JP2005329725A - 熱転写受像シート - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電防止性及び腐食防止性に加えて、耐熱性、被膜性、スリップ性等に優れ、サーマルヘッドの走行性が良好で且つサーマルヘッドに滓が溜まったり、サーマルヘッドが摩耗したりしない良好な帯電防止性(及び耐熱滑性層)を有する熱転写シート等に有用な帯電防止性塗膜を提供すること。
【解決手段】基材シートの一方の面に帯電防止層を介して染料受容層が形成されてなる熱転写受像シートにおいて、上記帯電防止層中にスルホン化ポリアニリンが0.01〜1.0μmの粒子として存在することを特徴とする熱転写受像シート。
【選択図】なし

Description

本発明は帯電防止性塗膜と該帯電防止性塗膜を応用した熱転写シートやOHPフイルム等に関し、更に詳しくは特定の材料からなる優れた帯電防止性を有する新規な帯電防止性塗膜、該帯電防止性塗膜を応用した熱転写シートやOHPフイルム等に関する。
従来、電子部品の包装材料、OHPフイルム、熱転写シート等の如く、種々のフイルム素材や樹脂成形品においては、静電気の帯電による問題が常に存在している。フイルム素材の帯電防止方法としては種々の方法が提案されており、その主たるものはカチオン性界面活性剤を帯電防止剤として使用するものである。この方法は簡便な方法であるが、帯電防止効果の持続性等が不十分であるという問題がある。
以下、フイルム素材の代表例として熱転写シートについて説明する。
熱転写シートは、ポリエステルフイルム等の一方の面に昇華性染料とバインダーとからなる染料層を設けた昇華型熱転写シートと、該染料層の代わりに顔料とワックスとからなるインキ層を設けた熱溶融型の熱転写シートが知られている。これらの熱転写シートはその背面からサーマルヘッドによって画像状に加熱され、染料層の染料又はインキ層を被転写材に転写させ画像を形成するものである。
上記熱転写シートによりサーマルヘッドで画像形成を行う場合、基材フイルムがポリエステルフイルム等の熱可塑性フイルムである場合には、サーマルヘッドが当接する面の表面固有抵抗値が1014(Ω)以上と高いため、画像形成時に静電気が発生し、帯電し易いという問題がある。
熱転写シートが帯電するとその表面に埃等が付着し易く、その結果サーマルヘッドに埃等が付着し、形成される画像の解像性が低下するという問題がある。又、同様に紙等の被転写材も帯電し、被転写材の搬送性に問題が生じる。更に甚だしい場合には、熱転写ロールや被転写材の交換や挿入時にスパークしたり、人体に衝撃を与える場合がある。
このような問題を解決する方法として、熱転写シートの背面に帯電防止層を形成することが知られている。帯電防止層を界面活性剤等で形成する場合には、熱転写シートにベタつきが発生したり、熱転写シートをロール状に巻いた場合、帯電防止剤が色材層に移行したり、逆に色材が背面に移行したりするという問題がある。更にこれらの問題に付随して、帯電防止層の帯電防止効果が経時的に低下するという問題がある。
別の方法として導電性カーボンブラック等の導電剤とバインダーとを用いて導電層を形成する方法もあるが、この場合にはサーマルヘッドの摩耗が激しく、又、黒色以外の熱転写シートの場合には全体が黒色となり、外観に劣るだけでなく、熱転写シートに形成されている検知マークの検知が困難になるという問題がある。
上記の如き問題を解決する方法として、第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂によって帯電防止層を形成する方法も提案されている(特開平2−182491号公報参照)が、第4級アンモニウム塩基のアニオンは、通常塩素イオン又は臭素イオンであり、これらのハロゲンイオンによってサーマルヘッドが著しく腐食されるという別の問題が発生する。
又、別の問題としてサーマルヘッドは高温に加熱されているため、サーマルヘッドが基材フイルムに融着し、サーマルヘッドの良好な走行性が阻害され、熱転写シートに破損、皺等が発生するという問題がある。このような問題は上記の第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂からなる耐熱滑性層では解決されない。
これらの問題を解決する方法として、サーマルヘッドの接触面に耐熱性の樹脂からなる背面層を形成する方法が知られているが、耐熱性の樹脂からは、感度を低下させることがない程度の薄い被膜を形成することが困難である。又、形成することができたとしてもサーマルヘッドのスリップ性が不十分であり、サーマルヘッドの走行性が満足できない。
一方、シリコーンオイルやシリコーンワックスを用いてスリップ層を形成することも知られているが、これらのシリコーンオイルやワックスは膜強度が低く、走行するサーマルヘッドによって削り取られ、サーマルヘッドに滓となって溜まり、良好な印字性が得られないという問題がある。
従って、本発明の目的は、帯電防止性及び腐食防止性に加えて、耐熱性、被膜性、スリップ性等に優れ、サーマルヘッドの走行性が良好で且つサーマルヘッドに滓が溜まったり、サーマルヘッドが摩耗したりしない良好な帯電防止性(及び耐熱滑性層)を有する熱転写シート等に有用な帯電防止性塗膜を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基材シートの一方の面に帯電防止層を介して染料受容層が形成されてなる熱転写受像シートにおいて、上記帯電防止層中にスルホン化ポリアニリンが0.01〜1.0μmの粒子として存在することを特徴とする熱転写受像シートである。
以下、本発明の代表例として熱転写シートについて説明する。熱転写シートの基材フイルムと耐熱滑性層との間のプライマー層に有機導電性材料を含有させることによって帯電防止性に優れ且つサーマルヘッドを腐食しない耐熱滑性層を有する熱転写シートが提供される。
