本発明は、生活用水、工業用水、自然水、科学的溶液等のあらゆる水分を対象として、その酸化還元電位を便利で正確に測定する酸化還元電位計に関する。
昨今、白金(Pt)又は金(Au)などの貴金属からなる作用電極と、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)などからなりゲル状又は液状である内部液に銀(Ag)及び塩化銀(AgCl)からなる金属部が浸水して成る参照電極とを被験液に浸け、その際、酸化還元反応によって発生する作用電極と参照電極の間の電圧を測定する酸化還元電位計が提供され又は開示されている。
かかる酸化還元電位計は、作用電極と参照電極の間の電圧、すなわち、作用電極に発生する電位と参照電極に発生する電位との差をそのまま保ちつつ、増幅やA/D変換等の過程を経て、酸化還元電位値として示すものである(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
特開平11−64275号公報
特開平11−9566号公報
しかしながら、かかる酸化還元電位計は、金属による電極と被験液との反応の不安定さに拠るところから、電極に発生する電位のある物質濃度の非直線性及び繰り返し性に劣り、かつ、測定時間を要するといった問題があった。
そこで、本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的とするもので、測定精度の向上、測定時間の短縮化等の利便性を高めた酸化還元電位計を提供することを目的とする。
本発明の酸化還元電位計は、液に浸けた際に酸化還元反応の程度を示す電位が発生する作用電極と、前記液に浸けた際に基準となる電位が発生する参照電極と、前記液に浸けた際における前記作用電極と前記参照電極との間に生ずるインピーダンスを低減するインピーダンス低減回路と、前記インピーダンス低減回路によりインピーダンスを低減する際における前記作用電極により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と前記参照電極により発生する基準となる電位との差である電極間電圧に基づいて酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記酸化還元電位測定手段は、前記作用電極と前記参照電極との間に前記インピーダンス低減回路を非接続状態及び接続状態へと切替える低減回路切替手段と、前記低減回路切替手段により前記インピーダンス低減回路を非接続状態及び接続状態へと切替えた際における前記作用電極により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と前記参照電極により発生する基準となる電位との差である電極間電圧を測定する電極間電圧測定手段と、前記電極間電圧測定手段により測定した非接続状態及び接続状態における電極間電圧に基づいて対比係数を演算する対比係数演算部と、前記対比係数演算部により演算した対比係数を記憶する対比係数記憶部と、前記低減回路切替手段により前記インピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際に前記電極間電圧測定手段により測定した接続状態における電極間電圧と、前記対比係数記憶部に記憶した対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する酸化還元電位演算部と、から成ることを特徴とする。
また、前記液の導電率を測定する導電率測定手段と、前記電極間電圧測定手段による電極間電圧の測定と前記導電率測定手段による導電率の測定とを切替える導電率測定切替手段を更に備え、前記対比係数記憶部は、前記導電率測定切替手段による電極間電圧の測定と導電率の測定との切替えに基づいて前記対比係数演算部により演算した導電率の異なる各液に対する各対比係数を記憶し、前記酸化還元電位演算部は、前記低減回路切替手段により前記インピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際に前記電極間電圧測定手段により測定した接続状態における電極間電圧と、前記対比係数記憶部に記憶した導電率の異なる各液に対する各対比係数のうちから前記導電率測定手段により測定された液の導電率に対応する対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する、ことを特徴とする。
また、前記酸化還元電位測定手段により酸化還元電位を測定する段階前に、前記作用電極と前記参照電極とが前記液に浸かっていることを測定する水没測定手段を更に備え、 前記低減回路切替手段は、前記水没測定手段による測定の間、前記インピーダンス低減回路を非接続状態へと切替えている、ことを特徴とする。
前記作用電極は、面積の異なる複数の作用電極から成り、前記面積の異なる複数の作用電極のうちのいずれかの作用電極に前記電極間電圧測定手段との接続を切替える作用電極切替手段を更に備え、前記インピーダンス低減回路は、前記面積の異なる複数の各々の作用電極と前記参照電極との間に生ずるインピーダンスを低減するものであり、前記低減回路切替手段は、前記面積の異なる複数の各々の作用電極と前記参照電極との間に前記インピーダンス低減回路を非接続状態及び接続状態へと切替え、前記電極間電圧測定手段は、前記低減回路切替手段により前記インピーダンス低減回路を非接続状態及び接続状態へと切替えた際における前記面積の異なる複数の各々の作用電極により発生する各酸化還元反応の程度を表す電位と前記参照電極により発生する基準となる電位との差である各電極間電圧を測定し、前記対比係数演算部は、前記電極間電圧測定手段により測定した非接続状態及び接続状態における各電極間電圧に基づいて各対比係数を演算し、前記対比係数記憶部は、前記対比係数演算部により演算した各対比係数を記憶し、前記酸化還元電位演算部は、前記低減回路切替手段により前記面積の異なる複数の各々の作用電極のうちの面積の小さなものから順に前記インピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際に、前記電極間電圧測定手段により測定した接続状態における各電極間電圧と、前記対比係数記憶部に記憶した各対比係数のうちの対応する対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する、ことを特徴とする。
また、前記インピーダンス低減回路は、前記作用電極と前記参照電極との間を低減抵抗だけで接続するものであることを特徴とする。
また、前記インピーダンス低減回路は、電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路に接続するボルテージ・フォロワと、前記ボルテージ・フォロワと前記作用電極との間に接続する出力抵抗とから成ることを特徴とする。
また、前記インピーダンス低減回路は、前記作用電極と前記参照電極との間に生ずるインピーダンスを段階的に低減するものであり、前記低減回路切替手段は、前記インピーダンス低減回路を接続状態へと段階的に切替え、前記電極間電圧測定手段は、前記インピーダンス低減回路を接続状態へと段階的に切替えた際における各段階の電極間電圧を測定し、前記対比係数演算部は、前記電極間電圧測定手段により測定した接続状態における各段階の電極間電圧に基づいて各段階の対比係数を演算し、前記対比係数記憶部は、前記対比係数演算部により演算した各段階の対比係数を記憶し、前記酸化還元電位演算部は、前記低減回路切替手段により前記インピーダンス低減回路を接続状態へと各段階のうちの一段階に切替えた際に前記電極間電圧測定手段により測定した接続状態における電極間電圧と、前記対比係数記憶部に記憶した各段階の対比係数のうちの対応する段階の対比係数とに基づいて酸化還元電位値を演算する、ことを特徴とする。
また、前記インピーダンス低減回路は、前記作用電極と前記参照電極との間を複数かつ並列に低減抵抗だけで接続するものであることを特徴とする。
また、前記インピーダンス低減回路は、段階的な電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路に接続するボルテージ・フォロワと、前記ボルテージ・フォロワと前記作用電極との間に接続する出力抵抗とから成ることを特徴とする。
本発明の酸化還元電位計は、作用電極と参照電極とを基準液に浸け、インピーダンス低減回路によりインピーダンスを低減する際における電極間電圧に基づいて酸化還元電位を酸化還元電位測定手段により測定する。また、更に具体的には、作用電極と参照電極とを基準液に浸け、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における電極間電圧と接続状態の際における電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した電極間電圧に基づいて対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、作用電極と参照電極とを被験液に浸け、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に接続状態の際における電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における電極間電圧と対比係数記憶部に記憶している対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算する。これにより、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間を接続状態の際、電極間には電流が流れ、電極が安定した反応をすることから、非直線性、繰り返し性が向上し、測定時間が短縮するといった利点を有するものとなる。
また、本発明の酸化還元電位計は、更に、導電率が異なる複数の基準液についての導電率を導電率測定手段で測定し、導電率が異なる複数の基準液の各々についての対比係数を対比係数記憶部に記憶しておき、その後、被験液についての導電率を導電率測定手段により測定し、その被験液の導電率に応じた対比係数記憶部に記憶している対比係数を用いて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算する。これにより、被験液の導電率に応じた酸化還元電位を得ることができることから、より正確であるといった利点を有するものとなる。
また、本発明の酸化還元電位計は、更に、酸化還元電位測定手段により酸化還元電位を測定する段階前に、作用電極と参照電極とが液に浸かっていることを水没測定手段により測定し、液に浸かっていることを測定している間は、インピーダンス低減回路を非接続状態へと切替えている。これにより、酸化還元電位を測定する段階前に、作用電極と参照電極とが液に浸かっている間はインピーダンス低減回路が非接続状態であるため、電極間に電流が流れず、電極は化学反応を起こさないことから、電極の寿命が高まるといった利点を有するものとなる。
また、本発明の酸化還元電位計は、更に、各々の作用電極と参照電極とを基準液に浸け、インピーダンス低減回路が各々の作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における各電極間電圧と接続状態の際における各電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した各電極間電圧に基づいて各対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、各々の作用電極と参照電極とを被験液に浸け、インピーダンス低減回路が各々の作用電極と参照電極との間に、面積の小さな作用電極から順に接続状態した際における各電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における各電極間電圧と対比係数記憶部に記憶した各対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算する。ここで、作用電極表面の電気二重層の充放電により面積の大きい場合は安定するが反応が遅い。これにより、面積の大きな作用電極面積よりも反応スピードの速い小さな作用電極から順に測定することから、測定時間が更に短縮するといった利点を有するものとなる。
また、本発明の酸化還元電位計は、更に、作用電極と参照電極とを基準液に浸け、段階的に低減するインピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における各段階の電極間電圧と接続状態の際における各段階の電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した各段階の電極間電圧に基づいて各段階の対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、作用電極と参照電極とを被験液に浸け、段階的に低減するインピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に接続状態の際における各段階の電極間電圧を電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における各段階の電極間電圧と対比係数記憶部に記憶している各段階の対比係数のうちの対応する段階の対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算する。これにより、インピーダンス低減回路の段階的な低減に応じて酸化還元反応を及ぼす濃度の範囲も段階的に広がることから、測定範囲が広いといった利点を有するものとなる。
本発明の酸化還元電位計は、作用電極、参照電極、インピーダンス低減回路及び酸化還元電位測定手段から構成する。
作用電極は、液(基準液、被験液)に浸けた際に、酸化還元反応の程度を示す電位が発生する。参照電極は、液に浸けた際に、基準となる電位が発生する。
インピーダンス低減回路は、液に浸けた際における作用電極と参照電極との間に生ずるインピーダンスを低減する。
酸化還元電位測定手段は、低減回路切替手段、電極間電圧測定手段、対比係数演算部、対比係数記憶部及び酸化還元電位演算部から成り、インピーダンス低減回路によりインピーダンスを低減する際における作用電極により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極により発生する基準となる電位との差である電極間電圧に基づいて酸化還元電位を測定する。
より具体的には、低減回路切替手段は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路を、非接続状態や接続状態に切替える。
電極間電圧測定手段は、低減回路切替手段によりインピーダンス低減回路を、非接続状態に切替えた際における作用電極により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極により発生する基準となる電位との差である電極間電圧を測定したり、接続状態に切替えた際における作用電極により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極により発生する基準となる電位との差である電極間電圧を測定したりする。
