JP2005320483A - 熱伝導性組成物および熱伝導性シート - Google Patents

熱伝導性組成物および熱伝導性シート Download PDF

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Abstract

【課題】 柔軟で形状追従性および密着性に優れると共に、作業性やリサイクル性にも優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性組成物および熱伝導性シートを提供することである。
【解決手段】 発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする熱伝導性組成物。前記側鎖結晶化可能ポリマーは、融点が30℃以上でありかつ融点未満の温度で結晶化する。また、前記熱伝導性組成物の23℃と80℃における貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)が100以上である。
具体例として、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする熱伝導性シートとして使用される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱伝導性を有する熱伝導性組成物および熱伝導性シートに関する。
近年、半導体を代表例とする電気・電子部品では、発熱に伴う電気・電子部品の冷却が、熱による誤作動等を防止するうえで重要となっている。冷却方法としては、電気・電子部品の発熱を放熱体へ熱伝導させ、放熱する方法がとられる。しかしながら、発熱体および放熱体の表面は平滑でないことが多い。このため、十分な接触面積が得られるように、発熱体と放熱体との間には、柔軟性を有する熱伝導性感圧接着剤を用いた接着シートを介在させることで、放熱効果を向上させている。かかる接着シートは、発熱体や放熱体の表面に密着し、接触面積を大きくすることで、高い放熱効果が得られる。このため、前記接着シートには、柔軟性や形状追従性が要求される。
前記接着シートとして、特許文献1には、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする共重合体と、熱伝導性微粒子を含有する熱伝導性感圧接着シートが記載されている。また、特許文献2には、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする共重合体と、この共重合体と非相溶であり且つ融点が40〜80℃の高級脂肪族系アルコールや高級脂肪酸などの化合物と、熱伝導性微粒子とを含有した熱伝導性感圧接着シートが記載されている。
これらの熱伝導性感圧接着シートは、熱伝導性に優れ、柔軟で形状追従性を有するとされている。しかしながら、上記熱伝導性感圧接着シートは感圧接着剤であるため、発熱体および放熱体の表面形状によっては、特に微細な凹凸形状では完全に密着させることは困難であり、このため高い放熱効果が得られないという問題がある。また、室温で粘着性を有するため、シート同士が貼り付いたり、貼着位置がずれたりした場合には簡単に剥がせないなど、発熱体への放熱体の取り付け時の作業性や取り扱い性に問題があり、さらに、発熱体や放熱体から簡単に取外せないため、発熱体や放熱体のリサイクルに支障をきたすおそれがある。
特開2003−49144号公報 特開2003−105299号公報
本発明の課題は、柔軟で形状追従性および密着性に優れると共に、作業性(取り扱い性)やリサイクル性にも優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性組成物および熱伝導性シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱伝導性組成物の樹脂成分として、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーを使用する場合には、該ポリマーは非発熱時に非粘着性ないし弱粘着性となるため、取り付け時の取り扱いが容易となり、
作業性が向上すると共に、取外しも容易であるため、電気・電子部品のリサイクル性が向上し、しかも、発熱体表面の発熱温度で軟化して柔軟性を示すことで、粘着性と共に形状追従性や密着性が発現し、熱伝導性が向上するという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の熱伝導性組成物は、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする。
具体的には、前記側鎖結晶化可能ポリマーは、融点が30℃以上でありかつ融点未満の温度で結晶化するのがよい。これにより、熱伝導性組成物は、取り付けの際には粘着性が無いか、粘着性が弱くなり、一方、発熱体表面の発熱温度で柔軟性を示すことができる。
