JP2005328655A - リニアアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 永久磁石の数や大きさを減らし、リニアアクチュエータ1個当たりの製造単価に占める永久磁石の割合を低減することでリニアアクチュエータの製造コストの削減を図ること。
【解決手段】 コイル1を備えた固定子2と、少なくとも一部に鉄部材3aを有し、前記固定子2に対し軸線方向に沿って往復動可能に設けられた可動子4と、前記固定子2の前記鉄部材3aに対向する面の一部に、前記鉄部材3aに対向させかつ磁極を軸線方向に直交させた状態で設けられたリング状の永久磁石5とを備えた。前記永久磁石5は、前記鉄部材3aに対向する面の他部、すなわち永久磁石未設置部9と面一に設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リニアアクチュエータに関し、性能向上およびその構造の簡素化に関するものである。
リニアアクチュエータは、バネを併用し共振させることによって少ない損失で駆動できることから、コンプレッサモータ等として利用されている。そして、このリニアアクチュエータを用いたコンプレッサは高効率である等優れた性能を発揮できることから、冷蔵庫や、冷凍庫、あるいはエアコンディショナ用としての利用が期待されている。
リニアアクチュエータとしては、ボイスコイルモータがある。このボイスコイルモータは、永久磁石により作られた磁界の中で、コイルに電流を流すことによりコイルに生じる力で駆動を行うもので、コイルを含む可動子が動く可動コイル型とも呼ばれている。
また、他のリニアアクチュエータとして、コイルを含む可動子が動く可動コイル型(例えばボイスコイルモータ)や、永久磁石を含む可動子が動く可動磁石型等がある。(例えば、非特許文献1,2参照)。
「リニア振動アクチュエータの分類と研究開発の現状」、電気学会リニアドライブ研究会、平成9年1月20日、第41頁〜第46頁 「3次元磁気回路を採用したレシプロモータの開発と応用」、月刊フードケミカル、2003年7月号、第65頁〜第69頁
ところで、上記した可動コイル型のものは、可動子にコイルが含まれることから、可動子に電流を流さなければならず、このための給電線に可動子の移動で断線を生じてしまうことがあり、また、可動磁石型のものは、性能向上を図るために高い磁束密度を得ようとした場合に永久磁石の重量が増大することになり、その結果、可動子の重量が増加することになるため、望むように性能の向上を図ることができなかった。
この対策として、従来より種々の試みがなされているが、リニアアクチュエータを製造するうえで常に課題となるのは、永久磁石が非常に高価な点である。リニアアクチュエータを如何に安価に製造できるかは、永久磁石の数や大きさを如何に減少させることができるかにかかっているといっても過言ではない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、永久磁石の数や大きさを減らし、リニアアクチュエータ1個当たりの製造単価に占める永久磁石の割合を低減することでリニアアクチュエータの製造コストの削減を図ることを目的とする。また、本発明の他の目的は、可動子に作用する付勢力を用途に応じた強さに設定できるリニアアクチュエータの提供を目的とする。さらに、本発明の他の目的は、可動子の軽量化を図り応答性をよくすることにある。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1記載のリニアアクチュエータは、コイルを備えた固定子と、少なくとも一部に鉄部材を有し、前記固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、前記固定子の前記鉄部材に対向する面の一部に、前記鉄部材に対向させかつ磁極を軸線方向に直交させた状態で設けられたリング状の永久磁石とを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、固定子側のコイルの通電方向を交互に切り替えることにより、鉄部材すなわち可動子を軸線方向に沿って往復動させることのできるリニアアクチュエータにおいて、永久磁石の設置部分を固定子の鉄部材に対向する面の一部分にしたことで、可動子に対する付勢力をそれほど多く必要としない用途においては、所望の性能を維持しつつ永久磁石の使用量を減らすことができる。また、永久磁石の設置部分については、固定子の全周にわたって永久磁石が設けられているため、例えば、永久磁石が固定子の周方向に間隔を置いて設けられている場合と比べて、可動子に対する付勢力が均一化される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記永久磁石は、前記鉄部材に対向する面の他部と、面一に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、固定子と可動子との隙間が往復動方向に一定に保たれるので、磁束漏洩を抑えることができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記永久磁石は、前記鉄部材に対向する面の他部に対して、前記鉄部材側に突出させて
