本発明は、道路の路肩や中央分離帯等に設置されるデリニエータ、特に豪雪地帯に設置される着雪防止型デリニエータに関する。
デリニエータは、道路の路肩や中央分離帯等や、そこに設置されたガードレール等に等間隔で配置され、自らが発光したり、受けた光を反射させたりすることで道路のカーブ状態等をドライバーに夜間に視認させるものである。
一般的な発光式のデリニエータは、前面が透光部となった本体部と、この本体部を支える支柱部と、前記本体部に内蔵される光源とを有している。また、一般的な反射式のデリニエータは、本体部と、この本体部の前面に取り付けられる反射部材とを有している(特許文献1参照)。
特開平06−041923号公報(第3〜4頁 図1)
ところで、豪雪地帯では、降った雪によって透光部が覆われ、ドライバーに視認されないことがある。かかる問題を解消するために、本体部の内部にヒーターを内蔵させることが考えられる。しかし、これでは、透光部に付着した雪を溶かしても、周囲の気温が低いため氷となって付着し、かえって透光部に雪を付着させやすくなり、視認性に問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、豪雪地帯でも雪が透光部に付着しない着雪防止型デリニエータを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る着雪防止型デリニエータは、内部に光源が収納された本体部と、前記光源からの光を外部に導くために前記本体部に設けられた透光部を覆うフードとを具備しており、前記フードは、透光部に対向する面が開放された略筒状になっていることを特徴としている。
前記フードの透光部から離れた側の端部は、上側の方が下側より突出していることが好ましい。前記フードの高さは、透光部の直径の1/2以上であることが好ましい。前記フードの長さは、透光部の直径より大きいことが好ましい。特に、前記フードの長さが前記透光部の高さ寸法( 直径) の2倍以上の長さとなっていることが好ましい。
前記フードの下面に長さ方向の一端から他端にかけて開口を設け、前記透光部の照射方向側の一面を上端から下端にかけて傾斜した傾斜面とすることができる。この場合、傾斜面は、当該傾斜面の下端を通る鉛直線を基準として10〜45°傾斜していることが好ましい。
この傾斜面を設ける代わりに、前記本体部を前記透光部の照射方向側の一面が上端から下端にかけて傾斜するように傾けることもできる。この場合、本体部は、当該本体部の略中心を通る鉛直線を基準として10〜45°傾斜していることが好ましい。
前記フードの下端部は、その中心を通る垂線を基準として両側に略30°の地点を各々通る直線に沿って、長さ方向の一端から他端にかけて切り欠くことができる。前記フードは略円筒状であることが好ましい。
前記透光部の表面には、親水性、撥水性を有するとともに透光性を有する塗料が塗布されていることが好ましい。
本発明の請求項1に係る着雪防止型デリニエータによる場合、透光部は筒状のフードの奥側に位置しているので、降った雪がフードに入り込まず、入り込んだとしても透光部には付着しない。従って、透光部が雪で覆われることがないので、ドライバーからの視認性を確保することができる。
本発明の請求項2に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記フードの透光部から離れた側の端部が、上側の方が下側より突出しており、フードに入り込もうとする雪が最も付着しやすい部分であるフードの先端の内側下部がないので、雪がフードに付着することがない。
本発明の請求項3に係る着雪防止型デリニエータによる場合、少なくとも透光部の上半分を覆う略樋状のフードを有しているので、透光部に雪が付着し難い。また、このフードはドライバーからの視認性も高く、かつ透光部の下半分が開放されているので、若干の横方向からも視認することができるのでより安全性の高いものとすることができる。
本発明の請求項4に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記フードの高さが透光部の直径の1/2以上であると、透光部を好適に覆うことができるので、透光部の着雪を防止する上でメリットがある。
本発明の請求項5に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記フードの長さが透光部の直径より大きいと、透光部を好適に覆うことができるので、透光部を着雪を防止する上でメリットがある。
本発明の請求項6に係る着雪防止型デリニエータによる場合、フードの長さ寸法を前記透光部の高さ寸法の2倍以上の長さとしているので、フード内に気体が滞留し易い。このため、フード内の圧力がフード外の気圧に比べて高くなるので、雪を伴う外気がフード内に侵入するのを防止できる。よって、透光部に雪が付着するのを好適に防止することができる。
本発明の請求項7に係る着雪防止型デリニエータによる場合、フードの下面に長さ方向の一端から他端にかけて開口がされており、透光部の照射方向側の一面が上端から下端にかけて傾斜した傾斜面となっている。このため、フードに入った風が透光部の傾斜面に当たり、当該フートの下面の開口から排出される。よって、フード内に風が留まることがないので、前記透光部に雪が付着し難くすることができる。