また、本発明の熱伝導性組成物は、熱伝導性を高めるうえで、前記側鎖結晶化可能ポリマー100重量部に対して、前記熱伝導性充填剤を10〜300重量部の割合で含むのがよい。
本発明の熱伝導性シートは、発熱体表面の発熱温度で流動性を示す側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする。前記熱伝導性シートの厚さは、形状追従性や密着性を得るうえで、20〜200μmであるのがよい。なお、この熱伝導性シートの両面に、離型処理したフィルムを設けた方が好ましい。
また、本発明における熱伝導性シートの他の形態は、熱伝導性を有する基材フィルムの両面に、発熱体表面の発熱温度で流動性を示す側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含む粘着剤層を設けたことを特徴とする。なお、この粘着剤層の表面に、離型処理したフィルムを設けた方が好ましい。
本発明の熱伝導性組成物は、発熱体表面の発熱温度で軟化して柔軟性を示すことで、形状追従性や密着性が発現し、熱伝導性が向上するという効果がある。しかも、本発明では、特定の側鎖結晶化可能ポリマーを有することにより、取り付け時の作業性、取り扱い性が向上し、さらに取外しも容易であるため、電気・電子部品のリサイクル性が向上する。また、側鎖結晶化可能ポリマーの相変化を利用するものであるため、熱伝導性組成物自体も繰り返し使用できる。
本発明の熱伝導性組成物は、側鎖結晶化可能ポリマーと熱伝導性充填剤とを含む組成物であり、前記側鎖結晶化可能ポリマーが融点以上の温度で柔軟性を示す必要がある。
本発明における側鎖結晶化可能ポリマーは、温度変化に対応して結晶状態と非結晶状態との間で可逆的に相変化する性質を有する。具体的には、本発明における側鎖結晶化可能ポリマーは、例えば融点が30℃以上、好ましくは40℃以上で、融点未満の温度で結晶化するのがよい。これにより、側鎖結晶化可能ポリマーは、発熱時の発熱体から熱を受けて融点を越えると軟化して柔軟性を発現し、発熱体と放熱体との密着性を高めることができる。一方、通常の室温状態では、前記ポリマーは殆ど軟化せず、非粘着性ないし弱粘着性であるため、発熱体への放熱体の取り付け作業が容易であり、かつ放熱体の取り外しも容易であるため、作業性が向上する。これに対し、前記側鎖結晶化可能ポリマーの融点が30℃未満であると、熱伝導性組成物が室温付近で粘着性を示すようになり、取り付け時や取り外し時の作業性が低下する。
本発明において「融点」とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていたポリマーの特定部分が無秩序状態となる温度をいう。本発明における融点は、前記側鎖結晶化可能ポリマーを示差熱走査熱量計(DSC)で、10℃/分の測定条件で測定される。
前記側鎖結晶化可能ポリマーの具体例としては、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル30〜100重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル0〜70重量部と、極性モノマー0〜10重量部とを重合させて得られる重合体(ホモポリマーまたはコーポリマー)であるのがよい。
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリレートという)としては、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数18〜22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等があげられる。
極性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有エチレン不飽和単量体や;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン不飽和単量体等が用いられるが、このうち特に好適なものはアクリル酸である。
前記側鎖結晶化可能ポリマーの重量平均分子量は1万〜30万、好ましくは5万〜20万であるのがよい。前記側鎖結晶化可能ポリマーの重量平均分子量が1万未満であると、熱伝導性組成物の凝集力が不足し、シートの形態にした際には、脆く作業性が低下する。また、前記側鎖結晶化可能ポリマーの重量平均分子量が30万より大きいと、柔軟性に劣るため、密着性が低下するおそれがある。なお、前記重量平均分子量は、前記側鎖結晶化可能ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
本発明の熱伝導性組成物には、熱伝導性を高めるために熱伝導性充填剤が添加される。前記熱伝導性充填剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、グラファイトなどが挙げられる。また、形状としては、特に限定されるものではないが、平均粒子径が1〜50μmの微粒子状のものが好ましい。
