以下図面について、本願発明の一実施の形態について説明する。
(1)本実施の形態による光ディスク再生装置の構成
図1(A)及び(B)において、1は全体として本実施の形態による光ディスク再生装置を示し、例えばプラスチック等の合成樹脂材から成形された略紡錘形状でなるキャビネット2の上段部には、ユーザが把持するためのアーチ状の把持部2Aが形成されており、当該把持部の下方側におけるキャビネット2の前上面中央には、CD(Compact Disk)等の光ディスクを挿脱するための蓋部(以下、これをディスク蓋部と呼ぶ)3がヒンジ式の回転機構により開閉自在に取り付けられている。
またこの光ディスク再生装置1において、キャビネット2の前面の左右両側には、一対のスピーカ4A、4Bが搭載され、再生時に、光ディスクに記録されている音楽データに基づく音声を外部に放音し得るようになされている。
かかるディスク蓋部3には、光ディスクの再生時に必要な各種機能に応じた操作内容を表す操作ボタン群でなる操作部5と、当該操作内容を表示するためのLCD(liquid Crystal Display)でなる表示部6とが搭載されている。
この光ディスク再生装置1では、ディスク蓋部3の下段に設けられたオープンボタン7(図1(B))をユーザが押圧操作することにより、当該ディスク蓋部3を開動作させて図2で後述するトレイ収納部13(図1では図示せず)を開放させる一方、ユーザがディスク蓋部3の表面を押し下げることにより、当該ディスク蓋部3を閉動作させてトレイ収納部13を被覆させるようになされている。
(2)本実施の形態による光ディスク再生部の構成
図2は本実施の形態による光ディスク再生部10を示し、装置全体の組み付け台としてのシャーシ11を基台とするヒンジ式の回転機構をもつトレイ(以下、これをディスクトレイと呼ぶ)12と、当該シャーシ11の一部として形成され、ディスクトレイ12を収納しかつ光ディスクを再生するためのトレイ収納部13と、同じくシャーシ11を基台とするヒンジ式の回転機構をもつディスク蓋部3とから構成され、ディスク蓋部3の開閉動作によってディスクトレイ12と共にトレイ収納部13を被覆し又は開放し得るようになされている。
この光ディスク再生部10では、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12は、常にトレイ収納部13に対して開方向に付勢された状態にあり、設置面(水平方向)を基準として45度の角度で傾斜されたトレイ収納部13に対して、ディスク蓋部3が80度の角度(設置面を基準として125度)で傾斜する一方、ディスクトレイ12が25度の角度(設置面を基準として70度)で傾斜するように設計されている。
そして後述するように光ディスク再生部10では、ディスク蓋部3を閉動作させたときに途中からディスクトレイ12と一体となってトレイ収納部13に近接する方向に回転移動する一方、ディスク蓋部3を開動作させたときに途中までディスクトレイ12と一体となってトレイ収納部13から離反する方向に回転移動するようになされている。
また光ディスク再生部10は、ディスク蓋部3の縁部における所定部位に所定形状の突起(以下、これをロック爪と呼ぶ)LNが形成される一方、トレイ収納部13の縁部における当該ロック爪LNの対応部位に可動自在なレバー(以下、これをロックレバーと呼ぶ)LLが設けられている。
この光ディスク再生部10は、ディスク蓋部3の縁部におけるロック爪LNの近傍位置には所定形状のボスBSが形成され、トレイ収納部13を被覆するようにディスク蓋部3を閉じる際に、当該ボスがディスクトレイ12の先端上部と当接した後、そのままディスク蓋部3及びディスクトレイ12が一体となって回転移動しながらロック爪LNがロックレバーLLに掛合されることにより、ディスク蓋部3がディスクトレイ12を介してトレイ収納部13に対して閉状態となるようになされている。
このトレイ収納部13には、中心部に光ディスクを回転させるためのターンテーブル14と、当該ターンテーブル14に対して近接又は離反させるように移動可能な光ピックアップ15とを含む光学系ブロック16が設けられている。かかる光学系ブロック16は、弾性材でなる複数の防振ダンパ17A〜17D(図7、図8〜図11で示し、この図2では図示せず)を介してシャーシ11に対して所定の弾性力を持つように支持されており、ターンテーブル14及び光ピックアップ15に外部振動又は自己振動が伝達するのを極力回避し得るようになされている。
