JP2005351045A - 底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物 - Google Patents

底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物 Download PDF

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克洋 市波
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泰介 中村
Toru Shimizu
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Abstract


【課題】 側壁の円周方向にプレストレス力を導入した際に側壁下端における鉛直面内の曲げモーメントの発生を抑制でき、側壁鉛直方向の鉄筋量や緊張材量を低減でき、施工性のよい底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物を提供すること。
【解決手段】 少なくとも底版2と該底版2上に立設する略円筒形の側壁3とから構成されるプレストレストコンクリート構造物10における底版と側壁の接合構造であって、側壁3下端が底版2と縁切りされた構成とする。例えば、側壁3の下端31と、底版2の接合面21にはそれぞれ摩擦低減部材52,51を備えた構成としたり、側壁3と底版2の間に弾性部材6を介在させた構成とする。さらに、側壁3から底版2に亘って連続する緊張材72(73)を側壁3内部および底版2内部に埋設した構成とし、該緊張材72(73)にプレストレス力を導入して接合部1を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、略円筒形の側壁を備えたプレストレストコンクリート構造物の底版と側壁の接合構造に係り、特に、側壁の円周方向にプレストレス力を導入した際に側壁下端における鉛直面内の曲げモーメントの発生を抑制でき、したがって側壁の鉛直方向の鉄筋量を低減することのできる底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物に関する。
従来のLNGやLPG貯蔵用の地上タンクや地下タンクなどの容器構造物は、底版と該底版上に立設する側壁、該側壁の上端に接続する平板状またはドーム状の天井とから構成されている。底版と側壁の接合部は、側壁の主鉄筋(縦筋)が所定長さ底版内に埋め込まれることにより剛結合構造を形成しており、側壁下部に生じる曲げモーメントなどを底版に伝達する構造となっているのが一般的である。上記する容器構造物は、その用途や規模によって構成材料や構造形式などが多様であるものの、地上タンクや地下タンクといった比較的大規模で耐久性や液密性(耐漏洩性)を要求される容器構造物としては、鉄筋コンクリート構造物として現場施工されているのが一般的である。
ところで、上記容器構造物を構成する底版や側壁、天井などを鉄筋コンクリートにて施工する場合に、鉄筋量の低減やひびわれ防止などを目的としてPC鋼材などの緊張材を鉄筋コンクリート内部や外部に使用する、プレストレストコンクリート構造物を採用するのが主流である。すなわち、底版や側壁などに予めシース管を埋設しておき、底版や側壁の構築後にシース管内に緊張材を挿入するとともに緊張材の端部を引っ張ることで張力(以下、プレストレス力という)を該シース管に導入することで、底版や側壁に圧縮力を作用させるものである(ポストテンション方式)。さらに、予めプレストレス力が導入された緊張材を底版や側壁内部に埋め込んでおき、底版や側壁などの構築後に緊張材からプレストレス力を解放することで側壁などに圧縮力を作用させるプレテンション方式などもある。側壁が円筒形の場合には、円周方向および鉛直方向にプレストレス力を導入することで、円周方向と鉛直方向に圧縮力が作用することとなる。
側壁内部に効果的にプレストレス力を導入して圧縮力を作用させるためには、側壁形状は円筒形または円筒形に近い楕円形の筒体であるのが好ましく、特に円筒形であるのが好ましい。円筒形の側壁に円周方向のプレストレス力を導入すると、円周方向には圧縮力のみが作用するとともに曲げモーメントが発生しないからである。一方、楕円形の筒体の場合は、楕円断面方向(円筒形の場合の円周方向に相当)に圧縮力が作用するとともに、該断面には曲げモーメントも生じることとなり、その分の配筋を余儀なくされることとなる。尤も、中空の矩形断面の側壁に比べて、上記する円筒形や楕円形の筒体からなる側壁とすることにより、円周方向や楕円断面方向に導入されたプレストレス力が周方向に効果的に圧縮力として作用することとなる。
