JP2005504464A - シングル・ポート・メモリを使用したディジタル・ライン・ディレー - Google Patents

シングル・ポート・メモリを使用したディジタル・ライン・ディレー Download PDF

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Abstract

送信装置と受信装置の間における、ビデオのライン・データを遅延させるための装置を提供する。この装置は、シングル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(110)と、RAM(110)に結合されている第1の記憶デバイス(700)と、RAM(110)に結合されている第2の記憶デバイス(650)を含む処理装置(processing arrangement)とから成る。

Description

【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2001年9月19日に出願された、「シングル・ポート・メモリを使用したビデオ・ディレー・ライン」という名称の、米国特許仮(Provisional)出願第60/323,238号を参照として本明細書に組み込み、その権利を主張する。
【0002】
本発明は、ディジタル信号処理の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のビデオ信号は、フレームの連続として構成されている。各々のフレームは、一連のラインから構成され、そして各ラインには数多くのピクセルが含まれている。ビデオ・ライン・ディレー(或いは「ビデオ・ディレー・ライン」)は、垂直に関するフォーマット変換や画像信号改善を行う場合に必要である。オーディオ・フィルタのような、いろいろなディジタル信号処理の応用例や種々のコンピュータを利用した応用例においても、ディジタル・データを一定のクロック・サイクルだけ遅延(ディレー)させなければならないという要求がある。典型的なライン・ディレーは、ファースト−イン−ファースト−アウト・キュー(queue、待ち行列)(「FIFO」:First‐In‐First‐Out queue、先入れ先出し待ち行列)を用いて構成され、ライン・データ(line data、一列に並んだデータ)は、FIFOの入力に供給され、要求される遅延時間とFIFOの長さに依存するクロック・レート(crock rate)によりFIFOの出力に送られる。
【0004】
データの量が非常に多く、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory:RAM)で実現する方が、他の素子(例えば、フリップ‐フロップ或いはラッチ)で実現するよりも実際的である場合、一般的には、FIFO中においてRAMが用いられる。RAMへのデータの書き込みとRAMからのデータ読み出しが互いに独立して行われるシステムの場合は、通常、デュアル・ポートRAMが用いられる。デュアル・ポートRAMは、読み出しポートと書き込みポートを独立に有している。とりわけ、デュアル・ポートは、ある1つのRAMアドレスにデータを書き込みすると同時に、別のRAMアドレスからデータを読み出しすることができ、遅延の構成を容易に行うことができる。しかしながら、デュアル・ポートRAMの欠点は、大きな面積のシリコンを必要とすることである。デュアル・ポートRAMは、同等のシングル・ポートRAMよりも更に100%以上の面積が必要である。その上、デュアル・ポートRAMは、非常に高価である。
本発明は、この問題を解決する手段を提供するものである。
【発明の開示】
【0005】
(発明の概要)
送信装置と受信装置の間におけるビデオ・ライン・データを遅延させるための装置は、シングル・ポートのランダム・アクセス・メモリ(RAM)と処理装置(processing arrangement)から構成される。処理装置は、RAMのデータ記憶場所から(1つ前のビデオ・ラインに対応する)データの第1の部分の中の1つと前記データの第2部分の中の1つを読み出す手段と、読み出されたデータの第1部分の中の1つのデータを受信装置に出力する手段と、読み出されたデータの第2部分の中の1つのデータを第1の記憶デバイスに記憶する手段と、(現在のビデオ・ラインに対応する)データの第3部分の中の1つを第2の記憶デバイスに記憶する手段と、第2の記憶デバイスからのデータの第3部分の中の1つと送信装置からの(現在のビデオ・ラインに対応する)データの第4部分の中の1つをRAMのデータ記憶場所に記憶する手段と、第1の記憶デバイスからのデータの第2の部分の中の1つのデータを受信装置に出力する手段と、から構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の特徴と利点は、一例を示しながら行う以下の説明により明確なものになるであろう。
【0007】