またディスク蓋部3の内側面には、円盤形状でなるチャッキングプレート18が所定範囲内で可動自在に保持されており、トレイ収納部13の上面に光ディスクを載置した後に、ディスク蓋部3をディスクトレイ12と共に閉じてトレイ収納部13を被覆状態にしたときに、光ディスクがターンテーブル14及びチャッキングプレート18間に挟持されるようになされている。
かかるターンテーブル14は、中心部に光ディスクの中心穴に対応するテーパ状の突起部14Aと、当該突起部14Aの周囲で光ディスクを載置するための平面を有する金属材でなる円盤部14Bとが一体に固着されて構成されている。
その際、光ディスクは、その中心穴がターンテーブル14の突起部14Aに嵌り込むようにして円盤部14B上に載置されたとき、ディスク蓋部3の裏面に保持されているチャッキングプレート18との間で磁力によって挟持するようになされ、これらが一体となって回転し得るようになされている。
そして光ディスク再生部10は、再生時、トレイ収納部13内に設けられたターンテーブル14を回動駆動させながら、当該トレイ収納部13内に設けられた光ピックアップ15をターンテーブル14に対して近接又は離反するように移動させることにより、回転状態にある光ディスクから当該光ディスクに記録されているオーディオデータを読み出し得るようになされている。
かかる構成に加えて、この光ディスク再生部10には、トレイ収納部13に設けられたロックレバーLLの近傍にプランジャ19が設けられ、装置全体の制御を司る制御部20(図3にのみ示す)の制御に応じて、プランジャ19からピストン棒19Aを突出し又は引込みを行うようになされている。
このプランジャのピストン棒の先端にはロックレバーLLが固着されており、当該ピストン棒19Aの突出又は引込に応じてロックレバーLLを可動させることにより、ロック爪LNとの間の掛合を設定し又は解除し得るようになされている。
実際に光ディスク再生部10では、図3に示すように、制御部20は、ディスク蓋部3の下段に設けられたオープンボタン(図1(B))の押圧操作による操作信号S1を受け取ると、光ディスクの再生時であるか否かを判断して、再生時以外の停止状態であると判断したとき、プランジャドライバ21に駆動信号S3を送出して、プランジャ19のピストン棒19Aを一時的に引き込むことによりロックレバーLLとロック爪LNとの掛合を解除させる。
これに対して制御部20は、再生時であると判断したとき、停止状態に移行すべくスピンドルドライバ22に駆動停止信号S2を送出してスピンドルモータ23の回転を停止させながら、当該スピンドルドライバ22に駆動停止信号S2を送出してから所定時間経過後にプランジャドライバ21に駆動信号S3を送出する。この所定時間は、スピンドルモータ23の回転にブレーキが掛けられてから停止するまでの時間に相当するものであり、予めプログラムにより設定されている。
そして制御部20は、プランジャドライバ21が駆動信号S3に基づいてプランジャ19を駆動制御することにより、当該プランジャ19のピストン棒19Aを一時的に引き込むことによりロックレバーLLとロック爪LNとの掛合を解除させる。
このようにして光ディスク再生部10では、再生時以外の停止時にユーザがオープンボタン7を押圧操作した場合には、直ちにプランジャ19を駆動させてロックレバーLLとロック爪LNとの掛合を解除する一方、再生時にユーザがオープンボタン7を押圧操作した場合には、ターンテーブル14の回転停止を開始させてから所定時間経過後にプランジャ19を駆動させてロックレバーLLの掛合を解除させるようにしたことにより、光ディスクが回転中にディスク蓋部3が開状態となって当該光ディスクが外部に飛び出したり、これに伴って擦れたりするのを未然に防止することができる。
(3)ディスク蓋部3及びディスクトレイ12の構成
図4(A)及び(B)にディスク蓋部3の構成を示す。このディスク蓋部3は、例えばプラスチック等の合成樹脂材から成形された所定の厚みを有する略円盤形状の蓋本体部3Aを有し、当該蓋本体部3Aの後端の両側には略扇形形状でなる一対の蓋回動支持部が一体成形されている。また蓋本体部3Aの先端の所定位置には、図2で上述したロック爪LNが突出形成されている。
またディスク蓋部3において、蓋本体部3Aの表面側には図1で上述した表示部5及び操作部6が搭載されており、当該蓋本体部3Aの裏面側には中央に円盤形状でなるチャッキングプレート18が所定範囲内で可動自在に保持されている。
