JP2005336317A - 難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板 - Google Patents

難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、難燃性及び環境衛生に優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を提供する。
【解決手段】 本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、ポリスチレン系樹脂を押出発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡板であって、このポリスチレン系樹脂発泡板は、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とからなる難燃剤組成物を所定量含有し、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 が210〜260℃であると共に、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 と5重量%分解する温度T1 との差が40〜100℃であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた難燃性を有する難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板に関する。
従来からポリスチレン系樹脂押出発泡板は、ポリスチレン系樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、この溶融状態のポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入した上で押出機から押出発泡させて製造されている。
ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、建材分野に多く用いられ、難燃性が求められており、ポリスチレン系樹脂発泡板の難燃剤としては、耐熱性に優れ且つ少ない添加量で難燃性を発揮することから、ヘキサブロモシクロドデカンが用いられてきた。
このヘキサブロモシクロドデカンは、その分解開始温度が約225℃であり、押出発泡条件下において分解しにくいと共に、燃焼時には、容易に分解して難燃効果を発揮しやすいためであると考えられる。
ところが、ヘキサブロモシクロドデカンは、難分解性で高蓄積性のある化合物であることから、環境衛生上、好ましいものではなく、これに代わる難燃剤が所望されている。
そこで、特許文献1には、難燃剤として、ハロゲン化芳香族アリルエーテル類と、ハロゲン化環状脂肪族化合物を除くハロゲン化脂肪族化合物あるいはその誘導体とを含有するものが提案されている。
しかしながら、ハロゲン化芳香族アリルエーテル類は、分解開始温度が200℃以下と低いために、押出発泡条件下では分解してしまい、この分解生成物がポリスチレン系樹脂の分解を誘発しポリスチレン系樹脂を低分子量化するため、発泡性が低下して発泡板の製造が困難となったり、たとえ発泡板が製造できたとしても品質的に満足のいくものではなかった。
特開2003−301064号公報
本発明は、難燃性及び環境衛生に優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を提供する。
本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、ポリスチレン系樹脂を炭素数が3〜5である飽和炭化水素からなる発泡剤を用いて押出発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡板であって、このポリスチレン系樹脂発泡板は、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とからなる難燃剤組成物をポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有し、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 が210〜260℃であると共に、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0と上記難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1とが式1を満たすことを特徴とする。 40℃<T1 −T0 <100℃・・・式1
上記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体又はこれらスチレン系単量体を2種以上組み合わせた共重合体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、無水マレイン酸、ブタジエンなどの単量体と上記スチレン系単量体との共重合体などが挙げられる。なお、共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体の何れであってもよい。又、ポリスチレン系樹脂が50重量%以上含有しておれば、ポリスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
そして、本発明の難燃剤組成物は、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とからなる。上記臭素化ビスフェノールとしては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)などが挙げられ、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)が好ましい。
又、上記含ハロゲン燐酸エステルとしては、例えば、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられ、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。
そして、ハロゲン系難燃剤中における臭素化ビスフェノールの含有量は、少なすぎても多すぎても、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下することがあるので、10〜90重量%が好ましく、30〜85重量%がより好ましい。同様の理由で、ハロゲン系難燃剤中における含ハロゲン燐酸エステルの含有量は、10〜90重量%が好ましく、15〜70重量%がより好ましい。
更に、難燃剤組成物中におけるハロゲン系難燃剤の含有量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下することがある一方、多くても、難燃剤組成物の難燃性が発現せず、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下することがあるので、60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
本発明では、難燃剤組成物の分解開始温度T0 を210〜260℃となるように調整すると共に難燃剤組成物が上記式1を満たすようにして、ハロゲン系難燃剤がポリスチレン系樹脂の押出発泡時には分解しないが、燃焼時には速やかに分解して幅広い温度範囲にて持続的に難燃効果を発揮し得るようにするために、ハロゲン系難燃剤に分解温度調整剤が添加される。このような難燃剤組成物の分解温度調整剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどのジフェニルアルカン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどのジフェニルアルケンが挙げられ、ジフェニルアルカンが好ましく、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンがより好ましい。