図1は、本発明における典型的なディジタル・ライン・ディレー100のブロック・ダイアグラムである。ライン・ディレー100は、Mワード、1ワード2Nビットのシングル・ポートRAM110を含んでいる。ここで、「バイト」という用語はNビットを意味し、「ワード」という用語は2Nビットのデータを意味する。従来のビデオ装置では、1ラインのビデオ・データは、通常1,920ピクセルで構成されている。従って、これらビデオ装置では、Mは960、そしてNは8とすることができ、RAM110は960×16となる。このような構成では、ピクセル当たり8ビットとすると、RAM110は1ライン分のビデオ・データ(すなわち、960ワード×ワード当たり2ピクセル=1,920ピクセル=1ライン)を保持できることが理解できるであろう。しかしながら、MとNは、別の適当な値を採ることも可能であり、そのようなRAM110は、個々のアプリケーションに適した記憶容量で構成される別の実施例も当然考えられる。RAM110は、クロック入力120、1ワード或いは2Nビット幅(Nについては既に説明してある)のデータ入力130、Yビット幅のアドレス入力140(Mについては既に説明した通りであって、Yは、Y≧logMを満たす値であり、Yビットのアドレス入力ワードで示すことのできる範囲は、RAM110の有するMアドレスを指示するのに充分なものである)、読み出し/書き込み(「R/W」)制御入力150、および1ワード或いは2Nビット幅のデータ出力160を含んでいる。更に、ここに示した典型的な実施例において、RAM110は、スタティックRAM(「SRAM」)である。しかしながら、RAM110はダイナミックRAM(「DRAM」)或いは別の適当なタイプのシングル・ポートRAMである別の実施例で構成できることは言うまでもない。
【0008】
ライン・ディレー100は、更に処理装置180を含んでいる。処理装置180は、有限状態機械(「Finite State Machine:FSM」)200を有する。FSM200は、後で詳しく説明するように、ライン・ディレー100の動作を管理或いは制御するように構成されている。FSM200は、制御出力210、クロック入力220、リセット入力230、およびイネーブル(enable)出力240を有する。
【0009】
処理装置180は、更にアドレスをカウントする構成300を含んでいる。カウンティング回路構成300は、後で説明するように、ライン・データを交互に読み書きする場合、RAM110のアドレスを指定するためのRAMアドレスを示す値を供給する構成になっている。カウンティング回路構成300は、イネーブル入力390、リセット入力400、クロック入力410、およびYビット幅(Yについては既に説明してある)の出力420を有するバイナリ・カウンタ380を含んでいる。また、カウンティング回路構成300は、入力510と出力520を有するインバータ500を含んでいる。更に、カウンティング回路構成300は、イネーブル入力560、リセット入力570、クロック入力580、およびYビット幅(Yについては既に説明してある)の出力590を有するバイナリ・カウンタ550を含んでいる。この他にもカウンティング回路構成300は、Yビット幅のデータ入力610、Yビット幅のデータ入力620、Yビット幅のデータ出力630、および制御入力640を有するデータ・スイッチ或いはマルチプレクサ600を含んでいる。マルチプレクサ600は、制御入力640に論理値‘1’が入力されると、マルチプレクサの入力610に入力されたデータがその出力630に出力され、一方、制御入力640に論理値‘0’が入力されると、入力620に入力されたデータが出力630に出力される構成になっている。
【0010】
処理装置180は、更にN(Nについては既に説明してある)個のグループ或いはバンク(bank)のD型フリップ‐フロップ650を含んでおり、N個のそれぞれのD型フリップ‐フロップは、それぞれD入力660、イネーブル入力670、クロック入力680、およびQ出力690を有する。また、処理装置180は、N個のグループ或いはバンクのD型フリップ‐フロップ700を含んでおり、N個のそれぞれのD型フリップ‐フロップは、それぞれD入力710、イネーブル入力720、クロック入力730、およびQ出力740を有する。イネーブル入力670とイネーブル入力720は全て論理値‘1’に結合されている。
【0011】
処理装置180は、更に、Nビット幅のデータ入力760、Nビット幅のデータ入力770、Nビット幅のデータ出力780、および制御入力790を有するデータ・スイッチ或いはマルチプレクサ750を含んでいる。マルチプレクサ750は、制御入力790に論理値‘1’が入力されると、マルチプレクサの入力760に入力されるデータがその出力780に出力され、一方、制御入力790に論理値‘0’が入力されると、入力770に入力されるデータが出力780に出力される構成になっている。また、処理装置180は、N個のグループ或いはバンクのD型フリップ‐フロップ800を含んでおり、N個のそれぞれのD型フリップ‐フロップは、それぞれD入力810、イネーブル入力820、クロック入力830、およびQ出力840を有する。
