JP2005353656A - 透明電磁波シールドフィルムおよびその製法、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイパネル用前面フィルターおよびプラズマディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで、高屈折率化と安定化の両立を図ることができる透明電磁波シールドフィルムおよびその製法、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイパネル用前面フィルターおよびプラズマディスプレイを提供する。
【解決手段】高分子フィルム1の表面に、高屈折率膜2と、銀を主成分とする金属膜3とを、交互に複数層積層してなる透明電磁波シールドフィルム5であって、上記高屈折率膜2の少なくとも1層が、下記の(a)を主成分とし、下記の(b)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって高屈折率(屈折率1.9以上)の薄膜となるよう形成されている。
(a)チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物。
(b)βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の添加剤。
【選択図】図1
【解決手段】高分子フィルム1の表面に、高屈折率膜2と、銀を主成分とする金属膜3とを、交互に複数層積層してなる透明電磁波シールドフィルム5であって、上記高屈折率膜2の少なくとも1層が、下記の(a)を主成分とし、下記の(b)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって高屈折率(屈折率1.9以上)の薄膜となるよう形成されている。
(a)チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物。
(b)βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の添加剤。
【選択図】図1
Description
本発明は、透明電磁波シールドフィルムおよびその製法、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイパネル用前面フィルターおよびプラズマディスプレイに関するものである。
近年、大型の薄型テレビや薄型ディスプレイ用途等にプラズマディスプレイパネルが採用され、すでに市場にも浸透してきている。しかし、このプラズマディスプレイパネルは、その構造や動作原理上、高強度の漏洩電磁波を発生させるため、人体に悪影響を与えるおそれがあり、またプラズマディスプレイパネルから発生する近赤外光線が、周辺の電子機器に作用し誤作動を発生させる等の問題が生じている。そのため、プラズマディスプレイパネルの前面に、電磁波や近赤外光線の漏洩を防止するフィルターを設けることにより、上記問題に対応している。このようなプラズマディスプレイパネル用前面フィルターに用いられる電磁波シールドフィルムとしては、高シールド性のメッシュタイプや、中低シールド性の導電膜タイプ等があるが、低コスト化等の点で、導電膜タイプの需要増加が、今後見込まれる。上記導電膜タイプの電磁波シールドフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の高分子フィルム基材の表面に、導電層である銀層と、高屈折率層である金属酸化物層とを交互に積層したものが用いられている。上記銀層や金属酸化物層は、通常、スパッタ法等の真空蒸着法により形成されている。スパッタ法によると、材料コスト、製造コストの点において割高であるといったデメリットを有するものの、安定した品質の薄膜を生成し得ることから、現状ではこの成膜法が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、比較的低コストな成膜方法として、液相法であるウェットコーティング法も提案されており、上記スパッタ法に代わる成膜方法として注目されている。そして、本出願人は、上記ウェットコーティング法を応用し、電磁波シールドフィルムを製造する技術を既に提案している。すなわち、有機チタン化合物をウェットコーティングし、その後、ゾルゲル反応によって、酸化チタン膜を成膜し、これと銀膜とを、基材上に積層し、電磁波シールドフィルムを製造する技術を提案している(特許文献2参照)。
特開平11−177277号公報
特開2003−5659公報
しかしながら、ゾルゲル反応により有機チタン化合物を酸化チタン膜へと生成させるには、一般的に、200℃以上の高温で熱処理を行うことにより、上記反応を充分に進行させる必要がある。ところが、PETフィルムのような耐熱性に劣る高分子フィルム等を基材とした場合、上記のような高温での熱処理を行うことができないため、成膜される酸化チタン膜中に未反応の有機チタン化合物が残存しやすく、その結果、屈折率が不充分(屈折率:1.8程度かそれ未満)となりやすいといった問題がある。また、このようにして成膜された酸化チタン膜は、その屈折率や膜厚が、熱や湿熱により変化しやすく、安定性の面でも劣るといった傾向がみられることから、これらの改善が望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低コストで、高屈折率化と安定化の両立を図ることができる透明電磁波シールドフィルムおよびその製法、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイパネル用前面フィルターおよびプラズマディスプレイの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、高分子フィルムの表面に、高屈折率膜と、銀を主成分とする金属膜とを、交互に複数層積層してなる透明電磁波シールドフィルムであって、上記高屈折率膜の少なくとも1層が、下記の(a)を主成分とし、下記の(b)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成されている透明電磁波シールドフィルムを第1の要旨とする。
