JP2006324222A - 車両側部照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型・軽量化および耐久性を図りながら、バスやトラック等の大型車両の後輪の近傍を効率よく広範囲に照射し、巻き込み事故等の危険性を低減する。
【解決手段】 この車両側部照明装置20は、カバー部材21、取付板22、第1のダクト23、第2のダクト24、第3のダクト25、複数の発光ダイオード26、27、28等の主要な構成部材からなっている。
発光ダイオード26、27および28は、第1、第2および第3のダクト23、24および25の基端部23a、24aおよび25aに配置される。
第1、第2および第3のダクト23、24および25は、所定の方向にそれぞれ向けられて設定されており、車両の後輪の近くであって、車両の側方に沿う帯状の照射が実現される。
この車両側部照明装置20は、車両のサイドパネルの所定位置に取付板22を取付けて使用される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の側部照明装置に関し、特に、バスまたは大型トラック等の車両の後輪の近傍に配設され、前記後輪の近傍の地面を照明する照明装置に関するものである。
従来より大型バスの後輪の前方であって後輪の中心あたりの高さ位置に蒲鉾形のランプが斜めに装備された、いわゆる路肩灯と称する照明装置が用いられている。この路肩灯の第1の従来技術として、図15に示すものがある。
図15の(a)は、従来の路肩灯の正面図、(b)は底面図、(c)は図15(a)の正面中央縦断面図である。
図15(a)、(b)、(c)において、カバー1は蒲鉾形を呈し、背面側は開口され、正面側の下半部には、長矩形状を呈する光束射出窓1aが穿設されている。このカバー1の内壁面には、白色の塗装が施こされて反射面1b、1cが形成されている。
カバー1の射出窓1aには、透明板2がパッキン材を介して透明板取付ねじ3によって固定されている。取付板4の中央部には、電球5を受け入れるソケット部6が設けられている。上記取付板4は、カバー1の背面側の開口部に嵌合した状態で、ステー7を介してカバー取付ねじ8によりカバー1に結合されている。取付板4の背面には、樹脂製の軟質シート9が配置されている。
このように構成された路肩灯10は、図16に示すように、車両11のサイドパネル12の後輪13の前方であって、後輪13の中心あたりの高さ位置の、サイドパネル12に形成された丸孔(図示せず)にソケット部6を嵌入し、且つサイドパネル12に形成されたねじ孔(図示せず)に車両取付ねじ14を挿通し、ナット15をねじ込むことによって車両11に取付けられる。
この状態で、図示しないバッテリから、ケーブル16を介して、電球5に通電すると、電球5は点灯し、その点灯光は、一部は透明板2から直接射出され、残りはカバー1の内壁に形成された反射面1b、1cにおいて反射された後、透明板2から射出され、図16に示すように、狭い照射範囲に亘って後輪13の近くを照射する。この後輪13の近くが照射されることにより、運転者は、後輪13の近くの側溝や障害物等を概ね視認することができる。
また、車両の後輪を照明する第2の従来技術として特許文献1(特開2000−71869号公報)に記載のものがある。
この特許文献1に記載の後輪照明装置は、車両の後面に取付けられ前記車両の後退運転時に点灯する後退灯の電球からの光を、前記後退灯の反射鏡に設けた光透過部を介して前記後輪の接地面の側方へ導き、前記後輪の接地面の側方を照明するように構成されている。
この特許文献1の後輪照明装置は、運転者が、車両の後退運転に際してセレクトレバーを後退レンジにセットすると、バックアップランプ・後輪用照明装置の電球への通電がなされて、電球が点灯する。点灯した電球からの光は、直接に、あるいは、反射鏡や前面レンズで反射された後に、前記前面レンズに入射し、該レンズを通って車両の後方を照明すると共に、電球からの光の一部は、直接に、あるいは反射鏡や前面レンズで反射された後に、バックスポットレンズへ入射し、該レンズによって集光され、リヤバンパと後輪との間を通って、後輪の接地面の側方に導かれ、照明領域を照明するようになっている。
しかしながら、上記第1の従来技術の路肩灯には、以下に述べるような欠点や問題点がある。
先ず、第1にカバーの材質がスティール製であるため、腐食の進行が早く、耐久性が短い(3〜4年)という欠点がある。
第2に、光源としてタングステンランプを用いていることからその寿命が短く、取換え補修の頻度が多く、補修費が高くつく、という欠点がある。第3に、電球を交換する際、カバー固定ねじが腐食しているために、取外しあるいは取付けができず、産業廃棄物として処分せざるを得ない場合がある。第4に、電球が1個だけであるため暗く、車両側部に沿った照射が充分になされないため、後輪を側溝に落輪させたり、車両近くに存在する歩行者等の存在に気づかずに巻き込み事故をおこすおそれがある。
第5に、上記路肩灯の背面側には、比較的直径の大きなソケットが突出しているため、バスのサイドパネルに、上記ソケットを嵌入するための大きな孔を開けなければならず、その加工費がかかる上、その孔の部分から腐食が始まり、サイドパネルに腐食が進行し、バス本体の寿命の短縮化を招きかねないという問題がある。
