JP2005332901A - 半導体ウエハの保護方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体ウェハの裏面研削時にはウェハ表面の凹部や段差によく密着して水浸入によるウェハの破損や汚染を防止することが可能であり、且つ、ダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける加熱工程を経た後でも容易に剥離できる半導体ウェハの保護方法を提供する。
【解決手段】
基材フィルムの片表面に光照射により高弾性率化する粘着剤層が形成された粘着フィルムを半導体ウェハの回路形成面に貼着する第一工程、該半導体ウェハを研削機又は研磨機に固定し、半導体ウェハの回路非形成面を加工する第二工程、粘着フィルムに光照射して粘着剤層を高弾性率化する第三工程、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンティング用接着フィルムを貼着する第四工程、及び粘着フィルムを半導体ウェハより剥離する第五工程を具備することを特徴とする半導体ウェハの製造における半導体ウエハの保護方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体ウエハの保護方法に関する。詳しくは、シリコン、ガリウム−砒素等の半導体ウエハの集積回路が形成された側の面(回路形成面、又は表面)に粘着フィルムを貼着して該ウエハの他の面(回路非形成面、又は裏面)を加工し、次いで該ウエハより粘着フィルムを剥離する工程を具備する半導体ウエハの保護方法に関する。更に詳しくは、薄層化した半導体ウェハの製造工程、特に、ウェハの裏面にダイボンディングフィルムを貼着する工程を具備する半導体ウェハの製造工程において、半導体ウェハの破損防止、汚染防止に有用であり、生産性向上を図り得る半導体ウェハの保護方法に関する。
半導体パッケージの製造工程は、半導体ウェハの回路形成面に半導体ウェハ保護用粘着フィルムを貼着する工程、半導体ウェハの回路非形成面を加工する工程、半導体ウェハ保護用粘着フィルムを剥離する工程、半導体ウェハを分割切断するダイシング工程、分割された半導体チップをリードフレームへ接合するダイボンディング工程を経た後、半導体チップを外部保護の為に樹脂で封止するモールド工程、等により構成されている。ダイボンディング工程における半導体チップとリードフレームとの接合方法としては、従来より液状の樹脂ペーストを用いた方法、すなわち、リードフレーム上にダイボンディング材料である液体状の樹脂ペーストを供給し、その上に半導体チップを載せて接着する方法が広く行われてきた。
近年、樹脂ペーストを用いた場合の欠点である塗布不均一性を改善し、しかも工程全般を合理化しうる方法として、ダイボンディング用接着フィルムを用いる接合方法が採用される場合が増加している。この方法では、例えば特開平6−302629号公報に開示されているように、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼着する工程、ダイボンディング用接着フィルムを貼着した状態の半導体ウェハをダイシングテープに固着した後、分割切断するダイシング工程、及びダイシングテープを剥離する工程を経た後、半導体チップをリードフレームにダイボンディングする工程が実施される。
このようなダイボンディング用接着フィルムを用いる方法において、ダイボンディング用接着フィルムをウェハの回路非形成面に貼り付ける際の半導体ウェハの破損や汚染を効果的に防止しうる方法として、特開平2002−246345号公報には、半導体ウェハの表面に、半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムを貼着してから、それを剥離する工程に到る一連の工程において、半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムを貼着した状態で、半導体ウェハの裏面を研削する工程と半導体ウェハの裏面にダイボンディング用接着フィルムを貼着する工程を行い、且つ、これらの工程で用いる半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムとして、少なくとも一層が融点200℃以上の樹脂から形成された基材フィルムの片表面に、150℃における貯蔵弾性率が少なくとも1×105Pa、厚みが3〜100μmである粘着剤層が形成された半導体ウェハ表面保護用粘着フィルムを使用することを特徴とする半導体ウェハ保護方法が開示されている。
この方法では、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける際には、ウェハ表面に半導体ウェハ保護用粘着フィルムが貼り付けられており、ダイボンディング用接着フィルムを貼着する際のロールの圧力等による半導体ウェハの破損や、貼り付けテーブルに付着した異物等による半導体ウェハの汚染を効果的に防止できる。従って、特に半導体ウェハの厚みが200μm以下まで薄層化される、破損の恐れが大きいウェハを処理する際に特に優れた方法であり、近年の携帯用機器の普及に伴う薄型パッケージの需要増と呼応して、この方法が採用される例が増大している。
近年、集積回路の性能向上や、パッケージの高集積化に伴い、半導体ウェハの表面形状は複雑化する傾向にある。ウェハ表面には、ポリイミド等のコーティング層、酸化珪素膜、窒化珪素膜等の蒸着膜や、スクライブライン(ダイシングストリート)等に起因する、周囲の場所から溝状に窪んだ凹部や段差が存在する。この凹部や段差の深さは一般的には数μmであるが、チップの高性能化や半導体製造プロセスの革新に伴い、より深くなる傾向があり、中には深さ20μmに迫るものもある。こうした深い凹部や段差を有するウェハでは、粘着剤の密着性が不十分であると、研削中に研削水が浸入してウェハを汚染したり、ウェハを破損したりする問題が発生する。
