特公平5−67233号公報
特開平5- 119625号公報
特開平9- 22178号公報
特開2000−352877号公報
特開平9−197833号公報
特開昭61−212864号公報
特開2001−42615号公報
特開2001−42616号公報
従来、この種の電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置で用いられる現像装置としては、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像剤にて可視像化するものが知られている。かかる現像装置に用いられる現像方式としては、現像剤として着色粒子であるトナーのみを用いる一成分現像方式と、現像剤として磁性体粒子と着色粒子であるトナーとを混合攪拌したものを用いる二成分現像方式とに大別される。
上記二成分現像方式の現像装置としては、画質、コスト面や安定性など優れた点が多いことから、トナーを磁性キャリアに混合した現像剤を磁力によって搬送しつつ現像する磁気ブラシ現像方式が広く採用されている。この磁気ブラシ現像方式では、トナーと磁性キャリアとの摩擦で発生した静電気力により、トナーが磁性キャリアの表面に担持されるが、このトナーは、像担持体上の静電潜像に接近すると、この静電潜像にて形成される電界によって静電潜像上へ飛翔し、静電潜像を可視像化する。また、現像剤は、現像によって消費されたトナーを補充しながら反復使用される。
しかし、このような磁気ブラシ現像方式においては、トナー濃度(トナーと磁性キャリアの混合比)を一定範囲に保つ制御を行わないと、トナー濃度が上昇した場合には、トナー飛散やカブリが発生する一方、トナー濃度が低下した場合には、濃度斑や画像抜けなどが発生してしまう。したがって、安定した画像を得るためには、トナー濃度を一定に保つ必要がある。
そこで、従来の磁気ブラシ現像方式では、安定した画像を得るためにトナー濃度センサやトナー補給部材を現像装置に搭載して、トナー濃度を一定にする制御を行うように構成されている。例えば、トナー濃度センサによりトナー濃度を検知し、この検知情報に基づいてトナー濃度が低下したと判断した後、トナー補給部材によりトナー補給が行われる。
しかし、この種の磁気ブラシ現像方式にあっては、トナー濃度センサやトナー補給部材が必要不可欠であり、現像装置の大型化、高コスト化が避けられない。また、検知対象の濃度パッチを作成するなど、トナー濃度の検知システムが面倒であるという難点を有している。
このような難点を回避する先行技術としては、トナー濃度センサやトナー補給部材を用いずに、トナー濃度を一定に保つ現像装置が既に提案されている。この現像装置は、二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部と連通し且つトナーを収容するトナー収容部とを有し、現像剤担持体上の二成分現像剤量を規制部材で規制し、現像剤担持体上における二成分現像剤のトナー濃度変化によって、二成分現像剤のトナーの取り込みを自律的に制御することで、トナー濃度を調整するように構成したものである。
この自律的なトナー濃度の制御方法は、現像剤担持体に担持搬送される現像剤移動層と、現像剤収容部内で現像剤が循環する現像剤循環層とを発生させ、現像剤収容部と連通しているトナー収容部からのトナーを取り込むというものである。つまり、現像工程において、トナーが消費されると、現像剤収容部内に収容された現像剤の嵩が減少し、減少した嵩分のトナーがトナー収容部から現像剤収容部に補給されることで、現像剤収容部内の現像剤は、トナー濃度を保つということである。
上記現像装置の例として、特公平5−67233号公報に開示された技術では、現像スリーブ上に磁性粒子層を形成し、容器内のトナー供給部においてこの磁性粒子層に接触するようにトナーを収容し、現像スリーブの回転に伴う磁性粒子層の磁性粒子の移動によって、上記トナー供給部で磁性粒子層内にその外側のトナー層からトナーを取り込み、トナーと磁性粒子とが混合された現像剤を規制部材で層厚規制して現像部に搬送することにより、トナーの過剰供給による帯電不足の防止を図っている。