この蓋本体部3Aの両側に形成された一対の蓋回動支持部3AX、3AYは、それぞれ所定位置に軸穴3AXH、3AYHが形成されると共に、外側端部には所定形状のストッパ(以下、これらをサブストッパと呼ぶ)3AXS、3AYSが外方に突出形成されている。かかる一対の蓋回動支持部3AX、3AYのうち一方の蓋回動支持部3AXには、略円弧状でなる周縁部に所定範囲内で歯車(以下、これを開閉用歯車と呼ぶ)3AXGが形成されており、他方の蓋回動支持部3AYには所定形状でなるストッパ(以下、これをメインストッパと呼ぶ)3AYMが形成されている。
図4(A)及び当該図4(A)のA−A´線を断面にとった図4(B)に示すように、チャッキングプレート18は、光ディスクを押圧するための当接面を有する円盤形状でなるディスクプレート部18Aと、当該ディスクプレート部18Aの当接面18ASの裏面に接続された所定の直径及び長さをもつ筒体部18Bと、当該筒体部18Bの端部の全周囲に張り出したフランジ部18Cとから構成され、ディスクプレート部18A及びフランジ部18C間の筒体部18Bの内部に所定サイズの円環形状でなる磁石(以下、これを環状磁石と呼ぶ)25が内蔵されている。
また蓋本体部3Aの裏面側には、所定径の円形状の開口部OPを形成する保持壁3AWを一部に有する保持空間3ASが設けられている。この保持壁3AWにより形成される円形状の開口部OPの直径は、チャッキングプレート18の筒体部18Bの直径よりも大きく、かつフランジ部18Cの直径よりも小さくなるように予め設計されている。
このチャッキングプレート18は、蓋本体部3Aにおける保持空間3ASの保持壁3AWにより形成される開口部OPを介してフランジ部18Cが保持空間3AS内に収容され、筒体部18Bの長さ分と筒体部18B及び開口部OP間の隙間分とだけ遊びが生じることにより、当該遊びの範囲内で自由に可動し得るようになされている。この結果、チャッキングプレート18におけるディスクプレート部18Aの当接面18ASが3次元方向に向くことによって、トレイ収納部13(図2)のターンテーブル14の円盤部14Bに載置された光ディスクに対してほぼ平行に当接させることができる。
さらにチャッキングプレート18におけるディスクプレート部18Aの当接面18ASを光ディスクを間に挟んでターンテーブル14と間接的に押圧させたときに、当該チャッキングプレート18に内蔵された環状磁石25の磁力により金属材でなるターンテーブル14と引き合って、光ディスクを強固に挟持し得るようになされている。
なおディスク蓋部3では、蓋本体部3Aに形成された一対の蓋回動支持部3AX、3AYは、当該蓋本体部3Aとの間にそれぞれ湾曲形状のくびれ部分3AXK、3AYKを形成するようにして、各軸穴3AXH、3AYHを回転中心として回転させる際に、当該各軸穴3AXH、3AYHに対してチャッキングプレート18の距離を十分に確保することができるようにした。この結果、ディスク蓋部3の裏面の可動自在に保持されたチャッキングプレート18を、ディスクトレイ12上に載置された光ディスクに対して当接させる際に、当該チャッキングプレート18の当接面18ASを光ディスクに対してより一層平行に当接させることができ、光ディスクのサイズが小さい場合でも均等に接触押圧させ得るようになされている。
図5(A)及び(B)にディスクトレイ12の構成を示す。このディスクトレイ12は、例えばプラスチック等の合成樹脂材から成形された所定の厚みを有する略円盤形状のトレイ本体部12Aを有し、当該トレイ本体部12Aの両端側には略板状形状でなる一対のトレイ回動支持部12AX、12AYが一体成形されている。
このトレイ本体部12Aの両側に形成された一対のトレイ回動支持部12AX、12AYは、それぞれ所定位置に軸穴12AXH、12AYHが形成されると共に、外側端部には所定形状のストッパ12AXS、12AYSが外方に突出形成されている。かかる一対のトレイ回動支持部12AX、12AYのうち一方には、所定位置に所定の歯数(例えば4本)でなるラック12AXRが外方に突出形成されており、他方には所定形状の切欠き溝12AYLが形成されている。
このディスクトレイ12のトレイ本体部12Aには、表面12ASに直径が12〔cm〕及び8〔cm〕の光ディスクを収納するための円弧状の段部(以下、これらを外側段部及び内側段部と呼ぶ)12ASA、12ASBがそれぞれ形成されており、中央から径方向に沿ってターンテーブル14及び光ピックアップ15等の部品を露出させるための開口部12APが形成され、さらに先端にはユーザが光ディスクを把持するための左右一対の円弧形状の切欠き部12ALA、12ALBが形成されている。
