JP2005350735A - 酸化物薄膜の製作方法、圧電膜および液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】単結晶基板等の限定された基板を用いることなく、高配向結晶性の酸化物薄膜を直接デバイス等に成膜できる酸化物薄膜の製作方法を提供する。
【解決手段】Arガス等のスパッタリングガスを導入する成膜チャンバー10内で、ターゲット1に対向する基板W上にPZT膜等の酸化物薄膜をスパッタリングによって成膜する。ターゲット1から叩き出されるPb、Zr、Ti等の金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離より長くなるように、成膜チャンバー10内のスパッタリングガス圧を制御することで、後焼成により極めて高配向に結晶化しやすい酸化物薄膜を成膜する。基板を選ばす、デバイス等に直接圧電膜等を製作できるため、製造コストを大幅に低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】Arガス等のスパッタリングガスを導入する成膜チャンバー10内で、ターゲット1に対向する基板W上にPZT膜等の酸化物薄膜をスパッタリングによって成膜する。ターゲット1から叩き出されるPb、Zr、Ti等の金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離より長くなるように、成膜チャンバー10内のスパッタリングガス圧を制御することで、後焼成により極めて高配向に結晶化しやすい酸化物薄膜を成膜する。基板を選ばす、デバイス等に直接圧電膜等を製作できるため、製造コストを大幅に低減できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧電膜であるPZT膜等の酸化物薄膜に関するものであり、特にアクチュエーター、センサー、液体吐出記録装置等のデバイスに用いられる圧電性や磁性などの機能性を有する酸化物薄膜の製作方法、圧電膜および液体吐出ヘッド関するものである。
近年、機能性薄膜を使ったデバイス研究が盛んであり、機能性材料を薄膜化しデバイスに応用することによって、優れた機能の実現が期待されている。
例えば、強誘電体の圧電性、焦電性、分極反転等の物性を用いた圧電素子やセンサー、不揮発メモリー等のデバイス研究が盛んであるが、なかでも圧電素子を用いてインク等液体を吐出させる液体吐出方式による記録装置は、高速高密度で高精細高画質の記録が可能で、かつ、カラー化・コンパクト化にも適しており、プリンターはもとより、複写機、ファクシミリ等にも適用され、近年急速な発展を成し遂げた。このような記録技術分野においては将来におけるさらなる高品位・高精細な記録技術への要望が高まってきている。実現のための一つの方法として圧電性を有する酸化物薄膜である圧電膜を利用した圧電素子があり、次世代高品位・高精細記録技術への応用が期待されている。
圧電性を有する酸化物薄膜の成膜にあたっては様々な方法が挙げられるが、例えば特許文献1などに、RFスパッタリングを用いて結晶性の向上したPZT膜を成膜する成膜方法が記載されている。また特許文献2などには、ゾルゲル法の前駆体分解温度制御により、(100)面に配向したPZT膜を形成する方法が記載されている。
特開平6−290983号公報
特開平11−220185号公報
機能性薄膜として多くの酸化物材料を用いたものを挙げることができる。一般に酸化物は結晶化した状態で様々な結晶構造をとるが、特に機能性を有する酸化物は結晶構造に異方性を持つものが多い。なかでも圧電性を有する酸化物はその特性上結晶構造に必ず異方性をもち、その方向性をそろえて、配向させることによってより大きな圧電性を生み出すことができる。
酸化物薄膜を結晶化させるためには、ゾルゲルなどの前駆体溶液を基板上に塗布した後、結晶化温度以上で焼成を行う方法や、室温から200℃程度での非加熱成膜を行い、成膜後に結晶化温度以上でアニールする方法、基板を結晶化温度以上に加熱し結晶化しながら成膜を行う方法などがある。
