JP2005337087A - エンジン制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンを一時的に停止させた後に再始動する際、再始動遅れを抑制できるエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】 エンジンの始動に用いられる着火源としての発熱手段GPと、該発熱手段GPの温度を制御する制御手段S7、S14、S16と、エンジンの停止後に近い将来の再始動を予測する予測手段S4とを備え、上記制御手段S7、S14、S16は、上記予測手段S4がエンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることを予測したとき、上記発熱手段GPの温度をエンジンの停止中所定温度(キープ温度)に保持し、エンジンの再始動時には、上記発熱手段GPの温度を上記所定温度以上の再始動に適した温度にまで昇温するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンの始動に用いられる着火源として発熱手段を有するエンジンの制御装置に関する。
エンジンの始動に用いられる着火源に発熱手段を有するエンジンとして、例えば天然ガス直接噴射式エンジンが存在する。
このエンジンにおいては、種々ある着火方式のうち、信頼性で有利なグロープラグ連続加熱方式を採用している。この方式に用いられるグロープラグの機能は、ディーゼルエンジンに用いられるグロープラグよりもガソリンエンジンに用いられるスパークプラグに近く、エンジン始動時の予熱機能のみならずエンジン運転中の着火機能をも有する。但し、スパークプラグのように火花による着火ではなく、熱による着火を行っている。すなわち、グロープラグにはバッテリーが接続されて電力が供給され、グロープラグは電気抵抗によって発熱するようになっている。
従来、上記グロープラグを備えた天然ガス直接噴射式エンジンにおいては、エンジンを停止したときには、バッテリーからグロープラグへの通電をカットしていた。
特開2000−130208号公報 特表2003−512555号公報
しかし、上記エンジンを車両(バス、トラック等を含む)に搭載した場合、運転者が例えば信号待ち、渋滞時、乗客の乗降時、荷物の積み卸し時等にエンジンを一時的に停止させたときバッテリーからグロープラグへの通電がカットされると、時間経過に伴ってグロープラグの温度が下がってしまう。このため、所定時間が経過してグロープラグの温度が所定温度以下となった後にエンジンを再始動する場合には、グロープラグを再通電してグロープラグが着火可能な温度まで昇温するまで待つ必要があり、これには実際上数秒が必要となる。この結果、エンジンの再始動が遅れ、エンジンを再始動する運転者が再始動遅れを感じ、フィーリングが悪化するという問題が生じた。
特に、環境への配慮や省エネルギー上の観点から、上記エンジンを搭載した車両について、信号待ち、渋滞時、乗客の乗降時、荷物の積み卸し時等の停車時にエンジンのアイドリングを一時的に停止し、運転者の意思に応じて再始動するアイドル・スタート・ストップ・システムを採用した場合、エンジン停止から再始動までの時間が比較的長いと、エンジンの暖機状況等によってはエンジンの停止中にグロープラグの温度が所定温度以下に低下してしまい、上述した再始動遅れが頻繁に生じる虞がある。
そこで、上記課題を解決すべく創案された本発明の目的は、エンジンを一時的に停止させた後に再始動する際、再始動遅れを抑制できるエンジン制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、エンジンの始動に用いられる着火源としての発熱手段と、該発熱手段の温度を制御する制御手段と、エンジンの停止後に近い将来の再始動を予測する予測手段とを備え、上記制御手段は、上記予測手段がエンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることを予測したとき、上記発熱手段の温度をエンジンの停止中所定温度に保持し、エンジンの再始動時には、上記発熱手段の温度を上記所定温度以上の再始動に適した温度にまで昇温するものである。
上記予測手段は、運転者が運転シートに着席していることを検知する手段を有し、エンジンの停止時、少なくとも該手段が運転者が運転シートに着席していることを検出したことを条件に、近い将来エンジンが再始動されると予測するものであってもよい。