(a)チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物。
(b)βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の添加剤。
(a)チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物。
(b)βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の添加剤。
また、本発明は、上記第1の要旨の透明電磁波シールドフィルムの製法であって、高屈折率膜形成材料のコーティングと、これに対する紫外線照射と、その照射によって生成された高屈折率膜上に金属膜を形成する工程とを繰り返すことにより透明電磁波シールドフィルムを製造するに際し、高分子フィルムから最も遠い表面の高屈折率膜以外の高屈折率膜を、その材料のコーティングおよび紫外線照射によって屈折率1.9未満の薄膜となるよう生成し、順次積層される膜の生成時の紫外線照射の繰り返しにより、上記屈折率1.9未満の薄膜を、最終的に屈折率1.9以上の薄膜となるようにする透明電磁波シールドフィルムの製法を第2の要旨とする。
さらに、本発明は、上記第1の要旨の透明電磁波シールドフィルムを用いてなるプラズマディスプレイパネル用前面フィルターを第3の要旨とし、このプラズマディスプレイパネル用前面フィルターを用いてなるプラズマディスプレイを第4の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、前記改善を実現すべく研究を重ねる過程で、高熱処理を行うことなく、有機チタン化合物のゾルゲル反応を充分に進行させるための手法について集中して研究を行った結果、有機チタン化合物溶液の塗工面に対し、紫外線照射を行うと、有機チタン化合物の光分解反応が進行するとともに、チタン−酸素を含む化合物の縮合と緻密化が生じるため、高屈折率でしかも安定性の高い酸化チタン膜(高屈折率膜)を成膜し得ることを突き止めた。そして、本発明者らは、上記紫外線照射との兼ね合いにおいて、電磁波シールドフィルムとしての諸性能をより向上させるための最適材料の選択や組み合わせ、各層の最適な成膜方法、最適な積層構造等について、更なる研究を重ねた。その結果、電磁波シールドフィルムにおける上記高屈折率膜の少なくとも1層を、特定の有機チタン化合物(a成分)を主成分とし、特定の添加剤(b成分)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成すると、その有機チタン化合物と添加剤とによって紫外線吸収性キレートが形成されたところに紫外線照射がなされることから、高屈折率かつ安定性の高い膜の形成が実現し、その結果、この電磁波シールドフィルムが、従来品よりも高性能となることを突き止め、本発明に到達した。
ところで、上記透明電磁波シールドフィルム作製時において、その高分子フィルム基材の表面に、高屈折率膜と、銀を主成分とする金属膜とを交互に複数層積層するに際し、その高屈折率膜をはじめから高屈折率(屈折率1.9以上)となるよう形成すると、場合によっては、3層積層付近で高屈折率膜にクラックが発生することがあった。このことに鑑み、本発明者が研究を重ねたところ、上記クラックの原因は、下層に形成された高屈折率膜が、上層形成時の紫外線照射に影響を受け、過剰に硬化収縮したためであることがわかった。この知見のもと、本発明者らが更に鋭意研究を重ねた結果、下層の屈折率をはじめから1.9以上となるよう形成せず、上層形成時の紫外線照射の影響を計算に入れたうえで、最終的に屈折率1.9以上の薄膜となるようにすると、本発明の電磁波シールドフィルムとしての性能を損なわずに、クラック抑制を図ることができることも突き止めた。
以上のように、本発明の透明電磁波シールドフィルムは、高分子フィルムの表面に、高屈折率膜と、銀を主成分とする金属膜とを、交互に複数層積層してなるものであって、上記高屈折率膜の少なくとも1層が、特定の有機チタン化合物(a成分)を主成分とし、特定の添加剤(b成分)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成されている。そのため、電磁波や近赤外線光の漏洩を有効に防止できるとともに、その基材(高分子フィルム)に収縮・劣化が見られず、製品性に優れ、しかも、低コストで、高屈折率化と安定化の両立が従来以上になされることから、商品価値の高いものとなる。また、その層間の接着性が高いことから、長寿命で耐久性に優れ、しかも、柔軟性にも優れることから、例えば、曲面を持った透明プラスチック基板等の上に貼り付けて用いることもできる。
特に、上記特定の有機チタン化合物(a成分)を主成分とし、特定の添加剤(b成分)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成された高屈折率膜の屈折率が1.9以上であると、高透明、低反射とすることができ、特にプラズマディスプレイ用途において優れた機能を発揮することができる。
