JP2005335254A - 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの顕色剤分散液、湿式粉砕方法および分散液を使用した感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを湿式粉砕して分散液を調製する場合、水和現象即ち、結晶化成長を抑える新規な方法に関するものである。
【解決手段】 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンをヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロース、から選ばれた少なくとも一種の化合物の存在下に湿式粉砕して得られたことを特徴とする4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液および湿式粉砕方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱記録体に使用される顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンに関する。更に4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した白色度、記録感度および記録画像の保存性に優れた感熱記録体に関するものである。
通常無色または淡色のロイコ染料と、フェノール類または有機酸との加熱発色反応を利用して発色画像を記録する感熱記録体は、広く実用化されている。このような感熱記録体は、単に加熱するだけで発色画像が形成されること、記録装置を比較的コンパクトなものにすることができること、および保守が容易であって、騒音の発生がないことなどの利点により、近年、ファクシミリ、コンピューターの出力機、ラベル、自動券売機、CD・ATM、ファミリーレストランの注文伝票出力機、科学研究用機器のデータ出力機、プリンターなどの各種情報記録材料として広範囲に使用されている。
このような感熱記録体の応用範囲の拡大に伴い、感熱記録体が、化粧用クリーム、又は油、あるいは可塑剤を含んだポリマーシートに触れたり、高温、高湿などの苛酷な条件下におかれる機会が増えてきた。例えば、顕色剤として従来より用いられてきている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)やp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどを用いた感熱記録体では、発色画像を高温、高湿下に置いたときに画像部の発色濃度が低下し、また、それを可塑剤および油等と接触させたときに画像は読み取り不可能なレベルまで消色してしまうという現像が認められる。一方、これらの条件下において、白紙部が着色し、いわゆる地肌かぶりが生ずることも認められている。
上記のような問題点を解消し得る顕色剤として、各種ヒドロキシジフェニルスルホン誘導体類が開発され使用されている。中でも、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンは、得られる感熱発色層の白色度および感度が高く、また得られる記録画像の保存性が優れているなどの利点を有する顕色剤として知られている。
一般に、感熱記録体で使用される染料、顕色剤、増感剤等は、湿式分散により微粒子化して使用されるが、感熱記録体の高感度化の要請により、最近では、高感度化を計る為に粒子のより微小化が進められいる。ところが、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン粒子の微小化を進めると、分散液調製のための湿式粉砕中に、あるいは調製された分散液の保存中に結晶成長が起こる場合がある。特に4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを1μm以下の微粒子にまで微粉砕もしくは分散させた場合、その傾向が顕著である。この結晶成長は4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの水和化現象であり、その成長結晶は水和物であると考えられている。そして、前記水和物を含む顕色剤分散液を用いて製造された感熱記録体は地肌汚れを生じる欠点につながっていた。
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの水和化現象を抑えるために、特定量のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン及びその金属塩から選ばれた化合物を配合して分散液を調製したり(特許文献1を参照)、特定量の4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホンを配合して分散液を調製したり(特許文献2を参照)、特定化学式のジフェニルスルホン誘導体を特定量配合して分散液を調製する(特許文献3を参照)ことが記載されている。
特開平2−76779号公報 特開平7−314902号公報 WO95/018018
また、同じ目的の水和化現象を抑えるために、分散時にヒドロキシプロピルセルロースを配合したり(特許文献4を参照)、メチルセルロースおよびヒドロキシエチルメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種を分散時に配合したり(特許文献5を参照)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合する(特許文献6を参照)ことが記載されているが、飽和濃度や感度の低下を起こしたり、目標とする粒子径まで分散させるのに時間がかかる問題、即ち、分散効率の低下を引き起こす。
特開平5−162455号公報 特開平5−309951号公報 特開平1−237191号公報
更に、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンと融点が130℃以下の熱可塑性物質を同時に湿式分散し、かつその分散に際して分散剤としてスルホン基変性ポリビニルアルコールを使用して得られる分散体を含有せしめた感熱記録体が記載されている(特許文献7を参照)。
特開平9−207440号公報
特許文献7によると、得られた感熱記録体は特に記録感度が優れ、しかも地肌カブリの発生しにくいものであるが、融点が130℃以下の熱可塑性物質、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンおよび1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンは記録感度改良の目的で使用され、配合量も4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンに対して望ましい範囲が30〜200重量%と多く、スルホン基変性ポリビニルアルコールが湿式分散時の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの水和化現象を抑える効果があると記載されているが、充分な地肌汚れ防止が図られていないのが現状である。
また、感熱記録体は、保管中、または機器にセットされた状態で、或いは印字後においても、比較的高温にさらされることがあるが、このような時に地肌かぶりを生ずることは避けなければならない。この地肌かぶりの尺度として、70℃の鉄板に5秒間接触させた時の白地部の着色濃度を用い、これを静的感度と定義する。この値はできるだけ低いことが望ましく、実用的には0.2以下であることが望ましい。
本発明は、顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを湿式粉砕して分散液を調製する場合、水和現象即ち、結晶化成長を抑える新規な方法であり、更にこの分散液を使用した感熱発色層の静的感度が異常に高くなることがなく、高白色度、高感度で、保存性に優れた発色画像を形成する感熱記録体を提供しようとするものである。
本発明者らは、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの水和物に関する上記知見に基づき、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを少なくとも2種の化合物の存在下で湿式粉砕する場合、前記化合物の1種として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種を使用することにより、水和防止することができ、それによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、分散効率が高く、しかも水和化防止方法として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種を化合物(分散バインダー)の一部として含有させ湿式粉砕して顕色剤分散液とすることを特徴とする。
顕色剤分散液として、前記化合物全固形分中、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜90質量%であることが好ましい。