そして、難燃剤組成物を構成するハロゲン系難燃剤と分解温度調整剤の組合せとしては、分解温度調整剤に対する反応が異なる臭素化ビスフェノールと含ハロゲン燐酸エステルとを選択して組み合わせることが好ましい。
又、臭素化ビスフェノールと含ハロゲン燐酸エステルとを組み合わせるにあたって、臭素化ビスフェノールの分解開始温度と、含ハロゲン燐酸エステルの分解開始温度との差が5℃以上となるように選択することが好ましく、8℃以上となるように選択することがより好ましい。
これは、臭素化ビスフェノールの分解開始温度と、含ハロゲン燐酸エステルの分解開始温度の差が小さいと、分解温度調整剤を添加した後における、臭素化ビスフェノールの分解挙動と含ハロゲン燐酸エステルの分解挙動の差が小さくなってしまい、難燃剤組成物の分解温度範囲が狭くなって難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下する。そこで、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板がJIS A9511に規格された難燃性を満足するためには、難燃剤組成物の添加量を多くする必要があり、そうすると、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の高発泡倍率化が阻害されるなどの悪影響が発生するからである。
このように調整することによって、難燃剤組成物の分解温度範囲を幅広いものとして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性を向上させることができる。
そして、難燃剤組成物の具体的な組合せとしては、臭素化ビスフェノールとしてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)を、含ハロゲン燐酸エステルとしてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを選択し併用してなるハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤としてジフェニルアルカンとを組み合わせたものが、少ない添加量にて優れた難燃性を発揮し、難燃性及び環境保護の双方の観点から好ましい。
更に、難燃剤組成物の分解開始温度T0 は、低いと、ポリスチレン系樹脂の押出中に難燃剤組成物が分解し、この分解生成物がポリスチレン系樹脂の分解を誘発しポリスチレン系樹脂を低分子量化するため、発泡性が低下して発泡板の製造が困難となったり或いは発泡板の品質が低下する一方、高いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の燃焼時に速やかに難燃剤組成物が分解せず、難燃性を発現しないので、210〜260℃に限定され、210〜240℃が好ましい。
又、難燃剤組成物の分解開始温度T0 と難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 とが式1を満たすことが必要であり、式2を満たすことが好ましい。
40℃<T1 −T0 <100℃・・・式1
50℃<T1 −T0 <80℃ ・・・式2
これは、難燃剤組成物の分解開始温度T0 と難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 との差が40℃以下であると、難燃剤組成物の分解温度範囲が狭くなって難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板がJIS A9511に規格された難燃性を満足するように難燃剤組成物の添加量を多くする必要があり、そうすると、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の高発泡倍率化が阻害されるなどの悪影響が発生するからである。
一方、難燃剤組成物の分解開始温度T0 と難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 との差が100℃以上であると、難燃剤組成物の分解速度が遅くなりすぎて、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下するからである。
上述の分解開始温度T0を有し且つ上記式1を満たす難燃剤組成物の調製方法としては、例えば、分解温度調整剤を添加する前の分解開始温度の差が好ましくは5℃以上、より好ましくは8℃以上である、臭素化ビスフェノールと含ハロゲン燐酸エステルとを選択し、これらの臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルからなるハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とを特定の重量比率(ハロゲン系難燃剤/分解温度調整剤)、例えば、重量比率10の割合で混合して難燃剤組成物を作製し、この難燃剤組成物の分解開始温度を測定し、この測定結果に基づいて、ハロゲン系難燃剤と分解温度調整剤との混合比率を制御して難燃剤組成物を調製する方法が挙げられる。
そして、難燃剤組成物の添加量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板がJIS A9511に規格された難燃性を満足しない一方、多いと、難燃剤組成物の有するポリスチレン系樹脂の可塑作用によってポリスチレン系樹脂の押出発泡時における溶融粘度が低下し、発泡倍率の高い難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部に限定され、2〜7重量部が好ましい。
なお、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 及び5重量%分解する温度T1 は下記の要領で測定されたものをいう。難燃剤組成物を20mg採取して試料とし、示差熱・熱量同時測定装置を用いて、窒素ガス量30ミリリットル/分、加熱温度10℃/分、測定温度30〜800℃の条件下にて試料の重量減少率を測定し、縦軸に試料の重量減少率を、横軸に温度をとったグラフを得る。そして、得られたグラフに基づいて、試料の重量減少率が1%に達した時の温度を難燃剤組成物の分解開始温度T0 とし、試料の重量減少率が5%に達した時の温度を難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 とする。
又、分解温度調整剤を添加する前の臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルの分解開始温度は、試料として難燃剤組成物の代わりに、分解温度調整剤を添加する前の臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを用いること以外は、難燃剤組成物の分解開始温度T0 の測定方法と同様の要領で測定することができる。
このように構成された難燃剤組成物を用いることによって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造時における難燃剤組成物の分解を極力防止してポリスチレン系樹脂の分子量低下を阻止し、表面性に優れた所望発泡倍率を有する難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板とすることができると共に、燃焼時には速やかに難燃剤組成物が分解して優れた初期消火及び持続的な難燃性を示し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は良好な難燃性を示す。