また、特開平5−119625号公報に開示された技術では、内部磁極を有する現像スリーブ回転型磁気ブラシ現像装置において、現像スリーブ表面に絶縁性層を設けるとともに、現像スリーブ近くにトナー供給ロールを配設し、トナー供給ロールと現像スリーブ間に交番電圧を印加することで、トナー濃度、トナー帯電の安定化を図っている。
更に、特開平9- 22178号公報に開示された技術では、現像剤を構成するトナーとして磁性トナーを用いることで、トナー帯電の安定化、トナー飛散の防止を図っている。また、特開2000−352877号公報に開示された技術では、現像剤担持体の搬送速度が最速のときにおいて、キャリア一個の表面に対してトナーが完全に覆った状態となる限界トナー濃度以下となるようにトナー濃度を構成することで、地汚れやトナー飛散の防止を図っている。
更に、特開平9−197833号公報に開示された技術では、現像剤収容部において、現像剤担持体に担持搬送される現像剤量を規制する第一の規制部材よりも現像剤担持体の現像剤搬送方向上流側に第二の規制部材を設けることにより、トナー濃度調整の安易化を図っている。
しかし、上記先行技術にあっては、いずれもトナー濃度変化に対応した現像剤の体積変化と現像剤の動きとによって、トナー濃度の制御をしているため、現像剤の体積変化や現像剤の動きを顕著にする必要がある。
このような要請下においては、通常の二成分現像方式と比較して、少ない現像剤量で且つ現像剤担持体周辺の現像剤収容部内の現像剤密度を高くする必要があるため、現像剤の循環が悪く、現像剤の動きが活発な箇所と活発でない箇所とが存在して、トナーの取り込みが均一に行われない。また、現像剤量が少ないことから現像剤中に含まれるトナーの絶対量が少ないこと、現像剤密度が高いためトナー濃度が減少しても現像剤の体積変動は緩やかでありトナーの取り込みスピードが遅いことから、トナー消費の激しい高密度画像を連続で出力する際に現像剤担持体上へのトナーの供給が十分に行われず、所望の濃度が得られない。
更に、予め現像剤量を少なく設定しなければならないため、1 つの磁性キャリアにかかるストレスが大きくなり、磁性キャリアの寿命が短くなる。つまり、ランニングコストが上昇し、また、応答性が遅いため、高密度画像の濃度を確保できないといった課題が生じてしまう。
そこで、本出願人は、上記の問題点を解決するため、図12に示すような現像装置を既に提案している(特願2003−280354号公報)。
この特願2003−280354号公報に係る現像装置100は、図12に示すように、内部に磁界発生手段102を具備し且つトナーと磁性キャリアとが含まれる二成分現像剤Gを搬送担持する現像剤担持体101と、前記現像剤担持体101に隣接して二成分現像剤Gを収容する現像剤収容部103と、前記現像剤収容部103内のうち現像剤担持体101に近接した部位に配備した現像剤攪拌部材104と、前記現像剤収容部103を介して現像剤担持体101と連通して設けられトナーを供給可能に収容するトナー収容部105と、前記現像剤担持体101に隣接して現像剤収容部103に対し現像剤担持体101の現像剤搬送方向下流側に設けられると共に前記現像剤収容部103と連通する現像剤退避部106と、前記現像剤収容部103及び現像剤退避部106に対して現像剤担持体101の現像剤搬送方向下流側に設けられ、現像剤担持体101により担持搬送される二成分現像剤Gの一部を余剰現像剤としてせき止め、トナー濃度に応じて現像剤収容部103又は現像剤退避部106に前記余剰現像剤を分離する現像剤分離手段107とを備え、該現像剤退避部106へ分離された二成分現像剤Gが前記現像剤収容部103へ流出するように構成したものであ。
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る現像装置を適用した画像形成装置を示すものである。
図2において、符号21は、矢印方向に沿って回転駆動されるOPC感光体などからなる静電潜像担持体を示すものであり、この静電潜像担持体21の表面は、スコロトロンや帯電ロールなどの帯電装置22によって帯電され、レーザ書込み装置やLEDアレイを有する露光装置23によって静電潜像が書き込まれる。この静電潜像は、光の当たった静電潜像担持体21の表面電位が低下し、光の当たっていない高電位部分とのコントラストによる電位画像として形成される。
