JP4174384B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電材料はその高生産性や無公害性などの利点が注目され、広く用いられるようになってきた。これらの電子写真感光体は電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。また、当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、紙や中間転写体などへの転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による感光体表面の劣化や帯電生成物の吸着などを起因とする転写効率や滑り性の低下、画像流れの発生、更には感度低下、電位低下などの電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
摺擦による表面の磨耗に対する耐久性を向上させるためには、感光体表面層を形成する樹脂の機械的強度を高くすることが広く検討されている。中でもとりわけ硬化性樹脂から形成される表面層は機械的強度が飛躍的に向上し、磨耗の観点における耐久性が大幅に向上することは周知のとおりである。例えば、放射線による重合反応を利用することによって耐久性能、特に感光体表面層の磨耗量を大幅に減少する電子写真感光体が本発明者等によって提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
これに対し、帯電による表面劣化や帯電生成物の蓄積が主要因であるとされている転写効率や滑り性の低下、画像流れなどについては、従来の感光体は繰り返し使用時に表面層がある程度の割合で磨耗することによりそれらの蓄積を抑制していたが、このような大幅に磨耗量が減少した表面層に対しては問題となる傾向にある。中でも特に高温高湿環境下においては、滑り性の低下した表面層とクリーニングブレードとの摩擦力がより大きくなり、ブレード鳴きが発生したり、ひどい場合にはブレードがめくれたりする。また蓄積した帯電生成物が水分を吸収することにより感光体表面の抵抗が低下し画像流れが発生するなどの問題点が発生する。
特開平11−265085号公報 特開2000−66425号公報
本発明は、耐磨耗性の向上した感光体表面層の問題点である滑り性の低下や画像流れを改善した電子写真感光体を提供することを課題とする。
また、本発明は、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、磨耗量の大幅に減少した感光
体表面層にある特定の分散剤を用い、且つ滑剤として撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子を分散させることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、支持体と、該支持体上に形成された感光層、又は感光層及び保護層とを有する電子写真感光体の表面層に、ある特定の分散剤を用いて滑剤として撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子を分散させるものである。より詳しくは、支持体上に感光層、又は感光層及び保護層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層が重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させた樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、及び分散剤を含有し、硬化樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子及び分散剤それぞれの溶解度パラメータ値δ1、δ2及びδ3が下記式(1)を満たし、かつ、該分散剤が同一分子内に、少なくとも、下記式(2)を満足する溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位と下記式(3)を満足する溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位とを有することを特徴とする電子写真感光体に関するものである。
δ2 ≦ δ3 ≦ δ1 (cal/cm1/2 (1)
|δ4−δ1| ≦ 2.0 (2)
|δ5−δ2| ≦ 2.0 (3)

本発明の電子写真感光体は耐磨耗性や耐傷性に優れかつ、高温高湿下において耐久的に使用した場合でも感光体表面とクリーニングブレードの滑り性を維持出来るという効果を有する。従って、従来の問題点であった感光体表面の耐久性と滑り性の両立が可能とすることができる。
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明の電子写真感光体(以下、単に「感光体」と表記することがある)は、支持体と、該支持体上に形成された感光層、又は感光層及び保護層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層は重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させた樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、及び分散剤を含有し、硬化樹脂、粒子及び分散剤のそれぞれの溶解度パラメータ値δ1、δ2及びδ3が下記式(1)を満たすことを特徴とする。
δ2 ≦ δ3 ≦ δ1 (cal/cm31/2 (1)
本発明の感光体は、支持体上に感光層を有する。本発明における感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した構成、又は逆に電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した構成、更には電荷発生物質と電荷輸送物質を結着樹脂中に分散した単層の構成のいずれの構成をとることも可能である。本発明の感光体は、更に、感光層上に表面保護層を形成する構成をとることも可能である。