更に好ましい実施形態では、耐熱滑性層を、ポリビニルブチラールの如き水酸基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとの反応物、又はアクリル変性ポリビニルブチラールから形成することによって、上記帯電防止性及び腐食防止性に加えて、被膜性、スリップ性等に優れ、サーマルヘッドの走行性が良好で且つサーマルヘッドに滓が溜まったり、サーマルヘッドが摩耗したりせず、且つ良好な帯電防止性を有する耐熱滑性層を有する熱転写シートを提供することができる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明の熱転写シートで使用する基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、0.5〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さの紙、各種加工紙、ポリエステルフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリサルホンフイルム、アラミドフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、セロファン等であり、特に好ましいものはポリエステルフイルムである。これらの基材シートは枚葉式であってもよいし、連続フイルムであってもよく特に限定されない。これらの中で特に好ましいものはポリエチレンテレフタレートフイルムであり、又、必要に応じて該フイルムの一方の面又は両面に夫々帯電防止層や接着層を形成することも好ましい。
上記基材シートの一方の面に形成する帯電防止性プライマー層は、基材フイルムと耐熱滑性層の両方に良好な接着性を有するバインダーと帯電防止剤としての有機導電性材料を主体として形成する。
上記バインダーとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂等が挙げられるが、これらの中ではカルボキシル基を有する水溶性若しくは水分散性ポリエステル樹脂が、基材に対する密着性、スルホン化ポリアニリンとの相溶性、耐熱滑性層に対する密着性等の点で特に好ましく、例えば、日本合成化学工業(株)等からポリエスターWR−961等の商品名で入手して本発明で使用することができる。
帯電防止剤として使用する有機導電性材料としては、π電子共役系構造を有する導電性高分子材料が好ましく、具体的には例えばスルホン化ポリアニリン、化学的にドーピングしたポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、化学的に重合とドーピングしたポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、熱処理により生成したフェノール樹脂の熱処理物、ポリアミドの熱処理物、ペリレン酸無水物の熱処理物等が挙げられる。
上記有機導電性材料として特にスルホン化ポリアニリンが有用である。スルホン化ポリアニリンとしては、種々のものが知られているが、1例として下記構造で表わされるスルホン化ポリアニリンが挙げられる。
Figure 2005329725
(上記式においてx、y及びnは、分子量が約300〜10,000になる値である。)
上記スルホン化ポリアニリンは水又はアルカリ水を含む溶媒中に可溶であり、分子内塩又はアルカリ塩を形成して溶解する。これらのスルホン化ポリアニリンは、例えば、日東化学工業(株)からアクア−SAVE−01Zの商品名で、且つ水溶液、水分散液や水と有機溶剤との混合溶媒の溶液或いは分散液として入手して本発明で使用することができる。これらの溶液又は分散液は黄色を帯びた溶液又は分散液であるが、濃度が低い場合には殆ど無色の溶液又は分散液である。
本発明における帯電防止層(プライマー層)は、上記バインダーと上記有機導電性材料を主成分として形成され、形成方法としては水を含む溶媒、例えば、水と、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤との混合物に前記バインダー及び前記有機導電性材料を溶解又は分散した塗工液を作製する。この塗工液には、塗工時における基材シートの濡れ性向上のために界面活性剤や、気泡を抑制するための消泡剤等の任意の添加剤を添加することができる。特に界面活性剤としては燐酸エステル系の界面活性剤の使用が好ましい。
帯電防止層用塗工液の組成としては、バインダー樹脂約2〜10重量%、好ましくは4〜4.75重量%、有機導電性材料(固形分)約0.1〜5重量%、好ましくは0.25〜1重量%、界面活性剤約0〜2重量%、好ましくは0.2〜1重量%及び残量の溶媒からなる組成が好ましい。特に帯電防止剤がスルホン化ポリアニリンである場合には、帯電防止層用塗工液中におけるスルホン化ポリアニリンが0.01〜1.0μmの粒子として存在するように溶媒組成を選択することによって最も優れた帯電防止効果が得られる。
即ち、スルホン化ポリアニリンは水溶性であるが、水溶性有機溶剤には不溶性であり、塗工液の調製に際して水と水溶性有機溶剤との混合比を調節し、場合によっては適当な界面活性剤を併用することによって、スルホン化ポリアニリンを微細な粒子の分散状態とすることができる。液媒体としての水と有機溶剤との混合比によって塗工液中のスルホン化ポリアニリンの粒度分布が異なることを図1〜3に示す。
図1及び図2の粒度分布を有するスルホン化ポリアニリンを含む塗工液は優れた塗布適性とともに優れた帯電防止効果を有するプライマー層を与える。一方、図3に示す粒度分布を有するスルホン化ポリアニリンを含む塗工液は優れた帯電防止効果を有する被膜を与えるが、塗布適性において塗工条件の選択や塗工機に選択が必要となる。
帯電防止層の形成は上記塗工液を基材シートの一方の面に、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工方式で塗工及び乾燥して形成される。