本発明の請求項8に係る着雪防止型デリニエータによる場合、フードの下面に長さ方向の一端から他端にかけて開口が設けられており、前記本体部は前記透光部の照射方向側の一面が上端から下端にかけて傾斜するように傾いている。このため、フードに入った風が傾斜した透光部に当たり、当該フートの下面の開口から排出される。よって、フード内に風が留まることがないので、前記透光部に雪が付着し難くすることができる。
本発明の請求項9に係る着雪防止型デリニエータによる場合、透光部の傾斜面が当該傾斜面の下端を通る鉛直線を基準として10〜45°傾斜しているので、前記透光部に雪が付着するのを更に好適に防止することができる。
本発明の請求項10に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記本体部が当該本体部の略中心を通る鉛直線を基準として10〜45°傾斜しているので、前記透光部に雪が付着するのを更に好適に防止することができる。
本発明の請求項11に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記フードの下端部は、その中心を通る垂線を基準として両側に略30°の地点を各々通る直線に沿って、長さ方向の一端から他端にかけて切り欠かれている。これにより、透光部を覆うフード本来の機能を最大限発揮しつつ、フード内に空気の流れを生じさせ、当該フード内に流れ込む風を排出することが可能になる。よって、フード内に流れ込んだ風と共に侵入した雪が前記透光部に付着するのを更に好適に防止することができる。
本発明の請求項12に係る着雪防止型デリニエータによる場合、フードが略円筒状となっている。このため、当該フードの外周面に当たる風を上下に分流することができるので、フードの外周面に雪が着き難くすることができる。しかも、フードの外周面に着いた雪は自重により落下するので、この点でもフードの外周面への着雪を防止し得る。
本発明の請求項13に係る着雪防止型デリニエータによる場合、前記透光部の表面に親水性、撥水性を有するとともに透光性を有する塗料が塗布されているので、万が一、雪が透光部に付着した場合にも、雪が付着することを防止することができて好都合である。
以下、本発明の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータAは、図1に示すように、内部に光源200Aが収納された本体部100Aと、前記光源200Aからの光を外部に導くために前記本体部100Aに設けられた透光部300Aを覆うフード400Aとを備えており、前記フード400Aは、透光部300Aに対向する面が開放された略筒状になっている。
前記本体部100Aは、略お碗状に形成されており、周面には支柱部600Aに取り付けるための脚部500Aが突出されている。また、本体部100A内部には、本体部100Aの開放された側に向かった光源200Aが内蔵されている。この光源200Aには、例えば、基板に実装された複数個の発光ダイオード素子が用いられる。
前記本体部100Aの開放された部分は、透光性を有する素材、例えばガラス等から形成された透光部300Aが取り付けられている。この透光部300Aは、前記光源200Aと対向するようになっている。このため、光源200Aからの光は、透光部300Aを介して外部に導かれるようになっている。この透光部300Aは、図示しないパッキン等を介して本体部100Aに取り付けられているので、本体部100Aの内部は水密、気密状態になっている。なお、この透光部300Aは、光源200Aからの光を効率よく外部に導くために透明となっている。
また、前記支柱部600Aの下部には、着雪防止型デリニエータAを地面に固定するための取付板610Aが設けられている。図面中620Aは、取付板610Aと支柱部600Aとの連結を補強するためのリブである。
なお、前記支柱部600A及び前記脚部500Aは、光源200Aと図外の電源とを接続する接続ケーブル(図示省略)が通過するため、内部は中空になっている。
前記フード400Aは、直径が透光部300Aの直径より若干大きく、かつ長さが透光部300Aの直径の2倍以上の両端が開放された筒状になっている。かかるフード400Aは、一方の開放側で透光部300Aを覆うようにして本体部100Aに取り付けられている。従って、フード400Aの他方の開放側からは透光部300Aが覗けるようになっている。
このように構成された着雪防止型デリニエータAによると、雪が降っても透光部300Aはフード400Aの奥側に位置するので、雪が透光部300Aに付着することがないので、ドライバーからの視認が阻害されることはない。従って、従来のようにヒーター等を用いて強制的に雪を溶かす必要がない。また、無風或いは無風に近い状態での降雪時には、フード400Aの上側に雪が積もるので、フード400Aに遮られて透光部300Aには雪が付着しない。また、フード400Aにより透光部300Aには、汚れが付着しにくい。
