JP2005334687A - ガス分離膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非対称構造を有するガス分離膜において、ガス分離性能が大きく、かつ、実用レベル以上の機械的強度を有するガス分離膜を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記一般式(1)〜(5)
【化1】
Figure 2005334687

(式中、Y1〜Y4は2価の、Y5は4価の有機残基を示し、Xは少なくとも一部が9,9-ビス(4-フェニレン)フルオレン骨格を有する2価の有機残基である)で表される構造単位を有する第一ポリマーと、第一ポリマーと相溶性を示す配合ポリマーとから形成されたガス分離膜であって、ガス分離膜が非対称構造を有し、CO2透過速度が7.5×10-11m3(STP)/m2・sec・Pa以上、CO2とN2の透過速度比が10以上、引張強度が10N/mm2以上、破断伸度が10%以上であるガス分離膜。
【選択図】 なし


Description

本発明は、スキン層と多孔質層とから構成される非対称構造を有するガス分離膜であって、ガスの分離性能と中空糸ガス分離膜として実用レベル以上の機械的強度を有する分離膜に関する。
ガス分離膜の多くは、ガス選択透過性が高いガラス状ポリマーで形成されたガス分離膜である。概してガラス状ポリマーは、ガス選択透過性(分離度)は高いけれども、ガス透過係数が小さいという短所がある。このため、多くのガラス状ポリマーで形成されたガス分離膜は、多孔質層(支持層)と薄いスキン層(分離層)とから構成される非対称構造、すなわちガスの透過抵抗を生じる分離層を薄くして、ガス透過速度が小さくなり過ぎないようにして用いられている。
近年、気体混合物の分離、精製を高分子ガス分離膜で行う試みが多くなされている。例えば、高分子ガス分離膜を用いて空気から酸素を選択的に透過させることにより、酸素富化空気又は窒素富化空気を調製し、前者を医療、燃焼システム等で、後者を食品保存、燃焼性材料の発火防止に活用する試みがなされている。また、燃焼排ガス等から窒素とCO2を選択的に透過させることにより、CO2富化ガスを調製する試みもなされている。そして、これらの用途に用いるガス分離膜には、分離膜を透過させたいガス(以下、透過ガスという)と透過させたくないガス(以下、非透過ガスという)を効率よく分離する性能が求められる。すなわち、透過ガスに対する透過性及び選択性がいずれも優れていることが要求される。また、使用環境によっては、更に安定性、耐熱性、耐薬品性、高強度等の特性も要求される。更に、高効率なガス分離に好適な形状である中空糸膜等を製造する上で、加工性に優れていることも重要な要件になっている。そこで、数多くの高分子分離膜が検討されている。
高分子膜における気体の透過性の指標である透過速度は、気体の高分子膜への溶解性の指標である溶解度係数と、高分子膜中での気体の拡散性の指標である拡散係数との積で表される。また、選択性の指標である分離係数は、透過ガスと非透過ガスの透過速度の比で表される。したがって、透過ガスの透過性を選択的に向上させるためには、高分子膜に対する透過ガスの溶解度係数、拡散係数又は両者を非透過ガスに対して選択的に向上させることが必要になる。
特開平2-241528号公報 特開平5-192552号公報 特開平5-228350号公報 特開2003-24755号公報 特開平10-57746号公報 特開平10-99666号公報 特開2001-269553号公報
特許文献1や4には、貫通孔を有しないスキン層とこれに隣接する多孔質層とからなる非対称構造を有する非対称中空糸ガス分離膜が記載されている。そして、これを製造する方法として、二重管ノズルより紡糸溶液を中空糸状に押出し成形し、まず乾式部(例えば、空気中)で溶媒の一部を除去してスキン層を形成し、次に湿式部(例えば、有機貧溶媒中)で凝固させてスキン層に隣接する多孔質層を形成させる方法、すなわち乾湿式法が記載されている。非対称中空糸ガス分離膜は、その製造が容易である点で優れるが、乾湿式法により工業的に安定生産するためには、使用する樹脂材料又はそれから得られる非対称中空糸ガス分離膜が、所望の機械的強度を有することが必要である。