このように深い凹部や段差がウェハ表面に存在する場合に、粘着剤層の凹部に対する密着性を高くして、凹部や段差を通じての研削水の浸入を防止する必要がある。例えば特開昭60−189938号公報には、半導体ウェハの裏面を研磨するにあたり、このウェハの表面に感圧性接着フィルムを貼り付け、上記の研磨後この接着フィルムを剥離する半導体ウェハの保護方法において、上記の感圧性接着フィルムが光透過性の支持体とこの支持体上に設けられた光照射により硬化し三次元網状化する性質を有する感圧性接着剤層とからなり、研磨後この接着フィルムを剥離する前にこの接着フィルムに光照射することを特徴とする半導体ウェハの保護方法が開示されている。上記の発明に開示されている半導体ウェハの保護方法は、剥離前に光照射することによって粘着フィルムのウェハ表面に対する粘着力を低下させることができるため、剥離時の作業性・ウェハ破損の問題を考慮せずに裏面研削時のウェハ表面に対する密着性を十分に大きくすることができるため、前述の研削水の浸入の問題は解決される。
しかしながら、この粘着フィルムを前述のダイボンディング用接着フィルム貼り付け工程に用いると、本来は光照射により瞬間的に完結するべき硬化・三次元網状化反応が、ダイボンディング用接着フィルム貼り付けの際に一般的に行われている80〜200℃での加熱によって中途半端に進行する為に粘着フィルムとウェハの接着の異常亢進が起こり、例え剥離前に光照射したとしても粘着力の低下が不十分となり、ウェハから剥離できない問題が発生することがあった。例え剥離できたとしても、ウェハ上に糊残りしてウェハ表面を汚染することがあった。
このような状況の中で、裏面研削時には、例え凹部や段差の深い水浸入しやすい半導体ウェハであっても、十分に密着して水浸入によるウェハの破損や汚染を防止することができ、しかも、研削後のウェハにダイボンディング用接着フィルムを貼り付けた後でも容易に剥離できてウェハの破損や汚染を防止することができる半導体ウェハの保護方法が求められている。
特開平6−302629号公報 特開平2002−246345号公報 特開昭60−189938号公報
本発明の目的は、上記問題を鑑み、裏面研削時にはウェハ表面の凹部や段差によく密着して水浸入によるウェハの破損や汚染を防止することが可能であり、且つ、裏面研削後の半導体ウェハの回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける加熱工程を経た後でも粘着フィルムの接着力が異常亢進すること無く容易に剥離できるために、粘着フィルム剥離時のウェハの破損、汚染を防止することができる半導体ウェハの保護方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、ウェハ表面によく密着させるためには粘着剤は低弾性率であるほうが好ましいこと、さらに、ダイボンディング用接着フィルム貼り付け時の加熱による接着力の異常亢進を抑制するためには、粘着剤の弾性率が高弾性率であるほうが好ましいことから、これら異なる物性を同時に実現する為に、ウェハに粘着フィルムを貼り付ける工程、及び裏面研削工程においては弾性率の低い状態にある粘着剤を、ダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける工程の前に高弾性率化することにより、本発明の目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
基材フィルムの片表面に光照射により高弾性率化する粘着剤層が形成された粘着フィルムを半導体ウェハの回路形成面に貼着する第一工程、該半導体ウェハを研削機又は研磨機に固定し、半導体ウェハの回路非形成面を加工する第二工程、粘着フィルムに光照射して粘着剤層を高弾性率化する第三工程、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンティング用接着フィルムを貼着する第四工程、及び粘着フィルムを半導体ウェハより剥離する第五工程を具備することを特徴とする半導体ウェハの製造における半導体ウエハの保護方法である。
本発明における半導体ウェハの保護方法の第一の特徴は、本発明に係わる半導体ウェハ保護用粘着フィルムが、基材フィルムの少なくとも片表面に、光照射により三次元網状化して高弾性率化する粘着剤層が形成されていることにある。第二の特徴は、粘着フィルムを貼り付ける第一工程、及び、半導体ウェハの回路非形成面を加工する第二工程においては粘着剤が低弾性率な状態にあるものを、回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける第四工程実施前に、粘着フィルムに光照射して粘着剤層を三次元網状化して高弾性率化する第三工程を実施することにある。
かかる方法を採用することにより、粘着フィルムの貼り付け及び回路非形成面の加工中には粘着剤層が低弾性率であるためにウェハ表面の凹部や段差によく密着して加工中の研削水浸入によるウェハの破損、汚染を防止できると同時に、ダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける際には、予め光照射により粘着剤層が三次元網状化して高弾性率化されているため、ダイボンディング用接着フィルム貼り付けの際の100〜200℃の加熱を経ても、粘着力の亢進を抑制することができるため、剥離時にウェハを破損、汚染することがない。