実際にディスクトレイ12が開状態にあるとき、当該ディスクトレイ12が設置面を基準として45度の角度で傾斜されたトレイ収納部13に対して25度の角度(設置面を基準として70度)で傾斜することから、当該ディスクトレイ12上に載置された光ディスクが重力によりそのトレイ本体部12Aに形成された外側段部12ASA又は内側段部12ASBで当接保持される。この結果、ディスクトレイ12が開状態にあるときは、ユーザが光ディスクを粗雑に載置したときでも常に同じ位置決め状態で保持させることができ、ターンテーブル14に対する位置決め精度を格段と向上させることができる。
さらに光ディスクが載置されたディスクトレイ12が開状態にあれば、そのトレイ本体部12Aに形成された左右一対の切欠き部12ALA、12ALBに相当する部位で光ディスクが露出するため、ユーザはその部位で光ディスクを把持するだけでそのまま取り出すことができる。この結果、従来のように光ディスクを収納する空間をユーザの指を入れる分まで考慮して拡げる必要がなくて済み、ディスクトレイ12のトレイ本体部12Aのサイズをユーザの指を入れなくて済む分だけ小型化することができる。
(4)光ディスク再生部10の詳細構造
本実施の形態における光ディスク再生部10では、図6及び図7に示すように、ディスク蓋部3の開閉動作に部分的にディスクトレイ12を連動させるようにしてトレイ収納部13を被覆し又は開放し得るようになされている。
この光ディスク再生部10では、シャーシ11の後端側に、ディスク蓋部3の一対の蓋回動支持部3AX、3AYと対応する位置関係を保つように一対の支持部材11A、11B(図7のみ示す)が形成されており、当該各支持部材11A、11Bの側面にはそれぞれ固定軸11AX、11BYが外方に突出して形成されている。
ディスク蓋部3は、一対の蓋回動支持部3AX、3AYに形成された各軸穴3AXH、3AYHにそれぞれ支持部材11A、11Bに形成された固定軸11AX、11BXを嵌め込むようにして、当該各固定軸11AX、11BXを回動中心として矢印a方向又はこれと逆方向に回動自在に支持されている。
またシャーシ11の後端側には、ディスク蓋部3の回動時における一対の蓋回動支持部3AX、3AYの通路となる所定部位にそれぞれ一対の係止部材11C、11Dが形成されており、当該各蓋回動支持部3AX、3AYに形成された一対のサブストッパ3AXS、3AYSと係合し得るようになされている。
さらにシャーシ11の後端側には、ディスク蓋部3の回動時における一対の蓋回動支持部3AX、3AYの通路となる所定部位に、一方には所定量のトルクが常時かけられている歯車(以下、これを第1のトルク歯車と呼ぶ)30を有する蓋用トルク発生部(図示せず)が設けられ、当該第1のトルク歯車30が一方の蓋回動支持部3AXに形成された開閉用歯車3AXGと係合し得るようになされており、他方には係止部材11Dが形成され、他方の蓋回動支持部3AYに形成されたメインストッパ3AYMと係合し得るようになされている。
その際、ディスク蓋部3が設置面を基準として45度の角度で傾斜されたトレイ収納部13に対して80度の角度(設置面を基準として125度)で傾斜するように、シャーシ11の各係止部材11C、11Dとディスク蓋部3の各サブストッパ3AXS、3AYS及びメインストッパ3AYMとの位置関係が予め設定されている。
さらにシャーシ11の後端側における一方の支持部材11Bには、固定軸11AXと反対方向に所定形状の保持部材11BA(図7にのみ示す)が突出して形成されており、当該保持部材11BAに巻着されたトーションばね31の一端はシャーシ11自体に固定されると共に、他端はディスク蓋部3の裏面側に固定されている。これによりディスク蓋部3の開閉動作に伴い、トーションばね31に付勢力に応じた張力がディスク蓋部3に伝えられる。
また光ディスク再生部10では、シャーシ11の後端側に形成された一対の支持部材11C、11Dの間に、ディスクトレイ12の一対のトレイ回動支持部12AX、12AYと対応する位置関係を保つように一対の支持部材11E、11Fが形成されており、当該各支持部材11E、11Fの側面にはそれぞれ固定軸11EX、11FX(図6にのみ示す)が外方に突出して形成されている。
ディスクトレイ12は、一対のトレイ回動支持部12AX、12AYに形成された各軸穴12AXH、12AYHにそれぞれ支持部材11E、11Fに形成された固定軸11EX、11FXを嵌め込むようにして、当該各固定軸11EX、11FXを回動中心として矢印b方向又はこれと逆方向に回動自在に支持されている。
