特開平09−197833号公報
特開2000−066497号公報
従来、電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置で用いられる現像装置としては、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化するものが知られている。この種の現像装置に用いられる現像方式としては、現像剤として着色粒子であるトナーのみを用いる一成分現像方式と、現像剤として磁性体粒子と着色粒子であるトナーとを混合攪拌したものを用いる二成分現像方式とに大別される。
上記二成分現像方式の現像装置としては、画質、維持性、安定性など優れた点が多いことから、トナーを磁性キャリアに混合した現像剤を磁場によって搬送して現像する磁気ブラシ現像方法が広く用いられている。この磁気ブラシ現像方法では、トナーと磁性キャリアとの摩擦で発生した静電気力により、トナーが磁性キャリアの表面に担持されるが、このトナーは、像担持体上の静電潜像に接近すると、静電潜像担持体と現像剤担持体との間に形成される電界によって静電潜像上へ飛翔し、静電潜像を可視像化する。また、現像剤は、現像によって消費されたトナーを補充しながら反復使用される。
しかし、このような磁気ブラシ現像方式においては、トナー濃度(トナーと磁性キャリアの混合比)を一定範囲に保つ制御を行わないと、トナー濃度が上昇した場合には、トナー飛散やカブリが発生する一方、トナー濃度が低下した場合には、濃度斑や画像抜けなどが発生してしまう。したがって、安定した画像を得るためには、トナー濃度を一定に保つ必要がある。
そこで、従来の磁気ブラシ現像方式では、安定した画像を得るためにトナー濃度センサやトナー補給部材を現像装置に搭載して、トナー濃度を一定にする制御を行うように構成されている。例えば、トナー濃度センサによりトナー濃度を検知し、この検知情報に基づいてトナー濃度が低下したと判断した後、トナー補給部材によりトナー補給が行われる。
しかし、この種の磁気ブラシ現像方式にあっては、トナー濃度センサやトナー補給部材が必要不可欠であり、現像装置の大型化、高コスト化が避けられない。また、検知対象の濃度パッチを作成するなど、トナー濃度の検知システムが面倒であるという問題を有している。
このような問題を解決する先行技術としては、トナー濃度センサやトナー補給部材を用いずに、トナー濃度を一定に保つ現像装置が既に提案されている。この現像装置は、二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部と連通し且つトナーを収容するトナー収容部とを有し、現像剤担持体上の二成分現像剤量を規制部材で規制し、現像剤担持体上における二成分現像剤のトナー濃度変化によって、二成分現像剤のトナーの取り込みを自律的に制御することで、トナー濃度を調整するように構成したものである(例えば、特許文献1参照)。
この自律的なトナー濃度の制御方法は、現像剤担持体に担持搬送される現像剤移動層と、現像剤収容部内で現像剤が循環する現像剤循環層とを発生させ、現像剤収容部と連通しているトナー収容部からのトナーを取り込むというものである。つまり、現像工程において、トナーが消費されると、現像剤収容部内に収容された現像剤の嵩が減少し、減少した嵩分のトナーがトナー収容部から現像剤収容部に補給されることで、現像剤収容部内の現像剤は、トナー濃度を保つということである。
また、このような自律的にトナー濃度を調整する現像装置においては、現像剤収容部内に撹拌搬送部材を設け、この撹拌搬送部材により現像剤の撹拌不足による帯電不良を防止する現像装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記先行技術にあっては、いずれもトナー濃度変化に対応した現像剤の体積変化と現像剤の動きとによって、トナー濃度の制御をしているため、現像剤の体積変化や現像剤の動きを顕著にする必要がある。
このような要請下においては、通常の二成分現像方式と比較して、少ない現像剤量で且つ現像剤担持体周辺の現像剤収容部内の現像剤密度を高くする必要があるため、現像剤の循環が悪く、現像剤の動きが活発な箇所と活発でない箇所とが存在して、トナーの取り込みが均一に行われない。また、現像剤量が少ないことから現像剤中に含まれるトナーの絶対量が少ないこと、現像剤密度が高いためトナー濃度が減少しても現像剤の体積変動は緩やかでありトナーの取り込みスピードが遅いことから、トナー消費の激しい高密度画像を連続で出力する際に現像剤担持体上へのトナーの供給が十分に行われず、所望の濃度が得られない。
また、予め現像剤量を少なく設定しなければならないため、1つの磁性キャリアにかかるストレスが大きくなり、磁性キャリアの寿命が短くなる。つまり、ランニングコストが上昇し、また、応答性が遅いため、高密度画像の濃度を確保できない。
さらに、現像装置が軸方向(長手方向)に傾斜して配置された場合には、軸方向におけるトナー濃度が不均一となり、画像むら等が発生するという問題を生じていた。
そこで、本出願人は、上記の問題点を解決するために、図15に示されるような現像装置を既に提案している。