しかし、結晶化させる際に結晶の方向性をそろえて配向させるためには、一般に基板の格子定数が成膜する酸化物薄膜と近いことが重要になり、格子定数が所望の酸化物薄膜と近い単結晶基板が必要となる。単結晶基板には代表的なものとしてMgOやSrTiO3 などが挙げられるが、一般的に非常に高価であり、一回の成膜ごとに消耗してしまうのはコスト上非常に不利である。また、圧電膜を単結晶基板上に成膜し、他の基板に接着して単結晶基板を熱燐酸等で溶解し除去し、圧電膜を転写する工程を経なければ液体吐出ヘッド等のデバイスに応用することができない。このようなプロセスは非常に時間を要するため、コストのみならずスループット上も非常に不利であり、量産化の大きな障壁になる。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、成膜条件を制御することによって基板を選ばずに膜の優先配向を可能にし、高価な単結晶基板を用いることなく、直接デバイス上に機能性薄膜を成膜しかつ優先配向させることによって、安価で高品位な様々な高機能性デバイス等を実現することのできる酸化物薄膜の製作方法、圧電膜および液体吐出ヘッドを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の酸化物薄膜の製作方法は、基板に対向するターゲットから叩き出された金属原子を用いたスパッタリングによって酸化物薄膜を成膜する酸化物薄膜の製作方法において、前記金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離より長くなるように成膜条件を制御することを特徴とする。
スパッタリングによって酸化物薄膜を成膜する際に、ターゲットからスパッタされた金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離を上回るような成膜条件で成膜すれば、ある温度以上で後焼成を行うことによって、直接デバイス上に成膜された酸化物薄膜を特定の方位に優先配向させることが可能になる。
この酸化物薄膜の製作方法では、圧電膜等の配向膜を作成するのに従来必要であった使い捨てになる高価な単結晶基板を用いることなく、基板を選ばずに特定方向に優先配向した高性能な酸化物薄膜を製作することができるため、様々なデバイス、例えば圧電素子を用いるアクチュエーターあるいは液体吐出ヘッド等を量産する際の製造コストを大きく下げることができる。
また、薄膜を単結晶基板上に形成して他の基板に転写し、単結晶基板を時間をかけて溶解する工程を省いて、直接デバイス上に圧電膜等を製作できるため、液体吐出ヘッド等のスループットの大幅な向上が期待できる。
スパッタリング成膜においては、導入されたスパッタリングガスの粒子がイオン化されてターゲットに衝突し、ターゲット中の原子が叩き出され、この叩き出された原子がスパッタリングガス中を飛行して基板に到達することによって成膜が行われる。通常はターゲットから叩き出された原子は飛行中に導入されたスパッタガスの粒子に何度もぶつかり、そのエネルギーを失いながら基板に到達する。
ここで、ある粒子がその粒子しか存在しない空間内を衝突せずに飛行できる平均距離である平均自由工程Lは以下の式で表わされる。
空間内の粒子の圧力(分圧)Pは以下の式で表わされる。
P=nkT ・・・・(2)
ここで、k:ボルツマン定数
T:粒子の絶対温度
ただし粒子の絶対温度はスパッタリング中のプラズマ中の粒子温度であるので数百〜千数百Kであり、ここでは1000Kと仮定している。
P=nkT ・・・・(2)
ここで、k:ボルツマン定数
T:粒子の絶対温度
ただし粒子の絶対温度はスパッタリング中のプラズマ中の粒子温度であるので数百〜千数百Kであり、ここでは1000Kと仮定している。
(2)式から、平均自由工程Lを表わす(1)式は以下の式に書き換えられる。
さらに(3)式を拡張して、スパッタガス粒子Aが飛び交う中に微量の被スパッタ粒子Bが飛行する場合、被スパッタ粒子Bの平均自由工程LB は、被スパッタ粒子Bはスパッタガス粒子Aのみと衝突すると仮定して、以下のように表される。
本発明者は酸化物薄膜の成膜時に、スパッタリングによってターゲットから叩き出された金属原子のエネルギーに注目し、他の原子・分子と衝突せずにエネルギーを失わないで基板に到達する原子が多い場合の酸化物薄膜の配向性について検討を行った。
まず、スパッタガス粒子Aが飛び交う中を飛行して基板に直接到達する被スパッタ粒子Bの割合は以下の式で表される。
本発明者は様々な実験の結果、他の原子・分子と衝突せずにエネルギーを失わないで基板に到達する金属原子が多くなる程、酸化物薄膜の特定の方位面に優先的に配向する傾向が強まり、直接基板に到達する原子が40%程度以上に達し、叩き出される金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離以上になる(LB ≧X)条件で成膜された膜は、後焼成において、ある特定温度以上でほぼ完全に特定方位面に優先配向することを新たに見出した。
