JP2002369485A - 磁気的な求心力の発生手段 - Google Patents

磁気的な求心力の発生手段

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JP2002369485A JP2002126569A JP2002126569A JP2002369485A JP 2002369485 A JP2002369485 A JP 2002369485A JP 2002126569 A JP2002126569 A JP 2002126569A JP 2002126569 A JP2002126569 A JP 2002126569A JP 2002369485 A JP2002369485 A JP 2002369485A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 往復運動する永久磁石1を備える往復動発電
機又は往復動モータにおいて、バネ等の機械的手段を使
用しないでこの永久磁石の過大な往復運動を抑える。 【解決手段】 往復運動する永久磁石1の両端部が、固
定子2に形成した一対の半径方向間隙4,5の端に近づ
いた時に、磁気的に飽和するように固定子2の体積を設
定する。この飽和した磁気力によって、半径方向間隙
4,5から永久磁石1が外に飛出すのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復運動する永久
磁石によって、それぞれ機械的エネルギ又は電気的エネ
ルギを発生させる交流モータ又は交流発電機に関し、特
にこの永久磁石の往復運動を、所定の範囲内に制限する
磁気的な求心力を発生させる手段に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、米国特許第4,602,17
4号において、リング形状の永久磁石の往復運動を交流
電圧に変換する発電機、あるいは交流電圧をリング形状
の永久磁石の往復運動に変換するモーターとして使用で
きる電気機械式変換器を提案した。この米国特許明細書
に記載された発明の実施の形態の1を図8に示す。この
発明において、永久磁石55,53は左右に往復運動し
ているが、この永久磁石が、固定子52と固定子57と
の半径方向間隙A,Bの軸方向幅内にある場合には、電
機子コイル56に電流が流れないときは、この永久磁石
に磁気的な力は作用しない。
【0003】しかるに、永久磁石55,53が、いった
ん半径方向間隙A,Bの軸方向幅の両端から外に出る
と、この半径方向間隙から、この永久磁石をさらに外側
に追やる強い磁気力が、固定子52と57とに発生す
る。したがって従来は、永久磁石55,53が、半径方
向間隙A,Bの軸方向幅外に追い出されて、さらに外側
に追いやられるのを防止するために、この永久磁石の往
復運度を抑制する、機械的あるいは磁気的なバネ100
等の求心手段が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなバ
ネ等の求心手段は、構造を複雑にするだけでなく、製造
コストも増加させる。
【0005】そこで本発明の目的は、構造が複雑になら
ず、またコストも増加させないで、往復運動する永久磁
石に磁気的な求心力を発生させる手段を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明による磁気的な求心力を発生させる手段の第1の
特徴は、往復運動を交流電圧に変換する往復動発電機、
又は交流電圧を往復運動に変換する往復動モータのいず
れかに使用するものであって、永久磁石と、磁性体材か
らなる固定子と、電機子コイルとを備えていることにあ
る。この永久磁石は、所定の半径方向厚さと軸方向長さ
とを有する円筒形状からなり、その円筒形状の円周面に
ほぼ垂直な方向に磁化してある。
【0007】固定子は、永久磁石の外周側に位置する外
側部材と、内周側に位置する内側部材とを備え、この外
側部材と内側部材とは、同一の磁束ループを形成するよ
うに構成されている。この外側部材又はこの内側部材の
少なくともいずれか一方は、この永久磁石の円周面に向
って半径方向に突起し、かつ相互に軸方向に分離した一
対のリング状の突起部を有している。そして、この一対
のリング状の突起部と、外側部材又は内側部材のいずれ