この特願2004−154503号に係る現像装置100は、図15に示されるように、二成分現像剤を磁力により担持搬送する現像剤担持体132と、二成分現像剤を収容する現像剤収容部133と、トナーを現像剤収容部133に供給可能に収容するトナー収容部135と、現像剤収容部133に隣接し現像剤収容部133と連通する現像剤退避部134と、現像剤担持体132により担持搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、トナー濃度に応じて現像剤収容部133又は現像剤退避部134に余剰現像剤を分離する現像剤分離手段と、現像剤分離手段により分離された余剰現像剤を現像剤収容部133又は現像剤退避部134に導入すると共に互いを仕切る現像剤仕切部材139と、現像剤を撹拌搬送する複数の現像剤撹拌搬送部材136a,136bとを備え、現像剤仕切部材139の下端の軸方向略1/3の中央部領域には、トナー供給路137に連通するトナー供給口が形成されていると共に、軸方向両端部は、現像剤退避部134に導入された二成分現像剤が、トナー収容部135からのトナーを取り込まずに現像剤収容部133に流入するように構成したものである。そして、これにより、トナー濃度に応じた二成分現像剤の流動性変化、嵩変化に加えて、磁気吸引力の変化を利用して、自律的な濃度制御を実現すると共に、中央部に形成されたトナー供給口からのみトナー収容部135のトナーを取り込み、両端部においては、現像剤収容部133とトナー収容部135とを遮蔽することにより、現像装置が軸方向に傾斜配置された場合の、二成分現像剤の偏りによる軸方向のトナー濃度の不均一化の防止を図ったものである。
<実施の形態1>
以下に、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施の形態1に係る現像装置を含む画像形成装置の概略構成について、図1を参照して説明する。
図1に示されるように、本発明に係る現像装置が適用される画像形成装置10は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に静電電位の差による潜像が形成される感光体ドラム21を備えており、この周囲に、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる帯電装置22と、感光体ドラム21に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置23と、感光体ドラム21上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置24と、感光体ドラム21と対向し、被記録媒体28を挟んで感光体ドラム21との間に転写バイアス電界を生成する転写ロール26と、トナー像の転写後に感光体ドラム21に残留するトナーを除去するクリーニング装置29とが設けられている。そして、感光体ドラム21と転写ロール26との対向部(ニップ部)の上流側から被記録媒体28を供給するようになっており、下流側には被記録媒体28上に転写された未定着トナー像を加熱溶融し被記録媒体28に圧着する定着装置50が設けられている。ここで、感光体ドラム21は、矢印方向に回転する金属製ドラムの表面に有機感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等からなる感光体層を形成したものを用いることができる。また、帯電装置22は、ステンレススチール、アルミニウム等の導電性を有する金属のロールに高抵抗材料のコーティングを施したものであり、感光体ドラム21に当接され、従動回転するようになっている。そして、所定の電圧が印加されることにより、該ロールと感光体ドラム21との接触部近傍における微小間隙内で継続的な放電を生じ、感光体ドラム21の表面をほぼ一様に帯電するものである。露光装置23は、レーザ書込み装置やLEDアレイを有し、画像信号に基づいて点滅するレーザ光を発生し、これをポリゴンミラーによって感光体ドラム21の主走査方向にスキャンするものであり、これにより感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は、光の当たった部分の感光体ドラム21の表面電位が低下し、光の当たっていない高電位部分とのコントラストによる電位画像として形成される。また、現像装置24は、ハウジング31内に着色粒子であるトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を収容し、現像剤担持体32に二成分現像剤を担持させ、この現像剤担持体32にバイアス電源25からの現像バイアスを印加することで、現像剤担持体32を静電潜像の高電位部と低電位部との中間電位に保持し、静電潜像の画像部を帯電されたトナーにて現像するようにしたものである。さらに、転写装置26は、例えば感光体ドラム21に接触配置される転写ロールにて構成され、バイアス電源27によって感光体ドラム21上のトナー像が引き付けられる方向の転写バイアスが印加されることで、感光体ドラム21上のトナー像を被記録媒体28に転与させるようにしたものである。また、感光体ドラム21上に残留したトナーは、例えばドクターブレード式のクリーニング装置29によって除去される。
また、定着装置50は、例えばヒートロール方式であり、加熱ロール51と加圧ロール52とを有し、この加熱ロール51と加庄ロール52との間に被記録媒体28を通過させることによりトナー像を被記録媒体28に定着するようになっている。