塗工量は塗工液の固形分として約0.02〜1.0g/m2、好ましくは約0.07〜0.2g/m2の範囲であり、塗工量が上記範囲未満であると、帯電防止層及びプライマー層としての性能が不十分であり、一方、塗工量が上記範囲を超えても、その厚みに比例して上記性能が向上する訳ではないので、経済的に不利であるばかりでなく、サーマルヘッドから熱転写性色材層への熱伝導性が低下するので好ましくない。
本発明では、上記の帯電防止層(プライマー層)の表面に熱可塑性樹脂から耐熱滑性層を形成する。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂或はこれらのシリコーン変性物等が用いられ、これらの中で好ましい樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂及びポリアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂或はこれらのシリコーン変性物の如くイソシアネート基と反応する水酸基を有する樹脂である。
本発明の好ましい実施形態では、耐熱滑性層に耐熱性、塗膜性及び帯電防止層との密着性を付与させる目的でポリイソシアネートを架橋剤として併用することが好ましい。これらのポリイソシアネートとしては従来公知の塗料、接着剤、ポリウレタンの合成等に使用されているいずれのポリイソシアネートでもよい。これらのポリイソシアネート化合物は、例えば、タケネート(武田薬品製)、バーノック(大日本インキ化学製)、コロネート(日本ポリウレタン製)、ヂュラネート(旭化成工業製)、ディスモジュール(バイエル製)等の商品名で入手して本発明で使用することができる。
ポリイソシアネートの添加量は、耐熱滑性層を構成する樹脂バインダー100重量部に対し5〜200重量部の範囲が適当である。NCO/OHの比では0.8〜2.0程度の範囲が好ましい。ポリイソシアネートの含有量が少なすぎると架橋密度が低く耐熱性が不十分で、一方、多すぎると形成される塗膜の収縮が制御できない、硬化時間が長くなる、未反応のNCO基が耐熱滑性層中に残存し空気中の水分と反応する等マイナスに働く。
上記のポリイソシアネートを架橋剤として使用して耐熱滑性層を形成する方法は、前記通常の熱可塑性樹脂から形成した耐熱滑性層に比べて、耐熱性等の諸物性に優れているが、上記ポリイソシアネートを使用する方法では、ポリイソシアネートによる架橋を十分にするために熟成処理(例えば、60℃のオーブン中に5日間保持等)が要求され、熱転写シートの生産計画、熟成中の熱転写シートの保管場所の確保等に問題がある。又、通常の紫外線及び電子線等の電離放射線硬化性樹脂(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等)を用いて耐熱滑性層を形成した場合には、耐熱滑性層の架橋密度が低いと耐熱性が劣り、一方、架橋密度が高いと形成される層の柔軟性が劣る欠点がある。
以上の如き問題点は、耐熱滑性層の形成に使用する樹脂として、アクリル変性ポリビニルブチラールを使用することによって解決される。
アクリル変性ポリビニルブチラールとは、ポリビニルブチラール中の残存している水酸基を利用して、分子中に更に(メタ)アクリロイル基を導入した樹脂である。該樹脂の1例を構造式で表すと以下の通りである。
Figure 2005329725
上記式中におけるXは水素原子又はアセチル基を表し、Yは(メタ)アクリロイル基を有する基である。該(メタ)アクリロイル基は、芳香族、脂肪族、脂環族等の連結基を介してポリビニルブチラールの水酸基に結合したものでもよい。又、式中のl(エル)とmとnとの合計を100とした場合に、lは40〜85、mは0〜10、nは15〜50の整数であり、全体の分子量としては、約3万〜20万のものが好ましい。
以上の如く、従来のポリビニルブチラール樹脂中に残存している水酸基を利用して、分子中に多数の(メタ)アクリロイル基を導入したアクリル変性ポリビニルブチラールによって熱転写シートの耐熱滑性層を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用できるために、層を形成した後の熟成処理は不要となり、しかも高架橋密度でありながら柔軟性及び耐熱性に優れた耐熱滑性層を形成することができる。
上記のアクリル変性ポリビニルブチラールは、ポリビニルブチラール樹脂を溶解可能な溶剤、例えば、ケトン、セルソルブ、DMSO等に溶解させ、この溶液を撹拌させながら、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸又はその誘導体を滴下及び反応させることにより、イソシアネート基が、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中に(メタ)アクリロイル基を導入することができる。この際使用するイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸化合物の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で、水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。
又、別の製造方法としては、ポリビニルブチラール樹脂を溶解可能な溶剤、例えば、ケトン、セルソルブ、DMSO等に溶解させ、この溶液を撹拌させながら、(メタ)アクリル酸クロライド又はその誘導体を滴下及び反応させることにより、酸クロライド基がポリビニルブチラール樹脂の水酸基と反応してエステル結合を生じ、該エステル結合を介して樹脂中に(メタ)アクリル酸化合物の残基を導入することができる。この際使用する(メタ)アクリル酸クロライド又はその誘導体の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂の水酸基と酸クロライド基との比率で、水酸基1モル当たり酸クロライド基が0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。