しかも、上述の難燃剤組成物はヘキサブロモシクロドデカンに比して優れた耐水性を有していることから、後述するように、水を含有する発泡剤を用いて、特定の大小径気泡を有する難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定的に且つ確実に製造することができ、難燃性及び断熱性の双方に優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができる。
又、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造する際に用いられる発泡剤は、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を含有する。このような飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどが挙げられ、押出発泡時の発泡性及び難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が優れていることから、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン及びイソペンタンからなる群から選ばれた一種以上の飽和炭化水素が好ましい。
更に、発泡剤として、上記炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素と、その他の非フロン系発泡剤とを併用することが好ましい。このような非フロン系発泡剤としては、塩化メチル、ジメチルエーテル、水、二酸化炭素などが挙げられ、ジメチルエーテル、水及び二酸化炭素を併用することが好ましい。
そして、発泡剤として、上記炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素と、その他の非フロン系発泡剤とを併用する場合、炭素数が3〜5である飽和炭化水素の発泡剤中における含有量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下することがある一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下することがあるので、15〜50重量%が好ましく、20〜45重量%がより好ましい。同様の理由で、非フロン系発泡剤の発泡剤中における含有量は、50〜85重量%が好ましく、55〜80重量%がより好ましい。
上記発泡剤の添加量は、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の発泡倍率に応じて適宜調整されるが、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の発泡倍率が低すぎて発泡板の軽量性や断熱性などの特性を発揮させることができないことがある一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板中に大きな空隙が発生して品質が低下することがあるので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜15重量部が好ましい。
更に、発泡剤として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素としてノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン及びイソペンタンからなる群から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を用い、且つ、非フロン系発泡剤としてジメチルエーテル、水及び二酸化炭素を用いることによって、得られる難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性をさらに優れたものとすることができる。
このような飽和炭化水素とその他の非フロン系発泡剤との組み合わせからなる発泡剤について詳細に説明する。具体的には、炭素数が3〜5である飽和炭化水素としてイソブタンとノルマルブタンとを併用する場合、飽和炭化水素中におけるイソブタンの含有量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下することがあるので、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。
又、発泡剤中におけるジメチルエーテルの含有量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性や発泡性が低下することがある一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下することがあるので、50〜80重量%が好ましい。
そして、上記水は、特に限定されないが、不純物の少ないもの、例えば、純水を用いることが好ましい。なお、水の添加量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の後述する小径気泡の割合が少なくなって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下する一方、多くても、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の小径気泡の割合が少なくなって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下し、或いは、押出機からポリスチレン系樹脂を押出発泡する際に吐出変動が発生して良好な難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板が得られないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜1.5重量部が好ましく、0.6〜1.0重量部がより好ましい。
又、二酸化炭素の添加量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の後述する大小径気泡の占める割合が少なくなったり或いは小径気泡の占める割合が少なくなったりして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下する一方、多いと、発泡時に内部発泡や突沸が発生して良好な難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板が得られないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.3〜2.0重量部が好ましく、0.5〜1.5重量部がより好ましい。
更に、上記発泡剤に加えて気泡調整剤を添加することが好ましい。このような気泡調整剤としては、例えば、ベントナイト、合成雲母などが挙げられ、合成雲母が好ましい。この合成雲母は、天然の雲母とは異なり、天然の雲母の結晶構造中の全ての−OH基が−Fで置換された組成を有する人工的に作られた雲母であり、KMg3 AlSi3102 を理想組成とするものである。
そして、合成雲母の平均粒径は、小さいと、嵩比重が小さくなり、押出機へ供給する際に凝集して樹脂中への分散が不十分となって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板に小径気泡ができにくくなることがある一方、大きいと、気泡核の数が減少して小径気泡ができにくくなることがあるので、1〜5μmが好ましい。
なお、上記合成雲母の平均粒径は、レーザー散乱法によって測定されたものをいい、具体的には、島津製作所社から商品名「SALD−2100」、日機装社から商品名「マイクロトラック 9320HRA」で市販されている測定装置を用いて湿式法にて測定することができる。