上記するように、底版と側壁の接合部を剛結合構造とすることにより、側壁に作用する外力(土圧や風荷重、地震時水平力など)は、側壁に生じる断面力(曲げモーメントやせん断力など)となり、該断面力は接合部を介して底版に確実に伝達されることとなる。しかしその一方で、剛結合構造とすることにより以下の問題が生じ得る。(1)円周方向にプレストレス力を導入することにより側壁下部はその内空側(半径方向内側)へ引っ張られることとなるが、該側壁は底版と剛結合していることから底版に拘束され、したがって側壁下部には鉛直面内の曲げモーメントが発生する。すなわち、図4に示すように、円周方向の緊張材71にプレストレス力が導入された際に側壁3は矢印X方向に収縮移動しようとするのを底版2に拘束されることとなる。側壁3の鉛直面内曲げモーメントは図示するように、底版と側壁の接合部1にて最大となる曲げモーメント(図中、容器構造物10の側壁3を外側へ引っ張る曲げモーメントを−(マイナス)、内側(容器の内空側)へ引っ張る曲げモーメントを+(プラス)としている)が生じている。かかる最大曲げモーメントに対して鉛直方向の鉄筋や鉛直方向の緊張材72(例えばPC鋼材など)を側壁3の内部に配設する必要が生じる。側壁と底版との接合部1には、構造上大きな断面力が生じるため、かかる接合部の鉄筋量は他の部位に比べて通常は多くなっている。円周方向にプレストレス力を導入することによって側壁3下部(底版と側壁の接合部1)に鉛直面内の曲げモーメントが発生し、かかる曲げモーメントに対する鉄筋や緊張材を接合部にさらに配設することは、該接合部の施工性の低下や施工コストの増加に加えて、コンクリートの回り込み不良による構造不良の原因にもなりかねない。(2)側壁と底版の接合部が剛結合構造である場合に、該側壁に円周方向のプレストレス力を導入しても底版に拘束された側壁には十分なプレストレス力が導入され得ない。したがって圧縮力を特に必要とする側壁下部には十分な圧縮力が作用していないため、側壁耐力は設計耐力以下の値となってしまう。
上記の問題に対して、特許文献1では、底版と側壁の接合部周辺の応力状態を改善できるプレストレストコンクリート構造物の構築方法に関する発明が開示されている。かかる構築方法は、底版の外周部と側壁の下部に所要のプレストレス力を導入した後で底版の中央部や側壁の上部を形成してプレストレス力を導入する構築方法、底版の外周部と側壁の全体に所要のプレストレス力を導入した後で底版の中央部を形成してプレストレス力を導入する方法、底版の全体と側壁の下部に所要のプレストレス力を導入した後で側壁上部を形成してプレストレス力を導入する方法などである。すなわち、底版および側壁に相互に段階的にプレストレス力を導入することにより、側壁に円周方向のプレストレス力を導入した場合に、底版と側壁の接合部が剛結合構造であっても側壁底部における鉛直面内の曲げモーメントを過度に生じさせないようにプレストレス力の導入量を適宜調整する方法である。
また、特許文献2では、バットレスの下端と基礎版とを縁切って互いの拘束を解くことにより、地震荷重や温度荷重などが格納容器に作用してもバットレスと基礎版との境界部に過度の応力が生じないようにした筒形プレストレストコンクリート製格納容器に関する発明が開示されている。
特開2002−256726号公報 特開2002−148380号公報
特許文献1に開示のプレストレストコンクリート構造物の構築方法によれば、底版および側壁の構築段階でそれぞれに導入するプレストレス力を適宜調整することによって、底版と側壁の接合部が剛結合構造であっても側壁底部における鉛直面内の曲げモーメントを過度に生じさせないようにすることが可能となる。しかし、底版や側壁を相互に段階的に構築することによって施工性の低下が招来されること、側壁下部に鉛直面内の曲げモーメントが極力生じないような側壁および底版への導入プレストレス力の調整は施工管理が極めて困難であること、接合部が剛結合構造である以上、側壁に円周方向のプレストレス力を導入することにより結局は鉛直面内での曲げモーメントが生じてしまうことなどの問題が考えられる。
また、特許文献2に開示の筒形プレストレストコンクリート製格納容器では、バットレスと基礎版との境界部のみを縁切りすることで双方の剛性差に起因する変位量差による応力の発生を防止するのみであり、側壁に円周方向のプレストレス力を導入した際に該側壁下部に生じる鉛直面内の曲げモーメントを抑制することはできない。
