JPH1116863A - 半導体ウエハの裏面研削方法及び該方法に用いる粘着フィルム - Google Patents

半導体ウエハの裏面研削方法及び該方法に用いる粘着フィルム

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JPH1116863A
JPH1116863A JP9168621A JP16862197A JPH1116863A JP H1116863 A JPH1116863 A JP H1116863A JP 9168621 A JP9168621 A JP 9168621A JP 16862197 A JP16862197 A JP 16862197A JP H1116863 A JPH1116863 A JP H1116863A
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grinding
semiconductor wafer
film
wafer
pressure
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JP9168621A
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Kentaro Hirai
健太郎 平井
Yasuhisa Fujii
藤井  靖久
Makoto Kataoka
片岡  真
Hideki Fukumoto
英樹 福本
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に突起状物を有する半導体ウエハの裏面
研削方法及び該方法に用いる粘着フィルムを提供する。 【解決手段】 半導体ウエハの表面に粘着フィルムを貼
付して、半導体ウエハの裏面を研削し、次いで、粘着フ
ィルムを剥離する半導体ウエハの裏面研削方法であっ
て、該半導体ウエハの表面が電極及び不良回路識別マー
クから選ばれた少なくとも1種の高さ(A)10〜10
0μmの突起状物を有し、該粘着フィルムがショアーD
型硬度40以下、厚み(B)250〜500μm(但
し、4A≦B)である基材フィルムの片表面に、厚み
(C)30〜100μm(但し、0.6A≦C)の紫外
線照射により粘着力が低下する粘着剤層が形成され、裏
面研削終了後、該粘着フィルムを剥離する前に紫外線を
照射する半導体ウエハの裏面研削方法、及び該方法に用
いる粘着フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハの裏
面研削方法及びその方法に用いる半導体ウエハの裏面研
削用粘着フィルムに関する。詳しくは、集積回路が組み
込まれた側の面(以下、ウエハ表面という)に、特定の
高さの電極(以下、ハイバンプ電極という)及び不良回
路識別マーク(以下、インクドットという)から選ばれ
た少なくとも1種の突起状物を有する、破損、汚染等が
起こり易い半導体ウエハの裏面を研削する方法、及びそ
の方法に用いる半導体ウエハの裏面研削用粘着フィルム
に関する。さらに詳しくは、該突起状物を有する半導体
ウエハの表面に、粘着フィルムを粘着剤層を介して直接
貼着して、該ウエハの他の面(以下、ウエハ裏面とい
う)を研削加工する方法および、該方法に用いる半導体
ウエハ裏面研削用粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、半導体集積回路は高純度シリコン
単結晶等をスライスしてウエハとした後、イオン注入、
エッチング等により集積回路を組み込み、更にウエハの
裏面をグラインディング、ポリッシング、ラッピング等
により研削し、ウエハの厚さを100〜600μm程度
まで薄くしてから、ダイシングしてチップ化する方法で
製造されている。これらの工程の中で、ウエハ裏面の研
削時に半導体ウエハの破損を防止したり、研削加工を容
易にするため、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを
その粘着剤層を介してウエハ表面に貼着して保護する方
法が用いられている。
【0003】具体的には、先ず、半導体ウエハ裏面研削
用粘着フィルムをウエハ表面に貼着してウエハ裏面を研
削する。研削が完了した後、該フィルムを剥離し、ダイ
シング工程等の次工程に移行する。この様な方法で、半
導体ウエハの裏面を研削しようとした場合、表面凹凸の
大きい半導体ウエハの裏面を研削しようとすると、研削
時の応力でウエハが破損する問題があった。実際、半導
体ウエハには、ポリイミド等のコーティング層や、酸化
珪素膜や窒化珪素膜等の蒸着膜、スクライブライン等が
あり時には、段差が50μm以上になることがある。
【0004】この様な問題を解決する手段として、特開
昭61−10242号公報には、ショア−D型硬度が4
0以下である基材シートの表面に粘着剤を設けてなるこ
とを特徴とするウエハ加工用フィルムが開示されてい
る。この発明の実施例で、実際に表面凹凸差が50μm
のシリコンウエハの裏面研磨が特に問題なく(破損無
く)行われている。
【0005】また、特開昭61−141142号公報に
は、半導体ウエハの表面にゴム系の材質でできた粘着材
付テープを粘着し、前記テープをカットし、前記テープ
をチャックに固定し、前記半導体ウエハの裏面を砥石で
研削することを特徴とする半導体ウエハの研削方法が開
示されている。この発明において、特に、ポリイミド等
によるコーティング層によって生じた10〜80μm程
度の段差を表面に有するウエハの裏面研削が特に問題な
く(破損なく)行われている。
【0006】さらに、WO85/05734号公報に
は、ショア−D型硬度が40以下である基材フィルムの
片側表面上に粘着層が配設されてなるウエハ加工用フィ
ルムが開示されている。この発明の実施例においても、
実際に表面凹凸差が50μmのシリコンウエハの裏面研
磨が特に問題なく(破損無く)行われている。
【0007】上記の発明に開示されている半導体ウエハ
は、その回路上に、ポリイミド等のコーティング層や、
酸化珪素膜や窒化珪素膜等の蒸着膜、スクライブライン
等により生じた50μm程度の凹凸差があるものであ
る。しかし、半導体ウエハ表面の約10%程度が凹んで
いるだけであり、凸部の頂点は比較的平滑である。通
常、比較的平滑な凸部の面積がウエハ表面の約90%を
占めている。上記発明に記載された粘着フィルムは、こ
のような半導体ウエハの裏面研削に適用されたものであ
る。
【0008】近年、半導体ウエハの表面は多様化しつつ
あり、ウエハ自体は破損しなくても、チップレベルでの
破損(以下、マイクロクラックという)が生じ易い表面
形状を有するウエハが多くなってきている。
【0009】例えば、パッケージングの薄層化、チップ
実装面積の小面積化等に伴い、フリップチップ実装と呼
ばれるワイヤレスボンディング法等が採用されつつあ
り、この様な、ワイヤレスボンディング法等に適したチ
ップを有するウエハとして、高さが10〜100μmの
突起状のハイバンプ電極を有する半導体ウエハが生産さ
れる様になってきている。また、半導体チップの生産工
程の多様化に伴い、半導体ウエハの裏面を研削する前
に、半導体ウエハ表面のチップを検査し、不良チップに
高さが10〜100μmの突起状のインクドットを付け
てから半導体ウエハの裏面研削を行うという工程が採用
されつつある。
【0010】上記のハイバンプ電極やインクドットの様
な、高さが10〜100μmの突起状物を表面に有する
半導体ウエハの裏面を研削する場合には、前述の様な従
来の粘着フィルムでは、十分に対応できないことがあ
り、ウエハの大きさ、研削後の厚み、研削条件等の諸条
件によっては、該ウエハの一部にマイクロクラックが生
じたり、該ウエハが完全に破損してしまうことがあっ
た。
【0011】また、たとえ破損が生じなくても前記突起
状物の影響で、表面の突起状物に対応する裏面の部位が
凹む(以下、ディンプルという)等して、研削後、ウエ
ハの厚み精度が悪くなりダイシング等の次工程に影響を
与えたり、製品不良の原因になることがあった。
【0012】さらに、半導体ウエハの裏面研削中にウエ
ハ表面と粘着剤層との間に水が浸入し、それに起因し
て、粘着フィルムが剥離してウエハが破損することもあ
った。また、たとえ破損しなくても、水の浸入に伴い研
削屑も侵入し、これがウエハ表面を汚染する原因となる
こともあった。
【0013】単に、水の浸入による粘着フィルムの剥離
を防止しようとすれば、粘着剤層を厚くする等により、
粘着フィルムの粘着剤層とウエハ表面の密着性を向上さ
せる必要があり、この場合、一般的には、粘着フィルム
をウエハ表面から剥離する際の剥離粘着力が上昇し、裏
面研削終了後に粘着フィルムを剥離する際に、ウエハを
破損する事があった。この剥離時の破損の問題は、ウエ
ハが大口径化し、且つ、研削後のウエハ厚みが薄くなる
近年の傾向の中では、特に顕著になってきており、剥離