本発明の感光体は表面層に重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させた樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、及び分散剤を含有する。本発明における表面層とは感光体の最表面に存在する層を示し、感光体の構成によってその層は異なる機能を有するものとなる。本発明の主たる目的は感光体の耐磨耗性の向上と滑り性の維持であることから、感光体の表面層を感光層を構成する電荷輸送層、又は保護層とすることによって効果が十分に発揮される。なかでも、電子写真特性、特に残留電位などの電気的特性及び耐久性の点より、支持体上に電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の感光体構成、又は支持上に前記電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の感光層上に保護層を形成した構成が好ましい。即ち、電荷輸送層又は保護層を表面層として、前記重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させた樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、及び分散材を含有する構成とすることが好ましい。
まず、電荷輸送層又は保護層からなる表面層について詳しく説明する。本発明において、表面層は、重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させることにより形成される。即ち、後に詳しく説明するように、電荷輸送層を表面層とする場合には、電荷輸送層自体を硬化性樹脂によって形成し、保護層を表面層とする場合には、一般的な電荷輸送層(後述する電荷輸送物質を適当な結着樹脂中に分散した層)上に保護層として、重合性官能基を有する化合物を重合あるいは架橋することにより硬化させた層を構成する。
重合性官能基としては、水酸基やカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などのように逐次反応、即ち付加反応や縮合反応を経由して硬化反応を起こすものと、ビニル基、アクリロイルオキシ基、スチレン基、ビニルエーテル基などの、ラジカルやイオンによって開裂しうる不飽和結合を有する不飽和重合性官能基やエポキシ基のようなイオン重合性官能基のように連鎖反応を経由して硬化反応を起こすものなどが挙げられる。上記のうち、反応性、化合物の安定性、分子設計の多様性などの観点から、連鎖反応を経由して硬化反応を起こす連鎖重合性官能基が好ましく、中でも不飽和重合性官能基がより好ましく、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチレン基が特に好ましい。
重合性官能基を有する化合物としては、上記したような重合性官能基を有する市販のモノマーやオリゴマーなどを利用することが出来る。しかし、これらは基本的に電荷輸送能力を有していないため、これらモノマー又はオリゴマーを重合又は架橋することによって硬化させた樹脂からなる層を電荷輸送層上の保護層として極薄膜で使用するか、又は上記層に電荷輸送能力を付与する必要がある。電荷輸送能を付与する方法としては、導電性粒子や電荷輸送物質の添加、また特開2000−66425号公報において開示したように、電荷輸送物質に直接前記重合性官能基を化学結合させた化合物を利用することが出来るが、電子写真特性や機械的強度の両立という観点から、後者の電荷輸送物質に重合性官能基を化学結合させた化合物を硬化させる方法が好ましい。
以下に、市販されている重合性官能基を有する化合物としてのモノマーの例を示す。
電荷輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセンなどの複素環又は縮合多環芳香族を有する高分子化合物や;ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾールなどの複素環化合物;トリフェニルメタンなどのトリアリールアルカン誘導体;トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体;フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体などの低分子化合物を含む公知の材料が利用できる。中でも一般的に電子写真装置で用いられる負帯電型感光体の電荷輸送物質としては、材料設計の多様性、電子写真特性、安全性等の観点から、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ヒ
ドラゾン誘導体などの正孔輸送性化合物が好ましく用いられる。
重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋する手段としては、熱、紫外線、放射線などが挙げられるが、連鎖重合性官能基、主にはアクリロイルオキシ基などのような不飽和重合性官能基を効率よく反応させるために放射線を利用することが好ましい。更に放射線の中でも電子線が、汎用性や装置設備などの面から特に好ましい。
次に表面層に含有される撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子について説明する。本発明において、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子は感光体表面の滑り性や撥水性を向上させる目的で添加する。具体的には、フッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン、ポリオレフィン樹脂などの高分子重合体からなる有機樹脂粒子や、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミなどの無機粒子が挙げられるが、吸水性の観点から、高分子重合体からなる有機樹脂粒子の使用が好ましい。中でもフッ化カーボンに代表されるフッ素原子含有樹脂粒子は、その撥水性や低吸水性、滑り性の観点から好ましく、特にはテトラフルオロエチレン粒子が最も好ましい。これらの粒子は目的に応じて各種の表面処理を行うことが可能である。また、粒子を添加する表面層としての電荷輸送層又は保護層の膜厚が数μmから数十μmの範囲内にあることや、後述の方法によりこれらを形成する塗料の安定性の面から、粒子の平均粒径は50μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。
次に表面層に含有される分散剤について説明する。分散剤は表面層を構成する硬化樹脂をマトリックスとし、このマトリックス中に前述の粒子を均一に分散する目的で添加する。一般に撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子と硬化樹脂マトリックスは、後述する溶解度パラメータの観点からしても、相溶性が乏しい場合が多く、これは硬化樹脂マトリックス中における撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の凝集や、分散性の低下につながる。よって、両者の相溶性を改善する目的で低分子又は高分子の界面活性剤のような分散剤を添加することは効果的である。これは硬化性樹脂に限らず、一般的な熱可塑性樹脂についても同様である。
