JP2005330477A - アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法 - Google Patents

アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005330477A
JP2005330477A JP2005121105A JP2005121105A JP2005330477A JP 2005330477 A JP2005330477 A JP 2005330477A JP 2005121105 A JP2005121105 A JP 2005121105A JP 2005121105 A JP2005121105 A JP 2005121105A JP 2005330477 A JP2005330477 A JP 2005330477A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strontium
strontium aluminate
phosphorescent material
nitride
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005121105A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4829524B2 (ja
Inventor
Hiromitsu Miyazaki
裕光 宮崎
Norihiko Saneto
憲彦 實藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ishihara Sangyo Kaisha Ltd filed Critical Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority to JP2005121105A priority Critical patent/JP4829524B2/ja
Publication of JP2005330477A publication Critical patent/JP2005330477A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4829524B2 publication Critical patent/JP4829524B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

【課題】残光輝度、残光時間が向上し、粉砕の容易なアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を提供する。
【解決手段】賦活剤としてのユーロピウムと、共賦活剤としてのディスプロシウム及び/又はネオジウムとを含むアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料において、組成中に窒素を少なくとも0.050wt%含むことを特徴とする。また、さらに母体結晶がSrAlで表されるスタッフド・トリジマイト構造を有し、(−211)面の面間隔が0.3120〜0.3140nmの範囲にあることを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料である。
【選択図】なし