本発明の底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、施工性がよく、プレストレス力の導入に際しての施工管理も極めて容易となる底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物を提供することを目的としている。また、略円筒形の側壁に円周方向のプレストレス力を導入した場合にも、側壁下部における鉛直面内の曲げモーメントがほとんど生じ得ない底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物を提供することを目的としている。また、側壁下部の円周方向に導入されたプレストレス力により該側壁下部の円周方向の圧縮力を効果的に発生させることのできる底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物を提供することを目的としている。さらに、液密性が要求される場合でも十分な液密性能を備えた底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による底版と側壁の接合構造は、少なくとも底版と該底版上に立設する略円筒形の側壁とから構成されるプレストレストコンクリート構造物における底版と側壁の接合構造であって、前記側壁下端が前記底版と縁切りされていることを特徴とする。
ここで、略円筒形とは、円筒形のほか、断面が楕円形であって中空の形状などを含む意味である。プレストレストコンクリート構造物は、底版と、該底版上に立設する側壁と、該側壁の上端部と接続する天井などから構成される容器構造物であり、底版は地盤上に直接支持される直接基礎形式であっても、杭などに支持される杭基礎形式であってもよい。さらに、天井の形状は平板状やドーム状などの適宜の形状を選定できる。かかる容器構造物は、LNGやLPG貯蔵用の地上タンクや地下タンクのほか、上下水道用の貯水タンクやファームポンドなどの容器構造物である。
側壁下端が底版と縁切りされている接合構造とは、剛結合構造ではなくて例えばピンローラー結合構造(せん断力は伝達でき、曲げモーメントは生じない可動結合構造)となる接合部の構造のことである。例えば、円筒形の側壁に円周方向のプレストレス力が導入され、側壁に圧縮力が作用することによって該側壁は微視的に収縮変形(変位)することとなるが、側壁は底版に拘束されることなくその内空側(半径方向内側)へわずかに可動することができるため、側壁(側壁下端)には鉛直面内の曲げモーメントが生じ得ない。剛結合構造のように底版と側壁が一定の定着長を確保した鉄筋などを介して両者が連続して一体に結合している場合にはかかる微視的な側壁の収縮変形を底版が拘束することにより、鉛直面内の曲げモーメントが側壁に生じることとなる。
底版と側壁の接合部を縁切りされた結合構造とするためには、例えば側壁下端から下方へボルトを突出させておき、該ボルトが平面的に所定範囲内を可動できるようなクリアランスを備えたボルト穴をその上面に穿設された底版上に上記ボルトを遊嵌することで接合部を構成することができる。また、後述するように側壁下端および底版上面に摩擦低減部材を具備しておき、側壁下端の摩擦低減部材にはジベル筋などが備えてあり、底版上面の摩擦低減部材および底版上部には該ジベル筋が遊嵌できるアンカー穴が穿設されており、当接する摩擦低減部材同士で相互に滑動可能な構成とすることもできる。
また、本発明による底版と側壁の接合構造におけるより好ましい実施態様としては、前記側壁下端と、前記底版のうち少なくとも該側壁と接合する接合面にはそれぞれ摩擦低減部材が備えてあることを特徴とする。ここで、摩擦低減部材とは、表面の摩擦抵抗が比較的小さく、したがって2つの摩擦低減部材同士が相互に滑動できるような部材のことである。摩擦低減部材としては、該部材同士が相互に滑り易い材質である鉄板やプラスチック材などの適宜の材質を選定できる。側壁の下端および底版の上面にそれぞれ該摩擦低減部材を備えて接合構造を構成することにより、側壁に円周方向のプレストレス力を導入した際の側壁の微視的な収縮変形(変位)を底版が拘束することはなくなる。
