JP2005324614A - 鉄道車両用の運転士踏み段装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄道車両の運転台床部の小さなスペースにおいて、その床面を昇降自在として運転席に対する高さ位置を調節し得る床面昇降装置を工夫することであり、また、この床面昇降装置の設置面積や床面下降時の厚さ寸法を小さくすること。
【解決手段】鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の運転席に対する高さ位置を調節する運転士踏み段装置であって、
該運転台床部に固定される固定枠と、該固定枠に対して昇降自在に支持された可動床と、該可動床を昇降させる駆動機構とから成り、
上記運転席に対して該可動床の高さ位置を自在に調節することである。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の高さを調節する運転士踏み段装置に関するものである。
鉄道車両の運転台においては、運転台床面から運転席までの高さが固定されているため、運転士が運転席に座ったとき各運転士の体形の違いにより、その高さが高過ぎたり低過ぎたりすることになる。そこで、それぞれの運転士の体形に合わせて、運転台床面を昇降させ適切な高さに調節して、常に運転し易い環境を整えることができる鉄道車両用の運転士踏み段装置に関するものである。
鉄道車両の運転台床部は面積が狭く、床の下側にも多くの機器が存在するため、昇降装置の設置面積や可動床下降時の装置の厚さ寸法に制約があり、従来から存在する床の高さ調整装置は運転台床部のスペースに設置することができなかった。
鉄道車両の運転台床面の高さを調節する昇降装置ではないが、自動車等の運転席に着座しているドライバーの足(左足)を載せる車両用フットレスト装置であって、高さを調節できるようにしたものは実開平6−49171号公報に記載されている。
この車両用フットレスト装置は、図6に示されいるように構成されている。図6において、(a)には装置全体が示されており、(b)には(a)におけるI−I断面が示されている。図6に示されているように、運転席前方のフロアパネル21の上面に固定された支持台22と、この支持台22の上板23に昇降可能に組み付けられた昇降プレート24と、該昇降プレート24上にボールジョイント28により前後及び左右方向へ傾動可能に支持されたフットレストプレート29とから構成されている。該昇降プレート24は、昇降モータ25、ピニオン26及び昇降ラック27から成る昇降駆動機構30によって昇降動作される。該昇降プレート24とフットレストプレート29との間には、該フットレストプレート29を前後方向に傾動させる第1傾動駆動機構31と、左右方向に傾動させる第2傾動駆動機構(図示省略)とが設けられている。32は伸縮自在なブーツである。
このように構成された車両用フットレスト装置は、ドライバーの体形が異なる場合であっても、最適な状態で使用することができるように高さと角度が調節可能になっている。
また、鉄道車両の運転台用の昇降装置に関するものではないが、車両等の運転席において、操縦者の足を載せる足置き台やフットレストを備えるものがある。特開平11−140908号公報には、建設車両において制振装置を介して車体に取り付けられている操縦座席に足を置く足置き台を取り付けることが記載されている。また、特開平8−244512号公報には、自動車のドライバ用シートの前方に左右の足をそれぞれ載せられるように、分割された左右一対のフットレストを取り付けることが記載されている。
しかしながら、このような従来のフットレスト装置や足置き台は、いずれも運転席に対する運転台床面の高さを調節するものではなく、また、これらのものを鉄道車両の運転台に適用しても、運転台床面の高さを調節する機能を果たし得ないものであるから、本発明に関する先行技術にはなり得ないものである。
また、鉄道車両の運転台床面の高さを調節する装置とは全く関係のないものであるが、建造物等の床面の高さを調整する昇降装置としては従来から種々の提案がなされている。例えば、特開平7−133677号公報には、リンクを利用した床面昇降装置の外部に動力機構を設置するものが記載されており、また特開平8−86103号公報には、リンクを用いた床面昇降装置の内部に油圧シリンダーを組み込んだものが記載されている。
しかしながら、前者のように昇降装置の外部に動力機構が設置されているものは、多くの設置スペースを必要とするという問題があり、また、後者のように昇降装置の内部に油圧シリンダーを組み込むものは、可動床下降時の装置の厚さ寸法が大きく、また油圧ユニットを設置するスペースを別に必要とするという問題がある。
実開平6−49171号公報 特開平11−140908号公報 特開平8−244512号公報