本発明者らは、硬化樹脂マトリックスに対して撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の分散性を向上させる目的で表面層に添加する分散剤に対して、さらなる検討を重ねた結果、ある特定の物性値、即ち特定の溶解度パラメータを有する分散剤を用いることで、分散性を向上させることはもちろんのこと、繰り返し使用時においても感光体表面の滑り性を維持することが可能であることを見出した。これは、ある特定の分散剤を用いることにより粒子の硬化樹脂マトリックス中における保持能力が向上し、繰り返し使用時にも感光体表面から粒子が脱落しにくくなり、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の効果が持続されるためであると推察される。ちなみに従来の感光体においては感光体表面層がある一定のレートで磨耗することにより、前述したような表面劣化の影響が小さいことに付け加えて、最表面の粒子が脱落を起こしても、感光体表面が磨耗することによって下層に存在している粒子が次々に感光体表面へ表出してくるために、前述したような問題点は起こりにくいが、上述したように感光体表面の耐摩耗性が低いため、耐久性に劣るものである。
次に粒子、分散剤、樹脂マトリックスの溶解度パラメータ値の関係について詳細に説明する。
まず溶解度パラメータについて説明する。溶解度パラメータ(SP値)は、混合性の尺度となる物性値で、分子凝集エネルギーをE、分子容をVとすると溶解度パラメータδは以下の式で与えられる。
δ = (E/V)1/2
高分子の溶解度パラメータは各種実験値及び計算値が広く公開、検討されており、これらの値をもとに2種以上の成分の相溶性を検討することが広く行われている。本発明におけるSP値は、文献等から入手可能なものはそれを利用し、不明なものについては物質の化学構造と密度から算出される下記Smallの式による計算値を利用する。
δ = ρΣF/M
F:原子及び官能基の分子凝集エネルギー定数(凝集エネルギー×分子容)1/2
M:高分子の繰り返し単位(構造単位)の分子量
ρ:密度
本発明は、上記硬化樹脂(マトリックス)の溶解度パラメータδ1、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の溶解度パラメータδ2、及び分散剤の溶解度パラメータδ3が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
δ2 ≦ δ3 ≦ δ1 (1)
以下、硬化樹脂マトリックス、粒子及び分散剤のそれぞれの溶解度パラメータについて詳しく説明する。本発明で使用される硬化樹脂マトリックスは、上述したような重合性官能基を有する化合物を硬化させたものであるが、その種類によって溶解度パラメータδ1は異なり、おおよそ8〜13の範囲にある。また重合性官能基以外の部分の化学構造にもよるが、本発明において使用されるアクリルやスチレンのようなビニル系の樹脂は溶解度パラメータが9前後の値であり、エポキシ及びフェノール系の樹脂は11前後の値を有する。
また、本発明で使用される撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子は、上述したように有機樹脂粒子が好ましいが、これらの有機樹脂粒子の溶解度パラメータδ2は、おおよそ5〜10の範囲であり、中でもより好ましいフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン、ポリオレフィン樹脂などの高分子重合体からなる樹脂粒子の溶解度パラメータは、5〜8の範囲である。更に最も好ましいフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボンなどはおよそ6前後の値を有する。
次に分散剤について更に詳しく説明する。前述したように分散剤は二種類のSP値が大きく異なった物質間の相溶性を改善するために、上記式のように硬化樹脂と撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の間のSP値を有するものを使用するが、中でも硬化樹脂のSP値δ1と、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子のSP値δ2のそれぞれの値に対して、ある一定の関係を満たすSP値を有する構造単位を繰り返し単位として分子内に有することが更に好ましい。即ち、下記式のように硬化樹脂のSP値δ1に対して下記式(2)を満足するSP値δ4を有する構造単位、及び撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子のSP値δ2に対して下記式(3)を満足するSP値δ5を有する構造単位の両方を分子内に含有する分散剤がより好ましい。
|δ4−δ1| ≦ 2.0 (2)
|δ5−δ2| ≦ 2.0 (3)
また、上記分散剤に含有される構造単位のSP値δ4及びδ5は、δ1及びδ2に対して下記式(4)及び(5)の式の関係を満たすことがより好ましい。
|δ4−δ1| ≦ 1.0 (4)
|δ5−δ2| ≦ 1.0 (5)
本発明における硬化樹脂マトリックスとして最も好ましいビニル系樹脂の溶解度パラメータδ1に対して良好な相溶性を示す溶解度パラメータ値がδ4である構造単位としては、下記式(6)で示されるようなビニル系の構造単位であることが好ましい。下記式(6)で示される構造単位の溶解度パラメータδ4は、9前後である。
(式中、X1及びX2は各々独立に有機残基を示す)
上記式(6)で示される溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位の中でも、下記式(7)又は(8)で示されるようなアクリル系やスチレン系の構造単位を分子内に有する分散剤が特に好ましい。このような構造単位を有する分散剤と、アクリロイルオキシ基やスチレン基などのような不飽和重合性官能基を有する化合物を重合、架橋することにより硬化した硬化樹脂マトリックスは特に好ましい組み合わせである。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は置換基を有しても良いアルキル基、アラルキル基及びアリール基を示す)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Arは置換又は無置換のアリール基を示す)
溶解度パラメータδ2の撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子に対して良好な相溶性を示す溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位としては、下記式(9)で示されるような置換又は無置換の炭化水素系の構造単位であることが好ましい。これは主に溶解度パラメータδ2の粒子が置換あるいは無置換の炭化水素系の繰り返し構造単位からなる樹脂粒子であることにより、δ5はおおよそ5〜10の範囲の値である。
(式中、X3、X4は各々独立に有機残基を示す)
前述したように上記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の中でも、特にフッ素含有樹脂微粒子が所存の目的を達成するに有効であることから、溶解度パラメータδ5を有する構造単位がフッ素原子を含有することがより好ましい。
更に上記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子としてポリテトラフルオロエチレンが最も好ましいことから、溶解度パラメータ値δ5である構造単位が下記式(10)で示されるようなフッ化カーボン系構造単位との組み合わせることによって、最良の効果が期待できる。このときδ5は、6前後の値を有する。
分散剤は以上のように、少なくともδ4及びδ5の二種類の溶解度パラメータを示す構造単位を同一分子内に有する分子量数百から数十万のオリゴマーあるいは高分子の共重合体から構成されることが好ましい。このときそれぞれの構造単位は、更に複数を組み合わせることも可能である。共重合体の種類としては交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体などが挙げられるが、界面活性剤として有効に作用するためには、それぞれの構造単位が単独で存在するよりもある程度の繰り返し集合体を形成していることが好ましく、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体の構成が好ましい。
上記2種類の構造単位の比率は、硬化樹脂マトリックスと撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の種類や、該粒子の添加量、膜形成時に使用する溶剤の種類などによって適宜調整されるが、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子に対して相溶性の高い溶解度パラメータδ5を有する構造単位の比率が30〜80%の範囲にあることが好ましい。該分散剤においては、その合成過程や溶解性その他の問題から上記二種類の構造単位以外の構造単位を含有することも可能であるが、大幅に溶解度パラメータがずれないように注意する必要がある。
次に感光体全層の構成及び製造方法について説明する。
本発明の電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に形成される。導電性支持体(以下、単に「支持体」と表記することがある)は、導電性を有するものであればよい。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂とともに塗布して導電層を設け
た金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチンなどが挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は0.1〜2μm程度であることが好ましい。
本発明の感光体が機能分離型の感光体である場合には電荷発生層及び電荷輸送層を積層して用いる。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型などの結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコンなどが挙げられる。
電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルなどの方法で良く分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、又は前記電荷発生物質の蒸着膜など、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体及び共重合体;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリスルホン;ポリフェニレンオキサイド;ポリウレタン;セルロース樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ケイ素樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
次に電荷輸送層について説明する。電荷輸送層が撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子を含有する表面層となる場合には、前述の重合性官能基を有する化合物、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、分散剤を適当な溶剤と混合し、分散処理を行った後に前記電荷発生層上に塗工し、重合、架橋反応を行う。電荷輸送層は硬化後の膜厚が5〜50μmの範囲であることが好ましく、更には10〜30μmの範囲であることが好ましい。重合性官能基を有する化合物は2種類以上を混合して用いることも可能である。
撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子は硬化後の電荷輸送層の全質量に対して、1〜80%の範囲で添加量が調整され、目的の効果を有効に発揮するために好ましくは5〜50%の範囲で添加される。分散剤は、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の質量に対して2〜40%の範囲で添加され、より好ましくは2〜20%の範囲で添加される。
一方、表面層が保護層である場合は、電荷輸送層として前述の電荷輸送物質を適当な結着樹脂とともに溶剤中に溶解させたものを電荷発生層上に塗工、乾燥することにより電荷輸送層を形成する。このとき電荷輸送層の膜厚は、5〜50μmの範囲であることが好ましく、更には5〜30μmの範囲であることが好ましい。電荷輸送物質と結着樹脂の比率
は電荷輸送能に依存し、適宜調整される。なお、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、前述した電荷発生層に用いられる結着樹脂と同様のものが挙げられる。