フード400Aの長さは、透光部300Aの直径の2倍のものが最もよい結果が得られる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて図面を参照しながら説明する。図2は本発明の第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータBは、内部に光源200Bが収納された本体部100Bと、前記光源200Bからの光を外部に導くために前記本体部100Bに設けられた透光部300Bを覆うフード400Bとを備えており、前記フード400Bは、透光部300Bに対向する面が開放された略筒状であり、前記フード400Bの透光部300Bから離れた側の端部は、上側の方が下側より突出している。
前記本体部100Bは、略お碗状に形成されており、周面には支柱部600Bに取り付けるための脚部500Bが突出されている。また、本体部100B内部には、本体部100Bの開放された側に向かった光源200Bが内蔵されている。この光源200Bには、発光ダイオード素子等が用いられる。
前記本体部100Bの開放された部分は、透光性を有する素材、例えばガラス等から形成された透光部300Bが取り付けられている。この透光部300Bは、前記光源200Bと対向するようになっている。このため、光源200Bからの光は、透光部300Bを介して外部に導かれるようになっている。この透光部300Bは、図示しないパッキン等を介して本体部100Bに取り付けられているので、本体部100Bの内部は水密、気密状態になっている。
また、前記支柱部600Bの下部には、着雪防止型デリニエータBを地面に固定するための取付板610Bが設けられている。図面中620Bは、取付板610Bと支柱部600Bとの連結を補強するためのリブである。
なお、前記支柱部600B及び前記脚部500Bは、光源200Bと図外の電源とを接続する接続ケーブル(図示省略)が通過するため、内部は中空になっている。
これらの点は、上述した第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータAと同じである。
前記フード400Bは、一端が斜めに切断された筒状に形成されている。このフード400Bは、最も長い部分が最も上に位置するように本体部100Bに取り付けられる。従って、このフード400Bは、最も短い部分が最も下に位置するようになる。また、図2に示すように、このフード400Bの先端を通過する垂線Lと、斜めに切断された部分とがなす角度は、45度に設定されている。かかるフード400Bは、一方の開放側(斜めに切断されていない側)で透光部300Bを覆うようにして本体部100Bに取り付けられている。従って、フード400Bの他方の開放側からは透光部300Bが覗けるようになっている。
このように構成された着雪防止型デリニエータBによると、雪が降っても透光部300Bはフード400Bの奥側に位置するので、雪が透光部300Bに付着することがないので、ドライバーからの視認が阻害されることはない。従って、従来のようにヒーター等を用いて強制的に雪を溶かす必要がない。
特に、雪は風の関係で斜め方向に降ることが多いため、第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータAであると、フード400Aの先端の内側下部に雪が積もるおそれがあるが、この着雪防止型デリニエータBであると、その部分がカットされて存在しないため、フード400Bの内側下部に雪が積もることはないというメリットがある。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて図面を参照しながら説明する。図3は本発明の第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータCは、内部に光源200Cが収納された本体部100Cと、前記光源200Cからの光を外部に導くために前記本体部100Cに設けられた透光部300Cを覆うフード400Cとを備えており、前記フードは、透光部300Cの上半分を覆う略樋状である。
前記本体部100Cの開放された部分は、透光性を有する素材、例えばガラス等から形成された透光部300Cが取り付けられている。この透光部300Cは、前記光源200Cと対向するようになっている。このため、光源200Cからの光は、透光部300Cを介して外部に導かれるようになっている。この透光部300Cは、図示しないパッキン等を介して本体部100Cに取り付けられているので、本体部100Cの内部は水密、気密状態になっている。
また、前記支柱部600Cの下部には、着雪防止型デリニエータCを地面に固定するための取付板610Cが設けられている。図面中620Cは、取付板610Cと支柱部600Cとの連結を補強するためのリブである。
なお、前記支柱部600C及び脚部500Cは、光源200Cと図外の電源とを接続する接続ケーブル(図示省略)が通過するため、内部は中空になっている。
これらの点は、上述した第1及び第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータA、Bと同じである。
第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータCに用いられるフード400Cは、筒状ではなく略樋状に形成されている。しかも、透光部300Cから離れた側の端部は、下方に向かうに従って、透光部300C側へと切断された形状になっている。また、このフード400Cの高さは、透光部300C直径の1/2に設定されている。