そして、合成雲母の添加量は、少ないと、後述する小径気泡と大径気泡とを特定割合で形成することが困難となって難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下し、又、多くても、合成雲母同士が凝集し、後述する小径気泡と大径気泡とを特定割合で形成することが困難となって難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下するので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.3〜2.0重量部が好ましく、0.5〜1.8重量部がより好ましく、0.8〜1.5重量部が特に好ましい。
上述したように、発泡剤として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素としてノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン及びイソペンタンからなる群から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を用い且つ非フロン系発泡剤としてジメチルエーテル、水及び二酸化炭素を用いることによって、気泡が、主として厚み方向の気泡径が0.10mm以下の小径気泡と、厚み方向の気泡径が0.15mm以上で且つ0.30mm未満の大径気泡とから構成され、押出方向に垂直な面で切断した切断面において、小径気泡及び大径気泡の占める総面積の比率が85%以上であり且つ小径気泡及び大径気泡の占める総面積に対する小径気泡の占める総面積の比率が10〜80%である難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができ、この難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、特定の大小径気泡を特定割合で有していることから断熱性に優れている。なお、スチレン系樹脂発泡板の厚み方向とは、スチレン系樹脂発泡板の肉薄方向であって、スチレン系樹脂発泡板の表面に対する法線方向をいう。
このように厚み方向の気泡径が0.10mm以下という微細な小径気泡を存在させることによって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡壁の数を増やし、気泡壁による熱の遮断回数を増加させることにより断熱性を向上させるとができる。
一方、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の気泡の全てが小径気泡であるとすると、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板中における気泡壁の数、即ち、気泡壁の表面積が多くなり過ぎて各気泡壁の厚さが薄くなり、気泡壁の数は多くなって熱の遮断回数は多くなるものの、気泡壁による熱の遮断効果の低下度合いの方が大きくなってしまい、結果として、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下してしまう。
そこで、小径気泡に加えて、厚み方向の気泡径が0.15mm以上で且つ0.30mm未満である大径気泡を所定割合で併存させることによって、小径気泡の数、即ち、気泡壁の数を減少させ、小径気泡を形成する気泡壁の厚みを厚くして熱の遮断効果が充分となるように構成している。
即ち、大小径気泡を特定割合で有する難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、小径気泡の気泡壁の厚み及び難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における小径気泡の気泡壁の数を調整し、優れた断熱性が発揮されるようにしていると共に、曲げ強さや圧縮強さ等の物理的強度の向上も図ることができる。
更に、上述の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を詳細に説明する。先ず、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の気泡のうち、厚み方向の気泡径が0.10mm以下の小径気泡について着目した理由は、厚み方向の気泡径が0.10mmを越えた気泡では、その数をたとえ調整したとしても、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における気泡壁による熱の遮断回数が減少してしまい、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下してしまうためである。
又、上述の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の気泡のうち、厚み方向の気泡径が0.15mm以上で且つ0.30mm未満の大径気泡について着目した理由は下記の通りである。
つまり、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板における厚み方向の気泡径が0.10mmを越え且つ0.15mm未満の気泡では、その径が上記小径気泡に近くなってしまい、このような径を有する気泡をいくら制御したとしても、小径気泡の気泡壁の厚み及び気泡壁の数を難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が効果的に向上するように調整することができないからである。
そして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における気泡径が0.30mm以上の気泡では、その径が大きくなりすぎてしまって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における全体の気泡数が減少し、その結果、気泡壁による熱の遮断回数が減少し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下してしまうからである。
ここで、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を任意の部分において押出方向に垂直な面で切断する。そして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の切断面を走査型電子顕微鏡を用いて50倍にて拡大、撮影し、拡大写真を得、この拡大写真を乾式複写機にてコピーをとる。なお、拡大写真において、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向が上下方向となるように撮影する。
次に、コピー上に表れた気泡のうち測定しようとする気泡を特定し、この特定した気泡の気泡壁の上端に接し且つ難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向に直交する上側基準直線を引き、同様に、この特定した気泡の気泡壁の下端に接し且つ厚み方向に直交する下側基準直線を引く。
そして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における上側基準直線と下側基準直線との間の距離を測定し、この距離を50で除したものを、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向における気泡の径とする。
更に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を押出方向に垂直な面で切断した際の切断面において、小径気泡及び大径気泡の占める総面積の比率(大小径気泡比率)は、小さいと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下したり或いは物理的強度が低下したりするので、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
