4℃にて1時間半放置して、この抽出物のクロロフィル含有成分を凝集および沈降させた。4%(w/v)のパーライトを濾過助剤として用いて濾過することにより、緑液汁を浄化した。浄化した緑液汁を10%(w/v)グリセロールに調節して、アフィニティ樹脂との疎水性タンパク質の相互作用を最小限に抑え、抽出量を抽出緩衝液で正規化した。予備平衡化精製装置の各チャネルに、特定の標的タンパク質を含む、浄化した緑液汁を装填した。所与標的タンパク質に対する緑液汁の量が他の標的タンパク質に対するより実質的に多い場合には、浄化した緑液汁を2つ以上のチャネルに分けた。精製タンパク質をアフィニティ樹脂から溶出した後、貯留した。浄化した緑液汁をアフィニティ樹脂に通過させ、ヒスチジン−標識タンパク質をNi−NTAアフィニティ樹脂上に滞留させた。このカラムに10カラム容量の洗浄緩衝液を通過させて、汚染性植物タンパク質を除去し、200nMのEDTAを含む溶出緩衝液で、標的タンパク質を回収した。この抽出緩衝液、洗浄緩衝液、および溶出緩衝液の組成は、スクリーニングステップで用いたものと同じにした。各溶出物のアリコットを、SDS−PAGEとクーマシー染色を行ったタンパク質バンドの濃度測定とにより解析して、タンパク質の濃度を決定した。必要に応じてこのタンパク質を限外濾過により濃縮し、全タンパク質を燐酸緩衝生理食塩水内に透析した。その後、これを20℃にて保管した。濃縮および透析を行った最終タンパク質についてSDS−PAGEを実施してタンパク質の純度を決定し、トリプシンMALDIを実施してタンパク質の同定を確認した。
表1A及び表1Bは、5〜15種類の特有タンパク質がGENEWARE(登録商標)を用いて発現し、並行して精製された、産生工程の結果をまとめたものである。スクリーニングに基づいて、標的タンパク質当たり最小限の9本の植物に抑え、1.5mgの精製タンパク質を得るように十分な量の植物を接種した。産生モードにおいて、27種類の標的中10種類で、必要なタンパク質レベル以上を実現した。11種類の場合で、植物数を適切に調節して、タンパク質要件を満たすように2回目の産生を行ったところ、6種類の標的でタンパク質が回収されなかった。この結果を、GENEWARE発現系を植物9組に対して行い、確認した。この精製後にタンパク質が回収されない場合、その配列IDをGENEWARE不適合として区別し、哺乳動物発現系などの別の発現系で評価する。
Figure 2005511755
Figure 2005511755
本発明の種々の詳細について、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更を加えることが可能である。また、本発明による実施形態に関する上記説明は、例示のみを目的としており、請求の範囲およびその等価物により規定される本発明を何ら制限するものではない。
本発明による、1種類または複数種類の所定タンパク質を産生および精製するための、融通性の高い方法の汎用ステップを示す工程系統図である。 本発明の一実施形態で使用するコンピュータシステムの一部を示す概略図であり、このコンピュータシステムは、タンパク質の選択と、1種類または複数種類の被選択タンパク質を発現させる遺伝配列の同定とを支援するものである。 本発明による、生成された1種類または複数種類のタンパク質を精製する方法のステップを示す工程系統図である。 本発明による、図3に示した精製方法の連続ステップを示す別の工程系統図である。 本発明による、単一タンパク質を精製する装置の構成部品を示す概略図である。 本発明による、単一タンパク質を精製する装置の代替実施形態の構成部品を示す概略図である。 本発明による、複数種類のタンパク質を同時に精製するために並行して動作する、図5に示した装置などの複数の装置を示す概略図である。 平衡化溶液を本発明による装置内に通過させた状態である、図5に示した装置の操作ステップを示す概略図である。 本発明による装置のカラム内にある目的タンパク質を捕捉するために緑液汁を装置内に通過させた状態である、別の操作ステップを示す、図8に類似した概略図である。 望ましくない材料を本発明によるカラムから洗い流すために洗浄液を装置内に通過させた状態である、別の操作ステップを示す、図8および図9に類似した概略図である。 目的タンパク質を本発明による装置から取り出すために溶出液をカラム内に通過させた状態である、図8〜図10に類似した概略図である。 本発明の一実施形態で使用するコンピュータシステムのうち、本発明による精製装置を制御する部分を示す概略図である。 in vitro転写およびゲル電気泳動解析を用いた、複数種類のベクターを正確に転写するためのプレスクリーニングを示す概略図である。ゲル電気泳動に正しいサイズの転写を発現させるベクターを次の研究に用いて、タンパク質を精製するための最適なベクターおよびシステムを決定する。 無傷な植物および/または細胞培養プロトプラスト系を用いた、複数種類のベクターを正確に翻訳および発現させるためのプレスクリーニングを示す概略図である。

