JPH0625444A - バイポーラ膜の製造方法 - Google Patents

バイポーラ膜の製造方法

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JPH0625444A
JPH0625444A JP4181292A JP18129292A JPH0625444A JP H0625444 A JPH0625444 A JP H0625444A JP 4181292 A JP4181292 A JP 4181292A JP 18129292 A JP18129292 A JP 18129292A JP H0625444 A JPH0625444 A JP H0625444A
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JP
Japan
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anion exchange
intermediate layer
exchange resin
film
resin layer
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JP4181292A
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English (en)
Inventor
Koichi Yamamura
晃一 山村
Yasuhide Noaki
康秀 野秋
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アニオン交換樹脂層、中間層、カチオン交換
樹脂とを有するバイポーラ膜において、疎水化されたス
ルホン酸誘導体モノマー及びまたは、そのポリマーを、
アニオン交換基導入に適したモノマーと混合後重合し
て、膜状物とした後に、交換基の導入を行なうことによ
って得られる中間層を持つことを特徴とするバイポーラ
膜の製造方法。 【効果】 本発明によって、良好な機械的強度、高電流
密度での低い電位降下、高い電流効率を示すバイポーラ
膜を工業的規模で容易に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水を分解して水素イオ
ンと水酸イオンを生成し、中性塩から酸或は塩基を製造
するために用いられるバイポーラ膜の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】バイポーラ膜に関する提案は、V.J.
Frillete(J.Phys.Chem.60,4
35(1956))の報告以来、過去30年以上にわた
って数多くなされている。例えば、アニオン交換膜とカ
チオン交換膜をイオン交換性接着材で接合したもの(特
公昭34−3961号公報)、アニオン交換膜とカチオ
ン交換膜を微粉の強塩基性のアニオン交換樹脂、あるい
は強酸性のカチオン交換樹脂と熱可塑性樹脂のペースト
性混合物を塗布し、圧着させたもの(特公昭35−14
531号公報)、カチオン交換膜に部分重合したビニル
ピリジンとエポキシ樹脂との混合物を塗布し、その硬化
中に放射線照射を行ったもの(特公昭38−16638
号公報)等がある。しかし、これらのバイポーラ膜は、
低い電流密度でありながら、膜の電位降下が大きく、工
業上魅力のないものであった。
【0003】また、単一シートの片側からアニオン透過
性もしくは、カチオン透過性を付与し、もう片側から、
その反対電荷のイオン透過性を付与したバイポーラ膜
(特公昭60−31860号公報)、イオン交換基導入
に適した官能基を有する高分子膜状物を被覆フィルムで
覆い、一体物をスルホン化処理したのち、被覆フィルム
を剥離した後に、その剥離した面にアニオン交換基を導
入したバイポーラ膜の製造方法(特公平1−14251
号公報)等、の提案がある。しかしながら、これらは、
交換基導入時の反応制御が難しく、工業規模の大きな膜
の製造が困難であったり、高い電流効率を得られないこ
とがあり、工業的に有用なものとなっていない。
【0004】一方、マトリックスポリマーとその中に分
散したイオン交換樹脂が反対の電荷をもつ界面層(中間
層)からなるバイポーラ膜(特開昭60−210638
号公報)があるが、膜の電位降下は、比較的低いが十分