Description

本発明は、残光特性に優れたアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法に関する。
蛍光体の中でも、残光時間の長いものは蓄光体として知られており、生活用品、弱照明夜間標識看板、時計などの分野で広く用いられている。例えば、ユーロピウムで賦活したアルミン酸ストロンチウム(SrAl)は、代表的な蓄光体であり、ディスプロシウム等の共賦活剤をさらに添加することで特性を改良して使用されている(例えば、特許文献1を参照)。また、このものを製造するには、アルミナ、炭酸ストロンチウム等の原料粉末に融剤としてホウ酸をさらに添加混合した後、混合物を高温で焼成する方法(いわゆる固相合成法)が用いられている。
特開平7−11250号公報(第2−7頁)
上記共賦活剤を添加したアルミン酸ストロンチウムのより広い応用展開を図るためにはなお一層の残光特性の向上が求められている。製造時にホウ酸等の融剤を添加して焼成すると残光の輝度が大きく改善されるが、融剤によって焼結が進み焼成物は塊状になる場合がある。蓄光効果を活かした塗料、プラスチックやシートなどの用途に供する為には、通常、焼成物を粉砕し粒度を揃える必要があるが、塊状にまで焼結が進むと粉砕時にかかる大きな機械的ストレスにより格子欠陥が生じ、著しく輝度が低下してしまう。さらに機械的粉砕で得られる粉体には微細な破砕片や粗粒が残り粒度分布の広い粉末しか得られない。
本発明者らは、より一層残光特性に優れたアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を見出すべく種々の研究を重ねたところ、組成中に窒素を含有させることで残光特性が向上すること、また窒素を含有する蓄光材料は結晶格子が通常のアルミン酸ストロンチウムと較べて縮んだ構造を有していることを見出した。また、組成中に窒素を含有させるには上記固相合成法において、混合物中に金属窒化物を含ませて加熱焼成する方法が有効であることを見出した。
さらに、原料に金属窒化物を含む場合には、融剤としてホウ酸を添加しなくとも、十分な残光特性を有する蓄光材料が得られることを見出した。得られた蓄光材料は融剤を用いる場合に較べ焼結が進まないので、機械的粉砕の負荷を軽減でき、平均粒子径の小さい粒度分布の狭い粉末を得ることができる。また粉砕の負荷を軽減できるので粉砕によって発生する結晶欠陥の量が少なくなり、粉砕による残光輝度の低下が抑えられる。
すなわち、本発明は、賦活剤としてのユーロピウムと、共賦活剤としてのディスプロシウム及び/又はネオジウムとを含むアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料であって、組成中に窒素を少なくとも0.050wt%含むことを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料である。また、さらに母体結晶がSrAlで表されるスタッフド・トリジマイト構造を有し、(−211)面の面間隔が0.3120〜0.3140nmの範囲にあることを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料である。
さらに、本発明は上記アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を製造する方法であって、ストロンチウム化合物、アルミニウム化合物、ユーロピウム化合物並びにディスプロシウム化合物及び/又はネオジウム化合物を含む原料を混合した後、非酸化性雰囲気で加熱焼成してアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を製造する方法において、原料に少なくとも一つの金属窒化物を含むことを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法である。
本発明のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料は、蓄光特性(残光輝度、長残光時間)に優れている。また、本発明の製造方法は、通常の固相合成法において、原料の一部に金属窒化物を用いることを特徴としており、特殊な装置を必要としないことから、工業的に有利な製造方法である。さらに、融剤を用いなくとも十分な残光特性を有する蓄光材料を得ることができ、しかも、粒子径の小さい蓄光材料を得ることのできる製造方法である。
本発明は、賦活剤としてのユーロピウムと、共賦活剤としてのディスプロシウム及び/又はネオジウムとを含むアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料、好ましくは粉末であって、組成中に窒素を少なくとも0.050wt%、好ましくは0.050〜5.0wt%含むことを特徴とする。組成中に窒素を含ませることにより、蓄光特性が著しく向上する。窒素のより好ましい含有量は少なくとも0.080wt%である。また母体結晶となるアルミン酸ストロンチウムの組成は、SrAl、SrAl1425 、SrAl1219、SrAl等が挙げられるが、蓄光特性の点でスタッフド・トリジマイト構造を有するSrAlが好ましい。スタッフド・トリジマイト構造を有するSrAlの(−211)面の面間隔は0.3144nmであることが知られている(PDF#74−0794)が、本発明のように組成中に窒素を含むものは、(−211)面の面間隔が0.3120〜0.3140nmの範囲にあり、結晶格子が縮んだ構造をとっており、そのことにより、アルミン酸ストロンチウムの蓄光特性がより一層向上したものと考えられる。
本発明において賦活剤として含まれるユーロピウムの量並びに共賦活剤として含まれるディスプロシウム及び/又はネオジウムの量は、それぞれストロンチウムに対して0.002〜20モル%が好ましい。上記範囲より賦活剤及び共賦活剤の量が少ないと、長残光性を付与することが困難であり、また、上記範囲より多くても、更なる長残光性の改良を期待することができず、むしろ結晶構造を維持することが困難となる。