この理由はいまだ解明されてはいないが、本発明者の推測では恐らく、被スパッタ粒子である金属原子がスパッタされる際に方向性を持って飛行するため、他の粒子と衝突せずに基板に付着した場合、後焼成によってあるエネルギー以上で結晶化する際に、特定の方向に電子の混成軌道を作りやすいのではないかと考えている。またこの条件で成膜された膜は基板を選ばず、電極等を形成した様々な基板上で優先配向することも明らかになった。すなわち、成膜する基板を高価な単結晶基板に限定する必要がないため、コストを大きく下げることができる。
また、基板を選ばず優先配向するため、膜を単結晶基板等に作成して転写する必要もない。従って、所望のデバイス上に電極を形成しその上に直接高配向性の圧電膜等を製作することが可能になり、非常に時間のかかる膜転写後の単結晶基板の溶解工程を省くことによって、スループットを大きく向上させることが可能となる。
このように極めて簡便な方法で、基板上へ様々な配向性の高い高機能薄膜を製作することが可能になり、機能性薄膜を利用した様々なデバイスを低コストで製造することができる。
図1は一実施の形態に用いられるRFマグネトロンスパッタ装置を示すもので、成膜チャンバー10内のターゲット1に対向するように、基板ホルダー2によって基板Wが保持され、ロードロック室20と成膜チャンバー10が連結されたロードロック方式になっており、搬送系30によって基板ホルダー2がロードロック室20から成膜チャンバー10内に搬送される。
ターゲット面を常に高真空に保つために、ロードロック室20と成膜チャンバー10にそれぞれ、ロータリーポンプ11、21およびターボ分子ポンプ12、22が直列に接続されている。成膜方式はdepo−up方式で、ターゲット1の直下にマグネット1aが配置されて磁束によって電子が収束される。またターゲット1の直上に基板ホルダー2が配置される。
このスパッタリング装置を用いた酸化物薄膜の成膜において、ターゲット1から叩き出される各種金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離よりも長くなるように制御された成膜条件で成膜を行う。例えば成膜チャンバー10内には、不活性ガスであるArガス等のスパッタガスのみが存在し、この不活性ガスの分圧を0.5Pa以下に制御する場合は、ターゲット−基板間距離は150mm以上である。
成膜終了後に、後焼成(アニール)によって酸化物薄膜を結晶化する工程では、例えば焼成を700℃を超える温度で行うと、すぐれた圧電性を示す圧電膜を成膜できる。
本実施の形態においては、様々な機能性を有する酸化物薄膜を作製でき、様々な機能を持ったデバイスを作製することができるが、特に機能性を有する膜として圧電性を有する膜の作製に好適である。
圧電性等の機能性を有する酸化物薄膜が形成される基板は、耐熱性の高い様々な基板を用いることが可能であり、特に圧電膜の場合には、振動板として優れているヤング率の低いガラス系の基板が好ましい。
また、機能性を有する酸化物薄膜の製作方法にはスパッタリングを利用した様々な成膜方法を用いることができるが、特にマグネットの電子閉じ込め効果により低ガス圧までプラズマ維持が可能なためガス圧によるスパッタ粒子の平均自由工程のコントロール幅が広いRFマグネトロンスパッタリングが好ましい。
酸化物薄膜の製作においては様々な酸化物材料を挙げることができるが、特にその結晶構造の異方性から優先配向によって機能の向上が期待できる圧電性を有する酸化物が望ましい。また圧電特性を有する酸化物薄膜である圧電膜の材料には、圧電性を有する様々な酸化物を挙げることができるが、特に圧電特性の優れているPb、Zr、Tiを含むものが望ましい。例えばPb(Zr、Ti)O3 、(Pb、La)(Zr、Ti)O3 などがその代表例としてあげられる。特にPb(Zr、Ti)O3 からなるPZT膜は圧電特性に非常に優れ、材料として好ましい。