時にウエハを破損させない剥離粘着力と、水の浸入によ
り粘着フィルムが剥離してウエハが破損したり、研削屑
が侵入してウエハ表面を汚染したりすることを防止する
粘着力特性のバランスをとることは難しくなってきてい
る。
【0014】上述の様な問題があるにもかかわらず、チ
ップの高性能化やパッケージングの多様化、低コスト化
等に伴い、研削方法の技術レベルには、単にウエハを破
損しないことだけでなく、チップレベルでのマイクロク
ラックが生じないことや、研削後の厚み精度の向上等が
要求される様になってきている。
【0015】現状では、半導体ウエハの表面に一定の厚
みのレジストを塗布し、突起状物の高さを小さくしてか
ら(もしくは完全に凸部をなくしてから)粘着フィルム
を貼付して裏面研削を行ったり、レジスト塗布のみで裏
面研削を行ったりしており、レジスト塗布の作業性の悪
さ、レジスト塗布時および除去時に多量の溶剤を使用す
るなど、決して合理的な方法が行われているわけではな
い。また、インクドットを有するウエハの裏面研削に
は、このレジスト塗布による方法が適用出来ないことも
ある。
【0016】この様な問題を解決する手段として、特開
平9−17756号公報には、半導体装置の製造時に半
導体の表面を保護するための半導体用保護テープであっ
て、第1の処理で収縮させることができる第1の層と、
第2の処理で前期第1の層から剥離させることができる
第2の層と、を有することを特徴とする半導体用保護テ
ープが開示されている。この発明の半導体用保護テープ
は、インク突起(本発明でいうインクドット)を有する
ウエハの裏面研磨を可能にしている。しかし、該テープ
は、半導体ウエハ表面に貼着される第1の層(熱収縮テ
ープ)と、第1の層だけではインク突起の形成されたウ
エハを保護するのに不十分なため、これを補うための第
2の層(なんらかの処理によって剥離し易くなるテー
プ)の2種類の粘着テープが積層された構成となってお
り、従来の半導体ウエハ保護テープに比べ、粘着フィル
ムの製造コスト面で不利である。
【0017】この様な状況の中で、ハイバンプ電極やイ
ンクドットの様な、表面に高さが10〜100μmの突
起状物を有する半導体ウエハに対して、特に適した合理
的な裏面研削方法が望まれている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、ハイバンプ電極、インクドット等の如き高
さが10〜100μmの突起状物を表面に有する半導体
ウエハの裏面を研削するに際し、半導体ウエハの破損防
止、マイクロクラック及びディンプルの発生防止を図る
ことができる半導体ウエハの裏面研削方法、及びその方
法に用いる半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面に特
定の突起状物を有する半導体ウエハの裏面を研削する有
効な方法を鋭意検討した結果、半導体ウエハの表面回路
にハイバンプ電極、インクドット等の如き高さが10〜
100μmの突起状物が形成されていても、基材フィル
ムの硬度と厚み、粘着剤層の種類と厚み、をそれぞれ特
定の範囲に限定し、且つ、前記突起状物の高さ(A)、
基材フィルムの厚み(B)及び粘着剤層の厚み(C)の
3者を特定の関係に限定した粘着フィルムを採用して、
それを半導体ウエハの回路形成表面に貼付することによ
り上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到っ
た。
【0020】すなわち、本発明は、半導体ウエハの回路
形成表面に粘着フィルムを貼付して、半導体ウエハの裏
面を研削し、次いで、粘着フィルムを剥離する半導体ウ
エハの裏面研削方法であって、該半導体ウエハの回路形
成表面が電極及び不良回路識別マークから選ばれた少な
くとも1種の高さ(A)10〜100μmの突起状物を
有し、該粘着フィルムがショア−D型硬度40以下、厚
み(B)250〜500μm(但し、4A≦B)である
基材フィルムの片表面に、厚み(C)30〜100μm
(但し、0.6A≦C)の紫外線照射により硬化して粘
着力が低下する粘着剤層が形成され、裏面研削終了後、
該粘着フィルムを剥離する前に紫外線を照射することを
特徴とする半導体ウエハの裏面研削方法である。また、
本発明の他の発明は、前記発明に用いる半導体ウエハ裏
面研削用粘着フィルムである。
【0021】本発明の特徴は、表面に特定の突起状物を
有する半導体ウエハの裏面を研削する際に、基材フィル
ムの硬度と厚み、粘着剤層の種類と厚み、をそれぞれ特
定の範囲に限定した粘着フィルムを用いること、及び、
半導体ウエハの回路形成表面に形成された突起状物の高
さ(A)、基材フィルムの厚み(B)及び粘着剤層の厚
み(C)の3者を特定の関係に限定した粘着フィルムを
用いることにある。
【0022】本発明によれば、半導体ウエハの裏面を研
削するに際し、該半導体ウエハの表面にハイバンプ電
極、不良回路識別マーク等の高さが10〜100μmも
ある突起状物が形成されていても、裏面を研削する際の
応力や、ウエハ表面と粘着剤層との間に水が浸入するこ
と、に起因してウエハが破損することがないばかりでな
く、チップレベルでの破損(マイクロクラック)を生じ
ることがない。また、該水浸入に伴うシリコン屑による
ウエハ表面の汚染もない。さらに、粘着フィルムを剥離
する際にウエハを破損することもない上に、突起状物に
起因するディンプルの発生もない。当然のことながら、
レジストを用いる必要がなく工程が簡略できるという効
果をも奏するものである。
【0023】尚、本発明でいうハイバンプ電極は、フリ
ップチップ実装等のワイヤレスボンディング法により半
導体チップを実装する際に適した電極として、半導体ウ
エハの表面に回路と共に形成されたものである。通常、
ハイバンプ電極を有する半導体チップは、この電極によ
りプリント配線基盤上にハンダ等を用いて直接接続され
るため、該電極は10〜100μm程度の高さを有す
る。この様なハイバンプ電極を有する半導体ウエハは、
従来のものに比べて回路の電極部分のみが突出した状態
(突起状物)を呈している。この形状は、円柱状、角柱
状、キノコ状等とバンプの形成方法や、チップに要求さ
れる性能等により様々な形状がある。
【0024】また、本発明でいうインクドットは、半導
体ウエハの表面に形成された回路(チップ)を検査、選
別し、不良回路を識別する為に不良回路上に付けられた
マークである。通常、直径0.1〜2mm、高さ10〜
100μm程度の円柱状のものであり、赤色等の色素で
着色されている。ウエハ表面において、このインクドッ
トの部分が突出した状態(突起状物)となっている。ハ
イバンプ電極やインクドット等の突起状物は、半導体ウ
エハ表面の全面積の10%未満程度の部分が前記高さに
突出した状態になっている。本発明は、かかる表面形状
を有する半導体ウエハに対して適用するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、基材フィルムの片表面に粘着剤層が形
成された半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを、ハイ
バンプ電極及び不良回路識別マークから選ばれた少なく
とも1種の高さ(A)が10〜100μmの突起状物を
有する半導体ウエハの表面に、直接貼付して裏面研削を
行う方法、および該方法に使用する粘着フィルムであ
る。
【0026】本発明の半導体ウエハ裏面研削用粘着フィ
ルムは、基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面に、
紫外線照射により硬化して粘着力が低下する粘着剤を含
む溶液またはエマルジョン液(以下、これらを総称して
粘着剤塗布液という)を塗布、乾燥して粘着剤層を形成
することにより製造される。
【0027】基材フィルムの片表面に粘着剤層を形成す
る場合は、環境に起因する汚染等から保護するために粘
着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好まし
い。また、剥離フィルムの片表面に粘着剤層を形成する
場合は、粘着剤層を基材フィルムへ転写する方法がとら
れる。基材フィルム及び剥離フィルムのいずれの片表面
に粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離
フィルムの耐熱性、半導体ウエハ表面の汚染性等を考慮
して決める。例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィ
ルムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面
に粘着剤層を設けた後、基材フィルムへ転写する。耐熱
性が同等または基材フィルムが優れている場合は、基材
フィルムの表面に粘着剤層を設け、その表面に剥離フィ
ルムを貼着する。
