JP3873791B2 - リニアアクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアアクチュエータに関し、特にその信頼性向上および性能向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
リニアアクチュエータは、バネを併用し共振させることによって少ない損失で駆動できることから、コンプレッサモータ等として利用されている。そして、このリニアアクチュエータを用いたコンプレッサは高効率である等優れた性能を発揮できることから、冷蔵庫や、冷凍庫、あるいはエアコンディショナ用としての利用が期待されている。
【0003】
リニアアクチュエータとしては、ボイスコイルモータがある。このボイスコイルモータは、永久磁石により作られた磁界の中でコイルに電流を流すことによりコイルに生じる力で駆動を行うもので、コイルを含む可動子が動く可動コイル型とも呼ばれている。
【0004】
また、他のリニアアクチュエータとして、上記可動コイル型のものに対して永久磁石とコイルとを入れ替えた構造であって、永久磁石を含む可動子が動く可動磁石型と呼ばれるものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した可動コイル型のものは、可動子にコイルが含まれることから、可動子に電流を流さなければならず、このための給電線に可動子の移動で断線を生じてしまうことがあり、信頼性に劣るという問題があった。
【0006】
また、上記した可動磁石型のものは、性能向上を図るために高い磁束密度を得ようとした場合に永久磁石の重量が増大することになり、その結果、可動子の重量が増加することになるため、望むように性能向上が図れないという問題があった。
【0007】
このため、本出願人は、固定子と、鉄片を有し固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、鉄片に対向した状態で固定子に設けられた永久磁石と、固定子に設けられたコイルとを備え、電流の方向が変わる固定子側のコイルと永久磁石とで鉄片を通る磁束を移動させることにより鉄片すなわち可動子を往復動させるリニアアクチュエータを開発し先の出願を行っている(特願2001−369378号)。このリニアアクチュエータは、コイルと永久磁石とがともに固定子に設けられるため、可動子側に給電する必要がなくなって、移動する可動子がコイルへの給電線に断線を生じさせてしまうことがなくなるとともに、性能向上を図るために高い磁束密度を得ようとした場合に永久磁石の重量が増大しても、可動子の重量が増加することがなく、さらに、可動子に磁石がないことから、可動子への着磁が作業が不要となる非常に優れたものである。
【0008】
しかしながら、このリニアアクチュエータにおいて、永久磁石により生じる磁束が可動子の移動に対し有効に使われなければ、可動子に十分かつ安定して推力を発生させることができないことになり、この点でさらなる改善の余地があった。
【0009】
したがって、本発明は、永久磁石により生じる磁束を可動子の移動に有効に使用することができ、可動子に十分かつ安定して推力を発生させることができるリニアアクチュエータの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のリニアアクチュエータは、固定子と、鉄片を有し前記固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、前記鉄片に対向しかつ前記往復動の方向に沿って磁極を並べた状態で前記固定子に設けられた第1の永久磁石と、該第1の永久磁石の前記往復動の方向における両側に設けられた一対の第1の磁極部材と、前記固定子に設けられたコイルとを有するリニアアクチュエータであって、前記往複動の方向に直交する方向に前記第1の磁極部材に対向して第2の磁極部材が設けられ、前記第1の磁極部材と前記第2の磁極部材との間に前記鉄片が往複動可能に配されており、前記第1の磁極部材と前記固定子との間のうち、前記第1の永久磁石の前記往復動の方向における両側に一対の第2の永久磁石が設けられており、該第2の永久磁石は、前記固定子と前記第1の永久磁石と前記第1の磁極部材と前記第2の磁極部材とに前記第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べていることを特徴としている。
【0011】
このように、磁極部材と固定子との間に第2の永久磁石が設けられており、第2の永久磁石は、固定子と第1の永久磁石と一対の磁極部材とに第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べているため、第1の永久磁石によって生じ磁極部材と鉄片との間で導かれる磁束数を増加させることができる。
【0012】
本発明の請求項2記載のリニアアクチュエータは、前記第2の永久磁石は、請求項1記載のものに関して、前記第1の磁極部材のうちの一方と前記固定子との間と、前記第1の磁極部材のうちの他方と前記固定子との間との両方に設けられていることを特徴としている。
【0013】