Claims (20)

  1. 複数種類のタンパク質を精製する方法であって、
    第1の所定の有機体を用いて第1の標識タンパク質を発現させるステップと、
    第2の所定の有機体を用いて第2の標識タンパク質を発現させるステップと、
    第1の緑液汁を形成するために、前記第1の所定の有機体から前記第1の標識タンパク質を採取するステップと、
    第2の緑液汁を形成するために、前記第2の所定の有機体から前記第2の標識タンパク質を採取するステップと、
    前記第1の標識タンパク質を抽出するために、前記第1の緑液汁を第1のアフィニティカラム内に注入するのと同時に、前記第2の標識タンパク質を抽出するために、前記第2の緑液汁を第2のアフィニティカラム内に通過させるステップと
    を含む方法。
  2. 前記第1のアフィニティカラムを通過させた後の前記第1の緑液汁を収集するステップと、
    前記第2のアフィニティカラムを通過させた後の前記第2の緑液汁を収集するステップと、
    前記第1の収集した緑液汁を前記第1のアフィニティカラム内に循環させるのと同時に、前記第2の収集した緑液汁を前記第2のアフィニティカラム内に循環させるステップと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のアフィニティカラムから前記第1の標識タンパク質を回収するステップと、
    前記第2のアフィニティカラムから前記第2の標識タンパク質を回収するステップと
    をさらに含み、
    前記回収された第1の標識タンパク質が、1μgから100mg台の範囲の量で測定可能であり、前記回収された第2の標識タンパク質が、1μgから100mg台の範囲の量で測定可能である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記所定の有機体が、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞および哺乳動物細胞からなる有機体の1種類または複数種類を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記標識タンパク質がそれぞれ、複数のマイクロアレイ構築に使用される別種の組換えタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記標識タンパク質がそれぞれ、患者に特異な別種の薬剤である、請求項1に記載の方法。
  7. 複数種類のタンパク質を産生および精製する方法であって、
    少なくとも2種類のタンパク質標的を選択するステップと、
    前記タンパク質標的の正確なタンパク質配列を発現する適した組換えベクターを選択するステップと、
    前記被選択組換えベクターのそれぞれを、それぞれの組換えタンパク質を産生するために、別々の所定の有機体内で発現させるステップと、
    前記組換えタンパク質それぞれに対応する少なくとも2種類の緑液汁を形成するために、前記有機体を採取するステップと、
    前記組換えタンパク質を抽出するために、前記複数種類の緑液汁をそれぞれのアフィニティカラム内に同時に注入するステップと、
    を含む方法。
  8. 前記複数種類の緑液汁を、前記複数のアフィニティカラム内に通過させた後、別々の各容器内に収集するステップと、
    前記複数種類の緑液汁を、前記複数のアフィニティカラム内に同時に循環させるステップと
    をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記組換えタンパク質を、前記アフィニティカラムから回収するステップをさらに含み、
    前記回収された組換えタンパク質が、1μgから100mg台の範囲の量で測定可能である、請求項7に記載の方法。
