しかしながら、上述のトナー濃度を自律的に制御する現像装置にあっては、以下のような問題がある。
すなわち、トナー収容部から現像剤収容部に取り込まれたトナーは、その現像剤収容部において現像剤撹拌搬送部材によりキャリアと撹拌混合されて摩擦帯電されるが、現像剤担持体に供給されるまでの経路が短く、十分な撹拌時間を得られず十分に帯電されないおそれがある。また、例えばトナー消費量の多い画像密度が高い画像の形成を行うと、自律的制御によりトナー収容部から急激にトナーが現像剤収容部に取り込まれ、充分に摩擦帯電されずに帯電の低い状態または逆極性に帯電した状態のトナーが現像剤担持体に供給されるおそれがある。したがって、このような帯電不良のトナーが供給されて現像が行われる場合には、画像かぶりやトナーの飛散や画像濃度の変動等が発生しやすくなる。
ちなみに、本出願人は、上記のような問題などを解決するため、トナー濃度の自律的制御を行うタイプの現像装置に関する特許出願(出願未公開)をしている。
その提案した現像装置とは、現像剤収容部から現像剤担持体によって搬送された二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、そのトナー濃度に応じて現像剤収容部に戻すかあるいは現像剤収容部およびトナー収容部に連通している現像剤退避部に分離して送るように構成しているとともに、現像剤収容部内において二成分現像剤を複数のオーガー等からなる現像剤攪拌部材により十分に攪拌するように構成しているものである。特に低トナー濃度時には、その二成分現像剤を現像剤退避部に一時的に送るようにすることで現像剤収容部内の二成分現像剤の嵩変化および流動性を誘発させ、これによりトナー収容部から現像剤収容部へのトナー等の良好な取り込みを実現させてトナー濃度の安定化を図るようにしている。また、現像剤収容部においては、すでに収容されている二成分現像剤や新たに送りこまれるトナー等を複数の現像剤攪拌搬送部材により十分に攪拌し、これによりトナー帯電の安定化を図るようしている。
しかし、このような現像装置においても、以下のような新たな問題がある。
すなわち、かかる現像装置の装着状態のずれ等の影響により現像装置全体が水平基準面に対して傾いた状態に置かれていると、その傾く方向によっては現像剤攪拌搬送部材の回転動作に伴う軌道と対応するような筋状の痕跡(いわゆるオーガーマーク)が画像に現れることがある。また、その傾いた設置状態の有無にかかわらず、高密度の画像(たとえばベタ画像)を連続して現像した後に低密度の画像(たとえばハーフトーン画像)を現像すると、たとえばその異なる画像を切り替えて現像する前後において画像濃度が変動することがある。
上記筋状の痕跡が発生する原因としては、たとえば、現像剤担持体に最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材が設置される部位における二成分現像剤の量が他よりも減った状態になり、その影響で当該攪拌搬送部材から現像剤担持体への現像剤の供給量についてもその搬送部材の構造(部位)に対応するかのようにむらが発生するためと考えられる。また、上記画像濃度の変動が発生する原因としては、たとえば、高密度画像の連続した現像によりトナーが多く消費されるが、それに伴うトナー補給(トナー濃度の回復)がタイミング的に少し遅れるためと考えられる。
本発明は、上記従来技術に関する問題点や自ら提案した現像装置に関する問題点に鑑みてなされたものであり、トナー濃度の安定化に加えてトナー帯電の安定化を図ることができ、また、傾きに起因した画像不良の発生や高密度画像の連続現像に起因した画像濃度変動の発生を防止または抑制することができ、最終的に良質の画像を得ることが可能な現像装置およびこれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明の現像装置は、トナーと磁性キャリアとが含まれる二成分現像剤を磁力により担持するとともに回転して搬送する現像剤担持体と、この現像剤担持体に隣接して二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、この現像剤収容部にトナー補給路を介して連通するとともにそのトナー補給路を通じてトナーを供給可能に収容するトナー収容部と、前記現像剤担持体に隣接するとともに前記現像剤収容部と連通する迂回路が形成される現像剤退避部と、前記現像剤収容部および現像剤退避部に対して前記現像剤担持体の現像剤搬送方向下流側に設けられ、現像剤担持体により担持して搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止めるとともに、その二成分現像剤のトナー濃度に応じて現像剤収容部又は現像剤退避部に余剰現像剤を分離する現像剤分離手段と、前記現像剤収容部の底部に前記現像剤担持体の回転軸方向と平行な通路になるよう隆起部にて区画されるとともに両端部が互いに連通するように形成される複数の現像剤搬送路に、その各搬送路内でそれぞれ回転して二成分現像剤を攪拌しながらその回転軸方向の一端側にむけて搬送するように設置される複数の現像剤攪拌搬送部材と、前記現像剤退避部に前記現像剤収容部との間を隔てるとともにその現像剤退避部内の二成分現像剤を現像剤収容部における現像剤担持体と2番目以降に近い位置にある現像剤搬送路又はトナー収容部へ導くように形成される仕切り部とを備え、
かつ、前記複数の現像剤攪拌搬送部材のうち現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材の搬送力よりもそれ以外の現像剤攪拌搬送部材の搬送力を高めるように設定しているとともに、前記現像剤担持体に最も近い位置にある前記隆起部のうちで現像剤担持体に最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側となる所定領域の部位を、二成分現像剤の隆起部を乗り越えた移動を遮断できる高さに形成していることを特徴とするものである。
ここで、上記現像剤担持体は、たとえば、回転可能な非磁性スリーブと、この非磁性スリーブ内に固定的に設置される磁界発生手段(磁石部材など)とを具備するものである。二成分現像剤のトナーは、磁性キャリアに付着するものであれば、磁性、非磁性のいずれであってもよい。
上記現像剤収容部は、現像剤担持体に隣接して二成分現像剤を収容する収容空間を備えたものであればよい。この収容部の底部には、収容する二成分現像剤を十分な経路で攪拌できるようにするため、現像剤担持体の回転軸方向と平行な通路となる複数の現像剤搬送路が形成される。複数の現像剤搬送路は、隆起部にて区画されるとともに、その各両端部が隣り合う搬送路間での現像剤の循環移動を可能にするため互いに連通するように形成されたものであればよい。
この複数の現像剤搬送路内には、回転する現像剤攪拌搬送部材がそれぞれ設置される。このような現像剤攪拌搬送部材は、その各搬送路内でそれぞれ回転して二成分現像剤を攪拌しながらその回転軸方向の一端側にむけて搬送できるものであればよく、たとえば、回転軸に羽根部を所定のピッチで螺旋状に形成したオーガーなどである。また、この複数の現像剤攪拌搬送部材における個々の現像剤搬送方向についてはその回転方向や送り羽根部などの向きなどによって設定することができる。また、そのお互いの搬送方向の関係については通常、全体として二成分現像剤を複数の現像剤搬送路を利用して所定の方向に循環移動させることができるような方向にそれぞれ選定される。
上記トナー収容部は、基本的に二成分現像剤に使用するトナーを収容し、そのトナーをトナー補給路を通じて現像剤収容部(厳密には、現像剤収容部における所定の現像剤搬送路)に供給できるものであればよく、たとえば、その収容部の内部にトナー供給部材を設けるものや、その収容部を現像剤収容部よりも上方側に配置し、自重によりトナーを下方に移動させるものである。このトナー収容部には、初期段階においてトナーのみを収容する態様に限らず、磁性キャリアを一部含む高トナー濃度の二成分現像剤を収容するように構成してもよい。
上記現像剤退避部は、現像剤収容部からの二成分現像剤が一時的に退避せしめられる迂回路を備え、この迂回路に二成分現像剤を一時的に退避できるものであればよい。迂回路は、たとえば、現像剤収容部と現像剤退避部とを少なくとも2箇所で連通した通路とすることにより、現像剤収容部からの二成分現像剤を現像剤担持体の近傍から現像剤退避部の迂回路に進入させ、再び現像剤収容部に戻すように移動させることができる。
上記現像剤分離手段は、現像剤担持体により搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、その二成分現像剤におけるトナー濃度(磁性キャリアに対するトナー比率)に応じて、その余剰現像剤のその後における進行経路を分離できるものであればよい。この現像剤分離手段による分離は、通常、余剰現像剤のうち低トナー濃度の二成分現像剤を現像剤退避部へ向かわせ、また高トナー濃度の二成分現像剤を現像剤収容部へ向かわせるようにすることができる。余剰現像剤とは、現像剤担持体により担持搬送された二成分現像剤のうち、潜像担持体との間の現像部位へ搬送されない分の二成分現像剤を意味する。