対比係数演算部は、電極間電圧測定手段により測定した非接続状態における電極間電圧と接続状態における電極間電圧とに基づいて対比係数を演算する。対比係数記憶部は、対比係数演算部により演算した対比係数を記憶する。
酸化還元電位演算部は、低減回路切替手段によりインピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際に、電極間電圧測定手段により測定した接続状態における電極間電圧と対比係数記憶部に記憶した対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する。
このように構成した酸化還元電位計は、作用電極と参照電極とを基準液に浸け、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における電極間電圧と接続状態の際における電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した電極間電圧に基づいて対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、作用電極と参照電極とを被験液に浸け、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に接続状態の際における電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における電極間電圧と対比係数記憶部に記憶している対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算することができる。これによると、インピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間を接続状態の際、電極間には電流が流れ、電極が安定した反応をする。したがって、本発明の酸化還元電位計は、非直線性、繰り返し性が向上し、測定時間が短縮するといった利点を有するものとなる。
ここで、非直線性が向上する点についてを、図25のグラフを用いて簡単に説明する。図25(a)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路を非接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、残留塩素の酸化還元反応を及ぼす濃度を横軸とし、測定したときの結果を示す。図25(b)、(c)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路((b)の場合と(c)の場合とでは負荷定数が異なる)を接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、残留塩素の酸化還元反応を及ぼす濃度を横軸とし、測定したときの結果を示す。これら図に示されるように、非直線性は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路が接続状態となり、インピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)の大きさに従って変わることから向上する。
また、繰り返し性が向上する点についてを、図26のグラフを用いて簡単に説明する。図26(a)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路を非接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、残留塩素の酸化還元反応を及ぼす濃度を横軸とし、複数回繰り返して測定したときの結果を示す。図26(b)、(c)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路((b)の場合と(c)の場合とでは負荷定数が異なる)を接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、残留塩素の酸化還元反応を及ぼす濃度を横軸とし、複数回繰り返して測定したときの結果を示す。これら図に示されるように、繰り返し性は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路が接続状態となり、インピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)の大きさに従って変わることから向上する。
更に、測定時間が短縮する点についてを、図27のグラフを用いて簡単に説明する。図27(a)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路を非接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、測定時間を横軸とし、測定したときの結果を示す。図27(b)、(c)は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路((b)の場合と(c)の場合とでは負荷定数が異なる)を接続状態とした際の電極間電圧を縦軸、測定時間を横軸とし、測定したときの結果を示す。これら図に示されるように、測定時間は、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路が接続状態となり、インピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)の大きさに従って変わることから短縮する。
なお、後述する実施例1において、このように構成した酸化還元電位計についての具体的な説明をする。
また、本発明の酸化還元電位計は、液の導電率を測定する導電率測定手段、及びこの導電率測定手段による導電率の測定と上述の電極間電圧測定手段による電極間電圧の測定とを切替える導電率測定切替手段を更に備え、上述の対比係数記憶部が、この導電率測定切替手段による電極間電圧の測定と導電率の測定との切替えに基づいて上述の対比係数演算部により演算した導電率の異なる各液に対する各対比係数を記憶し、上述の酸化還元電位演算部が、上述の低減回路切替手段により上述のインピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際に上述の電極間電圧測定手段により測定した接続状態における各電極間電圧と上述の対比係数記憶部に記憶した導電率の異なる各液に対する各対比係数のうちから上述の導電率測定手段により測定された液の導電率に対応する対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算するといったものとしてもよい。
このように構成した酸化還元電位計は、導電率が異なる複数の基準液についての導電率を導電率測定手段で測定し、導電率が異なる複数の基準液の各々についての対比係数を対比係数記憶部に記憶しておき、その後、被験液についての導電率を導電率測定手段により測定し、その被験液の導電率に応じた対比係数記憶部に記憶している対比係数を用いて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算することができる。これによると、被験液の導電率に応じた酸化還元電位を得ることができる。したがって、本発明の酸化還元電位計は、より正確であるといった利点を有するものとなる。
ここで、正確となる点についてを、図29のグラフを用いて簡単に説明する。図29は、電極間電圧を縦軸、インピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)を横軸とし、測定したときの結果を示す。この図に示されるように、液の導電率により電極間電圧のばらつきが異なるが、このばらつきは、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路が接続状態となり、インピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)の大きさに従って変わることから正確なものとなる。
なお、後述する実施例4において、このように構成した酸化還元電位計についての具体的な説明をする。
また、本発明の酸化還元電位計は、上述の酸化還元電位測定手段により酸化還元電位を測定する段階前に、上述の作用電極と上述の参照電極とが液に浸かっていることを測定する水没測定手段を更に備え、上述の低減回路切替手段が、この水没測定手段による測定の間、上述のインピーダンス低減回路を非接続状態へと切替えているといったものとしてもよい。
このように構成した酸化還元電位計は、上述の酸化還元電位測定手段により酸化還元電位を測定する段階前に、作用電極と参照電極とが液に浸かっていることを水没測定手段により測定し、液に浸かっていることを測定している間は、上述のインピーダンス低減回路を非接続状態へと切替えていることができる。これによると、酸化還元電位を測定する段階前に、作用電極と参照電極とが液に浸かっている間はインピーダンス低減回路が非接続状態であるため、電極間に電流が流れず、電極は化学反応を起こさない。したがって、本発明の酸化還元電位計は、電極の寿命が高まるといった利点を有するものとなる。
ここで、電極の寿命が高まる点についてを、図30のグラフを用いて簡単に説明する。図30は、電極間電圧を縦軸、水没経過時間を横軸とし、測定したときの結果を示す。この図に示されるように、作用電極と参照電極との間にインピーダンス低減回路が接続状態である場合には、水没経過時間に従って電極の反応による劣化が起こり電極間電圧が変化することから、酸化還元電位を測定する段階前について、非接続状態に常にすることで、電極の寿命が高まる。
なお、後述する実施例5において、このように構成した酸化還元電位計についての具体的な説明をする。
また、本発明の酸化還元電位計は、上述の作用電極が、面積の異なる複数の作用電極から成り、これら面積の異なる複数の作用電極のうちのいずれかの作用電極に前記電極間電圧測定手段との接続を切替える作用電極切替手段を更に備え、上述のインピーダンス低減回路が、これら面積の異なる複数の各々の作用電極と上述の参照電極との間に生ずるインピーダンスを低減するものであり、上述の低減回路切替手段が、これら面積の異なる複数の各々の作用電極と上述の参照電極との間に上述のインピーダンス低減回路を非接続状態や接続状態に切替え、上述の電極間電圧測定手段が、この低減回路切替手段によりこのインピーダンス低減回路を非接続状態や接続状態に切替えた際におけるこれら面積の異なる複数の各々の作用電極により発生する各酸化還元反応の程度を表す電位と上述の参照電極により発生する基準となる電位との差である各電極間電圧を測定し、上述の対比係数演算部が、この電極間電圧測定手段により測定した非接続状態における各電極間電圧と接続状態における各電極間電圧とに基づいて各対比係数を演算し、上述の対比係数記憶部が、この対比係数演算部により演算した各対比係数を記憶し、上述の酸化還元電位演算部が、この低減回路切替手段によりこれら面積の異なる複数の各々の作用電極のうちの面積の小さなものから順にこのインピーダンス低減回路を接続状態へと切替えた際にこの電極間電圧測定手段により測定した接続状態における各電極間電圧とこの対比係数記憶部に記憶した各対比係数のうちの対応する対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算するといったものとしてもよい。
このように構成した酸化還元電位計は、各々の作用電極と参照電極とを基準液に浸け、インピーダンス低減回路が各々の作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における各電極間電圧と接続状態の際における各電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した各電極間電圧に基づいて各対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、各々の作用電極と参照電極とを被験液に浸け、インピーダンス低減回路が各々の作用電極と参照電極との間に、面積の小さな作用電極から順に接続状態した際における各電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における各電極間電圧と対比係数記憶部に記憶した各対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算することができる。これによると、面積の大きな作用電極面積よりも反応スピードの速い小さな作用電極から順に測定する。したがって、本発明の酸化還元電位計は、測定時間が更に短縮するといった利点を有するものとなる。
ここで、測定時間が短縮する点についてを、図31のグラフを用いて簡単に説明する。図31は、電極間電圧を縦軸、反応時間を横軸とし、測定したときの結果を示す。この図に示されるように、面積の小さい電極の方が面積の大きい電極の方よりも、ほぼ一定となるまでの反応時間が速いため、測定の一部を面積の小さい電極の方で測定することにより、測定時間が短縮する。
なお、後述する実施例6及び実施例7において、このように構成した酸化還元電位計についての具体的な説明をする。
また、本発明の酸化還元電位計は、上述のインピーダンス低減回路が、上述の作用電極と上述の参照電極との間に生ずるインピーダンスを段階的に低減するものであり、上述の低減回路切替手段が、上述のインピーダンス低減回路を接続状態へと段階的に切替え、上述の電極間電圧測定手段が、このインピーダンス低減回路を接続状態へと段階的に切替えた際における各段階の電極間電圧を測定し、上述の対比係数演算部が、この電極間電圧測定手段により測定した接続状態における各段階の電極間電圧に基づいて各段階の対比係数を演算し、上述の対比係数記憶部が、この対比係数演算部により演算した各段階の対比係数を記憶し、上述の酸化還元電位演算部が、この低減回路切替手段によりこのインピーダンス低減回路を接続状態へと各段階のうちの一段階に切替えた際にこの電極間電圧測定手段により測定した接続状態における電極間電圧と、この対比係数記憶部に記憶した各段階の対比係数のうちの対応する段階の対比係数とに基づいて酸化還元電位値を演算するといったものとしてもよい。
このように構成した酸化還元電位計は、作用電極と参照電極とを基準液に浸け、段階的に低減するインピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に非接続状態の際における各段階の電極間電圧と接続状態の際における各段階の電極間電圧とを電極間電圧測定手段により測定し、これら測定した各段階の電極間電圧に基づいて各段階の対比係数を対比係数演算部により演算し、対比係数記憶部に記憶しておき、その後、作用電極と参照電極とを被験液に浸け、段階的に低減するインピーダンス低減回路が作用電極と参照電極との間に接続状態の際における各段階の電極間電圧を電極間電圧測定手段により測定し、この測定した接続状態における各段階の電極間電圧と対比係数記憶部に記憶している各段階の対比係数のうちの対応する段階の対比係数とに基づいて酸化還元電位を酸化還元電位演算部により演算することができる。これによると、インピーダンス低減回路の段階的な低減に応じて酸化還元反応を及ぼす濃度の範囲も段階的に広がる。したがって、本発明の酸化還元電位計は、測定範囲が広いといった利点を有するものとなる。