本発明は、鉄道車両の運転台床部の小さなスペースにおいて、その床面を昇降自在として運転席に対する高さ位置を調節し得る床面昇降装置を工夫することであり、また、この床面昇降装置の設置面積や床面下降時の厚さ寸法を小さくすることである。
〔解決手段1〕(請求項1に対応)
上記課題を解決するための解決手段1は、鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の運転席に対する高さ位置を調節する運転士踏み段装置であって、
該運転台床部に固定される固定枠と、該固定枠に対して昇降自在に支持された可動床と、該可動床を昇降させる駆動機構とから成り、
上記運転席に対して該可動床の高さ位置を自在に調節し得ることである。
〔作 用〕
鉄道車両の運転台床部のスペースに運転士踏み段装置を設置し、可動床を昇降させる駆動機構を作動させて、該可動床の運転席に対する高さ位置を運転士の体形に合わせて所望する高さに調節することができる。
〔解決手段2〕(請求項2に対応)
上記課題を解決するための解決手段2は、鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の運転席に対する高さ位置を調節する運転士踏み段装置であって、
該運転台床部に固定される固定枠と、該固定枠に対して2組のXリンクにより昇降自在に支持された可動床と、該固定枠にスライド自在に支持されると共に、該2組のXリンクに連結されてこれを駆動する連結枠と、該固定枠に取り付けられ該連結枠をスライドさせるスライド動力機構とから成り、
上記運転席に対して該可動床の高さ位置を自在に調節し得ることである。
〔作 用〕
鉄道車両の運転台床部のスペースに運転士踏み段装置を設置し、スライド動力機構を作動させて、これに連結されている連結枠を右又は左方向へスライドさせる。この連結枠の移動により、これに連結されている2組のXリンクが回動することにより可動床を昇降させる。このようにして、該可動床の運転席に対する高さ位置を運転士の体形に合わせて所望する高さに調節することができる。
固定枠に対して2組のXリンクにより昇降自在に支持された可動床の昇降動作を、該固定枠にスライド自在に支持された連結枠の移動により行うようにしたので、可動床下降時の厚さ寸法を小さくすることができる。
〔実施態様1〕(請求項3に対応)
実施態様1は、上記解決手段2の運転士踏み段装置において、スライド動力機構が、電動機と、該電動機により駆動されるボールネジと、該ボールネジに係合するボールナットから成り、固定枠の下側凸部に配置されていることである。
〔作 用〕
電動機の回転によりボールネジも回転されてボールナットが移動される。このボールナットの移動により、これに連結されている連結枠が移動されて可動床を昇降させる。
電動機とボールネジとボールナットから成るスライド動力機構が、固定枠の下側凸部に配置されているので、設置面積は可動床面積分だけで済み、可動床下降時の可動床上面から固走枠底面までの厚さ寸法も、下側凸部の部分以外は小さくすることができる。
〔実施態様2〕(請求項4に対応)
実施態様2は、上記解決手段1、解決手段2又は実施態様1の運転士踏み段装置において、可動床の上面に笛用スイッチを設置して、該可動床を任意の高さ位置に調節した状態でも笛用スイッチを使用できるようにすると共に、該可動床の運転席側に安全棚を回動可能に取り付けて、装置内への足の挟み込み事故を防止することである。
〔作 用〕
可動床上面に笛用スイッチが設置されているので、可動床を任意の高さ位置に調節した状態でも笛用スイッチを通常の運転姿勢で使用することができる。また、可動床の運転席側には安全棚を設置しているので、装置内への足の挟み込み事故を防止することができる。この安全棚は、機器を点検する場合を考慮して折り畳み(回動)できる構造になっている。
本発明によれば、鉄道車両の運転台床部に床面を昇降させる装置を設置することができるため、以下の効果を得ることができ、全ての運転士に運転しやすい環境を提供することができる。
(1) それぞれの運転士が、運転席から運転台床面までの高さを適切に調節することができるため、運転しやすくなり安全運転につながる。(請求項1〜2の発明)
(2) 2組のXリンクと連結枠とスライド動力機構により可動床を昇降することができるので、設置面積や可動床下降時の厚さ寸法を小さくすることができ、鉄道車両の運転台床部のような狭い場所に設置することができる。(請求項2の発明)
(3) スライド動力機構が、電動機とボールネジとボールナットから成り、固定枠の下側凸部に配置されるので、設置面積や可動床下降時の厚さ寸法を小さくすることができ、鉄道車両の運転台床部のような狭い場所に設置することができる。(請求項3の発明)
(4) 可動枠の上面に笛用スイッチが設置されているので、可動床を任意の高さ位置に調節した状態でも、運転席から笛用スイッチまでの距離を適正にすることができ、笛用スイッチを確実に操作できて安全運転につながる。また、可動枠の運転席側には、安全棚が設置されているため、運転士が誤って足を装置内に挟み込む心配がなく安全である。また、安全棚は折り畳み構造(回動可能な構造)のため、運転台の機器の点検作業を妨げることがない。(請求項4の発明)