【0012】
処理装置180は、更に制御出力210に結合されている導線900を含んでおり、これはRAM110のR/W制御入力150、カウンタ380のイネーブル入力390、インバータ500の入力510、マルチプレクサ600の制御入力640、およびマルチプレクサ750の制御入力790に結合されている。処理装置180は、更にインバータ500の出力520に結合されている導線920を含んでおり、カウンタ550のイネーブル入力560に結合されている。処理装置180は、更に導線930を含んでおり、カウンタ380のリセット入力400、カウンタ550のリセット入力570、FSM200のリセット入力230に結合されている。処理装置180は、垂直リセット入力940も含んでいる。導線930は、リセット入力400、リセット入力570、およびリセット入力230と垂直リセット入力940とを結合する。
【0013】
処理装置180は、またY(Yについては既に説明してある)本のグループ或いはバンクの導線960を有し、カウンタ380のQ出力420のそれぞれがマルチプレクサ600のそれぞれ対応する入力610に結合されている。処理装置180は、またY本のグループ或いはバンクの導線970を有し、カウンタ550のQ出力590のそれぞれがマルチプレクサ600のそれぞれ対応する入力620に結合されている。処理装置180は、またY本のグループ或いはバンクの導線980を有し、マルチプレクサ600の出力630のそれぞれがRAM110のそれぞれに対応するアドレス入力140に結合されている。
【0014】
処理装置180は、更に、Nビット幅(Nについては既に説明してある)のデータ入力ポート990を有し、データ入力ポート990の各々とRAM110のデータ入力130の対応するビット(N−1)から0ビットまでとを結合するN本のグループ或いはバンクの導線1000を有する。導線1000は、またデータ入力ポート990の各ビットとD型フリップ‐フロップ650のD入力660の対応するビットとを結合する。処理装置180は、またN本のグループ或いはバンクの導線1010を有し、D型フリップ‐フロップ650のQ出力690とRAM110のデータ入力130の対応するビット(2N−1)からNまでとを結合する。
【0015】
処理装置180は、更にN本のグループ或いはバンクの導線1020(Nについては既に説明してある)を有し、RAM110のデータ出力160からの対応する出力ビット(2N−1)からNまでとマルチプレクサ750の入力760のそれぞれに結合する。処理装置180は、またN本のグループ或いはバンクの導線1030を有し、RAM110のデータ出力160からの対応する出力ビット(N−1)から0までとD型フリップ‐フロップ700のD入力710とを結合する。処理装置180は、またN本のグループ或いはバンクの導線1040を有し、D型フリップ‐フロップ700のQ出力740とマルチプレクサ750の対応する入力770とを結合する。更に、処理装置180は、N本のグループ或いはバンクの導線1050を有し、マルチプレクサ750のNビット幅の出力780とD型フリップ‐フロップ800の対応するD入力810とを結合する。処理装置180は、また導線1060を有し、FSM200のイネーブル出力240とD型フリップ‐フロップ800の全てのイネーブル入力820とを結合する。更に、処理装置180は、Nビット幅のライン・メモリ出力1070を有し、D型フリップ‐フロップ800のQ出力840とライン・メモリ出力1070とを結合するN本のグループ或いはバンクの導線1080を含んでいる。
【0016】
図2は、図1の典型的なディジタル・ライン・ディレー100のFSM200の典型的な動作1200の状態図である。典型的な実施例において、FSM200は、たった2つの状態、すなわち読み出し状態1210と書き込み状態1220を有する。動作を説明すると、典型的なFSM200は、制御出力210にCONTROL信号を供給し、イネーブル出力240にENABLE信号を供給する。読み出し状態1210においては、FSMはCONTROL信号を論理値‘1’にし、ENABLE信号を論理値‘1’にする、或いは論理値‘1’のときはそのままの状態を保つ。書き込み状態1220においては、FSMはCONTROL信号を論理値‘0’にし、ENABLE信号を論理値‘1’にする、或いは論理値‘1’のときはそのままの状態を保つ。更に、FSM200は、垂直リセット入力940に結合されている導線930を介して外部装置(図には示していない)から受ける従来のビデオ垂直リセット信号(「V_RST_DR」)の論理値‘1’の状態或いはパルスを検出すると、書き込み状態1220から再スタート或いはリセットする。典型的な実施例の利点の1つは、FSM200が2つの状態しか採らないことではあるが、幾つかの追加動作を有し、従って図2に示したよりも多くの状態と、図1で示したよりも多くの入力或いは出力を有する別の実施例も考えられることは当然である。