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が0.2〜15質量部であることが好ましい。
前記化合物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールであることにより分散効率が改良され、より高感度の感熱記録体が得られる点でより好ましい。
スルホン変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜2000質量部であることが好ましい。
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールの総和量が2〜30質量部であることが好ましい。
なお、本発明における顕色剤分散液、湿式粉砕方法では、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンおよびその金属塩から選ばれた化合物の含有量が、0.02質量部未満であり、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体から選ばれた1種または2種以上の化合物および4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホンの含有量が、それぞれ0.03質量部未満、0.01質量部未満であることが純度が高い点で好ましい。
Figure 2005335254
(式中、Rは水素原子またはイソプロピル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立にイソプロピル基を、nおよびmは0、1、または2を表す。但し、nおよびmが同時に0であることはない。)
シート状基体と、このシート状基体の少なくとも1面に形成され、かつ実質的に無色の染料前駆体と顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記顕色剤が上記記載の顕色剤即ち、水和防止剤の存在下に微粒子に分散され、水和物が生成していない4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの分散液であることが好ましい。
本発明の方法によれば、水和化を起こすことなく顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを充分に湿式粉砕(平均粒径2μm以下)することができ、調製された分散液中でも水和化が起こらないので、微粒子の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液を容易に得ることができる。
従って、本発明方法により得られた顕色剤分散液を用いることにより、高感度で地肌汚れのない感熱記録体を製造することができる。
本発明において使用する4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンは、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを生成する場合に生じる副生成物である4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン生成時の原料であるビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、副生成物であるビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンの金属塩や下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を微量しか含まない、いわゆる純度の高いものが好ましい。
Figure 2005335254
(式中、R1は水素原子またはイソプロピル基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立にイソプロピル基を、nおよびmは0、1、または2を表す。但し、nおよびmが同時に0であることはない。)
純度レベルとしては、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンおよびその金属塩から選ばれた化合物の含有量が、0.02質量部未満であり、上記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体から選ばれた1種または2種以上の化合物および4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホンの含有量が、それぞれ0.03質量部未満、0.01質量部未満程度である。
本発明では、少なくとも2種の化合物の存在下で4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを湿式粉砕または分散液調製をする場合に、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの水和物生成を抑制するために、前記化合物の1種としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種を使用するものであり、前記化合物が、化合物全固形分中、2〜90質量%であることが好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
添加量が2質量%未満だと、水和物生成抑制効果が少なく、90質量%を超えると、分散効率の低下を起こし、感熱記録体での感度の低下の問題が発生する。
また、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が0.2〜15質量部であることが好ましく、0.3〜5質量部がより好ましい。
添加量が0.2質量部未満だと、水和物生成抑制効果が少なく、15質量部を超えると、感熱記録体での感度の低下の問題が発生する。
更に望ましい形態としては、化合物の存在下で4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを湿式粉砕または分散液調製をする場合に、化合物としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールを併用して使用するものであり、前者が特に水和物生成抑制効果として作用し、後者が分散効率を上げる、即ち4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの微細化に寄与するものであり、併用して分散することにより水和物の生成を抑えて微細な粒子径まで効率よく分散することが可能となった。
両者の化合物の量比としては、スルホン変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜2000質量部であることが好ましく、2質量部未満だと水和物生成抑制効果が少なく、2000質量部を超えると、分散効率に難があり、併せて感熱記録体での感度の低下の問題が発生する恐れがある。
また、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールの総和量が2〜30質量部であることが好ましい。
総和量が2質量部未満だと、水和物生成抑制効果が少なく、30質量部を超えると、感熱記録体での感度の低下の問題が発生する恐れがある。
なお、分散液中の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの平均粒径としては、0.2〜2μm程度である。0.2μm未満だと、水和物生成抑制効果が少なく、2μmを超えると、感熱記録体での感度の低下の問題が発生する恐れがある。なお、平均粒径とは、島津レーザ回折式粒度分布測定装置(商品名:SALD−2000)での50%平均粒径である。また、分散時の化合物としてスルホン変性ポリビニルアルコールを併用することにより、平均粒径が0.5〜1.5μm程度の分散液をより効率よく生産することが可能となる。
感熱発色層用塗液としては、顕色剤である本発明の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液以外に、ロイコ染料、増感剤、バインダー、顔料等の各種助剤が配合されて調製される。
染料前駆体として使用されるロイコ染料は、トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物などの従来公知のものから選ぶことができる。すなわち、染料前駆体としては、例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、および3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオランなどから選ばれた1種以上を用いることができる。