ではない。さらに、四級アミン基及び非四級アミン基を
含有するマトリックスポリマー中にカチオン交換樹脂を
分散して含む界面層(中間層)からなるバイポーラ膜
(特公表平1−502673号公報、米国特許4766
161号公報)などがある。これは、低い電位降下を示
すが、アニオン層形成時のゲル化と乾燥行程の制御が難
しく製造が容易でない。ポリマーを溶媒に溶解し、流
延、乾燥して得られた膜は、塊状重合して得られたもの
にくらべ、電流効率や機械的強度が劣る等の欠点があっ
た。
【0005】さらに、バイポーラ膜の高い電気抵抗を下
げる目的で、無機物を利用したものがある。アニオン交
換膜、もしくは、カチオン交換膜を酸化状態の陽イオン
水溶液に浸漬し、アルカリ性水溶液で処理後二枚の膜を
加温加圧して接合したバイポーラ膜(特公表平3−50
5894号公報)、重金属イオンを膜内に存在させたア
ニオン交換膜の表面にカチオン交換基のポリマーの皮膜
を形成したバイポーラ膜(特開平4−63292号公
報)等がある。これらの無機物を利用した膜は、アニオ
ン交換膜とカチオン交換膜との接合体構造で中間層構造
を持たず、無機物を導入した効果は有るものの、バイポ
ーラ膜の電位降下は、十分に低いものが得られないとい
う欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な機械的強度、高電流密度での低電位降下、高電流効率
を示すバイポーラ膜を工業的規模で容易に製造すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
を解決するために鋭意検討を重ね良好な機械的強度、高
電流密度での低電位降下、高電流効率を示すバイポーラ
膜を工業的規模で容易に製造する方法を確立した。即
ち、本発明は、アニオン交換樹脂層、中間層、カチオン
交換樹脂とを有するバイポーラ膜の製造方法において、
該中間層が、 a)スルホン酸基またはスルホン酸塩が次の疎水化物に
よって疎水化されたスルホン酸誘導体モノマー及びまた
は、そのポリマーと、 (Cn 2n+1m −NH(4-m) −Z [但し、n=3〜10、m=1〜3であり、Zはアニオ
ンを示す。] b)アニオン交換基導入に適したモノマー及び架橋剤を
含むモノマーとを、混合の後重合して膜状物とし、 c)該膜状物中の疎水化されたスルホン酸基またはスル
ホン酸塩を親水性のスルホン酸基または、スルホン酸塩
に変換し、かつ、アニオン交換基を導入したことを特徴
とするバイポーラ膜の製造方法、に関するものである。
【0008】中間層とは、図1に示すように、アニオン
交換樹脂層とカチオン交換樹脂層の中間に位置する層の
ことである。また、図2に示すように、アニオン交換樹
脂層内のカチオン交換樹脂層に接する側に、中間層を形
成してもよい。即ち、疎水化したスルホン酸基またはス
ルホン酸塩を親水性のスルホン酸基または、スルホン酸
塩に変換する部位とアニオン交換樹脂層の一部を混合し
て、中間層としてもよい。
【0009】図1、図2、に示すようなバイポーラ膜の
厚みとしては、数μm〜数mm程度である。本発明は、
水解離の場である中間層(反対の電荷をもったイオン交
換基の混合系で形成される)の形成に際し、親水性のイ
オン交換基を疎水化し他の疎水性モノマーと混合して中
間層を形成し、かつ、この中間層をアニオン交換樹脂層
やカチオン交換樹脂層と独立に設計、形成できることに
基づくものであって、目的の、高い電流密度で低い電位
降下、高電流効率、良好な機械的強度を示すバイポーラ
膜の製造方法、および、バイポーラ膜を工業的規模で容
易に製造する方法を提供するものである。このような製
造方法で形成した中間層をもつバイポーラ膜は、おどろ
いたことに、高い電流密度でも低い電位降下を示し、し
かも、電位が安定している。この理由は明かではない
が、親水性のイオン交換基を疎水化し、反対の電荷にな
るイオン交換基の前駆体と混合することにより、水解離
が起き易い中間層を形成していると考えられる。
【0010】また、本発明では、スルホン酸基またはス
ルホン酸塩が疎水化物によって疎水化されたスルホン酸
誘導体モノマーと他の疎水性モノマーを共重合して、カ
チオン交換樹脂層を形成できるので、危険性の大きなス
ルホン化の製造工程が含まれない。従って、工業規模の
バイポーラ膜を製造するのに非常に有益である。ここで
