JPH08197060A - 脱イオン水製造方法 - Google Patents

脱イオン水製造方法

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JPH08197060A
JPH08197060A JP755895A JP755895A JPH08197060A JP H08197060 A JPH08197060 A JP H08197060A JP 755895 A JP755895 A JP 755895A JP 755895 A JP755895 A JP 755895A JP H08197060 A JPH08197060 A JP H08197060A
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membrane
exchange membrane
ion
deionized water
film
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Ichiro Terada
一郎 寺田
Sei Saito
生 斉藤
Haruhisa Miyake
晴久 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高純度の脱イオン水を、長期間にわたり安定し
て製造する。 【構成】電気透析装置の脱塩室にイオン交換体を充填し
てなる脱イオン水製造装置において、陽イオン交換膜の
陽極側表面または陰イオン交換膜の陰極側表面の少なく
とも一方の表面が凹凸構造を有しており、凸部分の頂点
間の平均距離が1〜1000μm、凸部分の頂点と凹部
分の底点間の平均高低差が0.2〜200μmである膜
を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気透析により脱イオ
ン水を製造する方法に関するものであり、さらに詳しく
は、イオン交換体とイオン交換膜を組み合せて脱イオン
水を製造する自己再生型電気透析脱イオン水製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】脱イオン水の製造方法としては、イオン
交換樹脂の充填床に被処理水を流し、不純物イオンをイ
オン交換樹脂に吸着させて除去し脱イオン水を得る方法
が一般的である。ここで吸着能力の低下したイオン交換
樹脂は、酸やアルカリを用いて再生する方法が採用され
ている。しかしながら、この方法においては再生に使用
した酸やアルカリの廃液が排出される問題があり、その
ため再生の必要のない脱イオン水製造方法が望まれてい
る。
【0003】このような観点から、近年イオン交換樹脂
とイオン交換膜を組み合せた自己再生型電気透析脱イオ
ン水製造方法が注目されている。この方法は、陰イオン
交換膜と陽イオン交換膜とを交互に配置した電気透析装
置の脱塩室に陰イオン交換体と陽イオン交換体の混合物
を入れ、この脱塩室に被処理水を流しながら電圧を印加
して電気透析を行うことにより脱イオン水を製造する方
法である。
【0004】この方法に関して、脱塩室の幅と厚さを限
定する方法(特開昭61−107906号公報)、脱塩
室に充填するイオン交換樹脂の径を均一にしたものを使
用する方法(特開平3−207487号公報)、被処理
水が最初に通過する部分に充填するイオン交換樹脂をア
ニオン交換樹脂にする方法(特開平4−71624号公
報)、脱塩室に充填するイオン交換体をイオン交換樹脂
とイオン交換繊維の混合物とする方法(特開平5−27
7344号公報)などが検討されている。
【0005】しかし、脱塩室にイオン交換樹脂を充填す
る場合にはイオン交換樹脂とイオン交換膜の接触面積が
小さいことや比較的薄い間隙に球状のイオン交換樹脂を
充填するため壁面効果が大きくなりイオン交換樹脂の充
填密度があがらないこと、膜とイオン交換樹脂の界面付
近での水のショートパスが生じやすいこと、膜近傍のイ
オン交換樹脂が動きやすいため同じ荷電のイオン交換樹
脂が凝集したり位置変動する際に樹脂が破砕したりする
