JP2005344263A - 陰イオン交換膜の製造方法および陰イオン交換膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】製塩に用いられる陰イオン交換膜であって、電気抵抗、濃縮性能を低下させずに、機械的強度が高い陰イオン交換膜を製造できる陰イオン交換膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換膜の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、製塩に用いられる、電気抵抗及び濃縮性能が高く、しかも高強度な陰イオン交換膜を得ることができる、陰イオン交換膜の製造方法に関する。
現在の製塩法における海水濃縮工程にはイオン交換膜が一般的に用いられている。イオン交換膜の性能上求められているのは、膜の電気抵抗、濃縮性能、耐久性等であり、製造費低減のためには、膜の電気抵抗を増加、濃縮性能を低下させることなく耐久性、特に機械的強度を向上させることが必要である。
製塩用イオン交換膜の製法については従来から数多くの方法が提案されており(例えば特許文献1〜3など参照)、イオン交換膜を合成する際には機械的強度を向上させるために一般に補強材が用いられていることも知られている。補強材の素材については、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン他種々の繊維が検討されている(特許文献4および5参照)。このうち、塩化ビニル製以外の繊維を用いる場合には補強材とイオン交換成分との親和性が悪く長期安定性に乏しいため、繊維の表面改質が行われてきたが、実用化されていない。このため、補強材としては塩化ビニル繊維が一般に用いられてきた。
また、繊維の織り方についても平織り、からみ織り他種々の織り方が検討されているが(特許文献6および7参照)、機械的強度、電気化学的特性を勘案した場合、平織りの繊維を用いるのが一般的であった。
さらに、繊維径について、繊維径が太い場合には機械的強度は向上するが、膜厚が増加するため電気抵抗が高くなる問題点がある。一方、繊維径が細い場合には、電気抵抗は低減できるが、機械的強度は低下する。このため、双方を勘案してこれまでは繊維径50デニール程度の繊維を用いるのが一般的であった。
このように、製塩用のイオン交換膜の製造には塩化ビニル製平織りの繊維径50デニール程度の繊維を用いるのが一般的であったが、このような平織り繊維では、機械的強度に限界があり、耐久性にも問題があった。
特公昭39-27861号公報
特公昭40-28951号公報
特公昭44-19253号公報
特公昭42-10609号公報
特公昭55-41256号公報
特公昭49-11996号公報
実公昭55-36510号公報
本発明は、製塩に用いられる陰イオン交換膜であって、電気抵抗、濃縮性能を低下させずに高強度化された陰イオン交換膜を製造できる陰イオン交換膜製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、イオン交換膜を補強する
ための繊維径を太くして機械的強度を上げても、陰イオン交換基を導入する際のアミンを選定することにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の各構成に存する。
ための繊維径を太くして機械的強度を上げても、陰イオン交換基を導入する際のアミンを選定することにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記の各構成に存する。
(1)繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換膜の製造方法。
(2)前記ペーストは、さらに、該重合性単量体および架橋性単量体と共重合可能な他の単量体、該重合性混合物に可溶な線状高分子物質、該重合性混合物に膨潤可能な微粒子状高分子物質、可塑剤、及び該重合性混合物を希釈する溶媒を含有することを特徴とする前記(1)記載の陰イオン交換膜の製造方法。
(3)前記(1)に記載の製造方法により得られた陰イオン交換膜。
(3)前記(1)に記載の製造方法により得られた陰イオン交換膜。
本発明によれば、現在製塩に用いられている陰イオン交換膜と比較して、電気抵抗、濃縮性能がほぼ同等で、しかも高強度な陰イオン交換膜が提供できる。このため、本発明の製造方法により得られる陰イオン交換膜は、優れた耐久性により陰イオン交換膜の交換周期を長くすることができるため、結果的に製塩コストの低減に寄与できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法は、繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする。