言う疎水化物とは、 (Cn 2n+1m −NH(4-m) −Z [但し、n=3〜10、m=1〜3であり、Zはアニオ
ンを示す。] であらわされる化合物で公知のアミン塩酸塩等が例えば
用いられる。
【0011】ここで、n=3〜10であるが、n数が3
より低いと他の疎水性モノマーと十分に混合せず、均質
な膜状物が得られない。一方、nが10より大きくなる
と、疎水化されたスルホン酸基またはスルホン酸塩を親
水性のスルホン酸基または、スルホン酸塩に変換しにく
くなる。また、疎水化物を取り除いた膜状物の構造がポ
ーラスになり、膜の寸法変化が大きくなって好ましくな
い。
【0012】m=1〜3であるが、mが大きくなるにつ
れて、分岐の多いアミンとなり、共重合する他の疎水性
モノマーと混合性がよくなる。この疎水性モノマーとの
溶解性の面から、炭素数(nとmの積)は8〜30が好
ましい。上記のようにこれらのm、nは共重合する他の
疎水性モノマーとの混合状態を変化せしめ、膜状物の構
造に影響し、上記のようなm、nの範囲が望ましい。
【0013】ここで用いられる公知のアミンとしては、
n−オクチルアミン、ジn−オクチルアミン、トリn−
ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、トリn−ヘキ
シルアミン、トリn−オクチルアミンなどから適宜選択
できる。ここでいうスルホン酸誘導体とは、ビニルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸、パーフルオロスルホン酸
及びこれらのスルホン酸塩等のスルホン酸基またはスル
ホン酸塩を、疎水化物によって疎水化したものであり、
モノマーおよびポリマーのいずれであってもよい。
【0014】アニオン交換基導入に適したモノマーとし
ては、ベンジルハライド、ビニルピリジン、ビニルイミ
ダゾール等であり、これらは、アミン基を有するイオン
交換基を導入することが可能なモノマーである。架橋剤
としては、m−、p−、o−、ジビニルベンゼン、ジビ
ニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、トリビニル
ベンゼン類、ジビニルナフタリン、トリビニルナフタリ
ン等のポリビニル化合物が上げられる。また、その他の
架橋剤として、ポリアミン架橋も利用できる。ポリアミ
ン架橋剤として公知のジアミンもしくは、ポリアミンが
使用できる。ここでいうポリアミン架橋剤としては、公
知のN,N−ジメチルプロパンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミンなどであ
る。
【0015】中間層に含まれるカチオン交換基の交換容
量は、0.3〜2.0meq/gが好ましい。カチオン
交換容量が低すぎると電気抵抗が高くなり、不適切であ
る。一方、カチオン交換基の交換容量は特に大きくする
必要はない。また、カチオン交換基の交換容量の最大値
は、中間層を構成する他のモノマーの量によっても制限
される。
【0016】中間層に含まれるアニオン交換基の交換容
量は、2.0〜4.0meq/gが好ましい。カチオン
交換基と同様に、アニオン交換容量が低すぎると電気抵
抗が高くなり、不適切である。一方、アニオン交換基の
交換容量は大きいほうが好ましいが、アニオン交換基の
交換容量の最大値は、中間層を構成する他のモノマーの
量によって制限される。
【0017】中間層における疎水化されたスルホン酸基
又はスルホン酸塩を親水性のスルホン酸基または、スル
ホン酸塩に変換する方法は、たとえば、アルカリによる
加水分解がある。膜状物を例えば0.05N〜5NNa
OH水溶液に40℃で20時間浸漬することによって行
われる。また、アセトンとNaOHとの混合溶液では加
水分解が容易になる。また、中間層におけるアニオン交
換基の導入は、ベンジルハライドならば、公知のアミン
類と反応させることで、ピリジン系、イミダゾール系な
らば、公知のハロゲン化アルキルと反応させることでで
容易に行える。このとき、アニオン交換基のアミン架橋
を行うことも好ましい。また、中間層には、必要に応じ
て、弾性アップ、増粘性アップ、密着度アップのため
に、可塑剤や線形高分子を含有しても構わない。
【0018】本発明のバイポーラ膜のアニオン交換樹脂