本発明によれば、半導体ウェハの裏面研削時にはウェハ表面の凹部や段差によく密着して水浸入によるウェハの破損や汚染を防止することが可能であり、且つ、裏面研削後の半導体ウェハの回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける加熱工程を経た後でも粘着フィルムの接着力が異常亢進すること無く容易に剥離できるために、粘着フィルム剥離時のウェハの破損、汚染を防止することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。先ず、本発明に係わる半導体ウェハの保護方法に適用される半導体ウェハの製造方法は、前記の如く、半導体ウェハの回路形成面に半導体ウェハ保護用粘着フィルムを貼着する第一工程、該半導体ウェハ保護用粘着フィルムが貼着された半導体ウェハを研削機又は研磨機に固定し、半導体ウェハの回路非形成面を加工する第二工程、光照射して粘着剤層を高弾性率化する第三工程、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンティング用接着フィルムを貼着する第四工程、及び半導体ウェハ保護用粘着フィルムを半導体ウェハより剥離する第五工程を順次実施するものである。以降の工程には特に制限はないが、例えば、半導体ウェハを分割切断するダイシング工程、ワイヤーボンディング工程、半導体チップを外部保護の為に樹脂で封止するモールド工程、等を順次実施する半導体ウェハの製造方法が挙げられる。
本発明に係わる半導体ウェハの保護方法の詳細は、先ず、半導体ウェハ保護用粘着フィルム(以下、単に粘着フィルムと略称する)の粘着剤層側から剥離フィルムを剥離して粘着剤層表面を露出させ、その粘着剤層を介して、半導体ウェハの表面に粘着フィルムを貼着する(第一工程)。次いで、研削機又は研磨機等のチャックテーブル等に粘着フィルムの基材フィルム層を介して半導体ウェハを固定し、半導体ウェハの裏面を加工する(第二工程)。第二工程は、半導体ウェハの裏面研削工程、ウェットエッチング工程、及びポリッシング工程を全て実施してもよいし、又は、これらの工程のいずれか一工程を実施してもよい。次いで、
粘着フィルムに光照射し、粘着剤層を三次元網状化して高弾性率化する(第三工程)。次いで、粘着フィルムを剥離することなしに、ダイボンディング用接着フィルムの貼着工程に搬送され、ダイボンディング用接着フィルムを貼着する(第四工程)。その後、粘着フィルムは半導体ウェハ表面から剥離される(第五工程)。
従来、裏面加工工程において、半導体ウェハは、研削前の厚みが500〜1000μmであったものが、半導体チップの種類等に応じ、200〜600μm程度まで研削、薄層化される。一方、本発明の保護方法を適用することにより、厚みが200μm以下になるまで薄層化することができる。その場合、半導体ウェハの最低厚みは20μm程度である。200μm以下まで薄くする場合は、裏面研削に引き続いて、ウェットエッチング工程やポリッシング工程を実施することもできる。裏面を研削する前の半導体ウェハの厚みは、半導体ウェハの直径、種類等により適宜決められ、裏面研削後の半導体ウェハの厚みは、得られるチップのサイズ、回路の種類等により適宜決められる。
本発明における第一工程において、表面保護用粘着フィルムを半導体ウェハの表面に貼着する操作は、人手により行われる場合もあるが、一般に、ロール状の表面保護用粘着フィルムを取り付けた自動貼り機と称される装置によって行われる。このような自動貼り機として、例えばタカトリ(株)製、形式:ATM−1000B、同ATM−1100、同TEAM−100、帝国精機(株)製、形式:STLシリーズ、日東精機(株)製、型式:DR8500II、等が挙げられる。
本発明における第二工程において、裏面研削方式としては、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の研削方式が採用される。通常、いずれの方法においても、半導体ウェハと砥石に水を供給して冷却しながら裏面研削が行われる。研削機としては、例えば、(株)ディスコ製、形式:DFG−841、同DFG-850、同DFG−860、 (株)岡本工作機械製作所製、形式:SVG−502MKII8、(株)東京精密製、形式:PG200等が挙げられる。裏面研削終了後、必要に応じて、ウェットエッチング、ポリッシングが行われる。ウェットエッチング工程及びポリッシング工程は、半導体ウェハ裏面に生じた歪の除去、半導体ウェハのさらなる薄層化、酸化膜等の除去、電極を裏面に形成する際の前処理等を目的として行われる。エッチング液は、上記の目的に応じて適宜選択される。
本発明における第三工程において、粘着フィルムの基材フィルム側から光照射して粘着剤を三次元網状化して高弾性率化する。照射光の種類としては、X線、γ線等、紫外線、電子線等が挙げられるが、これらの光の中から、粘着剤層を構成する粘着剤のタイプに応じて適当な光を選択して、粘着剤層を三次元網状化して高弾性率化するのに十分な照射量を照射すればよい。
光の照射量としては、光が紫外線である場合には、通常、50〜3000mJ/cm〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02(受光器:UV−35)、を用いて測定した紫外線照度(mW/cm)に時間(秒)をかけた値〕の範囲内が好ましい。照射量が少ないと、粘着剤層の高弾性率化が不十分となる傾向があり、第四工程におけるダイボンディングフィルム貼り付け時の加熱により接着力が異常亢進してしまい、その後の第五工程においてウェハ表面に糊残りしてウェハを汚染したり、ウェハ表面から粘着フィルムを剥離できずにウェハを破損したり、粘着フィルム剥離時の作業性が低下したりすることがある。照射量が多いと、照射時間が増大してスループットが低下したり、照射に必要な電力量が増大してコストが増加したりすることがある。