また、上記ペーストには、重合性混合物の他に、重合性単量体および架橋性単量体と共重合可能な他の単量体、重合性混合物に可溶な線状高分子物質、重合性混合物に膨潤可能な微粒子状高分子物質、可塑剤、及び該重合性混合物を希釈する溶媒を含有することが好ましい。
以下、本発明をさらに詳述する。
本発明において使用する塩化ビニル製の平織り繊維は、その繊維径が75〜150デニール、好ましくは100〜120デニールである。
繊維径が75デニール未満であると、濃縮性能および強度の低下が起こる。一方、150デニールを超えると、電気抵抗が高くなる。
平織りにされて形成された織布の坪量は、35〜100g/m2とするのがペーストを織布に浸潤させ、膜状に成型重合させるために好ましく、50〜80g/m2とするのが更に好ましい。
平織り形態は、通常公知の平織りの織布と同じである。
本発明において使用する塩化ビニル製の平織り繊維は、その繊維径が75〜150デニール、好ましくは100〜120デニールである。
繊維径が75デニール未満であると、濃縮性能および強度の低下が起こる。一方、150デニールを超えると、電気抵抗が高くなる。
平織りにされて形成された織布の坪量は、35〜100g/m2とするのがペーストを織布に浸潤させ、膜状に成型重合させるために好ましく、50〜80g/m2とするのが更に好ましい。
平織り形態は、通常公知の平織りの織布と同じである。
次に、上記平織り繊維に付着させる、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体、重合開始剤、さらに必要に応じて用いられる重合性単量体および架橋性単量体と共重合可能な他の単量体、重合性混合物に可溶な線状高分子物質、重合性混合物に膨潤可能な微粒子状高分子物質、可塑剤、重合性混合物を希釈する溶媒について説明する。
まず、本発明において用いられる、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する上記重合性単量体としては、従来公知である陰イオン交換樹脂や陰イオン交換膜の製造において用いられる単量体のうち、トリメチルアミンを用いて4級アンモニウム基を導入できる単量体が特に制限されず使用される。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、α−メチルスチレン、アセナフチレン、ビニルナフタリン、α−ハロゲン化スチレン等、α,β,β'−トリハロゲン化スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が用いられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。これらの中でも特にスチレン、クロロメチルスチレンが好ましい。
また、本発明において用いられる、上記架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタリン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジビニルピリジン類等のジビニル化合物が用いられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。これらの中でも特にジビニルベンゼンが好ましい。
次に、本発明において用いられる重合開始剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の公知の重合開始剤が用いられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
本発明において、上記重合性混合物における各成分の配合割合は、特に制限するものではないが、一般には、イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体100質量部に対して、架橋性単量体を1〜30質量部、重合開始剤を0.1〜5質量部使用するのが好ましく、特に重合性単量体100質量部に対して架橋性単量体5〜20質量部、重合開始剤を0.2〜2質量部使用することが好ましい。