設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、固定子と可動子との隙間が広い領域を部分的に形成することができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記固定子には、前記鉄部材に前記永久磁石とは逆側で対向する磁極部材が一体成形され、前記可動子は、前記鉄部材を入れ子とする合成樹脂のインサート成形により、形成されるものであることを特徴とする。
本発明によれば、固定子と磁極部材を別々に製造してそれらを接合させる必要がない。また、可動子を容易かつ軽量に形成することができる。
請求項1記載の発明によれば、永久磁石の設置部分を固定子の鉄部材に対向する面の一部分にしたので、永久磁石の数や大きさを減らし、リニアアクチュエータ1個当たりの製造単価に占める永久磁石の割合を低減することでリニアアクチュエータの製造コストを削減することができる。
請求項2記載の発明によれば、固定子と可動子の間の隙間が軸線方向に一定に保たれるので磁束漏洩を抑えることができ、その結果、可動子に対する付勢力を強めることが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、固定子と可動子との隙間が広い領域を部分的に形成することができるので、用途に応じて可動子に対する付勢力を弱めるように調節することができる。
請求項4記載の発明によれば、固定子と磁極部材を別々に製造してそれらを接合させる必要がないので、製造が容易となる。また、可動子が軽量になるので、応答性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明におけるリニアアクチュエータの第1の実施の形態を示す。
このリニアアクチュエータ6は、全体として円筒形状をなしている固定子2と、この固定子2の内側に軸線方向に沿って往復動可能に設けられた可動子4と、固定子2の内周側に埋設されたリング状の永久磁石5と、固定子2の内部に巻回状態に配設されたコイル1とを備えている。
この固定子2の軸線方向および径方向における中央の所定範囲には、略リング状の収納空間部8が形成されていて、この収納空間部8には、リング状に巻回されたコイル1が配設されている。
さらに、この固定子2の軸線方向中央部であって、コイル1と永久磁石5との間には、軸線方向外側に位置するほど半径方向外側に広がるテーパ面10が形成されている。そして、これら一対のテーパ面10と収納空間部8との間がエアギャップ(磁気ギャップ)15とされている。
この固定子2は、例えば磁性材料である焼結材で焼結により成形されている。また、この固定子2には、可動子4の内側に延出する形状のバックヨークは設けられていない。
上記永久磁石5は、ネオジウム磁石からなり、軸線方向に直交する方向に磁極を向け、固定子2の内周面のうち永久磁石5が設けられていない永久磁石未設置部(鉄部材に対向する面の他部)9と、面一になるように設けられている。具体的には、N極を可動子側に向けて、固定子2の軸線方向中央部に設けられている。ここで、軸線方向における永久磁石5の軸線方向長さは、可動子4の軸線方向長さよりも短くなっている。
永久磁石5は、固定子2の永久磁石側に形成されたエアギャップ15によって、軸線方向における中央を境に第1領域21と第2領域22とに磁気的に分割されており、その結果、第1領域21および第2領域22がそれぞれ別々の永久磁石5として作用する。
可動子4は全体として略円筒形状をなしており、その外径が固定子2の内径よりも若干小径とされている。この可動子4は固定子2の内側に、同軸をなすように挿入されることによって、固定子2に対してその軸線方向に沿って往復動可能に設けられている。
また、可動子4には、永久磁石側すなわち径方向外側に突出する一対の環状の凸部Tが軸線方向両端部すなわち可動子の往復動方向両端部に設けられており、その結果、これら凸部Tの間に半径方向内方に凹む凹部が形成されている。それぞれの凸部Tの軸線方向の長さは、永久磁石5の半分の長さである。
なお、可動子4は、全体が磁化されていない磁性材料である鉄部材3aからなっており、例えば焼結材からなっている。
上記構造のリニアアクチュエータ6において、コイル1に電流を流していない状態では、永久磁石5の第1領域21および第2領域22によって、図1に二点鎖線で示すように、永久磁石5の第1領域21、鉄部材3a、固定子2をこの順に結ぶループで磁束が形成されるとともに、永久磁石5の第2領域22、鉄部材3a、固定子2をこの順に結ぶループで磁束が形成される。このとき可動子4は停止状態とされる。
そして、コイル1に交流電流(正弦波電流,矩形波電流)を流すと、以下のように動作する。
例えば、図2に示すように、コイル1に一方向(図2における右側端面から見て、反時計回り方向)に流れるように電流が流れると、このコイル1を正方向に周回するように起磁力が生じる。すると、図2に二点鎖線で示すように、永久磁石の第1の領域21、鉄部材3a、固定子1とをこの順に結ぶループで磁束が形成されることになる。