また、この現像剤分離手段は、現像剤担持体により担持して搬送される二成分現像剤のうち余剰現像剤をせき止め、この余剰現像剤が現像部位へ搬送されないようにするためには、たとえば、現像剤担持体に対向配置されて余剰現像剤をせき止めるせき止め部を具備させることが好ましい。さらに、この現像剤分離手段は、現像剤担持体に設ける磁界発生手段としての磁極(たとえば搬送磁極)を含めて構成することが好ましい。この場合は、二成分現像剤のトナー濃度の高低に応じて単位体積当りの磁性キャリア密度の高低が生じ、それに伴い二成分現像剤が外部から受ける磁気吸引力が異なるという性質を利用して分離作用を補助することができる。
現像剤分離手段として上記せき止め部と磁極とを組み合わせたものとする場合は、そのせき止め部によるせき止め効果を実効あるようにする観点からすると、現像剤担持体の現像剤搬送方向に対して磁極の下流側にせき止め部を隣接して配置させることが好ましい。また、上記せき止め部は、現像剤担持体により搬送される二成分現像剤の量を規制する専用の規制部材を別途設けず、その規制部材として兼用するようにしてもよい。
上記仕切り部は、現像剤収容部との間を仕切るとともに、現像剤退避部内の二成分現像剤を現像剤収容部又はトナー収容部に導くことができるものであればよく、たとえば、現像剤分離手段から連続して傾斜する傾斜板等で構成することができる。その二成分現像剤を導く現像剤収容部の先は、誘導する二成分現像剤の十分な攪拌を確保する等の観点から、その現像剤収容部にある複数の現像剤搬送路のうち現像剤担持体と2番目以降に近い位置に存在する現像剤搬送路とする。現像剤退避部に退避させられた二成分現像剤は、この仕切り部により現像剤収容部の所定の現像剤搬送路又はトナー収容部のいずれかに誘導されるが、トナー供給性およびトナーの帯電立ち上がり特性の向上を両立させる観点からすれば、その現像剤退避部から現像剤収容部の所定の現像剤搬送路側に誘導される現像剤の量が現像剤退避部からトナー収容部側に誘導される現像剤の量よりも多くなるように仕切り部を設定することが好ましい。
上記複数の現像剤搬送部材の搬送力については、現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材以外の攪拌搬送部材の搬送力をその最も近い位置にある攪拌搬送部材のそれよりも高めるように設定する。これにより、現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤搬送路にはその現像剤担持体と2番目以降に近い位置に存在する現像剤搬送路側から常に二成分現像剤が多めに搬送されるようになり、その最も近い位置にある現像剤搬送路にはその全域にわたって二成分現像剤が不足することなく十分な量で存在するようになる。
この場合、その搬送力の増加割合については、複数の現像剤搬送路を利用した全体の循環搬送に支障が生じない限り、特に限定されるものではなく任意である。この場合には、また、搬送力の増加は、たとえば現像剤攪拌搬送部材の回転速度や、現像剤を送る作用が発揮される構造部分の寸法などを増大させることで実現することができる。また、搬送力を増加させるべき対象の現像剤攪拌搬送部材が複数ある場合は、通常その全部を同一の割合で増加させることになるが、必要によってはその一部(現像剤担持体と2番目に近い位置の攪拌搬送部材が好ましい)を増加させたり、あるいは全部を互いに異なる割合で増加させるようにしてもよい。
上記現像剤担持体に最も近い位置にある隆起部については、その所定領域の部位を二成分現像剤の隆起部を乗り越えた移動を遮断できる高さに形成する。このような高さに形成すべき隆起部の部位は、現像剤担持体に最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側となる所定の領域である。これにより、現像剤担持体に最も近い位置にある現像剤搬送路内の二成分現像剤は、前述したようにその搬送路内に多めの二成分現像剤が存在するような状態になったうえで、たとえば現像装置が少し傾いた状態に置かれることがあっても、その搬送路に設置される現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側において隆起部を乗り越えて隣りの(現像剤担持体と2番目に近い位置にある)現像剤搬送路側に移動してしまうことがない。このため、かかる乗り超えによる現像剤量の減少が発生するおそれがなく、その最も近い位置にある現像剤搬送路には十分な量の二成分現像剤が存在するようになる。
この場合、その対象となる隆起部の部位の高さについては、現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤搬送路内にある二成分現像剤が少なくともその隆起部を乗り越えて隣りの現像剤搬送路へ移動してしまうことを阻止できる高さであればよいが、たとえばその双方の現像剤搬送路の間において開口部がない隔壁のごとき状態にしてもよい。また、その所定領域については、適宜設定することが可能であり、たとえば当該隆起部の現像剤担持体回転軸方向に対する全長の1/3程度の長さに相当する領域に設定することができる。
ちなみに、上記隆起部における対象となる部位以外の部位の高さについては、現像剤の詰まり現象を防止する等の観点からすると、現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤搬送路内にある二成分現像剤がその隆起部を乗り越えて隣りの現像剤搬送路へ移動し得る高さに形成するとよい。また、この隆起部の対象部位以外の部位を現像剤の乗り越え移動が可能な高さに形成し、しかも上記トナー補給路を現像剤担持体と2番目に近い位置に存在する現像剤搬送路と連通させるように形成する場合には、そのトナー補給路を当該隆起部における乗り越え移動が可能な高さの部位と位置的に少なくとも一部で対向して一致するような関係で形成するとよい。このように形成した場合にはトナーが現像剤担持体側により早く供給されるようになる等の利点がある。
また、このような現像装置においては、上記トナー補給路を、複数の現像剤搬送路のうちで現像剤担持体から最も離れた位置にある現像剤搬送路と連通させるように形成するとともに、上記仕切り部により二成分現像剤を導く先の現像剤搬送路を、現像剤担持体から最も離れた位置にある現像剤搬送路以外の現像剤搬送路のいずれかに設定することができる。
この場合は、トナー収容部からトナー補給路を通じて取り込まれるトナー等と、現像剤退避部から仕切り部に誘導されて取り込まれる二成分現像剤とは、互いに異なる現像剤搬送路に対して取り込まれることになる。これにより、そのトナー等と二成分現像剤とは、異なる現像剤搬送路において互いに干渉されることなく各現像剤攪拌搬送部材によって良好に当該搬送路内にすでにある現像剤と攪拌される。また、トナー収容部からのトナー等は、現像剤担持体から最も離れた位置にある現像剤搬送路に取り込まれるため、現像剤担持体に供給されるまでの攪拌時間が多く確保されるようになる。
このような構成を採用する場合には、現像剤搬送路(現像剤攪拌搬送部材を含む)を3以上形成する必要がある。また、二成分現像剤を導く先の対象となる現像剤搬送路が複数(現像剤担持体に最も近い位置あるものと最も離れた位置にあるものは除かれる)ある場合は、そのいずれかの現像剤搬送路を適宜選定すればよい。
さらに、以上のような現像装置においては、上記トナー補給路の現像剤搬送路と連通する開口部を、その現像剤搬送路内に設置される現像剤攪拌搬送部材の回転軸方向長さの一部に相当する幅で形成する一方、上記仕切り部の二成分現像剤を現像剤搬送路へ導き入れる部分を、その現像剤搬送路内に設置される現像剤攪拌搬送部材の回転軸方向長さの一部に相当する幅で形成し、かつ、上記トナー補給路の開口部と仕切り部の導き入れ部分とを当該現像剤攪拌搬送部材の回転軸方向において異なる位置に配置することができる。
この場合は、上記トナー補給路の開口部から取り込まれるトナー等と仕切り部の導き入れ部分から取り込まれる二成分現像剤とが、現像剤収容部における現像剤搬送路の異なる位置にそれぞれ供給されるようになり、このため、互いに干渉し合うことなく現像剤搬送路内にすでにある二成分現像剤と個々に攪拌されて混合されるようになる。これによりトナーの補給(低トナー濃度の状態の回復)が円滑に行われるようになる。また、この構成は、トナー補給路の開口部と仕切り部の導き入れ部分とを同一の現像剤搬送路に対して形成した場合に有効である。
特に、このようなトナー補給路の開口部と仕切り部の導き入れ部分との配置を行った現像装置においては、上記トナー補給路の開口部と上記仕切り部の導き入れ部分とを同一の現像剤搬送路に対して形成するとともに、その導き入れ部分をその開口部よりも当該現像剤搬送路内に設置される現像剤攪拌搬送部材の現像剤搬送方向上流側となる位置に配置することができる。