このように、第2の永久磁石は、一対の磁極部材のうちの一方と固定子との間と、一対の磁極部材のうちの他方と固定子との間との両方に設けられているため、両方の第2の永久磁石が、固定子と第1の永久磁石と一対の磁極部材とに第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して確実な磁気抵抗となり、第1の永久磁石によって生じ磁極部材と鉄片との間で導かれる磁束数を確実に増加させることができる。
【0014】
本発明の請求項3記載のリニアアクチュエータは、請求項1または2記載のものに関して、前記固定子には前記第1の永久磁石、前記第1の磁極部材および前記第2の永久磁石の組が前記往復動の方向に複数設けられており、前記可動子には前記鉄片が前記往復動の方向に複数設けられていることを特徴としている。
【0015】
このように、固定子には第1の永久磁石、一対の磁極部材および第2の永久磁石の組が往復動の方向に複数設けられており、可動子には鉄片が往復動の方向に複数設けられているため、可動子にさらに大きな推力を発生させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0017】
第1実施形態のリニアアクチュエータ11は、ヨーク(固定子)12と、このヨーク12に往復動可能に設けられた可動子13と、ヨーク12に固定された永久磁石(第1の永久磁石)14と、ヨーク12に固定されたコイル15とを備えている。
【0018】
上記ヨーク12は、円筒状の外円筒部17と、この外円筒部17の軸線方向における一端側に設けられた薄板リング状の底板部18と、この底板部18の内側部分に軸線方向に沿って外円筒部17と同じ側に突出するリング状の連結部20と、この連結部20に外円筒部17と同軸をなして設けられた円筒状のインナー磁極19とを有している。
【0019】
外円筒部17、底板部18、連結部20およびインナー磁極19を有するヨーク12は、共通の磁性材料である焼結材で焼結により一体成形されている。
【0020】
上記コイル15は、リング状をなしており、ヨーク12の底板部18と外円筒部17との境界の角部内側にヨーク12と同軸をなして固定されている。
【0021】
上記永久磁石14は、その両磁極すなわちN極14aとS極14bとが軸線方向に並べられた薄板リング状のもので、フェライト磁石からなっている。この永久磁石14の軸線方向における両側には、軸線方向に略円筒状をなして突出する突出部21が内径側に形成された断面L字状の環状のアウター磁極(磁極部材)22およびアウター磁極(磁極部材)23が互いの突出部21を反対方向に突出させるようにして配置されている。これらの一対のアウター磁極22およびアウター磁極23も焼結材からなっている。
【0022】
ここで、永久磁石14の外径はヨーク12の外円筒部17の内側に圧入固定される大きさとされており、他方、一対のアウター磁極22およびアウター磁極23の外径は、ヨーク12の外円筒部17の内径よりも小径とされている。
【0023】
そして、アウター磁極22の外径側には、環状の永久磁石(第2の永久磁石)50が嵌合されており、アウター磁極23の外径側にも、環状の永久磁石(第2の永久磁石)51が嵌合されている。その結果、これら永久磁石50,51の外径が永久磁石14の外径と等しくされている。
【0024】
そして、永久磁石14の磁極14a,14bの並びの方向における両側を、永久磁石50,51が取り付けられた状態の環状のアウター磁極22,23でサンドイッチした状態で、永久磁石14および永久磁石50,51がヨーク12の外円筒部17の内側に圧入されることにより、永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および永久磁石50,51は、ヨーク12と同軸に固定されている。
【0025】
この固定状態で、永久磁石14はN極14aを底板部18側にS極を底板部18に対し反対側に配置するとともに、永久磁石14のN極14a側に近接して配置される永久磁石50は、N極50aをアウター磁極22側にS極50bを外円筒部17側に配置することになる。さらに、永久磁石14のS極14b側に近接して配置される永久磁石51は、N極51aを外円筒部17側にS極51bをアウター磁極22側に配置することになる。すなわち、アウター磁極22と外円筒部17との間に設けられた永久磁石50およびアウター磁極23と外円筒部17との間に設けられた永久磁石51は、ヨーク12の外円筒部17と永久磁石14と一対のアウター磁極22,23とに永久磁石14の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べている。その結果、永久磁石14によって生じアウター磁極22,23と鉄片32との間で導かれる磁束量を増加させることが可能になって、可動子13に生じる推力を増加させることができる。
【0026】
また、この固定状態で、一方のアウター磁極22が軸線方向においてコイル15と隣り合う状態となる。
【0027】
さらに、この固定状態で、永久磁石14および一対のアウター磁極22,23は、全体としてヨーク12の円筒状のインナー磁極19の外側にこれと同軸をなし、しかもこのインナー磁極19と軸線方向の位置および長さを合わせて配置されることになって、このインナー磁極19との間に環状のギャップ25を形成することになる。