また、現像装置24は、現像ハウジング31内に着色粒子であるトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を収容し、現像剤担持体32に前記二成分現像剤を担持させ、この現像剤担持体32にバイアス電源25からの現像バイアスを印加することで、現像剤担持体32を静電潜像の高電位部と低電位部との中間電位に保持し、静電潜像の画像部を帯電されたトナーにて現像するようにしたものである。
更に、転写装置26は、例えば、静電潜像担持体21に接触配置される転写ロールにて構成され、バイアス電源27によって静電潜像担持体21上のトナー像が引き付けられる方向の転写バイアスを印加されることで、静電潜像担持体21上のトナー像を記録材28に転写させるようにしたものである。なお、静電潜像担持体21上に残留したトナーは、例えば、ドクターブレード式のクリーニング装置29によって除去される。
また、上記静電潜像担持体21からトナー像が転写された記録材28は、定着装置50に搬送され、この定着装置50によりトナー像は、記録材28に定着される。定着装置50は、例えばヒートロール方式で、加熱ロール51と加圧ロール52とを有し、この加熱ロール51と加圧ロール52との間に記録材28を通過させることによりトナー像を記録材28に定着するようになっている。
図1はこの発明の実施の形態1に係る現像装置を示すものである。
この現像装置は、内部に磁界発生手段を具備し且つトナーと磁性キャリアとが含まれる二成分現像剤を搬送担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に隣接して二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部内のうち現像剤担持体に近接した部位に配備した現像剤攪拌部材と、前記現像剤収容部を介して現像剤担持体と連通して設けられトナーを供給可能に収容するトナー収容部と、前記現像剤担持体に隣接して現像剤収容部に対し現像剤担持体の現像剤搬送方向下流側に設けられると共に前記現像剤収容部と連通する現像剤退避部と、前記現像剤収容部及び現像剤退避部に対して現像剤担持体の現像剤搬送方向下流側に設けられ、現像剤担持体により担持搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、トナー濃度に応じて現像剤収容部又は現像剤退避部に前記余剰現像剤を分離する現像剤分離手段とを備え、該現像剤退避部へ分離された二成分現像剤が前記現像剤収容部またはトナー供給部へ流出するように構成されている。
すなわち、上記現像装置24は、図1に示すように、静電潜像担持体21と対向した位置に開口部を有する現像ハウジング31を備えており、この現像ハウジング31の開口部に面して現像剤担持体32を配設し、前記現像ハウジング31のうち、現像剤担持体32に隣接した部位には、二成分現像剤Gが収容される現像剤収容部33と、現像剤担持体32に隣接し、現像剤収容部33に対して現像剤担持体32の現像剤搬送方向下流側に設けられる現像剤退避部34と、現像剤収容部33を介して現像剤担持体32に連通し且つトナーTを収容するトナー収容部35とを形成したものである。
上記二成分現像剤Gは、トナーTと磁性キャリアからなる現像剤であり、トナーTとしては、例えば、非磁性トナーが用いられるが、磁性キャリアと磁気特性が異なるものであれば、磁性トナーを用いても良い。
また、上記現像剤担持体32は、外周に配置される回転可能な回転スリーブ321と、当該回転スリーブ321の内部に固定した状態で配設された磁極ロール322とから構成されている。上記回転スリーブ321は、非磁性ステンレス等によって薄肉円筒状に形成されている。また、上記磁極ロール322は、例えば、ロール本体中心Oを通る水平面右側に合わせて搬送磁極(本例ではS2)を配設し、回転スリーブ321の回転方向(反時計回り)に対し、搬送磁極(S2)から下流側へ略30°間隔で搬送磁極(本例ではN2)と、現像磁極( 本例ではS1)とを配設する一方、搬送磁極(S2)から上流側へ略30°間隔でピックアップ磁極(本例ではNl)と、搬送磁極(本例ではS3)と、搬送磁極(本例ではN3)とを配置したものである。