また、上記特定の有機チタン化合物(a成分)が、テトラ−n−ブトキシチタンの4量体または7量体であると、高屈折率膜でのクラック発生を、より抑えることができる。
さらに、上記特定の添加剤(b成分)が、アセチルアセトンであると、上記特定の有機チタン化合物との反応性等に優れ、より高屈折率な膜を形成することができる。
また、上記コーティング膜の材料における、上記特定の添加剤(b成分)の割合が、上記有機チタン化合物(a成分)におけるチタン原子に対し、特定の範囲に設定されていると、高屈折率膜でのクラック発生を、より抑えることができる。
さらに、上記金属膜の厚みが5〜20nmの範囲に設定されていると、電磁波シールド性や透明性の点で、より優れた性能を得ることができる。
そして、上記高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成されていると、低コストで透明性(視認性)に優れる。
また、高屈折率膜形成材料のコーティングと、これに対する紫外線照射と、その照射によって生成された高屈折率膜上に金属膜を形成する工程とを繰り返すことにより上記透明電磁波シールドフィルムを製造するに際し、上記高分子フィルムから最も遠い表面の高屈折率膜以外の高屈折率膜を、その材料のコーティングおよび紫外線照射によって屈折率1.9未満の薄膜となるよう生成し、順次積層される膜の生成時の紫外線照射の繰り返しにより、上記屈折率1.9未満の薄膜を、最終的に屈折率1.9以上の薄膜となるように製造すると、その製造時にクラックを発生させることなく、高品質のフィルムを得ることができる。
さらに、本発明の透明電磁波シールドフィルムを用いたプラズマディスプレイパネル用前面フィルターならびにプラズマディスプレイは、電磁波や近赤外線光の漏洩を有効に防止できるとともに、低コストで耐久性に優れている。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の透明電磁波シールドフィルムとしては、例えば、図1に示すような層構造のものがあげられる。すなわち、図1の透明電磁波シールドフィルム5は、高分子フィルム1の表面に、高屈折率膜2と、銀を主成分とする金属膜3とが交互に複数層積層してなる電磁波シールド層4が形成され、構成されている。そして、本発明においては、上記高屈折率膜2の少なくとも1層が、特定の有機チタン化合物(a成分)を主成分とし、特定の添加剤(b成分)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成されていることが最大の特徴である。すなわち、上記特定の有機チタン化合物(a成分)中に、上記特定の添加剤(b成分)を含有すると、紫外線吸収性キレートが形成されるようになるため、この混合材料のコーティング膜に紫外線照射を施すことにより、上記紫外線吸収性キレートに紫外線が作用し、高屈折率の酸化チタン膜が、容易かつ高品質に形成されるようになるのである。なお、上記金属膜3は、上記のとおり銀を主成分とするのであるが、これは、殆どが銀からなり、他の少量の金属を含む場合を含める趣旨であり、全体が銀のみからなる場合も含まれる。また、本発明の電磁波シールドフィルムは、透明性(可視光透過率が70%以上)が要求されることから、各層の厚み等は、それに準じるよう適宜設定される必要がある。さらに、上記特定の有機チタン化合物(a成分)を主成分とし、特定の添加剤(b成分)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成された高屈折率膜の屈折率が1.9以上であると、高透明、低反射とすことができ、特にプラズマディスプレイ用途において優れた機能を発揮することができるため、好ましい。より好ましくは、屈折率が1.9〜2.1の範囲である。そして、上記高屈折率膜2は、その全層の屈折率が1.9以上であると好ましいが、そのうちの1〜2層が、屈折率1.9未満であってもよい。
上記高分子フィルム1としては、可視光領域(光線の波長が380〜780nm程度)において透明性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるフィルムがあげられる。これらのなかでも、低コストで、透明性に優れる点で、PETフィルムが好適に用いられる。
この高分子フィルム1の厚みは、通常、10〜500μm、好ましくは25〜250μmである。
上記高屈折率膜2の形成に用いる特定の有機チタン化合物(a成分)としては、チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物が用いられる。これらの有機チタン化合物は、光分解性、光還元性等の特異な光化学特性を備えているため、この溶液を用いてコーティングおよび紫外線照射を行うと、所望する高屈折率な膜を短時間で作製できるようになるとともに、有機成分の残存量が少ないため、その後の反応も起こりにくく、高屈折率膜2の安定性が得られるようになる。
上記チタン系アルコキシド類の化合物としては、M−O−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラメトキシチタン等が好適に用いられる。また、上記チタン系アシレート類の化合物としては、例えば、M−O−CO−R結合(RおよびMは、前記と同様である)を有する化合物であれば特に限定はなく、ヒドロキシチタンステアレート等が好適に用いられる。これら化合物は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