この場合は、上記トナー補給路の開口部から取り込まれるトナー等と仕切り部の導き入れ部分から取り込まれる二成分現像剤とが、同じ現像剤搬送路に供給されるが、そのトナー等が二成分現像剤よりもその現像剤搬送路における現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側に供給されるようになるため、二成分現像剤とぶつかり合うこともなく当該搬送路にすでにある現像剤と円滑かつ迅速に攪拌されて混合されるようになる。
また、本発明の画像形成装置は、以上のような各現像装置のいずれかを備えることを特徴とするものである。すなわち、この画像形成装置は、感光体ドラム等の像担持体に画像情報に応じて形成する静電潜像を二成分現像剤で現像して可視像化するための現像装置を使用する画像形成装置であって、その現像装置として上述したような各現像装置のいずれかを適用するものである。
本発明によれば、まず現像剤担持体によって搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、そのトナー濃度に応じて現像剤収容部又は現像剤退避部に分離するが、たとえばそのトナー濃度が低いときには、余剰現像剤を現像剤退避部へ一時的に誘導させることにより現像剤収容部内の二成分現像剤の嵩変化および流動性を強調させることができ、その分、現像剤収容部内の二成分現像剤がトナー収容部内のトナーおよび非常に高いトナー濃度の二成分現像剤をすばやく取り込むことができる。一方、そのトナー濃度が十分に高いときには、余剰現像剤を現像剤収容部に戻すことで再び攪拌させることができる。これにより、トナー濃度の自律的な制御が良好に行われてトナー濃度の安定化を図ることができる。また、特に高トナー濃度のときには現像剤収容部内で再び攪拌が行われることでトナー帯電の安定化も図ることができる。
また、現像剤収容部における二成分現像剤は、現像剤担持体に供給される前に、その複数の二成分現像剤搬送路において各現像剤攪拌搬送により十分に攪拌され、また、トナー濃度の自律的な制御により取り込まれるトナー等や二成分現像剤とも十分に攪拌されるようになる。これにより、トナー帯電の安定化をさらに図ることができる。
さらに、現像剤担持体と2番目以降に近い位置に存在する現像剤攪拌搬送部材の搬送力が相対的に高いことにより、現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤搬送路には常に二成分現像剤が多めに搬送されて、その搬送路全域にわたって十分な量の二成分現像剤が不足することなく存在するようになる。これにより、たとえば現像装置が少し傾いた状態に設置されて使用されたり、あるいは、ベタ画像のような高密度画像の現像が連続して行われてトナーが多めに消費されることなどがあったとしても、二成分現像剤を現像剤担持体にむらなく安定して供給することができる。
しかも、現像剤担持体に最も近い位置にある隆起部の所定領域(現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側の領域)の部位が二成分現像剤の乗り越えた移動を遮断できる高さに形成されていることにより、その現像剤担持体に最も近い位置の現像剤搬送路では、その隆起部の所定領域の部位における二成分現像剤の乗り越え移動による現像剤量の減少が発生することもない。これにより、たとえば現像装置が少し傾いた状態に設置されて使用されることがあっても、その搬送路に設置される現像剤攪拌搬送部材の搬送方向下流側において隆起部を乗り越えて隣りの現像剤搬送路側に移動してしまうことがなく、必要な現像剤量を確保することができる。
このようなことから、現像装置の傾き設置に起因した現像剤攪拌搬送部材による筋状の痕跡の発生を防止することができ、しかも高密度画像の連続した現像に起因したその後における画像濃度の変動の発生を抑制することもできる。
そして、このような現像装置やこれを用いた画像形成装置によれば、トナー帯電不良に起因した画像かぶり、トナーの飛散等の発生を防止できることに加え、傾き設置に起因した画像不良の発生や高密度画像の連続形成に起因した画像濃度変動の発生を防止または抑制することもできるようになり、最終的に良質の画像を得ることが可能となる。
[実施の形態1]
図1〜図3は実施の形態1に係る画像形成装置および現像装置を示すものであり、図1はその画像形成装置の要部を示す説明図、図2はその現像装置の要部を示す説明図、図3はその現像装置の上面側から見たときの要部を示す説明図である。
画像形成装置1は、図1に示すように、矢印方向に回転する像担持体としての感光体ドラム2を備えており、この周囲に、感光体ドラム2の表面を一様に帯電させる帯電装置3と、感光体ドラム2の帯電表面に画像情報に応じた露光を行って電位差による静電潜像を形成する露光装置4と、感光体ドラム2上の潜像に二成分現像剤のトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置5と、感光体ドラム2上のトナー像を記録紙等の被記録媒体6に転写する転写装置7と、トナー像の転写後に感光体ドラム2に残留するトナーを除去するドクターブレード式等のクリーニング装置8などが設置されている。
また、画像形成装置1は、感光体ドラム2と転写装置7との間に対してその上流側から被記録媒体6を所定のタイミングで搬送して供給する図示しない給紙装置が設けられているとともに、その下流側には被記録媒体6上に転写された未定着トナー像を被記録媒体6に定着させる定着装置10が設けられている。
上記感光体ドラム2は、円筒状の回転体の表面に有機感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等からなる感光体層を形成したものであ。上記帯電装置3は、スコロトロン等の非接触式のコロナ放電器や、導電性を有する金属のロールに高抵抗材料のコーティングを施した帯電ロールを感光体ドラム2に当接して従動回転させるとともに所定の電圧を印加する接触式の帯電器である。露光装置4は、レーザ書込み装置やLEDアレイを有し、画像信号に基づいて点滅する光を発生させて感光体ドラム2の表面に照射することにより静電潜像を形成する。静電潜像は、たとえば反転現像を行う場合には光の当たった部分(画像部)の感光体ドラム2の表面電位が低下し、光の当たっていない高電位部分とのコントラストによる電位画像として形成される。
上記現像装置5は、後で詳述するものの、その概要は、ハウジング20内にトナーおよび磁性キャリアからなる二成分現像剤を収容し、その二成分現像剤を現像剤担持体としての現像ロール30に担持させ、この現像ロール30にバイアス電源15からの現像バイアスを印加することで、現像ロール30を静電潜像の高電位部と低電位部との中間電位に保持し、静電潜像の画像部を帯電されたトナーにて現像するようにしたものである。
上記転写装置7は、例えば感光体ドラム21に接触して回転するように配置される転写ロール9を有し、バイアス電源16によって感光体ドラム2上のトナー像が引き付けられる方向の転写バイアスを印加することで、感光体ドラム2上のトナー像を被記録媒体6に静電的に転与させるようにしたものである。上記定着装置10は、例えばロールニップ方式であり、加熱ロール11と加圧ロール12とを有し、この加熱ロール11と加庄ロール12との間に被記録媒体6を通過させることによりトナー像を加熱溶融させると同時に被記録媒体6に圧着させるようになっている。
現像装置5は、図2や図3に示すように、感光体ドラム2に向かって開口するハウジング20を有し、このハウジング20の開口に面して現像ロール30が設置されている。
ハウジング20は、その現像ロール30と隣接する部位にトナーTと磁性キャリアからなる二成分現像剤Gを収容する現像剤収容部21が形成されており、また、その現像ロール30に隣接するとともに現像剤収容部21に対して現像ロール30の現像剤搬送方向下流側に現像剤退避部22が形成されている。また、その現像剤収容部21の現像ロール30と対向する側には、トナー補給路23を介して現像剤収容部21に連通し、トナーTを収容するとともに現像剤退避部22から流れ込む二成分現像剤Gをも収容し得るトナー収容部24が形成されている。
上記現像ロール30は、回転可能に設置される円筒状の回転スリーブ31と、この回転スリーブ31の内部に固定的に配設された磁極ロール32とで構成されている。
回転スリーブ31は、感光体ドラム2と所定の間隔をあけて近接配置され、たとえば時計周りに回転する感光体ドラム2に対し反時計回りに回転するようになっている。磁極ロール32は、例えば7極の磁極(S1〜S3、N1〜N4)を配置している。この7極の磁極ロール32は、たとえば、ロール本体の回転中心を通る水平面右側に合わせて搬送磁極(本例ではS3)を配置し、回転スリーブ31の回転方向(反時計回り)に対し、搬送磁極(S3)から下流側へ所定角度(たとえば30°)間隔でトリミング磁極として作用する搬送磁極(本例ではN1)と現像磁極(本例ではS1)とを配置する一方、搬送磁極(S3)から上流側へ所定角度(たとえば30°)間隔でピックアップ磁極(本例ではN4,3)と搬送磁極(本例ではN2,S2)とを配置したものである。