かの他方とは、所定の軸方向長さを有する一対の半径方
向間隙を、所定の軸方向間隔を隔てて形成している。電
機子コイルは、この固定子の軸を中心として巻装されて
いる。
【0008】永久磁石の軸方向長さは、半径方向間隙の
軸方向長さと、軸方向間隔とを加えたものであって、こ
の永久磁石は、一対の半径方向間隙の間を、軸方向に移
動自在である。そして、永久磁石の円筒端面の軸方向位
置が、半径方向間隙の軸方向長さの両端位置に接近し、
かつ電機子コイルに電流が流れない時には、磁束ループ
を形成する固定子の少なくとも一部の領域が、磁気的に
飽和する。ここで磁気的な飽和による磁界の強さは、少
なくとも1600アンペア/メータであって、この飽和
による磁界によって、永久磁石の軸方向移動を抑制する
磁気力を発生させる。
【0009】すなわち本発明においては、往復運動する
永久磁石の円筒端面が、半径方向間隙の軸方向幅の両端
位置に近づく時に、磁性体からなる固定子の全体又は一
部の領域が磁気的に飽和するように構成してある。すな
わち理論的あるいは経験的には、固定子を磁気的に飽和
させると、往復運動する永久磁石を、半径方向間隙内に
保持する力を発生させることが予測されるが、従来は、
効率が悪くなって性能が低下したり、発電機の出力電圧
波形が歪むのを防止するために、固定子を磁気的に飽和
させないように設計していた。しかるに本発明をこのよ
うに構成することによって、性能の低下等を招くことな
く、永久磁石の求心力を発生させることが可能になる。
【0010】本発明による磁気的な求心力の発生手段の
第2の特徴は、前記特徴1に記載した外側部材と内側部
材とは、円周方向に相互に分離した複数の円弧セグメン
トから構成してあることにある。
【0011】本発明による磁気的な求心力の発生手段の
第3の特徴は、前記特徴1に記載した永久磁石は、円周
方向に相互に分離した複数の円弧セグメントから構成し
てあることにある。
【0012】すなわち、このように発明を構成した場合
にも、上記特徴1に記載した永久磁石の求心力を発生さ
せることが可能である。また、少なくとも外側部材及び
内側部材と、永久磁石との一方は、円筒形状を有してい
るため、永久磁石がその軸を中心として回転した場合に
も、外側部材及び内側部材と、永久磁石との円周方向の
相対位置関係は、同じに維持される。このため永久磁石
の回転によって、上記求心力の発生に影響を与えること
はない。したがって、永久磁石を積極的に回転させるよ
うに構成することが可能となり、この永久磁石を支持す
る軸の潤滑性能を向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図2に示す磁気的な求心力
の発生手段は、往復運動を交流電圧に変換する往復動発
電機、又は交流電圧を往復運動に変換する往復動モータ
のいずれかに使用するものであって、永久磁石1と、磁
性体である鉄材からなる固定子2と、電機子コイル3と
を備えている。永久磁石1は、所定の半径方向厚さと軸
方向長さとを有する円筒形状を有している。なお、永久
磁石1の内外円筒面は、それぞれその中心軸A−Aに平
行であり、両端面は、それぞれこの中心軸に直交する平
面で成形してある。また、永久磁石1は、その円筒形状
の円周面にほぼ垂直な方向に磁化してある。固定子2
は、永久磁石1の外周側に位置する外側部材21と、内
周側に位置する内側部材22とを有しており、それぞれ
永久磁石1の中心軸A−Aと同軸であって、この軸と軸
対称のリング形状に形成してある。外側部材21と、内
側部材22とは、同一の磁束ループを形成するように構
成されている。
【0014】外側部材21は、中心軸A−Aを含む断面
が略矩形形状になっており、その内周面には、軸方向長
さがSの矩形断面形状を有する円周溝21aが形成して
ある。したがって、円周溝21aの両側部は、中心軸A
−Aに向う一対のリング形状の突起部が形成され、この
突起部の内周面と、内側部材22の外周面とから、所定
の軸方向長さLを有する一対の半径方向間隙4,5が、
軸方向間隔Sを隔てて形成される。内側部材22は、中
心軸A−Aを含む断面が矩形状になっている。なお、外
側部材21の両突起部の外側部分と、内側部材22の両
端部分は、それぞれ三角形の断面形状に形成してある
が、このような三角形の断面形状は、軽量化のためであ
って、後述する磁気的な飽和とは関係がない。