以上によって軸線方向における一側(図2において左側)となる永久磁石5の第1領域21、鉄部材3a、固定子2とに磁束が導かれることで、可動子4が軸線方向における一方向(図2において右方向)に移動する。
次に、図3に示すように、コイル1に逆方向(図3における右側端面から見て、時計回り方向)に流れるように電流が流れると、このコイルを上記に対し逆方向(負方向)に周回するように起磁力が生じる。すると、図3に二点鎖線で示すように、永久磁石5の第2領域22、鉄部材3a、固定子2とを、この順に結ぶループで磁束が形成されることになる。
以上によって、軸線方向における一側(図3における右側)となる永久磁石5の第2領域22、鉄部材3a、固定子2とに磁束が導かれることで、可動子4が軸線方向における一方向(図3における左方向)に移動する。
そして、交流電流によってコイルへの電流の流れの方向が交互に変化することにより、以上の作動を繰り返して、可動子4は固定子2に対して軸線方向に所定のストロークで往復動することになる。
以上に述べた本実施形態のリニアアクチュエータ6によれば、永久磁石5の設置部分を固定子2の鉄部材3aに対向する面の一部分にしたことで、可動子4に対する付勢力をそれほど多く必要としない用途においては、所望の性能を維持しつつ永久磁石5の使用量を減らすことができ、コストの削減が可能となる。また、永久磁石5の設置部分については、固定子2の全周にわたって永久磁石5が設けられているため、例えば、永久磁石5が固定子2の周方向に間隔を置いて設けられている場合と比べて、可動子4に対する付勢力を均一化することができる。
加えて、上述したようなループの磁束で可動子4を移動させることから、可動子4の永久磁石5に対し反対側すなわち内周側に固定子2の一部をバックヨークとして配置しない構成にできる。したがって、可動子4の永久磁石5に対し反対側すなわち内周側の空間を有効利用できる。具体的には、別途のシリンダやそのピストン等を配置することができる。
さらに、永久磁石5に隣接してエアギャップ15が形成されているため、永久磁石5の第1領域21または第2領域22のいずれかを介して固定子2と可動子4との磁束を導くことが確実にできる。なお、エアギャップ15に換えて非磁性材料(磁気的ギャップ)を配置してもよい。
可動子4を外周側に凸部Tを設けない円筒状とすることも可能である。しかしながら、可動子4の外周部に凸部Tを形成した方が、往復動のいずれにおいても往復動の方向に直交する凸部Tあるいは凸部Tの端面に効率的に吸引力を作用させることができ、可動子4をより大きな力で駆動することができるため好ましい。
さらに、上述したすべてのリニアアクチュエータ6について、中心軸線側と外周側とで構成を反転させるようにしてもよい。例えば、コイル1を含む固定子の外周側にリング状の永久磁石5を配置し、永久磁石5の外周側に往復動可能に円筒形状の可動子4を設けるのである。
このように構成すれば、全体として同じ大きさにした場合に、同じ推力を得るためのコイルが小さくなるので鉄損が少なくなり、力を発生させる面積を大きくすることができて、効率を向上させることができる。
永久磁石5は、上記したフェライトリング磁石以外にも、ネオジウム、サマリウムコバルト等の希土類系のものや、プラスチック磁石を用いることも可能である。
また、上記リニアアクチュエータ6に位置、速度等を検出するセンサを設ければ、閉ループ制御を行うことで速度や位置の制御が可能なリニアサーボアクチュエータとして利用することができる。
図4は、本発明におけるリニアアクチュエータの第2の実施の形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態のリニアアクチュエータ61において、永久磁石5は、永久磁石未設置部9に対して、鉄部材側に突出させて、往復動方向の中央部分に設けられている。
これにより、固定子2と永久磁石未設置部9と可動子4との隙間が広まり、可動子4に対する付勢力が弱まる。その結果、変位に対する推力勾配の小さい(磁気ばねの弱い)モータとすることが出来、サーボモータとしての利用に適したモータとすることが出来る。さらに、固定子2の表面に設けられているので、永久磁石5の設置を容易に行うことが可能となり、製造コストの削減を図ることができる。
図5は、本発明におけるリニアアクチュエータの第3の実施の形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態のリニアアクチュエータ62においては、図5に示すように、上記永久磁石5を軸線方向において二つの永久磁石5a、5bに分割し、これら永久磁石5a、5bを互いの磁極の並びを揃え、固定子2の往復動方向に離間して固定子2の内周面に設けている。
具体的には、N極を可動子側に向けて、固定子2の鉄部材3aに対向する面において往復動方向の両端に離間して設けられている。さらに永久磁石5a、5bは永久磁石未設置部9に対して、鉄部材側に突出させて設けられている。
これにより、それぞれの永久磁石5a、5bにおいて確実に磁束を生じさせることができる。そして、永久磁石5a、5bは永久磁石未設置部9に対して、鉄部材側に突出させて設けられているので、永久磁石未設置部9と可動子4との隙間が広まり、可動子4に対する付勢力を部分的に弱めることができる。