上記現像剤収容部21は、二成分現像剤Gが収容されるスペースを有するものであり、その底部には両端部で互いに連通する2列の(第1、第2の)現像剤搬送路25,26が形成されており、その各搬送路25,26には現像剤攪拌搬送部材としての(第1、第2の)オーガー35、36が回転可能にそれぞれ設置されている。
第1の現像剤搬送路25および第2の現像剤搬送路26は、図3に示すように、現像ロール30の回転軸(回転中心線)と平行な直線状の通路をなすように山形に隆起する隆起部28で区画されているとともに、その両端部において隆起部28により区画されず連通した形態で形成されている。図3において符号33a,33bは、その2つの搬送路25,26を両端部で連通させる連通部を示す。各搬送路25,26の底面は、各オーガー35、36の回転軌跡にほぼ相応させた曲率の湾曲面に形成されている。
第1のオーガー35および第2のオーガー36は、図3や図5に示すように、基本的にシャフト35a(36a)の表面に、その軸方向にそって所定の高さからなる羽根35b(36b)を所定の巻き方向およびピッチでもって螺旋状にしたものである。また、その羽根部35b(36b)の前記連通部33a,33bのいずれか一方に位置する部位は、その羽根部35b(36b)で搬送される現像剤をシャフト部35a(36a)の軸方向と直交する方向に存在する各連通部33側に送り出すため、その巻き方向を途中で反転させてなる押出し用羽根部35c(36c)として形成されている。
そして、このオーガ35、36は、各搬送路25,26に対してその搬送路底面から所定の間隔をあけた状態で回転可能に設置され、その現像剤搬送方向によって所定の方向(この例では第1オーガー35が反時計回り方向、第2オーガー36が時計回り方向)に回転駆動するように構成されている。
これにより、第1の搬送路25内にある現像剤が第1のオーガー35によって図3中の左側端部からその右側端部にむかう点線矢印M1の方向に攪拌搬送される一方、第2の搬送路26内にある現像剤が第2のオーガー36によって図3中の右側端部から左側端部にむかう点線矢印M2の方向に攪拌搬送されるようになっている。また、各搬送路25,26において各オーガー35,36によって連通部33a,33bとそれぞれ対面する端部まで搬送された現像剤は、前記押出し用羽根部35c(36c)によってそれぞれ連通部33a,33bを通して互いに相手側の搬送路36,35に送りこまれる(点線矢印J1,J2方向)。したがって、二成分現像剤は、図3に示すように2つの搬送路25,26の間において時計回りとなる方向(点線矢印M1→J2→M2→J1→M1という順で一巡する方向)に循環するように搬送される。
上記トナー収容部24には、予め収容されるトナーTおよび現像剤退避部22から流れ込む二成分現像剤Gを攪拌搬送するトナー攪拌回転体55が回転可能に設置されている。このトナー収容部24と現像剤収容部21とを連通させるトナー補給路23は、トナー収容部24の長手方向に対する中央部に形成された開口部24aを介して接続されている。図2や図3中の符号24bは、開口部24aの両側に存在する仕切り壁である。
トナー攪拌回転体39は、回転シャフト39aに弾性フィルム39b、39cをシャフトの回転軸方向および回転方向に対してそれぞれ所定の間隔で取り付けた構造のもの(アジテータ)であり、収容部24にあるトナーTおよび上記流れ込み二成分現像剤Gをその収容部24の底面にそってトナー補給口23側に掃き出すようにしたものである。弾性フィルム39bは、前記トナー補給路23と面する領域に相当するシャフト部分の周面に対してほぼ鉛直状態に取り付けられている。弾性フィルム39cは、それ以外の領域となるシャフト部分の周面に対して鉛直状態に取り付けるとともにシャフト中央部側となる端部をトナー補給口23にむけて現像剤が送られるように曲げた状態で取り付けられている。このトナー攪拌回転体39は、現像装置5の駆動中は常に回転し続けるようになっている。トナー収容部24の底面形状は、トナー攪拌回転体39の回転軌跡にそう湾曲面状のものである。
上記現像剤退避部22は、現像剤収容部21との間を隔てるための仕切り部41を備えている。
この仕切り部41は、たとえば図3や図4に示すように、現像ロール30と同程度の幅で形成されたベースプレート41aを有し、そのベースプレート41aは現像ロール30側に位置する先端部41bが上方で、その反対側の端部41cが下方となるように斜め下方にむかって傾斜するような状態で設置されている。ベースプレート41aの傾斜角度は任意に設定される。ベースプレート41aの傾斜方向の長さは、その傾斜面を現像剤退避部22内から流れる二成分現像剤が現像剤収容部21の第2現像剤搬送路26に流れ込むような寸法に設定されている。
このベースプレート41aのうち現像ロール30側に位置する先端部41bは、現像ロール30の磁極ロール32における搬送磁極(N1)の真上、あるいはその搬送磁極(N1)から現像剤搬送方向(反時計回り方向)側の位置において、現像ロール30の回転スリーブ31の表面と数百μm〜数mmの間隔をあけた位置で対向している。一方、先端部41bと反対側の端部(後端部)41cは、トナー補給路23の通路壁面の一部を形成するような形状となっている。また、この後端部41cの下方側には、第2オーガー36の上部の現像ロール30寄りの部分を覆うように規制部41dが突出形成されている。この規制部41dは、第2オーガー36による攪拌搬送により第2搬送路26内にある現像剤が第1の搬送路25側へ移動することを規制するようになっている。この規制部41dは形成しなくても構わない。
また、現像剤退避部22は、図2や図4に示すように、その退避部22と現像剤収容部21とを連通させる迂回路43が形成されている。
迂回路43は、仕切り部41の先端部41bおよび後端部41cにおいて現像剤収容部21と連通し、仕切り部41の上方側に現像剤が通過し得る通路スペースを確保したものである。すなわち、この迂回路43は、たとえば、現像剤収容部21内の二成分現像剤Gが仕切り部41の先端部41b側から現像剤退避部22側に流入し、この流入した現像剤Gが仕切り部41の上方側を通過してその後端部41c側からトナー補給路23を介して現像剤収容部21に流れ込む経路になっている。この際、仕切り部41の上方側を通過してその後端部41cに到達した現像剤Gは、そのすべてが現像剤収容部21に流れ込むのではなく、その過剰な分の現像剤Gはトナー補給路23の上方側を通過するようにしてトナー補給部24に流れ込むようにもなっている。
ここで、現像剤退避部22から現像剤収容部21又はトナー収容部24に流れ込む現像剤Gの比率について適宜選定されるが、本例では、現像剤収容部21に流れ込む現像剤量がトナー収容部24に流れ込む現像剤量よりも多くなるように設定し、これにより現像剤収容部21に流れ込む現像剤がトナー収容部24からのトナーの取り込みを促進するようにしている。この場合、上記各部位に流れ込む現像剤の比率の調整は、たとえば仕切り部41のベースプレート41aの傾斜部の角度や長さを適宜選定することができる。たとえば、前記傾斜部の長さをトナー収容部24に近い位置まで伸ばすように設定すれば、その傾斜部上の現像剤のうちトナー収容部24側に流れ込む現像剤の量を多くすることが可能となる。
さらに、この現像装置5では、現像ロール30の磁極ロール32における搬送磁極(N1)から現像剤搬送方向下流側(反時計回り方向側)の位置のうちその搬送磁極(N1)と現像磁極(S1)との間となる位置に、現像ロール30と対向するようにせき止め部45を設けている。そして、現像装置5では、このせき止め部45と現像ロール30における磁極(搬送磁極N1)とにより、現像ロール30に担持されて搬送される二成分現像剤Gをそのトナー濃度に応じて現像剤収容部21又は現像剤退避部22に分離するための現像剤分離手段50を構成している。
上記せき止め部45は、現像ロール30と同程度の幅を有する板状部材であり、その一端をハウジング20に固定するように取り付け、その反対側の先端部を数十μm〜数百μm程度の間隙でもって現像ロール30に近接させている。この実施の形態では、せき止め部45に多くの二成分現像剤Gを供給するために、前述した仕切り部41と現像ロール30との間隙をこのせき止め部45と現像ロール30との間隙よりも広く設定されている。
そして、この現像装置5における上記2つのオーガー35、36のうち現像ロール30と離れた位置にある第2のオーガー36は、図4等に示すように、その羽根部36bの外径(回転時に羽根部の最外部が描く回転軌跡円の直径)D2が現像ロール30に近い位置にある第1のオーガー35の羽根部35bの外径D1よりも大きい寸法(D2>D1)で形成されている(各シャフト部35a、36aは同じ径とした)。
これにより、2つのオーガー35、36を同じ速度で回転させたときに、第2のオーガー36の搬送力が第1のオーガー35のそれよりも高められるようにしている。この実施の形態では、このような羽根部の外径が異なるオーガー35、36を、そのシャフト35a(36a)の中心が水平基準面から同じ高さ位置になるように設置している。また、このオーガー35、36を設置する2つの搬送路25,26については、オーガーの回転軸方向と直交する方向の通路幅を各オーガーの羽根部の外径に相応する寸法で形成する一方、その底面最下部を水平基準面に対して同じ高さとなるように形成している。