【0017】
図3は、図1のディジタル・ライン・ディレー100の典型的な動作1250のフロー図である。動作を説明すると、外部システム・クロック(図には示されていない)は、従来の同期クロック信号(「CLOCK」)をライン・ディレー100の種々の構成要素(クロック入力120、クロック入力220、クロック入力410、クロック入力580、クロック入力680、クロック入力730、クロック入力830、などを介して‐図1参照)に、よく知られた方法で供給する。CLOCK信号は、同期してライン・ディレー100の種々の構成要素を駆動し、ライン・ディレー100は、CLOCK信号の各サイクル或いはパルスの間に、事実上同時に、動作の1反復を実行する。従って、フロー図1250は、単にCLOCKサイクルからCLOCKサイクルにおける動作の概念的な性質の典型例を示したものであり、1CLOCKサイクル間における動作の個々のシーケンス或いは順番に対して発明を制限する意味のないことを理解すべきである。
【0018】
ステップ1260で、ライン・ディレー100は、適当なときに電源が入れられ、よく知られた方法により、初期化動作が実行される。ステップ1260の動作の後、ライン・ディレー100は、ステップ1270に進む。ステップ1270で、ライン・ディレー100は、外部装置(図には示されていない)から処理のためのリセットの要求があるかどうかを決定する。典型的な実施例において、ライン・ディレー100は、V_RST_DR信号、すなわち従来のビデオ垂直リセット信号によりこの決定を行う。この信号は、垂直リセット入力940を介して、外部装置(図には示されていない)から入力される。もし、リセット要求があるときは、ライン・ディレー100は、ステップ1280に進み、要求がなければ、ステップ1290に進む。
【0019】
ステップ1280では、ライン・ディレー100は、リセット動作の適当な処理を実行する。ステップ1280の動作には、FSM200の書き込み状態1220(図2参照、既に説明してある)に向かうリセット処理を含んでいる。ステップ1280の動作では、また、ライン・ディレー100が、よく知られた方法により、カウンタ380をリセット(すなわち、全てのQ出力420を0にする)し、そしてまたカウンタ550をリセット(すなわち、全てのQ出力590を0にする)する処理を含んでいる。ステップ1280の動作の後、ライン・ディレー100は、ステップ1270に戻る。
【0020】
ステップ1290では、ライン・ディレー100は、外部システム・クロック(図には示されていない)からCLOCK信号の1パルス或いは変化(遷移)を受け取る。ステップ1290の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1300に進む。ステップ1300では、ライン・ディレー100は、CLOCK信号の現在のパルスが奇数番号のパルス(すなわち、最後のプロセッシング・リセットを受け取ってから第1番目、第3番目、或いは第5番目、・・・等のパルス)或いは偶数番号のパルス(すなわち、最後のプロセッシング・リセットを受け取ってから第2番目、第4番目、或いは第6番目、・・・等のパルス)であるかを決定する。典型的な実施例において、この決定はただ2つの状態(図2参照)しか有しないFSM200の機能により行われる。FSM200が、リセット後の第1番目のクロック・パルスを受け取り、読み出し状態1210になると仮定し、第2番目のクロック・パルスを受け取り、書き込み状態1220になると仮定する。その後、奇数クロック・パルスに対して読み出し状態1210、偶数クロック・パルスに対して書き込み状態1220のように、交互に繰り返すことになる。ライン・ディレー100が奇数パルスのCLOCK信号が供給されたものと判断したとき、ライン・ディレー100はステップ1320‐1354に進む。そうでないときは、ライン・ディレー100はステップ1370‐1384に進む。
【0021】
ステップ1320で、ライン・ディレー100は、RAM110のアドレスRD_ADDRから1ワード(すなわち、2バイト)のデータを読み出す。典型的な実施例において、この機能は、RAM110が、そのアドレス入力140からRD_ADDRの値を読み込んで実現するものであり、そのR/W制御入力150からCONTROL信号を受け取ってRAM110がデータを読み出し、読み出したワードのビット(2N−1)からNをマルチプレクサ750の入力760に受け取り、更に、このワードのビット(N−1)から0をD型フリップ‐フロップ700のD入力710に受け取ることにより実行する。ステップ1320の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1330に進む。
【0022】