特許文献2及び3は、ガス分離膜に使用する樹脂材料として、ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリマー(以下、カルド型ポリマーともいう)を使用することを提案している。特許文献3は、ポリイミドを使用すること、このポリイミドにカルボキシル基、スルホン酸基を導入して擬似架橋効果を持たせることにより、ポリイミドの分子間間隙を最適化し、ガス透過選択率を向上させる方法を提案している。カルド型ポリマー、例えばカルド型ポリイミドは、ガス透過選択率が優れている点で有望なものであるが、乾湿式法により非対称中空糸ガス分離膜を工業的に安定生産するためには、機械的強度、特に引張り伸度が不足する問題がある。
特許文献4は、Heガス透過係数が一定以上で、Heガス透過係数とN2ガス透過係数の比が一定以上の第1ポリマー(例えば、ポリイミド)と、引張り伸度が一定以上の第2ポリマー(例えば、ポリイミド)を配合した樹脂の溶液を用いて乾湿式法により非対称中空糸ガス分離膜を製造する方法が記載されている。特許文献7にも、ポリイミドと他の樹脂をブレンドした樹脂組成物を用いて、ガス分離膜を製造する方法が記載されている。しかしながら、ここで使用されるポリイミドはカルド型ポリマーではないため、CO2とN2とガス分離のような場合については、十分な分離性能を有しないという問題がある。
特許文献6は、カルド型ポリマーから形成された分離膜に、特定の気体に対して親和性を有すると共に室温で固体の被覆物質を、分離膜本体に対して非溶解性の溶剤に溶解してコーティング液を調製し、分離膜本体の一面側を減圧下に維持して他方面側から上記コーティング液を通液し、分離膜本体の表面に被覆物質をコーティングして得られたガス分離性能が改良された気体分離膜が記載されている。しかし、この方法は、製膜とコーティングを別個に行う必要がある。
更に、特許文献4及び5には、この非対称中空糸ガス分離膜を多数本(例えば、100〜100000本)集束して、その端部を接着剤等で固着して中空糸ガス分離膜エレメントとすること、このエレメントの1以上を、混合ガス導入口、透過ガス排出口及び非透過ガス排出口を有する容器内に装備した中空糸ガス分離膜ガスモジュールについても記載されている。このモジュールは、中空糸膜の内側に通じる空間と外側に通じる空間とが隔絶された構造となっており、ガス分離が行われる。このモジュールは、このままでもガス分離装置として使用されるが、通常は切替え弁等を設けた容器にセットされた上で、ガス分離装置として使用されることが多い。この場合は、モジュールが劣化したらモジュールを取り替えることにより長期使用を可能としている。また、特許文献5は、3成分以上のガスを含む混合ガスから、モジュールを使用してこれらを分離する方法を開示している。
ガス分離膜は、通常、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束を、少なくとも混合ガスの導入口、透過ガスの排出口とを有する容器内に収納して構成される中空糸ガス分離膜モジュールとして用いられる。中空糸ガス分離膜モジュールにおいては、混合ガスは中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の透過ガスが選択的に膜を透過し透過ガスの排出口から回収され、このガスが除かれたガスが非透過ガス排出口から回収されることによって、ガス分離が行われる。
非対称構造の膜では、膜透過成分が膜を透過する透過速度の律速過程は、スキン層を透過する過程である。多孔質層を透過する過程は透過抵抗が比較的小さいので、膜透過成分が膜を透過する透過速度への影響は、実際上は無視できる。
しかしながら、非対称膜において単に多孔質層の多孔性を高めて膜透過成分が膜を透過する透過速度を大きくしようとすると、透過速度は大きくできるが多孔質層が担うべき膜に支持機能である機械的強度が低下するので、向上された透過速度と実用レベルの機械的強度の両方を併せ持つ実用的な高性能ガス分離膜を得ることは困難であった。また、高強度材料の選択によって機械的強度が低下するという課題を解決しようとする試みもあるが、高強度材料は一般的にガス透過係数がより小さいのでこの課題の解決に至っていなかった。
したがって、本発明の目的は、ガスの分離性能が高く、中空糸ガス分離膜として実用レベル以上の機械的強度を有する分離膜を提供することにある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、少なくとも1種類のカルド型ポリマーを含む2種類以上のポリマーの混合物で非対称膜を形成することによって、多孔質層の膜透過成分が膜を透過するときのガス透過速度を大きくしながら、かつ、膜の機械的強度を実用レベル以上に保持し得ることを見出して本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(1)〜(5)