その後、前述の重合性官能基を有する化合物、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、分散剤を適当な溶剤と混合し、分散処理を行った後前記電荷輸送層上に塗工し、重合、架橋反応を行うことにより、電荷輸送層上に保護層を形成する。保護層の膜厚は0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましく、このような範囲で適宜調整される。
本発明において、単層構成の電子写真感光体の場合には、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質及び重合性官能基を有する化合物、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、分散剤を適当な溶剤と混合し、分散処理を行った後に塗工し、重合、硬化反応を行う。前述したように、電荷輸送物質としてそれ自体に重合性官能基を有するものを使用することもできる。
本発明において導電性基体上に各層を構成するための溶液(塗料)を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法など公知の塗布方法が可能であるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法も適宜選択できる。
本発明において、感光層及び保護層には各種添加剤を添加することが出来る。該添加剤とは酸化防止剤、紫外線吸収剤などの劣化防止剤やシリコーンオイルなどの滑り性付与剤などである。
本発明の電子写真感光体は従来の電子写真法を用いた画像形成装置に広く用いられることができ、特に限定されないが、以下に本発明の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び該プロセスカートリッジが装着されてなる電子写真装置の好ましい一態様について図1を用いて説明する。図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されて行く。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、(一次)帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に支持して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッ
ジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。実施例中、「部」は質量部を表す。
〈実施例1〉
直径30mm×長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、以下の材料より構成される導電層用塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、膜厚が18μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール(混合比0.2/0.8) 15部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部及びnブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次にCuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、これに酢酸エチル80部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式(11)で表されるスチリル化合物14部、
及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)20部をモノクロロベンゼン100部及びメチラール36部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。このときの電荷輸送層の膜厚は10μmであった。
次いで、重合性官能基を有する化合物として下記構造式(12)で表される正孔輸送性化合物45部、
撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子としてポリテトラフルオロエチレン粒子(ダイキン工業製、ルブロンL2)5部、及び表1に示される分散剤0.25部をn−プロピルアルコール60部に混合した後分散処理を行い、表面保護層用塗料を調整した。この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に保護層を塗布した後、窒素中において加速電圧150KV、線量5Mradの条件で電子線照射を行い、引き続いて窒素中において150℃で3分間加熱処理を行った。その後大気中において、140℃で1時間の後加熱処理を行って、膜厚4μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体は、まず粒子の分散性を確認するために、アルミニウムシリンダーから樹脂層を削り取り、削り取った樹脂層の断面を電子顕微鏡により倍率5000倍から10000倍で観察した。分散性の評価は、◎:非常に良好(すべての粒子が一次粒子として均一分散している)、○:良好(部分的に一次粒子が複数個の凝集体として存在しているが、ほぼ均一分散している)、△:全体的に一次粒子が複数個の凝集体を形成し分散している、×:分散不良(凝集体として存在し、分散していない)の評価基準に基づき、目視により行った。
その後、キヤノン社製レーザービームプリンター(レーザーショットLBP930)に得られた感光体を装着して耐久試験を行った。まず、23℃/50%(RH)の環境下で50,000枚の通紙耐久試験を行い、耐久前後での削れ量、十点平均粗さ(Rz)/最大高さ(Rmax)、及び画像欠陥の発生の有無を評価した。削れ量の測定には渦電流式膜厚計(カールフィッシャー社製)を用い、Rz及びRmaxの測定はJIS B 0601(1994)に準じ小坂研究所表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用いて行った。なお、通紙耐久試験はプリント5枚ごとに1回停止する間欠モードで行った。また、画像欠陥の発生の有無は、50,000通紙耐久試験後に形成した画像を目視で観察することにより評価した。
50,000枚の通紙耐久試験後、32.5℃/85%の高温高湿環境下において、感光体表面層とクリーニングブレードとの滑り性を評価するために、10,000枚の通紙耐久試験を行った。この時の通紙耐久試験も上記と同様に、プリント5枚ごとに1回停止する間欠モードとし、感光体とブレード間の摩擦力上昇により発生する感光体回転停止時のブレード鳴きを、◎:発生なし、○:ごくかすかなブレード鳴き音が発生、△:ブレード鳴き音が明確に聞こえる、の評価基準に従い評価した。
感光体の表面層に含有される硬化樹脂マトリックス、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子及び分散剤の構造単位を表1に、溶解度パラメータδ1〜δ5並びに分散剤の分子量及び組成を表6に、評価結果を表7に、それぞれ示す。表7より分かるように、本発明の感光体は、粒子の分散性が良好であり、耐久による削れ量が小さく、耐久後の感光体の表面状態も良好だった。よってキズなどによる画像欠陥が発生しないという優れた耐久性能を示すとともに、高温高湿下においても感光体とブレード間の滑り性が維持できることにより、ブレード鳴きが発生しないという耐磨耗性と滑り性の維持を両立できる感光体を提供できることが分かった。
〈実施例2〜19、参考例1
実施例1において樹脂、粒子及び分散剤の種類を表1〜表4に示すように変え、実施例18のみ保護層の膜厚を2μmとした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表7に示す。いずれの感光体も耐磨耗性と滑り性を良好に維持しているが、中でも撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子としてポリテトラフルオロエチレンを表面層中に含む電子写真感光体が非常に良好な特性を示していた。更に、分散剤として溶解度パラメータδ4の値が9前後を示すビニル系の構造単位及びδ5の値がポリテトラフルオロエチレンに近いフッ素含有の構造単位を有するものを上記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子としてのポリテトラフルオロエチレンと組み合わせることにより、最大の効果が発揮された。

〈実施例20、21〉
実施例1において、分散剤と樹脂の種類を表4及び表5に示すように変え、保護層の膜厚を2μmとした。更に電子線を用いた硬化反応の代わりに、150℃/1hの熱処理を行い樹脂を硬化させた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表7に示す。実施例20及び21では、Rz及びRmaxがやや大きい値を示したが、良好な結果が得られた。
〈実施例22〉
実施例1と同様の方法を用いて導電性基体上に導電層、中間層及び電荷発生層を形成した。次いで、重合性官能基を有する化合物として上記構造式(12)で表される正孔輸送性化合物45部、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子としてポリテトラフルオロエチレン粒子(ダイキン工業製、ルブロンL2)5部、及び表2に示される構造単位を有する分散剤0.25部をn−プロピルアルコール20部に混合した後分散処理を行い、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷発生層上に塗布した後、窒素中において加速電圧150KV、線量5Mradの条件で電子線照射を行い、引き続いて窒素中において150℃で3分間加熱処理を行った。その後大気中において、140℃で1時間の後加熱処理を行って膜厚12μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表7に示す。実施例22においても、実施例1と同様に耐磨耗性と滑り性を良好に維持できた。
〈比較例1〉
実施例1と同様の方法を用いて導電性基体上に導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。次いでポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリング社製、Z800)9部、ポリテトラフルオロエチレン粒子(ダイキン工業製、ルブロンL2)1部、及び表1に示される構造を有する分散剤0.05部をモノクロロベンゼン90部に混合した後分散処理を行い、表面保護層用塗料を調整した。この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に保護層を塗布した後、140℃1時間の乾燥を行い、膜厚2μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作製し、評価した。
結果を表7に示す。表面層を構成する樹脂が硬化性樹脂ではないために耐久試験による
磨耗量が多く、10,000枚で耐久試験を終了した。更に別途同様に作製した感光体について高温高湿下で10000枚の通紙耐久を行った結果、ブレード鳴きは発生せず、良好な滑り性が維持できた。
〈比較例2〉
参考例1において分散剤の種類を表5に示す構造単位を有するものに変えた以外は参考例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表7に示す。本例の感光体は、電子顕微鏡による評価においても分散性が非常に悪く、また感光体表面に撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子の凝集体が多数肉眼においても観察されたため、耐久試験は行わなかった。これは、分散剤が界面活性剤として撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子と硬化性樹脂の相溶性を改善できなかった結果だと考えられる。

〈比較例3〉
実施例7において分散剤の種類を表5に示す構造単位を有するものに変えた以外は実施例7と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表7に示す。本例の感光体は分散性や削れ量には大きな問題はなかったが、Rz及びRmaxの値が大きく、耐久試験後半において画像欠陥が発生した。また高温高湿下において、ブレードめくれが発生した。これは、分散剤の界面活性剤としての効果が不十分なため、耐久試験を通じて滑り性を維持できなかった結果だと考えられる。
〈比較例4〉
実施例16において分散剤の種類を表5に示す構造単位を有するものに変えた以外は実施例16と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表7に示す。本例の感光体は比較例3と同様に分散性や削れ量に大きな問題はなかったが、Rz及びRmaxの値が大きく、耐久試験後半において画像欠陥が発生した。また高温高湿下において、ブレードめくれが発生した。これは、分散剤の界面活性剤としての効果が不十分なため、耐久を通じて滑り性を維持できなかった結果だと考えられる。