ここで、測定範囲が広がる点について、図28のグラフを用いて簡単に説明する。図28は、電極間電圧を縦軸、液の酸化還元反応を及ぼす濃度を横軸とし、測定した結果を示す。この図に示されるように、A/D変換最大電圧に対する液の酸化還元反応を及ぼす濃度が作用電極と参照電極との間に接続するインピーダンス低減回路の負荷定数(抵抗値)の大きさに従って広がるため、測定範囲が広くなる。
なお、後述する実施例2及び実施例3において、このように構成した酸化還元電位計についての具体的な説明をする。
以下、上述した各種の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、図1に示す外観図、図2に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例1としての酸化還元電位計は、正面に入力部4及び表示器5を有する本体1と、作用電極6兼参照電極7であるセンサー2と、本体1とセンサー2とを接続するケーブル3とを外見上に備え、増幅回路8、A/D変換器9、インピーダンス低減回路10、低減回路切替スイッチ11、EEPROM12及びマイクロコンピュータ13を配設する電子基板と、電源部14とを本体1の内部に備えることにより、全体を大略構成する。
入力部4は、ONキー4a、スタートキー4b、モードキー4c、+キー4d及び−キー4eから成り、電力供給・測定開始・切替等をするための入力をする。ONキー4aは、電源部14から電気系統各部に電力の供給を開始するためものである。スタートキー4bは、測定を開始するためのである。モードキー4cは、調整モードと測定モードとを切替えるためのものである。+キー4d、−キー4eは、表示器5に表示する項目や数値等を選択をするためのものである。
表示器5は、入力状況・測定結果・各種モード・電池残量等を表示する。
センサー2は、内側ガラス管(図1において透明にて示す。)2aの外側に間隙を設けて覆う外側ガラス管(図1において透明にて示す。)2bを形成し、内側ガラス管2aの外側から外側ガラス管2bの外側にかけて白金(Pt)2cを配設し、内側ガラス管2aの内部に、銀(Ag)に塩化銀(AgCl)を被覆した内部電極2dを設けるとともに液状又はゲル状の塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)を充填し、内側ガラス管2aの内部から内側ガラス管2aかつ外側ガラス管2bの外側にかけて液絡部2eを配設し、白金(Pt)2cと内部電極2dとには電子基板につながる導線2f、2gが接続する。
なお、白金(Pt)2c部分が作用電極6に該当し、内側ガラス管2a、内部電極2d、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)、液絡部2eにかけての部分が参照電極7に該当する。
電源部14は、電気系統各部に電力を供給する。
増幅回路8は、測定した作用電極6により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極7により発生する基準となる電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅する。A/D変換器9は、この増幅された電極間電圧をデジタル信号に変換する。
インピーダンス低減回路10は、作用電極6と参照電極7との間に低減回路切替スイッチ11により非接続状態及び接続状態となり得るように配設する抵抗(R11)から成り、液に浸けた際における作用電極6と参照電極7との間に生ずるインピーダンスを低減する。
低減回路切替スイッチ11は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路10を非接続状態及び接続状態へと切替える。
EEPROM12は、対比係数記憶部12aを兼有し、各種データを記憶する。対比係数記憶部12aは、後述する対比係数演算部13aにより演算した対比係数を記憶する。
マイクロコンピュータ13は、対比係数演算部13aと酸化還元電位演算部13bとを兼有し、各種データ等について演算し、また、低減回路切替スイッチ11の切替え、各種データの判定等について制御する。
対比係数演算部13aは、インピーダンス低減回路10が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(基準液電圧)と、インピーダンス低減回路10が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(基準液電圧)とに基づいて対比係数を演算する。より具体的には、次の演算式(1)に示すように、インピーダンス低減回路10が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧Vr0をインピーダンス低減回路10が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧Vr1で除すことによって、対比係数k1を演算する。
k1=Vr0/Vr1 ・・・ (1)
酸化還元電位演算部13bは、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路10を接続状態へと切替えた際に、インピーダンス低減回路10が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧と、対比係数記憶部12aに記憶した対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する。より具体的には、次の演算式(2)に示すように、インピーダンス低減回路10が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧Vs1に対比係数記憶部12aに記憶した対比係数k1を乗じることによって、インピーダンス低減回路10が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算する。
Vs0=k1×Vs1 ・・・ (2)
なお、低減回路切替スイッチ11及びマイクロコンピュータ13にて低減回路切替手段を構成する。また、増幅回路8、A/D変換器9及びマイクロコンピュータ13にて電極間電圧測定手段を構成する。また、低減回路切替手段、電極間電圧測定手段、対比係数演算部13a、対比係数記憶部12a及び酸化還元電位演算部13bにて酸化還元電位測定手段を構成する。
次に、図3に示す調整モードにおけるフローチャート、図4に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押されると電源部14から電気系統各部に電力を供給し、図4に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG1)。そして、この後、モードキー4cが押されると図3に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC1)。
続いて、センサー2が基準液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップC2)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオフし、インピーダンス低減回路(R11)10が非接続状態となる(ステップC3)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr0として演算する(ステップC4)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオンし、インピーダンス低減回路(R11)10が接続状態となる(ステップC5)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1として演算する(ステップC6)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(1)に示すように、非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1で除すことによって、対比係数k1を演算し(ステップC7)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した対比係数k1を記憶すると(ステップC8)、この調整モードを抜ける(ステップC9)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図4に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG1)。
続いて、センサー2が被験液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップG2)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオンし、インピーダンス低減回路(R11)10が接続状態となる(ステップG3)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1として演算する(ステップG4)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(2)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1に、対比係数記憶部12aに記憶している対比係数k1を乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算し(ステップG5)、この結果を表示器5に表示する(ステップG6)。
なお、以降、ステップG2に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図1に示す外観図、図5に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例2としての酸化還元電位計は、実施例1として説明した酸化還元電位計とほぼ同様に、全体を大略構成する。以下、実施例1として説明した酸化還元電位計とは異なる構成各部についてのみ詳述する。
インピーダンス低減回路21は、作用電極6と参照電極7との間に低減回路切替スイッチ22により非接続状態及び接続状態となり得るように配設する抵抗値の異なる複数の抵抗Sw1、Sw2、Sw3から成り、液に浸けた際における作用電極6と参照電極7との間に生ずるインピーダンスを多段階的に低減する。
低減回路切替スイッチ22は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいて、インピーダンス低減回路21を多段階的に非接続状態及び接続状態へと切替える。
対比係数演算部13aは、インピーダンス低減回路21のうちのすべての抵抗が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(基準液電圧)と、インピーダンス低減回路21のうちの各段階の抵抗が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(基準液電圧)とに基づいて各対比係数を演算する。より具体的には、次の演算式(3)に示すように、インピーダンス低減回路21のうちのすべての抵抗が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧Vr0を、インピーダンス低減回路21のうちのいずれかの段階の抵抗が接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧VrN(なお、Nは段階値を示す。)で除すことによって、いずれかの段階の対比係数kN(なお、Nは段階値を示す。)を演算する、といったことをすべての段階について演算する。
kN=Vr0/VrN ・・・ (3)
酸化還元電位演算部13bは、マイクロコンピュータからの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路21の各段階の接続状態へと切替えた際に、インピーダンス低減回路21が各段階の接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧と、対比係数記憶部12aに記憶した各段階の対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する。より具体的には、次の演算式(4)に示すように、インピーダンス低減回路21のうちのいずれかの段階のものが接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧VsNに、対比係数記憶部12aに記憶した対応する段階の対比係数kNを乗じることによって、インピーダンス低減回路21が非接続状態におけるA/D変換器9からの電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算する。
Vs0=kN×VsN ・・・ (4)
次に、図6に示す調整モードにおけるフローチャート、図7に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押されると電源部14から電気系統各部に電力を供給し、図7に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG21)。そして、この後、モードキー4cが押されると図6に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC21)。
続いて、センサー2が基準液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップC22)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P2、P3からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw2、Sw3)22がオフし、インピーダンス低減回路(R11、R12、R13)21が非接続状態となる(ステップC23)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr0として演算する(ステップC24)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw1がオンし、インピーダンス低減回路21のうちの一段階目の抵抗R11が接続状態となる(ステップC25)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により一段階目の抵抗R11が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1として演算する(ステップC26)。