またシャーシ11の後端側には、ディスクトレイ12の回動時における一対のトレイ回動支持部12AX、12AYの通路となる所定部位にそれぞれ一対の係止部材11G、11Hが形成されており、当該各トレイ回動支持部12AX、12AYに形成された一対のストッパ12AXS、12AYSと係合し得るようになされている。
さらにシャーシ11の後端側には、ディスクトレイ12の回動時における一対のトレイ回動支持部12AX、12AYの通路となる所定部位に、一方には所定量のトルクが常時かけられている歯車(以下、これを第2のトルク歯車と呼ぶ)32を有するトレイ用トルク発生部(図示せず)が設けられ、当該第2のトルク歯車32が一方のトレイ回動支持部12AXに形成されたラック12AXRと係合し得るようになされている。
その際、ディスクトレイ12が設置面を基準として45度の角度で傾斜されたトレイ収納部13に対して25度の角度(設置面を基準として70度)で傾斜するように、シャーシ11の各係止部材11G、11Hとディスクトレイ12の各ストッパ12AXS、12AYSとの位置関係が予め設定されている。
さらにシャーシ11の後端側の中央には、所定形状の保持部材11Kが下側方向に突出して形成されており、当該保持部材11Kに巻着されたトーションばね33の一端はシャーシ11自体に固定されると共に、他端はディスクトレイ12の一方のトレイ回動支持部12AYに形成された切欠き溝12AYLに固定されている。これによりディスクトレイ12の開閉動作に伴い、トーションばね33に付勢力に応じた張力がディスクトレイ12に伝えられる。
このように光ディスク再生部10では、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12は、それぞれトーションばね31、33の付勢力に基づいて常にトレイ収納部13に対して離反する方向に付勢された状態にあり、ディスク蓋部3のロック爪LNとトレイ収納部13のロックレバーLLとが掛合状態にあるときには、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12は共に閉状態となる一方、当該掛合が解除状態にあるときには、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12は共に開状態となる。
(5)光ディスク再生部10の動作遷移
(5−1)光ディスクの装填時における動作遷移
実際に光ディスク再生装置1における光ディスク再生部10では、図8に示すように、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12が開状態にあるときに光ディスクを装填する場合には、まずユーザはディスクトレイ12の表面に所望の光ディスクをそのサイズに応じた段部12ASA、12ASBに合うように載置した後、ディスク蓋部3の表面を手で押下させる。
やがてディスク蓋部3は、固定軸11AXを中心として矢印a方向と逆方向に回転移動しながら先端のボスBS(図2)がディスクトレイ12の先端上部と当接する(図9(A))。そのときディスクトレイ12に載置されている光ディスクは、ディスク蓋部3の裏面に設けられたチャッキングプレート18の当接面18ASに当接される。
さらにユーザがディスク蓋部3を押下すると、当該ディスク蓋部3及びディスクトレイ12が一体となって固定軸11AX、11EXを中心としてそれぞれ矢印a、b方向と逆方向に回転移動しながら、トレイ収納部13に接触されると、ロック爪LNがロックレバーLLに掛合されることにより、ディスク蓋部3がディスクトレイ12を介してトレイ収納部13に対して閉状態となる(図9(B))。
このときディスクトレイ12のトレイ本体部12Aに形成された開口部OPからは、トレイ収納部13に設けられたターンテーブル14及び光ピックアップ15等が露出することにより、光ディスクはその中心穴がターンテーブル14の突起部14Aに嵌り込みながら円盤部14B上に載置される。
さらに光ディスクは、チャッキングプレート18の当接面18ASとも当接されることから、チャッキングプレート18に内蔵された環状磁石25がターンテーブル14の金属材でなる円盤部14Bと磁力により引き合って、光ディスクを強固に挟持される。かくして光ディスクは、チャッキングプレート18及びターンテーブル14間でこれらと一体となって回転することができる。
(5−2)光ディスクの取出し時における動作遷移