ステップ1330で、ライン・ディレー100は、ステップ1320で読み込んだワードのビット(2N−1)からN(すなわち「上位」バイト)を、マルチプレクサ750を介して、D型フリップ‐フロップ800に供給する。マルチプレクサ750が上位バイトを通過させるのは、この動作の期間、FSM200が読み出し状態1210(上で説明したステップ1300を参照)にあり、このとき制御入力790のCONTROL信号が論理値‘1’であることに注目されたい。D型フリップ‐フロップ800は、上位バイトを記憶してから、Q出力840を介してライン・メモリの出力1070としてデータを出力する。しかしながら、このD型フリップ‐フロップ800によるバッファリングは単に典型的な例として示したものであり、本発明の重要な部分ではない。ライン・ディレー100は、D型フリップ‐フロップ800を省略して、ライン・メモリの出力1070に直接上位バイトを出力する別の実施例も考えられることは言うまでもない。ステップ1330の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1340に進む。
【0023】
ステップ1340で、ライン・ディレー100は、ステップ1320で読み込んだワードのビット(N−1)から0(すなわち「下位」バイト)をD型フリップ‐フロップ700に記憶する。マルチプレクサ750を介して上位バイトを出力している間、D型フリップ‐フロップ700は下位バイトを記憶或いは保持するための「読み出しバッファ」の役割を果していることに注目されたい。ステップ1340の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1350に進む。
【0024】
ステップ1350で、ライン・ディレー100は、外部装置(図には示していない)から供給され、入って来るライン・データの現在のバイト・データを記憶する。ライン・ディレー100は、データ入力ポート990から入力されるデータをバイト単位で受け取り、D型フリップ‐フロップ650に記憶する。このバイト・データはRAM110のデータ入力130に供給されるワード・データの一部であり、R/W制御入力で受け取られるCONTROL信号が読み出し動作のコマンドである論理値‘1’(FSM200が読み出し状態1210)であるため、ステップ1350の間は、RAM110はデータ入力130のワード・データを無視することに注目されたい。ステップ1350の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1354に進む。
【0025】
ステップ1354で、ライン・ディレー100は、読み出しアドレス(「RD_ADDR」)をインクリメント(+1加算する)する。RD_ADDRは、カウンタ380のQ出力420が表している2進数である。典型的な実施例において、この機能はFSM200の制御出力210から供給されるCONTROL信号の状態により実現する。FSM200が読み出し状態1210のとき、CONTROL信号は論理値‘1’である。カウンタ380は、イネーブル入力390に論理値‘1’のCONTROL信号が入力されると、イネーブル状態になる。イネーブル状態のカウンタ380は、また現在のCLOCKパルスを受け取ると、それに従ってQ出力420をインクリメントする。更に、論理値‘1’のCONTROL信号に応答して、マルチプレクサ600は、その出力630にRD_ADDRの値を出力する。ステップ1354の動作の後、ライン・ディレー100はステップ11270に戻る。
【0026】
ステップ1370で、ライン・ディレー100は、1ワードをRAM110のWR_ADDRの値のアドレスに書き込む。書き込まれる1ワードは、既に記憶されているビット(2N−1)からN個のバイト・データ(先に説明したステップ1350を参照)とデータの外部装置から入って来るライン・データのビット(N−1)から0の現在の新しいバイト・データとから成る。ライン・ディレー100は、D型フリップ‐フロップ650のQ出力690から前に記憶したバイト・データを取り出す。この動作の期間中、FSM200が書き込み状態1220(先に説明したステップ1300を参照)であり、RAM110のR/W制御入力150に供給されているCONTROL信号が書き込み動作のコマンドである論理値‘0’であり、更にマルチプレクサ600がアドレス入力140にWR_ADDRの値を供給しているので、RAM110は、WR_ADDRの値のアドレスに前記の1ワードを書き込む。ステップ1370の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1380に進む。
【0027】