また、このフード400Cの長さは、透光部300Cの直径より大きく設定されている。
かかるフード400Cは、最も長い部分が最も上に位置するように本体部100Cに取り付けられる。従って、このフード400Cは、最も短い部分が最も下に位置するようになる。すなわち、このフード400Cは、透光部300Cの上半分を覆うものとなっている。
かかるフード400Cを有する着雪防止型デリニエータCであると、雪が降っても透光部300Cはフード400Cの奥側に位置するので、雪が透光部300Cに付着することがない。このため、雪によってドライバーからの視認が阻害されることはない。従って、従来のようにヒーター等を用いて強制的に雪を溶かす必要がない。
非常に強い風の元で雪が降っても、フード400Cの下半分が存在しないので、透光部300Cを覆う部分に雪が付着することはない。また、第1及び第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータA、Bのような筒状のフード400Cとは異なり、下半分が開放されているので、若干横方向からも透光部300Cからの光を視認することができるので安全性をより高めることができる。
前記第1〜第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータA〜Cの透光部300A〜300Cの表面に、例えば酸化チタン等の親水性、撥水性を有するとともに透光性を有する塗料が塗布されていると、万が一、雪が透光部300A〜300Cに付着した場合にも、雪が付着することを防止することができて好都合である。
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、光源200A〜200Cは、発光ダイオード素子が用いられるとしたが、他の光源であってもよい。ただし、発光ダイオード素子であると、発熱量が小さいため、万が一、雪が透光部300A〜300Cに付着しても、雪を溶かすことがない。これは、溶けた雪が氷にはならないことを意味している。透光部300A〜300Cに付着した雪が氷になると、当該氷により光源200A〜200Cの光が所望しない方向に屈折したり、その波長が弱まったりする。このため、ドライバーからの視認性を低下させる場合があるので、フード400A〜400Cを設けていても、万が一のことを考えると、光源200A〜200Cを発光ダイオード素子とすることは有意義である。なお、フード400Cは透光部300Cの上半分を覆う略樋状であるとしたが、それ以上を覆うようにすることも可能である。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて図面を参照しながら説明する。図4は本発明の第4の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータを示す図であって、( a) が内部が透過した概略的側面図、( b)が概略的正面図である。
図4に示す着雪防止型デリニエータDは、フード400Dの形状が異なる以外、着雪防止型デリニエータAとほぼ同様の構成となっている。よって、以下、相違点について詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。
フード400Dは直径が透光部300Dの直径より若干大きい両端開放の長尺状の円筒体である。このフード400Dの長さ寸法は透光部300Dの直径( 即ち、高さ寸法) の2倍以上の長さとなっている。
このようにフード400Dの長さ寸法を透光部300Dの直径の2倍以上の長さとすると、P2( 実際のフード400D内の圧力) =P1( フード400D内の最初の圧力)+1/2ρv2 ( ρ;空気密度、v;風速) となることが分かった。即ち、フード400Dの長さ寸法を透光部300Dの直径の2倍以上の長さとすることにより、フード400D内に気体が対流してフード400D内の圧力が上昇し、これによりフード400D内への外気及びこれに伴う雪の侵入を防止することができる。
また、フード400Dの長さ方向の一端部が当該フード400Dの一端を通過する垂線Lを基準として斜め45°に切断されている。このフード400Dは、最も長い部分が最も上に位置するように本体部100Dに取り付けられる。従って、このフード400Dは、最も短い部分が最も下に位置するようになる。
このように構成された着雪防止型デリニエータDによると、雪が降っても透光部300Dはフード400Dの奥側に位置するので、透光部300Dに雪が付着するのを防止することができる。しかも、フード400Dの長さ寸法が透光部300Dの直径の2倍以上の長さとなっているので、フード400D内の圧力が上昇し、外気を遮断することができる。よって、この点でも透光部300Dに雪が付着するのを防止することができる。よって、ドライバーからの視認が阻害されることはなく、従来のようにヒーター等を用いて強制的に雪を溶かす必要がない。