【0028】しかし、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィ
ルムは、剥離フィルムを剥離したときに露出する粘着剤
層の表面を介して半導体ウエハ表面に貼着されることを
考慮し、粘着剤層による半導体ウエハ表面の汚染防止を
図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、
その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形
成する方法が好ましい。
【0029】本発明で用いる基材フィルムとしては、シ
ョア−D型硬度が40以下である基材フィルムを用い
る。本発明のショア−D型硬度が40以下である基材フ
ィルムとは、ASTM−D−2240−86またはJI
S K−7215−1986に規定されるショア−D型
硬度(デュロメータD硬さ)に規定されるショア−D型
硬度が40以下である原料樹脂をフィルム状に成形加工
したフィルム、または、それと同等の性能を有するフィ
ルムである。ショア−D型硬度が大きくなると、裏面研
削中にウエハがチップレベルで局所的に破損したり(マ
イクロクラック)、完全に破損する事がある。また、突
起状物に対応する裏面が局所的に薄くなる等の厚みバラ
ツキ(以下、ディンプルと称する)を生じたりする事が
ある。ウエハの破損やマイクロクラックは直接、チップ
の歩留りに影響を与え、ディンプルの発生は、程度によ
っては、得られるチップの電気特性に悪影響を与えた
り、次工程のダイシング工程等におけるチップの破損を
まねくことがある。
【0030】ショア−D型硬度が40以下である原料樹
脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体樹脂およびそれらの誘
導体、軟質塩化ビニル樹脂、各種合成ゴム等があげられ
る。これらの、樹脂は、必要に応じて、安定剤、滑剤、
酸化防止剤、顔料、ブロッキング防止剤、可塑剤、等を
含有していても良い。
【0031】また、ショア−D型硬度が40以下である
原料樹脂をフィルム状に成形加工したフィルムと同等の
性能を有するフィルムとしては、単に、ショア−D型硬
度が40以下である原料樹脂をフィルム状に成形加工す
るのではなく、他の樹脂(ショア−D型硬度が本発明の
範囲外でも良い)をブレンドしたフィルムや、ショア−
D型硬度が本発明の範囲外の樹脂に、可塑剤等の各種添
加剤や、他の樹脂等を混合して、成形加工することによ
り得られたフィルムで、ASTM−D−2240−86
またはJIS K−7215−1986に規定されるシ
ョア−D型硬度(デュロメータD硬さ)が40以下であ
る原料樹脂をフィルム状に成形加工したフィルムに準じ
た物性を有しているものである。ショア−D型硬度が4
0以下である原料樹脂をフィルム状に成形加工したフィ
ルム、に準じた物性を有しているかどうかは、基材フィ
ルムの弾性率や、基材フィルムを熱プレス等を用いて空
気を挟み込まずに積層溶融させて得たサンプルのショア
−D型硬度の測定結果、等により判断される。
【0032】基材フィルムに可塑剤等の各種添加剤を添
加する場合(特に、軟質塩化ビニル樹脂の場合)、添加
剤が粘着剤層に移行して、粘着剤層の特性を変化させた
り、ウエハ表面を汚染する事がある。この様な場合に
は、基材フィルムと粘着剤層の間にバリヤー層を設ける
ことが好ましい。
【0033】基材フィルムは単層体であっても、また、
積層体であってもよい。基材フィルムの厚み(B)は2
50〜500μmである。但し、前述の半導体ウエハ表
面の突起状物の高さ(A)を10〜100μmとした場
合に、基材フィルムの厚み(B)と(A)とは、4A≦
Bなる関係にある必要がある。基材フィルムが薄くなる
と、裏面研削中にマイクロクラックを生じたり、完全に
破損する事がある。また、ディンプルを生じることもあ
る。厚くなると、基材フィルムの生産性に影響をあた
え、製造コストの増加につながる。
【0034】基材フィルムの厚みバラツキは、裏面研削
後のウエハの局所的な厚みバラツキ(ディンプル)には
あまり影響を与えないが、全体的な厚みバラツキには影
響を与える。かかる観点から、基材フィルムはその平均
厚みの±5%程度の範囲内の厚みバラツキで製造された
ものであることが好ましい。さらに好ましくは、±3%
以内であり、より好ましくは、±2%以内である。ここ
で言う厚みバラツキとは、無作為に採取した約10cm
四方の大きさのサンプルを縦横約1cm毎に測定した際
の平均厚みに対するバラツキのことである。
【0035】また、基材フィルムの粘着剤層が設けられ
る面の反対側の面に、これより硬いフィルム、具体的に
はショア−D型硬度が40を超えるフィルムを積層して
も良い。そのことにより、半導体ウエハ裏面研削用粘着
フィルムの剛性が増し、貼着作業性及び剥離作業性が改
善される。
【0036】また、半導体ウエハの裏面を研削した後に
施されるエッチング液によるエッチング処理の際にも引
続き、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを用いて半
導体ウエハの表面を保護する場合には、耐薬品性に優れ
た基材フィルムを使用することが好ましい。耐薬品性フ
ィルムを基材フィルムの粘着剤層と反対側に積層しても
よい。例えば、耐薬品性に優れたポリプロピレンフィル
ムを積層する等である。
【0037】基材フィルムと粘着剤層との接着力を向上
させるため、基材フィルムの粘着剤層を設ける面にはコ
ロナ放電処理または化学処理等を施すことが好ましい。
また、基材フィルムと粘着剤層の間に下塗り剤を用いて
もよい。
【0038】本発明の基材フィルムは、カレンダー法、
Tダイ押出法、インフレーション法等、公知の技術によ
り製造することが出来る。これらの中で、生産性、得ら
れるフィルムの厚み精度等を考慮すれば、Tダイ押出法
により製造することが好ましい。
【0039】本発明に使用する剥離フィルムとして、ポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹
脂フィルムが挙げられる。必要に応じてその表面にシリ
コーン処理等が施されたものが好ましい。剥離フィルム
の厚みは、通常10〜2000μmである。好ましくは
30〜100μmである。
【0040】本発明の粘着フィルムに用いられる粘着剤
層としては、紫外線照射により硬化し粘着力の低下する
ものであれば、何れでも用いることができる。一般的に
は、粘着剤ポリマー、光重合開始剤、熱架橋剤、分子内
に重合性炭素−炭素二重結合を2つ以上有するモノマー
および/またはオリゴマー等を含有する塗工液(溶液ま
たはエマルジョン液)を基材フィルムまたは、剥離フィ
ルムに塗工することにより形成される。
【0041】粘着剤ポリマーとしては、アクリル酸アル
キルエステル系ポリマー、メタクリル酸アルキルエステ
ル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、イソプレン系ポ
リマー等の各種合成ゴム系ポリマー等が挙げられる。こ
れらの内、物性の再現性等を考慮すればアクリル酸アル
キルエステル系ポリマー、メタクリル酸アルキルエステ
ル系ポリマー(以下、これらをアクリル系ポリマーと称
する)が好ましい。
【0042】粘着剤ポリマーがアクリル系ポリマーの場
合、該ポリマーを構成する主モノマーとして、アクリル
酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メ
タクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブ
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、メ
タクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは
単独で使用してもよいし、また、2種以上を混合して使
用してもよい。主モノマーの使用量は粘着剤ポリマーの
原料となる全モノマーの総量中に、通常、60〜99重
量%の範囲で含まれていることが好ましい。これらの主
モノマーに、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン
等の重合性二重結合を有するコモノマーを適宜共重合さ
せてもよい。
【0043】また、ウエハ表面への汚染を少なくする事
を考慮すれば、粘着フィルムの粘着剤層には後述する熱
架橋剤を含有している方が好ましく、この場合、粘着剤
ポリマーが該熱架橋剤と架橋反応しうる官能基を有する
必要がある。
【0044】粘着剤ポリマーに該熱架橋剤と架橋反応し
うる官能基を導入するには、該官能基を有するコモノマ
ーを共重合する方法が挙げられる。その他に、後述する
高分子反応(二重結合導入反応)により生じた官能基を
架橋反応しうる官能基として利用したりする。前者の該