次に上記アクリル変性ポリビニルブチラール樹脂の製造例を示す。
製造例1
温度計、撹絆機、滴下ロート及び冷却管を取付けた四つ口フラスコに、ポリビニルブチラール(エスレックBX−1、積水化学製)2.5g、メチルエチルケトン97g及びジブチルチンジラウレート0.03gを仕込み、内温を50℃にして撹絆した。
これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工)1.07gを滴下した。滴下後、50℃で加熱反応を行ない、アクリル変性ポリブチラール−1を得た。反応は、反応液のイソシアネート量を逆滴定分析により測定し、仕込んだイソシアネートが90%以上反応していることを確認して終了とした。
製造例2
製造例1と同様に、反応器にポリビニルブチラール(エスレックBX−1)2.5g、MEK97g及びトリエチルアミン0.68gを仕込み、内温を60℃にして撹絆した。
これにアクリル酸クロリド(東京化成)1.06gを滴下し、滴下後60℃で加熱反応を行ない、反応終了後析出したトリエチルアミン塩酸塩を遠心分離器にて取り除き、アクリル変性ポリビニルブチラール−2を得た。
製造例3
製造例1と同様に、反応器にポリビニルブチラール(エスレックBX−1)2.5g及びMEK97gを仕込み、内温を50℃にして撹絆した。これにメタクリロイルイソシアネート(MAI、日本ペイント)2.93gを滴下し、滴下後50℃で加熱反応を行ない、アクリル変性ポリビニルブチラール−3を得た。
製造例4
製造例1と同様に、反応器にポリビニルブチラール(エスレックBL−SH、積水化学)2.5g、MEK97g及びジブチルチンジラウレート0.03gを仕込み、内温を50℃にして撹絆した。これに、カレンズMOIの0.65gを滴下し、滴下後50℃で加熱反応を行ない、アクリル変性ポリビニルブチラール−4を得た。
又、本発明では上記の材料から耐熱滑性層を形成するに当り、耐熱滑性層のスリップ性を向上させる目的でワックス、高級脂肪酸アミド、エステル、界面活性剤等の熱離型剤や滑剤或いはフッ素樹脂のような有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子を包含させることができる。
耐熱滑性層を形成するには、上記の如き材料をアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の適当な溶剤中に溶解又は分散させて塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工手段により塗工及び乾燥し、次いで加熱処理又は電離放射線処理によって架橋処理することによって形成される。
その塗工量即ち耐熱滑性層の厚みも重要であって、本発明では固形分基準で2.0g/m2以下、好ましくは0.1〜1.0g/m2の厚みで充分な性能を有する耐熱滑性層を形成することができる。
上記基材シートの一方の面に形成する色材層としては、昇華型熱転写シートの場合には昇華性の染料を含む層を形成し、一方、熱溶融型の熱転写シートの場合には顔料で着色したワックスインキ層を形成する。以下昇華型熱転写シートの場合を代表例として説明するが、本発明は昇華型熱転写シートにのみ限定されるものではない。
染料層に使用する染料としては、従来公知の熱転写シートに使用されている染料はいずれも本発明に有効に使用可能であり特に限定されない。例えば、幾つかの好ましい染料としては、赤色染料として、MS Red G、 Macrolex Red Violet R、CeresRed7B、 Samaron Red HBSL、 Resolin Red F3BS等が挙げられ、又、黄色の染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL、 PTY-52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、又、青色染料としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP-FW、ホロンブリリアントブルーS-R、 MSブルー100 等が挙げられる。
上記の如き染料を担持するためのバインダー樹脂として好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、これらの中では、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系及びポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましいものである。
染料層は、前記の基材シートの一方の面に、以上の如き染料及びバインダーに必要に応じて添加剤、例えば、離型剤等を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解したり或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗布及び乾燥して形成することができる。
このようにして形成する染料層は0.2〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度の厚さであり、又、染料層中の昇華性染料は、染料層の重量の5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量で存在するのが好適である。