層及びカチオン交換樹脂層を中間層に接合する方法とし
ては、まず、中間層の膜状物となる芯材及びモノマー等
の片側に、アニオン交換基導入に適したモノマーを、も
う片側にカチオン交換基導入に適したモノマーを膜状に
流延して重合し一体型の膜状物を得る。その後、片側
に、アニオン交換基、もう一方にカチオン交換基を導入
して、アニオン交換樹脂層、中間層、カチオン交換樹脂
層が相互に接合したものが得られる。さらには、中間層
の膜状物を重合後、片側に、アニオン交換基導入に適し
たモノマーをもう片側にカチオン交換基導入に適したモ
ノマーを膜状に流延して重合し一体型の膜状物を得る。
その後、片側に、アニオン交換基、もう一方にカチオン
交換基を導入して、アニオン交換樹脂層、中間層、カチ
オン交換樹脂層を相互に接合することができる。さらに
は、アニオン交換基導入に適したモノマーを膜状に流延
して重合し、その上に、中間層の交換基導入に適したモ
ノマーを膜状に流延して膜状物を重合により形成し、そ
の上に、カチオン交換基導入に適したモノマーを膜状に
流延して重合し三層構造の一体型の膜状物を得る。その
後、片側に、アニオン交換基、もう一方にカチオン交換
基を導入すると同時に、中間層にアニオン交換基とカチ
オン交換基を導入して、一体型のバイポーラ膜を得ても
よい。また、一体型の膜状物を形成する順序は、前記と
逆にして、カチオン交換樹脂層、中間層、アニオン交換
樹脂層の順に重合積層を繰り返し、最後にイオン交換基
を導入してもよい。アニオン交換樹脂層、カチオン交換
樹脂層は、膜の寸法安定性や機械的強度アップ、さらに
は、電流効率アップの目的で架橋された構造であること
が好ましい。
【0019】ここで言う、アニオン交換基導入に適した
モノマーとしては、ベンジルハライド、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール等である。一方、カチオン交換
基導入に適したモノマーとは、本発明の中間層のカチオ
ン交換基導入に用いたスルホン酸誘導体を疎水化したも
のが用いられる。また、高い電流効率を得る為にアニオ
ン交換樹脂層およびカチオン交換樹脂層は、重合時に架
橋剤を入れる方が好ましい。
【0020】架橋剤としては、m−、p−、o−、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロ
プレン、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタリン、
トリビニルナフタリン等のポリビニル化合物が上げられ
る。また、その他の架橋剤として、ポリアミン架橋も利
用できる。ポリアミン架橋剤として公知のジアミンもし
くは、ポリアミンが使用できる。ここでいうポリアミン
架橋剤としては、N,N−ジメチルプロパンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミンな
どである。
【0021】さらに、必要に応じて、これらアニオン交
換樹脂層やカチオン交換樹脂層の弾性をアップする目的
や、モノマー流延時の増粘性アップや中間層との密着性
アップの為に、公知の可塑剤、線状高分子等を含有させ
てもよい。一方、中間層形成後のアニオン交換樹脂層や
カチオン交換層樹脂の形成は、中間層の片面にアニオン
交換層はアニオン交換膜をアニオン交換性接着材で、カ
チオン交換層はカチオン交換性接着材で、カチオン交換
膜を接着もしくは、加熱加圧融着しても良い。また、ア
ニオン交換基もしくはその前駆体を含む樹脂とカチオン
交換基もしくはその前駆体を含む樹脂を溶媒に溶解し、
中間層表面に塗布後乾燥し、前駆体を含む場合は、イオ
ン交換基を導入してバイポーラ膜を得ることができる。
【0022】機械的強度をよくする為の補強布として
は、ポリ塩化ビニルやポリプロピレンなどの織布が用い
られる。その他、補強材として、網、布、ファイバー、
イオン交換繊維、微多孔膜などを用いても良い。従来技
術(特開昭60−210638号公報)のマトリックス
ポリマーとイオン交換樹脂が反対電荷をもつ界面層を単
に有するものでは、低電圧降下のバイポーラ膜が得られ
ない。例えば1μm以下の粒径の微細な非架橋ポリマー
であるスチレンスルホン酸樹脂を、四級化した非架橋ビ
ニルベンジルクロリドのマトリックスポリマー中に単に
分散したものは、膜の電位降下が経時上昇したり、高か