また、この現像装置5においては、図2〜図4に示すように、上記隆起部28のうちの所定領域となる下流側部位28Bを二成分現像剤Gの隆起部を乗り越えた移動を完全に遮断する高さ(第1搬送路25と第2搬送路26の間を遮断するような壁形状)に形成している。具体的には、隆起部28のうち全長の1/3程度の領域に相当する部位28Bを上記仕切り部41の一部(規制部41d)に達する高さに形成している。一方、その隆起部28の残り部位28Aは、その最上部が2つのオーガー35,36の回転中心の位置とほぼ同じ位置の高さとなるように形成されている。
これにより、隆起部の下流側部位28Bが存在する部分では、第1の搬送路25内にある二成分現像剤が隆起部を乗り越えて第2の搬送路26側に直接移動してしまうことが完全に遮断されることになっている。一方、その隆起部の残り部位28Aが存在する部分では、第1搬送路25と第2搬送路26の間をその隆起部分を乗り越えるようにして現像剤が移動し得るようになっている。
ちなみに、上記二成分現像剤Gは、そのトナーTとして例えば非磁性トナーを用いているが、磁性キャリアと磁気特性が異なるものであれば磁性トナーを用いても差し支えない。また、この現像装置5では、たとえば、その現像剤収容部21内にほぼ満タンになる量の二成分現像剤Gが予め収容される一方、そのトナー収容部24内にトナーとともに若干量の二成分現像剤Gが予め収容される。
次に、この現像装置5を備えた画像形成装置1の動作について、その現像装置5の動作内容を中心にして説明する。
まず、現像装置5の現像剤収容部21内にある二成分現像剤Gは、前述したように2つの搬送路25,26において各オーガー35,36によりそれぞれ攪拌されつつ循環するように搬送され、第1の搬送路25内で第1のオーガー35により点線矢印M1方向に攪拌搬送される間に現像ロール30のピックアップ用の磁極(N3)によって捕獲される。この捕獲された二成分現像剤Gは、汲み取り磁極(N3)及び搬送磁極(S3)の磁気吸引力により担持されつつ、その回転スリーブ31の回転方向(反時計回り方向)に搬送される。
この搬送された二成分現像剤Gは、現像剤分離手段の一部を構成するせき止め部45の近傍に到達すると、トリミング磁極として作用する搬送磁極(N1)により穂立ちを形成する。この二成分現像剤Gの穂立ちは、せき止め部45にて規制されることにより現像剤層として現像ロール30(回転スリーブ31)上に形成され、その現像剤層の状態で感光ドラム2と対向する現像領域にまで搬送される。
そして、現像領域に搬送された二成分現像剤Gの現像剤層は、現像磁極(S1)の磁気吸引力により磁気ブラシを形成するとともに、その磁気ブラシを形成する二成分現像剤GのうちのトナーTが感光体ドラム2と現像ロール30(回転スリーブ31)との間に形成される現像電界によって感光体ドラム2上の画像部としての静電潜像に付着する。これにより、その静電潜像がトナーによって現像されてトナー像となる。
また、この現像装置5は、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が低い場合には、次のように作動する。
まず、このときの二成分現像剤Gは、その磁性キャリアの表面を覆うトナー量が少ないことから、相対的に単位体積当たりの磁性キャリアの密度が大きくなる。つまり、この二成分現像剤Gの外部磁界(本例では搬送磁極N2による磁界)から受ける磁気吸引力が大きくなるため、そのトナー濃度の低い二成分現像剤Gは、せき止め部45の近傍まで確実に搬送される。このせき止め部45まで搬送された二成分現像剤Gは、そのせき止め部45によるせき止め力と搬送磁極(N2)の磁気拘束力によって、せき止め部45の近傍に滞留している滞留現像剤を余剰現像剤として現像剤退避部22側に押し出す。このとき押し出された二成分現像剤は、図6に太い実線の矢印で示すように現像剤退避部22と連なる仕切り部41の傾斜部上(迂回路43内)を通過するようにして流れ落ち、最後に、同図で太い実線の矢印又は二点鎖線の矢印として示すように現像剤収容部21における第2搬送路26か又はトナー収容部24へ流れ込む。
このときトナー濃度の低い二成分現像剤Gが現像剤収容部21における第2搬送路26に導かれた場合は、現像剤収容部21の各搬送路25,26内にはその導かれた分だけ空きスペースが作られる。この結果、トナー補給路23内およびその付近にある二成分現像剤Gは、オーガー36,35による搬送力と現像剤の自重により上記空きスペースに引き込まれ、トナー補給路23付近に存在する二成分現像剤Gが流動する。これにより、トナー補給路23は、トナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gを受け入れることになる。
このようにしてトナーT及びトナー濃度が非常に高い二成分現像剤Gは、図6に太い実線の矢印と点線の矢印でそれぞれ示すように、トナー補給路23を経て現像剤収容部21(最初は第2の搬送路26側)に速やかに供給される。ここで、トナー濃度が非常に高い二成分現像剤Gとは、現像剤退避部22からトナー収容部24に流れ込んだ二成分現像剤がそのトナー収容部24内のトナーと撹拌混合されて、磁性キャリアに対するトナーの比率が非常に高い状態になった二成分現像剤のことである。また、トナー収容部24側から供給されるトナーT等は、トナー収容部の長手方向の中央部に形成された開口部24aを介してトナー補給路23に送り出されるため、厳密には第2の搬送路36の中央部付近に供給される。
一方、この現像装置5は、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が高い場合には、次のように作動する。
まず、このときの二成分現像剤Gは、その磁性キャリアの表面を覆うトナー量が多いことから、相対的に単位体積当たりの磁性キャリアの密度が小さくなる。つまり、このトナー濃度の高い二成分現像剤Gは、外部磁界(本例では搬送磁極N2による磁界)から受ける磁気吸引力が小さくなるため、図7に太い実線の矢印で示すように、その多くのものが仕切り部41の先端部41bよりも現像ロール30の回転方向上流側の位置で現像ロール30から離れて落下してしまう。この結果、この二成分現像剤Gは、前述したようなせき止め部45の近傍に滞留している滞留現像剤まで到達することなく、現像剤退避部22側に誘導されることもなく、再び現像剤収容部21(本例では第1の搬送路25側)に落下するようにして戻ることになる。
また、このときは、前記トナー濃度が低い場合と異なり、現像剤収容部21内に空きスペースが作られず、トナー補給路23付近にある二成分現像剤Gが流動しないため、トナー補給路23は二成分現像剤Gによりふさがれている状態にあり、そのトナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gが現像剤収容部21側に供給されることがない。
以上のように、この現像装置5におけるトナー補給のメカニズムは、トナー濃度に応じた二成分現像剤Gの流動性や嵩の変化に加えて磁気吸引力の変化を利用したものであり、トナー濃度が低い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われる一方で、トナー濃度が高い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われない構成になっている。これによってトナー濃度の均一化が図られる。
また、この現像装置5では、現像剤退避部22側に導入された二成分現像剤Gが仕切り部41により現像剤収容部21に戻される際に、現像ロール30から離れた第2の現像剤搬送路26に戻される。また、トナー収容部24にあるトナーもトナー補給路23を介して第2の現像剤搬送路26に供給される。そして、このように戻された二成分現像剤や供給されたトナーは、第2の搬送路26と第1の搬送路25との間において各オーガー35,36によって攪拌されながら循環搬送される。また、二成分現像剤が現像ロール30に供給される際には、現像ロール30に近接している第1の搬送路25側にある第1のオーガー35を経て供給される。
これにより、現像剤収容部21に存在する二成分現像剤Gは、その収容部21内で十分に攪拌されて十分に摩擦帯電されるため、たとえば現像剤収容部21にトナー濃度の高い二成分現像剤などが補給されることがあっても、そのトナーTが十分に帯電された状態で現像ロール30に供給されることになる。この結果、画像密度の高い画像の現像を行った場合でも、帯電不良のトナーに起因した画像かぶり、トナーの飛散、画像濃度の変動等が発生しにくくなる。
さらに、この現像装置5では、第2のオーガー36の羽根部36bの外径が第1のオーガー35の羽根部35bの外径よりも大きく形成されて、第2オーガー36の現像剤搬送力が第1オーガー35の搬送力よりも高められているので、現像ロール30に近い位置にある第1の搬送路25には二成分現像剤Gが多めに搬送されて、その搬送路25全域にわたって相対的に多めで十分な量の二成分現像剤Gが存在するようになる。