形成する染料層は所望の画像がモノカラーである場合は前記染料のうちから1色を選んで形成し、又、所望の画像がフルカラー画像である場合には、例えば、適当なシアン、マゼンタ及びイエロー(更に必要に応じてブラック)を選択して、イエロー、マゼンタ及びシアン(更に必要に応じてブラック)の染料層を形成する。
上記の如き熱転写シートを用いて、画像を形成するために使用する受像シートは、その記録面が前記の染料に対して染料受容性を有するものであればいかなるものでもよく、又、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、合成樹脂等である場合には、その少なくとも一方の表面に染料受容層を形成すればよい。又、熱溶融型の熱転写シートの場合には、被転写材は特に限定されず、通常の紙やプラスチックフイルムであってもよい。いずれの受像シートにおいても帯電防止性を必要とする場合には、受像シートに本発明の帯電防止被膜を適用することができる。
上記の熱転写シート及び上記の如き受像シートを使用して熱転写を行う際に使用するプリンターとしては公知の熱転写プリンターがそのまま使用可能であり、特に限定されない。
尚、以上の説明では、耐熱滑性層が帯電防止層(プライマー層)を介して基材シートに形成されている例を挙げて本発明を説明したが、基材シートに易接着処理が施されていたり、耐熱滑性層の基材シートに対する密着性が良好である場合には、帯電防止剤である有機導電性材料は、前記帯電防止層に添加すると同様な方法で耐熱滑性層に添加して、耐熱滑性層に帯電防止性を付与することも可能である。
又、本発明の帯電防止性塗膜は、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用の記録シートにも応用することができる。OHPに関しては、基材シートの少なくとも一方の面に、前述した帯電防止層(但し透明若しくは半透明の有機導電性材料を使用するべきである)を設け、その上に画像受容層を設ける。基材シートに関しては従来技術と同様な基材シートがそのまま使用でき、帯電防止層については前述と同様にして設ける。画像受容層については、画像の形成方法に適した受容層を形成する。例えば、画像形成手段が電子写真方式では、電子写真方式において使用されるトナー画像の定着に適した材料を、画像形成手段が昇華型熱転写方式の場合には染料受容性に優れた材料を、画像形成手段が熱溶融型熱転写方式の場合にはインキ層の接着性に優れた材料を、画像形成手段がインクジェット方式の場合には水性インクの受容性に優れた材料をそれぞれ選択して形成すればよい。これらの各画像形成方式におけるそれぞれの受容層材料及び形成方法はいずれも従来公知の材料及び方法でよく、特に限定されない。
又、本発明の帯電防止性塗膜は、帯電を嫌う電子部品の包装材料にも応用することができる。電子部品の包装材料としては種々の材料が知られているが、本発明の帯電防止性塗膜をこれらの電子部品の包装材料に適用させる場合には、従来公知の電子部品包装材料の基材シート又はフイルムの少なくとも一方の面に、前述した帯電防止層(透明若しくは半透明の有機導電性材料である必要はない)を設け、更にその表面に適当な保護層やヒートシール層を設ければよい。帯電防止性塗膜の形成方法は前述の通りであり、その表面に設ける層の材料及び方法はいずれも従来公知の材料及び方法でよく、特に限定されない。
又、本発明の帯電防止性塗膜は、帯電防止性が要求されるプラスチックシート製品や樹脂成形物にも応用することができる。本発明の帯電防止性塗膜をこれらのプラスチックシート製品や樹脂成形物に適用する場合には、従来公知のプラスチックシート製品や樹脂成形物の表面に前述した帯電防止層(但し透明若しくは半透明の有機導電性材料を使用するべきである)を設け、更にその表面に適当なハードコート保護層や機能層を設ければよい。このような例として、例えば、FDや光カードが挙げられ、FDとしては基材フイルム上に本発明の帯電防止層を形成し、その上に磁性層を設ければよく、又、光カードとしては、光記録層と透明保護層との間に本発明の帯電防止層を形成すればよい。
又、本発明の帯電防止性塗膜は、帯電防止性が要求される反射防止膜にも応用することができる。反射防止膜としては種々の材料が知られているが、本発明の帯電防止性塗膜をこれらの反射防止膜に適用させる場合には、従来公知の反射防止膜の基材シート又はフイルムの少なくとも一方の面に、前述した帯電防止層(但し透明若しくは半透明の有機導電性材料を使用するべきである)を設け、更にその表面に適当な保護層や他の光学機能性膜を設ければよい。
又、一般に反射防止膜は、基材上に高屈折率層を設け、更にその表面に低屈折率層を設けたものが用いられるが、本発明の帯電防止層を高屈折率層として用いて低屈折率層の下に形成してもよいし、本発明の帯電防止層の下に更に高屈折率層を有するような構造としてもよい。又、本発明の帯電防止層を低屈折率層として用い、より高屈折率な材料を高屈折率層に用いることもできる。その際には更に表面に保護層を設けると良い。これらの帯電防止性塗膜の形成方法は前述の通りであり、その表面に設ける層や膜の材料及び方法はいずれも従来公知の材料及び方法でよく、特に限定されない。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りの無い限り重量基準である。
実施例1
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、固形分10%)
0.25部(固形分)
水溶性ポリエステル樹脂(ポリエスターWR−961、日本合成化学工業製、
固形分30重量%) 4.75部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ217E、第一工業製薬製)
0.2部
水 44.8部
イソプロピルアルコール 50.0部
上記のインキをPET基材シート(6μm、ダイヤホイル製)の一方の面にミヤバー#5を用いて乾燥時0.1μmの厚み(塗工量0.1g/m2)になるように塗布後、温風乾燥して帯電防止層(プライマー層)を形成した。