ステップ1380で、ライン・ディレー100は、D型フリップ‐フロップ700のQ出力740から、ステップ1320で読み込んだワード・データのビット(N−1)から0(すなわち「下位」バイト)を、マルチプレクサ750を介して、D型フリップ‐フロップ800に供給する。マルチプレクサ750がQ出力740からの下位バイトを通過させるのは、FSM200が書き込み状態1220(先に説明したステップ1300を参照)のときであり、この動作の間、制御入力790のCONTROL信号が論理値‘0’であるからであることに注目されたい。ステップ1330と同じように、D型フリップ‐フロップ800は、下位バイトを記憶してから、Q出力840を介してライン・メモリの出力1070にそのデータを出力する。繰り返しになるが、このD型フリップ‐フロップ800によるバッファリングは単に典型的な一例として示したものであり、本発明の重要な部分ではない。ライン・ディレー100は、D型フリップ‐フロップ800を省略して、ライン・メモリの出力1070に直接下位バイトを出力する別の実施例も考えられることは言うまでもない。ステップ1380の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1384に進む。
【0028】
ステップ1384で、ライン・ディレー100は、書き込みアドレス(「WR_ADDR」)をインクリメントする。WR_ADDRは、カウンタ550のQ出力590が表している2進数である。典型的な実施例において、この機能はFSM200の制御出力210により供給されるCONTROL信号の状態により実現される。FSM200が書き込み状態1220のとき、CONTROL信号は論理値‘0’である。論理値‘0’のCONTROL信号がインバータ500により反転(インバート:invert)され、その結果、論理値が‘1’になった信号がイネーブル入力560に受け取られると、カウンタ550は、イネーブル状態になる。イネーブル状態のカウンタ550は、また現在のCLOCKパルスを受け取ると、それに従ってQ出力590をインクリメントする。更に、論理値‘0’のCONTROL信号に応答して、マルチプレクサ600は、その出力630にWR_ADDRの値を出力する。ステップ1384の動作の後、ライン・ディレー100はステップ1270に戻る。
【0029】
図4は、図1のディジタル・ライン・ディレー100の典型的な動作1450のタイミング図である。RD_ADDRは0から始まり、奇数CLOCKサイクルでインクリメントされ、その範囲は0からM(Mについては既に説明してある)であり、Mの次は0にリセットさる。従って、途絶えることなく連続的に繰り返される。WR_ADDRは0から始まり、偶数CLOCKサイクルでインクリメントされ、その範囲は0からMであり、Mの次は0にリセットさる。従って、途絶えることなく連続的に繰り返される。RAM_ADDRは0から始まり、奇数CLOCKサイクルでインクリメントされ、その範囲は0からMであり、Mの次は0にリセットさる。従って、途絶えることなく連続的に繰り返される。ライン・ディレー100は、CONTROL信号が論理値‘1’(FSM200が読み出し状態1210)のとき、各CLOCKサイクルで「読み出しサイクル」(ステップ1320−1354、これらのステップについては既に説明してある)を実行し、ライン・ディレー100は、CONTROL信号が論理値‘0’(FSM200が書き込み状態1220)のとき、各CLOCKサイクルで「書き込みサイクル」(ステップ1370−1384、これらのステップについては既に説明してある)を実行する。このようにして、典型的な実施例において、ライン・ディレー100は、シングル・ポートRAM110を読み出しと書き込みの動作に時分割処理する。その上、FSM200は、ただ2つの状態によりライン・ディレー100の動作を制御する。電源投入後のライン・ディレー100によるRAM110からの最初の全データの読み出し或いは出力は(すなわち、電源投入後の最初の1からMのCLOCKサイクルの1セットの間、このときRD_ADDR或いはWR_ADDRは0でない)、電源投入時にRAM110の中に偶然にも存在した不定のデータであることに注目されたい。それ以降、典型的なライン・ディレー100は、最後の或いは直前のラインから記憶したデータをRAM110のMアドレスの各々のアドレスから読み出し、その後、当該アドレスに新しい、或いは現在のラインからのデータを書き込むため、典型的なライン・ディレー100は1ライン遅延(ディレー)したデータを供給する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における典型的なディジタル・ライン・ディレーのブロック図である。
【図2】図1の典型的なディジタル・ライン・ディレーで使われている有限状態機械(「FSM」:finite state machine)の典型的な動作の状態図である。
【図3】図1のディジタル・ライン・ディレーの典型的な動作手順のフロー図である。
【図4】図1のディジタル・ライン・ディレーの典型的な動作におけるタイミング図である。

Claims (15)