なお、上記現像磁極(S1)は、図1に示すように、静電潜像担持体21に対向し、ピックアップ磁極(N1)は、現像剤収容部33内の二成分現像剤Gを捕獲するようになっているが、夫々の磁極の配置や数は適宜選定して差し支えない一方、回転スリーブ321は、反時計回りに回転すると共に、磁極ロール322の現像磁極(S1)が配設される現像部において、静電潜像担持体21と対向するようになっている。
また、上記現像剤収容部33は、二成分現像剤Gが収容されるスペースを有し、現像剤収容部33内のうち現像剤担持体32に近接(又は接触)した部位に現像剤攪拌部材36が時計周り方向に沿って回転自在に配設されている。さらに、現像剤収容部33の底部形状は、現像剤担持体32及び現像剤攪拌部材36に沿った湾曲形状をしており、現像剤担持体32、現像剤攪拌部材36との間に所定間隔の現像剤搬送路を確保している。
また、上記現像剤攪拌部材36としては、後述するように、特殊な構成のものが用いられる。この現像剤攪拌部材36によって攪拌された二成分現像剤Gは、現像剤担持体32のピックアップ磁極(N1)近傍で捕獲され、現像剤担持体32の回転スリーブ321の回転により担持搬送されるようになっている。
更に、上記トナー収容部35には、図1に示すように、収容されるトナーTが攪拌搬送せしめられるトナー攪拌部材351を有しており、このトナー攪拌部材351は、例えば、回転体352に弾性フィルム353を付けたもので、トナー収容部35の底壁面に沿ってトナーTを掃き出すようにしたものである。また、このトナー収容部35の底部形状は、トナー攪拌部材351の移動回転軌跡に沿う湾曲状を有しており、現像剤収容部33とトナー収容部35との間の連結部には、トナー供給口37が設けられ、このトナー供給口37の下端縁部は、トナー攪拌部材351の中心位置よりも僅かに高く設定されている。一方、前記トナー供給口37の上端縁部には、この上端縁部から現像剤攪拌部材36へ向かって突出形成される突出部38が配設され、この突出部38は、トナー収容部35からのトナーTを現像剤収容部33へ誘導する通路を形成している。
また、この実施の形態では、現像剤収容部33と現像剤退避部34との間が、現像剤分離部材39によって隔てられている。この現像剤分離部材39は、例えば、図3に示すように、現像剤担持体32と略同程度の幅で形成された板状部材からなり、この現像剤分離部材39は、現像剤担持体32側が上方で、その反対側が下方となるように斜め下方に向かって傾斜配置されている。また、上記現像剤分離部材39は、傾斜した状態で配置された傾斜部391と、当該傾斜部391の下端部に鉛直方向下方に向けて一体的に形成された下端部392とを備えている。そして、現像剤分離部材39のうち、現像剤担持体32側に位置する上端393は、図4に示すように、現像剤担持体32内の搬送磁極(N2)の直上、あるいは搬送磁極(N2)から現像剤搬送方向上流側(時計回り方向側)の位置において、現像剤担持体32の表面と数百μm〜数mmの位置で対向している。一方、上端393の反対側である下端394は、前述した突出部38近傍において、鉛直方向下方に向けて突設されている。なお、上記傾斜部391の傾斜角度は任意に設定して差し支えない。また、上記現像剤分離部材39の上端393の端面は、水平方向H0に沿った端面を有するように形成されているとともに、その下端394の端面は、突出部38の左側面と略平行に傾斜した端面を有するように形成されている。
また、上記現像剤分離部材39の下端部392と突出部38との間及び、現像剤分離部材39の上端393と現像剤担持体32との間には、現像剤退避部34と現像剤収容部33とを連通している循環路40が形成されている。この循環路40は、例えば、現像剤収容部33内の二成分現像剤Gが傾斜部391側から現像剤退避部34に流入し、この流入した二成分現像剤Gが下端部392側から現像剤収容部33に流出する経路になっている。