次に、本実施の形態に係る現像装置の詳細について、図2〜図6を参照して説明する。図2は本実施の形態に係る現像装置24を示す平面図であり、簡単化のためせき止め部41を取り外した状態で示している。また、図3は、図2のX−X線に沿った断面図であり、図4は、図2のY−Y線に沿った断面図である。また、図5は現像剤撹拌搬送部材の構成を示す図であり、図6は本実施の形態における現像剤撹拌搬送部材間の突起部の形状を示す図である。
まず、実施の形態1に係る現像装置24の概略構成について、図3及び図4を参照して説明する。
図3に示されるように、現像装置24は、感光体ドラム21に向かって開口するハウジング31を有し、このハウジング31の開口に面して現像剤担持体32が配設され、ハウジング31のうち、現像剤担持体32に隣接した部位には収容された二成分現像剤Gを撹拌搬送する複数の現像剤撹拌搬送部材36a,36bを有する現像剤収容部33と、現像剤担持体32に隣接し、現像剤収容部33に対して現像剤担持体32の現像剤搬送方向下流側に設けられる現像剤退避部34と、現像剤収容部33を介して現像剤担持体32に連通し、トナーT及び現像剤退避部34から流出した二成分現像剤Gを収容するトナー収容部35とが形成されている。また、トナー収容部35には、トナーT及び現像剤退避部34から流出する二成分現像剤Gをトナー収容部35の底壁面に沿って掃き出すように撹拌搬送するトナー撹拌搬送部材351が設けられている。さらに、図4に最も良く示されるように、現像剤収容部33とトナー収容部35とは、軸方向端部において、両者間の二成分現像剤Gの流通が不能となるように、壁面40により互いに遮蔽されている。
なお、本実施の形態において、二成分現像剤Gは、トナーTと磁性キャリアからなる現像剤であり、トナーTは、例えば非磁性トナーを用いるが、磁性キャリアと磁気特性が異なるものであれば、磁性トナーを用いても差し支えない。
また、現像剤担持体32は、反時計回りに回転する回転スリーブ321と、この回転スリーブの内部に固定的に配設された磁極ロール322とを備えている。そして、この磁極ロール322は、例えば7極の磁極(S1〜S3,N1〜N4)にて構成されている。
さらに、搬送磁極(N2)と現像磁極(S1)との間に、現像剤担持体32と対向するようにせき止め部41が配設されている。このせき止め部41は、現像剤担持体32と同程度の幅を有し、一端をハウジング31により支持され、先端部を数十μm〜数百μm程度の間隙で現像剤担持体32に近接させている。そして、例えば、せき止め部41と現像剤担持体32の磁極とにより、トナー濃度に応じて二成分現像剤Gを現像剤収容部33又は現像剤退避部に分離する現像剤分離手段が構成されている。なお、本実施の形態では、せき止め部41に多くの二成分現像剤Gを供給するために、後述する現像剤仕切部材39と現像剤担持体32との間隙は、せき止め部41と現像剤担持体32との間隙よりも広く設定されている。
また、現像剤収容部33と、現像剤退避部34との間には、両者を仕切っている現像剤仕切部材39が配設されている。
この現像剤仕切部材39は、現像剤担持体32と同程度の軸方向の幅で形成され、現像剤担持体32側が上方で、その反対側が下方となるように斜め下方に向かって傾斜配置(本実施の形態においては、水平方向に対して略30°)されたベースプレート39aと、このベースプレート39aの下端から連接し、より急な傾斜角度(水平方向に対して略45°)で斜め下方に傾斜配置されたベースプレート39bとを備えている。このベースプレート39a及び39bの傾斜部長さは傾斜部上を流れる二成分現像剤Gが現像剤収容部33に流れ込むような長さに設定されている。
このように、せき止め部41に近接し、せき止め部41から傾斜部上への二成分現像剤Gの押し出し圧力が作用し易いベースプレート39aを緩やかな傾斜にして、この押し出し圧力が作用し難いベースプレート39bをより急な傾斜にすることにより、仕切部材39上に流出した二成分現像剤Gを第二の現像剤撹拌部材側に円滑に流動させることができる。
そして、ベースプレート39aのうち、現像剤担持体32側に位置する上端部39dは、現像剤担持体32内の搬送磁極(N1)の直上、あるいは搬送磁極(N1)から現像剤搬送方向上流側(時計回り方向側)において、現像剤担持体32の表面と数百μm〜数mmの位置で対向配置されている。
また、上端部39dの反対側であるベースプレート39bの下端部39eには、図2及び図3に示されるように、トナー収容部35側の側面の軸方向中央部の略1/3の領域10Bにおいて、トナー収容部35と現像剤収容部33とを連通させると共に、トナー収容部35からのトナーを巻き込みながら現像剤収容部33へのトナー供給を可能とするトナー供給路37に連通しているトナー供給口37aが形成されている。一方、下端部39eの軸方向両端部の略1/3ずつの領域10A,10Cにおいては、図2及び図4に示されるように、トナー収容部35と現像剤収容部33とを遮蔽する壁面40との間に所定の離隔(約3mm〜6mm)が設定されており、この離隔により仕切部材39上に流出した二成分現像剤Gがトナー収容部35内のトナーを取り込まずに、仕切部材39の傾斜面に沿って現像剤収容部33に直接流入するように構成されている。また、下端部39eの下面においては、第二の現像剤撹拌搬送部材36bの外周面に倣って、この外周面と対向している対向面が、撹拌搬送部材36bの外周面と約1.5mm〜2mmの距離を隔てて形成されている。