  1. 送信装置と受信装置の間においてビデオのライン・データを遅延させるための装置(100)であって、前記ビデオのライン・データは直前のビデオのラインの対応するデータと現在のビデオのラインの対応するデータを含んでおり、前記直前のビデオのラインの対応するデータは第1のデータ部分と第2のデータ部分を含んでおり、前記現在のビデオのラインの対応するデータは第3のデータ部分と第4のデータ部分を含んでおり、
    前記装置(100)は、
    複数の記憶場所を有するシングル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ(110)と、
    前記RAM(110)に結合される第1の記憶デバイス(700)と前記RAM(110)に結合される第2の記憶デバイス(650)を含む処理装置(180)とから成り、
    前記処理装置(180)が、
    前記RAM(110)の記憶場所の1つから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出し、
    前記RAM(110)から前記第1のデータ部分を前記受信装置に出力し、
    前記第1の記憶デバイス(700)に前記第2のデータ部分を記憶し、
    前記送信装置からの前記第3のデータ部分を前記第2の記憶デバイス(650)に記憶し、
    前記第2の記憶デバイス(650)からの前記第3のデータ部分と前記送信装置からの前記第4のデータ部分を前記RAM(110)の記憶場所の1つに書き込み、
    前記第1の記憶デバイス(700)からの前記第2のデータ部分を前記受信装置に出力する、ように構成されている、送信装置と受信装置の間においてビデオのライン・データを遅延させるための装置。
  2. 処理装置(180)は、更に
    前記RAM(110)の記憶場所の1つから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出し、
    前記第1のデータ部分を前記受信装置に出力し、
    前記第1の記憶デバイス(700)に前記第2のデータ部分を記憶し、
    前記第2の記憶デバイス(650)に前記第3のデータ部分を記憶する、処理を同時に実行し、
    更に、処理装置(180)は、
    前記第2の記憶デバイス(650)からの前記第3のデータ部分と前記送信装置からの前記第4のデータ部分をRAM(110)の記憶場所の1つに書き込み、
    前記第1の記憶デバイス(700)からの前記第2のデータ部分を前記受信装置に出力する、処理を同時に実行する、請求項1に記載の装置(100)。
  3. 処理装置(180)は、更に、
    RAM(110)の記憶場所の1つから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み取り、
    前記第1のデータ部分を前記受信装置に出力し、
    前記第1の記憶デバイス(700)に前記第2のデータ部分を記憶し、
    前記第2の記憶デバイス(650)に前記第3のデータ部分を記憶する、処理を実行し、
    更に処理装置(180)は、前記処理と交互に、
    前記第2の記憶デバイス(650)からの前記第3のデータ部分と前記送信装置からの前記第4のデータ部分をRAM(110)の記憶場所の1つに書き込み、
    前記第1の記憶デバイス(700)からの前記第2のデータ部分を前記受信装置に出力する、処理を実行する、請求項2に記載の装置(100)。
  4. 更に処理装置(180)は、クロック信号に対応するレートで、
    RAM(110)の記憶場所の1つから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み取り、
    前記第1のデータ部分を前記受信装置に出力し、
    前記第1の記憶デバイス(700)に前記第2のデータ部分を記憶し、
    前記第2の記憶デバイス(650)に前記第3のデータ部分を記憶する、処理を実行し、
    更に処理装置(180)は、前記クロックとほぼ同じレートで、
    前記第2の記憶デバイス(650)からの前記第3のデータ部分と前記送信装置からの前記第4のデータ部分をRAM(110)の記憶場所の1つに書き込み、
    前記第1の記憶デバイス(700)からの前記第2のデータ部分を前記受信装置に出力する、処理を実行する、請求項3に記載の装置(100)。
  5. 更に処理装置(180)は、第1のアドレスを連続的に増加させるための手段(200、380)と、第2のアドレスを連続的に増加させるための手段(200、550)と、RAM(110)に第1のアドレスと第2のアドレスを交互に供給するための手段(200、600)とを備えた、請求項4に記載の装置(100)。
  6. 更に処理装置(180)は、前記手段(200、600)に提供するアドレスを制御するための有限状態機械(200)を含む、請求項5に記載の装置(100)。
  7. 前記第1の記憶デバイス(700)は第1の幾つかのD型フリップ‐フロップ(700)を含み、