更に、この実施の形態では、現像剤担持体32内の搬送磁極(N2)から現像剤搬送方向下流側(反時計回り方向側)の位置において、搬送磁極(N2)と現像磁極(S1)との間には、現像剤担持体32と対向するようにせき止め部41が配設されている。このせき止め部41は、現像剤担持体32と略同程度の幅を有し、一端を現像ハウジング31により支持され、先端部を数十μm〜数百μm程度の間隙で現像剤担持体32に近接させている。
なお、本実施の形態では、せき止め部41に多くの二成分現像剤Gを供給するために、前記現像剤分離部材39の上端部39bと現像剤担持体32との間隙は、せき止め部41と現像剤担持体32との間隙よりも広く設定されている。
また、この実施の形態では、せき止め部41は、現像剤担持体32により担持搬送される二成分現像剤Gの層厚を規制する層厚規制機能を兼ねているが、層厚規制機能とは別にしてもよい。この場合、例えば、せき止め部41と現像磁極(Sl)との間に層厚規制部材42を設ける態様が挙げられる。
ところで、この実施の形態では、前記現像剤攪拌部材が、前記現像剤担持体の軸方向に沿って平行に配置された複数の羽根部を有するとともに、前記羽根部の根元近傍であって、且つ現像剤攪拌部材内の中空部に連通する開口部を、当該現像剤攪拌部材の軸方向に沿った少なくとも両端部に設けるように構成されている。
すなわち、この実施の形態に係る現像装置では、図1に示すように、現像剤収容部33の内部に配設される現像剤攪拌部材36が、図5及び図6に示すように、現像剤担持体32の軸方向に沿って平行に配置された複数(図示例では、6枚)の羽根部361を有するように構成されている。上記複数の羽根部361は、図6に示すように、薄い平板状に形成されており、当該現像剤攪拌部材36の回転軸362に同芯円状に設定された円弧に対して、現像剤攪拌部材36の回転方向に沿った上流側が内周に位置し、下流側が外周に位置するように、すべての同一の傾斜角度θを持って傾斜した状態で設置されている。また、上記複数の羽根部361は、現像剤攪拌部材36の周方向に沿って、等しい角度で配置されているとともに、羽根部361の内周端361aが隣接する羽根部の中間近傍に当接し、両者の間に隙間が生じないように配設されている。さらに、上記複数の羽根部361の軸方向両端部には、当該複数の羽根部を固定した状態で取り付けるための六角形状の取付板363が配置されているとともに、当該取付板363は、回転軸362に固定されており、現像剤攪拌部材36の内部364は、中空状となっている。
さらに、上記現像剤攪拌部材36には、図5及び図6に示すように、各羽根部361の根元(内周端)近傍であって、且つ現像剤攪拌部材36内の中空部364に連通する開口部365が、当該現像剤攪拌部材36の軸方向に沿った両端部に、所定の長さにわたって設けられている。上記各羽根部361の根元近傍に設けられる開口部365は、現像装置24が傾斜した状態で配置され、現像剤収容部33内の二成分現像剤Gに、現像装置24の長手方向に沿った偏りが発生した場合に、当該現像装置24の低い側、つまり現像剤収容部33内の二成分現像剤Gの量が多くなった側と、現像装置24の高い側、つまり現像剤収容部33内の二成分現像剤Gの量が少なくなった側との二成分現像剤Gの圧力差によって、この二成分現像剤Gを、二成分現像剤Gの量が多く圧力が高くなった側から、二成分現像剤Gの量が少なく圧力が低くなった側に向けて搬送する搬送力を発生させるためのものである。
なお、上記現像剤攪拌部材36の開口部365の長さや開口幅は、現像剤Gの搬送作用を効果的に発生するように適宜設定される。
以上の構成において、この実施の形態に係る現像装置では、次のようにして、構造が簡単であって、部品や製造のコストがかからず、しかも、現像装置や当該現像装置が搭載された画像形成装置が、水平方向に対して傾斜して配置された場合であっても、現像剤分布の偏りを自律的に修正しトナー濃度の変動を抑えることで良好な画質を保つことが可能となっている。