上記予測手段は、エンジンの停止時に運転者が運転シートに着席していなくても所定条件の下に近い将来エンジンが再始動される信号を出力する手段を有し、エンジンの停止後、少なくとも該手段が上記信号を出力したことを条件に、近い将来エンジンが再始動されると予測するものであってもよい。
上記発熱手段は、バッテリーに接続され電気抵抗により発熱する発熱体を有し、上記制御手段は、上記バッテリーの電圧が所定電圧以下の場合には上記バッテリーから上記発熱体への通電を中止するものであってもよい。
上記制御手段が上記バッテリーから上記発熱体への通電を中止するに先立って、運転者に通電の中止を知らせる告知手段を有するものであってもよい。
上記制御手段は、上記発熱体の電気抵抗を検出する手段を有し、該手段で求めた電気抵抗値に基づいて上記発熱体の温度を制御するものであってもよい。
上記エンジンを、所定の停止条件の下に一時的に停止させ、所定の再始動条件の下に再始動させるエンジンの自動停止再始動手段を備えたものであってもよい。
上記エンジンは、天然ガス直接噴射式エンジンであってもよい。
本発明によれば、エンジンの再始動時には、エンジンの停止中に所定温度に保持しておいた発熱手段を再始動に適した温度に昇温するので、所定温度の保持を行わなかった場合と比べて昇温時間を短縮でき、エンジンの再始動遅れを抑制できる。また、エンジン停止中に発熱手段を所定温度に保持することは、エンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることが予測されたときに成されるので、発熱手段の無駄な予熱を防止できる。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施形態の概要を説明すると、本実施形態に係るエンジン制御装置は、エンジンの始動に用いられる着火源としての発熱手段と、発熱手段の温度を制御する制御手段と、エンジンの停止後に近い将来の再始動を予測する予測手段とを備えている。制御手段は、予測手段がエンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることを予測したとき、発熱手段の温度をエンジンの停止中所定温度に保持しておき、エンジンの再始動時には、発熱手段の温度を上記所定温度以上の再始動に適した温度にまで昇温する。これにより、エンジンの再始動遅れが抑制される。
上記所定温度は、エンジンの再始動時に発熱手段をこの所定温度から再始動に適した温度にまで昇温するとき、運転者にとって違和感の無い時間(例えば0.1秒程度)で昇温可能な温度に設定される。かかる所定温度は、発熱手段の発熱能力や熱容量等によって変化するため、実験やシミュレーション等によって事前に求めておく。
ところで、エンジンを一時的に停止させた後の再始動遅れを抑制するためには、エンジンの停止中に常に発熱手段の温度を再始動に適した温度に加熱しておくことも考えられる。しかし、発熱手段を常に再始動に適した温度に加熱・保持することは、発熱手段を加熱するためのバッテリーの容量の大型化及び寿命の短命化を招くのみならず、発熱手段そのものの寿命の短命化をも招く。
そこで、エンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることが予測されるときのみ、エンジンの停止中に発熱手段を再始動に適した温度よりも低い上記所定温度に保持しておくこととした。これにより、上述のようにエンジンの再始動遅れが抑制されるのみならず、バッテリーの大型化・短命化を抑制できると共に発熱手段自身の短命化をも抑制できる。
本実施形態においては、上記エンジンには、天然ガス直接噴射式エンジンが用いられている。図4及び図5に示すように、このエンジンのシリンダヘッドSHには、シリンダ内に燃料(天然ガス)を直接噴射するためのインジェクタノズルINが装着されていると共に、上記発熱手段としてグロープラグGPが装着されている。なお、図5中、Vは、吸気弁又は排気弁である。
グロープラグGPは、シリンダ内に露出する部分がインジェクタノズルINに近接されて配置されており、エンジン始動時にインジェクタノズルINの近傍の雰囲気温度を上昇させるための予熱機能と、エンジン運転中にインジェクタノズルINから噴射された燃料(天然ガス)を加熱して着火させるための着火機能とを有する。
また、グロープラグGPは、バッテリーに接続されて電気抵抗によって発熱する発熱体Hを有すると共に、発熱体Hを覆う有底円筒状のシールドSを有する。シールドSは、予熱時又は着火時に赤熱される発熱体Hに、比較的低温の燃料が直接接触することを防止し、ヒートショックによる発熱体Hの損傷を回避する。
発熱体Hは、制御手段(ECU:エンジンコントロールユニット)によってバッテリーから発熱体Hへ供給される電力が調節され、その温度が制御されるようになっている。詳しくは、制御手段は、発熱体Hの電気抵抗を検出する電気抵抗検出手段を有し、この手段で求めた電気抵抗値に基づいて発熱体Hへ供給する電力を調節し、発熱体Hの温度を所望温度に制御する。電気抵抗によって発熱する発熱体Hは、一般に温度と電気抵抗とに相関関係を有し、特に品質管理されて安定した性能を発揮するグロープラグGPに用いられるものにおいてはその電気抵抗値を検出することで、発熱部近傍の温度を精度よく推定できるのである。
電気抵抗検出手段としては、例えば、発熱体Hの電流入力部と電流出力部との間の電圧Vを測定する電圧測定部と、発熱体Hを流れる電流Iを測定する電流測定部とを備え、電圧Vを電流Iで除して抵抗Rを求めるもの等が挙げられる。
本実施形態においては、エンジンが停止された後、上記予測手段がエンジンの近い将来の再始動を予測したときには、エンジン停止中であっても電気抵抗検出手段が発熱体Hの電気抵抗の測定を継続し、この電気抵抗値に基づいて制御手段が発熱体Hへの供給電力を調節し、発熱体Hの温度をエンジンの停止中に上記所定温度に保つ。
ここで、発熱体Hはエンジンが停止される直前までは通常の運転によって高温状態となっていたものであるので、発熱体Hの温度を上記所定温度に保つためには発熱体Hの放熱による低温化を抑制する電力量を発熱体Hに供給すれば足りる。よって、一旦完全に冷却してから再度上記所定温度まで昇温する場合と比べ、少ない電力で発熱体Hを所定温度に保持でき、電力的に有利となる。
ところで、予測手段がエンジンの近い将来の再始動を予測した場合であっても、運転者の都合や電気的な不具合等により近い将来の再始動が行われない場合もあり得る。この場合、バッテリーから発熱体Hに電力を供給し続けると、バッテリーの電圧が低下し、エンジンの再始動が困難となる。このため、バッテリーの電圧が所定電圧以下の場合には、バッテリーから発熱体Hへの通電を中止し、発熱体Hの予熱を中止する。
また、このように発熱体Hへの通電を中止する場合には、発熱体Hが放熱によって冷えてしまうため、再始動に多少時間がかかる。よって、このことを運転者に知らせるため、運転室に設けられたランプ・ブザー等の告知手段を作動させておく。
さて、上記予測手段は、エンジンの停止後に近い将来の再始動を予測するものであるが、本実施形態では運転者が運転シートに着席していることを検知する手段を有し、エンジンの停止後、少なくともこの手段が運転者が運転シートに着席していることを検出したことを条件に、近い将来エンジンが再始動されると予測する。
運転者が運転シートに着席していることを検知する手段としては、例えば、運転シート内に設けられシートの撓み量を検出するセンサ等が挙げられる。このセンサが所定量以上のシートの撓みを検出したときに、運転者が運転シートに着席していると判断する。
上記エンジンが搭載された車両(バス・トラック等も含む)には、環境への配慮や省エネルギー上の観点から、エンジンを所定の停止条件の下に一時的に停止させ、所定の再始動条件の下に再始動させるエンジンの自動停止再始動手段(アイドル・スタート・ストップ・システム)が備えられている。この手段により、信号待ち、渋滞時、乗客の乗降時、荷物の積み卸し時等の停車時にエンジンのアイドリングが一時的に停止され、運転者の意思に応じて再始動される。
上記停止条件としては、例えば、アイドルスタートストップモードスイッチがONされていること、車両側のエンジン停止OKの信号がONされていること、運転手側のエンジン停止OKの信号がONされていること等が挙げられる。これらの条件については後に図1を用いて詳述する。
アイドルスタートストップモードスイッチは、運転室内に設けられ、運転者の意思によって適宜ON・OFFされる。車両側のエンジン停止OKの信号は、例えば、車速が零であり、パワステ(パワーステアリング)の作動がない等の条件が全て満足されたとき生成される。運転手側のエンジン停止OKの信号は、例えばクラッチがON(接続状態)であり、アクセルペダルがフリー(踏み込まれていない)等の条件が全て満足されたとき生成される。
他方、上記再始動条件としては、例えば、クラッチペダルが踏み込まれる、変速レバーがニュートラル状態でアクセルペダルが踏み込まれる等の条件が挙げられる。これらの条件のいずれかが満足されたとき、エンジンが再始動される。
本実施形態の作用を図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すように、先ずアイドル・ストップ・スタート・モード・スイッチがONされているか判断される。ノーならばステップS6に向かい通常の運転(アイドル・スタート・ストップ・システムが作動しない運転)となる。イエスならばステップS2に向かう。
ステップS2においては、「車両がエンジンを停止してもOKの状態」の信号がONされているか判断され、イエスならばステップS3に向かう。ステップS3においては、「運転者がエンジンを停止してもOKの状態」の信号がONされているかが判断され、イエスならばステップS4に向かう。ここで、ステップS2、S3が共にイエスということは、アイドル・ストップ・スタート・モードにおけるエンジンの停止条件が満足されていることを意味する。他方、ステップS2、S3の少なくとも一方がノーのときは、上記停止条件が満足されないので、ステップS6に向かい通常の運転となる。この場合、アイドル・ストップ・スタート・モードによるエンジンの停止は行われない。
ステップS4においては、「運転者が運転シートに着席している」の信号がONされているかが判断される。イエスならば、エンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることが予測されるのでステップS5に向かう。ノーならば、上記予測ができないので、ステップS6に向かい通常の運転となる。この場合も、アイドル・ストップ・スタート・モードによるエンジンの停止は行われない。
ステップS5においては、エンジンが停止される。
次に、図2のステップS7においては、グロープラグGP(発熱体H)の電気抵抗(温度)が第1所定値(キープ温度)以上か判断される。キープ温度は、エンジンを再始動するために発熱体Hに適した温度よりも低く、再始動時に発熱体Hをこのキープ温度から再始動に適した温度にまで昇温するとき、運転者にとって違和感の無い時間(例えば0.1秒程度)で昇温可能な温度に設定される。かかるキープ温度は、発熱体Hの発熱能力や熱容量等によって変化するため、実験やシミュレーション等によって事前に求めておく。キープ温度は、特許請求の範囲の所定温度に相当する。
ステップS7がイエスならばステップS7の直上に戻り、ステップS7がノーとなるまで循環する。この循環中、グロープラグGPは上記キープ温度以上であるため、エンジンを再始動するときに再始動遅れが生じることはなく、予熱のためのグロープラグGPへの通電は行われない。所定時間が経過してグロープラグGPが放熱により温度が低下してキープ温度未満となったなら、ステップS7がノーとなり、ステップS8に向かう。
ステップS8においては、バッテリーの電圧が所定電圧以上かが判断される。イエスなら、ステップS9に向かいバッテリーからグロープラグGPへ少量の通電がなされる。この通電によりグロープラグGPが発熱(予熱)される。
次にステップS10においてエンジンの再始動信号が出力されているかが判断される。この再始動信号は、アイドル・ストップ・スタート・モードにおける再始動条件(例えば、クラッチペダルが踏み込まれる、変速レバーがニュートラル状態でアクセルペダルが踏み込まれる等)が満足されたとき出力される。ノーならば、ステップS7に戻り、グロープラグGPがキープ温度以上となるまでステップS7、S8、S9、S10を循環する。そして、グロープラグGPがキープ温度以上となったならステップS7のイエスの経路を循環する。これにより、エンジンの停止中、グロープラグGPが少なくともキープ温度に保持される。
ステップS7、S8、S9、S10の循環中、バッテリーの電圧が所定電圧未満となったなら、ステップS8がノーとなり、ステップS11に向かい運転室に設置したランプ・ブザー等の告知手段を作動させ、その後、ステップS12に向かい通常の運転となる。ここでの通常の運転とは、グロープラグGPへの通電を行わないことである。
ステップS8がノーとなる場合とは、運転者の都合や回路の電気的な不具合等によりエンジンの再始動が所定時間なされずに、バッテリーによるグロープラグGPの予熱が長時間継続された場合である。このような場合、バッテリーからグロープラグへの通電を継続すると、バッテリーの電圧が低下し、エンジンの再始動が困難となる。このため、バッテリーの電圧が所定電圧以下の場合には、バッテリーからグロープラグGPへの通電を中止している。
このようにグロープラグGPへの通電を中止する場合には、グロープラグGPが放熱によって冷えてしまうため、再始動に多少時間がかかる。よって、このことを運転者に知らせるため、運転室に設けられたランプ・ブザー等の告知手段を作動させておく。これにより、運転者は、再始動時の始動遅れによる違和感の原因を知ることができる。
但し、通常はステップS4で運転者が運転シートに着席していることが確認されているため、ステップS7、S8、S9、S10の循環中に、バッテリーが発熱体Hへの放電により所定電圧未満となってステップS8がノーとなる前に、エンジンの再始動信号が出力されてステップS10がイエスとなり、図3のステップS13に向かうことが多い。
ステップS13においてはバッテリーからグロープラグGPへ多量の通電がなされる。これにより、グロープラグGPがキープ温度以上に加熱される。
ステップS14では、グロープラグGPの電気抵抗(温度)が第2所定値(スタータ作動適温)以上か判断される。スタータ作動適温は、キープ温度よりも高温である。ステップS14がノーならば、ステップS13に戻り、グロープラグGPへの多量の通電が再度なされ、ステップS14がイエスとなるまでステップS14、S13を循環する。
ステップS14がイエスとなったならステップS15に向かい、スタータの作動が許可される。
次にステップS16においては、グロープラグGPの電気抵抗(温度)が所定範囲内(始動/運転に適した温度範囲内)かが判断される。この所定範囲内とは、その最低値がステップS14の第2所定値より小さく、最高値が第2所定値より大きく設定されており、エンジンの始動/運転に適した温度範囲内に設定されている。ステップS16がイエスならステップS17にてグロープラグGPへ通常の通電が行われ、ステップS20にて通常の運転となる。これによりエンジンが始動・運転される。
ステップS16において、グロープラグGPの電気抵抗が所定範囲内に入っておらず上記最低値よりも低い場合、ステップS18に向かいグロープラグGPへ通常よりも多量の通電がなされる。これにより、グロープラグGPの温度上昇が促進される。そして、ステップS16に戻り、グロープラグGPの電気抵抗(温度)が上昇して所定範囲内に入るまでステップS18、S16の循環がなされ、所定範囲に入ったならステップS17、S20に向かい、通常の運転となり、エンジンが始動・運転される。
ステップS16において、グロープラグGPの電気抵抗が所定範囲内に入っておらず上記最高値よりも高い場合、ステップS19に向かいグロープラグGPへ通常よりも少量の通電がなされる。これにより、グロープラグGPの温度上昇が抑制される。そして、ステップS16に戻り、グロープラグGPの電気抵抗(温度)が低下して所定範囲内に入るまでステップS19、S16の循環がなされ、所定範囲に入ったならステップS17、S20に向かい、通常の運転となり、エンジンが始動・運転される。
但し、ステップS14によってグロープラグGPの温度が略第2所定値(スタータ作動温度)に保持されているので、エンジン始動時には通常ステップS16からステップS17に向かい、ステップS18又はステップS19に向かうことはない。ステップS18、ステップS19はエンジンの始動時よりも運転中に機能することになる。すなわち、エンジンの運転中、ステップS16、S17、S18、S19によってグロープラグGPの温度がエンジンの運転中における燃料の着火に適した所定の温度範囲内に制御される。
以上の制御により、本実施形態は以下の効果を発揮できる。
<再始動時間の短縮化>
エンジンが一時的に停止された後に再始動が予測されるときには、エンジンの停止中にグロープラグGPを予熱してスタータの作動適温(エンジンの再始動に適した温度)より低い所定温度に保持しておくので、エンジンの再始動時にグロープラグGPをスタータの作動適温にまで昇温するとき、運転者にとって違和感の無い時間(例えば0.1秒程度)で昇温でき、エンジンの再始動遅れが大幅に抑制される。このように再始動時間が短縮されるので、運転者にとって違和感のないエンジンの再始動が可能となる。
エンジン再始動時間の短縮化のためになされるステップS9におけるグロープラグGPの予熱は、ステップS4にて運転者が運転シートに着席していることを確認したときにのみ、エンジン停止後に近い将来再始動がされる可能性が高いと予測されて行われる。よって、運転者が運転シートから離れておりエンジン停止後における近い将来の再始動の可能性が低い場合の無駄な予熱を防止でき、バッテリーの消耗を抑制できる。
また、ステップS8にて、バッテリーが所定電圧以下の場合には、グロープラグGPへの通電をカットするので、バッテリーの放電を抑制でき、電圧低下によってエンジンの再始動が困難となることを防止できる。
<バッテリーの長寿命化>
一般に、エンジン停止後の再始動時には、グロープラグGPをなるべく短時間で最適な始動温度まで昇温すべくバッテリーからグロープラグGPに多大な電力を投入することになるが、これはバッテリーの寿命を縮める過放電を招く原因となり得る。この点を詳述すると、エンジンを再始動するときには、前記のようにグロープラグGPに多大な電力を投入するが、電力投入の後半には(或いは電力投入と並行して)クランク軸を回転させるためのスタータを駆動しなければならない。ここで、スタータの消費電力は一般に非常に大きい。
このように、バッテリーからグロープラグGPに多大な電力を投入している最中に、消費電力の大きなスタータをバッテリーによって駆動しなければならないため、バッテリーに極めて大きな負荷が掛かり、バッテリーの全体電圧の低下が発生し、グロープラグGPへの投入電力及びスタータへの投入電力のそれぞれについて、十分な電力を確保できなくなる。このため、グロープラグGPが最適始動温度に昇温するまでの到達時間の遅延が生じると共に、スタータの回転速度の低下が生じ、これに伴う実圧縮圧力及び圧縮温度の低下が発生する。これは、スタータの作動時間の延長に繋がり、バッテリーにとって極めて負荷が大きな時間を自ら長くし、過放電を惹起してバッテリーの寿命を短縮してしまう。
本実施形態においては、エンジンの再始動時には、グロープラグGPが予熱されているため、グロープラグGPを再始動に適した温度に昇温するにはグロープラグGPに比較的少量の電力を供給すれば足りる。よって、スタータに供給する電力を多めに確保できることになり、スタータを一気に高速で回転させてエンジンを始動でき、スタータの作動時間の短縮化を図ることができる。よって、バッテリーの長寿命化を図ることができる。
<グロープラグGPの信頼性・耐久性の向上>
グロープラグGPは、連続的に加熱しておく分には比較的、信頼性・耐久性が高いものであるが、エンジンの停止・再始動に伴う冷却・加熱の熱サイクルには比較的弱い。また、高温に赤熱された発熱体Hに冷たい燃料等が直接接触されることにも弱い。発熱体Hへの燃料の直接の接触は、発熱体Hを覆って設けられたシールドSによって防止できる。
他方、エンジンの停止・再始動に伴うグロープラグGPの冷却・加熱の熱サイクルについては、エンジン停止後再始動が予測されたときにはグロープラグGPを予熱しているので、冷却・加熱の温度差を小さくでき、グロープラグGPの信頼性・耐久性を高めることができる。
特に、本実施形態のようにアイドル・ストップ・スタート・モード・システムを採用した車両では、エンジンの停止・再始動に伴うグロープラグGPの冷却・加熱が頻繁に生じるため、グロープラグGPの信頼性・耐久性が問題となるが、上述のようにエンジン停止中に適宜グロープラグGPを予熱することにより、信頼性・耐久性が大幅に高まることになる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、アイドル・ストップ・スタート・モード・システムを備えない車両にも本発明を適用できる。この場合、信号待ちや渋滞等で車両が停止したとき運転者が手動でエンジンを一時的に停止し、その後再始動するが、かかる再始動までのエンジンの停止中グロープラグGPが図2及び図3に則って適宜予熱されることになる。
また、アイドル・ストップ・スタート・モード・システムを備えた車両において、運転者がステップS1のアイドル・ストップ・スタート・スイッチをOFFした場合であっても、本発明を適用できる。この場合も、前段と同様に車両の停止時に運転者が手動でエンジンを一時的に停止し、その後再始動するが、エンジン停止中にグロープラグGPが図2及び図3に則って適宜予熱され、その後再始動が容易に短時間でなされるようになる。