更に、フード400Dは円筒体であるので、当該フード400Dの外周面に当たった風を両側に分流することができる( 図4b)参照) 。これにより、フード400Dの外周面の風の当接面には着雪するものの、フード400Dの外周面に着雪し難くくなっている。フード400Dの外周面に着いた雪もフード400Dが円筒体であることから、自重により落ち易い。よって、この点でもフード400Dの外周面に着雪し難くくなっている。 また、雪は風の関係で斜め方向に降ることが多いため、着雪防止型デリニエータAであると、フード400Aの先端の内側下部に雪が積もるおそれがあるが、この着雪防止型デリニエータDであると、その部分がカットされて存在しないため、フード400Dの内側下部に雪が積もることはないというメリットがある。
また、無風或いは無風に近い状態での降雪時には、フード400Dの上側に雪が積もるので、フード400Dに遮られて透光部300Dには雪が付着しない。フード400Dにより透光部300Dには、汚れが付着しにくい。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータについて図面を参照しながら説明する。図5は本発明の第5の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータを示す図であって、( a) が内部が透過した概略的側面図、( b)が概略的正面図、図6は同デリニエータのフードの概略的一部破断側面図、図7は透光部の前面の着雪実験に用いた着雪防止型デリニエータを示す図、図8は同着雪実験の実験結果を示す写真、図9は同デリニエータの設計変更例を示す概略的一部破断側面図である。
図5に示す着雪防止型デリニエータEは、フード400E及び透光部300Eの形状が異なる以外、着雪防止型デリニエータAとほぼ同じ構成となっている。よって、以下、相違点について詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。
フード400Eは、直径が透光部300Eの直径より若干大きい両端開放の長尺状の円筒体である。このフード400Eの長さ寸法は透光部300Eの直径よりも大きい長さとなっている。このフード400Eの長さ方向の一端部が当該フード400Eの一端を通過する垂線Lを基準として斜め45°に切断されている。このフード400Eは、最も長い部分が最も上に位置するように本体部100Eに取り付けられる。従って、このフード400Eは、最も短い部分が最も下に位置するようになる。このように取り付けられることによりフード400Eが透光部300Eを覆う。
また、フード400Eの下端部は、図5( b) に示すように、当該フード400Eの中心を通る垂線を基準として両側に略30°の地点を各々通る直線に沿って、長さ方向の一端から他端にかけて切り欠かれいる。これによりフード400Eの下面には長さ方向の一端から他端にかけて開口410Eが設けられる。
このようにフード400Eの下端部を切り欠くことにより、フード400Eは、透光部300Eを覆うフード本来の機能を最大限発揮しつつ、当該フード400E内に空気の流れを生じさせる形状とすることができる。
透光部300Eは、図6に示すように、照射方向側の一面( 即ち、前面) が上端から下端にかけて傾斜した傾斜面310Eとなっている。この傾斜面310Eは、フード400Eに流れ込んだ外気を当該フード400Eの開口410Eに導くためのものであって、当該傾斜面310Eの下端を通る鉛直線L’を基準として10〜45°傾斜している。この傾斜面310Eの傾斜角は、以下の実験により外気に伴ってフード400Eに侵入した雪が着雪し難いことが実証されている。
この実験では、図7に示す6機の着雪防止型デリニエータを約2mの高さ位置に設置し、+5〜−15℃の環境下で約60日間放置することにより行った。第一機はフラットガラスを用いた透光部とこの透光部を保持する本体部の枠部とに段差を有したものである。第二機は第一機の透光部と本体部の枠部との段差を解消したものである。第三機は透光部にグローブガラスを用い、信号灯器と同形状のフードを取り付けたものである。第四機は透光部にグローブガラスを用い、光源の中心を基準として透光部及び本体部を下向きに15°傾斜させたものである。第五機は第四機に速度規制標識と同形状のフードを取り付けたものである。第六機は透光部にフラットガラスを用い、光源の中心を基準として透光部を下向きに15°、水平線を基準として本体部を下向きに15°傾斜させたものである。
なお、各着雪防止型デリニエータの本体部の前面がφ120、透光部の前面がφ100である。
この実験の結果、図8に示すように、第一機は透光部の前面の100%の部分に着雪がみられた。第二機は透光部の前面の100%の部分に着雪がみられた。第三機は透光部の前面の略20%の部分に着雪がみられた。第四機は透光部の前面の略50%の部分に着雪がみられた。第五機は透光部の前面の略30%の部分に着雪がみられた。第六機は透光部の前面に着雪を確認することができなかった( 即ち、0%) 。