すなわち、この実施の形態に係る現像装置24は、図1に示すように、現像剤収容部33内に収容された二成分現像剤Gが現像剤攪拌部材36によって攪拌され、現像剤担持体32内のピックアップ磁極(Nl) によって捕獲される。この後、捕獲された二成分現像剤Gは、ピックアップ磁極(N1) 及び搬送磁極(S2)の磁気吸引力と現像剤担持体32表面との摩擦力により、現像剤担持体32(回転スリーブ321)の回転方向に搬送される。この搬送された二成分現像剤Gは、せき止め部41の近傍に到達すると、搬送磁極(N2)により穂立ちを形成する。更に、この二成分現像剤Gの穂立ちは、せき止め部41にて規制されることにより、現像剤層として現像剤担持体32上に形成され、この現像剤層は、静電潜像担持体21と対向する現像領域に搬送される。更に、現像領域に搬送された二成分現像剤Gの現像剤層は、現像磁極(S1)の磁気吸引力により磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを形成する二成分現像剤GにおけるトナーTは、静電潜像担持体21と現像剤担持体32との間に形成される現像電界によって、静電潜像担持体21上の静電潜像を可視像化する。
次に、せき止め部41付近における二成分現像剤Gの挙動について説明する。
まず、図1において、現像剤担持体32により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が低い場合を想定する。この二成分現像剤Gは、磁性キャリアの表面を覆うトナー量が少ないことから、比較的磁性キャリアの表面が多く露出している。
つまり、外部磁界(本例ではN2)から二成分現像剤Gが受ける磁気吸引力は大きくなるため、トナー濃度の低い二成分現像剤Gは、せき止め部41近傍まで確実に搬送される。このせき止め部41まで確実に搬送された二成分現像剤Gは、せき止め部41のせき止め力と搬送磁極(N2)の磁気拘束力によって、せき止め部41近傍に滞留している滞留現像剤を押し出し、この押し出された滞留現像剤は、図7に示すように、落下現像剤となって現像剤分離部材39上に落下し、現像剤退避部34を経て、その後、再び現像剤収容部33へ戻る。
このとき、上記のようにトナー濃度の低い二成分現像剤Gが現像剤退避部34に導びかれた場合、現像剤収容部33内にはその分だけスペースが作られることになる。その結果、トナー供給口37から現像剤収容部33に至るまでのトナー供給路43にあった二成分現像剤Gは、現像剤攪拌部材36の搬送力と二成分現像剤Gの自重により、上記スペースに速やかに引き込まれる。これにより、トナー供給口37は、トナー収容部35からのトナーTを受け入れ、このトナーTは、トナー供給路43を経て現像剤収容部33へと速やかに供給される。
一方、現像剤担持体32により担持搬送される二成分現像剤Gのトナー濃度が高い場合を想定すると、この二成分現像剤Gは、磁性キャリアの表面を覆うトナ一量が多いことから、比較的磁性キャリアの表面露出が少ない。つまり、外部磁界(本例ではN2)から二成分現像剤Gが受ける磁気吸引力は小さいため、トナー濃度の高い二成分現像剤Gの多くは、現像剤担持体32の回転方向に対して現像剤分離部材39の先端よりも上流側の位置で落下してしまう。この結果、この二成分現像剤Gは、せき止め部41近傍に滞留している滞留現像剤まで到達することなく、現像剤分離部材39上に落下しない。
このため、この二成分現像剤Gは、現像剤分離部材39上に落下することなく、現像剤担持体32の回転方向に対して現像剤分離部材39の上端部39bより上流側の位置で落下し、直接現像剤収容部33へ戻る。このとき、前記トナー濃度が低い場合と異なり、現像剤収容部33内にスペースが作られることなく、トナー供給口37は、二成分現像剤Gによりふさがれている状態となっているため、トナー収容部35からトナーTが供給されない。
このように、本実施の形態に係るトナー補給メカニズムは、トナー濃度に応じた二成分現像剤Gの流動性変化、嵩変化に加えて磁気吸引力の変化を利用したものであり、トナー濃度が低い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われ、トナー濃度が高い二成分現像剤Gに対してはトナー補給が行われない構成になっている。そして、低トナー濃度の時には、二成分現像剤Gは、現像剤退避部34へ一時的に誘導されることによって現像剤収容部33内の二成分現像剤Gの嵩変化が強調されることになり、その分、現像剤収容部33内の二成分現像剤Gは、トナー収容部35内のトナーTをすばやく取り込むことができ、高密度画像の連続出力に対応することができる。