本発明において、上記したイオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体及び架橋性単量体とともに、必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能な上記他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、メチルスチレン、ニトロスチレン、塩化スチレン等が適宜用いられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、上記の重合性混合物に可溶な線状高分子物質としては、例えばポリスチレン類、ポリイソプレン類、ポリブチレン類、ニトリルブタジエンゴムなどのアクリロニトリル−ブタジエン共重合物類、スチレンブタジエンゴムなどのスチレン−ブタジエン共重合物類、エチレン−プロピレン共重合物類、ポリハロゲン化オレフィン類、ポリハロスルホン化オレフィン類、ポリハロゲン化ハロスルホン化オレフィン類などが挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
重合性混合物に膨潤可能な微粒子状高分子物質としては、例えばポリ塩化ビニル微粉末、ポリエチレン微粉末、ポリプロピレン微粉末などが挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、リン酸トリブチルあるいは、脂肪族酸、芳香族酸のアルコールエステル等が挙げられる。
重合性混合物を希釈するための溶媒としては、例えばテトラリン、p−キシレン、ベンゼン等が挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、リン酸トリブチルあるいは、脂肪族酸、芳香族酸のアルコールエステル等が挙げられる。
重合性混合物を希釈するための溶媒としては、例えばテトラリン、p−キシレン、ベンゼン等が挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
上記ペーストに含まれる各成分の配合割合は、特に制限するものではないが、一般には、上記重合性単量体100質量部に対して、上記の他の単量体を120質量部以下、線状高分子物質を20質量部以下、微粒子状高分子物質を100質量部以下、可塑剤を50質量部以下、重合性混合物を希釈するための溶媒を100質量部以下とするのが好ましく、特に上記重合性単量体100質量部に対して、上記の他の単量体を10〜80質量部、線状高分子物質を5〜15質量部、微粒子状高分子物質を20〜60質量部、可塑剤を5〜30質量部、重合性混合物を希釈するための溶媒を20〜70質量部とするのが好ましい。
本発明においては、上記平織り繊維に上記ペーストを付着させる。
上記付着は、上記ペーストに上記平織り繊維を浸漬させることにより行うことができる。
この際の浸漬時間は特に制限するものではないが、0.5〜48時間とするのが望ましい。
上記付着は、上記ペーストに上記平織り繊維を浸漬させることにより行うことができる。
この際の浸漬時間は特に制限するものではないが、0.5〜48時間とするのが望ましい。
ペーストを付着させた平織り繊維は、ポリエステルフィルムにより両面を覆った後、付着させたペースト中の各重合性成分を重合させて陰イオン交換膜母体を得る。
重合温度は、通常120℃未満、好ましくは30℃以上120℃未満の温度で実施する。
このようにして得られた陰イオン交換膜母体には、重合性単量体にクロロメチルスチレン以外の単量体を用いた場合にはクロロメチル化を施す必要がある。
クロロメチル化は、陰イオン交換膜母体をクロロメチルメチルエーテル等のクロロメチル化試薬中に浸漬し、30〜50℃で1〜4時間攪拌し、次いで常温としたのち、陰イオン交換膜母体100グラムあたり0.01〜0.05モルの塩化亜鉛を加えて、常温若しくは10〜30℃の温度条件で12〜48時間攪拌する等して行うことができる。
重合温度は、通常120℃未満、好ましくは30℃以上120℃未満の温度で実施する。
このようにして得られた陰イオン交換膜母体には、重合性単量体にクロロメチルスチレン以外の単量体を用いた場合にはクロロメチル化を施す必要がある。
クロロメチル化は、陰イオン交換膜母体をクロロメチルメチルエーテル等のクロロメチル化試薬中に浸漬し、30〜50℃で1〜4時間攪拌し、次いで常温としたのち、陰イオン交換膜母体100グラムあたり0.01〜0.05モルの塩化亜鉛を加えて、常温若しくは10〜30℃の温度条件で12〜48時間攪拌する等して行うことができる。
本発明においては重合工程後、必要に応じてクロロメチル化したのち、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入して陰イオン交換膜を得る。
第4級アンモニウム基の導入は、上記陰イオン交換母体に20〜50℃の温度で公知の4級化手法に準じて4級化剤としてのトリメチルアミンを作用させることにより行うことができる。
また、第4級アンモニウム基の導入量は、イオン交換容量が0.5〜3.0meq/g-dryの範囲となる量とするのが好ましい。
第4級アンモニウム基の導入は、上記陰イオン交換母体に20〜50℃の温度で公知の4級化手法に準じて4級化剤としてのトリメチルアミンを作用させることにより行うことができる。