次の本発明は、上記アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料、好ましくは粉末の製造方法であって、ストロンチウム化合物、アルミニウム化合物、ユーロピウム化合物並びにディスプロシウム化合物及び/又はネオジウム化合物を含む原料を混合した後、非酸化性雰囲気で加熱焼成してアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料、好ましくは粉末を製造する方法において、原料に少なくとも一つの窒化物、好ましくは金属窒化物を含むことを特徴とする。用いることのできる金属窒化物としては、ストロンチウム、アルミニウム、ユーロピウム、ディスプロシウム、ネオジウム、ガリウム等の金属の窒化物が挙げられる。好ましくは、ストロンチウム、アルミニウム、ユーロピウム、ディスプロシウム、ネオジウムから選ばれる少なくとも一種の金属の窒化物であり、より好ましくは窒化アルミニウムである。通常、アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末は、炭酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化ユーロピウム並びに酸化ディスプロシウム及び/又は酸化ネオジウムの各粉末、さらには融剤を乾式で混合した後、加熱焼成して得られる。本発明においては、原料として用いる上記ストロンチウム化合物、アルミニウム化合物、ユーロピウム化合物並びにディスプロシウム化合物及び/又はネオジウム化合物の少なくとも一つの化合物に関し、それらの窒化物を用いる、あるいは原料に他の金属の窒化物を含ませることにより、加熱焼成により得られるアルミン酸ストロンチウムは、結晶格子の縮んだものとなり、より一層蓄光特性が向上する。
窒化物以外の原料として用いることのできるストロンチウム化合物としては、炭酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、蓚酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム、ストロンチウムアルコキシドなどが挙げられ、潮解性もなく、化学的に安定な炭酸ストロンチウムの使用が好ましい。また、アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられ、潮解性もなく、化学的に安定な酸化アルミニウムの使用が好ましい。さらに、ユーロピウム化合物としては、酸化ユーロピウム、塩化ユーロピウム、蓚酸ユーロピウム、硫化ユーロピウム、硫酸ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、ユーロピウムアルコキシドなどが挙げられる。ディスプロシウム化合物としては、酸化ディスプロシウム、塩化ディスプロシウム、蓚酸ディスプロシウム、硫化ディスプロシウム、硫酸ディスプロシウム、硝酸ディスプロシウム、ディスプロシウムアルコキシドなどが挙げられる。ネオジウム化合物としては、酸化ネオジウム、塩化ネオジウム、蓚酸ネオジウム、硫化ネオジウム、硫酸ネオジウム、硝酸ネオジウムなどが挙げられる。
本発明においては、上記各原料として少なくとも一つの金属窒化物を含むことを特徴としている。例えば、アルミニウム化合物として、酸化アルミニウムを主成分とし、このものに一部窒化アルミニウムを混合して用いたりする。窒化物の使用量は、窒化物中に含まれる窒素を原料の総量に対して0.05〜10重量%にすることが好ましい。窒化物の量が、上記範囲より少ないと生成するアルミン酸ストロンチウムの蓄光性をより一層向上させることが困難となり、一方、上記範囲より多く窒化物を使用しても、更なる蓄光性の向上は望み難い。
次いで、窒化物を含む上記原料を混合した後、非酸化性雰囲気で加熱焼成してユーロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末を得る。加熱焼成の雰囲気は非酸化性であって、例えば、窒素、アルゴン、ネオン、クリプトン等の不活性雰囲気や、それらと水素やアンモニアとを、混合した還元性雰囲気が挙げられる。なかでも、水素:窒素(モル比)で0:1〜1:0の不活性雰囲気若しくは還元性雰囲気が好ましく、より好ましくは0.001:0.9999〜0.5:0.5の還元性雰囲気である。また、加熱焼成温度は、600℃〜1700℃の温度であればよいが、好ましくは900℃〜1600℃、より好ましくは1100℃〜1500℃の温度である。
本発明の製造方法において、上記原料に、更に融剤としてのホウ素化合物を含むものを用いると、加熱焼成時に粒子成長が促進され、生成するアルミン酸ストロンチウムの蓄光特性をより一層向上させることができる。用いることのできるホウ素化合物としては、ホウ酸、酸化ホウ素等が挙げられる。融剤として用いるホウ素化合物の使用量は、原料の総量に対して多くても20重量%が好ましく、10重量%より少ないとより好ましい。融剤の添加量が多いと焼結が進み塊状粒子となるため、粉砕の負荷を上げる必要があり、粉砕による残光輝度の低下を招くことになるので、本発明品において、できるだけ融剤の添加量は少ないことが望ましい。
融剤による焼結を嫌って融剤を用いないで焼成すると焼結が進まないので軽い粉砕で粒度の揃った粉体を得ることができるが、残光の輝度が低く実用に供することができない。しかしながら、本発明に従い焼成前に窒化物を添加するとその蓄光特性が大きく向上し、融剤を添加しなくても実用上有用なレベルの蓄光特性を有する微粒子のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を得ることができる。しかも、この場合は、融剤による焼結が発生しないので、軽い粉砕のみで蓄光材料として粒子径が小さく粒度の揃ったもの(例えば、2μmより小さいもの)が容易に得られ、樹脂系、塗料系での分散性に有利な粒子径を有する蓄光材料を製造することができる。