こと等のため効率的な脱塩と再生が行われず、得られる
水の純度の安定性に問題があった。また脱塩室にイオン
交換繊維やフェルト状イオン交換体を充填する場合に
も、同様の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン交換
体とイオン交換膜を組み合せた自己再生型電気透析脱イ
オン水製造方法において、イオン交換樹脂の充填に関す
る問題点を解決し、安定して高純度の脱イオン水を製造
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、陰極と陽極の
間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配列さ
せた電気透析装置の脱塩室にイオン交換体を充填してな
る脱イオン水製造装置において、陽イオン交換膜の陽極
側表面または陰イオン交換膜の陰極側表面の少なくとも
一方の表面が凹凸構造を有しており、イオン交換膜を膜
面に垂直な平面で切断した場合における、断面の凸部分
の頂点間の平均距離が1〜1000μm、断面の凸部分
の頂点と凹部分の底点間の平均高低差が0.2〜200
μmである膜を使用する脱イオン水製造方法を提供する
ものである。
【0008】本発明では、陽イオン交換膜の陽極側表面
または陰イオン交換膜の陰極側表面のうち少なくとも一
方が凹凸構造を有した膜を、脱イオン水製造装置に使用
することが特徴である。この膜を使用することにより脱
塩室に充填するイオン交換体と膜との接触面積が増大
し、さらにイオン交換体の充填密度を低下させる壁面効
果が低減されるため、イオン交換体の充填状態が改善さ
れて、安定した純度の処理水が得られる。
【0009】イオン交換膜の凹凸構造は、イオン交換膜
を膜面に垂直な平面で切断した場合における、断面の凸
部分の頂点間の平均距離(以下、平均頂点間距離とい
う)が1〜1000μmであることが必要である。平均
頂点間距離が20〜500μmである場合はさらに好ま
しく、特には50〜400μmが好ましい。上記断面の
凸部分の頂点と凹部分の底点間の平均高低差(以下、平
均高低差という)は、0.2〜200μmであることが
必要である。平均高低差が5〜150μmである場合は
さらに好ましく、特には10〜100μmが好ましい。
【0010】脱塩室に充填するためのイオン交換体の粒
径または線径は、液の流通抵抗の観点や入手の容易さな
どのため、イオン交換樹脂粒子の場合、粒径で300〜
1500μm、イオン交換繊維またはフェルト状布の場
合、線径で20〜200μmであることが好ましい。こ
のため、平均頂点間距離が1μmより小さいかあるいは
平均高低差が0.2μmより小さい場合、イオン交換体
と膜の接触面積が効果的に増大せず、イオン交換体の充
填密度改善の効果も小さいため不適当である。平均頂点
間距離が1000μmを超える場合も、イオン交換体と
膜の接触面積が効果的に増大しないので不適当である。
平均高低差が200μm以上の場合には、膜強度を保持
するために膜厚を大きくする必要があり、膜抵抗が上昇
するので不適当である。
【0011】平均頂点間距離が20〜500μmあるい
は平均高低差が5〜150μmである場合は、接触面積
増大と充填密度改善の効果が顕著になる。平均頂点間距
離が50〜400μmあるいは平均高低差が10〜10
0μmである場合は、さらにイオン交換体と膜が密着す
るため膜とイオン交換体の界面付近の水のショートパス
がなくなり、また膜近傍のイオン交換体が不動化するた
め、同じ荷電のイオン交換体の凝集やイオン交換体が位
置変動する際の破砕が防げるので好ましい。
【0012】表面に凹凸構造を有するイオン交換膜を調
製する方法としては、膜をブラスト処理する方法、膜と
凹凸構造を持つフィルムや金属型を加熱プレスする方
法、膜と固体粒子を加熱プレスした後粒子を除去する方
法、重合膜調製の際に凹凸構造を持つフィルムや金属型
を用いる方法、凹凸構造を持つフィルム上に第1のイオ
ン交換層を製膜しその上に第2のイオン交換層を形成す