ここで、下層の高屈折率膜2形成時の紫外線照射を調節して、その膜の屈折率を1.9未満とし、その後の各層に対する紫外線照射を勘案し、最終的に全層の高屈折率膜2の屈折率が1.9以上となるよう紫外線照射を行う場合は、上記有機チタン化合物(a成分)として、クラック発生を抑制し、高屈折率で安定性に優れる高屈折率膜を形成し得るといった点から、テトラ−n−ブトキシチタンの4量体または7量体を用いることが、性能等の点から好ましい。
上記a成分の有機チタン化合物とともに用いられる特定の添加剤(b成分)としては、βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種が用いられる。すなわち、これら特定の添加剤は、上記有機チタン化合物のアルコキシド基との反応性と安定性の点で優れるからである。そして、上記β−ジケトン類としては、アセチルアセトン,ベンゾイルアセトン,アセト酢酸エチル,アセト酢酸メチル,マロン酸ジエチル等があげられる。また、上記アルコキシアルコール類としては、2−メトキシエタノール,2−エトキシエタノール,2−メトキシ−2−プロパノール等があげられる。さらに、上記アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン等があげられる。これら添加剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に好適なのはβ−ジケトン類であり、なかでも、アセチルアセトンが最適である。
なお、上記特定の添加剤(b成分)以外にも、必要に応じ、エチレングリコール,ポリエチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ポリプロピレングリコール等のグリコール類を併用してもよい。
そして、上記特定の添加剤(b成分)の含有割合が、上記有機チタン化合物(a成分)におけるチタン原子1molに対し、0.1〜2molの範囲であると、高屈折率膜2でのクラック発生をより抑えることができ、好ましい。
ここで、上記高屈折率膜2の形成に際し調製されるコーティング材料において、上記特定の有機チタン化合物(a成分)および特定の添加剤(b成分)を溶解させる有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノール,ヘプタノール等のアルコール類や、酢酸エチル等の有機酸エステルや、アセトニトリル,アセトン,エチルメチルケトン等のケトン類や、テトラヒドロフラン,ジオキサン等のシクロエーテル類や、ホルムアミド,N.N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、ヘキサン等の炭化水素類や、トルエン等の芳香族類があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
そして、上記高屈折率膜2の厚みは、透明性や色調の観点から、10〜150nmの範囲が好ましく、特に好ましくは20〜100nmである。
上記高屈折率膜2とともに、交互に複数層、積層形成される、銀を主成分とする金属膜3の材料としては、純銀の他、銀系合金であっても差し支えない。また、必要に応じ、金系金属やパラジウム系合金等を、この材料に加えても差し支えない。
また、銀を主成分とする金属膜3の厚みは、電磁波シールド性と透明性の両立を考慮して、5〜20nmの範囲内が好ましく、特に好ましくは7〜15nmの範囲内である。
上記高分子フィルム1上に積層形成される電磁波シールド層4は、上記高屈折率膜2と、上記金属膜3とを、交互に合計7層積層し構成されていると、優れた可視光透過性(視認性)および電磁波シールド性を得ることができ、特にプラズマディスプレイ用途において優れた機能を発揮することができるため、好ましい。また、透明性および金属膜3の劣化防止の観点から、高分子フィルム1から最も遠い表面には、高屈折率膜2が位置決めされているものが好ましい。
本発明の透明電磁波シールドフィルム5は、例えばつぎのようにして製造することができる。
すなわち、まず、特定の有機チタン化合物(a成分)と特定の添加剤(b成分)とを有機溶媒中に溶解し、紫外線吸収性キレートが形成されたコーティング液を調製する。他方、高分子フィルム1を準備し、この高分子フィルム1の表面に、上記コーティング液を、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、バーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法等のうちの適宜の方法により塗布し、80〜100℃の範囲で乾燥させるとともに、高圧水銀ランプ等の紫外線照射機によって紫外線照射を行うことにより、所定の屈折率を有する高屈折率膜2を形成する。この場合、紫外線照射の際の光量は、好ましくは300〜8000mJ/cm2 の範囲内であり、より好ましくは500〜5000mJ/cm2 の範囲内である。すなわち、光量が300mJ/cm2 未満であると、高屈折率膜2の高屈折率化を図りにくく、逆に8000mJ/cm2 を超えると、光量が強すぎるため、高分子フィルム1が、上記紫外線照射の際に生じる熱により変形するおそれがあるからである。