鉄道車両の運転台床部の狭い場所に設置できるようにするという目的を、簡単な構成を工夫して組み合わせて、設置面積や可動床下降時の厚さ寸法を小さくすることにより実現した。
本発明の実施例について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は鉄道車両用の運転士踏み段装置の構成を示す正面図(安全棚非装着の場合)であり、図2はその平面図であり、図3は安全棚を装着した場合の正面図である。
運転士踏み段装置は、長方形状の固定枠2と、この固定枠2に対して左右両側に設けられた各組のXリンク4,4により昇降自在に支持されている長方形状の可動床5と、該固定枠2に取り付けられたスライド動力機構1によって構成される。このスライド動力機構1は、該固定枠2の下側凸部2a内に設置されており、電動機1a、自在継手1b、ボールネジ1c、及びボールナット1dにより構成されている。該電動機1aの出力軸には、該自在継手1bを介してボールネジ1cが連結され、さらにこのボールネジ1cにはボールナット1dが係合されており、該電動機1aが回転すれば自在継手1bを介してボールネジ1cが回転されて、該ボールナット1dが右又は左方向に移動される。
上記固定枠2内には、スライド可能な長方形状の連結枠3が設けられており、この連結枠3は4個の抑え板2bにより該固定枠2に対して左右方向(固定枠2の長手方向)にのみスライド可能に支持されている。この連結枠3は、その略中央部に設けられたボールナット受け3aにより、上記ボールナット1dに接続されており、更に、その両端に設けられたローラー軸受3b,3bは、各組のXリンク4,4のそれぞれのローラー軸4a,4aを回動可能に保持している。
上記Xリンク4は、上記固定枠2と可動床5の間の左右両側に1組ずつ配置され、それぞれの組は、2枚のリンク4b,4cから成る各一対のリンクの中央を、リンク軸4dにより回動可能な状態に結合して構成されている。図1に示されているように、2枚のリンク4b,4cは、それらの左端がピン4e,4eによりそれぞれ可動床5と固定枠2に対して回動可能な状態で結合されており、また、それらの右端にはローラー4f,4fとローラー軸4a,4aが一直線上に取付けられている。これらの各ローラー4f,4fは、上記可動床5の下面又は上記固定枠2の底板上面において転動可能な状態で接触している。そして、上記固定枠2側(下側)のローラー軸4aは、既に説明したように、上記連結枠3の両端に結合されているローラー軸受3b,3bに保持されている。
また、上記可動床5の運転席側には、図3に示されているように、安全棚7がヒンジ7aによって回動可能に取り付けられている。この安全棚7は、踏み段装置を使用している時には図示の位置に置かれて、上記固定枠2と可動床5との間に形成される空間を覆うことにより、運転手の足の安全を確保するものである。
そして、上記可動床5の上面には、床敷物5aが貼り付けられており、その上に笛用スイッチ6が設置されている。この笛用スイッチ6のリード線6aは、該可動床5を貫通してこの可動床5が昇降動作してもXリンク4と干渉しないように配置されており、さらに固定枠2の底面を貫通してこの装置外へ導き出されている。
さらに、電動機1aのリード線1eは、固定枠2の底面を貫通して装置外へ導き出されて、別置きの制御器箱8に接続されている。この制御器箱8は、該電動機1aに供給する電流を制御することにより、上記可動床5の高さ位置を調節するものである。
次に、上記のように構成された運転士踏み段装置の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。
上記制御器箱8を操作することにより電動機1aを所定の方向に回転させると、上記自在継手1bを介してボールネジ1cが回転されて、上記ボールナット1dが左方向に移動される。そうすると、このボールナット1dに連結されている連結枠3が同じく左方向へ移動されて、この連結枠3と一体の両側のローラー軸受3b,3bも同方向へ移動される。このようにローラー軸受3b,3bが左方向へ移動されることにより、これに保持されている左右各組のXリンク4,4の右端のローラー軸4a,4aが、固定枠2の底板上面に沿って左方向に移動される。これにより各ローラー軸4a,4aは、ピン4e,4eにより可動床5と固定枠2に結合されたリンク左端に近付くため、左右2組のXリンク4,4が立ち上がり可動床5を上昇させる。
また、上記制御器箱8を操作することにより、電動機1aを上記所定の方向とは逆方向に回転させると、上記ボールネジ1cも逆回転されて、上記ボールナット1dや上記連結枠3は右方向に移動されて可動床5を降下させることができる。