前記熱伝導性充填剤は、側鎖結晶化可能ポリマー100重量部に対して、10〜300重量部の割合で配合するのが好ましい。これにより、側鎖結晶化可能ポリマーが柔軟性を示した際には、発熱体から放熱体へ効率よく熱が伝わる。前記熱伝導性充填剤の配合量が10重量部未満であると、熱伝導性組成物の柔軟性は向上するが、熱伝導性が不足する。また、前記熱伝導性充填剤の配合量が300重量部より高いと、該組成物の粘度が高くなり、柔軟性が低下するおそれがある。
本発明の熱伝導性組成物は、23℃と80℃における貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。前記比が100未満であると、取り付け時の作業性と柔軟性とのバランスが悪くなるおそれがある。なお、貯蔵弾性率の比は、前記熱伝導性組成物をレオロジカ社製の回転・振動型レオメータで、23℃および80℃の雰囲気温度で測定して得られる貯蔵弾性率から求められる。なお、本発明の熱伝導性組成物は、23℃の貯蔵弾性率が1×106〜1×108Paであり、80℃の貯蔵弾性率が1×103〜1×105Paであるのが好ましい。
また、本発明の熱伝導性組成物は、耐熱性や凝集力を上げるために、柔軟性を阻害しない範囲で架橋剤を添加してもよい。さらに、本発明の熱伝導性組成物の使用形態は、取り扱い性の上でフィルム状ないしシート状の形態であるのが好ましい。
本発明にかかる熱伝導性シートは、前記した熱伝導性組成物を溶剤に加えた塗布液を適当な離型処理したフィルム(離型フィルム)上に所定の厚さで塗布し、乾燥させ、両面を離型フィルムで挟むことで形成する。なお、前記熱伝導性シートは、押し出し成形やカレンダー加工によってシート状に成形してもよい。前記離型フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート等のフィルム表面に、シリコーン等の離型剤を塗布したものなどを用いることができる。また、金属メッシュや金属繊維の織布に含浸させることもできる。
前記熱伝導性シートの厚さは20〜200μmであるのがよい。前記熱伝導性シートの厚さが20μm未満であると、シートが柔軟性を示した際には、発熱体や放熱体の表面形状に正確に追従させるのが困難になるおそれがある。また、前記シートの厚さが200μmより厚くなると、熱伝導性が悪くなるおそれがある。
本発明における発熱体としては、例えば半導体、パワーモジュール、電子部品等が挙げられる。また、放熱体としては、前記発熱体の発熱面に取り付けられ、空冷や水冷等により少なくとも発熱温度の上昇を抑制できる性能を有するものをいい、例えば放冷フィンを有するヒートシンク等が挙げられる。
次に、本発明の熱伝導性シートの使用方法を説明する。まず、熱伝導性シート両面の離型フィルムを剥がし、熱伝導性シートを発熱体表面の所定位置に配置する。このとき、該シートは非粘着性であるため、誤ってシート同士が貼りつくことがなく、また貼着位置を誤った場合でも手直しが容易である。ついで、放熱体を該シートを介して発熱体の表面上に配置し、放熱体を発熱体の表面に固定する。固定は、例えばボルトとナットで締め付ける等、強い締め付け力で行うのが好ましい。
この状態で発熱体が発熱し、発熱体の表面が側鎖結晶化可能ポリマーの融点とほぼ等しい温度まで昇温すると、該ポリマーは結晶状態から非結晶状態へ相転移して軟化し柔軟性が発現する。この結果、熱伝導性シートは、発熱体および放熱体の表面に存在する微細凹凸形状に良く追従するようになり、隙間なく、これらの表面に密着するので接触面積が大きくなり、高い熱伝導性を示すことができる。
一方、発熱体からの発熱がなくなり、発熱体表面が30℃未満の室温付近に低下すると、含有する側鎖結晶化可能ポリマーが結晶化することで粘着性を失うため、熱伝導性シートを放熱体と発熱体の間から簡単に取外すことができる。しかも、取外した後に、発熱体または放熱体の表面にシートの一部が残る、いわゆる糊残りは生じない。これにより、発熱体や放熱体を分解して再利用するリサイクルが容易となる。また、シート自体も何度も繰り返し使用することができる。
本発明の他の実施形態として、熱伝導性を有する基材フィルムの両面に、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含む粘着剤層を設けることができる。これにより、熱伝導性シートの強度が向上する。前記導電性を有する基材フィルムとしては、特に制限されるものではないが、たとえば、銅やアルミニウムなどの金属フィルム、金属メッシュ、金属繊維織布、グラファイトシートが挙げられる。
この熱伝導性シートは、前記した熱伝導性組成物を溶剤に加えた塗布液を基材フィルムの片面に塗布し、乾燥させ、ついで他面にも同様の操作で粘着剤層を形成し、この粘着剤層の表面に、離型フィルムを貼り付けることで形成する。または、初めに離型フィルムに塗布し、乾燥させ、それを基材フィルムにラミネートすることで転写させても形成できる。なお、片側の前記粘着剤層の厚さは20〜100μmであるのが形状追従性を発現させる上で好ましい。