本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール

Claims (20)

  1. 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層、又は感光層及び保護層とを有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層は重合性官能基を有する化合物を重合又は架橋することにより硬化させた樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子、及び分散剤を含有し、硬化樹脂、撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子及び分散剤のそれぞれの溶解度パラメータδ1、δ2及びδ3が下記式(1)を満たし、かつ、該分散剤が同一分子内に、少なくとも、下記式(2)を満足する溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位と下記式(3)を満足する溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位とを有することを特徴とする電子写真感光体。
    δ2 ≦ δ3 ≦ δ1 (cal/cm1/2 (1)
    |δ4−δ1| ≦ 2.0 (2)
    |δ5−δ2| ≦ 2.0 (3)
  2. 前記重合性官能基が連鎖重合性官能基であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子が高分子重合体であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 前記連鎖重合性官能基が不飽和重合性官能基であることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体。
  5. 前記不飽和重合性官能基がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 前記重合性官能基を有する化合物が正孔輸送機能を有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  7. 表面層に含有される樹脂が前記連鎖重合性官能基を有する化合物を放射線により重合又は架橋することにより硬化してなるものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体。
  8. 前記放射線が電子線であることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 前記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子がフッ素原子を含有することを特徴とする請求項1又は3記載の電子写真感光体。
  10. 前記撥水性及び/又は潤滑性を有する粒子がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
  11. 前記分散剤が同一分子内に、少なくとも、下記式(4)を満足する溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位と下記式(5)を満足する溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位とを有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    |δ4−δ1|≦1.0 (4)
    |δ5−δ2|≦1.0 (5)
  12. 前記溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位が下記構造式(6)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    (式中、X及びXは各々独立に有機残基を示す)
  13. 前記溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位が下記構造式(7)で表される構造単位であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有しても良いアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す)
  14. 前記溶解度パラメータ値δ4を有する構造単位が下記式構造(8)で表される構造単位であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Arは置換又は無置換のアリール基を示す)
  15. 前記溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位が下記構造式(9)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    (式中、X、Xは各々独立に有機残基を示す)
  16. 前記溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位がフッ素原子を有することを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 前記溶解度パラメータ値δ5を有する構造単位が下記構造式(10)で表される構造単位であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 前記分散剤が、少なくとも下記構造式(7)で表される構造単位及び下記構造式(10)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有しても良いアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す)
  19. 電子写真装置本体に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
    請求項1〜18のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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