【0015】外側部材21の円周溝21a内には、電機
子コイル3が、中心軸A−Aを中心として巻装されてい
る。そして永久磁石1の軸方向長さは、半径方向間隙
4,5の軸方向長さLと、軸方向間隔Sとを加えたもの
になっている。
【0016】ここで、永久磁石1と固定子2と電機子コ
イル3とを、従来の設計思想によって構成した場合を図
9に示す。図9に示す従来例と比較すると、図2に示す
本発明は、外側部材21の一対のリング形状の突起部を
連結する円筒部分21bの半径方向厚さy1と、内側部
材22の半径方向厚さY1とが、それぞれ従来例の厚さ
y2,Y2より薄くなっている。この理由は、従来の設計
思想では、上述したように、固定子302が磁気的に飽
和するのを防止するために、磁束ループが形成されるこ
の固定子の体積を大きくする必要があるのに対して、本
発明においては、後述するように、磁束ループが形成さ
れる固定子2の全体、又は一部の領域を占める体積を小
さくして、この固定子が磁気的に飽和し易くするためで
ある。
【0017】さて永久磁石1は、一対の半径方向間隙
4,5の間を、軸方向に往復移動自在になっている。そ
して永久磁石1の軸方向位置を、半径方向間隙4,5の
軸方向長さLの中央位置から、この永久磁石の一方の端
面までの距離Xで表すと、この距離Xの絶対値が、この
半径方向間隙の軸方向長さLの1/2に近づき、電機子
コイル3に電流が流れない時に、磁束ループを形成する
外側部材21の円筒部分21b又は内側部材22の、少
なくともいずれかの一方が磁気的に飽和する。ここでこ
の磁気的な飽和による磁界の強さは、少なくとも160
0アンペア/メータであって、この飽和による磁界によ
って、永久磁石1の軸方向移動を抑制する磁気力を発生
させる。
【0018】ここで、永久磁石1の軸方向移動を抑制す
る上記磁気力の発生について説明する。ところで、永久
磁石1の磁力によって、外側部材21と内側部材22と
に形成される磁束ループの磁束密度と磁界の強度とは、
電機子コイル3に電流が流れていない場合には、この永
久磁石の位置Xと、この外側部材と内側部材との体積の
関数として表される。図3は、永久磁石1の往復運動に
よって、固定子2内に形成される磁束密度B1(X),
B2(X)及び磁界の強さH1(X),H2(X)が、永
久磁石1の位置Xによって変化する様子を示している。
ここで、B1(X)とH1(X)とは、本発明によるもの
であって、実線グラフで示している。一方、B2(X)
とH2(X)とは、図9に示す従来例によるものであっ
て、破線グラフで示している。以下、図3に示す磁束密
度B1(X),B2(X)及び磁界の強さH1(X),H2
(X)について説明する。
【0019】永久磁石1,301が、その往復移動の中
心位置に対して対称となる位置、すなわち位置X=0に
おいては、この永久磁石の両端部が、それぞれ左右の半
径方向間隙4,304,5,305に侵入している軸方
向長さは、L/2であって等しい。このため、永久磁石
1,301の両端部から発生し、左右の半径方向間隙
4,304,5,305を半径方向に通過する磁束の量
は、同一方向に同じとなり、固定子2,302は磁気的
に平衡状態になって、外側部材21,321と内側部材
22,322とには、磁束ループは形成されない。した
がって、永久磁石1,301の位置Xが0の場合には、
固定子2,302を通過する磁束密度B1,B2はゼロと
なり、磁界の強さH1,H2もゼロになる。
【0020】しかるに、永久磁石1,301が左右方向
に移動すると、この移動距離Xに比例して、左右の半径
方向間隙4,304,5,305に侵入しているこの永
久磁石の軸方向長さは、一方が長く他方が短くなる。こ
のため、左右の半径方向間隙4,304,5,305を
半径方向に通過する磁束の量は、一方が増加し、他方が
減少する。したがって、図3に示すように、永久磁石
1,301の移動距離Xに比例して、固定子2,302
を通過する磁束密度B1,B2は増加、又は減少し、磁界
の強さH1,H2も増加、又は減少する。そして、永久磁
石1,301の端面位置が、半径方向間隙4,304,
5,305から飛出す位置、すなわちX=±L/2の時
に、磁束密度B1,B2と、磁界の強さH1,H2とは、最
大になる。
【0021】さて図9に示す従来例においては、磁気的
な飽和が生じないように、外側部材321と、内側部材
322とは、十分余裕を持った体積を有するように成形