又、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を押出方向に垂直な面で切断した際の切断面において、小径気泡及び大径気泡の占める総面積に対する小径気泡の占める総面積の比率(小径気泡比率)は、小さいと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下する一方、大きいと、相対的に大径気泡の数が少なくなって、小径気泡の気泡壁の厚みが薄くなり、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下するので、10〜80%が好ましく、20〜70%がより好ましく、30〜60%が特に好ましい。
更に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を押出方向に垂直な面で切断した際の切断面において、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡径が0.3mm以上である気泡の占める総面積の比率は、大きいと、相対的に小径気泡の数が少なくなって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡壁の数が少なくなり、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下することがあるので、5%未満が好ましく、3%未満がより好ましく、2%未満が特に好ましい。
ここで、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を押出方向に垂直な面で切断した際の切断面において、測定対象となる気泡の占める総面積は下記の要領で測定されたものをいう。
即ち、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を任意の3箇所において押出方向に垂直な面で切断する。そして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の各切断面を走査型電子顕微鏡を用いて50倍にて拡大、撮影し、拡大写真をそれぞれ得、これら拡大写真を乾式複写機にてコピーをとる。なお、拡大写真において、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向が上下方向となるように撮影する。但し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の切断面の撮影対象としては、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外した部分とする。これは、表層部分は、成形具との接触や外気による冷却等によって、その他の部分と気泡の状態が異なることが多いためである。
各コピーから縦2.5mm×横1.7mmの長方形と同一或いはこの長方形よりも大きな大きさを有する長方形状の測定部分を任意に特定し、この測定部分内において、測定対象となる気泡を黒く塗りつぶし、この黒く塗りつぶした面積の総和、即ち、測定対象となる気泡の占める総面積を求め、これら総面積の平均を測定対象となる気泡の占める総面積とする。なお、測定対象となる気泡が、測定部分と測定部分でない部分とを区画する線(区画線)によって分断されている場合には、気泡を分断した区画線が気泡の気泡壁であるとみなして算出された気泡径に基づいて測定対象となる気泡を特定する。ここで、上記黒く塗りつぶした面積の総和は、例えば、タマヤ計測システム社から商品名「PLANIX5000」にて市販されている測定機器を用いて算出することができる。
そして、小径気泡及び大径気泡の占める総面積の比率(大小径気泡比率)は、下記式により算出される。
(小径気泡及び大径気泡の占める総面積の比率〔%〕)
=100×(小径気泡の占める総面積+大径気泡の占める総面積)
/測定部分の面積
同様に、小径気泡及び大径気泡の占める総面積に対する小径気泡の占める総面積の比率(小径気泡比率)は、下記式により算出される。
(小径気泡及び大径気泡の占める総面積に対する小径気泡の占める総面積の比率〔%〕)=100×小径気泡の占める総面積
/(小径気泡の占める総面積+大径気泡の占める総面積)
更に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡径が0.3mm以上である気泡の占める総面積の比率は、下記式により算出される。
(難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡径が0.3mm以上である気泡の占める総面積の比率〔%〕)
=100×難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向の気泡径が0.3mm 以上である気泡の占める総面積/測定部分の面積
又、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板における押出発泡後30日経過した発泡板に含まれる炭素数が3〜5である飽和炭化水素の量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性が低下する一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の難燃性が低下したり或いは回収再利用のためリペレット化する際の粉砕工程で発火する危険性が大きくなるので、1〜4重量%が好ましく、2〜3重量%がより好ましい。
なお、押出発泡後30日経過した難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板に含まれる飽和炭化水素量は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、押出発泡後30日経過した難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外し、この表層部分が除外された難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、押出方向に35mm、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の表面に沿い且つ押出方向に直交する方向に5mm、厚み方向に5mmの大きさを有する直方体形状の試験片を切り出し、この試験片の重量を測定する。
そして、上記試験片を150℃の熱分解炉に供給してガスクロマトグラフィーからチャートを得、予め測定しておいた飽和炭化水素の各成分毎の検量線に基づいて上記チャートから試験片中の飽和炭化水素の各成分量を算出し、各成分量の合計を総飽和炭化水素量とし、以下の式に基づいて求める。なお、上記ガスクロマトグラフィーとしては、例えば、島津製作所社から商品名「GC−14B」で市販されている。
(押出発泡後30日経過した難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板に含まれる飽和炭化水素量)=100×試験片中の総飽和炭化水素量/試験片の重量
なお、上記スチレン系樹脂発泡板には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタンなどの無機化合物などの気泡調整剤;フェノール系抗酸化剤;リン系、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤;ステアリン酸モノグリセライド等の帯電防止剤;顔料等の着色剤;ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩等の添加剤が含有されてもよい。