次に光ディスク再生装置1における光ディスク再生部10では、図10(A)に示すように、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12が閉状態にあるときに光ディスクを取り出す場合、まずユーザがオープンボタン7(図1(B))を押圧操作する。
このとき光ディスク再生部10は、再生時以外の停止時には、直ちにプランジャ19(図2)を駆動させてロックレバーLLとロック爪LNとの掛合を解除する一方、再生時には、ターンテーブル14の回転停止を開始させてから所定時間経過後にプランジャ19を駆動させてロックレバーLLの掛合を解除させる。この結果、再生時のような光ディスクの回転中にディスク蓋部3が開状態となって当該光ディスクのスリや当該光ディスクが外部に飛び出すのを未然に防止することができる。
そしてディスク蓋部3及びディスクトレイ12が、それぞれトーションばね31、33(図6及び図7)の付勢力によって各固定軸11AX、11BX、11EX、11FXを中心として矢印a、b方向と逆方向に回転移動するにつれて、当該ディスク蓋部3の裏面に可動自在に保持されているチャッキングプレート18が途中から一体となって引き上げられることにより、当該チャッキングプレート18に内蔵された環状磁石25の磁力によってターンテーブル14も持ち上げられる(図10(B))。
このターンテーブル14を含む光学系ブロック16は、弾性材でなる複数の防振ダンパ17A〜17Dを介してシャーシ11に対して所定の弾性力を持つように支持されているため、ターンテーブル14がチャッキングプレート18によって引き上げられながら、複数の防振ダンパ17A〜17Dが縮みきった状態である弾性力限界に達すると、ターンテーブル14がチャッキングプレート18から引き離される(図11(A))。
そのときターンテーブル14を含む光学系ブロック16には複数の防振ダンパ17A〜17Dによる弾性力に応じた反動力が与えられるが、光ディスクはディスクトレイ12上に載置されたままチャッキングプレート18の当接面18ASに当接された状態で保持されているため、ターンテーブル14が光ディスクから離れるだけであって、当該光ディスクがかかる反動力の影響を受けることは回避される(図11(B))。
この状態でディスク蓋部3及びディスクトレイ12が一体となって固定軸11AX、11BX、11EX、11FXを中心として矢印a、b方向と逆方向に回転移動しながら、ディスクトレイ12が開状態となって回転移動を停止した後、さらにディスク蓋部3のみがそのまま開状態となるまで回転移動する。この結果、ディスクトレイ12上に載置された光ディスクが外部に露出した状態になり、ユーザは光ディスクを取り出すことが可能となる。
(6)本実施の形態による動作及び効果
以上の構成において、設置面に対して光ディスク再生部10が所定角度傾斜された光ディスク再生装置1では、この光ディスク再生部10のディスク蓋部3及びディスクトレイ12が閉状態にあるときに光ディスクを取り出す場合、ユーザの操作に応じてロック機構を解除させた後、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12をそれぞれトーションばねの付勢力によって開方向に向かって回転移動させる。
このディスク蓋部3の回転移動に伴って、その裏面に可動自在に保持されているチャッキングプレート18も一体となって引き上げられることから、当該チャッキングプレート18及びターンテーブル14間で引き合う磁力によって当該ターンテーブル14が光学系ブロック16ごと若干持ち上げられるが、やがて複数の防振ダンパ17A〜17Dの弾性力限界に達するとその弾性力に応じた反動力が光学系ブロック16に与えられることにより、その反動力によってターンテーブル14がチャッキングプレート18から引き離される。
このときディスクトレイ12上に載置された光ディスクは、チャッキングプレート18の当接面に当接された状態にあるため、ターンテーブル14が反動力で離れる際の影響を受けずに済み、そのままディスク蓋部3及びディスクトレイ12がそれぞれ開方向に向かって回転移動しながら、ディスクトレイ12が開状態となって回転移動を停止した後、さらにディスク蓋部3のみがそのまま開状態となるまで回転移動する。
この結果、ディスクトレイ12上に載置された光ディスクは、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12が閉状態から開状態へ回転移動する際に外部に飛び出したり、これに伴って擦れたりすることなく、安定した状態でディスクトレイ12上に保持させることができる。