上記の紫外線照射量を得る為には、通常、10〜2000mW/cmの照度〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02(受光器:UV−35)、を用いて測定した値〕の紫外線を、照射量が上記の範囲内に入るように、通常、0.5〜60秒の時間内で照射することが好ましい。紫外線の発生源としては既知の様々な装置を使用できる。代表的なものを具体的に例示すると、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルスキセノンランプ、無電極放電ランプ等が挙げられる。
なお本発明において高弾性率化とは、光照射により弾性率が光照射前の弾性率より高くなることを意味する。
本発明における第四工程において、ダイボンディング用接着フィルムを貼着する際に用いる装置としては、例えば、タカトリ(株)製、形式:ATM−8200、同DM−800等が挙げられる。ダイボンディング用接着フィルムとしては、ポリエステル系、ポリプロピレン系フィルムの表面に、ポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂の混合物からなるワニスを塗布して、接着剤層を形成したダイボンディング用接着フィルムが挙げられる。この時、必要に応じてポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂の混合物に添加剤を混合することもある。ロールを用いて、ダイボンディング用接着フィルムを半導体ウェハ裏面に加熱貼着することにより、接着剤付半導体ウェハとされる。加熱貼着の温度は、貼着されるダイボンディング用接着フィルムの種類や、パッケージの種類等により適宜選択されるが、通常、80℃から200℃において加熱貼着される。
本発明における第五工程において、半導体ウェハ表面から粘着フィルムが剥離される一連の操作は、人手により行われる場合もあるが、一般的に自動剥がし機と称される装置を用いて行われる。自動剥がし機では、薄く加工されたウエハが真空チャックテーブルに固定され、粘着フィルムが剥離される。自動剥がし機の例としては、タカトリ(株)製、形式:ATRM−2000B、同ATRM−2100、日東精機(株)製、型式:HR−8500II)、帝国精機(株)製、形式:STPシリーズ等がある。
本発明の半導体ウエハ表面の保護方法が適用できる半導体ウエハとして、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニウム、等のウエハが挙げられる。
次に、本発明に用いる半導体ウェハ保護用粘着フィルムについて説明する。
本発明に係わる半導体ウェハ保護用粘着フィルムは、基材フィルムの片表面に粘着剤層を形成することにより製造される。通常、粘着剤層を保護するために、粘着剤層の表面に剥離フィルムが貼着される。剥離フィルムを剥離したときに露出する粘着剤層の表面を介して半導体ウェハ表面に貼着することを考慮し、粘着剤層による半導体ウェハ表面の汚染防止を図るためには、剥離フィルムの片面に、粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、得られた粘着剤層を基材フィルムの片面に転写する方法が好ましい。
本発明で用いられる基材フィルムとしては、合成樹脂をフィルム状に成形加工したフィルムを用いる。基材フィルムは単層体であっても、又、積層体であってもよい。又、基材フィルムは熱可塑性樹脂を成形加工したものであっても、硬化性樹脂を製膜後、硬化したものであってもよい。基材フィルムの厚みは10μmから500μmが好ましい。より好ましくは50〜500μmである。薄くなると、粘着フィルムの形態を維持する性質が劣ってくる傾向があり、それに伴い粘着フィルムを取り扱う際の作業性が悪化することがある。厚くなると、基材フィルムの生産性に影響を与え、製造コストの増加につながる。
基材フィルムに用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ブタジェン系エラストマー、スチレン−イソプレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
本発明においては、基材フィルムの少なくとも1層が、23〜200℃における貯蔵弾性率が1×10〜1×1010Paであり、180℃において2分間加熱したときの機械方向の収縮率が0.01〜1%であることが好ましい。貯蔵弾性率が低くなると、第四工程においてダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける際の加熱によりフィルム形状が変化し、後工程における作業性が悪化することがある。貯蔵弾性率が高くなると、フィルムの剛性が増し、カッティングや貼り付け、剥離が困難となるなど、テープとしての取扱性に悪影響を及ぼすことがある。収縮率が大きくなると、ダイボンディング用接着フィルムを貼り付ける際の加熱により基材フィルムが収縮してウェハが反ってしまい、後工程における搬送中にウェハを破損することがある。
本発明に使用する基材フィルムは、カレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法、キャスト法等、公知の技術により製造されるものの中から、生産性、得られるフィルムの厚み精度等を考慮して適宜選択することができる。
これらの樹脂をフィルム状に成形加工する際には、必要に応じて、安定剤、滑剤、酸化防止剤、顔料、ブロッキング防止剤、可塑剤、粘着付与剤、柔軟材等を添加してもよい。基材フィルムを成型加工する際に安定剤等の各種添加剤を添加した場合、添加剤が粘着剤層に移行して、粘着剤の特性を変化させたり、ウエハ表面を汚染することがある。このような場合には、基材フィルムと粘着剤層の間にバリヤー層を設けることが好ましい。
また、基材フィルムと粘着剤層との接着力を高めるために、基材フィルムの片表面にコロナ放電処理または化学処理等を施すことが好ましい。