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
上記インキを前記帯電防止層の表面に乾燥時1.0μmの厚みになるように塗布後温風乾燥し、更に60℃で5日間オーブン中で加熱して硬化処理を行って耐熱滑性層を形成した。
次に耐熱滑性層の反対面に下記の染料層形成用インキを乾燥時厚みが1.0g/m2になるようにグラビア印刷にて塗布及び乾燥して本発明の熱転写シートを得た。
染料層形成用インキ:
C.I.ソルベントブルー22 5.50部
アセトアセタール樹脂 3.00部
メチルエチルケトン 22.54部
トルエン 68.18部
実施例2
実施例1におけるインキに代えて下記組成のインキを使用し、他は実施例1と同様にして本発明の熱転写シートを得た(帯電防止層の厚み0.1μm、耐熱滑性層の厚み=1.0μm)。
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、固形分10%)
0.5部(固形分)
水溶性ポリエステル樹脂(ポリエスターWR−961、日本合成化学工業製、
固形分30%) 4.5部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ212C、第一工業製薬製)
1.0部
水 44.0部
イソプロピルアルコール 50.0部
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(バーノックD750、大日本インキ製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例3
実施例1におけるインキに代えて下記組成のインキを使用し、他は実施例1と同様にして本発明の熱転写シートを得た(帯電防止層の厚み0.2μm、耐熱滑性層の厚み=1.5μm)。
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、固形分10%)
1.0部(固形分)
水溶性ポリエステル樹脂(ポリエスターWR−961、日本合成化学工業製、
固形分30%) 4.0部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ212C、第一工業製薬製)
1.0部
水 44.0部
イソプロピルアルコール 50.0部
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(バーノックD750、大日本インキ製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例4
実施例1におけるインキに代えて下記組成のインキを使用し、他は実施例1と同様にして本発明の熱転写シートを得た(帯電防止層の厚み0.5μm、耐熱滑性層の厚み=0.5μm)。
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
実施例1におけると同じ。
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(バーノックD750、大日本インキ製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例5
実施例1におけるインキに代えて下記組成のインキを使用した他は実施例1と同様にして本発明の熱転写シートを得た(帯電防止層の厚み0.3μm、耐熱滑性層の厚み=1.5μm)。
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、固形分10%)
1.0部(固形分)
水溶性アクリル樹脂(日東化学工業製、固形分10%) 4.0部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ212C、第一工業製薬製)
1.0部
水 44.0部
イソプロピルアルコール 50.0部
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(バーノックD750、大日本インキ製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例6
実施例1における耐熱滑性層用インキとして下記のインキを用い、その成膜を窒素ガス雰囲気下で180kvで加速された電子線を5Mrad照射して行った以外は実施例1と同様にして本発明の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用インキ:
前記製造例1におけるアクリル変性ポリビニルブチラール 50部
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例7
実施例2における耐熱滑性層用インキとして下記のインキを用い、その成膜を窒素ガス雰囲気下で180kvで加速された電子線を5Mrad照射して行った以外は実施例2と同様にして本発明の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用インキ:
前記製造例2におけるアクリル変性ポリビニルブチラール 50部
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例8
実施例3における耐熱滑性層用インキとして下記のインキを用い、その成膜を窒素ガス雰囲気下で180kvで加速された電子線を5Mrad照射して行った以外は実施例3と同様にして本発明の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用インキ:
前記製造例3におけるアクリル変性ポリビニルブチラール 50部
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例9