以上の構成によれば、設置面に対して所定角度傾斜させた光ディスク再生部10を搭載した光ディスク再生装置1において、当該光ディスク再生部10のうちディスク蓋部3のみならずディスクトレイ12をもヒンジ式の回転機構をもたせておき、ディスク蓋部3及びディスクトレイ12が閉状態から開状態へ回転移動する際に、チャッキングプレート18がターンテーブル14から離れるときにディスクトレイ12上に載置された光ディスクをチャッキングプレート18に当接させるようにして、複数の防振ダンパ17A〜17Dによる弾性限界に応じた反動力をディスクトレイ12上に載置された光ディスクに影響を与えるのを回避するようにしたことにより、当該光ディスクがディスクトレイ12上から外部に飛び出したり、これに伴って擦れたりするのを有効に防止することができ、かくして安定した状態で光ディスクの装脱を行うことができる光ディスク再生装置1を実現できる。
(7)他の実施の形態
なお上述の本実施の形態においては、設置面に対して所定角度傾斜させた光学系ブロック(再生手段)16を用いて光ディスク(ディスク状記録媒体)を再生するディスク再生装置として、図1に示すような外観構成を有するものを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、装置全体として奥行きを狭めて設置面積を小さくすべく種々の光学系ブロック16が設置面に対して傾斜したものであれば、この他種々の構成のディスク再生装置に広く適用することができる。
またディスク状記録媒体として、CD(Compact Disk)でなる光ディスクを適用した場合について述べたが、これ以外にも光磁気ディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)など種々のディスク状記録媒体に適用することができる。
さらに上述の本実施の形態においては、光学系ブロック16(再生手段)に対して離反する第1の方向(矢印a、b方向)又は近接する第2の方向(矢印a、b方向と逆方向)に回転自在に軸支され、光ディスク(ディスク状記録媒体)を収納保持するためのトレイ手段として、図5(A)及び(B)に示す構成のものを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるトレイ手段に広く適用することができる。
さらに上述の本実施の形態においては、光学系ブロック16(再生手段)が露出して設けられ、ディスクトレイ(トレイ手段)12を着脱自在に収納するためのトレイ収納手段として、図2に示すように、光ディスク再生部10のうちのトレイ収納部13を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるトレイ収納手段に広く適用することができる。
さらに上述の本実施の形態においては、第1又は第2の方向(矢印a、b方向又はこれと逆方向)に回転自在に軸支され、ディスクトレイ12(トレイ手段)を介してトレイ収納部(トレイ収納手段)13を開放し又は被覆するためのディスク蓋手段として、図4(A)及び(B)に示す構成のディスク蓋部3を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるディスク蓋手段に広く適用することができる。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスク蓋部(ディスク蓋手段)3におけるディスクトレイ(トレイ手段)12の対向面に可動自在に取り付けられ、光ディスク(ディスク状記録媒体)が装着された光学系ブロック(再生手段)16との間で磁力により当該光ディスク(ディスク状記録媒体)を挟持するディスク挟持手段として、図4(A)及び(B)に示す構成のチャッキングプレート18を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるディスク挟持手段に広く適用することができる。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスクトレイ(トレイ手段)12及びディスク蓋部(ディスク蓋手段)3にそれぞれ第1の方向(矢印a、b方向)に付勢力を与える第1及び第2の付勢手段として、図6及び図7に示すようなトーションばね31、33を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ所定量の付勢力を第1の方向(矢印a、b方向)に与えることができれば、トーションばね以外のコイルばね等でなる種々の付勢手段を広く適用するようにしても良い。