本発明において粘着剤層を構成する粘着剤としては、光を照射することにより三次元網状化して高弾性率化する性質を有するものであれば特に制限なく用いることができる。本発明においては、紫外線硬化型の粘着剤であることが好ましい。紫外線硬化型の粘着剤としては、紫外線照射により三次元網状化して高弾性率化する特性を有する粘着剤の中から適宜選択して用いることができる。例えば、特開平7−193032号公報に記載されているような紫外線硬化型粘着剤が好ましく用いられる。
具体的には、分子中に光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル系共重合体100重量部と、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物0.1〜20重量部と、光開始剤5〜15重量部を含み、必要に応じて架橋剤により上記アクリル酸エステル系共重合体を架橋させて得られる粘着剤を用いることができる。
分子中に光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル系共重合体は、具体的には、エチレン性二重結合を有するモノマーと官能基を有する共重合性モノマーを混合、共重合させ、この共重合体に含まれるカルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基などの官能基と反応しうる基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーと反応させたものである。
上記エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルモノマー、酢酸ビニルの如きビニルエステル、アクリロニトリル、アクリアミド、スチレン等のエチレン性二重結合を有するモノマーの中から、1種又は2種以上が用いられる。
上記官能基を有する共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは1種でもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記エチレン性二重結合を有するモノマーと官能基を有する共重合性モノマーの割合は、前者70〜99重量%に対し、後者30〜1重量%が好ましい。さらに好ましくは、前者80〜95重量%に対し、後者20〜5重量%である。
エチレン性二重結合を有するモノマーと官能基を有する共重合性モノマーとの共重合体中に光重合性炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、上記共重合体中に存在するカルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基などの官能基と反応し得る基を有する光重合性炭素−炭素二重結合を含む光反応性モノマーを反応させればよい。例えば、これらの官能基の組み合わせとして、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、水酸基とイソシアネート基等、容易に付加反応が起こる組み合わせが望ましい。又、付加反応に限らずカルボン酸基と水酸基との縮合反応等、光重合性炭素−炭素二重結合が容易に導入できる反応であれば如何なる反応を用いてもよい。
分子中に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物としては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。これらの分子量は、10,000以下のものが好ましい。さらに好ましくは5,000以下である。
光開始剤としては、ベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いてもよい。光開始剤の添加量は、上記共重合体100重量部に対して、5〜15重量部である。好ましくは5〜10重量部である。
上記紫外線硬化型粘着剤には架橋剤を添加してもよい。架橋剤として、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリーグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物等が挙げられる。
上記紫外線硬化型粘着剤は、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤の存在下における溶液重合、又は、水系エマルジョン重合の何れによっても製造することができる。又、濃度又は粘度調整の為に溶剤又は水を添加したり、あるいは、熱重合禁止剤等の添加剤を添加することもできる。
粘着剤層の厚みは通常3〜100μmであるが、本発明における、凹部や段差を表面に有するウェハに対してよく密着して研削水の浸入を防止するという課題を鑑みると、10〜100μmであることが好ましい。20〜100μmであることがさらに好ましい。
本発明においては、粘着剤層の貯蔵弾性率が、光照射する前には23℃において1×10Pa未満が好ましく、より好ましくは8×10Pa未満であり、且つ、光照射により粘着剤層が高弾性率化して、23〜200℃における貯蔵弾性率の最小値が1×10Pa以上、更に好ましくは2×10Pa以上となることが好ましい。光照射する前の23℃における弾性率が高くなると、ウェハ表面の凹部や段差に対する密着性が低下して、研削水が浸入してウェハの汚染、破損が発生することがある。光照射後の23〜200℃における貯蔵弾性率の最小値が低くなると、粘着剤層の高弾性率化が不十分となり、第四工程におけるダイボンディングフィルム貼り付け時の加熱により接着力が異常亢進してしまい、その後の第五工程においてウェハ表面に糊残りしてウェハを汚染したり、ウェハ表面から粘着フィルムを剥離できずにウェハを破損したり、粘着フィルム剥離時の作業性が低下したりすることがある。