【0028】
ヨーク12のインナー磁極19の内周側には、シャフト26を軸線方向に移動可能にブッシュ27により支持するボールブッシュ28がそのブッシュ27において同軸に固定されている。そして、このブッシュ27に移動可能に保持されたシャフト26に上記した可動子13が固定されている。そして、ヨーク12に固定されたブッシュ27に対しシャフト26と可動子13とが軸線方向に沿って一体に往復動する。
【0029】
可動子13は、シャフト26に固定される略円板状の基部30と、この基部30でシャフト26に固定された状態において上記環状のギャップ25に入り込むように設けられる円筒部31と、この円筒部31の基部30に対し反対側に同軸同径をなして固定される円筒状の可動磁極としての鉄片32とを有している。これにより、可動子13の鉄片32は、環状のギャップ25内に同軸に配置されることになるが、その軸線方向における中央位置を永久磁石14の軸線方向における中央位置とほぼ合わせるように配置されている。
【0030】
上記可動子13は、基部30と円筒部31とが非磁性材料であるエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂からなっており、鉄片32は、磁化されていない磁性材料からなるもので焼結材からなっている。可動子13は、鉄片32を入れ子とする合成樹脂のインサート成形により形成されている。
【0031】
そして、以上の結果、可動子13は、鉄片32を有し軸線方向(各図面における左右方向)に沿って往復動可能となるようにヨーク12に支持されることになり、永久磁石14は可動子13の鉄片32の外径側に対向した状態で、しかも可動子13の往復動の方向に沿って磁極14a,14bを並べた状態でヨーク12に固定されることになる。そして、可動子13の往復動の方向における永久磁石14の両側に一対のアウター磁極22,23が設けられることになり、ヨーク12には、鉄片32に永久磁石14とは逆側で対向するインナー磁極19が一体成形されていることになる。さらに、永久磁石14および一対のアウター磁極22,23の組は、鉄片32に対し一側にのみ設けられており、具体的には円筒状の鉄片32に対し半径方向外側にのみ設けられている。
【0032】
上記構造のリニアアクチュエータ11においては、コイル15に交流電流(正弦波電流、矩形波電流)を流すと、コイル15に所定方向の電流が流れる状態では、図2に二点鎖線で示すように、磁束が、永久磁石14でS極14bからN極14a側に導かれることにより、ヨーク12の外円筒部17、アウター磁極23、永久磁石14、アウター磁極22、可動子13の鉄片32、ヨーク12のインナー磁極19、連結部20、底板部18、外円筒部17の順の磁束ループを形成することになり、その結果、可動子13は、アウター磁極22側へ移動する方向に力Fが加わってこの方向に移動する。一方、コイル15に上記所定方向とは逆方向の電流が流れる状態では、図3に二点鎖線で示すように、磁束が、永久磁石14でS極14bからN極14a側に導かれることにより、ヨーク12の外円筒部17、底板部18、連結部20、インナー磁極19、可動子13の鉄片32、アウター磁極23、永久磁石14、アウター磁極22、外円筒部17の順の磁束ループを形成することになり、その結果、可動子13は、逆のアウター磁極23側へ移動する方向に力Fが加わってこの方向に移動する。
【0033】
交流電流によるコイル15への電流の流れの方向が交互に変化することにより、以上の作動を繰り返して、可動子13はヨーク12に対して軸線方向に往復動することになる。
【0034】
そして、ヨーク12の外円筒部17と永久磁石14と一対のアウター磁極22,23とに永久磁石14の磁力によって形成される磁束ループに対して、永久磁石50,51が磁気抵抗となることから、永久磁石14によって生じアウター磁極22,23と鉄片32との間で導かれる磁束数が増加する。
【0035】
以上に述べた第1実施形態のリニアアクチュエータ11によれば、外円筒部17と一対のアウター磁極22,23との間に永久磁石50,51が設けられており、永久磁石50,51は、ヨーク12の外円筒部17と永久磁石14と一対のアウター磁極22,23とに永久磁石14の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べているため、永久磁石14によって生じアウター磁極22,23と鉄片32との間で導かれる磁束数を増加させることができる。したがって、永久磁石14により生じる磁束を鉄片32すなわち可動子13の移動に有効に使用することができ、可動子13に十分かつ安定して推力を発生させることができる。
【0036】
しかも、永久磁石50が外円筒部17とアウター磁極22との間に、永久磁石51が外円筒部17とアウター磁極23との間に設けられているため、両方の永久磁石50,51が、ヨーク12の外円筒部17と永久磁石14と一対のアウター磁極22,23とに永久磁石14の磁力によって形成される磁束ループに対して確実な磁気抵抗となり、永久磁石14によって生じアウター磁極22,23と鉄片32との間で導かれる磁束数をより確実に増加させることができる。したがって、永久磁石14により生じる磁束を可動子13の移動に有効に使用することがより確実にでき、可動子に十分かつ安定して推力を発生させることがより確実にできる。