例えば円筒形の側壁を有する容器構造物において、側壁下端面にはリング状の摩擦低減部材が接着しており、底版上面にも同様にリング状の摩擦低減部材が上記側壁下端面の摩擦低減部材と当接するように埋め込まれている。側壁下端面と摩擦低減部材との接着は、例えば該摩擦低減部材表面から突設するジベル筋(頭付きジベル筋を含む)が側壁内部に埋め込まれることで両者を強固に接着することができるほか、公知の接着材を介してもよい。底版と該底版上面に埋め込まれた摩擦低減部材との接着も上記と同様に、摩擦低減部材表面から突設するジベル筋が底版内部に埋め込まれることで両者の接着を図ることができる。底版上面に埋め込まれる摩擦低減部材の上面と、摩擦低減部材が埋め込まれていない底版上面の両者のレベルは同レベルとなるように該摩擦低減部材を底版に埋め込むことが好ましい。さらに、側壁下端の摩擦低減部材からは、例えば下方に突出したジベル筋(頭付きジベル筋を含む)を備えた構成としておく。摩擦低減部材で覆われた底版上面には、摩擦低減部材から底版に連続するようにアンカー穴が穿設されており、該アンカー穴に上記するジベル筋が遊嵌することにより、側壁は底版上を可動できるとともに(側壁下端には曲げモーメントが生じない)、側壁に生じるせん断力はジベル筋を介して底版に伝達することが可能となる。さらに、ジベル筋を頭付きジベル筋として頭部を底版に埋め込んだ構成とすることにより、側壁に生じる鉛直方向引張り力に対して該頭部の支圧抵抗を期待することができる。なお、アンカー穴の内径とジベル筋の外径とのクリアランスは、側壁に円周方向のプレストレス力を導入した際に側壁が収縮する収縮量程度であればよい。
また、本発明による底版と側壁の接合構造におけるより好ましい実施態様としては、前記側壁下端と前記底版との間に弾性部材が介在されていることを特徴とする。
ここで、弾性部材は、例えば定型のゴム製材料や軟質な樹脂系材料などから成形することができる。かかる弾性部材を側壁下端と底版との間に介在させることにより、例えば円筒形の側壁にプレストレス力を導入することで側壁が収縮変形する際に、該収縮変形に応じて弾性部材が追従して変形することで側壁は何ら底版からの拘束を受けることなく収縮変形することができる。なお、本実施形態においても、上記する鉄板を備えた実施形態と同様に、側壁の下端面から突出したジベル筋を底版に穿設したアンカー穴に遊嵌する構成とすることもできる。
また、本発明による底版と側壁の接合構造におけるより好ましい実施態様としては、前記側壁から前記底版に亘って連続する緊張材が該側壁内部および該底版内部に埋設されていることを特徴とする。
側壁が底版と縁切りされた構成としながら、側壁内に鉛直方向に埋め込まれるとともにその一端が底版内に定着する緊張材(例えばPC鋼材など)にて側壁に鉛直方向のプレストレス力を導入することにより、側壁下端と底版との摩擦抵抗力を向上させることが可能となる。例えば円筒形の側壁の場合には、円周方向の緊張材のほかに、鉛直方向にも円周方向に所定の間隔を置いて緊張材が配設され、プレストレス力が導入される。円周方向の緊張材としてはPC鋼線やPC鋼より線が使用され、鉛直方向の緊張材としてはPC鋼線やPC鋼より線、PC鋼棒などが使用される。本発明ではかかる側壁の鉛直方向に導入されるプレストレス力を側壁と底版との摩擦抵抗の向上に有効利用することによって、地震時水平力などに対する水平抵抗力を向上させることが可能となる。もちろん、側壁の鉛直方向に配設される緊張材とは別途の緊張材(側壁と底版との接合部の摩擦抵抗力を向上させるための緊張材)を配設する構成とすることもできる。なお、本発明のように側壁に埋設された緊張材の一端を底版内に埋め込んだ構成とする場合には、側壁下端面から突出したジベル筋を底版内に遊嵌等する構成とする必要は必ずしもなく、該緊張材および側壁下端と底版との摩擦抵抗力によって十分に側壁から底版への水平力の伝達を図ることが可能となる。
また、本発明の底版と側壁との接合構造におけるより好ましい実施態様としては、前記底版と前記側壁との接合部をシールするシール部材を備えており、該シール部材は、互いに直交する方向に延びる2側面を備え、その一側面は前記側壁に固着され、その他側面は前記底版に固着されてなることを特徴とする
側壁と底版の接合部を本発明のように可動できるような(縁切りされた)接合構造とした場合、側壁と底版の両者は連続一体化した構成ではないことから、接合部が連続一体化した従来の剛結合構造に比べてその液密性能は低下することとなる。そこで、液密性が要求される容器構造物の場合には、例えば容器の内空側(内側)における側壁と底版の接合部表面において、シール部材を固着させる構成としたものである。シール部材は、例えば鉄板や樹脂製またはゴム製材料などから製作することができる。例えば底版上面と当接するリング状の一側面と、該一側面の円状の端辺から鉛直上方に立ち上がる他側面を備えた形状に製作されたシール部材を底版および側壁構築後に容器内空面に載置し、上記一側面は底版に、上記他側面は側壁内空面にそれぞれ固着させる。