図6は、本発明におけるリニアアクチュエータの第4の実施の形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第4実施形態のリニアアクチュエータ63においては、図6に示すように、上記永久磁石5を軸線方向において二つの永久磁石5a、5bに分割し、これら永久磁石5a、5bを互いの磁極の並びを揃え、固定子2の往復動方向に離間して設け、さらに永久磁石5a、5bを永久磁石未設置部9と面一に設けている。
これにより、固定子2の軸方向における左右両側で確実に磁束を生じさせることができ、さらに、永久磁石5a、5bの面と永久磁石未設置部9の面とを面一に設けることで、固定子2と可動子4の隙間が軸線方向に一定に保たれるので磁束漏洩を抑えることができる。その結果、可動子4に対する付勢力が強められ、磁気ばねの強いモータとすることが出来、共振運転に必要な機械ばねの負担を減らすことが可能で共振運転に適したモータになる。
以上、いわゆるインナーコアレスリニアアクチュエータについて述べた。
図7は、本発明におけるリニアアクチュエータの第5の実施の形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第5実施形態のリニアアクチュエータ7は、いわゆるインナーコア付リニアアクチュエータであり、固定子2に設けられた環状のギャップ部13にカップ状の可動子4が往復動可能に設けられたものである(以下の実施形態においても同様)。具体的には、固定子2と、鉄片(鉄部材)3を有し固定子2に対し軸線方向に沿って往復動可能に設けられた可動子4と、鉄片3bに対向しかつ軸線方向に直交するように磁極を向けて固定子2に設けられた永久磁石5と、固定子2に固定されたコイル1とを備え、鉄片3bに対して永久磁石5とは逆側で対向するインナー磁極(磁極部材)11が固定子2に一体成形されてなる。
上記固定子2には、固定子2の軸線方向における一端側に設けられた薄板リング状の底板部12と、この底板部12の径方向内側部分に固定子2と同軸をなして設けられた円筒形状のインナー磁極(磁極部材)11とを有しており、磁性材料である焼結材で焼結により一体成形されている。
永久磁石5は、軸線方向に直交するように磁極を向け、永久磁石未設置部9と面一になるように設けられている。具体的には、N極を可動子側に向けて、固定子2の中心位置に設けられている。
そして、永久磁石5とインナー磁極11との間に前記環状のギャップ部13が形成されている。
永久磁石5は、これに接合される固定子2の永久磁石側に隣接して形成されたエアギャップ15によって、軸線方向における中央を境に第1領域21と第2領域22とに磁気的に分割されており、その結果、第1領域21および第2領域22がそれぞれ別々の永久磁石5として作用する。
また、固定子2には、前記固定子2の鉄片3bに対向する面に設けられた永久磁石5に対し、エアギャップ15が形成されている。
可動子4は、略円板状の基部41と、上記環状のギャップ部13に入り込むように設けられる円筒部42とを備え、この円筒部42の基部41に対し反対側に同軸同径をなして固定される円筒形状の可動磁極としての鉄片3bが、可動子4の往復動方向に間隔をおいて一対設けられてなる。
これにより、一対の鉄片3bは、環状のギャップ部13内に同軸に配置されることになるが、軸線方向における各鉄片3bの中央部位を、それぞれ永久磁石5の両端部にほぼ合わせるように配置されている。
可動子4は、基部41と円筒部42とが非磁性材料であるエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂からなっており、鉄片3bは、磁化されていない磁性材料からなるもので焼結材からなっている。さらに可動子4は、鉄片3bを入れ子とする合成樹脂のインサート成形により形成されている。
そして可動子4の外周側には、永久磁石5とコイル1とを保持するアウター磁極14が設けられている。
以上のように、可動子4は、鉄片3bを有し軸線方向に沿って往復動可能となるように固定子2に支持されることになり、永久磁石5は永久磁石未設置部9と面一になるように設けられており、鉄片3bに対向しかつ前記往復動の方向に直交するように磁極を向け、固定子2に固定される。
そして、固定子2には、鉄片3bに永久磁石5とは逆側で対向するインナー磁極11が一体成形されていることになる。
上記の構成からなるリニアアクチュエータ7において、コイル1に電流を流していない状態では、永久磁石5の第1領域21および第2領域22によって、図7に二点鎖線で示すように、永久磁石5の第1領域21、鉄片3b、インナー磁極11、鉄片3b、アウター磁極14をこの順に結ぶループで磁束が形成されるとともに、永久磁石5の第2領域22、鉄片3b、インナー磁極11、鉄片3b、アウター磁極14とをこの順に結ぶループで磁束が形成される。このとき可動子4は停止状態とされる。
そして、コイル1に交流電流(正弦波電流,矩形波電流)を流すと以下のように動作する。