第6に、電球やソケットが大きな上、車両の前後方向の照射範囲を大きくとるため、カバーを含む全体が大嵩である、という問題がある。
また、上記特許文献1の後輪照明装置においては、次のような欠点乃至は問題点がある。
先ず、第1に、上記第1の従来技術と同様に、電球を電源としているところより、電球が切れる頻度が高く、そのための補修費用がかかるという欠点がある。
第2に、この後輪照明装置は、車両の後退時にのみ点灯する方式であるため、夜間の通常走行時には役に立たず、後輪を側溝に落輪させたり、暗いため、歩行者や自転車等に気づかずに巻込み事故を起こしたりするおそれがある。
第3に、車両の後輪側方を照明する光源を、後退灯と共用しているため、光量が後輪側方に充分に照射されない可能性があり、しかも後輪を照明する光束の方向が、運転者から見ると逆方向であるため、運転者は幻惑され、車輪側方の側溝、ガードレール、歩行者を見失うおそれがある。
第4に、文献中には明示はされていないが、カバー部材や取付ねじなどは、腐食する可能性があり、例えば、取付ねじが腐食すると、電球の交換作業が困難乃至は不可能となる。
特開2000−71869号公報
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的とするところは、後輪の近傍を効率よく広範囲に照射し、巻き込み事故等の危険性を低減し得る車両側部照明装置を提供することにある。
第2の目的とするところは、電球の球切れのような現象は殆どなく、長期に亘って使用が可能であり、しかも消費電力を大きく節減し得る車両側部照明装置を提供することにある。
第3の目的とするところは、従来装置に比べて、小型化および軽量化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
第4の目的とするところは、メンテナンスフリーを実現し得る車両側部照明装置を提供することにある。
第5の目的とするところは、リサイクルが可能な車両側部照明装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、上記第1〜第3の目的を達成するために、
バスまたは大型トラック等の車両の後輪の近傍に配設され前記後輪の近傍の地面を照明する車両側部照明装置において、
前記車両の側部に沿って、異なった地点に向けて光を射出し得るように配設され、基端が狭く先端に向かうに従って広く形成され、内面が反射面とされた複数のダクトと、
前記複数のダクトの基端側にそれぞれ配設された1または2以上の発光ダイオードと、
前記複数のダクトと発光ダイオードを収容するカバー部材とを具備し、
前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、上記第1〜第3の目的を達成するために、
バスまたは大型トラック等の大型車両の後輪中心から前方の所定の水平距離であって且つ所定の地上高の部位に配設され前記後輪およびその近傍を照明する車両側部照明装置において、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向に向けて配設された第1のダクトと、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め前方向に向けて配設された第2のダクトと、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め後ろ方向に向けて配設された第3のダクトと、
前記第1のダクトと第2のダクトと第3のダクトの各々の基端に少なくとも1つ配置された複数の発光ダイオードと、
を具備し、
前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
背面側全体が開口され、正面側の中央、前方および後方に第1、第2および第3の光束射出窓がそれぞれ形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の前記開口を閉塞すると共に前記車両の側部パネルに取付けられるべき取付部材と、
前記カバー部材の前記第1、第2および第3の光束射出窓に各々の先端が保持される前記第1、第2および第3のダクトと、
前記第1、第2および第3のダクトの各々の基端に少なくともそれぞれ1つ配設された複数の発光ダイオードと
から構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
前記第1、第2および第3のダクトの前面側に、光学素子を配設したことを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
前記光学素子は、収束作用を有するレンズであることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
前記カバー部材は、その正面形状が逆台形状を呈していることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
前記カバー部材は、その平面形状が横長の逆台形状を呈していることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