また、顕色剤として、本発明の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン以外に、発明の効果を阻害しない程度に他顕色剤を組み合わせて使用することも可能である。このような顕色剤の例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンなどのフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、N−p−トリルスルホニル−N’−p−ブトキシフエニルウレアなどの分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物などが挙げられる。
更に本発明においては、所望の効果を阻害しない範囲内で感熱発色層中に熱可融性物質(いわゆる増感剤)を併用することもできる。このような増感剤としては、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、4−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロ
フェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフチルベンジルエーテル、1−(2−ナフチルオキシ)−2−フェノキシエタン、1,3−ジ(ナフチルオキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチル−ベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジベンジルなどが挙げられる。
バインダーの例としては、種々の分子量のポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およびカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル
酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体などの疎水性重合体のラテックスをあげることができる。
各種助剤の例としては、ワックス類、有機または無機の白色顔料等があげられる。ワックス類としては、パラフィン、アミド系ワックス、ビスイミド系ワックス、および高級脂肪酸の金属塩など公知のものを用いることができる。有機または無機顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末、並びに尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などを用いることができる。
本発明の感熱発色層において、上記染料前駆体の感熱発色層中の含有率は、一般に5〜20質量%であり、顕色剤の含有率は一般に5〜40質量%である。増感剤が含まれる場合、増感剤の含有率は10〜40質量%であることが好ましい。ワックス類、白色顔料は、それぞれ5〜20質量%、10〜50質量%の含有率で含まれることが好ましく、結着剤の含有率は一般に5〜20質量%程度である。
本発明の感熱記録体に用いられる支持体は、紙、表面に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた複層構造の合成紙、プラスチックフィルムあるいはこれらの複合体シートなどから選ぶことができる。
このようなシート状支持体の少なくとも1面上に、上記所要成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して感熱発色層を形成し、感熱記録体を製造する。この塗布量は、乾燥後の質量で1〜15g/mであることが好ましく、2〜10g/mであることが更に好ましい。本発明の感熱記録体において、発色画像の耐油性および耐可塑剤性を高めるために、感熱発色層上に保護層が設けられていてもよい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断わらないかぎり、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を表わす。
実施例1
・顕色剤分散液B−1の調製
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン(商品名:ALD−2000、中国AOLUNDA社製)10部、5%のスルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)水溶液18部、5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH03、信越化学工業社製)水溶液2部および水6.7部からなる組成物をペイントコンディショナーを用い、20時間分散し平均粒径が0.85μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例2
・顕色剤分散液B−2の調製
実施例1のB−1の調製において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの代わりにメチルセルロースに変更した以外は実施例1と同様にして、平均粒径が0.88μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例3
・顕色剤分散液B−3の調製
実施例1のB−1の調製において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの代わりにエチルセルロースに変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が0.90μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例4
・顕色剤分散液B−4の調製
実施例1のB−1の調製において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの代わりにヒドロキシエチルメチルセルロースに変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が0.87μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例5
・顕色剤分散液B−5の調製
実施例1のB−1の調製において、ゴーセランL−3266の代わりに完全ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA105)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が1.10μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった
実施例6
・顕色剤分散液B−6の調製
実施例1のB−1の調製においてゴーセランL−3226の配合量を19部に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が0.80μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例7
・顕色剤分散液B−7の調製
実施例1のB−1の調製においてゴーセランL−3226の配合量を1部に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを19部に変更した以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が1.20μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置しても結晶成長は起きなかった。
実施例8
・下塗り層用塗液の調製
焼成クレイ(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)85部を水320部に分散して得られた分散物に、スチレン−ブタジエン共重合物エマルジョン(固形分50%)40部と、10%酸化でんぷん水溶液50部とを混合して下塗り層用塗液を調製した。
・染料前駆体分散液Aの調製
3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、10%のポリビニルアルコール水溶液10部および水35部からなる組成物をアイメックス社製サンドグラインダーを用い、平均粒径が0.8μmの分散液を得た。
・増感剤分散液Cの調製
シュウ酸ジパラメチルベンジルエステル20部、10%のポリビニルアルコール水溶液20部および水70部からなる組成物をアイメックス社製サンドグラインダーを用い、平均粒径が0.8μmの分散液を得た。
・感熱発色層用塗液の調製
上記A液33.3部、B−1液111部、およびC液110部に、炭酸カルシウム24部、30%ステアリン酸亜鉛分散液12部、30%パラフィン分散液10部、および10%ポリビニルアルコール水溶液100部を混合、攪拌し、感熱発色層用塗液を調製した。ただし、B−1液は、調製して3日間放置した分散液を使用した。
・感熱記録体の作成
48g/mの原紙の1面上に、乾燥後の塗布量が7.0g/mになるように下塗り層用塗液を塗布乾燥し、さらに下塗り層上に乾燥後の塗布量が5.0g/mとなるように感熱発色層用塗液を塗布燥して、その後スーパーカレンダーによって処理し、その表面の平滑度が600〜1000秒の感熱記録体を作成した。
実施例9
実施例8において、感熱発色層用塗液の調製でB−1液をB−5液に変更した以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を作成した。なお、B−5液は、調製して3日間放置した分散液を使用した。
