JP2005351954A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繰り返し使用しても高感度を維持し、かつ摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性が非常に良好な電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体が下記の条件(A)を満たし、かつ感光層の膜厚が5μm以上15μm以下である。(A)25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHU値が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が50%以上65%以下である
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求され、特に繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求されている。
具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化例えば転写効率や滑り性の低下、さらには感度低下、電位低下などの電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
電子写真感光体として、低価格、生産性等の利点から有機材料を用いた感光体が普及している。有機感光体は有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と光導電性ポリマーや低分子の有機光導電性物質を含有した電荷輸送層を積層した機能分離型感光体が主流である。その表面層の多くは、ポリマー中に有機光導電性物質を分散させた分子分散ポリマーからなり、その機械的強度はポリマーに依存しており、近年の高画質、高寿命化にともない、その耐久性は十分とは言いがたい。具体的には、高画質を提供できる感度の高い組成では感光体の反復使用時にクリーニングブラシ及び又はクリーニングブレードの摺擦等によって感光体表面に傷が生じたり、表面が摩耗したりし、又高寿命を提供できる耐摩耗性の高い組成では感度が低い、残留電位が上昇する等電子写真的特性が満足できなかった。
また、耐久時における削れのみならず感光体に傷が発生することで、その表面の粗度が上がり、微視的に見ると膜厚差が生じてしまい、微少範囲で感光体容量に変化をもたらし、感度の均一性にも影響を及ぼす。
これらの問題に対して近年では、例えば特開平2-127652号公報(特許文献1)などに記載されているように硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みや特開平05-216249(特許文献2)、特開平07-72640号公報(特許文献3)に記載されているように電荷移動層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷移動材の炭素−炭素二重結合と熱あるいは光のエネルギーによって反応させて電荷移動層硬化膜を形成する試みがされて、高感度を保持したまま、より硬く、より削れにくくする検討がされている。
一方、機械的な劣化の度合を知る一つの尺度として硬度があり、定量的に数値化することが試みられている。その例として、従来から多く用いられている引っ掻き硬度試験、鉛筆硬度試験やビッカース硬度試験等は広く知られている。
しかしながら、これらの試験を用いて高い硬度を示す感光体でも、低い硬度を示す感光体より傷が発生しやすかったり、削れやすかったり、また、削れにくいが傷は発生してしまったりする場合があり、耐久時の摺擦による表面の摩耗や傷の発生と硬度の関係は必ずしも一致しないことが多くあった。
また、硬度は測定方法にもよるが、その多くは膜の変形量から定量的に数値化されている。しかし、変形には塑性変形と弾性変形があり、これらの物性を考慮せずに全変形量のみで硬度をとらえるにはやはり無理があった。近年では、硬度計の技術開発の発展により測定装置の高度化が進み、塑性変形、弾性変形を含めた膜の物性を精度よく測定することができるようになってきている。
特開平2−127652号公報 特開平05−216249号公報 特開平07−72640号公報
本発明の目的は、繰り返し使用しても高感度を維持し、かつ摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性が非常に良好な電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体が下記の条件(A)を満たし、かつ感光層の膜厚が5μm以上15μm以下である電子写真感光体。
(A)
25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHU値が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が50%以上65%以下である
であることを特徴とする電子写真感光体が前述の課題を解決するものであることを見いだした。
また本発明は、上記電子写真感光体、および該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明の電子写真感光体は非常に高寿命であり、かつ電子写真特性、耐久画像特性が良好である。
また、該電子写真感光体の効果は、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置においても当然に発揮される。
次に本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明におけるユニバーサル硬さ値(HU)、及び弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し連続的硬さを求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した。圧子は対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。荷重の条件は最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1sの保持時間で273点)測定した。
出力チャートの概略を図1に、本発明の電子写真感光体を測定した例を図2に示す。縦軸は荷重F(mN)で横軸は押し込み深さh(μm)であり、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた結果である。
ユニバーサル硬さ値(以下HUと呼ぶ)は、6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(1)によって規定される。
Figure 2005351954
弾性変形率は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下記式(2)からその値は求まる。全仕事量Wt(nW)は図1中のA-B-D-Aで囲まれる面積で表され、弾性変形の仕事量We(nW)はC-B-D-Cで囲まれる面積で表される。
弾性変形率=We/Wt (2)
前述の如く、有機電子写真感光体に求められる性能として機械的劣化に対する耐久性の向上が挙げられる。一般的に膜の硬度は外部応力に対する変形量が小さいほど高く、電子写真感光体も当然の如く鉛筆硬度やビッカース硬度が高いものが機械的劣化に対する耐久性が向上すると考えられている。しかしながら、これらの測定方法により得られる硬度が高いものが必ずしも耐久性の向上を望めたわけではなかった。