図1のRFマグネトロンスパッタ装置を用いて、MgO基板上にすぐれた圧電性を有する圧電膜であるPZT膜を以下のように成膜した。まず、20mm□×厚さ0.3mmのMgO単結晶の基板上に密着層としてTi膜を厚さ20nm、第一電極となるPt膜を厚さ150nm、それぞれRFスパッタリングにて形成し、Pt(111)/Ti/MgO基板とした。その上に、基板ヒーターOFF、表示Arガス圧0.2Pa、ターゲット−基板間距離160mmで、アモルファスのPZT層を1μmの厚さに成膜した。このアモルファスのPZT層を酸素雰囲気中で昇降温20℃/min、750℃で30分間アニールし、結晶化を行ったところ、図2のX線回折パターンに示すように、(001)と(111)に優先配向したPZT膜となった。
Si基板を用いた場合も実施例1と同様の結果が得られた。2インチφ×厚さ0.5mmのSiウェハー上にSiの拡散防止層としてSiO2 熱酸化膜を1000nmの厚さに成膜し、その上に密着層としてTiを厚さ20nm、および第一電極となるPtを厚さ150nm、それぞれRFスパッタにて形成し、Pt(111)/Ti/SiO2 /Si基板とした。その上に、基板ヒーターOFF、表示Arガス圧0.2Pa、ターゲット−基板間距離160mmで、アモルファスのPZT層を3μmの厚さに形成し、酸素雰囲気中で昇降温20℃/min、750℃で30分間アニールして結晶化を行ったところ、図3に示すように、MgO基板を用いた場合と同様に、(001)と(111)に優先配向したPZT膜となった。
さらに、同様の結果は耐熱性のガラスにPtを成膜した基板上でも確認された。
また、成膜時にスパッタリングガスであるArガスのガス圧を変えて各金属元素の平均自由工程を変化させた実験の結果を図4に示す。この実験は、2インチφ×厚さ0.5mmのSiウェハー上にSiの拡散防止層としてSiO2 熱酸化膜を100nm形成し、その上に密着層としてTiを厚さ20nm、および第一電極となるPtを厚さ150nm、それぞれRFスパッタにて形成し、Pt(111)/Ti/SiO2 /Si基板とし、その上に、基板ヒーターOFFで、アモルファスのPZT層を様々なガス圧条件で1μmの厚さに形成し、酸素雰囲気中で昇降温20℃/min、750℃で30分間アニールして結晶化を行ったものである。
図4から分かるように、ガス圧が高い場合は完全に無配向であるが、ガス圧が低くなり各金属元素の平均自由工程が伸びるにつれて、PZT(001)(111)以外のピークが減少し、0.5Paを下回るガス圧では、PZT(001)(111)以外のピークがほとんど消失する。
図5はガス圧に対する各金属ごとの平均自由工程を示すもので、各金属元素の中でもっとも平均自由工程が短いPbの場合で、約0.35Paで平均自由工程がターゲット−基板間距離160mmを上回ることが分かる。
(比較例1)
まず、成膜時のガス圧を変えた例を示す。熱酸化膜を100nm形成したMgO基板上に、RFスパッタリングにて成膜を行い、Pt(111)/Ti/MgO基板とした。この基板上に、PZT層を基板非加熱、表示Arガス圧=3.0Pa、ターゲット−基板間距離160mmで厚さ1μmに成膜を行った。表示Arガス圧3.0Paでは、図5に示すように、衝突しないで直接基板に到達する原子はほぼ0となり、ほとんど全ての原子が他の原子と衝突を繰りかえして基板に到達する。形成した膜を酸素雰囲気中で昇降温1℃/min、750℃で30分間アニールして結晶化を行ったところ、図6に示すように完全に無配向なPZT膜となった。
まず、成膜時のガス圧を変えた例を示す。熱酸化膜を100nm形成したMgO基板上に、RFスパッタリングにて成膜を行い、Pt(111)/Ti/MgO基板とした。この基板上に、PZT層を基板非加熱、表示Arガス圧=3.0Pa、ターゲット−基板間距離160mmで厚さ1μmに成膜を行った。表示Arガス圧3.0Paでは、図5に示すように、衝突しないで直接基板に到達する原子はほぼ0となり、ほとんど全ての原子が他の原子と衝突を繰りかえして基板に到達する。形成した膜を酸素雰囲気中で昇降温1℃/min、750℃で30分間アニールして結晶化を行ったところ、図6に示すように完全に無配向なPZT膜となった。
(比較例2)
焼成温度を変えた例を示す。実施例2と同様に熱酸化膜を100nm形成したSiO2 /Si基板上に、RFスパッタリングにて成膜を行い、Pt(111)/Ti/SiO2 /Si基板とした。さらにこの基板上に、PZT層を基板非加熱、表示Arガス圧0.2Pa、ターゲット−基板間距離160mmで厚さ1μmに成膜を行った。形成した膜を酸素雰囲気中で昇降温1℃/min、700℃で30分間アニールして結晶化を行ったところ、700℃では優先配向せず、図7に示すように無配向なPZT膜となった。