官能基を有するコモノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フ
マル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステ
ル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モ
ノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、
マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル−ブチル
アミノエチルアクリレート、ターシャル−ブチルアミノ
エチルメタクリレート、等が挙げられる。これらは単独
で使用してもよいし、また、2種以上を混合して使用し
てもよい。
【0045】架橋点となりうる官能基の好ましい導入量
は、熱架橋剤との反応性、粘着剤層の凝集力を考慮すれ
ば、粘着剤ポリマー1グラムあたり2×1019〜2×1
21個程度である。導入量が少なくなると、半導体ウエ
ハ表面を汚染する傾向があり、多くなると該粘着剤ポリ
マーの合成が難しくなる。
【0046】また、粘着剤ポリマーは、分子内に重合性
炭素−炭素二重結合を有していてもよい。むしろ、分子
内に重合性炭素−炭素二重結合を有する粘着剤ポリマー
を用いた場合、後述する重合性炭素−炭素二重結合を持
つモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量を減らす
事ができるため好ましい(含有量が多いとウエハ表面を
汚染することがある。)。
【0047】分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有す
る粘着剤ポリマーを合成する方法は既知の様々な方法が
挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカ
ルボキシル基を有するモノマーを共重合させ、重合後ポ
リマー中のカルボキシル基と付加反応しうるエポキシ基
を有するアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル等のモノマーを反応させる方法、または、その逆に、
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を共
重合させ、重合後ポリマー中のエポキシ基とアクリル
酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を付加反応させる
方法等、付加反応性の官能基を有するモノマーを共重合
させたポリマーにポリマー中の官能基と付加反応しうる
官能基を有するモノマーを重合性炭素−炭素二重結合を
残したまま付加反応させる方法、等が挙げられる。
【0048】これらの官能基の組み合わせは、カルボキ
シル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジニル
基、水酸基とイソシアネート基等容易に付加反応が起こ
る組み合わせが望ましい。また付加反応に限らずカルボ
キシル基と水酸基との縮合反応等、重合性炭素−炭素二
重結合が容易に導入できる反応であれば如何なる反応を
用いてもよい。
【0049】この様に、予め、官能基を有するモノマー
を共重合して得られたポリマーと、官能基を有するモノ
マーとの高分子反応により粘着剤ポリマーを合成する場
合、官能基を有するモノマーとしては、沸点が250℃
以下のものが好ましい。沸点が250℃以下の場合、未
反応のモノマーが、粘着剤塗工時の乾燥中(通常、10
0〜150℃の熱風中で、20秒〜5分間程度乾燥す
る)に蒸発し、ウエハ表面を汚染しない。この様なモノ
マーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネー
トエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0050】また、上記の様に、高分子反応により、粘
着剤ポリマーを合成する方法の他に、分子内に重合性炭
素−炭素二重結合を2個以上有する多官能モノマーを前
述のモノマーと共重合させ、重合反応を制御することに
より、多官能モノマーの重合性炭素−炭素二重結合の一
部を残したまま、多官能モノマーをポリマー中に共重合
させる方法も挙げられる。この様な多官能モノマーとし
ては、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリ
ル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等
が挙げられる。
【0051】粘着剤ポリマーへの重合性炭素−炭素二重
結合の導入量が多い程、後述する重合性炭素−炭素二重
結合を持つモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量
を減らす事ができる(含有量が多いとウエハ表面を汚染
することがある)。
【0052】後述する含有する光重合開始剤の種類、同
じく後述する紫外線照射量等の条件にもよるが、通常、
粘着剤ポリマー1グラムあたり、2×1020〜2×10
21個の範囲内、より好ましくは2.5×1020〜2×1
21個の範囲内の該二重結合の導入量があれば、重合性
炭素−炭素二重結合を持つモノマーおよび/またはオリ
ゴマーの含有量を0にすることもできる。
【0053】粘着剤ポリマーの分子量は、重量平均分子
量で10万以上(GPC:ポリスチレン換算)のものが
好ましい。分子量の上限は、例えば、乳化重合により得
られた一部ポリマーに見られる様に、有機溶剤に溶解し
なくなり、分子量の測定が不可能となる高分子量域まで
特に制限はない。また、粘着剤ポリマーそれ自体が少な
くとも20℃以上で粘着性を示すことが好ましく、従っ
て、該ポリマーはガラス転移点(Tg)が、通常、10
℃以下であることが好ましい。より好ましくは、5℃以
下である。
【0054】前述した様に、本発明に用いる粘着フィル
ムの粘着剤層には、上記粘着剤ポリマーの他に架橋性官
能基を1分子中に2個以上有する熱架橋剤を含有してい
ることが好ましい。該熱架橋剤は、紫外線照射前の粘着
剤層の凝集力、粘着力特性等を調整するために用いられ
る。
【0055】熱架橋剤としては、テトラメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメ
チロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加
物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、
ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロー
ルポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリ
グリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエ
ーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペ
ンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジ
グリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、トリメチロ
ールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネー
ト、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニル
プロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,
4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,
N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジン
カルボキシアミド)、N,N’−トルエン−2,4−ビ
ス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロー
ルプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロ
ピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘキサメトキ
シメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げら
れる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併