本発明において、基材フィルムの片表面に粘着剤層を設ける際には、上記粘着剤を溶液又はエマルション液(以下、これらを総称して粘着剤塗布液と称する)として、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、メイヤーバーコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター等の公知の方法に従って塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法を用いることができる。この際、塗布した粘着剤層を環境に起因する汚染等から保護する為に、塗布した粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。
あるいは、剥離フィルムの片表面に、上記した公知の方法に従って粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、ドライラミネート法等の慣用の方法を用いて粘着剤層を転写させる方法(以下、転写法という)をとってもよい。
粘着剤を乾燥する際の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80〜300℃の温度範囲において、10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80〜200℃の温度範囲において15秒〜5分間乾燥する。本発明においては、架橋剤と粘着剤ポリマーとの架橋反応を十分に促進させる為に、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後に、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱してもよい。
本発明の半導体ウエハ保護用粘着フィルムを製造する際には、半導体ウエハ表面の汚染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤主剤等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調製、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
本発明において、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの粘着力は、第二工程におけるウエハの裏面研削、エッチング等の裏面加工時におけるウエハの保護性に影響する。ウエハ裏面の研削加工、薬液処理時等におけるウエハの保護性(研削水、研削屑及び薬液等の浸入防止)を考慮すれば、JIS Z−0237に規定される方法に準拠して、被着体としてSUS304−BA板を用い、剥離速度300mm/min.、剥離角度180度の条件下で測定した粘着力が、25g/25mm以上であることが好ましい。より好ましくは100g/25mm以上であり、高ければ高い程好ましい。
一方、第五工程においてウエハから粘着フィルムを剥離する際には、粘着力(すなわち、光照射後に第四工程においてダイボンディング用接着フィルムを貼り付けた後の粘着力)が高いと、ウエハからの剥離が困難となり、剥離機で剥離する際に剥離トラブルが発生して作業性を悪化させたり、時にはウエハを破損したりすることもある。従って、このような剥離作業性を考慮すれば、光照射後、ダイボンディングフィルム貼り付けによる80〜200℃での加熱を経た後の粘着力が、通常、JIS Z−0237に規定される方法に準拠して、被着体としてSUS304−BA板を用い、剥離速度300mm/min.、剥離角度180度の条件下で測定した場合に、150g/25mm以下であることが好ましい。さらに、低ければ低いほど好ましい。
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に示す全ての実施例及び比較例について、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持された環境において粘着財塗布液の調整及び塗布、乾燥、並びに、半導体シリコンウエハの裏面研削等を実施した。なお、以下の実施例及び比較例において示した粘着力、貯蔵弾性率、実用評価は、下記の方法に従って測定、評価を行った。
(1)粘着力(g/25mm)
下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237に準じて測定する。
<初期:光照射前>:23℃において、実施例又は比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、SUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:20cm、横:5cm)の表面に貼付し、1時間放置する。放置後、試料の一端を挟持し、剥離角度:180度、剥離速度:300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離し、剥離する際の応力をテンシロン引張試験機にて測定してN/25mmに換算する。
<光照射・加熱後>:23℃において、実施例及び比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、SUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:20cm、横:5cm)の表面に貼付し、1時間放置する。放置後、基材フィルム側から下記の条件の紫外線を照射する。紫外線照射後、180℃に昇温されたホットプレートの上に試料を載せ、粘着フィルム側から試料を加熱する。加熱時間は2分間とする。2分間の加熱後、室温にて5分間試料を放置して自然冷却する。冷却後の試料の一端を挟持し、剥離角度:180度、剥離速度:300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離し、剥離する際の応力をテンシロン引張試験機にて測定してN/25mmに換算する。