続いて、対比係数演算部13bにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、一段階目の抵抗R11が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1で除すことによって、一段階目の対比係数k1を演算し(ステップC27)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した一段階目の対比係数k1を記憶する(ステップC28)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw1がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP2からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw2がオンし、インピーダンス低減回路21のうちの二段階目の抵抗R12が接続状態となる(ステップC29)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータにより二段階目の抵抗R12が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr2として演算する(ステップC30)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、二段階目の抵抗R12が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr2で除すことによって、二段階目の対比係数k2を演算し(ステップC31)、対比係数記憶部において、この演算した二段階目の対比係数k2を記憶する(ステップC32)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP2からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw2がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP3からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw3がオンし、インピーダンス低減回路21のうちの三段階目の抵抗R13が接続状態となる(ステップC33)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により三段階目の抵抗R13が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr3として演算する(ステップC34)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、三段階目の抵抗R13が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr3で除すことによって、三段階目の対比係数k3を演算し(ステップC35)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した三段階目の対比係数k3を記憶すると(ステップC36)、この調整モードを抜ける(ステップC37)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図7に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG21)。
続いて、センサー2が被験液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップG22)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw1がオンし、インピーダンス低減回路21のうちの一段階目の抵抗R11が接続状態となる(ステップG23)。
続いて、この時の作用電極6参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により一段階目の抵抗R11が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1として演算する(ステップG24)。
続いて、この演算した一段階目の抵抗R11が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータ13により判定する(ステップG25)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG25でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した一段階目の対比係数k1を呼び出す(ステップG33)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG25でYES)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw1がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP2からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw2がオンし、インピーダンス低減回路21のうちの二段階目の抵抗R12が接続状態となる(ステップC26)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により二段階目の抵抗R12が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2として演算する(ステップG27)。
続いて、この演算した二段階目の抵抗R12が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータ13により判定する(ステップG28)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG28でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した二段階目の対比係数k2を呼び出す(ステップG34)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG28でYES)、マイクロコンピュータ13のポートP2からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw2がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP3からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ22のうちのSw3がオンし、インピーダンス低減回路のうちの三段階目の抵抗R13が接続状態となる(ステップC29)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により三段階目の抵抗R13が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs3として演算する(ステップG30)。
続いて、この演算した三段階目の抵抗R13が接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs3が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータ13により判定する(ステップG31)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG31でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した三段階目の対比係数k3を呼び出す(ステップG35)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG31でYES)、増幅許容範囲外である旨を表すエラーメッセージを表示器5に表示する(ステップG32)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(4)に示すように、いずれかの段階のものが接続時の電極間電圧(被験液電圧)VsNに、対比係数記憶部12aに記憶した対応する段階の対比係数kNを乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算し(ステップG36)、この結果を表示器5に表示する(ステップG37)。
なお、以降、ステップG22に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図1に示す外観図、図8に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例3としての酸化還元電位計は、実施例2として説明した酸化還元電位計とほぼ同様に、全体を大略構成する。以下、実施例2として説明した酸化還元電位計とは異なる構成各部についてのみ詳述する。
インピーダンス低減回路31は、電圧を生成する電圧生成回路R6、R7と、この電圧生成回路R6、R7に接続するボルテージ・フォロワA2と、このボルテージ・フォロワA2と作用電極6との間に接続する出力抵抗R8とから成り、作用電極6と参照電極7との間に低減回路切替スイッチ(Sw4)32により非接続状態及び接続状態となり得るように配設し、液に浸けた際における作用電極6と参照電極7との間に生ずるインピーダンスを多段階的に低減する。
低減回路切替スイッチ22は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいて、インピーダンス低減回路31を非接続状態及び接続状態へと切替える。
次に、図9に示す調整モードにおけるフローチャート、図10に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押されると電源部14から電気系統各部に電力を供給し、図10に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG41)。そして、この後、モードキー4cが押されると図9に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC41)。
続いて、センサー2が基準液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップC42)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P2、P3のすべてがオープンとなり、また、マイクロコンピュータ13のポートP4からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw4)32がオフし、インピーダンス低減回路31が非接続状態となる(ステップC43)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr0として演算する(ステップC44)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1がLOWレベル制御信号となり、また、マイクロコンピュータ13のポートP4からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw4)22がオンし、インピーダンス低減回路31が一段階出力レベルで接続状態となる(ステップC45)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により一段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1として演算する(ステップC46)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、一段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1で除すことによって、一段階出力レベルの対比係数k1を演算し(ステップC47)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した一段階出力レベルでの対比係数k1を記憶する(ステップC48)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1がオープンとなり、マイクロコンピュータ13のポートP2がLOWレベル制御信号となり、インピーダンス低減回路31が二段階出力レベルで接続状態となる(ステップC49)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により二段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr2として演算する(ステップC50)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、二段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr2で除すことによって、二段階出力レベルの対比係数k2を演算し(ステップC51)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した二段階出力レベルでの対比係数k2を記憶する(ステップC52)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP2がオープンとなり、マイクロコンピュータ13のポートP3がLOWレベル制御信号となり、インピーダンス低減回路31が三段階出力レベルで接続状態となる(ステップC53)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により三段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr3として演算する(ステップC54)。
続いて、対比係数演算部13bにおいて、上述した演算式(3)に示すように、すべてが非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、三段階出力レベルで接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr3で除すことによって、三段階出力レベルの対比係数k3を演算し(ステップC55)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した三段階出力レベルでの対比係数k3を記憶すると(ステップC56)、この調整モードを抜ける(ステップC57)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図10に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG41)。