Figure 2005334687
(但し,式中Y1、Y2、Y3及びY4は2価の有機残基を示し、Y5は4価の有機残基を示し、Xは2価の有機残基であって少なくともその一部は下記構造式(A)で表される2価の有機残基である)
Figure 2005334687
(但し、式中R1〜R12は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基又はハロゲンを示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)でそれぞれ表されるポリエステル構造単位、ポリカーボネート構造単位、ポリエーテル構造単位、ポリアミド構造単位及びポリイミド構造単位から選ばれた少なくとも1種の構造単位を有する第一ポリマーと、第一ポリマーと相溶性を示す少なくとも1種の配合ポリマーとからなる相溶樹脂組成物から形成されたガス分離膜であって、該ガス分離膜スキン層と多孔質層とから構成される非対称構造を有し、炭酸ガス透過速度が、7.5×10-11m3(STP)/m2・sec・Pa以上であり、炭酸ガスと窒素の透過速度比が10以上であり、引張強度が10N/mm2以上であり、破断伸度が10%以上であることを特徴とするガス分離膜である。
ここで、次のいずれかを満足することはより好ましいガス分離膜を与える。
1)ガス分離膜が中空糸膜であること、
2)第一ポリマーが一般式(5)で表されるポリイミド構造単位からなるポリマーを含むこと、
3)配合ポリマーが、ポリフェニレンスルフィド樹脂であること。
また、本発明は、上記の非対称中空糸ガス分離膜を装備してなるガス分離装置であり、このガス分離装置は、少なくともCO2とN2を含む混合ガスから少なくとも1種のガスを分離又は濃縮するためのガス分離装置として有利に使用できる。
以下、本発明のガス分離膜について説明する。
本発明でガス分離膜を形成する原料として用いる樹脂組成物は、上記一般式(1)〜(5)で表される第一ポリマーと、これと相溶性を示し、相溶樹脂組成物を与える配合ポリマーとからなる。
第一ポリマーは、上記一般式(1)〜(5)でそれぞれ表されるポリエステル構造単位、ポリカーボネート構造単位、ポリエーテル構造単位、ポリアミド構造単位及びポリイミド構造単位から選ばれた少なくとも1種の構造単位を有するポリマーである。ここで、式中Y1、Y2、Y3及びY4は2価の有機残基を示し、Y5は4価の有機残基を示すが、これらはポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド又はポリイミドを与える原料化合物の有機残基であるから、それぞれの原料化合物から好ましい有機残基は容易に理解される。そして、本発明で使用されるこれらの有機残基を与える原料化合物は、一般的なもので差し支えない。
Xは2価の有機残基であって少なくともその一部は上記構造式(A)で表される2価の有機残基である。ここで、式中R1〜R12は、独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基又はハロゲンを示すが、その全部が水素であるか、6以上が水素であることが好ましい。そして、その全部が水素でない場合は、残りの基は炭素数1〜2のアルキル基又はカルボキシメチル基(-COOMe)であることが好ましい。Xはその全部が上記構造式(A)で表される2価の有機残基であってもよいが、一部は他の2価の有機残基であることができる。しかし、50モル%以上、より好ましくは70モル%以上が上記構造式(A)で表される2価の有機残基であることが好ましい。Xの全部が上記構造式(A)で表される2価の有機残基ではない場合、その他の2価の有機残基はポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド又はポリイミドを与える原料化合物から生じる有機残基である。