例えば、図8に示すように、コイル1に一方向(図8において右側端面から見て、反時計回り方向)に流れるように電流が流れると、このコイル1を正方向に周回するように起磁力が生じる。すると、図8に二点鎖線で示すように、永久磁石5の第1の領域21、鉄片3b、インナー磁極11、鉄片3b、アウター磁極14とをこの順に結ぶループで磁束が形成されることになる。
以上によって軸線方向における一側(図8において左側)となる永久磁石5の第1領域21、鉄片3b、インナー磁極11、鉄片3b、アウター磁極14とに磁束が導かれることで、可動子4が軸線方向における一方向(図8において右方向)に移動する。
次に、図9に示すように、コイル1に逆方向(図9における右側端面から見て、時計回り方向)に流れるように電流が流れると、このコイル1を上記に対し逆方向(負方向)に周回するように起磁力が生じる。すると、図9に二点鎖線で示すように、永久磁石5の第2領域22、鉄片3b、インナー磁極11、鉄片3b、アウター磁極14とを、この順に結ぶループで磁束が形成されることになる。
よって、軸線方向における一側(図9における右側)となる永久磁石5の第2領域22、鉄片3b、インナー磁極11、アウター磁極14とに磁束が導かれることで、可動子4が軸線方向における一方向(図8における左方向)に移動する。
このように、この第5の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、鉄片3bに永久磁石5とは逆側で対向するインナー磁極11が、固定子2に一体成形されているため、これらを別々に製造した後に接合させる必要がないので、製造が容易となる。加えて、可動子4に永久磁石5がないことから、可動子4の製造時に鉄片には吸引力が働かないため、可動子4の一体成形が容易となる。したがって、コストダウンを図ることができる。
さらに、鉄片3bを入れ子として合成樹脂のインサート成形により可動子4を製造すると、この可動子4に永久磁石5がないことから、後加工が可能となり、リニアアクチュエータ7の同軸同心度の精度を向上させることができる。
加えて、可動子4が、鉄片3bを入れ子とする合成樹脂のインサート成形により成形されるものであるため、鉄片3bを含む可動子4を容易に形成することができる。しかも、可動子4が軽くなるので応答性をよくすることができる。
さらに、固定子2を焼結材で形成するため、コスト低減や性能向上(鉄損低減)を図れ、機械強度を向上できる。固定子2を圧粉鉄心で形成しても同様の効果が得られる。
なお、可動子4の基部および円筒部は非磁性材料であれば合成樹脂ではなくアルミダイキャストや非磁性ステンレス等で形成してもよく、この場合、剛性を向上できるメリットがある。しかしながら、合成樹脂で形成する方が軽量化と鉄損低減の観点から好ましい。
図10は、本発明におけるリニアアクチュエータの第6の実施形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第6の実施形態のリニアアクチュエータ71において、永久磁石5は、固定子2の永久磁石未設置部9に対して、鉄片側に突出させて、往復動方向の中央部分に設けられている。
これにより、永久磁石未設置部9と可動子4との隙間が広まり、可動子4に対する付勢力を部分的に弱めることができる。さらに、固定子2の表面に設けられているので、永久磁石5の設置を容易に行うことが可能となり、製造コストの削減を図ることができる。
図11は、本発明におけるリニアアクチュエータの第7の実施形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第7の実施形態のリニアアクチュエータ72において、永久磁石5は、図11に示すように、上記永久磁石5を軸線方向において二つの永久磁石5a、5bに分割し、これら永久磁石5a、5bを互いの磁極の並びを揃え、固定子2の前記往復動方向に離間して固定子2の内周面に設けている。
具体的には、N極を可動子側に向けて、固定子2の永久磁石未設置部9において往復動方向の両端に離間して設けられている。さらに永久磁石5a、5bは永久磁石未設置部9に対して、鉄片側に突出させて設けられている。
これにより、それぞれの永久磁石5a、5bにおいて確実に磁束を生じさせることができる。そして、永久磁石5a、5bは永久磁石未設置部9に対して、鉄片側に突出させて設けられているので、永久磁石未設置部9と可動子4との隙間が広まり、可動子4に対する付勢力を部分的に弱めることができる。
図12は、本発明におけるリニアアクチュエータの第8の実施形態を示す。
以下、上記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第8の実施形態のリニアアクチュエータ73において、永久磁石5は、図12に示すように、永久磁石5を軸線方向において二つの永久磁石5a、5bに分割し、互いの磁極の並びを揃え、固定子2の往復動方向に離間して設けてある。具体的には、N極を可動子側に向けて設置し、さらに永久磁石5a、5bは固定子2の永久磁石未設置部9と、面一に設けられている。