我々は鋭意検討の末、保護層を有する感光体において、感光体のHUと弾性変形率の値が、ある条件を満たし、かつ感光層の膜厚が特定の範囲内にある場合に感光体表面層の機械的劣化が起り難くなることを見出し、本発明に至った。すなわち、膜厚が5μm以上15μm以下の感光層上に保護層を設けた感光体において、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が50%以上65%以下の条件を満たすことによって飛躍的に向上した。
HUと弾性変形率を切り離してとらえることはできないが例えばHUが220N/mm2を超えるものであるとき、弾性変形率が50%未満であるとクリーニングブレードや帯電ローラーに挟まれた紙粉やトナーが感光体の弾性力が不足しているが故に、弾性変形率が65%より大きいと弾性変形率は高くても弾性変形量は小さくなってしまうが故に、結果として局部的に大きな圧力がかかり深い傷が発生してしまう。よって、HUが高いものが必ずしも感光体として最適ではないと考えられる。
また、HUが150N/mm2未満で弾性変形率が65%を超えるもの場合、たとえ弾性変形率が高くても塑性変形量も大きくなってしまいクリーニングブレードや帯電ローラーに挟まれた紙粉やトナーが擦られることで削れたり細かい傷が発生したりしてしまう。
保護層を表面層にもつ感光体において、前記条件(A)を満たす場合でも感光層の膜厚が5μm未満または15μmを超えると、細かい傷や深い傷が発生することがあった。これは、フィッシャースコープを用いて測定した場合、その値に大きく関与するのは表面層である保護層ではあるが、弾性変形率が50%以上と非常に大きいためが故にその下層にある感光層の影響が反映されると推測される。
本発明はさらに、前記電子写真感光体の保護層が、同一分子内に1つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物を重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有するものである。『連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物』とは、公知の正孔輸送性化合物の一部に連鎖重合性官能基が化学結合している化合物を示す。詳しくは特開2000-66424号公報中に説明されている。連鎖重合官能基は同一分子内に1つ以上、好ましくは2つ以上であり、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)が好ましい。
次に本発明による電子写真感光体の製造方法を示す。
電子写真感光体の支持体としては硬度の測定に影響を与えない範囲内で導電性を有するものであればよく、例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属や合金をドラム状に成形したものなどが挙げられる。
本発明においては導電性支持体の上にはバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。
下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。下引き層の材料としてはポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわおよびゼラチンなどがしられている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
本発明の感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する、所謂単一層型でも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層に機能分離された、所謂積層型でもよいが、積層型である方が好ましい。
本発明の感光層が機能分離型の感光層である場合には電荷発生層および電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属および結晶系、具体的には例えばα、β、γ、εおよびX型などの結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニンおよび特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコーンなどが挙げられる。
電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライターおよびロールミルなどの方法で良く分散し、分散液を塗布し、乾燥されて形成されるか、または前記電荷発生物質の蒸着膜など、単独組成の膜として形成される。その膜厚は3μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾールなどの複素環化合物、トリフェニルメタンなどのトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの低分子化合物などを適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)とともに溶剤に分散/溶解した溶液を前述の公知の方法によって塗布、乾燥して形成することができる。この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全重量を100とした場合に電荷輸送物質の重量は20〜100が望ましく、好ましくは30〜100の範囲で適宜選択される。電荷輸送物質の量がそれ以下であると、電荷輸送能が低下し、感度低下および残留電位の上昇などの問題点が生ずる。
本発明の感光層が単一層型感光層の場合は、上記電荷発生材料及び上記電荷輸送材料を上記結着樹脂に分散及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
本発明における保護層は感光体として上記条件(A)を満たすものであればよい。
本発明における保護層が連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物を重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有するものである場合の形成方法は、正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合あるいは架橋させる。これらの溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法およびスピンコーティング法などが知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本発明において連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は熱や可視光、紫外線等の光、更に放射線により重合がるいは架橋させることができる。従って、塗工液に前記正孔輸送性化合物と必要によっては重合開始剤を含有させ、該塗工液を用いて形成した塗工膜に熱、光又は放射線を照射することによって前記正孔輸送性化合物を重合させる。尚、本発明においては、その中でも放射線によって重合、硬化させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。この際使用する放射線とは電子線およびγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型およびラミナー型などいずれの形式も使用することが出来る。電子線を照射する場合に、本発明の感光体においては電気特性および耐久性能を発現させる上で照射条件が重要である。