ったりする。つまり単に線状のカチオン交換樹脂粉末を
マトリックスポリマー中に分散しただけでは、電圧の経
時上昇は避けられない。これは、反対電荷のイオン交換
基同士が、ポリイオンコンプレックスを形成し、膜内の
界面層で高抵抗層を形成しているからと考えられる。こ
の従来技術の実施例では、ビニルベンジルクロライド−
スチレンコポリマーをジアミンもしくはポリアミンで架
橋し、かつ、エマルジョン重合で得られる架橋型の交換
樹脂の微粒子で中間層を形成し、比較的低い電位降下の
性能を得ているが、しかしながら、十分な膜の電位降下
とは言えない。以上のような中間層(水解離の場)での
反対電荷をもつイオン交換基同士の密接度、交換基密
度、架橋等によってバイポーラ膜の電気抵抗は大きく影
響され、その構造設計が低電位降下のバイポーラ膜を得
るキーポイントになる。
【0023】非常に分子量の高いカチオン交換樹脂や架
橋型のカチオン交換樹脂の微粒子をマトリックスポリマ
ー中に分散させ、比較的低い電位降下の膜を得ている。
しかしながら、これらは、非常に製造に手間がかかり、
工業規模の膜の生産が容易でない。本発明は、スルホン
酸基またはスルホン酸塩が疎水化物によって疎水化され
たスルホン酸誘導体スルホン酸誘導体を、アニオン交換
基導入に適したモノマー及び架橋剤を含むモノマーと共
重合することで、おどろいたことに、膜の電位降下も低
く、経時上昇しないことに基づくものである。また、本
発明の中間層は、イオン交換基を有するマトリックスポ
リマー中にそれとは反対の電荷を有するイオン交換樹脂
の微粒子(エマルジョン重合で得られる)を単に分散し
たものとは構造が異なることは明かである。この新規な
水解離の場の中間層こそが本発明が解決する高電流密度
での低電位降下を実現する。
【0024】以上のように、本発明者らは、鋭意検討の
結果、本発明の第一の特徴である高電流密度で低電位降
下を示すバイポーラ膜を得て、本発明を完成するに至っ
た。本発明の第二の特徴は、低電位降下に有効な水解離
の場の中間層をアニオン交換層やカチオン交換層と別々
に設計、製造できる為、その他の機能性付与が容易なこ
とである。高い電流効率を実現するため、必要に応じ
て、アニオン交換樹脂層及びカチオン交換樹脂層を三次
元架橋構造のものやイオンクラスタ構造のものを用いて
もよい。また、本発明のバイポーラ膜を構成する各層に
は、機械的強度をよくする為に補強布を入れることが容
易である。
【0025】本発明の第三の特徴は、上記の特徴の故、
工業規模に用いられる大きなサイズのバイポーラ膜製造
が容易である。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は、この実施例によって何等限定される
ものではない。なお、実施例のバイポーラ膜の性能は、
以下のように測定した。即ち、ニッケル板を陰極に、綱
鉛板を陽極として、カチオン交換膜、バイポーラ膜、ア
ニオン交換膜で4室に仕切る。1N・Na2 SO4を5
0ml、1〜4室にそれぞれ入れて、電気透析を1時間
行う。このとき、電流密度100mA/cm2 における
膜の電位降下を、ルギン管を用いて、比較電極に接続し
た電圧記録計で読む。また、バイポーラ膜の水素イオン
および水酸イオンの輸率は、酸塩基滴定で求めた。透析
面積は、8cm2 である。
【0027】
【実施例1】スチレン4.60部、ジビニルベンゼン
(純度56%)17.86部、ビニルベンジルクロライ
ド38.15部、トリn−オクチルアミン塩酸塩で疎水
化したポリスチレンスルホン酸ナトリウム(分子量50
万、カチオン交換容量4.8meq/g)53.69
部、ポリ塩化ビニル樹脂2部、ニトリルブタジエンゴム
2部、フタル酸ジメチル2部、及び重合開始剤アゾビス
イソブチロニトリル0.25部と混合し、ポリ塩化ビニ
ル織布に含浸し、ポリエステルフィルムで覆って60℃
で24時間塊状重合し、膜状物Aを得た。この膜状物A
を、1モルのNaOHの10%アセトン水溶液中40℃
で20時間アルカリ加水分解反応を行い、ひき続いて、
アセトンを含むトリメチルアミン水溶液で四級化して中
間層を得た。これに、スチレン系アニオン交換膜(旭化
成工業株式会社製のアシプレックスA:商標)とカチオ
ン交換膜(アシプレックスK:商標)をそれぞれ20%
のポリスチレンスルホン酸溶液と四級化ポリビニルピリ