これにより、固定子2の軸方向における左右両側で確実に磁束を生じさせることができ、さらに、永久磁石5a、5bの面と固定子2の面とを面一に設けることで、固定子2と可動子4の隙間が軸線方向に一定に保たれるので磁束漏洩を抑えることができる。その結果、可動子4に対する付勢力を強めることが可能となる。
上述した効果に加えて、上記第1実施形態から第8実施形態におけるリニアアクチュエータによれば、コイルが可動子ではなく固定子に設けられるため、可動部分が鉄心のみとなり、例えばボイスコイルモータ(可動コイル型)のように給電線がいらず断線事故が無くなるとともに、例えばムービングマグネットモータ(可動磁石型)のように機械強度の高くない(脆い)材料を動かすことによる事故が起きにくくなる。
さらに、第1実施形態から第5実施形態におけるインナーコアレスリニアアクチュエータによれば、可動子に樹脂を用いる必要がなく、鉄材、非鉄材など金属のみで構成可能であるので、コンプレッサー駆動などの駆動で予想される高温環境において、非常に信頼性の高い運転が出来る。
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば、永久磁石5a、5bの位置、エアギャップ15の位置を変えてもよい。
また、上記実施例における構成は一例であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が流れていない状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。 本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が一方向(正の方向)に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。 本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が一方向(負の方向)に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。 本発明の第2実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第3実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第4実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第5実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第5実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が一方向(正の方向)に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。 本発明の第5実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が一方向(負の方向)に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。 本発明の第6実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第7実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。 本発明の第8実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図である。
符号の説明
1 コイル
2 固定子
3a 鉄部材
3b 鉄片
4 可動子
5 永久磁石
5a 永久磁石
5b 永久磁石
6 インナーコアレスリニアアクチュエータ
7 インナーコア付リニアアクチュエータ

Claims (4)

  1. コイルを備えた固定子と、
    少なくとも一部に鉄部材を有し、前記固定子に対し軸線方向に沿って往復動可能に設けられた可動子と、
    前記固定子の前記鉄部材に対向する面の一部に、前記鉄部材に対向させかつ磁極を軸線方向に直交させた状態で設けられたリング状の永久磁石と、
    を備えたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. 前記永久磁石は、前記鉄部材に対向する面の他部と、面一に設けられていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
  3. 前記永久磁石は、前記鉄部材に対向する面の他部に対して、前記鉄部材側に突出させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
  4. 前記固定子には、前記鉄部材に前記永久磁石とは逆側で対向する磁極部材が一体成形され、
    前記可動子は、前記鉄部材を入れ子とする合成樹脂のインサート成形により、形成されるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のリニアアクチュエータ。
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