正面側中央部には、1つの光束射出窓が形成され、その光束射出窓には基端に2つの前記発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端を固定してなることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、上記第1〜第4の目的を達成するために、
正面側中央部には2つの光束射出窓が形成され、それぞれの光束射出窓には、基端にそれぞれ1個の発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端をそれぞれ固定してなることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、上記第1〜第5の目的を達成するために、
前記カバー部材と前記蓋部材と前記第1、第2および第3のダクトは、硬質の合成樹脂をもって成型してなることを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、上記第1〜第5の目的を達成するために、
前記発光ダイオードは、橙色を発光するものであることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、
バスまたは大型トラック等の車両の後輪の近傍に配設され前記後輪の近傍の地面を照明する車両側部照明装置において、
前記車両の側部に沿って、異なった地点に向けて光を射出し得るように配設され、基端が狭く先端に向かうに従って広く形成され、内面が反射面とされた複数のダクトと、
前記複数のダクトの基端側にそれぞれ配設された1または2以上の発光ダイオードと、
前記複数のダクトと発光ダイオードを収容するカバー部材とを具備し、
前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したので、後輪の下方と車両の側方に沿って広い範囲に亘り効率よく照射するため、巻き込み事故、落輪等の発生を未然に防止することができ、また、電球等に比し、球切れのおそれが殆どなく、長期に亘る使用が可能で、且つ消費電力を大幅に節減することができ、加えて、従来の路肩灯に比べて、大幅な軽量化、小型化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、
バスまたはトラック等の大型車両の後輪中心から前方の所定の水平距離であって且つ所定の地上高の部位に配設され前記後輪およびその近傍を照明する車両側部照明装置において、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向に向けて配設された第1のダクトと、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め前方向に向けて配設された第2のダクトと、
基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め後ろ方向に向けて配設された第3のダクトと、
前記第1のダクトと第2のダクトと第3のダクトの各々の基端に少なくとも1つずつ配置された複数の発光ダイオードと、
を具備し、
前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したので、後輪の下方とその側方の広い範囲に亘り車両の側方に沿って効率よく照射するため、巻き込み事故や側溝への脱輪等の発生を未然に防止することができ、また、電球のように球切れのおそれが極めて少なく、長期に亘って使用が可能で且つ消費電力を大幅に節減することができ、加えて、従来の路肩灯に比べて小型化および軽量化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、
背面側全体が開口され、正面側の中央、前方および後方に第1、第2および第3の光束射出窓がそれぞれ形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の前記開口を閉塞し、前記車両の側部パネルに取付けられるべき取付部材と、
前記カバー部材の前記第1、第2および第3の光束射出窓に各々の先端が保持される前記第1、第2および第3のダクトと、
前記第1、第2および第3のダクトの各々の基端に少なくともそれぞれ配設された複数の発光ダイオードと
から構成したので、上記請求項1または2の発明の効果に加えて、構成が簡単で、発光源としての発光ダイオードの断線は殆ど生ぜず、実際上、メンテナンスフリーであり、耐久性を飛躍的に向上し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、
前記第1、第2および第3のダクトの前面側に、光学素子を配設したので、泥はねなどにより汚れた場合でも射出窓に配設された光学素子を拭くだけで、手入れは非常に簡単に行い得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、
前記光学素子は、収束(集光)作用を有するレンズであるので、照射角度の広い発光ダイオードの発光光束を収束して効率よく車両側方を照射し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、
