JP2005325059A - 2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法 - Google Patents

2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法 Download PDF

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光樹 岡崎
Ryoichi Seki
亮一 関
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Abstract

【課題】副生成物の生成を抑制できる2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法を提供すること。
【解決手段】グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアをフェノール類の存在下で反応させる、一般式(1)
【化1】
Figure 2005325059

(Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法に関する。
2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法としては、次の製造方法が知られている。
(1)2,3−ジヒドロキシプロピルアミンをアセトン中でアクリロイルクロライドまたはメタクロイルクロライドと反応させる方法(非特許文献1)。
(2)グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアをエタノール、アセトン、ジオキサン、またはテトラヒドロフラン中で反応させる方法(特許文献1)。
特公昭48−19295号公報 Roz.chem.,50(2),333−335(1976)
しかしながら、前記(1)の方法は、原料である2,3−ジヒドロキシプロピルアミンを塩酸キャッチ剤として使用し、副生する2,3−ジヒドロキシプロピルアミン・塩酸塩を濾過にて除くとういう煩雑な操作が必要であるとともに、減圧蒸留により取り出された(メタ)アクリルアミドプロパンー2,3−ジオールの収率が低い。また、前記(2)の方法を記載した特公昭48−19295公報には、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアを反応させて得られるN(2・3ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミドを同様に減圧蒸留により取り出しているが、目的物の収率は記載されていない。
本発明者らは、前記(2)の方法である、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアの反応を検討した結果、反応に用いた溶媒を40℃以下で除去して得られた生成物中にはN(2・3ジヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミドの他にゲル状物質が含まれていることを確認した。
本発明者らは、前記(1)の方法での収率および(2)の方法では、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアとの反応の進行中および目的物を減圧蒸留により精製する工程でゲル状物質が生成していると推測している。
したがって、本発明は、前記の副生成物の生成を抑制できる2,3−ジヒドロキシプロピル−(メタ)アクリルアミドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアを反応させる2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドの製造方法について検討を重ねた結果、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアの反応をフェノール類の存在下で行うことにより、ゲル状物質の生成が抑制されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアをフェノール類の存在下で反応させる、一般式(1)
Figure 2005325059
(Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される化合物の製造方法に関するものである。
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物を収率よく製造する方法を提供することができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は、グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアをフェノール類の存在下で反応させることを特徴とする。
グリシジル(メタ)アクリレートおよびアンモニアは市販品を用いることができる。
本発明に用いられるフェノール類としては、ベンゼン環に少なくとも1個のヒドロキシ基が結合した化合物であれば特に限定されない。
フェノール類としては、例えば、一般式(2)
Figure 2005325059
(Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表し、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ターシャリーブチル基等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物として具体的化合物を例示するとすれば、例えば、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、4−エトキシフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール等が挙げられる。
グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアを前記のフェノール類の存在下で反応させることにより、一般式(1)表される化合物を製造することができる。
一般式(1)中のRは、水素原子またはメチル基を表す。
なお、前記の反応にフェノール類としてヒドロキノンを用いると、得られる一般式(1)表される化合物およびヒドロキノンを含む最終製品が赤く着色することがあるため、無色透明な最終製品が要求される場合には、ヒドロキノン以外のフェノール類を反応に用いるのが好ましい。
グリシジル(メタ)アクリレートに対するアンモニアの使用量は、1.0〜3.0倍モルが好ましく、1.1〜1.5倍モルであればより好ましい。
フェノール類の使用量は、グリシジル(メタ)アクリレートに対して0.01〜3.0モル%が好ましく、0.05〜0.5モル%であればより好ましい。
反応温度は、20〜120℃の範囲が好ましく、30〜60℃であればより好ましく、35〜45℃であればさらに好ましい。
反応に溶媒を用いる場合、好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、より好ましい溶媒として、水、メタノール、エタノールが挙げられる。
反応系内は、大気圧よりも高い加圧下、大気圧下、または大気圧よりも低い減圧下で行うことができるが、大気圧下または大気圧よりも高い加圧下の方が好ましい傾向にある。
本発明の製造方法の実施形態を具体的に示すとすれば、例えば、アンモニアまたはアンモニアと溶媒の混合液に、フェノール類とグリシジル(メタ)アクリレートの混合液を徐々に加えて反応させる形態を好ましいものとして挙げることができる。
従来の一般式(1)で表される化合物の製造方法では、一般式(1)で表される化合物とともにゲル状物質が生成する場合があるため、このゲル状物質と分離するために反応終了後の反応混合物から一般式(1)で表される化合物を減圧蒸留により精製して回収する必要がある。