実施例4における耐熱滑性層用インキとして下記のインキを用い、その成膜を窒素ガス雰囲気下で180kvで加速された電子線を5Mrad照射して行った以外は実施例4と同様にして本発明の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用インキ:
前記製造例4におけるアクリル変性ポリビニルブチラール 50部
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
実施例10
実施例5における耐熱滑性層用インキとして下記のインキを用い、その成膜を窒素ガス雰囲気下で180kvで加速された電子線を5Mrad照射して行った以外は実施例5と同様にして本発明の熱転写シートを得た。
耐熱滑性層用インキ:
前記製造例1におけるアクリル変性ポリビニルブチラール 50部
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
比較例1
実施例2においてスルホン化ポリアニリンを使用しないこと以外は、実施例2と同様にして比較例の熱転写シートを得た(耐熱滑性層の厚み=1.0μm)。
比較例2
実施例1におけるインキに代えて下記組成のインキを使用し、他は実施例1と同様にして比較例の熱転写シートを得た(帯電防止層の厚み=0.5μm、帯電防止層の厚み0.5μm、耐熱滑性層の厚み=0.5μm)。
帯電防止層(プライマー層)用インキ:
アクリル樹脂(BR−85 30%溶液、三菱レイヨン製) 100部
帯電防止剤(TB−34、松本油脂製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
耐熱滑性層用インキ:
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1、積水化学製) 80部
ポリイシシアネート硬化剤(バーノックD750、大日本インキ製)35部
(NCO/OH=1.8)
燐酸エステル(プライサーフA−208S、第一工業製薬製) 5部
溶剤(MEK/トルエン=1/1) 500部
上記熱転写シートを従来使用されている被熱転写シートと重ね、転写記録装置を用いて下記の転写条件で転写を行い、サーマルヘッドと熱転写シートとの融着及び皺の発生、染料の移行性(60℃、17g/m2、3日間)、表面抵抗率(Ω/口、500V印加時、25.5℃62%RH)密着性及び半減期を調べた結果を下記表1に示す。
転写条件
パルス幅・・・・・・・1ms
記録周期・・・・・・・2.0ms/line
記録エネルギー・・・・3.0J/cm2
Figure 2005329725
評価方法:
融着・皺の発生‥‥肉眼観察による。
染料移行性‥‥染料層と耐熱滑性層とを合わせた状態で、200g/cm2の圧をかけ、60℃で24時間放置後、耐熱滑性層への染料の移行状態を評価した。
○:移行なし。
△:やや移行が認められる。
×:著しく移行する。
表面抵抗率‥‥高抵抗抵抗率計(Hiresta IP、三菱油化製)を用い、24℃68%RHの条件での1cm2当たりの表面抵抗値を示す。
密着性‥‥メンディングテープ(住友3M製、幅18mm)を耐熱滑性層面に貼り、一瞬の間に剥離したときの耐熱滑性層及び帯電防止層の剥離具合を見た。
○:剥離なし。
△:一部に剥離あり。
半減期‥‥静電気減衰測定機モデル406D(米国EST社製)を使用し、印加電圧5kvを耐熱滑性層にかけ、印加を中止し、耐熱滑性層の帯電圧が2.5kvに下がるまでの時間を測定した。0.1秒以下であれば帯電防止性が良好とした。尚、∞は5kvのまま下がらないことを示す。
実施例11
下記に示す基材シート、受容層用塗工液及び帯電防止塗料1、1’を用いて図4に示す如き断面構造を有する電子写真方式に用いるOHP用シートを作製した。但し帯電防止塗料1は受容層の上に設けるもので、帯電防止塗料1’は受像シートの裏面に設けるものである。受容層の厚み(乾燥時、以下同様)は3μm、帯電防止層3、3’の厚みは両方とも0.3μmとした。
基材
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフイルム
受容層塗工液
ポリエステル樹脂(フマル酸とポリプロピレングリコール変性ビスフェノール
Aとの重合物、ガラス転移温度60℃、軟化点100℃) 30部
シリカ微粒子(平均粒径5μm) 0.15部
メチルエチルケトン 35部
トルエン 35部
帯電防止塗料1
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、SAVE−01Z、固形分10
%) 0.46部(固形分)
水溶性ポリエステル樹脂(ポリエスターWR−961、日本合成化学工業製、
固形分30%) 2.4部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ217E、第一工業製薬製)
0.01部
水 36.53部
イソプロピルアルコール 60.60部
帯電防止塗料1’
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業製、SAVE−01Z、固形分10
%) 0.76部(固形分)
水溶性ポリエステル樹脂(ポリエスターWR−961、日本合成化学工業製、
固形分30%) 2.42部(固形分)
燐酸エステル系界面活性剤(プライサーフ217E、第一工業製薬製)
0.02部
水 36.30部
イソプロピルアルコール 60.50部
比較例3
実施例11における帯電防止塗料1、1’に代えて下記の帯電防止塗料2、2’を使用し、各帯電防止層の厚みを共に0.01μmにした以外は実施例1と同様にして比較例の受像シートを得た。
帯電防止塗料2
4級アンモニウム系界面活性剤(松本油脂性、TB−34) 0.1部
イソプロピルアルコール 200部
帯電防止塗料2’
4級アンモニウム系界面活性剤(松本油脂性、TB−34) 0.1部