なお、本発明の熱伝導性組成物の使用形態は、フィルム状やシート状に限定されるものではなく、例えば前記熱伝導性組成物に適当な溶剤を加えて発熱体や放熱体の表面に塗布し、乾燥するようにしてもよい。このようにして形成された塗膜も、前記熱伝導性シートと同様の効果を奏することができる。
以下、合成例および実施例を挙げて本発明の熱伝導性組成物および熱伝導性シートについて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明で「部」は重量部を意味する。
(合成例1)
ステアリルアクリレートを95部、アクリル酸を5部および重合開始剤(日本油脂社製の商品名「パーブチルND」)を1部の割合で、それぞれn−ヘプタン150部に加え、60℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が20万、融点が50℃であった。
(合成例2)
ベヘニルアクリレートを45部、メチルアクリレートを50部、アクリル酸を5部および合成例1と同じ重合開始剤(パーブチルND)を1部の割合で、それぞれ酢酸エチル/n−ヘプタン(=7/3)の230部に加え、60℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が15万、融点が57℃であった。
(合成例3)
メチルアクリレート50部に代えてブチルアクリレート50部を用いた以外は、合成例2と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が15万、融点が45℃であった。
(合成例4)
ステアリルアクリレート95部に代えてベヘニルアクリレート95部を用いた以外は、合成例1と同様にしてモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が10万、融点が70℃であった。
(合成例5)
ベヘニルメタクリレートを60部、ブチルアクリレートを35部、アクリル酸を5部および合成例1と同じ重合開始剤(パーブチルND)を1部の割合で、それぞれ酢酸エチル/n−ヘプタン(=7/3)の230部に加え、60℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が15万、融点が55℃であった。
(合成例6)
2−エチルヘキシルアクリレートを92部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを8部および合成例1と同じ重合開始剤(パーブチルND)を1部の割合で、それぞれ酢酸エチル/n−ヘプタン(=7/3)の230部に加え、60℃で5時間撹拌して、これらのモノマーを重合させた。得られた共重合体は、重量平均分子量が15万、融点は無かった。
合成例1〜6の共重合体を表1に示す。
Figure 2005320483
(熱伝導性シートの作製)
前記合成例1で得られた共重合体溶液の固形分100部に対して、窒化ホウ素粉末(平均粒径18μm、電気化学工業社製の商品名「SGP」)を50部の割合で添加し、均一に分散させて熱伝導性溶液を得た。ついで、前記熱伝導性溶液を、厚さ50μmの離型処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ50μmで塗布し、乾燥させて熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は5000であった。
(熱抵抗および熱伝導率)
ヒーター部と冷却部(放熱体)との間に前記熱伝導性シートを挟み、ヒーター部に5Wの電力を1分間印加した後の、ヒーター部と冷却部の温度差(△T)を測定した。なお、熱抵抗(℃/W)は式:△T/5Wから求められる。また、熱伝導率(W/m・K)は式:5W×T×S×△Tから求められる。ここで、Tは前記熱伝導性シートの厚さ50μmを50×10-6mに換算した値を示し、Sは前記熱伝導性シートの面積(m2)を示している。
(作業性)
23℃の雰囲気温度で、前記熱熱伝導性シートの表面を指で触った際の粘着性の有無によって作業性を評価した。なお、評価基準は以下の2段階で評価した。
〇:23℃で粘着性が無い
×:23℃で粘着性が有る
(再剥離性)
23℃の雰囲気温度で前記熱伝導性シートをヒーター部と冷却部とで挟み、80℃まで加熱する。ついで冷却後、23℃の雰囲気温度でシートをヒーター部または冷却部から手で剥がす際の作業性を評価した。なお、評価基準は以下のように設定した。
〇:簡単に剥がれ、かつヒーター部または冷却部の何れかに糊残りが無い
△:簡単に剥がれるが、ヒーター部または冷却部の何れかに糊残りが有る
×:剥がれない
上記の結果を表2に示す。