  10. 前記所定の有機体それぞれが、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞細胞、植物細胞および哺乳動物細胞からなる有機体の1種類または複数種類を含む、請求項7に記載の方法。
  11. 前記組換えタンパク質がそれぞれ、複数のマイクロアレイ製造に使用される別種の組換えタンパク質である請求項7に記載の方法。
  12. 前記組換えタンパク質がそれぞれ、患者に特異な別種の薬剤である、請求項7に記載の方法。
  13. 複数種類のタンパク質を精製する装置であって、
    種類の異なる緑液汁をそれぞれに入れた複数のリザーバと、
    前記リザーバのそれぞれに1つずつ接続される複数のポンプと、
    対応する前記ポンプの1つずつに接続され、タンパク質保持材料を中に配置した複数のカラムと、
    前記タンパク質を前記カラムから取り出すための手段と、
    を含む装置。
  14. 前記装置を自動制御するために、前記装置の複数部分に接続されたコンピュータをさらに含む、請求項13に記載の装置。
  15. 複数種類のタンパク質を精製する装置であって、
    第1の緑液汁を入れた第1のリザーバと、
    前記第1のリザーバが接続された第1のポンプと、
    前記第1のポンプに接続され、タンパク質保持材料を中に配置したカラムであって、前前記第1の緑液汁が前記ポンプにより押し出されて前記カラム内を通過するようになっているカラムと、
    前記装置を自動制御するために、前記ポンプに接続されたコンピュータと
    を含む装置。
  16. 複数種類の生物学的物質を精製する装置であって、
    第1の溶液を入れた第1のリザーバと、
    第2の溶液を入れた第2のリザーバと、
    前記第1のリザーバを接続した第1のバルブと、
    前記第2のリザーバを接続した第2のバルブと、
    生物学的物質保持材料を中に配置した第1のカラムであって、前記第1のバルブと流体連通して前記第1の溶液を前記第1のカラム内に方向付けるように接続された第1のカラムと、
    生物学的物質保持材料を中に配置した第2のカラムであって、前記第2のバルブと流体連通して前記第2の溶液を前記第1のカラム内に方向付けるように接続された第2のカラムと、
    前記装置を自動制御するために前記第1のバルブおよび前記第2のバルブと接続されたコンピュータと
    を含み、前記第1のカラムを通過する流路と前記第2のカラムを通過する流路とが互いに隔離されており、前記第1のカラムおよび前記第2のカラム内に同時に前記溶液を流動させることのできる装置。
  17. 前記第1のカラムを出る流体流を制御するための、前記第1のカラムから下流に位置する第3のバルブと、
    前記第2のカラムを出る流体流を制御するための、前記第2のカラムから下流に位置する第4のバルブと
    をさらに含み、
    前記コンピュータで前記第3のバルブおよび前記第4のバルブの動作を制御できるように、前記第3のバルブおよび前記第4のバルブが前記コンピュータに接続されている、請求項16に記載の複数種類の生物学的物質を精製するための装置。
  18. 前記第1のバルブの上流に位置する第1のポンプと、
    前記第2のバルブの上流に位置する第2のポンプと、
    をさらに含み、
    前記コンピュータで前記第1および第2のポンプの動作を制御できるように、前記第1および第2のポンプが前記コンピュータに接続されている、請求項17に記載の複数種類の生物学的物質を精製するための装置。
  19. 前記第1および第2のポンプが単一モータに接続され、前記モータの操作が前記コンピュータにより制御される、請求項18に記載の複数種類の生物学的物質を精製するための装置。
  20. 前記第1のリザーバ、前記第1のバルブ、前記第1のカラム、前記第1のカラムの下流に位置する前記第3のバルブ、および前記第1のポンプのすべてが第1の流路を画成し、
    前記第2のリザーバ、前記第2のバルブ、前記第2のカラム、前記第2のカラムの下流に位置する前記第4のバルブ、および前記第2のポンプのすべてが、前記第1の流路とは別個に設けられた第2の流路を画成し、
    前記第1の流路および前記第2の流路と並行して別の生物学的物質を精製するために、前記装置が、前記第1の流路および前記第2の流路とは別個に設けられた第3の流路をさらに含む、請求項18に記載の複数種類の生物学的物質を精製するための装置。
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