加熱焼成によって得られた本発明のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料は、使用目的に応じて、適宜、公知の方法により粉砕処理して粒度を整えることができる。例えば、ピンミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、バンタムミル粉砕等、一般的な粉砕方法を採用することができる。また、融剤を用いることなく原料粉末の混合物を加熱焼成して蓄光材料を得る場合は、加熱焼成時の粒子成長は抑制されているため、解砕程度の弱い粉砕条件に設定することも可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。先ず、共賦活剤としてディスプロシウムを用い、融剤を使用しなかった例を示す。
実施例1
5.79gの炭酸ストロンチウム(SrCO)、0.0704gの酸化ユーロピウム(Eu)、0.0746gの酸化ディスプロシウム(Dy)、4.04gの酸化アルミニウム(α−Al)及び0.0328gの窒化アルミニウム(AlN)を、自動メノウ乳鉢を用いて10分間、粉砕・混合した。原料粉末の配合割合は、モル比で表してSr:Eu:Dy:Al=0.98:0.01:0.01:2である。また、窒化物(窒化アルミニウム)の配合量は、窒化物中の窒素を原料の総量に対して0.11重量%含む量であり、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合は、モル比で表してAl:AlN=99:2である。次いで、得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、水素:窒素=3体積%:97体積%の弱還元性雰囲気下、1400℃の温度で2時間加熱焼成した。焼成物を乳鉢で5分間粉砕して、本発明の蓄光材料(試料A)を得た。
実施例2
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=97:6とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料B)を得た。
実施例3
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=96:8とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料C)を得た。
実施例4
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=95:10とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料D)を得た。
実施例5
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=94:12とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料E)を得た。
実施例6
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=92.5:15とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料F)を得た。
実施例7
酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合を、モル比で表してAl:AlN=90:20とした以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料G)を得た。
実施例8
弱還元性雰囲気を、アンモニア:窒素=3体積%:97体積%とし、1400℃の温度で2時間加熱焼成した以外は、全て実施例1と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料H)を得た。
比較例1
実施例1において、酸化アルミニウム4.04g及び窒化アルミニウム0.0328gの使用に代えて、4.08gの酸化アルミニウムを使用した以外は、実施例1と同様に処理して比較試料の蓄光材料(試料I)を得た。なお、原料粉末の配合割合は、実施例1と同様、Sr:Eu:Dy:Al=0.98:0.01:0.01:2である。
実施例2、4及び7で得られた試料B、D及びGについては以下の方法で窒素量の測定を行った。
(窒素の分析方法)
黒鉛ルツボを抽出炉にセットし、ヘリウムガス雰囲気中で電流を通じ、ジュール熱により黒鉛ルツボを空焼し脱ガスを行った。次に試料を脱ガスした黒鉛ルツボに入れ、高温で加熱融解させた。試料中の含有窒素は窒素ガスとなり、このガスを熱伝導度検出器に導いて窒素ガス濃度を検出した。分析結果を表1にまとめて示す。
尚、装置は不活性ガス搬送融解熱伝導度法測定装置(Leco TC-436AR:Leco社製)を用いた。
また実施例1〜8及び比較例1で得られた試料A〜IをX線回折分析測定装置(RINT1000:株式会社リガク製)を用いて、粉末X線回折分析したところ、何れの試料もスタッフド・トリジマイト構造を有しているものの、(−211)面の面間隔は、本発明の試料A〜Hでは0.3120nm〜0.3140nmの範囲にあったのに対し、比較試料Iでは0.3144nmであった。測定結果を表1にまとめて示す。
さらに、実施例1〜8及び比較例1で得られた試料A〜Iの蓄光特性(残光輝度)を以下のようにして評価した。
(残光輝度の測定方法)
D65ランプを用い、200ルクスの照度で試料を3分間光照射し、その後光照射を停止し10分後の輝度を、ホトセンサ−を用いて測定した。その結果、比較試料Iの残光輝度を100とする相対強度で表すと、本発明の試料A〜Hの残光輝度は280以上となった。測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 2005330477
上記のとおり、ディスプロシウムで共賦活した場合について、本発明のユーロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウムは格子が縮んだスタッフド・トリジマイト構造を有しており、また、窒化物の使用量が増加するにしたがって残存窒素量も増加し、それに起因して蓄光特性が向上し、高輝度で長残光を示すことがわかった。