例えば該シール部材が鉄板にて成形される場合には、側壁下部と底版上にそれぞれ埋め込み金物または埋め込み鉄筋を該側壁表面および該底版表面からその一部が露出するように埋め込んでおき、かかる露出部とシール部材とを溶接することによってシール部材を固着することができる。一方、ゴム製または樹脂製のシール部材の場合には側壁表面および底版表面にそれぞれ接着剤にて接着することができる。2側面を備えた上記するシール部材は、円周方向に複数に分割された分割ピースとして現場へ搬入され、現場にて適宜溶接する構成とすることもできる。さらに、側壁と底版の間に弾性部材を介在させる場合には、弾性部材から側壁下端に亘る止水板、弾性部材から底版に亘る止水板を設けることによって液密性を確保することも可能である。
また、本発明のプレストレストコンクリート構造物は、前記底版と側壁の接合構造を備えたことを特徴とする。
例えば円筒形の側壁を有する容器構造物において、該側壁に円周方向のプレストレス力を導入した際に側壁下部に鉛直面内の曲げモーメントが作用しないような底版と側壁の接合構造を有する容器構造物とすることにより、側壁の鉛直方向の鉄筋量を従来の剛結合構造の容器構造物に比べて格段に低減することが可能となる。また、側壁内部および底版内部に埋め込まれる連続した緊張材にて鉛直方向のプレストレス力を側壁に導入する構成とすることにより、側壁下端面と底版との摩擦抵抗力を高めることが可能となり、地震時水平力などに対する水平抵抗力を十分に確保することが可能となる。さらには、該容器構造物が液密性を要求される場合には、容器内部において側壁から底版に連続するシール部材を備えた構成とすることにより、液密性能を十分に備えた容器構造物を構成することもできる。
さらに、本発明のプレストレストコンクリート構造物のより好ましい実施態様としては、該プレストレストコンクリート構造物がLNGまたはLPG貯蔵用の地上タンクまたは地下タンクであることを特徴とする。
比較的大規模で、かつ液密性の要求される略円筒形の側壁を備えたプレストレストコンクリート構造物(容器構造物)は、LNGまたはLPG貯蔵用の地上タンクや地下タンクに適用されることが多く、本発明の底版と側壁の接合構造を備えたプレストレストコンクリート構造物も上記するタンクに適用されるのが好ましい。尤も、小規模タンクやその他の用途に適用される容器構造物を排除するものでないことは勿論のことである。
以上の説明から理解できるように、本発明の底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物によれば、施工性がよく、プレストレス力の導入に際しての施工管理も極めて容易となることに加えて、略円筒形の側壁に円周方向のプレストレス力を導入した場合にも、側壁下部における鉛直面内の曲げモーメントの発生を抑制することができる。また、側壁下部の円周方向に導入されたプレストレス力により該側壁下部の円周方向の圧縮力を効果的に発生させることができる。また、本発明の底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物は、地震時や風荷重時等の水平外力などに対しても十分な水平抵抗力を発揮することができる。さらに、本発明の底版と側壁の接合構造およびプレストレストコンクリート構造物に液密性が要求される場合でも、十分な液密性を発揮することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のプレストレストコンクリート構造物を示した縦断面図を側壁の鉛直面内の曲げモーメント図とともに示した図である。図2および図3は、本発明の底版と側壁の接合構造の実施形態を示した拡大図である。以下の説明では、プレストレストコンクリート構造物として側壁が円筒形であって、天井はドーム状の地上タンクを取り上げて説明するが、本発明のプレストレストコンクリート構造物(の形状)はかかる構造物(の形状)に拘束されるものではないことは勿論である。さらに、プレストレス力の導入方式はプレテンション方式であってもポストテンション方式であってもよい。なお、従来例を示す図4と同一のものには同一符号を付して説明することとする。また、シース管の図示は省略する。
図1にプレストレストコンクリート構造物である容器構造物10を示す。該容器構造物10は、地盤上に構築された底版2と、該底版2上に立設する円筒形の側壁3と、該側壁3の上端部に接続するドーム状の天井4とから構成される。地上に構築される容器構造物10としては地上タンクなどが想定される。