上記一般式(1)〜(5)でそれぞれ表される構造単位を有する第一ポリマーは、前記特許文献6等で公知の化合物であり、その製法も特許文献6等に記載されているので、入手又は製造は当業者であれば容易である。この第一ポリマーは、嵩高いビスフェニルフルオレン骨格をポリマー構造中に有するカルド型ポリマーであり、ビスフェニルフルオレン骨格自体の嵩高さと、その嵩高さがポリマー主鎖の回転性を抑制する結果、ポリマー中に多数の空孔を与え、優れたガス分離性能、優れた加工性又は優れた耐熱性を与えるポリマーとして作用する。
第一ポリマーと相溶性を示し、相溶樹脂組成物を与える配合ポリマーとしては、第一ポリマー溶液と配合ポリマー溶液が均一に混合(相溶)するものであり、ポリマー同士が相溶性を示すものである。相溶性は配合割合によって、示す場合と示さない場合とがあるが、相溶性を示す範囲の配合割合で使用される。第一ポリマー溶液と配合ポリマー溶液に使用される溶媒は同一であっても、異なってもよいが同一であれば回収、再使用等の点で有利である。そして、溶媒はポリマーの溶解性、分離膜の形成性、分離膜の形成後の除去のしやすさ等から選択される。
前記配合ポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル又はポリイミド等が好ましく例示されるが、第一ポリマーと相溶性を示さず、相溶樹脂組成物を与えない組合せは除外される。配合ポリマーと第一ポリマーは、例えばどちらもポリイミド類であるような同種のポリマーであっても、一方がポリイミドで他方がポリスルホンであるような異種のポリマーであってもよいが、同種のポリマーの場合であっても、配合ポリマーは前記構造式(A)で表される有機基を有しない。好ましい組合せとしては、ポリイミド類とポリスルホン又はポリスルフィドの組合せがあり、後者が配合ポリマーとなり、他方が第一ポリマーとなる。なお、第一ポリマー又は配合ポリマーは、それぞれ1種であっても、2種以上であってもよい。
第一ポリマーと配合ポリマーを混合して得られる樹脂組成物は、同一の有機溶媒に均一に溶解する必要がある。この有機溶媒は混合溶媒であっても差し支えない。この樹脂混合物の溶液から本発明のガス分離膜を製造する。この製造方法としては、前記のポリマー混合物の溶液を用いて、Loebらが米国特許3,133,132号で提案したポリマー溶液をノズルから押し出して目的形状物とし、空気又は窒素浴空間を通過させたのち、凝固浴に浸漬する方法(いわゆる、乾湿式法)により製造することができる。乾湿式法では凝固過程においてノズルから目的形状に押し出されたポリマー溶液から溶媒が除去されて多孔質構造が形成される。
本発明のガス分離膜の製造方法は、より詳しくは次のとおりである。すなわち、第一ポリマーと配合ポリマーを同一溶媒に溶解したポリマー混合溶液を調製し、これをノズルから中空糸状などの目的とする形状に吐出させ、吐出直後に空気あるいは窒素雰囲気中を通したあと、ポリマー混合物を実質的には溶解せず、しかも、ポリマー混合物溶液の溶媒と相溶性を有する凝固液に浸漬して、非対称構造を形成し、その後乾燥、加熱工程を経て分離膜を製造する。ポリマー混合物溶液は、第一ポリマーの溶液と配合ポリマーの溶液を別々に調製後にそれらを混合してもよいし、第一ポリマーと配合ポリマーを混合したのち、有機溶媒に溶解しもよいし、有機溶媒に2種類以上のポリマーを順次溶解してもよい。ポリマー混合溶液のポリマー濃度は10〜30重量%が製膜上好ましい。
また、ノズルから吐出させるポリマー混合物溶液の溶液粘度(回転粘度)は、吐出温度で30〜700ポイズ、特に50〜200ポイズが中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状などの膜の形状が保持できる程度に凝固した後、案内ロールに巻き取られ、ついで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固液の乾燥は置換溶媒を用いて凝固液と置換した後、乾燥する方法が効率的である。熱処理は用いられている1種類のカルド型ポリマーを含む2種類以上のポリマー(樹脂組成物)の軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施されることが好ましい。