用してもよい。熱架橋剤の含有量は、粘着剤層の紫外線
照射前の凝集力および粘着力特性を考慮すると、粘着剤
ポリマー100重量部に対して0.1〜10重量部が好
ましい。
【0056】本発明の粘着フィルムの粘着剤層に、通
常、含有する分子内に重合性炭素−炭素二重結合を2個
以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーとして
は、分子量が5000以下のものが挙げられ、具体的に
例示すると、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマ
ー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリ
エステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ビス(ア
クリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、ビス(メタクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイ
ソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシ
アヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシア
ヌレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、
ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロ
キシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタクリロ
キシエチル)イソシアヌレートの各種変性体、トリス
(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの各種変性
体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの各種変
性体、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートの各種
変性体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ートの各種変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレートの各種変性体、等が挙げられる。これ
らは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用しても
よい。ここで、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレ
ートなる記載は、アクリル酸及びメタクリル酸、並び
に、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0057】含有量は、通常、粘着剤ポリマー100重
量部に対して、1〜100重量部である。含有量が多い
とウエハ表面を汚染することがあり、少ないと紫外線硬
化後の粘着力の低下が不十分となる傾向がある。また、
前述したように、粘着剤ポリマーに特定量の重合性炭素
−炭素二重結合を導入したものを用いた場合、含有する
光重合開始剤の種類、紫外線照射量(強度)等の条件に
もよるが、含有量を0にしてもよい。
【0058】本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層
は、上記、粘着剤ポリマー、熱架橋剤、重合性炭素−炭
素二重結合を2個以上有するモノマーおよび/またはオ
リゴマーの他に、光重合開始剤を含有する。光重合開始
剤には、主に分子内結合開裂型と分子間水素引抜き型の
二種類が挙げられるが、前者の方が、反応速度を速くす
る効果があるため好ましい。これは、紫外線照射により
粘着剤層を硬化させ剥離粘着力を低下させるためには、
紫外線架橋反応速度が速い程有効であるという本発明者
らのこれまでの鋭意検討結果による。
【0059】特に、ウエハ表面への汚染を考慮して、粘
着剤ポリマーに特定量の重合性炭素−炭素二重結合を導
入したものを用い、且つ、重合性炭素−炭素二重結合を
2個以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含
有量を少なくした場合(0も含む)には、分子内結合開
裂型光重合開始剤を使用しないと粘着力が十分に低下し
ないことがある。
【0060】分子内結合開裂型の光重合開始剤として
は、ベンゾイン〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーB
O、等〕、ベンゾインメチルエーテル〔日本曹達(株)
製、ニッソキュアーMBO、等〕、ベンゾインエチルエ
ーテル〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーEBO、
等〕、ベンゾインイソプロピルエーテル〔日本曹達
(株)製、ニッソキュアーIBPO、等〕、ベンゾイン
イソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール〔日本
チバガイギー(株)、イルガキュア−651、等〕、1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔日本チバ
ガイギー(株)、イルガキュア−184、等〕、2−メ
チル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノ
ホリノプロパン−1〔日本チバガイギー(株)、イルガ
キュア−907、等〕、ジエトキシアセトフェノン、4
−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロ
キシ−2−プロピル)ケトン〔メルクジャパン(株)、
ダロキュア−2959、等〕、等が挙げられる。
【0061】分子間水素引抜き型の光重合開始剤を含有
する場合、該光重合開始剤としては、ベンゾフェノン
〔日本化薬(株)製、カヤキュアーBP、等〕、ヒドロ
キシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、チオキサン
ソン〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーTX、等〕、
2−メチルチオキサンソン〔日本曹達(株)製、ニッソ
キュアーMTX、等〕、2,4−ジエチルチオキサンソ
ン〔日本化薬(株)製、カヤキュアーDETX、等〕の
チオキサンソン系、ベンジル、アンスラキノン、2−エ
チルアンスラキノン、2−tert−ブチルアンスラキ
ノン等が挙げられる。これらの分子内結合開裂型や分子
間水素引抜き型の光重合開始剤は単独で使用してもよい
し、二種以上を併用してもよい。
【0062】光重合開始剤の含有量は、粘着剤ポリマー
100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部であ
る。含有量が少ないと、紫外線照射後に粘着力の低下が
不十分となったり、粘着剤層の硬化が不十分となり、ウ
エハ表面を汚染することがある。また、含有量が多い
と、該光重合開始剤自体がウエハ表面を汚染する原因と
なることがある。従って、最適な光重合開始剤の含有量
は、使用する光重合開始剤の種類、照射する紫外線の強
度等により、上記範囲内で異なる。
【0063】例えば、光重合開始剤に分子内結合開裂型
を用い、且つ、紫外線照射時に紫外線強度が十分に得ら
れる場合には(通常、300mJ/cm2以上)、好ま
しい含有量は0.1〜5重量部となり、さらに好ましく
は0.1〜3重量部となることがある。また、紫外線の
強度が十分でない場合には(通常、300mJ/cm 2
未満)好ましい含有量が5〜15重量部となることもあ
る。
【0064】また、本発明に用いる粘着フィルムの粘着
剤層には、上記、光重合開始剤の他に、必要に応じて反
応を促進するために光開始助剤を加えてもよい。光開始
助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノ
ールアミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−
ジメチルアミノ安息香酸エチル〔日本化薬(株)製、カ
ヤキュアーEPA、等〕、等が挙げられる。これらの光
開始助剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用し
てもよい。光開始助剤を併用する場合、光重合開始剤お
よび光開始助剤の含有量の合計が、前述した、光重合開
始剤の含有量と同程度になるように含有することが好ま