続いて、センサー2が被験液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップG42)、マイクロコンピュータ13のポートP1がLOWレベル制御信号となり、また、マイクロコンピュータ13のポートP4からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw4)32がオンし、インピーダンス低減回路31が一段階出力レベルで接続状態となる(ステップG43)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により一段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1として演算する(ステップG44)。
続いて、この演算した一段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータ13により判定する(ステップG45)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG45でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した一段階出力レベルの対比係数k1を呼び出す(ステップG53)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG45でYES)、マイクロコンピュータ13のポートP1がオープンとなり、マイクロコンピュータ13のポートP2がLOWレベル制御信号となり、インピーダンス低減回路31が二段階出力レベルで接続状態となる(ステップG46)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により二段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2として演算する(ステップG47)。
続いて、この演算した二段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータにより判定する(ステップG48)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG48でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した二段階出力レベルの対比係数k2を呼び出す(ステップG54)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG48でYES)、マイクロコンピュータ13のポートP2がオープンとなり、マイクロコンピュータ13のポートP3がLOWレベル制御信号となり、インピーダンス低減回路31が三段階出力レベルで接続状態となる(ステップG49)。
続いて、この時の作用電極6と参照電極7との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器9によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により三段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs3として演算する(ステップG50)。
続いて、この演算した三段階出力レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs3が増幅回路8の増幅許容範囲をオーバーしているか否かをマイクロコンピュータ13により判定する(ステップG51)。
続いて、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしていない場合には(ステップG51でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した三段階出力レベルの対比係数k3を呼び出す(ステップG55)。
一方、マイクロコンピュータ13において、この判定結果が増幅許容範囲をオーバーしている場合には(ステップG51でYES)、増幅許容範囲外である旨を表すエラーメッセージを表示器5に表示する(ステップG52)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(4)に示すように、いずれかの段階レベルで接続時の電極間電圧(被験液電圧)VsNに、対比係数記憶部12aに記憶した対応する段階レベルの対比係数kNを乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算し(ステップG56)、この結果を表示器5に表示する(ステップG57)。
なお、以降、ステップG42に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図11に示す外観図、図12に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例4としての酸化還元電位計は、正面に入力部4及び表示器5を有する本体1と、作用電極48、参照電極49及び導電率測定電極42を兼有するセンサー41と、本体1とセンサー41とを接続するケーブル3とを外見上に備え、増幅回路8、導電率測定回路43、A/D変換器44、インピーダンス低減回路45、低減回路切替スイッチ46、導電率測定切替スイッチ47、EEPROM12及びマイクロコンピュータ13を配設する電子基板と、電源部14とを本体1の内部に備えることにより、全体を大略構成する。
入力部4は、ONキー4a、スタートキー4b、モードキー4c、+キー4d及び−キー4eから成り、電力供給・測定開始・切替等をするための入力をする。ONキー4aは、電源部14から電気系統各部に電力の供給を開始するためものである。スタートキー4bは、測定を開始するためのである。モードキー4cは、調整モードと測定モードとを切替えるためのものである。+キー4d、−キー4eは、表示器に表示する項目や数値等を選択をするためのものである。
表示器5は、入力状況・測定結果・各種モード・電池残量等を表示する。
センサー41は、内側ガラス管(図11において透明にて示す。)41aの外側に間隙を設けて覆う外側ガラス管(図11において透明にて示す。)41bを形成し、内側ガラス管41aの外側から外側ガラス管41bの外側にかけて白金(Pt)41cと導電率測定電極42とを配設し、内側ガラス管41aの内部に、銀(Ag)に塩化銀(AgCl)を被覆した内部電極41dを設けるとともに液状又はゲル状の塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)を充填し、内側ガラス管41aの内部から内側ガラス管41aかつ外側ガラス管41bの外側にかけて液絡部41eを配設し、白金(Pt)41cと内部電極41dとには電子基板につながる導線41f、41g、41hが接続する。
なお、白金(Pt)41c部分が作用電極48に該当し、内側ガラス管41a、内部電極41d、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)、液絡部41eにかけての部分が参照電極49に該当する。
電源部14は、電気系統各部に電力を供給する。
増幅回路8は、測定した作用電極48により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極49により発生する基準となる電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅する。導電率測定回路43は、導電率測定電極42により発生する電位と作用電極48により発生する電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅する。A/D変換器44は、増幅回路8又は導電率測定回路43により増幅された電極間電圧をデジタル信号に変換する。
インピーダンス低減回路45は、作用電極48と参照電極49との間に低減回路切替スイッチ46により非接続状態及び接続状態となり得るように配設する抵抗値の異なる複数の抵抗R11、R12から成り、液に浸けた際における作用電極48と参照電極49との間に生ずるインピーダンスを低減する。
低減回路切替スイッチ46は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路45を非接続状態及び接続状態へと切替える。導電率測定切替スイッチ47は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいて作用電極48の接続を導電率測定回路43又は増幅回路8に切替える。
EEPROM12は、対比係数記憶部12aを兼有し、各種データを記憶する。対比係数記憶部12aは、後述する対比係数演算部13aにより演算した対比係数を記憶する。
マイクロコンピュータ13は、対比係数演算部13aと酸化還元電位演算部13bと導電率判定部13cとを兼有し、各種データ等について演算し、また、低減回路切替スイッチ46・導電率測定切替スイッチ47の切替え、各種データの判定等について制御する。
対比係数演算部13aは、インピーダンス低減回路45が非接続状態におけるA/D変換器44からの複数の基準液についての電極間電圧(基準液電圧)と、インピーダンス低減回路45が接続状態におけるA/D変換器44からの複数の基準液についての電極間電圧(基準液電圧)とに基づいて各基準液に対する対比係数を演算する。より具体的には、次の演算式(5)、(6)に示すように、インピーダンス低減回路が非接続状態におけるA/D変換器44からのある基準液についての電極間電圧Vra0をインピーダンス低減回路45が接続状態におけるA/D変換器44からのある基準液についての電極間電圧Vra1で除すことによって、ある基準液に対する対比係数k1を演算し、インピーダンス低減回路45が非接続状態におけるA/D変換器44からの別の基準液についての電極間電圧Vrb0を、インピーダンス低減回路45が接続状態におけるA/D変換器44からの別の基準液についての電極間電圧Vrb1で除すことによって、別の基準液に対する対比係数k2を演算する。
k1=Vra0/Vra1 ・・・ (5)
k2=Vrb0/Vrb1 ・・・ (6)
酸化還元電位演算部13bは、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路45を被験液の導電率に対応する接続状態へと切替えた際に、インピーダンス低減回路45が接続状態におけるA/D変換器44からの電極間電圧と、対比係数記憶部12aに記憶した複数の対比係数のうちから被験液の導電率に対応する対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する。より具体的には、次の演算式(7)、(8)に示すように、インピーダンス低減回路45が被験液の導電率に対応する接続状態におけるA/D変換器44からの電極間電圧Vs1又はVs2に、対比係数記憶部12aに記憶した複数の対比係数のうちから被験液の導電率に対応する対比係数k1又はk2を乗じることによって、インピーダンス低減回路45が非接続状態におけるA/D変換器44からの電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算する。
Vs0=k1×Vs1 ・・・ (7)
Vs0=k2×Vs2 ・・・ (8)
導電率判定部13cは、A/D変換器44からの被験液導電率と予め記憶している基礎導電率とを比較し、酸化還元電位演算部13bで用いる対比係数を選択する。
なお、低減回路切替スイッチ46及びマイクロコンピュータ13にて低減回路切替手段を構成する。また、低減回路切替スイッチ46及びマイクロコンピュータ13にて導電率測定切替手段を構成する。また、導電率測定電極42、導電率測定回路43、A/D変換器44及びマイクロコンピュータ13にて導電率測定手段を構成する。また、増幅回路8、A/D変換器44及びマイクロコンピュータ13にて電極間電圧測定手段を構成する。また、低減回路切替手段、電極間電圧測定手段、対比係数演算部13a、対比係数記憶部12a及び酸化還元電位演算部13bにて酸化還元電位測定手段を構成する。
次に、図13に示す調整モードにおけるフローチャート、図14に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押されると電源部14から電気系統各部に電力を供給し、図14に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG61)。そして、この後、モードキー4cが押されると図13に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC61)。
続いて、センサー41が既知の基準液A(基準液A導電率>基礎導電率)に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップC62)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P2、P5からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw2)46及び導電率測定切替スイッチ47のうちのSw5がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP6からのON制御信号に基づいて導電率測定切替スイッチ47のうちのSw6がオンし、作用電極・参照電極間が選択状態となり、かつ、インピーダンス低減回路45が非接続状態となる(ステップC63)。なお、基礎導電率とは、後述において、被験液の導電率が基準液A導電率寄りなのか基準液B導電率寄りなのかを判定するために基準とする導電率のことである。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する基準液Aに対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液A電圧)Vra0として演算する(ステップC64)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチSw1がオンし、インピーダンス低減回路45のうちの基準液A導電率に対応するものが接続状態となる(ステップC65)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する基準液Aに対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により基準液A導電率に対応する抵抗R11が接続時の電極間電圧(基準液A電圧)Vra1として演算する(ステップC66)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(5)に示すように、すべてが非接続時の基準液Aに対する電極間電圧(基準液電圧)Vra0を、基準液A導電率に対応する抵抗R11が接続時の電極間電圧(基準液A電圧)Vra1で除すことによって、基準液A導電率に対応する対比係数k1を演算し(ステップC67)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した基準液A導電率に対応する対比係数k1を記憶する(ステップC68)。