してあるため、磁束密度B2(X)は、X=L/2位
置、すなわち永久磁石301の端部が、半径方向間隙3
04,305の端に近づくまで、直線的に増加する。な
お従来では、一般的に磁束密度B2(X=L/2)の最
大値が、1.3T(テスラ)以下になるように、外側部
材321と内側部材322の体積を設計する。したがっ
て、磁束密度B2(X)によって発生する磁界の強さH2
(X)も、ほぼ直線的に増加する。なおこの磁界の強さ
H2(X=L/2)の最大値は、800A/m以下にな
るように、外側部材321と内側部材322との体積を
設計する。
【0022】一方、本発明においては、外側部材21の
円筒部分21bと、内側部材22との半径方向厚さy
1,Y1が薄く設定してある。したがって、形成される磁
束密度B1(X)は、より大きな勾配で上昇していき、
永久磁石1の位置XがL/2に近づくと、ついには磁気
的に飽和し、上昇カーブが鈍化する。なお、外側部材2
1の円筒部分21bと、内側部材22との半径方向厚さ
y1,Y1は、磁束密度Bが、永久磁石1の位置X=L/
2において、1.5T以上になるように設定してある。
【0023】ところで一般的に、鉄等の磁性体を磁界の
中に置くと磁化されるが、この磁界の強さHの増加に対
する磁束密度Bの変化は、磁化曲線またはB−H曲線と
してよく知られている。そして磁界の強さHを大きくし
ていくと、磁束密度Bの上昇が鈍化して、それ以上磁界
の強さHを増加しても、磁束密度Bは殆ど増加しなくな
り、磁性体は磁気的に飽和した状態になる。逆にいえ
ば、この磁気的に飽和した状態においては、わずかな磁
束密度Bの変化によって、磁界の強さHが大きく変化す
ることを意味する。したがって本発明においては、図3
に示すように、永久磁石1の位置XがL/2に近づく
と、外側部材21の円筒部分21bと、内側部材22と
が磁気的に飽和するため、わずかな磁束密度B1の増加
で、磁界の強さHが、急激に上昇することになる。な
お、この磁界強さH1(X=L/2)の最大値は、固定
子2が十分磁気的に飽和するように、1600A/m以
上に設定してある。
【0024】次に、永久磁石1が半径方向間隙4,5か
ら飛出すのを防止する磁気力の発生について説明する。
この磁気力の発生は、いわゆるエネルギ保存則に基づく
ものであって、この法則では、磁界の強さHにおいて、
磁束密度BをdBだけ増加させるためには、微小空間体
積dVあたり、H x dB x dVのエネルギが必
要となる。本発明においてこのエネルギは、永久磁石1
をdXだけ軸方向に移動させる機械的な仕事として与え
られる。したがって、永久磁石1に働く微小磁気力をd
Fとすると、この機械的な仕事は、dF x dX =
H x dBx dVとなり、この両辺をdXで割る
と、dF = H x dB/dXx dVとなる。し
たがって、永久磁石1に働く磁気力Fは、このdF =
Hx dB/dX x dVを、周囲空間Vについて
積分した値となる。
【0025】この磁気力Fは、エネルギ保存則によりマ
イナス値であって、dXと逆方向の力となるために、永
久磁石1の運動を妨げるように作用する。ところでこの
積分は原理的には、全ての周囲空間について行うべきで
あるが、永久磁石1が、半径方向間隙4,5から飛出さ
ない場合には、磁界が強い磁性体からなる外側部材21
と、内側部材22とが占める体積Vについて行えば、永
久磁石1に働く磁気力Fを、ほぼ求めることができる。
【0026】図4は、永久磁石1,301の運動を妨げ
る磁気力F1,F2の変化を示したものであり、この磁気
力F1,F2は、図3に示す磁束密度B1(X),B2
(X)、及び磁界の強さH1(X),H2(X)につい
て、それぞれ上記の積分をしたものである。なおF1
は、本発明によるものであって、実線で表している。一
方F2は、従来例によるものであって、破線で表してい
る。なお、従来例及び本発明にいずれも、永久磁石1,
301の端部が、一旦半径方向間隙4,304,5,3
05から外に出る、すなわち絶対値X>L/2となる
と、この永久磁石を更に外に追い出す磁気力F1,F2が
急激に増加し、この永久磁石を、この半径方向間隙から
更に外側に飛出させる。
【0027】すなわち永久磁石1,301の端部が、一
旦半径方向間隙4,304,5,305から外に出る、
すなわち絶対値X>L/2となると、この永久磁石の磁