つぎに、この高屈折率膜2の表面に、低温スパッタリング法等により銀膜等の金属膜3を形成する。この場合、上記低温スパッタリング法は、例えば、高屈折率膜2の表面を酸素グロー放電により曝した後、ターゲットに純銀等の金属、スパッタガスにアルゴンガス等を用いて、マグネトロン直流スパッタリング法により、低温で銀等の金属膜3を形成することにより行われる。上記低温スパッタリングの条件としては、特に限定はないが、好ましくは、電力:1kW(1.56W/cm2 )、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、ターゲット/基材間距離:6〜8cm、ライン線速1.3m/分である。
そして、上記のような紫外線照射による高屈折率膜2の形成と、低温スパッタリング法等による、銀を主成分とする金属膜3の形成を交互に行う。このようにして、高分子フィルム1の表面に、高屈折率膜2と上記金属膜3が交互に(合計7層)積層されてなる電磁波シールド層4が形成され、その結果、図1に示すような透明電磁波シールドフィルムを得ることができる。
なお、上記高屈折率膜2と、上記金属膜3とを交互に7層等の複数層積層して電磁波シールド層4を形成するに際し、その高屈折率膜2をはじめから所望する屈折率(1.9以上)となるよう形成すると、高屈折率膜2の材料である有機チタン化合物(a成分)の種類や添加剤(b成分)の含有割合等に起因し、3層積層付近で高屈折率膜2にクラックが発生することがある。このような場合には、下層になる高屈折率膜2は、その屈折率をはじめから1.9以上となるよう形成せず、上層形成時の紫外線照射の影響を計算に入れたうえで、最終的に屈折率1.9以上の薄膜となるようにすると、本発明の電磁波シールドフィルムとしての性能を損なわずに、クラック抑制を図ることができ、好ましい。
そして、このようにして得られた透明電磁波シールドフィルム5は、プラズマディスプレイパネル(PDP)本体表面に粘着剤で貼り付けて用いたり、あるいはPDP用前面フィルターの透明電磁波シールドフィルムとして用いることができる。
本発明の透明電磁波シールドフィルムを用いたPDP用前面フィルターとしては、例えば、図2に示すように、厚み2.5mmのガラス基板21の片面21aに粘着剤層22を介して前記本発明の透明電磁波シールドフィルム5の高分子フィルム1(厚み100μm)面側を積層し、この透明電磁波シールドフィルム5の電磁波シールド層4の最表面に位置決めされている高屈折率膜2(図1参照)の表面に、粘着剤層22を介して、従来公知の反射防止フィルム23を積層接着する。そして、上記ガラス基板21の他面21bに、粘着剤層22を介して、上記と同様の反射防止フィルム23を積層したものがあげられる。なお、図において、矢印Aは人間側であり、矢印Bはパネル側である。
上記基板21としては、上記ガラス基板以外に、透明樹脂成型板等があげられる。
そして、上記粘着剤層22用材料としては、例えば、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等があげられる。
また、本発明の透明電磁波シールドフィルムを用いたPDP用前面フィルターとしては、上記図2の構成に限定されるものではなく、例えば、色調調整のための色素を添加した色素添加フィルムを、透明電磁波シールドフィルム5と反射防止フィルム23との間に介在させてもよい。
なお、本発明の透明電磁波シールドフィルムの使用用途は、上記のようなPDP用電磁波シールドフィルム以外にも、例えば、LCD・EC・EL・FED等の表示用ガラス基板,タッチパネルガラス,太陽電池用透明導電ガラス(TCO)基板(a−Si系、CdTe系、CIS系)といった他の透明導電性付与用途や、防眩フィルム,融雪ガラス,車両用ガラス,冷却ショーケース用ガラス,暖房用パネルヒーター,調理用パネルヒーター等といった電熱性付与用途や、計測機器用ガラス窓,CRT用パネルガラス,インテリジェントビルガラス等といった帯電防止性付与用途や、反射防止フィルム,反射防止ガラス,熱線反射ガラス,熱線遮断ガラス,紫外線遮断ガラス等といった光制御性付与用途や、さらには、ガスバリアー性付与用途、耐蝕性付与用途、眼鏡等のハードコート用途があげられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、テトラ−n−ブトキシチタン7量体(日本曹達社製)6重量部(以下、「部」と略す)と、アセチルアセトン1.5部とを、n−ブタノール62.5部およびイソプロピルアルコール(IPA)30部による混合溶媒に配合し、これを攪拌機を用いて10分間混合し、コーティング溶液を調製した。そして、このコーティング溶液を用いて、以下のようにして、透明電磁波シールドフィルムを作製した。
〔透明電磁波シールドフィルムの作製〕
PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルム表面に、上記コーティング溶液をグラビアコーターによりコーティングし、その後、80℃で1分間の乾燥を行った。続いて、高圧水銀ランプ(240W/cm)により、5m/minで1回紫外線照射(光量:800mJ/cm2 )し、酸化チタン膜(厚み35nm)を形成した。なお、この酸化チタン膜の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、波長633nmにおいて屈折率1.80を示した。