これにより、たとえば現像装置5が少し傾いた状態に設置されて使用されたり、あるいは、ベタ画像のような高密度画像の現像が連続して行われてトナーが多めに消費されることなどがあったとしても、二成分現像剤Gをその第1搬送路25から第1のオーガー35を介して現像ロール30に対してむらなく安定して供給することができる。
この結果、上記したように傾いた状態で設置した場合に、第1の搬送路25内の現像剤がたとえば(前記した高トナー濃度の二成分現像剤に対するトナー濃度の自律的制御時に発生する空きスペースの存在も手伝って)片寄った状態となってその搬送路の一部で不足ぎみになることがなくなる。そして、その不足ぎみになった部分で第1オーガー35の羽根部35bの頂部付近から現像ロール30に供給される現像剤の量が他の部位から供給される量と異なることにより、その現像ロール30上で形成される現像剤層に筋状のむらが発生し、かかる筋状のむらが現像した画像にも痕跡(オーガーマーク)となって現れてしまう現象が発生することを防止できるようになる。また、画像密度の高い画像の現像を連続して行った場合でも、第1の搬送路25には十分に攪拌された二成分現像剤が十分な量だけ常に存在するため、その後の現像においても画像濃度の変動が発生しにくくなる。
しかも、この現像装置5では、隆起部28の下流側部位28Bが隔壁のような高さに形成されているので、少なくとも第1搬送路25内にある二成分現像剤Gの隆起部28を乗り越えた移動が遮断されるようになり、現像ロール30に最も近い位置の第1の搬送路25では二成分現像剤の上記移動による現像剤量の減少が発生することがない。
これにより、たとえば現像装置5が少し傾いた状態に設置されて使用されることがあっても、その第1搬送路25に設置される第1オーガー35の搬送方向下流側では、その隆起部の下流側部位28Bの存在によって現像剤が第2の搬送路26側に移動してしまうことがなく、必要な現像剤量が確保されるようになる。この結果、第1搬送路25からは二成分現像剤Gを現像ロール30に対してむらなく安定して供給することができるため、傾斜した設置に起因したオーガーマークの発生が防止される。
[実施の形態2]
図8〜図9は実施の形態2に係る現像装置を示すものであり、図8はその現像装置の要部を示す説明図、図9はその現像装置の上面側から見たときの要部を示す説明図である。
この現像装置5Aは、実施の形態1に係る現像装置5に対して、現像剤収容部21の底部に新たなオーガー(37)を設置する第3の現像剤搬送路(27)を追加して形成するとともに、その追加した搬送路(27)に対してトナー補給路23を連通させるように形成する点で変更をしたものである。この変更点以外は実施の形態1に係る現像装置5と同じ構成を採用しており、このため共通する構成部分については図中に同じ符号を付し、また特に必要がなければ以下においてその説明を省略する。また、この現像装置5Aは、実施の形態1に係る現像装置5に代えて、前述した画像形成装置1に適用される。
第3の現像剤搬送路27は、現像剤収容部21の底部において第2の搬送路26の現像ロール30の設置する側と反対側の位置に、隆起部29によって区画されるように形成される。この実施の形態では、図9に示すように、この第3の搬送路27を第2の搬送路26と同じ通路形状および寸法で形成するとともに、その両端部において連通部34a,34bを介して第2の搬送路26と連通するように形成している。隆起部29は、その最上部が全域にわたって上記隆起部28の残り部位28Aと同じ高さとなるように形成されている。
この第3の搬送路27に設置する第3のオーガー37は、基本的に第2のオーガー36と同じ構造からなるものであり、図10に示すように、シャフト37aに羽根部37bを螺旋状に形成している。また、第3オーガー37は、その羽根部37bの外径D3を第2オーガー36の外径D2と同じ寸法に設定しており、第1オーガー35の外径D1よりも大きな外径となるようにしている。なお、この第3オーガー37は、二成分現像剤の循環搬送の方向の関係から、第2オーガー36とは反対側の端部に押出し用羽根部37cを形成している(図10)。
この第3のオーガー37は、上記第3の搬送路27に対してその搬送路底面から所定の間隔をあけた状態で回転可能に設置され、その現像剤搬送方向によって所定の方向に回転駆動するように構成されている。これにより、第3の搬送路27内にある現像剤が第3のオーガー37によって図9中の右側端部からその左側端部にむかう点線矢印M3の方向に攪拌搬送される。また、第3の搬送路27において第2搬送路26との連通部34bまで搬送された現像剤は、前記押出し用羽根部37cによって第2搬送路26側に送りこまれる(点線矢印J3の方向)。また、第2の搬送路26において第3搬送路27との連通部34aまで搬送された現像剤の一部は、第2オーガー36の前記押出し用羽根部36cによって第3の搬送路37側に送りこまれる(点線矢印J4の方向)。したがって、二成分現像剤は、図9に示すように2つの搬送路26,27の間において反時計回りとなる方向(点線矢印M3→J3→M2→J4→M3という順で一巡する方向)に循環するように搬送される。
トナー補給路23は、第3の搬送路27と連通するように形成されるが、この場合、実施の形態1と同様に、トナー収容部24の中央部に形成された開口部24aを介して連通した状態となる(図9)。このようなトナー補給路23の形成により、トナー収容部24内のトナー等はまず第3の搬送路27内に取り込まれるようになる(図10中に示す点線矢印参照)。
また、この現像装置5Aにおいては、実施の形態1の場合と同様に、現像剤退避部22に導入された二成分現像剤は仕切り部41により第2の搬送路26に導かれるようになっている。
次に、この現像装置5Aの動作について説明する。
現像装置5Aでは、その現像剤収容部21内にある二成分現像剤Gが、図9に示すように、3つの搬送路25,26、27において各オーガー35,36、37によりそれぞれ攪拌されつつ2種類の方向に循環するように搬送される点で異なるが、それ以外は実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様にして現像動作が行われる。2種類の循環方向とは、1つが搬送路25,26の間で形成される点線矢印M1→J2→M2→J1→M1という順で一巡するものであり、もう1つが搬送路26、27の間で形成される点線矢印M3→J3→M2→J4→M3という順で一巡するものである。
また、この現像装置5Aは、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が低い場合には、次のように動作する。
まず、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、その低トナー濃度の二成分現像剤Gは、せき止め部45まで搬送されると、そのせき止め部45の近傍に滞留している滞留現像剤を余剰現像剤として現像剤退避部22側に押し出し、その押し出された二成分現像剤が、現像剤退避部22と連なる仕切り部41の傾斜部上(迂回路43内)を通過するようにして流れ落ち、最後に現像剤収容部21における第2搬送路26へ流れ込む。
続いて、このトナー濃度の低い二成分現像剤Gが現像剤退避部22側に導かれると、現像剤収容部21の各搬送路25内にはその導かれた分だけ空きスペースが作られる。この結果、第2搬送路26側から第1搬送路25にその空きスペースの発生にほぼ相応して二成分現像剤Gが供給されて、搬送路26内等の現像剤の量が減る。また、トナー濃度の低下による二成分現像剤G自体の体積も減少する。これにより、搬送路26,27にも空きスペースが発生するため、トナー補給路23内およびその付近にある二成分現像剤Gは、オーガー37、36による搬送力と現像剤の自重により上記空きスペースに引き込まれて流動する。また、これにより、トナー補給路23は、トナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gを受け入れることになる。このようにしてトナーT及びトナー濃度が非常に高い二成分現像剤Gは、図10に太い点線の矢印で示すように、トナー補給路23を経て現像剤収容部21の第3の搬送路27側に速やかに供給され、最終的に他の現像剤Gと混合された状態で第1の搬送路25まで供給される。
一方、この現像装置5Aは、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が高い場合には、次のように作動する。
この場合には、その高トナー濃度の二成分現像剤Gは、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、その多くのものが仕切り部41の先端部41bよりも現像ロール30の回転方向上流側の位置で現像ロール30から離れて落下し、現像剤退避部22側に誘導されることもなく、再び現像剤収容部21(本例では第1の搬送路25側)に戻る。また、このときは、やはり実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、トナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gがトナー補給路23を通して現像剤収容部21(第3搬送路27)側に供給されることがない。