力による固定子2,302周りの磁界の強さの分布の変
化によって、半径方向間隙4,304,5,305を通
過する磁束密度B1,B2が減少する現象が生じる。そし
て、磁束密度B1,B2が減少する、すなわち、d1B,
d2Bがマイナスになると、上述したエネルギ保存則の
法則により、永久磁石1,301に働く磁気力Fが、プ
ラスになり、この永久磁石を、半径方向間隙4,30
4,5,305から、より外側に追い出す力となって作
用する。
【0028】従来は上述したように、磁気の飽和が発生
しないように、磁性体からなる固定子302の寸法を決
めていた。すなわち、磁界の強さH2は通常800A/
m以下(典型的な値としては400A/m)に設定され
ており、その結果磁気力F2は小さく、永久磁石301
の運動を制限する力として利用できなかった。しかるに
本発明においては、永久磁石1の位置Xが、L/2に近
づく時に、磁気的な飽和を生じさせて、磁界の強さH1
を1600A/m以上に上げることによって、磁気力F
1を大幅に増加させ、この磁気力F1によって、永久磁石
1が半径方向間隙4,5から飛出すのを防止する。
【0029】すなわち従来例においては、図3に示すよ
うに、永久磁石301の位置XがL/2に近づいても、
磁界強さH2(X)は僅かしか上昇しないために、この
磁界強さH2(X)に基づく磁気力F2も、小さな値に留
まる。したがって、永久磁石301の往復運動を十分抑
制するに到らず、半径方向間隙304,305内に、こ
の永久磁石の端部を留めることができない。一方、本発
明においては、永久磁石1の位置XがL/2に近づく
と、磁界の強さH1(X)が急激に上昇するため、この
磁界強さH1(X)に基づく磁気力F1も、急激に増加す
る。したがって、永久磁石1の往復運動を十分抑制する
ことができ、半径方向間隙4,5内に、この永久磁石の
端部を留めることが可能となる。
【0030】図6に、他の発明の実施の形態を示す。こ
の発明においては、外側部材121と内側部材122と
は、2の分離した円弧セグメントから構成してある。そ
して、外側部材121の内側には、その軸を中心とする
電機子コイル103が巻装してあり、この外側部材と内
側部材122の間に形成された、半径方向間隙104、
105の間を、円筒状の永久磁石101が往復運動す
る。他の構成は、図1に示す発明の実施の形態と同等で
ある。
【0031】図7に、さらに他の発明の実施の形態を示
す。この発明においては、永久磁石201は、2の分離
した円弧セグメントから構成してある。そして、外側部
材221の内側には、その軸を中心とする電機子コイル
203が巻装してあり、この外側部材と内側部材222
の間に形成された、半径方向間隙204,205の間
を、リンク機構で互いに結合された、円弧セグメントか
らなる2の永久磁石201が往復運動する。他の構成
は、図1に示す発明の実施の形態と同等である。なお図
5に、それぞれの発明の構成を比較するために、図1〜
図2に示した発明の構成を正面から見た形状を示す。
【0032】このように発明を構成しても、永久磁石1
01,201の位置Xが、L/2に近づいた時に、磁気
的な飽和が発生するように、外側部材121,221と
内側部材122,222との形状を定めることが、容易
にできる。また永久磁石101,201と、外側部材1
21,221等とは、互いに軸対称の関係にあるため、
この永久磁石が回転しても、図1に示した実施例と同様
に、この外側部材等との相対位置関係は変化しない。し
たがって、永久磁石101,201を回転させることに
よって、この永久磁石に支持軸の潤滑や、シールの機能
を向上させることが可能になる。
【0033】なお、磁気的な飽和は、外側部材21又は
内側部材22の、いずれか一方で発生させるように、こ
の外側部材又は内側部材の寸法を設定することも容易に
できる。また電機子コイル3を、外側部材21の外側あ
るいは内側部材22の内側に巻装して構成することも容
易にできる。更に、永久磁石1と外側部材21と内側部
材22とを、軸方向に複数個並べて、この永久磁石を適
当なリンクで結合して、一緒に往復運動させるように構
成することも容易にできる。
【0034】
【発明の効果】往復運動する永久磁石に対して、効率の
悪化や出力電圧波形が歪む等の、性能の低下等を招くこ
となく、磁気的な求心力を発生させることが可能にな