る方法、凹凸構造を持つフィルム上に第1のイオン交換
層を製膜し第2のイオン交換層と積層する方法などが挙
げられる。膜調製の際に凹凸構造を持つフィルムを使用
する方法は比較的簡便で、処理による不純物混入がない
ため安定した性能の膜が得られるため好ましい方法であ
る。上記凹凸構造を持つフィルムとしては成形加工性お
よび耐薬品性の観点からポリエチレン、ポリプロピレン
が好ましく用いられる。
【0013】陰イオン交換膜としては、スチレン/ジビ
ニルベンゼン共重合体のクロロメチル化反応後4級アミ
ノ化物、クロロメチルスチレン/ジビニルベンゼン共重
合体の4級アミノ化物、4−ビニルピリジン/ジビニル
ベンゼン共重合体およびその4級ピリジニウム化物、2
−ビニルピリジン/ジビニルベンゼン重合体およびその
4級ピリジニウム化物、ポリジメチルアミノエチルアク
リレート/ジビニルベンゼン共重合体およびその4級ア
ミノ化物、1−ビニルイミダゾール/ジビニルベンゼン
重合体およびその4級アミノ化物、2−ビニルピラジン
/ジビニルベンゼン重合体およびその4級化物、4−ブ
テニルピリジン/ジビニルベンゼン重合体およびその4
級化物、N,N−ジメチルアクリルアミド/ジビニルベ
ンゼン重合体およびその4級化物、N,N−ジメチルア
ミノプロピルアクリルアミド/ジビニルベンゼン重合体
およびその4級化物等を含有する膜が挙げられる。スチ
レンまたはその誘導体の重合体を母体とし、4級アンモ
ニウム塩基またはピリジニウム塩基を有するものは、耐
薬品性、電気抵抗、膜強度等の観点から好ましい材料で
ある。
【0014】この陰イオン交換膜は均質膜でもよいが、
脱塩室側の表面に弱塩基型の陰イオン交換基を存在させ
ると水の解離が促進され、イオン交換体の再生が効率的
となるので更に好ましい。弱塩基型の陰イオン交換基を
表面に含有する膜を調製する方法としては、強塩基型陰
イオン交換膜に弱塩基型ポリマー溶液を吸着させる方
法、キャスト積層する方法、強塩基型陰イオン交換膜に
弱塩基型ポリマー膜を加熱積層する方法、強塩基型陰イ
オン交換膜に弱塩基型ポリマー膜を接着液を使用して積
層する方法、ハロゲン化アルキル基を有する重合体架橋
膜に1級または2級アミンを反応させることにより弱塩
基を導入した後で3級アミンを反応させ残りのハロゲン
化アルキル基を強塩基型陰イオン交換基とする方法、弱
塩基を有する重合体架橋膜にハロゲン化アルキルを反応
させることにより強塩基型の陰イオン交換基を一部導入
する方法などが挙げられる。
【0015】このうち、ハロゲン化アルキル基を有する
重合体膜に1級または2級アミンを反応させることによ
り弱塩基型の陰イオン交換基を一部導入した後で3級ア
ミンを反応させ残りのハロゲン化アルキル基を強塩基型
陰イオン交換基とする方法、および、弱塩基を有する重
合体膜にハロゲン化アルキルを反応させることにより強
塩基型の陰イオン交換基を一部導入する方法は、弱塩基
層と強塩基層が一体となり、ポリマーの溶出や剥離がな
く、高純度の水が安定して得られるので好ましい方法で
ある。
【0016】ハロゲン化アルキル基を有する重合体架橋
膜に1級または2級アミンを反応させることにより弱塩
基を導入した後、3級アミンを反応させ、残りのハロゲ
ン化アルキル基を強塩基型陰イオン交換基とする方法で
は、ハロゲン化アルキル基を有する重合体架橋膜とし
て、クロロメチルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体
含有膜が主に使用され、弱塩基を導入するためのアミン
として、メチルアミンやジメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン等の1級および2級アルキルモノア
ミン、エチレンジアミンやジエチレントリアミン、テト
ラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等の弱塩基
ポリアミン、ピペリジンやピロリジン、ピペラジン等の
環状弱塩基アミンが使用できる。
【0017】また強塩基を導入するためのアミンとし