このようにトナー供給路37の開口37aを仕切部材39の下端39eの軸方向略中央部のみに設け、端部領域においては、現像剤収容部33とトナー収容部35とを隔壁40で遮蔽することにより、二成分現像剤Gの片寄りによる影響を減少させることができる。さらに、二成分現像剤Gの仕切部材39上の傾斜板フローを軸方向全域に亘って一様に流動させることができ、これにより、現像剤担持体32上の現像剤量(MOS:Mass on Sleeve)を一定に維持し、傾斜板フローの変動に伴うMOSの変動による軸方向の画像濃度ムラを防止することができる。
また、現像剤収容部33は二成分現像剤Gが収容されるスペースを有し、現像剤収容部33内のうち現像剤担持体32に近接した位置に第一の現像剤撹拌搬送部材36a(以下、サプライオーガーともいう)が配設され、この第一の現像剤撹拌搬送部材36aと現像剤担持体32の反対側に隣接し、その回転中心が第一の現像剤撹拌搬送部材36aの回転中心よりも重力方向上方(本実施の形態においては、オーガーシャフト径の略1/2の高さ分上方)に位置し、かつ、第一の現像剤撹拌搬送部材36aと略平行に配置された第二の現像剤撹拌搬送部材36b(以下、アドミックスオーガーともいう)が配設されている。そして、これらの第一及び第二の現像剤撹拌搬送部材36a,36bは、略同一の外径を有し、互いに逆方向に回転(例えば36aが反時計回り、36bが時計回り)するように構成されており、これにより、現像装置24の軸方向端部から端部へと現像剤が往復循環するような流れと、第一及び第二の現像剤撹拌搬送部材36a,36bのそれぞれの現像剤が互いに入れ替わるような流れとが形成可能となっている。
ここで、各現像剤撹拌搬送部材36a,36bは、図5に示されるようなシャフト部36sと、このシャフト部36sの表面にらせん状に形成された羽部36tとを有する、いわゆるスパイラル状のオーガーで構成されている。このようなスパイラル状のオーガーを現像剤撹拌搬送部材として用いることにより、現像剤の周方向の撹拌と軸方向の搬送とをより効率的に行うことができる。
さらに、現像剤収容部33の底部形状は、現像剤担持体32、現像剤撹拌搬送部材36a,36bに沿った湾曲形状に形成されている。そして、現像剤担持体32とサプライオーガー36aとの間には所定間隔の現像剤搬送路が確保されていると共に、サプライオーガー36aとアドミックスオーガー36bとの中間には、それぞれの現像剤撹拌搬送部材36a,36bにより撹拌搬送される二成分現像剤Gが互いに入れ替わり可能なような連通路を形成しつつ、軸方向への搬送を可能とする軸方向の所定の領域に延在している突起部Wが形成されている。
この突起部Wは、具体的には、図2〜図4に示されるように、二成分現像剤Gの端部折り返し領域Reを除いた領域において軸方向に山形に延在し、その頂部Waは仕切部材39の下端面との間に所定の間隙を有し、現像剤撹拌搬送部材36a,36bの両者を完全には隔てないように形成されている。
そして、図6(c)〜(e)に最も良く示されるように、この突起部Wの頂部Waの高さは、現像剤担持体32に近接しているサプライオーガー36aの搬送方向に沿って、その高さが漸増するように形成されている。すなわち、突起部Wの頂部Waと仕切部材39の下端面との間隙は、サプライオーガー36aの搬送方向下流側にいくほど、狭くなるように設定されている。
ここで、本実施形態においては、現像剤撹拌搬送部材として、2個の撹拌搬送部材36a,36bを用いているが、配設数については2個に限定されるものではなく、外径についても必ずしも同一である必要はない。
また、トナー収容部にはトナー供給路37に対応したトナー撹拌搬送部材であるアジテータ351が収容されている。すなわち、このアジテータ351は、図2に示されるように、領域10Bに対応する軸方向中央部の略1/3の領域においては、トナー及び/又は高濃度現像剤(以下、トナー等ともいう)をトナー供給路37側に搬送する搬送羽根351aが支持部材351cに取り付けられている。一方、領域10A,10Cに対応する中央部1/3以外の端部領域においては、トナー収容部35のトナー等を中央部1/3の領域に集めるような羽根が軸線に対して傾斜して折り曲げた形状の掻き寄せフィン351bとして支持部材351cに取り付けられている。なお、この端部領域の羽根は、掻き寄せフィンの代わりにコイルオーガー形状であっても差し支えない。
このようにトナー収容部35内のトナー等が、トナー供給口37aの幅に対応する軸方向の領域10Bに集約するように形成されているので、十分に撹拌混合されたトナー等を所定のトナー供給路37へ速やかに供給することができる。
また、トナー供給路37を形成しているトナー収容部35側の壁面40には、図3に示されるように、中央領域10Bに平坦な頂部を有する規制部40aが形成されており、これにより、トナーあるいは高濃度現像剤が現像剤収容部33側に過剰に押し込まれないように、この規制部40aにてトナー供給路37の上部に一旦トナーを溜める構造となっている。
次に、本実施の形態に係る現像装置24の作動の概要について、図2を参照して説明する。