以上のように、この現像装置5Aにおけるトナー補給のメカニズムは、基本的に実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様であり、トナー濃度が低い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われ、トナー濃度が高い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われないようになっている。
また、特にこの現像装置5Aでは、トナー収容部24からトナー補給路23を通じて取り込まれるトナーT等と現像剤退避部22から仕切り部41に誘導されて取り込まれる二成分現像剤Gとは、互いに異なる現像剤搬送路26,27に分かれて取り込まれることになる。これにより、そのトナー等と二成分現像剤とは、異なる搬送路26,27において互いに干渉されることなく各オーガー36,37によって良好に当該搬送路26,27内にすでにある現像剤と攪拌される。また、トナー収容部24からのトナー等は、現像ロール30から最も離れた位置にある第3の搬送路27に取り込まれるため、現像ロール30に供給されるまでの攪拌時間が多く確保されるようになる。この結果、トナー濃度の自律的制御が良好に行われるとともに、トナー帯電が十分に行われる。
この他、この現像装置5Aにおいても、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、現像剤収容部21において複数(3つ)のオーガー35〜37による二成分現像剤の攪拌搬送を行うようにしているので、帯電不良のトナーに起因した画像かぶり、トナーの飛散、画像濃度の変動等が発生しにくくなる。
また同様に、第2及び第3のオーガー36、37の羽根部の外径D2,D3がいずれも第1のオーガー35の羽根部の外径D1よりも大きく形成されて(図10)、第2及び第3のオーガー36、37の各現像剤搬送力がいずれも第1オーガー35の搬送力よりも高められているので、現像装置5Aが少し傾いた状態に設置されて使用されたり、あるいは、ベタ画像のような高密度画像の現像が連続して行われた後の現像が行われることなどがあったとしても、その傾斜した設置に起因したオーガーマークの発生が防止されるようになり、また、画像密度の高い画像の現像を連続して行った後の現像においても画像濃度の変動が発生しにくくなる。
さらに同様に、現像ロール30に最も近い位置にある隆起部28の下流側部位28Bが隔壁のような高さに形成されているので、たとえば現像装置5Aが少し傾いた状態に設置されて使用されることがあっても、その傾斜した設置に起因したオーガーマークの発生が防止される。
[実施の形態3]
図11〜図12は実施の形態3に係る現像装置を示すものであり、図11はその現像装置の要部を示す説明図、図12はその現像装置の上面側から見たときの要部を示す説明図である。
この現像装置5Bは、実施の形態1に係る現像装置5に対して、 さらに、以上のような現像装置においては、トナー補給路23の第2搬送路26と連通する開口部24aと仕切り部41の二成分現像剤Gを第2搬送路26へ導き入れる部分41eとを第2搬送路26の第2オーガー36の回転軸方向において異なる位置に配置する点で変更をしたものである。この変更点以外は実施の形態1に係る現像装置5と同じ構成を採用しており、このため共通する構成部分については図中に同じ符号を付し、また特に必要がなければ以下においてその説明を省略する。ちなみに、この現像装置5Bも、実施の形態1に係る現像装置5に代えて、前述した画像形成装置1に適用される。
トナー補給路23の開口部24aは、図12に示すように、第2搬送路26に設置される第2オーガー36の回転軸方向長さの一部に相当する幅(たとえばその軸方向長さの1/6〜1/3程度の寸法)で形成されている。
一方、仕切り部41の上記導き入れ部分41eについても、第2搬送路26に設置される第2オーガー36の回転軸方向長さの一部に相当する幅(たとえばその軸方向長さの1/4〜1/3程度の寸法)で形成されている。このような幅からなる導き入れ部分41eは、仕切り部41のベースプレート41aの傾斜部においてその先端部41bの両端部から下端部41cにむけて次第に中央部にむけて先細り(接近)するような状態でガイド用の側壁部42a,42bを設けることで形成している。側壁部42a,42bは、ベースプレート41aと別の部材(板材)を取り付けることで形成されるが、これ以外にも、たとえばベースプレート41aを切削加工することで得られる凹溝の側壁面で構成するようにしてもよい。
そして、このトナー補給路23の開口部24aと仕切り部41の導き入れ部分41eは、図12に示すように、第2オーガー36の回転軸方向において異なる位置に配置している。特にこの実施の形態3では、その開口部24aと導き入れ部分41eを上記回転軸方向においてまったく重複させない別の位置に配置させているとともに、その導き入れ部分41eを開口部24aよりも第2オーガー36の現像剤搬送方向(M2)上流側となる位置に配置させている。
次に、この現像装置5Bの動作について説明する。
現像装置5Bでは、その現像剤収容部21内にある二成分現像剤Gが、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、図11や図12に示すように、2つの搬送路25,26において各オーガー35,36によりそれぞれ攪拌されつつ循環するように搬送された後に、現像ロール30に供給されて現像動作が行われる。
また、この現像装置5Bは、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が低い場合には、次のように動作する。
まず、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、その低トナー濃度の二成分現像剤Gは、せき止め部45まで搬送されると、そのせき止め部45の近傍に滞留している滞留現像剤を余剰現像剤として現像剤退避部22側に押し出し、その押し出された二成分現像剤が、現像剤退避部22と連なる仕切り部41の傾斜部上(迂回路43内)を通過するようにして流れ落ち、最後に導き入れ部41eを通して現像剤収容部21における第2搬送路26またはトナー収容部24へ流れ込む。
続いて、このトナー濃度の低い二成分現像剤Gが第2搬送路26に導かれた場合には、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、現像剤収容部21の各搬送路25,26内にはその導かれた分だけ空きスペースが作られるため、トナー補給路23内およびその付近にある二成分現像剤Gがオーガー36,35による搬送力と現像剤の自重により上記空きスペースに引き込まれ、トナー補給路23付近に存在する二成分現像剤Gが流動する。これにより、トナー補給路23は、トナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gを受け入れる。このようにしてトナーT及びトナー濃度が非常に高い二成分現像剤Gは、トナー補給路23の開口部24aを通して現像剤収容部21の第2の搬送路26側)に速やかに供給される。
一方、この現像装置5Bは、現像ロール30により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が高い場合には、次のように作動する。
この場合には、その高トナー濃度の二成分現像剤Gは、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、その多くのものが仕切り部41の先端部41bよりも現像ロール30の回転方向上流側の位置で現像ロール30から離れて落下し、現像剤退避部22側に誘導されることもなく、再び現像剤収容部21(本例では第1の搬送路25側)に戻る。また、このときは、やはり実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、トナー収容部24からトナーT及びトナー濃度の非常に高い二成分現像剤Gがトナー補給路23を通して現像剤収容部21(第2搬送路26)側に供給されることがない。
以上のように、この現像装置5Bにおけるトナー補給のメカニズムは、基本的に実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様であり、トナー濃度が低い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われ、トナー濃度が高い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われないようになっている。