実施例10
実施例8において、感熱発色層用塗液の調製でB−1液をB−6液に変更した以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を作成した。なお、B−6液は、調製して3日間放置した分散液を使用した。
実施例11
実施例8において、感熱発色層用塗液の調製でB−1液をB−7液に変更した以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を作成した。なお、B−7液は、調製して3日間放置した分散液を使用した。
比較例1
・顕色剤分散液B−8の調製
実施例1のB−1の調製において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用しない以外は、実施例1と同様にして、平均粒径が0.80μmの分散液を得た。この分散液を3日間放置すると、結晶成長が起き、平均粒子径は2.80μmとなった。
比較例2
・感熱記録体の作成
実施例8において、感熱発色層用塗液の調製でB−1液をB−8液に変更した以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を作成した。なお、B−8液は、調製して3日間放置した分散液を使用した。
かくして得られた感熱記録体について下記の評価試験を行い、得られた結果を表1に記載した。
〔白色度〕
JIS P−8148:2001に準じて測定した。
〔耐熱性〕
感熱記録体を60℃で1時間の処理をおこない、地肌部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
〔静発色特性〕
東洋精機社製傾斜試験機を用いて、温度70℃、圧力9.8×10Paの条件下で5秒間加熱した。この時の発色濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
〔感度〕
感熱評価機(商品名:TH−PMD、大倉電気社製)を用い0.20mJ/dotで各感熱記録体を発色させ、記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
Figure 2005335254

Claims (15)

  1. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを少なくとも2種の化合物の存在下に湿式粉砕して得られる4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液において、前記化合物の1種が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  2. 前記化合物全固形分中、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜90質量%である請求項1記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  3. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が0.2〜15質量部である請求項1または2記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  4. 前記化合物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールである請求項1記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  5. スルホン変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜2000質量部である請求項4記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  6. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールの総和量が2〜30質量部である請求項4または5記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
  7. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンおよびその金属塩から選ばれた化合物の含有量が、0.02質量部未満であり、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体から選ばれた1種または2種以上の化合物および4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホンの含有量が、それぞれ0.03質量部未満、0.01質量部未満である請求項1から6のいずれか一項に記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液。
    Figure 2005335254
    (式中、Rは水素原子またはイソプロピル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立にイソプロピル基を、nおよびmは0、1、または2を表す。但し、nおよびmが同時に0であることはない。)
  8. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを少なくとも2種の化合物の存在下に湿式粉砕する4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法において、前記化合物の1種が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  9. 前記化合物全固形分中、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜90質量%である請求項8記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  10. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が0.2〜15質量部である請求項8または9記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  11. 前記化合物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールである請求項8記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  12. スルホン変性ポリビニルアルコール100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種が2〜2000質量部である請求項11記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  13. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースから選ばれた少なくとも一種とスルホン変性ポリビニルアルコールの総和量が2〜30質量部である請求項11または12記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの湿式粉砕方法。
  14. 4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン100質量部に対して、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンおよびその金属塩から選ばれた化合物の含有量が、0.02質量部未満であり、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体から選ばれた1種または2種以上の化合物および4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホンの含有量が、それぞれ0.03質量部未満、0.01質量部未満である請求項8〜13のいずれか一項記載の湿式粉砕方法。
    Figure 2005335254
    (式中、R1は水素原子またはイソプロピル基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立にイソプロピル基を、nおよびmは0、1、または2を表す。但し、nおよびmが同時に0であることはない。)
  15. シート状基体と、このシート状基体の少なくとも1面に形成され、かつ実質的に無色の染料前駆体と顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記顕色剤として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン分散液を使用したことを特徴とする感熱記録体。
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