図2において、現像剤収容部33における二成分現像剤Gは、現像剤撹拌搬送部材36により撹拌され、現像剤担持体32内の汲み取り磁極(N3)によって捕獲される。この後、捕獲された二成分現像剤Gは、汲み取り磁極(N3)及び搬送磁極(S3)の磁気吸引力と現像剤担持体32表面との摩擦力により、現像剤担持体32(回転スリーブ321)の回転方向に搬送される。この搬送された二成分現像剤Gは、現像剤分離手段の一部を構成するせき止め部41の近傍に到達すると、トリミング磁極として作用する搬送磁極(N1)により穂立ちを形成する。さらに、この二成分現像剤Gの穂立ちは、せき止め部41にて規制されることにより、現像剤層として現像剤担持体32上に形成され、この現像剤層は、現像領域に搬送される。そしてさらに、現像領域に搬送された二成分現像剤Gの現像剤層は、現像磁極(S1)の磁気吸引力により磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを形成する二成分現像剤GにおけるトナーTは、感光体ドラム21と現像剤担持体32との間に形成される現像電界によって、感光体ドラム21上の静電潜像を可視像化する。
そして、上述のように構成された現像装置24において、例えば、トナー濃度が低い二成分現像剤Gの場合は、相対的に単位体積当たりの磁性キャリア密度が大きいので、見掛けの透磁率が上昇し、現像剤担持体32に対して現像剤単位体積あたりの磁気吸引力が大きくなる。このため現像剤担持体32との摩擦力が大きくなり、搬送力が大きくなるため、現像剤担持体32により、せき止め部41まで確実に搬送され、せき止め部41のせき止め力に打ち勝って、せき止め部41近傍に滞留している滞留現像剤を押し出す。この押し出された滞留現像剤は、落下現像剤となって現像剤仕切部材39上に落下し、現像剤退避部34を経て、その後、現像剤収容部33又はトナー収容部35へ流れ込む。
このように、トナー濃度の低い二成分現像剤Gが現像剤退避部34に導かれた場合、現像剤収容部33内にはその分だけスペースが作られ、その結果、トナー収容部35から現像剤収容部33に至るまでのトナー供給路37にあった二成分現像剤Gは、現像剤撹拌搬送部材36の搬送力と二成分現像剤Gの自重により、上記スペースに速やかに引き込まれ、トナー供給路37付近の二成分現像剤Gが流動する。これにより、トナー供給路37は、トナー収容部35からのトナーT及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤Gを受け入れ、このトナーT及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤Gは、トナー供給路37を経て現像剤収容部33へと速やかに供給される。ここで、非常に高いトナー濃度の二成分現像剤Gとは、現像剤退避部34からトナー収容部35に流出した二成分現像剤が該トナー収容部35内のトナーと撹拌混合され、磁性キャリアに対するトナー比率が非常に高い二成分現像剤のことである。
一方、トナー濃度が高い二成分現像剤Gの場合は、相対的に単位体積当たりの磁性キャリア密度が小さいので、見掛けの透磁率が低下し、現像剤担持体32に対して現像剤単位体積あたりの磁気吸引力が小さくなる。このため現像剤担持体32による搬送力が小さくなるため、現像剤担持体32上の二成分現像剤Gの多くは、現像剤担持体32の回転方向に対して現像剤仕切部材39の先端よりも上流側の位置で落下してしまう。この結果、二成分現像剤Gは、せき止め部41近傍に滞留している滞留現像剤を押し出すことなく、現像剤仕切部材39の上端部39dより上流側の位置で落下し、直接現像剤収容部33へ戻る。このとき、トナー濃度が低い場合と異なり、現像剤収容部33内にスペースが作られず、トナー供給路37付近の二成分現像剤Gは流動しないので、二成分現像剤Gによりトナー供給路37がふさがれている状態となり、トナー収容部35からトナーT及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤Gは供給されない。
以上のように、本実施の形態に係るトナー補給メカニズムは、トナー濃度に応じた二成分現像剤Gの流動性変化、嵩変化に加えて磁気吸引力の変化を利用したものであり、トナー濃度が低い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われ、トナー濃度が高い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われない構成になっている。
このように構成した現像装置24においては、現像剤収容部33内に、トナー収容部35内のトナーT及び非常に高い濃度の二成分現像剤Gをすばやく取り込むことができるので、高密度画像の連続出力に対応することができると共に、現像剤に対するストレスが軽減され、現像剤の長寿命化、低ランニングコスト化を実現することができる。
また、現像剤収容部33とトナー収容部35の軸方向端部は、両者における二成分現像剤Gの流通を防止するように壁面40により互いに遮蔽されていると共に、現像剤退避部34に分離された二成分現像剤Gは、仕切部材39の下端部39eの略中央部に設けられたトナー供給口37aを介して、トナー収容部35内のトナーを取り込み及びながら現像剤収容部33に供給されるように構成されているので、現像装置24が軸方向に傾斜して配置された場合でも、傾斜配置に伴う現像剤収容部33側からトナー収容部35側への現像剤の逆流や、トナー収容部35側から現像剤収容部33側への過剰なトナーの流入を防止すると共に、傾斜に伴うトナー供給路37の軸方向両端部における現像剤の高低差が低減される。これにより、軸方向の傾斜配置に伴う軸方向のトナー濃度差の発生を抑制し、画像かぶりや画像濃度ムラの少ない良質な画像が得られる現像装置を提供することができる。