また、特にこの現像装置5Bでは、トナー収容部24からトナー補給路23の開口部24aを通じて取り込まれるトナーT等と現像剤退避部22から仕切り部41に誘導されて導き入れ部41eを通じて取り込まれる二成分現像剤Gとは、同じ第2の剤搬送路26に供給されるが、そのトナーT等が二成分現像剤Gよりもその搬送路26における第2のオーガー36の搬送方向下流側の位置に供給されるようになる。これにより、そのトナー等が仕切り部41側から取り込まれる二成分現像剤とぶつかって干渉されることなく当該搬送路26にすでにある二成分現像剤と円滑かつ迅速に攪拌されて混合されるようになり、トナーの補給が遅れることはない。これにより、トナー濃度の自律的制御が良好にかつ円滑に行われるとともに、トナー帯電も十分に行われる。
この他、この現像装置5Bにおいても、実施の形態1に係る現像装置5の場合と同様に、現像剤収容部21において複数(2つ)のオーガー35〜36による二成分現像剤の攪拌搬送を行うようにしているので、帯電不良のトナーに起因した画像かぶり、トナーの飛散、画像濃度の変動等が発生しにくくなる。
また同様に、第2のオーガー36の羽根部の外径D2が第1のオーガー35の羽根部の外径D1よりも大きく形成されて(図13)、第2オーガー36の現像剤搬送力が第1オーガー35の搬送力よりも高められているので、現像装置5Bの傾斜設置に起因したオーガーマークの発生が防止されるようになり、また、画像密度の高い画像の現像を連続して行った後の現像においても画像濃度の変動が発生しにくくなる。さらに同様に、現像ロール30に隆起部の下流側部位28Bが隔壁のような高さに形成されているので、たとえば現像装置5Bの傾斜設置に起因したオーガーマークの発生が防止される。
<試験>
以下、上記実施の形態1〜3に係る現像装置5、5A,5Bなどを用いて、傾斜設置によるオーガーマークの発生状況と連続ベタ画像現像後における現像時の濃度変動状況について行った試験結果について説明する。
試験対象の現像装置を適用した画像形成装置1の条件は次の通りである。
・感光ドラム2:φ84mmの有機感光体を使用し、その周速を65mm/s、画像部の表面電位を−150V、非画像部の表面電位を−650Vに設定した。
・帯電装置3:スコロトンを使用し、その放電ワイヤへの印加電圧を−4kV、そのグリッド電圧を−650Vに設定した。
・露光装置4:600dpiの密度で書き込み可能なLEDアレイを使用した。
・転写装置7:ファイ2mmの転写ロール(金属ロール上に導電性ゴム層を形成したもの)を使用し、その周速を65mm/s、転写バイアス電圧を1.2kVに設定した。
・クリーニング装置8:弾性ゴムブレードを使用し、突き当て圧力を1.5g/mmに設定した。
・定着装置10:加圧ロール11としてφ25mmの金属ロール(電熱ヒータ内蔵)と加圧ロール12としてφ25mmの弾性ロールを使用し、その周速を65mm/s、定着温度を180℃に設置した。
実施の形態1に係る現像装置5(実施例1)の条件は次の通りである。
・現像ロール30:回転スリーブ31としてφ18mmの金属円筒体を使用し、表面の十点平均表面粗さRzを7μmに設定した。磁極ロール32として図14に示すような着磁パターンとなる7極の磁極を配置したものを使用した。また、その現像剤搬送量を580g/m2、感光体ドラム2とのギャップを250μm、現像バイアスを−500Vの直流成分に1.3kV、周波数3.5kHzの交流成分を重畳させたもの、スリーブ31の周速を340mm/sに設定した。
・第1のオーガー35:φ4mmのシャフト35aに外径が7.8mmとなる羽根部35bをピッチ15mmの螺旋状に形成した、攪拌搬送有効長さが220mm程度のオーガーを使用した。周速は460rpmに設定した。
・第2のオーガー36:羽根部36bの外径が10.0mmとなるように形成した以外は第1のオーガーと同じものを使用した。周速は460rpmに設定した。
・仕切り部41:先端部41bが搬送磁極(N1)より現像剤搬送方向上流側の位置で現像ロール30の表面と3mmの間隙になるように設定した。
・せき止め部45:搬送磁極(N1)より現像剤搬送方向下流側で現像ロール30の表面と400μmの間隙になるように設定した。
・隆起部28:全長190mmのうち第1オーガー35の現像剤搬送方向(M1)下流側となる50mm程度の領域の部位を仕切り部41に達する高さに設定した。その残り部位28Bはその最上部が第2のオーガー36の中心軸の高さになるように設定した。
・トナー補給路23:その幅を50mm程度に設定した。
・二成分現像剤G:磁性キャリアとして体積平均粒径50μmの半導電性粒子を使用し、トナーTとして磁性体15重量%を含有した平均粒径9μmのポリエステル系着色粒子を使用した。イニシャルの現像剤収容部21への現像剤仕込み量を120gとした。
実施の形態2に係る現像装置5A(実施例2)の条件は、基本的に実施の形態1に係る現像装置5と同じであり、異なる条件部分は以下の点である。
・第3のオーガー37:第2のオーガー36と同じものを使用した。その周速も同じ値に設定した。
・二成分現像剤G:イニシャルの現像剤収容部21への仕込み量を150gとした。
実施の形態3に係る現像装置5B(実施例3)の条件は、基本的に実施の形態1に係る現像装置5と同じであり、異なる条件部分は以下の点である。
・仕切り部41:その下端部41cにおける導き入れ部41eの幅を50mm程度に設定した。また、トナー補給路23の開口部24aに対して第2オーガー36の現像剤搬送方向(M2)下流側となる位置に配置した。
また、比較のための現像装置500(比較例)として次のものを用意した。すなわち、図17に示すように隆起部28をその全域にわたって実施の形態1に係る現像装置5における隆起部の残り部位28Aと同じ高さに設定するとともに、第1オーガー35と第2オーガー36をその各外径D1、D2が同一の寸法となるように変更した以外は、その現像装置5と同じ構成からなるものである。
そして、現像装置傾斜によるオーガーマークの発生状況に関する試験は、図3に示すように、現像装置(5)を「前」、「後」、「左」、「右」の4方向にそれぞれ水平基準面に対して下方側に3°傾いた状態に設置し、画像密度20%の全面ハーフトーンの画像を被記録媒体(用紙)500枚分連続してプリント(現像)した。このときに得られる画像を観察し、以下の基準で評価した。結果を図15に示す。
・「0」…発生せず。
・「1」…少々発生した。
・「2」…視認できる程度に発生した(許容限界)。
・「3」…目立つ程度に発生した(許容範囲外)。
また、連続ベタ画像現像後における現像時の濃度変動状況に関する試験は、各現像装置をいずれも水平状態に設置したうえで、上記試験時と同じ全面ハーフトーンの画像を100枚連続してプリントした後、画像密度100%の全面ベタの画像を5枚分連続してプリントし、しかる後、再び上記全面ハーフトーンの画像を10枚連続してプリントした。この試験では、プリントの画像の濃度を測定する変わりに、図16に示すように、ハーフトーン画像の連続プリント後にベタ画像の連続プリントを完了した時点での現像装置内の二成分現像剤のトナー濃度値(最低値)と、その後のハーフトーン画像のプリントを行いトナー濃度の自律的制御により回復するときの現像装置内の二成分現像剤のトナー濃度の最高値との差分(濃度差)を「濃度変動量」として測定した。上記トナー濃度の最低値および最高値については、1枚ブリントするごとに現像ロール上の現像剤をサンプリングしてブローオフ法により測定した。結果を図15に併せて示す。なお、このときの濃度変動量の望ましい許容値は1%以内である。
図15に示される結果から、トナー濃度の自律的制御を行うタイプの現像装置(比較例)では「後」および「右」の方向に傾けて設置したときにオーガーマークが発生しやすい傾向にあるが、実施例1〜3のように構成した現像装置ではそのオーガーマークの発生を防止できることが確認できる。
また、上記画像濃度変動については、比較例の現像装置では大幅に変動する傾向にあるが、実施例1のように構成した現像装置5ではその変動量を低減(おおよそ半減)することが可能となり、さらに、実施例2,3のように構成した現像装置5A,5Bではその変動量を許容レベルまで抑制できることが確認できる。
1…画像形成装置、5,5A,5B…現像装置、21…現像剤収容部、22…現像剤退避部、23…トナー補給路、24…トナー収容部、24a…開口部、25…第一の現像剤搬送路(現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤搬送路)、26…第2の現像剤搬送路(現像剤担持体と2番目に近い位置にある現像剤搬送路)、27…第3の現像剤搬送路(現像剤担持体と2番目以降に近い位置にある現像剤搬送路)、28…隆起部(現像剤担持体と最も近い位置にある隆起部)、28B…隆起部の所定領域の部位、29…隆起部、30…現像ロール(現像剤担持体)、35…第1のオーガー(現像剤担持体と最も近い位置にある現像剤攪拌搬送部材)、36…第2のオーガー、37…第3のオーガー、41…仕切り部、41e…導き入れ部、43…迂回路、45…せき止め部、50…現像剤分離手段、T…トナー、G…二成分現像剤、D1〜D3…羽根部の外径。