本発明において、加速電圧は250KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また照射線量は好ましくは0.1Mradから100Mradの範囲、より好ましくは0.5Mradから20Mradの範囲である。加速電圧が上記を越えると感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、照射線量が上記範囲よりも少ない場合には硬化が不十分となりやすく、線量が多い場合には感光体特性の劣化がおこりやすい傾向にある。また、より硬化を十分におこなうために電子線による重合反応時に熱を加えることが望ましい。熱を加えるタイミングとしてはラジカルが存在する間に該感光体が一定の温度になっていれば良いため、電子線照射前、照射中、照射後、いずれでもよい。加熱する温度は、感光体の温度が室温〜250℃であることが好ましく、特に好ましくは50℃〜150℃である。温度が上記範囲よりも高い場合には、電子写真感光体の材料が劣化し、電子写真特性が悪くなる傾向にある。加温する時間は、その温度にもよるが、おおよそ数秒から数十分程度である。照射時および加温する雰囲気は、大気中、窒素およびヘリウム等の不活性ガス中、真空中のいずれでも構わないが、酸素によるラジカルの失活を抑制することができるため、不活性ガス中あるいは真空中が好ましい。保護層の膜厚は3〜10μmが好ましい。
図3に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図において、1はドラム上の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中止に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着をうけることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により助電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成しこのプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読みとり、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
30φのアルミニウムシリンダーを硬度試験用と実機テスト用とを用意した。アルミニウムシリンダ−をホーニング処理し、超音波水洗浄したものを導電性支持体とした。
次にメトキシエタノール160重量部(以下部)にジルコニウムテトラnブトキサイドの85%ブタノール溶液(関東化学社製)64部(0.06mol)及びチタニウムテトラnブトキサイド(キシダ化学社製)22部(0.14mol)を滴下し、メトキシエタノール/水=160部/11部の混合溶液を更に加える。式(II)で示した化合物としてアセチルアセトン20部をメタノール200部に加えた溶液をさらに滴下した後、ヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業社製)の10重量%メタノール液55部を混合して得た下引き層塗布液をアルミシリンダー基体上に浸漬塗布し、120℃で15分加熱して0.3umの下引き層を形成した。
次に、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2度が9.0度、14.2度、23.9度及び27.1度に強いピ−クを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3部及びシクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビ−ズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記の中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して50℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
ついで下記構造式(1)のスチリル化合物を10部
Figure 2005351954
および下記構造式(2)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂10部を
Figure 2005351954
モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調整した。この塗布液を前記の電荷発生層上に浸漬コーティングし、120℃で一時間乾燥することによって膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、下記構造式(3)の正孔輸送性化合物60部
Figure 2005351954
をモノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調整した。この塗布液を前記の電荷発生層上にコーティングし、酸素濃度10ppmの雰囲気下で加速電圧150KV、照射線量4Mradの条件で電子線を照射した。その後引き続いて、同雰囲気下で感光体の温度が100℃になる条件で10分加熱処理をおこない、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
硬度試験用の感光体を25℃湿度50%の環境下に24時間放置した後、前述した微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて、Hu及び弾性変形率を求めた。
次に実機テスト用の感光体をキヤノン(株)製複写機GP40に装着して、常温常湿下での初期の画像評価、更に60000枚分の通紙耐久試験を行い、耐久中の画像評価及び耐久後の感光体の削れ量を測定した。削れ量の測定には、渦電流式膜厚計(Fischer社製、PERMASCOPE TYPE E111)を使用した。また通紙耐久はプリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。
結果を表1に示す。
(実施例2、3)
実施例1の電子線照射線量を8Mrad、20Mradの条件に変えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(実施例4、5)
実施例1の電荷輸送層の膜厚を7μm、13μmに変えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例2の正孔輸送性化合物(3)を下記構造式(4)の正孔輸送性化合物に変えた以外は、実施例2と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005351954
(実施例7、8)
実施例6の電荷輸送層の膜厚を7μm、13μmに変えた以外は実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(実施例9〜11)
実施例1の正孔輸送性化合物(3)を下記構造式(5)、(6)、(7)の正孔輸送性化合物に変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005351954
(実施例12)
実施例6で保護層用塗料の調整を以下のように変えた以外は、実施例6と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
上記構造式(4)の正孔輸送性化合物40部、下記構造式(8)の正孔輸送性化合物20部をモノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調整した。
(実施例13)
実施例1で保護層用塗料の調整を以下のように変えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