しい。
【0065】その他、該粘着テープの保存性をよくする
ための、フェノチアジン、ハイドロキノン等の重合禁止
剤、等各種添加剤を半導体ウエハを汚染しない程度で必
要に応じて含有してもよい。
【0066】粘着剤層の厚み(C)は30〜100μm
である。但し、粘着剤層の厚み(C)と、半導体ウエハ
の表面回路に形成された突起状物の高さ(A)との間
に、0.6A≦Cなる関係が成立する必要がある。粘着
剤層の厚みが薄くなると、耐水性が劣り裏面研削中にウ
エハ表面と粘着剤層との間に水が浸入してウエハの破
損、表面の研削屑等による汚染が生じる傾向にある。厚
みが厚くなると粘着フィルムの作製が困難となったり、
生産性に影響をあたえ製造コストの増加につながること
がある。
【0067】本発明の粘着フィルムの好ましい粘着力
は、SUS304−BA板に対する粘着力に換算する
と、紫外線照射(硬化)前で200〜2000g/25
mm、より好ましくは300〜2000g/25mm、
さらに好ましくは400〜2000g/25mmであ
る。また、紫外線照射(硬化)後で100g/25mm
以下、より好ましくは50g/25mm以下である。
【0068】ウエハ裏面の研削条件、ウエハの口径、研
削後のウエハの厚み等を勘案して上記範囲に調整する。
照射(硬化)前の粘着力が低いと裏面研削中にウエハ表
面と粘着剤層との間に、水が浸入して粘着フィルムが剥
離し、該剥離に伴いウエハの破損を引き起こすことがあ
る。たとえウエハが破損しなくても、水の浸入に伴い研
削屑が侵入し、ウエハ表面が汚染されることもある。
【0069】また、照射(硬化)後の粘着力が高いと、
粘着フィルム剥離時にウエハを破損したり、自動テープ
剥がし機で剥離トラブルが発生する等、剥離作業性が低
下することがある。
【0070】基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面
に粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗
布方法、例えばロールコーター法、リバースロールコー
ター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコー
ター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘
着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、8
0〜200℃の温度範囲において10秒〜10分間乾燥
することが好ましい。さらに好ましくは80〜170℃
において15秒〜5分間乾燥する。
【0071】本発明においては、粘着剤層の厚みを30
μm〜100μmに塗工するため、必要に応じて、多層
に複数回塗工してもよい。熱架橋剤と粘着剤ポリマーと
の架橋反応を十分に促進させるために、被粘着剤塗布液
の乾燥が終了した後に、半導体ウエハ裏面研削用粘着フ
ィルムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱
しても良い。
【0072】本発明の半導体ウエハ裏面研削用粘着フィ
ルムの製造方法は、上記の通りであるが、半導体ウエハ
表面の汚染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィル
ム、粘着剤主剤等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗
布液の調製、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格
209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン
度に維持されていることが好ましい。
【0073】次に、半導体ウエハの裏面研削方法につい
て説明する。本発明の半導体ウエハの裏面研削方法は、
表面に高さ(A)が10〜100μmのハイバンプ電極
及び不良回路識別マークから選ばれた少なくとも1種の
突起状物を有する半導体ウエハの裏面を研削する際に、
上記方法により製造された半導体ウエハ裏面研削用粘着
フィルムを用いることに特徴がある。
【0074】その詳細は、先ず、半導体ウエハ裏面研削
用粘着フィルム(以下、粘着フィルムという)の粘着剤
層から剥離フィルムを剥離し、粘着剤層表面を露出さ
せ、その粘着剤層を介して、高さ(A)が10〜100
μmの突起状物を有する集積回路が組み込まれた側の半
導体ウエハの表面に貼着する。次いで、研削機のチャッ
クテーブル等に粘着フィルムの基材フィルム層を介して
半導体ウエハを固定し、半導体ウエハの裏面を研削す
る。研削が終了した後、30〜3000mJ/cm 2
紫外線を基材フィルム側から照射し、照射後粘着フィル
ムは剥離される。裏面の研削が完了した後、紫外線を照
射する前にケミカルエッチング工程を経ることもある。
また、必要に応じて、粘着フィルム剥離後に、半導体ウ
エハ表面に対して、水洗、プラズマ洗浄等の洗浄処理が
施される。
【0075】この様な裏面研削操作において、半導体ウ
エハは、研削前の厚みが、通常、500μm〜1000
μmであるのに対して、半導体チップの種類等に応じ、
通常、100μm〜600μm程度まで研削される。研
削する前の半導体ウエハの厚みは、半導体ウエハの口
径、種類等により適宜決められ、研削後の厚みは、得ら
れるチップのサイズ、回路の種類、等により適宜決めら
れる。
【0076】粘着フィルムを半導体ウエハに貼着する操
作は、人手により行われる場合もあるが、一般に、ロー
ル状の粘着フィルムを取り付けた自動貼り機と称される
装置によって行われる。この様な自動貼り機として、例
えば、タカトリ(株)製ATM−1000B、同ATM
−1100、帝国精機(株)製STLシリーズ等があ
る。
【0077】裏面研削方式としては、スルーフィード方
式、インフィード方式等の公知の研削方式が採用され
る。それぞれ、研削は水を半導体ウエハと砥石にかけて
冷却しながら行われる。
【0078】裏面研削終了後、紫外線を照射する前に、
必要に応じてケミカルエッチングが行われる。ケミカル
エッチングは、弗化水素酸や硝酸、硫酸、酢酸等の単独
もしくは混合液からなる酸性水溶液や、水酸化カリウム
水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶
液、なる群から選ばれたエッチング液に、粘着フィルム
を貼着した状態で半導体ウエハを浸漬する等の方法によ
り行われる。該エッチングは、半導体ウエハ裏面に生じ
た歪の除去、ウエハのさらなる薄層化、酸化膜等の除
去、電極を裏面に形成する際の前処理、等を目的として
行われる。エッチング液は、上記の目的に応じて適宜選
択される。
【0079】本発明で照射する紫外線の強度(照射量)
は、通常30〜3000mJ/cm 2〔(株)オーク製
作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02
(受光器:UV−35)、を用いて測定した紫外線照度
(mW/cm2)に時間(秒)をかけた値〕程度であ
る。
【0080】強度が低い場合、該粘着フィルム剥離時の
粘着力の低下が不十分となり、剥離時のウエハ破損の原
因となる。強度の上限は特に制限はないが、照射時に発
生する熱によるウエハ表面への影響、基材フィルムの融
点または軟化点、作業性(時間)、等を考慮すると30
00mJ/cm2程度が好ましい。ウエハ表面への粘着
剤層による汚染を考慮して、特定量の重合性炭素−炭素
二重結合を導入した粘着剤ポリマー、熱架橋剤を含有
し、尚且つ、重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有す
るモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量を低減せ
しめた(0を含む)構成の粘着剤層を有する粘着フィル
ムを用いた場合には、紫外線の強度を300mJ/cm
2以上〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外
線照度計UV−M02(受光器:UV−35)、を用い
て測定した紫外線照度(mW/cm2)に時間(秒)を
かけた値〕にすることが好ましい。
【0081】上記の照射量を得るためには、通常、3〜
3000mW/cm2の照度〔(株)オーク製作所製、
ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02(受光器:
UV−35)、を用いて測定した値〕の紫外線を、強度
が上記の範囲内に入るように、通常、0.5〜60秒の
時間内で照射することが好ましい。紫外線の発生源とし
ては既知の様々な装置を使用できるが、代表的なものを
具体的に例示すると、低圧水銀ランプ、高圧水銀ラン