【0037】
なお、可動子13の基部30および円筒部31は非磁性材料であれば合成樹脂ではなくアルミダイキャストや非磁性ステンレス等で形成してもよく、この場合、剛性を向上できるメリットがある。しかしながら、合成樹脂で形成する方が軽量化の観点からより好ましい。
【0038】
また、永久磁石14としては、上記したフェライト磁石以外にも、ネオジウム、サマリウムコバルト等の希土類系のものを用いたり、プラスチック磁石を用いることも可能であるが、フェライト磁石を用いるのがコスト低減の観点からより好ましい。
【0039】
加えて、可動子13の軸受けは、ボールブッシュ以外にも、空気軸受け(気体軸受け)や滑り軸受け等を使用しても良い。しかしながら、ボールブッシュ28を用いる方が、可動子13をより正確に往復動させることができるため、より好ましい。
【0040】
さらに、このリニアアクチュエータ11は、可動部にバネを組み込んだり、外部に置かれたバネとの併用で共振させて使用されるのが一般的であるが、勿論、このまま使用することも可能である。
【0041】
また、このリニアアクチュエータ11に位置、速度等を検出するセンサを設け、閉ループ制御を行うことで速度や位置の制御が可能なリニアサーボアクチュエータとして利用できる。
【0042】
さらに、変位特性等の性能改善のためにインナー磁極19やアウター磁極22,23の端部に面取り等を施しても良い。
【0043】
加えて、インナー磁極19、アウター磁極22,23、鉄片32は、焼結材以外にも、高速運転時の鉄損低減のためにこれらの材料を電気鉄板の積層構造としてもよい。
【0044】
さらに、アウター磁極22,23を突出部が形成されていない短円筒状としてもよく、また、突出部21を内径および外形側の両側に設けてもよい。加えて、可動子14をヨーク12に対しボールブッシュ28等によって支持しない構造とすることも可能である。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態のリニアアクチュエータを図4を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0046】
第2実施形態においては、ヨーク14の外円筒部17に、第1実施形態と同様の永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の組が、可動子13の往復動の方向に複数組、具体的には二組設けられており、可動子13には鉄片32が往復動の方向に複数、具体的には二個設けられている。ただし、隣り合う永久磁石14同士は、互いに磁極の方向を異ならせており、一対の永久磁石50,51の各組同士も、互いに磁極の方向を異ならせている。
【0047】
具体的には、両永久磁石14のうち底板部18側の永久磁石14はN極14aを底板部18側に配置するとともにS極14bを底板部18に対し反対側に配置し、底板部18に対し反対側の永久磁石14はN極14aを底板部18に対し反対側に配置するとともにS極14bを底板部18側に配置している。そして、両永久磁石14のうち底板部18側の永久磁石14のN極14a側に近接して永久磁石50が配置されており、この永久磁石50は、N極50aをアウター磁極22側にS極50bを外円筒部17側に配置している。さらに、両永久磁石14のうち底板部18側の永久磁石14のS極14b側に近接して永久磁石51が配置されており、この永久磁石51は、N極51aを外円筒部17側にS極51bをアウター磁極23側に配置している。
【0048】
さらに、両永久磁石14のうち底板部18に対し反対側の永久磁石14のN極14a側に近接して永久磁石51が配置されており、この永久磁石51は、N極51aをアウター磁極23側にS極51bを外円筒部17側に配置している。さらに、両永久磁石14のうち底板部18に対し反対側の永久磁石14のS極14b側に近接して永久磁石50が配置されており、この永久磁石50は、N極50aを外円筒部17側にS極50bをアウター磁極22側に配置している。
【0049】
そして、一方の鉄片32は永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の一方の組に対向して設けられ、他方の鉄片32は永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の他方の組に対向して設けられている。
【0050】
そして、これに合わせて、一方の永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の組と、他方の永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の組との間の外円筒部17の内側に、コイル15が配置されており、また、ボールブッシュ28がブッシュ27を複数、具体的には二個有している。
【0051】