前記カバー部材は、その正面形状が逆台形状を呈しているので、三方向に発光ダイオードの発光光束を射出するために合理的な形状をなすものであり、車両の前方向に沿う長さ寸法を大きくする必要をなくし、小型化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、
前記カバー部材は、その平面形状が横長の逆台形状を呈しているので、三方向に発光ダイオードの発光光束を効率よく射出することができ、光束のケラレがなく、小型化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、
正面側中央部には、1つの光束射出窓が形成され、その射出窓には基端に2つの前記発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端を固定してなるので、第1のダクトを2つの発光ダイオードに共用することで発光光量を増大させつつ構成の簡略化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、
正面側中央部には2つの光束射出窓が形成され、それぞれの光束射出窓には、基端にそれぞれ1個の発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端をそれぞれ固定してなるので、光の干渉を極力少なくし、より効率の高い車両側面の照明を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、
前記カバー部材と前記取付部材と前記第1、第2および第3のダクトは、硬質の合成樹脂をもって成型されているので、従来の路肩灯に比べ、腐食には強く、より軽量化、小型化が可能となり、組付けたら取外しができないように一体化することでメンテナンスフリーを実現でき、より長寿命化を実現し得る車両側部照明装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、
前記発光ダイオードは、橙色を発光するものであるので、例えば、雨や霧の中にあっても車両の後輪およびその側方の状況が明確に視認し得る車両側部照明装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面に基づいて、詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明の第1の実施の形態に係る車両側部照明装置に係るもので、このうち、図1は、図2のA−A線矢視方向断面図であり、図2は、本発明に係る車両側部照明装置の外観構成を示す正面図であり、図3は、平面図であり、図4は、底面図であり、図5は、背面図であり、図6は、右側面図であり、図7は、図1の正面中央縦断面図であり、図8は、図2に示す車両側部照明装置を右斜め下方向から見た斜視図である。
図1〜8において、本発明に係る車両側部照明装置20は、カバー部材21、取付板22、第1のダクト23、第2のダクト24、第3のダクト25、複数の発光ダイオード26、27、28等の主要な構成部材より構成されている。
このうち、カバー部材21は、この例の場合、硬質の合成樹脂、例えば車両のドアミラー、ホイールキャップ、コンソールボックス等に用いられているABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジェンスチレン樹脂)を用いている。
このカバー部材21は、外観形状として、正面形状および背面形状が、図2および図5に示す通り、逆台形状を呈し、平面形状および底面形状が、図3および図4に示す通り、横長で比較的偏平な逆台形状を呈しており、側面形状も、図6に示す通り、略倒台形状を呈しており、背面側は、全体が開口され、全体として略均一の肉厚に形成され、内部は空洞となっている。
このような形状のカバー部材21の正面側の中央の下方寄りには、横長矩形状を呈する第1の光束射出窓21aが形成され、前方(図2において右方)には、略台形状を呈する第2の光束射出窓21bが形成され、後方(図において左方)には、略台形状を呈する第3の光束射出窓21cが形成されている。
第1のダクト23、第2のダクト24、第3のダクト25は、種々の形状が考えられるが、本実施の形態においては、基端部(根元部)23a、24aおよび25aは、横断面積(空間)が狭く、先端部23b、24bおよび25bに向かうに従ってその横断面積(空間)が広く形成されて、いわゆるラッパー状を呈している。
この第1のダクト23、第2のダクト24および第3のダクト25の基端部23a、24aおよび25aには、発光ダイオード26、27および28が固定保持されている。一方、第1のダクト23、第2のダクト24および第3のダクト25の先端部23b、24bおよび25bは、上記カバー部材21に形成された第1の光束射出窓21a、第2の光束射出窓21bおよび第3の光束射出窓21cに当接保持されている。
第1のダクト23は、取付板22が図14に示すように、車両11のサイドパネル12に取付けられた状態を想定してその取付条件について説明すると、取付板22に対し手前側斜め下方向に向けて配設されるものとし、その照射範囲は、車両11の側方約1m、望ましくは2mの距離にある人物、物体、構造物等が視認できるように設定する。
また、第2のダクト24は、取付板22に対し、手前側斜め下方であって且つ、車両に対し斜め前方向に向けて配設する。