さらに、トナー取り込み可能なトナー供給口37aの軸方向幅以外の端部領域においては、現像剤仕切部材39上に導入された二成分現像剤が、トナー収容部35からのトナーを取り込まずに現像剤収容部33に流入し、仕切部材39上の二成分現像剤Gの傾斜板フローが幅方向全域に亘って均一に存在するように構成しているので、仕切部材39上を流れる現像剤フローの流下スピードが現像剤担持体32の軸方向で一様となり、仕切部材39上の傾斜板フローの不均一に基づく、現像剤担持体32上の部分的な層形成量変動が発生せず、一様なプリント濃度を得ることができる。
ところで、上述の複数のオーガー36a,36bのうち、現像剤担持体32に近接したサプライオーガー36aは、例えば、図7に例示されるように、図中右方向に二成分現像剤Gを搬送し、遠い側のアドミックスオーガー36bは、図中左側に二成分現像剤Gを搬送することにより、軸方向のトナー濃度ムラを解消する役割を果たす。また、現像剤収容部33内のトナー濃度が低下した際には、仕切部材39の回りを循環するフロー(以下、断面方向フローと称する)を発生させ、トナー収容部35からのトナーを取り込む役割を果たす。
そして、このような2種類のフローが同時に発生する搬送方式において、特有の、軸方向のトナー濃度差の発生という現象が生じることが判明した。
以下、この現象について図8及び図15に示される比較構成例に基づく現像装置を参照して説明する。ここで、図8及び図15に示される比較構成例に係る現像装置は、サプライオーガー136aとアドミックスオーガー136bとが略水平に配置され、かつ、サプライオーガー136aとアドミックスオーガー136bとの間に形成された突起部Wの頂部Waの高さが軸方向に一定に形成されたものである。
この比較構成例における二成分現像剤Gの流れは、図8に示されるように、軸方向10Bの幅領域においては、仕切部材139上をフローする二成分現像剤Gが、トナー収容部135からのトナーを取り込みながら、再び現像剤収容部133内のアドミックスオーガー136bへ流入する。そして、このアドミックスオーガー136bに流入したトナー又は高濃度現像剤の一部は、突起部Wを超えてサプライオーガー136a側へ流出すると共に、残りの現像剤は、アドミックスオーガー136bにより図中左方向へ搬送され、現像剤端部折り返し部Reにて、折り返されてサプライオーガー136aにより図中右方向に搬送される。ここで、サプライオーガー136aは、現像剤担持体132に現像剤を供給しつつ、現像剤を軸方向右側に搬送する役割を持つので、現像剤担持体132上の現像剤が現像に寄与してトナーが消費されると、現像剤担持体132上の現像剤トナー濃度はサプライオーガー136aの搬送方向上流から下流(図中左から右)に行くに従って、その濃度が低下していく傾向がある。
一方、断面方向フロー量は、前述の作動原理に基づいて、トナー濃度が低下していくサプライオーガー136aの下流側に行くに従って増加していく傾向がある。なお、図中10Bの幅領域においては、断面方向フローがトナー収容部135からのトナーを取り込みながら断面方向をフローしているので、現像剤担持体132上のトナー濃度の低下は抑制され、10Aと10Bの幅領域においては、両者のトナー濃度差は、それほど顕著には発生しない。
しかしながら、10Cの幅領域では、図8に示されるようなフローRが発生するため、10A,10B領域と10C領域とでは、軸方向循環流の分断現象が起きてしまう。このフローRは、以下のようなメカニズムに従って発生するものである。(1)アドミックスオーガー136b側の10B,10C領域の境界位置近傍では、仕切部材139上の傾斜板フロー及びこれに伴うトナー収容部135からのトナーの取り込みにより、現像剤の嵩が高い状態にある。従って、アドミックスオーガー136bにより、10C領域から10B領域に搬送されるべき現像剤は、境界位置近傍の嵩が高い現像剤に妨げられ、10C領域内でサプライオーガー136a側にUターンしてしまう。(2)一方、サプライオーガー136a側の10B領域から10C領域への現像剤搬送量は、10B領域で発生している断面方向フローにより、10C領域への軸方向搬送量が減少し、10C領域を満たすほど十分な現像剤が供給されていない。以上、(1),(2)により、10C領域内で独立した軸方向循環流が形成される。
このため、10C領域ではトナー収容部135からのトナーの取り込みがない状態で現像によりトナーが消費されるため、この領域におけるトナー濃度が部分的に低下し、プリント濃度の軸方向ムラが発生してしまう。
そこで、本実施の形態に係る現像装置24においては、サプライオーガー36aとアドミックスオーガー36bとの間に形成された突起部Wの頂部Waの高さを、前述したように、サプライオーガー36aの搬送方向に沿って漸増させることにより、次のようにして軸方向のトナー濃度のムラの発生を抑制することができる。