つづいて、この酸化チタン膜の表面上に、ターゲットに純銀(純度:4N、126mm×506mmサイズ)、スパッタガスにアルゴンガスを用いて、直流マグネトロンスパッタ法〔電力:1kW(1.56W/cm2 )、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、成膜部開口長:5cm、ターゲット/基材間距離:7cm〕により、ライン線速2m/分にて、銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記紫外線照射による酸化チタン膜の形成と、直流マグネトロンスパッタ法による銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、酸化チタン膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。ここで、上記酸化チタン膜形成時の紫外線照射は、上記PETフィルムから最も遠い表面の酸化チタン膜のみ、3m/minで1回の照射(光量:1300mJ/cm2 )で行い、それ以外の酸化チタン膜における紫外線照射は、上述のように5m/minで1回の照射(光量:800mJ/cm2 )で行った。
PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルム表面に、上記コーティング溶液をグラビアコーターによりコーティングし、その後、80℃で1分間の乾燥を行った。続いて、高圧水銀ランプ(240W/cm)により、5m/minで1回紫外線照射(光量:800mJ/cm2 )し、酸化チタン膜(厚み35nm)を形成した。なお、この酸化チタン膜の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、波長633nmにおいて屈折率1.80を示した。つづいて、この酸化チタン膜の表面上に、ターゲットに純銀(純度:4N、126mm×506mmサイズ)、スパッタガスにアルゴンガスを用いて、直流マグネトロンスパッタ法〔電力:1kW(1.56W/cm2 )、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、成膜部開口長:5cm、ターゲット/基材間距離:7cm〕により、ライン線速2m/分にて、銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記紫外線照射による酸化チタン膜の形成と、直流マグネトロンスパッタ法による銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、酸化チタン膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。ここで、上記酸化チタン膜形成時の紫外線照射は、上記PETフィルムから最も遠い表面の酸化チタン膜のみ、3m/minで1回の照射(光量:1300mJ/cm2 )で行い、それ以外の酸化チタン膜における紫外線照射は、上述のように5m/minで1回の照射(光量:800mJ/cm2 )で行った。
そして、このようにして得られた透明電磁波シールドフィルムにおいて、上記7層積層後の酸化チタン膜各層の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、各々全て、波長633nmにおいて屈折率1.92〜1.95の範囲内であった。
まず、テトラ−n−ブトキシチタン4量体(日本曹達社製)6部と、アセチルアセトン3部とを、n−ブタノール62.5部およびイソプロピルアルコール(IPA)30部による混合溶媒に配合し、これを攪拌機を用いて10分間混合し、コーティング溶液を調製した。そして、このコーティング溶液を用いて、以下のようにして、透明電磁波シールドフィルムを作製した。
〔透明電磁波シールドフィルムの作製〕
PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルム表面に、上記コーティング溶液をグラビアコーターによりコーティングし、その後、80℃で1分間の乾燥を行った。続いて、高圧水銀ランプ(240W/cm)により、5m/minで1回紫外線照射(光量:800mJ/cm2 )し、酸化チタン膜(厚み35nm)を形成した。なお、この酸化チタン膜の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、波長633nmにおいて屈折率1.78を示した。つづいて、この酸化チタン膜の表面上に、ターゲットに純銀(純度:4N、126mm×506mmサイズ)、スパッタガスにアルゴンガスを用いて、直流マグネトロンスパッタ法〔電力:1kW(1.56W/cm2 )、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、成膜部開口長:5cm、ターゲット/基材間距離:7cm〕により、ライン線速2m/分にて、銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記紫外線照射による酸化チタン膜の形成と、直流マグネトロンスパッタ法による銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、酸化チタン膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。ここで、上記酸化チタン膜形成時の紫外線照射は、上記PETフィルムから最も遠い表面の酸化チタン膜のみ、3m/minで1回の照射(光量:1300mJ/cm2 )で行い、それ以外の酸化チタン膜における紫外線照射は、上述のように5m/minで1回の照射(光量:800mJ/cm2 )で行った。
PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルム表面に、上記コーティング溶液をグラビアコーターによりコーティングし、その後、80℃で1分間の乾燥を行った。続いて、高圧水銀ランプ(240W/cm)により、5m/minで1回紫外線照射(光量:800mJ/cm2 )し、酸化チタン膜(厚み35nm)を形成した。なお、この酸化チタン膜の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、波長633nmにおいて屈折率1.78を示した。つづいて、この酸化チタン膜の表面上に、ターゲットに純銀(純度:4N、126mm×506mmサイズ)、スパッタガスにアルゴンガスを用いて、直流マグネトロンスパッタ法〔電力:1kW(1.56W/cm2 )、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、成膜部開口長:5cm、ターゲット/基材間距離:7cm〕により、ライン線速2m/分にて、銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記紫外線照射による酸化チタン膜の形成と、直流マグネトロンスパッタ法による銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、酸化チタン膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み70nm。2回コーティングによる)/銀膜(厚み10nm)/酸化チタン膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。ここで、上記酸化チタン膜形成時の紫外線照射は、上記PETフィルムから最も遠い表面の酸化チタン膜のみ、3m/minで1回の照射(光量:1300mJ/cm2 )で行い、それ以外の酸化チタン膜における紫外線照射は、上述のように5m/minで1回の照射(光量:800mJ/cm2 )で行った。
そして、このようにして得られた透明電磁波シールドフィルムにおいて、上記7層積層後の酸化チタン膜各層の屈折率をSCI社製FilmTek3000により測定したところ、各々全て、波長633nmにおいて屈折率1.90〜1.93の範囲内であった。
厚み2.5mmのガラス基板の片面に、アクリル系粘着剤を介して、実施例1の透明電磁波シールドフィルムのPETフィルム面側を貼り付けた。つぎに、上記透明電磁波シールドフィルムの電磁波シールド層の表面に、アクリル系粘着剤を介して、反射防止フィルム(フィルム基材面側)を貼り付けた。また、上記ガラス基板の他面にも、アクリル系粘着剤を介して、反射防止フィルム(フィルム基材面側)を貼り付けた。このようにして、PDP用前面フィルターを作製した。なお、上記反射防止フィルムは、フィルム基材(厚み50μm)の表面に、屈折率1.37の反射防止用塗料を乾燥厚み100nmで塗工して反射防止層を形成してなるものである。
実施例1の透明電磁波シールドフィルムに代えて、実施例2の透明電磁波シールドフィルムを用いる以外は、実施例3と同様にして、PDP用前面フィルターを作製した。
〔比較例1〕
まず、PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルムの表面に、直流マグネトロンスパッタ蒸着装置を用いてZnOを蒸着し、ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)を形成した。つぎに、このZnOスパッタ薄膜の表面に、直流マグネトロンスパッタ蒸着装置を用いて銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記ZnOのスパッタ薄膜の形成と、銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み70nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み70nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。
まず、PETフィルム(厚み100μm)を準備し、このPETフィルムの表面に、直流マグネトロンスパッタ蒸着装置を用いてZnOを蒸着し、ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)を形成した。つぎに、このZnOスパッタ薄膜の表面に、直流マグネトロンスパッタ蒸着装置を用いて銀膜(厚み10nm)を形成した。その後も、上記ZnOのスパッタ薄膜の形成と、銀膜の形成を交互に行った。このようにして、PETフィルムの表面に、電磁波シールド層、すなわち、ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み70nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み70nm)/銀膜(厚み10nm)/ZnOのスパッタ薄膜(厚み35nm)が合計7層積層されてなる透明電磁波シールドフィルムを作製した。
〔比較例2〕
実施例1の透明電磁波シールドフィルムに代えて、比較例1の透明電磁波シールドフィルムを用いる以外は、実施例3と同様にして、PDP用前面フィルターを作製した。
実施例1の透明電磁波シールドフィルムに代えて、比較例1の透明電磁波シールドフィルムを用いる以外は、実施例3と同様にして、PDP用前面フィルターを作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
〔可視光透過率〕