合成例1で得られた共重合体に代えて、合成例2で得られた共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は300であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、作業性および再剥離性を評価した。その結果を表2に示す。
合成例1で得られた共重合体に代えて、合成例3で得られた共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は500であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、作業性および再剥離性を評価した。その結果を表2に示す。
合成例1で得られた共重合体に代えて、合成例4で得られた共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は3000であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、作業性および再剥離性を評価した。その結果を表2に示す。
合成例1で得られた共重合体に代えて、合成例5で得られた共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は600であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、作業性および再剥離性を評価した。その結果を表2に示す。
[比較例1]
合成例1で得られた共重合体に代えて、合成例6で得られた共重合体を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを作製した。得られたシートの貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)は20であった。ついで、得られた熱伝導性シートについて、実施例1と同様にして熱抵抗、熱伝導率、作業性および再剥離性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2005320483
表2から明らかなように、実施例1〜5では本発明の熱伝導性組成物を用いることにより、熱伝導性が高く、かつ作業性や再剥離性が良好なことがわかる。これに対して比較例1では、熱伝導性が低く、作業性および再剥離性が劣る結果を示した。

Claims (11)

  1. 発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする熱伝導性組成物。
  2. 前記側鎖結晶化可能ポリマーの融点が30℃以上でありかつ融点未満の温度で結晶化する請求項1記載の熱伝導性組成物。
  3. 前記側鎖結晶化可能ポリマーが、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル30〜100重量部と、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル0〜70重量部と、極性モノマー0〜10重量部とを重合させて得られる重合体である請求項1または2記載の熱伝導性組成物。
  4. 前記側鎖結晶化可能ポリマーの重量平均分子量が1万〜30万である請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
  5. 前記側鎖結晶化可能ポリマー100重量部に対して、前記熱伝導性充填剤を10〜300重量部の割合で含む請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
  6. 前記熱伝導性組成物の23℃と80℃における貯蔵弾性率の比(23℃の貯蔵弾性率/80℃の貯蔵弾性率)が100以上である請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
  7. 発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含むことを特徴とする熱伝導性シート。
  8. 前記熱伝導性シートが、厚さ20〜200μmである請求項7記載の熱伝導性シート。
  9. 両面に離型処理したフィルムを設けた請求項7または8記載の熱伝導性シート。
  10. 熱伝導性を有する基材フィルムの両面に、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと、熱伝導性充填剤とを含む粘着剤層を設けたことを特徴とする熱伝導性シート。
  11. 前記熱伝導性を有する基材フィルムの両面に、発熱体の発熱温度で軟化する側鎖結晶化可能ポリマーと熱伝導性充填剤とを含む粘着剤層を設け、さらにこの粘着剤層の表面に離型処理したフィルムを設けた請求項10記載の熱伝導性シート。
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