て、トリメチルアミンやトリエチルアミンなどのトリア
ルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−
1,2−ジアミノエタンやN,N,N’,N’−テトラ
メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,
N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの
3級ジアミン、N−メチルピペリジンやN−メチルピロ
リジン、N−メチルピロール、1,4−ジメチルピペラ
ジン、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタ
ン、ヘキサメチレンテトラミン、1,3,5−トリエチ
ルヘキサヒドロトリアジンなどの3級環状アミンが使用
できる。重合体架橋膜のアミンとの反応方法は、アミン
を蒸気で反応させてもよいし、メタノール等の溶媒にア
ミン溶解させ、重合体架橋膜をそのアミン溶液に浸漬し
てもよい。
【0018】弱塩基を有する重合体架橋膜にハロゲン化
アルキルを反応させることにより強塩基型の陰イオン交
換基を一部導入する方法では、弱塩基を有する重合体架
橋膜として、4−ビニルピリジン/ジビニルベンゼン重
合体、2−ビニルピリジン/ジビニルベンゼン重合体、
1−ビニルイミダゾール/ジビニルベンゼン重合体等を
含有する膜が使用され、強塩基を導入するためのハロゲ
ン化アルキルとしては、塩化メチルやヨウ化メチル等の
モノハロゲン化アルキルや1,2−ジブロモメタンやジ
クロロ−p−キシレン等のジハロゲン化物が使用でき
る。
【0019】次に陽イオン交換膜としては、スチレン/
ジビニルベンゼン共重合体のスルホン化物やポリスチレ
ンスルホン酸およびその塩、ポリビニルスルホン酸およ
びその塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸およびその塩、ポリアクリル酸およびそ
の塩、ポリメタクリル酸およびその塩等を含有する膜が
挙げられ、スチレンまたはその誘導体の重合体を母体と
し、スルホン酸またはスルホン酸塩基を有するものは、
耐薬品性、電気抵抗、膜強度等の観点から好ましい材料
である。
【0020】この陽イオン交換膜は均質膜でもよいが、
脱塩室側の表面に弱酸型の陽イオン交換基を存在させる
と水の解離が促進され、イオン交換体の再生が効率的と
なるので更に好ましい。弱酸型の陽イオン交換基を表面
に含有する膜を調製する方法としては、強酸型陽イオン
交換膜に弱酸型ポリマーまたは弱酸型前駆体ポリマー溶
液を吸着させる方法やキャスト積層する方法、強酸型陽
イオン交換膜に弱酸型ポリマーまたは弱酸型前駆体ポリ
マー膜を加熱積層する方法、強酸型陽イオン交換膜に弱
酸型ポリマーまたは弱酸型前駆体ポリマー膜を接着液を
使用して積層する方法等が使用できる。
【0021】脱塩室側の表面に弱酸型の陽イオン交換基
を存在させる膜では、ベースとなる強酸型陽イオン交換
膜として、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体のスル
ホン化物含有膜が主に使用され、弱酸型ポリマーまたは
弱酸型前駆体ポリマー膜として、ポリアクリル酸および
その塩やポリアルキルアクリレート、ポリヒドロキシエ
チルアクリレート等のアクリル系ポリマー含有膜やポリ
メタクリル酸およびその塩、ポリアルキルメタクリレー
ト等のメタクリル系ポリマー含有膜、ポリアクリロニト
リル含有膜等が使用できる。弱酸型ポリマーが前駆体で
ある場合には積層後、加水分解処理により弱酸型イオン
交換基に変換させる。
【0022】
【作用】本発明において、陽イオン交換膜の陽極側表面
と陰イオン交換膜の陰極側表面のうち少なくともどちら
かが凹凸構造を有した膜を脱イオン水製造装置に使用す
ることにより、脱塩室に充填するイオン交換体と膜との
接触面積が増大し、イオン交換体の充填密度を低下させ
る壁面効果が低減されるため充填状態が改善され、更に
イオン交換体と膜がフィットするため膜とイオン交換体