可視光透過率は、JIS R 3106に準拠して測定した。
可視光透過率は、JIS R 3106に準拠して測定した。
〔可視光反射率〕
可視光反射率は、JIS R 3106に準拠して、電磁波シールド層の形成されている面から入射し測定した。
可視光反射率は、JIS R 3106に準拠して、電磁波シールド層の形成されている面から入射し測定した。
〔近赤外線カット率〕
波長850nmにおける透過率を近赤外線カット率とした。
波長850nmにおける透過率を近赤外線カット率とした。
〔表面抵抗〕
電磁波シールド性能として、その電磁波シールド層側の表面抵抗を、うず電流計により測定した。なお、実施例3および4、比較例2については、反射防止フィルム貼着前の電磁波シールド層の表面抵抗を測定した。
電磁波シールド性能として、その電磁波シールド層側の表面抵抗を、うず電流計により測定した。なお、実施例3および4、比較例2については、反射防止フィルム貼着前の電磁波シールド層の表面抵抗を測定した。
〔耐久性〕
60℃×90%RHで500時間放置した後、10cm2 当たりの点欠陥数(0.5mm径以上)を目視で観察した。
60℃×90%RHで500時間放置した後、10cm2 当たりの点欠陥数(0.5mm径以上)を目視で観察した。
上記結果から、全実施例品は、可視光透過率、可視光反射率、近赤外線カット率および電磁波シールド性能(表面抵抗)について、優れた性能を備えていることがわかる。また、実施例品は比較例品に比べて低コストで、耐久性に優れていることもわかる。なお、実施例品においては、基材(PETフィルム)の熱変形や、各層のクラックは一切確認されなかった。
これに対し、比較例品は、高コストで、電磁波シールドフィルム単体や、前面フィルター構成品における耐久性試験において、欠陥が数多く発生しており、耐久性に問題がある。
1 高分子フィルム
2 高屈折率膜
3 金属膜
4 電磁波シールド層
5 透明電磁波シールドフィルム
2 高屈折率膜
3 金属膜
4 電磁波シールド層
5 透明電磁波シールドフィルム
Claims (10)
- 高分子フィルムの表面に、高屈折率膜と、銀を主成分とする金属膜とを、交互に複数層積層してなる透明電磁波シールドフィルムであって、上記高屈折率膜の少なくとも1層が、下記の(a)を主成分とし、下記の(b)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成されていることを特徴とする透明電磁波シールドフィルム。
(a)チタン系アルコキシド類およびチタン系アシレート類の少なくとも一種の有機チタン化合物。
(b)βジケトン類、アルコキシアルコール類およびアルカノールアミン類からなる群から選ばれた少なくとも一種の添加剤。 - 上記(a)を主成分とし、上記(b)を含有するコーティング膜の紫外線照射によって形成された高屈折率膜の屈折率が1.9以上である請求項1記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 上記(a)の有機チタン化合物が、テトラ−n−ブトキシチタンの4量体または7量体である請求項1または2記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 上記(b)の添加剤が、アセチルアセトンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 上記コーティング膜の材料における、(b)の添加剤の割合が、(a)の有機チタン化合物におけるチタン原子1molに対し、0.1〜2molの範囲に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 上記金属膜の厚みが5〜20nmの範囲に設定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 上記高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレートによって形成された請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルム。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルムの製法であって、高屈折率膜形成材料のコーティングと、これに対する紫外線照射と、その照射によって生成された高屈折率膜上に金属膜を形成する工程とを繰り返すことにより透明電磁波シールドフィルムを製造するに際し、高分子フィルムから最も遠い表面の高屈折率膜以外の高屈折率膜を、その材料のコーティングおよび紫外線照射によって屈折率1.9未満の薄膜となるよう生成し、順次積層される膜の生成時の紫外線照射の繰り返しにより、上記屈折率1.9未満の薄膜を、最終的に屈折率1.9以上の薄膜となるようにすることを特徴とする透明電磁波シールドフィルムの製法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明電磁波シールドフィルムを用いてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面フィルター。
- 請求項9記載のプラズマディスプレイパネル用前面フィルターを用いてなることを特徴とするプラズマディスプレイ。
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2004
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