また、第3のダクト25は、取付板22に対し、手前側斜め下方であって、且つ車両に対し斜め後方向に向けて配設する。
このように、各ダクト23、24、25の向きを設定することにより、従来の路肩灯では、1点の電球から発せられた光束は、扇形に射出されるが、本実施の形態においては、車両の後輪の近くであって、車両の側方に沿う帯状の照射ができるから、後輪近傍の視認性を飛躍的に向上させることができる。
尚、発光ダイオード26、27および28は、橙色を発光するものが望ましい。
色が橙色の場合、光が空気中において吸収され難く、例えば、雨の降る中や霧が立ち込める悪環境下であっても、視認性が良好で、従って、巻き込み事故や溝への脱輪事故を起こすことを未然に防止することができる。
各発光ダイオード26、27および28は、発光ダイオード取付基板29に取付けられている。
取付板22は、実際に車両に取付けるためのもので、図5の背面図に示すように、左右に車両装着手段としての2つの小孔30が穿設されると共に、左右に2つの矩形状のケーブル引出し口22aが穿設されている。
カバー部材21に形成された第1の光束射出窓21a、第2の光束射出窓21bおよび第3の光束射出窓21cの前面、より詳しくは先端部23b、24bおよび25bの前面に透明で無色の光学素子31、32および33が配設され狭持固定されている。
第1、第2および第3の光学素子31、32および33は、照射領域を規定する機能(発散機能、収束機能、または集光機能)と、内部に収容された発光ダイオード26、27および28や第1のダクト23、第2のダクト24および第3のダクト25の内面に形成された反射面23c、24cおよび25cへの塵埃、雨水、等の浸入を阻止して保護する機能を果たすものであり、透明ガラス、透明プラスチック、透明レンズ等を用いることができるが、本実施の形態においては、収束作用を有するプラスチックレンズ(凸レンズ)を使用している。
収束作用を有するプラスチックレンズを使用するのは、発光ダイオード(light emitting diode:LED)の指向角度(Viewing Angle)が、120°〜140°と広いので集束光学系を用いて視野範囲を限定して照射範囲における照度を高めるためである。
もっとも、超高強度LEDの中には、指向角度が10°前後のものもあるので、その場合には、逆に発散機能をもつ凹レンズを用いればよいし、指向角度が照射範囲と適合するLEDを用いる場合には、透明ガラスまたは透明プラスチック板を用いればよい。
上記各ダクト23、24および25の内壁面に施される反射面23c、24cおよび25cは、理想的には銀メッキ処理であるが、銀紙の貼着、または白色ペイントの塗色であってもよい。
上述のように構成された第1の実施の形態に係る車両側部照明装置20を、実際に車両11に取付けるには、図9に示すように車両11の適宜位置に取付ねじ挿通用の小孔(図示せず)をドリル等の工具を以って穿孔する。また、発光ダイオード26〜28への通電用ケーブルを挿通するための孔を形成する。このケーブル挿通用の孔は、ケーブルを挿通するだけのものであるから、従来の路肩灯のソケット部6(図13)の直系に比べれば極めて小径とすることができる。
車両11のサイドパネル12に穿設した小孔に車両側部照明装置20側から突出する取付ねじ(図示せず)を挿入し、サイドパネル12の裏側からナットを螺合させ且つ締付けることにより、車両側部照明装置20を、サイドパネル12に取付けることができる。
因みに、この車両側部照明装置20の取付位置としては、後車軸34中心から前方(図9にあっては右方)の水平距離がバスおよびトラック共に1,500±500(mm)、地上高が、バスの場合450±100(mm)、トラックの場合950±250(mm)であり、車両側部照明装置20の側方への突出端が車体最外側より内側になるようにすることが望ましい。
上述のようにサイドパネル12に取着された車両側部照明装置20の発光ダイオード26、27および28にバッテリ(図示せず)からの電力をケーブル(図示せず)から通電することにより、発光ダイオード26、27および28は発光し、その発光光は、一部は、直接各光学素子31、32および33を透過して後輪13の近傍およびその側方の地面を照射し、残りの光は、第1、第2および第3のダクト23、24および25に形成された反射面23c、24cおよび25cで1回乃至複数回反射された後、光学素子31、32および33を透過して同様に後輪13の近傍およびその側方の地面を照射する。
このようにして発光ダイオード26、27および28によって照射された場合の照射範囲を図9に示す。従来の路肩灯(上述した第1の従来技術)の場合、図16に示すように、照射範囲が狭く後輪13の近くまで充分に照射光が届かず、後輪13と路面や障害物との関係が明確に視認しにくかったが、本実施の形態に係る車両側部照明装置20では、発光ダイオード26から発せられた第1のダクト23にて効率よく反射され且つ第1の光学素子31によって集光された照射光は、第1の照射範囲35、即ち、後輪13のやや前方近傍およびその側方(図9においては手前側)約1m辺りまでを明確に(強い照度)照明する。
これに加えて、発光ダイオード27から発せられ第2のダクト24にて効率よく反射され且つ第2の光学素子32によって集光された照射光は、第2の照射範囲36、即ち後輪13の前方近傍およびその側方約1m辺りまでを明確に照明する。