イソプロピルアルコール 200部
上記実施例11及び比較例3の受像シートについて下記の方法にて帯電防止剤移行性、表面抵抗環境依存性、トナー定着性及び画像品質の評価を実施し、その結果を下記表2に示した。
帯電防止剤移行性
受像シート100枚を積み重ね、平置きにして40℃90%RHの環境下で48時間放置した後、23℃60%RHの環境下で界面抵抗率を測定した。判断基準は下記の通りである。
○・・・放置前と放置後で23℃60%RHの環境下での表面抵抗率の変化が
1×101Ω/□未満。
×・・・放置前と放置後で23℃60%RHの環境下での表面抵抗率の変化が
1×101Ω/□以上。
表面抵抗値環境依存性
受像シートをそれぞれ10℃20%RH、23℃60%RH及び30℃80%RHの環境に1時間放置後、そのときの表面抵抗率を測定した。
トナー定着性
キヤノン(株)製フルカラー複写機CLC−700にて、カラーチャートを複写し、トナー定着性をセロハンテープ剥離にて評価した。判断基準は以下の通りである。
◎・・・トナーの剥れがない。
○・・・トナーの剥れが殆どない。
△・・・トナーが一部剥れる箇所がある。
画像品質
キヤノン(株)製フルカラー複写機CLC−700にて、カラーチャートを複写し、画像品質の評価を行った。判断基準は以下の通りである。
○・・・色再現性に優れ濁りがない。
×・・・色再現性が悪く濁りがある。
Figure 2005329725
以上の表の通り、比較例3では低分子量の4級アンモニウム系界面活性剤を帯電防止剤として使用しているために、界面活性剤が接触面に移行し易くなっている。
実施例12
透明PETフイルム100μmを基材シートとし、基材シートの一方の面に、下記組成の帯電防止層塗工液1を乾燥時0.5g/m2になるように塗布乾燥させて帯電防止層を形成した。
帯電防止層塗工液1 固形分比
スルホン化ポリアニリン(日東化学工業(株)製) 0.5部
ポリエステル樹脂(ポリエスターWR-961、日本合成化学工業(株)製)
9.5部
リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフ212C、第一工業製薬(株)製)
0.2部
水 44.8部
IPA 45.0部
次に、下記組成の染料受容層塗工液2を上記帯電防止層の表面に乾燥時2.5g/m2になるように塗布乾燥させて染料受容層を形成した。
染料受容層塗工液2 固形分比
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(#1000A、電気化学工業(株)製)
19.6部
シリコーン(X62−1212、信越化学工業(株)製) 2.0部
触媒(CAT−PL−50T、信越化学工業(株)製) 0.2部
MEK 39.1部
トルエン 39.1部
次に染料受容層の反対側の基材シート面には実施例1と同じ裏面層を形成し、OHPとして利用できる本発明の熱転写受像シートを得た。
比較例4
実施例12において帯電防止層塗工液1に代えて帯電防止層塗工液2を使用し、他は実施例12と同様にして比較例4の熱転写受像シートを得た。
帯電防止層塗工液2 固形分比
カチオン系界面活性剤(スタチサイド、A.C.L.社製) 0.2部
IPA 99.8部
上記の実施例12及び比較例4の熱転写受像シートを10枚ずつA4型昇華転写プリンターで連続印画し、搬送性及び帯電特性の評価を行なった結果を下記表3に示す。
Figure 2005329725
註1:問題なし
註2:ジャム発生
以上の如き本発明によれば、熱転写シートの基材フイルムと耐熱滑性層との間の帯電防止層に有機導電性ポリマーであるスルホン化ポリアニリンを含有させることによって帯電防止性に優れ且つサーマルヘッドを腐食しない耐熱滑性層を有する熱転写シートが提供される。
特にスルホン化ポリアニリンは、その帯電防止性に温度依存性がなく、透明性が高く、少量の添加で十分な効果があり、これを用いて耐熱滑性層の内側に帯電防止層を形成するので、熱転写シートにベタつきが発生したり、熱転写シートをロール状に巻いた場合、帯電防止剤が色材層に移行したり、逆に色材が背面に移行したりするという問題が生じない、
又、耐熱滑性層に導電性カーボンブラック等の導電剤を添加することが不要であるので、サーマルヘッドの摩耗、黒色以外の熱転写シートの場合には全体が見映え、熱転写シートに形成されている検知マークの検知が困難になるという問題が生じない。
又、耐熱滑性層にはハロゲンイオンを存在させる必要がないのでサーマルヘッドの腐蝕が生じない。
又、本発明の帯電防止性塗膜は、OHPシート、熱転写受像シート、電子部品の包装材料及び反射防止膜等の用途にも適している。
スルホン化ポリアニリンの粒度分布を説明する図。 スルホン化ポリアニリンの粒度分布を説明する図。 スルホン化ポリアニリンの粒度分布を説明する図。 実施例11におけるOHPシートの断面を図解的に説明する図。

Claims (3)

  1. 基材シートの一方の面に帯電防止層を介して染料受容層が形成されてなる熱転写受像シートにおいて、上記帯電防止層中にスルホン化ポリアニリンが0.01〜1.0μmの粒子として存在することを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 帯電防止層が、バインダーとしてポリエステル樹脂を含む請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 帯電防止層の厚みが0.05〜0.5μmである請求項1に記載の熱転写受像シート。
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WO2015190447A1 (ja) * 2014-06-09 2015-12-17 株式会社巴川製紙所 熱転写受像シート

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