そして、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、汎用の押出発泡方法を用いて製造され、例えば、ポリスチレン系樹脂及び難燃剤組成物、必要に応じて、気泡調整剤を押出機に供給して溶融、混練し、この溶融状態のポリスチレン系樹脂中に、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を含有する発泡剤を圧入した後に押出発泡させて製造される。
本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、ポリスチレン系樹脂を炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を含有する発泡剤を用いて押出発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡板であって、このポリスチレン系樹脂発泡板は、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とからなる難燃剤組成物をポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有し、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 が210〜260℃であると共に、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 と上記難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 とが上記式1を満たすことを特徴とするので、難燃剤組成物の分解開始温度を調整して、発泡板の製造工程中における難燃剤の分解を概ね阻止してポリスチレン系樹脂の低分子量化を防止している一方、燃焼時には幅広い温度範囲において速やかに且つ持続的に難燃剤が分解して難燃性を発揮することができ、難燃性及び表面性に優れていると共に所望の発泡倍率を有するように容易に調整することができる。
そして、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板において、難燃剤組成物中、ハロゲン系難燃剤が60〜98重量%含有されている場合には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は、難燃性、表面性及び軽量性により優れている。
又、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板において、臭素化ビスフェノールがテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)であると共に、含ハロゲン燐酸エステルがトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートである場合には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を、難燃性及び表面性に更に優れ且つ所望の発泡倍率を有するものとすることができる。
そして、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板において、分解温度調整剤がジフェニルアルカンである場合には、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤の分解開始温度を所望温度に精度良く調整することができ、難燃剤組成物が幅広い温度にて分解して難燃性を発揮するように調整して、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板がより幅広い温度範囲において優れた難燃性を発揮し得るようにすることができる。
そして、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板において、発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素と、その他の非フロン系発泡剤とからなり、押出発泡後30日経過した発泡板中に、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を1〜4重量%含有する場合には、さらに優れた断熱性及びリサイクル性を有する。
又、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板において、飽和炭化水素が、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン及びイソペンタンからなる群から選ばれた一種以上の飽和炭化水素である場合には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板は優れた断熱性及び難燃性を有する。
更に、非フロン系発泡剤が、ジメチルエーテル、水及び二酸化炭素からなる場合には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の気泡を主として小径気泡と大径気泡とから構成させて、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の断熱性をより優れたものとすることができる。
(実施例1〜10、比較例2〜8)
押出機として、口径が50mmの第一押出機の先端に口径が65mmの第二押出機が接続されてなるタンデム型押出機を用い、上記第一押出機に、ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HRM−18」)100重量部に対して、臭素化ビスフェノールとしてテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(分解開始温度:291℃)を、含ハロゲン化燐酸エステルとしてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(分解開始温度:282℃)を、臭素化イソシアヌレートとしてトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを、難燃助剤としてトリフェニルホスフェート(TPP)及びイソシアヌル酸を、分解温度調整剤として2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンを、発泡剤として塩化メチル、ジメチルエーテル、ブタン(イソブタン:ノルマルブタン(重量比)=4:6)水及び二酸化炭素を、気泡調整剤として合成雲母(平均粒径:3μm)及びタルクを、表1〜3に示した所定量づつ供給して210℃で溶融混練した後、この溶融樹脂を第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ、実施例1〜3に記載した樹脂温度(表1〜3では「樹脂冷却温度」と表記した)に冷却した上で、第二押出機の先端部に取り付けたTダイ(幅:70mm、厚み:1.2mm)から35kg/時間の吐出量で押出発泡して断面が横長長方形状の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を連続的に製造した。但し、表1〜3において、ブロモ系難燃剤及び2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンについては、難燃剤組成物中における重量%を示すと共に、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート及びトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートについては、ブロモ系難燃剤中における重量%を示した。