続いて、センサー41が既知の基準液B(基準液B導電率≦基礎導電率)に浸けられ、スタートキー46が押されると(ステップC69)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P2、P5からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw2)46及び導電率測定切替スイッチ47のうちのSw5がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP6からのON制御信号に基づいて導電率測定切替スイッチ47のうちのSw6がオンし、作用電極・参照電極間が選択状態となり、かつ、インピーダンス低減回路45が非接続状態となる(ステップC70)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する基準液Bに対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液B電圧)Vrb0として演算する(ステップC71)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP2からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ46のうちのSw2がオンし、インピーダンス低減回路45のうちの基準液B導電率に対応する抵抗R12が接続状態となる(ステップC72)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する基準液Bに対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により基準液B導電率に対応する抵抗R12が接続時の電極間電圧(基準液B電圧)Vrb1として演算する(ステップC73)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、上述した演算式(6)に示すように、すべてが非接続時の基準液Bに対する電極間電圧(基準液電圧)Vrb0を、基準液B導電率に対応する抵抗R12が接続時の電極間電圧(基準液B電圧)Vrb1で除すことによって、基準液B導電率に対応する対比係数k2を演算し(ステップC74)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した基準液B導電率に対応する対比係数k2を記憶すると(ステップC75)、この調整モードを抜ける(ステップC76)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図14に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG61)。
続いて、センサー41が被験液に浸けられ、スタートキー4bが押されると(ステップG62)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P2、P6からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw2)46及び導電率測定切替スイッチ47のうちのSw6がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP5からのON制御信号に基づいて導電率測定切替スイッチ47のうちのSw5がオンし、作用電極・導電率測定電極間が選択状態となり、かつ、インピーダンス低減回路41が非接続状態となる(ステップG63)。
続いて、導電率測定回路43において、導電率測定電極41により発生する電位と作用電極48により発生する電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅し、A/D変換器44において、電極間電圧をデジタル信号に変換し、導電率判定部13cにおいて、被験液の導電率を演算する(ステップG64)。
続いて、この演算した被験液の導電率が基礎導電率よりも大きいか否かを判定する(ステップG65)。
続いて、この判定結果が基礎導電率よりも大きい場合には(ステップG65でYES)、対比係数記憶部に記憶した基準液A導電率に対応する対比係数k1を呼び出す(ステップG66)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP5からのOFF制御信号に基づいて導電率測定切替スイッチ47のうちのSw5がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP1、P6からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ46のうちのSw1及び導電率測定切替スイッチ47のうちのSw6がオンし、作用電極・参照電極間が選択状態となり、かつ、インピーダンス低減回路45が基準液A導電率に対応した接続状態となる(ステップG67)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する被験液に対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1として演算する(ステップG68)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(7)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1に、対比係数記憶部12aに記憶した対応する対比係数k1を乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算する(ステップG69)。
ステップG65において、一方、この判定結果が基礎導電率よりも大きくない場合、すなわち、この判定結果が基礎導電率以下である場合には(ステップG65でNO)、対比係数記憶部12aに記憶した基準液B導電率に対応する対比係数k2を呼び出す(ステップG70)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP5からのOFF制御信号に基づいて導電率測定切替スイッチ47のうちのSw5がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP2、P6からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ46のうちのSw2及び導電率測定切替スイッチ47のうちのSw6がオンし、作用電極・参照電極間が選択状態となり、かつ、インピーダンス低減回路45が基準液B導電率に対応した接続状態となる(ステップG71)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する被験液に対する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2として演算する(ステップG72)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(8)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs2に、対比係数記憶部12aに記憶した対応する対比係数k2を乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算する(ステップG73)。
ステップG69又はステップG73に続いて、それぞれにおける結果を表示器に表示し(ステップG74)、以降、ステップG62に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図11に示す外観図、図15に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例5としての酸化還元電位計は、正面に入力部4及び表示器5を有する本体1と、作用電極48、参照電極49及び水没測定電極51を兼有するセンサー41と、本体1とセンサー41とを接続するケーブル3とを外見上に備え、増幅回路8、水没測定回路52、A/D変換器44、インピーダンス低減回路10、低減回路切替スイッチ11、水没測定切替スイッチ54、EEPROM12及びマイクロコンピュータ13を配設する電子基板と、電源部14とを本体1の内部に備えることにより、全体を大略構成する。
なお、入力部4、表示器5、電源部14、増幅回路8、インピーダンス低減回路10、低減回路切替スイッチ11、EEPROM12、対比係数演算部13a及び酸化還元電位演算部13bについては、実施例1と同様であるので、詳述を省略する。
センサー41は、実施例4において、図11に表して説明したものと同様の形態を成し、導電率測定電極42が水没測定電極51に置き換わったものである。
水没測定回路52は、水没測定電極51と共に水没検出電位を生じさせるものである。
A/D変換器44は、増幅回路8や水没測定電極51・水没測定回路52からの電圧をデジタル信号に変換する。
水没測定切替スイッチ54は、マイクロコンピュータ13からの制御信号に基づいて増幅回路8への接続を接地状態に切替える。
マイクロコンピュータ13は、対比係数演算部13aと酸化還元電位演算部13bと水没判定部13dとを兼有し、各種データ等について演算し、また、低減回路切替スイッチ11・水没測定切替スイッチ54の切替え、各種データの判定等について制御する。
水没判定部13dは、A/D変換器44からの水没測定電圧と予め記憶している判定電圧とを比較し、センサー41が液に浸かっている状態なのか否かを判定する。
なお、水没測定切替スイッチ54及びマイクロコンピュータ13にて水没測定切替手段を構成する。また、水没測定電極51、水没測定回路52、A/D変換器44及びマイクロコンピュータ13にて水没測定手段を構成する。
次に、図16に示す調整モードにおけるフローチャート、図17に示すメインフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押されると電源部14から電気系統各部に電力を供給しスタンバイ状態となり、その後、モードキー4cが押される毎に調整モードと通常モードとが切替るので、調整モードを選択し、図16に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC81)。
続いて、センサー41が基準液に浸けられ、スタートキー46が押されると(ステップC82)、マイクロコンピュータ13のポートP1、P7からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11及び水没測定切替スイッチ(Sw7)54がオフし、作用電極・参照電極間での測定状態となり、かつ、インピーダンス低減回路10が非接続状態となる(ステップC83)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr0として演算する(ステップC84)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオンし、インピーダンス低減回路53が接続状態となる(ステップC85)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1として演算する(ステップC86)。
続いて、対比係数演算部13aにおいて、実施例1での演算式(1)に示すように、非接続の電極間電圧(基準液電圧)Vr0を、接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vr1で除すことによって、対比係数k1を演算し(ステップC87)、対比係数記憶部12aにおいて、この演算した対比係数k1を記憶すると(ステップC88)、この調整モードを抜ける(ステップC89)。
次に、装置作動(通常モード)における具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー4aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、電源部14から電気系統各部に電力を供給し(ステップG81)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP7からのON制御信号に基づいて水没測定切替スイッチ(Sw7)54がオンし、スタンバイ状態となる(ステップC82)。
続いて、モードキー4cが押される毎に調整モードと通常モードとが切替るので、通常モードを選択すると(ステップC83)、水没測定電極51と作用電極48との電極間電圧(アナログ信号)をA/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により水没測定電圧Vwとして取り込む(ステップC84)。
続いて、水没判定部13dにおいて、この水没測定電圧Vwが判別電圧よりも大きいか否かを判定する(ステップG85)。
続いて、判別電圧よりも大きくない場合には(ステップG85でNO)、ステップG84に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。一方、判別電圧よりも大きい場合には(ステップG85でYES)、スタートキー4bが押されたかを判定する(ステップG86)。
続いて、スタートキー4bが押されない場合には(ステップG86でNO)、ステップG84に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。一方、スタートキー4bが押された場合には(ステップG86でYES)、マイクロコンピュータ13のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオンし、マイクロコンピュータ13のポートP7からのOFF制御信号に基づいて水没測定切替スイッチ(Sw7)53がオフし、作用電極・参照電極間での測定状態となり、かつ、インピーダンス低減回路10が接続状態となる(ステップG87)。
続いて、この時の作用電極48と参照電極49との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路8により増幅し、A/D変換器44によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ13により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1として演算する(ステップG88)。
続いて、酸化還元電位演算部13bにおいて、上述した演算式(2)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vs1に対比係数記憶部12aに記憶している対比係数k1を乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vs0を演算し(ステップG89)、この結果を表示器に表示する(ステップG90)。