さらに加えて、発光ダイオード28から発せられ第3のダクト25にて効率よく反射され且つ第3の光学素子33によって集光された照射光は、第3の照射範囲、即ち、後輪13およびその側方約1m辺りまでを明確に照明する。
この結果、車両11の後輪13を含む車両11の前後方向に長く沿った範囲で且つ車両11の側方(図9においては手前側)1m以上の範囲に亘る地面上を強い照度で照射するため、後輪13の近くに人や物が存在することが明確に視認でき、側溝への脱輪、縁石への乗り上げ、さらに重大なコーナリングにおける巻き込み事故を未然に防止することができる。
しかも、この車両側部照明装置20は、特許文献1のように、後退時のみに点灯するものではなく、夜間における前進時にも点灯することができるので、上記巻き込み事故等の発生の防止に寄与し得る。
図10と図11に、本発明に係る車両側部照明装置20と従来の路肩灯を発光させた状態で、コーナリング時(転回時)における照射の模様を模式的に示しているが、本発明に係る車両側部照明装置20を装着した場合の方が、車両11の側方における前後の方向の照射範囲が広いことから、コーナリング時における後輪近くの状況を一層明確に視認し得ることがわかる。
そして、発光源が発光ダイオード26、27および28であるので、低電圧、低電流の下で高輝度を発するので、電力消費量が僅かで済み、その上、電球の球切れのような事態は殆ど発生せず、長期使用に充分に耐える。
これに加えて、カバー部材21、取付板22および各ダクト23、24および25は、共に合成樹脂材料をもって成形してあるため、腐食が殆どなく、これを一体化することにより金属部材の使用を極力排することで上記発光ダイオードの長寿命と相俟って長期使用に耐え、いわゆるメンテナンスフリーとすることができる。
また、長く使用していた車両11が事故を起こしたり、老朽化のため廃車処分をした場合、その車両11に装着されていた車両側部照明装置20を取外し、他の車両に再装着することも可能であり、いわゆるリサイクルも可能である。
尚、本発明は、上述し且つ図面に示した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能である。
例えば、図12は、第2の実施の形態を示す斜視図であり、この第2の実施の形態の場合、第1のダクト38、第2のダクト39および第3のダクト40の断面形状が楕円形状を呈している点が、第1の実施の形態における第1のダクト23、第2のダクト24および第3のダクト25の断面形状とは異なっている。
また、図13は、第3の実施の形態を示す斜視図であり、この第3の実施の形態の場合、第1のダクト41は、断面が横長矩形状を呈し、その基端側に2つの発光ダイオード42、43を配設した点が、上述した各実施の形態とは異なっている。
また、図14は、第4の実施の形態を示す正面図であり、この第4の実施の形態の場合、カバー部材の正面に2つの第1の光束射出窓44a、44bが形成され、それぞれの第1の光束射出窓44a、44bに2つの第1のダクト45a、45bの先端が当接保持されている点が、上述した各実施の形態と異なるが、この実施の形態が最も効率のよいことが、実証された。
また、光源として、上述した実施の形態では、発光ダイオード(LED)を用いているが、レーザーダイオード(LD)その他の半導体発光素子を用いてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る車両側部照明装置の断面構成を示す図2のA−A線矢視方向断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る車両側部照明装置の外観構成を示す正面図である。 図2に示す車両側部照明装置の外観構成を示す平面図である。 図2に示す車両側部照明装置の外観構成を示す底面図である。 図2に示す車両側部照明装置の外観構成を示す背面図である。 図2に示す車両側部照明装置の外観構成を示す右側面図である。 図2の中央縦断面図である。 図2に示す車両側部照明装置を右斜め下方から見た斜視図である。 本発明に係る車両側部照明装置を車両のサイドパネルに装着した場合における照明光の照射範囲を模式的に示す説明図である。 本発明に係る車両側部照明装置を車両に装着した状態で車両を転回する際の照射の模様を示す説明図である。 従来の路肩灯を車両に装着した状態で車両を転回する際の照射の模様を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る車両側部照明装置の外観構成を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る車両側部照明装置の外観構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る車両側部照明装置の外観構成を示す正面図である。 従来の路肩灯の構成を示すもので、(a)は、正面図、(b)は底面図、(c)は(a)の正面中央縦断面図である。 車両に装着した従来の路肩灯の照射状況を示す説明図である。
符号の説明
11 車両
12 サイドパネル
13 後輪
14 車両取付ねじ
15 ナット
16 ケーブル