図9(a)に示されるように、一般に、オーガーは、螺旋部(羽根部)36tの傾斜面を現像剤が重力にしたがって滑り落ちることで軸方向の搬送力を得ている。そして、その搬送量はオーガーを取り囲む壁の形状や壁とオーガーの距離により大きく変化する。例えば、図9(b)に示されるように、壁がオーガーのシャフト36sの軸線高さの場合では軸線高さより高い位置の螺旋部上の現像剤は半径方向(断面方向)に逃げてしまい軸方向の搬送に寄与しない。従って、図9(c)に示されるように、壁の高さがオーガー径の頂上高さに近づくほどオーガーの軸方向の搬送性が向上する。本実施の形態では図6に示されるように2つの攪拌搬送部材36a,36bの間に位置する突起部Wの頂部Waの高さがサプライオーガー36aの搬送方向に沿って漸増しているために、サプライオーガー36aの搬送方向下流側に行くほど、現像剤の軸方向搬送量が増加する。一方、断面方向フロー量はトナー消費に伴ってサプライオーガー36aの搬送方向下流側で増大し、軸方向循環流量とのバランスを崩していたが、このように突起部Wの高さをサプライオーガー36aの搬送方向に沿って漸増するように形成することにより、断面方向循環流量と軸方向循環流量とのバランスを保つと共に、前述した軸方向循環流が分断されるという現象を防ぐことができる。
また、本実施の形態のように、仕切部材39上の傾斜板フローが軸方向に一様に存在する場合、サプライオーガー36aからの現像剤が仕切部材39上を経由してアドミックスオーガー36b側に流動するため、サプライオーガー36a側の現像剤量はアドミックスオーガー36b側の現像剤量に比較して少なくなる傾向をもつが、本実施の形態では、さらに、サプライオーガー36aをアドミックスオーガー36bに比し、重力方向下方に配置しているので、アドミックスオーガー36bからサプライオーガー36aへの現像剤の流れが促進され、サプライオーガー36a回りの現像剤が仕切部材39を経由して流動することによる現像剤量の低下や、これに伴う搬送方向下流側端部へのトナー補給の遅れを防ぎ、安定した搬送性能を維持することができる。また、現像剤担持体32への現像剤供給量を安定的に維持できオーガーマークの発生を防止することができる。
<実施の形態2>
次に本発明の実施の形態2に係る現像装置について、図10を参照して説明する。図9は本実施の形態に係る現像装置24Aを示す正面図である。
本実施の形態に係る現像装置24Aは、先の実施の形態に係る突起部Wを変更し、現像剤撹拌搬送部材36a,36b間に複数の連通区間を設けるように構成したものであり、先の実施の形態と同様な部材には、同様な符号を付し、その説明は省略する。また、本実施の形態に係る現像装置が適用可能な画像形成装置も先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
図10に示されるように、本実施の形態に係る現像装置24Aは、サプライオーガー36aとアドミックスオーガー36bとの間の所定の領域において、部分隔壁PWが形成されている。この部分隔壁PWは、具体的には、サプライオーガー36aとアドミックスオーガー36bとの間の二成分現像剤Gの断面方向の流動を可能とするように、現像剤収容部32の底部から突出し、その頂部高さがアドミックスオーガー36bの回転軸高さと略同等の高さに形成された突起部Dと、この突起部Dの延在領域の複数箇所において、サプライオーガー36aとアドミックスオーガー36bとの間の二成分現像剤Gの断面方向の流動を不能とするように、現像剤収容部32の底部から突出し、仕切部材39の下端面と連接している規制部K1〜K3とにより構成されている。さらに、規制部K1〜K3により、サプライオーガー36a、アドミックスオーガー36b間が、複数の連通区間A1〜A3に画成されていると共に、この連通区間A1〜A3は、サプライオーガー36aの搬送方向下流側に行くに従って狭くなるように、規制部K1〜K3が配置されている。すなわち、連通区間A1〜A3の軸方向の幅は、A1>A2>A3となるように形成されている。
さらに、規制部K1〜K3のうち、少なくとも1つの規制部(図中では、K2)については、トナー供給口37aのサプライオーガー36aの搬送方向下流側の端部37rに対応する領域に配置されている。より具体的には、この規制部K2は、トナー供給口37aの下流側端部37rに対応する領域を10mm〜20mm塞ぐように配置されている。
このように突起部Dと規制部K1〜K3とにより、サプライオーガー36aの搬送方向下流側に行くに従って狭くなる連通区間A1〜A3を形成した本実施の形態2に係る現像装置24Aについても、先の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、規制部K2が、トナー供給口37aのサプライオーガー36aの搬送方向下流側端部37rに対応する領域に、アドミックスオーガー36bからサプライオーガー36aへの現像剤の断面方向の流れを遮蔽するように配置されているので、前述した軸方向の循環流を分断するような断面方向フローR(図8参照)をより確実に遮断することができ、軸方向循環流と断面方向循環流とのバランスが崩れて軸方向のトナー濃度が不均一となる現象を防止することができる。これにより、軸方向のトナー濃度の安定化を実現し、軸方向の濃度ムラの少ない画像を得ることができる。
次に、本実施の形態に係る現像装置24,24Aについて、性能検証した結果を実施例として以下に示す。
まず、本実施例において用いた現像装置の具体的仕様について、図3を参照して説明する。