さらに上述の本実施の形態においては、光学系ブロック(再生手段)16をトレイ収納部(トレイ収納手段)13に対して所定の弾性力を持たせて支持する弾性支持手段として、図7、図8〜図11に示すような、弾性材でなる複数の防振ダンパ17A〜17Dを適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、光学系ブロック(再生手段)16に外部振動又は自己振動が伝達するのを極力回避することができるものであれば、この他種々の構成でなる弾性支持手段を広く適用するようにしても良い。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスクトレイ(トレイ手段)12は、トーションばね(第2の付勢手段)33により光学系ブロック(再生手段)16に対して離反する第1の方向(矢印b方向)に付勢されたとき、設置面に対して所定角度(70度)傾斜した状態で固定されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、ディスクトレイ12が開状態にあるときは、ユーザが光ディスクを粗雑に載置したときでも常に同じ位置決め状態で保持させることができれば、設置面に対するディスクトレイ(トレイ手段)12の傾斜角度は70度以下でも以上でも自由に設定するようにしても良い。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスクトレイ(トレイ手段)12は、光ディスク(ディスク状記録媒体)を収納保持する部位の一部に、所定形状の切欠き12ALA、12ALBが形成されてなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、当該切欠きに相当する部位で光ディスクを露出させるようにして、従来のように光ディスクを収納する空間をユーザの指を入れる分まで考慮して拡げる必要がなくて済むことができれば、切欠きの形状や数は自由に設定するようにしても良い。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスク蓋部(ディスク蓋手段)3は、第1又は第2の方向(矢印a、b方向又は逆方向)の各軸穴(軸支位置)3AXH、3AYH、12AXH、12AYHからチャッキングプレート18(ディスク挟持手段)の取り付け位置までの間に、所定形状の湾曲部分3AXK、3AYKを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、各軸穴を回転中心として回転させる際に、当該各軸穴に対して蓋本体部3Aの距離を十分に確保するようにして、チャッキングプレート18の当接面18ASを光ディスクに対してより一層平行に当接させることができれば、湾曲部分の形状はくびれ形状以外にも種々の形状に設定するようにしても良い。
さらに上述の本実施の形態においては、ディスク蓋部(ディスク蓋手段)3がディスクトレイ(トレイ手段)12を介してトレイ収納部(トレイ収納手段)13を被覆した状態にあるとき、ディスク蓋部(ディスク蓋手段)3及びトレイ収納部(トレイ収納手段)13間を掛合する掛合手段として、図2に示すようなロックレバーLL及びロック爪LN(掛合手段)を適用し、外部操作に応じて光学系ブロック(再生手段)16による再生状態を判断し、当該判断結果に基づいてロックレバーLL及びロック爪LN(掛合手段)による掛合を所定タイミングで解除させる制御手段を、図3に示すような制御部20、プランジャドライバ21及びプランジャ19から構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、光ディスクが回転中にディスク蓋部3が開状態となって当該光ディスクが外部に飛び出すのを未然に防止することができれば、ロックレバーLL及びロック爪LN(掛合手段)の掛合を解除する機構は種々の制御方法により行うようにしても良い。
1……光ディスク再生装置、2……キャビネット、3……ディスク蓋部、7……オープンボタン、10……光ディスク再生部、11……シャーシ、12……ディスクトレイ、13……トレイ収納部、14……ターンテーブル、15……光ピックアップ、16……光学ブロック、17A〜17D……防振ダンパ、18……チャッキングプレート、19……プランジャ、20……制御部、25……環状磁石、30、32……第1及び第2のトルク歯車、31、33……トーションばね、LN……ロック爪、LL……ロックレバー。