の界面付近の水のショートパスがなくなり、また膜近傍
のイオン交換体が不動化するため、同じ荷電のイオン交
換体の凝集やイオン交換体が位置変動する際の破砕が防
げるので安定した純度の処理水が得られるものと考えら
れる。
【0023】
【実施例】
実施例1 クロロメチルスチレン800gとジビニルベンゼン20
0gにニトリルゴム50gを撹拌溶解し、さらに重合開
始剤としてベンゾイルパーオキサイドを添加溶解したモ
ノマーシロップ溶液を塩化ビニルの織布に含浸し、片側
をビニロンフィルムで、もう一方を凹凸構造を持つポリ
エチレンフィルムではさみ重合させた。ポリエチレンフ
ィルムの凹凸は、凸部分の頂点間の平均距離で約300
μm、凸部分の頂点と凹部分の底点間の高低差で約50
μmであった。ついで1Mジメチルアミンのメタノール
溶液に30℃で10秒間浸漬した後水洗し、1Mトリメ
チルアミンのメタノール溶液に60℃で16時間浸漬し
た。この結果、表面に弱塩基型陰イオン交換基を、内部
に強塩基型陰イオン交換基を持つ、凸部分厚さ200μ
m、凹部分厚さ150μmの陰イオン交換膜を得た。こ
の陰イオン交換膜の平均頂点間距離は約300μm、平
均高低差は約50μmであった。この陰イオン交換膜の
総イオン交換容量は2.0ミリ当量/gであった。
【0024】この陰イオン交換膜と、陽イオン交換膜
(旭硝子株式会社製、商品名セレミオンCMT)を使用
し陰イオン交換膜の凹凸表面が脱塩室側になるようにセ
ットし、脱塩室にH型強酸性カチオン交換樹脂とOH型
強塩基性アニオン交換樹脂を40/60(重量比)の割
合で混合したものを入れた電気透析槽(有効膜面積50
0cm2 ×5対)からなる脱イオン装置を組み立てた。
原水として電導度5μS/cmの水を用い、ユニットセ
ル当り4Vの電圧を印加して脱塩を行ったところ、電導
度0.09μS/cmの処理水が得られた。
【0025】実施例2 スチレン720gとジビニルベンゼン200gにニトリ
ルゴム80gを撹拌溶解し、更に重合開始剤としてベン
ゾイルパーオキサイドを添加溶解したモノマーシロップ
溶液を塩化ビニルの織布に含浸し、片側をビニロンフィ
ルムで、もう一方を凹凸構造を持つポリプロピレンフィ
ルムではさみ重合させた。ポリプロピレンフィルムの凹
凸は、平均頂点間距離で約250μm、平均高低差で約
40μmであった。ついで98重量%硫酸に60℃で1
6時間浸漬した後水洗し、凸部分厚さ200μm、凹部
分厚さ160μmの陽イオン交換膜を得た。得られた膜
の総イオン交換容量は2.2ミリ当量/gであった。
【0026】この凹凸構造を持つ陽イオン交換膜と、実
施例1で得られた表面に凹凸構造を持つ陰イオン交換膜
を使用し、陰陽のイオン交換膜の凹凸表面がそれぞれ脱
塩室側になるようにセットし、脱塩室にH型強酸性カチ
オン交換樹脂とOH型強塩基性アニオン交換樹脂を40
/60(重量比)の割合で混合したものを入れた電気透
析槽(有効膜面積500cm2 ×5対)からなる脱イオ
ン装置を組み立てた。原水として電導度5μS/cmの
水を用い、ユニットセル当り4Vの電圧を印加して脱塩
を行ったところ、電導度0.08μS/cmの処理水が
得られた。
【0027】実施例3 実施例2で得られた表面に凹凸構造を持つ陽イオン交換
膜に0.2%のブロックイソシアネート(武田薬品株式
会社製、商品名プロミネートXC)を含有する5%重合
ポリアクリル酸水溶液をダイコートし、80℃でキャス
ト製膜後120℃でキュアし、架橋処理を行った。
【0028】得られた陽イオン交換膜と、実施例1で得
られた陰イオン交換膜を使用し、陰陽のイオン交換膜の
凹凸表面がそれぞれ脱塩室側になるようにセットし、脱
塩室にH型強酸性カチオン交換樹脂とOH型強塩基性ア
ニオン交換樹脂を40/60(重量比)の割合で混合し
たものを入れた電気透析槽(有効膜面積500cm2×
5対)からなる脱イオン装置を組み立てた。原水として
電導度5μS/cmの水を用い、ユニットセル当り4V
の電圧を印加して脱塩を行ったところ、電導度0.08
μS/cmの処理水が得られた。この性能は約1カ月間
安定して得られた。
【0029】実施例4 10リットルのフラスコに1,1,2−トリクロロエタ
ンを4リットル、トリエチルホスフェートを562g入
れた。氷冷した後、60重量%SO3 の発煙硫酸を82
4g徐々に滴下し、トリエチルホスフェート/SO3
体を調製した。ポリスチレン繊維をこのトリエチルホス
フェート/SO3 錯体溶液に25℃で16時間浸漬し、
スルホン化を行った。メタノール洗浄後、水洗し、スル
ホン酸型のカチオン交換繊維を得た。得られたカチオン
交換繊維のイオン交換容量は2.5ミリ当量/g樹脂で
あった。
【0030】一方ポリスチレン繊維を1,1,2,2−
テトラクロロエタン/オクタン/クロロメチルメチルエ
ーテル/塩化第2スズ=50/50/25/0.1(重
量部)溶液中に30℃で16時間浸漬し、クロロメチル
化を行った。メタノール洗浄後、1Nトリメチルアミン
のメタノール溶液に60℃で16時間浸漬し、4級アン
モニウム塩基を導入してアニオン交換繊維を得た。得ら
れたアニオン交換繊維のイオン交換容量は2.0ミリ当
量/g樹脂であった。
【0031】これらのイオン交換繊維をそれぞれ約1c
mにカットし、カチオン交換繊維/アニオン交換繊維=
45/55(重量比)で混合し、脱塩室に充填するイオ
ン交換体を得た。このイオン交換体を、H型強酸性カチ
オン交換樹脂とOH型強塩基性アニオン交換樹脂の混合
物に代えた以外は実施例2と同様にして脱塩を行った。
原水として電導度5μS/cmの水を用い、ユニットセ
ル当り4Vの電圧を印加して脱塩を行ったところ、電導
度0.1μS/cmの処理水が得られた。
【0032】比較例1 イオン交換膜として、表面が凹凸構造でない陰イオン交
換膜(旭硝子株式会社製、商品名セレミオンAMT)と
陽イオン交換膜(旭硝子株式会社製、商品名セレミオン
CMT)を使用し、他は実施例1と同様にして脱塩を行
った。原水として電導度5μS/cmの水を用い、ユニ
ットセル当り4Vの電圧を印加して脱塩を行ったとこ
ろ、電導度0.2μS/cmの処理水しか得られなかっ
た。
【0033】比較例2 イオン交換膜として、表面が凹凸構造でない陰イオン交
換膜(旭硝子株式会社製、商品名セレミオンAMT)と
陽イオン交換膜(旭硝子株式会社製、商品名セレミオン
CMT)を使用し、他は実施例4と同様にして脱塩を行
った。原水として電導度5μS/cmの水を用い、ユニ
ットセル当り4Vの電圧を印加して脱塩を行ったとこ
ろ、電導度1μS/cmの処理水しか得られなかった。
【0034】
【発明の効果】本発明の脱イオン水製造方法は、脱塩室
に充填するイオン交換体と膜との接触面積が増大し、イ
オン交換体の充填密度を低下させる壁面効果が低減され
るため充填状態が改善される。さらにイオン交換体と膜
の密着状態がフィットするため膜とイオン交換体の界面
付近の水のショートパスがなくなり、また膜近傍のイオ
ン交換体が不動化するため、同じ荷電のイオン交換体の
凝集やイオン交換体が位置変動する際の破砕が防げるの
で安定した純度の処理水が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 43/00 Z C02F 1/42 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰極と陽極の間に陽イオン交換膜と陰イオ
    ン交換膜とを交互に配列させた電気透析装置の脱塩室に
    イオン交換体を充填してなる脱イオン水製造装置におい
    て、陽イオン交換膜の陽極側表面または陰イオン交換膜
    の陰極側表面の少なくとも一方の表面が凹凸構造を有し
    ており、イオン交換膜を膜面に垂直な平面で切断した場
    合における、断面の凸部分の頂点間の平均距離が1〜1
    000μm、断面の凸部分の頂点と凹部分の底点間の平
    均高低差が0.2〜200μmである膜を使用する脱イ
    オン水製造方法。
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