    前記第2の記憶デバイス(650)は第2の幾つかのD型フリップ‐フロップ(650)を含み、
    第1の幾つかのD型フリップ‐フロップ(700)の数と第2の幾つかのD型フリップ‐フロップ(650)の数が等しい、請求項1に記載の装置(100)。
  8. RAM(110)がダイナミックRAMを含む、請求項1に記載の装置(100)。
  9. 送信装置と受信装置の間においてビデオのライン・データを遅延させるための方法(1250)であって、前記ビデオのライン・データは直前のビデオのラインの対応するデータと現在のビデオのラインの対応するデータを含んでおり、前記直前のビデオのラインの対応するデータは第1のデータ部分と第2のデータ部分を含んでおり、前記現在のビデオのラインの対応するデータは第3のデータ部分と第4のデータ部分を含んでおり、
    シングル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ(110)の記憶場所の1つから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップ(1320)と、
    前記第1のデータ部分を前記受信装置に出力するステップ(1330)と、
    前記第1の記憶デバイス(700)に前記第2のデータ部分を記憶するステップ(1340)と、
    前記第2の記憶デバイス(650)に前記第3のデータ部分を記憶するステップ(1350)と、
    前記第2の記憶デバイス(650)からの前記第3のデータ部分と前記送信装置からの前記第4のデータ部分をRAM(110)の記憶場所の1つに書き込むステップ(1370)と、
    前記第1の記憶デバイス(700)からの前記第2のデータ部分を前記受信装置に出力するステップ(1380)と、から成る、送信装置と受信装置の間においてビデオのライン・データを遅延させるための方法(1250)。
  10. 前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップ(1320)と、前記第1のデータ部分を出力するステップ(1330)と、前記第2のデータ部分を記憶するステップ(1340)と、前記第3のデータ部分を記憶するステップ(1350)とが同時に実行され、且つ
    前記第3のデータ部分と前記第4のデータ部分の書き込みステップ(1370)と前記第2のデータ部分を出力するステップ(1380)とが同時に実行される、請求項9に記載の方法(1250)。
  11. 前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップ(1320)と、前記第1のデータ部分を出力するステップ(1330)と、前記第2のデータ部分を記憶するステップ(1340)と、および前記第3のデータ部分を記憶するステップ(1350)とが、前記第3のデータ部分と前記第4のデータ部分の書き込みステップ(1370)および前記第2のデータ部分を出力するステップ(1380)と交互に実行される、請求項10に記載の方法(1250)。
  12. 前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップ(1320)と、前記第1のデータ部分を出力するステップ(1330)と、前記第2のデータ部分を記憶するステップ(1340)と、前記第3のデータ部分を記憶するステップ(1350)とが、クロック信号に対応したレートで実行され、且つ前記第3のデータ部分と前記第4のデータ部分の書き込みステップ(1370)と、前記第2のデータ部分を出力するステップ(1380)とが前記クロックとほぼ同じレートで実行される、請求項11に記載の方法(1250)。
  13. 第1のアドレスを連続的に増加させるステップ(1354)と、
    第2のアドレスを連続的に増加させるステップ(1384)と、
    第1のアドレスと第2のアドレスをRAM(110)に交互に供給するステップ(1290、1300)と、を含む、請求項12に記載の方法(1250)。
  14. 前記第3のデータ部分を記憶するステップ(1350)が前記第3のデータ部分を幾つかのD型フリップ‐フロップ(650)に記憶するステップを含んでおり、且つ
    前記第2のデータ部分を記憶するステップ(1340)が前記第2のデータ部分を前記D型フリップ‐フロップ(650)と同じ数のD型フリップ‐フロップ(700)に記憶するステップを含んでいる、請求項9に記載の方法(1250)。
  15. 前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップ(1320)が、ダイナミックRAMから前記第1のデータ部分と前記第2のデータ部分を読み出すステップを含んでいる、請求項9に記載の方法(1250)。
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