これに対して、本発明の製造方法ではゲル状物質は生成しないため、従来の一般式(1)で表される化合物の回収方法、すなわち、一般式(1)で表される化合物を含む反応混合物から過剰のアンモニアおよび反応に用いられる溶媒を除去した後、一般式(1)で表される化合物を減圧蒸留により精製して回収する方法に換えて、一般式(1)で表される化合物を含む反応混合物から過剰のアンモニアおよび反応に用いられる溶媒を除去して得られる残留物を最終製品とすることができる。なお、最終製品中にはその使用目的によっては反応に用いられる溶媒が含まれていても差し支えない。
この最終製品中には、一般式(1)で表される化合物の他に反応に用いられるフェノール類が含まれるが、この最終製品は一般式(1)で表される化合物を用いる重合反応に用いることができる。
例えば、一般式(1)で表される化合物を含む最終製品と3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−プロパン等の不飽和二重結合を有する重合性化合物を用いて、一般式(1)で表される化合物と不飽和二重結合を有する重合性化合物との共重合体を得ることができる。
本発明の製造方法は、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドを高収率で得るのに有用であり、また、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドは、水溶性高分子、塗料、繊維の改質剤、紙、土壌改良剤などの原料として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、ゲル状物質の確認は、下記の2通りのいずれの方法で行い、いずれの方法でも不溶物が観測されない場合に、ゲル状物質は確認されないと判定した。
(1)最終製品を無色透明のガラス容器に移液し、静置後、ガラス容器内の液中にシュリーレン状の不溶物があるか否かを観測する。
(2)最終製品をメタノールにて希釈(製品濃度10vol%)し、希釈溶液中に不溶物があるか否かを観測する。
[実施例1]2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミドの製造
反応フラスコにメタノール1800mlを装入し、氷水浴下、アンモニアガスをバブリングさせて114g(6.70モル)をメタノールに吸収させた。
次に、アンモニアガスを1l/minでバブリングしながら、グリシジルメタクリレート1012g(7.12モル)と4−メトキシフェノール1.0g(0.11モル%対グリシジルメタクリレート)の混合溶液を、内温35〜45の範囲にコントロールしながら1時間かけて滴下し、滴下終了と同時にアンモニアガスのバブリングを止め、40℃で6時間熟成した。
アンモニアガスの総使用量は、160g(9.40モル、1.32倍モル対グリシジルメタクリレート)であった。
得られた反応液に4−メトキシフェノール1.0g(0.11モル%対グリシジルメタクリレート)を追加し、30℃で減圧下(〜20mmHg)にして溶媒を留去し、引き続き室温にて減圧度を上げて(〜1mmHg)、さらに溶媒を留去した。
残渣を濾過して、2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミドおよびメタノールを3.8wt%含む粘調性の無色透明液体1002g(粗収率88モル%対グリシジルメタクリレート)を濾液として得た。得られた粘調性の液体中には、ゲル状物質は確認されなかった。
[実施例2]
実施例1の4−メトキシフェノール1.0g(0.11モル%対グリシジルメタクリレート)を、ハイドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)1.0g(0.11モル%対グリシジルメタクリレート)に変更して、グリシジルメタクリレートとアンモニアを反応させた。
それ以外は、実施例1と同様に試験を行った。
その結果、2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミドを含む粘調性の赤色透明液体1005g(粗収率89モル%対グリシジルメタクリレート)を濾液として得た。得られた粘調性の液体中には、ゲル状物質は確認されなかった。
[比較例1]
実施例1の4−メトキシフェノール1.0g(0.11モル%対グリシジルメタクリレート)を加えずに、グリシジルメタクリレートとアンモニアを反応させた。
それ以外は、実施例1と同様に試験を行った。
その結果、2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミド含む粘調性の無色透明液体中に一部ゲル状物質を含んでいた。ゲルを含む上記の粘調性液体から110gを蒸留フラスコに移液し、減圧下で(<1mmHg)加熱(〜180℃)蒸留して、生成物を留分として57.1g回収し、得られた留分をガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と略記する。)分析した。GC分析条件は次のとおりである。
GC分析条件
カラム;BPX-35 φ0.22mm×50m 膜厚0.25μm (エス・シ゛ー・イー シ゛ャハ゜ン株式会社)
キャリアカ゛ス;ヘリウム 線速 0.5m/min スフ゜リット1/20
カラムオーフ゛ン温度;50℃×5min → 320℃×2min 昇温速度15℃/min
注入口温度;200℃ 検出器及び検出器温度;FID 350℃
得られた留分の2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミドの純度は僅か35 GC area%であった。
これに対して、実施例1で得られた最終製品の純度分析を同じく前記のGC分析条件で行ったところ、91 GC area%であった。
[参考例1]
実施例1で得られた2,3−ジヒドロキシプロピル−メタクリルアミド8.0g、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−プロパン12.0gの混合液に、重合促進剤としてN,N−ジメチルアミノ−エチル−メタクリレート1.0g(5wt%)、光重合開始剤としてエサキュアーKTO/46(ランベルティー社製)0.1g(0.5wt%)、熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.04g(0.2wt%)、内部離型剤としてビス(5−n−ブトキシ−1,4−ジメチル−3−オキサペンチル)リン酸0.06g(0.3wt%)を加えて減圧下で混合脱泡し、組成物を調製した。
この組成物を、樹脂製の粘着テープとガラス板からなるガラスモールドに移液し、紫外線を照射して硬化させ、次いで100℃で2時間エージングした。冷却後、ガラスモールドから離型させて得られた重合体は、均一で透明な成形体であった。
得られた成型体の表面は手で触っても粘着性がなく、水接触角は25°であった。

Claims (2)

  1. グリシジル(メタ)アクリレートとアンモニアをフェノール類の存在下で反応させる、一般式(1)
    Figure 2005325059
    (Rは、水素原子またはメチル基を表す。)で表される化合物の製造方法。
  2. フェノール類が、一般式(2)
    Figure 2005325059
    (Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表し、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される化合物である請求項1記載の製造方法。
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