又、比較例7では、難燃剤組成物の分解開始温度T0 が185℃と低いために、押出中に難燃剤組成物が分解し、この分解生成物がポリスチレン系樹脂の分解を誘発してポリスチレン系樹脂を低分子量化し、その結果、ポリスチレン系樹脂の発泡性が低下して難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができなかった。
(比較例1)
難燃剤組成物の代わりに、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)3.0重量部を用いたこと以外は、実施例9と同様にして難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ようとしたが、ヘキサブロモシクロドデカンが水によって分解し、良好な難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができなかった。
以上の如くして得られた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の密度、熱伝導率及び燃焼性について下記に示した要領で測定し、更に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板における厚み方向の平均気泡径及び押出発泡後30日経過した発泡板に含まれるブタンの総量を上述の要領で測定し、その結果を表1〜3に示した。
又、実施例1〜8及び比較例2〜6,8の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板について、押出方向に垂直な面で切断した切断面における厚み方向の平均気泡径を下記の要領で測定し、更に、実施例9、10の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板について、押出方向に垂直な面で切断した切断面における、小径気泡及び大径気泡の占める総面積の比率(大小径気泡比率)並びに大小径気泡中における小径気泡の比率(小径気泡比率)を上述の要領で測定し、その結果を表1〜3に示した。
(密度)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の密度をJIS K7222に準拠して測定した。
(熱伝導率)
押出発泡後30日が経過した難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外し、この表層部分が除外されたスチレン系樹脂発泡板から、押出方向に200mm、スチレン系樹脂発泡板の表面に沿い且つ押出方向に直交する方向に150mm、厚み方向に25mmの大きさを有する試験片を切り出した。
そして、上記試験片の熱伝導率を、JIS A1412-1994 の「熱絶縁材の熱伝導率及び熱抵抗の測定方法」において規定された平板熱流計法に準拠して測定した。
(燃焼性)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から5個の試験片を切り出した。そして、この5個の試験片についてJIS A9511-1995 に規定された測定方法Aの燃焼性試験に準拠して測定し、下記の基準にて判断した。
○・・・上記測定方法Aの燃焼性を満足する。即ち、5個の試験片の全てについて炎が 3秒以内に消えると共に残じんがなく、燃焼限界支持線を越えて燃焼しなかっ た。
△・・・自消性は有するものの、○の基準を満足しなかった。
×・・・自消性は認められなかった。
(平均気泡径)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板における厚み方向の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定された平均弦長に基づいて算出されたものをいう。
具体的には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板をその押出方向に平行で且つ厚み方向に平行な面で切断し、切断面における中央部を走査型電子顕微鏡を用いて20倍に拡大して撮影した。
次に、撮影した写真上に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向に平行で且つ写真上長さが60mmの直線を描き、この直線上にある気泡数から、各気泡の平均弦長(t)を下記式aに基づいて算出した。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式a
そして、下記式bに基づいて、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板における厚み方向の平均気泡径を算出した。
平均気泡径=t/0.616・・・式b
Figure 2005336317
Figure 2005336317
Figure 2005336317

Claims (7)

  1. ポリスチレン系樹脂を炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の飽和炭化水素を含有する発泡剤を用いて押出発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡板であって、このポリスチレン系樹脂発泡板は、臭素化ビスフェノール及び含ハロゲン燐酸エステルを含有するハロゲン系難燃剤と、分解温度調整剤とからなる難燃剤組成物をポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有し、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 が210〜260℃であると共に、上記難燃剤組成物の分解開始温度T0 と上記難燃剤組成物が5重量%分解する温度T1 とが式1を満たすことを特徴とする難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
    40℃<T1 −T0 <100℃・・・式1
  2. 難燃剤組成物中、ハロゲン系難燃剤が60〜98重量%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  3. 臭素化ビスフェノールがテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)であると共に、含ハロゲン燐酸エステルがトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  4. 分解温度調整剤がジフェニルアルカンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  5. 発泡剤が、炭素数が3〜5の飽和炭化水素と、その他の非フロン系発泡剤とからなり、押出発泡後30日を経過した発泡板中に、上記飽和炭化水素を1〜4重量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  6. 炭素数が3〜5の飽和炭化水素が、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン及びイソペンタンからなる群から選ばれた一種以上の飽和炭化水素であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂発泡板。
  7. 非フロン系発泡剤が、ジメチルエーテル、水及び二酸化炭素からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板。
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