ジン溶液接着剤で接着してバイポーラ膜を得た。この膜
に100mA/cm2 の電流密度で電流を流した結果、
膜の電位降下は、1.1Vであった。このとき、バイポ
ーラ膜の水素イオンおよび水酸イオンの輸率は99%で
あった。
【0028】
【実施例2】スチレン4.60部、ジビニルベンゼン
(純度56%)17.86部、ビニルベンジルクロライ
ド38.15部、トリn−オクチルアミン塩酸塩で疎水
化したポリスチレンスルホン酸ナトリウム53.69
部、ポリ塩化ビニル樹脂2部、ニトリルブタジエンゴム
2部、フタル酸ジメチル2部、および重合開始剤アゾビ
スイソブチロニトリル0.25部と混合し、ポリ塩化ビ
ニル織布に含浸し、ポリエステルフィルムで覆って60
℃で24時間塊状重合し、膜状物Aを得た。
【0029】つぎに、スチレン3.63部、ジビニルベ
ンゼン(純度56%)17.86部、ビニルベンジルク
ロライド45.78部、ポリ塩化ビニル樹脂10部、ニ
トリルブタジエンゴム5部、フタル酸ジメチル10部、
および重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル0.2部
と混合し、ポリ塩化ビニル織布に十分に含浸し、膜状物
Aをその上に気泡が入らぬようにのせた。さらに、この
膜状物Aの上に、ポリ塩化ビニル織布を乗せた後、スチ
レン46.52部、ジビニルベンゼン(純度56%)1
7.86部、トリn−オクチルアミン塩酸塩で疎水化し
たスチレンスルホン酸ナトリウム53.69部、ポリ塩
化ビニル樹脂10部、ニトリルブタジエンゴム5部、フ
タル酸ジメチル10部、及び重合開始剤アゾビスイソブ
チロニトリル0.3部と混合したモノマーを十分にこの
織布に含浸し、ポリエステルフィルムで覆って60℃で
24時間塊状重合して一体型の三層構造の膜状物を得
た。さらにこれを、1モルのNaOHの10%アセトン
水溶液中40℃で20時間アルカリ加水分解反応を行
い、ひき続いて、アセトンを含むトリメチルアミン水溶
液で四級化してバイポーラ膜を得た。この膜に100m
A/cm2 の電流密度で電流を流した結果、膜の電位降
下は、1.2Vであった。このとき、バイポーラ膜の水
素イオンおよび水酸イオンの輸率は99%であった。
【0030】
【発明の効果】本発明のバイポーラ膜は、新規な構造の
水解離の場である中間層を特徴とし、しかも、この中間
層をアニオン交換層やカチオン交換層と個々に設計でき
るため、高電流密度で低い電位降下を示すと同時に高い
電流効率を得ることができる。つぎに、膜の機械的強度
アップの為の中間層、アニオン交換樹脂層やカチオン交
換樹脂層への補強布の導入などが容易であり、また、最
適な樹脂の選択といったその他の機能性付与が膜の透析
性能にほとんど影響を与えずに実現できる。さらに、工
業規模の膜を容易に製造できるという優れた複数の利点
がある。
【図面の簡単な説明】
本発明のバイポーラ膜の構成の概略を図1、図2に示す
が、本図は概念的なものであって、本発明がその寸法に
限定されるものではない。
【図1】アニオン交換樹脂層とカチオン交換樹脂層の間
に位置する中間層。
【図2】アニオン交換樹脂層内のカチオン交換樹脂層に
接する側に位置する中間層。
【符号の説明】
1 アニオン交換樹脂層 2 中間層 3 カチオン交換樹脂層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン交換樹脂層、中間層、カチオン
    交換樹脂とを有するバイポーラ膜の製造方法において、
    該中間層が、 a)スルホン酸基またはスルホン酸塩が次式の疎水化物
    によって疎水化されたスルホン酸誘導体モノマー及びま
    たは、そのポリマーと、 (Cn 2n+1m −NH(4-m) −Z [但し、n=3〜10、m=1〜3であり、Zはアニオ
    ンを示す。] b)アニオン交換基導入に適したモノマー及び架橋剤を
    含むモノマーとを、混合の後重合して膜状物とし、 c)該膜状物中の疎水化されたスルホン酸基またはスル
    ホン酸塩を親水性のスルホン酸基または、スルホン酸塩
    に変換し、かつ、アニオン交換基を導入したことを特徴
    とするバイポーラ膜の製造方法。
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