プ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルス
キセノンランプ、無電極放電ランプ等が挙げられる。
【0082】裏面研削、ケミカルエッチング終了後、粘
着フィルムはウエハ表面から剥離される。本発明におい
ては、粘着フィルムを剥離する前に基材フィルム側から
紫外線を照射してから剥離する。この一連の操作は、人
手により行われる場合もある。しかし、一般には該剥離
操作は、自動剥がし機と称される装置により行われる。
この様な、自動剥がし機としては、タカトリ(株)製A
TRM−2000B、同ATRM−2100、帝国精機
(株)製STPシリーズ等がある。自動剥がし機は、紫
外線照射も自動でできる様な仕様になっているものが好
ましい。
【0083】粘着フィルムを剥離した後のウエハ表面
は、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、水洗
浄、溶剤洗浄等の湿式洗浄や、プラズマ洗浄等の乾式洗
浄等が挙げられる。湿式洗浄の場合、超音波洗浄を併用
してもよい。これらの洗浄方法は、ウエハ表面の汚染状
況により適宜選択される。
【0084】本発明によれば、これまで裏面研削が困難
であった、表面に高さが10〜100μmのハイバンプ
電極、インクドット等の如き突起状物を有する半導体ウ
エハを、そのような突起状物がない従来型ウエハの裏面
を研削する際と同様に、簡便に研削することができる。
また、該突起上物を表面に有する半導体ウエハの裏面を
研削する際に、単にウエハを破損しないだけではなく、
マイクロクラックを生じずに研削することができる。ま
た、レジスト等を使用しないため、工程が簡略できる。
さらに、半導体ウエハの表面から粘着フィルムを剥離し
た後、半導体ウエハ表面には、研削屑の浸入による汚染
が殆どない。ディンプル等の突起状物が原因で生じる、
裏面の局所的厚みバラツキも殆ど生じないか、生じても
実用上問題のない範囲に抑えることができる。
【0085】本発明は、高さ(A)が10〜100μm
の突起状物を有する半導体ウエハの裏面研削に適用され
るが、該突起状物の高さ(A)が25μm以上になると
その効果がさらに顕著になる。
【0086】本発明の半導体ウエハ裏面研削用粘着フィ
ルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面研削方法が適
用できる半導体ウエハとして、シリコンウエハのみなら
ず、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、
ガリウム−ヒ素−アルミニウム等のウエハが挙げられ
る。
【0087】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。以下に示す全ての実施例及び比較例に
おいて、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,
000以下のクリーン度に維持された環境において粘着
剤塗布液の調製および塗布、並びに、半導体シリコンウ
エハの裏面研削等を実施した。本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。尚、実施例に示した各種特性
値は下記の方法で測定した。
【0088】(1)粘着力(g/25mm) 下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237
−1991に準じて測定した。 (紫外線照射前の粘着力)23℃の雰囲気下において、
実施例または比較例で得られた粘着フィルムをその粘着
剤層を介して、5cm×20cmのSUS304−BA
板(JIS G−4305規定)の表面に貼着し、1時
間放置した。試料の一端を挟持し、剥離角度180度、
剥離速度300mm/min.でSUS304−BA板
の表面から試料を剥離する際の応力を測定し、g/25
mmの粘着力に換算した。
【0089】(紫外線照射後の粘着力)23℃の雰囲気
下において、実施例または比較例で得られた粘着フィル
ムをその粘着剤層を介して、5cm×20cmのSUS
304−BA板(JIS G−4305規定)の表面に
貼着し、1時間放置した。放置後、基材フィルム側から
下記の条件の紫外線を照射し、照射後、試料の一端を挟
持し、剥離角度180度、剥離速度300mm/mi
n.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離する
際の応力を測定し、g/25mmの粘着力に換算した。 <紫外線照射条件> 発生源:高圧水銀ランプ〔(株)オーク製作所製、形
式;OHD−320M〕、照度:35mW/cm
2〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照
度計UV−M02(受光器:UV−35)を用いて測定
した値〕、照射時間:15秒、照射量:約500mJ/
cm2
【0090】(2)実用評価 実施例または比較例の半導体シリコンウエハ(直径:6
インチ、厚み:600μm)の表面に、実施例または比
較例の粘着フィルムを貼着し、研削機を用いて、水をか
けて冷却しながら半導体シリコンウエハの裏面を研削し
て、厚みを約220μmとした。各粘着フィルム毎に1
0枚の半導体シリコンウエハについて評価した。研削終
了後、半導体シリコンウエハの破損状況を破損した枚数
で評価し、さらに破損しなかった半導体シリコンウエハ
について、表面と粘着フィルムとの間に周辺から水が浸
入したか否かを目視で観察した。水の浸入が観察された
場合、浸入の程度を、浸入がウエハの周辺から2mm未
満の場合(ウエハから得られるチップの歩留りに影響を
与えない程度)、周辺から2mm以上場合(ウエハから
得られるチップの歩留りに影響を与える)の2通りにわ
けて、それぞれ生じた枚数で評価した。水浸入の観察終
了後、前記の粘着力測定方法で示した条件の紫外線と同
様の紫外線を、基材フィルム側から照射した。照射後、
表面保護テープ剥がし機{タカトリ(株)製、MODE
L:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハイラ
ンド印フィラメントテープNo.897〔住友スリーエ
ム(株)製〕}で該粘着フィルムを剥離した。粘着フィ
ルム剥離時の破損状況を破損した枚数で評価した。さら
に、粘着フィルム剥離時に破損しなかったウエハの表面
を、光学顕微鏡〔(株)ニコン製:OPTIPHOT
2〕を用いて50〜1000倍の範囲に拡大して観察
し、マイクロクラックの発生状況を観察し、下記の基準
で評価した。 <マイロクラック発生率(%)> 〔(マイロクラック発生チップ数)/(観察チップ
数)〕×100
【0091】(3)ウエハ裏面のディンプルの発生 裏面の研削が終了したウエハの裏面を目視によって観察
し、ディンプルの有無を調査した。
【0092】実施例1 (基材フィルムの作製)ショア−D型硬度が35のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体樹脂をT−ダイ押出機を用い
て、厚さ250μmのフィルムに形成した。この際、粘
着剤層側にコロナ処理を施した。得られたフィルムの厚
みバラツキは±1.5%以内であった。 (粘着剤ポリマーの重合)アクリル酸エチル30重量
部、アクリル酸2−エチルヘキシル40重量部、アクリ
ル酸メチル10重量部、メタクリル酸グリシジル20重
量部のモノマー混合物を、ベンゾイルパーオキサイド系
重合開始剤〔日本油脂(株)製、ナイパーBMT−K4
0〕0.8重量部(開始剤として0.32重量部)を用
いて、トルエン65重量部、酢酸エチル50重量部中で
80℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、こ
れにキシレン100重量部、アクリル酸10重量部とテ
トラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
〔日本油脂(株)製、カチオンM −100〕0.3重
量部加え、空気を吹き込みながら85℃で50時間反応
させ、アクリル系粘着剤ポリマーの溶液(粘着剤主剤)
を得た。 (粘着剤塗布液の調製)得られた粘着剤主剤にアクリル
系粘着剤ポリマー固形分100重量部に対して、分子内
結合開裂型光重合開始剤としてベンジルジメチルケター
ル〔日本チバガイギー(株)、イルガキュアー651〕
を2重量部、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有す
るモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レートとジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ
アクリレートの混合物〔東亜合成化学工業(株)製、ア
ロニックスM−400〕を0.3重量部添加し、さら