る。このため機械的なバネ等の求心手段が不要となり、
構造の複雑化やコストの増加を防止できる。また、固定
子と永久磁石との円周方向の相対位置関係が同じに維持
されるので、永久磁石を積極的に回転させるように構成
することが可能となり、この永久磁石を支持する軸の潤
滑性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁気的な求心力の発生手段の拡大断面図であ
る。
【図2】 各構成部材の寸法記号の説明図である。
【図3】 永久磁石の往復移動距離と、固定子に発生す
る磁束密度および磁界の強さとの関係を示す線図であ
る。
【図4】 永久磁石の往復移動距離と、永久磁石に働く
磁気的な求心力の関係を示す線図である。
【図5】 磁気的な求心力の発生手段の正面図である。
【図6】 他の磁気的な求心力の発生手段の正面図であ
る。
【図7】 他の磁気的な求心力の発生手段の正面図であ
る。
【図8】 従来例による求心手段の構成図である。
【図9】 他の従来例による求心手段の構成図である。
【符号の説明】
1,101,201 永久磁石 2 固定子 21,121,221 外側部材 22,122,222 内側部材 3,103,203 電機子コイル 4,104,204 半径方向間隙 5,105,205 半径方向間隙

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】往復運動を交流電圧に変換する往復動発電
    機又は交流電圧を往復運動に変換する往復動モータのい
    ずれかに使用するものであって、 永久磁石(1)と、磁性体材からなる固定子(2)と、電機子
    コイル(3)とを備え、 上記永久磁石(1)は、所定の半径方向厚さと軸方向長さ
    とを有する円筒形状からなり、 上記永久磁石(1)は、その円筒形状の円周面にほぼ垂直
    な方向に磁化してあり、 上記固定子(2)は、上記永久磁石(1)の外周側に位置する
    外側部材(21)と、内周側に位置する内側部材(22)とを備
    え、 上記外側部材(21)と内側部材(22)とは、同一の磁束ルー
    プを形成するように構成され、 上記外側部材(21)又は上記内側部材(22)の少なくともい
    ずれか一方は、上記永久磁石(1)の円周面に向って半径
    方向に突起し、かつ軸方向に相互に分離した一対のリン
    グ状の突起部を有し、 上記一対のリング状の突起部と上記外側部材(21)又は上
    記内側部材(22)のいずれかの他方とは、所定の軸方向長
    さ(L)を有する一対の半径方向間隙(4),(5)を所定の軸方
    向間隔(S)を隔てて形成し、 上記電機子コイル(3)は、上記固定子(2)の軸を中心とし
    て巻装され、 上記永久磁石(1)の軸方向長さは、上記半径方向間隙
    (4),(5)の軸方向長さ(L)と軸方向間隔(S)とを加えたも
    のであり、 上記永久磁石(1)は、上記一対の半径方向間隙(4),(5)の
    間を軸方向に移動自在であって、 上記永久磁石(1)の円筒端面の軸方向位置が、上記半径
    方向間隙(4),(5)の軸方向長さの両端位置に接近し、か
    つ上記電機子コイル(3)に電流が流れない時に、上記磁
    束ループを形成する固定子(2)の少なくとも一部の領域
    は磁気的に飽和し、 上記磁気的な飽和による磁界の強さは、少なくとも16
    00アンペア/メータであって、 上記飽和による磁界によって上記永久磁石(1)の軸方向
    移動を抑制する磁気力を発生させることを特徴とする磁
    気的な求心力の発生手段。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記外側部材(121)と
    内側部材(122)とは、円周方向に相互に分離した複数の
    円弧セグメントから構成してあることを特徴とする磁気
    的な求心力の発生手段。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記永久磁石(201)
    は、円周方向に相互に分離した複数の円弧セグメントか
    ら構成してあることを特徴とする磁気的な求心力の発生
    手段。
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