焼成温度を変えた例を示す。実施例2と同様に熱酸化膜を100nm形成したSiO2 /Si基板上に、RFスパッタリングにて成膜を行い、Pt(111)/Ti/SiO2 /Si基板とした。さらにこの基板上に、PZT層を基板非加熱、表示Arガス圧0.2Pa、ターゲット−基板間距離160mmで厚さ1μmに成膜を行った。形成した膜を酸素雰囲気中で昇降温1℃/min、700℃で30分間アニールして結晶化を行ったところ、700℃では優先配向せず、図7に示すように無配向なPZT膜となった。
図8は、実施例1または実施例2によるPZT膜を用いた液体吐出ヘッドの構成を示すもので、MgO基板またはSi基板からなる振動板101は、液室102a、液体供給口102b、吐出口102c等を形成した構造体102に接合され、振動板101上には、液室102aに沿って圧電素子103が直接形成される。
図9は、図8の液体吐出ヘッドを製造する工程を、図8のA−A線に沿ってとった断面で示すもので、圧電素子103を振動板101上に形成するために、まず、図9の(a)に示すように構造体102に振動板101を接合し、(b)〜(d)に示すように、振動板101上に第1電極103a、圧電膜103b、第2電極103cを順次積層する。圧電膜103bは、実施例1または実施例2による成膜方法によって製作された高配向結晶のPZT膜である。続いて、図9の(e)に示すように、第2電極103cと圧電膜103bを液室102の形状に対応してパターニングする。
液体吐出ヘッド等に用いられる圧電膜に限らず、高配向の結晶化による機能性を有する薄膜デバイスに広く適用できる。
1 ターゲット
2 基板ホルダー
10 成膜チャンバー
11、21 ロータリーポンプ
12、22 ターボ分子ポンプ
20 ロードロック室
30 搬送系
101 振動板
102 構造体
102a 液室
102b 液体供給口
102c 吐出口
103 圧電素子
103a、103c 電極
103b 圧電膜
2 基板ホルダー
10 成膜チャンバー
11、21 ロータリーポンプ
12、22 ターボ分子ポンプ
20 ロードロック室
30 搬送系
101 振動板
102 構造体
102a 液室
102b 液体供給口
102c 吐出口
103 圧電素子
103a、103c 電極
103b 圧電膜
Claims (7)
- 基板に対向するターゲットから叩き出された金属原子を用いたスパッタリングによって酸化物薄膜を成膜する酸化物薄膜の製作方法において、
前記金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離より長くなるように成膜条件を制御することを特徴とする酸化物薄膜の製作方法。 - 金属原子の平均自由工程がターゲット−基板間距離より長くなるようにスパッタリングガスの分圧を制御することを特徴とする請求項1記載の酸化物薄膜の製作方法。
- ターゲット−基板間距離が150mm以上であり、スパッタリングガスの分圧を0.5Pa以下に制御することを特徴とする請求項2記載の酸化物薄膜の製作方法。
- 成膜された酸化物薄膜を700℃以上の後焼成によって結晶化することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の酸化物薄膜の製作方法。
- 酸化物薄膜がPb、Zr、Tiを主成分とする酸化物薄膜であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の酸化物薄膜の製作方法。
- 請求項1ないし5いずれか1項記載の酸化物薄膜の製作方法によって製作された酸化物薄膜からなることを特徴とする圧電膜。
- 請求項6記載の圧電膜が設けられたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
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---|---|---|---|---|
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2004
- 2004-06-11 JP JP2004173356A patent/JP2005350735A/ja active Pending
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