<加熱後>:23℃において、実施例及び比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、SUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:20cm、横:5cm)の表面に貼付し、1時間放置する。放置後、180℃に昇温されたホットプレートの上に試料を載せ、粘着フィルム側から試料を加熱する。加熱時間は2分間とする。2分間の加熱後、室温にて5分間試料を放置して自然冷却する。冷却後の試料の一端を挟持し、剥離角度:180度、剥離速度:300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離し、剥離する際の応力をテンシロン引張試験機にて測定してN/25mmに換算する。
<紫外線照射条件>発生源:高圧水銀ランプ〔(株)オーク製作所製、形式;OHD−320M〕、照度:30mW/cm〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02(受光器:UV−35)、を用いて測定した値〕、照射時間:60秒、照射量:1800mJ/cm
(2)粘着剤の貯蔵弾性率(Pa)
下記に示す方法により粘着剤を厚み約1mmのフィルム(シート)状とした後、直径8mm、厚み1000μmの円盤型形状にサンプリングする。このサンプルを、動的粘弾性測定装置{レオメトリックス社製、形式;RMS−800、直径8mmのパラレルプレート(平行円盤)型アタッチメントを使用}を用いて、周波数1rad/secにて、10〜200℃の温度範囲で貯蔵弾性率を測定する。具体的には、サンプルを10℃にて上記パラレルプレート型アタッチメントを介して動的粘弾性測定装置にセットし、10℃から200℃まで3℃/分の昇温速度で昇温しながら貯蔵弾性率を測定する。測定終了後、得られた10℃〜200℃の貯蔵弾性率−温度曲線の中から、23℃における貯蔵弾性率G’(Pa)の値、又は、23〜200℃における貯蔵弾性率の最小値を読み取り採用する。
<厚み約1mmのフィルム(シート)状粘着剤の作成方法>
片面が離型処理されたPETフィルムの片表面に、リバースロールコーターを用いて粘着剤塗布液を塗布し、温度120℃で4分間乾燥し、乾燥後の厚さが30μmの粘着剤層を片表面上に有するPETフィルムを得る。光照射後の貯蔵弾性率測定用に用いるサンプルについては、ここで前述の粘着力測定の際に実施した紫外線照射条件と同一の条件にて紫外線を照射する。この粘着剤層付きPETフィルム2枚を、ハンドローラーを用いて、それぞれのフィルムの粘着剤層同士が重なり合うように押圧してラミネートした後、粘着剤層の両側のPETフィルムのうちの1枚のみを剥離することによって、厚さ60μmの粘着剤層を片表面に有するPETフィルムを得る。同様の方法を繰り返すことにより、厚さ約1mmの粘着剤層を片表面に有するPETフィルムを得る。最後に、PETフィルムを粘着剤層から剥離して、厚さ約1mmのフィルム(シート)状の粘着剤を得る。
(4)粘着剤塗布液の調整例
調整例1:光硬化A
アクリル酸エチル48重量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル27重量部、アクリル酸メチル20重量部、メタクリル酸グリシジル5重量部、及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5重量部を混合し、トルエン65重量部、酢酸エチル50重量部が入った窒素置換フラスコ中に撹拌しながら80℃で5時間かけて滴下し、さらに5時間撹拌して反応させた。反応終了後、冷却し、これにキシレン25重量部、アクリル酸2.5重量部、及びテトラデシルベンジルアンモニウムクロライド1.5重量部を加え、空気を吹き込みながら80℃で10時間反応させ、光重合性炭素−炭素二重結合が導入されたアクリル酸エステル共重合体溶液を得た。この溶液に、共重合体(固形分)100重量部に対して光開始剤としてベンゾイン7重量部、イソシアナート系架橋剤(三井化学(株)製、商品名:オレスターP49−75S)0.5重量部、1分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する低分子量化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名:アロニックスM−400)5重量部を添加して、紫外線硬化型粘着剤「光硬化A」の塗布液を得た。
「光硬化A」粘着剤の光照射前の23℃における貯蔵弾性率は6.0×10Paであり、光照射後の23〜200℃における貯蔵弾性率の最小値は2.0×10Paであった。
調整例2:光硬化B
イソシアナート系架橋剤の添加量を1.0重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量を0.5重量部とした以外は、調整例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤「光硬化B」の塗布液を得た。
「光硬化B」粘着剤の光照射前の23℃における貯蔵弾性率は7.0×10Paであり、光照射後の23〜200℃における貯蔵弾性率の最小値は5.0×10Paであった。
(実施例1)