続いて、マイクロコンピュータ13のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1)11がオフし、マイクロコンピュータ13のポートP7からのON制御信号に基づいて水没測定切替スイッチ(Sw7)53がオンし(ステップG91)、以降、ステップG84に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図18に示す外観図、図19に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例6としての酸化還元電位計は、正面に入力部64及び表示器65を有する本体61と、反応面積が小さな作用電極小66、反応面積の大きな作用電極大67及び参照電極68を兼有するセンサー62と、本体61とセンサー62とを接続するケーブル63とを外見上に備え、増幅回路69、A/D変換器70、インピーダンス低減回路71、低減回路切替スイッチ72、作用電極切替スイッチ73、EEPROM74及びマイクロコンピュータ75を配設する電子基板と、電源部76とを本体61の内部に備えることにより、全体を大略構成する。
入力部64は、ONキー64a、スタートキー64b、モードキー64c、+キー64d及び−キー64eから成り、電力供給・測定開始・切替等をするための入力をする。ONキー64aは、電源部76から電気系統各部に電力の供給を開始するためものである。スタートキー64bは、測定を開始するためのである。モードキー64cは、調整モードと測定モードとを切替えるためのものである。+キー64d、−キー64eは、表示器65に表示する項目や数値等を選択をするためのものである。
表示器65は、入力状況・測定結果・各種モード・電池残量等を表示する。
センサー62は、内側ガラス管(図18において透明にて示す。)62aの外側に間隙を設けて覆う外側ガラス管(図18において透明にて示す。)62bを形成し、内側ガラス管62aの外側から外側ガラス管62bの外側にかけて面積の小さな白金(Pt)小62cと面積の大きな白金(Pt)大62dとを配設し、内側ガラス管62aの内部に、銀(Ag)に塩化銀(AgCl)を被覆した内部電極62eを設けるとともに液状又はゲル状の塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)を充填し、内側ガラス管62aの内部から内側ガラス管62aかつ外側ガラス管62bの外側にかけて液絡部62fを配設し、白金(Pt)小62cと白金(Pt)大62dと内部電極62eとには電子基板につながる導線62g、62h、62iが接続する。
なお、白金(Pt)小62cの部分が作用電極小66に該当し、白金(Pt)大62dの部分が作用電極大67に該当し、内側ガラス管62a、内部電極62e、塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KCl)、液絡部62fにかけての部分が参照電極68に該当する。
電源部76は、電気系統各部に電力を供給する。
増幅回路69は、測定した作用電極小66又は作用電極大67により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極68により発生する基準となる電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅する。A/D変換器70は、増幅回路69により増幅された電極間電圧をデジタル信号に変換する。
インピーダンス低減回路71は、作用電極小66と参照電極67との間に低減回路切替スイッチ72により非接続状態及び接続状態となり得るように配設する抵抗R14と、作用電極大67と参照電極68との間に低減回路切替スイッチ72により非接続状態及び接続状態となり得るように配設する抵抗R11とから成り、液に浸けた際における作用電極小66と参照電極68との間、又は作用電極大67と参照電極68との間に生ずるインピーダンスを低減する。
低減回路切替スイッチ72は、マイクロコンピュータ75からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路71を非接続状態及び接続状態へと切替える。作用電極切替スイッチ73は、マイクロコンピュータ75からの制御信号に基づいて増幅回路69への接続を作用電極小66又は作用電極大67に切替える。
EEPROM74は、対比係数記憶部74aを兼有し、各種データを記憶する。対比係数記憶部74aは、後述する対比係数演算部75aにより演算した各対比係数を記憶する。
マイクロコンピュータ75は、対比係数演算部75aと酸化還元電位演算部75bとを兼有し、各種データ等について演算し、また、低減回路切替スイッチ・作用電極切替スイッチの切替え、各種データの判定等について制御する。
対比係数演算部75aは、インピーダンス低減回路71が非接続状態におけるA/D変換器70からの電極間電圧(基準液電圧)と、インピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの各作用電極66、67と参照電極68との各電極間電圧(基準液電圧)とに基づいて各対比係数を演算する。より具体的には、次の演算式(9)に示すように、インピーダンス低減回路71が非接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極大67と参照電極68との電極間電圧Vrg0をインピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極大67と参照電極68との電極間電圧Vrg1で除すことによって、対比係数kg1を演算し、また、次の演算式(10)に示すように、インピーダンス低減回路71が非接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極小66と参照電極68との電極間電圧Vrs0をインピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極小66と参照電極68との電極間電圧Vrs1で除すことによって、対比係数ks1を演算する。
kg1=Vrg0/Vrg1 ・・・ (9)
ks1=Vrs0/Vrs1 ・・・ (10)
酸化還元電位演算部75bは、マイクロコンピュータ75からの制御信号に基づいてインピーダンス低減回路71を接続状態へと切替えた際に、インピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの各作用電極66、67と参照電極68との電極間電圧と、対比係数記憶部74aに記憶した各対比係数とに基づいて酸化還元電位を演算する。より具体的には、次の演算式(11)に示すように、インピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極小66と参照電極68との電極間電圧Vss1に対比係数記憶部74aに記憶した対比係数ks1を乗じることによって、インピーダンス低減回路71が非接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極小66と参照電極68との電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vss0を演算し、また、次の演算式(12)に示すように、インピーダンス低減回路71が接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極大67と参照電極68との電極間電圧Vsg1に対比係数記憶部74aに記憶した対比係数kg1を乗じることによって、インピーダンス低減回路71が非接続状態におけるA/D変換器70からの作用電極大67と参照電極68との電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vsg0を演算する。
Vss0=ks1×Vss1 ・・・ (11)
Vsg0=kg1×Vsg1 ・・・ (12)
なお、低減回路切替スイッチ72及びマイクロコンピュータ75にて低減回路切替手段を構成する。作用電極切替スイッチ73及びマイクロコンピュータ75にて作用電極切替手段を構成する。また、増幅回路69、A/D変換器70及びマイクロコンピュータ75にて電極間電圧測定手段を構成する。また、低減回路切替手段、電極間電圧測定手段、対比係数演算部75a、対比係数記憶部74a及び酸化還元電位演算部75bにて酸化還元電位測定手段を構成する。
次に、図20に示す調整モードにおけるフローチャート、図21に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー64aが押されると電源部76から電気系統各部に電力を供給し、図21に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG101)。そして、この後、モードキー64cが押されると図20に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC101)。
続いて、センサー62が基準液に浸けられ、スタートキーが押されると(ステップC102)、マイクロコンピュータ75のポートP1、P10、P9からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw10)72及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw9がオフし、マイクロコンピュータ75のポートP8からのON制御信号に基づいて作用電極切替スイッチのうちのSw8がオンし、作用電極大・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71が非接続状態となる(ステップC103)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg0として演算する(ステップC104)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1がオンし、インピーダンス低減回路71のうちの抵抗R11が接続状態となる(ステップC105)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg1として演算する(ステップC106)。
続いて、対比係数演算部75aにおいて、上述した演算式(9)に示すように、すべてが非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg0を、抵抗R11が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg1で除すことによって、対比係数kg1を演算し(ステップC107)、対比係数記憶部74aにおいて、この演算した対比係数kg1を記憶する(ステップC108)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP1、P8からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw8がオフし、マイクロコンピュータ75のポートP9からのON制御信号に基づいて作用電極切替スイッチ73のうちのSw9がオンし、作用電極小・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路が非接続状態となる(ステップC109)。
続いて、この時の作用電極小66と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs0として演算する(ステップC110)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP10からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10がオンし、インピーダンス低減回路71のうちの抵抗R14が接続状態となる(ステップC111)。
続いて、この時の作用電極小66と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs1として演算する(ステップC112)。
続いて、対比係数演算部75aにおいて、上述した演算式(10)に示すように、すべてが非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs0を、抵抗R14が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs1で除すことによって、対比係数ks1を演算し(ステップC113)、対比係数記憶部74aにおいて、この演算した対比係数ks1を記憶すると(ステップC114)、この調整モードを抜ける(ステップC115)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー64aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図21に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG101)。
続いて、センサー62が被験液に浸けられ、スタートキー64bが押されると(ステップG102)、マイクロコンピュータ75のポートP1、P8からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw8がオフし、マイクロコンピュータ75のポートP10、P9からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw9がオンし、作用電極小・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71のうちの抵抗R10が接続状態となる(ステップG103)。
続いて、この時の作用電極小66と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vss1として演算する(ステップG104)。
続いて、酸化還元電位演算部75bにおいて、上述した演算式(11)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vss1に、対比係数記憶部74aに記憶した対比係数ks1を乗じることによって、接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vss0を演算し(ステップG105)、この結果をEEPROM74に記憶し、表示器65に表示する(ステップG106)。
続いて、マイクロコンピュータ75において、今回記憶した酸化還元電位Vss0(n)から前回記憶した酸化還元電位Vss0(n−1)を減じた絶対値(測定した電圧の変化量)が最低基準変化電圧よりも小さいか否かを判定する(ステップG107)。
続いて、この判定結果が最低基準変化電圧よりも小さくない場合には(ステップG107でNO)、ステップG104に戻り、処理を繰り返す。一方、最低基準変化電圧よりも小さい場合には(ステップG107でYES)、マイクロコンピュータ75のポートP10、P9からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw9がオフし、マイクロコンピュータ75のポートP1、P8からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1及び作用電極切替スイッチ73のうちのSw8がオンし、作用電極大・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71のうちの抵抗R11が接続状態となる(ステップG108)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器70によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vsg1として演算する(ステップG109)。