また、第4級アンモニウム基の導入量は、イオン交換容量が0.5〜3.0meq/g-dryの範囲となる量とするのが好ましい。
このような本発明の製造方法により得られる本発明の陰イオン交換膜は、上記したように繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製の平織り繊維に上記ペーストを付着させて、平織り繊維に膜状に4級アンモニウム基が導入された重合体が付着されたものである。
そして、本発明の陰イオン交換膜は、電気抵抗、濃縮性能が低下されることなく、高強度なものである。
そして、本発明の陰イオン交換膜は、電気抵抗、濃縮性能が低下されることなく、高強度なものである。
以下、本発明の製造例、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例及び比較例1〕
スチレン90質量部、ジビニルベンゼン(純度55%)10質量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部からなる重合性混合物に、ニトリルブタジエンゴム5質量部(日本ゼオン(株)NBR26)を加えてペーストを調整した。そのペースト中に、繊維径50,75,100,120デニールの4種類の塩化ビニル製平織り繊維(帝人(株)テビロン)をそれぞれ24時間浸漬したのち、ポリエステルフィルムにて両面を覆い、85℃で14時間加熱重合し、陰イオン交換膜母体を得た。次いで、陰イオン交換膜母体をクロロメチルメチルエーテル中に浸漬し、40℃で2時間攪拌した。その後常温とした後、陰イオン交換膜母体10gあたり0.02molの塩化亜鉛を溶液中に加え、48時間攪拌した。得られた陰イオン交換膜母体をエタノールでよく洗浄した後、トリメチルアミン(以下「TMA」という)30質量%エタノール溶液に48時間浸漬して、陰イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜はメタノールでよく洗浄し、0.5N−NaCl水溶液中に保存した。
得られた陰イオン交換膜の膜厚は50デニールで173μm、75デニールで207μm、100デニールで239μm、120デニールで247μmであった。また、交換容量は50デニールで1.47meq/g-dry、75デニールで1.45meq/g-dry、100デニールで1.37meq/g-dry、120デニールで1.25meq/g-dryであった。
スチレン90質量部、ジビニルベンゼン(純度55%)10質量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部からなる重合性混合物に、ニトリルブタジエンゴム5質量部(日本ゼオン(株)NBR26)を加えてペーストを調整した。そのペースト中に、繊維径50,75,100,120デニールの4種類の塩化ビニル製平織り繊維(帝人(株)テビロン)をそれぞれ24時間浸漬したのち、ポリエステルフィルムにて両面を覆い、85℃で14時間加熱重合し、陰イオン交換膜母体を得た。次いで、陰イオン交換膜母体をクロロメチルメチルエーテル中に浸漬し、40℃で2時間攪拌した。その後常温とした後、陰イオン交換膜母体10gあたり0.02molの塩化亜鉛を溶液中に加え、48時間攪拌した。得られた陰イオン交換膜母体をエタノールでよく洗浄した後、トリメチルアミン(以下「TMA」という)30質量%エタノール溶液に48時間浸漬して、陰イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜はメタノールでよく洗浄し、0.5N−NaCl水溶液中に保存した。
得られた陰イオン交換膜の膜厚は50デニールで173μm、75デニールで207μm、100デニールで239μm、120デニールで247μmであった。また、交換容量は50デニールで1.47meq/g-dry、75デニールで1.45meq/g-dry、100デニールで1.37meq/g-dry、120デニールで1.25meq/g-dryであった。
〔比較例2〕
実施例及び比較例1と同様の方法により、陰イオン交換基導入時に使用するアミンをTMAからN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(以下「TMHD」という)に変更して陰イオン交換膜を合成した。得られた陰イオン交換膜の膜厚は50デニールで169μm、75デニールで205μm、100デニールで238μm、120デニールで246μmであった。また、交換容量は50デニールで1.88meq/g-dry、75デニールで1.92meq/g-dry、100デニールで1.89meq/g-dry、120デニールで1.96meq/g-dryであった。