底版2の内部には鉄筋および緊張材が配設されており(図示せず)、側壁3の内部には図示する円周方向の緊張材71と、円周方向に所定間隔で配設される鉛直方向の緊張材72、さらには図示しない鉄筋が配設されている。天上4も同様に鉄筋や緊張材がその内部に配設されている。このように容器構造物10は、その各部位が緊張材にて圧縮力を導入された状態で構築される。なお、緊張材としては、PC鋼棒が一般的である。図示するように、鉛直方向の緊張材72は、その一端が底版2内にて定着し、他端は側壁3の上部で定着具を介して定着している。
底版と側壁の接合部1は、後述するような接合形態によってピンローラー結合構造を形成している。側壁3に配設された円周方向の緊張材71にプレストレ力を導入することにより、その内空側(図中の矢印X方向)に収縮変形しようとする側壁3は底版2に拘束されずに収縮変形することができる。したがって、側壁3の鉛直面内の曲げモーメントは、図示するように、側壁3の下端でゼロとなり、上方にいくに従って内側の引っ張りモーメント(図中の+(プラス))となり、さらに上方では外側の引っ張りモーメント(図中の−(マイナス))に移行し、さらに上方では曲げモーメントがゼロに収束していく。
図2は、底版と側壁の接合構造の実施形態を示している。図2aは、側壁3の下端31に例えば鉄板などからなる摩擦低減部材52が接着され、該摩擦低減部材52と当接する摩擦低減部材51(同様に鉄板などからなる)が底版2に埋め込まれて接合面21が形成されている。摩擦低減部材52は、図示するように側壁幅と同程度の幅を備え、側壁3の円周方向に渡るリング状に成形されて該側壁3の下端31に接着されている。一方、摩擦低減部材51は摩擦低減部材52よりも若干幅広に成形され、側壁3の円周方向に渡るリング状に成形されて底版2内に埋め込まれている。摩擦低減部材52の幅を摩擦低減部材51に比べて若干幅広に成形する目的は、側壁3に円周方向のプレストレス力を導入して収縮変形した際の側壁3の変形移動に対応したものである。なお、摩擦低減部材51の上面と、該摩擦低減部材51が埋め込まれていない底版上面とのレベルは同レベルとなるように摩擦低減部材51が底版2内に埋め込まれている。摩擦低減部材51,52には鉛直方向の緊張材72の外径よりも大きな内径を備えたアンカー穴(図示せず)が穿設されており、鉛直方向の緊張材72は該アンカー穴を遊嵌しながら底版2内に定着している。側壁3の構築後に鉛直方向の緊張材72にプレストレス力を導入することで摩擦低減部材51,52同士は押圧され、かかる押圧面にて摩擦抵抗力を発揮できるように構成される。容器構造物10に液密性が要求される場合には、側壁3の内空面および底版2の上面にその一部が露出するようにそれぞれ埋め込まれた鉄筋81,81に例えば鉄板からなるシール部材8を溶接する。なお、シール部材8としては鉄板のほか、ゴム製や樹脂製材料から成形することもでき、この場合には接着剤にて容器構造物10の内空面に接着させることができる。以上の構成により、ピンローラー結合構造の底版と側壁の接合構造が形成されることとなる。
図2bは、鉛直方向の緊張材72とは別途の緊張材73を使用して摩擦低減部材51,52同士を押圧させる構成を示している。円周方向には鉛直方向の緊張材72が所定間隔を置いて配設されているが、例えば該緊張材72,72の間に緊張材73を配設した構成とすることができる。
図3は、上記する摩擦低減部材51,52の代わりに、側壁3と底版2の間に弾性部材6を介在させて底版と側壁の接合部1を構成する実施形態を示している。図3a,bは、鉛直方向の緊張材72をそのまま側壁3と底版2との間の摩擦抵抗力の向上に利用しようとするものであり、図3cは、鉛直方向の緊張材72に加えて該鉛直方向の緊張材72とは別途の緊張材73をも使用して側壁3と底版2との間の摩擦抵抗力を向上させようとするものである。また、図3aは上記と同様の鉄板からなるシール部材8を使用した実施形態を示しており、図3b,cは弾性部材6と側壁3に連続して埋設される止水板8bと弾性部材6と底版2に連続して埋設される止水板8bを使用した実施形態を示している。
弾性部材6はゴム製または樹脂製材料から製作できる。側壁3に円周方向のプレストレス力を導入し該側壁3が収縮変形する際に、該弾性部材6がかかる収縮変形に追従することにより、側壁3は底版2に拘束されることはなくなり、よってピンローラー結合の底版と側壁の接合構造を構成することが可能となる。