そして、上記制御器箱8の操作により電動機1aの回転を停止させることにより、可動床5を所望する高さ位置に停止させることができる。
固定枠2の底板上面には、Xリンク4の右端のローラー軸4aとローラー4fのスライド量を制限するためのストッパー2cが設置されている。
さらに、上記可動床5の後側にヒンジ7aにより取り付けられている安全棚7は、踏み段装置を使用している時、図3に示されている位置に置かれて固定枠2と可動床5との間のリンク部を覆うので、運転士の足等を挟み込むような事故を防止して安全を確保することができる。運転台の機器の点検時には、上記ヒンジ7aは安全棚7を任意の位置で保持することができるため、安全棚7を折り畳んだままの状態にすることができ、機器点検時の作業性がよい。
次に、本発明の踏み段装置を運転台床部のスペースに取り付ける方法について、図4を参照しながら説明する。図4は、踏み段装置を運転台床部へ取り付けたときの側面図である。
この運転士踏み段装置は、図4に示されているように、固定枠2の部分を運転台床面9に設置されている足踏みフタ受け部10に落とし込む状態で取り付けられる。さらに、運転士が可動床5の手前側に乗った際に、踏み段装置全体が転倒するのを防止するため、転倒防止ピン11を2本取付けることにより上記固定枠2の先頭側を運転台の床部分に固定する。
図5は、本発明の踏み段装置を鉄道車両の運転台12に取り付けたときの状態を側面から見たものである。この図5において、12は運転台、13は腰掛け、14は運転士を示しており、踏み段装置は運転士の足元の運転台床面9に設置され、その可動床5の上に足を載せて使用される。
は、本発明の実施例の踏み段装置の構成を示しており、安全棚を取り付けていない場合の模式的な正面図である。 は、本発明の実施例の踏み段装置の構成を示す平面図である。 は、本発明の実施例の踏み段装置の模式的な正面図である。 は、本発明の実施例の踏み段装置を運転台床部に取付た場合の側面図である。 は、本発明の実施例の踏み段装置を運転台床部に取付た状態での、運転台と腰掛けと運転士との位置関係を示す模式図である。 は、従来の技術である車両フットレス装置を説明する模式図であり、(a)は装置全体の斜視図、(b)は(a)のI−I断面図である。
符号の説明
1‥‥スライド動力機構 1a‥‥電動機
1b‥‥自在継手 1c‥‥ボールネジ
1d‥‥ボールナット 1e‥‥電動機リード線
2‥‥固定枠 2a‥‥下側凸部
2b‥‥抑え板 2c‥‥ストッパー
3‥‥連結枠 3a‥‥ボールナット受け
3b‥‥ローラー軸受 4‥‥Xリンク
4a‥‥ローラー軸 4b,4c‥‥リンク
4d‥‥リンク軸 4e‥‥ピン
4f‥‥ローラー 5‥‥可動床
5a‥‥床敷物 6‥‥笛用スイッチ
6a‥‥笛用スイッチリード線 7‥‥安全棚
7a‥‥ヒンジ 8‥‥制御器箱
9‥‥運転台床面 10‥‥足踏みフタ受け部
11‥‥転倒防止ピン 12‥‥運転台
13‥‥腰掛け 14‥‥運転士

Claims (4)

  1. 鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の運転席に対する高さ位置を調節する運転士踏み段装置であって、
    該運転台床部に固定される固定枠と、
    該固定枠に対して昇降自在に支持された可動床と、
    該可動床を昇降させる駆動機構とから成り、
    上記運転席に対して該可動床の高さ位置を自在に調節し得ることを特徴とする鉄道車両用の運転士踏み段装置。
  2. 鉄道車両の運転台床部に設置して、運転台床面の運転席に対する高さ位置を調節する運転士踏み段装置であって、
    該運転台床部に固定される固定枠と、
    該固定枠に対して2組のXリンクにより昇降自在に支持された可動床と、
    該固定枠にスライド自在に支持されると共に、該2組のXリンクに連結されてこれを駆動する連結枠と、
    該固定枠に取り付けられ、該連結枠をスライドさせるスライド動力機構とから成り、
    上記運転席に対して該可動床の高さ位置を自在に調節し得ることを特徴とする鉄道車両用の運転士踏み段装置。
  3. 上記スライド動力機構は、電動機と、該電動機により駆動されるボールネジと、該ボールネジに係合するボールナットから成り、上記固定枠の下側凸部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用の運転士踏み段装置。
  4. 上記可動床の上面に笛用スイッチを設置して、該可動床を任意の高さ位置に調節した状態でも笛用スイッチを使用できるようにすると共に、該可動床の運転席側に安全棚を回動可能に取り付けて、装置内への足の挟み込み事故を防止することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の鉄道車両用の運転士踏み段装置。
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