また、本実施形態では運転シートに運転者が着席しているか否かを検出するセンサを設け、着席していることを検出したときにエンジン停止後に近い将来再始動がされると予測しているが、運転者が運転シートに着席していなくとも、例えば運転者が運転室に設けたボタン又はスイッチをONしたときには、運転者が運転シートから離れていてもエンジン停止後に近い将来の再始動がなされると予測するようにしてもよい。これは、トラック等の車両において、運転者が運転シートから離れて荷物の積み卸しを行う場合等に有効である。
また、エンジンの停止後、停止時間、大気の温度状態等によってエンジン水温等が変化し、再始動するために最適なグロープラグGPの温度が微妙に変化する。このため、停止時間、大気の温度、エンジン水温等によってバッテリーからグロープラグGPへの通電パターンを変更するための補正回路を設けてもよい。この補正回路としては、例えば、水温が比較的高く再始動が容易であると判断できる場合にはグロープラグGPへの電力量を抑えるもの等が考えられる。
また、再始動用の燃料には実際にはアキュームレータ等によってある程度の予備圧力が加えられているが、予めこの予備圧力を検出しておき、燃料の予備圧力(アキュームレータ圧力)の大小によってグロープラグGPの保温温度(予熱温度)を調節することも考えられる。
また、本発明は、天然ガス直接噴射式エンジンに限定されるものではなく、エンジンを停止した後再始動する際に、グロープラグGP等の発熱手段を再始動に適した温度まで発熱させるという予備動作が必要となるエンジンに適用できる。
本発明の一実施形態に係るエンジン制御装置の制御フローを示す第1の説明図である。 図1の続きの制御フローを示す説明図である。 図2の続きの制御フローを示す説明図である。 発熱手段としてのグロープラグGP及びインジェクタノズルが装着されたシリンダヘッドの断面図である。 図4のV−V線矢視図である。
符号の説明
GP 発熱手段としてのグロープラグ
S7 制御手段の一機能を示すステップ
S14 制御手段の一機能を示すステップ
S16 制御手段の一機能を示すステップ
S4 予測手段の一機能を示すステップ

Claims (8)

  1. エンジンの始動に用いられる着火源としての発熱手段と、
    該発熱手段の温度を制御する制御手段と、
    エンジンの停止後に近い将来の再始動を予測する予測手段とを備え、
    上記制御手段は、
    上記予測手段がエンジンの停止後に近い将来エンジンが再始動されることを予測したとき、上記発熱手段の温度をエンジンの停止中所定温度に保持し、
    エンジンの再始動時には、上記発熱手段の温度を上記所定温度以上の再始動に適した温度にまで昇温するものであるエンジン制御装置。
  2. 上記予測手段は、運転者が運転シートに着席していることを検知する手段を有し、エンジンの停止時、少なくとも該手段が運転者が運転シートに着席していることを検出したことを条件に、近い将来エンジンが再始動されると予測するものである請求項1記載のエンジン制御装置。
  3. 上記予測手段は、エンジンの停止時に運転者が運転シートに着席していなくても所定条件の下に近い将来エンジンが再始動される信号を出力する手段を有し、エンジンの停止後、少なくとも該手段が上記信号を出力したことを条件に、近い将来エンジンが再始動されると予測するものである請求項1記載のエンジン制御装置。
  4. 上記発熱手段は、バッテリーに接続され電気抵抗により発熱する発熱体を有し、上記制御手段は、上記バッテリーの電圧が所定電圧以下の場合には上記バッテリーから上記発熱体への通電を中止するものである請求項1〜3記載のエンジン制御装置。
  5. 上記制御手段が上記バッテリーから上記発熱体への通電を中止するに先立って、運転者に通電の中止を知らせる告知手段を有する請求項4記載のエンジン制御装置。
  6. 上記制御手段は、上記発熱体の電気抵抗を検出する手段を有し、該手段で求めた電気抵抗値に基づいて上記発熱体の温度を制御するものである請求項4又は5記載のエンジン制御装置。
  7. 上記エンジンを、所定の停止条件の下に一時的に停止させ、所定の再始動条件の下に再始動させるエンジンの自動停止再始動手段を備えた請求項1〜6記載のエンジン制御装置。
  8. 上記エンジンは、天然ガス直接噴射式エンジンである請求項1〜7記載のエンジン制御装置。
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