続いて、酸化還元電位演算部75bにおいて、上述した演算式(12)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vsg1に、対比係数記憶部74aに記憶した対比係数kg1を乗じることによって、非接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vsg0を演算し(ステップG110)、この結果をEEPROM74に記憶し、表示器65に表示する(ステップG111)。
なお、以降、ステップG102に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
まず、図18に示す外観図、図22に示すブロック図を用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な構成について説明する。
実施例7としての酸化還元電位計は、正面に入力部64及び表示器65を有する本体61と、反応面積が小さな作用電極小66、反応面積の大きな作用電極大67及び参照電極68を兼有するセンサー62と、本体61とセンサー62とを接続するケーブル63とを外見上に備え、増幅回路69、81、A/D変換器82、インピーダンス低減回路71、低減回路切替スイッチ72、EEPROM74及びマイクロコンピュータ75を配設する電子基板と、電源部76とを本体66の内部に備えることにより、全体を大略構成する。
なお、入力部64、表示器65、センサー62、電源部76、インピーダンス低減回路71、低減回路切替スイッチ72、EEPROM74、対比係数演算部75a及び酸化還元電位演算部75bについては、実施例6と同様であるので、詳述を省略する。
増幅回路81は、測定した作用電極小66により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極68により発生する基準となる電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅し、また、増幅回路66は、測定した作用電極大67により発生する酸化還元反応の程度を表す電位と参照電極68により発生する基準となる電位との差である電極間電圧(アナログ信号)を増幅する。A/D変換器82は、各々の増幅回路69、81により増幅された各電極間電圧をデジタル信号に変換する。
マイクロコンピュータ75は、対比係数演算部75aと酸化還元電位演算部75bとを兼有し、各種データ等について演算し、また、低減回路切替スイッチ72・A/D変換器82からの各電極間電圧の取り込みの切替え、各種データの判定等について制御する。
次に、図23に示す調整モードにおけるフローチャート、図24に示す通常モードにおけるフローチャートを用いて、本発明に係わる酸化還元電位計の具体的な操作及び動作について説明する。
まず、調整モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー64aが押されると電源部76から電気系統各部に電力を供給し、図24に示すフローチャートに沿って後に説明する通常モードに入る(ステップG121)。そして、この後、モードキー64cが押されると図23に示すフローチャートに沿った調整モードに入る(ステップC121)。
続いて、センサー62が基準液に浸けられ、スタートキーが押されると(ステップC122)、マイクロコンピュータ75のポートP1、P10からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ(Sw1、Sw10)72がオフし、A/D変換器82が作用電極大側の経路を選択し、作用電極大・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71が非接続状態となる(ステップC123)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器82によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg0として演算する(ステップC124)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1がオンし、インピーダンス低減回路71のうちのR11が接続状態となる(ステップC125)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器82によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg1として演算する(ステップC126)。
続いて、対比係数演算部75aにおいて、上述した演算式(9)に示すように、すべてが非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg0を、インピーダンス低減回路71が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrg1で除すことによって、対比係数kg1を演算し(ステップC127)、対比係数記憶部74aにおいて、この演算した対比係数kg1を記憶する(ステップC128)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1がオフし、A/D変換器82が作用電極小側の経路を選択し、作用電極小・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71が非接続状態となる(ステップC129)。
続いて、この時の作用電極小66と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路81により増幅し、A/D変換器82によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs0として演算する(ステップC130)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP10からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10がオンし、インピーダンス低減回路71のうちのR14が接続状態となる(ステップC131)。
続いて、この時の作用電極小66と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路81により増幅し、A/D変換器82によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs1として演算する(ステップC132)。
続いて、対比係数演算部75aにおいて、上述した演算式(10)に示すように、すべてが非接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs0を、インピーダンス低減回路71が接続時の電極間電圧(基準液電圧)Vrs1で除すことによって、対比係数ks1を演算し(ステップC133)、対比係数記憶部74aにおいて、この演算した対比係数ks1を記憶すると(ステップC134)、この調整モードを抜ける(ステップC135)。
次に、通常モードにおける具体的な操作及び動作について詳述する。
ONキー64aが押された直後、又は調整モードを抜けた後は、図24に示すフローチャートに沿った通常モードと入る(ステップG121)。
続いて、センサー62が被験液に浸けられ、スタートキー64bが押されると(ステップG122)、マイクロコンピュータ75のポートP1からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1がオフし、マイクロコンピュータ75のポートP10からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10がオンし、A/D変換器82が作用電極小側の経路を選択し、作用電極小・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路が接続状態となる(ステップG123)。
続いて、この時の作用電極小と参照電極との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路により増幅し、A/D変換器によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータにより接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vss1として演算する(ステップG124)。
続いて、酸化還元電位演算部75bにおいて、上述した演算式(11)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vss1に、対比係数記憶部74aに記憶した対比係数ks1を乗じることによって、接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vss0を演算し(ステップG125)、この結果をEEPROM74に記憶し、表示器65に表示する(ステップG126)。
続いて、マイクロコンピュータ75のポートP1からのON制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw1がオンし、マイクロコンピュータ75のポートP10からのOFF制御信号に基づいて低減回路切替スイッチ72のうちのSw10がオフし、A/D変換器82が作用電極大側の経路を選択し、作用電極大・参照電極間が接続状態となり、かつ、インピーダンス低減回路71のうちのR11が接続状態となる(ステップG127)。
続いて、この時の作用電極大67と参照電極68との間に発生する電極間電圧(アナログ信号)を増幅回路69により増幅し、A/D変換器82によりデジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ75により接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vsg1として演算する(ステップG128)。
続いて、酸化還元電位演算部75bにおいて、上述した演算式(12)に示すように、接続時の電極間電圧(被験液電圧)Vsg1に、対比係数記憶部74aに記憶した対比係数kg1を乗じることによって、接続時の電極間電圧(被験液電圧)、すなわち、酸化還元電位Vsg0を演算し(ステップG129)、この結果をEEPROM74に記憶する(ステップG130)。
続いて、マイクロコンピュータ75において、今回記憶した酸化還元電位Vsg0(n)から前回記憶した酸化還元電位Vsg0(n−1)を減じた絶対値(測定した電圧の変化量)が最低基準変化電圧よりも小さいか否かを判定する(ステップG131)。
続いて、この判定結果が最低基準変化電圧よりも小さくない場合には(ステップG131でNO)、ステップG123に戻り、処理を繰り返す。一方、最低基準変化電圧よりも小さい場合には(ステップG131でYES)、今回演算した酸化還元電位Vsg0を表示器65に表示する(ステップG132)。
なお、以降、ステップG122に戻り、処理を繰り返すことが可能となる。
酸化還元電位計の外観図である。(実施例1、2、3)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例1)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例1)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例1)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例2)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例2)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例2)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例3)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例3)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例3)
酸化還元電位計の外観図である。(実施例4、5)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例4)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例4)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例4)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例5)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例5)
酸化還元電位計のメインフローチャートである。(実施例5)
酸化還元電位計の外観図である。(実施例6、7)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例6)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例6)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例6)
酸化還元電位計のブロック図である。(実施例7)
酸化還元電位計の調整モードにおけるフローチャートである。(実施例7)
酸化還元電位計の通常モードにおけるフローチャートである。(実施例7)
非直線性に対する影響について示すグラフである。
繰り返し性に対する影響について示すグラフである。
測定時間に対する影響について示すグラフである。
測定範囲に対する影響について示すグラフである。
導電率による影響について示すグラフである。
水没による影響について示すグラフである。
電極面積による影響について示すグラフである。
符号の説明
1、61 本体
2、41、62 センサー
3、63 ケーブル
6 作用電極
7、49、68 参照電極
10、21、31、45、71 インピーダンス低減回路
11、22、32、46、72 低減回路切替スイッチ
12a 対比係数記憶部
13a 対比係数演算部
13b 酸化還元電位演算部
13c 導電率判定部
13d 水没判定部
42 導電率測定電極
47 導電率測定切替スイッチ
51 水没測定電極
54 水没測定切替スイッチ
66 作用電極小
67 作用電極大