このような第2実施形態によれば、ヨーク14には永久磁石14、一対のアウター磁極22,23および一対の永久磁石50,51の組が往復動の方向に複数設けられており、可動子13には鉄片32が往復動の方向に複数設けられているため、可動子13にさらに大きな推力を発生させることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のリニアアクチュエータによれば、磁極部材と固定子との間に第2の永久磁石が設けられており、第2の永久磁石は、固定子と第1の永久磁石と一対の磁極部材とに第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べているため、第1の永久磁石によって生じ磁極部材と鉄片との間で導かれる磁束数を増加させることができる。したがって、第1の永久磁石により生じる磁束を可動子の移動に有効に使用することができ、可動子に十分かつ安定して推力を発生させることができる。
【0053】
本発明の請求項2記載のリニアアクチュエータによれば、第2の永久磁石は、一対の磁極部材のうちの一方と固定子との間と、一対の磁極部材のうちの他方と固定子との間との両方に設けられているため、両方の第2の永久磁石が、固定子と第1の永久磁石と一対の磁極部材とに第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して確実な磁気抵抗となり、第1の永久磁石によって生じ磁極部材と鉄片との間で導かれる磁束数をより確実に増加させることができる。したがって、第1の永久磁石により生じる磁束を可動子の移動に有効に使用することがより確実にでき、可動子に十分かつ安定して推力を発生させることがより確実にできる。
【0054】
本発明の請求項3記載のリニアアクチュエータによれば、固定子には第1の永久磁石、一対の磁極部材および第2の永久磁石の組が往復動の方向に複数設けられており、可動子には鉄片が往復動の方向に複数設けられているため、可動子にさらに大きな推力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が流れていない状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。
【図2】 本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が一方向に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。
【図3】 本発明の第1実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が逆方向に流れている状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。
【図4】 本発明の第2実施形態のリニアアクチュエータを示す側断面図であって、コイルに電流が流れていない状態の磁束の状態を二点鎖線で示すものである。
【符号の説明】
11 リニアアクチュエータ
12 ヨーク(固定子)
13 可動子
14 永久磁石(第1の永久磁石)
14a,50a,51a N極(磁極)
14b,50b,51b S極(磁極)
15 コイル
22,23 アウター磁極(磁性部材)
32 鉄片
50,51 永久磁石(第2の永久磁石)

Claims (3)

  1. 固定子と、
    鉄片を有し前記固定子に対し往復動可能に設けられた可動子と、
    前記鉄片に対向しかつ前記往復動の方向に沿って磁極を並べた状態で前記固定子に設けられた第1の永久磁石と、
    該第1の永久磁石の前記往復動の方向における両側に設けられた一対の第1の磁極部材と、
    前記固定子に設けられたコイルとを有するリニアアクチュエータであって、
    前記往複動の方向に直交する方向に前記第1の磁極部材に対向して第2の磁極部材が設けられ、
    前記第1の磁極部材と前記第2の磁極部材との間に前記鉄片が往複動可能に配されており、
    前記第1の磁極部材と前記固定子との間のうち、前記第1の永久磁石の前記往復動の方向における両側に一対の第2の永久磁石が設けられており、該第2の永久磁石は、前記固定子と前記第1の永久磁石と前記第1の磁極部材と前記第2の磁極部材とに前記第1の永久磁石の磁力によって形成される磁束ループに対して磁気抵抗となる方向に磁極を並べていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
  2. 前記第2の永久磁石は、前記第1の磁極部材のうちの一方と前記固定子との間と、前記第1の磁極部材のうちの他方と前記固定子との間との両方に設けられていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
  3. 前記固定子には前記第1の永久磁石、前記第1の磁極部材および前記第2の永久磁石の組が前記往復動の方向に複数設けられており、前記可動子には前記鉄片が前記往復動の方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のリニアアクチュエータ。
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