このように構成された着雪防止型デリニエータEによると、雪が降っても透光部300Eはフード400Eの奥側に位置するので、透光部300Eに雪が付着するのを防止することができる。しかも、フード400Eの下面には開口410Eが、透光部300Eには傾斜面310Eが設けられているので、フード400E内に入った各方向からの風は、当該フード400Eの直線部分で直線状の風として纏められ、透光部300Eの傾斜面310Eに当接して下方に向けて流れ、フード400Eの開口410Eから排出される。このため、フード400E内に入った風がフード400E内に留まることがないので、透光部300Eに雪が付着し難くくすることができる。よって、ドライバーからの視認が阻害されることはなく、従来のようにヒーター等を用いて強制的に雪を溶かす必要がない。
更に、フード400Eは円筒体であるので、当該フード400Eの外周面に当たった風を両側に分流することができる( 図5参照) 。これにより、フード400Eの外周面の風の当接面には着雪するものの、フード400Eの外周面に着雪し難くくなっている。フード400Eの外周面に着いた雪もフード400Eが円筒体であることから、自重により落ち易い。よって、この点でもフード400Eの外周面に着雪し難くくなっている。また、雪は風の関係で斜め方向に降ることが多いため、着雪防止型デリニエータAであると、フード400Aの先端の内側下部に雪が積もるおそれがあるが、この着雪防止型デリニエータEであると、その部分がカットされて存在しないため、フード400Eの内側下部に雪が積もることはないというメリットがある。
また、無風或いは無風に近い状態での降雪時には、フード400Eの上側に雪が積もるので、フード400Eに遮られて透光部300Eには雪が付着しない。フード400Eにより透光部300Eには、汚れが付着しにくい。
なお、前記第1〜第5の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータA〜Eの透光部300A〜300Eの表面に、例えば酸化チタン等の親水性、撥水性を有するとともに透光性を有する塗料が塗布されていると、万が一、雪が透光部300A〜300Eに付着した場合にも、雪が付着することを防止することができて好都合である。
上述した第1〜第5の実施の形態では、光源200A〜200Eは、発光ダイオード素子が用いられるとしたが、他の光源であってもよい。ただし、発光ダイオード素子であると、発熱量が小さいため、万が一、雪が透光部300A〜300Eに付着しても、雪を溶かすことがない。これは、溶けた雪が氷にはならないことを意味している。透光部300A〜300Eに付着した雪が氷になると、ドライバーからの視認性を大幅に低下させるので、フード400A〜400Eを設けていても、万が一のことを考えると、光源200A〜200Eを発光ダイオード素子とすることは有意義である。
本体部100A〜Eについては、光源200A〜200Eを収容できるものであれば、どのような形状のものであっても良い。本体部100A〜Eを支持する構成については任意に設定可能である。
フード400A〜Eについては、透光部300A〜300Eを覆うものであれば、どのような形状のものであって良い。フード400Eの下面の開口410Eは、フード400Eの下端部を、当該フード400Eの中心を通る垂線を基準として両側に略30°の地点を各々通る直線に沿って、長さ方向の一端から他端にかけて切り欠くことにより設けられていることが好ましいが、これに限定されるものではない。即ち、フード400Eの下面に長さ方向に渡って開口が設けられていれば良い。又は、前記開口をフード400Eの長さ方向の他端部の下面のみに設けることも可能である。即ち、前記開口は空気の通り孔としての機能を有していれば良い。
着雪防止型デリニエータEについては、透光部300Eに傾斜面310Eを設けるのではなく、図9に示すように、透光部300Eの照射方向側の一面が上端から下端にかけて傾斜するように本体部100Eを傾けても良い。このとき、本体部100Eは本体部100Eの略中心を通る鉛直線L’’を基準として10〜45°傾斜していることが好ましい。なお、透光部300Eに傾斜面310Eを設けると共に、本体部を傾斜させるようにしても良いことは言う迄もない。
本発明の第1の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第2の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第3の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータの概略的一部破断側面図である。
本発明の第4の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータを示す図であって、( a) が内部が透過した概略的側面図、( b)が概略的正面図である。
本発明の第5の実施の形態に係る着雪防止型デリニエータを示す図であって、( a) が内部が透過した概略的側面図、( b)が概略的正面図である。
同デリニエータのフードの概略的一部破断側面図である。
透光部の前面の着雪実験に用いた着雪防止型デリニエータを示す図である。
同着雪実験の実験結果を示す写真である。
同デリニエータの設計変更例を示す概略的一部破断側面図である。
符号の説明
100A〜E 本体部
200A〜E 光源
300A〜E 透光部
400A〜E フード