に、熱架橋剤としてイソシアナート系架橋剤〔三井東圧
化学(株)製、オレスターP49−75−S〕を1.3
5重量部(熱架橋剤として1重量部)添加し、粘着剤塗
布液を得た。 (粘着フィルムの作製)この粘着剤塗布液をロールコー
ターを用いてシリコーン離型処理を施したポリエチレン
テレフタレートフィルム(剥離フィルム、厚み:40μ
m)の離型処理面に塗布し、120℃で2分間乾燥し厚
さ30μmの粘着剤層を設けた。その後、前述のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体フィルム(ショア−D型硬度:
35)のコロナ処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層
を転写させた。転写後、60℃において24時間加熱し
た後、室温まで冷却することにより半導体ウエハ裏面研
削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの
粘着力は紫外線照射前で500g/25mm、紫外線照
射後で40g/25mmであった。 (粘着フィルムの評価)得られた粘着フィルムを、高さ
40μmのハイバンプ電極を有する50mm2の集積回
路が周辺まで組み込まれた半導体シリコンウエハ(直
径:6インチ、厚み:600μm、)の表面(集積回路
側)に貼着し、研削機を用いて、水をかけて冷却しなが
ら半導体シリコンウエハの裏面を研削し、厚みを約22
0μmとした。同様のウエハ10枚に対して同様の操作
を行った。研削中に破損したウエハは皆無であった。研
削終了後、ウエハと粘着フィルムの間に水浸入は観察さ
れなかった。これら10枚のウエハ(粘着フィルム付)
について、粘着フィルムの基材フィルム側から前記の条
件の紫外線を照射した(粘着力測定法の項参照)。照射
後、表面保護テープ剥がし機{タカトリ(株)製、MO
DEL:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハ
イランド印フィラメントテープNo.897〔住友スリ
ーエム(株)製〕}を用いて粘着フィルムを剥離した。
粘着フィルム剥離中に破損したウエハは皆無であった。
得られた半導体ウエハの表面を、顕微鏡により観察し
た。ウエハ表面には、マイクロクラックは観察されなか
った。裏面研削状況を目視で観察したが、ディンプルは
観察されなかった。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0093】実施例2〜実施例3、比較例1〜4 実施例1と同様方法で、〔表1〕に示した粘着フィルを
作製した。これらの粘着フィルムを実施例1と同様の方
法で評価した。評価結果を〔表1〕に示す。但し、評価
に使用したウエハは下記の通り。 (実施例2)50mm2の集積回路(チップ)が周辺ま
で組み込まれているウエハ表面に、該チップ全体の10
%に高さ55μmのインクドットが無作為に着けられて
いる半導体シリコンウエハ(直径:6インチ、厚み:6
00μm)。 (実施例3)高さ80μmのハイバンプ電極を有する5
0mm2の集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリ
コンウエハ(直径:6インチ、厚み:600μm)。 (比較例1)実施例1と同様のウエハ。 (比較例2)高さ70μmのハイバンプ電極を有する5
0mm2の集積回路が周辺まで組み込まれた半導体シリ
コンウエハ(直径:6インチ、厚み:600μm)。 (比較例3)実施例1と同様のウエハ。 (比較例4)実施例2と同様のウエハ。
【0094】比較例5 (基材フィルムの作製)実施例1と同様の方法で実施例
1と同様の基材フィルムを作製した。 (粘着剤主剤の重合)アクリル酸ブチル92重量部、ア
クリロニトリル4重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル4重量部のモノマー混合物を、ベンゾイルパーオキ
サイド系重合開始剤〔日本油脂(株)製、ナイパーBM
T−K40〕0.8重量部(開始剤として0.32重量
部)を用いて、トルエン65重量部、酢酸エチル50重
量部中で80℃で10時間反応させ、アクリル系粘着剤
ポリマーの溶液(粘着剤主剤)を得た。 (粘着剤塗布液の調製)得られた粘着剤主剤にアクリル
系粘着剤ポリマー固形分100重量部に対して、熱架橋
剤としてイソシアナート系架橋剤〔三井東圧化学(株)
製、オレスターP49−75−S〕を1.35重量部
(熱架橋剤として1重量部)添加し、粘着剤塗布液を得
た。 (粘着フィルムの作製)この粘着剤塗布液をロールコー
ターを用いてシリコーン離型処理を施したポリエチレン
テレフタレートフィルム(剥離フィルム、厚み:40μ
m)の離型処理面に塗布し、120℃で2分間乾燥し厚
さ30μmの粘着剤層を設けた。その後、前述のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体フィルム(ショア−D型硬度:
35)のコロナ処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層
を転写させた。転写後、60℃において24時間加熱し
た後、室温まで冷却することにより半導体ウエハ裏面研
削用粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムの
粘着力は紫外線照射前で500g/25mm、紫外線照
射後で520g/25mm(硬化せず)であった。 (粘着フィルムの評価)得られた粘着フィルムを、実施
例1と同様の半導体ウエハを用い、実施例1と同様の方
法で評価した。評価結果を〔表1〕に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、半導体ウエハの裏面を
研削するに際し、該半導体ウエハの表面にハイバンプ電
極、不良回路識別マーク等の高さが10〜100μmも
ある突起状物が形成されていても、裏面の研削応力に起
因してウエハが破損することがないばかりでなく、チッ
プレベルでの破損(マイクロクラック)を生じることが
ない。また、突起状物に起因するディンプルの発生もな
い。さらに、半導体ウエハの表面と粘着剤層の間に水が
浸入することに起因するウエハの破損や研削屑による汚
染もない。裏面研削後の剥離時には紫外線照射により粘
着力が低下するため、剥離応力によりウエハを破損する
こともない。当然のことながら、レジストを用いる必要
がなく工程が簡略できるという効果を奏するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福本 英樹 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハの回路形成表面に粘着フィ
    ルムを貼付して、半導体ウエハの裏面を研削し、次い
    で、粘着フィルムを剥離する半導体ウエハの裏面研削方
    法であって、該半導体ウエハの回路形成表面が電極及び
    不良回路識別マークから選ばれた少なくとも1種の高さ
    (A)10〜100μmの突起状物を有し、該粘着フィ
    ルムがショア−D型硬度40以下、厚み(B)250〜
    500μm(但し、4A≦B)である基材フィルムの片
    表面に、厚み(C)30〜100μm(但し、0.6A
    ≦C)の紫外線照射により硬化して粘着力が低下する粘
    着剤層が形成され、裏面研削終了後、該粘着フィルムを
    剥離する前に紫外線を照射することを特徴とする半導体
    ウエハの裏面研削方法。
  2. 【請求項2】 突起状物の高さ(A)が25〜100μ
    mであることを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハ
    の裏面研削方法。
  3. 【請求項3】 半導体ウエハの裏面を研削する際にその
    回路形成表面に貼付される半導体ウエハの裏面研削用粘
    着フィルムであって、該半導体ウエハの回路形成表面が
    電極及び不良回路識別マークから選ばれた少なくとも1
    種の高さ(A)10〜100μmの突起状物を有し、該
    粘着フィルムがショア−D型硬度40以下、厚み(B)
    250〜500μm(但し、4A≦B)である基材フィ
    ルムの片表面に、厚み(C)30〜100μm(但し、
    0.6A≦C)の紫外線照射により硬化して粘着力が低
    下する粘着剤層を形成してなることを特徴とする半導体
    ウエハ裏面研削用粘着フィルム。
  4. 【請求項4】 突起状物の高さ(A)が25〜100μ
    mであることを特徴とする請求項3記載の半導体ウエハ
    裏面研削用粘着フィルム。
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