次に、共賦活剤としてネオジウムを用い、融剤を使用しなかった例を示す。
実施例9
5.79gの炭酸ストロンチウム(SrCO)、0.0704gの酸化ユーロピウム(Eu)、0.0673gの酸化ネオジウム(Nd)、3.96gの酸化アルミニウム(α−Al)及び0.0984gの窒化アルミニウム(AlN)を、自動メノウ乳鉢を用いて10分間、粉砕・混合した。原料粉末の配合割合は、モル比で表してSr:Eu:Nd:Al=0.98:0.01:0.01:2である。また、窒化物(窒化アルミニウム)の配合量は、窒化物中の窒素を原料の総量に対して0.34重量%含む量であり、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合は、モル比で表してAl:AlN=97:6である。次いで、得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、水素:窒素=3体積%:97体積%の弱還元性雰囲気下、1400℃の温度で2時間加熱焼成した。焼成物を乳鉢で5分間粉砕して、本発明の蓄光材料(試料J)を得た。
比較例2
実施例9において、酸化アルミニウム3.96g及び窒化アルミニウム0.0984gの使用に代えて、4.08gの酸化アルミニウムを使用した以外は、実施例9と同様に処理して比較試料の蓄光材料(試料K)を得た。なお、原料粉末の配合割合は、実施例1と同様、Sr:Eu:Dy:Al=0.98:0.01:0.01:2である。
実施例9及び比較例2で得られた試料J及びKについて、先に示した方法で、(−211)面の面間隔の測定と残光輝度の測定を行った。測定結果を表2にまとめて示す。残光輝度は、試料Kの値を100とする相対強度で表す。
Figure 2005330477
上記のとおり、ネオジウムで共賦活した場合について、本発明のユーロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウムは格子が縮んだスタッフド・トリジマイト構造を有しており、それに起因して蓄光特性が向上し、高輝度で長残光を示すことがわかった。
さらに、共賦活剤としてディスプロシウムを用い、融剤としてホウ酸を添加した場合について示す。
実施例10
5.67gの炭酸ストロンチウム(SrCO)、0.141gの酸化ユーロピウム(Eu)、0.149gの酸化ディスプロシウム(Dy)、4.00gの酸化アルミニウム(α−Al)及び0.0656gの窒化アルミニウム(AlN)を、自動メノウ乳鉢を用いて10分間、粉砕・混合した。その際0.198gの硼酸を融剤として添加した。原料粉末の配合割合は、モル比で表してSr:Eu:Dy:Al=0.96:0.02:0.02:2である。窒化物(窒化アルミニウム)の配合量は、窒化物中の窒素を原料の総量に対して0.22重量%含む量であり、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの配合割合は、モル比で表してAl:AlN=98:4である。また硼酸は、炭酸ストロンチウム対するモル比で0.08である。次いで得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、水素:窒素=3体積%:97体積%の弱還元性雰囲気下、1400℃の温度で2時間加熱焼成した。焼成物を乳鉢で5分間粉砕して、本発明の蓄光材料(試料L)を得た。
実施例11
原料に含まれるストロンチウムとユーロピウム、ディスプロシウム、アルミニウムの配合割合を、モル比で表してSr:Eu:Dy:Al=0.94:0.02:0.04:2とした以外は、全て実施例9と同様に処理して、本発明の蓄光材料(試料M)を得た。
比較例3
実施例10において、酸化アルミニウム4.00g及び窒化アルミニウム0.0656gの使用に代えて、4.08gの酸化アルミニウムを使用した以外は、実施例10と同様に処理して比較試料の蓄光材料(試料N)を得た。なお、原料粉末の配合割合は、実施例10と同様、Sr:Eu:Dy:Al=0.96:0.02:0.02:2である。
実施例10、11及び比較例3で得られた試料L〜Nについて、先に示した方法で、(−211)面の面間隔の測定と残光輝度の測定を行った。測定結果を表3に示す。残光輝度は、試料Nの値を100とする相対強度で表す。
Figure 2005330477
上記のとおり、融剤として硼酸を添加した場合にも、ディスプロシウムで共賦活した場合について、本発明のユーロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウムは、格子が縮んだスタッフド・トリジマイト構造を有しており、それに起因して蓄光特性が向上し、高輝度で長残光を示すことがわかった。
さらに、実施例及び比較例で得られた試料について、比表面積測定装置(MS−18:クウォンタムクローム社製)を用いた比表面積の測定や、走査型電子顕微鏡(S−3200N:株式会社日立製作所製)による観察を行った。融剤を用いずに作成した場合は、実施例、比較例ともに比表面積は1.0m/g程度であったのに対し、融剤を用いた場合は0.3m/g程度であった。また、電子顕微鏡観察では、融剤を用いずに作成した試料は、粒度分布が狭く、何れも1.0μm程度の平均粒子径を有していた。一方、融剤を用いた場合は、10μm程度の大粒子がメインであることがわかった。
本発明のアルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末は、より一層高輝度で長残光性を有しているため、これまでの生活用品、弱照明夜間標識看板、時計などの分野で広く用いることができる。更に、融剤を添加しない場合には、粒度の整った微細な粒子を得ることができるため、塗料化し易く、平滑性にも優れた塗膜を得ることが期待される。
試料Mの粒子形状を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率3000倍)である。 試料Nの粒子形状を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率3000倍)である。