本発明の非対称ガス分離膜は、多孔質層の炭酸ガス透過速度が7.5×10-11m3(STP)/m2・sec・Pa以上であり、炭酸ガスと窒素の透過速度比が10以上であり、中空糸膜での引張強度が10N/mm2以上であり、破断伸度が10%以上である必要がある。このようにすることによって、中空糸膜としての優れた耐圧性と工業的に分離膜モジュールへの加工が可能な実用レベルの機械的強度を持つ非対称構造を有するガス分離膜となる。また、中空糸膜での引張強度が10N/mm2以上、好ましくは12N/mm2以上であり、且つ、破断伸度が10%以上あれば、中空糸膜をモジュール化するときに容易に破断することなく取扱いが可能になり、工業的に加工することが出来る。更に、前記の引張強度があれば中空糸膜モジュールとして優れた耐圧性を有するので有用なガス分離膜になる。一方、引張強度が10N/mm2あるいは破断伸度が10%に満たないと、加工時に中空糸膜が破断し易くなるので工業的に分離膜モジュールへ加工することが困難になり、更に、中空糸膜モジュールとしても耐圧性が低くなって、用途や使用条件が限定されるので有用なガス分離膜モジュールではなくなる。
ここで、本発明における機械的強度は膜を中空糸としたときの引張強度と破断伸度で表している。これらは、温度25℃にて引張試験機を用いて試料の有効長50mm、引張速度10mm/分で測定した値である。引張強度は中空糸の引張り破断時の応力を中空糸の断面積で除した値であり、破断伸度は中空糸の当初の長さをL0、引張り破断時の長さをLとしたときの(L−L0)/L0×100の値(%)である。
本発明のガス分離膜は、中空糸膜として好適に用いられるが、中空糸膜の内径は30〜500μmのものが好適である。この非対称中空糸ガス分離膜は、スキン層の厚みが10〜200nmであり、多孔質層の厚みが20〜200μmであることが好ましい。また、本発明の中空糸膜は通常の分離膜モジュールとして好適に用いることができる。例えば、中空糸膜は適当な長さに切断したものが100〜20万本程束ねられ、中空糸の端部が開口状態を保持した状態で両端部を熱硬化性樹脂などからなる管板で固着され、少なくとも混合ガス導入口と透過ガス排出口と未透過ガス排出口とを備える容器内に収納され、管板は容器内の空間を隔絶するようにO−リングや接着剤などによって容器に密閉して取り付けられる。供給される混合ガスは、中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の特定成分が選択的に膜を透過し、ガス分離が行われる。
本発明のガス分離装置は、本発明の非対称中空糸ガス分離膜を装備しているものであれば制限はない。例えば、非対称中空糸ガス分離膜を多数束ねた構造と入口と排出部を有するモジュールと称される装置であっても、切替弁等を備えた装置であってもよい。本発明のガス分離装置は、CO2とN2の分離性能が優れるため、燃焼排ガス等からのCO2又はN2の分離、濃縮又は回収に使用可能である。
本発明の非対称ガス分離膜は、機械的強度とガス分離性能をバランスよく備えているため、優れたガス分離性能を保持しつつ、乾湿式法によるその工業的製造が容易となる。また、本発明の透過ガスの透過速度が改良された非対称ガス分離膜は、多孔質層のガス透過抵抗を小さく(ガス透過速度を大きく)した膜であり、しかも、中空糸膜としての機械的強度を実用レベル以上に保持したガス分離膜である。また、この分離膜を用いて、極めて高効率で、炭酸ガスの分離回収をおこなうことができる。これは、第一ポリマーとしてのカルド型ポリマーとこれと相溶する配合ポリマーを併用して、非対称性構造を有するガス分離膜を形成することによって、カルド型ポリマーが与える大きいガス分離性能を維持し、配合ポリマーで膜の機械的強度を実用レベル以上に向上させることによるものと考えられる。
次に、本発明における中空糸ガス分離膜の製造とその特性について具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。分離膜の特性を測定する条件を次に示す。
(中空糸膜の炭酸ガス透過性能の測定方法)
約10本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が15cmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。それに一定圧力、一定比率の窒素/炭酸ガスを供給して、透過流量と透過炭酸ガス濃度を測定した。測定した透過炭酸ガス量と供給圧力及び有効膜面積から炭酸ガスの透過速度を算出した。なお、これらの測定は40℃で行った。
(中空糸膜の引張強度と破断伸度の測定方法)
引張試験機を用いて有効長50mm、引張速度10mm/分で測定した。破断面積は破断面を、光学顕微鏡を用いて寸法を測定した。
合成例1