テトラフルオロエチレン樹脂粒子(ルブロンL−2、ダイキン工業製)10部およびモノクロロベンゼン50部をガラスビーズ入りサンドミル装置で分散した。このテトラフルオロエチレン樹脂粒子分散液に、上記構造式(1)の正孔輸送性化合物60部およびジクロロメタン50部を加えて溶解した後ジクロロメタン30部を加えて保護層用塗料を調製した。
(実施例14、15)
実施例1の保護層の膜厚を3μm、8μmに変えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(比較例1、2)
実施例1の電荷輸送層の膜厚を4μm、18μmに変えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(比較例3、4)
実施例6の電荷輸送層の膜厚を4μm、18μmに変えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す
(比較例5、6)
実施例1,4の電子線照射後の加熱をおこなわなかった以外は実施例1,4と同様に電子写真感光体を作製し、HU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例1において電荷輸送層を形成した後、保護層用の調合液を下記の手順により作製した。平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)100部、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(信越化学(株)製)30部及び95%エタノール−5%水溶液300部を混合した溶液を、ミリング装置で1時間分散した溶液をろ過し、エタノールで洗浄後、乾燥し、120℃で1時間加熱することにより酸化スズ微粒子の表面を処理した。次に、光重合性モノマーとして下記構造式(5)に示される硬化系アクリルモノマー25部、
Figure 2005351954
光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン5部、前記表面処理されたアンチモン含有酸化スズ粒子50部及びエタノール300部を混合してサンドミル装置で96時間分散した分散液に、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)20部を混合してサンドミル装置で8時間分散することにより保護層用の分散液を得た。
この分散液を前記電荷輸送層の上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥後、メタルハライドランプにて1000mW/cm2 の光強度で30秒間紫外線照射することによって膜厚が3μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。実施例1と同様にHU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例4において電荷輸送層を形成した後、上記構造式(3)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂10部をモノクロロベンゼン100部およびジクロロメタン60部の混合溶媒中に溶解した溶液に疎水性シリカ粒子1重量部を混合、分散して成る塗布液を前記CTL上にスプレー塗布機により塗布して乾燥後の膜厚1.0μmの保護層を形成し、表2に示す実施例用の感光体1を得た。
(比較例9)
実施例6において電荷輸送層を形成した後、上記構造式(1)の正孔輸送性化合物30部、下記構造式(6)10部を
Figure 2005351954
モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調整した。この塗布液を前記の電荷発生層上にコーティングし、酸素濃度10ppmの雰囲気下で加速電圧150KV、照射線量20Mradの条件で電子線を照射した。その後引き続いて、同雰囲気下で感光体の温度が100℃になる条件で10分加熱処理をおこない、膜厚2μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
実施例1と同様にHU、弾性変形率を求め、更に実機評価した。結果を表1に示す。
表1の比較例1〜4に示すように上記条件(A)を満たすものであり、弾性変形率、HU、が同じ値を示す感光体であっても、感光層の膜厚が5μm未満または15μmを超える場合、傷の発生量が多くなった。比較例5に示すように弾性変形率が50%以上65%以下であってもHUが150N/mm2以下である感光体では削れ量が非常に多く、逆に比較例6に示すようにHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であっても弾性変形率が50%未満であると削れ性も劣り、更に深い傷の発生が生じた。比較例7、8に示すようにHUが220N/mm2を超えるものは削れ量は小さいが、深い傷が発生するため良好な画像を得ることができなかった。これに対し、実施例に示すように上記条件(A)を満たし、かつ、感光層の膜厚が5μm以上15μm以下である感光体は削れ性も非常に良好であり、かつ深い傷も発生することなく鮮明な画像を得ることができた。
Figure 2005351954
フィシャースコープH100V(H.Fischer社製)の出力チャートの概略図である。 全仕事量(Wt(nJ)) A-B-D-A 弾性変形仕事量(We(nJ)) C-B-D-C フィシャースコープH100V(H.Fischer社製)によって測定した本発明の電子写真感光体のチャートである。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体が下記の条件(A)を満たし、かつ感光層の膜厚が5μm以上15μm以下である電子写真感光体。
    (A)
    25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHU値が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が50%以上65%以下である
  2. 該感光体の保護層が同一分子内に1つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物を重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有する請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 該感光体の保護層が同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物を重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有する請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 該感光体の連鎖重合官能基がアクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)である請求項2,3記載の電子写真感光体。
  5. 前記保護層の形成手段として、放射線による硬化反応を利用することを特徴とする請求項2〜4いずれか記載の電子写真感光体。
  6. 前記保護層の形成手段として、電子線による硬化反応を利用することを特徴とする請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の電子写真感光体を用いる電子写真装置およびプロセスカートリッジ。
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