ところで、この実施の形態に係る現像装置24は、当該現像装置24が搭載された画像形成装置が、水平方向に対して現像装置24の長手方向に沿って傾斜した状態で配置されて使用される場合がある。すると、上記現像装置24内の二成分現像剤Gも、画像形成装置の傾斜に伴って傾斜した状態で、現像剤収容部33の内部に収容される。
いま、図1において、上記現像装置24の手前側が高く、当該現像装置24の奥側が低く設置された場合を考える。上記現像剤収容部33内のトナー濃度が低下すると、二成分現像剤Gが現像剤分離部材39上を流れて、現像剤収容部33内に落下する。この場合、上記現像剤分離部材39上を流れる二成分現像剤Gには、現像装置24の相対的に低い奥側への偏りが生じる。
その際、上記現像装置24の現像剤収容部の内部には、図1に示すように、現像剤攪拌部材が回転可能に配設されており、当該現像剤収容部の内部に収容された二成分現像剤Gは、現像剤攪拌部材によって攪拌されつつ、現像剤担持体へと搬送されて、現像工程に使用される。
上記現像剤攪拌部材は、現像装置が水平に設置された状態では、当該現像剤攪拌部材の回転に伴って二成分現像剤Gが攪拌されるが、この二成分現像剤Gの攪拌作用は、現像剤攪拌部材の周方向に沿ってのみ生じ、現像剤攪拌部材の軸方向に沿った攪拌搬送作用は生じない。
これに対して、上記現像剤攪拌部材は、現像装置が水平方向に対して、当該現像装置の長手方向に沿って傾斜して設置された状態では、当該現像剤攪拌部材の回転に伴って攪拌される二成分現像剤Gが、当該二成分現像剤Gの量が多く圧力が高くなった側から、二成分現像剤Gの量が少なく圧力が低くなった側に向けて搬送されることになる。
その理由は、上記現像剤攪拌部材には、その軸方向の両端部に開口部が設けられているため、当該現像剤攪拌部材の軸方向の両端部近傍に位置する二成分現像剤Gは、開口部を介して中空状に形成された現像剤攪拌部材の内部に流れ込み、現像剤攪拌部材の内部が二成分現像剤Gで満たされた状態となる。
この状態で、上記現像剤攪拌部材を図6中反時計周り方向に回転駆動させると、当該現像剤攪拌部材の二成分現像剤Gの圧力が高くなった側からは、開口部から二成分現像剤Gが引き続き流入するが、現像剤攪拌部材の二成分現像剤Gの圧力が低くなった側からは、他端部との圧力差によって二成分現像剤Gがほとんど流入しない。その結果、現像装置の低くなった結果、二成分現像剤Gの圧力が高くなった側からは、現像剤攪拌部材内の中空部に引き続き二成分現像剤Gが流入し、この現像剤攪拌部材内の中空部に流入した二成分現像剤Gは、圧力が低い側との圧力差によって、徐々に圧力が低い側へと搬送され、当該圧力が低い側の開口部から現像剤収容部内に排出されることになる。
このように、上記実施の形態に係る現像装置24では、当該現像装置24が傾斜した状態で使用された場合であっても、図5及び図6に示すように構成された現像剤攪拌部材36を使用するだけで、現像剤収容部33内の二成分現像剤Gが多く存在する側から、二成分現像剤Gが少ない側の端部に向けて二成分現像剤Gを攪拌しつつ搬送させることができ、構造が簡単であって、部品や製造のコストがかからず、しかも、現像装置が搭載された画像形成装置が、水平方向に対して傾斜して配置された場合であっても、現像剤分布の偏りを自律的に修正しトナー濃度の変動を抑えることで良好な画質を保つことが可能となっている。
実施の形態2
図8はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、現像剤攪拌部材の内部には、当該現像剤攪拌部材の内部に導入される現像剤をほぐす突起状部材を設けるように構成したものである。
また、この実施の形態2では、前記現像剤攪拌部材に設けられる突起状部材が、円柱形状もしくは円錐形状に形成されているものである。
さらに、この実施の形態2では、前記突起状部材は、現像剤攪拌部材の周方向に沿って点在するように設けられているものである。