20 車両側部照明装置
21 カバー部材
21a 第1の光束射出窓
21b 第2の光束射出窓
21c 第3の光束射出窓
22 取付板
22a ケーブル引出し口
23、38、41 第1のダクト
23a、24a、25a 基端部
23b、24b、25b 先端部
23c、24c、25c 反射面
24、39 第2のダクト
25、40 第3のダクト
26、27、28、42、43 発光ダイオード
29 発光ダイオード取付基板
30 小孔
31 第1の光学素子
32 第2の光学素子
33 第3の光学素子
34 後車軸
35 第1の照射範囲
36 第2の照射範囲
37 第3の照射範囲
44a、44b 光束射出窓
45a、45b ダクト

Claims (11)

  1. バスまたは大型トラック等の車両の後輪の近傍に配設され前記後輪の近傍の地面を照明する車両側部照明装置において、
    前記車両の側部に沿って、異なった地点に向けて光を射出し得るように配設され、基端が狭く先端に向かうに従って広く形成され、内面が反射面とされた複数のダクトと、
    前記複数のダクトの基端側にそれぞれ配設された1または2以上の発光ダイオードと、
    前記複数のダクトと発光ダイオードを収容するカバー部材とを具備し、
    前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したことを特徴とする車両側部照明装置。
  2. バスまたは大型トラック等の大型車両の後輪中心から前方の所定の水平距離であって且つ所定の地上高の部位に配設され前記後輪およびその近傍を照明する車両側部照明装置において、
    基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向に向けて配設された第1のダクトと、
    基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め前方向に向けて配設された第2のダクトと、
    基端が狭く形成され先端に向かうに従って広く形成されその内面が反射面とされ、前記車両に取付けられる取付板に対し手前側斜め下方向であって且つ前記車両に対し斜め後ろ方向に向けて配設された第3のダクトと、
    前記第1のダクトと第2のダクトと第3のダクトの各々の基端に少なくとも1つ配置された複数の発光ダイオードと、
    を具備し、
    前記複数のダクトを介して射出される発光ダイオードの光を前記後輪の側方を含む前記車両の側部に沿って異なった領域に亘り照射し得るように構成したことを特徴とする車両側部照明装置。
  3. 背面側全体が開口され、正面側の中央、前方および後方に第1、第2および第3の光束射出窓がそれぞれ形成されたカバー部材と、
    前記カバー部材の前記開口を閉塞すると共に前記車両の側部パネルに取付けられるべき取付部材と、
    前記カバー部材の前記第1、第2および第3の光束射出窓に各々の先端が保持される前記第1、第2および第3のダクトと、
    前記第1、第2および第3のダクトの各々の基端に少なくともそれぞれ1つ配設された複数の発光ダイオードと
    から構成してなる請求項2に記載の車両側部照明装置。
  4. 前記第1、第2および第3のダクトの前面側に、光学素子を配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両側部照明装置。
  5. 前記光学素子は、収束作用を有するレンズであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両側部照明装置。
  6. 前記カバー部材は、その正面形状が逆台形状を呈していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両側部照明装置。
  7. 前記カバー部材は、その平面形状が横長の逆台形状を呈していることを特徴とする請求項1または6に記載の車両側部照明装置。
  8. 正面側中央部には、1つの光束射出窓が形成され、その光束射出窓には基端に2つの前記発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端が固定されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の車両側部照明装置。
  9. 正面側中央部には2つの光束射出窓が形成され、それぞれの光束射出窓には、基端にそれぞれ1個の発光ダイオードが取付けられた前記第1のダクトの先端がそれぞれ固定されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の車両側部照明装置。
  10. 前記カバー部材と前記取付部材と前記第1、第2および第3のダクトは、硬質の合成樹脂をもって成型されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両側部照明装置。
  11. 前記発光ダイオードは、燈色を発光するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の車両側部照明装置。
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