片表面にシリコーン処理(離型処理)が施された厚み38μmのPETフィルムの離型処理が施された側の面に、調整例1で調整した紫外線硬化型の粘着剤「光硬化A」の塗布液をコンマコーターにより塗布し、120℃で4分間乾燥し、厚み30μmの粘着剤層(光硬化A)を得た。これに、片面にコロナ処理が施された厚み75μmのPETフィルム{帝人デュポンフィルム(株)製、テトロン}のコロナ処理が施された側の面を、ドライラミネーターにより貼り合わせて押圧して、紫外線硬化型粘着剤層(A)を基材フィルムのコロナ処理が施された側の面に転写、積層した。積層後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより、半導体ウエハ保護用粘着フィルムを得た。
この粘着フィルムの粘着力は、初期:光照射前が10.9N/25mm、光照射・加熱後が0.4N/25mm、加熱後が25.9N/25mmであった。
集積回路がウエハの周辺部まで組み込まれた半導体シリコンウエハ(直径:200mm、厚み:725μm、チップ面積100mm、スクライブラインの幅:100μm、スクライブラインの深さ:5μm)10枚の表面に、得られた半導体ウエハ保護用粘着フィルムを自動貼り機{日東精機(株)製、形式;DR−8500II}を用いて貼着した。粘着フィルムが貼着された半導体ウェハを、研削装置{(株)ディスコ製、形式;DFG860}を用いて、水をかけて冷却しながらウエハの裏面を研削加工して、研削後のウエハ厚みを100μmとした。研削加工が終了した後、各半導体シリコンウエハについて、表面と粘着フィルムとの間にウエハ周辺から研削水が浸入したか否かを目視で観察したが、研削水が浸入したウェハは無かった。研削水の浸入を観察した後、紫外線照射機{(株)オーク製作所製、形式;OHD−320M、ランプの種類:高圧水銀ランプ}を用いて光量1800mJ/cm2の条件で粘着フィルムの基材フィルム側から紫外線照射を行った。続いて、該ウェハの裏面にダイボンディングフィルムを貼り付けた。その際、貼り付けステージの温度は120℃とし、貼り付け後のウェハを180℃に加熱されたステージ上に移載して、粘着フィルム側から180℃×2分間の加熱を行った。加熱後の半導体ウェハから、表面保護テープ剥がし機{日東精機(株)製、形式:HR−8500II;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエム(株)製〕}を用いて該粘着フィルムを剥離したところ、10枚のウェハ全てについて、問題なく剥離可能であった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
紫外線硬化型の粘着剤塗布液として、調製例2で調製した「光硬化B」を用いた以外は全て、実施例1と同様にして半導体ウェハ保護用粘着フィルムを得た。 この粘着フィルムの粘着力は、初期:光照射前が6.1N/25mm、光照射・加熱後が1.1N/25mm、加熱後が18.3N/25mmであった。この粘着フィルムを用いて、ダイボンディングフィルム貼り付けの際の加熱温度を120℃とした以外は全て、実施例1と同様にしてテープの評価を行った。研削加工終了後、研削水が浸入したウェハは無かった。また、10枚のウェハ全てが問題なく剥離可能であった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と全く同様にして半導体ウェハ保護用粘着フィルムを得た。この粘着フィルムの粘着力は、初期:光照射前が10.9N/25mm、光照射・加熱後が0.4N/25mm、加熱後が25.9N/25mmであった。
この粘着フィルムについて、ホットプレートでの加熱前に紫外線照射を行わかったこと以外は全て、実施例1と同様にして評価を行った。研削加工終了後、研削水が浸入したウェハは無かった。しかし、10枚のウェハ全てについて、テープがウェハから剥離できず、ウェハが剥離テーブルから脱落して破損するトラブルが発生した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2と全く同様にして半導体ウェハ保護用粘着フィルムを得た。この粘着フィルムの粘着力は、初期:光照射前が6.1N/25mm、光照射・加熱後が1.1N/25mm、加熱後が18.3N/25mmであった。この粘着フィルムについて、ホットプレートでの加熱前に紫外線照射を行わかったこと以外は全て、実施例2と同様にして評価を行った。。研削加工終了後、研削水が浸入したウェハは無かった。しかし、10枚のウェハ全てについて、テープがウェハから剥離できず、ウェハが剥離テーブルから脱落して破損するトラブルが発生した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005332901

Claims (3)

  1. 基材フィルムの片表面に光照射により高弾性率化する粘着剤層が形成された粘着フィルムを半導体ウェハの回路形成面に貼着する第一工程、該半導体ウェハを研削機又は研磨機に固定し、半導体ウェハの回路非形成面を加工する第二工程、粘着フィルムに光照射して粘着剤層を高弾性率化する第三工程、半導体ウェハの回路非形成面にダイボンティング用接着フィルムを貼着する第四工程、及び粘着フィルムを半導体ウェハより剥離する第五工程を具備することを特徴とする半導体ウェハの製造工程における半導体ウェハ保護方法。
  2. 第四工程において半導体ウェハの回路非形成面にダイボンディング用接着フィルムを貼着する温度が、80〜200℃であることを特徴とする請求項1記載の半導体ウェハの保護方法。
  3. 光照射により高弾性率化する粘着剤層の貯蔵弾性率が、光照射前には23℃において1×10Pa未満であり、光照射後には、23〜200℃のいずれの温度においても1×10Pa以上である粘着フィルムを使用することを特徴とする請求項1記載の半導体ウェハの保護方法。
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