窒素気流下、セパラブルフラスコ中にて、ジアミンとしてビスアニリン-フルオレン-4-カルボン酸メチルエステルと、酸無水物としてベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物を、溶媒NMPに溶解させ、その後溶液温度を180℃に保持し、生成する水を除去しながら重合した。得られた溶液を大量のメタノール中に滴下して、沈殿、濾別、乾燥して、カルド型ポリイミド樹脂を得た。得られたカルド型ポリイミド樹脂PI−BT−COOMeの構造式を次に示す。
Figure 2005334687
合成例1で得られたカルド型ポリイミド樹脂を、溶剤NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解し、カルド型ポリイミド樹脂20%溶液を得た。別に、ポリフェニレンスルフィド樹脂(ソルベイアドバンストポリマー社製、商品名レーデル、グレードR-5000NT)をNMPで溶解し、ポリフェニレンスルフィド樹脂20%溶液を得た。
カルド型ポリイミド樹脂20%溶液とポリフェニレンスルフィド樹脂20%溶液を75%と25%の比率で混合し、混合溶液を得た。
この混合溶液を中空糸紡糸ノズル(円形開口部外形650μm、円形開口部内形450μm、芯部開口部外形350μm)から吐出させ、空気中を通した後、凝固液に浸漬し、その後水中に24時間以上浸漬し脱溶媒を行った。乾燥して得られた中空糸膜は外径500μm、内径360μm、膜厚70μmであった。物性値、ガス分離性能を測定した結果は良好であった。
実施例1で使用したカルド型ポリイミド樹脂20%溶液とポリフェニレンスルフィド樹脂20%溶液を50%と50%の比率で混合した他は、実施例1と同様にして混合溶液を得て、これを紡糸して、中空糸膜を得た。物性値、ガス分離性能を測定した結果は良好であった。
比較例1
カルド型ポリイミド樹脂20%溶液のみを使用した他は、実施例1と同様にして紡糸して、中空糸膜を得た。
比較例2
ポリフェニレンスルフィド樹脂20%溶液のみを使用した他は、実施例1と同様にして紡糸して、中空糸膜を得た。し、実施例1と同じ装置を使用し、同じ条件で紡糸を行い、中空糸膜を得た。物性値、ガス分離性能を測定した結果をまとめて表1に示す。
Figure 2005334687

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)〜(5)
    Figure 2005334687
    (但し,式中Y1、Y2、Y3及びY4は2価の有機残基を示し、Y5は4価の有機残基を示し、Xは2価の有機残基であって少なくともその一部は下記構造式(A)で表される2価の有機残基である)
    Figure 2005334687
    (但し、式中R1〜R12は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基又はハロゲンを示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)でそれぞれ表されるポリエステル構造単位、ポリカーボネート構造単位、ポリエーテル構造単位、ポリアミド構造単位及びポリイミド構造単位から選ばれた少なくとも1種の構造単位を有する第一ポリマーと、第一ポリマーと相溶性を示す少なくとも1種の配合ポリマーとからなる相溶樹脂組成物から形成されたガス分離膜であって、該ガス分離膜がスキン層と多孔質層とから構成される非対称構造を有し、炭酸ガス透過速度が、7.5×10-11m3(STP)/m2・sec・Pa以上であり、炭酸ガスと窒素の透過速度比が10以上であり、引張強度が10N/mm2以上であり、破断伸度が10%以上であることを特徴とするガス分離膜。
  2. ガス分離膜が、中空糸膜である請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 一般式(5)で表されるポリイミド構造単位からなるポリマーを含む樹脂組成物から形成された請求項1又は2に記載のガス分離膜。
  4. 配合ポリマーが、ポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非対称中空糸ガス分離膜を装備してなるガス分離装置。
  6. 少なくともCO2とN2を含む混合ガスから少なくとも1種のガスを分離又は濃縮するためのガス分離装置である請求項5に記載のガス分離装置。

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