実施例及び比較例1と同様の方法により、陰イオン交換基導入時に使用するアミンをTMAからN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(以下「TMHD」という)に変更して陰イオン交換膜を合成した。得られた陰イオン交換膜の膜厚は50デニールで169μm、75デニールで205μm、100デニールで238μm、120デニールで246μmであった。また、交換容量は50デニールで1.88meq/g-dry、75デニールで1.92meq/g-dry、100デニールで1.89meq/g-dry、120デニールで1.96meq/g-dryであった。
〔試験例1〕
実施例及び比較例1並びに比較例2で得られた陰イオン交換膜の破裂強度をミューレン式破裂強度試験機により測定した。(JIS−L−1096A法) 図1に膜厚と破裂強度との関係を示す。図1に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い破裂強度は増加した。120デニールの繊維を用いた時の破裂強度はTMAの場合には5.2kg/cm2であり、TMHDの場合には5.8kg/cm2であった。
実施例及び比較例1並びに比較例2で得られた陰イオン交換膜の破裂強度をミューレン式破裂強度試験機により測定した。(JIS−L−1096A法) 図1に膜厚と破裂強度との関係を示す。図1に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い破裂強度は増加した。120デニールの繊維を用いた時の破裂強度はTMAの場合には5.2kg/cm2であり、TMHDの場合には5.8kg/cm2であった。
〔試験例2〕
実施例及び比較例1並びに比較例2で得られた陰イオン交換膜の電気抵抗を、4M塩化ナトリウム水溶液中で測定した。図2に膜厚と電気抵抗との関係を示す。図2に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い電気抵抗は増加した。また、TMHDを用いた場合と比較してTMAを用いた場合の電気抵抗はかなり小さかった。120デニールの繊維を用いた時の電気抵抗はTMAの場合には2.6Ωcm2であり、TMHDの場合には26.2Ωcm2であった。
実施例及び比較例1並びに比較例2で得られた陰イオン交換膜の電気抵抗を、4M塩化ナトリウム水溶液中で測定した。図2に膜厚と電気抵抗との関係を示す。図2に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い電気抵抗は増加した。また、TMHDを用いた場合と比較してTMAを用いた場合の電気抵抗はかなり小さかった。120デニールの繊維を用いた時の電気抵抗はTMAの場合には2.6Ωcm2であり、TMHDの場合には26.2Ωcm2であった。
〔試験例3〕
実施例及び比較例1並びに比較例2で合成した陰イオン交換膜と市販の陽イオン交換膜(旭化成ケミカルズ(株)製Aciplex K172)を小型電気透析装置(膜面積8cm2)に装着し、濃縮試験を実施した。脱塩室流速は6cm/s、電流密度2.5A/dm2の濃縮条件で供給液は0.5Mの塩化ナトリウム水溶液を用いた。図3に膜厚と濃縮液の塩化ナトリウム濃度との関係を示す。図3に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い濃縮液の塩化ナトリウム濃度は増加した。また、TMHDと比較してTMAを用いた場合の塩化ナトリウム濃度は低かった。120デニールの繊維を用いた時の塩化ナトリウム濃度はTMAの場合には3.32M、TMHDの場合には3.83Mであった。
実施例及び比較例1並びに比較例2で合成した陰イオン交換膜と市販の陽イオン交換膜(旭化成ケミカルズ(株)製Aciplex K172)を小型電気透析装置(膜面積8cm2)に装着し、濃縮試験を実施した。脱塩室流速は6cm/s、電流密度2.5A/dm2の濃縮条件で供給液は0.5Mの塩化ナトリウム水溶液を用いた。図3に膜厚と濃縮液の塩化ナトリウム濃度との関係を示す。図3に示す結果から明らかなように、膜厚の増加に伴い濃縮液の塩化ナトリウム濃度は増加した。また、TMHDと比較してTMAを用いた場合の塩化ナトリウム濃度は低かった。120デニールの繊維を用いた時の塩化ナトリウム濃度はTMAの場合には3.32M、TMHDの場合には3.83Mであった。
試験例1〜3の結果より、イオン交換膜の強度を増加させるためには使用する繊維の径を太くすることが必要であることが判る。一方、繊維径の増加に伴い濃縮液の濃度は増加するが、膜の電気抵抗も増加することが判る。アミンの種類の影響を見た場合、TMHDと比較して分子量の小さいTMAを用いた場合には膜の構造が疎になるため、電気抵抗を低減できる。しかし濃縮液の塩化ナトリウム濃度は低下する。