Claims (9)

  1. 賦活剤としてのユーロピウムと、共賦活剤としてのディスプロシウム及び/又はネオジウムとを含むアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料であって、窒素を少なくとも0.050wt%含むことを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料。
  2. 母体結晶がSrAlで表されるスタッフド・トリジマイト構造を有し、(−211)面の面間隔が0.3120〜0.3140nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料。
  3. 賦活剤をストロンチウムに対して0.002〜20モル%含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料。
  4. 共賦活剤をストロンチウムに対して0.002〜20モル%含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料。
  5. ストロンチウム化合物、アルミニウム化合物、ユーロピウム化合物並びにディスプロシウム化合物及び/又はネオジウム化合物を含む原料を混合した後、非酸化性雰囲気で加熱焼成してアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料を製造する方法において、原料に少なくとも一つの金属窒化物を含むことを特徴とするアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法。
  6. 金属窒化物が、ストロンチウム、アルミニウム、ユーロピウム、ディスプロシウム及びネオジウムから選ばれる少なくとも一種の金属の窒化物であることを特徴とする請求項5に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法。
  7. 窒化物が窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項5に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法。
  8. 窒化物中に含まれる窒素を原料の総量に対して0.05〜10wt%含むことを特徴とする請求項5に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法。
  9. 原料に更にホウ素化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載のアルミン酸ストロンチウム系蓄光材料の製造方法。
JP2005121105A 2004-04-20 2005-04-19 アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4829524B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005121105A JP4829524B2 (ja) 2004-04-20 2005-04-19 アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004124736 2004-04-20
JP2004124736 2004-04-20
JP2005121105A JP4829524B2 (ja) 2004-04-20 2005-04-19 アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005330477A true JP2005330477A (ja) 2005-12-02
JP4829524B2 JP4829524B2 (ja) 2011-12-07