本発明の底版と側壁の接合構造によれば、底版2と側壁3の構築を段階的に分割する必要がないのは勿論のこと、底版2と側壁3の構築段階で適宜のプレストレス力の導入調整等をおこなう必要もなく、したがって施工性の向上を図ることが可能となる。また、側壁3に円周方向のプレストレス力を導入した際に、該側壁3の下部に鉛直面内の曲げモーメントが生じることがないため、鉛直方向の鉄筋を剛結合構造の場合に比べて格段に低減することが可能となる。本発明は摩擦低減部材による摩擦抵抗力の低減と、緊張材による摩擦抵抗の増加の双方を満足しようとするものである。したがって、設計事項ではあるが、円周方向のプレストレス力を導入した際に若干の鉛直面内曲げモーメントが側壁下端に生じることは許容しながら、設計水平力に対する所望の摩擦抵抗が発揮できるような緊張力の導入および静止摩擦係数を備えた摩擦低減部材の選定などを適宜行うこともできる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。例えば、容器構造物がLNGまたはLPG貯蔵用の二重殻式低温タンクの場合では、図示する側壁を外槽とし、その内側に保冷材などからなる内槽を備えた構成とすることができる。
本発明のプレストレストコンクリート構造物を示した縦断面図を側壁の鉛直面内に作用する曲げモーメント図とともに示した図。 本発明の底版と側壁の接合構造の一実施形態を示した図1のII拡大図であって、(a)は側壁鉛直方向の緊張材を利用する実施形態を示した図であり、(b)は側壁鉛直方向の緊張材とは別途の緊張材を使用する実施形態を示した図。 本発明の底版と側壁の接合構造の他の実施形態を示した図1のII拡大図であって、(a)は側壁鉛直方向の緊張材を利用しつつシール部材を容器の内空側に固着させた実施形態を示した図であり、(b)は側壁鉛直方向の緊張材を利用しつつ止水板を具備した実施形態を示した図であり、(c)は側壁鉛直方向の緊張材とは別途の緊張材を使用しつつ止水板を具備した実施形態を示した図。 従来のプレストレストコンクリート構造物を示した縦断面図を側壁の鉛直面内に作用する曲げモーメント図とともに示した図。
符号の説明
1…底版と側壁の接合部、2…底版、3…側壁、4…天井、6…弾性部材、8…シール部材、10…容器構造物(プレストレストコンクリート構造物)、21…接合面、31…下端、51,52…摩擦低減部材、71…円周方向の緊張材、72…鉛直方向の緊張材、73…緊張材

Claims (7)

  1. 少なくとも底版と該底版上に立設する略円筒形の側壁とから構成されるプレストレストコンクリート構造物における底版と側壁の接合構造であって、
    前記側壁下端が前記底版と縁切りされていることを特徴とする、底版と側壁の接合構造。
  2. 前記側壁下端と、前記底版のうち少なくとも該側壁と接合する接合面にはそれぞれ摩擦低減部材が備えてあることを特徴とする、請求項1に記載の底版と側壁の接合構造。
  3. 前記側壁下端と前記底版との間に弾性部材が介在されていることを特徴とする、請求項1に記載の底版と側壁の接合構造。
  4. 前記側壁から前記底版に亘って連続する緊張材が該側壁内部および該底版内部に埋設されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の底版と側壁の接合構造。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の底版と側壁の接合構造は該底版と該側壁との接合部をシールするシール部材を備えており、該シール部材は、互いに直交する方向に延びる2側面を備え、その一側面は前記側壁に固着され、その他側面は前記底版に固着されてなることを特徴とする、底版と側壁の接合構造。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の底版と側壁の接合構造を備えたことを特徴とする、プレストレストコンクリート構造物。
  7. 前記プレストレストコンクリート構造物がLNGまたはLPG貯蔵用の地上タンクまたは地下タンクであることを特徴とする、請求項6に記載のプレストレストコンクリート構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014151926A (ja) * 2013-02-06 2014-08-25 Taisei Corp 地上タンクおよび地上タンクの施工方法
JP2017119967A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 鹿島建設株式会社 タンクおよびタンクの構築方法
JP2019064717A (ja) * 2017-10-04 2019-04-25 義範 坂本 Pc大型容器

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