以上の結果から、電気抵抗、濃縮液濃度及び破裂強度を勘案すると、好適な合成条件は120あるいは100デニールの繊維径の繊維を用い、アミンとしてTMAを用いた場合であった。なお、120デニールの場合の破裂強度は5.2kg/cm2、電気抵抗は2.6Ωcm2、濃縮液の塩化ナトリウム濃度は3.32Mであり、100デニールの場合の破裂強度は4.2kg/cm2、電気抵抗は1.8Ωcm2、濃縮液の塩化ナトリウム濃度は3.11Mであった。
〔比較例3〕
実施例1〜3と同様の方法により、市販の陰イオン交換膜(旭化成ケミカルズ(株)製Aciplex A192)の破裂強度、電気抵抗の測定および濃縮試験を実施した。破裂強度は1.8kg/cm2、電気抵抗は2.0Ωcm2、濃縮液の塩化ナトリウム濃度は3.37Mであった。
実施例1〜3に示した120デニールの繊維径の繊維を用い、アミンとしてTMAを用いた場合と比較して、電気抵抗、濃縮液の塩化物イオン濃度はほぼ同等であったが、破裂強度は1/3程度であった。また、100デニールの繊維径の繊維を用いた場合と比較して、電気抵抗は多少高く、塩化物イオン濃度も多少高かったが、破裂強度は1/2以下であった。
この結果、イオン交換膜の補強に繊維径120デニールの塩化ビニル製の平織り繊維を、またイオン交換基の導入にTMAを用いることにより、市販のイオン交換膜と同程度の電気抵抗、濃縮度を維持しながらも、破裂強度が3倍程度の高強度の陰イオン交換膜が得られることがわかった。また、100デニールの平織り繊維を、イオン交換基の導入にTMAを用いることにより、濃縮度は市販膜より多少低かったが、電気抵抗が低く、破裂強度が2倍以上の高強度陰イオン交換膜が得られた。
実施例1〜3と同様の方法により、市販の陰イオン交換膜(旭化成ケミカルズ(株)製Aciplex A192)の破裂強度、電気抵抗の測定および濃縮試験を実施した。破裂強度は1.8kg/cm2、電気抵抗は2.0Ωcm2、濃縮液の塩化ナトリウム濃度は3.37Mであった。
実施例1〜3に示した120デニールの繊維径の繊維を用い、アミンとしてTMAを用いた場合と比較して、電気抵抗、濃縮液の塩化物イオン濃度はほぼ同等であったが、破裂強度は1/3程度であった。また、100デニールの繊維径の繊維を用いた場合と比較して、電気抵抗は多少高く、塩化物イオン濃度も多少高かったが、破裂強度は1/2以下であった。
この結果、イオン交換膜の補強に繊維径120デニールの塩化ビニル製の平織り繊維を、またイオン交換基の導入にTMAを用いることにより、市販のイオン交換膜と同程度の電気抵抗、濃縮度を維持しながらも、破裂強度が3倍程度の高強度の陰イオン交換膜が得られることがわかった。また、100デニールの平織り繊維を、イオン交換基の導入にTMAを用いることにより、濃縮度は市販膜より多少低かったが、電気抵抗が低く、破裂強度が2倍以上の高強度陰イオン交換膜が得られた。
Claims (3)
- 繊維径75〜150デニールの塩化ビニル製平織り繊維に、陰イオン交換基を導入可能な官能基を有する重合性単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を主成分とする重合性混合物を含むペーストを付着させて膜状に成型重合する工程、および、必要に応じてクロロメチル化した後、トリメチルアミンを用いて第4級アンモニウム基を導入する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換膜の製造方法。
- 前記ペーストは、さらに、該重合性単量体および架橋性単量体と共重合可能な他の単量体、該重合性混合物に可溶な線状高分子物質、該重合性混合物に膨潤可能な微粒子状高分子物質、可塑剤、及び該重合性混合物を希釈する溶媒を含有することを特徴とする請求項1記載の陰イオン交換膜の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られた陰イオン交換膜。
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WO2012068951A1 (zh) * | 2010-11-23 | 2012-05-31 | 广东普润环保科技有限公司 | 聚苯硫醚基强碱离子交换纤维及其制备方法 |
-
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- 2004-06-07 JP JP2004168509A patent/JP2005344263A/ja active Pending
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