図3において、現像剤担持体32の磁極ロール322(Al製で、表面粗さRz=20μm)はφ16mmとし、7極の磁極を配置し、回転数は406rpmに設定して、図11に示されるような着磁パターンを有するものを用いた。
また、サプライオーガー36a、アドミックスオーガー36bは、共に、外径φ10mm、シャフト径5mm、ピッチ14mmのものを用い、回転数は460rpmとした。
アジテータ351は、両端のフィン部及び中央のシート部ともに、厚さ0.1mmのPETフィルムを用い、回転数は20rpmとした。
せき止め部(層規制部材)41は、厚さ1.5mmのSUS製とし、規制後の単位面積重量が35mg/cm2となるように現像剤担持体32とのギャップを0.3mmに設定した。
トナーは磁性粉20%含有の体積平均粒径6.5μmのポリエステル系トナーを用いた。キャリアは体積平均粒径50μmのフェライト系キャリアを用いた。現像剤量は200gとした。
また、現像領域における感光体ドラム21と現像剤担持体32との距離(DRS)は0.3mmとし、現像極設定角度(MSA)は3°、帯電電位(Vh)は−550V、潜像電位(VL)は−100V〜―120V、現像バイアス(DC)は−440Vに設定し、中央部のトナー供給口37aの軸方向幅は92mmとした。
<検証評価1>
以上の条件で、まず、実施の形態1に係る現像装置24に基づき、トナーの取り込み性能について性能検証を行った。検証結果を図12に示す。
図12に示されるように、現像装置24の軸方向における駆動部側(駆動機構が取り付けられている側)、中央部、反駆動部側ともに、現像装置24駆動後、速やかに、所定の飽和トナー濃度の濃度(約10%)に収束し、その後、安定してこの飽和トナー濃度を維持していることが理解される。
これは、本実施の形態のように現像装置を構成した場合には、現像剤の軸方向循環流と断面方向循環流とのバランスを損なうことなく、安定してトナーを取り込むことができると共に、軸方向でのトナー濃度が均一に安定していることを示すものである。なお、実施の形態2に係る現像装置24Aについても、同様な検証結果が得られた。
<検証評価2>
次に、比較構成例に係る現像装置100と、実施の形態1に係る現像装置24とを用い、それぞれ、A4ベタ画像を連続5枚形成した後に、Cin33%(画像電子データ上における全ドット数に対する黒ドット数の割合が33%)のハーフトーン画像を作成し、軸方向におけるプリント濃度の分布を測定して比較評価を行った。測定結果を図13に示す。
図13に示されるように、比較構成例に係る現像装置100においては、軸方向端部において、ハーフトーン濃度が低下し、濃度差が最大0.1程度発生しているのに対し、実施の形態1に係る現像装置24においては、軸方のハーフトーン濃度がほぼ均一であり、濃度差は最大0.02程度であることがわかる。なお、実施の形態2に係る現像装置24Aについても、同様な検証結果が得られた。
<検証評価3>
次に、A4ベタ画像を連続5枚形成した後の軸方向トナー濃度分布について、比較構成例に係る現像装置100、実施の形態1に係る現像装置24及び実施の形態2に係る現像装置24Aのそれぞれについて、測定を行った。測定結果を図14に示す。
図14より理解されるように、比較構成例に係る現像装置100においては、反駆動部側でトナー濃度が低下していることが分かる。これは、現像装置100においては、反駆動部側が、サプライオーガー36aの搬送方向下流側に位置し、前述したような軸方向循環流の分断現象により、搬送方向下流側の領域に対応するトナー濃度が低下したものと考えられる。
これに対して、実施の形態1及び実施の形態2に係る現像装置24,24Aのいずれにおいても、比較構成例において見られたような、サプライオーガー36aの搬送方向下流側でのトナー濃度の低下は見られず、いずれの実施の形態に係る現像装置においても、軸方向循環流の分断現象が改善され、軸方向に安定したトナー濃度を維持していることが分かる。
このように、本実施の形態に係る現像装置24,24Aによれば、軸方向循環流と断面方向循環流とが併存する場合でも、安定して軸方向のトナー濃度を維持することができ、軸方向のトナー濃度ムラによる形成画像の品質低下を防止することができる。
10:画像形成装置、21:感光体ドラム、22:帯電装置、23:露光装置、24,24A:現像装置、25:バイアス電源、26:転写装置、27:バイアス電源、28:被記録媒体、29、クリーニング装置、31:ハウジング、32:現像剤担持体、33:現像剤収容部、34:現像剤退避部、35:トナー収容部、36a:サプライオーガー、36b:アドミックスオーガー、36s:シャフト部、36t:羽部、37:トナー供給路、37a:トナー供給口、39:現像剤仕切部材、39a,39b:ベースプレート、39d:上端部、39e:下端部、40:壁面、40a:規制部、41:せき止め部、50:定着装置、51:加熱ロール、52:加圧ロール100:現像装置、132:現像剤担持体、133:現像剤収容部、134:現像剤退避部、135:トナー収容部、136:現像剤撹拌搬送部材、137:トナー補給路、139:現像剤仕切部材、321:回転スリーブ、322:磁極ロール、351:アジテータ、351:トナー撹拌搬送部材、351a:搬送羽根、351b:フィン、351c:支持部材、A1,A2,A3:連通区間、D:突起部、K1,K2,K3:規制部、PW:部分隔壁、R:断面方向フロー、Re:折り返し領域、W:突起部、Wa:頂部