又、この実施の形態2では、前記現像剤攪拌部材が回転する際に、当該現像剤攪拌部材の羽根部と突起状部材とが相対的な速度差を持つように構成したものである。
すなわち、この実施の形態2では、図8に示すように、現像剤攪拌部材36の内部に、当該現像剤攪拌部材36の内部に導入される現像剤Gの塊をほぐす突起状部材42が設けられている。この突起状部材42は、先端部が鋭利な円錐形状に形成されており、中空軸43の外周に半径方向外方を向けて、周方向に沿って一定の間隔で複数個設けられている。なお、上記突起状部材42は、細い円柱形状に形成しても良い。また、上記突起状部材42は、現像剤攪拌部材36の開口部365に対応した位置に設けられており、当該開口部365から現像剤攪拌部材36の内部に導入された現像剤Gの塊を粉砕するようになっている。上記突起状部材42は、現像剤Gの搬送性に悪影響を及ぼすのでなければ、中空軸43の全長にわたって設けても良い。さらに、上記突起状部材42が形成された中空軸43は、現像装置24の現像ハウジング31に固定した状態で配置されており、回転駆動される現像剤攪拌部材36の羽根部361に対して相対的な速度差を持つように構成されている。
この実施の形態2によれば、現像剤収容部33内の圧力によって、当該現像剤収容部33内で凝集した二成分現像剤Gが、現像剤攪拌部材36の開口部365から内部に導入された場合でも、現像剤攪拌部材36の内部に設けられた複数の突起状部材42によってほぐされ、流動性が高まった状態となる。
そのため、上記実施の形態1で説明したように、現像剤攪拌部材36の搬送作用によって、二成分現像剤Gの量が多い側から少ない側に二成分現像剤Gが搬送され、現像剤分布の偏りを自律的に修正しトナー濃度の変動を抑えることで、良好な画質を保つことが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態3
図9はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、前記現像剤攪拌部材の羽根部には、当該現像剤攪拌部材の軸方向に直交する仕切り部材を、現像剤攪拌部材の軸方向に沿って複数設けるように構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図9及び図10に示すように、現像剤攪拌部材36の羽根部361には、当該現像剤攪拌部材36の軸方向に直交する複数の仕切り部材44を設けるように構成したものであり、これら複数の仕切り部材44は、現像剤攪拌部材36と一体的に形成され、また、現像剤担持体32の長手方向に対して直交するように設けられている。上記仕切り部材44としては、図10に示すように、三角形状に形成したものや、図11に示すように、扇形状に形成したものなどが用いられる。二成分現像剤Gの移動を阻止する効果を考慮した場合には、仕切り部材44として面積の大きい扇形状に形成したものの方が望ましいが、当該仕切り部材44の形状や枚数、仕切り部材44間のピッチは、任意に設定可能である。
このように、上記実施の形態3によれば、現像装置24の手前側が高く、当該現像装置24の奥側が低く設置された場合であっても、現像剤攪拌部材36によって攪拌されつつ現像剤担持体32に供給される二成分現像剤Gは、斜めに移動しようとするが、現像剤攪拌部材36に設けられた仕切り部材44によって塞き止められ、当該仕切り部材44の間隔以上にわたって偏って移動することが阻止される。
よって、上記現像装置24では、当該現像装置24が長手方向に沿って傾斜した状態で配置された場合であっても、二成分現像剤Gが現像装置24の一端側に偏って移動するのを抑制することができ、実施の形態1で述べた現像剤攪拌部材36の搬送作用と相俟って、二成分現像剤G中のトナー濃度を、現像装置24の長手方向に沿ってより一層一定に維持することが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
24:現像装置、32:現像剤担持体、33:現像剤収容部、34:現像剤退避部、35:トナー収容部、36:現像剤攪拌部材、361:羽根部、365:開口部、39:現像剤分離部材(現像剤分離手段)、42:突起状部材、G:二成分現像剤。