Family

ID=35485355

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005121105A Expired - Fee Related JP4829524B2 (ja) 2004-04-20 2005-04-19 アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4829524B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116285964A (zh) * 2023-03-28 2023-06-23 阳山金淘精密制品有限公司 一种Li+掺杂的长余辉发光材料、Li+掺杂的长余辉发光材料制备方法及其应用

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0711250A (ja) * 1993-04-28 1995-01-13 Nemoto Tokushu Kagaku Kk 蓄光性蛍光体
JPH09208948A (ja) * 1996-02-05 1997-08-12 Nemoto Tokushu Kagaku Kk 長残光性蛍光体の製造方法
JPH1036833A (ja) * 1996-07-17 1998-02-10 Nec Kansai Ltd 透光性長残光蛍光体の製造方法
JPH11140439A (ja) * 1997-11-07 1999-05-25 Nippon Chem Ind Co Ltd 蓄光性蛍光体
JP2001107042A (ja) * 1999-10-04 2001-04-17 Shoei Kk 蛍光体粉末の製造方法
JP2001271064A (ja) * 2001-01-22 2001-10-02 Nemoto & Co Ltd 蓄光性蛍光体
JP2002146346A (ja) * 2000-11-13 2002-05-22 Minolta Co Ltd 希土類元素を含むアルミン酸塩の薄膜およびその作製方法ならびに蓄光性光学素子
JP2005232414A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末及びその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0711250A (ja) * 1993-04-28 1995-01-13 Nemoto Tokushu Kagaku Kk 蓄光性蛍光体
JPH09208948A (ja) * 1996-02-05 1997-08-12 Nemoto Tokushu Kagaku Kk 長残光性蛍光体の製造方法
JPH1036833A (ja) * 1996-07-17 1998-02-10 Nec Kansai Ltd 透光性長残光蛍光体の製造方法
JPH11140439A (ja) * 1997-11-07 1999-05-25 Nippon Chem Ind Co Ltd 蓄光性蛍光体
JP2001107042A (ja) * 1999-10-04 2001-04-17 Shoei Kk 蛍光体粉末の製造方法
JP2002146346A (ja) * 2000-11-13 2002-05-22 Minolta Co Ltd 希土類元素を含むアルミン酸塩の薄膜およびその作製方法ならびに蓄光性光学素子
JP2001271064A (ja) * 2001-01-22 2001-10-02 Nemoto & Co Ltd 蓄光性蛍光体
JP2005232414A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116285964A (zh) * 2023-03-28 2023-06-23 阳山金淘精密制品有限公司 一种Li+掺杂的长余辉发光材料、Li+掺杂的长余辉发光材料制备方法及其应用
CN116285964B (zh) * 2023-03-28 2024-04-12 阳山金淘精密制品有限公司 一种Li+掺杂的长余辉发光材料、Li+掺杂的长余辉发光材料制备方法及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4829524B2 (ja) 2011-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9062251B2 (en) Phosphor particles, light-emitting diode, and illuminating device and liquid crystal panel backlight device using them
JP5549001B2 (ja) 蛍光体とその製造方法
JP4762892B2 (ja) α型サイアロン及びその製造方法
JP4362625B2 (ja) 蛍光体の製造方法
JP3921545B2 (ja) 蛍光体とその製造方法
US8865022B2 (en) Phosphor particles and making method
JP2009096882A (ja) 蛍光体とその製造方法
JP2009010315A (ja) 蛍光体の製造方法、発光装置および画像表示装置
JPWO2007099862A1 (ja) 蛍光体とその製造方法および発光器具
WO2006101095A1 (ja) 蛍光体とその製造方法
JP2009167328A (ja) 蛍光体とその製造方法および発光器具
JP2007262417A (ja) 蛍光体
JP2006321921A (ja) α型サイアロン蛍光体とそれを用いた照明器具
JP3975451B2 (ja) 蛍光体を用いた照明器具および画像表示装置
JP2007113019A (ja) 蛍光体の製造方法
Salim et al. The local structure of phosphor material, Sr2MgSi2O7 and Sr2MgSi2O7: Eu2+ by infrared spectroscopy
JP2004323656A (ja) 球形状蓄光材の製造方法および球形状蓄光材
JP4829524B2 (ja) アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法
WO2005103197A1 (ja) アルミン酸ストロンチウム系蓄光材料及びその製造方法
JP7037082B2 (ja) 希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置
JP2005179399A (ja) アルミン酸塩系微粒子蓄光粉末の製造方法
JP3599913B2 (ja) 蓄光材用アルミン酸塩系蛍光体の製造方法
JP2005232414A (ja) アルミン酸ストロンチウム系蓄光粉末及びその製造方法
US6716524B2 (en) Rare earth borate and making method
RU2236434C2 (ru) Фотонакопительный люминофор и способ его получения

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110830

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110916

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4829524

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees