JP2005342154A - 塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法および塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤 - Google Patents

塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法および塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 塊状物質が存在し、結果的に表面に凹凸が形成された極めて薄い可食性層同士を、確実に圧着法より多層構造に形成出来るようにし、医薬口腔内投与剤等に要求される量的精度を満たすことができ、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることのない、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法およびその可食性口腔内投与剤を提供する。
【解決手段】 塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を、当該凹凸表面を互いに対向させて圧着する場合に、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させるようにすることにより、多重に可食性層が積層した塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等のうちの可食性の口腔内投与物に係わる極めて薄い層が積層された多層構造を有する新規かつ改良された積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法、およびその可食性口腔内投与剤に関する。
具体的には、食品および食品添加物として認められている物質及び/又は経口投与が認められている医薬品および医薬品添加物のみからなり、例えば上顎や歯茎の粘膜や鼻腔粘膜等の口腔内における経粘膜貼付剤、口腔内の患部に貼付して治療・保護を行う口腔内疾患予防貼付剤、口腔内治療貼付剤、口臭予防貼付剤、口臭防止貼付剤、および口腔内において溶解し主に消化管で吸収させる経口投与用の医薬口腔内投与剤、さらには消臭作用や健康維持効果等の作用を有する医薬部外品、食品等の口腔内投与物において、塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等を基剤成分と共に懸濁状態で塗工する場合に、塗工層中に粒状または粉末状の塊状物質が存在し、結果的に塗工層表面に凹凸が形成されるような極めて薄い層を相互に積層した塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法、およびその塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤に関する。
医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の口腔内投与物をシート状あるいはフィルム状にして口腔内投与剤化する技術は、従来から種々提案されている。
例えば特許文献1および特許文献2には、仕切板で仕切られたホッパーに種類や配合の異なる可食性素材をそれぞれ投入し、ホッパー下の第1次圧延ロールで帯状の第1次圧延シートを複数形成し、それを搬送過程でシートの長手方向と垂直な方向に一定間隔を保持して重ね合わせて、第2次ローラで圧延接着することによって多層体構造の食品を製造する方法が記載されている。しかし、この方法は、圧延可塑性を有する厚手の多層シートを形成するもので、医薬品や食品等の可食性口腔内投与剤のような数百μm〜数十μmの厚さの可食性素材を圧着して数千μm〜数十μmの厚さの多層体構造を製造できるものではない。
数千μm〜数十μmの厚さの医薬品や食品等のフィルム状可食性多層構造物を得る技術に係わる特許文献として次のものがある。
特許文献3には、口腔粘膜部にブプレノルフィンを投与するためのシート状又はテープ状製剤が記載されており、第一工程において、ブプレノルフィンまたは薬理学上同等の作用物質をフィルム形式の可能な水溶性ポリマーと共に、オプションとして更なる溶解又は懸濁補助剤の存在のもとで、適切な親水性溶剤に溶解し、第二工程において、前記溶液又は懸濁液を連続工程において均一な厚さで、テープ又は加工シート又はフォイルに塗付し、第三工程において、前記溶剤を大部分除去することによってシート状、又はテープ状の出発材料を形成し、その出発材料から、第四工程において、投薬単位又は複数投薬単位に切断又は穴開けによって分離することを特徴とする製造方法(請求項13)、およびこれら複数のシート状又はテープ状材料を多層材料を形成するように組み合わせて多層とする製造方法(請求項15)が記載されているが、具体的な多層構造の製造方法については一切教示されていない。
特許文献4には、水溶性高分子を主たる基剤成分とする薬物含有層と、難水溶化されており且つ上記薬物含有層の一方に位置している非接着層(難水溶化層)と、上記薬物含有層の他方の面に位置している粉末状接着性物質とを有している多層構造のフィルム状口腔内投与剤が記載されている。この粉末状接着性物質としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸またはその薬学的に許容される非毒性塩、アクリル酸共重合体またはその薬学的に許容される非毒性塩、カルボキシメチルセルロースおよびナトリウム塩等の親水性セルロース誘導体、プルラン、ポビドン、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、トラガント、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類またはその誘導体若しくはその非毒性塩等が挙げられている。
またその製造方法としては、ポリ四フッ化エチレン製シャーレ上で、可食性層溶液の塗布または噴霧と、塗布または噴霧した可食性層溶液の乾燥とを繰り返し行って、所要の多層構造を有するフィルム状口腔内投与剤を得る方法が実施例に開示されているが、かような製造方法は、実験室規模では使用できるが工業的には採用し得ない方法である。しかも多層にするために、形成した可食性層の上に、別の薬物を含有する可食性層溶液や粘着性高分子を粉末状態に維持した可食性層溶液さらには粉末自体を手で塗布または噴霧する場合には、口腔内投与剤溶液や粉末を量的に正確に塗布または噴霧することが困難で、薬剤成分等の正確な量が制御できず、得られた多層フィルム状口腔内投与剤は、医薬製剤に要求される量的精度を満たすことはできない。
本願と同一出願人により特許出願された特許文献5には、コーティング層(a)、薬物層I(b)、薬物層II(c)の3種の層を、a、b、c、b、aの順に積層してなるフィルム状トローチ口腔内投与剤が提案されている。このフィルム状トローチ口腔内投与剤の製造方法としては、各可食性層溶液(塗工液)のポリエステル剥離フィルム上への展延乾燥を繰り返すことにより、所望の多層積層構造を形成する方法が記載されている。
本願と同一出願人による上記特許文献5に記載の多層積層構造のフィルム状トローチ口腔内投与剤を製造するに際しては、出願人は図9に図示したような、連続的に移動している樹脂フィルムの上に、塗工液を連続的に塗布乾燥する塗工装置50を採用している。この塗工装置50は、樹脂フィルム巻き出し軸51にセットした樹脂フィルム52を、ガイドロール53とドクターロール54の間を通して乾燥炉55内に導き、樹脂フィルム巻き取り軸56で巻き取ることにより、樹脂フィルム52を連続的に移動させる。この間に、塗工液供給用ダム部57に供給した塗工液58が樹脂フィルム上に塗布され、この際、ガイドロール53上の樹脂フィルム52とドクターロール54とのクリアランスを所定寸法に調整することにより所定の塗布量とすることができる(部分拡大図参照)。かくして形成された樹脂フィルム52上の塗布層58aは、乾燥炉55を通過することにより、熱風吹き出し装置59から均一に吹き出された熱風により乾燥され、可食性層が形成された樹脂フィルム60が巻き取り軸56にロール状に巻き取られる。
次いで、この巻き取り軸56にロール状に巻き取った可食性層形成樹脂フィルム60を、再度巻き出し軸51に取り付け、同じ組成または異なる組成の塗工液58をダム部57に供給して再び塗布と乾燥を施し、巻き取り軸56に巻き取ることにより、二層の可食性層が積層形成された樹脂フィルムを製造することができ、かような塗布と乾燥を繰り返し行うことによって、所要の多層構造を有するフィルム状トローチ口腔内投与剤を、上記した従来方法より良好な生産性で製造することができる。
しかしながら、図9に図示したような塗工方法を採用しても、上記従来方法と同様に、塗布と乾燥を繰り返し行って多層構造を有するフィルム状可食性口腔内投与剤を製造する場合には、塗工液58の塗布量の正確な制御が困難となり、医薬製剤に要求される量的精度を満たすことはできないことが判明した。
すなわち、一回目の塗布は、ドクターロール54と樹脂フィルム52のクリアランスを所定寸法にすることにより所定の塗布量を正確に制御できる。しかし、一回目の塗布後の乾燥工程によって形成される乾燥可食性層の厚さが、乾燥工程の微細な条件変動やその日の気温、湿度等の外乱によって変動する。その結果、二回目の塗布においては、ドクターロール54と樹脂フィルム52のクリアランス寸法をいくら正確にしても、実際に塗工液58が塗布される厚さは、一回目に形成された乾燥可食性層の上面とドクターロール54との間隙となるため、二回目の可食性層の塗布厚は一回目の可食性層塗布厚の変動によってさらに変動することになる。一回目に塗布した可食性層58aの乾燥工程後の厚さの変動を測定するのは非常に困難である。
かような塗工液の塗布量の不正確さは、塗布・乾燥の回数が増せば増すほど増大する傾向にある。しかも、この塗布・乾燥の回数が増せば増すほど、乾燥にかかる時間が長くなり、二回目の可食性層の乾燥には一回目の1.5倍の時間がかかり、三回目には2倍の時間がかかる。
WO98/56266号公報 特開2002−191343号公報 特表2001−506640号公報 特許2791317号公報 特開2001−288074号公報
かかる状況において、本発明者は、多層構造の可食性口腔内投与剤を得るために、可食性層溶液(塗工液)を樹脂フィルム上に展延して乾燥することにより所定厚さの可食性層を形成した樹脂フィルム同士を、可食性層を互いに対向させた状態で樹脂フィルムの他方の面から加圧して可食性層を圧着させ、相互に密着させられた可食性層を挟む樹脂フィルムの一方を剥ぎ取ることを試みた。
すなわち、少なくとも熱可塑性の性質を呈する可食性物質を1種類以上含み、かつその熱可塑性可食性物質のガラス転移点よりわずかに高い温度に加温すると、可食性層がゴム状弾性域に至る。この状態で可食性層を互いに対向させた状態で樹脂フィルムの他方の面から加圧すると、可食性層同士が確実に密着するようになり、多層構造の可食性口腔内投与剤を得ることが出来ることを見出した。
かような圧着法を、多層構造を有するフィルム状可食性口腔内投与剤を製造するに際して採用することによって、医薬製剤等に要求される量的精度を満たすことができ、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることのない、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状の可食性口腔内投与剤を提供することが可能になった。
特に、この圧着法を用いた積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法により得られる積層構造は、積層された各可食性層が個々に明確に区分されていることが特徴である。すなわち、「デジタルマイクロスコープBS−D8000II」(ソニック(株)製商品名)を用いて観察した図8の断面顕微鏡写真に示されているように、この圧着法で得られた積層構造では、可食性層と可食性層との境界Xが明瞭に見え、積層された各可食性層を明確に識別することができる。これに対して、塗布・乾燥を繰り返して積層する従来の積層塗布法で得られた積層構造では、各可食性層の境界Yが不明瞭でぼやけて見え、積層された各可食性層を明確に判別できない。すなわち、積層塗布法では、各可食性層の境界域において、各可食性層の成分が浸出して互いに混合してしまうことを示しているのに対して、圧着法においては各可食性層の成分が浸出せず、互いに混合してしまうことがないことが判る。この圧着法の利点は、上記量的精度や乾燥工程等の時間的制約が生ずることのない利点と共に、各可食性層の一部成分が混じり合うことによって生ずる薬物分解や意図しない反応等を抑えて保存安定性などを向上出来る利点がある。
しかしながら、可食性層中に塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が存在して表面に凹凸が形成された可食性層同士を、当該凹凸状表面を相互に対向させて圧着した場合には、当該可食性層同士は密着せずに、すぐに剥離してしまうことが判明した。この剥離現象は、凹凸の高低差が20μm以上で生じやすく、30μm以上でより顕著に生ずる。可食性層表面が凹凸に形成される因子となる塊状物質は、主に生理活性を有する有効成分であるため、この問題は医薬品や機能性食品等では見過ごすことの出来ない問題である。
そこで本発明の目的は、多層構造を有するフィルム状可食性口腔内投与剤を製造するに際して、可食性層中に粒状または粉末状の塊状物質が存在し、結果的に表面に凹凸が形成された極めて薄い可食性層同士であっても確実に圧着出来て、医薬製剤等に要求される量的精度を満たすことができ、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることのない、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の新規かつ改良された製造方法、およびその方法によって得られた多層構造を有する塊状物質含有積層フィルム状可食性口腔内投与剤を提供することにある。
すなわち本発明の請求項1に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を、当該凹凸表面を互いに対向させて圧着するに際して、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させて圧着することを特徴とする。
また、本発明の請求項14に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤は、塊状物質が存在している二つの可食性層の間に塊状物質が実質的に存在しない可食性層が介在していることを特徴とする。
かような製造方法によれば、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させることで、樹脂フィルムの上に塗工液の塗布と乾燥を繰り返し行って所望の数の可食性層を形成させることなく、塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を確実に圧着できる。この圧着法を利用して極めて薄い複数の可食性層を積層することによって、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤を生産性よく製造することができ、しかも医薬製剤等に要求される量的精度を満たすことが可能となる。
また、かような可食性口腔内投与剤によれば、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させることで、塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層の凹凸表面同士であっても確実な圧着、積層が可能となり、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤とすることができる。極めて薄い複数の可食性層の圧着、積層が可能となることによって、医薬製剤等に要求される量的精度を満たすことができると共に、各可食性層の一部成分が混じり合うことによって生ずる薬物分解や意図しない反応等を抑えて保存安定性などを向上出来る利点がある。
上記した“塊状物質が実質的に存在しない可食性層”とは、可食性層の表面を視覚的に見た場合に略平滑であることを意味しており、塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が極微量存在していても、単層成形塗工した場合に表面が略平滑になるものも含まれ、実質的に層表面が凹凸にならないような量の塊状物質が存在していてもよい。また、酸化チタンの如き溶媒に不溶な粒子(塊状物質)が存在していても、その粒径が極めて微小の場合には、層表面が凹凸にならないため、微小な粒径の塊状物質が存在していてもよい。しかし、粒径が極めて微小の場合であっても、塗工液中で凝集するようなものは、可食性層表面が凹凸になってしまう。いずれにしても、本発明における塊状物質が実質的に存在しない可食性層は、単層成形塗工した場合に凹凸が高低差10μm以下、より好ましくは5μm以下となるようにするのが好ましい。
本発明の請求項2に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、
(A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
(B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
(C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
(D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、
(E)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、上記凹凸表面可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された塊状物質の存在により表面に凹凸のある凹凸表面可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重可食性層圧着工程と、
(F)上記多重可食性層圧着工程(E)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム分離工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、
(A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
(B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
(C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
(D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、
(G)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、当該密着可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)とを経て樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重密着可食性層圧着工程と、
(H)上記多重密着可食性層圧着工程(G)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム分離除去工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、
(A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
(I)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成する塗布平滑表面可食性層形成工程と、
(J)上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層と、上記凹凸表面可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された塊状物質の存在により表面に凹凸のある凹凸表面可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる塗布可食性層圧着工程と、
(K)上記塗布可食性層圧着工程(J)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム剥離工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の請求項5に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、
(A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
(I)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成する塗布平滑表面可食性層形成工程と、
(L)上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層と、当該塗布積層可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)とを経て樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重塗布積層可食性層圧着工程と、
(M)上記多重塗布積層可食性層圧着工程(L)で重ね合わせた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム剥離除去工程と
を含むことを特徴とする。
本発明の請求項6に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、
(A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
(B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
(C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
(D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離するフィルム剥離工程と、
(N)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、当該密着可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成した塗布積層可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重塗布密着可食性層圧着工程と、
(O)上記多重塗布密着可食性層圧着工程(N)で重ね合わせた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム除去工程と
を含むことを特徴とする。
上記した請求項2乃至請求項6に係る本発明の製造方法によれば、塊状物質が存在して表面に凹凸がある可食性層同士を、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を挟んで圧着することによって、従来では積層塗布法でしかできなかった多層構造を有する塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤を効率よく製造することが可能となる。請求項2乃至請求項6の製造方法における“表面が略平滑な可食性層”とは、可食性層中に塗工溶媒に不溶または溶けにくい粒状または粉末状の塊状物質が実質的に存在しておらず、結果的に表面が略平滑となっている可食性層を意味している。
上記凹凸表面可食性層形成工程(A)においては、樹脂フィルム上に直接凹凸表面可食性層を塗布(直接塗布)して形成もよく、あるいは必要に応じて樹脂フィルム上にまずコーティング層、支持層または粘着層等を塗布して形成したのち、その上に凹凸表面可食性層を塗布(間接塗布)して形成してもよい。
上記平滑表面可食性層形成工程(B)や塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で形成する表面が略平滑な可食性層の成分は、可食性の熱可塑性物質が含有されていれば特に限定されないが、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で形成する表面に凹凸がある可食性層の塊状物質を除いた成分とほぼ同じにするのが好ましく、その組成割合も塊状物質を除いた残りの成分比率とほぼ同じにするのがより好ましい。また、上記平滑表面可食性層形成工程(B)や塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で形成する表面が略平滑な可食性層の厚さは、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは10〜50μmである。
なお、請求項4乃至請求項6における“塗布積層可食性層”は、樹脂フィルム上に形成された凹凸表面可食性層の上に、さらに平滑表面可食性層が積層塗布された表面が略平滑な積層可食性層を意味する用語として使用している。
さらに、上述した本発明における好ましい実施形態を述べると、本発明の請求項7に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項1〜6のいずれか1項において、上記各可食性層面を互いに重ね合わせて圧着する際の圧力を0.05〜1.5MPaとし、その際の可食性層の温度を30℃〜70℃とすることを特徴とする。
本発明の請求項8に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項7において、上記可食性層相互を圧着させた後、樹脂フィルムを当該密着可食性層から剥離するまでに、当該密着可食性層を、圧着する際の可食性層の温度より10℃以上冷却し、かつ、その冷却された可食性層の温度が0℃以下にならないようにすることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項1〜8のいずれか1項において、層中に塊状物質が存在して表面に凹凸が形成された可食性層の厚さが25〜300μmの範囲にあることを特徴とする。
本発明の請求項10に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項1〜9のいずれか1項において、上記塊状物質が生理活性を有する有効成分であることを特徴とする。
本発明の請求項11に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項1〜10のいずれか1項において、相互に密着させる上記可食性層の各層には、可食性の熱可塑性物質を含有させることを特徴とする。
本発明の請求項12に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項11において、上記可食性の熱可塑性物質は、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体およびメチルセルロースフタレートからなる群より選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
本発明の請求項13に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法は、上記した請求項1〜10のいずれか1項において、相互に密着させる上記可食性層の各層には、可食性の非熱可塑性物質と可食性の熱可塑性付与物質とを含有させることを特徴とする。
本発明の請求項15に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤は、上記した請求項14において、上記塊状物質が生理活性を有する有効成分であることを特徴とする。
本発明の請求項16に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤は、上記した請求項14または15において、上記塊状物質が存在している可食性層の少なくとも一方の層と塊状物質が実質的に存在しない可食性層には、可食性の熱可塑性物質を含有していることを特徴とする。
本発明の請求項17に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤は、上記した請求項16において、上記可食性の熱可塑性物質は、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体およびメチルセルロースフタレートからなる群より選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
本発明の請求項18に係る塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤は、上記した請求項14または15において、上記塊状物質が存在している可食性層の少なくとも一方の層と塊状物質が実質的に存在しない可食性層には、可食性の非熱可塑性物質と可食性の熱可塑性付与物質とを含有していることを特徴とする。
塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させて密着させる圧着法を用いた本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法および、それにより得られた可食性口腔内投与剤によれば、塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を確実に圧着出来て、塗工液の塗布・乾燥を繰り返し行って多層構造とする従来の積層塗布法に比べて、医薬製剤等に要求される量的精度が向上し、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることがなく、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状の可食性口腔内投与剤となる。
さらに、従来の積層塗布法により得られた積層構造が、積層された各可食性層の境界が不明瞭でぼやけ、境界域において各可食性層の成分が浸出して互いに混合してしまうのに対して、圧着法を用いる本発明の方法により得られた積層構造は、各可食性層の境界が明確に識別でき、各可食性層の成分が浸出せず、互いに混合してしまうことがない。これによって、各可食性層の一部成分が混じり合うことによって生ずる薬物分解や意図しない反応等を抑えて保存安定性などを向上させたり、各可食性層での有効成分濃度の制御を精度よく行うことが可能となる。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法において、好ましく使用できる塗工装置と圧着装置についてまず説明する。
樹脂フィルム表面上に可食性層を塗布・乾燥して形成する塗工装置としては、図9に図示したごとき塗工装置50が好ましく使用できる。この塗工装置50においては、樹脂フィルム巻き出し軸51から巻き出された樹脂フィルム52は乾燥炉55を通って樹脂フィルム巻き取り軸56で巻き取られることにより、樹脂フィルム52が連続的に移動されるようになっており、この間に、塗工液供給用ダム部57に貯められた塗工液58が樹脂フィルム52上に塗布されて乾燥されることで可食性層が樹脂フィルム表面上に形成される。可食性層の塗布量の制御は、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを調整することにより行うことができる。
かような塗工装置50を用いて、塗工液の塗布・乾燥を複数回繰り返すことによって、樹脂フィルム表面上に複数層の可食性層を形成することができる。また、同一成分または異種成分の塗工液の塗布・乾燥を複数回繰り返すことにより、同一成分の可食性層の厚さを増加させたり、各種成分からなる複数層の可食性層を形成させることも可能である。
しかしながら、前述したように、塗布・乾燥の回数が増すほど、塗工液の塗布量が不正確となるとともに、乾燥に要する時間が長くなるため、塗布・乾燥の繰り返し回数は2〜3回程度、好ましくは1回に止めることが望ましい。
図9の塗工装置50を用いて、単一の塗布あるいは同一成分または異種成分による複数の塗布を施し、所望の可食性層が形成された可食性層形成樹脂フィルム60を製造することができる。このようにして製造された数種類の可食性層形成樹脂フィルム60は、それぞれ巻き取り軸56でロール状に巻かれてロールフィルムとされた後、図1に図示した圧着装置10を用いて二つの可食性層形成樹脂フィルムを圧着し、積層フィルム状の可食性口腔内投与剤が製造される。
すなわち、図1に図示した圧着装置10は、例えば図9の塗工装置50を用いて製造された所定厚さの可食性層が表面上に形成された2枚の樹脂フィルム同士を、可食性層が互いに対向するように重ね合わせた状態で引き込み、各樹脂フィルムの裏面から加圧する一対の押圧ロール15、15と、押圧ロールから送出され相互に密着された複数可食性層を挟む2枚の樹脂フィルム(圧着品)16の1枚16aのみを剥離する剥離ロール17と、剥離したフィルムを巻き取る巻き取り軸18と、剥離後に残される複数可食性層保持樹脂フィルム(圧着製品)16bを巻き取る巻き取り軸19とを備えている。
この巻き取り軸19を駆動ロールとするとともに、押圧ロール15、15の1つのロールを駆動ロールとし、さらに剥離ロール17と巻き取り軸19との間に別途駆動ロール34を配設し、これら3つの駆動ロールが、複数可食性層保持樹脂フィルムの搬送機構となり、押圧ロール15、15から送出された複数可食性層保持樹脂フィルム16bを巻き取り軸19へ搬送することができる。
搬送機構により複数可食性層保持樹脂フィルム16bが搬送される方向は、図1に示したように、一対の押圧ロール15、15の加圧部における接線方向と一致させているが、必ずしも接線方向と正確に一致させなくても、図2に図示したように、接線方向Tと搬送方向Cとのズレが30°以内、好ましくは15°以内、さらに好ましくは10°以内といった程度に略一致させる。換言すれば、搬送方向を図2の矢印Y1と矢印Y2との間の範囲内とされる。
複数層からなる可食性層は、それだけで自立したフィルムを形成できる程度の強度を持っているため、剥離すべき一方の樹脂フィルム16aの方に可食性層が付着してしまい、他方の樹脂フィルム16bの方に可食性層を保持させることができなくなる事態が生ずることがある。そのため、剥離ロール17は、押圧ロール15、15から送出される複数可食性層保持樹脂フィルムの搬送方向に沿った位置に設置されており、相互に密着された複数可食性層を挟む2枚の樹脂フィルム16の1枚16aのみを、複数可食性層保持樹脂フィルム16bの搬送方向とは異なる方向に引き込む巻き取り軸18で巻き取るようになっている。この剥離ロール17は剥離される一方の樹脂フィルム16aの移動に伴って伴回りするように回動自在に設けられている。
さらに、図3に示したように、剥離ロール17の直径Dを6cm以下、好ましくは5cm以下と小さくされ、直径の小さい剥離ロール17の周面に沿ってできるだけ急角度で剥離することにより、意図した他方の樹脂フィルム16bに複数可食性層が確実に保持残留されるようになっている。また、剥離される樹脂フィルム16aを巻き取る巻き取り軸18は、剥離ロール17を起点として、剥離される樹脂フィルム16aを、複数可食性層保持樹脂フィルム16bの搬送方向Cと45°以上、好ましくは60°以上の角度をなして引き込む位置に設けられている。なお、図3に示した例では、搬送方向Cと約80°の角度で剥離樹脂フィルム16aを引き込む位置に巻き取り軸18が設けられている。
図1に示した本発明の圧着装置10の動作は以下の通りである。表面上に可食性層が形成されたロールフィルムの一つ11を、圧着装置10の上部巻き出し軸13にセットし、可食性層が形成されたロールフィルムのもう一つ12を下部巻き出し軸14にセットする。これらのロールフィルム11、12をそれぞれ所定速度で巻き出し、各可食性層面が互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させることにより、樹脂フィルムの裏面から加圧されて、可食性層相互が密着する。
押圧ロール15、15により加圧するに際しては、押圧ロール15、15や該押圧ロール15、15の前段のガイドローラを該ローラ内に内蔵した電気ヒーターやスチームヒーター等により加熱されるが、その温度条件や加圧条件については後述する。
押圧ロール15、15を通過した圧着品16は、その両面が樹脂フィルムで覆われ、それらの間に複数層の可食性層が密着して積層された構造を有している。この圧着品16がフィルム剥離ロール17を通過した時点で、上面を覆っている樹脂フィルム16aが連続的に剥離され、剥離した樹脂フィルム先端部を剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取られる。
かくして得られた圧着品16b、すなわち複数層の可食性層を保持している樹脂フィルムは、巻き取り軸19によりロール状に巻き取られ、複数可食性層保持ロールフィルム20が形成される。
可食性層を保持した二つの樹脂フィルムを押圧ロール15、15の間に通して圧着する際に、二つの樹脂フィルムの間に空気を巻き込んだ場合には、貼り合わせ不良が生じる。この場合には、圧着装置10の運転を停止することなく、図4に示したように、押圧ロール15、15下流に設置した一組のロール21、21の間隙を狭めて閉じるとともに、押圧ロール15、15の間隙を開けて開放する。この操作により、二つの樹脂フィルム間に巻き込まれた空気は閉じられたロール21、21により容易に押し出されて除去される。空気が除去された後に、押圧ロール15、15を閉じてロール21、21を開放することにより、正常な圧着運転に戻すことができる。
かかる塗工装置50(図9)と圧着装置10(図1)を用いて、本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法を説明する。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法においては、少なくとも次の5通りの実施形態がある。第1の実施形態は、下記に述べる凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)と多重可食性層圧着工程(E)と樹脂フィルム分離工程(F)とを含む製造方法である。
<凹凸表面可食性層形成工程(A)>
塗工装置50(図9)の塗工液供給用ダム部57に貯めた、塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が存在する塗工液58を、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを介して、樹脂フィルム52上に直接または間接に塗布して、表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する。表面の凹凸の高低差は、20μm以上であり、30μm以上ある場合もある。
この凹凸表面可食性層形成工程(A)においては、樹脂フィルム上にまずコーティング層、支持層または粘着層を塗布して形成し、その上に凹凸表面可食性層を形成してもよい。その場合は、コーティング層、支持層または粘着層を塗布形成した樹脂フィルムを樹脂フィルム巻き取り軸56に巻き取ったのち、これを再度樹脂フィルム巻き出し軸51に取り付け、所要成分の塗工液の塗布を繰り返せばよい。
また当然、樹脂フィルム上に凹凸表面可食性層を直接設けて単層の可食性層を形成してもよい。
1回の塗布で樹脂フィルム表面上に形成する可食性層の厚さは、25〜300μm程度とすることが望ましい。1回の塗布厚を300μmより厚くした場合には、乾燥時間が長くなりすぎて生産性が悪くなる。
<平滑表面可食性層形成工程(B)>
上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で使用したものと別の新たな樹脂フィルム52上に、塗工装置50の塗工液供給用ダム部57に貯めた塗工液58を、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを介して、塗布して表面が略平滑な所定厚さの可食性層を形成する。
この場合の塗工液58は、塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が存在しないものや、酸化チタンの如き溶媒に不溶な粒子(塊状物質)が存在していても、その粒径が極めて微小で、塗工液中で凝集しないものである。なお、塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が極微量存在していても、表面が略平滑になるものであれば本発明方法における“表面が略平滑な可食性層”に該当するものであり、実質的に層表面が凹凸にならないような量の塊状物質が存在してもよい。いずれにしても、この平滑表面可食性層形成工程(B)で形成する表面が略平滑な可食性層は、凹凸が高低差10μm以下、より好ましくは5μm以下になるような組成にするのが好ましい。また、表面が略平滑な可食性層の厚さは、10μm以上が好ましく、さらには10〜50μmがより好ましい。
表面が略平滑な可食性層の成分は、特に限定されないが、可食性の熱可塑性物質が含有されていることが好ましく、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で形成する“表面に凹凸がある可食性層”に含まれる塊状物質を除いた成分とほぼ同じにするのがより好ましい。またその場合の組成割合も塊状物質を除いた残りの成分比率とほぼ同じであるのがさらに好ましい。
<圧着工程(C)>
圧着装置10(図1)の下部巻き出し軸14に上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で形成した可食性層形成樹脂フィルムを取り付け、上部巻き出し軸13に上記平滑表面可食性層形成工程(B)で形成した可食性層形成樹脂フィルムを取り付け、各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させることにより、樹脂フィルムの裏面から加圧して可食性層を相互に密着させる。
押圧ロール15、15により加圧するに際しては、押圧ロール15、15や該押圧ロール15、15の前段のガイドローラを該ローラ内に内蔵した電気ヒーターやスチームヒーター等により加熱して、加圧時の可食性層の温度を好ましくは30〜70℃とする。この温度は、可食性層の熱可塑性可食性物質のガラス転移点よりわずかに高い温度であり、その熱可塑性可食性物質がゴム状弾性域に至り若干軟化して密着しやすくなる温度である。その温度は、樹脂フィルムの種類や、可食性層に用いる物質の種類等により適宜選定する必要がある。過度の高温は、可食性層が溶融して可食性層が流動し積層構造が崩れたり、有効成分が分解する等の支障が生じ、また可食性層内の溶媒が揮発し突沸する危険があるため避けるべきであり、温度が低すぎると密着が十分になされなくなる場合がある。また、押圧ロールによる加圧圧力は、0.05〜1.5MPa、好ましくは0.1〜0.7MPaとする。過度の圧力は、可食性層が展延されてしまい単位面積当たりの量的精度に影響を及ぼし好ましくない。また、圧力が低すぎると十分な密着が得られない。
<樹脂フィルム剥離工程(D)>
上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルム16aのみを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより剥離する。
かくして得られた密着可食性層を保持している樹脂フィルム16bは、巻き取り軸19によりロール状に巻き取られ密着可食性層保持ロールフィルム20が形成される。
なお、押圧ロール15、15の間を通過させて可食性層相互を密着させた後、密着可食性層から樹脂フィルム16aを剥離するまでに、密着可食性層の温度を、押圧ロール15、15で加圧する際の可食性層の温度より、好ましくは10℃以上冷却される。この冷却は過度に行う必要はなく、冷却された可食性層の品温が0℃以下にならないように、好ましくは常温(若しくは室温)を下まわらないようにする。したがって、この冷却は、押圧ロール15、15とフィルム剥離ロール17との距離を長くして放熱による自然冷却が行われるようにしてもよく、また、無菌空気等の常温の空気や冷却された空気を吹き付けて積極的に冷却してもよい。これにより、圧着品16から樹脂フィルム16aを確実に連続的に剥離することができる。
<多重可食性層圧着工程(E)>
圧着装置10の下部巻き出し軸14に、上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた表面が略平滑な密着可食性層を保有する樹脂フィルムを取り付け、上部巻き出し軸13に、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた表面に凹凸のある凹凸表面可食性層を保有する樹脂フィルムの残りのもの、またはこれと同一成分または異種成分からなり新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で別途得られた表面に凹凸のある凹凸表面可食性層を保有する樹脂フィルムを取り付ける。そして、各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせ、一組の押圧ロール15、15の間を通過させて、上述した圧着工程(C)と全く同様な温度圧力条件で、樹脂フィルムの裏面から加圧して可食性層を相互に密着させ、密着可食性層を形成させる。
なお、多重可食性層圧着工程(E)において、圧着装置10の下部巻き出し軸14と上部巻き出し軸13とに取り付ける各可食性層成形樹脂フィルムを、上述した場合と逆にしても差し支えないが、後述する可食性層から樹脂フィルムを剥離しやすくする剥離処理を施す場合、上述したようにすると、下部巻き出し軸14に取り付けた上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた可食性層形成樹脂フィルムの可食性層接触面には剥離処理を施さず、上部巻き出し軸13に新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得た可食性層形成樹脂フィルムの可食性層接触面に剥離処理を施すことで、工程(A)から次工程(F)に至る工程全体に整合性が取れて好都合である。
<樹脂フィルム分離工程(F)>
上記多重可食性層圧着工程(E)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルム16aを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより、前述の樹脂フィルム剥離工程(D)と同様の温度条件で剥離する。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法にける第2の実施形態は、上述した凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)、および下記に述べる多重密着可食性層圧着工程(G)と樹脂フィルム分離除去工程(H)とを含む製造方法である。
<多重密着可食性層圧着工程(G)>
上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた表面が略平滑な密着可食性層を保有する樹脂フィルムと、上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた表面が略平滑な密着可食性層を保有する樹脂フィルムの残りのもの、またはこれと同一成分または異種成分からなり新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)とを経て別途形成された表面が略平滑な密着可食性層を保有する樹脂フィルムとを、一方を図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13に、他方を下部巻き出し軸14にセットし、密着可食性層を互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させ、上述した圧着工程(C)と全く同様な温度圧力条件で、樹脂フィルムの裏面から加圧することにより密着可食性層同士を相互に密着させて、密着可食性層を形成する。
この場合、上部巻き出し軸13にセットされた一方のものと、下部巻き出し軸14にセットされた他方のものとは、凹凸表面可食性層形成工程(A)において、樹脂フィルム上にコーティング層、支持層または粘着層を塗布形成したのち、その上に凹凸表面可食性層を形成する場合(間接塗布)と、これらコーティング層、支持層または粘着層の形成を行わずに樹脂フィルム上に直接凹凸表面可食性層を形成する場合(直接塗布)とがあり、間接塗布を行う場合でも、一方の樹脂フィルムには支持層の上に凹凸表面可食性層を形成し、他方の樹脂フィルムには粘着層の上に凹凸表面可食性層を形成する等の場合もあり、同一の多層構造を有する密着可食性層同士を圧着させるとは限らない。
<樹脂フィルム分離除去工程(H)>
上記多重密着可食性層圧着工程(G)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルム16aを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより、前述の樹脂フィルム剥離工程(D)と同様の温度条件で剥離する。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法にける第3の実施形態は、上述した凹凸表面可食性層形成工程(A)と、下記に述べる塗布平滑表面可食性層形成工程(I)と塗布可食性層圧着工程(J)と樹脂フィルム剥離工程(K)とを含む製造方法である。
<塗布平滑表面可食性層形成工程(I)>
塗工装置50の樹脂フィルム巻き取り軸56に巻き取った上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた凹凸表面可食性層形成樹脂フィルムを、再度樹脂フィルム巻き出し軸51に取り付け、前述の第1実施形態における平滑表面可食性層形成工程(B)で使用したものと同様な塗工液58を塗工液供給用ダム部57に貯める。この塗工液58を、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを介して、上記凹凸表面可食性層成形樹脂フィルムの凹凸表面上に塗布し、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を形成することにより、表面が略平滑な塗布積層可食性層を形成する。
上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で凹凸表面可食性層の上に塗布形成される表面が略平滑な可食性層は、凹凸が高低差10μm以下、より好ましくは5μm以下になるような組成にするのが好ましい。また、表面が略平滑な可食性層の厚さは、10μm以上が好ましく、さらには10〜50μmがより好ましい。
表面が略平滑な可食性層の成分は、特に限定されないが、前述の第1実施形態における平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した可食性層の成分と同様に、可食性の熱可塑性物質が含有されていることが好ましく、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で形成する表面に凹凸がある可食性層に含まれる塊状物質を除いた成分とほぼ同じにするのがより好ましく、またその場合の組成割合も塊状物質を除いた残りの成分比率とほぼ同じであるのがさらに好ましい。
<塗布可食性層圧着工程(J)>
圧着装置10の下部巻き出し軸14に上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた表面が平滑な塗布積層可食性層を保有する樹脂フィルムを取り付け、上部巻き出し軸13に、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた表面に凹凸のある可食性層を保有する樹脂フィルムの残りのもの、またはこれと同一成分または異種成分からなり新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で別途得られた表面に凹凸のある可食性層を保有する樹脂フィルムを取り付ける。そして、各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させ、上述した圧着工程(C)と全く同様な温度圧力条件で、樹脂フィルムの裏面から加圧し、上記塗布積層可食性層と上記可食性層とを相互に密着させて密着可食性層を形成する。
なお、塗布可食性層圧着工程(J)において、圧着装置10の下部巻き出し軸14と上部巻き出し軸13とに取り付ける各可食性層成形樹脂フィルムを、上述した場合と逆にしても差し支えない点や、後述する可食性層から樹脂フィルムを剥離しやすくする剥離処理を施す場合、上述したようにすると、工程全体に整合性が取れて好都合である点は、前述の第1実施形態における多重可食性層圧着工程(E)と同様である。
<樹脂フィルム剥離工程(K)>
上記塗布可食性層圧着工程(J)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルム16aを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより、前述の第1実施形態における樹脂フィルム剥離工程(D)と同様の温度条件で剥離する。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法にける第4の実施形態は、上述した凹凸表面可食性層形成工程(A)と塗布平滑表面可食性層形成工程(I)および下記に述べる多重塗布積層可食性層圧着工程(L)と樹脂フィルム剥離除去工程(M)とを含む製造方法である。
<多重塗布積層可食性層圧着工程(L)>
上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた表面が略平滑な塗布積層可食性層を保持する樹脂フィルムと、上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた表面が略平滑な塗布積層可食性層を保有する樹脂フィルムの残りのもの、またはこれと同一成分または異種成分からなり新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)とを経て別途形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層を保有する樹脂フィルムとを、一方を図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13に、他方を下部巻き出し軸14にセットし、塗布積層可食性層を互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させ、上述した第1実施形態における圧着工程(C)と全く同様な温度圧力条件で樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、塗布積層可食性層同士を相互に密着させて、密着可食性層を形成する。
この場合、上部巻き出し軸13にセットされた一方のものと、下部巻き出し軸14にセットされた他方のものとは、凹凸表面可食性層形成工程(A)において、樹脂フィルム上にコーティング層、支持層または粘着層を塗布形成したのち、その上に凹凸表面可食性層を形成する場合(間接塗布)と、これらコーティング層、支持層または粘着層の形成を行わずに樹脂フィルム上に直接凹凸表面可食性層を形成する場合(直接塗布)とがあり、間接塗布を行う場合でも、一方の樹脂フィルムには支持層の上に凹凸表面可食性層を形成し、他方の樹脂フィルムには粘着層の上に凹凸表面可食性層を形成する等の場合もあり、同一の多層構造を有する密着可食性層同士を圧着させるとは限らないのは、前述の第2実施形態における多重密着可食性層圧着工程(G)と同様である。
<樹脂フィルム剥離除去工程(M)>
上記多重塗布積層可食性層圧着工程(L)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルム16aを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより、前述の第1実施形態における樹脂フィルム剥離工程(D)と同様の温度条件で剥離する。
本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法における第5の実施形態は、上述した凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)および下記に述べる多重塗布密着可食性層圧着工程(N)と樹脂フィルム除去工程(O)とを含む製造方法である。
<多重塗布密着可食性層圧着工程(N)>
上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた表面が略平滑な密着可食性層を保持する樹脂フィルムを、図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13または下部巻き出し軸14の一方にセットする。
一方、前述の第3実施形態における塗布平滑表面可食性層形成工程(I)と同様にして得られ、上記樹脂フィルム剥離工程(D)の上記密着可食性層と同一成分または異種成分からなり表面が略平滑な塗布積層可食性層を保持する樹脂フィルムを、圧着装置10の上部巻き出し軸13または下部巻き出し軸14の他方にセットする。すなわち、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた凹凸表面可食性層形成樹脂フィルムを、塗工装置50の樹脂フィルム巻き出し軸51に再度取り付け、塗工液供給用ダム部57に貯めた上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用したものと同様な塗工液58を、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを介して、上記凹凸表面可食性層成形樹脂フィルムの凹凸表面上に塗布し、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を形成することにより、表面が略平滑な塗布積層可食性層を形成する。このとき、樹脂フィルム巻き出し軸51に取り付ける凹凸表面可食性層形成樹脂フィルムは、上記圧着工程(C)で用いた凹凸表面可食性層形成樹脂フィルムの残りのものでもよく、またはこれと同一成分または異種成分からなり新たに上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で別途得られた表面に凹凸のある可食性層を保有する樹脂フィルムでもよい。
圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14から巻き出された密着可食性層と塗布積層可食性層とを互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させ、上述した圧着工程(C)と全く同様な温度圧力条件で樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、密着可食性層と塗布積層可食性層とを相互に密着させて、密着可食性層を形成する。
この場合、上部巻き出し軸13にセットされた一方のものと、下部巻き出し軸14にセットされた他方のものとは、凹凸表面可食性層形成工程(A)において、樹脂フィルム上にコーティング層、支持層または粘着層を塗布形成したのち、その上に凹凸表面可食性層を形成する場合(間接塗布)と、これらコーティング層、支持層または粘着層の形成を行わずに樹脂フィルム上に直接凹凸表面可食性層を形成する場合(直接塗布)とがあり、間接塗布を行う場合でも、一方の樹脂フィルムには支持層の上に凹凸表面可食性層を形成し、他方の樹脂フィルムには粘着層の上に凹凸表面可食性層を形成する等の場合もあり、同一の多層構造を有する密着可食性層と塗布積層可食性層とを圧着させるとは限らない。
<樹脂フィルム除去工程(O)>
上記多重塗布密着可食性層圧着工程(N)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルム16aを、フィルム剥離ロール17を通過した時点で、樹脂フィルム16aの先端部を剥離フィルム巻き取り軸18に巻き取ることにより、前述の樹脂フィルム剥離工程(D)と同様の温度条件で剥離する。
以上、本発明の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法に係わる5つの実施形態について説明したが、本発明方法の特徴を簡単に述べるならば、塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を、当該凹凸表面を互いに対向させて圧着するに際して、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させて圧着するのである。これによって、塊状物質が存在している二つの可食性層の間に塊状物質が実質的に存在しない可食性層が介在している多層構造を有する塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤が得られるのである。
次に、圧着装置10により、所望の多層構造からなる密着可食性層を保持した最終的な圧着製品が得られた後の工程について述べる。すなわち、圧着装置10により得られた塊状物質含有積層フィルム状の可食性層を保持した最終的な圧着製品は、圧着装置10の下流に連接して配設されているスリッター装置30を用いて細幅に裁断される。すなわち、図5に示したように、押圧ロール15、15により圧着された圧着品31は、上面の樹脂フィルムを剥離除去され、最終圧着製品31a(図1、図4の圧着品16bが最終圧着製品となる場合もある)となる。この最終圧着製品31a(例えば可食性層幅460mm)は、スリッター32により例えば幅36mmの12本の細幅圧着製品31bに裁断され、12個のリール33a、33bに細幅圧着製品31bが1本ずつ別々に巻き取られるようになっている。スリッター32は、1本のロール32aの外周に13本の刃32bが周方向に突出して互いに平行に設けられてなり、図1および図4に図示されているように圧着品16を圧着中間品として巻き取り軸19に巻き取る際には、スリッター32とその下のロール34との間隙が開いて開放された状態とされてスリッター32は機能せず、最終圧着製品31aを細幅に裁断する際には、スリッター32とその下のロール34との間隙が閉じられて、ここを通過する最終圧着製品31aが12本の細幅圧着製品31bに裁断される。
図5に示した例では、最終圧着製品31aがスリッター32を通過して、12本の細幅圧着製品31bとされ、そのうちの奇数列の6本の細幅圧着製品31bが前方に配置した製品巻き取り軸35に同軸状にセットされた6個のリール33aにそれぞれ1本ずつ巻き取られ、偶数列の6本の細幅圧着製品31bが後方に配置した製品巻き取り軸19に同軸状にセットされた6個のリール33bにそれぞれ1本ずつ巻き取られる。なお、スリッター32で裁断された最終圧着製品31aの両端切断カス31cは、カス巻き取り軸36で巻き取られる。
このようにして裁断された細幅圧着製品31b(幅36mm)は、例えば図6または図7に示したような口腔内投与剤化装置を用いて例えば円形の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤とすることができる。
図6の口腔内投与剤化装置70においては、図5のリール33a,33bにロール状に巻かれた細幅圧着製品31b、すなわち一方の樹脂フィルムが剥離され、残された樹脂フィルム71の表面に密着可食性層72が保持されている圧着製品が間欠的に巻き出され、残された樹脂フィルム71をフィルム剥離ロール73によって剥離して密着可食性層72のみとする。次いでこの密着可食性層72は打ち抜き装置74により例えば直径15mmの円形に打ち抜かれる。打ち抜き装置74は、上下に往復移動する切断刃74aとこの切断刃が貫通する貫通孔を備えた固定板74bとからなり、間欠移動してきた密着可食性層72が打ち抜き装置74の位置で静止したときに、切断刃74aが上方に移動して固定板74bの貫通孔を貫通することで、密着可食性層72から直径15mmの円形が打ち抜かれる。打ち抜かれた円形密着可食性層は、固定板74bの上方に配設された吸着パッド75により吸い取られ、コンベア(図示せず)上に落とされて包装工程へ送られる。円形密着可食性層が引き剥がされた後の残りの密着可食性層カス72bは、カス巻き取りロール76として巻き取られる。
図7の口腔内投与剤化装置80においては、図5のリール33a,33bにロール状に巻かれた細幅圧着製品31b、すなわち一方の樹脂フィルムが剥離され、残された他方の樹脂フィルム71の表面に密着可食性層72が保持されている圧着製品が連続して巻き出され、打ち抜き装置81へ送られる。打ち抜き装置81は、回転するロール外周面に例えば直径15mmの円形の切断刃82aが突出している切断刃ロール82と、アンビルロール83とからなり、これらのロール82、83の間に圧着製品が連続して挿入され、ロール82と83の間に挟まれた状態で圧着製品が静止したときに、切断刃ロール82から突出する切断刃82aにより、樹脂フィルム71の裏面まで到達しないように密着可食性層72のみを打ち抜く。切断刃82aによる切断深さは、切断刃ロール82とアンビルロール83とのクリアランスを調整することで制御することができる。図7においては、理解しやすくするために切断刃ロール82とアンビルロール83との距離を離して図示しているが、実際の切断動作は切断刃ロール82を一点鎖線で示す位置に配置して行われる。切断刃82aで密着可食性層のみが打ち抜かれた状態では、切断刃の形状に対応する円形の切り込み72aが密着可食性層72に形成されているだけで、密着可食性層72は樹脂フィルム71表面に保持された状態のままである。この状態で、樹脂フィルムと密着可食性層がアンビルロール83の回転に伴って回動し、吸着パッド84の配設位置まで移動したときに、吸着パッド84がアンビルロール83方向に移動し、円形の切り込み72aで囲まれた密着可食性層72を吸い取って樹脂フィルム71から引き剥がし、コンベア(図示せず)上に落とされて包装工程へ送られる。円形密着可食性層が引き剥がされた後の残りの可食性層カス72bは、樹脂フィルム71とともにカス巻き取りロール85として巻き取られる。
口腔内投与剤化装置70や80により製造される塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の最終製品は、その両面から樹脂フィルムが剥離された状態とされている。したがって、圧着工程で重ね合わせた二つの樹脂フィルムは最終的にその両方が剥離されることになる。
しかしながら、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の最終製品形状としては、所定寸法の密着可食性層が樹脂フィルム表面上に付着されていて、口腔内投与剤服用者が樹脂フィルムから密着可食性層を剥がして服用するような製品形状とする場合もある。かような最終製品形状とする場合には、圧着工程で重ね合わせた二つの樹脂フィルムの一方のみを剥離除去すればよいことになる。
以上の説明では、単層または複数層の可食性層を保持した樹脂フィルムを一旦ロール状に巻いてロールフィルムとしたもの同士を圧着するバッチ式操作を例に挙げて本発明を説明した。しかしながら、複数の塗工装置を使用して、各塗工装置で得られた可食性層形成樹脂フィルムをロールフィルムとすることなくそのまま圧着したり、さらには、このようにして得られた複数層の可食性層を保持した樹脂フィルムをロールフィルムとすることなくそのまま、単層または複数層からなる可食性層が形成されたもう一つの樹脂フィルムと圧着する連続式操作によっても本発明を実施することが可能である。
上述の圧着装置10においては、それぞれ可食性層を保持している二つの樹脂フィルムを圧着した後に一方の樹脂フィルムを剥離する。この剥離をよりスムーズにするために、剥離される樹脂フィルムには、少なくとも可食性層が形成される面(表面)に、疎水性物質をコーティングすることにより予め剥離処理を施して、可食性層から樹脂フィルムを剥離しやすくしておくことが望ましい。また、可食性層を保持している樹脂フィルムをロール状に巻いてロールフィルムとする場合は、ロール状に巻いた状態では、可食性層が形成されていない樹脂フィルム面(裏面)も可食性層と接することになる。このとき、樹脂フィルム裏面が可食性層から容易に剥がれないと、ロールフィルムを巻き戻し難くなる。そのため、可食性層を保持している樹脂フィルムをロールフィルムとする場合、剥離される樹脂フィルムには、可食性層が形成される表面とその反対側の裏面との両面に予め剥離処理を施しておくことが望ましく、一方、剥離されずに可食性層を保持している樹脂フィルムには、少なくとも可食性層が形成されない裏面に予め剥離処理を施しておくことが望ましい。
剥離処理するに際して樹脂フィルムにコーティングする疎水性物質としては、食品添加物の規格基準に適合するシリコーン樹脂やワックス(蜜ロウ)等が使用できるほか、アルミ箔や錫箔等の金属箔でコーティングすることもできる。
可食性層を保持するためのベースフィルムとなる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテート、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、トリアセテート、フッ素樹脂(ETFE,PFA,FEP)等の樹脂からなるフィルムから適宜選択して使用することができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく使用できる。
本発明により得られる塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の積層構造は特に限定されるものではなく、所望の薬効あるいは機能を発現させるのに好適な各種の層を適宜の数で積層させることができる。一般的なフィルム状口腔内投与剤の積層構造は、最外層を構成するコーティング層、口腔内投与剤の基剤と有効成分を含有する薬物層、さらに要すれば支持層等が順次積層されて構成されている。本明細書で“可食性”とは、食品および食品添加物として認められている物質及び/又は経口投与が認められている医薬品および医薬品添加物のみからなることを意味しており、可食性のコーティング層、可食性の薬物層、可食性の支持層等を総称する用語として“可食性層”という用語を使用している。
本発明による塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤においては、口腔内投与剤の基剤と有効成分を含有する可食性の薬物層に、可食性層表面が凹凸に形成される因子となる塗工溶媒に不溶または溶けにくい粉末、粒体、粉体、粉粒体等の塊状物質が含有されており、かような塊状物質の例としては、下記のごとき生理活性を有する有効成分として使用できる不溶性薬剤や結晶性の高い薬剤などが挙げられる。
塩酸アゼラスチン(アレルギー性疾患治療剤)、アデニン(白血球減少症用プリン塩基)、アトルパスタチンカルシウム水和物(HMG−CoA還元酵素阻害剤)、アフロクァロン(JP14)(筋緊張性疾患治療剤)、塩酸アモスラロール(α1, β−遮断薬)、アリピプラゾール(ドパミン自己受容体作動薬:統合失調症)、塩酸アロチノロール(α,β−遮断薬)、塩酸アンブロキソール(気道潤滑去痰剤)、マレイン酸イルソグラジン(粘膜防御性胃炎・胃潰瘍治療剤)、エストリオール(卵胞ホルモン)、オキサゾラム(ベンゾジアゼピン系マイナートランキライザー)、カルボコン(抗悪性腫瘍アルキル化剤)、カンデサルタンシレキセチル(アンギオテンシン−II受容体拮抗剤)、クアゼパム(ベンゾジアゼピン系睡眠障害改善剤)、グリベンクラミド(スルホニル尿素系血糖降下剤)、グリメピリド(スルホニル尿素系血糖降下剤)、フマル酸クレマスチン(ベンツヒドリルエーテル系抗ヒスタミン剤)、クロキサゾラム(マイナートランキライザー)、クロナゼパム(ベンゾジアゼピン系抗てんかん剤)、塩酸クロルヘキシジン(口腔内感染予防・治療剤)、酢酸クロルマジノン・メストラノール(黄体・卵胞混合ホルモン)、サントニン(回虫駆除剤)、ジアゼパム(マイナートランキライザー)、ジゴキシン(ジキタリス強心配糖体)、シサプリド(ベンザミド系消化管運動賦活調整剤)、メシル酸ジヒドロエルゴタミン(α−刺激・遮断剤)、リン酸ジメモルファン(鎮咳剤)、ゾピクロン(シクロピロロン系睡眠障害改善剤)、クエン酸タモキシフェン(抗エストロゲン剤)、チアミンジスルフィド(ビタミンB1誘導体)、チオクト酸アミド(代謝性剤)、テノキシカム(オキシカム系消炎鎮痛剤)、トリパミド(血管・腎作動性降圧剤)、トレチノイン(ビタミンA活性代謝物・APL治療剤)、ドンペリドン(消化管運動改善剤)、塩酸ニカルジピン(ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤)、ニトラゼパム(ベンゾジアゼピン系催眠剤)、ニフェジピン(ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤)、ニプラジロール(β−遮断剤)、ニメタゼパム(ベンゾジアゼピン系不眠症治療剤)、バクロフェン(抗痙縮GABA誘導体)、ビオチン(ビタミンH)、臭化エチルピペタナート(抗コリン・鎮痙剤)、ビペリデン(抗パーキンソン剤)、ピモジド(抗精神病薬)、ピロキシカム(オキシカム系消炎鎮痛剤)、ピンドロール(β−遮断剤)、ファモチジン(H2−受容体拮抗剤:胃潰瘍)、塩酸ブナゾシン(α1−遮断剤)、塩酸ブプラノロール(β−遮断剤)、塩酸プラゾシン(α1−遮断剤)、フルニトラゼパム(睡眠及び麻酔導入剤)、ブロチゾラム(チエノトリアゾロジアゼピン系睡眠導入剤)、プロパゲルマニウム(B型慢性肝炎治療・ゲルマニウム剤)、ブロマゼパム(ベンゾジアゼピン系精神神経用剤)、塩酸ブロムヘキシン(気道粘液溶解剤)、ブロムペリドール(ブチロフェノン系精神安定剤)、ベハイドRA錠(血圧降下剤)、ペルフェナジン(フェノチアジン系精神安定剤)、ヘレニエン(暗順応改善カロチノイド)、ベンチルヒドロクロロチアジド(チアジド系降圧利尿剤)、硫酸ペンブトロール(β−遮断剤)、マロン酸ボピンドロール(β−遮断・プロドラッグ)、マジンドール(食欲抑制剤)、塩酸マニジピン(ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤)、メキサゾラム(オキサゾロベンゾジアゼピン系抗不安剤)、メスタノロン(タンパク同化ステロイド)、メチクロチアジド(チアジド系降圧利尿剤)、メチルプレドニゾロン(副腎皮質ホルモン)、メトキサレン(尋常性白斑治療剤)、メトトレキサート(葉酸代謝拮抗剤・抗リウマチ剤)、メピチオスタン(アンドロスタン系腎性貧血・抗乳腺腫瘍剤)、臭化メペンゾラート(過敏大腸症治療抗コリン剤)、メルファラン(抗多発性骨髄腫アルキル化剤)、クエン酸モサプリド(消化管運動促進剤)、葉酸(ビタミンB)、リボフラビン・塩酸ピリドキシン(ビタミンB2、B6剤)、ロフラゼプ酸エチル(ベンゾジアゼピン系持続性心身安定剤)、ロルメタゼパム(睡眠導入剤)等。
また、薬物層に含有させる有効成分として使用できる食品としての塊状物質の例としては、桑の葉(食後高血糖の抑制:糖尿病予防)等の天然物由来による繊維質などが挙げられる。
可食性の薬物層において有効成分とともに用いる基剤としては、例えば下記のごとき物質が単独または適宜組み合わせて使用できる。
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンズガム、グアーガム、カラギーナン(カラゲナン)、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチ、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等。
可食性のコーティング層は、フィルム状口腔内投与剤の表面を保護する機能、あるいは貼付剤として用いる場合の口腔内粘膜への粘着機能をもたらすものであり、例えば下記のごとき物質が単独または適宜組み合わせて使用できる。
ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、水不溶性メタクリル酸共重合体、メタクリル酸エチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンズガム、グアーガム、デキストリン、デキストラン、アミロース、プルラン、キトサン、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等。
可食性の支持層は、口腔内の非ターゲット部分に有効成分が溶出しないようにするためのものであり、例えば下記のごとき物質を単独または適宜組み合わせて、口腔内で難溶解性または不溶解性の層にすることにより目的を達成することができる。
ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ローカストビーンズガム、グアーガム、カラギーナン(カラゲナン)、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セラック系樹脂(セラック、白色透明セラック)、デンプン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット等。
本発明により得られる塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤においては、相互に密着させる各可食性層(可食性のコーティング層、薬物層、支持層等)の各層には、上述のごとき可食性の物質のうち、少なくとも熱可塑性の性質を呈する物質を1種類以上含むことが望ましい。熱可塑性物質を含むことによって、圧着工程における加温により可食性層が若干軟化して確実に密着するようになる。特に熱可塑性の顕著な可食性の物質としては、例えば下記のごとき物質が挙げられ、これら可食性の熱可塑性物質から選択して単独または適宜組み合わせて密着させる相互の各可食性層に含まれるようにするのが望ましい。
アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体、メチルセルロースフタレート等。
なお、デキストリンやデンプンは上記の如く可食性の熱可塑性物質であるが、同じ多糖類であってもデンプンを原料とするプルランは熱可塑性を有していない。プルランの如き熱可塑性を有していない可食性の物質(非熱可塑性物質)は、70℃前後に加熱圧縮しても、粉体のままでフィルム状にならない。密着させる各可食性層にかような非熱可塑性物質を含有させる場合には、非熱可塑性物質に熱可塑性を付与する可食性の熱可塑性付与物質を併用することにより、可食性層の圧着が可能となる。可食性の熱可塑性付与物質としては、例えば下記のごとき物質が挙げられる。可食性の熱可塑性物質が密着させる相互の各可食性層に含まれない場合や、その含有量が少ない場合にも、これら可食性の熱可塑性付与物質から選択して単独または適宜組み合わせて、密着させる相互の各可食性層に含ませるようにすることが望ましい。
ポリエチレングリコール(マクロゴール(日本薬局方))、グリセリン(日本薬局方)、濃グリセリン(日本薬局方)、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物(別名:シリコーン樹脂)、カリオン83(日本薬局方)、クエン酸トリエチル、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(医薬品添加物規格)、ポリオキシエチレン(105)、ポリオキシプロピレン(5)(グリコール医薬品添加物規格)、モノステアリン酸グリセリン(日本薬局方)等。これらの物質は可塑剤としても使用でき、特にポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコールが好ましく使用できる。
本発明により得られる塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の各可食性層である可食性のコーティング層、薬物層、支持層は、上述の成分を例えば下記のごとき溶媒に溶解または分散させたものを用いて、可食性層形成工程において塗布乾燥させることにより形成できる。
水、エタノール、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロラン、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2−トリクロロエテン、キシレン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化メチレン等。これらの溶媒の中では、エタノール、水、酢酸エチルまたはこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が最も好ましく使用される。
また、本発明により得られる塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の各可食性層には、必要に応じて可塑剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤等の可食性の添加剤を添加することができる。可塑剤としては、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン(日本薬局方)、濃グリセリン(日本薬局方)、プロピレングリコール等が使用できる。矯味剤としては、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール等の甘味剤、メントール、ハッカ油等の清涼化剤、クエン酸、酒石酸、フマール等の酸味を与える有機酸化合物等が使用できる。矯臭剤としては、天然または合成の香料が使用できる。着色剤としては、食用レーキ等の通常製剤に用いられるものが使用できる。
[実施例1]
本発明の製造方法により、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤としてのファモチジン含有速溶性フィルム製剤を作成した。
<コーティング層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にマルチトール17.0質量部およびポリエチレングリコール[マクロゴール400(日本薬局方)]8.0質量部を加えて攪拌溶解後、酸化チタン15.0質量部(平均粒子径0.45〜0.50μm:粒度分布10%パス0.21μm、90%パス0.72μm)を加え十分に分散させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMC]60.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量のエタノール100%溶媒にスクラロース0.5質量部を加えて攪拌溶解後、ショ糖脂肪酸エステル1.0質量部を加えて攪拌溶解させ、さらにファモチジン(平均粒子径20〜40μm:粒度分布10%パス10μm、90%パス100μm)40.0質量部を加えて十分に分散させる。これにグレープフルーツオイル0.14質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解後、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC]58.06質量部を加えて攪拌溶解し薬物層溶液とする。
<平滑表面可食性層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にトレハロース29.1質量部およびスクラロース0.5質量部を加えて攪拌溶解後、グレープフルーツオイル0.1質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解させる。これにヒドロキシプロピルセルロース[HPC]70.0質量部を加えて攪拌溶解し平滑表面可食性層溶液とする。
<凹凸表面可食性層形成工程(A)>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μm の可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ40μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で55μm)を形成した(中間製品(a))。
この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<平滑表面可食性層形成工程(B)>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で用いたものとは別の、両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムをセットし、ダム部57に平滑表面可食性層溶液を供給して、PETフィルムの表面に平滑表面可食性層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μmの表面が平滑な可食性層を形成した(中間製品(b))。
<圧着工程(C)>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13にロール状に巻かれた中間製品(b)をセットし、下部巻き出し軸14にロール状に巻かれた中間製品(a)をセットし、巻き出した中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層と中間製品(b)の表面が平滑な可食性層とが対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム剥離工程(D)>
押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間製品(b)のPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品(中間製品(c))を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。PETフィルムを剥離した際の圧着品の温度は、自然放熱により30℃であった。
<多重密着可食性層圧着工程(E)>
上記樹脂フィルム剥離工程(D)終了後、得られたロール状に巻かれた中間製品(c)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層の3層からなる密着可食性層が形成されているもの)を、図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13にセットした。下部巻き出し軸14にはロール状に巻かれた中間製品(a)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層からなる可食性層が塗布されているもの)の残りがセットされたままになっている。
この状態で、巻き出した中間製品(c)の表面が平滑な密着可食性層と中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層とが対向するようにして、上記圧着工程(C)と同じ温度圧力条件で、一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム分離工程(F)>
上記押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間製品(c)のPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品(中間製品(d))(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層+薬物層+コーティング層からなる5層が積層されているもの)を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。剥離の際の温度も上記樹脂フィルム剥離工程(D)とほぼ同じであった。
<製品化工程>
上記中間製品(d)として得られた塊状物質含有フィルム状積層品を、14×20 mm(角がr=3mm)の刃を用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないようにして積層可食性層のみを打ち抜く方法(図7参照)、あるいは、中間品(d)として得られた塊状物質含有フィルム状積層品から裏面のPETフィルムを剥離して積層可食性層のみとした後、角丸長方形状刃で打ち抜く方法(図6参照)により、ファモチジン含有速溶性フィルム製剤を得た。表1に成分割合を示す。
[比較例1]
下記製造方法により、平滑表面可食性層を形成せずにファモチジン含有速溶性フィルム製剤を作成しようと試みた。
<コーティング層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にマルチトール17.0質量部およびポリエチレングリコール[マクロゴール400(日本薬局方)]8.0質量部を加えて攪拌溶解後、酸化チタン酸化チタン15.0質量部(平均粒子径0.45〜0.50μm:粒度分布10%パス0.21μm、90%パス0.72μm)を加え十分に分散させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMC]60.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量のエタノール100%溶媒にスクラロース0.5質量部を加えて攪拌溶解後、ショ糖脂肪酸エステル1.0質量部を加えて攪拌溶解させ、さらにファモチジン(平均粒子径20〜40μm:粒度分布10%パス10μm、90%パス100μm)25.0質量部を加えて十分に分散させる。これにグレープフルーツオイル0.12質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解後、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC]73.06質量部を加えて攪拌溶解し薬物層溶液とする。
<凹凸表面可食性層成形工程>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したPETフィルムをセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μmの可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ65μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で80μm)を形成した(中間製品(a))。この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<圧着・樹脂フィルム剥離工程>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14とにロール状に巻かれた中間製品(a)をそれぞれセットし、巻き出した中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層が互いに対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後、自然放熱により30℃となった密着可食性層の上面に位置するPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って密着可食性層から剥離し、密着可食性層を保持するPETフィルムを巻き取り軸19でロール状に巻き取るように試みた。しかしながら、フィルム剥離ロール17では密着可食性層が元の状態に分離してしまい、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取られた樹脂フィルム16aには圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままで、巻き取り軸19により巻き取られた樹脂フィルム16bも圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままであり、圧着ができなかった。
表2にその製剤の成分割合を示す。
[実施例2]
本発明の製造方法により、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤としてのアリピプラゾール含有速溶性フィルム製剤を作成した。
<コーティング層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にマルチトール17.0質量部、ポリエチレングリコール[マクロゴール400(日本薬局方)]8.0質量部および食用赤色1号0.1質量部を加えて攪拌溶解後、酸化チタン14.9質量部(平均粒子径0.45〜0.50μm:粒度分布10%パス0.21μm、90%パス0.72μm)を加え十分に分散させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMC]60.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量のエタノール100%溶媒にサッカリンナトリウム2.0質量部を加えて攪拌溶解後、アリピプラゾール(平均粒子径21.7μm:粒度分布90%パス粒子径45.1μm)60.0質量部を加えて十分に分散させる。これにチェリーオイル0.14質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解後、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC]37.56質量部を加えて攪拌溶解し薬物層溶液とする。
<平滑表面可食性層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にトレハロース27.6質量部およびサッカリンナトリウム2.0質量部を加えて攪拌溶解後、チェリーオイル0.1質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解させる。これにヒドロキシプロピルセルロース[HPC]70.0質量部を加えて攪拌溶解し平滑表面可食性層溶液とする。
<凹凸表面可食性層形成工程(A)>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μmの可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ40μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で55μm)を形成した(中間製品(a))。
この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<平滑表面可食性層形成工程(B)>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で用いたものとは別の、両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムをセットし、ダム部57に平滑表面可食性層溶液を供給して、PETフィルムの表面に平滑表面可食性層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μmの表面が平滑な可食性層を形成した(中間製品(b))。
<圧着工程(C)>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13にロール状に巻かれた中間製品(b)をセットし、下部巻き出し軸14にロール状に巻かれた中間製品(a)をセットし、巻き出した中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層と中間製品(b)の表面が平滑な可食性層とが対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム剥離工程(D)>
押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間製品(b)のPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品(中間製品(c))を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。PETフィルムを剥離した際の圧着品の温度は、自然放熱により30℃であった。
<多重密着可食性層圧着工程(E)>
上記樹脂フィルム剥離工程(D)終了後、得られたロール状に巻かれた中間製品(c)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層の3層からなる密着可食性層が形成されているもの)を、図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13にセットした。下部巻き出し軸14にはロール状に巻かれた中間製品(a) (PETフィルム上にコーティング層+薬物層からなる可食性層が塗布されているもの)の残りがセットされたままになっている。
この状態で、巻き出した中間製品(c)の表面が平滑な密着可食性層と中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層とが対向するようにして、上記圧着工程(C)と同じ温度圧力条件で、一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム分離工程(F)>
上記押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間製品(c)のPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品(中間製品(d))(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層+薬物層+コーティング層からなる5層が積層されているもの)を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。剥離の際の温度も上記樹脂フィルム剥離工程(D)とほぼ同じであった。
<製品化工程>
上記中間製品(d)として得られた塊状物質含有フィルム状積層品を、14×20mm(角がr=3mm)の刃を用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないようにして積層可食性層のみを打ち抜く方法(図7参照)、あるいは、中間品(d)として得られた塊状物質含有フィルム状積層品から裏面のPETフィルムを剥離して積層可食性層のみとした後、角丸長方形状刃で打ち抜く方法(図6参照)により、アリピプラゾール含有速溶性フィルム製剤を得た。表3に成分割合を示す。
[比較例2]
下記製造方法により、平滑表面可食性層を形成せずにアリピプラゾール含有速溶性フィルム製剤を作成しようと試みた。
<コーティング層溶液の調製>
適量のエタノール/水混合溶媒(エタノール40質量部含有)にマルチトール17.0質量部、ポリエチレングリコール[マクロゴール400(日本薬局方)] 8.0質量部および食用赤色1号0.1質量部を加えて攪拌溶解後、酸化チタン14.9質量部(平均粒子径0.45〜0.50μm:粒度分布10%パス0.21μm、90%パス0.72μm)を加え十分に分散させ、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMC]60.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量のエタノール100%溶媒にサッカリンナトリウム2.0質量部を加えて攪拌溶解後、アリピプラゾール(平均粒子径21.7μm:粒度分布90%パス粒子径45.1μm)37.5質量部を加えて十分に分散させる。これにチェリーオイル0.12質量部およびL−メントール0.3質量部を加え溶解後、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC]60.08質量部を加えて攪拌溶解し薬物層溶液とする。
<凹凸表面可食性層成形工程>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したPETフィルムをセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ15μmの可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度70℃で乾燥して厚さ65μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で80μm)を形成した(中間製品(a))。この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<圧着・樹脂フィルム剥離工程>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14とにロール状に巻かれた中間製品(a)をそれぞれセットし、巻き出した中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層が互いに対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後、自然放熱により30℃となった密着可食性層の上面に位置するPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って密着可食性層から剥離し、密着可食性層を保持するPETフィルムを巻き取り軸19でロール状に巻き取るように試みた。しかしながら、フィルム剥離ロール17では密着可食性層が元の状態に分離してしまい、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取られた樹脂フィルム16aには圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままで、巻き取り軸19により巻き取られた樹脂フィルム16bも圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままであり、圧着ができなかった。
表4にその製剤の成分割合を示す。
[実施例3]
本発明の製造方法により、塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤としての桑の葉含有徐放型食品シートを作成した。
<コーティング層溶液の調製>
適量の水に濃グリセリン15.0質量部を加えて攪拌する。別に少量のエタノールにショ糖脂肪酸エステル1.0質量部を加えて攪拌溶解し先のグリセリン水溶液に添加する。これにプルラン84.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量の水にトレハロース5.0質量部を加えて攪拌溶解後、濃グリセリン9.9質量部を加え攪拌する。別に桑の葉粉末(平均粒子径20〜30μm:粒度分布99μmすべてパス)25.0質量部、α化デンプン35.0質量部、酵素変性デンプン25.0質量部およびスクラロース0.1質量部を加えてこれら粉体を十分に混合させる。十分に混合させた粉体を先の水溶液に加えて攪拌混合し薬物層溶液とする。
<平滑表面可食性層溶液の調製>
適量の水にトレハロース5.0質量部を加えて攪拌溶解後、濃グリセリン9.9質量部を加え攪拌する。別にα化デンプン35.0質量部、酵素変性デンプン50.0質量部およびスクラロース0.1質量部を加えてこれら粉体を十分に混合させる。十分に混合させた粉体を先の水溶液に加えて攪拌溶解し平滑表面可食性層溶液とする。
<凹凸表面可食性層形成工程(A)>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度80℃で乾燥して厚さ32μmの可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度80℃で乾燥して厚さ45μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で77μm)を形成した(中間製品(a))。
この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<塗布平滑表面可食性層成形工程(I)>
中間製品(a)のコーティング層と薬物層の二層からなる表面に凹凸がある可食性層を形成したPETフィルムを、再度巻き出し軸51にセットし、その薬物層上に平滑表面可食性層溶液を塗布した後、乾燥温度80℃で乾燥して厚さ27μmの表面が平滑な可食性層(三層で104μm)を形成した (中間製品(b))。
<多重塗布積層可食性層圧着工程(L)>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14とにロール状に巻かれた中間製品(b)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層の3層からなる可食性層が塗布形成されているもの)をそれぞれセットし、巻き出した中間製品(b)の表面が平滑な可食性層が互いに対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム剥離除去工程(M)>
押圧ロール15、15を通過した後、自然放熱により30℃となった密着可食性層の上面に位置するPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って密着可食性層から剥離し、密着可食性層を保持するPETフィルムを巻き取り軸19でロール状に巻き取とった(中間製品(c))。
<密着多重可食性層圧着工程>
上記樹脂フィルム剥離除去工程(M)終了後、得られたロール状に巻かれた中間製品(c)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層+平滑表面層+薬物層+コーティング層の6層からなる可食性層が積層されているもの)を、図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14とにそれぞれセットする。
この状態で、巻き出した中間製品(c)の表面が平滑なコーティング層が互いに対向するようにして、上記多重塗布積層可食性層圧着工程(L)と同じ温度圧力条件で、一組の押圧ロール15、15の間に通し、密着多重可食性層同士を密着させて積層した。
<樹脂フィルム分離工程>
上記押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間製品(c)のPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品(中間製品(d))を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。剥離の際の温度も上記樹脂フィルム剥離除去工程(M)とほぼ同じであった。
<製品化工程>
上記中間製品(d)(PETフィルム上にコーティング層+薬物層+平滑表面層+平滑表面層+薬物層+コーティング層+コーティング層+薬物層+平滑表面層+平滑表面層+薬物層+コーティング層の12層からなる圧着品)として得られた塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤を、直径15mmの円形状刃を用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないようにして積層可食性層のみを打ち抜く方法(図7参照)、あるいは、中間品(d)として得られたフィルム状積層品から裏面のPETフィルムを剥離して積層可食性層のみとした後、円形状刃で打ち抜く方法(図6参照)により、桑の葉含有徐放型食品シートを得た。表5に成分割合を示す。
[比較例3]
下記製造方法により、平滑表面可食性層を成形せずに桑の葉含有徐放型食品シートを作成しようと試みた。
<コーティング層溶液の調製>
適量の水に濃グリセリン15.0質量部を加えて攪拌する。別に少量のエタノールにショ糖脂肪酸エステル1.0質量部を加えて攪拌溶解し先のグリセリン水溶液に添加する。これにプルラン84.0質量部を加えて攪拌溶解しコーティング層溶液とする。
<凹凸表面可食性層(薬物層)溶液の調製>
適量の水にトレハロース5.0質量部を加えて攪拌溶解後、濃グリセリン9.9質量部を加え攪拌する。別に桑の葉粉末(平均粒子径20〜30μm:粒度分布99μmすべてパス)15.0質量部、α化デンプン35.0質量部、酵素変性デンプン30.0質量部およびスクラロース0.1質量部を加えてこれら粉体を十分に混合させる。十分に混合させた粉体を先の水溶液に加えて攪拌混合し薬物層溶液とする。
<凹凸表面可食性層成形工程>
図9の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したPETフィルムをセットし、ダム部57にコーティング層溶液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)にコーティング層溶液を塗布した後、乾燥温度80℃で乾燥して厚さ32μmの可食性のコーティング層を形成した。
コーティング層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸51にセットし、そのコーティング層上に薬物層溶液を塗布した後、乾燥温度80℃で乾燥して厚さ80μmの表面に凹凸がある薬物層(二層で112μm)を形成した(中間製品(a))。この中間製品(a)の凹凸をデジタルシックネスゲージSMD−565(株式会社テクロック製)で測定したところ、凹凸の高低差が最大20μmあった。
<圧着・樹脂フィルム剥離工程>
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14とにロール状に巻かれた中間製品(a)をそれぞれセットし、巻き出した中間製品(a)の表面に凹凸がある可食性層が互いに対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性層の圧着温度40℃、圧力1.0MPaで可食性層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後、自然放熱により30℃となった密着可食性層の上面に位置するPETフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って密着可食性層から剥離し、密着可食性層を保持するPETフィルムを巻き取り軸19でロール状に巻き取るように試みた。しかしながら、フィルム剥離ロール17では密着可食性層が元の状態に分離してしまい、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取られた樹脂フィルム16aには圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままで、巻き取り軸19により巻き取られた樹脂フィルム16bも圧着前のコーティング層と薬物層が保持されたままであり、圧着ができなかった。
表6にこの製剤の成分割合を示す。
本発明の方法を実施するための圧着装置の実施例を示す説明図。 図1の圧着装置における押圧ロールから送出される圧着品の搬送方向の説明図。 図1の圧着装置における剥離されるフィルムの剥離ロールと巻き取り軸の位置関係の説明図。 図1の圧着装置の動作の一例を示す説明図。 図1の圧着装置と連接して配置されたスリッター装置の実施例を示す説明図。 本発明の方法で得られた最終圧着製品の口腔内投与剤化装置の実施例を示す斜視図。 本発明の方法で得られた最終圧着製品の口腔内投与剤化装置の別な実施例を示す斜視図。 圧着法で得られた最終圧着製品および従来の積層塗布法で得られた同様な積層製品の断面を示す顕微鏡写真(800倍)。 可食性層を塗布・乾燥するための塗工装置の一例を示す説明図。
符号の説明
10:圧着装置
11、12、20:ロールフィルム
13、14:ロールフィルムの巻き出し軸
15、15:押圧ロール
17:フィルム剥離ロール
19:ロールフィルム巻き取り軸
30:スリッター装置
32:スリッター
33a、33b:細幅圧着製品巻き取りリール
50:塗工装置
54:ドクターロール
55:乾燥炉
57:塗工液供給用ダム部
61、61:押圧ロール
63:フィルム剥離ロール
70、80:口腔内投与剤化装置
74、81:打ち抜き装置
X、Y:積層された可食性層の境界

Claims (18)

  1. 塊状物質の存在により表面に凹凸がある可食性層同士を、当該凹凸表面を互いに対向させて圧着するに際して、塊状物質が実質的に存在しない可食性層を介在させて圧着することを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  2. (A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
    (B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
    (C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
    (D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、
    (E)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、上記凹凸表面可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された塊状物質の存在により表面に凹凸のある凹凸表面可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重可食性層圧着工程と、
    (F)上記多重可食性層圧着工程(E)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム分離工程と
    を含むことを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  3. (A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
    (B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
    (C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
    (D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、
    (G)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、当該密着可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と平滑表面可食性層形成工程(B)と圧着工程(C)と樹脂フィルム剥離工程(D)とを経て樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重密着可食性層圧着工程と、
    (H)上記多重密着可食性層圧着工程(G)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム分離除去工程と
    を含むことを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  4. (A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
    (I)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成する塗布平滑表面可食性層形成工程と、
    (J)上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層と、上記凹凸表面可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された塊状物質の存在により表面に凹凸のある凹凸表面可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる塗布可食性層圧着工程と、
    (K)上記塗布可食性層圧着工程(J)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム剥離工程と
    を含むことを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  5. (A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
    (I)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)で得られた樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成する塗布平滑表面可食性層形成工程と、
    (L)上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層と、当該塗布積層可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記塗布平滑表面可食性層形成工程(I)とを経て樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な塗布積層可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重塗布積層可食性層圧着工程と、
    (M)上記多重塗布積層可食性層圧着工程(L)で重ね合わせた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム剥離除去工程と
    を含むことを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  6. (A)塊状物質が存在する塗工液を樹脂フィルム上に直接または間接に塗布して表面に凹凸がある所定厚さの凹凸表面可食性層を形成する凹凸表面可食性層形成工程と、
    (B)表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により樹脂フィルム上に形成する平滑表面可食性層形成工程と、
    (C)上記凹凸表面可食性層形成工程(A)と上記平滑表面可食性層形成工程(B)とでそれぞれ得られた各樹脂フィルム上に形成された可食性層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、可食性層を相互に密着させる圧着工程と、
    (D)上記圧着工程(C)で得られた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの上記平滑表面可食性層形成工程(B)で使用した樹脂フィルムのみを剥離するフィルム剥離工程と、
    (N)上記樹脂フィルム剥離工程(D)で得られた樹脂フィルム上に形成された表面が略平滑な密着可食性層と、当該密着可食性層と同一成分または異種成分からなり上記凹凸表面可食性層形成工程(A)により樹脂フィルム上に形成された可食性層の凹凸表面に、表面が略平滑な所定厚さの可食性層を塗布により形成した塗布積層可食性層とを、互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、当該可食性層相互を密着させる多重塗布密着可食性層圧着工程と、
    (O)上記多重塗布密着可食性層圧着工程(N)で重ね合わせた密着可食性層の両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する樹脂フィルム除去工程と
    を含むことを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  7. 上記各可食性層面を互いに重ね合わせて圧着する際の圧力を0.05〜1.5MPaとし、その際の可食性層の温度を30℃〜70℃とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  8. 上記可食性層相互を圧着させた後、樹脂フィルムを当該密着可食性層から剥離するまでに、当該密着可食性層を、圧着する際の可食性層の温度より10℃以上冷却し、かつ、その冷却された可食性層の温度が0℃以下にならないようにすることを特徴とする請求項7に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  9. 層中に塊状物質が存在して表面に凹凸が形成された可食性層の厚さが25〜300μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  10. 上記塊状物質が生理活性を有する有効成分であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  11. 相互に密着させる上記可食性層の各層には、可食性の熱可塑性物質を含有させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  12. 上記可食性の熱可塑性物質は、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体およびメチルセルロースフタレートからなる群より選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項11に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  13. 相互に密着させる上記可食性層の各層には、可食性の非熱可塑性物質と可食性の熱可塑性付与物質とを含有させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の製造方法。
  14. 塊状物質が存在している二つの可食性層の間に塊状物質が実質的に存在しない可食性層が介在していることを特徴とする塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤。
  15. 上記塊状物質が生理活性を有する有効成分であることを特徴とする請求項14に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤。
  16. 上記塊状物質が存在している可食性層の少なくとも一方の層と塊状物質が実質的に存在しない可食性層には、可食性の熱可塑性物質を含有していることを特徴とする請求項14または15に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤。
  17. 上記可食性の熱可塑性物質は、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体およびメチルセルロースフタレートからなる群より選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項16に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤。
  18. 上記塊状物質が存在している可食性層の少なくとも一方の層と塊状物質が実質的に存在しない可食性層には、可食性の非熱可塑性物質と可食性の熱可塑性付与物質とを含有していることを特徴とする請求項14または15に記載の塊状物質含有積層フィルム状の可食性口腔内投与剤。
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